説明

骨芽細胞増殖促進活性を有するペプチドおよびその利用

【課題】骨芽細胞増殖促進活性を有する新規なペプチドおよびこれを含有する骨形成促進用医薬を提供するとともに、当該ペプチドを利用する優れた用途を提供する。
【解決手段】Ala−Glu−Serで表わされるアミノ酸配列からなるペプチド、特定のアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有するペプチド、またはそれらの薬学的に許容される塩。当該ペプチドのスレオニン残基、アスパラギン残基およびセリン残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖には単糖または糖鎖が結合していてもよい。当該ペプチドは骨形成促進用医薬の有効成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨芽細胞増殖促進活性を有するペプチドおよび当該ペプチドを含有する骨形成促進用医薬、並びにこれらの利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、骨量または骨塩量の減少によって骨の微細構造が破綻し、骨強度が低下して骨折のリスクが高まった全身性疾患である。日本では骨粗鬆症の患者は約1,100万人と言われており、その8割は女性である。さらに、骨粗鬆症は中年以降に多く見られる疾患であるため、近年の高齢化に伴い今後患者数が増加すると推測される。また、近年、小中学生の骨折率が増加しており、骨粗鬆症を予防するという見地からも若年期にしっかりと骨塩量を高めて、より高い最大骨量を得ることは非常に重要である。このように、今や骨の健康を保つことは性別や年齢に関係なく全社会的な関心事である。
【0003】
従来、骨の疾患を予防あるいは治療する方法として、食餌療法によるカルシウム補給、軽い運動、日光浴、薬物治療等が行われている。食餌療法によるカルシウム補給としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等のカルシウム塩や、牛骨粉、卵殻、魚骨粉等の天然カルシウム剤が使用されているが、溶解性や吸収性、呈味性の点で必ずしも経口摂取に適している素材であるとはいえない。適度な運動は骨量を増やし、骨を強化するので、散歩やウオーキングは骨の健康によいとされるが、体が弱っている場合は軽い運動も厄介なものである。まして寝たきりの老人ではほとんど運動できない。日光浴は活性化ビタミンD3の補給と言う点ではよいとされているが、これだけでは不十分である。
【0004】
本発明者らの過去の研究により、卵黄水溶性画分および卵黄タンパク質加水分解物に骨強化作用があることが知られている(特許文献1,2参照)。しかしながら、卵黄水溶性画分や卵黄タンパク質加水分解物に含有される骨強化活性を有する成分は特定されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−21087号公報
【特許文献2】国際公開WO2006/075558号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、骨芽細胞増殖促進活性を有する新規なペプチドおよびこれを含有する骨形成促進用医薬を提供するとともに、当該ペプチドを利用する優れた用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]Ala−Glu−Serで表わされるアミノ酸配列からなり、骨芽細胞増殖促進活性を有することを特徴とするペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[2]以下の(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有することを特徴とするペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(a)Ala−Glu−Ser
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列
(c)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(d)配列番号2で表わされるアミノ酸配列
(e)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(f)配列番号3で表わされるアミノ酸配列
(g)配列番号3で表わされるアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(h)配列番号4で表わされるアミノ酸配列
(i)配列番号4で表わされるアミノ酸配列において1〜9個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
[3]スレオニン残基、アスパラギン残基およびセリン残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖に単糖または糖鎖が結合していることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[4]アスパラギン残基の側鎖に結合する単糖、またはアスパラギン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖が、N−アセチルグルコサミンであることを特徴とする前記[3]に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[5]セリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する単糖、またはセリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖が、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、グルコース、N−アセチルグルコサミンおよびキシロースから選ばれる1種であることを特徴とする前記[3]に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[6] 以下の(A)、(B)および(C)に記載のペプチドからなる群より選ばれる1種である前記[2]〜[5]のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(A)配列番号15で表わされるアミノ酸配列の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(B)配列番号15で表わされるアミノ酸配列において第96位のプロリンがバリンに置換されたアミノ酸配列の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(C)以下の式(I)および式(II)で表わされるペプチド
【化1】

(式中、Rは以下の(i)、(ii)、(iii)または(iv)
【化2】

を表す。)
[7]前記[1]または[2]に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
[8]前記[7]に記載のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター。
[9]前記[8]に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
[10]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドに対する抗体。
[11]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする医薬。
[12]骨形成促進剤である前記[11]に記載の医薬。
