説明

骨関節炎治療の方法及び手段

【課題】軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する化合物の同定方法を提供する。
【解決手段】化合物を、配列番号58及び59からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることと、軟骨細胞の同化刺激作用に関係する化合物−ポリペプチドの特性を測定することを含む。前記特性が、前記ポリペプチドに対する前記化合物の結合親和性であることと、軟骨細胞の同化刺激作用の指標となる生化学的マーカーを産生する生物学的経路の活性化であることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、軟骨組織の変性が関与する医学的研究、軟骨生理学及び疾患の分野に関する
。より具体的には、本発明は、軟骨細胞における同化プロセスを刺激し、軟骨の合成を概
して誘導する化合物を同定するための方法及び手段に関する。本発明はまた、変形関節炎
の治療に有用な化合物に関する。
【0002】
軟骨は、大部分が軟骨特異的細胞、軟骨細胞、プロテオグリカン及びコラーゲンタンパ
ク質から構成される無血組織であり、これらは皮膚、骨及び軟骨などの結合組織に構造的
強度をもたらす構造タンパク質である。コラーゲンIIは、タンパク質コラーゲンIXと
一緒に、「生物学的合金」を形成し、これは原繊維様構造に組み込まれ、精密なネットワ
ークの中に配置され、軟骨に優れた機械的強度をもたらす。正常な関節の軟骨においては
、軟骨細胞が、組織体積の約5%を占め、細胞外マトリックスが組織の残部95%を構成
する。軟骨細胞はマトリックスの成分を分泌し、このことは次に機械的圧力下で生存する
ために適した環境を軟骨細胞に供給する。
【0003】
関節の一部であり、骨の末端のクッションとなる関節軟骨の破壊は、骨が互いにこすれ
合う原因となり、痛み及び動作の欠如を引き起こす。軟骨破壊はまた、軟骨合成(同化)
及び軟骨分解(異化)プロセスの不均衡の結果であり得る。ほとんどの組織とは異なり、
軟骨は損傷を受けると自己修復しない。損傷、疾患又は手術の後に軟骨が自己修復できな
いことは、分解した関節表面及び半月板軟骨損傷の再建における主な制限要素である。
【0004】
軟骨の変性が関与した疾患は多い。関節リウマチ及び骨関節炎は、なかでも最も有名で
ある。骨関節炎(OA又は消耗関節炎とも称される)は、関節炎の最も一般的な形態で、
関節軟骨の損失が特徴で、骨の肥大が関連することが多い。この疾患は主に、手並びに膝
、腰及び背骨などの体重を支える関節に影響を及ぼす。このプロセスは、アポトーシス、
又はプログラム細胞死と呼ばれる現象によって軟骨を薄くする。表面領域がこの菲薄化に
よって消失するのが1級関節炎であり、接線表面が消失するのが2級関節炎である。軟骨
下の骨と境界を成す深部の石灰化層に影響を及ぼす変性及び破壊といったその他のレベル
がある。
【0005】
骨関節炎状態進行の臨床所見は、関節の体積増加、疼痛、関節摩擦音並びに、徐々に、
しかし確実に、罹患した関節に応じて、長時間歩行行為と強制屈曲と伸長運動がまず妨害
され、次に疼痛及び最小労作の制限と睡眠を妨害する安静時の疼痛が出現する機能障害で
ある。矯正及び/又は治療なしでこの症状が持続する場合、関節は破壊され、患者は大部
分を手術で人工関節に交換することになるか、身体障害になる。
骨関節炎中に出現する関節軟骨病変を矯正するための治療方法は、開発されてきたが、
今のところどれもin situ及びインビボにおいて関節軟骨の再生を実現することは
できなかった。
【0006】
(報告された開発)
骨関節炎の治療は困難である。現在、治療法はなく、治療は疼痛の緩和と罹患した関節
が変形するのを防ぐことに重点をおく。一般的な治療には、しばしば疼痛の緩和に用いら
れる非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用が含まれ、一方特異的COX−2阻害剤
は重度の疼痛の緩和に使用される。コンドロイチン及びグルコサミンなどの薬剤は、軟骨
自体を改善すると考えられる。これらの治療は比較的成功する可能性があるが、実質的な
量の研究データは入手できない。
【0007】
重症の場合、関節の交換が必要となる可能性がある。これは腰及び膝に特に当てはまる
。結合部の痛みが著しく、交換ができない場合は、固定することができる。この手法によ
って疼痛は止まるが、関節機能が永久に失われ、歩行及び屈曲が困難になる。
74%から90%の有効性を備え、優れた結果をもたらす治療は、自己由来培養軟骨細
胞の移植で、これは患者から軟骨細胞物質を採取し、研究室に送って、そこで増殖に適し
た培地に接種し、数週間から数ヶ月継続する様々な期間を経て十分な量を確保したら、特
殊な容器に入れて輸送して、障害のある組織に移植し、組織の欠陥を覆う。
【0008】
他の治療には、滑液の流体力学を一時的に改善し、ほぼ即時の自由運動の感覚及び疼痛
の著しい減少をもたらす物質、Hylan G−F20(Synvisc、Hyalgan、Artzなど)の
関節内点滴が含まれる。この物質の残存効果が滑液受容体に作用し、数週間及び数ヶ月も
継続する疼痛減少をもたらす。しかし、それは症状を隠すものであり、本来の問題は修正
されておらず、損傷を受けた関節軟骨は修復されていないので、結合部はさらに酷使され
破壊が加速するため、この単独の効果は、疾患の経過及び軟骨の生存能力には逆効果であ
る。
【0009】
その他の報告された方法には、腱移植、骨膜移植、筋膜移植、筋肉移植又は軟骨膜移植
の適用、フィブリン又は培養軟骨細胞の移植、コラーゲン、炭素繊維などの合成基質の移
植、電磁場の適用が含まれる。これらはいずれも、修復は行うが、再生力のある組織は形
成されず、その結果は最小限且つ不完全で、重量の負荷を支えることができないばかりか
、正常な動きをする関節機能の回復も不可能な、質的に不十分な組織を生じることが報告
された。
【0010】
同化プロセスの刺激、異化プロセスの阻止、又はこれら2つを組み合わせると、軟骨が
安定化し、障害の回復さえももたらされる可能性があり、したがって疾患がさらに進行す
るのを防ぐことができる。様々な引き金が軟骨細胞の同化刺激を刺激することができる。
インシュリン様成長因子−I(IGF−I)は、滑液中の主要な同化成長因子で、プロテ
オグリカン及びコラーゲンの両方の合成を刺激する。また、骨形態形成タンパク質(BM
P)ファミリーの構成要素、特に、BMP2、BMP4,BMP6及びBMP7並びにヒ
トトランスフォーミング成長因子−b(TGF−b)ファミリーの構成要素は、軟骨細胞
同化刺激作用を誘導することができることが明らかになった(Chubinskaya and Kuettner
, 2003)。軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する化合物が最近同定された(米国特許第6500
854号、欧州特許第1.391211号)。しかし、これらの化合物の多くは重篤な副作用を示し
、したがって、重篤な副作用を伴わずに軟骨細胞分化を刺激する化合物が強く望まれてい
る。
【0011】
本発明は、本発明者等が同定し選択したタンパク質(以後、「ターゲット」と称する)
の機能と軟骨細胞の同化刺激作用との関係に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(発明の要約)
本発明は、軟骨細胞の同化刺激作用を導く軟骨合成プロセスを誘導する化合物の同定方
法に関するものであり、この方法は、化合物を、配列番号101〜128及び401〜5
94からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はそれらの機能的断片
若しくは誘導体と、前記ポリペプチドが前記化合物に結合するのを可能にする条件下で接
触させることと、軟骨細胞の同化刺激作用に関連した化合物−ポリペプチドの特性を測定
することとを含む。
本発明はまた、発現抑制剤、同剤を含む医薬組成物、インビトロにおける軟骨組織の産
生方法及び前記抑制剤を発現する宿主細胞に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の方法の態様は、ターゲットのポリペプチドを使用した化合物のインビトロアッ
セイ並びにターゲットを阻害してからコラーゲンII型、アルファ−1(col2α1)
及びアグリカンレベルを含む効果指標を観察する細胞アッセイを含む。
本発明の他の態様は、効果的に軟骨形成を促進する量のターゲット阻害剤を含む医薬組
成物を投与することによって、軟骨細胞の脱分化及び/又は軟骨厚の減少に関係する病気
に罹患した、又は罹患しやすい対象におけるそれらの病気を治療又は予防する方法である

【0014】
本発明の他の態様は、前記阻害剤が、アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム及び
低分子干渉RNA(siRNA)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含み、前
記阻害剤が、配列番号101〜128及び401〜594からなる群から選択されるアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドをコードする天然ポリヌクレオチド配列と相補的であるか、
又はそれから操作された核酸配列又はその断片を含む、前記方法で使用するための医薬組
成物である。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、医薬として許容し得る担体と混合した治療上効果的に軟骨
形成を促進する量のターゲット阻害剤又はそれらの医薬として許容し得る塩、水和物、溶
媒和化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物である。本発明のポリヌクレオチド及
びターゲット阻害剤化合物はまた、軟骨細胞の脱分化及び/又は軟骨厚の減少が関与する
病気を治療するための医薬品の製造に有用である。
さらに、本発明はまた、診断方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
以下の用語は、本明細書において以下の定義に従って使用される:
用語「薬剤」は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド及び小分子を含む任意の分子を意味
する。
【0017】
用語「軟骨細胞の同化刺激作用」は、軟骨形成の誘導又は軟骨細胞の同化活性の誘導若
しくは増強と理解すべきである。同化刺激作用は、例えば、軟骨成分合成を刺激すること
によって、又は軟骨合成に必要な成分の合成を誘導することによって生じる。「軟骨細胞
の同化刺激作用」はまた、マトリックスGlaタンパク質(MGP)の発現が誘導される
プロセスと理解することができる。軟骨細胞の同化刺激作用はさらに、軟骨由来のレチノ
イン酸感受性タンパク質(CD−RAP)の発現誘導、軟骨オリゴマーマトリックスタン
パク質(COMP)の発現誘導、アグリカン1(agc1、コンドロイチン硫酸プロテオ
グリカンコアタンパク質1又はCSPG1とも称する)の発現誘導、又はコラーゲン、I
I型、アルファ−1(col2α1)、軟骨のコラーゲン、コンドロカルシン及びコラー
ゲン、xi型、アルファ−3(col11α3)としても知られるコラーゲンIIの合成
誘導として理解することができる。
【0018】
用語「アンチセンス核酸」は、遺伝子の発現を減少させるように、塩基対合によって標
的の発現に関与する特定の相補的核酸配列と相互作用するヌクレオチド配列を有するオリ
ゴヌクレオチドのことである。遺伝子の発現に関与する特定の核酸配列はゲノムDNA分
子又はこの遺伝子(の一部)をコードするmRNA分子であることが好ましい。このゲノ
ムDNA分子は、遺伝子の調節領域又は成熟遺伝子のためのコーディング配列を含むこと
ができる。
【0019】
用語「アッセイ」は、化合物の特定の特性を測定するために用いられる任意の方法を意
味する。「スクリーニングアッセイ」は、化合物の集団からそれらの活性に基づいて化合
物の特徴を明らかにするかそれらを選択するために用いられる方法を意味する。
用語「結合親和性」は、2つ以上の化合物が互いに非共有結合でどの程度強く結合する
かを記述する特性である。結合親和性は、質的に(例えば「強い」、「弱い」、「高い」
又は「低い」)、或いは量的に(例えば、Kの測定)特徴付けることができる。
【0020】
用語「担体」は、医薬組成物に媒体、嵩及び/又は使用可能な形態を提供するために医
薬組成物の製剤で用いる無毒性材料を意味する。担体は賦形剤、安定剤又は水性のpH緩
衝溶液などのそのような材料の1つ又は複数を含むことができる。生理的に許容できる担
体の例としては:リン酸、クエン酸及び他の有機酸を含む水性又は固体の緩衝成分;アス
コルビン酸を含む抗酸化剤;低分子(約10未満残基)ポリペプチド;血清アルブミン、
ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリ
マー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸;グ
ルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖、二糖及び他の炭水化物、EDTAな
どのキレート剤;マンニトール又はソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの
塩形成対イオン;並びに/或いはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG
)及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤である。
【0021】
用語「複合体」は、2つ以上の化合物が互いと結合するときに形成される実体を意味す
る。
用語「化合物」は、本明細書では本発明のアッセイと関連して記載される「試験化合物
」又は「薬剤候補化合物」との関連で用いられる。そうしたものとして、これらの化合物
は合成又は天然供給源由来の有機又は無機の化合物を含む。化合物には、無機又は有機の
化合物、例えば比較的低分子量を特徴とするポリヌクレオチド、脂質又はホルモン類似体
が含まれる。他のバイオポリマー有機試験化合物としては、約2から約40のアミノ酸を
含むペプチド及び約40から約500のアミノ酸を含むより大きなポリペプチド、例えば
抗体若しくは抗体複合体がある。
【0022】
アンチセンスオリゴヌクレオチド及び方法における、用語「ヌクレオチド配列に相補的
」は、細胞中で、すなわち、生理学的条件下で、配列に対するハイブリダイズを可能にす
るようにそのような配列に十分相補的であると理解するべきである。
用語「病態」又は「疾患」は、症状(すなわち病気)の明白な提示又は異常な臨床指標
(例えば生化学指標)の現れを意味する。或いは、用語「疾患」は、そのような症状又は
異常な臨床指標を起こす遺伝的若しくは環境的リスク又はその傾向を指す。
用語「接触」又は「接触させる」は、インビトロ系であれインビボ系であれ、少なくと
も2つの部分を一緒にすることを意味する。
【0023】
用語「脱分化」は、軟骨成分を合成するという細胞表現型から離れて軟骨細胞が分化す
る一般的なプロセスのことである。このような成分には、限定はしないが、コラーゲンI
I、アグリカン1、バーシカン、リンクタンパク質、パールカン、SZP/ルブリシン(
lubricin)、バイグリカン(DS−PGI)、デコリン(DS−PGII)、エピフィカ
ン(DS−PGIII)、フィブロモデュリン、ルミカン、CILP、C型レクチン、フ
ィブロネクチン、PRELP、COMP(トロンボスポンジン−5)、トロンボスポンジ
ン−1及び−3、CMP(マトリリン−1)、マトリリン−3、C型レクチン、フィブロ
ネクチン、コンドロアドヘリン、テネイシン−C、フィブリリン、エラスチン、gp−3
9/YKL−40、マトリックスGlaタンパク質/MGP、プレイオトロフィン、コン
ドロモデュリン−I/SCGP、コンドロモデュリン−II、CD−RAP、コンドロカ
ルシン、PARP、リゾチーム及びホスホリパーゼA2が含まれる。
【0024】
用語「有効量」又は「治療的有効量」は、医師又は他の臨床医によって探求されている
対象の生物学的又は医学的な反応を導き出す化合物又は剤の量を意味する。特に、軟骨細
胞の同化刺激作用の誘導に関して、用語「有効量」は、軟骨細胞同化の増加プロセスを表
す軟骨細胞マーカーのレベルの生物学的に意味のある増加をもたらす化合物又は因子の効
果的分化促進量を意味するものとする。
用語「発現可能な核酸」は、タンパク性分子をコードする核酸、RNA分子又はDNA
分子を意味する。
【0025】
用語「内因性」とは、哺乳類が自然に産生する物質を意味する。用語「プロテアーゼ」
、「キナーゼ」又はGタンパク質結合受容体(「GPCR」)に関して内因性とは、それ
が哺乳類(例えばそれには限定されないがヒト)によって自然に産生されるものを意味す
る。対照的に、この関係における用語非内因性は、哺乳類(例えばそれには限定されない
がヒト)によって自然に産生されないものを意味する。両用語は、「インビボ」及び「イ
ンビトロ」系の両方を記載するために用いることができる。例えば、それらには限定され
ないが、スクリーニング手法において、内因性又は非内因性のターゲットはインビトロス
クリーニング系に関することでよい。それには限定されないが他の例として、哺乳類のゲ
ノムが非内因性のターゲットを含むように操作された場合、インビボ系による候補化合物
のスクリーニングが有効である。
【0026】
用語「発現」は、トランスダクションによる内因性の発現と過剰発現をどちらも含む。
用語「発現抑制剤」は、正常に細胞内で発現する特定のポリペプチド又はタンパク質の
転写、翻訳及び/又は発現に選択的に干渉するように設計されたポリヌクレオチドを意味
する。より詳しくは、「発現抑制剤」は少なくとも、特定のポリペプチド又はタンパク質
をコードするポリリボヌクレオチド配列中の少なくとも約17の連続したヌクレオチドと
同一であるか相補的なヌクレオチド配列を含む、DNA又はRNA分子を含む。例示的な
発現抑制分子としては、リボザイム、二本鎖siRNA分子、自己相補的一本鎖siRN
A分子、遺伝子のアンチセンス構築物及び修飾された安定化骨格を有する合成RNAアン
チセンス分子がある。
【0027】
用語「発現可能な核酸」は、タンパク性分子をコードする核酸、RNA分子又はDNA
分子を意味する。
本明細書では、用語「遺伝学的アンチセンス」は、遺伝子配列に相補的なアンチセンス
構築物の細胞ゲノムへの組み入れを指す。このような組み入れは、アンチセンス分子の継
続した合成を可能にする。
【0028】
用語「ハイブリダイゼーション」は、塩基対形成を通して核酸鎖と相補鎖とを結合させ
る任意の方法を意味する。用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的塩基間での
水素結合の形成によって、2つの核酸配列間で形成される複合体を指す。ハイブリダイゼ
ーション複合体は溶液中で形成することができ(例えばC0t又はR0t分析)、又は溶
液中に存在する1つの核酸配列と固体支持体(例えば紙、膜、フィルター、チップ、ピン
又はガラススライド、又は細胞若しくはそれらの核酸が固定された他のいかなる適当な基
質)上で固定された他の核酸配列との間で形成することができる。用語「ストリンジェン
トな条件」は、ポリヌクレオチドと請求されたポリヌクレオチドとの間でのハイブリダイ
ゼーションを可能にする条件を指す。ストリンジェントな条件は塩濃度、有機溶剤、例え
ばホルムアミドの濃度、温度及び当技術分野で公知である他の条件によって規定すること
ができる。詳細には、塩濃度を低くするか、ホルムアミドの濃度を高くするか、ハイブリ
ダイゼーション温度を上昇させることにより、ストリンジェンシーを増大させることがで
きる。
【0029】
用語「反応」との関係で用語「抑制する」又は「抑制性」は、化合物がない場合と対照
的に化合物の存在下で反応が減少するか、阻止されることを意味する。
用語「抑制」は、過程の減少、ダウンレギュレーション、又はタンパク質若しくはポリ
ペプチドの発現の消失又は最小化をもたらす、過程への刺激の除去を指す。
用語「誘導」は、タンパク質又はポリペプチドの発現をもたらす過程及び細胞の表現型
の変化をもたらす過程の誘導、アップレギュレーション又は刺激を指す。
【0030】
用語「リガンド」は、内因性の天然の受容体に特異的な内因性の天然分子を意味する。
用語「医薬として許容し得る塩類」は、本発明の化合物の、非毒性の無機及び有機の酸
付加塩、並びに塩基付加塩を指す。これらの塩類は、本発明で役立つ化合物の最終的な単
離及び精製の間に、in situで調製することができる。
【0031】
用語「ポリヌクレオチド」は、一本鎖又は二本鎖の、センス又はアンチセンスの配向性
のポリ核酸、ストリンジェントな条件で特定のポリ核酸にハイブリダイズする相補的なポ
リ核酸、及びその塩基対の少なくとも約60パーセントで相同的なポリヌクレオチドを意
味し、より好ましくはその塩基対の70パーセント、最も好ましくは90パーセント、特
別な実施形態ではその塩基対の100パーセントが共通するポリヌクレオチドが好ましい
。ポリヌクレオチドには、ポリリボ核酸、ポリデオキシリボ核酸及びそれらの合成類似体
が含まれる。ポリヌクレオチドは、長さの範囲が約10から約5000の塩基、好ましく
は約100から約4000の塩基、より好ましくは約250から約2500の塩基の配列
によって記述される。好ましいポリヌクレオチドの実施形態は、長さが約10から約30
の塩基を含む。ポリヌクレオチドの特別な実施形態は、約10から約22のヌクレオチド
のポリヌクレオチドより一般的には低分子干渉RNA(siRNA)と記載されるポリリ
ボヌクレオチドである。他の特別な実施形態は、ペプチド核酸(PNA)、ポリシロキサ
ン、及び2’−O−(2−メトキシ)エチルホスホロチオエートなどの修飾された軟骨格
を有する核酸であり、又は非天然の核酸残基、又は1つ若しくは複数の核酸置換基、例え
ばメチル−、チオ−、サルフェート、ベンゾイル−、フェニル−、アミノ−、プロピル−
、クロロ−及びメタノカルバヌクレオシド、又はその検出を容易にするリポーター分子を
含む。
【0032】
用語「ポリペプチド」は、タンパク質(例えばターゲット)、タンパク性分子、タンパ
ク質分画、ペプチド及びオリゴペプチドに関するものである。
本明細書では、用語「リボザイム」は、その他のRNA分子を配列に特異的な方法でホ
スホジエステル結合箇所で切断できる触媒性RNA分子に対応する。
【0033】
用語「溶媒和物」は、本発明に役立つ化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的結合を意
味する。この物理的結合には、水素結合が含まれる。ある例では、溶媒和物は、例えば1
つ以上の溶媒分子が結晶質固体の結晶格子内に組み込まれた場合などに、単離が可能であ
る。「溶媒和物」は、溶相及び単離可能な溶媒和物の両方を含む。代表的な溶媒和物とし
ては、水和物、エタノレート及びメタノレートがある。
用語「対象」は、ヒト及び他の哺乳動物を含む。
【0034】
用語「治療する」は、それらの障害若しくは病態の1つ又は複数の症状を含めて障害、
疾患若しくは病態の発生を予防するかその病理を変更し、それによって軽減することを目
的に実施する診療行為を意味する。したがって、「治療する」は治癒的な治療及び予防的
若しくは防止的な処置の両方を指す。治療を要する者としては、すでにその障害を有する
者、並びにその障害を予防すべき者が含まれる。用語「治療する」が上で定義されている
ように、本明細書で使用する関連語「治療」は、障害、症状、疾患又は病態を治療する行
為を指す。
【0035】
用語「ベクター」はまた、プラスミド並びに組換えウイルスなどのウイルスベクター、
又は組換えウイルスをコードする核酸に対応する。
用語「脊椎動物細胞」は、魚、鳥、爬虫類、両生類、有袋類及び哺乳類を含む脊椎構造
を有する動物から得られた細胞のことである。好ましい細胞は、哺乳類から得られ、最も
好ましい細胞はヒト細胞である。哺乳類細胞には、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツ
ジ、ブタ、マウス及びラットなどのネズミ並びにウサギが含まれる。
【0036】
(軟骨細胞の同化刺激作用に対するターゲットの関係に基づいた、本出願者の発明)
前述のように、本発明は、ターゲットは軟骨細胞の同化プロセスの上方制御及び/又は
誘導における要素であるという本発明者等の発見に基づいている。用語「ターゲット」又
は「ターゲット(複数)」は、以下に記載されているアッセイによって軟骨細胞の同化刺
激作用の誘導に関与することが確認されたタンパク質を意味する。好ましいターゲットは
、表1Aにおいて配列番号101〜128及び401〜594と特定されている。表1A
に本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド及びノックダウン標的配列を挙げる。表1B
に膜貫通タンパク質ターゲットの断片例を挙げる。表1Cに本発現抑制剤の発明の実施に
有用なKD標的配列例を挙げる。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】





