説明

骨転移に関連した分子マーカー

本発明は、一般に、腫瘍、とりわけ、非小細胞肺癌腫瘍における骨転移の進行のインディケーターとしての骨シアロプロテイン(BSP)の発現レベルの調節に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、腫瘍、とりわけ、非小細胞肺癌腫瘍における骨転移への進行のインディケーターとしての骨シアロプロテイン(BSP)の発現レベルの調節に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
疾患の診断および処置に対する慣用的な医療的方法は、臨床データのみに基づくか、または診断試験と共に為される。そのような伝統的な診療は、しばしば、処方された薬物療法の効果に関して、または個々の対象にとって可能性のある副作用を最小化するために最適ではない治療的選択に至る。治療特異的診断(別名、セラノスティクス)は、疾患を診断し、正しい処置レジメンを選択し、そして対象の応答をモニターするための有用な試験を提供する、新生の医療技術分野である。すなわち、セラノスティクスは、個々の対象での薬物応答を予測し評価するのに、すなわち、個人に合わせた医療に有用である。セラノスティクス試験はまた、処置について該処置から特に利益を得られそうな対象を選択するか、または、最小限の遅れで処置を変えることができるように個々の対象での処置効果に対する早期のおよび客観的な指針を提供するのに有用である。セラノスティクスは、さまざまな疾患および障害(非限定的に、例えば、心血管疾患、癌、感染症、アルツハイマー病を含む)の臨床診断および管理ならびに薬物毒性または薬剤耐性の予測において有用である。セラノスティクス試験は、任意の適当な診断試験フォーマットで開発し得て、非限定的に、例えば、免疫組織化学的試験、臨床化学、イムノアッセイ、細胞に基づく技術、および核酸試験を含む。
【0003】
特定の薬物に対する応答と個々の患者および/またはそれらの腫瘍の遺伝学的プロファイルの間の相関を構築する薬理ゲノム学および薬理遺伝学の進歩が、新しいセラノスティク法の開発の基礎となる。そのようなものとして、当業者には、患者毎の変化の評価に関する必要性が存在する。
【0004】
BSPは、ほとんど排他的に石化組織で発現する、アニオン性リン酸化糖タンパク質である。BSPは、原発性乳癌、前立腺癌、肺癌、甲状腺癌、悪性骨疾患および腫瘍性象牙芽細胞を含む多くの悪性組織で発現することが観察されている。腫瘍が異種性であり、異なる離れた器官に転移するための異なる転移能および親和性を示す科学的証拠が増えてきている。例えば、肺癌は、肝臓、脳および骨に転移を発現し得る。100年以上前にパジェットが仮説を立てたように、離れた異なる器官へ転移する腫瘍の親和性は、“種と土壌”腫瘍内因性因子および離れた器官の関連因子により決定される。BSPは、腫瘍細胞が骨マトリックスの主要な構造成分であるI型コラーゲンに付着するのを仲介することが発見された。BSPは、腫瘍細胞の浸潤を増加させ得る。肺癌は、世界中の癌に関連した死の主な原因の1つである。現在の処置方法に対する進行した肺癌の不応性は、この疾患と関連した死亡率および公衆衛生負担を減らす新しい方法を必要とする。したがって、当分野では、BSPの発現レベルの調節と癌の間の関係についてさらなる情報が必要である。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
本発明は、増加したBSP発現レベルを同定することにより、原発性肺癌を有する患者の骨転移に対する感受性を予測する方法を提供する。
【0006】
本発明は、非小細胞肺癌を患っている対象での骨転移の診断を精巧にする方法を提供する。
【0007】
本発明は、原発性肺癌を患っている対象での骨転移の処置を手引きする方法を提供する。
【0008】
本発明はさらに、非小細胞肺癌を患っている対象での骨転移を予防または処置するスクリーニング法を提供する。増加したBSPの発現レベルは、骨転移が発現する傾向を示す。
【0009】
一つの態様では、対象は、骨転移に影響を与え、骨完全性を回復する1個またはそれ以上の治療剤、例えば、カテプシンK(CatK)阻害剤、ビスホスホネートまたはRANKL阻害剤およびマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMP)阻害剤で処置され得る。
【0010】
図の簡単な説明
図面は、一例として、好ましい態様を表しており、なんら制限するものではない。
【0011】
図1:増加したBSPのレベルを有する非小細胞肺癌原発性腫瘍の組織試料を表している。
図2:増加していないBSPのレベルを有する非小細胞肺癌原発性腫瘍の組織試料を表している。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明のある局面、様式、態様、変化および特徴は、本発明の実質的な理解を提供するために、さまざまなレベルの詳しさで下記に記載することは理解されるべきである。一般に、本発明は、原発性腫瘍組織におけるBSPの発現レベルの調節に関する。本発明のさまざまな局面はさらに、骨転移を生じやすい個体を同定するか、または薬剤応答性、副作用、もしくは最適薬剤用量に関して個体および腫瘍を分類するために、本発明のBSPの発現レベルを使用する診断的/セラノスティックな方法に関する。したがって、これらの局面を例証するさまざまな特定の態様を、下記に示している。
【0013】
本発明の1個またはそれ以上の態様の詳細は、以下に続く記載の中で説明している。本明細書に記載したものと類似または同等な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料は、本明細書に記載している。本発明の他の特徴、目的および利点は、明細書および請求項から明らかであるだろう。明細書および添付請求項では、単数形は、文脈がはっきりと他のものを示していなければ、複数対象を含む。他に定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野における当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用した全ての文献は、各々個々の公開、特許または特許出願が、特にそして個々に、その全体をあらゆる目的のために、引用により一部とするのと同じ程度まで、それらの全体をあらゆる目的のために、引用により本明細書の一部とする。
【0014】
BSPは、細胞接着、細胞シグナリング、ヒドロキシアパタイト結合、ヒドロキシアパタイト凝集およびコラーゲン結合に関与していることが示された。BSPは、骨転移の形成を進行させる、独特な型の原発性肺癌と高度に関連している。骨転移に向かって進行する肺癌、とりわけ、小細胞肺癌(NSCLC)は、骨転移を発現しない肺癌と分子レベルで異なる。BSPは、骨に進行するNSCLCの3病期すべてで増加することが見出された。
【0015】
原発性NSCLCを有する患者のおよそ25%が骨転移を発現するが、NSCLCの初期診断の時には、どの個々の患者が骨転移に向かって進行するかを予測することは不可能である。骨転移を形成する傾向がある原発性肺癌は、BSPの顕著な増加を示す。統計学的に有意なBSPの増加は、骨転移を発現しない腫瘍と比較したとき、骨に進行する腫瘍で検出される。増加したBSPは、骨に転移する原発性肺癌の80%で示されるが、骨に転移しない原発性腫瘍の20%しか検出可能なBSPを有しない。
【0016】
現在、原発性腫瘍を診断し特徴づけるために使用する方法は、腫瘍が骨転移を形成することを予測する能力を有しない。BSPの発現は、手動または自動染色系で行い得る、免疫組織化学により評価される。
【0017】
原発性腫瘍におけるBSP増加の同定は、骨転移の予測因子であり、より短い生存の予後診断因子である。BSP評価は、診断を改善し、予後を予測し、原発性腫瘍の治療を手引きするのに使用され得る。
【0018】
本発明は、増加したBSP発現レベルを同定することにより、原発性肺癌を有する患者の骨転移に対する感受性を予測する方法を提供する。該方法は:
(a)原発性肺癌を患っている対象で骨転移の傾向を示す骨シアロプロテインの増加したレベルを検出すること;そして
(b)1個またはそれ以上の治療剤を、原発腫瘍を有する対象に投与する処置を選択すること
を含む。
【0019】
本発明は、非小細胞肺癌を患っている対象での骨転移の診断を改善する方法を提供する。原発性肺癌を有する対象での骨転移に関する傾向を診断するための方法は、下記の工程を含む:
(a)原発性肺癌を患っている対象で骨転移の傾向を示す骨シアロプロテインの増加したレベルを検出すること;そして
(b)骨転移の傾向を有する対象を同定すること。
【0020】