[13]骨形成促進剤を製造するための前記[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
[14]哺乳動物に対して前記[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする骨形成促進方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、骨芽細胞増殖促進活性を有する新規なペプチドおよびこれを含有する骨形成促進用医薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】卵黄タンパク加水分解物を分画分子量10kDaのUF膜で分画し、それぞれの画分の骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図2】卵黄タンパク加水分解物の分子量10kDa以下の画分を分画分子量3kDaのUF膜で分画し、それぞれの画分の骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図3】卵黄タンパク加水分解物の分子量3kDa−10kDaの画分をODSカラムに供し、各メタノール濃度(20、40、60、80%)で溶出して得られた画分の骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図4】図3において強い骨芽細胞増殖活性が認められたメタノール20%溶出画分についてゲルろ過を行って分取した画分を示す図である。
【図5】図4に示した7画分についてGPC分析を行った結果を示す図である。
【図6】図4に示した7画分のうち6画分について骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図7】図6において強い骨芽細胞増殖活性が認められたフラクション1についてHPLCを行い、検出されたピーク、分取したフラクションの範囲を示した図である。
【図8】図7に示した範囲で分取したフラクションについて骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図9】図8において強い骨芽細胞増殖活性が認められた20−40分のフラクションに存在する各ピークを分取し、各ピークの骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図10】図9において強い骨芽細胞増殖活性が認められたフラクションNo.9をさらにHPLCで分画した結果を示す図である。
【図11】図10に示された2つのピークを分取し、それぞれの骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図12】骨芽細胞増殖活性を有するフラクション(No.9−0およびNo.9)に含まれるペプチドのアミノ酸配列を解析した結果を示す図である。
【図13】No.9−0に含まれるペプチドのESI−MS解析結果を示す図である。
【図14】No.9に含まれるペプチドのESI−MS解析結果を示す図である。
【図15】No.9−0およびNo.9に含まれるペプチドのCEおよびMS解析結果を示す図である。
【図16】解析の結果明らかとなったペプチドの構造を示す図である。
【図17】化学合成した12種類のペプチドについて骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図18】化学合成したペプチド(No.13)について骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図19】化学合成したペプチド(No.14)について骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【図20】化学合成したトリペプチド(AES)およびジペプチド(AE)について骨芽細胞増殖活性を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔ペプチド〕
本発明のペプチドは、Ala−Glu−Serで表わされるアミノ酸配列からなり、骨芽細胞増殖促進活性を有するトリペプチドである。
また、本発明のペプチドは、以下の(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有するものでもよい。
(a)Ala−Glu−Ser
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列
(c)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(d)配列番号2で表わされるアミノ酸配列
(e)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(f)配列番号3で表わされるアミノ酸配列
(g)配列番号3で表わされるアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(h)配列番号4で表わされるアミノ酸配列
(i)配列番号4で表わされるアミノ酸配列において1〜9個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
なお、本発明における「ペプチド」は、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものを意味し、結合するアミノ酸の数は問わない。すなわち、本発明における「ペプチド」にはポリペプチドが含まれる。
【0011】
本発明者らは、卵黄タンパク質を加水分解したペプチド混合物から、強い骨芽細胞増殖活性を有するペプチドの同定を試み、目的のペプチドが「Val−Asp−Gly−Ala−Glu−Ser−Pro−Thr−Ala−Asn−Ile−Ser」(配列番号4)のアミノ酸配列を有し、第10位のアスパラギンに糖鎖が結合した糖ペプチドであることを特定した。また、糖鎖が結合していなくても骨芽細胞増殖活性を有することを確認した。
【0012】
また、本発明者らは、配列番号4のアミノ酸配列において、N末端側およびC末端側からそれぞれ数個のアミノ酸を欠失させても骨芽細胞増殖活性を有するが、配列番号4の第4位のアラニンを欠失させると骨芽細胞増殖活性が失われることを確認した。具体的には、配列番号1で表わされるアミノ酸配列(Val−Asp−Gly−Ala−Glu−Ser)からなるペプチド、配列番号2で表わされるアミノ酸配列(Asp−Gly−Ala−Glu−Ser−Pro−Thr−Ala)からなるペプチド、および配列番号3で表わされるアミノ酸配列(Ala−Glu−Ser−Pro−Thr−Ala−Asn−Ile−Ser)からなるペプチドは、骨芽細胞増殖活性を有していることを確認した。
【0013】
さらに、本発明者らは、配列番号4のアミノ酸配列において、骨芽細胞増殖活性を発現する最小ペプチドの特定を試みた結果、Ala−Glu−Serで表わされるアミノ酸配列からなるトリペプチドが骨芽細胞増殖活性を有していることを見出した。
【0014】
すなわち、骨芽細胞増殖促進活性に必須のアミノ酸配列は、Ala−Glu−Ser3アミノ酸からなる配列であることが明らかとなった。したがって、配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が欠失したペプチド、配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失したペプチド、配列番号3で表わされるアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失したペプチド、配列番号4で表わされるアミノ酸配列において1〜9個のアミノ酸が欠失したペプチドを含むペプチドも骨芽細胞増殖活性を有することが容易に理解できる。
【0015】