【0039】
【表3】




【0040】
本発明は、化合物と配列番号101〜128(「ターゲット」)のポリペプチドのアミ
ノ酸配列を含むポリペプチド又はそれらの機能的断片を、化合物に対する前記ポリペプチ
ドの結合を可能にする条件下で接触させることと、前記ポリペプチドと前記化合物との複
合体の形成を検出することとを含む、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する化合物の測定方
法に関する。複合体形成を測定する好ましい1手段は、前記ポリペプチドに対する前記化
合物の結合親和性を測定することである。
【0041】
より具体的には、本発明は、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する因子の同定方法に関し
、この方法はさらに、
(a)軟骨細胞の集団を前記ターゲットに結合親和性を示す前記化合物の1種又は複数
と接触させることと、
(b)軟骨細胞の同化刺激作用に関与する化合物−ポリペプチドの特性を測定すること
とを含む。
【0042】
前記で述べた化合物−ポリペプチドの特性は、軟骨細胞の同化刺激作用に関し、当業者
によって選択される測定可能な現象である。この測定可能な特性は、例えば、ポリペプチ
ドターゲットのペプチドドメインに対する結合親和性、又は軟骨細胞同化作用の増加のい
くつかの生化学的マーカーレベルのいずれか1つのレベルであってよい。軟骨細胞の同化
刺激作用は、例えば、タンパク質及び正常な軟骨の重要な成分などの分化プロセス中に誘
導されるその他の分子のレベルを測定することによって測定することができる。特に、軟
骨の主要なタンパク質成分、コラーゲンIIの誘導を測定する。
【0043】
さらに、軟骨細胞の同化刺激に関与する化合物−ポリペプチド特性は、C20/A4、
T/C−28a2、T/C−28a4、C−28/12、Ch−4,8,N、Ch−8−
OA、TC6、MCT、MC615、IRC、RCS2、Hig82及びD1 ORL
UVA(D1)細胞で測定される。しかし、このような特性はまた、非軟骨細胞系でも測
定される。例えば、本発明のポリペプチドに結合する化合物の親和性を測定するin s
itu結合アッセイは、ポリペプチドを発現する任意の細胞種を使用して実施される。こ
のポリペプチドの発現は外因性又は内因性である。さらに、化合物−ポリペプチド特性が
生物学的経路の活性化であるとき、化合物−ポリペプチドの特性を測定するために、その
経路の細胞性成分を含有する任意の細胞を使用する。例えば、軟骨細胞におけるcol2
α1又はアグリカンの誘導は、軟骨細胞の同化刺激作用の指標である。特に、col2α
1又はアグリカンプロモーターによって活性化されたレポーター分子を含有するように非
軟骨細胞を操作することができる。このような方法で、軟骨細胞の同化刺激作用を示す特
性を測定するために非軟骨細胞を使用することができる。
【0044】
本発明は、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導及び/又は増加させる化合物の同定方法に関
し、前記方法は、表1Aに挙げたもののいずれか1つのポリペプチド又はそれらの機能的
断片若しくは誘導体を発現する細胞集団を培養する段階と、前記細胞集団において軟骨細
胞分化の第1レベルを測定する段階と、前記細胞集団を化合物又は化合物の混合物に曝露
する段階と、前記細胞集団を化合物又は化合物の混合物に曝露している間若しくは曝露後
に前記細胞集団における軟骨細胞分化のレベルを測定する段階と、軟骨形成分化を誘導及
び/又は増加させる化合物を同定する段階とを含む。
【0045】
本発明はまた、表1Aに挙げたポリペプチドのいずれか1つの発現及び/又は活性を減
少させる化合物の同定方法に関し、前記方法は、前記ポリペプチド又はそれらの断片又は
誘導体を発現する細胞集団を培養する段階と、前記ポリペプチドの発現及び/又は活性の
第1レベルを測定する段階と、前記細胞集団を化合物又は化合物の混合物に曝露する段階
と、前記細胞集団を化合物又は化合物の混合物に曝露している間若しくは曝露後に前記ポ
リペプチドの発現及び/又は活性のレベルを測定する段階と、前記ポリペプチドの発現及
び/又は活性を減少させる化合物を同定する段階とを含む。もし、このポリペプチド活性
が容易に測定できないならば、化合物の同定は、前記ポリペプチドのアゴニストに対して
前記細胞集団を曝露することを含む追加段階によって利益を得ることができる。さらに、
本発明の方法は、表1Aに挙げたポリペプチドのいずれか1つをコードする遺伝子を前記
細胞集団に導入する段階を含んでよい。ハイスループットのためには、前記細胞のゲノム
に安定して組み込まれる遺伝子を有することが有益であり得る。
【0046】
好ましい実施形態では、軟骨細胞(再)分化のレベルは、マーカー遺伝子の発現レベル
を測定することによって測定され、好ましいマーカー遺伝子は、コラーゲンII型、アル
ファ−1(col2α1)又はアグリカンをコードする。適切な同化刺激作用のために、
col2α1又はアグリカンの発現及び/又は活性を増加させることが好ましい。
【0047】
本発明は、特定の1実施形態では、ポリペプチドがGPCRである新規化合物の同定方
法を提供する。そのような場合、前記GPCRの発現及び/又は活性は、第2メッセンジ
ャーのレベルを測定することによって測定することが好ましい。好ましい第2メッセンジ
ャーは、環状AMP、Ca2+又はその両方である。一般的に、第2メッセンジャーのレ
ベルは、第2メッセンジャーに応答するプロモーターを制御してレポーター遺伝子で測定
し、このプロモーターは環状AMP応答性プロモーター、NF−KB応答性プロモーター
、又はNF−AT応答性プロモーターであることが好ましく、このときレポーター遺伝子
は、アルカリホスファターゼ、GFP、eGFP、dGFP、ルシフェラーゼ及びβ−ガ
ラクトシダーゼからなる群から選択される。
【0048】
他の特定の実施形態では、本発明は、ポリペプチドがキナーゼ又はホスファターゼであ
る新規化合物の同定方法を提供する。前記キナーゼ又はホスファターゼの活性は、前記キ
ナーゼ又はホスファターゼの基質のリン酸化レベルを測定することによって測定すること
が好ましい。
さらに他の特定の実施形態では、本発明は、ポリペプチドがタンパク質分解酵素である
新規化合物の同定方法を提供する。前記タンパク質分解酵素の活性は、前記タンパク質分
解酵素の基質の切断レベルを測定することによって測定することが好ましい。
第2メッセンジャーレベルの測定方法、レポーター遺伝子及び第2メッセンジャー応答
性プロモーターの使用並びにホスファターゼアッセイ及びタンパク質分解酵素アッセイは
当業界では周知で、ここではさらに詳述はしない。
【0049】
好ましい実施形態では、ポリペプチドを阻害する化合物はせいぜい10マイクロモルの
ポリペプチドに結合親和性を示す。
本発明の好ましい実施形態では、ポリペプチドターゲットは、配列番号101〜128
及び401〜594(表1A及び1B)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の特に好ましい実施形態では、ポリペプチドターゲットは、配列番号101〜12
8(表1A)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0050】
当業者の選択に従い、本アッセイ方法は一連の測定として機能するように設計すること
ができ、そのそれぞれは薬剤候補化合物が実際にポリペプチドに作用して軟骨細胞の同化
刺激作用を誘導するかどうかを決定するように設計される。例えば、化合物のポリペプチ
ド又はその断片に対する結合親和性を測定するように設計されたアッセイは、試験化合物
が対象に投与されたときに平均軟骨厚を増大させるのに役立つかどうかを確認するために
必要かもしれないが十分ではない。それにもかかわらず、そのような結合情報は、生化学
経路のさらに上の異なる特性、例えばコラーゲンIIの量を測定することによって評価さ
れる軟骨成分合成を測定するアッセイで使用するための一組の試験化合物を同定する際に
役立つはずである。そのような第2のアッセイは、ポリペプチドに結合親和性を有する試
験化合物が実際に軟骨細胞の同化刺激作用を誘導することを確認するように設計すること
ができる。偽陽性の読取値でないことを保証するために、適当な対照を常に設置しなけれ
ばならない。
【0051】
これらの測定の順序は本発明の実行に重要であるとは考えられておらず、任意の順序で
実行することができる。例えば、情報が知られていない一組の化合物のスクリーニングア
ッセイを、ポリペプチドに対するそれらの化合物の結合親和性を考慮しながら最初に実施
することができる。或いは、ポリペプチドドメインに対して結合親和性を有すると同定さ
れた一組の化合物、又はそのポリペプチドの阻害剤であると同定された化合物のクラスを
スクリーニングすることができる。しかし、本アッセイが薬剤候補化合物の究極の用途に
意味があるようにするために、コラーゲンIIレベル又はアグリカンの測定が必要である
。対照及び本発明のポリペプチドへの結合親和性の測定を含むバリデーション試験は、そ
れにもかかわらず任意の治癒的又は診断的用途で有用な化合物を同定する際に役立つ。
【0052】
ポリペプチドターゲットを有する化合物の結合親和性は、当技術分野で公知の方法、例
えば表面プラズモン共鳴バイオセンサー(Biacore)、標識化合物による飽和結合分析(
例えばScatchard及びLindmo分析)、示差UV分光光度計、蛍光偏光アッセイ、蛍光定量
的イメージングプレートリーダー(FLIPR(商標))系、蛍光共鳴エネルギー転移及びバ
イオルミネセンス共鳴エネルギー転移によって測定することができる。化合物の結合親和
性は、解離定数(Kd)、又はIC50若しくはEC50として表すこともできる。IC
50は、他のリガンドのポリペプチドとの結合の50%抑制に必要な、化合物濃度を意味
する。EC50は、ターゲット機能を測定する任意のアッセイで最大効果の50%を得る
ために必要な濃度を意味する。解離定数Kdは、リガンドがどの程度ポリペプチドに結合
するかを見るための測定手段であり、ポリペプチド上の結合部位の正確に半分を飽和させ
るために必要なリガンド濃度と等価である。高親和性結合を有する化合物は、低いKd、
IC50及びEC50値を有し、すなわち100nMから1pMの範囲である。中等度か
ら低い親和性の結合は、高いKd、IC50及びEC50値と関連し、すなわちマイクロ
モル濃度の範囲である。
【0053】
本アッセイ方法は細胞アッセイで実行することもできる。ターゲットを発現する宿主細
胞としては、内因性発現を有する細胞、又は例えばトランスダクションによってターゲッ
トを過剰発現する細胞が可能である。ポリペプチドの内因性発現が、容易に測定すること
ができるベースラインを測定するのに十分でないときは、ターゲットを過剰発現する宿主
細胞を用いることができる。過剰発現は、ターゲット基質最終産物のレベルが内因性の発
現による活性レベルより高い利点を有する。したがって、現在利用できる手法を用いてそ
のようなレベルを測定することは、より簡単である。このような細胞アッセイでは、ター
ゲットの生物学的活性は、以下の軟骨成分合成の産生によって測定することができる。
【0054】
本発明は、さらに、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する化合物の方法同定に関し:
(a)化合物を、配列番号101〜128及び401〜594からなる群から選択され
るアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることと;
(b)ポリペプチドへの化合物の結合親和性を測定することと;
(c)前記ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞の集団を少なくとも10マイクロモル
の結合親和性を示す化合物と接触させることと;
(d)正常な軟骨の構成要素であり、及び/又は軟骨の形成に必要とされているタンパ
ク質の合成を誘導する化合物を同定することを含む。
【0055】
ハイスループット目的のためには、抗体断片ライブラリー、ペプチドファージディスプ
レイライブラリー、ペプチドライブラリー(例えばLOPAP(商標)、Sigma Aldrich)、脂
質ライブラリー(BioMol)、合成化合物ライブラリー(例えばLOPAC(商標)、Sigma Ald
rich)、又は天然化合物ライブラリー(Specs、TimTec)などの化合物ライブラリーを用
いることができる。
【0056】
好ましい薬剤候補化合物は、低分子量化合物である。低分子量化合物、すなわち500
ダルトン以下の分子量のものは、生物系で優れた吸収性及び浸透性を有し、したがって5
00ダルトンを超える分子量を有する化合物よりも候補薬として成功する可能性が高い(
Lipinskiら(1997))。ペプチドには、他の好ましいクラスの薬剤候補化合物が含まれる。
ペプチドは優れた候補薬であることができ、生殖ホルモン及び血小板凝集阻害薬など、商
業的に価値あるペプチドの複数の例がある。天然化合物は、他の好ましいクラスの薬剤候
補化合物である。そのような化合物は天然供給源で見られまたそれらから抽出され、それ
らはその後合成することができる。脂質は、他の好ましいクラスの薬剤候補化合物である

