説明

骨格ブロック

【課題】骨格ブロックを組み付けて構成した空間保持骨格ブロック構造体において、組み付け後の高い強度を与えると共に、組立作業時の作業性にも優れる骨格ブロックとこの骨格ブロックにより構成される骨格ブロック構造体及び骨格ブロック構造体からなる雨水などの貯水施設を提供する。
【解決手段】空間保持構造体を形成する骨格ブロック4は、平板状の基台41と、前記基台の一方の面に立設され先端に直柱形状の支持体上端側嵌合部42aを有する基部が錐台形状の支持体42と、前記支持体42が立設された側の前記基台面に設けられ前記支持体上端側嵌合部42aが嵌合可能な基台側嵌合部43とを有し、かつ一対の前記骨格ブロック4を前記支持体が立設された基台面同士を対向させたとき、一方の骨格ブロック4の前記支持体上端側嵌合部42aが他方の骨格ブロック4の前記基台側嵌合部43に嵌合できることを特徴とする骨格ブロック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル或いは集合住宅、特に団地などにおいて、雨水などを防火用や散水用、あるいは洪水防止用などとして使用すべく貯水するための雨水などの貯水施設を形成する骨格ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、大きなビルや団地周辺の空き地や自転車置き場の地下等において、降った雨を貯水する貯水施設が種々設けられている。
その1つのタイプは、降水を一時的に貯水施設に貯えておいて、少しずつ下水に流す、或いは、周囲に浸透させて都市型の洪水を防ぐ目的で設けられているもの(一時貯留型又は浸透型)である。もう一つのタイプは、貯水施設に貯めた雨水を防火水として、あるいは花壇、菜園等の散水用として利用する目的で設けられたもの(貯水型)である。特に昨今では、夏季の水不足等に備えて、新しくビルや団地を建設する場合には、しばしばこの種の雨水等の貯水施設が設けられるようになってきている。
【0003】
このような貯水施設は、通常、特許文献1に記載のユニット部材を積層することで、貯水部を構成している。
このユニット部材101は、図4に示すようプレート状の基盤部102と、該基盤部102上に突設された1又は複数の筒体103とからなり、筒体103は、基盤部102の底面に開口103aを有し、基盤部102と一体に形成されている。更に、図5で示されるように、貯水部の構成に際しては、このユニット部材101を相対して積層することで、貯水に必要な空間を作り出している。なお、図5において、110は連結筒、111は連結筒内部に設けられるリブを示している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−252108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなユニット部材を貯水施設の骨格ブロックとして用いた場合、次のような問題が生じてしまう。
骨格ブロックを上下縦横に組み立てる際、特許文献1に記載されている筒体がテーパ形状をしたユニット部材を用いてユニット部材同士を連接する場合、即ち、ユニット部材の筒体頭頂同士をつき合わせ、中心方向に設けられたリブを内部に備える連結筒で連接するものであるが、ユニット部材を組み立てた貯水部や貯水施設として地中に埋設された場合に、テーパ形状の筒体で一番断面積が小さい筒体頭頂で連接されることから、自重および地中埋設に伴う圧力により変形し易く、貯水部形成に際しての施工性や貯水施設としての安定性を損なう恐れが大きく、特に横方向の力に対してはその恐れがある。
【0006】
前記問題に鑑み本発明の目的は、骨格ブロックを組み付けて構成した空間保持骨格ブロック構造体において、組み付け後の高い強度を与えると共に、組立作業時の作業性にも優れる骨格ブロックとこの骨格ブロックにより構成される骨格ブロック構造体及び骨格ブロック構造体からなる貯水施設を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく請求項1記載の発明は、雨水などの貯水施設を構成する空間保持骨格ブロック構造体を形成する骨格ブロックであって、前記骨格ブロックは、平板状の基台と、前記基台の一方の面に立設され先端に直柱形状の支持体上端側嵌合部を有する基部が錐台形状の支持体と、前記支持体が立設された側の前記基台面に設けられ前記支持体上端側嵌合部が嵌合可能な基台側嵌合部とを有し、かつ一対の前記骨格ブロックを前記支持体が立設された基台面同士を対向させたとき、一方の骨格ブロックの前記支持体上端側嵌合部が他方の骨格ブロックの前記基台側嵌合部に嵌合できることを特徴とする骨格ブロックである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記骨格ブロックの支持体上端側嵌合部と基台側嵌合部は、いずれか一方が嵌合突起であり、他方が前記嵌合突起に嵌合する嵌合穴であることを特徴とする請求項1記載の骨格ブロックである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記支持体は、先端に円柱形状の支持体上端側嵌合部を有する基部が円錐台形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の骨格ブロックである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記支持体の支持体上端側嵌合部の長さが、前記基台の厚み以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の骨格ブロックである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の骨格ブロックを水平方向及び垂直方向、或いは水平方向又は垂直方向に複数個組み付けて構成されることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体である。
