説明

骨粗鬆症の治療のための副甲状腺ホルモン類似体

【課題】高い代謝安定能力と、骨再生活性を有し、骨粗鬆症の治療に効果的な、新規ヒト副甲状腺ホルモン類似体、およびそれを用いた医薬品を提供する。
【解決手段】ヒト副甲状腺ホルモンhPTH−(1−31)類似体であって、位置27がLysであり、又はAla、Tyr又はGlnにより置換されており、そしてラクタムを形成するためにGlu22とLys26との間で環化されている類似体、および該類似体を含み、温血動物に投与するための組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨粗鬆症の処理において効果的であることが見出されたヒト副甲状腺ホルモン類似体に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、年配の人、特に年配の女性における疾患の主な原因である。ヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)及び一定の類似体は、骨粗鬆症の治療において有用である骨成長の刺激物質であることが最近十分に理解されている。骨粗鬆症は、全体的な骨量を低下させ、そして骨ぜい弱性を増加させる進行性疾患である。これは、しばしば、負荷を受けた骨の自然的な破損、及び固定する損傷に特有な物理的及び精神的悪化をもたらす。閉経後骨粗鬆症は、古い骨の吸収と新しい骨の形成との間の不均衡の上昇を伴う骨ターンオーバーの長期間の促進を誘発するエストロゲンの消失により引き起こされる。
【0003】
これは、負荷を受けた骨の細弱化(thinning) 、有孔性(porosity) の上昇、及び柱状消耗(trabecular depletion) をもたらす。骨粗鬆症はまた、甲状腺機能亢進症、上皮小体機能亢進症、 Cushing's症候群、及び一定のステロイド薬物の使用にも関連している。
治療法は歴史的に、食物カルシウムの増加、エストロゲン治療、及びビタミンDの高用量使用を包含して来たが、しかし主に、破骨細胞による骨吸収を阻害する抗吸収剤のような剤の使用を包含して来た。
【0004】
副甲状腺ホルモン(PTH) は、副甲状腺により生成され、そして血液カルシウムレベルの主な調節物質である。 PTHは、ポリペプチドであり、そして合成ポリペプチドは、Erickson and Merrifield, The Proteins, Neurathなど., Eds., Academic Press, New York, 1976, p257 により開示される方法により調製され、そしてHodgesなど (1988) Peptide Research 1, 19又は Atherton, E. and Sheppard, R.C.Solid Phase Peptido Synthesis, IRL Press, Oxford, 1989の方法により修飾され得る。
【0005】
血清カルシウムが正常レベル以下に低下する場合、副甲状腺は PTHを放出し、そしてカルシウムレベルは、骨カルシウムの吸収により、腸からのカルシウムの吸収の増加により、及び腎管における発生尿(nascent urine)からのカルシウムの腎再吸収の上昇により高められる。連続して注入された低レベルの PTHは骨からカルシウムを除去するが、その同じ低い用量が、断続的に注入される場合、骨の生長を実際的に促進することができる。
【0006】
Tregear(アメリカ特許第 4,086,196号)は、ヒト PTH類似体を記載し、そして最初の27〜34個のアミノ酸がインビトロ細胞アッセイにおけるアデニルイルシクラーゼの刺激に関して最も効果的であることを特許請求している。Rosenblatt(アメリカ特許第 4,771,124号)は、 Trp23がアミノ酸フェニルアラニン、ロイシン、ノルロイシン、バリン、チロシン、β−ナフチルアラニン又はα−ナフチルアラニンにより置換されているhPTH類似体の PTHアンタゴニストとしての性質を開示した。それらの修飾されたhPTH類似体はまた、2〜6個の末端アミノ酸が除去され、骨粗鬆症を処理するために使用される場合、ほとんどのアゴニスト活性の損失をもたらす。それらの類似体は、 PTH及び PTH−関連ペプチドのインヒビターとして企画される。それらの類似体は、いくつかの腫瘍に関連する高カルシウム血症の処理においてたぶん有用であろうと主張された。
【0007】
Pangなど.(1993年4月15日に公開された WO 93/06845)は、多くのアミノ酸、たとえばアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン又はバリンによる Arg25, Lys26, Lys27の置換を包含するhPTHの類似体を記載した。それらは、血圧及び平滑筋に対する最小の効果を伴って、骨粗鬆症の処理において効果的であることを主張しているが、動物又はヒト試験からの支持データが存在しない。
【0008】
PTHは、2種の第2メッセンジャー系、すなわちGS−タンパク質で活性化されるアデニルイルシクラーゼ(AC)及びGq−タンパク質で活性化されるホスホリパーゼC の活性化を通して作動する。後者は、膜結合プロテインキナーゼCS (PKC) 活性の刺激をもたらす。 PKC活性は、 PTH残基29〜32を必要とすることが示された(Jouishommeなど. (1994) J.Bone Mineral Res. 9. 1179-1189)。骨成長の増強、すなわち骨粗鬆症の治療において有用である効果は、AC活性を高めるペプチド配列の能力に連係する(coupling) ことが確立されている。生来の PTH配列は、それらのすべての活性を有することが示されている。
hPTH-(1-34)配列は典型的には、下記(A)として示される:
Ser Val Ser Glu lle Gln Leu Met His Asn Leu Gly Lys His Leu Asn Ser Met Glu Arg Val Glu Trp Leu Arg Lys Lys Leu Gln Asp Val His Asn Phe-OH (A)
【0009】
データが下記表1に含まれる次の線状類似体、すなわち hPTH-(1-34)-NH2は、AC−刺激活性のみを有し、そして卵巣切除されたラットモデルにおける骨損失の回復において十分に活性であることが示された(Rixon, R.H.など(1994) J.Bone Miner.Res. 9, 1179-1189; Whitfieldなど(1996), Calcified Tissue Int. 58, 81-87; Willickなど、1996年9月17日に発行されたアメリカ特許第 5,556,940号);
Ser Val Ser Glu lle Gln Leu Met His Asn Leu Gly Lys His Leu Asn Ser Met Glu Arg Val Glu Trp Leu Arg Lys Lys Leu Gln Asp Val-NH2 (B)
【0010】
上記分子Bは、示されるアミド末端の代わりに遊離カルボキシル末端を有することができる。
より高い代謝安定能力、高められた骨再生活性、高められたAC活性、及び最小の臨床的副作用を有する新規 PTH類似体を製造することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0011】
本発明の1つの観点によれば、下記アミノ酸配列:
R-NH-R1-Val-Ser-Glu-lle-Gln-Leu-R2-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-R7-Glu-Arg-Val-R8--Trp-Leu-R9--R10--R11-Leu-R12-Asp--Y
【0012】
〔配列中、Rは水素、又は線状もしくは枝分れ鎖のアルキル、アシル又はアリール基であり、
R1はSer, Ala又は Aibであり、
R2は Met、又は天然に存在する疎水性アミノ酸であり、
R3は His、又は水溶性アミノ酸であり、
R4は Leu、又は水溶性アミノ酸であり、
R5は Asn、又は水溶性アミノ酸であり、
R6は Ser、又は水溶性アミノ酸であり、
R7は Met、又は天然に存在する疎水性アミノ酸であり、
R8はGlu, Lys又は Aspであり、
R9はCys, Glu又は Ornであり、
R10は Arg, Lys, Orn, Gln, Glu又は Aspであり、
R11は天然に存在する疎水性又は極性アミノ酸であり、
R12は Gln, Arg, Glu, Asp, Lys又は Ornであり、
【0013】
Xは OH, NH2であり、そして
