骨診断画像表示装置
【課題】骨塩量を測定する際に取得された画像を、骨の診断に適した態様で表示することを目的とする。
【解決手段】画像表示処理においては、骨塩分布画像データ、低いエネルギーのX線によるロー透過X線画像データ、または、高いエネルギーのX線によるハイ透過X線画像データのうち、背景画像を表示する画像データが選択される。そして、選択された画像データに基づいて背景画像がディスプレイに表示される。背景画像が表示された後、ユーザの操作に基づいて背景画像上に関心領域が設定される。そして、ユーザの操作に基づいて骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データが選択され、選択された画像データによる画像に関心領域が置き換えられた合成画像がディスプレイに表示される。
【解決手段】画像表示処理においては、骨塩分布画像データ、低いエネルギーのX線によるロー透過X線画像データ、または、高いエネルギーのX線によるハイ透過X線画像データのうち、背景画像を表示する画像データが選択される。そして、選択された画像データに基づいて背景画像がディスプレイに表示される。背景画像が表示された後、ユーザの操作に基づいて背景画像上に関心領域が設定される。そして、ユーザの操作に基づいて骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データが選択され、選択された画像データによる画像に関心領域が置き換えられた合成画像がディスプレイに表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨診断画像表示装置に関し、特に、エネルギーの異なる2種類のX線を用いて、骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症等の診断を行うための評価値として骨塩量および骨密度があり、X線によってその測定を行う骨密度測定装置が広く用いられている。骨密度測定装置は、X線発生器から発せられ被検体を透過したX線をX線検出器によって検出し、その検出結果に基づいて被検体の骨塩量を測定する。さらに、X線発生器への骨の投影面積である骨面積を求め、骨塩量を骨面積で除すことで骨密度を求める。
【0003】
骨密度測定装置が骨塩量を測定する方法には二重エネルギーX線吸収測定法(DXA:Dual X−ray Absoptiometry)がある。この測定法は、エネルギーが異なる2種類のX線のそれぞれについて被検体に対する透過X線画像データを取得し、これらの透過X線画像データから骨塩分布画像データを求めるものである。骨塩分布画像データは、被検体内の骨塩の3次元空間分布を平面上に投影した骨塩分布画像を表す。骨密度測定装置は、骨塩分布画像データに基づいて診断対象の骨の骨塩量、骨面積、骨密度等を求め、ディスプレイに数値表示すると共に、骨塩分布画像をディスプレイに表示する。
【0004】
なお、特許文献1には、骨密度分布測定機能付きX線画像診断装置が記載されている。この装置は、骨密度分布画像とX線透過像を並べて表示、あるいは重ねて表示する。特許文献2には、X線画像診断装置が記載されている。この装置は、エネルギーが異なる2種類の放射線を用いて取得された2つの放射線画像に基づいて、骨部組織が強調された骨部画像を生成する。特許文献3には、X線断層撮影装置が記載されている。この装置は、エネルギーが異なる2種類のX線を用いて取得された2つのX線画像に基づいて、これらの差分画像を生成する。そして、2つのX線画像のうち少なくとも一方と差分画像とを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−34539号公報
【特許文献2】特開平10−155115号公報
【特許文献3】特開2008−86543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
骨粗鬆症等の診断においては、骨塩量、骨面積、骨密度等の数値の他、骨塩分布画像が参照されることがある。ユーザは、骨塩分布画像を参照することで、圧迫骨折等によって骨が変形したことを視覚的に認識することができる。しかし、骨塩分布画像は、骨塩量が少ない領域において骨部組織と軟部組織との区別が不明となることがある。また、骨塩分布画像は、被検体の軟部組織をも含めて表すことを目的としていない。そのため、透過X線画像に基づく骨の診断を常日頃から行っているユーザにとっては、骨塩分布画像のみによって骨の診断を行うことが困難となることがある。
【0007】
本発明は、骨塩量を測定する際に取得された画像を、骨の診断に適した態様で表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被検体を透過した第1X線に基づいて第1X線画像データを生成し、前記第1X線のエネルギーとは異なるエネルギーを有し、前記被検体を透過した第2X線に基づいて第2X線画像データを生成する透過X線画像データ生成部と、前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体内の骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを生成する骨塩分布画像データ生成部と、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかを、背景画像を表す背景画像データとして選択する背景画像選択部と、前記背景画像に対して関心領域を設定する関心領域設定部と、前記関心領域の画像を表示するための関心領域データとして、前記第1X画像データ、前記第2X線画像データ、または、前記骨塩分布画像データのうちいずれかを選択する関心領域画像選択部と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた合成画像を表示手段に表示させる合成画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、背景画像のうち関心領域として設定された部分が、第1X線画像データ、第2X線画像データ、または骨塩分布画像データのうちいずれかに基づく画像に置き換えられた合成画像が表示される。異なるエネルギーのX線を以って取得された複数のX線画像、および骨塩分布画像には、それぞれ、視認性についての短所および長所がある。本発明によれば、背景画像の短所を関心領域の画像の長所で補うことができる。あるいは、関心領域の画像の短所を背景画像の長所で補うことができる。
【0010】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記背景画像選択部は、前記第1X線画像データまたは前記第2X線画像データのいずれかを前記被検体のX線に対する吸収率に基づいて選択する処理を実行する。
【0011】
このような構成によれば、被検体のX線の吸収率に応じてX線画像が選択され、表示される背景画像の視認性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体における骨部組織と軟部組織との境界線を表す骨部組織線データを生成する骨部組織線データ生成部を備え、前記合成画像生成部は、前記骨部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させる。
【0013】
X線画像においては、骨部組織の像の周りに軟部組織の像が現れ、骨部組織と軟部組織との境界が不明確となることがある。したがって、骨部組織線データによって表される境界線を合成画像に重ねて表示することで、X線画像の短所を補うことができる。
【0014】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記第1X線画像データに基づいて、前記被検体の軟部組織と空気との境界線を表す軟部組織戦データを生成する軟部組織線データ生成部を備え、前記合成画像生成部は、前記軟部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させる。
【0015】
骨塩分布画像においては、軟部組織が現れないため、軟部組織と空気との境界が不明確となることがある。したがって、軟部組織線データによって表される境界線を合成画像に重ねて表示することで、骨塩分布画像の短所を補うことができる。
【0016】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記関心領域画像選択部は、前記第1X線画像データに基づく画像、前記第2X線画像データに基づく画像、および前記骨塩分布画像データに基づく画像を、予め定められた順序で前記表示手段に巡回的に表示させる巡回表示手段と、前記巡回表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかをユーザに指定させる巡回画像指定手段と、を備える。
【0017】
このような構成によれば、ユーザは、関心領域の画像を第1X線画像に基づく画像とした場合、第2X線画像に基づく画像とした場合、および骨塩分布画像に基づく画像とした場合のそれぞれを見比べた上で、固定表示する合成画像を指定することができる。
【0018】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記合成画像生成部は、前記関心領域データに対しスムージング処理を施すスムージング処理手段と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施された前記関心領域データに基づく画像に置き換えられたスムージング合成画像と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施されていない前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた非スムージング合成画像と、を交互に前記表示手段に表示させる交代表示手段と、前記交代表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記スムージング合成画像、または、前記非スムージング合成画像のうちいずれかをユーザに指定させる交代画像指定手段と、を備える。
【0019】
このような構成によれば、ユーザは、スムージング処理を用いた場合、およびスムージング処理を用いない場合のそれぞれを見比べた上で、固定表示する画像を指定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、骨塩量を測定する際に取得された画像を、骨の診断に適した態様で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の構成を示す図である。
【図2】画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図3】背景画像として骨塩分布画像が表示された例、および背景画像としてハイ透過X線画像が表示された例を示す図である。
【図4】背景画像として表示された骨塩分布画像、および背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す図である。
【図5】背景画像として表示された骨塩分布画像、および背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す図である。
【図6】関心領域が設定されたときの表示状態を示す図である。
【図7】背景画像としてハイ透過X線画像が表示され、関心領域表示用画像データとして骨塩分布画像データが選択された場合における合成画像の表示状態を示す図である。
【図8】背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像を示す図である。
【図9】応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図11】スムージング画像および非スムージング画像の例を示す図である。