【0057】
他の好ましいクラスの薬剤候補化合物は抗体である。本発明は、ターゲットを対象とし
た抗体も提供する。これらの抗体は細胞中で内因的に産生されてターゲットと結合するこ
とができるか、組織に加えて細胞外に存在するターゲットポリペプチドと結合することが
できる。これらの抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体でよい。本発明は
、キメラ、単鎖及びヒト化の抗体、さらにはまた、FAbフラグメント、FAb発現ライ
ブラリーの生成物、並びにFvフラグメント及びFv発現ライブラリーの生成物を含む。
【0058】
ある実施形態では、本発明の実行においてポリクローナル抗体を用いることができる。
当業者は、ポリクローナル抗体を調製する方法を知っている。ポリクローナル抗体は哺乳
動物で、例えば免疫化剤、及び所望によりアジュバントの1つ又は複数の注射によって作
製することができる。一般的に、免疫化剤及び/又はアジュバントは、哺乳類では皮下又
は腹腔内の複数の注射によって注入される。抗体は、無傷のターゲットタンパク質若しく
はポリペプチドに対して、又はターゲットタンパク質若しくはポリペプチドの断片、コン
ジュゲート体を含む誘導体、若しくは他のエピトープに対して、例えば細胞膜中に包埋さ
れたターゲット、又はファージディスプレイライブラリーなどの抗体可変部のライブラリ
ーに対して作製することもできる。
【0059】
免疫化する哺乳動物で免疫原性であることが知られているタンパク質に免疫化剤をコン
ジュゲートすることは、役立つ可能性がある。そのような免疫原性タンパク質の例として
は、それらには限定されないが、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、
ウシのサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターがある。使用することができる
アジュバントの例としては、フロインド完全アジュバント及びMPL−TDMアジュバン
ト(一リン酸化リピドA、合成トレハロースジコリノミコレート)がある。当業者は、過
度の実験をしなくても免疫化プロトコルを選択することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体でよい。モノクローナル抗体は、
当業界周知の方法によって調製することができる。本発明のモノクローナル抗体は、宿主
が抗体に対して免疫応答を起こすことを予防するために「ヒト化」されたものでよい。「
ヒト化抗体」は、軽鎖及び/又は重鎖可変ドメインフレームワークの相補性決定部(CD
R)及び/又は他の部分はヒト以外の免疫グロブリンに由来するが、分子の残りの部分は
1つ又は複数のヒト免疫グロブリンに由来するものである。ヒト化抗体には、供与体又は
受容体の非修飾軽鎖又はキメラ軽鎖と結合したヒト化重鎖、又はその逆を特徴とする抗体
も含まれる。抗体のヒト化は、当技術分野で公知の方法によって達成することができる(
例えば、Mark及びPadlan、(1994)「第4章。モノクローナル抗体のヒト化」、The Handbo
ok of Experimental Pharmacology Vol. 113, Springer-Verlag, New York、を参照)。
ヒト化抗体を発現するために、トランスジェニック動物を用いることができる。
【0061】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含めて当技術分野で公知の様々な手
法を用いて産生することもできる(Hoogenboom及びWinter、(1991) J. Mol. Biol. 227:3
81-8;Marksら、(1991) J. Mol. Biol. 222:581-97)。Coleら及びBoernerらの手法も、
ヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる(Coleら、(1985)「モノクローナル抗体及び
癌療法」Alan R. Liss,p. 77;Boernerら、(1991) J. Immunol., 147(1): 86-95)。
【0062】
単鎖抗体の産生のための当技術分野で公知の手法は、本発明のターゲットポリペプチド
及びタンパク質に対する単鎖抗体を産生するために応用することができる。抗体は、一価
抗体でよい。一価抗体の調製法は当技術分野で公知である。例えば、1つの方法は、免疫
グロブリン軽鎖及び修飾された重鎖の組換え発現を含む。重鎖は、重鎖架橋性を阻止する
ために、一般にFc部の任意の点でトランケーションされる。或いは、架橋性を阻止する
ために関連するシステイン残基が他のアミノ酸残基で置換されるか削除される。
【0063】
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なる抗原に対して、好ましくは細胞表面タンパク
質又は受容体又は受容体サブユニットに対して結合特異性を有する、モノクローナルの、
好ましくはヒトの又はヒト化の抗体である。この場合は、結合特異性の1つはターゲット
の1ドメインに対するものであり、他の1つは、同じか異なるターゲットの他のドメイン
に対するものである。
【0064】
二重特異性抗体の作製法は当技術分野で公知である。従来法では、二重特異性抗体の組
換え産生は2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づき、2つの重鎖は異なる特
異性を有する(Milstein及びCuello、(1983) Nature 305:537-9)。免疫グロブリン重鎖
及び軽鎖のランダムな組合せのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10
の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生するが、僅か1つだけが正しい二重特異性構造を
有する。アフィニティークロマトグラフィ段階は、通常、正しい分子の精製を達成する。
類似した手法は、Trauneekerら、(1991) EMBO J. 10:3655-9、で開示される。
【0065】
他の好ましい実施形態によると、ターゲットへの結合親和性を有すると同定され、且つ
/又は1つ又は複数のターゲットに対するアンタゴニスト活性などのダウンレギュレーシ
ョン活性を有するとすでに同定された薬剤候補化合物を、アッセイ方法は用いる。
【0066】
さらに本発明は、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導するための、前記細胞を、配列番号1
〜28からなる群から選択されたヌクレオチド配列を含むポリリボヌクレオチドの少なく
とも約17の連続したヌクレオチドと相補するポリヌクレオチド配列を含む発現抑制剤と
接触させることを含む方法に関する。好ましい実施形態では、発現抑制剤は、配列番号2
02〜315からなる群から選択されるヌクレオチド配列を補うポリヌクレオチド配列を
含む。
【0067】
本発明の他の態様は、前記細胞を、ターゲットポリペプチドをコードするポリリボヌク
レオチドの細胞内での翻訳を抑制する発現抑制剤と接触させることを含む、軟骨細胞の同
化刺激作用の誘導方法に関するものである。特定の実施形態は、剤をターゲットターゲッ
トmRNAと対合してそれによってターゲットポリペプチドの発現をダウンレギュレート
又は阻止する働きをする少なくとも1つのアンチセンス鎖を含むポリヌクレオチドを含む
組成物に関するものである。抑制剤は好ましくはアンチセンスポリヌクレオチド、リボザ
イム及び低分子干渉RNA(siRNA)を含み、前記薬剤は配列番号101〜128か
らなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリヌクレオチドの一部をコードする天然ポ
リヌクレオチド配列と相補的であるかそれから操作される核酸配列を含む。好ましい実施
形態では、発現抑制剤は、配列番号1〜28からなる群から選択されるポリヌクレオチド
配列に相補的である。特に好ましい実施形態では、発現抑制剤は、配列番号202〜31
5からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列に相補的である。
【0068】
本発明の一実施形態は、発現抑制剤がアンチセンスRNA、アンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチド(ODN)、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオチド
を切断するリボザイム、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオチドの一
部に十分に相補的であり、その結果そのsiRNA、好ましくはshRNAがターゲット
ポリペプチドへのターゲットポリリボヌクレオチドの翻訳に干渉する低分子干渉RNA(
siRNA、好ましくはshRNA)からなる群から選択される方法に関するものである
。好ましくは、発現抑制剤は、配列番号1〜28からなる群から選択されるヌクレオチド
配列に相補的な、アンチセンスRNA、リボザイム、アンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチド又はsiRNA、好ましくはshRNAである。特に好ましい実施形態では、発現
抑制剤は、配列番号202〜315からなる群から選択されるポリヌクレオチド配列に相
補的である。
【0069】
本発明の特別な実施形態は、発現抑制剤がアンチセンスRNA、アンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチド(ODN)、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオ
チドを切断するリボザイム、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオチド
の一部に十分に相同的であり、その結果そのsiRNA、好ましくはshRNAがターゲ
ットポリペプチドへのターゲットポリリボヌクレオチドの翻訳に干渉する低分子干渉RN
A(siRNA、好ましくはshRNA)を発現する核酸である方法に関するものである
。好ましくは、このヌクレオチド配列は、配列番号1〜28からなる群から選択されるポ
リヌクレオチドに相補的である。特に好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列
番号202〜315からなる群から選択されるポリヌクレオチドに相補的である。
【0070】
アンチセンス核酸を用いる遺伝子発現のダウンレギュレーションは、翻訳又は転写のレ
ベルで達成することができる。本発明のアンチセンス核酸は、好ましくはターゲットポリ
ペプチド又は対応するメッセンジャーRNAをコードする核酸の全部又は一部と特異的に
ハイブリダイズすることができる核酸断片である。さらに、その転写一次産物のスプライ
シングを抑制することによってターゲットポリペプチドをコードすることができる核酸配
列の発現を減少させる、アンチセンス核酸を設計することができる。それがターゲットを
コードする核酸の発現をダウンレギュレートするか阻止することができる限り、任意の長
さのアンチセンス配列が本発明の実行のために適当である。好ましくは、アンチセンス配
列は長さが少なくとも約17ヌクレオチドである。アンチセンス核酸、アンチセンスRN
AをコードするDNAの調製及び使用、並びにオリゴ及び遺伝子アンチセンスの使用は当
技術分野で公知である。
【0071】
発現抑制剤の一実施形態は、配列番号1〜28を含む核酸にアンチセンスである核酸で
ある。例えば、アンチセンス核酸(例えばDNA)は、配列番号1〜28を含む核酸の細
胞内発現を抑制するための遺伝子治療として、インビトロで細胞に導入することができる
か、又は対象にインビボ投与することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは好ま
しくは、約17から約100のヌクレオチドを含む配列を含み、より好ましくは、アンチ
センスオリゴヌクレオチドは約18から約30のヌクレオチドを含む。アンチセンス核酸
は、配列番号1〜28の配列から選択される核酸配列に相補的な約10から約30の連続
したヌクレオチドから調製することができる。
【0072】
アンチセンス核酸は好ましくはオリゴヌクレオチドであり、デオキシリボヌクレオチド
のみ、修飾されたデオキシリボヌクレオチドのみ、又は両者の組合せからなり得る。アン
チセンス核酸は、合成オリゴヌクレオチドでよい。安定性及び/又は選択性を改善するた
めに、オリゴヌクレオチドは所望により化学的に修飾することができる。オリゴヌクレオ
チドは細胞内ヌクレアーゼによる分解に感受性であるので、修飾としては、例えば、ホス
ホジエステル結合の遊離酸素を置換する硫黄基の使用があり得る。この修飾は、ホスホロ
チオエート結合と呼ばれる。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、水
溶性で、ポリ陰イオン性で、内因性のヌクレアーゼに抵抗性である。さらに、ホスホロチ
オエートアンチセンスオリゴヌクレオチドがそのターゲット部位にハイブリダイズすると
き、RN202−315NA二重鎖は、ハイブリッド分子のmRNA成分を切断する内因
性の酵素リボヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ)Hを活性化する。
【0073】
さらに、ホスホラミダイト及びポリアミド(ペプチド)とのアンチセンスオリゴヌクレ
オチドの結合は、合成することができる。これらの分子は、ヌクレアーゼ分解に非常に抵
抗性でなければならない。さらに、安定性を強化してターゲット部位へのアンチセンスオ
リゴヌクレオチドの結合を促進するために、化学基を糖部分の2’炭素及びピリミジンの
5炭素(C−5)に加えることができる。修飾としては、2’−デオキシ、O−ペントキ
シ、O−プロポキシ、O−メトキシ、フルオロ、メトキシエトキシホスホロチオエート、
修飾塩基、並びに当業者に公知の他の修飾があり得る。
【0074】
ターゲットのレベルを低減する他の種類の発現抑制剤は、リボザイムである。リボザイ
ムは、別々の触媒及び基質の結合ドメインを有する触媒性RNA分子(RNA酵素)であ
る。基質結合配列はヌクレオチド相補性により、また恐らく非水素結合相互作用により、
そのターゲット配列と結合する。触媒部分は、特定の部位でターゲットRNAを切断する
。リボザイムの基質ドメインは、それを指定されたmRNA配列に向けるように設計する
ことができる。リボザイムは、相補的な塩基対形成を通してターゲットmRNAを認識し
て、次に結合する。一旦それが正しいターゲット部位に結合するならば、リボザイムは酵
素的にターゲットmRNAを切断する働きをする。リボザイムによるmRNAの切断は、
対応するポリペプチドの合成を指示するその能力を無効にする。一旦リボザイムがそのタ
ーゲット配列を切断したならば、それは放出されて、他のmRNAで繰り返し結合及び切
断することができる。
【0075】
リボザイム形態には、ハンマーヘッドモチーフ、ヘアピンモチーフ、デルタ型肝炎ウイ
ルス、I群イントロン若しくはリボヌクレアーゼP RNA(RNAガイド配列と結合)
モチーフ又はNeurospora VS RNAモチーフがある。これらの触媒RNA分子は細胞
中で真核生物のプロモーターから発現させることができるので、ハンマーヘッド又はヘア
ピン構造を有するリボザイムは容易に調製される(Chenら、(1992) Nucleic Acids Res.
20:4581-9)。本発明のリボザイムは、真核細胞で適当なDNAベクターから発現させる
ことができる。所望により、リボザイムの活性は、第2のリボザイムによる転写一次産物
からのその放出によって高めることができる(Venturaら(1993) Nucleic Acids Res. 21:
3249-55)。
【0076】
リボザイムは、オリゴデオキシリボ核酸を、転写後にターゲットmRNAにハイブリダ
イズする配列に連なるリボザイム触媒ドメイン(20ヌクレオチド)と結合することによ
って、化学的に合成することができる。オリゴデオキシリボ核酸は、基質結合配列をプラ
イマーとして用いることにより増幅される。増幅生成物は、真核生物の発現ベクターにク
ローン化される。
【0077】
リボザイムは、DNA、RNA又はウイルスのベクターに挿入された転写単位から発現
される。リボザイム配列の転写は、真核生物のRNAポリメラーゼI(ポルI)、RNA
ポリメラーゼII(ポルII)又はRNAポリメラーゼIII(ポルIII)のプロモー
ターから始動される。ポルII又はポルIIIプロモーターからの転写産物は、全ての細
胞で高レベルで発現される。与えられた細胞型内の与えられたポルIIプロモーターのレ
ベルは、近くの遺伝子調節配列によって決まる。原核生物のRNAポリメラーゼ酵素が適
当な細胞で発現されるならば、原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターも用いられる
(Gao及びHuang、(1993) Nucleic Acids Res. 21: 2867-72)。これらのプロモーターか
ら発現されるリボザイムは、哺乳動物細胞で機能することが証明された(Kashani-Sabet
ら(1992) Antisense Res. Dev. 2: 3-15)。
【0078】
特に好ましい抑制剤は、低分子干渉RNA(siRNA、好ましくはshRNA)であ
る。siRNA、好ましくはshRNAは、抑制されたRNAに配列が相同的である二重
鎖RNA(dsRNA)によって、遺伝子抑制の転写後過程を媒介する。本発明によるs
iRNAは、配列番号1〜28で記載される配列の群、好ましくは配列番号202〜31
5で記載される配列の群から選択される連続した17〜23のヌクレオチド配列と相補的
又は相同な17〜25のヌクレオチドのセンス鎖、並びにこのセンス鎖に相補的な17〜
25のヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む。配列例は、配列番号202〜315に相補
的な配列として記載されている。最も好ましいsiRNAは、互いに100パーセント相
補的なセンス鎖及びアンチセンス鎖、及びターゲットポリヌクレオチド配列を含む。好ま
しくは、siRNAはセンス鎖及びアンチセンス鎖を結合するループ領域をさらに含む。
【0079】
本発明による自己相補一本鎖shRNA分子ポリヌクレオチドは、ループ領域リンカー
によって接続されたセンス部分及びアンチセンス部分を含む。好ましくは、ループ領域配
列は、長さが4〜30ヌクレオチド、より好ましくは長さが5〜15ヌクレオチド、最も
好ましくは長さが8ヌクレオチドである。最も好ましい実施形態では、リンカー配列はU
UGCUAUA(配列番号201)である。自己相補的一本鎖siRNAはヘアピンルー
プを形成して、普通のdsRNAよりも安定である。さらに、それらはベクターからより
容易に産生される
【0080】
アンチセンスRNAに類似して、siRNAは核酸溶解性分解に対する抵抗性を保証す
るために、又は活性を強化するために、又は細胞分布を強化するために、又は細胞取り込
みを強化するために修飾することができ、そのような修飾は修飾されたヌクレオシド間結
合、修飾された核酸塩基、修飾された糖及び/又は1つ又は複数の部分若しくはコンジュ
ゲート体へのsiRNA化学結合からなる。siRNA設計規則に適合しないヌクレオチ
ド配列と比較してターゲット配列の減少が改善されたヌクレオチド配列が、これらのsi
RNA設計規則に従って選択される(これらの規則及びsiRNA調製例の議論について
は、国際公開2004094636、2004年11月4日公表、及びUA20030198627が本明細書で
参照により組み込まれている)。
【0081】
本発明は、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導することができるポリヌクレオチドを発現す
ることができるDNA発現ベクターを含み、本明細書で先に発現抑制剤として記載されて
いる組成物及び前記組成物を用いる方法にも関する。
【0082】
これらの組成物及び方法の具体的な態様は、ターゲットポリペプチドと選択的に相互作
用することができる細胞内結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの誘導された発
現による、ターゲットポリペプチドの発現のダウンレギュレーション又は阻止に関する。
細胞内結合タンパク質には、それが発現される細胞内のポリペプチドと選択的に相互作用
又は結合して、ポリペプチドの機能を中和することができる任意のタンパク質が含まれる
。好ましくは、細胞内結合タンパク質は、配列番号101〜128及び401〜594の
ターゲットポリペプチドのエピトープに結合親和性を有する中和抗体又は中和抗体の断片
である。より好ましくは、細胞内結合タンパク質は単鎖抗体である。
【0083】
この組成物の具体的な実施形態は、アンチセンスRNA、アンチセンスオリゴデオキシ
ヌクレオチド(ODN)、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオチドを
切断するリボザイム、配列番号101〜128をコードするポリリボヌクレオチドの一部
に十分に相同的であり、その結果そのsiRNAがターゲットポリペプチドへのターゲッ
トポリリボヌクレオチドの翻訳に干渉する低分子干渉RNA(siRNA)からなる群か
ら選択される発現抑制剤を含む。
【0084】
発現抑制剤を発現するポリヌクレオチドは、好ましくはベクター内に含まれる。ポリ核
酸は核酸配列の発現を可能にするシグナルに作動可能的に結合されて、好ましくは組換え
ベクター構築物を利用して細胞内に導入され、この構築物は一旦ベクターが細胞に導入さ
れるとアンチセンス核酸を発現する。様々なウイルスベースの系が利用でき、それらには
アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ関連ウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペス
ウイルス又はセンダイウイルスのベクター系が含まれ、全てはターゲット細胞内に発現抑
制剤のポリヌクレオチド配列を導入して発現するために用いることができる。
【0085】
好ましくは、本発明の方法で用いられるウイルスベクターは、複製に欠陥がある。その
ような複製不完全なベクターは、感染細胞内でのウイルスの複製のために必要な少なくと
も1つの領域を通常含む。これらの領域は、当業者に公知の任意の手法によって除去する
(全体若しくは一部)か、又は機能不全にすることができる。これらの手法には、全除去
、置換、部分欠失又は必須の(複製のために)領域への1つ又は複数の塩基の付加が含ま
れる。そのような手法はインビトロ(単離されたDNA上で)又はin situで遺伝
子操作手法を用いて、又は突然変異誘発物質での処理により実施することができる。好ま
しくは、複製欠陥ウイルスはそのゲノムのウイルス粒子の封入に必要な配列を保持する。
【0086】
好ましい一実施形態では、ウイルス要素はアデノウイルスに由来する。好ましくは、媒
体はアデノウイルスカプシドに封入されたアデノウイルスベクター、その機能性部分、誘
導体及び/又は類似体を含む。アデノウイルスの生物学的特徴は、分子レベルで比較的よ
く知られている。アデノウイルスベクターのための多くのツールがすでに開発され、これ
からも開発が継続されるので、アデノウイルスカプシドは本発明のライブラリーに組み込
むための好ましい媒体となる。アデノウイルスは、多種多様な細胞に感染することができ
る。しかし、アデノウイルス血清型が異なると、細胞に対する好みも異なる。好ましい一
実施形態で本発明のアデノウイルスカプシドが入ることができるターゲット細胞集団を組
み合わせて拡張するために、媒体は少なくとも2つのアデノウイルスからのアデノウイル
ス繊維タンパク質を含む。好ましいアデノウイルス繊維タンパク質配列は、血清型17、
45及び51である。これらのキメラベクターの手法又は構築及び発現は米国公表特許出
願20030180258及び20040071660で開示され、これらは本明細書で参照によって組み込まれ
る。
【0087】
好ましい一実施形態では、アデノウイルスに由来する核酸としては、アデノウイルス後
期タンパク質、その機能部分、誘導体及び/又は類似体をコードする核酸がある。アデノ
ウイルス後期タンパク質、例えばアデノウイルス繊維タンパク質は、好ましくはある細胞
を媒体の標的にするために、又は媒体の細胞への送達増を誘導するために用いることがで
きる。好ましくは、アデノウイルスに由来する核酸は基本的に全てのアデノウイルス後期
タンパク質をコードし、アデノウイルスカプシド全体又はその機能部分、類似体及び/又
は誘導体の形成を可能にする。好ましくは、アデノウイルスに由来する核酸としては、ア
デノウイルスE2A、又はその機能部分、誘導体及び/又は類似体をコードする核酸があ
る。好ましくは、アデノウイルスに由来する核酸としては、少なくとも1つのE4領域タ
ンパク質又はその機能部分、誘導体及び/又は類似体をコードする核酸があり、それらは
少なくとも部分的に、細胞内でのアデノウイルス由来核酸の複製を促進する。この用途の
実施例で用いられるアデノウイルスベクターは、本発明の治療方法に役立つベクターの例
である。
【0088】
本発明のある実施形態では、レトロウイルス系を用いる。レトロウイルスは分裂細胞に
感染する組み込み型ウイルスであり、それらの構築は当技術分野で公知である。レトロウ
イルスベクターは異なる種類のレトロウイルスから、例えばMoMuLV(「マウスモロ
ニー白血病ウイルス」)、MSV(「マウスモロニー肉腫ウイルス」)、HaSV(「ハ
ーベイ肉腫ウイルス」);SNV(「脾臓壊死ウイルス」);RSV(「ラウス肉腫ウイ
ルス」)及びフレンドウイルスから構築することができる。レンチウイルス系も本発明の
実行において用いることができる。
【0089】
本発明の他の実施形態では、アデノ随伴ウイルス(「AAV」)が利用される。AAV
ウイルスは、安定して部位特異的に感染細胞のゲノムに組み込む、比較的小さな大きさの
DNAウイルスである。それらは、細胞成長、形態及び分化に対するどんな影響をも誘導
することなく広範囲の細胞に感染することができ、しかも、それらはヒトに病原性ではな
いようである。
【0090】
ベクターの構築において、本発明のポリヌクレオチド剤は、1つ又は複数の調節領域に
結合することができる。1つ又は複数の適当な調節領域の選択は、当業者の技術レベルの
範囲で解決できる日常の問題である。調節領域はプロモーターを含み、エンハンサー、サ
プレッサー、その他を含むことができる。
【0091】
本発明の発現ベクターで用いることができるプロモーターは、構成プロモーター及び調
節された(誘導可能な)プロモーターの両方を含む。プロモーターは、宿主によっては原
核生物性又は真核生物性でよい。本発明の実施に役立つ原核生物の(バクテリオファージ
を含む)プロモーターには、lac、lacZ、T3、T7、ラムダP、P及びtr
pプロモーターがある。本発明の実施に役立つ真核生物(ウイルスのものを含む)プロモ
ーターとしては以下のものがある。遍在性のプロモーター(例えば、HPRT、ビメンチ
ン、アクチン、チューブリン)、中間フィラメントプロモーター(例えばデスミン、ニュ
ーロフィラメント、ケラチン、GFAP)、治療的遺伝子プロモーター(例えばMDR型
、CFTR、第VIII因子)、組織特異プロモーター(例えば平滑筋細胞のアクチンプ
ロモーター、又は内皮細胞で活性なFlt及びFlkプロモーター)、例えば動物転写調
節領域であり、これらは組織特異性を示し、トランスジェニック動物で利用されている:
膵臓腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子調節領域(Swiftら(1984) Cell 38:639-46;
Ornitzら(1986) Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409;MacDonald(1987)
Hepatology 7:425-515);膵臓β細胞で活性なインシュリン遺伝子調節領域(Hanahan(1
985) Nature 315:115-22)、リンパ系細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子調節領域(Gros
schedlら(1984) Cell 38:647-58;Adamesら(1985) Nature 318:533-8;Alexanderら(1987
) Mol. Cell. Biol. 7:1436-44)、精巣、乳腺、リンパ細胞及び肥満細胞で活性なマウス
乳癌ウイルス調節領域(Lederら(1986) Cell 45:485-95)、肝臓で活性なアルブミン遺伝
子調節領域(Pinkertら(1987) Genes and Devel. 1:268-76)、肝臓で活性なアルファフ
ェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumlaufら(1985) Mol. Cell. Biol., 5:1639-48;Hamm
erら(1987) Science 235:53-8)、肝臓で活性なα1抗トリプシン遺伝子調節領域(Kelse
yら(1987) Genes and Devel., 1: 161-71)、骨髄性細胞で活性なβ−グロビン遺伝子調
節領域(Mogramら(1985) Nature 315:338-40;Kolliasら(1986) Cell 46:89-94)、脳の
乏突起神経膠細胞で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readheadら(1987)
Cell 48:703-12)、骨格筋で活性なミオシン軽鎖2遺伝子調節領域(Sani (1985) Natur
e 314.283-6)、並びに視床下部で活性な性腺刺激ホルモン放出因子遺伝子調節領域(Mas
onら(1986) Science 234:1372-8)。
【0092】
本発明の実行において用いることができる他のプロモーターとしては、分裂細胞で優先
して活性化されるプロモーター、刺激に応答するプロモーター(例えばステロイドホルモ
ン受容体、レチン酸受容体)、テトラサイクリン調節転写モジュレータ、前初期のサイト
メガロウイルス、レトロウイルスLTR、メタロチオネイン、SV40、Ela及びML
Pプロモーターがある。
【0093】
更なるベクター系としては、患者へのポリヌクレオチド剤の導入を促進する非ウイルス
性の系がある。例えば、所望の配列をコードするDNAベクターは、インビボでリポフェ
クションによって導入することができる。リポソーム媒介トランスフェクションで遭遇す
る問題点を制限するように設計された合成陽イオン脂質は、マーカーをコードする遺伝子
のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製するために用いることができ
る(Felgnerら(1987) Proc. Natl. Acad Sci. USA 84:7413-7);Mackeyら(1988) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 85:8027-31;Ulmerら(1993) Science 259:1745-8を参照)。陽イオ
ン脂質の使用は、負に荷電した核酸の被包性を促進し、そのうえ負に荷電した細胞膜との
融合を促進することができる(Felgner及びRingold、(1989) Nature 337:387-8)。核酸
移動に特に役立つ脂質化合物及び組成物は、国際特許公開95/18863、国際公開96/17823、
及び米国特許第5459127号で記載されている。インビボで外来性の遺伝子を特定の臓器に
導入するためのリポフェクションの使用は、一定の実用上の利点を有し、特定の細胞型に
トランスフェクションを向けることは、細胞異質性の組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓及び
脳で特に有利である。脂質は、ターゲティング目的のために他の分子と化学的に結合する
ことができる。ホルモン類若しくは神経伝達物質などの標的のペプチド、及び抗体などタ
ンパク質、又は非ペプチド分子は、化学的にリポソームに結合することができる。他の分
子も、インビボでの核酸のトランスフェクションを促進するために有用であり、例として
は陽イオンオリゴペプチド(例えば国際特許公開95/21931)、DNA結合タンパク質に由
来するペプチド(例えば国際特許公開96/25508)、又は陽イオンポリマー(例えば国際特
許公開95/21931)がある。
【0094】
裸のDNAプラスミドとしてインビボでDNAベクターを導入することも可能である(
米国特許第5693622号、第5589466号及び第5580859号を参照)。治療目的のための裸のD
NAベクターは、当技術分野で公知の方法、例えばトランスフェクション、エレクトロポ
レーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキ
ストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃の使用、又はDNAベクタートランスポータ
の使用などで、所望の宿主細胞に導入することができる(例えば、Wilsonら(1992) J. Bi
ol. Chem. 267:963-7;Wu及びWu、(1988) J. Biol. Chem. 263:14621-4;Hartmutら、1
990年3月15日に出願のカナダ特許出願2012311;Williamsら(1991) Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 88:2726-30参照)。受容体媒介DNA送達手法を用いることができる(Cur
ielら(1992) Hum. Gene Ther. 3:147-54;Wu及びWu、(1987) J. Biol. Chem. 262:4429-3
2)。
【0095】
本発明は、本明細書で先に記載したようにターゲット阻害剤及び/又は発現抑制剤とし
て同定された1つ又は複数の化合物の有効量を含む、生体適合性の軟骨形成促進組成物も
提供する。
【0096】
生体適合性組成物は、本発明の化合物、ポリヌクレオチド、ベクター及び抗体が活性型
で、例えば生物的活性を発揮することが可能な形態で維持されている、固体、液体、ゲル
、又は他の形態である組成物である。例えば、本発明の化合物はターゲットに対する逆作
動薬、すなわちアンタゴニスト活性を有し、核酸は複製すること、メッセージを解釈する
こと、又はターゲットの相補的なmRNAにハイブリダイズすることができ、ベクターは
、本明細書で先に記載されているように、ターゲット細胞をトランスフェクションするこ
と、及びアンチセンス、抗体、リボザイム又はsiRNAを発現することができ、抗体は
、ターゲットポリペプチドドメインと結合する。
【0097】
好ましい生体適合性組成物は、例えば、トリス、リン酸又はHEPES緩衝液を用いて
緩衝される、塩イオンを含む水溶液である。通常、塩イオンの濃度は生理的レベルと類似
する。生体適合性溶液は、安定化剤及び保存料を含むことができる。より好ましい実施形
態において、生体適合性組成物は医薬として許容し得る組成物である。そのような組成物
は、局所、経口、腸管外、鼻腔内、皮下及び眼内の各経路による投与のために製剤化する
ことができる。非経口的投与は、静脈内注射、筋肉内注射、動脈内注射又は注入手法を含
むものとする。組成物は、所望により標準で公知の非毒性の生理的に許容される担体、ア
ジュバント及び媒体を含む投薬単位製剤で、非経口的に投与することができる。
【0098】
本組成物発明の特に好ましい実施形態は、本明細書で先に記載されている発現抑制剤の
治療的有効量を医薬として許容し得る担体と混合して含む、軟骨形成促進医薬組成物であ
る。他の好ましい実施形態は、平均軟骨厚の全身的若しくは局所的減少に関係する病態又
はその病態に対する感受性の治療又は予防のための医薬組成物であり、ターゲットアンタ
ゴニスト又は逆作動薬、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物又はそのプロド
ラッグの軟骨形成促進有効量を、医薬として許容し得る担体との混合物として含む。
【0099】
経口投与のための医薬組成物は、当技術分野で公知の医薬として許容し得る担体を経口
投与に適当な投薬量で用いて製剤化することができる。そのような担体は、医薬組成物が
患者による摂取のために錠剤、丸剤、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ剤、スラ
リー、懸濁液、などとして製剤化されるのを可能にする。経口用の医薬組成物は、活性化
合物を固体賦形剤と組み合わせ、生じる混合物を任意選択に粉砕し、錠剤又は糖衣丸コア
を得るために所望により適当な補助剤を加えた後に顆粒剤の混合物を加工することによっ
て調製することができる。適当な賦形剤は、炭水化物又はタンパク質の充填剤、例えばラ
クトース、ショ糖、マンニトール又はソルビトールを含む糖類、トウモロコシ、小麦、米
、ジャガイモ又は他の植物からの澱粉、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース、アラビアゴム及
びトラガカンタゴムを含むゴム、及びゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質である。
所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩、例えばアルギン
酸ナトリウムなどの崩壊剤又は可溶化剤を加えることができる。糖衣丸コアは適当なコー
ティングとともに用いることができ、例としてはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロ
リドン、カーボポルゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタンを含むことも
できる濃縮糖液、ラッカー溶液並びに適当な有機溶媒又は溶媒混合物がある。色素又は顔
料を製品識別のために、又は活性化合物の量、すなわち投薬量を明らかにするために、錠
剤又は糖衣丸コーティングに加えることができる。
【0100】
経口的に用いることができる医薬用製剤としては、ゼラチンで作られた押込嵌めカプセ
ル、並びにゼラチン及び、グリセリン又はソルビトールなどのコーティングで作られた柔
らかく、密封されたカプセルがある。押込嵌めカプセルは、ラクトース若しくは澱粉など
の充填剤又は結合剤、タルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、及び任意選
択に安定剤と混合した有効成分を含むことができる。軟カプセルでは、活性化合物を、安
定剤の有無にかかわらず、適当な液体、例えば脂肪油、液体、液体ポリエチレングリコー
ルの中に溶かすか懸濁することができる。
【0101】
好ましい無菌の注射製剤は、無毒性の非経口的に許容できる溶媒又は希釈液の溶液又は
懸濁液でよい。医薬として許容し得る担体の例は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、等張性
生理食塩水(例えばリン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウ
ム、カルシウム若しくはマグネシウム、又はそのような塩類の混合物)、リンガー液、ブ
ドウ糖、水、滅菌水、グリセリン、エタノール、及びそれらの組合せである。1,3−ブ
タンジオール及び無菌の不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として便利に使用される。いか
なる低刺激性の不揮発性油も使用することができ、例としては合成のモノグリセリド又は
ジグリセリドがある。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤の調製で使用すること
ができる。
【0102】
組成物媒体はヒドロゲルでもよく、それは任意の生体適合性又は非細胞傷害性のホモポ
リマー又はヘテロポリマー、例えば薬剤吸収スポンジの働きをする親水ポリアクリル酸ポ
リマーから調製される。それらのあるものは、例えば特にエチレン及び/又はプロピレン
オキシドから得られるものは市販されている。ヒドロゲルは、例えば外科的診療の間に、
治療する組織の表面へ直接置くことができる。
【0103】
本発明の医薬組成物の実施形態は、本発明のポリヌクレオチド抑制剤をコードする複製
欠陥組換えウイルスベクター、及びポロキサマー(poloxamer)などのトランスフェクシ
ョンエンハンサーを含む。ポロキサマーの例はPoloxamer407であり、それは市販(BAS
F、Parsippany、N.J.)されている無毒性、生体適合性のポリオールである。組換えウイ
ルスを含浸させたポロキサマーは、例えば外科的診療の間に、治療する組織の表面へ直接
置くことができる。ポロキサマーは基本的にヒドロゲルと同じ利点を有するが、粘度は低
い。
【0104】
活性発現抑制剤は、コロイド薬剤送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフ
ェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにお
いて、例えば界面重合により調製したマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチ
ルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタシレート)マイクロ
カプセルに封入することもできる。そのような手法は、Remington's Pharmaceutical Sci
ences (1980)、第16版、Osol, A.編、で開示されている。
【0105】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適当な例としては、抗体を含む固体
疎水性ポリマーの半透過性マトリックスがあり、そのマトリックスは造形品、例えばフィ
ルム又はマイクロカプセルの形状である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル類
、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、若しくはポリ(
ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸及びγ−
エチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON
DEPOT(商標)(乳酸グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射
可能なマイクロスフェア)などの分解可能な乳酸グリコール酸コポリマー、並びにポリ−
D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸がある。エチレン−酢酸ビニル及び乳酸グリコール酸の
などのポリマーは100日以上の分子の放出を可能にするが、あるヒドロゲルはより短い
期間、タンパク質を放出する。カプセル化抗体が長い間体内に残るときは、それらは37
℃の湿気に曝露する結果変性又は凝集を起こし、結果として生物的活性の消失及び免疫原
性の変化の可能性をもたらす。関係するメカニズムに応じて、安定化のために合理的な手
法を考案することができる。例えば、凝集メカニズムがチオジスルフィド相互変換を通し
ての分子間S−S結合形成であることが判明した場合、スルフヒドリル残基を修飾し、酸
性溶液から凍結乾燥し、適当な添加剤を用いて含水量を制御し、特定のポリマーマトリッ
クス組成物を開発することにより安定化を達成することができる。
【0106】
上で定義されたように、治療有効量はタンパク質、ポリヌクレオチド、ペプチド又はそ
の抗体、アゴニスト若しくはアンタゴニストの、症状又は病態を改善する量を意味する。
そのような化合物の治療効力及び毒性は、細胞培養又は実験動物で標準的な薬学手法、例
えばED50(集団の50%で治療効果の見られる用量)及びLD50(集団の50%に
致死的な用量)で測定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比を治療指数
といい、LD50/ED50で表される。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトで使用される用量の範囲を処
方するために使用される。そのような化合物の投薬量は、好ましくはほとんど毒性がなく
、ED50を含む循環濃度範囲内にある。投薬量は、使用される剤形、患者の感受性及び
投与経路に従ってこの範囲内で変動する。
【0107】
任意の化合物について、最初に、細胞培養アッセイで、又は動物モデルで、通常はマウ
ス、ウサギ、イヌ若しくはブタで、治療有効量を推定することができる。動物モデルは、
望ましい濃度域及び投与経路に到達するためにも用いられる。そのような情報は、次にヒ
トで役立つ用量及び投与経路を決定するために用いることができる。正確な投薬量は、治
療される患者を考慮して個々の医師によって選択される。用量及び用法は、活性部分の十
分なレベルを提供するために、又は所望の効果を維持するために調節される。考慮するこ
とができる更なる要素としては、患者の疾病状態の重症度、年齢、体重及び性別、食事、
所望の治療期間、投与方法、投与の時間及び頻度、併用薬、反応感度並びに治療に対する
寛容性/反応がある。長時間作用の医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス
速度次第で3〜4日ごとに、毎週、又は2週間に1回投与してもよい。
【0108】
本発明による医薬組成物は、様々な方法によって対象に投与することができる。それら
はターゲット組織に直接加えることができ、陽イオン脂質との複合体を形成することがで
き、リポソーム中に封入することができ、又は当技術分野で公知の他の方法によってター
ゲット細胞に送達することができる。所望の組織への局所投与は、直接注入、経皮吸収、
カテーテル、注入ポンプ又はステントによって実施することができる。DNA、DNA/
媒体複合体、又は組換えウイルス粒子は、治療部位に局所的に投与される。代替の送達経
路としては、それらには限定されないが、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、エアゾー
ル吸入、経口用(錠剤若しくは丸剤)、局所、全身、目、腹腔内及び/又はクモ膜下の送
達がある。リボザイム送達及び投与の例は、Sullivanら国際公開94/02595で提供されてい
る。
【0109】
本発明による抗体は、ボーラスとしてだけ送達すること、経時的に注入すること、又は
ボーラスとしての投与及び経時的注入の両方が可能である。当業者は、タンパク質のもの
とは異なる製剤をポリヌクレオチドのために使用することができる。同様に、ポリヌクレ
オチド又はポリペプチドの送達は、特定の細胞、病態、部位、その他に特異的である。
【0110】
本明細書で先に議論されたように、本発明に役立つポリヌクレオチド剤をコードするD
NAを導入するために、組換えウイルスを用いることができる。本発明による組換えウイ
ルスは、通常、約10から約1014のpfuの用量の形で製剤化及び投与される。A
AV及びアデノウイルスの場合、約10から約1011のpfuの用量を用いるのが好
ましい。用語pfu(「プラーク形成単位」)は、ビリオン懸濁液の感染力に対応して、
適当な細胞培養を感染させて形成されるプラーク数を測定することで決定される。ウイル
ス溶液のpfu力価を測定するための手法は、先行技術で十分記載されている。
【0111】
本発明はまた、本発明の発現抑制剤の治療有効量を前記対象に投与することを含む軟骨
形成の増強方法を提供する。本発明の他の態様は、本明細書で説明したような軟骨形成増
強医薬組成物を前記対象に投与することを含む、軟骨細胞同化刺激作用に関与した疾患を
治療又は予防する方法に関する。
【0112】
本発明の手段及び方法を使用して治療できる軟骨細胞の同化刺激作用に関与した疾患の
例には、限定はしないが、骨関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ
、痛風関節炎、敗血性又は感染性関節炎、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィ
ー、疼痛性ジストロフィー、ティーツェ症候群又は肋骨軟骨炎、繊維筋痛症、骨軟骨炎、
神経性又は神経障害性関節炎、関節症、変形性骨関節炎風土病のような風土病型関節炎、
ムセレニ(Mseleni)病及びハンディゴデュ(Handigodu)病、繊維筋痛症から生じた変性
症、全身性エリテマトーデス、強皮症及び強直性脊椎炎が含まれる。さらに、遺伝性軟骨
融解、軟骨形成不全及び偽軟骨異形成を含む先天性軟骨奇形に罹患した人々は、軟骨細胞
の同化刺激作用を引き起こす治療計画から利益を得るようであり、したがって、これらの
疾患も、本発明の方法及び手段を使用することによって治療できる。先天性軟骨奇形関連
疾患の非限定的な例は、小耳症、無耳症及び骨幹端骨軟骨形成症である。
【0113】
本発明の方法で使用されるポリペプチド又はポリヌクレオチドは、溶液中で遊離状態で
も、固体支持体に固定されても、細胞表面で運ばれても、細胞内に置かれてもよい。本方
法を実施するために、本発明のポリペプチド又は化合物を固定してそのポリペプチドの非
複合形態から複合体の分離を促進し、且つアッセイをオートメーション化することが可能
である。化合物との本発明のポリペプチドの相互作用(例えば、結合)は、反応体を収納
するのに適当な任意の容器内で達成することができる。そのような容器の例としては、マ
イクロタイタープレート、試験管及び微量遠心管がある。一実施形態では、ポリペプチド
のマトリックスへの結合を可能にするドメインを加える、融合タンパク質を提供すること
ができる。例えば、本発明のポリペプチドは「His」タグを付け、次にNi−NTAマ
イクロタイタープレート上へ吸着させることができ、又は、本発明のポリペプチドとのP
rotA融合をIgGに吸着させ、それを次に細胞溶解物(例えば、35S標識)及び候
補化合物と組み合わせ、混合物は複合体形成に好都合な条件下(例えば、生理的条件の塩
及びpH)でインキュベートする。インキュベーションに続いて、プレートを洗浄して未
結合の標識があれば除去し、マトリックスを固定化する。放射能の量は直接、又は複合体
の解離後に上清で測定することができる。或いは、複合体をマトリックスから解離してS
DS−PAGEで分離し、本発明のタンパク質へのタンパク質結合のレベルを標準の電気
泳動手法を用いてゲルから定量化することができる。
【0114】
マトリックス上のタンパク質の固定化のための他の手法も、化合物の同定方法で用いる
ことができる。例えば、本発明のポリペプチド又は化合物は、ビオチン及びストレプトア
ビジンのコンジュゲーションを利用して固定化することができる。本発明のビオチン化タ
ンパク質分子は、当技術分野で公知の技術(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals
、Rockford、Ill.)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調
製して、ストレプトアビジンでコーティングされた96穴プレート(Pierce Chemical)
のウェル内に固定化することができる。或いは、本発明のポリペプチドと反応性であるが
ポリペプチドと化合物との結合を干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導することがで
き、本発明のポリペプチドは抗体コンジュゲーションによってウェルに捕捉することがで
きる。先に述べたように、標識候補化合物の調製物は本発明のポリペプチドを提示するプ
レートのウェル内でインキュベートされ、ウェルに捕捉された複合体の量は定量すること
ができる。
【0115】
本発明の他の実施形態は、軟骨細胞を再分化するのに十分な時間、軟骨細胞を、配列番
号1〜28に相補的な配列からなる群から選択される、好ましくは配列番号202〜31
5に相補的な配列からなる群から選択される配列を含むポリヌクレオチド配列と接触させ
、それによって軟骨基質を生成する段階を含む、軟骨組織のインビトロ生成方法に関する

