説明

骨欠損関連疾患の処置および/または予防に有用な化合物の新規な同定方法

本発明は、DOCK5タンパク質によるRAC GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、(i)細胞においてDOCK5とRACタンパク質を同時発現させる工程(ここで、該DOCK5タンパク質は不活性RAC(この不活性RACはGDPに結合されている)の、活性RAC(この活性RACはGTPに結合されている)への変換を誘導する)、(ii)該細胞を該化合物と接触させる、または接触させない工程、(iii)該化合物の存在下または不在下で、不活性RACの活性RACへの変換を判定する工程、および(iv)不活性RACの活性RACへの変換を阻害する化合物を選択する工程を含んでなる方法に関する。該化合物は骨欠損関連疾患の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨欠損に関連する疾患の分野、より具体的には、骨欠損に関連する疾患の処置および/または予防に有用な化合物を同定するための新規な方法に関する。
【0002】
背景技術
骨は、栄養および骨が持たなければならない荷重等の因子に依存して、生涯絶えず再建される動的な組織である。正常な骨形成は新しい骨の付加と古い骨の吸収の間の繊細なバランスに依存している。骨形成は骨芽細胞による骨基質の沈着と骨吸収(bone resorption)に基づき、より具体的には、脊椎動物における無機化組織(mineralized tissue)、もっぱら炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムの吸収は破骨細胞により達成される。一般に、正常成人では、これらのプロセスによって年間に骨の約5〜10%が置き換わる。
【0003】
これらの破骨細胞は、単球細胞(単球細胞は骨の表面を移動する活発に運動する細胞である)に由来するマクロファージおよび他の細胞に関連のある最大400μmの多核細胞である。マクロファージのように、破骨細胞は造血系前駆細胞に由来する。骨吸収は、破骨細胞が無機化した骨の表面に接着した際に誘発され、強固な「密封帯(sealing zone)」を形成し、必要な酸および骨由来の無機化組織の吸収を誘発するプロテアーゼを分泌する。数時間〜数日の後に、破骨細胞は骨表面にピットを残して剥がれる。正常な条件下では、このピットが骨芽細胞の標的となり、材料を沈着させ、やがて新しい骨となる。
【0004】
骨欠損は、骨吸収プロセスが骨形成プロセスよりも優勢な場合に起こり得る。骨欠損に関連する疾患は通常、破骨細胞の活性化の上昇を伴う。このような疾患には、特に閉経後のエストロゲン欠乏から起こる骨欠損を含むだけでなく、骨粗鬆症、骨転移による骨減少症、特に、関節リウマチにおける関節周囲のびらん、原発性上皮小体機能亢進症、悪性の高カルシウム血症、パジェット骨病、歯周病、固定化誘導性骨減少症(immobilization−induced osteopenia)およびグルココルチコイド処置が含まれる。
【0005】
一例として、米国では、骨粗鬆症による検出可能な椎骨骨折を有する人は現在2千万人である。さらに、骨粗鬆症による股関節骨折は年間250,000件である。この臨床状態は最初の2年以内に12%の死亡率を伴い、患者の30%が骨折後に在宅介護を必要とする。
【0006】
骨欠損疾患は破骨細胞の活性の増大に関連するので、これらの病態で破骨細胞が活性化されるメカニズムを理解すること、およびこの活性化を阻害または軽減する合理的な治療手段を考案することが重要である。
【0007】
よって、本発明の目的は、骨欠損疾患を処置および/または予防するのに有用である新規なスクリーニング法を作り上げること、およびこのような化合物を用いて骨欠損疾患を処置および/または予防するための薬剤を製造することである。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは今般、DOCK5タンパク質が密封帯の形成、そしてその結果としての骨吸収に関連していると特定した。よって、DOCK5は骨欠損疾患を処置および/または予防するための新たな治療標的に相当する。最後に、本発明者らは、DOCK5の阻害剤(この阻害剤は骨欠損疾患を処置および/または予防するのに有効であり得る)を同定するために酵母交換アッセイ(yeast exchange assay) (YEA)を用いた。
【0009】
よって、第一の目的では、本発明は、DOCK5タンパク質による、RAC GTPアーゼ、より具体的には、RAC1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、
細胞においてDOCK5とRACタンパク質を同時発現させる工程(ここで、該DOCK5タンパク質は不活性RAC(この不活性RACはGDPに結合されている)の、活性RAC(この活性RACはGTPに結合されている)への変換を誘導する)、
該細胞を該化合物と接触させる、または接触させない工程、
該化合物の存在下または不在下で、不活性RACの活性RACへの変換、より具体的には、不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を判定する工程、および
不活性RACの活性RACへの変換、より具体的には、不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法に向けられる。
【0010】
選択された化合物は骨欠損に関連する疾患を処置するのに有用である。実際、本発明者らは、DOCK5による不活性RACの活性RACへの変換が密封帯形成に関連していることを確認した。
【0011】
本発明によれば、「RAC 1/2」は「RAC1および/またはRAC2」を意味する。実際、RAC1 GTPアーゼおよび/またはRAC2 GTPアーゼの活性化の阻害は同じ種類の結果をもたらし、RAC1とRAC2は双方とも破骨細胞分化と吸収機能に関与している(ひいては必要である)。
【0012】
有利には、本発明は、RAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害し、DOCK5タンパク質による骨欠損に関連する疾患を処置するのに有用な化合物を同定するための方法であって、
細胞においてDOCK5とRACタンパク質を同時発現させる工程(該DOCK5タンパク質は不活性RAC(この不活性RACはGDPに結合されている)の、活性RAC(この活性RACはGTPに結合されている)への変換を誘導する)、
該細胞を該化合物と接触させる、または接触させない工程、
該化合物の存在下または不在下で、不活性RACの活性RACへの変換を判定する工程、
この変換は密封帯形成に関連しているので、不活性RACの活性RACへの変換を阻害する化合物を選択する工程、および
選択された化合物により、骨吸収の阻害を試験する(破骨細胞による無機化基質吸収を試験することに相当する)
を含んでなる方法に向けられる。
【0013】
骨欠損に関連する疾患の例としては、閉経、骨粗鬆症、骨転移による骨減少症、関節リウマチにおけるびらん、原発性上皮小体機能亢進症、悪性の高カルシウム血症、パジェット骨病、歯周病、固定化誘導性骨減少症およびグルココルチコイド処置におけるものが挙げられる。好ましくは、骨欠損に関連する疾患は骨粗鬆症である。
【0014】
本明細書において用いた細胞および骨吸収アッセイ系からの結果は、in vivo効果を推定するものとして当技術分野で広く受け入れられている。この骨吸収アッセイでは骨髄単離細胞を含む材料を用いるので、ex vivoアッセイである。よって、これらのアッセイにおいてDOCK5によるRACの活性化の阻害が骨吸収を阻害することを示すことは、骨粗鬆症を処置するためのこの特異的な活性化の阻害剤の臨床的有用性の証拠となる。Carano ら (1990); Blair & Schlesinger (1992); Schlesinger & Blair (1992); Vaananen et al., 1990などの種々の科学刊行物(総て、このようなアッセイがin vivo活性を推定するものとして受け入れられるということを裏付ける)。
【0015】
不活性RACの活性RACへの変換を判定するための方法は当業者に周知である。このような方法の例としては、実施例およびCOTE & VUORI (J Cell. Sci., vol.115, p: 4901-4913, 2002)に開示されている方法が挙げられる。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、選択される化合物による骨吸収の阻害を試験する工程をさらに含んでなる。
【0017】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、試験化合物の存在下および該化合物の不在下において不活性RACの活性RACへの変換を比較することを含んでなるさらなる工程を含む。該骨吸収の阻害は、実施例に開示されているものなどの、当業者に周知の方法により簡単に試験することができ、ここでは、破骨細胞による無機化基質の吸収(mineralised matric resorption)は破骨細胞をリン酸カルシウム培養基上で培養することにより試験され、無機化基質の吸収はVON KOSSA染色により測定される。
【0018】
本明細書において「化合物」とは、化学またはペプチド化合物などの天然または合成化合物を意味する。
【0019】
好ましくは、これらの化合物は
4−[5−(4−ブロモフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−4−オキソブタン酸;
2,2,2−トリクロロ−N−(1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−3−チエニル)−N−(4−メチルフェニル)アセトアミド;
3−(3−クロロフェニル)−7−メチル−4−メチレン−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キナゾリノン;
3−[4−(3−ブロモベンジリデン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]安息香酸;
N−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル−5−ブロモ−2−フラミド;
1−アセチル−4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−メチルピペラジン;
3−(3−メトキシベンジリデン)−5−(4−メチルフェニル)−2(3H)−フラノン;
3−[5−(3,4−ジクロロフェニル)−2−フリル]アクリル酸;
(2−クロロ−4−{[5−(2−クロロフェニル)−6−(エトキシカルボニル)−7−メチル−3−オキソ−5H−[1,3]チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−2(3H)−イリデン]メチル}−6−メトキシフェノキシ)酢酸;
4−{[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]スルホニル}−2,1,3−ベンゾチアジアゾール;
4−[4−フェニル−5−(2−チエニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−ベンゼンジオール;