本発明はさらに、非小細胞肺癌を患っている対象での骨転移の予防処置が有効であり得る高リスク患者を同定するスクリーニング法を提供する。患者は、BSPの上昇により示される発現する骨転移の増加した危険を評価するために、NSCLCの最初の診断の時にスクリーニングできる。BSPのレベルを決定するために、診断的生検から取得した組織標本または外科的治療介在の間に取得した組織を使用し得る。BSPを評価するための選択の方法は、BSPに対する特異的抗体を用いることによるIHCである。NSCLCでの増加したBSPの発現レベルは、骨転移の発現に関して増加した患者のリスクを示している。このスクリーニング法を用いることにより、各個々の患者についての骨転移を発現するリスクに関する情報を、24時間以内に取得し得る。高リスク患者が、個人に合わせた治療方法のために選択される。
【0021】
ある態様では、対象は、骨転移に影響を与え、骨完全性を回復する1個またはそれ以上の治療剤、例えば、CatK阻害剤、ビスホスホネートまたはRANKL阻害剤またはMMP阻害剤で処置され得る。
【0022】
1個またはそれ以上の治療剤は、単剤としてまたは本発明の他の治療剤との組合せで投与し得る。
【0023】
本発明の2個以上の治療剤の組合せは、同時の、連続したまたは別々の使用のために使用し得る。下記に記載したある型のビスホスホネートおよび下記に記載したCatK阻害剤の組合せが、同時の、連続したまたは別々の使用のために存在し得る。
【0024】
本発明の医薬組成物および処置法で使用されるCatK阻害剤は、典型的には、式(V):
【化1】

[式中、
R1は、所望により置換されている(アリール、アリール-低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキル)であり;
R2およびR3は、一緒になって、所望によりO、SまたはNR6で中断されている低級アルキレンを表し、それらが結合する炭素原子と共に環を形成し、そして、R6は、水素、低級アルキルまたはアリール-低級アルキルであり;
R4およびR5は、独立して、Hであるか、または、所望により置換されている(低級アルキルまたはアリール-低級アルキル)、-C(O)OR7、または-C(O)NR7R8であり、ここで、R7は、所望により置換されている(低級アルキル、アリール、アリール-低級アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、ビシクロアルキルまたはヘテロシクリル)であり、そして、R8は、Hであるか、または、所望により置換されている(低級アルキル、アリール、アリール-低級アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、ビシクロアルキルまたはヘテロシクリル)であるか、または、
R4およびR5は、一緒になって、所望によりO、SまたはNR6で中断されている低級アルキレンを表し、それらが結合する炭素原子と共に環を形成し、そして、R6は、水素、低級アルキルまたはアリール-低級アルキルであるか;または、
R4は、Hまたは所望により置換されている低級アルキルであり、そして、R5は、式-X2-(Y1)n-(Ar)p-Q-Zの置換基であり、
ここで、
Y1は、O、S、SO、SO2、N(R6)SO2、N-R6、SO2NR6、CONR6またはNR6COであり;
Nは、0または1であり;
Pは、0または1であり;
X2は、低級アルキレンであるか、または、nが0のとき、X2はまた、O、S、SO、SO2、NR6、SO2NR6、CONR6またはNR6COで中断されたC2-C7-アルキレンであり、そしてR6は、水素、低級アルキルまたはアリール-低級アルキルであり;
Arは、アリーレンであり;
Zは、ヒドロキシル、アシルオキシ、カルボキシル、エステル化カルボキシル、アミド化カルボキシル、アミノスルホニル、(低級アルキルもしくはアリール-低級アルキル)アミノスルホニル、または(低級アルキルもしくはアリール-低級アルキル)スルホニルアミノカルボニルであるか、または、
Zは、テトラゾリル、トリアゾリルまたはイミダゾリルであり;そして、
Qは、直接結合、低級アルキレン、Y1-低級アルキレンまたはC2-C7-アルキレンであり(Y1で中断される);
X1は、-C(O)-、-C(S)-、-S(O)-、-S(O)2-または-P(O)(OR6)-であり、そして、R6は、上記したとおりであり;
Yは、酸素または硫黄であり;
Lは、所望により、置換-Het-、-Het-CH2-または-CH2-Het-であり、そして、Hetは、O、NまたはSから選択されるヘテロ原子であり;そして、
Xは、0または1であり;そして、
上記定義のアリールは、炭素環式またはヘテロ環式アリールを表す]
で示される化合物、または、その生理学的に許容されかつ開裂可能なエステルまたはその塩を含む。
【0025】
特定の式(V)の化合物は、R1が、置換フェニルであり、例えば、ここで、該置換基は、所望により置換されている窒素-含有ヘテロ環式置換基(=HetIV)である。この置換基は、フェニル環の2位または3位に存在し得るが、好ましくは、4位であり得る。HetIVは、少なくとも1個の窒素原子、2-10個、好ましくは、3-7個、最も好ましくは、4個または5個の炭素原子および所望により、O、Sまたは好ましくはNから選択される1個またはそれ以上の付加ヘテロ原子を含む、ヘテロ環式環系を示す。
【0026】
HetIVは、不飽和、例えば、芳香族性窒素-含有ヘテロ環を含んでよいが;好ましくは、飽和窒素-含有ヘテロ環を含む。特に好ましい飽和窒素-含有ヘテロ環は、ピペラジニル、好ましくは、ピペラジン-1−イル、または、ピペリジニル、好ましくは、ピペリジン-4−イルである。
【0027】
HetIVは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、所望により置換されているC1-C4アルキル(例えば、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、所望により置換されているアルキルアミノ、所望により置換されているジアルキルアミノ、アリールまたはヘテロシクリルで置換されたアルキル)、C1-C4アルコキシから選択される、1個またはそれ以上の置換基、例えば、5個までの置換基で置換され得る。好ましくは、HetIVは、窒素原子で置換され、最も好ましくは、窒素原子で一置換される。HetIVの好ましい置換基は、C1-C7低級アルキル、C1-C7低級アルコキシ-C1-C7低級アルキル、C5-C10アリール-C1-C7低級アルキルまたはC3-C8シクロアルキルである。
【0028】
本発明の特に好ましい態様は、式(VI)
【化2】

[式中、
Xは、CHまたはNであり;そして、
R9は、H、C1-C7低級アルキル、C1-C7低級アルコキシ-C1-C7低級アルキル、C5-C10アリール-C1-C7低級アルキルまたはC3-C8シクロアルキルである]
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩またはそのエステルを提供する。
【0029】
したがって、C1-C7低級アルキルが、メチル、エチル、n-プロピルまたはi-プロピルのようなR9の特定の例が好ましい。C1-C7低級アルコキシ-C1-C7低級アルキルとしてのR9の特定の例は、メトキシエチルである。C5-C10アリール-C1-C7低級アルキルとしてのR9の特定の例は、ベンジルである。C3-C8シクロアルキルとしてのR9の特定の例は、シクロペンチルである。式(VI)の特定の化合物の例は、下記のとおりである。
【0030】
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-[4-(1-プロピル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(4--ベンジル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(1-プロピル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]- 4-[1-(2-メトキシ-エチル)- ピペリジン-4−イル]-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(1-イソプロピル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(1-シクロペンチル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド;
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(1-メチル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド;そして、