【図12】第3の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図13】関心領域に骨部組織線を表示した例を示す図である。
【図14】関心領域に軟部組織線を表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の構成が示されている。骨密度測定装置は、被検体16を透過したX線に基づいて、透過X線画像データ、および骨塩分布画像データを取得する。骨密度測定装置は、骨塩分布画像データに基づいて骨塩量、骨面積および骨密度を求め、これらの値をディスプレイ32に表示する。また、ユーザの操作に応じて、透過X線画像または骨塩分布画像をディスプレイ32に表示する。
【0023】
骨密度測定装置の具体的な構成について説明する。骨密度測定装置は、X線発生部10、X線検出部12、被検体定置台18、プロセッサ22、記憶部26、ディスプレイ32、操作部34、およびシステムコントローラ36を備える。プロセッサ22内には、X線検出部12の検出値に基づいて、骨塩量、骨面積および骨密度を求める各演算ブロック、ならびに、X線検出部12の検出値に基づいて、透過X線画像データおよび骨塩分布画像データを生成する各演算ブロックが構成される。
【0024】
X線発生部10は、X線放射方向を上に向けて配置されている。X線検出部12は、検出面14が下に向けられX線発生部10に対向させて配置されている。X線発生部10とX線検出部12との間には、X線を透過する材料で形成された被検体定置台18が配置されている。被検体定置台18上には被検体16が定置され、X線発生部10の上方から被検体定置台18の上方にかけては、X線ビームが走査される診断空間20が形成される。
【0025】
操作部34は、キーボード、マウス、トラックボール等の情報を入力する機構を含み、ユーザの操作に基づいてシステムコントローラ36に動作を指示する情報を与える。システムコントローラ36は、操作部34から与えられた情報に基づいて、X線発生部10、X線検出部12およびプロセッサ22を制御する。これによって、X線発生部10、X線検出部12およびプロセッサ22は、操作部34における操作に応じた処理を実行する。
【0026】
骨密度測定装置が実行する処理について説明する。X線発生部10、X線検出部12、および画像データ生成部24は、二重エネルギーX線吸収測定法に基づいて被検体16の透過X線画像データ、および骨塩分布画像データを取得する。この測定法においては、エネルギーが異なる2種類のX線ビームのそれぞれについて被検体16に対する透過X線画像データが求められ、各透過X線画像データから骨塩分布画像データが求められる。
【0027】
被検体16は、X線発生部10とX線検出部12との間に定置される。X線発生部10は、放射するX線ビームのエネルギーをロー値ELとし、診断空間20内においてX線ビームを走査する。X線検出部12は、検出面14上の各検出位置においてX線を検出し、各検出位置における検出値を画像データ生成部24に出力する。画像データ生成部24は、X線検出部12から出力された各検出値に基づいて、エネルギーELに対するロー透過X線画像データを求める。
【0028】
また、X線発生部10は、放射するX線ビームのエネルギーをロー値E1より大きいハイ値EHとし、診断空間20内においてX線ビームを走査する。X線検出部12は、検出面14上の各検出位置においてX線を検出し、各検出位置における検出値を画像データ生成部24に出力する。画像データ生成部24は、X線検出部12から出力された検出値に基づいて、エネルギーEHに対するハイ透過X線画像データを求める。
【0029】
なお、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データは、X線ビームのエネルギーを時分割で交互に切り替えることで求めてもよい。すなわち、X線発生部10が走査するX線ビームのエネルギーを、ロー値ELおよびハイ値EHで交互に切り替え、検出面14上の各検出位置においてエネルギーELのX線およびエネルギーEHのX線を交互に検出することでロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データを求めてもよい。
【0030】
骨塩画像データ生成部24は、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データに基づいて、骨塩分布画像データを求める。画像データ生成部24は、ロー透過X線画像データ、ハイ透過X線画像データおよび骨塩分布画像データを記憶部26に記憶する。
【0031】
測定値演算部28は、記憶部26に記憶されている骨塩分布画像データを読み込む。そして、骨塩分布画像データの画素値を積算して骨塩量を求める。また、骨塩分布画像データが示す画素のうち、画素値が所定の閾値を超えるものの個数を求め、その個数に単位画素当たりの面積を乗じて骨面積を求める。測定値演算部28は、骨塩量を骨面積で除すことで骨密度を求め、骨塩量、骨面積、および骨密度を画像生成部30に出力する。画像生成部30は、骨塩量、骨面積、および骨密度をディスプレイ32に数値表示させる。
【0032】
次に、骨密度測定装置の画像表示処理について説明する。画像表示処理においては、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、背景画像を表示する画像データが選択される。そして、選択された画像データに基づいて背景画像がディスプレイ32に表示される。背景画像が表示された後、ユーザの操作に基づいて背景画像上に関心領域が設定される。そして、ユーザの操作に基づいて骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データが選択され、選択された画像データによる画像に関心領域が置き換えられた合成画像がディスプレイ32に表示される。
【0033】
図2には、画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートが示されている。最初に操作部34において、背景画像表示モードの設定が行われる(S101)。背景画像表示モードには、骨塩分布モード、ロー透過X線モード、ハイ透過X線モード、および自動選択モードがある。骨塩分布モード、ロー透過X線モード、およびハイ透過X線モードは、それぞれ、骨塩分布画像、ロー透過X線画像、およびハイ透過X線画像を背景画像とする表示モードである。また、自動選択モードは、ロー透過X線画像、またはハイ透過X線画像のうちいずれか一方を、被検体を透過したX線の光子量(ロー透過X線画像またはハイ透過X線画像の画素値)に基づいて選択し、選択した画像を背景画像とする表示モードである。被検体を透過したX線の光子量、すなわち画素値は、被検体のX線に対する吸収率に依存するため、自動選択モードは、被検体のX線に対する吸収率に基づく処理を実行するモードであるといえる。
【0034】
システムコントローラ36は、設定された背景画像表示モードを示す背景画像モード情報を画像生成部30に与える。画像生成部30は、自動選択モードが設定されたか否かを背景画像モード情報に基づいて判定する(S102)。そして、自動選択モードでない表示モードが設定された旨の判定をしたときは、設定された表示モードに応じた背景画像をディスプレイ32に表示させる(S104)。すなわち、骨塩分布モードが設定されたときは、画像生成部30は、骨塩分布画像データを記憶部26から読み込み、背景画像として骨塩分布画像をディスプレイ32に表示させる。また、ロー透過X線画像モードが設定されたときは、画像生成部30は、ロー透過X線画像データを記憶部26から読み込み、背景画像としてロー透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。そして、ハイ透過X線画像モードが設定されたときは、画像生成部30は、ハイ透過X線画像データを記憶部26から読み込み、背景画像としてハイ透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。
【0035】
画像生成部30は、自動選択モードが設定された旨の判定をしたときは、次のような処理に基づいて、ロー透過X線画像、またはハイ透過X線画像のうちいずれか一方を背景画像として選択する(S103)。画像生成部30は、ロー透過X線画像データを記憶部26から読み込む。そして、ロー透過X線画像データの画素のうち、画素値が所定の閾値以下であるものの個数を求める。画像生成部30は、求められた個数が所定値以下であるときは、ハイ透過X線画像を背景画像として選択し、求められた個数が所定値を超えるときは、ロー透過X線画像を背景画像として選択する。このような選択処理は、ロー透過X線画像データの代わりに、ハイ透過X線画像データを用いて行ってもよい。この場合、ハイ透過X線画像データの画素のうち、画素値が所定の閾値以上であるものの個数を求める。画像生成部30は、求められた個数が所定値以上であるときは、ロー透過X線画像を背景画像として選択し、求められた個数が所定値未満であるときは、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。
【0036】
画像生成部30は、ステップS103で選択された画像を背景画像としてディスプレイ32に表示させる(S104)。すなわち、ハイ透過X線画像が選択されたときは、画像生成部30は、ハイ透過X線画像データに基づいて、ハイ透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。他方、ロー透過X線画像が選択されたときは、画像生成部30は、ロー透過X線画像データに基づいて、ロー透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。
【0037】
図3(a)には、背景画像として骨塩分布画像が表示された例が模式的に示されている。この例における診断対象は被検体の前腕部である。図3(a)の白色の領域は骨部組織を示す。また、図3(b)には、背景画像としてハイ透過X線画像が表示された例が模式的に示されている。図3(b)の白色の領域は骨部組織を示し、その周りに網掛けが施してある領域は軟部組織を示す。ロー透過X線画像は、骨部組織および軟部組織の領域が、これよりも暗く表示されたものとなる。
【0038】
図4(a)は、背景画像として表示された骨塩分布画像を示し、図4(b)は、背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す。また、図5(a)および(b)は、診断対象を被検体の踵骨としたものである。図5(a)は、背景画像として表示された骨塩分布画像を示し、図5(b)は、背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す。
【0039】
なお、図2のステップS102における自動選択モードの処理は、被検体の体格に関する体格データ、または、診断部位等を示すデータに基づいて行われてもよい。例えば、被検体の体重が所定の基準値を上回った場合や、被検体の腹囲が所定の基準値を上回った場合には、画像生成部30は、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。また、診断部位が腰椎等、厚みのある部位である場合には、画像生成部30は、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。この場合、ユーザは、操作部34の操作により被検体の体格データ、または診断部位等を示すデータを診断に先立って入力する。システムコントローラ36は、操作部34から体格データ、または診断部位等を示すデータを読み込み、記憶部26に記憶させる。画像生成部30は、記憶部26に記憶されたデータに基づいて自動選択モードの処理を実行する。
【0040】