また、本発明者らは、配列番号4の第7位のプロリンがバリンに置換されても骨芽細胞増殖活性を有することを確認した。したがって、「Val−Asp−Gly−Ala−Glu−Ser−Pro−Thr−Ala−Asn−Ile−Ser」(配列番号4)のペプチドにおいて、第4位のアラニン、第5位のグルタミン酸および第6位のセリン以外のアミノ酸が他のアミノ酸に置換しても、骨芽細胞増殖活性を有すると考えられる。なお、配列番号1〜3は配列番号4の一部であるので、配列番号1〜3のアミノ酸配列のペプチドについても同様であると考えられる。好ましいアミノ酸置換としては、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、ProおよびIleの中での置換、ヒドロキシル残基を有するSerとThrとの置換、酸性残基を有するAspとGluとの置換、塩基性残基を有するLysとArgとの置換、芳香族残基を有するPheとTyrとの置換などが挙げられるが、これらに限定されず、骨芽細胞増殖活性を維持できる限りどのようなアミノ酸置換であってもよい。
【0016】
本発明のペプチドは、上記(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有するペプチドであればよく、(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有していてもよい。(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列以外のアミノ酸配列は特に限定されない。付加的なアミノ酸配列としては、タグ配列(例えば、ポリヒスチジンタグ、Mycタグ、FLAGタグなど)、マーカーペプチド(例えば、GFPなど)等が挙げられる。
【0017】
配列番号4のアミノ酸配列は、卵黄タンパク質の一種であるβ−リベチンのアミノ酸配列(配列番号15)の一部であることが明らかとなった。したがって、Ala−Glu−Serまたは配列番号1〜4のいずれかで表わされるアミノ酸配列を含むペプチドとしては、β−リベチンの全長またはβ−リベチンのアミノ酸配列(配列番号15)の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含むフラグメントであることが好ましい。また、配列番号15で表わされるβ−リベチンのアミノ酸配列において、第96位のプロリンがバリンに置換された配列であってもよく、配列番号15の第96位のプロリンがバリンに置換された配列の全長または第93位−第95位のAla−Glu−Serを含むフラグメントも好適である。フラグメントのアミノ酸残基数は特に限定されないが、好ましくは3〜50残基、より好ましくは3〜30残基、さらに好ましくは3〜20残基、特に好ましくは3〜12残基である。
【0018】
本発明のペプチドは、公知の一般的なペプチド合成のプロトコールに従って、固相合成法(Fmoc法、Boc法)または液相合成法により製造することができる。また、本発明のペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターを導入した形質転換体を用いて製造することができる。また、本発明のペプチドを一部に含むペプチド(例えば、β−リベチン)をコードするDNAを含有する発現ベクターを導入した形質転換体を用いてペプチドを取得し、これを適当なプロテアーゼやペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
【0019】
得られたペプチドが骨芽細胞増殖促進活性を有することは、細胞増殖を測定する公知の方法から適宜選択した試験系において骨芽細胞を使用し、ペプチドを添加した場合とペプチドを添加していない場合とを比較して、ペプチドを添加した場合の方が骨芽細胞の増殖レベルが高いことを確認すればよい。例えば、骨芽細胞由来の細胞株を用いる細胞培養系において、MTTアッセイやセルカウント法を用いる方法が挙げられる。
【0020】
本発明のペプチドは、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。エステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが挙げられる。本発明のペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれる。
【0021】
さらに、本発明のペプチドには、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N末端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているものも含まれる。
【0022】
本発明のペプチドは、薬学的に許容される塩を形成していてもよく、その塩としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の、またはアルミニウムの水酸化物または炭酸塩との塩;トリエチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、t−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなどとの塩などが挙げられる。
【0023】
本発明のペプチドは、Ala−Glu−Serからなるペプチドおよび上記(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドにおいて、スレオニン残基、アスパラギン残基およびセリン残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖に単糖または糖鎖が結合していることが好ましい。糖鎖が結合していることにより、酵素分解に対する抵抗性が向上し、例えば、生体において血中半減期を長くすることができ、作用の持続性を図ることができる。
【0024】
単糖または糖鎖は、アミノ酸の側鎖官能基に直接またはリンカーを介して結合することができる。単糖としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、シアル酸、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、ガラクトサミンおよびこれらの硫酸化物、リン酸化物、硝酸化物等が挙げられる。糖鎖は、上記例示した単糖が2個以上グリコシド結合したものであれば限定されず、結合している単糖の個数は問わない。
【0025】
アスパラギン残基の側鎖に結合する単糖、またはアスパラギン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖は、N−アセチルグルコサミンであることが好ましい。また、セリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する単糖、またはセリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖は、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、グルコース、N−アセチルグルコサミンおよびキシロースから選ばれる1種であることが好ましい。
【0026】
本発明のペプチドのアスパラギン残基の側鎖に結合する糖鎖(N結合型糖鎖)としては、例えば、以下の(1)〜(32)などが挙げられる。
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
本発明のペプチドのセリン残基またはスレオニン残基の側鎖に結合する糖鎖(O結合型糖鎖)としては、例えば、以下の(1)〜(11)などが挙げられる。なお、下記(1)〜(8)に示す糖鎖(コア構造)の非還元末端側の糖に、さらにガラクトース(Gal)、フコース(Fuc)、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、シアル酸(NeuAc)などが付加されていてもよい。
