骨疾患の予防/治療のための医薬組成物及びその調製方法
骨粗鬆症は、高齢化社会における主要な課題の1つである。骨粗鬆症は、個体群の年配者、特に閉経後の女性において骨折をもたらす。従来の医薬には、骨疾患を治療するための使用に対する潜在性を有する多くの天然の生薬がある。これまで、ブテア種の抗骨粗鬆症(骨形成)活性に関する文献として報告されていない。この植物の抗骨粗鬆症活性を試験することが考察された。したがって、本発明は、骨障害の予防又は治療のためのブテア・モノスペルマの抽出物由来の医薬組成物、それらの調整法及び使用を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬品及び有機化学の分野に関し、並びに新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物であって、好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群、特に
a)骨粗鬆症、骨喪失、骨形成;
b)II型/年齢に関連した/老年性骨粗鬆症である骨形成、より高いピークの骨量、骨折治癒、欠損した骨の置換のためにインビトロ/インビボでの新骨形成の促進を達成するための発生及び成長の期間の骨形成;
c)エストロゲンに関連した疾患又は症候群、好ましくは哺乳動物におけるエストロゲン欠乏状態によって引き起こされる疾患又は症候群;
d)心臓血管系作用、より具体的には高脂質血症、血栓性及び血管運動系;
e)脳梗塞、老年性認知症−アルツハイマー型及びパーキンソン病などの神経変性作用;
f)顔面紅潮、泌尿生殖萎縮、うつ病、躁病、統合失調症等を含む更年期症候群、尿失禁、月経困難症の軽減、機能不全性子宮出血の軽減、卵巣発育の補助、座瘡及び多毛の処理;
g)前立腺癌、乳癌、子宮癌、頸部癌及び結腸癌などの癌;
h)ヒト及び他の動物における受精能力の調節又は制御;
i)切迫流産又は習慣流産の予防における使用のため;
j)産後の授乳の抑制;
k)肥満、うつ病などの生理学的な障害
の予防又は治療におけるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群の関連した種々の医学的兆候の予防又は治療に有用であるものを提供する。
【0002】
本発明は、さらに、医薬として活性な抽出物、画分、サブ画分の調製、純粋な化合物の単離の方法、それらの医薬として許容される塩及び本発明の主要な局面の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
骨粗鬆症は、「低骨量の状態」として定義されているが、高齢化社会において主要な課題の1つである。個体群の老齢者における骨の脆弱性の増大及び結果として骨折の危険性の増加をもたらす骨組織のマイクロアーチテクチャー劣化によって特徴付けられる疾患である。50歳を超える女性の>50%、男性の30%に影響を及ぼすことが知られている。女性では、また、閉経後すぐに、可変的な年月で骨喪失率の加速化が見られる。
【0004】
骨折の危険因子及び発生率を減少させる努力は、骨の再吸収の阻害及び/又は骨形成の増大によって骨格量を保存する化合物の開発へと導いた(Dwivedi,I,Ray S,1995“Recent developments in the chemotherapy of osteoporosis”Progress in Drug Research 45,289−338,Editor E Jucker,Birkhauser Vela;Marshall DH,Horsmann A,Nordin BEC,1977,“The prevention and management of post−menopausal osteoporosis”Acta Obstet Gynecol Scand(Suppl)65:49−56;Hutchinson TA,Polansky SM,Feinstein AR,1979,“Postmenopausal estrogen protect against fractures of hip and distal radius: A care− control study”Lancet 2:705−709)。エストロゲン代償療法はまた、CVS&CNSに関連した障害に正に影響する(Lobo RA,1990,“Cardiovascular implication of estrogen replacement therapy”Obstetrics & Gynaecology 75:185−245;Mendelson ME,Karas RH,1994,“Estrogen and the blood vessel wall”Current opinion in Cardiology 1994:619−626;Stampfer MJ,Colditz GA,1991,“Estrogen replacement therapy and coronary heart disease:a quantitative assessment of the epidemiological evidence”Preventive Medicine 20:47−63)。
【0005】
カルシウム、ビタミンD及びその類似体、エストロゲン、カルシトニン、ビスホスホネート、ラロキシフェンなどの臨床使用に利用可能な薬理学的な薬物の大部分は、骨の再吸収の速度を減少させることによって作用し、骨喪失の速度を緩める。このような再吸収阻害剤の投与によって骨喪失を妨げる。しかしながら、一度喪失した骨は、このような再吸収阻害剤の使用によって回復することは不可能である。
【0006】
伝統的な薬剤では、骨疾患を治療する可能性を有する多くの天然の生薬がある。しかしながら、ほとんどの実験室作業では、それらの可能な開発及び使用を評価するレポートは、この兆候のために臨床的に使用されている天然産物誘導体であるイプリフラボンを除いてはほとんどない。
【0007】
本特許に含まれる天然産物は、骨芽細胞の増殖及び分化、マトリックス成熟及びインビトロでの多くのアッセイにおける鉱化を促進し、インビボでの長期の治療後に骨のミネラル密度及び骨の機械的強度を高めることが示され、年齢に関連した(II型)骨粗鬆症の迅速な骨折治癒及び管理における多大な使用だけでなく、成長及び発育の期間中に投与された場合のより高いピーク骨量を到達するのを手助け、閉経後の骨粗鬆症を含むエストロゲン欠損状態における欠損した骨の置換及び再吸収の阻害のためのインビトロ/インビボでの新骨形成を促進もする。現在、骨形成活性を示すことが報告されている唯一の薬物は、(a)非経口に投与されなければならず、より高い服用量で骨の再吸収を増加する副甲状腺ホルモン、(b)摂取過剰により骨粗鬆症を引き起こすことでも知られているフッ化物、及び(c)それらの同化活性のためのアンドロゲンを含む。これは、天然源由来のその種の第一薬物であり、ヒト使用及び福祉のための経口製剤として開発されている。下記の明細書は、具体的には、本発明の性質及び実施されなければならない方法を記載し、究明する。
【0008】
ブテア・モノスペルマ(Lam.)Taub(Syn.Butea frondosa;Family Fabaceae)は、一般に、「ツルハナモツヤクノキ(dhak)」又は「パラス(palas)」として知られている。ブテアの種には、ブテア・モノスペルマ、ブテア・パルビフロラ、ブテア・ミノル及びブテア・スペルバが含まれる。これらは、インド全体に広範囲に分布している[The Wealth of India−Raw Materials.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。この属の植物は、それらの有色物質に関して周知である。
【0009】
ブテア・モノスペルマの根は、夜盲症及び他の眼疾患の治療に有用である[Mengi,S.A.,Deshpande,S.G.Journal of Pharmacy and Pharmacology 47,997−1001,1995]。避妊、媚薬、鎮静及び駆虫活性を有することが報告されている[The Wealth of India−Raw Materials,pp.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。ブテア・スペルバの塊茎は、卵胞ホルモン剤と同様にエストロゲン性物質を含むことが判明している[Schoeller,W.,Dohrn,M.,Hohlweg.W.Naturwissenschaften 28,532−533,1940]。ブテア・スペルバの根は、若返り活性を示す[Pangsrivongse,K.Rev.Filipina Med.Farm.29,12−14,1938]。ブテア・スペルバの根皮は、アセチルコリンエステラーゼに対して65%の阻害活性を示す[Kornkanok,I.,Prapapan,T.,Kanchanaporn,C,Thitaree,Y.,Warawit,T.Journal of Ethnopharmacology 89,261−264,2003]。ブテア・スペルバの根皮の調製物は、男性における勃起障害の代替の漢方治療として用いられている[Cherdshewasart,W.,Nimsakul,N.Asian Journal of Andrology 5,243−246,2003]。ブテア・モノスペルマの樹皮(stem bark)は抗真菌活性を示し、活性な構成要素(−)−メジカルピンの存在による[Bandara,B.M.,Kumar,N.S.,Samaranayake,K.M.Journal of Ethnopharmacology 25,73−75,1989]。媚薬、駆虫、抗菌及び抗喘息特性を有することが報告されている[The Wealth of India−Raw Materials pp.341−346,1988,PID,CSIR,NewDelhi]。ブテア・スペルバの茎から単離したフラボノール配糖体は、抗微生物活性を示す[Yadava,R.N.,Reddy,K.I.Journal of Asian Nat.Prod.Res.1,139−145,1998]。
【0010】
ブテア・モノスペルマの葉は、ウサギにおいて眼球の抗炎症活性[Mengi,S.A.,Deshpande,S.G.Journal of Pharmacy and Pharmacology 47,997−1001,1995]及び強力な抗菌活性[Zaffar,R.,Singh,P.,Siddiqi,A.A.Indian J.Fores.12,328−329,1989]を示す。
【0011】
ブテア・モノスペルマの花からの抽出物は、肝障害の治療にインドでは使用され、2つの抗肝毒性フラボノイドであるイソブトリン及びブトリンは、該抽出物から単離されている[Wagner,H.,Geyer,B.,Fiebig,M.,Kiso,Y.,Hikino,H.Planta Medica 52,77−79,1986]。それは、トリテルペンの存在に起因して、抗痙攣活性を示す[Kasture,V.S.,Kasture,S.B.,Chopde,CT.Pharmacology,Biochemistry and Behavior 72,965−972,2002]。ブテア・モノスペルマの花のアルコール抽出物はまた、抗エストロゲン活性[Shah,K.G.,Baxi,A.J.,Shukla,VJ.,Dave,K.K.,De,S.,Ravishanker,B.Indian Journal of Pharmaceutical Sciences 52,272−5,1990;Laumas,K.R.,Uniyal,J.P.Indian Journal of Experimental Biology 4,246,1966]及び避妊活性[Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal of Physiology and Pharmacology 14,57−60,1970]を示すことが報告されている。その花から単離された部チンは、男性及び女性の避妊薬の可能性を示す[Bhargava,S.K.Fitoterapia 59,163−177,1988]。この植物の花はまた、ハンセン病、白帯下及び通風に効果的[The Wealth of India−Raw Materials pp.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。
【0012】
この植物の種子は、駆虫薬としてアーユルベーダ系で用いられる[Katti,M.C.T.,Manjunath,B.L.J.Indian Chem.Soc.6,839−845,1929;Raj,R.K.,Kurup,P.A.Indian Journal of Medical Research 56,1818−1825,1968;Prashanth D;Asha M.K.,Amit A.,Padmaja,R.Fitoterpia 72,421−422,2001;Jain,J.P.,Naqvi,S.M.A.J Res.Ayur Siddha 7,3−22,1986]。有意な抗排卵活性及び抗着床活性はまた、ラット及びウサギに与えられた場合、種子の熱アルコール抽出物において報告されている。この有効成分は、ブチンとして同定されている[Bhargava,S.K.Ethnopharmacology 18,95−101,1986]。ブチンはまた、男性の避妊特性を示す[Dixit,V.P.,Agrawal,M.,Bhargava,S.K.,Gupta,R.S.,Jain,G.C.lugoslavica Physiologies et Pharmacologics Acta 17,151−162,1981]。
【0013】
ブテア・フロンドサの種子抽出物の避妊効果は、マウスにおいて報告されている[Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal Physiology Pharmacology 14,57−60,1970,Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal Physiology Pharmacology 13,239−249,1969,Porwal,M.;Mehta,B.K.,Gupta,D.N.National Academy Science Letters(India)11,81−84,1988;Billore,K.V.,Audichya,K.C.J.Res.Ind.Med.Yoga and Homeo.13,105,1978]。赤血球凝集能は、ヒトの赤血球に対して活性を示すブテア・フロンドサの種子において報告されている[Bhalla,V.,Walter,H.Research Bulletin of the Panjab University,Science 48,87−94,1999;Wongkham,S.,Boonsiri,P.,Trisonthi,C,Simasathiansophon,S.,Wongkham,C,Atisook,K.Journal of Science Society of Thailand 21,27−36,1995]。
【0014】
ブテア・モノスペルマの種子から抽出したブテア・モノスペルマ凝集素(BMA)などのレクチンは、凝集特性に関与する[Ghosh,B.,Dasgupta,B.,Sircar,P.K.Indian Journal Biochemistry Biophysics 18,166−169,1981;Horejsi,V.,Ticha,M.,Novotny,J.,Kocourek,J.Biochimica et Biophysica Acta 623,439−448,1980]。ブテア・フロンドサの種子の石油エーテル抽出物は、ダイスデルクス・シミリス(Dysdercus similis)(F)[Kumar,B.,Haresh,T.S.S.Journal Animal Morphology Physiology 36,209−217,1989]に対する増殖制御活性[juvenile hormone(JH)]を示した。B.モノスペルマの種油は、インビトロの試験では有意な殺菌及び真菌殺傷効果を示す[Mehta,B.K.,Dubey,A., Bokadia,M.M.,Mehta,S.C.Aata Microbiologica Hungarica 30,75−77,1983;Porwal,M.,Sharma,S.,Metha,B.K.Fitoterapia 59,134−135,1988]。ブテア・スペルバ種子の石油エーテル抽出物は、駆虫活性及び降圧作用を示す[Siddiqui,H.H.,Inamdar,M.C.Indian Journal of Pharmacy 25,270−271,1963]。ブテア・モノスペルマガムはまた、慢性下痢の症例に有用であることが判明している。それは強力な収斂剤であり、また、ビリルビンレベルを減少させる[Rasheed,A.,Alam.M.Tufail,M.,Khan,F.Z.Hamdard Medicus 36,36−39,1993]。
【0015】
純粋化合物
種々の化合物ブテラ種から単離されている。ブテア・モノスペルマの根には、グルコース、グリシン、グリコシド(アグリコン)及び芳香族ヒドロキシ化合物が含まれる[Tandon,S.P.,Tiwari,K.P.Saxena,and V.K.Proceedings of the National Academy of Sciences,India,Section A:Physical Sciences 39,237−239,1969]。ブテア・スペルバの塊茎から、3,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラボン及び3,3’−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラボン−7−O−β−D−グルコピラノシドが単離されている[Roengsumran,S.,Petsom,A.,Ngamrojanavanich,N.,Rugsilp,T.,Sittiwicheanwong,P.,Khorphueng,P.,Cherdshewasart,W.,Chaichantipyuth,C.Journal of Scientific Research of Chulalongkorn University 25,169−176,2000]。
【0016】
ブテア・モノスペルマの茎からフラボノイド8−C−プレニルクエルセチン7,4’−ジ−O−メチル−3−O−α−L−ラムノピラノシル(1−4)−α−Lラムノピラノシドが単離されている[Yadav,R.N.,Singh,R.K.Journal of the Institution of Chemists (India)70,9−11,1998]。ブテア・モノスペルマの樹皮の石油及び酢酸エチル抽出物から単離した抗真菌化合物は、(−)−3−ヒドロキシ−9−メトキシプテロカルパン[(−)−メジカルピン]として単離されている。(−)−メジカルピン及びその酢酸塩は、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)に対して活性であった。その石油エーテル抽出物もまた、ルペノン、ルペオール及びシトステロールを得た。エーテル酢酸抽出物から単離したイソフラボンは、5−メトキシゲニステイン及びプルネチンであることが分かっている[Bandara,B.M.R.,Kumar,N.S.,Wimalasiri,K.M.S.Journal of the National Science Council of Sri Lanka 18,97−103,1990;Bandara B.M.R.,Kumar N.S.,Samaranayake K.M.Journal of Ethnopharmacology 25,73−75,1989]。
【0017】
スチグマステロール−3−α−L−アラビノピラノシドに加えて、ブテア・モノスペルマの茎から単離した4つの化合物は、3−メトキシ−8.9−メチレンジオキシプテロカルプ−6−エン、21−メチレン−22−ヒドロキシ−24−オキソオクタコサン酸Meエステル、4−ペンタコサニルフェノール及びペンタコサニル−β−D−グルコピラノシド[Shukla,Y.N.,Mishra,M.,Kumar,S.Indian Journal of Chemistry,Section B 41B, 1283−1285,2002]、スチグマステロール、スチグマステロール−β−D−グルコピラノシド、ノンアコサノン酸、3α−ヒドロキシエウフ−25−エン及び2,14−ジヒドロキシ−11,12−ジメチル−8−オキソ−オクタデク−11−エニルシクロヘキサンも単離された[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S.Phytochemistry 54,835−838,2000]。
【0018】
ロイコシアニジンの四量体は、−C−C−及び−C−O−C−連結を有するブテア・モノスペルマのガム及びバークから単離された[Seshadri,T.R.Trikha,R.K.Indian Journal of Chemistry 9,1201−1203,1971]。抗菌フラボノールグルコシドである3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシ−8−メトキシ−フラボノール−3−O−α−D−キシロピラノシル(1−2)−α−L−ラムノピラノシド[Yadava,R.N.,Reddy,K.I.S.Journal of Asian Natural Products Research 1,139−145,1998]及び3,7−ジヒドロキシ−8−メトキシフラボン7−O−α−L−ラムノピラノシドは、ブテア・スペルバの茎から単離した[Yadava,R.N.;Reddy,K.I.S.Fitoterapia 69,269−270,1998]。
【0019】
2つの化合物である3,9−ジメトキシプテロカルパン、及びトリテルペノイドエステル、3α−ヒドロキシエウフ−25−エニルヘプタコサノエートは、ブテア・モノスペルマの葉から単離された[Shukla,Y.N.,Mishra,M.,Kumar,S.Indian Journal of Chemistry,Section B 41B,881−883,2002]。
【0020】
いくつかのフラボノイド、ブテイン、ブチン、ブトリン、イソブトリン、イソブチン(isobutyine)、コレオプシン、イソコレオプシン、スルフレイン、モノスペルモシド、イソモノスペルモシド、パラシトリン、3’,4’7−トリヒドロキシフラボン[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S. Journal of Medicinal and Aromatic Plant Sciences 24,19−22,2002;Gupta,S.R.,Ravindranath,B.,Seshadri,T.R.Phytochemistry 9,2231−2235,1970;Puri,B.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 12B,462−466,1953;Puri,B.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 14B,1589−1592,1955]は、ブテア・モノスペルマ花から単離された。イソブトリン及びブトリンは、肝臓保護作用活性を示した[Wagner,H.,Geyer,B.,Fiebig,M.,Kiso,Y.,Hikino,H.Plants Medica 52,77−79,1986]。ブトリンはまた、ブテア・スペルバの花から単離された[Rao,V.S.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 8B,178−179,1949]。スチグマステロール−3−β−D−グルコピラノシド、γ−シトステロールグルコシド、シトステロール[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S.Journal of Medicinal and Aromatic Plant Sciences 24,19−22,2002;Murti,P.,Bhaskara R.,Seshadri,T.R.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A 20A,279−91,1944;Murti,P.,Bhaskara R.,Seshadri,T.R.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A(1941),13A,395−8]は、ブテア・モノスペルマの花から報告された。抗痙攣活性を示すトリテルペン(TBM)[Kasture,V.S.,Kasture,S.B.,Chopde,CT.Pharmacology,Biochemistry and Behavior 72,965−972,2002]及びトリテペングリコシド[Murti,P.B.R.,Seshadri,T.R.Proceedings Indian Academy of Sciences,Section A 20A1 279−291,1944]はまた、ブテア・モノスペルマの花から単離されている。ミリシルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキドン酸及びリグノセリン酸[Murti,P.Bhaskara,R.,Krishnaswamy,H.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A 12A 472−476,1940]、グルコース、フコース、ヒスチジン、アスパラギン酸、アラニン及びフェニルアラニンはまた、ブテア・フロンドサ花から単離された[Shah,K.C.,Baxi,A.J.,Dave,K.K.Indian Drugs 29,422−3,1992]。
【0021】
ブテア・モノスペルマの種子抽出物から、いくつかのフラボノイド、即ち、5,6,7,4’−テトラヒドロキシ−8−メトキシイソフラボン6−O−ラムノピラノシドが報告されている[Saxena,V.K.,Sharma,Devendra,N.Journal of the Institution of Chemists(India)70,218−220,1998]。種子から単離したブチンは、男性及び女性の避妊活性を示すことが報告されている[Bhargava,S.K.Journal of Ethnopharmacology 18,95−101,1986;Dixit,V.P.,Agrawal,M.,Bhargava,S.K.,Gupta,R.S.,Jain,G.C.lugoslavica Physiologica et Pharmacologica Acta 17,151−162,1981]。α−アミリン、β−シトステロール、β−シトステロール−β−D−グルコシド及びスクロースは、ブテア・フロンドサ種子から単離された[Chandra,S.,Lal,J.,Sabir.M.Indian Journal of Pharmacy 39,79−80,1977]。
【0022】
パラソニン、駆虫本質は、ブテア・フロンドサ種子から単離された[Kumar,D.,Mishra,S.K.,Tandon,S.K.,Tripathi,H.C.Indian Journal of Pharmacology 27,161−166,1995;Chandra,S.,Lal,J.,Sabir,M.Indian Journal of Pharmaceutical Sciences 40,97−98,1978;Raj,R.K.,Kurup,P.A.Indian Journal of Medical Research 56,1818−1825,1968]。モノスペルミン[Mehta,B.K.,Bokadia,M.M.Chemistry & Industry(London,U.K.)98,1981]及び酸アミド[Barua,A.K.,Chakrabarti,P.I.,Das,K.G.,Nair,M.S.B.Chemistry & Industry(London,U.K.)1376,1970]は、ブテア・モノスペルマの種子から単離された。イミドであるパラソニン−N−フェニルイミドは、ブテア・モノスペルマの鞘から単離された[Guha,P.K.,Poi,R.,Bhattacharyya,A.Phytochemistry 29,2017,1990]。
【0023】
1−カルボメトキシ−2−カルボミルヒドラジン[Sharma,S.,Batra,A.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 3OB,15−16,1991]、2−ヒドロキシ−ω−メチルアロファン酸[Porwal,M.,Sharma,S.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 27B,281−282,1988]、4−カルボメトキシ−3,6−ジオキソ−5−ヒドロ−1,2,4−トリアジン[Porwal,M.,Mehta,B.K.,Gupta,D.N.National Academy Science Letters(India)11,81−84,1988]は、ブテア・モノスペルマの種皮から単離された。脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、リノール酸及びリノレン酸は、ブテア・モノスペルマ種子から単離[Sengupta,A.,Basu,S.P.Journal of the American Oil Chemists Society 55,533−535,1978]。
【0024】