図2に戻って再びフローチャートの説明を行う。ステップS104においてディスプレイ32に背景画像が表示されると共に、システムコントローラ36および画像生成部30は、関心領域の設定、および関心領域を表示する画像データの選択を待機する状態となる。ユーザは、この状態においてディスプレイ32を参照し、操作部34の操作によって、背景画像上にカーソルを表示させ関心領域を設定する(S105)。さらに、ユーザは、操作部34の操作によって、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データまたはハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データを選択する(S106)。関心領域を設定する操作が行われると、システムコントローラ36は、関心領域の範囲を示す範囲情報を画像生成部30に与える。さらに、関心領域を表示する画像データを選択する操作が行われると、システムコントローラ36は、選択された画像データの種別を示す画像種別情報を画像生成部30に与える。
【0041】
画像生成部30は、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データまたはハイ透過X線画像データのうち、画像種別情報によって識別される画像データを関心領域表示用画像データとする。そして、背景画像を表示する画像データ、関心領域表示用画像データおよび範囲情報に基づいて、背景画像のうち関心領域の部分が関心領域表示用画像データによる画像に置き換えられた合成画像を表示する合成画像データを生成する(S107)。画像生成部30は、合成画像データに基づき、合成画像をディスプレイ32に表示させる(S108)。
【0042】
図6(a)には、背景画像として骨塩分布画像が表示された場合において、ステップS105によって関心領域が設定されたときの表示状態が示されている。図6(a)の破線は関心領域38を示す。また、図6(b)には、関心領域表示用画像データとしてハイ透過X線画像データが選択された場合における合成画像の表示状態が示されている。そして、図7には、背景画像としてハイ透過X線画像が表示され、関心領域表示用画像データとして骨塩分布画像データが選択された場合における合成画像の表示状態が示されている。
【0043】
図8(a)には、図4(a)に示された背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像が示されている。また、図8(b)には、図5(a)に示された背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像が示されている。
【0044】
このような処理によれば、背景画像の短所を関心領域の画像の長所で補うことができる。あるいは、関心領域の画像の短所を背景画像の長所で補うことができる。骨塩分布画像、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像のそれぞれの長所は次の通りである。
【0045】
骨塩分布画像には、例えば、次の(1)および(2)に示すような長所、ならびに、(3)に示すような短所がある。(1)骨部組織を明確に表示することができる。(2)骨塩の分布を視覚的にユーザに把握させることができる。しかし、骨塩分布画像には、(3)骨密度が低い部分は、軟部組織との区別が困難であるという短所がある。
【0046】
ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像には、例えば、次の(1)〜(3)に示すような長所がある。(1)透過X線画像に基づく骨の診断を常日頃から行っているユーザにとっては診断が容易である。(2)骨塩分布画像よりもノイズが小さい。(3)軟部組織が画像に現れる。そのため、骨の大きさの把握が容易となる。
【0047】
さらに、ロー透過X線画像には、骨塩分布画像に比べて骨密度が低い部分が現れ易い、ハイ透過X線画像に比べてコントラストが明確である等の長所がある。また、ハイ透過X線画像には、骨密度が高い部位、厚みのある部位等についても、診断が容易な画像を取得することができる、骨塩分布画像およびロー透過X線画像よりもノイズが小さい等の長所がある。骨塩分布画像、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像は、相互に短所を補う関係となり得る。
【0048】
例えば、図8(a)においては、尺骨茎状突起を含む領域が関心領域とされ、関心領域がロー透過X線画像データによって表示されている。これによって、関心領域では、軟部組織と骨の位置基準となる尺骨茎状突起の位置関係が明確になる。また、背景画像では、骨塩の分布が視覚的に表される。また、図8(b)においては、骨密度が低い領域が関心領域とされ、関心領域がロー透過X線画像データによって表示されている。これによって、骨密度が低く骨塩分布画像では形状が現れない骨部組織および軟部組織を、ロー透過X線画像を以て表示することができる。
【0049】
次に、応用例に係る画像表示処理について説明する。図9には応用例に係る画像表示処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、関心領域を表示する画像データを骨塩分布画像データとした場合、ロー透過X線画像データとした場合、および、ハイ透過X線画像データとした場合のそれぞれの合成画像である、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像が巡回的に表示される。このような巡回的な表示が行われているときに、操作部34において表示固定操作(マウスのクリック等)が行われると、そのときに表示されている合成画像の表示が維持される。
【0050】
最初に図2のステップS101〜S105に示される処理が実行される。ステップS104によってディスプレイ32に背景画像が表示されると共に、システムコントローラ36および画像生成部30は、関心領域の設定を待機する状態となる。ユーザは、この状態においてディスプレイ32を参照し、操作部34の操作によって、背景画像上にカーソルを表示させ関心領域を設定する(S105)。関心領域を設定する操作が行われると、システムコントローラ36は、関心領域の範囲を示す範囲情報を画像生成部30に与える。
【0051】
画像生成部30は、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、ハイ透過X線画像データ、背景画像を表示する画像データ、および範囲情報に基づいて、骨塩分布・合成画像データ、ローX線・合成画像データ、およびハイX線・合成画像データを生成する(S201〜S203)。ここで、骨塩分布・合成画像データ、ローX線・合成画像データ、およびハイX線・合成画像データは、それぞれ、関心領域を表示する画像データを骨塩分布画像データとした場合、ロー透過X線画像データとした場合、および、ハイ透過X線画像データとした場合のそれぞれの合成画像データである。
【0052】
画像生成部30は、骨塩分布・合成画像を所定の表示時間t1だけディスプレイ32に表示させる(S204)。そして、骨塩分布・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t1が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S205)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、骨塩分布・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。
【0053】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ローX線・合成画像を所定の表示時間t2だけディスプレイ32に表示させる(S206)。そして、ローX線・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t2が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S207)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、ローX線・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。
【0054】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ハイX線・合成画像を所定の表示時間t3だけディスプレイ32に表示させる(S208)。そして、ハイX線・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t3が経過するまでの間に操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S209)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、ハイX線・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ステップS204に戻る。
【0055】
このような処理によれば、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像が、それぞれの表示時間をt1、t2およびt3として巡回的に表示される。そして、これらの合成画像のうちいずれかが表示されているときに、ユーザによって表示固定操作がなされたときは、その表示状態が維持される。これによって、ユーザは、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像を見比べた上で、固定表示する合成画像を決定することができる。なお、表示時間t1、t2およびt3については、1秒から10秒の間等、操作部34における操作に基づいて設定する構成としてもよい。また、ここでは、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像の順に合成画像を巡回的に表示する処理を採り上げたが、表示の順序はこれに限られない。
【0056】
次に、第2の応用例に係る画像表示処理について説明する。図10には第2の応用例に係る画像表示処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、合成画像が表示された後、合成画像データのうち関心領域を表示するデータについてスムージング処理が施され、スムージング合成画像が生成される。ここで、スムージング処理とは、各画素について平均化を行う処理をいう。この平均化は、例えば、1つの画素の画素値をその1つの画素の近隣の画素の画素値の平均値に置き換えることで行われる。ここで、近隣の画素は、例えば、1つの画素から、上下、左右、および斜め方向に所定の画素数分だけ離れた範囲内の画素として定義される。本応用例に係る画像表示処理においては、スムージング合成画像が生成された後、スムージング合成画像と、非スムージング合成画像(スムージング処理が施されていない通常の合成画像)とが交互に切り換え表示される。切り換え表示が行われているときに、操作部34において表示固定操作が行われると、そのときに表示されている合成画像の表示が維持される。
【0057】
最初に図2のステップS101〜S108に示される処理が実行される。画像生成部30は、合成画像データから関心領域を表示する関心領域データを抽出し(S301)、関心領域データに対しスムージング処理を施す(S302)。そして、元の合成画像データのうち関心領域を表示するデータを、スムージング処理が施された関心領域データに置き換え、スムージング合成画像データを生成する(S303)。
【0058】