【化6】

【0030】
単糖または糖鎖が結合したペプチドは、例えば、(1)stepwise法、(2)convergent法、(3)酵素−化学合成法などの公知の方法により製造することができる。得られた糖ペプチドが骨芽細胞増殖促進活性を有することは、上述の方法で確認することができる。
【0031】
(1)stepwise法は、糖アミノ酸を合成単位として用いる方法であり、糖アミノ酸にアミノ酸を結合させて伸長させ糖ペプチドを合成する。ペプチド鎖の伸長は、一般的なペプチド合成のプロトコールに従って固相合成法(Fmoc法、Boc法)により行うことができる。
【0032】
N−結合型糖アミノ酸は、糖アミンとアスパラギン酸誘導体のβ−カルボキシル基との縮合により合成することができる。縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Kunz, H. (1987) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 26, 294-308)、2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン−1−カルボキシレイト(EEDQ)(Kunz, H., and Unverzagt, C. (1988) Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 27, 1697-1699、Kisch, P., Kusunose, N., Aikawa, J., Kitagawa, T., Yokoyama, S., and Ogawa, T. (1995) Bioorg. Med. Chem. 3, 1631-1636)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロポキシル)カルボジイミド(EDC)(Teshima, T., Nakajima, K., and Shiba, T. (1996) in Peptide Chemistry 1995 (Nishi, N. ed.) pp.141-144, Protein Research Foundation, Osaka)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレイト(TBTU)(Zang,H., Wang Y., Thurmer, R., Meisenbach, M., and Voelter, W. (1997) Liebig Ann., 9, 1871-1877、Arsequell, G., Krippner, L., Dwek, R. A., and Wong, S.Y.C. (1994) J. Chem. Soc., Chem. Commun. 2383-2384)、ペンタフルオロフェニルエステル(Urgge, L., Otvos, L. Jr., Lang, E., Wroblewski, K., Laczko, I., and Hollosi, M. (1992) Carbohydr. Res. 235, 83-93、Otvos, L. Jr., Urgge, L., Hollisi, M., Wroblewski, K., Graczyk, G., Lang, E., Fasman, G.D., and Thurin, J (1990) Tetrahedron Lett. 31, 5889-5892、Urgge, L., Kollat, E., Hollosi, M., Laczko, I., Wroblewski, K., Thurin, J. Otvos, L. Jr. (1991) Tetrahedron Lett. 32, 3445-3448)などが挙げられる。
【0033】
糖アミンは、パラジウムブラック(Thiem, J., and Wiemann, T. (1990) Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 29, 80-82)、リンドラー触媒(Nakabayashi, S., Warren, C.D., and Jeanloz, R.W. (1988) Carbohydr. Res. 174, 279-289)、酸化白金(Marks, G.S., Marshall, R.D., and Neuberger, A. (1963) Biochem. J. 87, 274-281)、ラネーニッケル(Mcdonald, F. E., and Danishefsky, S.J. (1992) J. Org. Chem. 57, 7001-7002)などの触媒を用いた糖アジドの接触還元、またはプロパンジチオールによる還元(Unverzagt, C. (1996) Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 35, 2350-2353)により合成できる。また、トリアルキルホスフィン存在下、糖アジドとアスパラギン酸誘導体から糖アスパラギンを得る方法(Mizuno, M., Muramoto, I., Kobayashi, K., Yaginuma, H., and Inazu, T. (1999) Synthesis, 162-165、Inazu, T., and Kobayashi, K. (1993) Synlett., 869-870)、糖イソチオシアネート(Kholrlin, A.Y., Zurabyan, S. E., and Macharadze, R.G. (1980) Carbohydr. Res. 85, 201-208、Gunther, G., and Kunz, H. (1990) Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 29, 1050-1051)、ペンテニルグリコシド(Handlon, A. L., and Fraser-Reid, B. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115, 3796-3797、Radcliffe, A. J., Konradsson, P., and Fraser-Reid, B. (1991) Carbohydr. Res. 216, 323-335)を用いる方法が知られている。
【0034】
O−結合型糖アミノ酸は、ハロゲン糖(Luning, B., Norberg, T., River-Baeza, C., and Tejbrant, J. (1991) Glycoconjugate J. 8, 450-455、Kunz, H., Birnbach, S., and Wernig, P. (1990) Carbohydr. Res. 202, 207-213、Ciommer, M., and Kunz, H. (1991) Synlett., 593-594、Paulsen, H., and Paal, M. (1984) Carbohydr. Res. 135, 71-84)、グリコシルトリクロロアセトイミデート(Fukase, K., Hase, S., Ikenaka, T., and Kusumoto, S. (1992) Bull. Chem. Soc. Jpn. 65, 436-445、Kinzy, W., and Schmidt, R. R. (1989) Carbohydr. Res. 193, 33-47、Barchi, J. J., Russ, P., Johnson, B., Otaka, A., Nomizu, M., and Yamada, Y. (1995) Bioorg. Med. Chem. Lett. 5, 711-714)、チオグリコシド(Halander, A., Kenne, L., Oscarson, S., Peters, T., and Brisson, J. R. (1992) Carbohydr. Res. 230, 299-318、Elofsson, M., and Kihlberg, J. (1995) Tetrahedron Lett. 36, 7499-7502、Paulsen, H., Merz, G., Weichert, U. (1988) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 27, 1364-1365)、アセチル化糖(Seitz, O., and Wong, C-H. (1997) J. Am. Chem. Soc. 119, 8766-8776、Elofsson, M., Roy, S., Salvador, L. A., and Kihlberg, J. (1996) Tetrahedron Lett. 37, 7645-7648)などを糖供与体としたグリコシル化反応により合成することができる。