N−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[メチル(フェニルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
1−[(2−ヒドロキシフェニル)カルボノチオイル]−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール;
4−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]安息香酸2−メトキシエチル;
N−(2,3−ジクロロフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アクリルアミド;
3−(2−フリルメチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
N−(4−エトキシフェニル)−2−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}アセトアミド;
5−(4−ニトロベンジリデン)−2−チオキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾリジン−4−オン;
(3,5−ジクロロフェニル)[(フェニルスルホニル)カルボニル]アミン;
N−(2−ブロモフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
2−(2−クロロフェノキシ)−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]プロパンアミド;
8−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
4−tert−ブチル−N−[1−{[(2−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−チエニル)ビニル]ベンズアミド;
2−クロロ−N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ベンズアミド;
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン−2−イル)フェノール;
3−ベンジル−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド;
N−[5−(1−アダマンチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N’−フェニル尿素;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−{5−[(4−メチルフェノキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}尿素;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−2−(1−ナフチルオキシ)アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]−4−エトキシ−3−ニトロベンズアミド;
N−(2−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)アクリルアミド;
1−[(ジメチル−λ〜4〜−スルファニリデン)アミノ]−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン;
5−ベンジリデン−1−(2−クロロフェニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン;
4−エチル−5,6−ジメチル−2−フェニルピリミジン;
2−(3−クロロベンジリデン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン;
5−{5−[(3−メチル−5−オキソ−1−フェニル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾール−4−イリデン)メチル]−2−フリル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;
N−(2,5−ジメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリルアミド;
2−({2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エチル}アミノ)エタノール;
N−(3−メトキシフェニル)−4−プロポキシベンズアミド;
2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
4−メチル−1−(2−ニトロベンゾイル)ピペリジン;
2−ヒドロキシ−N’−[(2−メチルフェニル)スルホニル]ベンゾヒドラジド;
4−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)ブタン酸;
4−(3−メチルベンジリデン)−1−フェニル−3,5−ピラゾリジンジオン;
4−(2,4−ジクロロフェノキシ)−N−(2−エトキシフェニル)ブタンアミド;
N−(2−メトキシフェニル)−N’−(フェニルスルホニル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[2−(2−クロロ−5−ヨードフェニル)−1,3−ベンゾキサゾール−5−イル]−2−メチルプロパンアミド;
5−(4−ブトキシフェニル)−3−シクロヘキシル−1,2,4−オキサジアゾール;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル尿素;
6−クロロ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;
6−ブロモ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;および
N−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルメチル)−4−ニトロ−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
からなる群において選択される。
【0020】
より好ましくは、これらの化合物は、
4−[5−(4−ブロモフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−4−オキソブタン酸;
2,2,2−トリクロロ−N−(1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−3−チエニル)−N−(4−メチルフェニル)アセトアミド;
3−(3−クロロフェニル)−7−メチル−4−メチレン−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キナゾリノン;
3−[4−(3−ブロモベンジリデン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]安息香酸;
N−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル−5−ブロモ−2−フラミド;
1−アセチル−4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−メチルピペラジン;
3−(3−メトキシベンジリデン)−5−(4−メチルフェニル)−2(3H)−フラノン;
3−[5−(3,4−ジクロロフェニル)−2−フリル]アクリル酸;
(2−クロロ−4−{[5−(2−クロロフェニル)−6−(エトキシカルボニル)−7−メチル−3−オキソ−5H−[1,3]チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−2(3H)−イリデン]メチル}−6−メトキシフェノキシ)酢酸;
4−{[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]スルホニル}−2,1,3−ベンゾチアジアゾール;
4−[4−フェニル−5−(2−チエニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−ベンゼンジオール;
N−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[メチル(フェニルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
1−[(2−ヒドロキシフェニル)カルボノチオイル]−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール;
4−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]安息香酸2−メトキシエチル;
N−(2,3−ジクロロフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アクリルアミド;
3−(2−フリルメチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン−2−イル)フェノール
3−ベンジル−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド;
N−(4−エトキシフェニル)−2−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}アセトアミド;
5−(4−ニトロベンジリデン)−2−チオキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾリジン−4−オン;
(3,5−ジクロロフェニル)[(フェニルスルホニル)カルボニル]アミン;
N−(2−ブロモフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
2−(2−クロロフェノキシ)−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]プロパンアミド;
8−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
4−tert−ブチル−N−[1−{[(2−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−チエニル)ビニル]ベンズアミド;
2−クロロ−N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ベンズアミド;
N−[5−(1−アダマンチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N’−フェニル尿素;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−{5−[(4−メチルフェノキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}尿素;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−2−(1−ナフチルオキシ)アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]−4−エトキシ−3−ニトロベンズアミド;