N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド。
【0031】
本発明における使用のための最も好ましいCatK阻害剤は、N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-[4-(1-プロピル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミドまたはその薬理学的に許容される塩、例えば、そのマレイン酸水素塩である。
【0032】
上記で言及したすべてのCatK阻害剤は、文献から公知である。
【0033】
本発明における使用のためのCatK阻害剤化合物の他のクラスは、式(VII):
【化3】

[式中、
R10は、H、-R14、-OR14またはNR13R14であり、
ここで、
R13は、H、低級アルキルまたはC3-C10シクロアルキルであり;そして、
R14は、低級アルキルまたはC3-C10シクロアルキルであり、そして、
R13およびR14は、独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、CN、NO2または所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノで置換され;
R11は、-CO-NR15R16、-NH-CO-R15、-CH2-NH-C(O)-R15、-CO-R15、-S(O)-R15、-S(O)2-R15、CH2-CO-R15または-CH2-NR15R16であり、
ここで、
R15は、アリール、アリール-低級アルキル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキルであり;
R16は、H、アリール、アリール-低級アルキル、アリール-低級-アルケニル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキルであるか、または、
R15およびR16は結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-ヘテロシクリル基を形成し、
ここで、
N-ヘテロシクリルは、所望により、さらに、N、NR17、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む3環から8環原子を有する、その窒素原子により結合した飽和、部分不飽和または芳香族性窒素含有ヘテロ環式部分を示し、ここで、R17は、Hであるか、または、所望により置換されている(低級アルキル、カルボキシ、アシル(低級アルキルアシル、例えば、ホルミル、アセチルもしくはプロピオニル、またはアリールアシル、例えば、ベンゾイルの両方を含む)、アミド、アリール、S(O)またはS(O)2)であり、そして、ここで、N-ヘテロシクリルは、所望により、二環式構造で例えば、ベンゼンまたはピリジン環と縮合し、そして、ここで、N-ヘテロシクリルは、所望により、3員から8員シクロアルキルまたはヘテロ環式環とスピロ構造で結合し、ここで、ヘテロ環式環は、3環員から10環員を有し、そして、N、NR16、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1-3個のヘテロ原子を含み、ここで、R16は、上記したとおりであり、そして、
ヘテロシクリルは、3員環から10員環を有する環を示し、そして、N、NR17、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1-3個のヘテロ原子を含み、ここで、R17は、上記したとおりであり;そして、
R15およびR16は、独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、CNまたはNO2から選択される1個またはそれ以上の基、例えば、1-3個の基で置換されるか、または、所望により置換されている(所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノ、低級-アルコキシ、アリール、アリール-低級アルキル、N-ヘテロシクリルまたはN-ヘテロシクリル-低級アルキル(ここで、所望による置換は、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ-低級アルキル、低級アルコキシ-カルボニル、CN、NO2、N-ヘテロシクリルまたはN-ヘテロシクリル-低級アルキル、または、所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノから選択される1-3個の置換基を含む))であり;
R12は、独立して、Hであるか、または、所望により置換されている(低級アルキル、アリール、アリール-低級アルキル、C3−C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキル)であり;そして、
R2は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、CN、NO2または所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノで置換され;そして、
ハロまたはハロゲンは、I、Br、ClまたはFを示す]
で示される化合物、または、その生理学的に許容されかつ開裂可能なエステルまたはその塩を含む。
【0034】
有機基または有機化合物との関連で上記および下記で言及する“低級”なる用語は、それぞれ、例えば、7個まで(7個を含む)、好ましくは、5個まで(5個を含む)そして有利には、1個、2個または3個の炭素原子を有する分枝または非分枝を示す。
【0035】
低級アルキル基は、分枝または非分枝であり、1-7個の炭素原子、好ましくは、1-5個の炭素原子を含む。低級アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、3級ブチルまたはネオペンチル(2,2-ジメチルプロピル)を表す。
【0036】
ハロ-置換低級アルキルは、6個までのハロ原子で置換されたC1-C7-低級アルキルである。
【0037】
低級アルコキシ基は、分枝または非分枝であり、1-7個の炭素原子、好ましくは、1-4個の炭素原子を含む。低級アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシまたは3級ブトキシを表す。
【0038】
低級アルケン、アルケニルまたはアルケニルオキシ基は、分枝または非分枝であり、2-7個の炭素原子、好ましくは、2-4個の炭素原子を含み、そして、少なくとも、1個の炭素-炭素二重結合を含む。低級アルケン低級アルケニルまたは低級アルケニルオキシは、例えば、ビニル、プロプ-1−エニル、アリル、ブテニル、イソプロペニルまたはイソブテニルおよびそのオキシ同等体を表す。
【0039】
低級アルキン、アルキニルまたはアルキニルオキシ基は、分枝または非分枝であり、2-7個の炭素原子、好ましくは、2-4個の炭素原子を含み、そして、少なくとも、1個の炭素-炭素三重結合を含む。低級アルキンまたはアルキニルは、例えば、エチニル、プロプ-1-イニイル、プロパルギル、ブチニル、イソプロピニルまたはイソブチニルおよびそのオキシ同等体を表す。
【0040】
本明細書中で、酸素含有置換基、例えば、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボニルなどは、硫黄含有ホモログ、例えば、チオアルコキシ、チオアルケニルオキシ、チオアルキニルオキシ、チオカルボニル、スルホン、スルホキシドなどを包含する。
【0041】
アリールは、炭素環式またはヘテロ環式アリールを表す。
【0042】
炭素環式アリールは、単環式、二環式または三環式アリール、例えば、フェニルまたは低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキレンジオキシおよびオキシ-C2-C3アルキレンならびに他の置換基から選択される1個、2個または3個の基で一置換、二置換または三置換されたフェニル、例えば、実施例で記載されたもの;または、1-もしくは2-ナフチル;または1-もしくは2-フェナントレニルを表す。低級アルキレンジオキシは、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合する二価の置換基であり、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。オキシ-C2-C3アルキレンはまた、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合する二価の置換基であり、例えば、オキシエチレンまたはオキシプロピレンである。オキシ-C2-C3アルキレン-フェニルの例は、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5−イルである。