特にFmoc−セリンやFmoc−スレオニンのペンタフルオロフェニルエステルを糖受容体として用いる方法は、そのまま糖ペプチド合成に用いることができる有用な方法である(Jansson, A. M., Meldal, M., and Bock, K. (1992) J. Chem. Soc. Perkins Trans I, 1699-1707)。
【0035】
(2)convergent法は、糖鎖部分とペプチド部分をそれぞれ合成しておき、それらを縮合させて糖ペプチドを合成する方法である。ペプチド鎖中のアスパラギン残基のβカルボキシル基と、7糖(ManGlcNAc)からなる糖鎖アミンとの縮合例がある(Cohen-Abisfeld, S. T., and Lansbury, P. T. (1993) J. Am. Chem. Soc. 115, 1053-10537)。
【0036】
(3)酵素−化学合成法は、GlcNAc残基を有する糖ペプチドを合成し、これを糖鎖受容体とし、糖鎖供与体として、天然の糖タンパク質(卵白、卵黄、血清トランスフェリン、リボヌクレアーゼBなど)から調製される糖アミノ酸や糖ペプチドを用い、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(Endo−M、Endo−αなど)を用いて、糖鎖転移反応を行う方法である。Endo−Mは、N−結合型糖鎖の転移(K. Yamamoto, J. Biosci. Bioeng. 2001, 92, 493)、Endo−αは、O−結合型糖鎖(コア1)の転移(H. Ashida, K. Yamamoto, T. Murata, T. Usui, H. Kumagai, Arch. Biochem. Biophys. 2000, 373, 394、T. Katayama, K. fujita, K. Yamamoto, J.Biosci. Bioeng. 2005, 99, 457)に利用できる。
【0037】
本発明のペプチドは、以下の(A)、(B)および(C)に記載のペプチドからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
(A)配列番号15で表わされるアミノ酸配列(β−リベチン)の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(B)配列番号15で表わされるアミノ酸配列(β−リベチン)において第96位のプロリンがバリンに置換されたアミノ酸配列の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(C)以下の式(I)および式(II)で表わされるペプチド
【0038】
【化7】

(式中、Rは以下の(i)、(ii)、(iii)または(iv)
【0039】
【化8】

を表す。)
【0040】
〔ポリヌクレオチド〕
本発明のポリヌクレオチドは、上記Ala−Glu−Serからなるペプチドまたは(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有するペプチドをコードするポリヌクレオチドであればよい。ポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在することができる。ポリヌクレオチドは、二本鎖でもよく一本鎖でもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNAと RNAとのハイブリッドのいずれであってもよい。一本鎖の場合は、コード鎖(センス鎖)または非コード鎖(アンチセンス鎖)のいずれであってもよい。また、本発明のポリヌクレオチドは、その5’側または3’側でタグ標識(タグ配列またはマーカー配列)をコードするポリヌクレオチドに融合されていてもよい。さらに、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
【0041】
本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、本発明のペプチドのアミノ酸配列に基づいて、各アミノ酸のコドンを適宜選択して組み合わせることにより任意にデザインすることができる。また、配列番号1〜4のいずれかで表わされるアミノ酸配列は、上述のように卵黄タンパク質の一種であるβ−リベチンのアミノ酸配列(配列番号15)の一部であるので、β−リベチンをコードする遺伝子の塩基配列に基づいてデザインすることができる。ここで、β−リベチンは、卵黄タンパク質の前駆体であるビテロゲニンの切断により生成することが知られている。すなわち、ビテロゲニンは、肝臓で合成された後、血流中に分泌され卵巣へと輸送されて卵母細胞内へ取り込まれ、卵母細胞内のリソソームに局在するアスパラギン酸プロテアーゼ(カテプシンD)により、リポビテリン−1、ホスビチン、リポビテリン−2、β−リベチンに切断される(Deeley RG, Mullinix DP, Wetekam W, Kronenberg HM, Meyers M, Eldridge JD, Goldberger RF. Vitellogenin synthesis in the avian liver. Vitellogenin is the precursor of the egg yolk phosphoproteins. J Biol Chem. 1975 Dec 10;250(23):9060-6.)。β−リベチンのアミノ酸配列は、ビテロゲニンの全アミノ酸配列(アクセッション番号:CAA31942)の1567位から1850位に該当する(特開2006−115761号公報)。したがって、ビテロゲニンをコードする遺伝子の塩基配列(アクセッション番号:X13607)に基づいて、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列をデザインすることができる。
【0042】
本発明のポリヌクレオチドは、公知のDNA合成法やPCR法等によって取得することができる。具体的には、例えば、本発明のペプチドのアミノ酸配列に基づいて、各アミノ酸のコドンを適宜選択して塩基配列をデザインし、市販のDNA合成機を用いて化学合成すればよい。また、ビテロゲニンをコードする遺伝子の塩基配列(アクセッション番号:X13607)中の本発明のペプチドをコードする領域を増幅するためのプライマーを設計し、これらプライマーを用いてニワトリゲノムDNAまたはcDNA等を鋳型にしてPCR等を行うことにより、本発明のポリヌクレオチドを含むDNA断片を大量に取得できる。
【0043】
〔発現ベクター〕