N−(2−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)アクリルアミド;
1−[(ジメチル−λ〜4〜−スルファニリデン)アミノ]−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン;
5−ベンジリデン−1−(2−クロロフェニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン;および
4−エチル−5,6−ジメチル−2−フェニルピリミジン
からなる群において選択される。
【0021】
本明細書において、「DOCK5タンパク質」とは、ハツカネズミ(Mus musculus)配列番号1由来のDOCK5タンパク質のアミノ酸1132〜1661に相当するタンパク質DOCK5のDHR2ドメインを少なくとも含んでなるポリペプチドおよびその誘導体を意味する。
【0022】
よって、本発明は、DOCK5タンパク質によるRAC GTPアーゼ、より具体的にはRAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定する方法であって、
細胞においてタンパク質DOCK5のDHR2ドメインを少なくとも含んでなるポリペプチドとRACタンパク質を同時発現させる工程(このポリペプチドは不活性RAC(この不活性RACはGDPに結合されている)の、活性RAC(この活性RACはGTPに結合されている)への変換を誘導する)、
該細胞を該化合物と接触させる、または接触させない工程、
該化合物の存在下または不在下で、不活性RACの活性RACへの変換、より具体的には、不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を判定する工程、
不活性RACの活性RACへの変換、より具体的には、不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法に向けられる。
【0023】
全長Dock5タンパク質は、アミノ酸K11とE68の間にアミノ末端SH3ドメイン、その後、G440とE682の間にDHR1ドメイン、およびアミノ酸M1132とY1661の間にDHR2ドメインを有する(図3E)。
【0024】
好ましくは、該DOCK5タンパク質は配列番号1に相当する。
【0025】
また好ましくは、該DOCK5タンパク質は、ヒト(Homo sapiens)DOCK5タンパク質に相当する配列番号4に相当する。
【0026】
本明細書において「RACタンパク質」とは配列番号2およびその誘導体を意味する。
【0027】
好ましい実施形態によれば、該細胞は真核細胞、好ましくは酵母細胞である。
【0028】
有利には、該方法は、活性RACタンパク質と相互作用できるが、不活性RACタンパク質とは相互作用できないいずれのタンパク質の発現も含む。当業者であれば、GTPアーゼエフェクターとして知られるこのようなタンパク質が分かる。好ましい実施形態によれば、活性RACタンパク質と相互作用できるタンパク質はPAK1タンパク質を含んでなる群において選択される。
【0029】
本明細書において、「PAK1タンパク質」とは、配列番号3およびその誘導体を意味する。
【0030】
本明細書において、「誘導体」とは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4もしくは配列番号9のアミノ酸1132〜1661と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、例としては少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%の同一性%を有するポリペプチド、またはその相同分子種を意味する。
【0031】
本明細書において、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列間の「同一性%」とは、これらの配列の最良のアライメントで得られる、比較するその2配列間で同一のアミノ酸またはヌクレオチドのパーセンテージを意味し、このパーセンテージは純粋に統計学的なものであり、これら2配列間の違いはそれらのアミノ酸配列にランダムに拡散している。本明細書において、「最良のアライメント」または「最適なアライメント」とは、決定された同一性%(下記参照)が最高であるアライメントを意味する。2配列間の配列比較は通常、最良のアライメントに従って事前にアラインされたこれらの配列を比較することによって行われ、この比較は同定のために比較セグメントで行われ、類似性のある局部領域で比較される。比較を行うための最良の配列アライメントは、その他、手動によるか、SMITH and WATERMAN (Ad. App. Math., vol.2, p:482, 1981)により開発されたグローバルホモロジーアルゴリズムによるか、NEDDLEMAN and WUNSCH (J Mol. Biol, vol.48, p:443, 1970)により開発されたローカルホモロジーアルゴリズムの使用によるか、PEARSON and LIPMAN (Proc. Natl. Acd. Sci. USA, vol.85, p:2444, 1988)により開発された類似性の方法によるか、そのようなアルゴリズム(Wisconsin Genetics softwares Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI USAのGAP、BESTFIT、BLAST P、BLAST N、FASTA、TFASTA)を用いたコンピューターソフトウエアの使用によるか、MUSCLEマルチプルアライメントアルゴリズム(Edgar, Robert C, Nucleic Acids Research, vol. 32, p:1792, 2004)の使用により行うことができる。最良のローカルアライメントを得るために、好ましくはBLASTソフトウエアをBLOSUM 62マトリックスとともに、またはPAM 30マトリックスを使用することができる。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列間の同一性%は、最適にアラインされたこれら2つの配列を比較することにより決定され、アミノ酸配列は、これら2つの配列間の最適アライメントを得るために参照配列に対して付加または欠失を含めることができる。同一性%はこれら2つの配列間で同一の位置の数を決定し、この数を比較する位置の総数で割り、得られた結果に100を掛けて、これら2配列間の同一性%を得ることにより算出される。
【0032】
有利には、前記細胞はプロモーター配列の制御下にリポーター遺伝子をさらに含んでなり、前記RACおよびPAK1タンパク質はそれぞれトランス活性化ドメインまたは該プロモーター配列に特異的なDNA結合ドメインのいずれかと融合され、RACとPAK1の相互作用はリポーター遺伝子の発現の誘導をもたらす。
【0033】
この方法は、DOCK5およびRACタンパク質を用いた、DE TOLEDO ら (FEBS, vol.480, p:287-292, 200)およびWO2005/064007号公報に開示されているような酵母交換アッセイ(Exchange Assay)(YEA)に相当する。
【0034】
よって、WO2005/064007号公報(第6頁、"description de l’invention"の段落、第23頁まで)におけるYEAは引用することにより本明細書の一部とされる。
【0035】
「リポーター遺伝子」は当業者に周知であり、栄養要求性マーカー、またはGFP、ルシフェラーゼもしくはβ−Galなどの簡単に検出することができるタンパク質をコードする遺伝子に相当し得る。
【0036】
この実施形態では、不活性RACの活性RACへの変換の判定は、リポーター遺伝子の発現を判定することによって行われる。リポーター遺伝子の発現の阻害は不活性RACの活性RACへの変換の阻害に相当する。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、骨欠損に関連する疾患において、DOCK5遺伝子(配列番号10)の発現レベルの低減を可能とする化合物の選択のための方法であって、
a)試験化合物を、プロモーター(このプロモーターはDOCK5遺伝子のプロモーター配列またはその誘導体の全部または一部を含んでなる)の制御下に置かれたリポーターをコードする核酸配列を含んでなるリポーター核酸を発現する宿主細胞と接触させる工程、および
b)そのリポーターの発現レベルを測定する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0038】
本明細書において、「誘導体」とは、DOCK5プロモーターの配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、例として少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%の同一性%を有する核酸配列を意味する。同一性%は上記に定義される通りである。
【0039】
「化合物」または「試験化合物」とは、性質、構造および起源の異なる化合物、特に生物学的化合物、核因子、補因子など、抗微生物防御に関連する該遺伝子の発現レベルを増強するそれらの能力に関して試験される化学化合物、合成化合物などと理解すべきである。
【0040】
該試験化合物の濃度は当業者ならば該化合物の特徴(その毒性、細胞浸透能など)、細胞数、インキュベーション期間の長さなどに従って調整することができる。一般に、細胞を1nM〜1mMの範囲の濃度の試験化合物に曝す。当然のことながら、本発明から逸脱することなく他の濃度を試験すること、および異なる試験化合物濃度を同時に試験することもできる。
【0041】
種々のアジュバントおよび/またはベクターおよび/またはリポソーム、陽イオン脂質またはポリマーなど、試験化合物の宿主細胞への浸透を促進する生成物も必要に応じて使用可能である。
【0042】
「DOCK5遺伝子の発現レベルを低減させる」とは、DOCK5遺伝子の発現レベルが対照レベルと比較して減少される、または阻害されることと理解すべきである。
【0043】
このDOCK5遺伝子の発現レベルは本発明の方法におけるリポーター遺伝子の発現レベルと相関することに留意すべできある。実際、当業者ならば、本発明の方法においてリポーター遺伝子の発現レベルの減少が得られる試験化合物の能力から、該化合物がDOCK5遺伝子の発現レベルを低下させることができることが推測できるであろう。
【0044】
本発明において、対照レベルは、例えば、試験化合物の不在下でリポーター遺伝子の発現レベルを測定することにより決定することができる。
【0045】
よって、好ましい実施形態では、本発明による方法は、工程b)で測定されたリポーター遺伝子の発現レベルと該試験化合物の不在下でのリポーター遺伝子の発現レベルを比較するという工程c)をさらに含んでなる。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、ELMO1タンパク質(配列番号9)とDOCK5のSH3ドメインの結合を阻害することによりRAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、
a)試験化合物をELMO1タンパク質またはその誘導体と接触させる工程;
b)該試験化合物とELMO1タンパク質またはその誘導体の結合を測定する工程:および場合により、