【0043】
炭素環式アリールとして好ましいのは、ナフチル、フェニルまたは所望により、例えば、実施例で記載したとおり置換されたフェニル、例えば、低級アルコキシ、フェニル、ハロゲン、低級アルキルまたはトリフルオロメチルで一置換または二置換されたフェニルである。
【0044】
ヘテロ環式アリールは、単環式または二環式ヘテロアリール、例えば、ピリジル、インドリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または置換された、とりわけ、上記の通りに一置換または二置換された全てのこれらの基である。
【0045】
好ましくは、ヘテロ環式 アリールは、ピリジル、インドリル、キノリニル、ピロリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または置換された、とりわけ、上記の通りに一置換または二置換された全てのこれらの基である。
【0046】
シクロアルキルは、所望により、3個から10個の環炭素を含む、低級アルキルで置換された飽和環状炭化水素を表し、有利には、所望により、低級アルキルで置換されたシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。
【0047】
N-ヘテロシクリルは、上記したとおりである。好ましいN-ヘテロ環式置換基は、所望により、置換ピロリジン、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、フタルイミド、ヒダントイン、オキサゾリジノンまたは2,6-ジオキソ-ピペラジンおよび、例えば、下記の例で記載したものである。
【0048】
さらなる態様では、本発明は、式(VIII):
【化4】

[式中、
R12は、上記で定義したとおりであり;そして、
R15"'およびR16"'は、それぞれ、R15およびR16に関して定義したとおりである]
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩またはそのエステルを提供する。
【0049】
R12は、好ましくはR12'であり、それは、低級アルキル、例えば、直鎖またはより好ましくは、分枝鎖C1-C6アルキル、例えば、とりわけ、2-エチルブチル、イソブチルもしくは2,2-ジメチルプロピルまたはC3-C6シクロアルキル、とりわけ、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルである。
【0050】
R15"'およびR16"'は、R15"'およびR16"'が、それらが結合する窒素原子と共にN-ヘテロシクリル基を形成するようなものでよい。R15"'は、好ましくは、所望により置換されている(アリール-低級-アルキル、ヘテロシクリル-アリール、N-ヘテロシクリル-アリールまたはアリール-N-ヘテロシクリル(ここで、N-ヘテロシクリルは、上記したとおりである))である。R15"'は、好ましくは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、低級-アルキル、低級-アルコキシまたは低級-アルコキシ-低級-アルキルから選択される1-4個の置換基で置換される。例えば、R15"'は、4-メトキシ-ベンジル、3-メトキシ-ベンジル、4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンジル、4-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンジル、1-メチル-1-フェニル-エチル、2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチル、2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチル、4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-エチル、2-[4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-1,1-ジメチル-エチル、2-{4-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-1,1-ジメチル-エチル、2-{3-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-1,1-ジメチル-エチル、2-[3-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-1,1-ジメチル-エチル、2-[3-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-1,1-ジメチル-エチル、1,1-ジメチル-2-(3-ピロリジン-1−イル-フェニル)-エチル、2-{3-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-1,1-ジメチル-エチル、2-(4-メトキシ-フェニル)-エチル、2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-エチル、2-[4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-エチル、2-{4-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-エチル、2-(3-メトキシ-フェニル)-エチル、2-[3-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-エチル、2-[4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-エチル、2-ピロール-1−イル-エチル、3-ピペリジン-1−イル-プロピル、2-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-プロピル、2-メチル-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピル、2-[4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-2-メチル-プロピル、2-{4-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-2-メチル-プロピル、2-{4-[ピリミジン-1−イル]-フェニル}-2-メチル-プロピル、4-(3-メトキシ-フェニル)-ピペラジン-1−イル-メチル、4-(4-メトキシ-フェニル)-ピペラジン-1−イル-メチル、1-メチル-1-(1-フェニル-シクロプロピル)-エチルである。例えば、R15"'およびR16"'(それらが結合する窒素原子と共に、N-ヘテロシクリル基を形成する)は、4-(2-ピリジン-4−イル-エチル)-ピペラジン-1−イル、[4-(2-ピリジン-2−イル-エチル)-ピペラジン-1−イル、4-ピリジン-4−イルメチル-ピペラジン-1−イル、4-(2-ピペリジン-1−イル-エチル)-ピペラジン-1−イル、4-(2-ピロリジン-1−イル-エチル)-ピペラジン-1−イル、4-(2-ジエチルアミノ-エチル)-ピペラジン-1−イル、4-(3-ジエチルアミノ-プロピル)-ピペラジン-1−イル、4-(1-メチル-ピペリジン-4−イル)-ピペラジン-1−イル、4-ピロリジン-1−イル-ピペリジン-1−イル、4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1-イルである。
【0051】
好ましい態様では、本発明は、式(IX):
【化5】

[式中、
R12は、上記で定義したとおりであり;そして、
R15'は、R15に関して定義したとおりである]
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩またはそのエステルを提供する。
【0052】
R12は、好ましくはR12'であり、それは、低級アルキル、例えば、直鎖またはより好ましくは、分枝鎖C1-C6アルキル、例えば、とりわけ、2-エチルブチル、イソブチルもしくは2,2-ジメチルプロピルまたはC3-C6シクロアルキル、とりわけ、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルである。
【0053】