【0116】
好ましい実施形態では、この方法は、
(a)細胞基質を形成するために軟骨細胞を基質に適用する段階と、
(b)軟骨細胞を再分化するのに十分な時間、配列番号1〜28に相補的な配列からな
る群から選択される、好ましくは配列番号202〜315に相補的な配列からなる群から
選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを導入し、それによって軟骨基質を
生成する段階とを含む。
【0117】
したがって、本発明は、人工膝関節及び指関節などの人工関節並びに顎顔面移植片を含
む耐荷重性移植片を供給するために使用できるマトリックスを増殖させる基質の製造方法
を提供する。これはまた、スペーサーなどの特殊な手術装置又は軟骨充填剤に使用するこ
とができ、軟骨の欠陥、及び損傷を受けた、若しくは欠落した軟骨の強化、除去又は再構
成において使用することができる。
【0118】
本発明はまた、耐荷重性移植片(好ましくは、前述のマトリックスでコーティングされ
ている)と前述のマトリックスを含む軟骨充填剤との組合せに関する。
本発明の方法はまた、修正手術に関連して、すなわち、以前の手術装置の交換が必要な
ときに、非常に適している。
適切な細胞は、幹細胞細胞であり、間葉幹細胞細胞、特に軟骨細胞前駆細胞が含まれる
。間葉幹細胞、特に軟骨細胞前駆細胞は、本来の環境から採取すると軟骨生成プロセスに
非常に効果的であることが発見された。さらに、対象の軟骨生検から得られた細胞は、培
養して本発明で利用することができる。
【0119】
間葉幹細胞は、直接基質に適用することができるか、又は基質に適用する前に基質無し
で都合良く増殖させることができる。後者の方法の場合、この細胞は増殖した後でもまだ
非常に多能性があり、本発明の目的では、未分化であるとまだ言われる。その後、この細
胞を分化させることができる。分化は、適切な誘導因子、例えば、骨形態形成タンパク質
(BMP2、BM4、BMP7)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGFベータ
)、CDMP1及びCDMP2の存在によって誘導されるか、高められることができる。
分化に特に適した誘導因子は、本発明の発現抑制剤である。
【0120】
間葉幹細胞の使用は、いくつかの利点をもたらす。最初に、分化が低ければ低いほど増
殖速度が速いことを意味し、結果として生じる機能性をより特異化し、より制御すること
ができる。さらに、これらの細胞を培養することは、有機成分及び無機成分を含有する必
要な軟骨基質を生じるだけでなく、培地及びマトリックス中に、組織の増殖及び既存の生
組織に適合するために必須のいくつかの因子の存在をもたらす。また、培地は、移植過程
に関連して使用される、成長因子などの活性因子の原料であることができる。さらに、こ
のような未分化の細胞は大量に、且つ、例えば成熟軟骨細胞よりも便利に入手できること
が多く、回収中の死滅率が低いことが示されている。さらに、この未分化細胞は、移植を
企図する患者から得ることができる。これらの細胞から生じた軟骨細胞は、患者由来で、
したがって免疫応答が誘導されない。未分化細胞を使用した結果、厚さ100μmのマト
リックスを生成することができる。
【0121】
この未分化細胞を適用し、培養することができる基質は、チタン、コバルト/クロム合
金又はステンレス鋼などの金属、リン酸カルシウムなどの生物活性表面、ポリエチレンな
どのポリマー表面などであることができる。あまり好ましくはないが、ガラスセラミック
などのケイ酸含有物質もまた基質として使用することができる。リン酸カルシウムは基質
に必須の成分ではないが、最も好ましいのは、チタン及びリン酸カルシウムなどの金属で
ある。基質は多孔性若しくは非多孔性であってよい。細胞は、例えば、cm当たり細胞
10〜10個、特にcm当たり細胞10〜2×10個の割合で適用することが
できる。
【0122】
本発明による方法で使用する培地は、MEM(最小必須培地)などの通常公知の培地で
あってよい。培地は、調整培地であると有利である。この場合、調整培地とは、同様の細
胞がすでにインキュベートされており、この細胞の分泌によって培地が細胞増殖及び細胞
分化に重要なポリペプチドなどの要素を含有するようになった培地であると理解される。
この細胞を、マトリックス層、例えば、厚さが少なくとも0.5μm、特に1から10
0μmまで、さらに特に10〜50μmまでのマトリックス層を生成するために十分な時
間培養する。この細胞を、例えば、2〜15週間、特に、4〜10週間培地と接触させる
ことができる。
基質に適用するとき、マトリックスの生成は、基質の表面領域の少なくとも50%。特
に少なくとも80%を覆う連続的な、又は準連続的なコーティングをもたらす。
【0123】
本発明の他の態様では、本発明は軟骨細胞の脱分化に関与した病理状態の診断方法を提
供し、前記方法は、ゲノムDNA試料中に表1Aに挙げたポリペプチドをコードする遺伝
子のいずれか1つの核酸配列を決定する段階と、段階(a)の配列と健康な対象の核酸配
列とを比較する段階と、病理学的状態に関していかなる差も確認する段階とを含む。この
ような差は、本明細書で開示した同様のマーカー遺伝子を適用するインビトロアッセイで
さらに確認することができる。このようなアッセイは、軟骨細胞の同化刺激プロセスにお
ける遺伝子又はそれがコードするポリペプチドの役割を明らかにするだろう。このような
変異が同定されたならば、この知識は同様の疾患の診断のための試験キットでさらに利用
することができる。
【0124】
本発明の他の態様は、対象で軟骨細胞の同化刺激作用に関係する病的状態又はその病態
への感受性を診断するための方法であって、生体試料中の配列番号101〜128及び4
01〜594からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの量を測定する
ことと、その量を健康対象におけるそのポリペプチドの量と比較することとを含む方法に
関し、健康対象と比較してのポリペプチド量の増加はその病的状態の存在の指標となる。
明らかに、本明細書で開示した標的遺伝子の活性及び/又は発現レベルは、軟骨細胞の同
化刺激作用に効果を有することが可能である。疾患を診断するために活性は何レベル上昇
すべきかを決定することが残されている。しかし、患者、無症状の個体及び明らかに健康
な個体で見いだされたレベルを比較することによって、当業者は容易にこれらの相対レベ
ルを決定することができる。当業者はすでにどのポリペプチドをモニターすべきか知って
いるので、本発明は、このような診断の試験測定法のための新規手段を提供する。本発明
によってもたらされる知識を使用することによって、制御、確認及び診断が可能な疾患で
最初に挙げられるのは骨関節炎である。
【0125】
軟骨細胞同化刺激作用の速度は一般的に、軟骨、又は軟骨成分、又は軟骨細胞によって
培地中に産生される軟骨含有細胞外マトリックスの蓄積量を測定することによって測定す
ることができる。Walsh G.の著書「タンパク質:バイオテクノロジー及び生化学」(John
Wiley and Sons(2001))に記載されたもののような、細胞をベースにしたELISA、酵
素アッセイ又は当業界で公知のその他の一般的な技術は、軟骨成分を測定するために使用
することができる。
本発明を以下の図面及び実施例でさらに例示する。
【実施例】
【0126】
(実施例1:内因性II型コラーゲン、アルファ−1(col2α1)検出のハイスルー
プットスクリーニング法の開発)
(測定の原理)
2次元培養で増殖させた正常ヒト関節軟骨細胞(NHAC)は、脱分化し、徐々に軟骨
を合成しなくなる。これらは適切な因子(例えば、BMP2)の存在下で同化活性軟骨細
胞に再分化させることができる。このような因子をスクリーニングするアッセイは、コラ
ーゲンII型、アルファ−1(col2α1)、正常軟骨の主要な構成成分のレベルをモ
ニターすることによって開発された。NHACを384ウェルプレートに接種し、播種し
て1日後にSilenceSelectコレクション(WO 03/020931参照)の個々のsiRNAアデノ
ウイルス(Ad−siRNA)を感染させる。Col2α1の沈着量は、感染開始後14
日目に測定する(14dpi)。
【0127】
(対照ウイルス)
Ad−BMP2:WO 03/018799に記載。
BMP4:完全長骨形態形成タンパク質4前駆タンパク質の発現を媒介するAd5 d
E1/E2Aアデノウイルス(NP_570912参照)
Ad−LacZ:WO 02/070744ではpIPspAdApt6−lacZと呼ばれている