c)不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0047】
本明細書において、「ELMO1タンパク質」とは、配列番号9およびその誘導体を意味する。
【0048】
該ELMO1タンパク質と試験化合物の間の結合は、当業者に周知の方法によって測定することができる。
【0049】
該ELMO1タンパク質と該試験化合物の間の結合が見られれば、その化合物はELMO1とDOCK5のSH3ドメインの結合の阻害剤であり、かつ、この化合物が不活性RAC1/2の活性RAC1/2への変換を阻害するのに有用であると結論付けることができる。
【0050】
場合により、該方法は、工程b)の後に、少なくともDOCK5のSH3ドメインまたはその誘導体を含んでなるポリペプチドと該試験化合物およびELMO1タンパク質を接触させること、および該化合物の存在下または不在下での該ELMO1タンパク質と該ポリペプチドの間の結合を比較することをさらに含むことができる。
【0051】
あるいは、本発明は、ELMO1とDOCK5のSH3ドメインの結合を阻害することにより、RAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、
a)試験化合物をELMO1タンパク質またはその誘導体および少なくともDOCK5のSH3ドメインまたはその誘導体を含んでなるポリペプチドと接触させる工程;
b)該化合物の存在下または不在下で該ELMO1タンパク質と該ポリペプチドの間の結合を測定する工程;および場合により、
c)不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0052】
該ELMO1タンパク質と該ポリペプチドの間の結合は、当業者に周知の方法によって測定することができる。供試化合物の存在下での該ELMO1タンパク質と該ポリペプチドの間の結合が該化合物の不在下で測定されたものより低ければ、その化合物はELMO1とDOCK5のSH3ドメインの結合の阻害剤であり、かつ、この化合物が不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害するのに有用であると結論付けることができる。
【0053】
場合により、上記のような化合物はビスホスホネート基と結合されている。このビスホスホネート基は、その投与後に化合物の迅速な組み込みを可能とする。
【0054】
本発明のもう1つの目的は、それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための上記のような化合物である。
【0055】
よって、本発明は、それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための薬剤の製造における上記のような少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0056】
本発明のもう1つの目的は、それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための、上記のような少なくとも1つの化合物と、場合により、薬学上許容される支持体とを含んでなる医薬組成物である。
【0057】
よって、本発明は、それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための薬剤の製造における、上記のような少なくとも1つの化合物を含んでなる医薬組成物の使用に関する。
【0058】
薬学上許容される支持体の例として、該組成物はエマルション、マイクロエマルション、水中油型エマルション、無水脂質および油中水型エマルションまたは他の種のエマルションを含み得る。
【0059】
本発明の組成物は、希釈剤、賦形剤、安定剤および保存剤などの1以上の添加剤をさらに含み得る。このような添加剤は当業者に周知であり、特に"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Ed." (various editors, 1989-1998, Marcel Dekker)および"Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems" (ANSEL et al, 1994, WILLIAMS & WILKINS)に記載されている。
【0060】
本願において「対象」とは、齧歯類、ネコ、イヌ、霊長類またはヒトなどの哺乳類を意味し、好ましくは、該対象はヒトである。
【0061】
本発明のもう1つの目的は、治療上有効な量の上記のような医薬組成物の投与を含んでなる、対象を処置する、および/または骨欠損疾患を予防するための治療的方法に関する。
【0062】
「治療上有効な量」とは、破骨細胞の活性化を阻害または低減する量を意味する。当業者ならば、一般的知識および実施例に記載されている方法に基づき、治療上有効な量を決定することができる。
【0063】
これらの化合物は、例えば筋肉内、静脈内または経口経路などの任意の投与様式によって投与することができる。
【0064】
本発明の化合物は好ましくは、疾病の進行状態、ならびに用いる標的様式、対象の年齢および体重に応じて当業者により選択される濃度で投与される。好ましくは、該化合物は5〜200μMの間の濃度、好ましくは10〜100μMの間を含んでなる濃度で投与される。
【0065】
以下、本発明をアミノ酸配列、核酸配列および実施例を参照してより詳細に記載する。なお、これらの実施例の詳細は本発明を限定するものではない。むしろ、本発明は、本明細書の実施例に明示されない詳細を含むが、当業者が過度な努力無く見出すいずれの実施形態にも関する。
【実施例】
【0066】
1)Dock5 mRNAの発現
種々のマウス組織においてDock5の発現を確立した。このため、DNアーゼIで処理した全RNAを、High pure RNA isolation kit (ROCHE DIAGNOSTICS)を抽出した。cDNAを作製するため、RNAを10マーのランダムプライマーでプライミングし、逆転写を、スーパースクリプトII逆転写酵素(INVITROGEN)を用いて触媒した。定量的PCRを、COELHO et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol.102, p:11917-11922, 2005)に記載されているように、Light Cycler (ROCHE DIAGNOSTICS)またはMx3000mp PCR system (STRATAGENE)にて、PLATINIUM Taq DNAポリメラーゼ(INVITROGEN)およびSYBR GREEN I (BIOWITAKKER)を用い、Dock5についてはプライマーDock5−Up(TGGTGACACAGGGACAGTGG、配列番号5)とDock5−Do(CACCCCAACTAGCACGTGG、配列番号6)、そして対照としてのGapdhについてはGapdh−Up(ACAGTCCATGCCATCACTGCC、配列番号7)とGapdh−Do(GCCTGCTTCACCACCTTCTT、配列番号8)を用いて行った。
【0067】
特異性はこのPCR産物の精製および配列決定により評価した。cDNAを定量するためのリアルタイムPCR測定は総て3回ずつ行い、Gapdhに対する比の95%信頼限界をスチューデントのt検定によって求めた。図1AおよびBは、種々のマウス組織におけるDock5の発現を示す。図1Aでは、該発現はDock5破骨細胞発現に対してノーマライズされたものである(すなわち、Dock5破骨細胞発現は100%レベルに相当する)。
【0068】
図1Aの分析組織は以下の通りである:筋肉1(M1)、筋肉2(M2)、心臓(H)、胚発生10.5日目の乳腺(GM10.5)、胚発生13.5日目の乳腺(GM13.5)、胚発生15.5日目の乳腺(GM15.5)、胚発生18.5日目の乳腺(GM18.5)、若年マウスの乳腺(GMj)、乳汁分泌時の乳腺(GM1)、脳(Br)、腎臓(Kd)、子宮(Ut)、肝臓(Lv)、マクロファージ(Mac)、精巣1(T1)、精巣2(T2)、脾臓(Sp)、結腸(Co)、骨髄(Bm)、胚発生13.5日目の胎盤(Pl13.5)、胚発生15.5日目の胎盤(GM15.5)および破骨細胞(Os)。
【0069】
さらに、骨髄マクロファージ(ND)、破骨細胞分化のために誘導されたもの(OC)または樹状細胞分化のために誘導されたもの(DC)および間充織幹細胞由来のもの(MSC JO)、骨芽細胞分化のために誘導されたもの(MSC J4)の全RNAを抽出し、Gapdh mRNAに対するDock5 mRNAのレベルをRT−PCRにより決定した。
【0070】
図1Bの結果は、Dock5 mRNAが樹状細胞および骨芽細胞においては発現されないことを示す。
【0071】
これらの結果は、Dock5は主として破骨細胞で発現されるが、胎盤(すなわち50%近く)および精巣でもDock5の重要な発現が見られることを示す。Dock5の発現は破骨細胞(すなわち、20%近く)に比べて骨髄、結腸、脾臓および精巣で低減されるが、他の供試組織でのその発現はわずか(すなわち10%近く)である。よって、これらの結果から、Dock5の発現が破骨細胞から極めて特異的なものであることが確認された。
【0072】
2)DOCK5ポリクローナル抗体の取得
ウサギポリクローナル抗体は、マウスDOCK5由来のアミノ酸1658〜1869に相当するマウスDOCK5C末端ペプチドに対して作製し、免疫親和性により精製した。実際、これらのアミノ酸配列はサブグループDOCK−Aの異なるメンバー間で有意に異なる。
【0073】
破骨細胞形成は、培養維持した精製マウス骨髄マクロファージおよびBRAZIER et al.(上述、2006)に記載されているRAW264.7細胞系統においてRANKL刺激により誘導した。刺激0日目、3日目または5日目に、細胞にSDS−PAGEを行い、ポリビニルジフルオリド膜(MILLIPORE IMMOBILON-P孔径0.45μm)にブロットした。転写後、この膜を、室温で30分間、TBS−T(0.1%TWEENを含有するTris緩衝生理食塩水)中で2%スキムミルクとともに、その後、TBS−Tで1:1000希釈したウサギ抗血清とともに4℃でインキュベートした。結合した抗体をペルオキシダーゼ標識抗ウサギ免疫グロブリン化学発光系(AMERSHAM)およびLAS−1000イメージアナライザー(富士フイルム)によって検出した。対照として、膜をGAPDH抗体でさらにインキュベートし、結合した抗体を従前のように検出した。
【0074】
図2AおよびBは、RANKL刺激破骨細胞形成から0日目、3日目および5日目の精製マウス骨髄マクロファージにおけるDOCK5およびGAPDHタンパク質の発現を示す。
【0075】
これらの結果から、215kDaのタンパク質が精製マウス骨髄マクロファージ(図2)およびRAW264.7細胞系統のRANKLにより刺激される破骨細胞形成中に誘導されたことが確認された(データは示されていない)。この大きさはそのmRNAから推定されるDOCK5タンパク質の大きさに匹敵する。
【0076】
さらに、マウス組織から全タンパク質を抽出し、Dock5に対する抗体を用い、ノーマライゼーション用のチューブリンに対してウエスタンブロットを行った。
図2Cの分析組織は次の通りである:Ey:眼、Sp:脾臓、St:胃、Te:精巣、Pl:胎盤、Lu:肺、Br:脳、He:心臓、Li:肝臓、Ki:腎臓;Mu:筋肉。
図2Aの結果から、Dock5が主として破骨細胞、精巣および胎盤で発現されることが確認される。
【0077】
3)DOCK5ポリクローナル抗体の特異性