画像生成部30は、スムージング合成画像を所定の表示時間t4だけディスプレイ32に表示させる(S304)。そして、スムージング合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t4が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S305)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、スムージング合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S308)。
【0059】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、非スムージング合成画像を所定の表示時間t5だけディスプレイ32に表示させる(S306)。そして、非スムージング合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t5が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S307)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、非スムージング合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S308)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ステップS304に戻る。
【0060】
このような処理によれば、スムージング合成画像、および非スムージング合成画像が、それぞれの表示時間をt4およびt5として交互に表示される。そして、これらの合成画像のうちいずれかが表示されているときに、ユーザによって表示固定操作がなされたときは、その表示が維持される。これによって、ユーザは、スムージング合成画像、および非スムージング合成画像を見比べた上で、固定表示する合成画像を決定することができる。なお、表示時間t4およびt5については、操作部34における操作に基づいて設定する構成としてもよい。
【0061】
関心領域をハイ透過X線画像またはロー透過X線画像とした場合、非スムージング合成画像では、骨部組織の輪郭が明確になる。他方、非スムージング合成画像では、軟部組織の輪郭が明確になる。したがって、本応用例に係る画像表示処理によれば、診断の目的に応じて、スムージング合成画像または非スムージング画像のいずれか一方を表示させることができる。
【0062】
上記では、図2のステップS101〜S108に示される処理が実行された後に、ステップS301以降の処理が実行される例について説明した。このような処理の代わりに、第2の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図9のステップS210に示される処理が実行れた後に、ステップS301以降の処理を実行してもよい。
【0063】
図11(a)および(b)には、それぞれ、非スムージング画像およびスムージング画像の例が示されている。この例は、マウスを被検体としたものである。背景画像は骨塩分布画像であり、関心領域はロー透過X線画像である。図11(a)に示されるように、非スムージング画像では、関心領域内に現れる骨部組織の輪郭が明確になる。一方、図11(b)に示されるように、スムージング画像では、関心領域内に現れる軟部組織の輪郭が明確になる。
【0064】
次に、第3の応用例に係る画像表示処理について説明する。図12には第3の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、背景画像が骨塩分布画像であり、関心領域がロー透過X線画像またはハイ透過X線画像である場合には、骨部組織と軟部組織との境界線である骨部組織線を表す骨部組織線データが生成される。そして、合成画像の関心領域に骨部組織線が重ねられた画像がディスプレイ32に表示される。他方、背景画像がロー透過X線画像またはハイ透過X線画像であり、関心領域が骨塩分布画像である場合には、軟部組織と空気の境界線(軟部組織の外形線)である軟部組織線を表す軟部組織線データが生成される。そして、合成画像の関心領域に軟部組織線が重ねられた画像がディスプレイ32に表示される。なお、以下の説明では、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像の両者を含む用語として、透過X線画像の用語を用いる。
【0065】
最初に図2のステップS101〜S108に示される処理が実行される。画像生成部30は、背景画像が骨塩分布画像であり、関心領域が透過X線画像であるかを判定する(S401)。画像生成部30は、ステップS401における判定が肯定的であるときは、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データに基づいて、骨部組織線データを求める(S402)。そして、合成画像データおよび骨部組織線データに基づいて、合成画像の関心領域に骨部組織線が重ねられた画像をディスプレイ32に表示させる(S403)。
【0066】
画像生成部30は、ステップS401における判定が否定的であるときは、背景画像が透過X線画像であり、関心領域が骨塩分布画像であるかを判定する(S404)。画像生成部30は、ステップS404における判定が肯定的であるときは、ロー透過X線画像データに基づいて軟部組織線データを求める(S405)。そして、合成画像データおよび軟部組織線データに基づいて、合成画像の関心領域に軟部組織線が重ねられた画像をディスプレイ32に表示させる(S406)。
【0067】
画像生成部30は、ステップS404における判定が否定的であるときは、骨部組織線および軟部組織線が重ねられていない合成画像をディスプレイ32に表示させる(S407)。
【0068】
透過X線画像においては、骨部組織の像の周りに軟部組織の像が現れ、骨部組織と軟部組織との境界が不明確となることがある。ステップS403によれば、関心領域を透過X線画像とした場合において骨部組織線が表示される。そのため、関心領域を透過X線画像とした場合における短所を骨部組織線によって補うことができる。
【0069】
また、骨塩分布画像においては、軟部組織が現れないため、軟部組織と空気との境界が不明確となることがある。ステップS406によれば、関心領域を骨塩分布画像とした場合において軟部組織線が表示される。そのため、関心領域を骨塩分布画像とした場合における短所を軟部組織線によって補うことができる。
【0070】
図13には、背景画像を骨塩分布画像とし、関心領域をハイ透過X線画像とした場合において、関心領域に骨部組織線40を表示した例が模式的に示されている。図14には、背景画像をハイ透過X線画像とし、関心領域を骨塩分布画像とした場合において、関心領域に軟部組織線42を表示した例が模式的に示されている。いずれの図も診断対象の骨は、被検体の前腕部である。図13においては骨部組織線が黒の実線を以て示され、図14においては、軟部組織線が黒の実線を以て示されている。合成画像が白黒画像である場合には、骨部組織線および軟部組織線は、黄色、青色等、視認性の良好な色で表示してもよい。
【0071】
なお、ここでは、背景画像および関心領域の画像の種別に応じて、骨部組織線または軟部組織線のいずれか一方を表示する例について採り上げた。このような処理の他、背景画像および関心領域の画像の種別によらず、操作部34における操作に応じて、骨部組織線または軟部組織線のいずれか一方、または両者を表示する処理を行ってもよい。また、骨部組織線および軟部組織線は、関心領域のみならず、合成画像の全域に亘って表示することとしてもよい。
【0072】
また、上記では、図2のステップS101〜S108に示される処理が実行された後に、ステップS401以降の処理を実行する例について説明した。このような処理の代わりに、第2の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図9のステップS210に示される処理が実行れた後に、ステップS401以降の処理を実行してもよい。さらに、第3の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図10のステップS308に示される処理が実行された後に、ステップS401以降の処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 X線発生部、12 X線検出部、14 検出面、16 被検体、18 被検体定置台、20 診断空間、22 プロセッサ、24 画像データ生成部、26 記憶部、28 測定値演算部、30 画像生成部、32 ディスプレイ、34 操作部、36 システムコントローラ、38 関心領域、40 骨部組織線、42 軟部組織線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨診断画像表示装置に関し、特に、エネルギーの異なる2種類のX線を用いて、骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症等の診断を行うための評価値として骨塩量および骨密度があり、X線によってその測定を行う骨密度測定装置が広く用いられている。骨密度測定装置は、X線発生器から発せられ被検体を透過したX線をX線検出器によって検出し、その検出結果に基づいて被検体の骨塩量を測定する。さらに、X線発生器への骨の投影面積である骨面積を求め、骨塩量を骨面積で除すことで骨密度を求める。
【0003】
骨密度測定装置が骨塩量を測定する方法には二重エネルギーX線吸収測定法(DXA:Dual X−ray Absoptiometry)がある。この測定法は、エネルギーが異なる2種類のX線のそれぞれについて被検体に対する透過X線画像データを取得し、これらの透過X線画像データから骨塩分布画像データを求めるものである。骨塩分布画像データは、被検体内の骨塩の3次元空間分布を平面上に投影した骨塩分布画像を表す。骨密度測定装置は、骨塩分布画像データに基づいて診断対象の骨の骨塩量、骨面積、骨密度等を求め、ディスプレイに数値表示すると共に、骨塩分布画像をディスプレイに表示する。
【0004】
なお、特許文献1には、骨密度分布測定機能付きX線画像診断装置が記載されている。この装置は、骨密度分布画像とX線透過像を並べて表示、あるいは重ねて表示する。特許文献2には、X線画像診断装置が記載されている。この装置は、エネルギーが異なる2種類の放射線を用いて取得された2つの放射線画像に基づいて、骨部組織が強調された骨部画像を生成する。特許文献3には、X線断層撮影装置が記載されている。この装置は、エネルギーが異なる2種類のX線を用いて取得された2つのX線画像に基づいて、これらの差分画像を生成する。そして、2つのX線画像のうち少なくとも一方と差分画像とを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−34539号公報
【特許文献2】特開平10−155115号公報
【特許文献3】特開2008−86543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
骨粗鬆症等の診断においては、骨塩量、骨面積、骨密度等の数値の他、骨塩分布画像が参照されることがある。ユーザは、骨塩分布画像を参照することで、圧迫骨折等によって骨が変形したことを視覚的に認識することができる。しかし、骨塩分布画像は、骨塩量が少ない領域において骨部組織と軟部組織との区別が不明となることがある。また、骨塩分布画像は、被検体の軟部組織をも含めて表すことを目的としていない。そのため、透過X線画像に基づく骨の診断を常日頃から行っているユーザにとっては、骨塩分布画像のみによって骨の診断を行うことが困難となることがある。
【0007】