Ad−eGFP:WO 02/070744ではpIPspAdApt6−eGFPと呼ばれている

Ad−空:WO 02/070744に記載されている。
【0128】
(アッセイの開発)
NHACは、死因に関連性のない提供者から単離され、インフォームドコンセント後に
入手した(Cambrex、Verviers、ベルギー)。
384ウェルプレートで実施した一連の実験において、いくつかの変数、すなわち細胞
接種密度、対照ウイルス(Ad−BMP2又はAd−eGFP)の感染多重度(MOI)
、感染期間、毒性、感染率(Ad−eGFPを使用)及び計測日を最適化した。
アッセイ開発用の陽性対照としてAd−BMP2(BMP2過剰発現)を使用すると、
以下のプロトコルはアッセイ用ダイナミックレンジが最も高く、バックグラウンドシグナ
ルにおける標準偏差が最も小さくなった。
【0129】
NHACを0日目に10%熱不活性化牛胎児血清(FBS−HI)及びPen/Str
ep)を含有するDMEM/F12(Invitrogen)60μlに、384ウェルプレートで
1500細胞/ウェルとなるように接種し、翌日2.5μlのAd−対照ウイルス(Ad
−BMP2又はAd−eGFP、これは推定MOI2000に対応する)を感染させる。
7日後、2−ホスホ−L−アスコルビン酸50μg/mlを入れた測定用培地10μlを
各ウェルに添加する。col2α1の上方制御は10dpiで読み取る。培地はVacu
Safeで除去する。氷冷MeOH 50μlをマルチドロップで添加し、VacuSa
feですぐに除去する。細胞を固定するために氷冷MeOH80μlをマルチドロップで
添加し、プレートを−20℃で20分間インキュベートする。MeOHはVacuSaf
eで除去する。プレートを20分間空気乾燥して、次にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
80μlで2回洗浄する。ブロッキング緩衝液(カゼイン0.1%のPBS溶液)75μ
lを添加し、プレートを少なくとも2時間室温(RT)でインキュベートする。ブロッキ
ング緩衝液を除去する。細胞を、EC緩衝液(リン酸ナトリウム 20mM、EDTA
2mM、NaCl 400mM、BSA 0.2%、CHAPS 0.05%、カゼイン
0.4%、NaN3 0.05%、pH7)25μlで洗浄し、緩衝液C(リン酸ナト
リウム 20mM、EDTA 2mM、NaCl 400mM、BSA 1%、pH7)
で1/450、1/225に希釈した第1抗体(コラーゲンII型Ab−2ネオマーカー
、カタログ番号MS−235−P)35μlをマルチチャンネルピペットで添加する。プ
レートを4℃で一晩インキュベートする。第1抗体を除去する。細胞をPBST(Twe
en 20 0.5%のPBS溶液)80μlで2回、PBS 80μlで1回洗浄する
。第2抗体(ヤギ抗マウスイムノグロブリン/HRP.DAKO.カタログ番号P047
7、緩衝液Cで1/2000に希釈)35μlをマルチチャンネルピペットで添加する。
プレートをRTで1時間インキュベートして、第2抗体を除去し、細胞をPBST 80
μlで2回、PBS 80μlで1回洗浄する。ルミノール基質50μlを添加し、5分
後に照度計で計測値を測定する。
【0130】
アッセイを最適化した後(図1参照)、陽性対照ウイルス(BMP2及びBMP4)及
び変化を与えない(neutral)ウイルス(eGFP、lacZ及び空、図1参照)を含有
する384ウェル対照プレートを準備する。対照プレートの一定量を準備し、−20℃で
凍結した。対照プレートを解凍し、各スクリーニングバッチに用いる。
【0131】
(実施例2:軟骨形成アッセイにおけるアデノウイルスsiRNAベクター9216個の
スクリーニング)
SilenceSelectライブラリーのスクリーニングに最適なプロトコルを以下のように実施
する。0日目に、増殖させたヒト由来の初代培養軟骨細胞を培地60μlに、底が透明な
Greiner white、平底TC処理384ウェルプレート(カタログ番号781080)でウ
ェル当たり1500細胞の密度になるように接種する。1日後、384ウェルプレートに
保存したSilenceSelect(商標)収集物(WO 03/020931)の各ウェルのAd−siRNA
ウイルス(推定力価、1ml当たりウイルス粒子1×10個)2.5μlを96/38
4チャンネル分配器(TeMO96、TeMO384及びRoMaを備えたTecan Freedo
m 200、Tecan AG、スイス)で軟骨細胞を含有する384ウェルプレートの個々のウェ
ルに移す。対照プレートをSilenceSelect収集物の分取プレートと同様の条件下で実施す
る。Ad−siRNAウイルス全てを独立した測定プレートで2連でスクリーニングする
。感染後、プレートを37℃でインキュベートする。感染7日後、アデノウイルスを含有
する培地を新鮮培地と交換する。感染13日後、ウェル当たりのcol2α1沈着の量を
cELISA法で測定する。384ウェルスクリーニングプレートの一般的な結果を図2
に示す。
【0132】
2連のスクリーニングをもう1回繰り返す。試験した4回のうち(2連で2回スクリー
ニング)少なくとも2回のデータ点が閾値を上回るならば、Ad−siRNAウイルスは
ヒットとして登録する。閾値はプレート当たり全データ点の平均プラス標準偏差の2.5
倍に設定する。
【0133】
スコアが閾値を上回ったヒット総数282個を単離したところ、独立した遺伝子274
個が示された。2連のデータ点の「標準偏差の倍数」をX軸及びY軸に示した代表例を図
2に示す。閾値(標準偏差の2.5倍)は点線で表す。負の値は、スコアが平均を下回る
データ点を示す。
遺伝子のいくつかの結果を図3に示す。コラーゲンIIレベルの明らかな誘導が、表示
の遺伝子を標的とするAd−siRNAの感染後に認められる。このデータは、コラーゲ
ンIIレベルに相関する相対光単位(rlu)として表わされる。
【0134】
(実施例3:ヒットの増殖)
軟骨細胞同化刺激作用を誘導する治療能力を確立するためにAd−siRNAヒット2
82個の分析をさらに行う。最初の段階は、さらに分析するために(この実施例)選択さ
れたAd−siRNAの品質管理を必要とする。次の段階は、コラーゲンIIに加えて軟
骨のもう1つの主要構成成分であるアグリカンの誘導などの軟骨細胞同化刺激作用におけ
る標的の役割を確認するその他のアッセイにおける標的のスクリーニング(実施例4)、
その他の提供者の軟骨細胞における軟骨細胞同化刺激作用の誘導能力(実施例5)、3次
元軟骨細胞培養における妥当なマーカー特性の誘導(実施例11)、3次元軟骨細胞培養
におけるアグリカン(実施例9)及びコラーゲンII(実施例10)の翻訳後修飾の存在
、同定された転写物を標的とする他のAd−siRNAの開発(実施例7)、及び既存の
軟骨細胞で対応する遺伝子が本当に発現することの確認(実施例12)である。
【0135】
軟骨形成アッセイの282個のヒットを増殖させるため、PerC6.E2A細胞2.
25×10個を96ウェルプレートの各ウェルの非加熱不活性化FCS10%を含有す
るDMEM200μlに接種して、CO 10%の湿潤インキュベーター内で39℃で
一晩インキュベートする。その後、マトリックス管内のsiRNAアデノウイルス保存物
の粗溶解物1μlを添加し、インキュベーションをCO 10%の湿潤インキュベータ
ー内で34℃で7日間実施する。全ヒットを2枚の独立したプレートで2連で増殖させる
。2つの溶解物を収集し、一部を−20℃で凍結する。
【0136】
増殖したAd−siRNAを軟骨形成アッセイにおいて3種類のMOIで2連で再スク
リーニングする(実施例1参照)。Ad−siRNAは、この品質管理段階を通過するた
めにはスコアが少なくとも1回は閾値(平均+標準偏差2.5倍)を上回らなければなら
ない。
【0137】
(実施例4:アグリカン誘導)
軟骨細胞同化因子をスクリーニングする第2のアッセイは、軟骨のもう1つの主要構成
要素、アグリカンのレベルをモニターすることによって開発されている。このアッセイで
は、アグリカン上のグリコサミノグリカンをアルシアンブルーによって染色する。NHA
Cを384ウェルプレートに接種し、接種して1日後にSilenceSelect(商標)コレクシ
ョンの個々のAd−siRNAに感染させる。アグリカン沈着は感染して14日後に測定
する。陽性対照としてAd−BMP2を使用し、一連の実験において、ColII cE
LISAアッセイに最適化されたいくつかの変数はまた、アグリカンのアルシアンブルー
染色アッセイにも適用できることを確認している。これらの変数には、細胞接種密度、対
照ウイルスのMOI、感染期間及び計測日が含まれる。
【0138】
NHACを、0日目に、10% FBS−HI及びPen/Strepを含有するDM
EM/F12 60μlに、底が透明な384ウェル黒色プレートで1500細胞/ウェ
ルとなるように接種し、翌日にMOI2000でAd−BMP2又はAd−eGFP 2
.5μlに感染させる。7日後、アッセイ培地に溶かした2−ホスホ−L−アスコルビン
酸溶液50μg/ml、10μlを各ウェルに添加する。アグリカンの上方制御はアルシ
アンブルー染色で10dpiで計測される。培地をVacuSafeで除去し、氷冷Me
OH 50μlをマルチドロップで添加し、すぐにVacuSafeで除去し、細胞を固
定するために氷冷MeOH80μlを添加し、プレートを−20℃で20分間インキュベ
ートし、MeOHをVacuSafeで除去し、プレートを20分間空気乾燥する。PBS 80
μlで1回洗浄した後、0.05%アルシアンブルー染色緩衝液(アルシアンブルー、Si
gma、カタログ番号S−2889;MgCl 0.4M/酢酸ナトリウム 25mM、
pH5.5)80μlを添加し、プレートをRTで一晩インキュベートする。翌日、細胞
を80μlの3%酢酸、25%エタノール/3%酢酸及び50%エタノール/3%酢酸で
順次洗浄する。溶液をマルチドロップで添加し、VacuSafeで除去する。50%エ
タノール/3%酢酸を70%エタノール/3%酢酸で置換した後、個々のウェルをSON
Y CCDカメラで撮影し、ノイズ除去フィルター後に色閾値法による青シグナル分離に
基づいたガラパゴスアルシアンブルー定量アルゴリズムを使用して画像を分析する。アグ
リカン含量に比例する青染色の量はピクセル単位で表す(図4参照)。
【0139】
実施例3の増殖したヒットは、軟骨形成アッセイにおいてNHAc細胞を3種類のMO
Iで2連で形質導入するために使用する(実施例1参照)。Ad−siRNAがこの2次
アッセイを合格するためには、2連で閾値(平均+2.5×標準偏差)を少なくとも1M
OI上回るスコアでなければならない。全体で、ヒット282個のうち101個がアグリ
カンのアルシアンブルーアッセイを合格した(表1参照)。遺伝子のいくつかの結果を図
5に示す。値は説明したアルゴリズムの出力数を示し、アルシアンブルー染色レベルと相
関する。アグリカンレベルの明らかな誘導が、表示の遺伝子を標的とするAd−siRN
Aの感染後に認められる。FZD1を標的とするAd−siRNAは、アルシアンブルー
染色を誘導しないようである。
【表4】