15−ヒドロキシペンタコサノン酸[Sharma,S.,Batra,A.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 30B,715−716,1991]、n−ヘネイコサン酸δ−ラクトン[Bishnoi,P.,Gupta,P.C.Planta Medica 35,286−288,1979]、及び10,16−ジヒドロキシヘキサデカン[Chatterjea,J.N.,Sengupta,S.C.,Misra,G.S.,Agarwal,S.C.Indian Journal of Chemistry,Section B 14B,719−721,1976]は、ブテア・モノスペルマの種子から単離された。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールは、ブテア・モノスペルマの種子の主要な成分として同定された[Prasad,R.B.N.,Rao,Y.N.,Rao,S.V.J.Am.Oil Chem.Soc.64,1424−1727,1987]。
【0025】
ブテア・モノスペルマの種子から単離したレクチンは、凝集活性を示す[Wongkham,S.,Boonsiri,P.,Trisonthi,C,Simasathiansophon,S.,Wongkham,C,Atisook,K.Journal of the Science Society of Thailand 21,27−36,1995;Ghosh,B.,Dasgupta,B.,Sircar,P.K.Indian Journal of Biochemistry & Biophysics 18,166−169,1981]。ブテア・パルビフロラの種油は、パルミチン酸、ステアリン酸、リグノセリン酸、オレイン酸及びリノール酸のグリセリドを提供する[Garg,S.K.Fette,Seifen,Anstrichmittel 73,437−438,1971]。
【0026】
4つの酸エステル、ジャラリック(jalaric)エステルI及びII、ラクシジャラリック(laccijalaric)エステルI及びII、アレウリチン酸及びアルデヒド酸は、ブテア・フロンドサのシードラックの軟性レジンから単離された[Singh,A.N.,Upadhye,A.B.,Mhaskar,V.V.,Dev,S.Tetrahedron 30,867−874,1974;Khurana,R.G.;Singh,A.N.,Upadhye,A.B.,Mhaskar,V.V.,Dev,S.Tetrahedron 26,4167−4175,1970;Madhav,R.,Seshadri,T.R.,Subramanian,G.B.V.Indian Journal of Chemistry 5,182−184,1967]。
【0027】
(+)−ロイコシアニジン、3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3,4−ジオール及びロイコアントシアニジン[Ganguli,A.K.,Seshadri,T.R.Tetrahedron 6,21−23,1959;Ganguli,A.K.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 17B,168,1958]、並びにリボフラビン及びチアミン[Broker,R.I;Bhat,J.V.Current Science 22,343,1953]は、ブテア・フロンドサガムから単離された。
【発明の開示】
【0028】
発明の実施
骨粗鬆症は、我々の高齢化社会における主要な課題の1つである。骨粗鬆症は、個体群の高齢者、特に閉経後の女性における骨折をもたらす。従来の薬物では、骨疾患を治療するための使用に可能性のある多くの天然の生薬がある。これまで、ブテア種の抗骨粗鬆症(骨形成)活性に関する文献としての報告はない。この植物の抗骨粗鬆症活性を研究することが考えられた。
【0029】
前述の検討から、理想的な薬理学的プロフィールを有し、新しい骨形成を促進する、植物起源の薬物を発見及び開発する緊急な必要性があるように思われる。ブテア・モノスペルマは、このような活性を研究するための適切なケースであり、実験は、それが、骨の形成活性を促進することを有することを示す。
【0030】
したがって、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物であって、好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群、特に
a)骨粗鬆症、骨喪失、骨形成;
b)II型/年齢に関連した/老年性骨粗鬆症である骨形成、より高いピークの骨量、骨折治癒、欠損した骨の置換のためにインビトロ/インビボでの新骨形成の促進を達成するための発生及び成長の期間の骨形成;
d)エストロゲンに関連した疾患又は症候群、好ましくは哺乳動物におけるエストロゲン欠乏状態によって引き起こされる疾患又は症候群;
e)心臓血管系作用、より具体的には高脂質血症、血栓性及び血管運動系;
f)脳梗塞、老年性認知症−アルツハイマー型及びパーキンソン病などの神経変性作用;
g)顔面紅潮、泌尿生殖萎縮、うつ病、躁病、統合失調症等を含む更年期症候群、尿失禁、月経困難症の軽減、機能不全性子宮出血の軽減、卵巣発育の補助、座瘡及び多毛の処理;
h)前立腺癌、乳癌、子宮癌、頸部癌及び結腸癌などの癌;
i)ヒト及び他の動物における受精能力の調節又は制御;
j)切迫流産又は習慣流産の予防によける使用のため;
k)産後の授乳の抑制;
l)肥満、うつ病などの生理学的な障害
の予防又は治療におけるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群の関連した種々の医学的兆候の予防又は治療に有用であるものを提供する。
【0031】
本発明は、さらに、医薬として活性な抽出物、画分、サブ画分の調製、純粋な化合物の単離の方法、それらの医薬として許容される塩及び本発明の主要な局面の組成物に関する。
【0032】
発明の概要
したがって、本発明は、骨障害の予防又は治療のために医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、治療的に有効量の、ブテア(Butea)種から得られる抽出物若しくは画分あるいはブテア種若しくは他の天然資源から単離されるか又は合成される式1:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ基である)
で表される化合物を単独又は1〜10の範囲の比率でいずれかの組合せにより含み、場合により医薬として許容される賦形剤を伴う。
【0033】
本発明の態様では、前記化合物は、式K051、K052、K054、K080、K082、K095:
【化2】
によって表される化合物からなる群から選択される。
【0034】
別の態様では、前記化合物は、単独又は割合、モル濃度若しくはパーセント収率に基づく1〜10の範囲の比率の組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0035】
別の態様では、化合物K051及びK052は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0036】
別の態様では、化合物K051、K052及びK095は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0037】
別の態様では、化合物K054及びK080は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0038】
別の態様では、化合物K051、K052及びK080は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0039】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0040】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0041】
別の態様では、単独又は組合せて使用される各化合物の濃度は、好ましくは0.1μMである(図11〜15、表10〜11)。
【0042】
別の態様では、使用される医薬的な希釈剤は、単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される。
【0043】
別の態様では、使用される医薬的な賦形剤は下記から選択される:
a)単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される希釈剤;
b)単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される結合剤;
c)単独又は適切な組合せで、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される崩壊剤;
d)単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される潤滑剤;
e)単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される流動促進剤;
【0044】
f)単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される甘味剤;
g)単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される香味剤;
h)単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される湿潤剤;
i)単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される吸収剤;及び
j)単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は他の医薬として許容されるフレイバーから選択される溶液緩染剤。
【0045】
別の態様では、組成物の有効服用量は、0.1〜5000mg/kg体重、好ましくは1mg〜500mg/kg体重の範囲であり、毎日、週に2回、毎週又はより多く分割した服用量である。
【0046】
別の態様では、前記組成物は、骨障害の予防又は治療に有用であり、骨粗鬆症、骨喪失、骨形成、骨折治癒、成長期に投与された場合のより高いピークの骨量の到達、及びインビトロ/インビボでの新骨形成の促進によって引き起こされるいずれかの疾患及び症候群が含まれる。
【0047】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、24時間及び48時間の間隔で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照の骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示した(図1)。
【0048】
別の態様では、β−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性の28%増加と比較して58%のより高い全アルカリホスファターゼ活性を示す樹皮のエタノール抽出物は骨を治療した(表1)。
【0049】
別の態様では、該樹皮のエタノール抽出物は、0.05%と0.1%の濃度で、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導し、ここで、生存細胞の割合は、ビヒクル対照グループを100%として比較するとそれぞれ330%及び361%である(表2)。
【0050】
しかしながら、別の態様では、その骨発生(osteogenic)濃度(0.05%及び0.1%)での樹皮のエタノール抽出物は、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株におけるいずれかの増殖効果を示さない(図2)。
【0051】
別の態様では、前記抽出物の骨芽細胞特異的な増殖効果は、子宮内膜及び乳房レベルで該抽出物の任意のエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示す。
【0052】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲン−1(骨芽細胞の増殖及び分化のマーカー)の発現において2.5倍を超える増加を示す(図3)。
【0053】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加を示す(図4)。
【0054】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現における処理の効果を示さない(図3及び4)。
【0055】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、インビトロで鉱化の比率を増加させ、ここで、アリザリンレッド染色のより高い強度は、対応するビヒクル対照と比較して、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新しいカルシウムの沈着増加を示す(図5)。
【0056】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、0.1%の濃度で、それ自体で処理される対応するβ−グリセロリン酸ナトリウム又はビヒクル対照培養物と比較して、インビトロで7日間培養した骨芽細胞における鉱化の比率の増加を示す(図6)。
【0057】
別の態様では、15日及び25日間、樹皮のエタノール抽出物で処理した骨芽細胞の培養物における鉱化した小塊の発生率の増加は、新骨形成の速度増加を示す(図7)。
【0058】
別の態様では、アリザリン染色のより高い強度が、18日及び30日間、樹皮のエタノール抽出物の存在下で、無菌のウシの骨スライス上で長期間培養した骨芽細胞において、新骨形成の速度増加を示していることは明らかである(図8)。
【0059】
別の態様では、有効な骨形成濃度を採用する樹皮のエタノール抽出物は、トリ胎児骨培養アッセイにおいて、0.5以下のT/C比によって明らかにされる骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)。
【0060】
別の態様では、有効な骨形成濃度を採用又は投与するエタノール抽出物は、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下で、0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/Cの培養中のトリ胎児骨からの45CaのPTH誘導の再吸収を阻害しなかった(表4)。
【0061】
別の態様では、連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与におけるエタノール抽出物は、対応するビヒクル対照グループと比較して、未成熟の雌性スプラギュー・ドーリー(Spraque−Dawly)ラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域の骨ミネラル密度(BMD)を顕著に増加させた(5%〜65%)(表5)。
【0062】
別の態様では、前記抽出物で処理した未成熟ラットの骨は、TK252Cムロマチ(Muromachi)骨強度テスターを用いて、第3腰椎の骨折及び圧迫のための3点曲げを使用した大腿骨を破壊するために必要とされるより大きな力によって明らかにされるようにより高い機械的強度も示す(表6)。
【0063】
別の態様では、連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与におけるエタノール抽出物は、カルシウム探索薬物である、処理初期時のテトラサイクリン及び処理終結時のカルセインの投与を伴う二重ラベリング技術、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルターでのカルセインの視覚化によって明らかにされるように新骨形成を顕著に増加させた(図9)。
【0064】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、卵巣切除した未成熟ラットにおいて3日間、及び無傷の未成熟ラットにおいて30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で投与されると、子宮レベルでいずれかのエストロゲンアゴニスト作用を欠損する。
【0065】
別の態様では、未成熟ラットにおける体重及び子宮重量の年齢に関連した増加率に対する樹皮のエタノール抽出物の効果がない(表7及び8)。
【0066】
別の態様では、種子のエタノール抽出物を含む組成物が、エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものと比較して、未成熟ラットのバイオアッセイにおける子宮の生重量の顕著な増加(433%)によって明らかにされるように強力なエストロゲンアゴニスト活性を示した(表8)。
【0067】
別の態様では、卵巣切除した未成熟ラットへの連続3日間投与した1000mg/kgの毎日の服用量で樹皮のエタノール抽出物は、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用量で観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール(0.01mg/kg/日)誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じた(表9)。
【0068】
別の態様では、ブテア種は、ブテア・モノスペルマ(Butea monosperma)、ブテア・パルビフロラ(Butea parviflora)、ブテア・ミノル(Butea minor)及びブテア・スペルバ(Butea superba)からなる群から選択され、好ましくはブテア・モノスペルマである。
【0069】
別の態様では、ブテア・モノスペルマから使用される植物部分が、樹皮、枝、葉、花、種子からなる群から選択され、好ましくは樹皮である。
【0070】
別の態様では、生理活性抽出物/画分は、アルコール抽出物、クロロホルム可溶性画分、n−ブタノール可溶性画分からなる群から選択される(図1〜10;表1〜9)。
【0071】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性及びクロロホルム可溶性画分は、48時間で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色において高い強度を示した(図10)。
【0072】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、対応するビヒクル対照グループと比較して、プラスチック・カバースリップ(直径6mm)上に播種され、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で48時間インキュベートされた骨芽細胞において、アルカリホスファターゼ(骨芽細胞の分化マーカー)の発現を増加させた(図11、表10)。
【0073】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、MTTアッセイにおいてビヒクル対照群と比較して、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で24時間後の骨芽細胞の細胞増殖を増大する(図12、表11)。
【0074】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、7日間培養した骨芽細胞において、新生カルシウムの沈着の増加によって明らかにされ、アリザリン抽出法によって定量された(図13)。
【0075】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095を単独又は組み合わせて用いて、15日間、96ウェルプレートにおいて無菌のウシの骨スライス上で培養した骨芽細胞において新骨形成の比率増加を示すアリザリンレッド染色の強度を増加させた(図14及び15)。
【0076】
本発明は、さらに、請求項1に記載されるブテア種からの生物活性画分を調製する方法を提供し、該方法は下記を含む:
a)アルコール溶媒中に粉末の植物部分を浸し、慣習的な方法によって溶媒を除去及び濃縮して、アルコール抽出物を得ること;
b)工程(a)から得られたアルコール抽出物をヘキサンで粉砕し、ヘキサン可溶性画分及びヘキサン不溶性画分を得ること;
c)ヘキサン不溶性画分をクロロホルムで粉砕し、クロロホルム可溶性画分及びクロロホルム不溶性画分を得ること;
d)クロロホルム可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K084、K090、K095、K103、K105、K113、K115を得ること;
e)クロロホルム不溶性画分をn−ブタノール及び水で分割し、n−ブタノール可溶性画分及び水性画分を得ること;
f)n−ブタノール可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K010、K039、K040、K051、K052、K053,K054、K064、K080、K082、K098、K111を得ること。
【0077】
別の態様では、抽出に使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール又はそれらの適切な混合物からなる群から選択される。
【0078】
別の態様では、化合物の単離に用いられるクロマトグラフィー法は、カラム、フラッシュ、中圧及びHPLCから選択される。
【0079】
別の態様では、前記化合物は、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等からなる医薬として許容される塩に転換することができる。
【0080】
別の態様では、前記方法は、場合により医薬として許容される賦形剤とともに、前述される医薬組成物を必要とする被験者に投与する工程を含む。
【0081】
別の態様では、前記組成物は、経口、経皮、筋内、腹腔内、静脈、局所から選択される経路によって投与される。
【0082】
別の態様では、前記組成物は、1〜5000mg/kg体重の範囲の服用量で使用される。
【0083】
別の態様では、前記組成物は、錠剤、シロップ、粉末、カプセル、懸濁液、溶液、軟膏、混合物の形態で使用される。
【0084】
主要な態様に従って、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、並びに好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群の予防又は治療においてエストロゲンに依存しないか若しくは依存した疾患又は症候群と関連した種々の医薬兆候の予防又は治療に有用である。
【0085】
重要な態様では、本発明は、治療的に有効量の新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びその組合せを、単独で、混合形態で、あるいは医薬として活性な若しくは不活性な薬剤又は1以上の医薬として許容される担体若しくは賦形剤の組合せて含む医薬組成物を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、及びこれら若しくは他の天然資源から単離された又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、並びにそれらの訴を採用する医学的方法、並びに哺乳動物及び動物においてエストロゲンに依存した又は独立した状態、特に骨粗鬆症、骨喪失、骨形成及び心臓血管系作用の予防又は治療のためにこのような薬剤を使用する方法を提供する。
【0087】
本発明の医学的方法の別の態様では、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びこれら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びその組成物は、エストロゲンに依存した又はエストロゲンに独立した癌の予防又は治療に用いられる。医学的方法のさらに別の代替の態様では、本発明の新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物は、ヒト及び他の動物における多産の調節又は制御を含む内因性エストロゲンに対する異常な生理学的応答と関連した疾患状態又は障害の予防又は治療において用いられる。
【0088】
発明の説明
本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びこれら若しくは他の天然資源から単離された若しくは合成された純粋な化合物、並びにヒト及び/又は動物において引き起こされるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群と関連した種々の医学的兆候の症状の予防又は治療のためにこのような薬剤を使用する方法を提供する。
【0089】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用されるとき、Bergeら(J.Pharmaceutical Sciences,66(1).1−19,1977)による記事に開示されている種類の塩を示す。適切な医薬として許容される塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸等によって形成される塩、並びに有機酸、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸から誘導される塩が含まれる。このような医薬として許容される酸付加塩には、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等が含まれる。最も好ましい塩は、フマル酸塩又はアスコルビン酸塩又は塩酸塩である。
【0090】
本発明の薬物の「医薬として許容される組成物」なる用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用されるとき、当該技術分野において知られている医薬として許容される賦形剤を用いて当該技術分野において知られている手法によって調製されてもよい。
【0091】
本明細書中に言及されている障害又は疾患状態を予防又は治療する方法は、このような治療を必要とする個々のヒト若しくは任意の他の哺乳動物又は任意の他の動物に、治療的に有効な量の1以上の本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物を1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等と一緒に投与することを含む。
【0092】
本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等の用量・用法及び投与様式は、本明細書に記載されている障害又は疾患状態の種類に従って変更し、関与する医師の判断に任せられる。
【0093】
本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等は、0.1mg〜5000mgの範囲の服用量、より好ましくは0.5〜1000mgの範囲の服用量、又はさらにより好ましくは1mg〜5000mgの範囲の服用量で、週に1回又は週に2回又は毎日又は1日2回又は1日3回又はさらにより分割した服用回数で効果的に投与されてもよい。
【0094】
治療的に有効な量の本発明の薬物又はその医薬として許容される組成物は、ゼラチンカプセルに封入されるか又は錠剤若しくはカプセルに圧搾されてもよく、あるいはロゼンジ、シクロデキストリン誘導体との封入複合体、注射可能なデポ調合物、エアロゾル、顆粒、粉末、経口液体、粘膜付着調合物、ゲル調合物、トローチ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース、リポソーム送達システム、インプラント、坐剤、ペッサリー、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ミクロ粒子、ナノ粒子、放出制御送達システム、経皮送達システム、標的化送達システム、例えばモノクローナル抗体又は他の適切な担体部分との結合体の形態で調合されてもよい。
【0095】
このような薬剤は、任意の適切な経路、例えば経口、全身、局部又は局所送達、例えば静脈、動脈、粘膜、皮下、腹腔、皮内、口腔、鼻内、吸入、膣、直腸、経皮によって投与されてもよく、あるいは本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等の従来の送達、制御送達又は標的送達を達成するために任意の従来の液体又は固体における任意の他の手段によって投与されてもよい。
【0096】
本発明の薬物若しくはその医薬として許容される塩又はその医薬として許容される組成物の投与の好ましい様式は経口である。
【0097】
経口組成物は、一般に、本発明の薬物又は医薬として許容される組成物及び1以上の医薬として許容される賦形剤から構成される。
【0098】
経口組成物、例えば錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒等は、下記の医薬として許容される賦形剤のいずれかを含んでもよい:
1.単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分などの希釈剤;
2.単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分などの結合剤;