マウスDock5オープンリーディングフレームにおいてShRNA標的配列を選択し、DNAオリゴヌクレオチドの65マーセンスおよびアンチセンス鎖をBRAZIER et al (上述、2006)に記載されているCLONTECH BIOINFORMATICS DATAに従って設計した。次に、オリゴヌクレオチドをINVITROGENにより合成し、アニーリングし、製造業者(CLONTECH)の説明書に従い、ピューロマイシン耐性選択マーカーを含むpSINREN−RETROQベクターにクローニングした。ホタルルシフェラーゼを標的とするpSIREN−RETROQ−Lucベクター(CLONTECH)を対照として用いた。Jet PI(QBIOGEN)を製造業者の説明書に従い、pSIREN−RETROQベクター、Friend MLVに基づくGag−Pol発現ベクターpC57GP(LASSAUX et al, J. Virol, vol.79, p:6560-6564, 2005)およびVSV−Gエンベロープ糖タンパク質発現ベクターpCSIG(BATTINI et al, Proc. Natl Acad. Sci., vol.96, p:1385-1390, 1999)を293T細胞に同時にトラスフェクトすることにより、レトロウイルスパッケージングを行った。トランスフェクション3日後にウイルス上清を採取し、0.45μm孔径フィルターで濾過した。
【0078】
感染のために、RAW264.7細胞を6cmディッシュ当たり2.10細胞で播種した。翌日、培地を1.5mlのウイルス上清、および8μg/mlポリブレンを含有する0.5mlの増殖培地に4時間置き換えた。細胞を増殖培地で24時間回復させ、ピューロマイシン(3μg/ml)をさらに24時間加えることによって感染細胞を選択した。感染したRAW264.7を破砕し、RANKLにより刺激される破骨細胞形成のために、BRAZIER et al. (上述、2006)に記載されているように、増殖培地に6ウェルプレートの1ウェル当たり5.10細胞で再播種した。
【0079】
次に、従前に記載されているように、ウサギポリクローナル抗DOCK5を用い、DOCK5タンパク質の検出を行った。
【0080】
図2Aは、ホタルルシフェラーゼ(shLuc)またはdock5(shDock5)のいずれかに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染したRAW264.7細胞系統における、RANKLにより刺激される破骨細胞形成から0、3および5日目のDOCK5およびGAPDHタンパク質の発現を示す。
【0081】
従前に記載されているように、これらの結果から、ホタルルシフェラーゼに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染したRAW264.7細胞系統のRANKLにより刺激される破骨細胞形成中に215kDaのタンパク質が誘導されたことが確認された。Dock5に対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染したRAW264.7細胞系統では、RANKLにより刺激された破骨細胞形成中に215kDaのタンパク質は検出されなかった。最後に、これらの結果から、破骨細胞形成中にタンパク質DOCK5(その対応するRNAなど)が誘導されること、および得られたウサギポリクローナル抗DOCK5抗体がDOCK5タンパク質に特異的であることが確認された。
【0082】
4)Dock5はin vivoでRacの活性化を媒介する
よって、本発明者らは、DOCK5タンパク質、より具体的にはそのDHR2ドメインがRhoファミリーの小GTPアーゼ、すなわち、RAC1/2およびcdc42を活性化することができるか否かを調べた。
【0083】
この目的で、DOCK5のDHR2ドメインと融合したGFPタンパク質(図3A参照)を作製した。
【0084】
Racおよびcdc42のin vivoGTP負荷を、従前にCOTE & VUORI (J. Cell. Sci., vol.l 15, p: 4901-4913, 2002)に記載されているように分析した。
【0085】
要するに、6ウェルプレートにて、293T細胞を、DOCK5のDHR2ドメインを含んでなるGFP融合タンパク質をコードするベクター(DHR2)またはGFPをコードするベクター(GFP)でトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後、細胞をMLBバッファー(25mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、1%NP−40、10mM MgCl、1mM EDTAおよび10%グリセロール)に溶解させた。明澄化した溶解液を、グルタチオンセファロースと結合したGST−PAK−PBD融合タンパク質とともに30分間インキュベートした。これらのビーズをMLBバッファーで十分洗浄し、結合したGTP負荷Racおよびcdc−42を免疫ブロット法により検出した。Rac、cdc42、GFP−DHR2およびGFPタンパク質の発現レベルを確認するために、等量の投入溶解液を免疫ブロット法により分析した。従前にABASSI & VUORI (EMBO J, vol.21, p:4571-4582, 2002)に記載されているように、これらの実験のためにGST−PAK−PBDを発現させ、精製した。
【0086】
図3Bは、全細胞溶解液(総量)におけるRac、cdc42、GFP−DHR2およびGFPタンパク質の発現レベルとGTP捕捉後に検出されたタンパク質を示す。
【0087】
これらの結果は、293T細胞におけるDHR2ドメインの発現が内因性Racの活性化を誘導するが、cdc42には影響を及ぼさないことを示す(図3B)。最後に、これらの結果から、DOCK5のDHR2ドメインはRac GTPアーゼを活性化することができるが、cdc42には影響を及ぼさないことが確認された。
【0088】
5)ELMO1はDOCK5のSH3ドメインに結合する
293T細胞を、従前に記載されているように、ELMO1タンパク質をコードする、またはC末端から欠失させた(ΔT625)(GUMIENNY et al, Cell, vol.107, p:27-41, 2001)ベクターと、全長DOCK5タンパク質(FL)、DHR2ドメイン、(i)SH3ドメインとDHR1ドメインの半分を含むそのN末端のアミノ酸1〜559から欠失されたDOCK5タンパク質配列(ΔNter)、または(ii)SH3ドメインを含んでなるアミノ酸1〜82から欠失されたDOCK5タンパク質配列(ΔSH3)を含んでなるGFP融合タンパク質をコードするベクターとで同時にトランスフェクトした(図3E参照)。
【0089】
トランスフェクション48時間後、細胞をMLBバッファー(25mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、1%NP−40、10mM MgCl、1mM EDTAおよび10%グリセロール)に溶解した。明澄化した溶解液を抗GFP抗体で免疫沈降させ、結合したELMO1タンパク質を免疫ブロット法により検出した。ELMO1タンパク質の発現レベルを確認するために、等量の投入溶解液を免疫ブロット法により分析した。
【0090】
図3Cおよび3Fは、ELMO1タンパク質をコードするベクターと全長DOCK5(FL)、DHR2ドメイン(DHR2)、そのSH3ドメインから欠失されたDOCK5(ΔSH3)またはそのN末端ドメインから欠失されたDOCK5(ΔNter)で同時トランスフェクトした細胞における、全胞溶解液(総量)中および抗GFOP抗体で免疫沈降させた後(IP GFP)のELMO1タンパク質の発現レベルを示す。
【0091】
これらの結果は、Dock5 SH3ドメインの欠失または全長Dock5と全長ELMO1の同時発現がRacに対するその交換活性著しく増大させることを示し、よって、DOCK5のN末端ドメイン、より具体的には、そのSH3ドメインがELMO1とDOCK5の結合に必要であることが確認される(図3C)。図3Fは、Dock5N末端ドメインがELMO1のC末端に結合することを示す。
【0092】
6)DOCK5のSH3ドメインはin vivoにおいてRacの活性化を阻害する
従前と同様に、DOCK5タンパク質の種々のドメインの存在下で、さらにはELMO1タンパク質の同時存在下でRacのin vivo GTP負荷を測定した。
【0093】
図3Dは、DOCK5のDHR2ドメイン(DHR2)、そのSH3ドメインから欠失されたDOCK5タンパク質(ΔSH3)、DOCKタンパク質(FL)、さらにはELMO1タンパク質をコードするベクターで同時トランスフェクトされたもの(FL+Elmol)に関する、全細胞溶解液(総量)におけるRacおよびGFPタンパク質をコードするベクターでトランスフェクトされた細胞においてGTP捕捉後に検出されたRAC−GTPタンパク質(GFP)の発現レベルを示す。
【0094】
従前と同様に、これらの結果は、DHR2ドメインの発現がRac GTPアーゼを活性化することができること、およびSH3ドメインがこの活性化を阻害することを示す(図3D)。実際、SH3ドメインが欠失すると、欠失したDOCK5タンパク質によるRac GTPアーゼの活性化をもたらす。最後に、ELMO1とSH3ドメインの結合はRac GTPアーゼの活性化をもたらす。
【0095】
7)DOCK5は破骨細胞におけるRacの主要なアクチベーターである
RANKLで刺激されたRAW264.7細胞系統を、従前に記載されているように、ホタルルシフェラーゼ(shLuc)またはdock5(shDock5)のいずれかに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染させた。
【0096】
さらに、Dock5+/+ およびDock5ー/−破骨細胞由来のTCLにおける活性Racのレベルを決定した。Dock5欠損破骨細胞を作出するために、Dock5−/−マウスをgene trap(Laurin et al. 2008)により得た。
【0097】
Racのin vivo GTP負荷を、従前に開示されているように測定した。
【0098】
図4は、対照shLucおよびDock5+/+破骨細胞において、活性Racレベルを1として、3回の独立した実験の平均値を示す。エラーバー:SD。
【0099】
図4Aは、全細胞溶解液(総量Rac)およびホタルルシフェラーゼ(shLuc)またはdock5(shDock5)いずれかに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染させた細胞において、GTP捕捉後に検出されたRAC−GTPタンパク質におけるRacの発現レベルを示す。
【0100】
図4Bは、Dock5−/−破骨細胞がDock5+/+破骨細胞の対照レベルと比較して低い活性Racレベルを有することを示す。
【0101】
これらの結果から、DOCK5発現の阻害は、Dock5 shRNAを発現する破骨細胞およびDock5 KO BMMに由来する破骨細胞において、対照と比較して活性RACレベルの低下(すなわち40%)をもたらすことが確認された。よって、DOCK5は破骨細胞において不可欠なRACの交換因子である。
【0102】
8)DOCK5は無機化基質の吸収に必要である