本発明は、骨塩量を測定する際に取得された画像を、骨の診断に適した態様で表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被検体を透過した第1X線に基づいて第1X線画像データを生成し、前記第1X線のエネルギーとは異なるエネルギーを有し、前記被検体を透過した第2X線に基づいて第2X線画像データを生成する透過X線画像データ生成部と、前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体内の骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを生成する骨塩分布画像データ生成部と、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかを、背景画像を表す背景画像データとして選択する背景画像選択部と、前記背景画像に対して関心領域を設定する関心領域設定部と、前記関心領域の画像を表示するための関心領域データとして、前記第1X画像データ、前記第2X線画像データ、または、前記骨塩分布画像データのうちいずれかを選択する関心領域画像選択部と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた合成画像を表示手段に表示させる合成画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、背景画像のうち関心領域として設定された部分が、第1X線画像データ、第2X線画像データ、または骨塩分布画像データのうちいずれかに基づく画像に置き換えられた合成画像が表示される。異なるエネルギーのX線を以って取得された複数のX線画像、および骨塩分布画像には、それぞれ、視認性についての短所および長所がある。本発明によれば、背景画像の短所を関心領域の画像の長所で補うことができる。あるいは、関心領域の画像の短所を背景画像の長所で補うことができる。
【0010】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記背景画像選択部は、前記第1X線画像データまたは前記第2X線画像データのいずれかを前記被検体のX線に対する吸収率に基づいて選択する処理を実行する。
【0011】
このような構成によれば、被検体のX線の吸収率に応じてX線画像が選択され、表示される背景画像の視認性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体における骨部組織と軟部組織との境界線を表す骨部組織線データを生成する骨部組織線データ生成部を備え、前記合成画像生成部は、前記骨部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させる。
【0013】
X線画像においては、骨部組織の像の周りに軟部組織の像が現れ、骨部組織と軟部組織との境界が不明確となることがある。したがって、骨部組織線データによって表される境界線を合成画像に重ねて表示することで、X線画像の短所を補うことができる。
【0014】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記第1X線画像データに基づいて、前記被検体の軟部組織と空気との境界線を表す軟部組織戦データを生成する軟部組織線データ生成部を備え、前記合成画像生成部は、前記軟部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させる。
【0015】
骨塩分布画像においては、軟部組織が現れないため、軟部組織と空気との境界が不明確となることがある。したがって、軟部組織線データによって表される境界線を合成画像に重ねて表示することで、骨塩分布画像の短所を補うことができる。
【0016】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記関心領域画像選択部は、前記第1X線画像データに基づく画像、前記第2X線画像データに基づく画像、および前記骨塩分布画像データに基づく画像を、予め定められた順序で前記表示手段に巡回的に表示させる巡回表示手段と、前記巡回表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかをユーザに指定させる巡回画像指定手段と、を備える。
【0017】
このような構成によれば、ユーザは、関心領域の画像を第1X線画像に基づく画像とした場合、第2X線画像に基づく画像とした場合、および骨塩分布画像に基づく画像とした場合のそれぞれを見比べた上で、固定表示する合成画像を指定することができる。
【0018】
また、本発明に係る骨診断画像表示装置は、望ましくは、前記合成画像生成部は、前記関心領域データに対しスムージング処理を施すスムージング処理手段と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施された前記関心領域データに基づく画像に置き換えられたスムージング合成画像と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施されていない前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた非スムージング合成画像と、を交互に前記表示手段に表示させる交代表示手段と、前記交代表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記スムージング合成画像、または、前記非スムージング合成画像のうちいずれかをユーザに指定させる交代画像指定手段と、を備える。
【0019】
このような構成によれば、ユーザは、スムージング処理を用いた場合、およびスムージング処理を用いない場合のそれぞれを見比べた上で、固定表示する画像を指定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、骨塩量を測定する際に取得された画像を、骨の診断に適した態様で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の構成を示す図である。
【図2】画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図3】背景画像として骨塩分布画像が表示された例、および背景画像としてハイ透過X線画像が表示された例を示す図である。
【図4】背景画像として表示された骨塩分布画像、および背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す図である。
【図5】背景画像として表示された骨塩分布画像、および背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す図である。
【図6】関心領域が設定されたときの表示状態を示す図である。
【図7】背景画像としてハイ透過X線画像が表示され、関心領域表示用画像データとして骨塩分布画像データが選択された場合における合成画像の表示状態を示す図である。
【図8】背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像を示す図である。
【図9】応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図11】スムージング画像および非スムージング画像の例を示す図である。
【図12】第3の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図13】関心領域に骨部組織線を表示した例を示す図である。
【図14】関心領域に軟部組織線を表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の構成が示されている。骨密度測定装置は、被検体16を透過したX線に基づいて、透過X線画像データ、および骨塩分布画像データを取得する。骨密度測定装置は、骨塩分布画像データに基づいて骨塩量、骨面積および骨密度を求め、これらの値をディスプレイ32に表示する。また、ユーザの操作に応じて、透過X線画像または骨塩分布画像をディスプレイ32に表示する。
【0023】
骨密度測定装置の具体的な構成について説明する。骨密度測定装置は、X線発生部10、X線検出部12、被検体定置台18、プロセッサ22、記憶部26、ディスプレイ32、操作部34、およびシステムコントローラ36を備える。プロセッサ22内には、X線検出部12の検出値に基づいて、骨塩量、骨面積および骨密度を求める各演算ブロック、ならびに、X線検出部12の検出値に基づいて、透過X線画像データおよび骨塩分布画像データを生成する各演算ブロックが構成される。
【0024】
X線発生部10は、X線放射方向を上に向けて配置されている。X線検出部12は、検出面14が下に向けられX線発生部10に対向させて配置されている。X線発生部10とX線検出部12との間には、X線を透過する材料で形成された被検体定置台18が配置されている。被検体定置台18上には被検体16が定置され、X線発生部10の上方から被検体定置台18の上方にかけては、X線ビームが走査される診断空間20が形成される。
【0025】
操作部34は、キーボード、マウス、トラックボール等の情報を入力する機構を含み、ユーザの操作に基づいてシステムコントローラ36に動作を指示する情報を与える。システムコントローラ36は、操作部34から与えられた情報に基づいて、X線発生部10、X線検出部12およびプロセッサ22を制御する。これによって、X線発生部10、X線検出部12およびプロセッサ22は、操作部34における操作に応じた処理を実行する。
【0026】
骨密度測定装置が実行する処理について説明する。X線発生部10、X線検出部12、および画像データ生成部24は、二重エネルギーX線吸収測定法に基づいて被検体16の透過X線画像データ、および骨塩分布画像データを取得する。この測定法においては、エネルギーが異なる2種類のX線ビームのそれぞれについて被検体16に対する透過X線画像データが求められ、各透過X線画像データから骨塩分布画像データが求められる。
【0027】
被検体16は、X線発生部10とX線検出部12との間に定置される。X線発生部10は、放射するX線ビームのエネルギーをロー値ELとし、診断空間20内においてX線ビームを走査する。X線検出部12は、検出面14上の各検出位置においてX線を検出し、各検出位置における検出値を画像データ生成部24に出力する。画像データ生成部24は、X線検出部12から出力された各検出値に基づいて、エネルギーELに対するロー透過X線画像データを求める。
【0028】
また、X線発生部10は、放射するX線ビームのエネルギーをロー値E1より大きいハイ値EHとし、診断空間20内においてX線ビームを走査する。X線検出部12は、検出面14上の各検出位置においてX線を検出し、各検出位置における検出値を画像データ生成部24に出力する。画像データ生成部24は、X線検出部12から出力された検出値に基づいて、エネルギーEHに対するハイ透過X線画像データを求める。
【0029】
なお、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データは、X線ビームのエネルギーを時分割で交互に切り替えることで求めてもよい。すなわち、X線発生部10が走査するX線ビームのエネルギーを、ロー値ELおよびハイ値EHで交互に切り替え、検出面14上の各検出位置においてエネルギーELのX線およびエネルギーEHのX線を交互に検出することでロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データを求めてもよい。
【0030】
骨塩画像データ生成部24は、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データに基づいて、骨塩分布画像データを求める。画像データ生成部24は、ロー透過X線画像データ、ハイ透過X線画像データおよび骨塩分布画像データを記憶部26に記憶する。
【0031】