3.単独又は適切な組合せで、寒天、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分などの崩壊剤;
4.単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分などの潤滑剤;
5.単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分などの流動促進剤;
【0099】
6.単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分などの甘味剤;
7.単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの香味剤;
8.単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの湿潤剤;
9.単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの吸収剤;
10.単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの溶液緩染剤。
【0100】
抽出物及び画分を調製するための試験手順
ブテア・モノスペルマの樹皮
エタノールを用いた抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした樹皮(5.5kg)をエタノール(25L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で約16時間(一晩)放置した。パーコレイトを回収した。この抽出プロセスは、4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した;得られた抽出物の重量は380g(6.90%、C003)であった。
【0101】
エタノール抽出物の分割
エタノール抽出物(300g)をヘキサン(500ml×15)で粉砕した。次に、ヘキサン可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたヘキサン画分の重量は15.5g(0.28%、F004)であった。次いで、ヘキサンで粉砕した後に得られた残渣をクロロホルム(400ml×10)で粉砕した。その後、クロロホルム可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたクロロホルム画分の重量は15g(0.27%、F005)であった。ヘキサン及びクロロホルムによる連続抽出後に得られた残渣は、分液漏斗中の水(800ml)に懸濁させ、水で飽和したn−ブタノール(300ml×14)で抽出し、その後、減圧下、45℃で濃縮した。得られたn−ブタノール画分の重量は124.0g(2.25%、F006)であった。水溶性画分は、ロータベーパ(rotavapor)を用いて真空下、45℃で濃縮し、得られた水溶性画分の重量は206.50g(3.75%、F007)であった。
【0102】
エタノール抽出物(300g)をヘキサン(500ml×15)で粉砕した。次に、ヘキサン可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたヘキサン画分の重量は15.5g(0.28%、F004)であった。次いで、ヘキサンで粉砕した後に得られた残渣をクロロホルム(400ml×10)で粉砕した。その後、クロロホルム可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたクロロホルム画分の重量は15g(0.27%、F005)であった。ヘキサン及びクロロホルムによる連続抽出後に得られた残渣は、分液漏斗中の水(800ml)に懸濁させ、水で飽和したn−ブタノール(300ml×14)で抽出し、その後、減圧下、45℃で濃縮した。得られたn−ブタノール画分の重量は124.0g(2.25%、F006)であった。水溶性画分は、ロータベーパ(rotavapor)を用いて真空下、45℃で濃縮し、得られた水溶性画分の重量は206.50g(3.75%、F007)であった。
【0103】
【化3】
【0104】
ブテア・モノスペルマの枝
エタノールによる抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした枝(1.0kg)をエタノール(2.0L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は132.0g(1.32%、A001)であった。
【0105】
ブテア・モノスペルマの葉
エタノールによる抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした葉(13.0kg)をエタノール(20L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は1300g(10%、C007)であった。
【0106】
ブテア・モノスペルマの花
エタノール抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした花(3.0kg)をエタノール(15L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は430g(14.33%)であった。
【0107】
ブテア・モノスペルマの種子
エタノール抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした種子(10.0kg)をエタノール(14L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は1.75kg(17.5%)であった。
【0108】
ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物の画分由来の化合物の単離のための試験手順
クロロホルム可溶性画分(F005)
クロロホルム可溶性画分(F005、15.0g)のカラムクロマトグラフィーを繰り返して、7個の化合物、K084、K090、K095、K103、K105、K113及びK115を得た。これらの化合物は、詳細なスペクトル試験から特徴付けられた。これらの化合物は、文献に知られている:
1.K084(2−メチル,7−アセチルオキシ,4’−メトキシイソフラボン)の物理的及びスペクトルデータ
【0109】
【化4】
【0110】
2.K090(ドコサン酸)の物理的及びスペクトルデータ
【0111】
【化5】
【0112】
3.K095(3−ヒドロキシ−9−メトキシプテロカルパン、通常、メジカルピン(medicarpin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0113】
【化6】
【0114】
4.K103(3−メトキシ−8,9−メチレンジオキシクメスタン、通常、フレムミクハッパリン(flemmichapparin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0115】
【化7】
【0116】
5.K105(3−メトキシ−8,9−メチレンジオキシ−6a,11a−デヒドロプテオカルパン)の物理的及びスペクトルデータ
【0117】
【化8】
【0118】
6.K113(ルペオノン(lepeonone)(ルプ−20(29)−エン−3−オン))物理的及びスペクトルデータ
【0119】
【化9】
【0120】
7.K115(ルペオール(lupeol)(ルプ−20(29)−エン3□−オール))の物理的及びスペクトルデータ
【0121】
【化10】
【0122】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性画分(F005)由来の化合物の単離のための試験手順
n−ブタノール可溶性画分(100.0g)のカラムクロマトグラフィーを繰り返して、12個の化合物、K010、K039、K040、K051、K052、K053、K054、K064、K080、K082、K098及びK111を得た。これらの化合物は、詳細なスペクトル試験から特徴付けられた。これらの化合物は、文献に知られている:
【0123】
8.K010(ペンタコサン酸2,3−ジヒドロキシ−プロピルエステル)の物理的及びスペクトルデータ
【0124】
【化11】
【0125】
9.K039(2’−ヒドロキシゲニステイン)の物理的及びスペクトルデータ
【0126】
【化12】
【0127】
10.K040(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン、通常、ダイドゼイン(daidzein)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0128】
【化13】
【0129】
11.K051(2’,4’,5−トリヒドロキシ−7−メトキシイソフラボン、通常、カジャニン(cajanin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0130】
【化14】
【0131】
12.K052(4’−ヒドロキシ,7−メトキシ−イソフラボン、通常、イソホルモネンチン(isoformonentin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0132】
【化15】
【0133】
13.K053(4’,5,7−トリヒドロキシイソフラボン、通常、ゲニステインとして知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0134】
【化16】
【0135】
14.K054(7,3’−ジヒドロキシ−4’−メトキシイソフラボン、通常、カリコシン(calycosin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0136】
【化17】
【0137】
15.K064(ノナコサン酸2’,3’−ジヒドロキシ−プロピルエステル)の物理的及びスペクトルデータ
【0138】
【化18】
【0139】
16.K080(7−ヒドロキシ,4’−メトキシ−イソフラボン、通常、ホルモネンチンとして知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0140】
【化19】
【0141】
17.K082(2−メチル,7−ヒドロキシ,4’−メトキシイソフラボン)の物理的及びスペクトルデータ
【0142】
【化20】
【0143】
18.K098(4’,5−ジヒドロキシ,7−メトキシイソフラボン、通常、プルネチン(prunetin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0144】
【化21】
【0145】
19.K111(ホルモネンチン(formonentin)7−O−β−D−グリコピラノシド、通常、オノニン(ononin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0146】
【化22】
【0147】
生物学的評価
本発明の植物抽出物/画分/サブ画分/純粋な化合物は、骨発生又は骨形成の増加、動物におけるエストロゲン欠乏又は喪失状態を含むエストロゲン欠損又は喪失の症状、特に、ヒト及び他の動物における骨粗鬆症、骨形成、骨喪失の予防又は治療のための使用に関して評価された。本発明の樹皮のエタノール抽出物及びその画分並びに単離された化合物のための詳細な手順は後述される。予備的な評価では、枝、葉、花及び種子のエタノール抽出物は、不活性であることが判明したか、又は低いオーダーの活性を示し、したがって、続けなかった。さらに、種子のエタノール抽出物は、強力なエストロゲンアゴニスト活性を示した。しかしながら、下記の実施例に例示される活性試験は、本発明の範囲を制限するように構成されていない。
【0148】
骨発生又は骨形成活性の測定のための試験手順
本発明の試験抽出物の試験溶液は、0.001%〜1%の濃度範囲、最も好ましくは0.1%の濃度で適切な溶媒に調製される。3〜5μlの各濃度は、インビトロで形成する骨の評価のために用いられる。対照実験では、等量の適切な溶媒が試験薬物の代わりに用いられる。
【0149】
骨芽細胞培養
骨芽細胞は、多能性間葉細胞の幹細胞から生じる。培養中、骨芽細胞は、段階特異的な遺伝子の発現を伴う主要な3つの段階を受ける。
・増殖&分化:1〜12日
アルカリホスファターゼ、コラーゲン−I、オステリックス、cbfa1
・細胞外マトリックス成熟:12〜18日
オステオカルシン、オステオポンチン、フィブロネクチン
・鉱化:14〜35日
石灰化(小塊形成)
【0150】
新生児マウスの頭蓋冠細胞培養物は、僅かに変更を加えて、前述(Endocrinology 139:4743)のように調製される。簡単には、初代骨芽細胞培養に関して、Balb/cマウス新生児(1〜3日齢)からの前頭骨及び頭頂骨は、α−MEM中の0.1%コラゲナーゼ/0.1%ディスパーゼにおいて消化させ、5つの連続した消化物を得る。5個の消化物の2番目を合わせ、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液及びピルビン酸ナトリウムを補足したα−MEM中で、37℃、空気中5%のCO2でコンフルエントになるまで増殖させる。薬物の鉱化は、下記の試験を用いて分析した:
【0151】
a)骨芽細胞の増殖及び分化
アルカリホスファターゼ活性の発現
培養した骨芽細胞において
プラスチックのカバースリップ(直径6mm)上に播種した細胞(約104細胞)を薬物の有無で24時間及び48時間インキュベートし、ホルマリンで固定した。ホスファターゼ活性(ALP)活性は、ALP基質溶液(0.1M TBS、pH9.5の24ml中、5mgナフトールAS−MXリン酸塩、0.25mlエチレングリコールモノメチルエステル、10mgファースト(Fast)レッドTR)とともに1時間室温でインキュベートすることによって表示させる。
【0152】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で培養した細胞は、両時間間隔で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照培養物と比較した場合、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示した(図1)。
【0153】
培養したラット胎児骨において
19日齢のラット胎児の長骨を単離し、100μMグリセロリン酸塩及び/又は本発明の抽出物の存在下で、48時間、BGJb培地中で培養し、次に、0.1% Triton−100を含む50mM Tris(pH7.5)の9容積中でホモジナイズされる。ホモジネートを5000rpm、10分間、4℃で遠心分離される。上清を酵素溶液として用いる。アルカリホスファターゼの活性は、ALPキット(Roche,ドイツ)及びp−ニトロフェノールホスフェートを基質として用いて測定される。
【0154】
全体のアルカリホスフェート活性は、骨を処理したβ−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性におけるたった28%増加と比較すると、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で58%に高くなることが判明した(表1)。
【0155】
【表1】
【0156】
細胞増殖についてのMTTアッセイ
初代骨芽細胞の細胞培養
MTTアッセイは、細胞増殖を評価するために通常用いられているアッセイであり、そこでは、テトラゾリウム塩は、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によってホルマゾン結晶に還元され、次にDMSOに溶解させる。代謝的に活性な細胞数が増すと、形成されるホルマゾン結晶が多くなる。簡単には、骨芽細胞は、96ウェルプレート中で、10%FCS及び1%抗生物質溶液を補足されたα−MEM培地中に維持される。細胞が40%コンフルエントに達したとき、2%FCSを補足された培地中で薬物の有無において24時間処理される。24時間後、MTT塩が細胞に添加される。4時間後、形成されるホルマゾン結晶をDMSOに溶解し、570nmの波長で読み取りを行う。
【0157】
0.05(330%)及び0.1(361%)濃度での抽出物は、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導した(表2)。
【0158】
【表2】
【0159】
イシカワ及びMCF−7細胞株
しかしながら、骨発生濃度(0.05%及び0.1%)の抽出物は、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)及びMCF−7(ヒト乳癌)細胞株には何ら増殖効果は示さなかった。対照的に、エストラジオール−17β(10nM及び1μM)は、MCF−7及びイシカワ細胞の両方の増殖において顕著な増加を誘導し、ラロキシフェン(10nM及び1μM)の場合では、増殖増加はイシカワ細胞株にだけ観察され、子宮/子宮内膜レベルでのその報告されているエストロゲン性作用を確認した(図2)。抽出物による骨芽細胞の増殖効果を示唆しながら、これらの知見は、子宮内膜及び乳房レベルでの抽出物のいずれかのエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示し、したがって、ERT/HRT関連の健康被害を欠いているべきである。
【0160】
コラーゲン−Iの発現
コラーゲン−I(骨芽細胞の増殖及び分化の指標)の発現における2.5倍を超える増加もまた、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kgの経口服用後の72時間で21日齢のラットの頭蓋冠に明らかになった。ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHに対する処理の効果はなかった(図3)。
【0161】
b)細胞外マトリックス成熟段階
オステオカルシンの発現
これは、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加と関連した(図4)。
【0162】
c)鉱化
骨芽細胞のアリザリンレッド染色
細胞は、96ウェルプレート中のプラスチックのカバースリップ(6mm、Thermanox,Nunc,米国)上に播種し、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培養液で処理される。24時間及び48時間後、細胞培養物を冷却したPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノールで1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)で30分間染色し、次に、PBS中で洗浄して、過剰の染料を除去する。
【0163】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物は、より高い強度のアリザリンレッド染色を示し、これは、対応するビヒクル対照に比べて、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新生カルシウムの沈着増加を示し、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下、インビトロでの鉱化の増加率を表す(図5)。
【0164】
von Kossa銀染色:インビトロでのカルシウム沈着検出
プラスチックのカバースリップ上の播種した細胞は、最終濃度0.1%でブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の有無で7日間培養され、von Kossa銀染色で染色した。ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物は、対照とするβ−グリセロリン酸ナトリウムそのもので処理されたか又はビヒクル対照培養物と比較して、より高い強度の染色及び細胞増殖を示し、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下、インビトロでの鉱化の増殖率を表す(図6)。
【0165】
骨小塊形成アッセイ
von Kossa銀染色
細胞を96ウェルプレート中でプラスチックのカバースリップ(6mm、Thermanox、Nunc、米国)上に播種され、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培地を用いて処理された。培地は、隔日ごとに取り替えた。培養の終結時に、細胞をPBSで2回洗浄し、リン酸バッファーホルマリン中で10分間固定し、水で1回洗浄し、70% 95%及び100%エタノール(各2回)で連続して脱水し、空気乾燥させる。次に、プレートは、水に対して100%、95%、80%で再水和される。硝酸銀(2%溶液)を添加し、プレートを日光に30分間晒し、その後、水でリンスする。チオ硫酸ナトリウム(5%)を添加し、3分間、プレートを水中でリンスする。
【0166】
15日及び25日間、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物中に鉱化した小塊の増加兆候が見られ、新しい骨形成の比率の増加を示す(図7)。
【0167】
アリザリンレッド染色
細胞を96ウェルプレート中で無菌の骨スライス上に播種され、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培地を用いて処理される。培地は、隔日ごとに取り替えた。培養の終結時に、細胞をPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノールで1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)で30分間染色し、次に、PBS中で洗浄して過剰な染料を取り除く。より高い強度の色が、抽出物の存在下、培養物中で認められ、新骨形成の比率の増加を示す(図8)。
【0168】
ニワトリ退治骨培養アッセイ
Raisz(Nature 197:1015−1016,1963)の方法を僅かに変更して採用した。大腿骨は、11日後の排卵にニワトリ胚から単離し、実体顕微鏡でドライWhatman(I)フィルターペーパー上で各骨を注意深く回転させることによって付着している結合組織を取り除く。次に、各大腿骨は、ペニシリン(0.075mg/ml)、ストレプトマイシン(0.05mg/ml)、HEPES(2.382mg/ml)及びBSA(1mg/ml)を補足したBGJb培地(pH7.3)中で培養する前に1滴のPBSに置き、45CaCl2(0.5μCi/300μl培地)を含むBGJb培地に移し、2時間37℃で、空気中5%CO2下でインキュベートされる。その後、標識した大腿骨は、24時間37℃で、空気中5%CO2下でBGJb培地で洗浄される。培地のアリコートは、最初の24時間、骨から培地に放出された45Caの測定のために取り出される。次に、標識した骨は、副甲状腺ホルモン(0.4μM)を含むBGJb培地に移し、BGJb培地中の薬物又はビヒクルの有無において96時間追跡培養される。適切な溶媒は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸バッファー、エタノール、DMSO(最終濃度0.1%)のような溶媒を単独で又はそれらの適切な組合せから選択される。
【0169】
各胎児の反対側の大腿を対応する対照として用いる。各ウェル中でそれぞれ処理された培地を48時間後に取り替える。培地のアリコートは、処理の24、48及び96時間で骨から培地に放出された45Caの測定について取り出された。96時間で培養を終了し、骨を0.1N HClに24時間移す。培養の24、48及び96時間で回収した使用済みの培地及び培養96時間でのHCl抽出物における45Caによる放射活性は、シンチレーション液(ACS IIシンチレーションカクテル、Amersham Biosciences,英国)の10ml中においてLiquid Scintillation Spectrophotometerによって定量される。この試験手順は、骨形成並びに薬物の抗再吸収活性を測定するために用いられた。
【0170】
骨形成活性
骨形成活性は、下記の式:
骨形成活性(cpm)=A×(A/B)1/2×45Caとの24時間インキュベーション中に骨に取り込まれた全放射活性
によって表現され、ここで、全放射活性は、最初の24時間のインキュベーション中に培地に放出された45Ca+24〜96時間のインキュベーション中に培地に放出された45Ca+大腿に残存している45Caを意味する。A及びBは、それぞれ培養の24及び96時間での骨に残存している45Caの割合である。
【0171】
上記の試験手順に従って、その効果的な骨発生濃度を採用している抽出物は、≦0.5のT/C比によって明らかなように骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)。単一に近いT/C比は、何れかの骨形成活性の欠損を示す。骨発生剤である副甲状腺ホルモン(PTH;アミノ酸1−34)は、正の対照として採用した。上記の試験手順における活性は、本発明の抽出物が骨形成の速度の減少によって引き起こされる骨粗鬆症の治療及び骨折治癒のための骨形成剤として有用である。
【0172】
【表3】
【0173】
骨の抗再吸収活性
骨の抗再吸収活性は、培地中に放出された45Caの割合として表され、本発明の薬物の効果は、対応する反対側の対照の割合又は下記に示されるT/C比として表される。既知の抗再吸収剤であるラロキシフェン及びエストラジオール−17βは、正の対照として用いられた。単一に近いT/C比は、任意の再吸収活性の欠損を示す。
T/C比=(PTH+試験薬物の存在下での45Ca再吸収)/(PTH+ビヒクルの存在下での45Ca再吸収)
【0174】
上記の試験手順に従って、効果的な骨発生の濃度を採用又は投与した場合の本発明の抽出物は、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下での0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/Cである培養中のニワトリ胎児骨からのPTH誘導の45Caの再吸収を阻害しなかった(表4)。
【0175】
【表4】
【0176】
インビボでの骨発生活性
21日齢の未成熟雌性Sprague−Dawleyラットを無作為に選び、30日間連続して経口経路で、抽出物又はビヒクル(蒸留水中のアカシアゴム)の1000mg/kgの毎日の服用によって処理した。骨形成の評価に関しては、骨ミネラル密度(BMD)測定、機械強度及びヒストモルホメトリーによって行った。動物を31日で解剖し、腰椎、大腿及び脛骨を単離し、洗浄し、生理食塩水中の70%エタノールで固定、BMD測定まで−20℃で保存される。BMD測定は、対象とする同一部分(腰椎:広範囲、L1−L4;大腿:広範囲、頸部及び骨幹中央部;脛骨:広範囲、近接及び脛腓分離点に約2mm近い領域)を用いて、Hologicヒドロキシアパタイトの擬人化された脊椎像で毎日較正させるHologic QDR−4500Aファン−ビーム密度測定上で、製造業者によって提供された小動物用のソフトウェア及び1mm/秒のスキャンスピード(4ライン/mm)を用いて行った(表5)。これらのラットの骨折及び第3要椎の圧縮に対する三点曲げ試験を用いた大腿骨の機械特性は、TK252Cムロマチ骨強度テスターを用いて試験した(表6)。ヒストモルホメトリーに関しては、各ラットは、処理の開始時にテトラサイクリン、及び処理の完了時にカルセインを投与され、脱灰されていない骨を切片にし、UV光でテトラサイクリン標識、及びオレンジフィルターでカルセインを視覚化した。テトラサイクリン及びカルセインは、カルシウム探索剤である(図9)。各ラットの最初と最後の体重及び子宮重量も解剖時に記録した(表7)。
【0177】
骨ミネラル密度測定
連続して30日間、1000mg/kgの毎日の服用による抽出物の経口投与は、対応するビヒクル対象グループと比較すると未成熟の雌性Sprague−Dawleyラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域のBMDが顕著に増加した(表5)。
【0178】
【表5】
【0179】
機械特性
抽出物を用いて処理された成熟ラットの骨は、TK252Cムロマチ骨強度テスターを用いた骨折及び第3要椎の圧縮のための三点曲げ試験により大腿骨を折るのに必要なより大きな力によって明らかにされるようにより高い機械強度を示す(表6)。
【0180】
【表6】
【0181】
最終力は、骨折のための三点曲げ試験を用いた限界点での最大力である。
【0182】
テトラサイクリン及びカルセインラベリング
抽出物(1000mg/kg、30日間、po)を用いて処理された成熟ラットの大腿骨及び脛骨はまた、処理の開始時のカルシウム探索薬物であるテトラサイクリン、及び処理の完了時のカルセインの投与、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルター下でのカルセインの視覚化を含む二重ラベリング技術によって明らかにされるように骨形成の増加率を示した(図9)。
【0183】
体重及び子宮重量
体重又は子宮重量における年齢に関連した増加の割合における抽出物の鉱化はない(表7)。見解は、ラットにおける試験された服用量及びスケジュールでの抽出物のいずれかのエストロゲンアゴニスト活性の欠損を示唆する。
【0184】
【表7】
【0185】
ホルモン特性
エストロゲンアゴニスト活性