RAW264.7細胞系統を、従前に記載されているように、ホタルルシフェラーゼ(shLuc)またはdock5(shDock5)のいずれかに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染させた後、RANKLを用いて破骨細胞形成を刺激した。次に、得られた細胞をリン酸カルシウム培養基で培養し、アクチンリングの形成を誘導した。48時間後、細胞を固定し、ローダミン標識Phalloidinを用いてアクチンを染色し、密封帯を可視化した(図5)。
【0103】
図6は、ホタルルシフェラーゼ(shLuc)またはdock5(shDock5)のいずれかに対する小ヘアピンRNAをコードするレトロウイルスに感染させたRAW264.7細胞系統をRANKLで刺激したものにおけるアクチンの重合および該破骨細胞の存在下での無機化基質の吸収を示す。
【0104】
これらの結果は、破骨細胞において、DOCK5タンパク質がポドソームおよび密封帯と会合していることを示す(データは示されていない)。DOCK5発現が阻害された破骨細胞は、収縮および密封帯形成が行われないことを示す。VON KOSSA染色による無機化吸収表面の評価は、DOCK5発現が低下した破骨細胞による吸収の顕著な低下を示す。
【0105】
9)Dock−/−マウス由来の破骨細胞による確認
Dock5+/+およびDock5−/−マウスから単離されたBMM(骨髄マクロファージ)は、100ng/ml RANKLおよび10ng/ml M−CSFの存在下で破骨細胞へ分化された。0日目、3日目および4日目にTCL(全細胞抽出液)を調製し、Dock5およびβ−galに対する工程、そしてノーマライゼーションのためにチューブリンに対する抗体を用いてウエスタンブロットを行った。
【0106】
Dock5−/−BMM由来の破骨細胞は、アミノ酸1115の後、DHR1とDHR2ドメインの間が末端切断され、β−geoカセットと融合されたDock5を発現する(図7A)。
さらに、5日目に、分化した破骨細胞を固定し、TRAPおよびHoeschstで染色し、MNC(多核細胞)の数を求めた。図7B(4回の独立した実験からの平均値およびSD**:有意差、p<0.01、マン・ホイットニー検定)は、TRAP陽性MNC形成の効率が、Dock5+/+と比較してDock5−/−BMMで低下し、破骨細胞は小さかったことを示す。
【0107】
さらに、Dock5−/−BMMから分化した破骨細胞は密封帯を構築できないことを示すために、それらをリン酸カルシウム培養基に播種してアクチンリングの形成を誘導した。48時間後、細胞を固定し、ローダミン標識Phalloidin(緑)を用いてアクチンを染色して密封帯を可視化し、Hoeschst色素で核を染色した(青)(データは示されていない)。リン酸カルシウム培養基上で、Dock5−/−破骨細胞では密封帯の構築および吸収を欠いていたことが認められた。
【0108】
最後に、Dock5−/−が吸収ピットを形成できないことを証明するために、Dock5−/−BMM由来のものを、スライスした骨の上で5日間分化させ、固定し、走査電子顕微鏡により観察した。
【0109】
これらの結果は、骨スライス上に播種した際に、Dock5−/−破骨細胞は吸収ピットを形成しなかったことを示す。
【0110】
さらに、Dock5−/−破骨細胞が骨再吸収を欠いていることを示すために、コラーゲン分解ペプチド(CTx)のレベルを、分化5日後にDock5+/+およびDock5−/−破骨細胞の培地で測定し、骨スライスを染色した。図7Cは、3回の独立した実験の代表な1回の実験からの3つの破骨細胞播種ウェルの平均値およびSDを示す。
【0111】
コラーゲンテロペプチド(CTx)の測定により、Dock5−/−破骨細胞の吸収活性が無いことが確認された(図7C)。
【0112】
10)Dock5の抑制は破骨細胞におけるRACの活性化を損なう
野生型ならびにDock5+/+もしくはDock5−/−動物、または対照およびDock5 shRNA発現RAW264.7細胞に由来するDock5欠損破骨細胞における破骨細胞マーカーのレベル。M−CSF単独の存在下(黒いバー)または破骨細胞を得るためにRANKLおよびM−CSFの存在下(白いバー)で5日間増殖させたDock5+/+およびDock5−/−BMMから全RNAを調製した。示された遺伝子mRNAの、Gapdh mRNAに対するレベルをRT−PCRにより決定した。
【0113】
図8Aの結果は、Dock5−/−BMMから分化した破骨細胞では、破骨細胞分化マーカーの発現が正常であることを示す。この示された破骨細胞成熟は影響を受けず、Dockの欠損はin vitroにおいて破骨細胞のM−CSFおよびRANKL応答能を損なわないことを示唆した。
【0114】
さらに、Dock5−/−の破骨細胞前駆体がM−CSFおよびRANKLに応答できることは、それらのmRNAレベルはDock5+/+の場合と同じであったことから、Dock1またはDock2発現の補償的増加の結果ではなかった(図8B)。
【0115】
Dock5+/+およびDock5−/−BMMから調製した破骨細胞前駆体を示された時間、M−CSFまたはRANKLで刺激した。TCLにおけるERK、p38およびAktリン酸化のレベルをウエスタンブロットにより決定した。
【0116】
これらの結果は、M−CSFにより駆動されるリン酸化ERKおよびp38MAPキナーゼ(図8C)ならびにRANKLにより駆動されるAktのリン酸化(図8D)が、対照と比較してDock5−/−破骨細胞前駆体において影響を受けていなかったことを示す。
【0117】
最後に、これらの結果から、DOCK5は、閉経、骨粗鬆症、骨転移による骨減少症、関節リウマチにおける関節周囲のびらん、原発性上皮小体機能亢進症、悪性の高カルシウム血症、パジェット骨病、歯周病、固定化誘導性骨減少症およびグルココルチコイド処置における骨欠損を制限するための新たな治療標的である。特異的な破骨細胞DOCK5発現のために、DOCK5の標的化は、骨欠損を処置するための薬剤で見られるような副作用を限定し得る。
【0118】
11)DOCK5阻害剤の同定
どの阻害剤が骨欠損関連疾患の処置に有用であり得るか、DOCK5阻害剤を同定するために、本発明者らはDE TOLEDO et al. (FEBS, vol.480, p:287-292, 200)およびWO2005/064007号公報に開示されているような酵母交換アッセイ(YEA)を用いる。
【0119】
要するに、本発明者らは、酵母TAT7株(J.CAMONISにより提供されたMata, trpl, his3, Leu2, ura3, ade2, LYS::(LexAop)4-HIS3, URA3:: (LexAop)8-lacZ)を、mycタグ(配列番号...)に融合されたDOCK5のDHR2ドメイン、LexAと融合された野生型Rac GTPアーゼおよびGAL4のトランス活性化ドメインと融合されたそのエフェクターPAKを発現するベクターで形質転換する。
【0120】
得られた形質転換酵母において、DOCK5のDHR2ドメインの発現はRacの活性化を誘導し、この活性化されたRacはそのエフェクターPAKと相互作用して、リポーター遺伝子β−GalとHis3の発現をもたらす(図6)。
【0121】
酵母細胞膜の透過性を改質するために、BLANGY ら (Biol. Cell., vol.98(9), p:511-22, 2006)に開示されているようにErg6遺伝子における突然変異が導入してあった。Erg6遺伝子のこの突然変異は酵母細胞においてスクリーニングされた化合物の流入を増し、従って、スクリーニングされる化合物の濃度を制限することができる。
【0122】
骨欠損疾患の処置に有用であり得るDOCK5阻害剤をスクリーニングするため、形質転換酵母をいくつかの化学分子またはペプチド分子と接触させ、リポーター遺伝子β−GalおよびHis3の発現を阻害する化学分子またはペプチド分子を、8に開示されている骨欠損モデル、次いで骨欠損疾患モデルでさらに試験するために選択する。
【0123】
DOCK5阻害剤を同定するために酵母TAT7株を用いた。この株を96ウェル培養プレートの、ヒスチジンを除いた選択培地またはヒスチジンを加えた非選択培地に播種した。非選択培地での増殖に影響を及ぼすことなく選択培地でこれらの株の増殖を阻害するものを選択すべく、2560の化合物をスクリーニングした。対照としてDMSOを用いた。
【0124】
これらの化合物を1%DMSOの存在下、200μMの濃度で試験した。酵母の増殖を、t=播種後2時間、15時間、20時間および24時間における600nmでの光学密度により測定した。阻害化合物を以下のように定義した。
・n時点での、試験培地(−HIS)および毒性培地(+HIS)での増殖誘導体Cr(培地)=(OD600Tn−OD600T2)/Tn−T2。
・各時点および各プレートでの、Cr(−HIS)およびCr(+HIS)培地対照を対照として算出した。
・R(化合物)=Cr(−HIS)およびCr(+HIS)およびRを各プレートで算出した。
・阻害率は対照で割ることにより求めた 比I(化合物)=R(化合物)/R(対照)
・選択化合物は各時点で比I(化合物)<0.9を示すものである。
結果を表2に示す。
よって、55の化合物が、Dock5によりRAC1/2の活性化を阻害するものとして選択された。
【0125】
12)破骨細胞前駆体に対する毒性試験
次に、選択された化合物を破骨細胞前駆体に対するそれらの毒性に関して試験した。これらの細胞はDock5を発現しないので、Dock5阻害剤はそれらの増殖に影響を及ぼさない。破骨細胞阻害剤として用いたRAW264.7細胞を10〜100μMの化合物とともに72時間増殖させた。これらの細胞の増殖を、0.5%DMSOで増殖させた対照細胞と比較した。
【0126】
結果を表2に示す。これらの化合物について、無毒な最適濃度(細胞の増殖に影響を及ぼさない濃度)を決定した。
【0127】
13)分化した破骨細胞に対する毒性試験
これらの化合物を、上記で決定された濃度で、分化した破骨細胞に対するそれらの毒性に関して試験した。破骨細胞中、分化したRAW264.7細胞を供試化合物の存在下で72時間増殖させた。次に、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を破骨細胞において着色(SUDA et al, 1997)により可視化した。この破骨細胞特異的標識は、細胞形態の可視化を可能とする。その後、この細胞形態を0.5%DMSOの存在下で増殖させた対照細胞と比較した。そして、これらの化合物を3つのカテゴリーに分類した。
・72時間後に総ての破骨細胞の死滅を誘導する化合物(−)
・形態的異常および/または破骨細胞の一部の死滅を誘導する化合物(+/−)
・破骨細胞の目に見える変化を誘導しない化合物
結果を表2に示す。
【0128】
14)吸収阻害試験
同定された化合物を、リン酸カルシウムの無機化基質吸収表面(Osteologic Biocoat Clontech Reference 354609)に播種した破骨細胞に対して上記で定義されたものと同じ濃度で72時間用いた。次に、吸収された領域を示すため、この無機化基質を硝酸銀で染色した。これらの化合物を3つのカテゴリーに分類した。
・72時間、吸収を全面的に妨げる化合物(−)
・対照と比較して弱い吸収を誘導する化合物(+/−)
・対照と比較して破骨細胞の吸収活性を目に見えて変化させない化合物(+)
吸収カテゴリーが(+/−)および(−)の化合物は、骨吸収の新規な阻害剤に相当する。それらは10〜100μMの濃度で用いた。
これらの結果を確認するために、次に、化合物をin vivoにおいて、骨粗鬆症を示すマウスで試験した。
【0129】
表1:本発明のスクリーニング方法により同定された化合物