Yは、X, Val-X, Val-His-X, Val-His-Asn-X, Val-His-Asn-Phe-X, Val-His-Asn-Phe-Val-X, Val-His-Asn-Phe-Val-Ala-X、及び Val-His-Asn-Phe-Val-Ala-Leu-Xであり、R3及びR6が Lys, Orn, Glu又は Aspである場合、1又は2つのアミノ酸対22と26との、26と30との、27と30との、及び25と29との間で環化され、但しシクロ (Lys26-Asp30)〔Leu27〕-hPTH-(1-34)-NH2、シクロ (Lys27-Asp30)-hPTH-(1-34)-NH2及びシクロ(Lys26-Asp30)-〔Leu27〕-hPTH-(1-34)-OH を除く〕を有するヒト副甲状腺ホルモンhPTH及び医薬的に許
容できるその塩が提供される。
【0014】
塩の例は、無機酸の塩、有機酸、たとえば蟻酸、酢酸、酒石酸及びクエン酸の塩、無機塩基、たとえばナトリウム及びアンモニウムの塩、及び有機塩基、たとえばトリエチルアミン、エチルアミン及びメチルアミンの塩を包含する。
本発明のもう1つの特徴によれば、環化は、選択されたアミノ酸対、たとえば天然の残基22と26との、又は26と30との間での側鎖のカップリングを包含するラクタムの形成によりもたらされる。他のタイプの環化、たとえば Cys含有類似体 Cys22-Cys26及び Cys26-Cys30間でのジスルフィド架橋の形成もまた、予想される。
【0015】
種々のアミノ酸の置換もまた、効果的であることが見出された。 Lys27は Leu又は種々の他の天然に存在する疎水性又は極性残基により置換され得る。他の要因は、残基が受容体に対していかによく適合するかである。 Alaは Leuのような疎水性ではない。 Lys及び Tyrは一般的に極性であると思われるが、しかしそれにもかかわらず、受容体との疎水性相互作用を有する。たとえば、 Lysは、疎水性部分が受容体中の他の疎水性残基と相互作用し、そして NH2が溶媒に対して暴露されるように折りたたむことができる。
【0016】
そのような置換は、オルニチン、シトルリン、α−アミノ酪酸、アラニン、ノルロイシン、イソロイシン及びチロシン、又は側鎖に2〜10個の炭素を有するいづれか線状又は枝分れ鎖のα−アミノ脂肪酸、脂肪族鎖の末端で極性又は荷電された基を有するいづれかのそのような類似体を包含する。極性又は荷電された基の例は、アミノ、カルボキシル、アセトアミド、グアニド及びウレイドを包含する。 Leu27は最良の置換であるように思われるが、多くの他の27位置換がほぼ完全な活性を保持し、そしてまた、所望の性質、たとえば高められたタンパク質分解安定能力又は水溶解性を有するように思われ、そして Ile、ノルロイシン、 Met及びオルニチンが最も活性であると思われる。
【0017】
この置換は、ホルモンの受容体−結合領域におけるα−ヘリックスの安定化をもたらす。これは、線状分子〔Leu27〕-hPTH-(1-31)-NH2の円二色性スペクトルに比較して、ラクタム類似体の円二色性スペクトルの試験により確かめられた。円二色性スペクトルはα−ヘリックス二次構造体の存在に対して非常に敏感であり、そしてこの技法は、hPTHフラグメントにおけるα−ヘリックスの存在を示すために使用されて来た(Neugebauerなど (1991) Biochemistry 31, 2056-2063) 。さらに、hPTH-(20-34)-NH2における上記ラクタムの形成に基づくα−ヘリックスの安定化が示されている(Neugebauerなど (1994) Int.J.Protein Res. 43, 555-562) 。 hPTH-(1-31)-NH2の残基21と31との間に実質的な両親媒性α−ヘリックスが存在し、そしてこのヘリックスの疎水性面が PTH受容体と相互作用することを示すデータが存在する(Neugebauer, W.など (1995) Biochemistry 34, 8835-8842; Gardella, T.J.など (1993) Endocrinology132, 2024-2030) 。
【0018】
最も効果的な環化は、たとえば残基 Glu22と Lys26との間、又は Lys26と Asp30との間でのラクタムの形成を包含する。他の環化はまた、 Lys27と Asp30との間でも可能であるが、但し、このラクタムはα−ヘリックスに対するいくらかの不安定化効果を示すことが見出されている。
より具体的には、 PTHフラグメントの受容体−結合研究は、残基14−34内の主要な結合領域を示した1。本発明者は、残基17−29のα−ヘリックスが PTH受容体に結合し、そしてこのα−ヘリックスの両親媒性部分が受容体に対してその疎水性面で結合することを示唆した2。このモデルは、受容体結合−領域類似体の研究の結果と一致する3
【0019】
NMR研究は、CDにより高いヘリックス性であることが見出されているモデルペプチドでさえ、また多くの非ヘリックスコンホメーションを有することを見出している。従って、受容体−結合ペプチドホルモン、たとえば PTHの構造は、溶液におけるその遊離構造から確実には推論され得ない。ペプチドホルモンの強制的な(constrained) 類似体が、ペプチドに利用できるコンホメーション状態の数を制限するために使用されて来た8。hPTHの配列の試験は、α−ヘリックスを安定化できるか又は不安定化であるかいづれかである3つの可能な塩架橋を残基17−29内に示す。それらは、α−ヘリックスを安定化することが予測される、 Glu22と Lys26との及び Lys26と Asp30との間に、及びα−ヘリックスを不安定化することが予測される Lys27と Asp30との間に存在する4。それらの残基対間でのラクタム形成は、そのヘリックス領域におけるhPTHに利用できるコンホメーションを制限するであろう。
【0020】
さらに、2つのそれらのラクタム、すなわちα−ヘリックス構造を安定化することが予測される Glu22-Lys26及び Lys26-Asp30は、α−ヘリックスの両親媒性部分の極性面上に位置する。第3のラクタム、すなわち Lys27-Asp30は、α−ヘリックスを少なくとも部分的に不安定化することが予測され、そして両親媒性ヘリックスの疎水性面上に存在する残基 Lys27を包含する。 Lys又は Orn残基が位置25で Argを置換し、そして Gln29が Glu又は Aspにより置換される場合、位置25と29との間での環化がまた生じ得る。
【0021】
Leu による Lys27の置換は、両親媒性ヘリックスの疎水性面上により疎水性の残基をもたらす。これは、 ROS細胞系においてアデニルイルシクラーゼ刺激活性の上昇をもたらした。上記で論ぜられた他のそのような置換が同じか又は高められた活性を有する類似体をたぶんもたらすことが当業者により認識されるであろう。
【0022】
置換及びいづれかのラクタム形成の組合された効果は、α−ヘリックスを安定化し、そして生物活性を高め、そしてタンパク質分解から分子のこの領域を保護することが予測される。C−末端でのアミドの存在は、いくつかのペプチダーゼはペプチドを分解することができるが、外部タンパク質分解に対して前記ペプチドを保護することがさらに予測されるので好ましい(Leslie, F.M. and Goldstein, A. (1982) Neuropeptides 2, 185-196) 。
【0023】
他のアミノ酸置換が有用に行なわれ得ることもまた見出された。特に、本発明者は、位置8,18での酸化感受性 Met残基を、天然に存在する疎水性残基 Nleにより、日本特許公開61-24598に従って置換した。Leu, Ile, Val, Phe及び Trpのような他のそのような疎水性残基はまた、Nakagawaなどのアメリカ特許第 5,393,869号によれば、有用であることが予測される。
逆ラクタムもまた企画される。たとえば、本発明者は、 Lys22-Glu26スイッチの有効性を示している。従って、類似のスイッチが26−30ラクタムと27−30ラクタムとの間で有用に行なわれ得ることが予測される。
【0024】
前述の Cys-Cysに加えて、好ましい22−26ラクタム部位でのもう1つの置換、すなわち Asp22-Orn26が、異なった環化/環サイズが有用に行なわれ得ることを示すために実施された。
Nakagawaなどのアメリカ特許第 5,393,869号及びFukudaなどのアメリカ特許第 5,434,246号においては、次のようないくつかの置換されたhPTH類似体が、実質的なAC活性を有することが報告されており、そしてタンパク質分解攻撃に対して増強された安定性を有する:特に、
【0025】
1.Aib(α−アミノイソ酪酸)への Ser-1の置換。
2. GlnへのLys-27の置換(2.5×AC活性を有することが報告されている)。
3.8倍まで活性を高めることが報告されている、 Lysへの残基14, 15, 16, 17の完全な又は部分的な置換。これは、水溶解の上昇のためであり得る。インビボにおいて、それらは、チロシン様酵素に対してより不安定であることが予測される。彼らは、少なくとも1つの水溶性アミノ酸が存在するようなこのテトラペプチド(残基14−17)を特許請求している。たとえば、His-14又はLys-14; Leu-15, Lys-15又はArg-15; Asn-16, Orn-16, Hci(ホモシトルリン)-16, Asp-16, Arg-16, Lys-16, DLys-16, Ser-16 又はGly-16; 及び17-Ser, 17-Lys, 17-Asp又は17-Argはまた Gluを含むことができる。