測定値演算部28は、記憶部26に記憶されている骨塩分布画像データを読み込む。そして、骨塩分布画像データの画素値を積算して骨塩量を求める。また、骨塩分布画像データが示す画素のうち、画素値が所定の閾値を超えるものの個数を求め、その個数に単位画素当たりの面積を乗じて骨面積を求める。測定値演算部28は、骨塩量を骨面積で除すことで骨密度を求め、骨塩量、骨面積、および骨密度を画像生成部30に出力する。画像生成部30は、骨塩量、骨面積、および骨密度をディスプレイ32に数値表示させる。
【0032】
次に、骨密度測定装置の画像表示処理について説明する。画像表示処理においては、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、背景画像を表示する画像データが選択される。そして、選択された画像データに基づいて背景画像がディスプレイ32に表示される。背景画像が表示された後、ユーザの操作に基づいて背景画像上に関心領域が設定される。そして、ユーザの操作に基づいて骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、または、ハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データが選択され、選択された画像データによる画像に関心領域が置き換えられた合成画像がディスプレイ32に表示される。
【0033】
図2には、画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートが示されている。最初に操作部34において、背景画像表示モードの設定が行われる(S101)。背景画像表示モードには、骨塩分布モード、ロー透過X線モード、ハイ透過X線モード、および自動選択モードがある。骨塩分布モード、ロー透過X線モード、およびハイ透過X線モードは、それぞれ、骨塩分布画像、ロー透過X線画像、およびハイ透過X線画像を背景画像とする表示モードである。また、自動選択モードは、ロー透過X線画像、またはハイ透過X線画像のうちいずれか一方を、被検体を透過したX線の光子量(ロー透過X線画像またはハイ透過X線画像の画素値)に基づいて選択し、選択した画像を背景画像とする表示モードである。被検体を透過したX線の光子量、すなわち画素値は、被検体のX線に対する吸収率に依存するため、自動選択モードは、被検体のX線に対する吸収率に基づく処理を実行するモードであるといえる。
【0034】
システムコントローラ36は、設定された背景画像表示モードを示す背景画像モード情報を画像生成部30に与える。画像生成部30は、自動選択モードが設定されたか否かを背景画像モード情報に基づいて判定する(S102)。そして、自動選択モードでない表示モードが設定された旨の判定をしたときは、設定された表示モードに応じた背景画像をディスプレイ32に表示させる(S104)。すなわち、骨塩分布モードが設定されたときは、画像生成部30は、骨塩分布画像データを記憶部26から読み込み、背景画像として骨塩分布画像をディスプレイ32に表示させる。また、ロー透過X線画像モードが設定されたときは、画像生成部30は、ロー透過X線画像データを記憶部26から読み込み、背景画像としてロー透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。そして、ハイ透過X線画像モードが設定されたときは、画像生成部30は、ハイ透過X線画像データを記憶部26から読み込み、背景画像としてハイ透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。
【0035】
画像生成部30は、自動選択モードが設定された旨の判定をしたときは、次のような処理に基づいて、ロー透過X線画像、またはハイ透過X線画像のうちいずれか一方を背景画像として選択する(S103)。画像生成部30は、ロー透過X線画像データを記憶部26から読み込む。そして、ロー透過X線画像データの画素のうち、画素値が所定の閾値以下であるものの個数を求める。画像生成部30は、求められた個数が所定値以下であるときは、ハイ透過X線画像を背景画像として選択し、求められた個数が所定値を超えるときは、ロー透過X線画像を背景画像として選択する。このような選択処理は、ロー透過X線画像データの代わりに、ハイ透過X線画像データを用いて行ってもよい。この場合、ハイ透過X線画像データの画素のうち、画素値が所定の閾値以上であるものの個数を求める。画像生成部30は、求められた個数が所定値以上であるときは、ロー透過X線画像を背景画像として選択し、求められた個数が所定値未満であるときは、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。
【0036】
画像生成部30は、ステップS103で選択された画像を背景画像としてディスプレイ32に表示させる(S104)。すなわち、ハイ透過X線画像が選択されたときは、画像生成部30は、ハイ透過X線画像データに基づいて、ハイ透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。他方、ロー透過X線画像が選択されたときは、画像生成部30は、ロー透過X線画像データに基づいて、ロー透過X線画像をディスプレイ32に表示させる。
【0037】
図3(a)には、背景画像として骨塩分布画像が表示された例が模式的に示されている。この例における診断対象は被検体の前腕部である。図3(a)の白色の領域は骨部組織を示す。また、図3(b)には、背景画像としてハイ透過X線画像が表示された例が模式的に示されている。図3(b)の白色の領域は骨部組織を示し、その周りに網掛けが施してある領域は軟部組織を示す。ロー透過X線画像は、骨部組織および軟部組織の領域が、これよりも暗く表示されたものとなる。
【0038】
図4(a)は、背景画像として表示された骨塩分布画像を示し、図4(b)は、背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す。また、図5(a)および(b)は、診断対象を被検体の踵骨としたものである。図5(a)は、背景画像として表示された骨塩分布画像を示し、図5(b)は、背景画像として表示されたロー透過X線画像を示す。
【0039】
なお、図2のステップS102における自動選択モードの処理は、被検体の体格に関する体格データ、または、診断部位等を示すデータに基づいて行われてもよい。例えば、被検体の体重が所定の基準値を上回った場合や、被検体の腹囲が所定の基準値を上回った場合には、画像生成部30は、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。また、診断部位が腰椎等、厚みのある部位である場合には、画像生成部30は、ハイ透過X線画像を背景画像として選択する。この場合、ユーザは、操作部34の操作により被検体の体格データ、または診断部位等を示すデータを診断に先立って入力する。システムコントローラ36は、操作部34から体格データ、または診断部位等を示すデータを読み込み、記憶部26に記憶させる。画像生成部30は、記憶部26に記憶されたデータに基づいて自動選択モードの処理を実行する。
【0040】
図2に戻って再びフローチャートの説明を行う。ステップS104においてディスプレイ32に背景画像が表示されると共に、システムコントローラ36および画像生成部30は、関心領域の設定、および関心領域を表示する画像データの選択を待機する状態となる。ユーザは、この状態においてディスプレイ32を参照し、操作部34の操作によって、背景画像上にカーソルを表示させ関心領域を設定する(S105)。さらに、ユーザは、操作部34の操作によって、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データまたはハイ透過X線画像データのうち、関心領域を表示する画像データを選択する(S106)。関心領域を設定する操作が行われると、システムコントローラ36は、関心領域の範囲を示す範囲情報を画像生成部30に与える。さらに、関心領域を表示する画像データを選択する操作が行われると、システムコントローラ36は、選択された画像データの種別を示す画像種別情報を画像生成部30に与える。
【0041】
画像生成部30は、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データまたはハイ透過X線画像データのうち、画像種別情報によって識別される画像データを関心領域表示用画像データとする。そして、背景画像を表示する画像データ、関心領域表示用画像データおよび範囲情報に基づいて、背景画像のうち関心領域の部分が関心領域表示用画像データによる画像に置き換えられた合成画像を表示する合成画像データを生成する(S107)。画像生成部30は、合成画像データに基づき、合成画像をディスプレイ32に表示させる(S108)。
【0042】
図6(a)には、背景画像として骨塩分布画像が表示された場合において、ステップS105によって関心領域が設定されたときの表示状態が示されている。図6(a)の破線は関心領域38を示す。また、図6(b)には、関心領域表示用画像データとしてハイ透過X線画像データが選択された場合における合成画像の表示状態が示されている。そして、図7には、背景画像としてハイ透過X線画像が表示され、関心領域表示用画像データとして骨塩分布画像データが選択された場合における合成画像の表示状態が示されている。
【0043】
図8(a)には、図4(a)に示された背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像が示されている。また、図8(b)には、図5(a)に示された背景画像に対し関心領域が設定され、関心領域表示用画像データとしてロー透過X線画像データが選択された場合における合成画像が示されている。
【0044】
このような処理によれば、背景画像の短所を関心領域の画像の長所で補うことができる。あるいは、関心領域の画像の短所を背景画像の長所で補うことができる。骨塩分布画像、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像のそれぞれの長所は次の通りである。
【0045】
骨塩分布画像には、例えば、次の(1)および(2)に示すような長所、ならびに、(3)に示すような短所がある。(1)骨部組織を明確に表示することができる。(2)骨塩の分布を視覚的にユーザに把握させることができる。しかし、骨塩分布画像には、(3)骨密度が低い部分は、軟部組織との区別が困難であるという短所がある。
【0046】
ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像には、例えば、次の(1)〜(3)に示すような長所がある。(1)透過X線画像に基づく骨の診断を常日頃から行っているユーザにとっては診断が容易である。(2)骨塩分布画像よりもノイズが小さい。(3)軟部組織が画像に現れる。そのため、骨の大きさの把握が容易となる。
【0047】
さらに、ロー透過X線画像には、骨塩分布画像に比べて骨密度が低い部分が現れ易い、ハイ透過X線画像に比べてコントラストが明確である等の長所がある。また、ハイ透過X線画像には、骨密度が高い部位、厚みのある部位等についても、診断が容易な画像を取得することができる、骨塩分布画像およびロー透過X線画像よりもノイズが小さい等の長所がある。骨塩分布画像、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像は、相互に短所を補う関係となり得る。
【0048】
例えば、図8(a)においては、尺骨茎状突起を含む領域が関心領域とされ、関心領域がロー透過X線画像データによって表示されている。これによって、関心領域では、軟部組織と骨の位置基準となる尺骨茎状突起の位置関係が明確になる。また、背景画像では、骨塩の分布が視覚的に表される。また、図8(b)においては、骨密度が低い領域が関心領域とされ、関心領域がロー透過X線画像データによって表示されている。これによって、骨密度が低く骨塩分布画像では形状が現れない骨部組織および軟部組織を、ロー透過X線画像を以て表示することができる。