R15'は、好ましくは、所望により置換されている(アリール-低級-アルキル、ヘテロシクリル-アリール、N-ヘテロシクリル-アリールまたはアリール-N-ヘテロシクリル(ここで、N-ヘテロシクリルは、上記したとおりである))である。R15'は、好ましくは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、低級-アルキル、低級-アルコキシ、低級-アルコキシ-カルボニル、または低級-アルコキシ-低級-アルキルから選択される1-4個の置換基で置換される。例えば、R15'は、4-メトキシ-フェニル、4-(1-プロピル-ピペリジン-4−イル)-フェニル、4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、4-[1-(2-メトキシ-エチル)-ピペリジン-4−イル]-フェニル、4-(4-プロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、3-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピオニル、3-[3-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピオニル、4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、4-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル、4-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル、4-ピペラジン-1−イル-フェニル、4-[4-(カルボン酸tert-ブチルエステル)ピペラジノ-1−イル-]-フェニル、3-[4-(カルボン酸tert-ブチルエステル)ピペラジノ-1−イル-]-フェニル、3-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、3-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、3-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル、3-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル、3-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル、3-(2-ピロリジン-1−イル-エトキシ)-フェニル、3-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-4-メトキシ-フェニル、4-ジメチルアミノメチル-フェニル、4-(4-メチル-ピペラジン-1−イルメチル)-フェニル、4-[1-(2-メトキシ-エチル)-ピペリジン-4−イルメチル]-フェニル、4-メトキシ-3-(2-ピペリジン-1−イル-エトキシ)-フェニル、3-[4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオニル、3-[4-(4-プロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピオニル、3-(4-ピロリジン-1−イル-フェニル)-プロピオニル、3-[3-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオニル、3-{3-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-2,2-ジメチル-プロピオニル、3-{3-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-フェニル}-2,2-ジメチル-プロピオニル、3-(3-ピロリジン-1−イル-フェニル)-プロピオニル、2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-イソブチル、2-(4-メトキシ-フェニル)-アセチル、2-(3-メトキシ-フェニル)-アセチル、2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-アセチル、2-[4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-アセチル、2-[4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-アセチル、2-(4-ピロリジン-1−イル-フェニル)-アセチル、2-[4-(2-ジエチルアミノ-エチルアミノ)-フェニル]-イソブチル、2-(4-ピロリジン-1−イル-フェニル)-イソブチルである。
【0054】
特に好ましい化合物は、
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(1-プロピル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-[1-(2-メトキシ-エチル)-ピペリジン-4−イル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-プロピル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-2,2-ジメチル-3-[4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピオンアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-2,2-ジメチル-3-[3-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-プロピオンアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-ピペラジン-1−イル-ベンズアミド;
4-(4-{[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-カルバモイル}-フェニル)-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル;
4-(3-{[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-カルバモイル}-フェニル)-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-(4-イソプロピル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-[4-(2-メトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-[4-(2-エトキシ-エチル)-ピペラジン-1−イル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-メトキシ-3-(2-ピロリジン-1−イル-エトキシ)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-(2-ジメチルアミノ-エトキシ)-4-メトキシ-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-ジメチルアミノメチル-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1−イルメチル)-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-[1-(2-メトキシ-エチル)-ピペリジン-4−イルメチル]-ベンズアミド;
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-メトキシ-3-(2-ピペリジン-1−イル-エトキシ)-ベンズアミド;そして、
N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-3-[4-(4-エチル-ピペラジン-1−イル)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド
またはその薬学的に許容される塩である。
【0055】
とりわけ好ましいCatK阻害剤の薬学的に許容される塩は、マレイン酸塩、例えば、N-[1-(シアノメチル-カルバモイル)-シクロヘキシル]-4-(1-プロピル-ピペリジン-4−イル)-ベンズアミドマレイン酸水素塩である。
【0056】
一つの態様では、CatK阻害剤は、N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミドである。
【0057】
本発明における使用のためのビスホスホネートは、好ましくは、N-ビスホスホネートである。
【0058】