本発明は、上記本発明のペプチドを製造するために使用される発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むものであれば特に限定されないが、RNAポリメラーゼの認識配列を有するプラスミドベクター(pSP64、pBluescriptなど)が好ましい。発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されない。ベクターの具体的な種類は限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択することができる。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実に本発明のポリヌクレオチドを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明のポリヌクレオチドを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。本発明の発現ベクターを用いて形質転換された宿主を、培養、栽培または飼育した後、培養物などから慣用的な手法(例えば、濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなど)に従って、本発明のペプチドを回収、精製することができる。
【0044】
発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性遺伝子、大腸菌(Escherichia coli)および他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。上記選択マーカーを用いれば、本発明のポリヌクレオチドが宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認することができる。あるいは、本発明のペプチドを融合ペプチドとして発現させてもよく、例えば、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして用い、本発明のペプチドをGFP融合ペプチドとして発現させてもよい。
【0045】
宿主は特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、大腸菌等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色腫細胞)などが挙げられる。上記発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
【0046】
〔形質転換体〕
本発明は、上記本発明の発現ベクターが導入された形質転換体を提供する。本発明の形質転換体は、細胞、組織または器官だけでなく、生物個体をも含む。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記宿主細胞として例示した各種微生物、植物または動物が挙げられる。本発明の形質転換体は、本発明のペプチドが発現されていることを特徴とする。本発明の形質転換体は、本発明のペプチドが安定的に発現することが好ましいが、一過性に発現してもよい。
【0047】
〔抗体〕
本発明は、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、本発明のペプチドの検出や分離に使用することができる。
本明細書において「抗体」は、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、IgY(鶏卵抗体)およびこれらのフラグメント(Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fcフラグメントなど))を意味し、例としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体などが挙げられるがこれらに限定されない。抗体は、種々の公知の方法(例えば、HarLowら、「Antibodies: a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1988)」、岩崎ら、「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」、「Makoto S.et al,Biosci. Biotech. Biochem.,56(2): 270-274, 1992」)に従えば作製することができる。
【0048】
少数のアミノ酸(例えば、約20残基以下)からなるペプチドに特異的に結合する抗体を作製する場合は、キャリアタンパク質(例えば、KLH(Keyhole limpet hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)等)に抗原ペプチドを結合させて免疫する方法、MAPs(Multiple Antigenic Peptides)法などの公知の方法を好適に用いることができる。
【0049】
〔医薬〕
本発明のペプチドまたはその塩は、骨形成促進用の医薬として使用することができる。本発明の医薬は骨形成促進作用を有しているので、例えば、骨折、骨粗鬆症、骨形成不全、発達期における成長阻害などの予防または治療に好適に使用することができる。
【0050】
本発明の医薬は、本発明のペプチドを有効成分とし、薬学的に許容される担体または添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
【0051】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
【0052】
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤では、通常例えば体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。
また、本発明は、骨形成促進剤を製造するための本発明のペプチドの使用も提供する。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
〔実施例1:卵黄タンパク加水分解物中の骨芽細胞増殖促進活性成分の同定〕
(1)卵黄タンパク加水分解物の調製
脱脂卵黄粉末(キユーピー株式会社製)100質量部に、水500質量部を加えて均一に撹拌した後、商品名「アルカラーゼ」(Bacillus licheniformis由来のプロテアーゼ、ノボザイムズ・ジャパン株式会社製)5質量部を加え、pH7で55〜60℃にて3時間反応させた。反応終了後、90℃で10分間の熱処理により酵素を失活させてから、濾過を行い、濾液を回収した。濾液をスプレー乾燥して、卵黄タンパク加水分解物を得た。
なお、脱脂卵黄粉末は、市販の卵黄粉末(例えば、キユーピー株式会社製)から調製することもできる。具体的には、市販の卵黄粉末1質量部に、エタノール(またはn−ヘキサン)5〜10質量部を加え、ブレンダーで30分間程度撹拌した後、濾過して固形物を回収する。この操作を3回ほど繰り返して卵黄から脱脂を行う。脱脂した卵黄を風乾することにより乾燥粉末を調製することができる。
【0055】
(2)骨芽細胞増殖活性の測定方法
マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1 Subclone−4(ATCC No.CRL-2593)を、10%FBSを含むα−MEM培養液を用いて、37℃、5%CO−95%airの下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を集めた。集めた細胞を、上記α−MEM培養液に懸濁して細胞懸濁液(1×104個/mL)を調製した。この細胞懸濁液を24穴プレートに1mLずつ播種し、37℃、5%CO−95%airの下で前培養した。翌日、Ca濃度が500μg/mLになるようにCaClを添加したα−MEM培養液950μLにサンプルまたはPBS(−)を50μL加えてよく混和した培養液に交換し、更に72時間培養した。骨芽細胞の増殖活性は、MTT(3-(4,5-Dimethyl-2-Thiazolyl) -2,5- Diphenyltetrazolium Bromide)アッセイ法および/またはセルカウント法にて測定した。サンプルの骨芽細胞の増殖促進活性は、PBS(−)の増殖値を100とした時の相対値で表した。