【0049】
次に、応用例に係る画像表示処理について説明する。図9には応用例に係る画像表示処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、関心領域を表示する画像データを骨塩分布画像データとした場合、ロー透過X線画像データとした場合、および、ハイ透過X線画像データとした場合のそれぞれの合成画像である、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像が巡回的に表示される。このような巡回的な表示が行われているときに、操作部34において表示固定操作(マウスのクリック等)が行われると、そのときに表示されている合成画像の表示が維持される。
【0050】
最初に図2のステップS101〜S105に示される処理が実行される。ステップS104によってディスプレイ32に背景画像が表示されると共に、システムコントローラ36および画像生成部30は、関心領域の設定を待機する状態となる。ユーザは、この状態においてディスプレイ32を参照し、操作部34の操作によって、背景画像上にカーソルを表示させ関心領域を設定する(S105)。関心領域を設定する操作が行われると、システムコントローラ36は、関心領域の範囲を示す範囲情報を画像生成部30に与える。
【0051】
画像生成部30は、骨塩分布画像データ、ロー透過X線画像データ、ハイ透過X線画像データ、背景画像を表示する画像データ、および範囲情報に基づいて、骨塩分布・合成画像データ、ローX線・合成画像データ、およびハイX線・合成画像データを生成する(S201〜S203)。ここで、骨塩分布・合成画像データ、ローX線・合成画像データ、およびハイX線・合成画像データは、それぞれ、関心領域を表示する画像データを骨塩分布画像データとした場合、ロー透過X線画像データとした場合、および、ハイ透過X線画像データとした場合のそれぞれの合成画像データである。
【0052】
画像生成部30は、骨塩分布・合成画像を所定の表示時間t1だけディスプレイ32に表示させる(S204)。そして、骨塩分布・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t1が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S205)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、骨塩分布・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。
【0053】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ローX線・合成画像を所定の表示時間t2だけディスプレイ32に表示させる(S206)。そして、ローX線・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t2が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S207)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、ローX線・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。
【0054】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ハイX線・合成画像を所定の表示時間t3だけディスプレイ32に表示させる(S208)。そして、ハイX線・合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t3が経過するまでの間に操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S209)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、ハイX線・合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S210)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ステップS204に戻る。
【0055】
このような処理によれば、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像が、それぞれの表示時間をt1、t2およびt3として巡回的に表示される。そして、これらの合成画像のうちいずれかが表示されているときに、ユーザによって表示固定操作がなされたときは、その表示状態が維持される。これによって、ユーザは、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像を見比べた上で、固定表示する合成画像を決定することができる。なお、表示時間t1、t2およびt3については、1秒から10秒の間等、操作部34における操作に基づいて設定する構成としてもよい。また、ここでは、骨塩分布・合成画像、ローX線・合成画像、およびハイX線・合成画像の順に合成画像を巡回的に表示する処理を採り上げたが、表示の順序はこれに限られない。
【0056】
次に、第2の応用例に係る画像表示処理について説明する。図10には第2の応用例に係る画像表示処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、合成画像が表示された後、合成画像データのうち関心領域を表示するデータについてスムージング処理が施され、スムージング合成画像が生成される。ここで、スムージング処理とは、各画素について平均化を行う処理をいう。この平均化は、例えば、1つの画素の画素値をその1つの画素の近隣の画素の画素値の平均値に置き換えることで行われる。ここで、近隣の画素は、例えば、1つの画素から、上下、左右、および斜め方向に所定の画素数分だけ離れた範囲内の画素として定義される。本応用例に係る画像表示処理においては、スムージング合成画像が生成された後、スムージング合成画像と、非スムージング合成画像(スムージング処理が施されていない通常の合成画像)とが交互に切り換え表示される。切り換え表示が行われているときに、操作部34において表示固定操作が行われると、そのときに表示されている合成画像の表示が維持される。
【0057】
最初に図2のステップS101〜S108に示される処理が実行される。画像生成部30は、合成画像データから関心領域を表示する関心領域データを抽出し(S301)、関心領域データに対しスムージング処理を施す(S302)。そして、元の合成画像データのうち関心領域を表示するデータを、スムージング処理が施された関心領域データに置き換え、スムージング合成画像データを生成する(S303)。
【0058】
画像生成部30は、スムージング合成画像を所定の表示時間t4だけディスプレイ32に表示させる(S304)。そして、スムージング合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t4が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S305)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、スムージング合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S308)。
【0059】
画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、非スムージング合成画像を所定の表示時間t5だけディスプレイ32に表示させる(S306)。そして、非スムージング合成画像がディスプレイ32に表示されてから表示時間t5が経過するまでの間、操作部34において表示固定操作がなされ、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたか否かを判定する(S307)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられたときは、非スムージング合成画像をディスプレイ32に表示させた状態を維持する(S308)。画像生成部30は、システムコントローラ36から表示固定情報が与えられなかったときは、ステップS304に戻る。
【0060】
このような処理によれば、スムージング合成画像、および非スムージング合成画像が、それぞれの表示時間をt4およびt5として交互に表示される。そして、これらの合成画像のうちいずれかが表示されているときに、ユーザによって表示固定操作がなされたときは、その表示が維持される。これによって、ユーザは、スムージング合成画像、および非スムージング合成画像を見比べた上で、固定表示する合成画像を決定することができる。なお、表示時間t4およびt5については、操作部34における操作に基づいて設定する構成としてもよい。
【0061】
関心領域をハイ透過X線画像またはロー透過X線画像とした場合、非スムージング合成画像では、骨部組織の輪郭が明確になる。他方、非スムージング合成画像では、軟部組織の輪郭が明確になる。したがって、本応用例に係る画像表示処理によれば、診断の目的に応じて、スムージング合成画像または非スムージング画像のいずれか一方を表示させることができる。
【0062】
上記では、図2のステップS101〜S108に示される処理が実行された後に、ステップS301以降の処理が実行される例について説明した。このような処理の代わりに、第2の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図9のステップS210に示される処理が実行れた後に、ステップS301以降の処理を実行してもよい。
【0063】
図11(a)および(b)には、それぞれ、非スムージング画像およびスムージング画像の例が示されている。この例は、マウスを被検体としたものである。背景画像は骨塩分布画像であり、関心領域はロー透過X線画像である。図11(a)に示されるように、非スムージング画像では、関心領域内に現れる骨部組織の輪郭が明確になる。一方、図11(b)に示されるように、スムージング画像では、関心領域内に現れる軟部組織の輪郭が明確になる。
【0064】
次に、第3の応用例に係る画像表示処理について説明する。図12には第3の応用例に係る画像表示処理において骨密度測定装置が実行する処理を示すフローチャートが示されている。この画像表示処理においては、背景画像が骨塩分布画像であり、関心領域がロー透過X線画像またはハイ透過X線画像である場合には、骨部組織と軟部組織との境界線である骨部組織線を表す骨部組織線データが生成される。そして、合成画像の関心領域に骨部組織線が重ねられた画像がディスプレイ32に表示される。他方、背景画像がロー透過X線画像またはハイ透過X線画像であり、関心領域が骨塩分布画像である場合には、軟部組織と空気の境界線(軟部組織の外形線)である軟部組織線を表す軟部組織線データが生成される。そして、合成画像の関心領域に軟部組織線が重ねられた画像がディスプレイ32に表示される。なお、以下の説明では、ロー透過X線画像およびハイ透過X線画像の両者を含む用語として、透過X線画像の用語を用いる。
【0065】
最初に図2のステップS101〜S108に示される処理が実行される。画像生成部30は、背景画像が骨塩分布画像であり、関心領域が透過X線画像であるかを判定する(S401)。画像生成部30は、ステップS401における判定が肯定的であるときは、ロー透過X線画像データおよびハイ透過X線画像データに基づいて、骨部組織線データを求める(S402)。そして、合成画像データおよび骨部組織線データに基づいて、合成画像の関心領域に骨部組織線が重ねられた画像をディスプレイ32に表示させる(S403)。
【0066】