【0140】
(実施例5:提供者依存性)
所与のヒットによるColII産生の誘導が単一の提供者に限定されないことを示すた
めに、ColIIcELISA試験によって確認されたヒット282個に提供者依存性試験をさらに
行う。以前に使用した11歳の提供者(提供者I)に加えて、年齢24(提供者II)、
41(提供者III)及び50(提供者IV)の複数の提供者から、インフォームドコン
セントの後NHACを採取する(Cambrex、Verviers、ベルギー)。実施例1及び3で説
明したように細胞を接種する。軟骨形成アッセイにおいてこれらの様々な提供者のNHA
c細胞を3種類のMOIで2連で形質導入するために、増殖したAd−siRNAを使用
する(実施例1及び3参照)。Ad−siRNAは、この提供者依存性試験を合格するた
めには少なくとも1回スコアが閾値(平均+標準偏差の2.5倍)を上回らなければなら
ない。
【0141】
アグリカンのアルシアンブルーアッセイを合格した101個のヒットのうち、97個が
提供者IVにおいて陽性を記録した。残りの4個のうち1個は、提供者IIにおいて陽性
を記録した。その他の3個は試験したその他の提供者では記録されなかった。さらに、1
01個のヒットのうち40個は他の3人の提供者全てにおいて陽性を記録した。これらの
結果は、これら101個のヒットのうち98個は提供者非依存性の形態で機能することを
示している。例外は、H33〜145、H33〜182及びH33〜263である(表1
参照)。この表1で示したのは、標的遺伝子記号、遺伝子バンクアクセッション番号及び
標的配列に対応する遺伝子の治療薬の種類である。これらの遺伝子のいくつかの結果を表
2に示す。これらのデータは、表示の遺伝子のRNAレベルをノックダウンすると少なく
とも2人の提供者においてコラーゲンIIレベルが誘導されることを示している。値は、
バックグラウンドの標準偏差の倍率を示す。
【表5】



【表6】


【0142】
(実施例6:標的Ad−siRNAの品質管理)
PER.C6(登録商標)細胞(Crucell、Leiden、オランダ)の誘導体を96ウェルプ
レートレベルで使用することによって標的Ad−siRNAを増殖させ、その後1次アッ
セイ(実施例1参照)でいくつかのMOIでこれらのウイルスを再スクリーニングし、標
的Ad−siRNAウイルスによってコードされたsiRNAを配列決定する。PER.
E2A細胞を、PER.E2A培地180μlに、96ウェルプレートでウェル当たり4
0000細胞の密度となるように接種する。次に、細胞を10%CO湿潤インキュベー
ター内において39℃で一晩インキュベートする。翌日、細胞に標的Ad−siRNAを
含有するSilenceSelect保存物の粗細胞溶解物1μlを感染させる。細胞変性効果が現れ
るまで(細胞が膨潤し、丸くなることによって明示される、通常感染後7日目)、細胞を
さらに34℃、CO10%でインキュベートする。上清を収集し、ウイルス粗溶解物を
タンパク質分解酵素Kで処理し、粗溶解物12μlを、タンパク質分解酵素K(Roche Mo
lecular BioChemicals、カタログ番号745723)1mg/ml及びTween−20(Roc
he Molecular BioChemicals、カタログ番号1335465)0.45%を補給した溶解
緩衝液(MgCl(Roche Molecular BioChemicals、カタログ番号1332465)を
含む1×Expand High Fidelity緩衝液)4μlに滅菌PCRチューブ内で添加する。これ
らを55℃で2時間インキュベートし、その後95℃の不活性化段階で15分間インキュ
ベートする。PCR反応では、溶解物1μlを、MgCl含有10×Expand High Fide
lity緩衝液5μl、dNTPミックス(各dNTPについて10mM)0.5μl、「フ
ォワードプライマー」(10mM保存物、配列:5’CCG TTT ACG TGG
AGA CTC GCC、配列番号29)1μl、「リバースプライマー」(10mM保
存物、配列:5’CCC CCA CCT TAT ATA TAT TCT TCC
C、配列番号30)1μl、Expand High Fidelity DNAポリメラーゼ(3.5U/μ
l、Roche Molecular Biochemicals)0.2μl及びHO 41.3μlから構成され
るPCRマスターミックスに添加する。PCRは、PE Biosystems GeneAmp PCRシス
テム9700で、以下のように、PCR混合物(全部で50μl)を95℃で5分インキ
ュベートし、各サイクルは95℃で15秒、55℃で30秒、68℃で4分処理し、35
サイクル繰り返す。最後のインキュベーションは68℃で7分間行う。PCR混合物5μ
lを、増幅産物を分離するために臭化エチジウム0.5μg/μlを含有する0.8%ア
ガロースゲル上に添加された6×ゲル添加緩衝液2μlと混合する。増幅断片の大きさは
、同ゲルに添加した標準DNAラダーから推定する。予測される大きさは500までbp
である。配列分析のため、標的アデノウイルスによって発現したsiRNA構築物をpI
PspAdapt6−U6プラスミドのSapI部位に隣接するベクター配列に相補的な
プライマーを使用してPCRによって増幅する。PCR断片の配列を測定し、予測した配
列と比較する。配列は全て、予測した配列と同一であることが分かる。
【0143】
(実施例7:同定したsiRNA配列の標的効果の評価)
同定したsiRNA配列が標的mRNAのノックダウンによって本当にコラーゲンII
及びアグリカンのレベルを増加させるかどうかを評価するために、同様の効果を発揮する
第2のsiRNA配列を同定する。
【0144】
HIT配列を標的とするいくつかの他のsiRNA配列を設計し、WO 03/020931に従っ
てアデノウイルスに組み込む。これらのアデノウイルスを生成したのち、Ad−siRN
Aを軟骨細胞に様々な量(1.5μl、5μl及び15μl)で感染させ、コラーゲンI
Iに対するこれらの効果を実施例1で説明したように評価する。各量について閾値(平均
+標準偏差の2.5倍)を計算する。異なる感染量の1つ又は複数についてウイルスのス
コアが閾値を上回るならば、陽性であると見なす。標的の結果を図6に示す。これらの結
果は、HIT配列を標的とする少なくとも1つの他のsiRNAが同定され得ることを示
す。これは、Silence Selectライブラリーのスクリーニング中に同定されたsiRNA配
列の標的効果を明白に示す。
【0145】
(実施例8:安定な軟骨の定量マーカー分析及びグリコサミノグリカン(GAG)及びヒ
ドロキシプロリン(Hyp)合成の評価のための3次元アルギン酸培養系の開発)
(測定の原理)
3次元培養で増殖した正常ヒト関節軟骨細胞(NHAC)は、コラーゲンII型及びア
グリカンの発現によって測定された通り「分化状態」を維持することができる。継代数を
限定するために2次元系で培養された脱分化軟骨細胞は、3次元培養系に移されると分化
状態に戻ることができる。この系は、1)同化活性軟骨細胞と相関するmRNA発現パタ
ーンを誘導し、2)軟骨の安定性に関与するコラーゲンII型(ヒドロキシプロリン)及
びアグリカン(グリコサミノグリカン)のタンパク質改変を誘導する、siRNAアデノ
ウイルス(Ad−siRNA)の能力を試験するために確立された。正常な軟骨NHAC
は、細胞増殖目的のために2回又は3回継代する2次元培養系で培養する。細胞は、2次
元培養系で個々のsiRNAアデノウイルス(Ad−siRNA)で形質導入し、3日後
、3次元アルギン酸培養系に移す。アルギン酸培養を10日行った後、様々な変数を評価
することができる(例えば、mRNAマーカー分析及びタンパク質改変)。
【0146】
(アッセイ方法)
(mRNAマーカー分析及びタンパク質改変評価両方のために)陽性対照としてAd−
BMP2(BMP2:「強」コラーゲンII誘導因子)及びAd−BMP7(BMP7:
「弱」コラーゲンII誘導因子)並びに陰性対照としてAd−ALPLを使用して、以下
の方法を設定する。単層培養条件で2回又は3回継代した後、NHACを軟骨細胞増殖培
地(Cambrex)30mlに2.10E+06細胞/T175フラスコとなるように接種し、M
OI2000を使用して対照ウイルス(Ad−BMP2、Ad−BMP4、Ad−BMP
7、Ad−ALPL)で翌日形質導入する。3日後、細胞を軟骨細胞試薬パック(Cambre
x)を使用してトリプシン処理して、塩化ナトリウム155mM/Hepes 20mM
ph7.4(Cambrex)で1回洗浄する。細胞をアルギン酸ナトリウム1.2%に2×1
細胞/mlの密度で再懸濁する。細胞懸濁液を21〜22ゲージ針を装着したシリン
ジに移し、塩化カルシウム 102mM/Hepes 5mM pH7.4に滴下によっ
て放出する(24ウェルプレートに1ml及び6mlウェルプレートに5ml)。ビーズ
を24ウェルプレートではウェル当たり5個、6ウェルプレートでは50個作製する。ア
ルギン酸ビーズを含有するプレートを2分間隔でゆっくり振盪して10分間インキュベー
トする。塩化カルシウム溶液をVacusafeシステムで吸引して、ビーズを、Vacusafeを使用
して塩化ナトリウム溶液で3回、加熱不活性化牛胎児血清(FBS−HI)10%及びペ
ニシリン/ストレプトマイシン1%を補給したDMEMF/12で1回洗浄する。アルギ
ン酸ビーズは、加熱不活性化牛胎児血清(FBS−HI)10%、ペニシリン/ストレプ
トマイシン1%及びアスコルビン酸(Fluka、Sigm101〜128及び401〜59
4ldrich)25μg/mlを補給したDMEMF/12 0.5ml及び3ml(
それぞれ、24ウェルプレート及び6ウェルプレート)に再懸濁する。アルギン酸培養は
、湿潤インキュベーター内で37℃及びCO2 5%で10日間、48/72時間ごとに
培地を取り替えてインキュベートする。
【0147】
各アデノウイルス形質導入について、アルギン酸ビーズ60個を作製する。GAG/H
yp評価用に2×5ビーズを24ウェルプレートで培養し、mRNA発現パターン測定用
に50ビーズを6ウェルプレートの1個のウェルで培養する。
【0148】
(対照ウイルス)
Ad−BMP2:WO 03/018799に記載されている
Ad−BMP7:完全長骨形態形成タンパク質7前駆タンパク質の発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_001710)
Ad−BMP4:完全長骨形態形成タンパク質4前駆タンパク質の発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_570912)
Ad−ALPL:完全長肝臓/骨/腎臓アルカリホスファターゼの発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_000469)
【0149】
(実施例9:アルギン酸ビーズに包埋した軟骨細胞における、グリコサミノグリカン(G
AG)レベルでの標的遺伝子ノックダウンの効果)
軟骨細胞を感染させ、実施例8に従ってアルギン酸ビーズに包埋する。10日間培養後
、定量前にグリコサミノグリカンを可溶化するためにアルギン酸ビーズをパパインで処理
する。24ウェルプレートで培養したビーズを50mM リン酸緩衝液 pH6.5で1
回洗浄し、EDTA 2mM、L−システイン 2mM及びパパイン(Sigma)126μg
/mlを含有する同緩衝液250μl/ウェルで65℃で3時間から4時間インキュベート
する。ビーズの完全消化は、顕微鏡観察によって評価する。パパイン消化物は、グリコサ
ミノグリカン定量を実施するまで−20℃で凍結させる。アルギン酸培養系中で初代軟骨
細胞によって産生したGAGをBlyscan(商標)アッセイ(Biocolor Ltd、Newtownabbey
、北アイルランド)を使用して測定する。
【0150】
(Blyscanアッセイの原理)
Blyscanアッセイは、硫酸化GAG分析用の定量的色素結合法である。このアッセイで
使用した色素標識は、プロテオグリカンの硫酸化多糖成分及び/又はタンパク質を含まな
い硫酸化グリコサミノグリカン鎖に特異的標識をもたらす条件下で使用する1,9−ジメ
チルメチレンブルーである。アグリカンは、関節軟骨で優勢なプロテオグリカンで、軟骨
プロテオグリカンの±90%を占める。アグリカンの生物学的機能及び安定性に必要なG
AGとして公知の±50ケラタン硫酸及び±100コンドロイチン硫酸鎖が結合した中心
核タンパク質から構成される。
【0151】
(アッセイの説明)
アルギン酸ビーズ中で10日間軟骨細胞を培養した後(実施例7)生じたパパイン消化
物を水で1:100に希釈し、細胞を最初に陽性対照で形質導入した場合は1:200及
び1:50、陰性対照で形質導入した場合は1/50、1:100に希釈する。この希釈
段階で、アッセイの標準範囲内での値の計測が可能になる。製造者によって提供されたG
AG標準物は、ウシ気管から精製されたコンドロイチン4−硫酸100μg/mlを含有
する。この標準物を、GAG1、2、3及び5μgに対応する4段階の濃度で2連で測定
する。標準物及び対照は、独立してエッペンドルフ管内で最終量100μlに希釈する。
Blyscan Dye試薬1ミリリットルを各チューブに添加し、連続的に振盪しなが
ら室温で30分間インキュベートする。GAG−色素複合体は形成時に不溶性になり、そ
の後遠心分離(1000×g、10分間)によって残存する過剰な可溶性未結合色素から
分離される。反転によって上清を廃棄し、管の内容物を注意深く排出する。Blyscan Diss
ociation試薬1ミリリットルを各チューブに添加し、連続的に振盪しながら1時間から1
時間半インキュベートする。この試薬は、GAG結合色素を溶液に戻す。測定した試料の
GAG含量は、試験試料中のGAGから回収された色素の量によって分光光度計によって
測定される。脱離した色素溶液200マイクロリットルを96ウェルプレートのウェルに
添加し、2波長(656及び450nm)で自動プレートリーダーで読み取りを実施する

【0152】
Blyscanアッセイで測定したGAG濃度は、同パパイン消化物で蛍光Hoechstアッセイを
実施することによってDNA含量に正規化させる。Hoechst33342色素試薬(Molecua
r Probes)は、DNAのアデニン/チミンが豊富な領域に結合するビスベンズイミダソー
ル色素である。パパイン消化物はTE緩衝液で1:1.7及び1:3.3に希釈し、この
希釈段階で、アッセイの標準範囲内での値の計測が可能になる。精製されたウシ胸腺DN
A(Sigm101〜108及び401〜594ldrich)を標準DNAとして使用
する。初期保存溶液(2μg/ml)は、以下の濃度範囲:1.5、1.0、0.75、
0.50、0.2μg/mlを得るためにTE緩衝液で順次希釈する。標準試料及び試験
試料は、TEで最終量100μlまで希釈し、96ウェルプレートに添加する。Hoechst
33342色素試薬100マイクロリットルをこのウェルに添加し、読み取りは励起波長
を360nmに設定し、放射波長を440nmに設定した多機能マイクロプレートリーダ
ー(Fluostar Galaxy、BMG Labtechnologies GmbH)で実施する。
【0153】
GAG濃度をDNA含量に正規化するとき、GAG濃度(μg/ml)/DNA濃度(
μg/ml)比で表した結果の値は、アッセイウインドウを計算するために使用する。こ
のウインドウは、正規化GAG Ad−BMP2(又はAd−BMP4)/正規化GAG
Ad−ALPL比として計算される。
14個の標的遺伝子のノックダウンのGAGレベルに対する効果は、説明したように評
価する。得られた結果を図7に示す。結果は、2つの陰性対照ノックダウンアデノウイル
ス(Ad−PTGER4及びAd−GRM7)で得られた正規化GAG値の平均と比較し
たGAGレベルの誘導倍率として表す。それぞれの遺伝子のmRNAのノックダウンは、
GAGレベルの増加をもたらす。
【0154】
(対照ウイルス)
Ad−BMP2:WO 03/018799に記載されている。
Ad−BMP4:完全長骨形態形成タンパク質4前駆タンパク質の発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_570912)
Ad−ALPL:完全長肝臓/骨/腎臓アルカリホスファターゼの発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_000469)
Ad−PTGER4:プロスタグランジンE受容体4mRNAをノックダウンするsi
RNA配列CCATGCCTATTTCTACAGC(配列番号31)を含むAd5 d
E1/E2Aアデノウイルス。
Ad−GRM7:向代謝性グルタミン酸受容体7mRNAをノックダウンするsiRN
A配列TCAGTAACAGCTCCCAGAC(配列番号32)を含むAd5 dE1
/E2Aアデノウイルス。
【0155】
(実施例10:ヒドロキシプロリン(Hyp)の定量分析)
関節軟骨では、コラーゲンの約95%がII型コラーゲンである。その重合体は、組織
の基本的な結合構造を形成する原線維である。コラーゲンの生合成には、プロリン及びリ
ジン残基の水酸化を含むいくつかの特有の翻訳後修飾が関与する。これらの修飾は、コラ
ーゲンの安定性及びタンパク質分解酵素に対する耐性に重要である。
【0156】
軟骨細胞を感染させ、実施例8に従ってアルギン酸ビーズに包埋する。10日間培養後
、アルギン酸ビーズをパパインで処理する。24ウェルプレートで培養したビーズを50
mM リン酸緩衝液 pH6.5で1回洗浄し、EDTA 2mM、L−システイン 2
mM及びパパイン(Sigma)126μg/mlを含有する同緩衝液250μl/ウェルで65
℃で3時間から4時間インキュベートする。ビーズの完全消化は、顕微鏡観察によって評
価する。パパイン消化物は、ヒドロキシプロリン定量を実施するまで−20℃で凍結させ
る。
【0157】
パパイン消化物でのヒドロキシプロリン評価は、試料を酸加水分解して、FMOC(ク
ロロギ酸9−フルオレニルメチル)で誘導体化した後、HPLCによって実施する。この
方法は、Bank RA, Jansen EJ, Beekman B及びTe Koppele JM等の論文「逆相高速液体クロ
マトグラフィーによるアミノ酸分析:クロロギ酸9−フルオレニルメチルによる誘導体化
改良及び検出条件」(Anal Biochem. 240(2):167-176(1996)に記載されている。
【0158】
14個の標的遺伝子のノックダウンのヒドロキシプロリンレベルに対する効果は、説明
したように評価する。結果を図8に示す。結果は、2個のKD対照(Ad−PTGER4
及びAd−GRM7)で測定されたHyp濃度の平均と比較した誘導倍率として表す。そ
れぞれの遺伝子のmRNAのノックダウンは、ヒドロキシプロリンレベルの増加をもたら
す。
【0159】
(対照ウイルス)
Ad−BMP2:WO 03/018799に記載されている。
Ad−BMP4:全長骨形態形成タンパク質4前駆タンパク質の発現を媒介するAd5
dE1/E2Aアデノウイルス(NP_570912参照)
Ad−ALPL:完全長肝臓/骨/腎臓アルカリホスファターゼの発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_000469)
Ad−PTGER4:プロスタグランジンE受容体4mRNAをノックダウンするsi
RNA配列CCATGCCTATTTCTACAGC(配列番号33)を含むAd5 d
E1/E2Aアデノウイルス。
Ad−GRM7:向代謝性グルタミン酸受容体7mRNAをノックダウンするsiRN
A配列TCAGTAACAGCTCCCAGAC(配列番号34)を含むAd5 dE1
/E2Aアデノウイルス。
【0160】
(実施例11:安定軟骨のマーカーの定量分析)
(測定の一般的原理)
軟骨表現型は、遺伝子発現の特徴的パターンによって分類することができる。定量的R
T−PCR技術は、表現型が軟骨細胞上で誘導されることが特徴である一連の重要なマー
カー分子の発現パターンをモニターするために使用される。陽性マーカーは、一般的に軟
骨の軟骨細胞によって発現されるコラーゲンII型及びFGFR3を含んだ。陰性マーカ
ーは、(1)脱分化した、又は繊維芽細胞様の軟骨細胞のための、レチノイン酸又はイン
ターロイキン−1によっても誘導され得る表現型、コラーゲンI型及びIII型、(2)
成人軟骨の石灰領域及び胎児成長板軟骨の底部肥厚領域に見いだされた肥厚軟骨細胞のた
めのコラーゲンX、PTHLH及びALK−1、及び(3)軟骨分解に関与するタンパク
質分解酵素としてのMMP13を含んだ。機能的な軟骨の軟骨細胞は、高レベルの陽性マ
ーカーを発現するが、陰性マーカーのレベルは低いか、又は検出不可能のようである。
【0161】
(アッセイの説明)
軟骨細胞を感染させ、実施例8に従ってアルギン酸ビーズに包埋する。10日間培養後
、アルギン酸ビーズ及び収集したRNAから軟骨細胞を回収するために、アルギン酸ビー
ズをクエン酸ナトリウム(Cambrex)55mMで処理する。インキュベーション媒体はVacuS
afeで6ウェルプレートから除去し、クエン酸ナトリウム55mM、5mlを各ウェルに
添加し、室温で15分間インキュベートする。部分的に可溶化したビーズをゆっくり混合
し、FALCOMチューブに移し、残存するビーズ及び脱離した細胞を収集するためにク
エン酸ナトリウム溶液2mlで1回濯ぐ。チューブを横向きに倒し、ビーズが完全に可溶
化するまで(+/−15分)2〜3分間隔でゆっくり混合する。チューブを1000rp
mで10分間遠心する。上清を廃棄し、細胞ペレットをクエン酸ナトリウム溶液2mlに
再懸濁し、5分間放置する。210gで5分間遠心する前に、塩化ナトリウム 155m
M/Hepes 20mM、ph7.4(Cambrex)6ミリリットルを各チューブに添加す
る。細胞ペレットをSV40溶解緩衝液(Promega SV40全RNA抽出キット
)180μlで溶解し、RNA単離を製造者の指示に従ってPromega SV40全RNA
抽出キットで実施するまで−20℃で凍結する。精製RNAをリボグリーン試薬(Molecu
lar Probes)及び標準RNAとしての酵母RNA(Ambion)を使用して定量する。
【0162】
対照アデノウイルスで形質導入し、アルギン酸3次元培養系内で10日間培養した軟骨
細胞の精製RNAを逆転写(RT)反応で使用する。RNAは最初に、試料の初期濃度に
応じて水(Life Technologies−Invitrogen、Breda、オランダ)で希釈し、RNA濃度が
25ng/ml未満であれば試料を希釈せずに使用し、RNA濃度が25と50ng/m
lの間であれば、試料を1:2.5に希釈し、RNA濃度が50と100ng/mlの間
であれば試料を1:5に希釈し、RNA濃度が100と160ng/mlの間であれば、
試料を1:10に希釈する。希釈した/希釈していないRNA2マイクロリットルを、1
×Taqman RT緩衝液、MgCl2 5mM、dNTP 500μM(それぞれ2.5m
M)、ランダムヘキサマー 2.5μM、リボヌクレアーゼ阻害剤0.4U/μl及びMu
ltiScribe逆転写酵素1.25U/μl(試薬は全てApplied Biosystemsから購入)からな
る反応混合物5μlに添加する。PCR反応は、Peltier Thermal Cycler−200(BIOz
ym、Landgraaf、オランダ)で、PCR全混合物(60μl)を25℃で10分間インキ
ュベートし、次に48℃で30分間、次いで95℃で5分間インキュベートして実施する
。各反応は、いかなるRNAアーゼ阻害剤又は逆転写酵素をも含有しない対照と並行して
実施する。
【0163】
逆転写の後、選択した陽性及び陰性マーカー遺伝子の特異的増幅のための定量PCRを
行い、GAPDHを内在性対照として含める。(RT反応から得られた)cDNA5マイ
クロリットルを、1×Brilliant(登録商標)SYBR(登録商標)Green QPCR Master Mix(
Sratagene Europe、Amsterdam、オランダ)、各フォワードプライマー及びリバースプラ
イマー(表3)(100μMで使用したGAPDH及びALK−1以外)(Life Technologi
es−Invitrogen、Breda、オランダ)300μM及び参照色素(Stratagene)(H2Oで1
:100に希釈)300nMからなるPCR反応混合物20μlに添加する。ABI P
RISM(登録商標)7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Nie
uwerkerk A/D Ijssel、オランダ)で、PCR混合物(25μl)を95℃で10分間、
続いて95℃で15秒間及び60℃で1分間のサイクルを40サイクルインキュベートす
る。
【表7】