ブテア・モノスペルマの樹皮、葉及び種子のエタノール抽出物及び画分のエストロゲンアゴニスト活性は、双方卵巣摘出された未成熟ラットにおいて評価された。試験薬物は、経口経路によって連続して3日間、1日1回投与され、対応するビヒクル対照グループと比較した子宮重量増加を測定した。17α−エチニルエストラジオールは、参照標準として用いられた。この植物の樹皮(7%)、枝(23%)及び葉(44%)のエタノール抽出物は、ごく僅か〜弱い子宮肥大効果を示した。対照的に、この植物の種子のエタノール抽出物は、子宮の生体重における顕著な増加(433%)を誘導し、この効果は、17α−エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものにほとんど匹敵した。また、ごく僅か〜弱い子宮増加率は、樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性画分において観察された(表8)。
【0186】
【表8】
【0187】
エストロゲンアンタゴニスト活性
ブテア・モノスペルマの樹皮、葉及び種子のエタノール抽出物及び画分のエストロゲンアゴニスト活性の評価については、双方卵巣切除された未成熟ラットは、経口経路によって連続して3日間、1日1回、試験薬物及び0.01g/kgの毎日の服用のエチニルエスとラジオールを用いて処理された。最終処理後の解剖24時間で、エチニルエストラジオール誘導の子宮重量増加における阻害を測定した。1000mg/kgの毎日の服用でブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物は、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用を用いて観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じさせた(表9)。
【0188】
【表9】
【0189】
B.ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物の画分の生物学的評価
パラメータとして48時間培養した初代骨芽細胞によるアルカリホスファターゼの発現を用いて、有望な骨芽細胞増殖活性は、抽出物のn−ブタノール可溶性格物に局在化していた。中程度の活性はまた、クロロホルム可溶性画分に観察され、ヘキサン及び水溶性画分は不活性であった(図10)。
【0190】
C.ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物のクロロホルム及びn−ブタノール可溶性画分から単離された化合物の生物学的評価
インビトロでの骨芽細胞増殖及び鉱化に対するアルカリホスファターゼ発現及びMTTアッセイに基づいて、有望な骨発生活性は、6個の化合物、K051、K052、K054、K080、K082(n−ブタノール可溶性画分から単離された)及びK095(クロロホルム可溶性画分から単離された)において観察された(図11−15;表10−11)。
【0191】
【表10】
【0192】
アルカリホスファターゼ活性の評価
p−ニトロフェノールホスフェートは、無色の基質であり、アルカリホスファターゼ酵素によって着色したp−ニトロフェノールに加水分解される。p−ニトロフェノールホスフェートの加水分解速度は、試料中に存在する酵素に比例する。アルカリホスファターゼ(ALP)活性の発現に関して、プラスチックのカバースリップ(直径6mm)上に播種された骨芽細胞(約104)は、試験薬物の有無により48時間インキュベートされ、ホルマリン中で固定され、アルカリホスファターゼ渇しは、ALP基質溶液(5mgナフトールAS−MXホスフェート、0.25mlエチレングリコールモノメチルエーテル、10mg FastレッドTR、0.1M TBS 24ml中、pH9,5)とともに1時間室温でインキュベーションすることにより提示される。見解は、純粋な化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、対応するビヒクル対照グループと比較すると、10-11M〜10-5Mの濃度ハイブリダイゼーションにで、骨芽細胞の文化マーカーであるアルカリホスファターゼの発現を増加させたことを表す(図11、表10)。
【0193】
細胞増殖に対するMTTアッセイ
このアッセイは、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によって、テトラゾリウム塩を還元してホルマゾン結晶を形成する生存細胞の能力に基づく。MTTアッセイでは、骨芽細胞は、96ウェルプレートに10%FCS及び1%抗生物質溶液を補足したα−MEM培地に維持される。細胞が40%コンフルエントに達したとき、2%FCSを補足した培地中の試験薬物の有無により、24時間処理される。24時間後、MTT円を細胞に添加する。4時間後、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によるテトラゾリウム塩の還元によって形成されるホルマゾン結晶をDMSOに溶解させ、570nmの波長で読み取りを行った。5個全ての純粋な化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、ビヒクル対照グループと比較して、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で24時間後、骨芽細胞の細胞増殖を増加させた。これらのうち、化合物K052が最も強力であることが分かり、順にK080、K095、K051及びK054であった(図12、表11)。
【0194】
【表11】
【0195】
鉱化の定量
骨芽細胞における新生カルシウムの沈着増加を用いて測定される鉱化の定量に関しては、試験化合物の存在下で7日間、細胞を培養し、アリザリンレッドで染色した。アリザリンレッドは、酢酸で抽出され、鉱化の程度に正比例する染色強度を405nmで読む。結果は、ビヒクル対照グループと比較すると、6個全ての純粋な化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、アリザリン抽出法によって定量されるように鉱化を増加させた(図13)。
【0196】
無菌のウシ骨スライス上に播種した骨芽細胞の場合では、細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足されたα−MEM中で、試験化合物又はそれらの混合物の有無により、96ウェルプレートで培養される。培地は、二日ごとに取り替える。15日後の培養の終了時に、細胞をPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノール中で1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)を用いて30分間染色し、次にPBS中で洗浄して、過剰の染料を取り除く。結果は、新骨形成の増加率を示す色のより高い強度が5個全ての試験化合物及びそれらの混合物の存在下の培養物中に明らかとなった。K095が最も強力であることが分かった(図14及び15)。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で、24時間及び48時間培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ活性の発現。
【図2】MTTアッセイによるイシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株におけるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の増殖活性。
【図3】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲンIの発現の転写レベル。
【図4】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるオステオカルシンの発現の転写レベル。
【図5】アリザリンレッド染色によるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下での24時間及び48時間培養した骨芽細胞における新しいカルシウムの沈着。
【図6】von Kossa銀染色によるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で7日間培養した骨芽細胞における鉱化。
【図7】von Kossa銀染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で15日及び25日間培養した骨芽細胞によるインビトロでの小塊形成。
【図8】アリザリンレッド染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下での18日及び30日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞によるインビトロでの鉱化及び小塊形成。
【図9】テトラサイクリン及びカルセイン標識を用いて、30日間ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1000mg/kg服用量で処理した未成熟ラットの大腿及び脛骨における骨の付加(apposition)率。
【図10】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の種々の画分の存在下での48時間培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ発現。
【図11】ブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ活性の定量。
【図12】MTTアッセイを用いたブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で24時間培養した骨芽細胞増殖。
【図13】酢酸抽出によるブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で7日間培養した骨芽細胞における鉱化の定量。
【図14】アリザリンレッド染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した純粋な化合物の存在下で15日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞によるインビトロでの鉱化。
【図15】アリザリンレッド染色後、等モル濃度で混合したブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した純粋な化合物の存在下で15日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞のインビトロでの鉱化。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬品及び有機化学の分野に関し、並びに新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物であって、好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群、特に
a)骨粗鬆症、骨喪失、骨形成;
b)II型/年齢に関連した/老年性骨粗鬆症である骨形成、より高いピークの骨量、骨折治癒、欠損した骨の置換のためにインビトロ/インビボでの新骨形成の促進を達成するための発生及び成長の期間の骨形成;
c)エストロゲンに関連した疾患又は症候群、好ましくは哺乳動物におけるエストロゲン欠乏状態によって引き起こされる疾患又は症候群;
d)心臓血管系作用、より具体的には高脂質血症、血栓性及び血管運動系;
e)脳梗塞、老年性認知症−アルツハイマー型及びパーキンソン病などの神経変性作用;
f)顔面紅潮、泌尿生殖萎縮、うつ病、躁病、統合失調症等を含む更年期症候群、尿失禁、月経困難症の軽減、機能不全性子宮出血の軽減、卵巣発育の補助、座瘡及び多毛の処理;
g)前立腺癌、乳癌、子宮癌、頸部癌及び結腸癌などの癌;
h)ヒト及び他の動物における受精能力の調節又は制御;
i)切迫流産又は習慣流産の予防における使用のため;
j)産後の授乳の抑制;
k)肥満、うつ病などの生理学的な障害
の予防又は治療におけるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群の関連した種々の医学的兆候の予防又は治療に有用であるものを提供する。
【0002】
本発明は、さらに、医薬として活性な抽出物、画分、サブ画分の調製、純粋な化合物の単離の方法、それらの医薬として許容される塩及び本発明の主要な局面の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
骨粗鬆症は、「低骨量の状態」として定義されているが、高齢化社会において主要な課題の1つである。個体群の老齢者における骨の脆弱性の増大及び結果として骨折の危険性の増加をもたらす骨組織のマイクロアーチテクチャー劣化によって特徴付けられる疾患である。50歳を超える女性の>50%、男性の30%に影響を及ぼすことが知られている。女性では、また、閉経後すぐに、可変的な年月で骨喪失率の加速化が見られる。
【0004】
骨折の危険因子及び発生率を減少させる努力は、骨の再吸収の阻害及び/又は骨形成の増大によって骨格量を保存する化合物の開発へと導いた(Dwivedi,I,Ray S,1995“Recent developments in the chemotherapy of osteoporosis”Progress in Drug Research 45,289−338,Editor E Jucker,Birkhauser Vela;Marshall DH,Horsmann A,Nordin BEC,1977,“The prevention and management of post−menopausal osteoporosis”Acta Obstet Gynecol Scand(Suppl)65:49−56;Hutchinson TA,Polansky SM,Feinstein AR,1979,“Postmenopausal estrogen protect against fractures of hip and distal radius: A care− control study”Lancet 2:705−709)。エストロゲン代償療法はまた、CVS&CNSに関連した障害に正に影響する(Lobo RA,1990,“Cardiovascular implication of estrogen replacement therapy”Obstetrics & Gynaecology 75:185−245;Mendelson ME,Karas RH,1994,“Estrogen and the blood vessel wall”Current opinion in Cardiology 1994:619−626;Stampfer MJ,Colditz GA,1991,“Estrogen replacement therapy and coronary heart disease:a quantitative assessment of the epidemiological evidence”Preventive Medicine 20:47−63)。
【0005】
カルシウム、ビタミンD及びその類似体、エストロゲン、カルシトニン、ビスホスホネート、ラロキシフェンなどの臨床使用に利用可能な薬理学的な薬物の大部分は、骨の再吸収の速度を減少させることによって作用し、骨喪失の速度を緩める。このような再吸収阻害剤の投与によって骨喪失を妨げる。しかしながら、一度喪失した骨は、このような再吸収阻害剤の使用によって回復することは不可能である。
【0006】
伝統的な薬剤では、骨疾患を治療する可能性を有する多くの天然の生薬がある。しかしながら、ほとんどの実験室作業では、それらの可能な開発及び使用を評価するレポートは、この兆候のために臨床的に使用されている天然産物誘導体であるイプリフラボンを除いてはほとんどない。
【0007】
本特許に含まれる天然産物は、骨芽細胞の増殖及び分化、マトリックス成熟及びインビトロでの多くのアッセイにおける鉱化を促進し、インビボでの長期の治療後に骨のミネラル密度及び骨の機械的強度を高めることが示され、年齢に関連した(II型)骨粗鬆症の迅速な骨折治癒及び管理における多大な使用だけでなく、成長及び発育の期間中に投与された場合のより高いピーク骨量を到達するのを手助け、閉経後の骨粗鬆症を含むエストロゲン欠損状態における欠損した骨の置換及び再吸収の阻害のためのインビトロ/インビボでの新骨形成を促進もする。現在、骨形成活性を示すことが報告されている唯一の薬物は、(a)非経口に投与されなければならず、より高い服用量で骨の再吸収を増加する副甲状腺ホルモン、(b)摂取過剰により骨粗鬆症を引き起こすことでも知られているフッ化物、及び(c)それらの同化活性のためのアンドロゲンを含む。これは、天然源由来のその種の第一薬物であり、ヒト使用及び福祉のための経口製剤として開発されている。下記の明細書は、具体的には、本発明の性質及び実施されなければならない方法を記載し、究明する。
【0008】
ブテア・モノスペルマ(Lam.)Taub(Syn.Butea frondosa;Family Fabaceae)は、一般に、「ツルハナモツヤクノキ(dhak)」又は「パラス(palas)」として知られている。ブテアの種には、ブテア・モノスペルマ、ブテア・パルビフロラ、ブテア・ミノル及びブテア・スペルバが含まれる。これらは、インド全体に広範囲に分布している[The Wealth of India−Raw Materials.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。この属の植物は、それらの有色物質に関して周知である。
【0009】
ブテア・モノスペルマの根は、夜盲症及び他の眼疾患の治療に有用である[Mengi,S.A.,Deshpande,S.G.Journal of Pharmacy and Pharmacology 47,997−1001,1995]。避妊、媚薬、鎮静及び駆虫活性を有することが報告されている[The Wealth of India−Raw Materials,pp.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。ブテア・スペルバの塊茎は、卵胞ホルモン剤と同様にエストロゲン性物質を含むことが判明している[Schoeller,W.,Dohrn,M.,Hohlweg.W.Naturwissenschaften 28,532−533,1940]。ブテア・スペルバの根は、若返り活性を示す[Pangsrivongse,K.Rev.Filipina Med.Farm.29,12−14,1938]。ブテア・スペルバの根皮は、アセチルコリンエステラーゼに対して65%の阻害活性を示す[Kornkanok,I.,Prapapan,T.,Kanchanaporn,C,Thitaree,Y.,Warawit,T.Journal of Ethnopharmacology 89,261−264,2003]。ブテア・スペルバの根皮の調製物は、男性における勃起障害の代替の漢方治療として用いられている[Cherdshewasart,W.,Nimsakul,N.Asian Journal of Andrology 5,243−246,2003]。ブテア・モノスペルマの樹皮(stem bark)は抗真菌活性を示し、活性な構成要素(−)−メジカルピンの存在による[Bandara,B.M.,Kumar,N.S.,Samaranayake,K.M.Journal of Ethnopharmacology 25,73−75,1989]。媚薬、駆虫、抗菌及び抗喘息特性を有することが報告されている[The Wealth of India−Raw Materials pp.341−346,1988,PID,CSIR,NewDelhi]。ブテア・スペルバの茎から単離したフラボノール配糖体は、抗微生物活性を示す[Yadava,R.N.,Reddy,K.I.Journal of Asian Nat.Prod.Res.1,139−145,1998]。
【0010】
ブテア・モノスペルマの葉は、ウサギにおいて眼球の抗炎症活性[Mengi,S.A.,Deshpande,S.G.Journal of Pharmacy and Pharmacology 47,997−1001,1995]及び強力な抗菌活性[Zaffar,R.,Singh,P.,Siddiqi,A.A.Indian J.Fores.12,328−329,1989]を示す。
【0011】
ブテア・モノスペルマの花からの抽出物は、肝障害の治療にインドでは使用され、2つの抗肝毒性フラボノイドであるイソブトリン及びブトリンは、該抽出物から単離されている[Wagner,H.,Geyer,B.,Fiebig,M.,Kiso,Y.,Hikino,H.Planta Medica 52,77−79,1986]。それは、トリテルペンの存在に起因して、抗痙攣活性を示す[Kasture,V.S.,Kasture,S.B.,Chopde,CT.Pharmacology,Biochemistry and Behavior 72,965−972,2002]。ブテア・モノスペルマの花のアルコール抽出物はまた、抗エストロゲン活性[Shah,K.G.,Baxi,A.J.,Shukla,VJ.,Dave,K.K.,De,S.,Ravishanker,B.Indian Journal of Pharmaceutical Sciences 52,272−5,1990;Laumas,K.R.,Uniyal,J.P.Indian Journal of Experimental Biology 4,246,1966]及び避妊活性[Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal of Physiology and Pharmacology 14,57−60,1970]を示すことが報告されている。その花から単離された部チンは、男性及び女性の避妊薬の可能性を示す[Bhargava,S.K.Fitoterapia 59,163−177,1988]。この植物の花はまた、ハンセン病、白帯下及び通風に効果的[The Wealth of India−Raw Materials pp.341−346,1988,PID,CSIR,New Delhi]。
【0012】
この植物の種子は、駆虫薬としてアーユルベーダ系で用いられる[Katti,M.C.T.,Manjunath,B.L.J.Indian Chem.Soc.6,839−845,1929;Raj,R.K.,Kurup,P.A.Indian Journal of Medical Research 56,1818−1825,1968;Prashanth D;Asha M.K.,Amit A.,Padmaja,R.Fitoterpia 72,421−422,2001;Jain,J.P.,Naqvi,S.M.A.J Res.Ayur Siddha 7,3−22,1986]。有意な抗排卵活性及び抗着床活性はまた、ラット及びウサギに与えられた場合、種子の熱アルコール抽出物において報告されている。この有効成分は、ブチンとして同定されている[Bhargava,S.K.Ethnopharmacology 18,95−101,1986]。ブチンはまた、男性の避妊特性を示す[Dixit,V.P.,Agrawal,M.,Bhargava,S.K.,Gupta,R.S.,Jain,G.C.lugoslavica Physiologies et Pharmacologics Acta 17,151−162,1981]。
【0013】
ブテア・フロンドサの種子抽出物の避妊効果は、マウスにおいて報告されている[Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal Physiology Pharmacology 14,57−60,1970,Razdan,M.K.,Kapila,K.,Bhide,N.K.Indian Journal Physiology Pharmacology 13,239−249,1969,Porwal,M.;Mehta,B.K.,Gupta,D.N.National Academy Science Letters(India)11,81−84,1988;Billore,K.V.,Audichya,K.C.J.Res.Ind.Med.Yoga and Homeo.13,105,1978]。赤血球凝集能は、ヒトの赤血球に対して活性を示すブテア・フロンドサの種子において報告されている[Bhalla,V.,Walter,H.Research Bulletin of the Panjab University,Science 48,87−94,1999;Wongkham,S.,Boonsiri,P.,Trisonthi,C,Simasathiansophon,S.,Wongkham,C,Atisook,K.Journal of Science Society of Thailand 21,27−36,1995]。
【0014】
ブテア・モノスペルマの種子から抽出したブテア・モノスペルマ凝集素(BMA)などのレクチンは、凝集特性に関与する[Ghosh,B.,Dasgupta,B.,Sircar,P.K.Indian Journal Biochemistry Biophysics 18,166−169,1981;Horejsi,V.,Ticha,M.,Novotny,J.,Kocourek,J.Biochimica et Biophysica Acta 623,439−448,1980]。ブテア・フロンドサの種子の石油エーテル抽出物は、ダイスデルクス・シミリス(Dysdercus similis)(F)[Kumar,B.,Haresh,T.S.S.Journal Animal Morphology Physiology 36,209−217,1989]に対する増殖制御活性[juvenile hormone(JH)]を示した。B.モノスペルマの種油は、インビトロの試験では有意な殺菌及び真菌殺傷効果を示す[Mehta,B.K.,Dubey,A., Bokadia,M.M.,Mehta,S.C.Aata Microbiologica Hungarica 30,75−77,1983;Porwal,M.,Sharma,S.,Metha,B.K.Fitoterapia 59,134−135,1988]。ブテア・スペルバ種子の石油エーテル抽出物は、駆虫活性及び降圧作用を示す[Siddiqui,H.H.,Inamdar,M.C.Indian Journal of Pharmacy 25,270−271,1963]。ブテア・モノスペルマガムはまた、慢性下痢の症例に有用であることが判明している。それは強力な収斂剤であり、また、ビリルビンレベルを減少させる[Rasheed,A.,Alam.M.Tufail,M.,Khan,F.Z.Hamdard Medicus 36,36−39,1993]。
【0015】
純粋化合物
種々の化合物ブテラ種から単離されている。ブテア・モノスペルマの根には、グルコース、グリシン、グリコシド(アグリコン)及び芳香族ヒドロキシ化合物が含まれる[Tandon,S.P.,Tiwari,K.P.Saxena,and V.K.Proceedings of the National Academy of Sciences,India,Section A:Physical Sciences 39,237−239,1969]。ブテア・スペルバの塊茎から、3,7,3’−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラボン及び3,3’−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラボン−7−O−β−D−グルコピラノシドが単離されている[Roengsumran,S.,Petsom,A.,Ngamrojanavanich,N.,Rugsilp,T.,Sittiwicheanwong,P.,Khorphueng,P.,Cherdshewasart,W.,Chaichantipyuth,C.Journal of Scientific Research of Chulalongkorn University 25,169−176,2000]。
【0016】
ブテア・モノスペルマの茎からフラボノイド8−C−プレニルクエルセチン7,4’−ジ−O−メチル−3−O−α−L−ラムノピラノシル(1−4)−α−Lラムノピラノシドが単離されている[Yadav,R.N.,Singh,R.K.Journal of the Institution of Chemists (India)70,9−11,1998]。ブテア・モノスペルマの樹皮の石油及び酢酸エチル抽出物から単離した抗真菌化合物は、(−)−3−ヒドロキシ−9−メトキシプテロカルパン[(−)−メジカルピン]として単離されている。(−)−メジカルピン及びその酢酸塩は、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)に対して活性であった。その石油エーテル抽出物もまた、ルペノン、ルペオール及びシトステロールを得た。エーテル酢酸抽出物から単離したイソフラボンは、5−メトキシゲニステイン及びプルネチンであることが分かっている[Bandara,B.M.R.,Kumar,N.S.,Wimalasiri,K.M.S.Journal of the National Science Council of Sri Lanka 18,97−103,1990;Bandara B.M.R.,Kumar N.S.,Samaranayake K.M.Journal of Ethnopharmacology 25,73−75,1989]。