【0026】
4.プロテアーゼ攻撃を最少にするための Hisへの Arg25の置換。位置−27で Leu又は他の疎水性アミノ酸を特に有するラクタムはいくぶん不溶性になることができ、そしてまた、溶解するのに困難であるので、いくつかの置換がそのラクタムにおいて有用であることが予測される。
【0027】
1-31h-PTH環状物が好ましいことが当業者によりまた、理解されるであろう。1−30〜1−37の範囲の環状フラグメントがまた有効であろうことが本明細書に提供されるデータから予測される。特に、本明細書に含まれる確証的な1−34データが与えられるので、37までの追加のアミノ酸の存在が、ホルモンの生物学的性質に影響を及ぼす証拠は、文献には存在しない。
本発明のラクタムは、下記の既知方法により調製され得、そして骨成長を刺激するために、骨を再生するために、及び種々の環境において、たとえば骨粗鬆症及び通常の骨折の治療において骨の治癒を促進するために使用され得る。
【0028】
ホルモン類似体の調製
引用により本明細書に組込まれる、R.B.Merrifield ("Solid-Phase Peptide Synthesis", Advances in Enzymology 32, 221-296, 1969)により開示された固相ペプチド合成の技法は、ポリペプチド、たとえば副甲状腺ホルモンの合成のために広く且つ好結果をもって使用される。その方法は、固体支持体に結合されるペプチドのカルボキシル−末端アミノ酸を有することに基づいている。
【0029】
次に、連続的なアミノ酸が高収率で付加される。そのN−末端α−アミノ基は、この保護基が固体支持体からのペプチドの除去を伴わないで除去され得るような手段で保護される。ここで使用される化学は、Fmocアプローチとして言及される元のMerrifield法の変法を包含する。Fmoc(フルオレニルメトキシカルボニル)基が、温和なアルカリ条件により除去され、アルカリ安定性側鎖保護基及び環が未結合のままにされる。この技法は、E.Atherton and R.C.Sheppard, "SolidPhase Peptide Synthesis: a Practical Approach", IRL Press, New York, N.Y., (引用により本明細書に組込まれる)により記載される。
【0030】
例1. 線状hPTH-(1-31)-アミド類似体の合成及び精製
アミノ酸のα−アミノ基を、結合の間、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)により保護した。結合を、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA) の混合物により行なった。4倍過剰の活性化されたアミノ酸を、Asn, Gln,His, Val、及び Ile残基の付加に基づく二重結合に使用した。 Arg及び Gly付加のための結合時間を、30分から60分に高めた。支持体(Tentagel* R, Rapp Polymere, Tubingen, Germany)への最初の残基(Val31) の結合を手動的に実施した。
【0031】
すべての他の段階は、 PerSeptive Biosystems* Model 9050 Plus 自動ペプチド合成機上で実施された。側鎖保護は次の通りであった:Arg(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル);Glu, Asp、及びSer(t−ブチル);His, Gln、及びAsn(トリチル);Trp(t−ブチルオキシカルボニル)。
【0032】
N−末端 SerからのFmoc除去の後、ペプチド樹脂を DCMにより洗浄し、次に 7.5mlの試薬K(6.19mlの TFA、それぞれ0.38mlの水、90%フェノール/水及びチオアニゾール、及び0.19mlの1,2−エタンジチオール)と共に20℃で4時間、振盪することによって、樹脂から分解した。分解されたペプチド混合物を、濾過により除去し、そしてt−ブチル−メチルエーテルへの添加により沈殿せしめた。その沈殿物を遠心分離により集め、t−ブチル−メチルエーテルにより2度、洗浄し、次に、真空遠心分離により乾燥せしめた。
【0033】
粗生成物を、15%アセトニトリル/水、 0.1% TFAの溶液14mlに溶解し、そして Vydac* C18-カラム(10μ、1×25cm)上でクロマトグラフィー処理した。生成物を、アセトニトリル(14−40%)/ 0.1% TFA/水のグラジエント上で1%/分で溶出した。最終生成物の純度を、 Vydac*C18カラム(10μ、 0.4×25cm)上での分析HPLCにより、及びエレクトロスプレー質量分光計(VG Quattro)上での分子質量アッセイにより評価した。そのようにして形成されたhPTH-(1-31)-NH2についてのデータは、下記表1に与えられる。
【0034】
例2. 環状類似体の合成及び精製
〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2
このペプチドは、それぞれ位置26及び22で Lys-Alloc及びGlu-OAllにより置換して、例1に記載のようにして合成した。Fmoc-Ser17の付加の後、ペプチド−樹脂を、カラムから、反応バイアル(Minivial*, Applied Science)に移し、アルゴン下で、ジクロロメタン(DCM) 中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(0.24mモル)、5%酢酸及び 2.5% N−メチルモルホリン(NMM)の溶液 1.7mlに懸濁し、次に、20℃で6時間、振盪し、 Allyl及び Alloc保護基を除去した(Sole, N.A.など (1993) In Peptides: Chemistry, Structure, and Biology, Smith.J. and Hodges, R.(Eds), ESCOM pp.93-94; 引用により本明細書に組込まれる)。
【0035】
次に、ペプチド樹脂を、 0.5%ジエチルジチオカルバメート(DEDT)、 DMF中、 0.5% NMM (50ml) 、続いてDMF(50ml) 及びDCM(50ml) により洗浄した。ペプチド(0.06mモル)を、DMF 2ml中、0.06mモルの1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾール(HOAt)/0.12mモルの NMMと共に20℃で14時間、振盪することによって環化した(Carpino, L.A. (1993) J.Am.Chem.Soc. 115, 4397-4398) 。ペプチド−樹脂を濾過し、次に DMFにより1度洗浄し、カラム中に再充填し、そして泡が懸濁液から除去されるまで、 DMFにより洗浄した。残る合成を、例1通りに実施したが、但し、N−末端Fmoc基は除去されなかった。Fmoc−ペプチドを、上記のようにして試薬Kにより樹脂から分解した。HPLCを例1におけるようにして実施し、そしてFmoc基を、最終HPLCの前に除去した。類似体〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2を、類似する態様で調製した。
【0036】
例3. アデニルイルシクラーゼアッセイ
受容体に結合し、そしてアデニルイルシクラーゼ結合シグナリング機構を活性化するhPTH類似体の能力を、分化−能力のある骨芽細胞様ROS 17/2ラット骨肉腫(ROS) 細胞系に対して決定した。この活性は、卵巣切除されたラットにおいて骨量を再生する類似体の能力に密接して連結されることが知られている。アデニルイルシクラーゼ−刺激活性を、細胞 ATPプールを〔3H〕−アデニンによりプレラベルし、そして次に、特定の類似体への最初の10分間の暴露の間、〔3H〕-ATPから生成される〔3H〕−環状 AMPの量を測定することによって、評価した。これは、引用により本明細書に組込まれる、 Whitfieldなど、J.Cellular Physiology 150, 299-303, 1992により記載される方法に基づく。
【0037】
アデニルイルシクラーゼの結果は、AC活性において最大値の半分までの上昇を表わすために必要な濃度として、下記表2に示される。このデータはまた、図4にも示される。図4においては、黒丸は、 hPTH-(1-31)-NH2のアデニルイルシクラーゼ−刺激活性を示し、そして〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2及び〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2の活性はそれぞれ空白及び黒の三角により示される。