本発明の記載の目的のために、N-ビスホスホネートは、特徴的なジェミナルなビスホスホネート部分に加えて、窒素含有側鎖を含む化合物、例えば、式(I):
【化6】

[式中、
Xは、水素、ヒドロキシル、アミノ、アルカノイル、またはC1-C4アルキルまたはアルカノイルで置換されたアミノ基であり;
Rは、水素またはC1-C4アルキルであり;そして、
Rxは、所望により置換されているアミノ基を含む側鎖であるか、または、窒素含有ヘテロ環(芳香族性窒素-含有ヘテロ環を含む)である]
で示される化合物および薬学的に許容されるその塩またはその全ての水和物である。
【0059】
したがって、例えば、本発明における使用のための適当なN-ビスホスホネートは、下記の化合物または薬学的に許容されるその塩、またはその全ての水和物を含み得る:3-アミノ-1-ヒドロキシプロパン-1,1-ジホスホン酸(パミドロン酸)、例えば、パミドロネート(APD);3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-ヒドロキシプロパン-1,1-ジホスホン酸、例えば、ジメチル-APD;4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1,1-ジホスホン酸(アレンドロン酸)、例えば、アレンドロネート;1-ヒドロキシ-3-(メチルペンチルアミノ)-プロピリデン-ビスホスホン酸、イバンドロン酸、例えば、イバンドロネート;6-アミノ-1-ヒドロキシヘキサン-1,1-ジホスホン酸、例えば、アミノ-ヘキシル-BP;3-(N-メチル-N-n-ペンチルアミノ)-1-ヒドロキシプロパン-1,1-ジホスホン酸、例えば、メチル-ペンチル-APD(=BM 21.0955);1-ヒドロキシ-2-(イミダゾール-1−イル)エタン-1,1-ジホスホン酸、例えば、ゾレドロン酸;1-ヒドロキシ-2-(3-ピリジル)エタン-1,1-ジホスホン酸(リセドロン酸)、例えば、リセドロネート(そのN-メチルピリジニウム塩、例えば、N-メチルピリジニウムアイオダイド、例えば、NE-10244またはNE-10446を含む);3-[N-(2-フェニルチオエチル)-N-メチルアミノ]-1-ヒドロキシプロパン-1,1-ジホスホン酸;1-ヒドロキシ-3-(ピロリジン-1−イル)プロパン-1,1-ジホスホン酸、例えば、EB 1053 (Leo);1-(N-フェニルアミノチオカルボニル)メタン-1,1-ジホスホン酸、例えば、FR 78844(Fujisawa);5-ベンゾイル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラゾール-3,3-ジホスホン酸テトラエチルエステル、例えば、U-81581(Upjohn);そして、1-ヒドロキシ-2-(イミダゾール[1,2-a]ピリジン-3−イル)エタン-1,1-ジホスホン酸、例えば、YM 529。
【0060】
ある態様では、本発明における使用のための特に好ましいN-ビスホスホネートは、式(II):
【化7】

[式中、
Hetは、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピリジン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾールまたはベンゾイミダゾール基であり、それは、所望によりアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、所望によりアルキルまたはアルカノイル基で置換されたアミノ基、または、所望によりアルキル、ニトロ、アミノまたはアミノアルキルで置換されたベンジル基で置換され;
Aは、1-8個の炭素原子を含む直鎖または分枝、飽和または不飽和炭化水素部分であり;
X'は、所望によりアルカノイルで置換された水素原子であるか、または、所望によりアルキルまたはアルカノイル基で置換されたアミノ基であり;そして、
Rは、水素原子またはアルキル基である]
で示される化合物および薬学的に許容されるその塩を含む。
【0061】
さらなる態様では、本発明における使用のための特に好ましいビスホスホネートは、式(III):
【化8】

[式中、
Het'は、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、チアゾリル、チアゾリニル、トリアゾリル、オキサジアゾリルおよびチアジアゾリルからなる群から選択される置換または非置換ヘテロ芳香族性5員環であり、ここで、該環は、部分的に水素化され、ここで、該置換基は、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、フェニル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ハロゲンおよびアミノからなる群の少なくとも1個から選択され、ここで、Hetの2個の隣接するアルキル置換基は、一緒になって、第2環を形成し得て;
Yは、水素またはC1-C4アルキルであり;
X"は、水素、ヒドロキシル、アミノまたはC1-C4アルキルで置換されたアミノ基であり;そして、
Rは、水素またはC1-C4アルキルである]
で示される化合物および薬理学的に許容されるその塩およびその異性体を含む。
【0062】
またさらなる態様では、本発明における使用のための特に好ましいビスホスホネートは、式(IV):
【化9】

[式中、
Het"'は、イミダゾリル、2H-1,2,3-、1H-1,2,4-もしくは4H-1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルまたは非置換であるか、低級アルキル、低級アルコキシ、フェニル(これはさらに低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロゲンで一置換または二置換され得る)、ヒドロキシ、二低級アルキルアミノ、低級アルキルチオおよび/またはハロゲンでC一置換または二置換されたチアジアゾリル基であり、置換可能なN原子で低級アルキルまたはフェニル低級アルキル(これはさらにフェニル部分で、低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロゲンで一置換または二置換され得る)によりN-置換され;そして、
R2は、水素、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルチオまたはハロゲン、7個まで(7個を含む)のC原子を有する低級基である]
で示される化合物または薬理学的に許容されるその塩を含む。
【0063】
本発明における使用のための特に好ましいN-ビスホスホネートの例は、
2-(1-メチルイミダゾール-2−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(1-ベンジルイミダゾール-2−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(1-メチルイミダゾール-4−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;
1-アミノ-2-(1-メチルイミダゾール-4−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
1-アミノ-2-(1-ベンジルイミダゾール-4−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(1-メチルイミダゾール-2−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(1-ベンジルイミダゾール-2−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(イミダゾール-1−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(イミダゾール-1−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(4H-1,2,4-トリアゾール-4−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(チアゾル-2−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(イミダゾール-2−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(2-メチルイミダゾール-4(5)−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(2-フェニルイミダゾール-4(5)−イル)エタン-1,1-ジスホスホン酸;
2-(4,5-ジメチルイミダゾール-1−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸;および