【0164】
結果は、対照(ノックダウン対照アデノウイルス)に対する試料(試験したアデノウイ
ルスによる形質導入)の相対的発現(相対的発現=2ddCt、式中、ddCt=dCt
KD試料−dCtKD対照及びdCt=Ct試料−CtGAPDH)として各試験マーカ
ー遺伝子について表す。遺伝子14個の結果を図9に示す。それぞれの遺伝子のmRNA
をノックダウンすると、陽性マーカーの発現がもたらされるが、一方、陰性マーカーのレ
ベルは低いか、又は検出不可能である。
【0165】
(対照ウイルス)
Ad−BMP2:WO 03/018799に記載されている。
Ad−ALPL:完全長肝臓/骨/腎臓アルカリホスファターゼの発現を媒介するAd
5 dE1/E2Aアデノウイルス(NP_000469)。
【0166】
(実施例12:ヒト軟骨におけるcDNAの発現)
軟骨合成の調節因子の同定において、この調節因子が関心のある組織及び細胞で発現す
るかどうかを評価することが最も重要である。これは、RNA及び/又はタンパク質レベ
ルを測定することによって実施することができる。近年、RNAレベルはリアルタイムP
CR技術によって定量されており、RNAはまずcDNAに転写され、次に関心のあるc
DNAの増幅は定量PCR反応中にモニターされる。増幅プロット及び得られたCt値は
、試料中に存在する特定のRNA転写物の量の指標である。Ct値は、逆転写酵素段階の
有無で(+RT対−RT)測定される。−RT条件における増幅シグナルは、ゲノムDN
Aから生じる非特異的PCR産物の発生を示す。+RT Ct値が−RT Ct値よりも
3Ct値高ければ、調べたRNAはその試料中に存在する。
【0167】
前記のアッセイで同定した遺伝子のポリペプチドがヒト軟骨で発現するかどうかを評価
するために、ポリヌクレオチド用特異的プライマーによるリアルタイムPCR(「要求に
応じたアッセイ」Applied Biosystems)をヒト軟骨全RNAに実施する(Clinomics Bios
ciences)。骨関節炎ではない患者の試料2個及び骨関節炎患者の試料2個を分析する。
【0168】
要するに、RNA40ngを、MultiScribe逆転写酵素(50U/μl)(Applied BioSy
stems)を使用してDNAに転写する。得られたcDNAをABI PRISM(登録商
標)7000 Sequence Detection Systemを使用してAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ
(Applied BioSystems)で40サイクルで増幅する。転写物の増幅を、2本鎖DNA中に
挿入されて蛍光シグナルを生じるSybrGreenによって検出する。
【0169】
ヒト軟骨から単離された全RNAを、定量リアルタイムPCRによって表4に挙げた転
写物の存在について分析する。
表5に挙げた遺伝子では、得られたCt値は、全RNA試料において検出されることを
示す。ELA1RNAは、リアルタイムPCR分析では検出されず、他の患者分析に必要
であることを明白に示している。
【表8】

【0170】
(実施例13:ターゲットキナーゼ活性を阻害する小分子の同定)
キナーゼポリペプチドであるターゲットの活性の阻害について化合物をスクリーニング
する。ポリペプチドに対する化合物の親和性は、リン酸化の後で変化した反応状態を検出
する実験で測定される。ターゲットキナーゼポリペプチドを適切な緩衝液中で基質及びA
TPと共にインキュベートする。これらの成分の組合せによって、基質のインビトロリン
酸化がもたらされる。化合物の供給源には、市販のスクリーニングライブラリー、ファー
ジディスプレイライブラリー又は抗体断片ライブラリーのペプチド及びターゲットキナー
ゼに結合親和性を有することが示された化合物が含まれる。
【0171】
ターゲットキナーゼポリペプチドは、このアッセイが細胞、細胞画分又は生化学的に精
製されたタンパク質を使用して実施されるかどうかに応じていくつかの方法で調製するこ
とができる。このポリペプチドを完全なポリペプチド又は依然としてターゲットキナーゼ
触媒活性を含むポリペプチド画分として適用することができる。
【0172】
ターゲットキナーゼポリペプチドの活性を阻害する小分子の同定は、リン酸化基質又は
ATPのレベルの変化を測定することによって実施される。ATPは基質リン酸化の間に
消費されるので、そのレベルはキナーゼ活性に相関する。したがって、化学ルミネセンス
反応によるATPレベルの測定は、インビトロにおいてキナーゼ活性を測定する方法を表
す(Perkin Elmer)。第2の種類のアッセイでは、リン酸化基質レベルの変化をリン特異
的試薬で検出し、キナーゼ活性に相関させる。これらのレベルは、溶液中で、又はマイク
ロタイタープレート又はその他の担体上に基質を固定した後に検出される。溶液中で、リ
ン酸化基質は、Eu標識基質とAPC標識リン特異的抗体(Perkin Elmer)との間の蛍光
共鳴エネルギー移動(FRET)によって、リン特異的抗体が蛍光標識リン酸化基質(Panver
a)に結合した後の蛍光偏光(FP)によって、いずれもALPHAビーズ(Perkin Elme
r)に結合させた、リン酸化基質及びリン特異的抗体を使用した増幅ルミネセンス近接ホ
モジニアスアッセイ(ALPHA)によって、又はリン酸基を特異的に検出し、したがってリ
ン特異的抗体の使用を軽減するIMAP結合試薬(Molecular Devices)を使用して検出され
る。或いは、この基質を直接、又はビオチン−ストレプトアビジンを使用してマイクロタ
イタープレートに固定する。固定後、リン酸化基質のレベルは、リン特異的抗体に直接結
合させるか、若しくは第2抗体に結合させた西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)又は
アルカリホスファターゼ(AP)などの酵素によってリン特異的抗体の結合をモニターす
る古典的ELISAを使用して検出される。酵素活性は、リン酸化された基質のレベルに
相関する。或いは、固定されたリン酸化基質へのEu標識リン特異的抗体の結合は、時間
分割蛍光エネルギー(TRF)(Perkin Elmer)によって測定される。さらに、基質をFL
ASHプレート(Perkin Elmer)にコーティングすることができ、基質のリン酸化は33
P標識ATP又は125I標識リン特異的抗体を使用して検出する。
【0173】
小分子を、無作為にスクリーニングするか、又は薬剤の種類(すなわち、公知のキナー
ゼ阻害剤)若しくはバーチャルリガンドスクリーニング(VLS)の結果に基づいて予備
選択する。VLSは、本発明のポリペプチドに対する結合について、コンピュータで大量
の小分子を試験するための仮想連結技術を使用する。小分子をキナーゼ反応に添加し、リ
ン酸化基質のレベルに対する影響を1種又は複数の前述の技術で測定する。
【0174】
キナーゼ活性を阻害する小分子を同定し、その後様々な濃度で試験する。IC50値を
これらの用量応答曲線から計算する。強力な結合剤のIC50は、ナノモルの範囲であり
、ピコモルの範囲のこともある。IC50が少なくとも10マイクロモルか、又はそれ以
下(nmolからpmol)の化合物を、軟骨細胞同化刺激作用の誘導に対するそれらの
効果を調べるためのコラーゲンIIアッセイに適用する。
【0175】
(実施例14:ターゲットGPCRのリガンドスクリーニング)
(実施例14A:レポーター遺伝子スクリーニング)
Hek293又はCHO−K1細胞などの哺乳類細胞は、cAMP依存プロモーター(
CRE因子)の制御下でルシフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドで安定して形質移入さ
れるか、又はcAMP依存プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を有するアデノ
ウイルスで形質導入される。さらに、レポーター構築物を、Ca+依存プロモーター(
NF−AT因子)又は活性化NF−κBによって制御されるプロモーターの制御下で、ル
シフェラーゼ遺伝子と共に使用することができる。レポーター構築物を発現するこれらの
細胞を、次にターゲットGPCRのcDNAを有するアデノウイルスで形質導入する。形
質導入後40時間して、細胞を以下のもので処理する:
a)受容体のアゴニストで、ペプチド(LOPAP、Sigma Aldrich)、脂質(Biomol、TimT
ech)、炭水化物(Specs)、天然化合物(Specs、TimTech)、小化合物(Tocris)、市販
のスクリーニングライブラリー及びターゲットGPCRの配列番号からなる群から選択さ
れるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合親和性を有することが示された化合物を含む
参照化合物の大きな収集物に対してスクリーニングされたアゴニスト;又は
b)ペプチド(LOPAP、Sigma Aldrich)、脂質(Biomol、TimTech)、炭水化物(Specs
)、天然化合物(Specs、TimTech)、小化合物(Tocris)、市販のスクリーニングライブ
ラリー及びターゲットGPCRの配列番号からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む
ポリペプチドに結合親和性を有することが示された化合物を含む参照化合物の大きな収集
物。
【0176】
アゴニストが誘導するルシフェラーゼ活性又は構成的活性の増加を減少させる化合物は
、ターゲットGPCRのアンタゴニスト又は逆アゴニストと考えられる。これらの化合物
は、検証のために再度スクリーニングされ、軟骨細胞の同化刺激作用に対する効果につい
てスクリーニングされる。これらの化合物はまた、GPCRに対する結合を確認するため
にスクリーニングされる。結合及びレポーター活性の測定は、化合物をスクリーニングす
るために、本質的に任意の順番で実施することができる。
【0177】
さらに、NF−ATレポーター遺伝子を発現する細胞は、G15のα−サブユニット又
はキメラGαサブユニットをコードするcDNAを有するアデノウイルスで形質導入する
ことができる。G15は、多くの様々なGPCRに結合し、そうしたものとしてそれ自体
のシグナル伝達を細胞内Ca2+貯蔵の放出に向け直すG型の無差別なGタンパク質で
ある。キメラのGアルファサブユニットは、5C末端残基をGαqの残基によって置換さ
せるG及びGi/oファミリーの構成要素であり、これらのキメラGタンパク質はまた
、cAMPシグナル伝達をCa2+シグナル伝達に向け直す。
【0178】
(実施例14B:FLIPRスクリーニング)
Hek293又はCHO−K1細胞などの哺乳類細胞は、ターゲットGPCRのcDN
Aを有する発現プラスミド構築物で安定して形質移入される。細胞を接種し、増殖させ、
十分安定な細胞を得ることができるまで選択する。細胞をFura3又はFura4など
のCa2+依存性フルオロフォアに添加する。過剰なフルオロフォアを洗浄した後、アゴ
ニスト(或いは、受容体の構成的活性を使用するならばアゴニストを添加する必要はない
)及び化合物を同時に細胞に添加することによって、細胞をペプチド(LOPAP、Sigma Ald
rich)、脂質(Biomol、TimTech)、炭水化物(Specs)、天然化合物(Specs、TimTech)
、小化合物(Tocris)、市販のスクリーニングライブラリー及びターゲットGPCRの配
列番号からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合親和性があるこ
とが示された化合物を含む参照化合物の大きな収集物に対してスクリーニングする。受容
体の活性化は、フルオロフォアと放出されるCa2+との相互作用による蛍光のほとんど
即時的な増加として測定される。アゴニストが誘導する蛍光(又は構成的蛍光)の増加を
減少させるか、又は阻害する化合物は、スクリーニングした受容体のアンタゴニスト又は
逆アゴニストと考えられる。これらの化合物は、軟骨細胞の同化刺激作用の量及びターゲ
ットGPCRに対する結合を測定するために再度スクリーニングされる。
【0179】
(実施例14C:AequoScreen)
アポイクオリンを安定的に発現するCHO細胞は、ターゲットGPCRのcDNAを有
するプラスミド構築物で安定して形質移入される。細胞を接種し、増殖させ、十分安定な
細胞を得ることができるまで選択する。この細胞にアポイクオリンのための補因子である
セレンテラジンを添加する。受容体が活性化されると、細胞内Ca2+貯蔵が空になり、
イクオリンが発光過程においてセレンテラジンと反応する。放出された光は、受容体活性
化の基準である。イクオリン及び受容体の両方を安定的に発現するCHOを、アゴニスト
(或いは、受容体の構成的活性を使用するならばアゴニストを添加する必要はない)及び
化合物を同時に細胞に添加することによって、ペプチド(LOPAP、Sigma Aldrich)、脂質
(Biomol、TimTech)、炭水化物(Specs)、天然化合物(Specs、TimTech)、小化合物(
Tocris)、市販のスクリーニングライブラリー及びターゲットGPCRの配列番号からな
る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合親和性があることが示された
化合物を含む参照化合物の大きな収集物に対してスクリーニングする。受容体の活性化は
、アポイクオリン、セレンテラジン及び放出されるCa2+の相互作用によるほとんど即
時的な閃光として測定される。アゴニストが誘導する光又は構成的活性の増加を減少させ
るか、又は阻害する化合物は、スクリーニングした受容体のアンタゴニスト又は逆アゴニ
ストと考えられる。これらの化合物を、軟骨細胞の同化刺激作用の量及びターゲットGP
CRに対する結合を測定するために再度スクリーニングする。
【0180】
さらに、アポイクオリン遺伝子を安定して発現するCHO細胞は、G15のα−サブユ
ニット又はキメラGαサブユニットをコードするcDNAを有するプラスミド構築物で安
定して形質移入される。G15は、多くの様々なGPCRに結合し、そうしたものとして
それ自体のシグナル伝達を細胞内Ca2+貯蔵の放出に向け直すG型の無差別なGタン
パク質である。キメラのGアルファサブユニットは、5C末端残基をGαqの残基によっ
て置換するG及びGi/oファミリーの構成要素であり、これらのキメラGタンパク質
はまた、cAMPシグナル伝達をCa2+シグナル伝達に向け直す。
【0181】
(実施例14D:GPCRポリペプチドに結合する化合物のスクリーニング(置換実験)