【0038】
例4. 卵巣切除されたラットモデルによるhPTH類似体の同化活性の決定
投薬:
用量は、 hPTH-(1-31)-NH2に対する用量応答データに基づかれた。 hPTH-(1-31)-NH2の骨−構築能力を、いくつかの用量(0.8、0.6、0.4、及び 0.2nモル/ 100g体重)、及び保護モデルよりもむしろ再生又は処理−評価モデルを用いて試験した。11 卵巣切除された生後3カ月のラットを9週間放置し、6週間の毎日の注射を開始する前、ほとんどの非層板状大腿骨柱状骨の重度の消耗を引き起こした。9週の最後までに、それらは、それらの大腿骨柱状骨質量の約75%を失なった。
【0039】
図14は、前記フラグメントの4種の異なった用量の36回の注射により生成された層板状付着物により引き起こされる平均の柱状骨の厚さの用量−依存性上昇を示す。フラグメントはまた、より年をとったラットにおいて、柱状骨生長を刺激することができた。従って、中間範囲の用量である 0.6nモル/ 100g体重の hPTH-(1-31)-NH2の36回の注射は、予備消耗された(OVX後9週)生後1年のラットの大腿骨柱状骨において、正常な開始値以上に平均柱状骨の厚さを有意に高めることができ、そしてそれらは hPTH-(1-84)と同じほど効果的に高めた。従って、 0.6nモル/ 100g体重の用量を、さらなる試験に用いた。
【0040】
プロトコールの十分な記載は、引用により本明細書に組込まれる Rixonなど、J.Bone & Mineral Research 9, 1179-1189, 1994及び Whitfieldなど. Calcif.Tissue Int. 58, 81-87, 1996に与えられる。正常、擬似−OVX(卵巣切除された)、及びOVX Sprague-Dawleyラット(生後3カ月; 255〜260 g)を、Charles River Laboratories (St.Constant, QC)から購入した。ラットを、Purinaラット食事及び水及び無制限な食事及び水を受けた、8匹のグループにランダム化した。予定外の死は存在しなかった。
【0041】
動物は、週当たり6回の、1日1回の皮下注射を受け、これは OVXの後、第2週の最後で開始し、そして OVXの後、8週目の最後で終了した(すなわち、36回の注射)。8匹の擬似−OVX 及び8匹の OVX対照ラットは、ビークル(0.001Nの HClを含む0.15MのNaCl溶液)の36回の注射を受け、そして8匹の OVXラットは、 100g体重当たり、ビークル中、 0.6nモルのフラグメントを受けた。 OVXの後、8週目の最後で、大腿骨を除去し、清浄し、そして中間骨幹で半分に切断し、そして近位の半分を捨てた。骨端を除去した後、個々の半分の大腿骨を2つの部分に縦に分け、そして骨髄を流した。
【0042】
フラグメントの骨構築能力を、種々に処理された動物からの遠位半分の大腿骨における柱状骨の平均厚さ(面積/周囲)の変化から評価した。平均柱状骨の厚さを測定するために、個々のラットからの2つの鉱物質除去された半分の大腿骨を脱水し、そしてパラフィンに包埋した。個々の骨の中間面からの縦方向の10μmの断片を切断し、そして次に、 Sanderson's急速骨染色法(Surgipath Medical Industries, Inc., Winnipeg, MB, Canada)により染色した。平均の柱状骨の厚さを、Imaging Research Inc., (St.Catherines, ON, Canada)からのM4イメージングシステム及び骨体型測定ソフトウェアを用いて測定した。
【0043】
OVXの後、8週目の最後で調製された骨の代表的な組織学的断面が図5に示される。その結果は、図7において棒グラフの形でさらに示される。棒は、正常、卵巣切除された(OVX) 、シャム(sham)動物、並びに hPTH-(1-31)-NH2、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2及び〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2処理された動物の柱状骨の厚さの値を示す。〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2は、線状類似体、すなわち hPTH-(1-31)-NH2に比較して、特に卓越した活性を示す。この線状類似体は、骨再生において十分に活性であることが示されているが、しかしわずか1つの細胞シグナリング(AC−活性化された)路を用いる。従って、その線状類似体のように、それらの環状類似体は、それらのより長い相対物、たとえば細胞シグナリング機構を活性化する hPTH-(1-34)又は hPTH-(1-84)よりも、より少ない所望しない臨床的副作用を有することが予測される。
【0044】
例5. 重度に消耗された柱状骨を有するラットのhPTH類似体による骨再生
骨再生のこの第2の例においては、重度に消耗された柱状骨を再生するラクタムフラグメントの能力が比較される。この実験においては、若い性的に成熟したラットの体重 100g当たり 0.6nモルのペプチドの毎日1回の注射の6週間のプログラムが、 OVXの後、9週目の最後まで延長された。この時点で、それらの柱状骨の75%が失なわれていた。図6に見られるように、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2が最とも効果的なフラグメントであった。
それは柱状骨体積を正常な対照ラットにおける値まで再生した。
【0045】
例6. hPTH類似体の血圧降下性効果
雌のSprague-Dawleyラット(290g以上の体重)を、ナトリウムペントバルビタール(65mg/kg体重)の腹腔内注射により麻酔をかけた。直腸温度を、YS1402サーミスタ(Yellow Springs InstrumentCo., Inc. Yellow Springs, OH) によりモニターし、そして実験を通して36.0〜38.5℃に維持した。耳介温度をまた、YS1バンジョーサーミスタを用いてモニターした。尾の動脈を暴露し、そしてJelco 25-glVカテーテル(Johnson and Johnson Medical Inc., Arlington, TX) によりカニューレ挿入し、そして Statham圧力変換器に連結され、これからのシグナルが、Biopac Systems MP100 Monitor (Harvard Instruments, Saint Laurent, QC, Canada) によりデジタル的に記録された。
【0046】
PTH又はそのフラグメントの1つの静脈内注射のために、大腿静脈をまた暴露した。手術の後、ラットを8分間、安定化し、その後、 PTH又はそのフラグメントの1つ(0.001Nの HClを含む酸性化された塩溶液に溶解されている)を、大腿静脈中に又は腹の皮下中に注射した。データを、静脈内注射の後12分間、又は皮下注射の後22分間、収集した。図8は、皮下(空白の棒)又は皮下(斜線の棒)経路のいづれかによる投与による 0.8nモル/ 100gの用量の〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2又は〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)hPTH-(1-31)-NH2の添加に基づいての血圧の最大降下及び最大降下までの時間を示す。
【0047】
〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2類似体は、〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)hPTH-(1-31)-NH2に比較して、高められた生物利用性を示す。これは、皮下注射の後、最小bpまで降下するのに必要とされるより短い時間により示される。両環状類似体は、 hPTH-(1-31)-NH2に比較して、皮下注射される場合、高められた血圧降下性効果を示す。従って、個々の環状ラクタム類似体は、皮下注射される場合、その線状相対物よりもより所望する性質を有することが予測される。それらは、プロテアーゼに対する増強された耐性に起因するより高い生物利用性、及び/又は脂質環境から輸送される高められた能力を包含する。後者は、ホルモンのC−末端近くの両親媒性ヘリックスの安定化のためであり得る。
【0048】
さらなる結果:
それらの結果のためには、ペプチドは次の通りに同定される:
hPTH-(1-31)-NH2(1);〔Leu27〕-hPTH-(1-31)-NH2(2)(図9);〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(3) (図2);〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2