このように請求項5記載の空間保持骨格ブロック構造体は、前述した本発明の骨格ブロックを、上下縦横に、すなわち水平方向及び垂直方向、或いは水平方向又は垂直方向に複数個組み付け構築するものである。このように所定数の骨格ブロックを3次元配列することで、機械的強度に優れ、組み立て作業性もよい空間保持骨格ブロック構造体を得ることができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の空間保持骨格ブロック構造体を構成する骨格ブロックは、少なくとも水平方向または垂直方向のいずれか一方は、同一形状の骨格ブロックを複数個組み付けて構成したものであることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体である。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の空間保持骨格ブロック構造体を構成する骨格ブロックは、同一形状の骨格ブロックのみ複数個組み付けて構成したものであることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体である。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の骨格ブロックを用いてなる空間保持骨格ブロック構造体を有する雨水等の貯水施設である。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の空間保持骨格ブロック構造体を有することを特徴とする雨水等の貯水施設である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明に係る骨格ブロックを組み付けて空間保持骨格ブロック構造体は、骨格ブロックの嵌合がし易く、その作業性に優れるばかりでなく、組み付け後の構造体に、より一層の郷土を与えて、信頼性に優れるものであり、工業上顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の骨格ブロックの実施例を、図1〜図3を用いて詳細に説明する。尚、以下に説明する骨格ブロックは、従来の雨水などの貯水施設の他にも種々の雨水等の貯水施設に用いることができる。そこで以下においては、雨水などの貯水施設の説明は省略し、本発明の雨水等の貯水施設における特徴である骨格ブロックについて詳細に説明することにする。
【0018】
図1は本発明の骨格ブロックの一実施例を示す斜視図である。
図1に示すように、この実施例が示す骨格ブロック4は、平板状で外形が略正方形(以下単に正方形という)の基台41と、この基台41上の2本の対角線の一方の対角線上に立設され、先端に直柱形状の支持体上端側嵌合部42aを有する2本の錐台形状の支持体42と、支持体42が立設された側と同じ基台面に設けられ、支持体上端側嵌合部42aが嵌合可能な2個の基台側嵌合部43を他方の対角線上に有している。しかもこの骨格ブロック4を2個用意し、この一対の骨格ブロック4同士を支持体42が立設された基台面同士を対向させたとき、一方の骨格ブロック4の2本の支持体42の先端に位置する支持体上端側嵌合部42aが、他方の骨格ブロック4の2個の基台側嵌合部43にそれぞれ嵌合するようになっている。
因みに、この基台側嵌合部43としては嵌合穴であることが一般的であるが、支持体上端側嵌合部42a側を嵌合穴にし、基台側嵌合部43を嵌合突起にすることもできる。
【0019】
具体的には、図2に示すように、3段目と表示された骨格ブロック4と同じものを、上下に互いにその支持体42側を対向させて組んだとき、1段目の骨格ブロック4の支持体42の支持体上端側嵌合部42aが、上下を逆さにして乗せた2段目の骨格ブロック4の基台側嵌合部43に、そして2段目の骨格ブロック4の支持体42の支持体上端側嵌合部42aが1段目の骨格ブロック4の基台側嵌合部43にそれぞれ嵌合するようになっている。
【0020】
図3は、図1に示す骨格ブロック4を上下方向に積層した状態の一例を示す縦断面図である。この実施例の骨格ブロック4の支持体42は、基台41から先端に向かってテーパ角度が2〜4°の円錐台形状で、その先端部が直柱形状の支持体上端側嵌合部42aになっている。
【0021】
支持体上端側嵌合部42aの長さは、基台側嵌合部の深さより長く設けられる。短すぎては、嵌合の糊代が足りずに安定な組み立てができない。また長すぎても骨格ブロック構造体の強度に悪影響を与えることから基台側嵌合部の深さと同程度から1.5倍程度の長さとするのが望ましく、錐台形状の支持体頂部までそのまま錐台形状とせずに、支持体上端に直柱形状部を設けることにより、嵌合がより確実に行われると共に、支持体頂部の嵌合部断面積を大きくすることができ、骨格ブロックを組み合わせて空間保持骨格ブロック構造体を構成した時に、この構造体がより安定なものになる効果を有している。