【0017】
スチグマステロール−3−α−L−アラビノピラノシドに加えて、ブテア・モノスペルマの茎から単離した4つの化合物は、3−メトキシ−8.9−メチレンジオキシプテロカルプ−6−エン、21−メチレン−22−ヒドロキシ−24−オキソオクタコサン酸Meエステル、4−ペンタコサニルフェノール及びペンタコサニル−β−D−グルコピラノシド[Shukla,Y.N.,Mishra,M.,Kumar,S.Indian Journal of Chemistry,Section B 41B, 1283−1285,2002]、スチグマステロール、スチグマステロール−β−D−グルコピラノシド、ノンアコサノン酸、3α−ヒドロキシエウフ−25−エン及び2,14−ジヒドロキシ−11,12−ジメチル−8−オキソ−オクタデク−11−エニルシクロヘキサンも単離された[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S.Phytochemistry 54,835−838,2000]。
【0018】
ロイコシアニジンの四量体は、−C−C−及び−C−O−C−連結を有するブテア・モノスペルマのガム及びバークから単離された[Seshadri,T.R.Trikha,R.K.Indian Journal of Chemistry 9,1201−1203,1971]。抗菌フラボノールグルコシドである3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシ−8−メトキシ−フラボノール−3−O−α−D−キシロピラノシル(1−2)−α−L−ラムノピラノシド[Yadava,R.N.,Reddy,K.I.S.Journal of Asian Natural Products Research 1,139−145,1998]及び3,7−ジヒドロキシ−8−メトキシフラボン7−O−α−L−ラムノピラノシドは、ブテア・スペルバの茎から単離した[Yadava,R.N.;Reddy,K.I.S.Fitoterapia 69,269−270,1998]。
【0019】
2つの化合物である3,9−ジメトキシプテロカルパン、及びトリテルペノイドエステル、3α−ヒドロキシエウフ−25−エニルヘプタコサノエートは、ブテア・モノスペルマの葉から単離された[Shukla,Y.N.,Mishra,M.,Kumar,S.Indian Journal of Chemistry,Section B 41B,881−883,2002]。
【0020】
いくつかのフラボノイド、ブテイン、ブチン、ブトリン、イソブトリン、イソブチン(isobutyine)、コレオプシン、イソコレオプシン、スルフレイン、モノスペルモシド、イソモノスペルモシド、パラシトリン、3’,4’7−トリヒドロキシフラボン[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S. Journal of Medicinal and Aromatic Plant Sciences 24,19−22,2002;Gupta,S.R.,Ravindranath,B.,Seshadri,T.R.Phytochemistry 9,2231−2235,1970;Puri,B.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 12B,462−466,1953;Puri,B.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 14B,1589−1592,1955]は、ブテア・モノスペルマ花から単離された。イソブトリン及びブトリンは、肝臓保護作用活性を示した[Wagner,H.,Geyer,B.,Fiebig,M.,Kiso,Y.,Hikino,H.Plants Medica 52,77−79,1986]。ブトリンはまた、ブテア・スペルバの花から単離された[Rao,V.S.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 8B,178−179,1949]。スチグマステロール−3−β−D−グルコピラノシド、γ−シトステロールグルコシド、シトステロール[Mishra,M.,Shukla,Y.N.,Kumar,S.Journal of Medicinal and Aromatic Plant Sciences 24,19−22,2002;Murti,P.,Bhaskara R.,Seshadri,T.R.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A 20A,279−91,1944;Murti,P.,Bhaskara R.,Seshadri,T.R.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A(1941),13A,395−8]は、ブテア・モノスペルマの花から報告された。抗痙攣活性を示すトリテルペン(TBM)[Kasture,V.S.,Kasture,S.B.,Chopde,CT.Pharmacology,Biochemistry and Behavior 72,965−972,2002]及びトリテペングリコシド[Murti,P.B.R.,Seshadri,T.R.Proceedings Indian Academy of Sciences,Section A 20A1 279−291,1944]はまた、ブテア・モノスペルマの花から単離されている。ミリシルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、アラキドン酸及びリグノセリン酸[Murti,P.Bhaskara,R.,Krishnaswamy,H.Proceedings−Indian Academy of Sciences,Section A 12A 472−476,1940]、グルコース、フコース、ヒスチジン、アスパラギン酸、アラニン及びフェニルアラニンはまた、ブテア・フロンドサ花から単離された[Shah,K.C.,Baxi,A.J.,Dave,K.K.Indian Drugs 29,422−3,1992]。
【0021】
ブテア・モノスペルマの種子抽出物から、いくつかのフラボノイド、即ち、5,6,7,4’−テトラヒドロキシ−8−メトキシイソフラボン6−O−ラムノピラノシドが報告されている[Saxena,V.K.,Sharma,Devendra,N.Journal of the Institution of Chemists(India)70,218−220,1998]。種子から単離したブチンは、男性及び女性の避妊活性を示すことが報告されている[Bhargava,S.K.Journal of Ethnopharmacology 18,95−101,1986;Dixit,V.P.,Agrawal,M.,Bhargava,S.K.,Gupta,R.S.,Jain,G.C.lugoslavica Physiologica et Pharmacologica Acta 17,151−162,1981]。α−アミリン、β−シトステロール、β−シトステロール−β−D−グルコシド及びスクロースは、ブテア・フロンドサ種子から単離された[Chandra,S.,Lal,J.,Sabir.M.Indian Journal of Pharmacy 39,79−80,1977]。
【0022】
パラソニン、駆虫本質は、ブテア・フロンドサ種子から単離された[Kumar,D.,Mishra,S.K.,Tandon,S.K.,Tripathi,H.C.Indian Journal of Pharmacology 27,161−166,1995;Chandra,S.,Lal,J.,Sabir,M.Indian Journal of Pharmaceutical Sciences 40,97−98,1978;Raj,R.K.,Kurup,P.A.Indian Journal of Medical Research 56,1818−1825,1968]。モノスペルミン[Mehta,B.K.,Bokadia,M.M.Chemistry & Industry(London,U.K.)98,1981]及び酸アミド[Barua,A.K.,Chakrabarti,P.I.,Das,K.G.,Nair,M.S.B.Chemistry & Industry(London,U.K.)1376,1970]は、ブテア・モノスペルマの種子から単離された。イミドであるパラソニン−N−フェニルイミドは、ブテア・モノスペルマの鞘から単離された[Guha,P.K.,Poi,R.,Bhattacharyya,A.Phytochemistry 29,2017,1990]。
【0023】
1−カルボメトキシ−2−カルボミルヒドラジン[Sharma,S.,Batra,A.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 3OB,15−16,1991]、2−ヒドロキシ−ω−メチルアロファン酸[Porwal,M.,Sharma,S.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 27B,281−282,1988]、4−カルボメトキシ−3,6−ジオキソ−5−ヒドロ−1,2,4−トリアジン[Porwal,M.,Mehta,B.K.,Gupta,D.N.National Academy Science Letters(India)11,81−84,1988]は、ブテア・モノスペルマの種皮から単離された。脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、リノール酸及びリノレン酸は、ブテア・モノスペルマ種子から単離[Sengupta,A.,Basu,S.P.Journal of the American Oil Chemists Society 55,533−535,1978]。
【0024】
15−ヒドロキシペンタコサノン酸[Sharma,S.,Batra,A.,Mehta,B.K.Indian Journal of Chemistry,Section B 30B,715−716,1991]、n−ヘネイコサン酸δ−ラクトン[Bishnoi,P.,Gupta,P.C.Planta Medica 35,286−288,1979]、及び10,16−ジヒドロキシヘキサデカン[Chatterjea,J.N.,Sengupta,S.C.,Misra,G.S.,Agarwal,S.C.Indian Journal of Chemistry,Section B 14B,719−721,1976]は、ブテア・モノスペルマの種子から単離された。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールは、ブテア・モノスペルマの種子の主要な成分として同定された[Prasad,R.B.N.,Rao,Y.N.,Rao,S.V.J.Am.Oil Chem.Soc.64,1424−1727,1987]。
【0025】
ブテア・モノスペルマの種子から単離したレクチンは、凝集活性を示す[Wongkham,S.,Boonsiri,P.,Trisonthi,C,Simasathiansophon,S.,Wongkham,C,Atisook,K.Journal of the Science Society of Thailand 21,27−36,1995;Ghosh,B.,Dasgupta,B.,Sircar,P.K.Indian Journal of Biochemistry & Biophysics 18,166−169,1981]。ブテア・パルビフロラの種油は、パルミチン酸、ステアリン酸、リグノセリン酸、オレイン酸及びリノール酸のグリセリドを提供する[Garg,S.K.Fette,Seifen,Anstrichmittel 73,437−438,1971]。
【0026】
4つの酸エステル、ジャラリック(jalaric)エステルI及びII、ラクシジャラリック(laccijalaric)エステルI及びII、アレウリチン酸及びアルデヒド酸は、ブテア・フロンドサのシードラックの軟性レジンから単離された[Singh,A.N.,Upadhye,A.B.,Mhaskar,V.V.,Dev,S.Tetrahedron 30,867−874,1974;Khurana,R.G.;Singh,A.N.,Upadhye,A.B.,Mhaskar,V.V.,Dev,S.Tetrahedron 26,4167−4175,1970;Madhav,R.,Seshadri,T.R.,Subramanian,G.B.V.Indian Journal of Chemistry 5,182−184,1967]。
【0027】
(+)−ロイコシアニジン、3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−3,4−ジオール及びロイコアントシアニジン[Ganguli,A.K.,Seshadri,T.R.Tetrahedron 6,21−23,1959;Ganguli,A.K.,Seshadri,T.R.Journal of Scientific & Industrial Research 17B,168,1958]、並びにリボフラビン及びチアミン[Broker,R.I;Bhat,J.V.Current Science 22,343,1953]は、ブテア・フロンドサガムから単離された。
【発明の開示】
【0028】
発明の実施
骨粗鬆症は、我々の高齢化社会における主要な課題の1つである。骨粗鬆症は、個体群の高齢者、特に閉経後の女性における骨折をもたらす。従来の薬物では、骨疾患を治療するための使用に可能性のある多くの天然の生薬がある。これまで、ブテア種の抗骨粗鬆症(骨形成)活性に関する文献としての報告はない。この植物の抗骨粗鬆症活性を研究することが考えられた。
【0029】
前述の検討から、理想的な薬理学的プロフィールを有し、新しい骨形成を促進する、植物起源の薬物を発見及び開発する緊急な必要性があるように思われる。ブテア・モノスペルマは、このような活性を研究するための適切なケースであり、実験は、それが、骨の形成活性を促進することを有することを示す。
【0030】
したがって、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物であって、好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群、特に
a)骨粗鬆症、骨喪失、骨形成;
b)II型/年齢に関連した/老年性骨粗鬆症である骨形成、より高いピークの骨量、骨折治癒、欠損した骨の置換のためにインビトロ/インビボでの新骨形成の促進を達成するための発生及び成長の期間の骨形成;
d)エストロゲンに関連した疾患又は症候群、好ましくは哺乳動物におけるエストロゲン欠乏状態によって引き起こされる疾患又は症候群;
e)心臓血管系作用、より具体的には高脂質血症、血栓性及び血管運動系;
f)脳梗塞、老年性認知症−アルツハイマー型及びパーキンソン病などの神経変性作用;
g)顔面紅潮、泌尿生殖萎縮、うつ病、躁病、統合失調症等を含む更年期症候群、尿失禁、月経困難症の軽減、機能不全性子宮出血の軽減、卵巣発育の補助、座瘡及び多毛の処理;
h)前立腺癌、乳癌、子宮癌、頸部癌及び結腸癌などの癌;
i)ヒト及び他の動物における受精能力の調節又は制御;
j)切迫流産又は習慣流産の予防によける使用のため;
k)産後の授乳の抑制;
l)肥満、うつ病などの生理学的な障害
の予防又は治療におけるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群の関連した種々の医学的兆候の予防又は治療に有用であるものを提供する。
【0031】
本発明は、さらに、医薬として活性な抽出物、画分、サブ画分の調製、純粋な化合物の単離の方法、それらの医薬として許容される塩及び本発明の主要な局面の組成物に関する。
【0032】
発明の概要
したがって、本発明は、骨障害の予防又は治療のために医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、治療的に有効量の、ブテア(Butea)種から得られる抽出物若しくは画分あるいはブテア種若しくは他の天然資源から単離されるか又は合成される式1:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ基である)
で表される化合物を単独又は1〜10の範囲の比率でいずれかの組合せにより含み、場合により医薬として許容される賦形剤を伴う。
【0033】
本発明の態様では、前記化合物は、式K051、K052、K054、K080、K082、K095:
【化2】
によって表される化合物からなる群から選択される。
【0034】
別の態様では、前記化合物は、単独又は割合、モル濃度若しくはパーセント収率に基づく1〜10の範囲の比率の組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0035】
別の態様では、化合物K051及びK052は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0036】
別の態様では、化合物K051、K052及びK095は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0037】
別の態様では、化合物K054及びK080は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0038】
別の態様では、化合物K051、K052及びK080は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0039】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0040】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、単独又はモル濃度、パーセント収率、等しいか若しくはいずれかの割合で、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)。
【0041】
別の態様では、単独又は組合せて使用される各化合物の濃度は、好ましくは0.1μMである(図11〜15、表10〜11)。
【0042】
別の態様では、使用される医薬的な希釈剤は、単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される。
【0043】
別の態様では、使用される医薬的な賦形剤は下記から選択される:
a)単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される希釈剤;
b)単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される結合剤;
c)単独又は適切な組合せで、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される崩壊剤;
d)単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される潤滑剤;
e)単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される流動促進剤;
【0044】
f)単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される甘味剤;
g)単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される香味剤;
h)単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される湿潤剤;
i)単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される吸収剤;及び
j)単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は他の医薬として許容されるフレイバーから選択される溶液緩染剤。
【0045】
別の態様では、組成物の有効服用量は、0.1〜5000mg/kg体重、好ましくは1mg〜500mg/kg体重の範囲であり、毎日、週に2回、毎週又はより多く分割した服用量である。
【0046】
別の態様では、前記組成物は、骨障害の予防又は治療に有用であり、骨粗鬆症、骨喪失、骨形成、骨折治癒、成長期に投与された場合のより高いピークの骨量の到達、及びインビトロ/インビボでの新骨形成の促進によって引き起こされるいずれかの疾患及び症候群が含まれる。
【0047】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、24時間及び48時間の間隔で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照の骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示した(図1)。
【0048】
別の態様では、β−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性の28%増加と比較して58%のより高い全アルカリホスファターゼ活性を示す樹皮のエタノール抽出物は骨を治療した(表1)。
【0049】
別の態様では、該樹皮のエタノール抽出物は、0.05%と0.1%の濃度で、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導し、ここで、生存細胞の割合は、ビヒクル対照グループを100%として比較するとそれぞれ330%及び361%である(表2)。
【0050】
しかしながら、別の態様では、その骨発生(osteogenic)濃度(0.05%及び0.1%)での樹皮のエタノール抽出物は、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株におけるいずれかの増殖効果を示さない(図2)。
【0051】
別の態様では、前記抽出物の骨芽細胞特異的な増殖効果は、子宮内膜及び乳房レベルで該抽出物の任意のエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示す。
【0052】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲン−1(骨芽細胞の増殖及び分化のマーカー)の発現において2.5倍を超える増加を示す(図3)。
【0053】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加を示す(図4)。
【0054】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現における処理の効果を示さない(図3及び4)。
【0055】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、インビトロで鉱化の比率を増加させ、ここで、アリザリンレッド染色のより高い強度は、対応するビヒクル対照と比較して、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新しいカルシウムの沈着増加を示す(図5)。
【0056】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、0.1%の濃度で、それ自体で処理される対応するβ−グリセロリン酸ナトリウム又はビヒクル対照培養物と比較して、インビトロで7日間培養した骨芽細胞における鉱化の比率の増加を示す(図6)。
【0057】
別の態様では、15日及び25日間、樹皮のエタノール抽出物で処理した骨芽細胞の培養物における鉱化した小塊の発生率の増加は、新骨形成の速度増加を示す(図7)。
【0058】
別の態様では、アリザリン染色のより高い強度が、18日及び30日間、樹皮のエタノール抽出物の存在下で、無菌のウシの骨スライス上で長期間培養した骨芽細胞において、新骨形成の速度増加を示していることは明らかである(図8)。
【0059】
別の態様では、有効な骨形成濃度を採用する樹皮のエタノール抽出物は、トリ胎児骨培養アッセイにおいて、0.5以下のT/C比によって明らかにされる骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)。
【0060】
別の態様では、有効な骨形成濃度を採用又は投与するエタノール抽出物は、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下で、0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/Cの培養中のトリ胎児骨からの45CaのPTH誘導の再吸収を阻害しなかった(表4)。
【0061】
別の態様では、連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与におけるエタノール抽出物は、対応するビヒクル対照グループと比較して、未成熟の雌性スプラギュー・ドーリー(Spraque−Dawly)ラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域の骨ミネラル密度(BMD)を顕著に増加させた(5%〜65%)(表5)。
【0062】
別の態様では、前記抽出物で処理した未成熟ラットの骨は、TK252Cムロマチ(Muromachi)骨強度テスターを用いて、第3腰椎の骨折及び圧迫のための3点曲げを使用した大腿骨を破壊するために必要とされるより大きな力によって明らかにされるようにより高い機械的強度も示す(表6)。
【0063】
別の態様では、連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与におけるエタノール抽出物は、カルシウム探索薬物である、処理初期時のテトラサイクリン及び処理終結時のカルセインの投与を伴う二重ラベリング技術、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルターでのカルセインの視覚化によって明らかにされるように新骨形成を顕著に増加させた(図9)。
【0064】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物は、卵巣切除した未成熟ラットにおいて3日間、及び無傷の未成熟ラットにおいて30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で投与されると、子宮レベルでいずれかのエストロゲンアゴニスト作用を欠損する。
【0065】
別の態様では、未成熟ラットにおける体重及び子宮重量の年齢に関連した増加率に対する樹皮のエタノール抽出物の効果がない(表7及び8)。
【0066】
別の態様では、種子のエタノール抽出物を含む組成物が、エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものと比較して、未成熟ラットのバイオアッセイにおける子宮の生重量の顕著な増加(433%)によって明らかにされるように強力なエストロゲンアゴニスト活性を示した(表8)。
【0067】
別の態様では、卵巣切除した未成熟ラットへの連続3日間投与した1000mg/kgの毎日の服用量で樹皮のエタノール抽出物は、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用量で観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール(0.01mg/kg/日)誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じた(表9)。
【0068】
別の態様では、ブテア種は、ブテア・モノスペルマ(Butea monosperma)、ブテア・パルビフロラ(Butea parviflora)、ブテア・ミノル(Butea minor)及びブテア・スペルバ(Butea superba)からなる群から選択され、好ましくはブテア・モノスペルマである。
【0069】
別の態様では、ブテア・モノスペルマから使用される植物部分が、樹皮、枝、葉、花、種子からなる群から選択され、好ましくは樹皮である。
【0070】
別の態様では、生理活性抽出物/画分は、アルコール抽出物、クロロホルム可溶性画分、n−ブタノール可溶性画分からなる群から選択される(図1〜10;表1〜9)。
【0071】
別の態様では、樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性及びクロロホルム可溶性画分は、48時間で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色において高い強度を示した(図10)。
【0072】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、対応するビヒクル対照グループと比較して、プラスチック・カバースリップ(直径6mm)上に播種され、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で48時間インキュベートされた骨芽細胞において、アルカリホスファターゼ(骨芽細胞の分化マーカー)の発現を増加させた(図11、表10)。
【0073】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、MTTアッセイにおいてビヒクル対照群と比較して、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で24時間後の骨芽細胞の細胞増殖を増大する(図12、表11)。