(4);シクロ(Lys27-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2(5) (図10);hPTH-(1-30)-NH2(6);〔Leu27〕hPTH-(1-30)-NH2(7);〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-30)-NH2(8)。
【0049】
アデニルイルシクラーゼ活性:本発明者は、〔Leu27〕-hPTH-(1-34)-NH2が、 hPTH-(1-34)-NH2よりも ROS細胞系においてAC活性を刺激することにおいてより活性的であることを前に報告している5。本発明者はまた、ペプチド2(EC50、11.5±5.2nM)が生来の配列1(EC50、19.9±3.9nM)よりもより活性的であることも見出した(図12)。ペプチド1(●);2(□);3(△);4(黒三角);5(○)が示される。 Glu22とLys26(3)との間のラクタム形成は、さらに高いAC−刺激活性を誘発し、そして 3.3±0.3nM のEC50値を有する(図12)。従って、この環化及び Leuによる Lys27の置換の正味効果は、活性において約6倍の上昇である。対照的に、 Lys26とAsp30(4)又は Lys27とAsp30(5)との間のラクタム形成は、それらの親線状配列に対して、アデニルイルシクラーゼ刺激の上昇をもたらした。従って、26−30ラクタム(4) は、その線状形よりもわずかに低い活性を有し、そして17.0±3.3nM 対11.5±5.2nM(2)のEC50を有した。27−30ラクタム(5) は、親線状ペプチドの活性をより著しく減じ、そして19±3.9nM(1)に比較して、40.3±4.4nM のEC50を有した。
【0050】
本発明者は、hPTH-(1-30)-NH2(6)が類似体1の活性に近いAC−刺激活性(EC50、20nM)を有することをこれまでに報告している。本発明者は現在、〔Leu27〕-hPTH-(1-30)-NH2(7) 及びシクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-30)-NH2(8) (図11)がペプチド6に類似するAC−刺激活性を有することを見出した。
【0051】
血圧降下性効果:
図13は、線状(6及び7)及び環状ラクタム類似体(3及び8)の血圧降下作用を示す。 0.8nモル/ 100g体重の類似体によるラットの注射に基づいて得られた血圧の最大降下(上方)、及び血圧の最大降下までの時間(下方)が示される。類似体(左から右側の方に、ペプチド8,7,6,3)を、静脈内(斜線の棒)又は皮下(空白の棒)注射した。 Val31の除去は、血管系への皮下注射されたペプチドの輸送の有意(p<0.05)に減じられた速度を有する類似体6,7及び8のすべてをもたらした(図13)。それにもかかわらず、ペプチド6及び8の実際の合計血圧降下は、皮下投与されても又は静脈内投与されても、他の類似体(ペプチド5を除く)の血圧降下と有意(p>0.05)に異ならなかった。
【0052】
骨形成活性と血圧降下効果とを関連づけるアッセイ:
例6に記載され、そして図8に示されるように、hPTH類似体の皮下注射に続いて観察される早い血圧降下効果は、骨形成活性と相互関係している。結果的に、アッセイは、実験用試験動物を殺す必要なしに、骨形成効果のための候補体hPTH類似体をスクリーニングするために及び非血圧降下性構造体を排除するために有用である。
【0053】
予備知識により、本発明者は、ユニーク組の骨形成性及び非骨形成性、AC−, AC/ PLC−、又は PLC−活性化 PTHフラグメントを使用し、それが血圧を減じる唯一のAC刺激であることを決定的に証明し、そしてそれらのフラグメントが雌のラット中に皮下又は静脈内注射される場合のそれらのフラグメントの血圧降下作用を比較した。本発明者は、血圧降下応答がAC−又はAC/ PLC−刺激フラグメントによってのみ誘発され、そしてそれが皮下注射に対して比較的小さな血圧降下応答であり、そして静脈内注射に対してより大きな応答ではなく、このことは、 OVX−ラットにおいてhPTH-(1-31)-NH2, hPTH-(1-34)及び hPTH-(1-84)の骨形成活性と相互関係するが、しかしACを刺激し、そして血圧を降下せしめるが、しかし骨形成を刺激しない hPTH-(1-30)-NH2に対しては相互関係しないことを示した。
【0054】
特に hPTH-(1-84)、及びそのhPTH-(1-34), hPTH-(1-31)-NH2及び hPTH-(1-30)-NH2フラグメントは、大腿静脈中への注射の後、約1分以内に、麻酔された雌のSprague-Dawleyラットの毛の動脈圧を42.4〜67.1%減じたが、皮下注射の後、2〜19分では、わずか 8.5〜36.2%動脈圧を減じた。 hPTH-(1-84)及び hPTH-(1-34)はそれらの標的細胞においてアデニルイルシクラーゼ及びホスホリパーゼ−Cの両者を刺激するが、しかし血圧降下作用はアデニルイルシクラーゼ活性化により特に刺激されるべきであった。なぜならば、アデニルイルシクラーゼを単に刺激することができる hPTH-(1-30)-NH2及び hPTH-(1-31)-NH2は、静脈内注射される場合、強い血圧降下作用性であるが、ところがホスホリパーゼ−Cを単に刺激することができる hPTH-(7-84)は、静脈内注射される場合、実質的に血圧降下作用性ではなかったからであった。
【0055】
PTHの骨形成作用はまた、アデニルイルシクラーゼ刺激により介入されるので、血圧降下応答は、可能な骨形成のための新しい PTH構造体をスクリーンするために使用され得る。実際、皮下注射されたhPTH-(1-31)-NH2, hPTH-(1-34)及び hPTH-(1-84)の骨形成活性は、それらの低血圧活性に密接に関連し、そして hPTH-(1-34)が他の2つの分子よりもより血圧降下性である。 hPTH-(1-31)-NH2及び hPTH-(1-84)は同等の骨形成及び血圧降下活性を有する。しかしながら、 hPTH-(1-31)-NH2及び hPTH-(1-34)とほとんど同じくらい強くACを刺激し、そして hPTH-(1-31)-NH2ほど高く血圧を減じるが、しかし骨形成を刺激しない hPTH-(1-30)-NH2とのこの関係はこわれた。それにもかかわらず、動脈圧を有意に減じる能力は、骨形成性 PTH及び PTHフラグメントの共通する性質であり、そして従って、 PTHフラグメントのインビボ生物活性の急速に決定できる予備インジケーターである。
【0056】
より特定には、hPTH-(1-34)及び hPTH-(1-31)-NH2の両者は、 0.8nモル/ 100g体重で最大的に血圧降下性であった。
この血圧降下応答は、有用な可視定性マーカーとして見なされ得る、ラットの耳及び足の一時的(20〜30分)な赤色化により付随された。
【0057】
AC−又はAC/ PLC−刺激性フラグメントは、静脈内注射される場合、強い血圧降下性であるが、 PLCを単に刺激することができる、 0.8nモル/ 100g体重の hPTH-(7-84)の静脈内注射は、AC/ PLC−刺激性 hPTH-(1-84)により引き起こされる迅速な(0.9±0.08分)43.2±5.8mmHg の低下又はAC刺激性 hPTH-(1-31)-NH2により引き起こされる同時に迅速な51.6±3.3mmHg の低下に比較して、尾の動脈圧を3.28±1.0mmHg 、非常にゆっくり(9.8±2.0 分)且つ非常にわずかだけ減じた。
【0058】
AC−又はAC/ PLC刺激性フラグメントの1回の皮下注射は、同じ用量の静脈内注射よりも尾の動脈圧においてより遅く且つ低い降下を引き起こした。たとえば、 0.8nモル/ 100g体重の hPTH-(1-34)は、静脈注射される場合、50.9±5.6mmHg 、血圧を低めるのと比較して、皮下注射される場合、わずか27.9±3.6mmHg 、血圧を低めた。同じ用量の hPTH-(1-31)-NH2は、静脈内注射される場合、51.6±3.3mmHg 、血圧を低めるのと比較して、皮下注射される場合、わずか11.1±1.6mmHg 、血圧を低めた。
【0059】
静脈注射されるhPTH-(1-84), hPTH-(1-34)及び hPTH-(1-31)-NH2により引き起こされる尾の動脈圧において急速な低下と大きな低下との間に有意な差異は存在しないが、しかし hPTH-(1-34)は、皮下注射される場合、他の2種の分子の少なくとも2倍、効果的であった(P<0.01)。
【0060】