2-(2-メチルイミダゾール-4(5)−イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸,
および薬理学的に許容されるその塩である。
【0064】
本発明における使用のための最も好ましいN-ビスホスホネートは、2-(イミダゾール-1イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジスホスホン酸(ゾレドロン酸)または薬理学的に許容されるその塩、特に、ゾレドロン酸である。
【0065】
N-ビスホスホネートは、適当であれば異性体の形態でまたは異性体の混合物の形態で、典型的には、光学異性体、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーまたは幾何異性体、典型的には、シス-トランス異性体として使用し得る。光学異性体は、純粋対掌体および/またはラセミ体の形態で取得される。
【0066】
N-ビスホスホネートはまた、それらの水和物の形態で使用し得るか、または、それらの結晶化のために使用される他の溶媒を含み得る。
【0067】
とりわけ好ましいN-ビスホスホネートの薬学的に許容される塩は、1個、2個、3個または4個、特に、1個または2個のビスホスホン酸の酸性水素が、薬学的に許容されるカチオン、特に、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム、第一にナトリウムで置換されている塩である。
【0068】
本発明のRANKL阻害剤は、RANK/RANKL経路を標的とし、減少させまたは阻害する薬剤を含む。RANK阻害剤は、骨粗鬆症、処置誘導骨欠損(グルココルチコイド処置および免疫抑制による骨欠損)、リウマチ性関節炎、骨転移および多発性骨髄腫を含む範囲の状態における破骨細胞介在骨欠損を予防する。RANKL阻害剤の例は、非限定的に、デノスマブを含む。
【0069】
本発明のMMP阻害剤は、選択的にポリペプチド結合の加水分解を触媒する一群のプロテアーゼ酵素を標的とし、減少させまたは阻害する化合物を含み、腫瘍周辺の組織構造の欠損を促進し、腫瘍成長、血管形成および転移を促すことに関与する酵素MMP-2およびMMP-9を含む。MMP阻害剤の標的は、非限定的に、ポリペプチドデホルミラーゼを含む。MMP阻害剤の例は、非限定的に、アクチノニン(また、ブタンジアミドとして既知である)、N4-ヒドロキシ-N1-[(1S)-1-[[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-ピロリジニル]カルボニル]-2-メチルプロピル]-2-ペンチル-, (2R)-(9CI);没食子酸エピガロカテキン;コラーゲンペプチド模倣および非ペプチド模倣阻害剤;テトラサイクリン誘導体、例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤バチマスタット;およびその経口投与可能な類似体マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、ネオバスタット、タノマスタット、TAA211、MMI270BまたはAAJ996を含む。
【0070】
下記の実施例は、本発明の好ましい態様をより十分に例示するために提供する。これらの実施例は、添付した請求項により定義された本発明の範囲を制限するものとして、一切解釈されるべきではない。
【実施例】
【0071】
実施例1
増加したBSP発現は予測価値を有し、骨転移進行者と非骨転移進行者を区別する。
【0072】
外科的に切除した組織由来の原発性NSCLC標本60個の全体を、BSPの発現に関して解析した。全体を2つの群に分ける。1つの群は、骨転移を発現する傾向を有する原発性NSCLC腫瘍からなる30症例を含む。第2群は、骨転移を形成しない原発性NSCLCからなる30コントロール例を含む。2つの群は、臨床段階、腫瘍の型、患者の性別および年齢について一致させる。
【0073】
I.骨転移に進行するまでの時間
骨転移に向かって進行した全30名の患者のうち70%の患者が、12ヶ月以内に骨転移を形成した。30名の患者のうち二一(21)人が、12ヶ月以内に骨転移を形成した。90%の患者が、24ヶ月以内に骨転移を発現した。30名の患者のうち二七(27)人が、24ヶ月以内に骨転移を形成した。3名の患者は、24ヶ月後、骨転移を進行した。コントロール群では、30名の患者のうち誰も骨転移を発現しなかった。骨転移を検出するために、骨スキャンを行った。
【0074】
II.骨転移進行者対非進行者におけるBSP
BSPのレベルは、下記のとおりIHCにより評価した:
腫瘍組織切片を、新鮮キシレン置換(isoparaffin ISODIAF-Baker)で脱パラフィン化し、無水エタノールで10分間水和し、その後、さらに96%エタノールに10分間浸し水和させる。次いで、組織切片を、70%エタノールですすぐ。次に、組織切片を、約7.4のpH、w/o Ca、Mg (PBS)を有するリン酸緩衝生理食塩水で5分間、2回洗浄する。抗原回復を、MWクエン酸塩バッファー(約pH 6)を用いて、3サイクル各々5分行い、次いで、切片を、室温で1×PBS中、平衡化する。
【0075】
次いで、内因性ペルオキシダーゼを、メタノール中3.0% H2O2の新鮮溶液で30分間ブロックし、素早く組織切片をPBSですすぎ、PBSで2回洗浄する(各5分間)。
【0076】
非特異的吸着は、組織切片をPBS中BSA(ウシ血清アルブミン)1%およびTween20 0.04%と共に30分間インキュベートすることにより減少させる。
【0077】
そのような調製後、組織切片を、抗体希釈剤(DakoCytomation)(およそ200 μL)で1:1000に希釈した一次抗BSP抗体と共に、湿潤チャンバー中で、4℃で一晩、インキュベートする。一次抗体の結合を視覚化するために、切片を、Envision(商標) (DakoCytomation)(二次抗マウス抗体およびHRPと結合したポリマー)と共に、室温で40分間、インキュベートする。次いで、組織切片を、PBで、5分間2回、洗浄し、新鮮な調製DAB溶液(DakoCytomation)(製造者の指示に従い調製する)で、室温で10分間、インキュベートする。最後に、組織切片を、水で完全にすすぐ。
【0078】
ヘマトキシリンを30秒間使用する。切片を脱水し(エタノール→ISODIAF)、次いで、ULTRAKIT(Baker)を用いてカバースリップをのせ、室温で乾燥させる。
【0079】
骨転移に向かって進行した全30名の患者のうち疾患の経過中にある80%(骨転移に対して進行した30人の患者のうち24人)の患者が、原発性NSCLCの診断時に増加したBSPレベルを示す。コントロール群の中で、30名の患者のうち7名の患者が、ある程度のBSP染色を示した。
【0080】
III.NSCLC病期I、IIおよびIII進行者は、増加したBSPを示す。
病期I腫瘍を有する7名の患者、病期II腫瘍を有する5名の患者および病期III腫瘍を有する18名の患者を評価した。骨転移進行腫瘍を有さなかったコントロール群の患者もまた評価した。コントロール群の患者は、同等数の各腫瘍病期から成る:腫瘍病期Iを有する7名の患者、腫瘍病期IIを有する5名の患者および腫瘍病期IIIを有する18名の患者。非小細胞肺癌(NSCLC)の成長および広がりにより定義する病期を決定するために、TNM病期分類システム(また、対癌米国合同委員会(AJCC)システムとしても知られる)を使用した。
【0081】
NSCLC進行者の組織サブタイプは、増加したBSPを有する。
【0082】
BSPは、骨転移を発現する傾向を有する複数のNSCLC組織サブタイプで増加することが見出された(23種の腺癌、6種の扁平上皮癌および1種の腺扁平上皮特徴を有する腫瘍)。NSCLCの非進行コントロール群は、19種の腺癌、7種の扁平上皮癌、3種の細気管支肺胞癌、1種の腺扁平上皮腫瘍からなった。
【0083】
実施例2
BSPは、より悪い予後およびより短い生存と関連している。
腫瘍の診断および外科的除去後の患者の臨床追跡は、疾患の進行、転移形成および生存について下記の情報を提供した。全27名のBSP陽性患者および27名のBSP陰性患者を、1年間観察した。BSP陽性患者の1年生存率は、70%であり、BSP陰性患者の生存率は、89%であった。BSP陽性患者の3年生存率は、35%であった。対照的に、BSP陰性患者に関しては、3年生存率は、76%であった。
【0084】
等価物