【0056】
(3)UF膜による分画(1回目)
卵黄タンパク加水分解物1kgを水10Lに溶解し、UF膜(分画分子量:10kDa、日本ミリポア株式会社製)を用いて分画し、分子量10kDa以下の画分と分子量10kDa以上の画分について骨芽細胞増殖活性を測定した。陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。分子量10kDa以下の画分と分子量10kDa以上の画分については、分画していない卵黄タンパク加水分解物中のそれぞれの画分の含量に相当する量(卵黄タンパク加水分解物相当量)を添加した。また、それぞれの画分を1mg/mLの濃度で添加した。
結果を図1に示した。図1から明らかなように、分子量10kDa以下の画分に骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0057】
(4)UF膜による分画(2回目)
上記(3)で骨芽細胞増殖活性が認められた分子量10kDa以下の画分を、さらにUF膜(分画分子量:3kDa、日本ミリポア株式会社製)を用いて分画し、分子量3kDa−10kDaの画分と分子量3kDa以下の画分について骨芽細胞増殖活性を測定した。陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。また、上記(3)で得られた分子量10K以下の画分についても測定した。
結果を図2に示した。図2から明らかなように、分子量3kDa−10kDaの画分に骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0058】
(5)ODSカラムによる分画
上記(4)で骨芽細胞増殖活性が認められた分子量3kDa−10kDaの画分をODSカラム(樹脂:商品名「ODS-A」、株式会社ワイエムシィ製、オープンカラムサイズ:φ35mm×200mm)に供し、各メタノール濃度(20、40、60、80%)で溶出して、分画した。得られた各画分について骨芽細胞増殖活性を測定した。陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。
結果を図3に示した。図3から明らかなように、メタノール20%溶出画分に最も強い骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0059】
(6)ゲルろ過による分画
上記(5)で最も強い骨芽細胞増殖活性が認められたメタノール20%溶出画分についてゲルろ過(樹脂:商品名「Superdex30 prep grade」、GEヘルスケアジャパン株式会社製、オープンカラムサイズ:35mm×410mm、移動相:30%アセトニトリル、流速:0.6mL/min)を行い、7画分を分取した。
ゲルろ過により分取した画分を図4に示した。また、得られた7画分について、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)分析を行った結果を図5に示した。GPCの条件は以下のとおりである。
カラム:商品名「YMC-Pack Diol-60(500×8.0mmI.D.)」(株式会社ワイエムシィ製)
移動相:0.1M KH2PO4-K2HPO4 containing 0.2M NaCl/Acetonitrile=70/30
流速:0.7mL/min
温度:室温
検出:UV215nm
サンプル濃度:2mg/ml
インジェクション量:10μL
【0060】
ゲルろ過分画により得られた7画分のうち、フラクション1、3〜7の6画分について、骨芽細胞増殖活性を測定した(フラクション2は回収量が少なすぎたこととフラクション1とパターンが同じだったためアッセイを行わず)。陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。結果を図6に示した。図6から明らかなように、フラクション1に最も強い骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0061】
(7)HPLCよる分画(1回目)
上記(6)で最も強い骨芽細胞増殖活性が認められたフラクション1についてHPLCで分画し、20分ごとにフラクションを分取した。得られた4フラクションについて骨芽細胞増殖活性を測定した。HPLCの条件は以下のとおりである。
カラム:商品名「5C18-AR-300(50×4.6mmI.D.)」(ナカライテスク株式会社製)
移動相:(A)5%Acetonitrile/0.5% TFA
(B)10%Acetonitrile/0.5% TFA
B 0%→100%(0-60min)Gradient
温度:40℃
検出:UV220nm
サンプル濃度:2mg/ml
インジェクション量:10μL
【0062】
HPLCにより検出されたピークおよび分取したフラクションの範囲を図7に示した。
骨芽細胞増殖活性を測定した結果を図8に示した。なお、陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。図8から明らかなように、20−40分のフラクションに最も強い骨芽細胞増殖活性が認められた。
そこで、20−40分のフラクションに存在する6〜10の各ピークを分取し(図7参照)、各ピークの骨芽細胞増殖活性を測定した。なお、陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。結果を図9に示した。図9から明らかなように、ピーク9(フラクションNo.9)に最も強い骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0063】
(8)HPLCよる分画(2回目)
上記(7)で最も強い骨芽細胞増殖活性が認められたフラクションNo.9をさらにHPLCで分画した。HPLCの条件は以下のとおりである。
ODSカラム:商品名「YMC-Pack ODS-A(250×4.6mm I.D.)」
株式会社ワイエムシィ製
移動相:7%Acetonitrile/0.5%TFA
流速:0.8mL/min
温度:40℃
検出:UV220nm
【0064】
HPLCの結果を図10に示した。フラクションNo.9から、さらに2つのピーク(No.9−0およびNo.9)が得られた。この2つのピーク(No.9−0およびNo.9)を分取し、それぞれについて骨芽細胞増殖活性を測定した。なお、陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。結果を図11に示した。図11から明らかなように、いずれのピークにも骨芽細胞増殖活性が認められた。
【0065】
(9)ペプチドの同定
No.9−0およびNo.9に含まれるペプチドのアミノ酸配列を、プロテインシークエンサを用いて解析した。その結果、No.9−0およびNo.9には、いずれも12アミノ酸からなる同一の配列を有するペプチドが検出された。また、第10位のアミノ酸に糖鎖が結合している可能性が示唆された(図12参照)。
そこで、No.9−0およびNo.9に含まれるペプチドをノイラミニダーゼおよびペプチドN−グリカナーゼ(PNGase F、ニュー・イングランド・バイオラボ・ジャパン製)で処理し、ESI−MS(ナノ−エレクトロスプレイ質量分析計)、CE(キャピラリー電気泳動)およびMS(質量分析計)を用いて糖鎖構造を解析した。