皮下注射される PTH又は PTHフラグメントの血圧降下作用及び骨形成性に影響を及ぼす要因の1つは、注射部位からまず、血管系におけるその標的物に、そして次に、骨中に、不活性化されないで、移動するその能力である。この能力は、注射の後、尾の動脈圧をその最小値に降下するために必要とされる時間で表わされる。84個から31個の残基に PTH分子のC−末端の短縮は、ACを刺激する能力を低めないで、 PLCを刺激する能力を排除し、そしてそれは、尾の動脈圧がその最小値に達するために必要とされる時間の長さを9倍、短くした。 hPTH-(1-30)-NH2を製造するためにさらに1つの残基の除去は、 hPTH-(1-31)-NH2の場合、 2.0±0.31分から13.8±2.3 分に血圧がその最小値に降下するために必要と
される時間の長さを劇的に長くした。しかしながら、 hPTH-(1-31)-NH2は hPTH-(1-84)よりも血圧をもはや降下せしめなかったことを注目することは重要である。
【0061】
hPTH-(1-31)-NH2、すなわち PLCの活性化及び膜関連 PKC活性の刺激を伴わないで、 hPTH-(1-34)と同じほど強くACを刺激できる第1の PTH構造体の本発明の研究への使用は、 PTH血圧降下作用が完全にAC活性化のためである最とも直接的な証明を現在提供した。従って、 PLC/PKC を単に刺激することができる、 0.8nモル/ 100g体重の hPTH-(7-84)の静脈内注射は尾の動脈圧に対して実質的に影響を及ぼさないが、同じ用量の hPTH-(1-31)-NH2の静脈内注射は、 hPTH-(1-34)と同じほど高く血圧を降下せしめた。
【0062】
ACはまた、 OVXラットにおける皮質及び柱状骨形成の PTH−誘発された刺激を仲介するので、損なわれていない雌のラットにおける血圧降下応答の誘発は、 PTH構造体の可能な骨形成の単純で迅速な測定可能インジケーターであるように思える。他方、動脈圧を降下せしめることの失敗は、さらなる評価からのフラグメントを排除し、従って、 OVXラットにおける不必要で高価な、長期の骨形成試験を回避するであろう。 PTHの静脈内注射に対する血圧降下応答は、骨形成に関係しなかった。しかしながら、皮下注射されたhPTH-(1-31)-NH2, hPTH-(1-34)及び hPTH-(1-84)に対するより小さな血圧降下応答がそれらの分子の骨形成に関係し、そして hPTH-(1-34)が最強の血圧降下及び骨形成作用を有し、そして他の2つの分子は、血圧の降下及び骨形成の刺激において、お互い同じほど効果的であるが、しかし hPTH-(1-34)よりも効果的ではなかった。
【0063】
しかし、この相互関係は、 hPTH-(1-31)-NH2及び hPTH-(1-34)とほとんど同じほど強くACを刺激し、そして hPTH-(1-31)-NH2ほど高く血圧を降下せしめるが、しかし骨形成を刺激しない hPTH-(1-30)-NH2とは存在しなかった11。骨形成のこの欠失についての理由は未知である。それは、皮下注射された hPTH-(1-30)-NH2が血圧を下げるためにより時間を必要とすることのみにはよらない。なぜならば、皮下注射された hPTH-(1-84)は血圧を下げるために同じ長さの時間を必要とするが、まだ強い骨形成性であるからである。明確には、骨形成応答は、標的 PTH受容体−発現の成熟骨芽細胞で十分な活性ホルモン又はホルモンフラグメントの注射部位からの到着を可能にするために結合する多くの異なった要因に依存する。骨形成を刺激するためのAC−刺激性、血圧−降下性 hPTH-(1-30)-NH2の失敗は、高い不安定性、AC刺激のためのわずかに高いEC50、すなわち hPTH-(1-31)-NH2及び hPTH-(1-34)についての16nMの代わりの20nM、及び注射部位から循環中に入るための長い時間の組合せの結果であり得る。
【0064】
hPTH-(1-30)-NH2の骨形成の失敗にもかかわらず、動脈圧を有意に降下せしめる能力は、まだ骨形成性 PTHの共通する性質であり、そして従って、 PTHフラグメントの可能なインビボ生物活性の迅速な決定可能インジケーターである。血圧降下応答はまた、経口又は他の非注射性経路による投与の後、その標的物に達する骨形成 PTH構造体の能力の効果的なインジケーターとしても作用することになる。
【0065】
個々の注射に対する血圧降下反応の不快且つ他の可能な後遺症は、 PTH又は PTHフラグメントによる長期処理を受容する骨粗鬆症患者の意志力を制限する。幸いなことには、 PTHの断続的な皮下注射が骨形成を刺激するために現在、使用されており、そしてそれらの分子は、静脈注射される場合よりも、皮下注射される場合、はるかに低い血圧降下性である。本発明者がこれまでに主張したように6,7、 hPTH-(1-31)-NH2は、 PLC、及びそれが誘発するいづれか可能なCa2+−及び PKC−仲介の副作用を刺激しないで、AC刺激の付加された利点を有する。
【0066】
例7. シクロ(Lys27-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2(5)
この合成を、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2の合成に類似する態様で実施した。生成物は、95%以上の推定純度、及び3700.64(±0.38)(予測されるM+1=3700.14)の分子質量を有した。そのペプチドを配列決定し、ラクタム位置を確認した。
〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-30)-NH2(8)
このペプチドを、支持体への Valの手動的な付加を伴わないで、ペプチド3に関してのように合成した。生成物は、97%以上の推定純度、及び3586.14(±0.19)(予測されるM+1=3685.99)の分子質量を有した。
【0067】
本発明の類似体は、その必要により、温血動物、特にヒトに、非経口、局部、又は直腸投与により、又は吸入又は経口投与により投与され得る。前記類似体は、許容される医薬用途のために必要とされるような従来のビークル、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、着色剤又は同様のものと共に、単位投与形当たり約1〜約 300mgに対応する非経口投与形で従来通りに配合され得る。
【0068】
非経口投与に関しては、超微細30−ゲージ注射針を通しての1〜2mlの痛みのない皮下注射を、疾病の重症度に依存して、1〜2年間、1日1回よりも多くなく与えられる必要がある。注射される材料は、水性、等張性、滅菌溶液又は懸濁液に本発明の1つの類似体を含む(任意には、保存剤、たとえばフェノール又は安定剤、たとえばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)も含む)。使用され得る、許容できるビークル及び溶媒の中には、水、軽く酸性化された水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌され、固定されたオイルが、溶媒又は懸濁媒体として通常使用される。合成モノグリセリド、ジグリセリド、脂肪酸(たとえばオレイン酸)が、注射用製剤において固定された油として使用される。
【0069】
直腸投与に関しては、本発明の類似体が、適切な非刺激性賦形剤、たとえばココア緩衝液又はポリエチレングリコールと共に混合することによって坐剤の形で調製され得る。
局部使用に関しては、本発明の類似体は、軟膏、ジェリー、溶液、懸濁液又は経皮用接着パッチの形で調製され得る。
吸入に関しては、これは、 PCT公開された出願番号 WO 94/07514 に記載される手段により達成され得る。
【0070】
毎日の用量は、処理される対象の年齢、体重、性別、及び状態、特定の化合物の活性に依存して、0.05mg/kg体重を越えるべきではなく、又は約 3.5mg/70kg体重(ヒト)である。良く知られているように、単一投与形を生成するためにキャリヤー材料と共に組合され得る活性成分の量は、処理される宿主、及び投与の特定の態様に依存して変化するであろう。
次に類似体の表は、上記方法に従って、すべて生成された。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
文献
次の文献の開示は、引用により本明細書に組込まれる。
(1)Caulfield, M.P.; McKee, R.L.; Goldman, M.E.; Duong, L.T.; Fisher, J.E.; Gay, C.T.; DeHaven, P.A.; Levy, J.J.; Roubini, E.; Nutt, R.F.; Chorev, M.; Rosenblatt, M. The Bovine Renal Parathyroid Hormone (PTH) Receptor Has Equal Affinity for 2 Different Amino Acid Sequences-The Receptor Binding Domains of PTH and PTH-Related Protein Are Located Within the 14-34 Region. Endocrinology 1990, 127, 83-87.