【表1】




























【0130】
【表2】






【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DOCK5タンパク質によるRAC GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定する方法であって、
細胞において少なくともDOCK5タンパク質のDHR2ドメインとRACタンパク質を同時発現させる工程(ここで、前記少なくともDOCK5タンパク質のDHR2ドメインは、不活性RAC(この不活性RACはGDPに結合されている)の、活性RAC(この活性RACはGTPに結合されている)への変換を誘導する)、
該細胞を該化合物と接触させる、または接触させない工程、
該化合物の存在下または不在下で、不活性RACの活性RACへの変換を判定する工程、
不活性RACの活性RACへの変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
選択された化合物が骨欠損に関連する疾患を処置するのに有用である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記骨欠損に関連する疾患が、骨粗鬆症、骨転移による骨減少症、特に、関節リウマチにおける関節周囲のびらん、原発性上皮小体機能亢進症、悪性の高カルシウム血症、パジェット骨病、歯周病、固定化誘導性骨減少症およびグルココルチコイド処置を含んでなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
選択される化合物による骨吸収の阻害を試験する工程をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記DOCK5タンパク質が、ハツカネズミ配列番号1由来のDOCK5タンパク質のアミノ酸1132〜1661に相当するタンパク質DOCK5のDHR2ドメインを含んでなるポリペプチドおよびその誘導体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記DOCK5タンパク質が、ヒトDOCK5タンパク質に相当する配列番号4に相当する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
RACタンパク質が、配列番号2およびその誘導体に相当する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、活性RACタンパク質と相互作用できるが、不活性RACタンパク質とは相互作用できない任意のタンパク質の発現をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞が、プロモーター配列の制御下にリポーター遺伝子をさらに含んでなり、前記活性RACおよび相互作用するタンパク質がそれぞれトランス活性化ドメインまたは前記プロモーター配列に特異的なDNA結合ドメインのいずれかと融合されており、活性RACと相互作用タンパク質の相互作用の結果、リポーター遺伝子の発現が誘導される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
活性RACと相互作用するタンパク質が、配列番号3に相当するPAK1タンパク質およびその誘導体を含んでなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
骨欠損に関連する疾患において、DOCK5遺伝子の発現レベルの低減を可能とする化合物の選択のための方法であって、
a)試験化合物を、プロモーター(このプロモーターは、DOCK5遺伝子のプロモーター配列またはその誘導体の全部または一部を含んでなる)の制御下に置かれたリポーターをコードする核酸配列を含んでなるリポーター核酸を発現する宿主細胞と接触させる工程、および
b)そのリポーターの発現レベルを測定する工程
を含んでなる方法。
【請求項12】
ELMO1とDOCK5のSH3ドメインの結合を阻害することにより、RAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、
a)試験化合物をELMO1タンパク質またはその誘導体と接触させる工程;
b)該試験化合物とELMO1タンパク質またはその誘導体の結合を測定する工程:および場合により、
c)不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法。
【請求項13】
ELMO1とDOCK5のSH3ドメインの結合を阻害することにより、RAC 1/2 GTPアーゼの活性化を阻害する化合物を同定するための方法であって、
a)試験化合物を、ELMO1タンパク質またはその誘導体およびDOCK5のSH3ドメインまたはその誘導体を少なくとも含んでなるポリペプチドと接触させる工程;
b)該化合物の存在下または不在下で、該ELMO1タンパク質と該ポリペプチドの間の結合を測定する工程;および場合により、
c)不活性RAC 1/2の活性RAC 1/2への変換を阻害する化合物を選択する工程
を含んでなる方法。
【請求項14】
それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための化合物であって、
4−[5−(4−ブロモフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−4−オキソブタン酸;
2,2,2−トリクロロ−N−(1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−3−チエニル)−N−(4−メチルフェニル)アセトアミド;
3−(3−クロロフェニル)−7−メチル−4−メチレン−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キナゾリノン;
3−[4−(3−ブロモベンジリデン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]安息香酸;
N−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル−5−ブロモ−2−フラミド;
1−アセチル−4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−メチルピペラジン;
3−(3−メトキシベンジリデン)−5−(4−メチルフェニル)−2(3H)−フラノン;
3−[5−(3,4−ジクロロフェニル)−2−フリル]アクリル酸;
(2−クロロ−4−{[5−(2−クロロフェニル)−6−(エトキシカルボニル)−7−メチル−3−オキソ−5H−[1,3]チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−2(3H)−イリデン]メチル}−6−メトキシフェノキシ)酢酸;
4−{[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]スルホニル}−2,1,3−ベンゾチアジアゾール;
4−[4−フェニル−5−(2−チエニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−ベンゼンジオール;
N−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[メチル(フェニルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
1−[(2−ヒドロキシフェニル)カルボノチオイル]−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール;
4−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]安息香酸2−メトキシエチル;
N−(2,3−ジクロロフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アクリルアミド;
3−(2−フリルメチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
N−(4−エトキシフェニル)−2−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}アセトアミド;
5−(4−ニトロベンジリデン)−2−チオキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾリジン−4−オン;
(3,5−ジクロロフェニル)[(フェニルスルホニル)カルボニル]アミン;
N−(2−ブロモフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
2−(2−クロロフェノキシ)−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]プロパンアミド;
8−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
4−tert−ブチル−N−[1−{[(2−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−チエニル)ビニル]ベンズアミド;
2−クロロ−N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ベンズアミド;
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン−2−イル)フェノール;
3−ベンジル−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド;
N−[5−(1−アダマンチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N’−フェニル尿素;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−{5−[(4−メチルフェノキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}尿素;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−2−(1−ナフチルオキシ)アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]−4−エトキシ−3−ニトロベンズアミド;
N−(2−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)アクリルアミド;
1−[(ジメチル−λ〜4〜−スルファニリデン)アミノ]−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン;
5−ベンジリデン−1−(2−クロロフェニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン;
4−エチル−5,6−ジメチル−2−フェニルピリミジン;
2−(3−クロロベンジリデン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン;
5−{5−[(3−メチル−5−オキソ−1−フェニル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾール−4−イリデン)メチル]−2−フリル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;