No.9−0のESI−MS解析結果を図13に、No.9のESI−MS解析結果を図14に、両者のCEおよびMS解析結果を図15にそれぞれ示した。これらの解析結果から、No.9−0およびNo.9に含まれるペプチドは、図16(A)および(B)に示す糖ペプチドであることが明らかとなった。また、得られたペプチドのアミノ酸配列は、卵黄タンパク質であるβ−リベチンのアミノ酸配列(配列番号15)の第90位−第101位に該当する部分配列であった。
【0066】
〔実施例2:骨芽細胞増殖促進活性に必須のペプチドの解析〕
実施例1で同定された骨芽細胞増殖促進活性を有する糖ペプチドにおいて、糖鎖が結合していないペプチド、およびそのN末端側またはC末端側のアミノ酸を欠失させた各種ペプチドを化学合成し、骨芽細胞増殖促進活性を測定した。ペプチドの合成には、ペプチド自動合成装置Syro II(バイオタージ・ジャパン株式会社製)を使用した。合成したペプチドを表1に示した。
【表1】

【0067】
各ペプチドの骨芽細胞増殖促進活性を測定した結果を図17に示した。なお、各ペプチドの濃度は1μM、陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/mL)を用いた。図17から明らかなように、No.11およびNo.12以外のペプチドは、骨芽細胞増殖促進活性を有していた。この結果から、少なくともNo.1のペプチド(配列番号4)の第4位のアラニンは骨芽細胞増殖促進活性に必須であることが示唆された。
【0068】
さらに、表2に示す2種類のペプチドを合成し、骨芽細胞増殖促進活性を測定した。
【表2】

【0069】
No.13の結果を図18に、No.14の結果を図19にそれぞれ示した。図18および図19から明らかなように、いずれのペプチドも骨芽細胞増殖促進活性を有していた。この結果から、No.13のペプチドにおいてプロリンをバリンに置換しても骨芽細胞増殖促進活性に影響を及ぼさないことが確認された。
【0070】
以上の結果を踏まえて、トリペプチド(AES)およびジペプチド(AE)をそれぞれ合成し、骨芽細胞増殖促進活性を測定した。なお、陽性対照として分画していない卵黄タンパク加水分解物(1mg/ml)を用いた。
結果を図20に示した。図20から明らかなように、トリペプチド(AES)は、強い骨芽細胞増殖促進活性を有していた。一方、ジペプチド(AE)は骨芽細胞増殖活性をほとんど有していないことが分かる。この結果から、「AES」の3アミノ酸からなる配列が骨芽細胞増殖促進活性に必須であることが明らかとなった。なお、「AES」の3アミノ酸からなる配列は、β−リベチンのアミノ酸配列(配列番号15)の第93位−第95位に該当する。
【0071】
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ala−Glu−Serで表わされるアミノ酸配列からなり、骨芽細胞増殖促進活性を有することを特徴とするペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
以下の(a)〜(i)のいずれかのアミノ酸配列を含み、骨芽細胞増殖促進活性を有することを特徴とするペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(a)Ala−Glu−Ser
(b)配列番号1で表わされるアミノ酸配列
(c)配列番号1で表わされるアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(d)配列番号2で表わされるアミノ酸配列
(e)配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(f)配列番号3で表わされるアミノ酸配列
(g)配列番号3で表わされるアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
(h)配列番号4で表わされるアミノ酸配列
(i)配列番号4で表わされるアミノ酸配列において1〜9個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列
【請求項3】
スレオニン残基、アスパラギン残基およびセリン残基から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基の側鎖に単糖または糖鎖が結合していることを特徴とする請求項1または2に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
アスパラギン残基の側鎖に結合する単糖、またはアスパラギン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖が、N−アセチルグルコサミンであることを特徴とする請求項3に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
セリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する単糖、またはセリン残基もしくはスレオニン残基の側鎖に結合する糖鎖の還元末端の糖が、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、グルコース、N−アセチルグルコサミンおよびキシロースから選ばれる1種であることを特徴とする請求項3に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
以下の(A)、(B)および(C)に記載のペプチドからなる群より選ばれる1種である請求項2〜5のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
(A)配列番号15で表わされるアミノ酸配列の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(B)配列番号15で表わされるアミノ酸配列において第96位のプロリンがバリンに置換されたアミノ酸配列の第93位−第95位のAla−Glu−Serを含みアミノ酸残基数が3〜12のペプチド
(C)以下の式(I)および式(II)で表わされるペプチド
【化1】

(式中、Rは以下の(i)、(ii)、(iii)または(iv)
【化2】

を表す。)
【請求項7】
請求項1または2に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項7に記載のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター。
【請求項9】
請求項8に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドに対する抗体。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含有することを特徴とする医薬。
【請求項12】
骨形成促進剤である請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
骨形成促進剤を製造するための請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
哺乳動物に対して請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする骨形成促進方法。

【図4】
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【図7】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−211979(P2011−211979A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83984(P2010−83984)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(500101243)株式会社ファーマフーズ (30)
【Fターム(参考)】