(2)Neugebauer, W.; Barbier, J.-R.; Sung, W.L.; Whitfield, J.F.; Willick, G.E. Solution Structure and Adenylyl Cyclase Stimulating Activities of C-Terminal Truncated Human Parathyroid Hormone Analogues Biochemistry 1995, 34, 8835-8842. (3)Gardella, T.J.; Wilson, A.K.; Keutmann, H.T.; Oberstein, R.; Potts, J.T.; Kronenberg, H.M., and Nussbaum, S.R.Analysis of Parathyroid Hormone's Principal Receptor-Binding Region by Site-Directed Mutagenesis and Analog Design. Endocrinology 1993, 132, 2024-2030.
【0076】
(4)Marqusee, S.; Baldwin, R.L.Helix Stabilization by Glu... Lys+ Salt Bridges in Short Peptides of De Novo Design.Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 1987, 84, 8898-8902.
(5)Surewicz, W.K.; Neugebauer, W.; Gagnon, L.; MacLean, S.; Whitfield, J.F.; Willick, G.E. Structure-Function Relationships in Human Parathyroid Hormone: The Essential Role of Amphiphilic-Helix. In Peptides: Chemistry, Structure, and Biology 1993; Smith, J.; Hodges, R., Eds.; ESCOM Leiden, The Netherlands, 1993, pp.556-558
【0077】
(6)Whitfield, J.F.; Morley, P.; Willick, G.E.; Ross, V.;Barbier, J.R.; Isaacs, R.J.; Ohannessianbarry, L.Stimulation of the Growth of Femoral Trabecular Bone in OvariectomizedRats by the Novel Parathyroid Hormone Fragment, hPTH-(1-31)NH2 (Ostabolin) Calcif. Tissue Int. 1996, 58, 81-87.
(7)Whitfield, J.F.; Morley, P. Small Bone-Building Fragments of Parathyroid Hormone: New Therapeutic Agents for Osteoporosis Trends Pharmacol.Sci. 1995 16, 382-386.
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、天然のヒト PTH残基1−31(配列番号1)の構造を示す。
【図2】図2は、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号3)の構造を示す。
【図3】図3は、〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号4)の構造を示す。
【図4】図4は、ROS 17/2細胞のアデニリルシクラーゼ刺激における本発明の類似体の活性を示す。
【図5】図5は、骨の損失を妨げ、そして卵巣切除された (OVX)Sprague-Dawleyラットにおける骨成長を刺激する、hPTH-(1-31)NH2及びそのラクタム誘導体の種々の能力を示す、 OVX後8週の最後で調製された骨の代表的な組織学的断面を示す。
【0079】
【図6】図6は、骨を始めに重度に消耗されたラットに関して、hPTH類似体により処理された動物及び対照動物の柱状骨体積(trabeculor bone volume) を示す。動物の処理は、 OVXの後9週で開始した。〔Leu27〕シクロ〔Glu22-Lys26〕hPTH-(1-31)-NH2は、正常な対照ラットにおいて骨を目標まで再生する最も効果的なフラグメントである。
【図7】図7は、正常、卵巣切除された(OVX) 、シャム(sham) 並びに hPTH-(1-31)-NH2、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2 及び〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2により処理された動物についてのラット大腿骨の柱状骨の厚さを示す。
【図8】図8は、 hPTH-(1-31)-NH2、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)hPTH-(1-31)-NH2又は〔Leu27〕シクロ(Lys26-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2の 0.8nモル/ 100gの用量の添加に対しての血圧の最大降下及び血圧の最大降下までの時間を示す。ペプチドは、皮下(空白の棒グラフ)又は静脈内(斜線の棒グラフ)に投与された。
【0080】
【図9】図9は、〔Leu27〕-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号5)の構造を示す。
【図10】図10は、シクロ(Lys27-Asp30)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号6)の構造を示す。
【図11】図11は、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-30)-NH2の構造を示す。
【図12】図12は、本発明の種々の類似体のアデニルシクラーゼ刺激活性を示す。
【図13】図13は、hPTH(1-31)NH2及び hPTH(1-30)NH2、並びにそれらの環状類似体の血圧降下作用を示す。
【0081】
【図14】図14は、異なる用量の線状hPTH(1-31)-NH2の骨成長に対する効果を示すグラフである。
【図15】図15は、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-OH(配列番号8)の構造を示す。
【図16】図16は、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-34)-NH2(配列番号9)の構造を示す。
【図17】図17は、〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-34)-OH(配列番号10)の構造を示す。
【図18】図18は、〔Ala27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号11)の構造を示す。
【0082】
【図19】図19は、〔Nle27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号12)の構造を示す。
【図20】図20は、〔Nle8,18; Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号13)の構造を示す。
【図21】図21は、シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号14)の構造を示す。
【図22】図22は、〔Ile27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号15)の構造を示す。
【0083】
【図23】図23は、〔Tyr27〕シクロ(Glu23-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号16)の構造を示す。
【図24】図24は、α−アセチル−〔Leu27〕シクロ(Glu22-Lys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号17)の構造を示す。
【図25】図25は、〔Leu27〕シクロ(Lys22-Glu26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号18)の構造を示す。
【0084】
【図26】図26は、〔Leu27〕シクロ(Asp22-Orn26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号19)の構造を示す。
【図27】図27は、〔Cys22; Cys26; Leu27〕シクロ(Cys22-Cys26)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号20)の構造を示す。
【図28】図28は、〔Cys26; Cys30; Leu27〕シクロ(Cys26-Cys30)-hPTH-(1-31)-NH2(配列番号21)の構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置27がLysであり、又はAla、Tyr又はGlnにより置換されており、そしてラクタムを形成するためにGlu22とLys26との間で環化されている、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH−(1−31)類似体。
【請求項2】
C-末端アミド端又はC−末端カルボキシル端のいずれかを有する請求項1記載の類似体。
【請求項3】
請求項1記載のヒト副甲状腺ホルモン(hPTH)−(1−31)類似体、及び医薬的に許容できるキャリヤー又は賦形剤を含んで成る、その必要な温血動物に投与するための組成物。
【請求項4】