画像生成部30は、ステップS401における判定が否定的であるときは、背景画像が透過X線画像であり、関心領域が骨塩分布画像であるかを判定する(S404)。画像生成部30は、ステップS404における判定が肯定的であるときは、ロー透過X線画像データに基づいて軟部組織線データを求める(S405)。そして、合成画像データおよび軟部組織線データに基づいて、合成画像の関心領域に軟部組織線が重ねられた画像をディスプレイ32に表示させる(S406)。
【0067】
画像生成部30は、ステップS404における判定が否定的であるときは、骨部組織線および軟部組織線が重ねられていない合成画像をディスプレイ32に表示させる(S407)。
【0068】
透過X線画像においては、骨部組織の像の周りに軟部組織の像が現れ、骨部組織と軟部組織との境界が不明確となることがある。ステップS403によれば、関心領域を透過X線画像とした場合において骨部組織線が表示される。そのため、関心領域を透過X線画像とした場合における短所を骨部組織線によって補うことができる。
【0069】
また、骨塩分布画像においては、軟部組織が現れないため、軟部組織と空気との境界が不明確となることがある。ステップS406によれば、関心領域を骨塩分布画像とした場合において軟部組織線が表示される。そのため、関心領域を骨塩分布画像とした場合における短所を軟部組織線によって補うことができる。
【0070】
図13には、背景画像を骨塩分布画像とし、関心領域をハイ透過X線画像とした場合において、関心領域に骨部組織線40を表示した例が模式的に示されている。図14には、背景画像をハイ透過X線画像とし、関心領域を骨塩分布画像とした場合において、関心領域に軟部組織線42を表示した例が模式的に示されている。いずれの図も診断対象の骨は、被検体の前腕部である。図13においては骨部組織線が黒の実線を以て示され、図14においては、軟部組織線が黒の実線を以て示されている。合成画像が白黒画像である場合には、骨部組織線および軟部組織線は、黄色、青色等、視認性の良好な色で表示してもよい。
【0071】
なお、ここでは、背景画像および関心領域の画像の種別に応じて、骨部組織線または軟部組織線のいずれか一方を表示する例について採り上げた。このような処理の他、背景画像および関心領域の画像の種別によらず、操作部34における操作に応じて、骨部組織線または軟部組織線のいずれか一方、または両者を表示する処理を行ってもよい。また、骨部組織線および軟部組織線は、関心領域のみならず、合成画像の全域に亘って表示することとしてもよい。
【0072】
また、上記では、図2のステップS101〜S108に示される処理が実行された後に、ステップS401以降の処理を実行する例について説明した。このような処理の代わりに、第2の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図9のステップS210に示される処理が実行れた後に、ステップS401以降の処理を実行してもよい。さらに、第3の応用例に係る画像表示処理が実行された後、すなわち、図10のステップS308に示される処理が実行された後に、ステップS401以降の処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 X線発生部、12 X線検出部、14 検出面、16 被検体、18 被検体定置台、20 診断空間、22 プロセッサ、24 画像データ生成部、26 記憶部、28 測定値演算部、30 画像生成部、32 ディスプレイ、34 操作部、36 システムコントローラ、38 関心領域、40 骨部組織線、42 軟部組織線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過した第1X線に基づいて第1X線画像データを生成し、前記第1X線のエネルギーとは異なるエネルギーを有し、前記被検体を透過した第2X線に基づいて第2X線画像データを生成する透過X線画像データ生成部と、
前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体内の骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを生成する骨塩分布画像データ生成部と、
前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかを、背景画像を表す背景画像データとして選択する背景画像選択部と、
前記背景画像に対して関心領域を設定する関心領域設定部と、
前記関心領域の画像を表示するための関心領域データとして、前記第1X画像データ、前記第2X線画像データ、または、前記骨塩分布画像データのうちいずれかを選択する関心領域画像選択部と、
前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた合成画像を表示手段に表示させる合成画像生成部と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨診断画像表示装置において、
前記背景画像選択部は、
前記第1X線画像データまたは前記第2X線画像データのいずれかを前記被検体のX線に対する吸収率に基づいて選択する処理を実行することを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の骨診断画像表示装置において、
前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体における骨部組織と軟部組織との境界線を表す骨部組織線データを生成する骨部組織線データ生成部を備え、
前記合成画像生成部は、
前記骨部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記第1X線画像データに基づいて、前記被検体の軟部組織と空気との境界線を表す軟部組織戦データを生成する軟部組織線データ生成部を備え、
前記合成画像生成部は、
前記軟部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記関心領域画像選択部は、
前記第1X線画像データに基づく画像、前記第2X線画像データに基づく画像、および前記骨塩分布画像データに基づく画像を、予め定められた順序で前記表示手段に巡回的に表示させる巡回表示手段と、
前記巡回表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかをユーザに指定させる巡回画像指定手段と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記合成画像生成部は、
前記関心領域データに対しスムージング処理を施すスムージング処理手段と、
前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施された前記関心領域データに基づく画像に置き換えられたスムージング合成画像と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施されていない前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた非スムージング合成画像と、を交互に前記表示手段に表示させる交代表示手段と、
前記交代表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記スムージング合成画像、または、前記非スムージング合成画像のうちいずれかをユーザに指定させる交代画像指定手段と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項1】
被検体を透過した第1X線に基づいて第1X線画像データを生成し、前記第1X線のエネルギーとは異なるエネルギーを有し、前記被検体を透過した第2X線に基づいて第2X線画像データを生成する透過X線画像データ生成部と、
前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体内の骨塩の分布を表す骨塩分布画像データを生成する骨塩分布画像データ生成部と、
前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかを、背景画像を表す背景画像データとして選択する背景画像選択部と、
前記背景画像に対して関心領域を設定する関心領域設定部と、
前記関心領域の画像を表示するための関心領域データとして、前記第1X画像データ、前記第2X線画像データ、または、前記骨塩分布画像データのうちいずれかを選択する関心領域画像選択部と、
前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた合成画像を表示手段に表示させる合成画像生成部と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨診断画像表示装置において、
前記背景画像選択部は、
前記第1X線画像データまたは前記第2X線画像データのいずれかを前記被検体のX線に対する吸収率に基づいて選択する処理を実行することを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の骨診断画像表示装置において、
前記第1X線画像データおよび前記第2X線画像データに基づいて、前記被検体における骨部組織と軟部組織との境界線を表す骨部組織線データを生成する骨部組織線データ生成部を備え、
前記合成画像生成部は、
前記骨部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記第1X線画像データに基づいて、前記被検体の軟部組織と空気との境界線を表す軟部組織戦データを生成する軟部組織線データ生成部を備え、
前記合成画像生成部は、
前記軟部組織線データによって表される境界線を前記合成画像に重ねて前記表示手段に表示させることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記関心領域画像選択部は、
前記第1X線画像データに基づく画像、前記第2X線画像データに基づく画像、および前記骨塩分布画像データに基づく画像を、予め定められた順序で前記表示手段に巡回的に表示させる巡回表示手段と、
前記巡回表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記第1X線画像データ、前記第2X線画像データ、または前記骨塩分布画像データのうちいずれかをユーザに指定させる巡回画像指定手段と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の骨診断画像表示装置において、
前記合成画像生成部は、
前記関心領域データに対しスムージング処理を施すスムージング処理手段と、
前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施された前記関心領域データに基づく画像に置き換えられたスムージング合成画像と、前記背景画像のうち前記関心領域に対応する部分が、前記スムージング処理が施されていない前記関心領域データに基づく画像に置き換えられた非スムージング合成画像と、を交互に前記表示手段に表示させる交代表示手段と、
前記交代表示手段に基づく画像表示が行われているときに、前記スムージング合成画像、または、前記非スムージング合成画像のうちいずれかをユーザに指定させる交代画像指定手段と、
を備えることを特徴とする骨診断画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【公開番号】特開2012−196401(P2012−196401A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64061(P2011−64061)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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