【0074】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、7日間培養した骨芽細胞において、新生カルシウムの沈着の増加によって明らかにされ、アリザリン抽出法によって定量された(図13)。
【0075】
別の態様では、化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095を単独又は組み合わせて用いて、15日間、96ウェルプレートにおいて無菌のウシの骨スライス上で培養した骨芽細胞において新骨形成の比率増加を示すアリザリンレッド染色の強度を増加させた(図14及び15)。
【0076】
本発明は、さらに、請求項1に記載されるブテア種からの生物活性画分を調製する方法を提供し、該方法は下記を含む:
a)アルコール溶媒中に粉末の植物部分を浸し、慣習的な方法によって溶媒を除去及び濃縮して、アルコール抽出物を得ること;
b)工程(a)から得られたアルコール抽出物をヘキサンで粉砕し、ヘキサン可溶性画分及びヘキサン不溶性画分を得ること;
c)ヘキサン不溶性画分をクロロホルムで粉砕し、クロロホルム可溶性画分及びクロロホルム不溶性画分を得ること;
d)クロロホルム可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K084、K090、K095、K103、K105、K113、K115を得ること;
e)クロロホルム不溶性画分をn−ブタノール及び水で分割し、n−ブタノール可溶性画分及び水性画分を得ること;
f)n−ブタノール可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K010、K039、K040、K051、K052、K053,K054、K064、K080、K082、K098、K111を得ること。
【0077】
別の態様では、抽出に使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール又はそれらの適切な混合物からなる群から選択される。
【0078】
別の態様では、化合物の単離に用いられるクロマトグラフィー法は、カラム、フラッシュ、中圧及びHPLCから選択される。
【0079】
別の態様では、前記化合物は、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等からなる医薬として許容される塩に転換することができる。
【0080】
別の態様では、前記方法は、場合により医薬として許容される賦形剤とともに、前述される医薬組成物を必要とする被験者に投与する工程を含む。
【0081】
別の態様では、前記組成物は、経口、経皮、筋内、腹腔内、静脈、局所から選択される経路によって投与される。
【0082】
別の態様では、前記組成物は、1〜5000mg/kg体重の範囲の服用量で使用される。
【0083】
別の態様では、前記組成物は、錠剤、シロップ、粉末、カプセル、懸濁液、溶液、軟膏、混合物の形態で使用される。
【0084】
主要な態様に従って、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、並びに好ましくはヒト及び動物において引き起こされる疾患及び症候群の予防又は治療においてエストロゲンに依存しないか若しくは依存した疾患又は症候群と関連した種々の医薬兆候の予防又は治療に有用である。
【0085】
重要な態様では、本発明は、治療的に有効量の新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びその組合せを、単独で、混合形態で、あるいは医薬として活性な若しくは不活性な薬剤又は1以上の医薬として許容される担体若しくは賦形剤の組合せて含む医薬組成物を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、及びこれら若しくは他の天然資源から単離された又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩、並びにそれらの訴を採用する医学的方法、並びに哺乳動物及び動物においてエストロゲンに依存した又は独立した状態、特に骨粗鬆症、骨喪失、骨形成及び心臓血管系作用の予防又は治療のためにこのような薬剤を使用する方法を提供する。
【0087】
本発明の医学的方法の別の態様では、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びこれら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びその組成物は、エストロゲンに依存した又はエストロゲンに独立した癌の予防又は治療に用いられる。医学的方法のさらに別の代替の態様では、本発明の新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離した又は合成した純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及び組成物は、ヒト及び他の動物における多産の調節又は制御を含む内因性エストロゲンに対する異常な生理学的応答と関連した疾患状態又は障害の予防又は治療において用いられる。
【0088】
発明の説明
本発明は、新規な植物抽出物、それらの画分、サブ画分、これら若しくは他の天然資源から単離された又は合成された純粋な化合物、それらの医薬として許容される塩及びこれら若しくは他の天然資源から単離された若しくは合成された純粋な化合物、並びにヒト及び/又は動物において引き起こされるエストロゲンに独立した若しくは依存した疾患又は症候群と関連した種々の医学的兆候の症状の予防又は治療のためにこのような薬剤を使用する方法を提供する。
【0089】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用されるとき、Bergeら(J.Pharmaceutical Sciences,66(1).1−19,1977)による記事に開示されている種類の塩を示す。適切な医薬として許容される塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸等によって形成される塩、並びに有機酸、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸から誘導される塩が含まれる。このような医薬として許容される酸付加塩には、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等が含まれる。最も好ましい塩は、フマル酸塩又はアスコルビン酸塩又は塩酸塩である。
【0090】
本発明の薬物の「医薬として許容される組成物」なる用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて使用されるとき、当該技術分野において知られている医薬として許容される賦形剤を用いて当該技術分野において知られている手法によって調製されてもよい。
【0091】
本明細書中に言及されている障害又は疾患状態を予防又は治療する方法は、このような治療を必要とする個々のヒト若しくは任意の他の哺乳動物又は任意の他の動物に、治療的に有効な量の1以上の本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物を1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等と一緒に投与することを含む。
【0092】
本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等の用量・用法及び投与様式は、本明細書に記載されている障害又は疾患状態の種類に従って変更し、関与する医師の判断に任せられる。
【0093】
本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等は、0.1mg〜5000mgの範囲の服用量、より好ましくは0.5〜1000mgの範囲の服用量、又はさらにより好ましくは1mg〜5000mgの範囲の服用量で、週に1回又は週に2回又は毎日又は1日2回又は1日3回又はさらにより分割した服用回数で効果的に投与されてもよい。
【0094】
治療的に有効な量の本発明の薬物又はその医薬として許容される組成物は、ゼラチンカプセルに封入されるか又は錠剤若しくはカプセルに圧搾されてもよく、あるいはロゼンジ、シクロデキストリン誘導体との封入複合体、注射可能なデポ調合物、エアロゾル、顆粒、粉末、経口液体、粘膜付着調合物、ゲル調合物、トローチ、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース、リポソーム送達システム、インプラント、坐剤、ペッサリー、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ミクロ粒子、ナノ粒子、放出制御送達システム、経皮送達システム、標的化送達システム、例えばモノクローナル抗体又は他の適切な担体部分との結合体の形態で調合されてもよい。
【0095】
このような薬剤は、任意の適切な経路、例えば経口、全身、局部又は局所送達、例えば静脈、動脈、粘膜、皮下、腹腔、皮内、口腔、鼻内、吸入、膣、直腸、経皮によって投与されてもよく、あるいは本発明の薬物若しくは医薬として許容される塩又はそれらの医薬として許容される組成物並びに1以上の医薬として許容される担体、賦形剤等の従来の送達、制御送達又は標的送達を達成するために任意の従来の液体又は固体における任意の他の手段によって投与されてもよい。
【0096】
本発明の薬物若しくはその医薬として許容される塩又はその医薬として許容される組成物の投与の好ましい様式は経口である。
【0097】
経口組成物は、一般に、本発明の薬物又は医薬として許容される組成物及び1以上の医薬として許容される賦形剤から構成される。
【0098】
経口組成物、例えば錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒等は、下記の医薬として許容される賦形剤のいずれかを含んでもよい:
1.単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分などの希釈剤;
2.単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分などの結合剤;
3.単独又は適切な組合せで、寒天、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分などの崩壊剤;
4.単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分などの潤滑剤;
5.単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分などの流動促進剤;
【0099】
6.単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分などの甘味剤;
7.単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの香味剤;
8.単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの湿潤剤;
9.単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの吸収剤;
10.単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーなどの溶液緩染剤。
【0100】
抽出物及び画分を調製するための試験手順
ブテア・モノスペルマの樹皮
エタノールを用いた抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした樹皮(5.5kg)をエタノール(25L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で約16時間(一晩)放置した。パーコレイトを回収した。この抽出プロセスは、4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した;得られた抽出物の重量は380g(6.90%、C003)であった。
【0101】
エタノール抽出物の分割
エタノール抽出物(300g)をヘキサン(500ml×15)で粉砕した。次に、ヘキサン可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたヘキサン画分の重量は15.5g(0.28%、F004)であった。次いで、ヘキサンで粉砕した後に得られた残渣をクロロホルム(400ml×10)で粉砕した。その後、クロロホルム可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたクロロホルム画分の重量は15g(0.27%、F005)であった。ヘキサン及びクロロホルムによる連続抽出後に得られた残渣は、分液漏斗中の水(800ml)に懸濁させ、水で飽和したn−ブタノール(300ml×14)で抽出し、その後、減圧下、45℃で濃縮した。得られたn−ブタノール画分の重量は124.0g(2.25%、F006)であった。水溶性画分は、ロータベーパ(rotavapor)を用いて真空下、45℃で濃縮し、得られた水溶性画分の重量は206.50g(3.75%、F007)であった。
【0102】
エタノール抽出物(300g)をヘキサン(500ml×15)で粉砕した。次に、ヘキサン可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたヘキサン画分の重量は15.5g(0.28%、F004)であった。次いで、ヘキサンで粉砕した後に得られた残渣をクロロホルム(400ml×10)で粉砕した。その後、クロロホルム可溶性画分は、減圧下、40℃で濃縮し、得られたクロロホルム画分の重量は15g(0.27%、F005)であった。ヘキサン及びクロロホルムによる連続抽出後に得られた残渣は、分液漏斗中の水(800ml)に懸濁させ、水で飽和したn−ブタノール(300ml×14)で抽出し、その後、減圧下、45℃で濃縮した。得られたn−ブタノール画分の重量は124.0g(2.25%、F006)であった。水溶性画分は、ロータベーパ(rotavapor)を用いて真空下、45℃で濃縮し、得られた水溶性画分の重量は206.50g(3.75%、F007)であった。
【0103】
【化3】
【0104】
ブテア・モノスペルマの枝
エタノールによる抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした枝(1.0kg)をエタノール(2.0L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は132.0g(1.32%、A001)であった。
【0105】
ブテア・モノスペルマの葉
エタノールによる抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした葉(13.0kg)をエタノール(20L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は1300g(10%、C007)であった。
【0106】
ブテア・モノスペルマの花
エタノール抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした花(3.0kg)をエタノール(15L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は430g(14.33%)であった。
【0107】
ブテア・モノスペルマの種子
エタノール抽出
ブテア・モノスペルマの粉末にした種子(10.0kg)をエタノール(14L)とともにガラスパーコレーターに設置し、室温で(約16時間)放置した。パーコレイトを分離し、この抽出プロセスを4回繰り返した。組み合わせた抽出物をろ過し、45℃で濃縮した。得られた濃縮抽出物の重量は1.75kg(17.5%)であった。
【0108】
ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物の画分由来の化合物の単離のための試験手順
クロロホルム可溶性画分(F005)
クロロホルム可溶性画分(F005、15.0g)のカラムクロマトグラフィーを繰り返して、7個の化合物、K084、K090、K095、K103、K105、K113及びK115を得た。これらの化合物は、詳細なスペクトル試験から特徴付けられた。これらの化合物は、文献に知られている:
1.K084(2−メチル,7−アセチルオキシ,4’−メトキシイソフラボン)の物理的及びスペクトルデータ
【0109】
【化4】
【0110】
2.K090(ドコサン酸)の物理的及びスペクトルデータ
【0111】
【化5】
【0112】
3.K095(3−ヒドロキシ−9−メトキシプテロカルパン、通常、メジカルピン(medicarpin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0113】
【化6】
【0114】
4.K103(3−メトキシ−8,9−メチレンジオキシクメスタン、通常、フレムミクハッパリン(flemmichapparin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0115】
【化7】
【0116】
5.K105(3−メトキシ−8,9−メチレンジオキシ−6a,11a−デヒドロプテオカルパン)の物理的及びスペクトルデータ
【0117】
【化8】
【0118】
6.K113(ルペオノン(lepeonone)(ルプ−20(29)−エン−3−オン))物理的及びスペクトルデータ
【0119】
【化9】
【0120】
7.K115(ルペオール(lupeol)(ルプ−20(29)−エン3□−オール))の物理的及びスペクトルデータ
【0121】
【化10】
【0122】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性画分(F005)由来の化合物の単離のための試験手順
n−ブタノール可溶性画分(100.0g)のカラムクロマトグラフィーを繰り返して、12個の化合物、K010、K039、K040、K051、K052、K053、K054、K064、K080、K082、K098及びK111を得た。これらの化合物は、詳細なスペクトル試験から特徴付けられた。これらの化合物は、文献に知られている:
【0123】
8.K010(ペンタコサン酸2,3−ジヒドロキシ−プロピルエステル)の物理的及びスペクトルデータ
【0124】
【化11】
【0125】
9.K039(2’−ヒドロキシゲニステイン)の物理的及びスペクトルデータ
【0126】
【化12】
【0127】
10.K040(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン、通常、ダイドゼイン(daidzein)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0128】
【化13】
【0129】
11.K051(2’,4’,5−トリヒドロキシ−7−メトキシイソフラボン、通常、カジャニン(cajanin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0130】
【化14】
【0131】
12.K052(4’−ヒドロキシ,7−メトキシ−イソフラボン、通常、イソホルモネンチン(isoformonentin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0132】
【化15】
【0133】
13.K053(4’,5,7−トリヒドロキシイソフラボン、通常、ゲニステインとして知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0134】
【化16】
【0135】
14.K054(7,3’−ジヒドロキシ−4’−メトキシイソフラボン、通常、カリコシン(calycosin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0136】
【化17】
【0137】
15.K064(ノナコサン酸2’,3’−ジヒドロキシ−プロピルエステル)の物理的及びスペクトルデータ
【0138】
【化18】
【0139】
16.K080(7−ヒドロキシ,4’−メトキシ−イソフラボン、通常、ホルモネンチンとして知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0140】
【化19】
【0141】
17.K082(2−メチル,7−ヒドロキシ,4’−メトキシイソフラボン)の物理的及びスペクトルデータ
【0142】
【化20】
【0143】
18.K098(4’,5−ジヒドロキシ,7−メトキシイソフラボン、通常、プルネチン(prunetin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0144】
【化21】
【0145】
19.K111(ホルモネンチン(formonentin)7−O−β−D−グリコピラノシド、通常、オノニン(ononin)として知られている)の物理的及びスペクトルデータ
【0146】
【化22】
【0147】
生物学的評価
本発明の植物抽出物/画分/サブ画分/純粋な化合物は、骨発生又は骨形成の増加、動物におけるエストロゲン欠乏又は喪失状態を含むエストロゲン欠損又は喪失の症状、特に、ヒト及び他の動物における骨粗鬆症、骨形成、骨喪失の予防又は治療のための使用に関して評価された。本発明の樹皮のエタノール抽出物及びその画分並びに単離された化合物のための詳細な手順は後述される。予備的な評価では、枝、葉、花及び種子のエタノール抽出物は、不活性であることが判明したか、又は低いオーダーの活性を示し、したがって、続けなかった。さらに、種子のエタノール抽出物は、強力なエストロゲンアゴニスト活性を示した。しかしながら、下記の実施例に例示される活性試験は、本発明の範囲を制限するように構成されていない。
【0148】
骨発生又は骨形成活性の測定のための試験手順
本発明の試験抽出物の試験溶液は、0.001%〜1%の濃度範囲、最も好ましくは0.1%の濃度で適切な溶媒に調製される。3〜5μlの各濃度は、インビトロで形成する骨の評価のために用いられる。対照実験では、等量の適切な溶媒が試験薬物の代わりに用いられる。
【0149】
骨芽細胞培養
骨芽細胞は、多能性間葉細胞の幹細胞から生じる。培養中、骨芽細胞は、段階特異的な遺伝子の発現を伴う主要な3つの段階を受ける。
・増殖&分化:1〜12日
アルカリホスファターゼ、コラーゲン−I、オステリックス、cbfa1
・細胞外マトリックス成熟:12〜18日
オステオカルシン、オステオポンチン、フィブロネクチン
・鉱化:14〜35日
石灰化(小塊形成)
【0150】
新生児マウスの頭蓋冠細胞培養物は、僅かに変更を加えて、前述(Endocrinology 139:4743)のように調製される。簡単には、初代骨芽細胞培養に関して、Balb/cマウス新生児(1〜3日齢)からの前頭骨及び頭頂骨は、α−MEM中の0.1%コラゲナーゼ/0.1%ディスパーゼにおいて消化させ、5つの連続した消化物を得る。5個の消化物の2番目を合わせ、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液及びピルビン酸ナトリウムを補足したα−MEM中で、37℃、空気中5%のCO2でコンフルエントになるまで増殖させる。薬物の鉱化は、下記の試験を用いて分析した:
【0151】
a)骨芽細胞の増殖及び分化
アルカリホスファターゼ活性の発現
培養した骨芽細胞において
プラスチックのカバースリップ(直径6mm)上に播種した細胞(約104細胞)を薬物の有無で24時間及び48時間インキュベートし、ホルマリンで固定した。ホスファターゼ活性(ALP)活性は、ALP基質溶液(0.1M TBS、pH9.5の24ml中、5mgナフトールAS−MXリン酸塩、0.25mlエチレングリコールモノメチルエステル、10mgファースト(Fast)レッドTR)とともに1時間室温でインキュベートすることによって表示させる。
【0152】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で培養した細胞は、両時間間隔で対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照培養物と比較した場合、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示した(図1)。
【0153】
培養したラット胎児骨において
19日齢のラット胎児の長骨を単離し、100μMグリセロリン酸塩及び/又は本発明の抽出物の存在下で、48時間、BGJb培地中で培養し、次に、0.1% Triton−100を含む50mM Tris(pH7.5)の9容積中でホモジナイズされる。ホモジネートを5000rpm、10分間、4℃で遠心分離される。上清を酵素溶液として用いる。アルカリホスファターゼの活性は、ALPキット(Roche,ドイツ)及びp−ニトロフェノールホスフェートを基質として用いて測定される。
【0154】
全体のアルカリホスフェート活性は、骨を処理したβ−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性におけるたった28%増加と比較すると、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で58%に高くなることが判明した(表1)。
【0155】
【表1】
【0156】
細胞増殖についてのMTTアッセイ
初代骨芽細胞の細胞培養
MTTアッセイは、細胞増殖を評価するために通常用いられているアッセイであり、そこでは、テトラゾリウム塩は、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によってホルマゾン結晶に還元され、次にDMSOに溶解させる。代謝的に活性な細胞数が増すと、形成されるホルマゾン結晶が多くなる。簡単には、骨芽細胞は、96ウェルプレート中で、10%FCS及び1%抗生物質溶液を補足されたα−MEM培地中に維持される。細胞が40%コンフルエントに達したとき、2%FCSを補足された培地中で薬物の有無において24時間処理される。24時間後、MTT塩が細胞に添加される。4時間後、形成されるホルマゾン結晶をDMSOに溶解し、570nmの波長で読み取りを行う。
【0157】
0.05(330%)及び0.1(361%)濃度での抽出物は、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導した(表2)。
【0158】
【表2】
【0159】
イシカワ及びMCF−7細胞株
しかしながら、骨発生濃度(0.05%及び0.1%)の抽出物は、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)及びMCF−7(ヒト乳癌)細胞株には何ら増殖効果は示さなかった。対照的に、エストラジオール−17β(10nM及び1μM)は、MCF−7及びイシカワ細胞の両方の増殖において顕著な増加を誘導し、ラロキシフェン(10nM及び1μM)の場合では、増殖増加はイシカワ細胞株にだけ観察され、子宮/子宮内膜レベルでのその報告されているエストロゲン性作用を確認した(図2)。抽出物による骨芽細胞の増殖効果を示唆しながら、これらの知見は、子宮内膜及び乳房レベルでの抽出物のいずれかのエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示し、したがって、ERT/HRT関連の健康被害を欠いているべきである。
【0160】
コラーゲン−Iの発現
コラーゲン−I(骨芽細胞の増殖及び分化の指標)の発現における2.5倍を超える増加もまた、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kgの経口服用後の72時間で21日齢のラットの頭蓋冠に明らかになった。ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHに対する処理の効果はなかった(図3)。
【0161】
b)細胞外マトリックス成熟段階
オステオカルシンの発現
これは、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加と関連した(図4)。
【0162】
c)鉱化
骨芽細胞のアリザリンレッド染色
細胞は、96ウェルプレート中のプラスチックのカバースリップ(6mm、Thermanox,Nunc,米国)上に播種し、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培養液で処理される。24時間及び48時間後、細胞培養物を冷却したPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノールで1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)で30分間染色し、次に、PBS中で洗浄して、過剰の染料を除去する。
【0163】
ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物は、より高い強度のアリザリンレッド染色を示し、これは、対応するビヒクル対照に比べて、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新生カルシウムの沈着増加を示し、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下、インビトロでの鉱化の増加率を表す(図5)。
【0164】