N−(2,5−ジメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリルアミド;
2−({2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エチル}アミノ)エタノール;
N−(3−メトキシフェニル)−4−プロポキシベンズアミド;
2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
4−メチル−1−(2−ニトロベンゾイル)ピペリジン;
2−ヒドロキシ−N’−[(2−メチルフェニル)スルホニル]ベンゾヒドラジド;
4−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)ブタン酸;
4−(3−メチルベンジリデン)−1−フェニル−3,5−ピラゾリジンジオン;
4−(2,4−ジクロロフェノキシ)−N−(2−エトキシフェニル)ブタンアミド;
N−(2−メトキシフェニル)−N’−(フェニルスルホニル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[2−(2−クロロ−5−ヨードフェニル)−1,3−ベンゾキサゾール−5−イル]−2−メチルプロパンアミド;
5−(4−ブトキシフェニル)−3−シクロヘキシル−1,2,4−オキサジアゾール;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル尿素;
6−クロロ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;
6−ブロモ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;および
N−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルメチル)−4−ニトロ−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
からなる群から選択される化合物。
【請求項15】
それを必要とする対象において骨欠損疾患を処置および/または予防するための医薬組成物であって、
4−[5−(4−ブロモフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−4−オキソブタン酸;
2,2,2−トリクロロ−N−(1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−3−チエニル)−N−(4−メチルフェニル)アセトアミド;
3−(3−クロロフェニル)−7−メチル−4−メチレン−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キナゾリノン;
3−[4−(3−ブロモベンジリデン)−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]安息香酸;
N−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル−5−ブロモ−2−フラミド;
1−アセチル−4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)−2−メチルピペラジン;
3−(3−メトキシベンジリデン)−5−(4−メチルフェニル)−2(3H)−フラノン;
3−[5−(3,4−ジクロロフェニル)−2−フリル]アクリル酸;
(2−クロロ−4−{[5−(2−クロロフェニル)−6−(エトキシカルボニル)−7−メチル−3−オキソ−5H−[1,3]チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−2(3H)−イリデン]メチル}−6−メトキシフェノキシ)酢酸;
4−{[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]スルホニル}−2,1,3−ベンゾチアジアゾール;
4−[4−フェニル−5−(2−チエニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−ベンゼンジオール;
N−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[メチル(フェニルスルホニル)アミノ]ベンズアミド;
1−[(2−ヒドロキシフェニル)カルボノチオイル]−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール;
4−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]安息香酸2−メトキシエチル;
N−(2,3−ジクロロフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アクリルアミド;
3−(2−フリルメチル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
N−(4−エトキシフェニル)−2−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}アセトアミド;
5−(4−ニトロベンジリデン)−2−チオキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾリジン−4−オン;
(3,5−ジクロロフェニル)[(フェニルスルホニル)カルボニル]アミン;
N−(2−ブロモフェニル)−3−(5−メチル−2−フリル)アクリルアミド;
2−(2−クロロフェノキシ)−N−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]プロパンアミド;
8−[(ジメチルアミノ)メチル]−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
4−tert−ブチル−N−[1−{[(2−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}−2−(2−チエニル)ビニル]ベンズアミド;
2−クロロ−N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ベンズアミド;
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン−2−イル)フェノール;
3−ベンジル−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−1H−インドール−3−カルバルデヒド;
N−[5−(1−アダマンチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]−N’−フェニル尿素;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−{5−[(4−メチルフェノキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}尿素;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−2−(1−ナフチルオキシ)アセトアミド;
N−[4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)フェニル]−4−エトキシ−3−ニトロベンズアミド;
N−(2−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)アクリルアミド;
1−[(ジメチル−λ〜4〜−スルファニリデン)アミノ]−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン;
5−ベンジリデン−1−(2−クロロフェニル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン;
4−エチル−5,6−ジメチル−2−フェニルピリミジン;
2−(3−クロロベンジリデン)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン;
5−{5−[(3−メチル−5−オキソ−1−フェニル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾール−4−イリデン)メチル]−2−フリル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;
N−(2,5−ジメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリルアミド;
2−({2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]エチル}アミノ)エタノール;
N−(3−メトキシフェニル)−4−プロポキシベンズアミド;
2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−2,3−ジヒドロ−4(1H)−キナゾリノン;
4−メチル−1−(2−ニトロベンゾイル)ピペリジン;
2−ヒドロキシ−N’−[(2−メチルフェニル)スルホニル]ベンゾヒドラジド;
4−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)ブタン酸;
4−(3−メチルベンジリデン)−1−フェニル−3,5−ピラゾリジンジオン;
4−(2,4−ジクロロフェノキシ)−N−(2−エトキシフェニル)ブタンアミド;
N−(2−メトキシフェニル)−N’−(フェニルスルホニル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[2−(2−クロロ−5−ヨードフェニル)−1,3−ベンゾキサゾール−5−イル]−2−メチルプロパンアミド;
5−(4−ブトキシフェニル)−3−シクロヘキシル−1,2,4−オキサジアゾール;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル尿素;
6−クロロ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;
6−ブロモ−4−フェニル−3−[3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)アクリロイル]−2(1H)−キノリノン;および
N−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルメチル)−4−ニトロ−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、所望により薬学上許容される支持体を含んでなる医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公表番号】特表2012−500393(P2012−500393A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523415(P2011−523415)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060691
【国際公開番号】WO2010/020647
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】