化合物のターゲットGPCRポリペプチドに対する結合をスクリーニングする。ポリペ
プチドに対する化合物の親和性は、置換実験で測定される。要するに、GPCRポリペプ
チドを、ポリペプチドに結合することが知られている標識(放射標識、蛍光標識)リガン
ド及び非標識化合物と共にインキュベートする。ポリペプチドと標識リガンドとの置換は
、ポリペプチドに依然として結合している標識リガンドの量を測定することによって測定
される。IC50値を計算するために、ポリペプチドに結合した量を化合物の濃度に対し
てプロットする。この値は、ターゲットに対する化合物の結合親和性、すなわちターゲッ
トGPCRポリペプチドを反映している。強力な結合剤のIC50は、ナノモルの範囲で
あり、ピコモルの範囲のこともある。IC50が少なくとも10マイクロモルか、又はそ
れ以下(nmolからpmol)の化合物を、骨形成に対する効果を調べる軟骨細胞の同
化刺激作用アッセイに適用する。ターゲットGPCRポリペプチドは、このアッセイが細
胞、細胞画分を使用して、又は生化学的に精製されたタンパク質に実施されるかどうかに
応じて、いくつかの方法で調製することができる。
【0182】
(実施例14E:ターゲットGPCRに結合する化合物のスクリーニング(一般的GPC
Rスクリーニングアッセイ))
Gタンパク質受容体が構成的に活性になると、Gタンパク質(G、G、G、G
)に結合し、GTPのGタンパク質に対する結合を刺激する。次に、Gタンパク質はGT
P加水分解酵素として作用し、GTPをGDPにゆっくり加水分解し、それによって、正
常な条件下で、受容体は不活性化する。しかし、構成的に活性化された受容体は、GDP
をGTPに変換し続ける。GTPの非加水分解類似体である[35S]GTPγSは、構
成的に活性化された受容体を発現する膜に対する結合の増大をモニターするために使用す
ることができる。[35S]GTPγSは、リガンド存在下及び非存在下において、膜に
対するGタンパク質の結合をモニターするために使用できることが報告されている。さら
に、好ましい取り組みは、GPCR−Gタンパク質融合タンパク質の使用である。ターゲ
ットGPCR−Gタンパク質融合タンパク質を生成する方法は、当業界では周知である。
ターゲットGPCR−Gタンパク質融合タンパク質を発現する膜は、逆アゴニストなどの
候補化合物の直接同定で使用するために調製される。ターゲットGPCR−Gタンパク質
融合タンパク質で均質化した膜を96ウェルプレートに移す。ピン状の道具を使用して候
補化合物を[35S]GTPγSを添加した各ウェルに移し、次いで室温で60分間振盪
機でインキュベートする。プレートを22℃で4000RPMで15分間回転させること
によってアッセイを停止する。次に、プレートを吸引し、その後放射活性を読み取る。
【0183】
(実施例14F:細胞表面上での受容体リガンド結合試験)
アデノウイルスによって細胞を形質導入することによって受容体を哺乳類細胞(Hek
293、CHO、COS7)で発現させる(米国特許第6340595号参照)。この細胞を、
10pMから10μMの範囲の様々な濃度の標識リガンド(ヨウ素化、トリチウム化又は
蛍光性)及び非標識化合物と共にインキュベートする(4℃で3時間、HEPES 25
mM、NaCl 140mM、CaCl 1mM、MgCl 5mM及びBSA 0
.2%、pH7.4に調節)。細胞収集器(Packard)を使用して、反応混合物をPEI
−処理GF/Bガラスフィルター上に吸引する。フィルターを氷冷洗浄緩衝液(HEPE
S 25mM、NaCl 500mM、CaCl 1mM及びMgCl 5mM、p
H7.4に調節)で2回洗浄する。シンチレーション物質(MicroScint−10、35μl
)を乾燥したフィルターに添加し、このフィルターをシンチレーションカウンター(Pack
ard Topcount)で計数する。データを分析して、Prismソフトウェア(GraphPad Software
、サンディエゴ、カリフォルニア州)を使用してプロットした。競合曲線を分析して、I
50値を計算した。1種又は複数のデータ点がこの競合曲線のS字曲線範囲内にないか
、又はS字曲線範囲に近ければ、測定を繰り返し、標識リガンド及び非標識化合物の濃度
を、より多くのデータ点が曲線のS字範囲内に接近するように、又は入るように適合させ
る。
【0184】
(実施例14G:膜調製物上における受容体リガンド結合試験)
膜調製物を哺乳類細胞(Hek293、CHO、COS7)から単離し、受容体を過剰
発現する細胞を以下のようにする。培地を形質導入細胞から吸引し、ゆっくりかき取るこ
とによって細胞を1×PBS中に収集する。細胞をペレットにして(2500rpm、5
分)、50mM Tris pH7.4に再懸濁する(10×10細胞/ml)。細胞
ペレットを3×5秒超音波処理(UP50H、超音波発振器MS1、最大振幅:140μ
m、最大超音波出力密度:125W/cm)することによって均質化する。膜画分を、
最大速度(13000rpm、約15000から20000g若しくはrcf)で20分
間遠心分離することによって調製する。得られたペレットを50mM Tris pH7
.4、500μlに再懸濁して、再度3×5秒超音波処理する。この膜画分を遠心分離に
よって単離して、最終的にPBSに再懸濁する。前述のように結合競合とIC50値の誘
導を測定する。
【0185】
(実施例14H:内在化スクリーニング(1))
GPCR関連シグナル伝達経路の活性化は通常、細胞質から形質膜又は細胞質から核へ
の特異的シグナル伝達分子の移行を導く。Norakは、受容体脱感作中に生じる、受容
体−β−アレスチン−GFP複合体の細胞基質から形質膜へのアゴニスト誘導性の移行、
及びその後のこの複合体の内在化に基づいたトランスフローアッセイを開発した。同様の
アッセイは、β−アレスチンの代わりにGFPタグ受容体を使用する。Hek293細胞
を、ターゲットGPCR−eGFP融合タンパク質について翻訳するターゲットGPCR
ベクターで形質導入する。形質導入して48時間後、細胞を、血清を含まない新鮮培地に
60分間入れ、37℃、5%COで、15、30、60又は120分リガンドによって
処理する。表示の曝露時間の後、細胞をPBSで洗浄して、パラホルムアルデヒド5%で
RTで20分間固定する。GFP蛍光は、デジタルカメラを装着したZeiss顕微鏡で
視覚化する。この方法は、融合タンパク質の細胞内区分へのリガンド媒介性(構成的活性
媒介性)移行を阻害する化合物を同定することがねらいである。
【0186】
(実施例14I: 内在化スクリーニング(2))
移行アッセイにおける様々な変更は、β−アレスチン及びβ−ガラクトシダーゼ酵素の
補完並びにエネルギードナーとしての受容体及びエネルギーアクセプターとしてのβ−ア
レスチンを用いたBRETアッセイを使用して存在する。pH感受性色素で標識した特異
的受容体抗体の使用もまた、アゴニストが誘導する受容体の酸性リソソームへの移行を検
出するために使用される。移行アッセイは全て、アゴニスト作用リガンド及びアンタゴニ
スト作用リガンドの両方をスクリーニングするために使用される。
【0187】
(実施例14J:メラニン保有細胞アッセイ(Arena Pharmaceutical))
メラニン保有細胞アッセイは、アフリカツメガエルメラニン保有細胞においてメラニン
含有メラノソームの分布を変更するGPCRの能力に基づいている。メラノソームの分布
は、Gi/o又はGs/qのいずれかと共役する外在性受容体に依存している。メラノソ
ームの分布(散在又は密集)は、光吸収を測定することによって容易に検出される。この
種のアッセイは、アゴニスト並びにアンタゴニスト化合物両方のスクリーニングに使用さ
れる。
【0188】
(実施例15:タンパク質分解酵素活性を阻害する小分子の同定)
本発明のポリペプチドの活性の阻害について化合物をスクリーニングする。ポリペプチ
ドに対する化合物の親和性は、切断された基質のレベルの変化を検出する実験で測定され
る。簡単に説明すると、本発明のポリペプチドを適切な緩衝液中でその基質と一緒にイン
キュベートする。これらの成分の組合せによって、基質の切断が生じる。
ポリペプチドは、完全なポリペプチド、又は依然として本発明のポリペプチドの触媒活
性を含むポリペプチド画分として適用することができる。
【0189】
基質の切断は、いくつかの方法で行うことができる。最初の方法では、基質タンパク質
はフルオレセインのような蛍光色素で多量に標識されて、蛍光シグナルの完全な消失を生
じる。しかし、基質の切断によって、蛍光標識をあまり含有しない個々の断片が放出され
る。それによって、切断された基質のレベルと相関する蛍光シグナルの消失及び発生の損
失が生じる。より小さなペプチド断片をもたらすタンパク質の切断はまた、蛍光偏光(F
P)を使用して測定することができる。或いは、基質の切断はまた、蛍光共鳴エネルギー
移動(FRET)を使用して検出することができ、ペプチド基質は、DABCYL及びE
DANSのような発光抑制剤及び蛍光分子のいずれかで両側が標識される。基質が切断さ
れるとき、両分子は分離され、切断された基質のレベルに相関する蛍光シグナルを生じる
。さらに、ペプチド基質の切断はまた、他の酵素反応のための新たな基質を生じることが
でき、これは次に蛍光、化学ルミネセンス又は比色法によって検出される。
【0190】
小分子は、無作為にスクリーニングされるか、又は薬剤の種類、すなわち、タンパク質
分解酵素若しくはバーチャルリガンドスクリーニング(VLS)の結果に基づいて予備選
択される。VLSは、本発明のポリペプチドに対する結合について、コンピュータで大量
の小分子を試験するための仮想連結技術を使用する。小分子をタンパク質分解反応に添加
し、切断された基質のレベルに対する影響を前述の技術で測定する。
【0191】
タンパク質分解酵素活性を阻害する小分子は同定され、その後様々な濃度で試験される
。IC50値をこれらの用量応答曲線から計算する。強力な結合剤のIC50は、ナノモ
ルの範囲であり、ピコモルの範囲のこともある。IC50が少なくとも10マイクロモル
か、又はそれ以下(nmolからpmol)の化合物を、ベータアミロイド分泌及びプロ
セシングに対する効果を調べるアミロイドベータ分泌アッセイに適用する。
【0192】
(実施例16:ホスホジエステラーゼ活性を阻害する小分子の同定)
本発明のポリペプチドの活性の阻害について化合物をスクリーニングする。ポリペプチ
ドに対する化合物の親和性は、基質又は生成物のレベルの変化を検出する実験で測定され
る。簡単に説明すると、本発明のポリペプチドを適切な緩衝液中でその基質と一緒にイン
キュベートする。これらの成分の組合せによって、基質の生成物への変換が生じる。
ポリペプチドを完全なポリペプチド又は依然として本発明のポリペプチドの触媒活性を
含むポリペプチド画分として適用することができる。
【0193】
cAMP又はcGMPのAMP又はGMPへの変換の後、1)例えば、ELISA、ア
ルファスクリーニング技術、時間分割蛍光技術、IMAPを使用してcAMP又はcGM
Pレベルを測定すること、2)比色測定法を使用して生成物AMP及びGMPのレベルを
測定することができる。後者の測定法の基本は、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
によるcAMP又はcGMPの開裂である。脱離した5’−ヌクレオチドは、酵素5’−
ヌクレオチダーゼによってヌクレオシド及びリン酸にさらに切断される。酵素的切断によ
って脱離したリン酸は、BIOMOL GREEN(商標)試薬を使用して、改変マラカ
イトグリーンアッセイで定量される。
【0194】
小分子は、無作為にスクリーニングされるか、又は薬剤の種類、すなわち、PDEに基
づいて、又はバーチャルリガンドスクリーニング(VLS)の結果に基づいて予備選択さ
れる。VLSは、本発明のポリペプチドに対する結合について、コンピュータで大量の小
分子を試験するための仮想連結技術を使用する。小分子をPDE反応に添加し、環状ヌク
レオチドレベルに対する影響を前述の技術で測定する。
【0195】
PDE活性を阻害する小分子は同定され、その後様々な濃度で試験される。IC50値
をこれらの用量応答曲線から計算する。強力な結合剤のIC50は、ナノモルの範囲であ
り、ピコモルの範囲のこともある。IC50が少なくとも10マイクロモルか、又はそれ
以下(nmolからpmol)の化合物を、軟骨細胞の同化活性を評価するアッセイに適
用する。これは、軟骨細胞によって産生されるcol2α1及びアグリカンのレベルを測
定することによって実施することができる。
【0196】
(参考文献)
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【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】表示のウイルスに感染して12日後のヒト由来の初代培養軟骨細胞におけるCol2α1発現を定量した図である。
【図2】SilenceSelectライブラリーの一部のCol2α1発現についての2連で行ったスクリーニング結果の例を示した図である。
【図3】(A〜N):表示のウイルスに感染して12日後のヒト由来の初代培養軟骨細胞におけるCol2α1発現を定量した図である。
【図4】非感染細胞と比較して、表示のウイルスに感染して12日後のヒト由来の初代培養軟骨細胞のアルシアンブルー染色の定量を示した図である。
【図5】(A〜N):表示のウイルスに感染して12日後のヒト由来の初代培養軟骨細胞におけるアグリカン発現を定量した図である。
【図6】(A〜K):表示の遺伝子を標的とする様々な構築物で標的分析した図である。表示のウイルスに感染して12日後のヒト由来の初代培養軟骨細胞においてCol2α1発現を検出することによって標的分析を評価する。データはルミネセンス単位で表す。様々な感染量に対応する様々な閾値は、直線として示す。感染量が増加すると、閾値の増加がもたらされる。
【図7】(A〜L):感染して10日後のアルギン酸細胞培養における軟骨細胞のGAG分析を示した図である。このデータは、それぞれPTGER4及びGRM7を標的とするAd−siRNAであるKD対照1及びKD対照2の平均に対する相対的GAGレベルとして表す。2つの個々のデータ点を各条件について示す。
【図8】(A〜L):感染して10日後のアルギン酸細胞培養における軟骨細胞のヒドロキシプロリン分析を示した図である。このデータは、それぞれPTGER4及びGRM7を標的とするAd−siRNAであるKD対照1及びKD対照2の平均に対する相対的ヒドロキシプロリンレベルとして表す。2つの個々のデータ点を各条件について示す。
【図9】(A〜L):感染して10日後のアルギン酸細胞培養における軟骨細胞についてのmRNAマーカー分析を示した図である。細胞にAd5/ALPL及びAd5/BMP2過剰発現ウイルスのいずれかを感染させ、表示の遺伝子のAd−siRNA標的を行う。データは、ALPL対照に対する相対的mRNAレベルとして表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する化合物の同定方法であって、
化合物を、配列番号101〜128及び401〜594からなる群から選択されるアミ
ノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることと、
軟骨細胞の同化刺激作用に関係する化合物−ポリペプチドの特性を測定することを含む
、前記方法。
【請求項2】
前記ポリペプチドがインビトロ無細胞調製物内にある、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリペプチドが哺乳動物細胞に存在する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記特性が、前記ポリペプチドに対する前記化合物の結合親和性である、請求項1記載
の方法。
【請求項5】
前記特性が、軟骨細胞の同化刺激作用の指標となる生化学的マーカーを産生する生物学
的経路の活性化である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記指標が、コラーゲンII型、アルファ−1(col2α1)及びアグリカンからな
る群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ポリペプチドが、配列番号101〜128からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、市販のスクリーニングライブラリーの化合物及び配列番号101〜12
8及び401〜594からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと結合
親和性を有する化合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記化合物がファージディスプレイライブラリー又は抗体断片ライブラリーのペプチド
である、請求項2記載の方法。
【請求項10】
アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム及び低分子干渉RNA(siRNA)から
なる群から選択される、軟骨細胞の同化刺激作用を誘導する薬剤であって、配列番号10
1〜128及び401〜594からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドをコードする天然ポリヌクレオチド配列と相補的であるか、又はそれから操作された核
酸配列を含む、前記薬剤。
【請求項11】
ポリペプチドが、配列番号101〜128からなる群から選択されるアミノ酸配列を含
む請求項10記載の薬剤。
【請求項12】
哺乳動物細胞のベクターが前記薬剤を発現する、請求項11記載の薬剤。
【請求項13】
前記ベクターがアデノウイルス、レトロウイルス、アデノ関連ウイルス、レンチウイル
ス、単純ヘルペスウイルス又はセンダイウイルスのベクターである、請求項12記載の薬
剤。
【請求項14】
前記アンチセンスポリヌクレオチド及び前記siRNAが、センス鎖に相補的な17〜
25ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖が、配列番号101〜128か
らなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列の17〜
25の連続したヌクレオチドから選択された、請求項10記載の薬剤。
【請求項15】
前記siRNAが前記センス鎖をさらに含む、請求項14記載の薬剤。
【請求項16】
前記センス鎖が、配列番号1〜28からなる群から選択される核酸配列の17〜25の
連続したヌクレオチドから選択された、請求項15記載の薬剤。
【請求項17】
前記siRNAが、前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖を接続するループ領域をさら
に含む、請求項16に記載の薬剤。
【請求項18】
前記ループ領域が、配列番号201で定義される核酸配列を含む、請求項17記載の薬
剤。
【請求項19】
前記薬剤が、配列番号202〜315からなる群から選択されるポリヌクレオチドに相
補的な核酸配列を含むアンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム又はsiRNAである
、請求項18記載の薬剤。
【請求項20】
請求項10に記載の薬剤の治療的有効量を医薬として許容し得る担体との混合物中に含
む、軟骨細胞の同化刺激作用を増強する、医薬組成物。
【請求項21】
軟骨の全身的又は局所的減少を伴う疾患の、その疾患に患っているか又は感受性の対象
における治療及び/又は予防方法であって、前記対象に請求項20記載の医薬組成物を投
与することを含む、前記方法。
【請求項22】
前記疾患が、骨関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、痛風関節
炎、敗血性又は感染性関節炎、反応性関節炎、反復交感神経ジストロフィー、疼痛性ジス
トロフィー、ティーツェ症候群又は肋骨軟骨炎、繊維筋痛症、骨軟骨炎、神経性又は神経
障害性関節炎、関節症、変形性骨関節炎風土病、ムセレニ(Mseleni)病、ハンディゴデ
ュ(Handigodu)病、骨関節炎から生じた変性症、全身性エリテマトーデス、強皮症、強
直性脊椎炎、遺伝性軟骨融解、軟骨形成不全、偽軟骨異形成、小耳症、無耳症及び骨幹端
軟骨異形成症からなる群から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記疾患が変形関節炎である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
平均軟骨厚の減少を伴う疾患の治療及び/又は予防のための医薬品の製造における、請
求項10〜19記載の薬剤の使用。
【請求項25】
前記疾患が、骨関節炎、悪性の高カルシウム血症、多発骨髄腫、副甲状腺機能亢進及び
甲状腺機能亢進症からなる群から選択される、請求項24記載の使用。
【請求項26】
前記疾患が骨関節炎である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
軟膏細胞が再分化するのに十分な時間、脱分化した軟骨細胞を、配列番号1〜28から
なる群から選択されるポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を含むポリヌクレオチド配列
と接触させ、それによって軟骨基質を生成することを含む、軟骨組織のインビトロ産生方
法。
【請求項28】
軟骨細胞及び脱分化軟骨細胞の混合物を基質に適用して、細胞基質を形成することと、
前記細胞を、配列番号202〜315からなる群から選択されるポリヌクレオチドに相
補的な核酸配列を含むポリヌクレオチド配列と接触させ、それによって連続的軟骨基質を
生成することとを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
対象において平均軟骨厚の全身的又は局所減少を伴う病的状態又はその病態に対する感
受性を診断するための方法であって、前記対象から得られる生体試料中に存在する配列番
号101〜128及び401〜594からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリ
ペプチドの第1の量を測定することと、前記第1の量を健康者集団で測定されるポリペプ
チド量の範囲と比較することとを含み、健康者で測定した量の範囲と比較した前記生体試
料中のポリペプチドの量の増加は前記病的状態の存在を示すものである、前記方法。
【請求項30】
軟骨細胞の脱分化を伴う病理状態の診断方法であって、
ゲノムDNA試料中において配列番号1〜28の遺伝子のいずれか1つの核酸配列を決
定する段階と、
段階(a)の配列と健康な対象の核酸配列とを比較する段階と、
病理学的状態に関連するいかなる違いも確認する段階を含む、前記方法。
【請求項31】
軟骨細胞の脱分化を伴う病理状態の診断方法であって、
試料中において配列番号101〜128のポリペプチドのいずれか1つの量を測定する
段階と、
段階(a)で測定した量と健康体の試料における前記ポリペプチドの量とを比較する段
階とを含み、
このとき前記健康体の試料と比較して増加していることが前記病理学的状態の開始又は
存在を示す、前記方法。
【請求項32】
前記病理状態が骨関節炎である、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図6−6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【図8−6】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図9−6】
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【公開番号】特開2012−21995(P2012−21995A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171061(P2011−171061)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2007−515968(P2007−515968)の分割
【原出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(504064364)ガラパゴス・ナムローゼ・フェンノートシャップ (27)
【氏名又は名称原語表記】Galapagos N.V.
【Fターム(参考)】