【0022】
更に、基台側に嵌合突起を設け、支持体上端の直柱形状部に設けた穴(例えば、直柱形状上端部の輪郭に突部を設けることにより形成される窪みなど)に基台側の嵌合突起を組み合わせることなどが考えられる。この場合、支持体側の嵌合部の穴の深さは、基台側の嵌合部突起の長さより少し深いことが好ましく、穴の深さは基台側の嵌合部突起の長さと同程度から1.5倍程度に設定されるのが望ましい。嵌合部の組合せは、以上の他、突起と穴の組合せであれば、いかなる組合せでも良い。
【0023】
また、支持体42の内部は空洞にしたり、二重筒にしたりしてもよい。これらの変形は本発明の骨格ブロック4の範囲内である。因みに、この骨格ブロック4は、低コストで、より軽量にして運搬や組み立てが容易であるように、通常、ポリプロピレン等の樹脂を射出成形して形成することが一般的である。
更に、基台41は、骨格ブロック4をより軽量にして運搬を容易にするために、かつ機械的強度をも考慮しながら正方形の基台41は枠体に複数本のリブを縦、横、斜め等格子状に組み込んだような形状にしている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の骨格ブロックの一実施例で、骨格ブロックの斜視図である。
【図2】骨格ブロック同士を上下方向に積層していく状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す骨格ブロックを積層させた状態の一例を示す縦断面図である。
【図4】従来のユニット部材の側面図である。
【図5】従来のユニット部材を上下及び左右に重ねた場合の側面図である。
【符号の説明】
【0025】
4 骨格ブロック
5 空間保持骨格ブロック構造体
41 基台
42 支持体
42a 支持体上端側嵌合部
43 基台側嵌合部
50a 外周嵌合部
50b 外周嵌合受け部
101 ユニット部材
102 基盤部
103 筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水などの貯水施設を構成する空間保持骨格ブロック構造体を形成する骨格ブロックであって、
前記骨格ブロックは、
平板状の基台と、
前記基台の一方の面に立設され先端に直柱形状の支持体上端側嵌合部を有する基部が錐台形状の支持体と、
前記支持体が立設された側の前記基台面に設けられ前記支持体上端側嵌合部が嵌合可能な基台側嵌合部と、を有し、
かつ一対の前記骨格ブロックを前記支持体が立設された基台面同士を対向させたとき、一方の骨格ブロックの前記支持体上端側嵌合部が他方の骨格ブロックの前記基台側嵌合部に嵌合できることを特徴とする骨格ブロック。
【請求項2】
前記骨格ブロックの支持体上端側嵌合部と基台側嵌合部は、いずれか一方が嵌合突起であり、他方が前記嵌合突起に嵌合する嵌合穴であることを特徴とする請求項1記載の骨格ブロック。
【請求項3】
前記支持体は、先端に円柱形状の支持体上端側に嵌合部を有する基部が円錐台形状であることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の骨格ブロック。
【請求項4】
前記支持体の支持体上端側嵌合部の長さが、前記基台の厚み以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の骨格ブロック。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の骨格ブロックを水平方向及び垂直方向或いは水平方向又は垂直方向に複数個組み付けて構成されることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体。
【請求項6】
請求項5記載の空間保持骨格ブロック構造体を構成する骨格ブロックは、少なくとも水平方向または垂直方向のいずれか一方は、同一形状の骨格ブロックを複数個組み付けて構成したものであることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体。
【請求項7】
請求項5記載の空間保持骨格ブロック構造体を構成する骨格ブロックは、同一形状の骨格ブロックのみ複数個組み付けて構成したものであることを特徴とする空間保持骨格ブロック構造体。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の骨格ブロックを用いてなる空間保持骨格ブロック構造体を有する雨水等の貯水施設。
【請求項9】
請求項5〜請求項7のいずれかに記載の空間保持骨格ブロック構造体を有することを特徴とする雨水等の貯水施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−231619(P2007−231619A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54932(P2006−54932)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】