本発明は、本出願に記載した特定の態様の観点で限定されるものではなく、該態様は、本発明の個々の局面の一例であることを意図している。本発明の多くの修飾および変化は、その精神および範囲から離れることなく為し得て、当業者には明らかであるだろう。本明細書に列挙したものに加えて、本発明の範囲内にある機能的に同等な方法および装置は、前述の記載から当業者には明らかであるだろう。そのような修飾および変化は、添付した請求項の範囲内にあることを意図する。本発明は、そのような請求項が権利化される同等物の十分な範囲とともに、添付した請求項の観点でのみ制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】増加したBSPのレベルを有する非小細胞肺癌原発性腫瘍の組織試料を表す。
【図2】増加していないBSPのレベルを有する非小細胞肺癌原発性腫瘍の組織試料を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原発性肺癌を患っている対象の骨転移を処置する方法であって、
(a)原発性肺癌を患っている対象で、骨転移の傾向を示す骨シアロプロテインの増加レベルを検出し;そして、
(b)該対象に1個またはそれ以上の治療剤を投与する
工程を含む、方法。
【請求項2】
1個またはそれ以上の治療剤が、CatK阻害剤、ビスホスホネート、RANKL阻害剤およびMMP阻害剤から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CatK阻害剤が、式(VII):
【化1】

[式中、
R10は、H、-R14、-OR14またはNR13R14であり、
ここで、
R13は、H、低級アルキルまたはC3-C10シクロアルキルであり;そして、
R14は、低級アルキルまたはC3-C10シクロアルキルであり、そして、
R13およびR14は、独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、CN、NO2または所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノで置換され;
R11は、-CO-NR15R16、-NH-CO-R15、-CH2-NH-C(O)-R15、-CO-R15、-S(O)-R15、-S(O)2-R15、CH2-CO-R15または-CH2-NR15R16であり;
ここで、
R15は、アリール、アリール-低級アルキル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキルであり;
R16は、H、アリール、アリール-低級アルキル、アリール-低級-アルケニル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキルであり;
R15およびR16は結合して、それらが結合する窒素原子と一緒になって、N-ヘテロシクリル基を形成し、
ここで、
N-ヘテロシクリルは、所望により、さらに、N、NR17、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む3環から8環原子を有する、その窒素原子により結合した飽和、部分不飽和または芳香族性窒素含有ヘテロ環式部分を示し、ここで、R17は、Hであるか、または、所望により置換されている低級アルキル、カルボキシ、アシル(低級アルキルアシル、またはアリールアシルの両方を含む);アミド、アリール、S(O)またはS(O)2であり;
N-ヘテロシクリルは、所望により、ベンゼンまたはピリジン環から選択される環と二環式構造で縮合し;
N-ヘテロシクリルは、所望により、3員から8員シクロアルキルまたはヘテロ環式環と共にスピロ構造で結合し、ここで、ヘテロ環式環は、3環員から10環員を有し、そして、N、NR16、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1-3個のヘテロ原子を含み(ここで、R16は、上記したとおりである);
ヘテロシクリルは、3環員から10環員を有する環を示し、そして、N、NR17、O、S、S(O)またはS(O)2から選択される1-3個のヘテロ原子を含み(ここで、R17は、上記したとおりである);
R15およびR16は、独立して、所望により、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、CNまたはNO2、または、所望により置換されている、一もしくは二低級アルキル置換アミノ、低級-アルコキシ、アリール、アリール-低級アルキル、N-ヘテロシクリルまたはN-ヘテロシクリル-低級アルキル(ここで、所望による置換は、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ-低級アルキル、低級アルコキシ-カルボニル、CN、NO2、N-ヘテロシクリルまたはN-ヘテロシクリル-低級アルキル、または、所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノから選択される1-3個の置換基を含む)から選択される1個またはそれ以上の基で置換され;
R12は、独立して、Hであるか、または、所望により置換されている、低級アルキル、アリール、アリール-低級アルキル、C3−C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-低級アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル-低級アルキルであり;そして、
R2は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、CN、NO2または所望により一もしくは二低級アルキル置換されているアミノで置換され;そして、
ハロまたはハロゲンは、I、Br、ClまたはFを示す]
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ビスホスホネートが、式(IV):
【化2】

[式中、
Het"'は、イミダゾリル、2H-1,2,3-、1H-1,2,4-もしくは4H-1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルまたは非置換であるか、低級アルキル、低級アルコキシ、フェニル(これはさらに低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロゲンで一置換または二置換され得る)、ヒドロキシ、二低級アルキルアミノ、低級アルキルチオおよび/またはハロゲンでC一置換または二置換されたチアジアゾリル基であり、置換可能なN原子で低級アルキルまたはフェニル低級アルキル(これはさらにフェニル部分で、低級アルキル、低級アルコキシおよび/またはハロゲンで一置換または二置換され得る)によりN-置換され;
R2は、水素、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルチオまたはハロゲン、7個まで(7個を含む)のC原子を有する低級基である]
で示される化合物および薬学的に許容されるその塩である、請求項2の方法。
【請求項5】
前記RANKL阻害剤が、デノスマブである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記MMP阻害剤が、マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、ネオバスタットまたはタノマスタットから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記CatK阻害剤が、N-[2-シアノ-4-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-ピリミジン-5−イルメチル]-4-(4-メチル-ピペラジン-1−イル)-ベンズアミドである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ビスホスホネートが、2-(イミダゾール-1-イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
原発性肺癌を有する対象における骨転移の傾向を診断する方法であって、
(a)原発性肺癌を有する対象で、骨転移の傾向を示す骨シアロプロテインの増加レベルを検出し;そして、
(b)骨転移の傾向を有する該対象を同定する
工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−509966(P2009−509966A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532467(P2008−532467)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/037193
【国際公開番号】WO2007/038397
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】