治療的有効量の請求項1記載のヒト甲状腺ホルモン(hPTH)−(1−31)類似体を、温血動物に投与することを含んで成る、処理の必要なそのような温血動物の処理方法。
【請求項5】
共にR=H, R1=Ser, R2=Met, R3=His, R4=Leu, R5=Asn, R6=Ser, R7=Met, R8=Glu, R9=Arg, R10=Lys, R11=Leu, R12=Gln, X=OH 又は NH2, 及び Y=Val-Xの場合を除いて、アミノ酸対22と26との間でラクタムの形で環化される、下記アミノ酸配列:
R-NH-R1-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-R2-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-R7-Glu- Arg-Val-R8-Trp-Leu-R9-R10-R11-Leu-R12-Asp-Y(配列番号23)
[配列中、Rは、水素であり、
R1はSerであり、
R2は、Metであり、
R3は、His又はLysであり、
R4は、Leu又はLysであり、
R5は、Asn又はLysであり、
R6は、Ser又はLysであり、
R7は、Metであり、
R8は、Glu又はLysであり、
R9は、Argであり、
R10は、Glu又はLysであり、但しR8及びR10は両者ともGluではなく、そして両者ともLysではなく、
R11は、Lys又はLeuであり、
R12は、Glnであり、
Xは、OH又はNH2であり、そして
Yが、Val−X(配列番号36)、Val−His−X(配列番号37)、Val−His−Asn−X(配列番号38)又はVal−His−Ans−Phe−X(配列番号24)である]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体及び医薬的許容できるその塩。
【請求項6】
前記ラクタムが、Glu22−Lys26ラクタムである請求項5記載の類似体。
【請求項7】
RがHであり、そしてXがNH2である請求項5記載の類似体。
【請求項8】
R2がMetであり、R7がMetであり、R8がGluであり、そしてR10がLysである請求項7記載の類似体。
【請求項9】
YがVal−Xである請求項8記載の類似体。
【請求項10】
YがVal−His−Asn−Phe−X(配列番号24)である請求項8記載の類似体。
【請求項11】
配列番号9を有する類似体。
【請求項12】
配列番号10を有する類似体。
【請求項13】
配列番号11を有する類似体。
【請求項14】
配列番号13を有する類似体。
【請求項15】
配列番号14を有する類似体。
【請求項16】
配列番号16を有する類似体。
【請求項17】
配列番号18を有する類似体。
【請求項18】
配列番号19を有する類似体。
【請求項19】
アミノ酸対22と26との;26と30との;又はR11がLysである場合、27と30との間でラクタムの形で環化される、下記アミノ酸配列;
H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-Met-Glu- Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-R11-Leu-Gln-Asp-NH2(配列番号33):
[配列中、R3はHis又は水溶性アミノ酸であり、
R4はLeu又は水溶性アミノ酸であり、
R5はAsn又は水溶性アミノ酸であり、
R6はSer又は水溶性アミノ酸であり、
R11はLys又はLeuである]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体(但し、配列番号7ではない)又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項20】
前記環化が、Glu23とLys26との間、又はLys26とAsp30との間で存在する請求項19記載の類似体。
【請求項21】
R3がHis又はLysであり、R4がLeu、Lys又はArgであり、R5がAsn, Orn, Hci, Asp, Arg, Lys, D-Lys, Ser 又はGlyであり、そしてR6がSer, Lys, Asp 又は Argである請求項19記載の類似体。
【請求項22】
R3−R6が、His-Lys-Lys-Lys, His-Leu-Lys-Lys, Lys-Lys-Lys-Lys 又は His-Leu-Lys-Ser(配列番号28−31)である請求項19記載の類似体。
【請求項23】
請求項19記載のヒト副甲状腺ホルモン類似体、及び医薬的に許容できるキャリヤー又は賦形剤を含んで成る、温血動物への投与のための組成物。
【請求項24】
治療的有効量の請求項19記載のヒト副甲状腺ホルモン類似体を、オステオポローシスを有する温血動物に投与することを含んで成る、そのような処理の必要な温血動物におけるオステオポローシスの処理方法。
【請求項25】
前記ヒト副甲状腺類似体が、アミノ酸対22と26との間でラクタムとして環化される請求項24記載の方法。
【請求項26】
アミノ酸対22と26との;26と30との;又はR11がLysである場合、27と30との間でラクタムの形で環化される、下記アミノ酸配列;
H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-Met-
Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-R11-Leu-Gln-Asp-OH(配列番号33):
[配列中、R3はHis又は水溶性アミノ酸であり、
R4はLeu又は水溶性アミノ酸であり、
R5はAsn又は水溶性アミノ酸であり、
R6はSer又は水溶性アミノ酸であり、
R11はLys又はLeuである]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項27】
Cys対22/26又は26/30間でジスルフィド橋の形で環化される、下記アミノ酸配列;
H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-Met-
Glu-Arg-Val-R8-Trp-Leu-Arg-R10-R11-Leu-Gln-R13-NH2(配列番号33):
[配列中、R3はHis又は水溶性アミノ酸であり、
R4はLeu又は水溶性アミノ酸であり、
R5はAsn又は水溶性アミノ酸であり、
R6はSer又は水溶性アミノ酸であり、
R8はCys又はGluであり、
R10はCysであり、
R11はLys又はLeuであり、
R13はAsp又はCysである]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項28】
Cys対22/26又は26/30間でジスルフィド橋の形で環化される、下記アミノ酸配列;
H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-Met-
Glu-Arg-Val-R8-Trp-Leu-Arg-R10-R11-Leu-Gln-R13-OH(配列番号34):
[配列中、R3はHis又は水溶性アミノ酸であり、
R4はLeu又は水溶性アミノ酸であり、
R5はAsn又は水溶性アミノ酸であり、
R6はSer又は水溶性アミノ酸であり、
R8はGlu又はCysであり、
R10はCysであり、
R11はLys又はLeuであり、
R13はAsp又はCysである]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項29】
アミノ酸対22と26との;26と30との;又はR11及びR13がLys又はAspである場合、27と30との;又はR9及びR12がLys、Orn、Glu又はAspである場合、25と29との間でラクタムの形で環化されるか、又はCys対22/26又は26/30間でジスルフィド橋の形で環化される、下記アミノ酸配列;
H-NH-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-R3-R4-R5-R6-Met-
Glu-Arg-Val-R8-Trp-Leu-R9-R10-R11-Leu-R12-R13-NH2(配列番号35):
[配列中、R3はHis又は水溶性アミノ酸であり、
R4はLeu又は水溶性アミノ酸であり、
R5はAsn又は水溶性アミノ酸であり、
R6はSer又は水溶性アミノ酸であり、
R8はLys, Asp, Cys, Orn 又は Gluであり、
R9はArg, Cys, Lys, Orn, His 又はGluであり、
R10はGlu, Orn, Cys, Asp 又は Lysであり、
R11はLys, Gln, Ile, Nle, Leu, Tyr, Ala 又はAspであり、
R12はGln, Glu, Asp, Lys 又は Ornであり、そして
R13はAsp, Glu, Orn 又は Lysである]を有する、ヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体(但し、配列番号7ではない)又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項30】
配列番号7のアミノ酸配列を有するヒト副甲状腺ホルモンhPTH類似体又は医薬的に許容できるその塩。
【請求項31】
治療的有効量の配列番号7のヒト副甲状腺ホルモン類似体を、オステオポローシスを有する温血動物に投与することを含んで成る、そのような処理の必要な温血動物におけるオステオポローシスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−57386(P2009−57386A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246839(P2008−246839)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【分割の表示】特願2007−121289(P2007−121289)の分割
【原出願日】平成9年8月1日(1997.8.1)
【出願人】(507143679)ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ (2)
【Fターム(参考)】