von Kossa銀染色:インビトロでのカルシウム沈着検出
プラスチックのカバースリップ上の播種した細胞は、最終濃度0.1%でブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の有無で7日間培養され、von Kossa銀染色で染色した。ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物は、対照とするβ−グリセロリン酸ナトリウムそのもので処理されたか又はビヒクル対照培養物と比較して、より高い強度の染色及び細胞増殖を示し、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下、インビトロでの鉱化の増殖率を表す(図6)。
【0165】
骨小塊形成アッセイ
von Kossa銀染色
細胞を96ウェルプレート中でプラスチックのカバースリップ(6mm、Thermanox、Nunc、米国)上に播種され、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培地を用いて処理された。培地は、隔日ごとに取り替えた。培養の終結時に、細胞をPBSで2回洗浄し、リン酸バッファーホルマリン中で10分間固定し、水で1回洗浄し、70% 95%及び100%エタノール(各2回)で連続して脱水し、空気乾燥させる。次に、プレートは、水に対して100%、95%、80%で再水和される。硝酸銀(2%溶液)を添加し、プレートを日光に30分間晒し、その後、水でリンスする。チオ硫酸ナトリウム(5%)を添加し、3分間、プレートを水中でリンスする。
【0166】
15日及び25日間、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物を用いて処理された培養物中に鉱化した小塊の増加兆候が見られ、新しい骨形成の比率の増加を示す(図7)。
【0167】
アリザリンレッド染色
細胞を96ウェルプレート中で無菌の骨スライス上に播種され、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足したα−MEMを含む培地を用いて処理される。培地は、隔日ごとに取り替えた。培養の終結時に、細胞をPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノールで1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)で30分間染色し、次に、PBS中で洗浄して過剰な染料を取り除く。より高い強度の色が、抽出物の存在下、培養物中で認められ、新骨形成の比率の増加を示す(図8)。
【0168】
ニワトリ退治骨培養アッセイ
Raisz(Nature 197:1015−1016,1963)の方法を僅かに変更して採用した。大腿骨は、11日後の排卵にニワトリ胚から単離し、実体顕微鏡でドライWhatman(I)フィルターペーパー上で各骨を注意深く回転させることによって付着している結合組織を取り除く。次に、各大腿骨は、ペニシリン(0.075mg/ml)、ストレプトマイシン(0.05mg/ml)、HEPES(2.382mg/ml)及びBSA(1mg/ml)を補足したBGJb培地(pH7.3)中で培養する前に1滴のPBSに置き、45CaCl2(0.5μCi/300μl培地)を含むBGJb培地に移し、2時間37℃で、空気中5%CO2下でインキュベートされる。その後、標識した大腿骨は、24時間37℃で、空気中5%CO2下でBGJb培地で洗浄される。培地のアリコートは、最初の24時間、骨から培地に放出された45Caの測定のために取り出される。次に、標識した骨は、副甲状腺ホルモン(0.4μM)を含むBGJb培地に移し、BGJb培地中の薬物又はビヒクルの有無において96時間追跡培養される。適切な溶媒は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸バッファー、エタノール、DMSO(最終濃度0.1%)のような溶媒を単独で又はそれらの適切な組合せから選択される。
【0169】
各胎児の反対側の大腿を対応する対照として用いる。各ウェル中でそれぞれ処理された培地を48時間後に取り替える。培地のアリコートは、処理の24、48及び96時間で骨から培地に放出された45Caの測定について取り出された。96時間で培養を終了し、骨を0.1N HClに24時間移す。培養の24、48及び96時間で回収した使用済みの培地及び培養96時間でのHCl抽出物における45Caによる放射活性は、シンチレーション液(ACS IIシンチレーションカクテル、Amersham Biosciences,英国)の10ml中においてLiquid Scintillation Spectrophotometerによって定量される。この試験手順は、骨形成並びに薬物の抗再吸収活性を測定するために用いられた。
【0170】
骨形成活性
骨形成活性は、下記の式:
骨形成活性(cpm)=A×(A/B)1/2×45Caとの24時間インキュベーション中に骨に取り込まれた全放射活性
によって表現され、ここで、全放射活性は、最初の24時間のインキュベーション中に培地に放出された45Ca+24〜96時間のインキュベーション中に培地に放出された45Ca+大腿に残存している45Caを意味する。A及びBは、それぞれ培養の24及び96時間での骨に残存している45Caの割合である。
【0171】
上記の試験手順に従って、その効果的な骨発生濃度を採用している抽出物は、≦0.5のT/C比によって明らかなように骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)。単一に近いT/C比は、何れかの骨形成活性の欠損を示す。骨発生剤である副甲状腺ホルモン(PTH;アミノ酸1−34)は、正の対照として採用した。上記の試験手順における活性は、本発明の抽出物が骨形成の速度の減少によって引き起こされる骨粗鬆症の治療及び骨折治癒のための骨形成剤として有用である。
【0172】
【表3】
【0173】
骨の抗再吸収活性
骨の抗再吸収活性は、培地中に放出された45Caの割合として表され、本発明の薬物の効果は、対応する反対側の対照の割合又は下記に示されるT/C比として表される。既知の抗再吸収剤であるラロキシフェン及びエストラジオール−17βは、正の対照として用いられた。単一に近いT/C比は、任意の再吸収活性の欠損を示す。
T/C比=(PTH+試験薬物の存在下での45Ca再吸収)/(PTH+ビヒクルの存在下での45Ca再吸収)
【0174】
上記の試験手順に従って、効果的な骨発生の濃度を採用又は投与した場合の本発明の抽出物は、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下での0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/Cである培養中のニワトリ胎児骨からのPTH誘導の45Caの再吸収を阻害しなかった(表4)。
【0175】
【表4】
【0176】
インビボでの骨発生活性
21日齢の未成熟雌性Sprague−Dawleyラットを無作為に選び、30日間連続して経口経路で、抽出物又はビヒクル(蒸留水中のアカシアゴム)の1000mg/kgの毎日の服用によって処理した。骨形成の評価に関しては、骨ミネラル密度(BMD)測定、機械強度及びヒストモルホメトリーによって行った。動物を31日で解剖し、腰椎、大腿及び脛骨を単離し、洗浄し、生理食塩水中の70%エタノールで固定、BMD測定まで−20℃で保存される。BMD測定は、対象とする同一部分(腰椎:広範囲、L1−L4;大腿:広範囲、頸部及び骨幹中央部;脛骨:広範囲、近接及び脛腓分離点に約2mm近い領域)を用いて、Hologicヒドロキシアパタイトの擬人化された脊椎像で毎日較正させるHologic QDR−4500Aファン−ビーム密度測定上で、製造業者によって提供された小動物用のソフトウェア及び1mm/秒のスキャンスピード(4ライン/mm)を用いて行った(表5)。これらのラットの骨折及び第3要椎の圧縮に対する三点曲げ試験を用いた大腿骨の機械特性は、TK252Cムロマチ骨強度テスターを用いて試験した(表6)。ヒストモルホメトリーに関しては、各ラットは、処理の開始時にテトラサイクリン、及び処理の完了時にカルセインを投与され、脱灰されていない骨を切片にし、UV光でテトラサイクリン標識、及びオレンジフィルターでカルセインを視覚化した。テトラサイクリン及びカルセインは、カルシウム探索剤である(図9)。各ラットの最初と最後の体重及び子宮重量も解剖時に記録した(表7)。
【0177】
骨ミネラル密度測定
連続して30日間、1000mg/kgの毎日の服用による抽出物の経口投与は、対応するビヒクル対象グループと比較すると未成熟の雌性Sprague−Dawleyラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域のBMDが顕著に増加した(表5)。
【0178】
【表5】
【0179】
機械特性
抽出物を用いて処理された成熟ラットの骨は、TK252Cムロマチ骨強度テスターを用いた骨折及び第3要椎の圧縮のための三点曲げ試験により大腿骨を折るのに必要なより大きな力によって明らかにされるようにより高い機械強度を示す(表6)。
【0180】
【表6】
【0181】
最終力は、骨折のための三点曲げ試験を用いた限界点での最大力である。
【0182】
テトラサイクリン及びカルセインラベリング
抽出物(1000mg/kg、30日間、po)を用いて処理された成熟ラットの大腿骨及び脛骨はまた、処理の開始時のカルシウム探索薬物であるテトラサイクリン、及び処理の完了時のカルセインの投与、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルター下でのカルセインの視覚化を含む二重ラベリング技術によって明らかにされるように骨形成の増加率を示した(図9)。
【0183】
体重及び子宮重量
体重又は子宮重量における年齢に関連した増加の割合における抽出物の鉱化はない(表7)。見解は、ラットにおける試験された服用量及びスケジュールでの抽出物のいずれかのエストロゲンアゴニスト活性の欠損を示唆する。
【0184】
【表7】
【0185】
ホルモン特性
エストロゲンアゴニスト活性
ブテア・モノスペルマの樹皮、葉及び種子のエタノール抽出物及び画分のエストロゲンアゴニスト活性は、双方卵巣摘出された未成熟ラットにおいて評価された。試験薬物は、経口経路によって連続して3日間、1日1回投与され、対応するビヒクル対照グループと比較した子宮重量増加を測定した。17α−エチニルエストラジオールは、参照標準として用いられた。この植物の樹皮(7%)、枝(23%)及び葉(44%)のエタノール抽出物は、ごく僅か〜弱い子宮肥大効果を示した。対照的に、この植物の種子のエタノール抽出物は、子宮の生体重における顕著な増加(433%)を誘導し、この効果は、17α−エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものにほとんど匹敵した。また、ごく僅か〜弱い子宮増加率は、樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性画分において観察された(表8)。
【0186】
【表8】
【0187】
エストロゲンアンタゴニスト活性
ブテア・モノスペルマの樹皮、葉及び種子のエタノール抽出物及び画分のエストロゲンアゴニスト活性の評価については、双方卵巣切除された未成熟ラットは、経口経路によって連続して3日間、1日1回、試験薬物及び0.01g/kgの毎日の服用のエチニルエスとラジオールを用いて処理された。最終処理後の解剖24時間で、エチニルエストラジオール誘導の子宮重量増加における阻害を測定した。1000mg/kgの毎日の服用でブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物は、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用を用いて観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じさせた(表9)。
【0188】
【表9】
【0189】
B.ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物の画分の生物学的評価
パラメータとして48時間培養した初代骨芽細胞によるアルカリホスファターゼの発現を用いて、有望な骨芽細胞増殖活性は、抽出物のn−ブタノール可溶性格物に局在化していた。中程度の活性はまた、クロロホルム可溶性画分に観察され、ヘキサン及び水溶性画分は不活性であった(図10)。
【0190】
C.ブテア・モノスペルマのエタノール抽出物のクロロホルム及びn−ブタノール可溶性画分から単離された化合物の生物学的評価
インビトロでの骨芽細胞増殖及び鉱化に対するアルカリホスファターゼ発現及びMTTアッセイに基づいて、有望な骨発生活性は、6個の化合物、K051、K052、K054、K080、K082(n−ブタノール可溶性画分から単離された)及びK095(クロロホルム可溶性画分から単離された)において観察された(図11−15;表10−11)。
【0191】
【表10】
【0192】
アルカリホスファターゼ活性の評価
p−ニトロフェノールホスフェートは、無色の基質であり、アルカリホスファターゼ酵素によって着色したp−ニトロフェノールに加水分解される。p−ニトロフェノールホスフェートの加水分解速度は、試料中に存在する酵素に比例する。アルカリホスファターゼ(ALP)活性の発現に関して、プラスチックのカバースリップ(直径6mm)上に播種された骨芽細胞(約104)は、試験薬物の有無により48時間インキュベートされ、ホルマリン中で固定され、アルカリホスファターゼ渇しは、ALP基質溶液(5mgナフトールAS−MXホスフェート、0.25mlエチレングリコールモノメチルエーテル、10mg FastレッドTR、0.1M TBS 24ml中、pH9,5)とともに1時間室温でインキュベーションすることにより提示される。見解は、純粋な化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、対応するビヒクル対照グループと比較すると、10-11M〜10-5Mの濃度ハイブリダイゼーションにで、骨芽細胞の文化マーカーであるアルカリホスファターゼの発現を増加させたことを表す(図11、表10)。
【0193】
細胞増殖に対するMTTアッセイ
このアッセイは、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によって、テトラゾリウム塩を還元してホルマゾン結晶を形成する生存細胞の能力に基づく。MTTアッセイでは、骨芽細胞は、96ウェルプレートに10%FCS及び1%抗生物質溶液を補足したα−MEM培地に維持される。細胞が40%コンフルエントに達したとき、2%FCSを補足した培地中の試験薬物の有無により、24時間処理される。24時間後、MTT円を細胞に添加する。4時間後、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によるテトラゾリウム塩の還元によって形成されるホルマゾン結晶をDMSOに溶解させ、570nmの波長で読み取りを行った。5個全ての純粋な化合物K051、K052、K054、K080及びK095は、ビヒクル対照グループと比較して、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で24時間後、骨芽細胞の細胞増殖を増加させた。これらのうち、化合物K052が最も強力であることが分かり、順にK080、K095、K051及びK054であった(図12、表11)。
【0194】
【表11】
【0195】
鉱化の定量
骨芽細胞における新生カルシウムの沈着増加を用いて測定される鉱化の定量に関しては、試験化合物の存在下で7日間、細胞を培養し、アリザリンレッドで染色した。アリザリンレッドは、酢酸で抽出され、鉱化の程度に正比例する染色強度を405nmで読む。結果は、ビヒクル対照グループと比較すると、6個全ての純粋な化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095は、アリザリン抽出法によって定量されるように鉱化を増加させた(図13)。
【0196】
無菌のウシ骨スライス上に播種した骨芽細胞の場合では、細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン−ストレプトマイシン、非必須アミノ酸溶液、ピルビン酸ナトリウム、10mM β−グリセロリン酸塩及び50μg/mlアスコルビン酸を補足されたα−MEM中で、試験化合物又はそれらの混合物の有無により、96ウェルプレートで培養される。培地は、二日ごとに取り替える。15日後の培養の終了時に、細胞をPBSで2回洗浄し、冷却した70%エタノール中で1時間固定し、水で1回洗浄し、40mMアリザリンレッド(pH4.7)を用いて30分間染色し、次にPBS中で洗浄して、過剰の染料を取り除く。結果は、新骨形成の増加率を示す色のより高い強度が5個全ての試験化合物及びそれらの混合物の存在下の培養物中に明らかとなった。K095が最も強力であることが分かった(図14及び15)。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で、24時間及び48時間培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ活性の発現。
【図2】MTTアッセイによるイシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株におけるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の増殖活性。
【図3】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲンIの発現の転写レベル。
【図4】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるオステオカルシンの発現の転写レベル。
【図5】アリザリンレッド染色によるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下での24時間及び48時間培養した骨芽細胞における新しいカルシウムの沈着。
【図6】von Kossa銀染色によるブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で7日間培養した骨芽細胞における鉱化。
【図7】von Kossa銀染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下で15日及び25日間培養した骨芽細胞によるインビトロでの小塊形成。
【図8】アリザリンレッド染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の存在下での18日及び30日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞によるインビトロでの鉱化及び小塊形成。
【図9】テトラサイクリン及びカルセイン標識を用いて、30日間ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の1000mg/kg服用量で処理した未成熟ラットの大腿及び脛骨における骨の付加(apposition)率。
【図10】ブテア・モノスペルマの樹皮のエタノール抽出物の種々の画分の存在下での48時間培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ発現。
【図11】ブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で培養した骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ活性の定量。
【図12】MTTアッセイを用いたブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で24時間培養した骨芽細胞増殖。
【図13】酢酸抽出によるブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した様々な濃度の純粋な化合物の存在下で7日間培養した骨芽細胞における鉱化の定量。
【図14】アリザリンレッド染色後、ブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した純粋な化合物の存在下で15日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞によるインビトロでの鉱化。
【図15】アリザリンレッド染色後、等モル濃度で混合したブテア・モノスペルマの樹皮の活性なエタノール抽出物から単離した純粋な化合物の存在下で15日間、ウシ骨スライス上で培養した骨芽細胞のインビトロでの鉱化。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨障害の予防又は治療のために医薬組成物であって、治療的に有効量の、ブテア(Butea)種から得られた抽出物(単数または複数)若しくは画分(単数または複数)、あるいはこれらから若しくは他の天然資源から単離されたか又は合成された式1:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ基からなる群から選択される)
で表される化合物類、それらの類似体若しくは塩を単独で又は1〜10の範囲の比率でいずれかの組合せにより含み、場合により医薬として許容される賦形剤を含む前記医薬組成物。
【請求項2】
使用される化合物(単数または複数)が、式K051、K052、K054、K080、K082、K095:
【化2】
によって表される化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記複数の化合物が、単独で、又は割合、モル濃度若しくはパーセント収率に基づく1〜10の範囲の比率の組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
化合物K051及びK052が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
化合物K051、K052及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
化合物K054及びK080が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
化合物K051、K052及びK080が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
単独又は組合せで使用される各化合物の濃度が、好ましくは0.1μMである(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
使用される医薬希釈剤が、単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
使用される医薬賦形剤が、
[a]単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される希釈剤;
[b]単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される結合剤;
[c]単独又は適切な組合せで、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される崩壊剤;
[d]単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される潤滑剤;
[e]単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される流動促進剤;
[f]単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される甘味剤;
[g]単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される香味剤;
[h]単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される湿潤剤;
[i]単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される吸収剤;及び
[j]単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される溶液緩染剤
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の有効服用量が、0.1〜5000mg/kg体重、好ましくは1mg〜500mg/kg体重の範囲であり、毎日、週に2回、毎週又はより多くの分割した服用量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、骨粗鬆症、骨喪失、骨形成、骨折治癒、成長期に投与された場合のより高いピークの骨量の到達、及びインビトロ/インビボでの新骨形成の促進によって引き起こされるいずれかの疾患及び症候群であってもよい骨障害の予防又は治療に有用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
樹皮(stem bark)のエタノール抽出物が、24時間及び48時間の時間間隔で、対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照の骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示す(図1)、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
β−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性の28%増加と比較して、58%のより高い全体のアルカリホスファターゼ活性を示すエタノール抽出物が骨を治療する(表1)、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
樹皮のエタノール抽出物が、0.05%及び0.1%の濃度で、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導し、ここで、生存細胞の割合は、ビヒクル対照グループの生存率を100%として比較すると、それぞれ330%及び361%である(表2)、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
しかしながら、その骨発生(osteogenic)濃度(0.05%及び0.1%)の樹皮のエタノール抽出物が、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株に対していずれの増殖効果を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記抽出物の骨芽細胞に特異的な増殖効果が、子宮内膜及び乳房レベルで該抽出物の任意のエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
樹皮のエタノール抽出物が、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲン−1(骨芽細胞の増殖及び分化のマーカー)の発現において2.5倍を超える増加を示す(図3)、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
樹皮のエタノール抽出物が、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加を示す(図4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
樹皮のエタノール抽出物が、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対して処理の効果を示さない(図3及び4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
樹皮のエタノール抽出物が、インビトロで鉱化の比率増加を示し、ここで、アリザリンレッド染色のより高い強度は、対応するビヒクル対照と比較して、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新生(nascent)カルシウムの沈着増加を示す(図5)、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
樹皮のエタノール抽出物が、0.1%の濃度で、それ自体で処理される対応するβ−グリセロリン酸ナトリウム又はビヒクル対照培養物と比較して、インビトロで7日間培養した骨芽細胞における鉱化の比率増加を示す(図6)、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
15日及び25日間、樹皮のエタノール抽出物で処理した骨芽細胞の培養物における鉱化した小塊の発生率の増加が、新骨形成の速度増加を示す(図7)、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
アリザリン染色のより高い強度が、18日及び30日間、樹皮のエタノール抽出物の存在下で無菌のウシの骨スライス上で長期間培養した骨芽細胞で明らかである(図8)、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
有効な骨発生濃度を採用した場合の樹皮のエタノール抽出物が、トリ胎児骨培養アッセイにおいて、0.5以下のT/C比によって明らかにされる骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
有効な骨発生濃度を採用又は投与した場合のエタノール抽出物が、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下で、0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/C比である培養中のトリ胎児骨からの45CaのPTH誘導の再吸収を阻害しない(表4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与した場合のエタノール抽出物が、対応するビヒクル対照グループと比較して、未成熟の雌性スプラギュー・ドーリー(Spraque−Dawly)ラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域の骨ミネラル密度(BMD)を顕著に増加する(5%〜65%)(表5)、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記抽出物で処理された未成熟ラットの骨はまた、TK252Cムロマチ(Muromachi)骨強度テスターを用いて、第3腰椎の骨折及び圧迫のための3点曲げを使用した大腿骨を破壊するために必要とされるより大きな力によって明らかにされるように、より高い機械的強度も示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与した場合のエタノール抽出物が、カルシウム探索薬物である、処理初期時のテトラサイクリン及び処理終結時のカルセインの投与を伴う二重ラベリング技術、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルターでのカルセインの視覚化によって明らかにされるように、新骨形成を顕著に増加する(図9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
樹皮のエタノール抽出物が、卵巣切除した未成熟ラットにおいて3日間、及び無傷の未成熟ラットにおいて30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で投与した場合、子宮レベルでいずれかのエストロゲンアゴニスト作用を欠損している、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
未成熟ラットにおける体重及び子宮重量の年齢に関連した増加率に対する樹皮のエタノール抽出物の効果がない、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
種子のエタノール抽出物を含む組成物が、エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものと比較して、未成熟ラットのバイオアッセイにおける子宮の生重量の顕著な増加(433%)によって明らかにされるように、強力なエストロゲンアゴニスト活性を示す(表8)、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
卵巣切除した未成熟ラットへの連続3日間投与した1000mg/kgの毎日の服用量での樹皮のエタノール抽出物が、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用量で観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール(0.01mg/kg/日)誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じる(表9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
ブテア種が、ブテア・モノスペルマ(Butea monosperma)、ブテア・パルビフロラ(Butea parviflora)、ブテア・ミノル(Butea minor)及びブテア・スペルバ(Butea superba)からなる群から選択され、好ましくはブテア・モノスペルマである、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
ブテア・モノスペルマから使用される植物部分が、樹皮、枝、葉、花、種子からなる群から選択され、好ましくは樹皮である、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
生理活性抽出物/画分が、アルコール抽出物、クロロホルム可溶性画分、n−ブタノール可溶性画分からなる群から選択される(図1〜10;表1〜9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性及びクロロホルム可溶性画分が、48時間で、対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示す(図10)、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、対応するビヒクル対照グループと比較した場合、プラスチック・カバースリップ(直径6mm)上に播種され、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で48時間インキュベートされた骨芽細胞において、アルカリホスファターゼ(骨芽細胞の分化マーカー)の発現を増加させる(図11、表10)、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、MTTアッセイにおいてビヒクル対照群と比較した場合、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で、24時間後の骨芽細胞の細胞増殖を増大する(図12、表11)、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095が、7日間培養され、アリザリン抽出法によって定量された骨芽細胞において、新生カルシウムの沈着増加によって明らかにされるように鉱化を増加する(図13)、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095を単独又は組合せで用いて、15日間、96ウェルプレートで無菌のウシの骨スライス上で培養した骨芽細胞において新骨形成の比率増加を示すアリザリンレッド染色の強度を増加する(図14及び15)、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
請求項1に記載されるブテア種からの生物活性画分を調製する方法であって、
a)アルコール溶媒中に粉末の植物部分を浸し、慣習的な方法によって溶媒を濃縮して、アルコール抽出物を得ること;
b)工程(a)から得られたアルコール抽出物をヘキサンで粉砕し、ヘキサン可溶性画分及びヘキサン不溶性画分を得ること;
c)ヘキサン不溶性画分をクロロホルムで粉砕し、クロロホルム可溶性画分及びクロロホルム不溶性画分を得ること;
d)クロロホルム可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K084、K090、K095、K103、K105、K113、K115を得ること;
e)クロロホルム不溶性画分をn−ブタノール及び水で分割し、n−ブタノール可溶性画分及び水性画分を得ること;
f)n−ブタノール可溶性画分に繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K010、K039、K040、K051、K052、K053,K054、K064、K080、K082、K098、K111を得ること
を含む前記方法。
【請求項45】
抽出に使用されるアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール又はそれらの適切な混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
化合物の単離に使用されるクロマトグラフィー法が、カラム、フラッシュ、中圧及びHPLCから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等からなる医薬として許容される塩に転換することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
場合により医薬として許容される賦形剤とともに、請求項1に記載される医薬組成物を、必要とする被験者に投与する工程を含む、骨障害の予防又は治療のための方法。
【請求項49】
前記組成物が、経口、経皮、筋内、腹腔内、静脈、局所から選択される経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、1〜5000mg/kg体重の範囲の服用量で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が、錠剤、シロップ、粉末、カプセル、懸濁液、溶液、軟膏、混合物の形態で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
骨障害の予防又は治療のために医薬組成物であって、治療的に有効量の、ブテア(Butea)種から得られた抽出物(単数または複数)若しくは画分(単数または複数)、あるいはこれらから若しくは他の天然資源から単離されたか又は合成された式1:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ基からなる群から選択される)
で表される化合物類、それらの類似体若しくは塩を単独で又は1〜10の範囲の比率でいずれかの組合せにより含み、場合により医薬として許容される賦形剤を含む前記医薬組成物。
【請求項2】
使用される化合物(単数または複数)が、式K051、K052、K054、K080、K082、K095:
【化2】
によって表される化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記複数の化合物が、単独で、又は割合、モル濃度若しくはパーセント収率に基づく1〜10の範囲の比率の組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
化合物K051及びK052が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
化合物K051、K052及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
化合物K054及びK080が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
化合物K051、K052及びK080が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095が、単独で、又はモル濃度、パーセント収率、等しい若しくは任意の割合、好ましくは等しい割合に基づいた組合せで使用される(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
単独又は組合せで使用される各化合物の濃度が、好ましくは0.1μMである(図11〜15、表10〜11)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
使用される医薬希釈剤が、単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
使用される医薬賦形剤が、
[a]単独又は適切な組合せで、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、スクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される希釈剤;
[b]単独又は適切な組合せで、トラガントゴム、アカシアゴム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スターチ又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される結合剤;
[c]単独又は適切な組合せで、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸塩、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトタピオカスターチ、プリモゲル又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される崩壊剤;
[d]単独又は適切な組合せで、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸塩、タルク、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される潤滑剤;
[e]単独又は適切な組合せで、コロイド状二酸化ケイ素又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される流動促進剤;
[f]単独又は適切な組合せで、スクロース、サッカリン又は類似の性質を有する任意の他の成分から選択される甘味剤;
[g]単独又は適切な組合せで、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレイバー、バニラ・フレイバー又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される香味剤;
[h]単独又は適切な組合せで、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される湿潤剤;
[i]単独又は適切な組合せで、カオリン、ベントナイト・クレイ又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される吸収剤;及び
[j]単独又は適切な組合せで、ワックス、パラフィン又は任意の他の医薬として許容されるフレイバーから選択される溶液緩染剤
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の有効服用量が、0.1〜5000mg/kg体重、好ましくは1mg〜500mg/kg体重の範囲であり、毎日、週に2回、毎週又はより多くの分割した服用量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、骨粗鬆症、骨喪失、骨形成、骨折治癒、成長期に投与された場合のより高いピークの骨量の到達、及びインビトロ/インビボでの新骨形成の促進によって引き起こされるいずれかの疾患及び症候群であってもよい骨障害の予防又は治療に有用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
樹皮(stem bark)のエタノール抽出物が、24時間及び48時間の時間間隔で、対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照の骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示す(図1)、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
β−グリセロリン酸ナトリウムそれ自体の存在下での酵素活性の28%増加と比較して、58%のより高い全体のアルカリホスファターゼ活性を示すエタノール抽出物が骨を治療する(表1)、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
樹皮のエタノール抽出物が、0.05%及び0.1%の濃度で、対応するビヒクル対照グループと比較すると、培養中の初代骨芽細胞の顕著な増殖を誘導し、ここで、生存細胞の割合は、ビヒクル対照グループの生存率を100%として比較すると、それぞれ330%及び361%である(表2)、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
しかしながら、その骨発生(osteogenic)濃度(0.05%及び0.1%)の樹皮のエタノール抽出物が、イシカワ(ヒト子宮腺上皮癌腫)又はMCF−7(ヒト乳癌)細胞株に対していずれの増殖効果を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記抽出物の骨芽細胞に特異的な増殖効果が、子宮内膜及び乳房レベルで該抽出物の任意のエストロゲンアゴニスト作用の欠損を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
樹皮のエタノール抽出物が、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠におけるコラーゲン−1(骨芽細胞の増殖及び分化のマーカー)の発現において2.5倍を超える増加を示す(図3)、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
樹皮のエタノール抽出物が、1回の1000mg/kg経口服用の72時間後、21日齢ラットの頭蓋冠における細胞外マトリックス成熟のマーカーであるオステオカルシンの発現において5倍を超える増加を示す(図4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
樹皮のエタノール抽出物が、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対して処理の効果を示さない(図3及び4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
樹皮のエタノール抽出物が、インビトロで鉱化の比率増加を示し、ここで、アリザリンレッド染色のより高い強度は、対応するビヒクル対照と比較して、24時間及び48時間の両方で骨芽細胞における新生(nascent)カルシウムの沈着増加を示す(図5)、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
樹皮のエタノール抽出物が、0.1%の濃度で、それ自体で処理される対応するβ−グリセロリン酸ナトリウム又はビヒクル対照培養物と比較して、インビトロで7日間培養した骨芽細胞における鉱化の比率増加を示す(図6)、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
15日及び25日間、樹皮のエタノール抽出物で処理した骨芽細胞の培養物における鉱化した小塊の発生率の増加が、新骨形成の速度増加を示す(図7)、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
アリザリン染色のより高い強度が、18日及び30日間、樹皮のエタノール抽出物の存在下で無菌のウシの骨スライス上で長期間培養した骨芽細胞で明らかである(図8)、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
有効な骨発生濃度を採用した場合の樹皮のエタノール抽出物が、トリ胎児骨培養アッセイにおいて、0.5以下のT/C比によって明らかにされる骨形成を促進することによって正の応答を示す(表3)、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
有効な骨発生濃度を採用又は投与した場合のエタノール抽出物が、100μM濃度のラロキシフェン及びエストラジオール−17βの存在下で、0.66及び0.37のT/C比と比較して、1.34のT/C比である培養中のトリ胎児骨からの45CaのPTH誘導の再吸収を阻害しない(表4)、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与した場合のエタノール抽出物が、対応するビヒクル対照グループと比較して、未成熟の雌性スプラギュー・ドーリー(Spraque−Dawly)ラットの腰椎、大腿及び脛骨の全ての領域の骨ミネラル密度(BMD)を顕著に増加する(5%〜65%)(表5)、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記抽出物で処理された未成熟ラットの骨はまた、TK252Cムロマチ(Muromachi)骨強度テスターを用いて、第3腰椎の骨折及び圧迫のための3点曲げを使用した大腿骨を破壊するために必要とされるより大きな力によって明らかにされるように、より高い機械的強度も示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
連続30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で経口投与した場合のエタノール抽出物が、カルシウム探索薬物である、処理初期時のテトラサイクリン及び処理終結時のカルセインの投与を伴う二重ラベリング技術、脱灰していない骨の切片化、並びにUV光でのテトラサイクリンラベル及びオレンジフィルターでのカルセインの視覚化によって明らかにされるように、新骨形成を顕著に増加する(図9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
樹皮のエタノール抽出物が、卵巣切除した未成熟ラットにおいて3日間、及び無傷の未成熟ラットにおいて30日間、1000mg/kgの毎日の服用量で投与した場合、子宮レベルでいずれかのエストロゲンアゴニスト作用を欠損している、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
未成熟ラットにおける体重及び子宮重量の年齢に関連した増加率に対する樹皮のエタノール抽出物の効果がない、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
種子のエタノール抽出物を含む組成物が、エチニルエストラジオールの0.01g/kgの毎日の服用によって誘導されるものと比較して、未成熟ラットのバイオアッセイにおける子宮の生重量の顕著な増加(433%)によって明らかにされるように、強力なエストロゲンアゴニスト活性を示す(表8)、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
卵巣切除した未成熟ラットへの連続3日間投与した1000mg/kgの毎日の服用量での樹皮のエタノール抽出物が、抗エストロゲン性ラロキシフェンの0.25mg/kgの毎日の服用量で観察された37%阻害と比較して、17α−エチニルエストラジオール(0.01mg/kg/日)誘導の子宮重量増加において4%阻害を生じる(表9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
ブテア種が、ブテア・モノスペルマ(Butea monosperma)、ブテア・パルビフロラ(Butea parviflora)、ブテア・ミノル(Butea minor)及びブテア・スペルバ(Butea superba)からなる群から選択され、好ましくはブテア・モノスペルマである、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
ブテア・モノスペルマから使用される植物部分が、樹皮、枝、葉、花、種子からなる群から選択され、好ましくは樹皮である、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
生理活性抽出物/画分が、アルコール抽出物、クロロホルム可溶性画分、n−ブタノール可溶性画分からなる群から選択される(図1〜10;表1〜9)、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
樹皮のエタノール抽出物のn−ブタノール可溶性及びクロロホルム可溶性画分が、48時間で、対応するビヒクル(エタノール:DMSO、50:50、v/v)対照骨芽細胞の培養物と比較すると、アルカリホスファターゼ染色においてより高い強度を示す(図10)、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、対応するビヒクル対照グループと比較した場合、プラスチック・カバースリップ(直径6mm)上に播種され、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で48時間インキュベートされた骨芽細胞において、アルカリホスファターゼ(骨芽細胞の分化マーカー)の発現を増加させる(図11、表10)、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
化合物K051、K052、K054、K080及びK095が、MTTアッセイにおいてビヒクル対照群と比較した場合、10-11M〜10-5Mの濃度範囲で、24時間後の骨芽細胞の細胞増殖を増大する(図12、表11)、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095が、7日間培養され、アリザリン抽出法によって定量された骨芽細胞において、新生カルシウムの沈着増加によって明らかにされるように鉱化を増加する(図13)、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
化合物K051、K052、K054、K080、K082及びK095を単独又は組合せで用いて、15日間、96ウェルプレートで無菌のウシの骨スライス上で培養した骨芽細胞において新骨形成の比率増加を示すアリザリンレッド染色の強度を増加する(図14及び15)、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
請求項1に記載されるブテア種からの生物活性画分を調製する方法であって、
a)アルコール溶媒中に粉末の植物部分を浸し、慣習的な方法によって溶媒を濃縮して、アルコール抽出物を得ること;
b)工程(a)から得られたアルコール抽出物をヘキサンで粉砕し、ヘキサン可溶性画分及びヘキサン不溶性画分を得ること;
c)ヘキサン不溶性画分をクロロホルムで粉砕し、クロロホルム可溶性画分及びクロロホルム不溶性画分を得ること;
d)クロロホルム可溶性画分を繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K084、K090、K095、K103、K105、K113、K115を得ること;
e)クロロホルム不溶性画分をn−ブタノール及び水で分割し、n−ブタノール可溶性画分及び水性画分を得ること;
f)n−ブタノール可溶性画分に繰り返しのクロマトグラフィーに供し、化合物K010、K039、K040、K051、K052、K053,K054、K064、K080、K082、K098、K111を得ること
を含む前記方法。
【請求項45】
抽出に使用されるアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール又はそれらの適切な混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
化合物の単離に使用されるクロマトグラフィー法が、カラム、フラッシュ、中圧及びHPLCから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸塩、アクリレート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ブロモ安息香酸塩、ヨード安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アルキル安息香酸塩、アルキルオキシ安息香酸塩、アルコキシカルボニル安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等からなる医薬として許容される塩に転換することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
場合により医薬として許容される賦形剤とともに、請求項1に記載される医薬組成物を、必要とする被験者に投与する工程を含む、骨障害の予防又は治療のための方法。
【請求項49】
前記組成物が、経口、経皮、筋内、腹腔内、静脈、局所から選択される経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、1〜5000mg/kg体重の範囲の服用量で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が、錠剤、シロップ、粉末、カプセル、懸濁液、溶液、軟膏、混合物の形態で使用される、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−536610(P2009−536610A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556868(P2008−556868)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000468
【国際公開番号】WO2007/099432
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000468
【国際公開番号】WO2007/099432
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】
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