説明

骨関節症におけるカルシトニンの使用

【課題】 本発明は、カルシトニンの骨関節症における新規使用、および哺乳動物、特にヒトにおける骨関節症を処置および/または予防する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明によって、驚くべきことに、カルシトニンが、哺乳動物、特にヒトにおける骨関節症の予防および処置に有用であることが、判明した。それ故に、本発明は、当該カルシトニンの骨関節症における新規使用、および哺乳動物、特にヒトにおける骨関節症を処置および/または予防する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨関節症におけるカルシトニンの新規な使用、および哺乳動物、特にヒトにおける骨関節症を処置および/または予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンは、哺乳動物の甲状腺の傍濾胞細胞からならびに鳥類および魚類の後鰓体から分泌される、長鎖ポリペプチドホルモンである化合物である。カルシトニンは、破骨細胞の骨付着および酵素的破壊が関与する破骨細胞骨吸収の強力な阻害剤として主に知られている。さらに、鼻腔内サケカルシトニンがヒトの若年性特発性関節炎に対して(Siamopoulou A. et al, 2001, Calcif Tissue Int 69: 25-30)ならびにヒトのリウマチ性関節炎に対する骨浸食および骨量低下の予防に対して(Sileghem A., 1992, Annals of Rheumatic Diseases 51: 761-764)効果があることが判明している。この退行過程には、様々なプロテアーゼおよびメタロプロテイナーゼの合成、不活性酵素前駆体の活性化および活性酵素の阻害が関与する(Leloup G, 1994, J Bone Miner Res, 9, 891-902)。カルシトニンは、破骨細胞収縮を誘発すること(Zheng MH, et al., 1992, Exper Mole Pathol, 57: 105-115)および骨再吸収の酵素的過程の少なくともいくつかの工程を妨害すること(Einhorn TA et al., 1991, Clin Orthop 262: 286-297)が既知である。カルシトニンの関節軟骨に対する試験の効果がいくつか報告されている。インビトロで、カルシトニンは、動物骨端軟骨(Baxter et al., 1984, Endocrinology 114: 1196-1202)ならびにウサギおよびヒト軟骨(Franchimont P, 1989, J Clin End Metab 69: 259-266)におけるプロテオグリカンおよびコラーゲン合成を刺激することが判明している。カルシトニンの実験的骨関節症の処置における試験は、矛盾した結果である。例えばカルシトニンは、ステロイド、部分的半月板切除または関節固定で処置したウサギにおける軟骨破壊を予防することが判明したが(Badurski JE et al., 1991, Lab Invest 49: 27-34)、しかし、他の半月板切除モデルで軟骨に対する効果は観察されなかった(Colombo et al., 1983, Arthritis Rheum 26: 1132-1139)。さらに、骨関節症の発症および進行における軟骨および骨変化の相対的な重要性はまだ議論されている。ヒトにおける試験では、我々の知る限り、骨関節症におけるカルシトニンの効果を示すものはまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって、驚くべきことに、カルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンが、哺乳動物、特にヒトにおける骨関節症の予防および処置に有用であることが、判明した。特に、本明細書に記載の通りのカルシトニン、例えばサケカルシトニンまたは(Asu1−7)−ウナギカルシトニンの経口送達がこのような効果を示す。カルシトニンのかかる経口送達は、一般的に簡便であり、相対的に容易であり、一般的に無痛であり、他の送達形態と比較してより大きな患者のコンプライアンスを得られるため、最適な送達経路である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特定の発見に従って、下記が提供される:
1.1. 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、それを必要とする患者における骨関節症を予防および/または処置する方法;
【0005】
1.2 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含み、ここで、治療的有効量のカルシトニンはカルシトニンおよびカルシトニンのための送達剤(delivery agent)を含む組成物として経口で送達されるものである、それを必要とする患者における骨関節症を予防および/または処置する方法;
【0006】
1.3 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含み、ここで、ここで、治療的有効量のカルシトニンはポリマー分子と結合したカルシトニンを含む組成物として経口で送達されるものである、それを必要とする患者における骨関節症を予防および/または処置する方法;
【0007】
1.4 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、それを必要とする患者における軟骨下骨の再吸収を阻害しかつ代謝を正常化する方法;
【0008】
1.5 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、軟骨細胞に対する直接的または間接的効果を介して軟骨を保護および刺激する方法;
【0009】
1.6 該患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、それを必要とする患者におけるホスホリパーゼA2および/またはコラゲナーゼ活性を阻害する方法;
【0010】
1.7 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、それを必要とする患者におけるグリコサミノグリカンおよび/またはプロテオグリカン合成に対して促進的に作用する方法;
【0011】
1.8 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、軟骨下骨の密度および硬度の不均質性に対して作用する方法;
【0012】
1.9 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、運動時の疼痛ならびに関連症状(例えば膝の周囲、膝の屈曲角、腫脹硬化)の減弱に至る、炎症過程に作用する方法;
【0013】
2.0 患者に治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形もしくは塩形のサケカルシトニンを、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含む、それを必要とする患者の関節の退行的変化を減少させる方法;
【0014】
2.1 治療的有効量のカルシトニン、例えば遊離形または塩形のサケカルシトニン、および第二薬剤物質を、好ましくは薬学的に許容される経口送達形で投与することを含み、該第二薬剤物質が遊離形または塩形の骨再吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛軽減剤である、上記で定義の方法。
【0015】
他の局面において、本発明は、カルシトニン、例えばサケカルシトニンに関する、有効であり、かつ十分耐容性である、すなわち、患者が摂取するのに安全である、特定の投与量範囲を提供する。好ましいのは、患者、例えばヒト、例えば約70kgの平均的なヒトについて、0.4から2.5mgの間のサケカルシトニンである。より好ましいのは1mg前後、例えば0.8から1.2mgの間の投与量である。または好ましいのは1mgより少ないが、0.4mgより多い投与量である。よりさらに好ましいのは約1mg、例えば1mgの投与量である。最も好ましいのは、それを必要とする患者に1日1回投与で、約1mg、例えば0.8から1.2mgの間の投与量である。本発明に従う該投与量を含む医薬組成物は、実施例に記載する通りの組成物であってよく、また、好ましくは経口組成物、例えば実施例8に定義の組成物であってよい。投与レジメンは1日1回または2回であってよく、好ましくは朝に1回および晩に1回である。
【0016】
2.2 患者に0.4から2.5mgの間、好ましくは0.8から1.2mgの間、最も好ましくは約1mgのカルシトニン、例えばサケカルシトニンを含む医薬組成物を投与することを含む、それを必要とする患者における骨関節症を予防および/または処置する方法。
【0017】
2.3 0.4から2.5mgの間、好ましくは0.8から1.2mgの間、最も好ましくは約1mgのカルシトニン、例えばサケカルシトニンを含む医薬組成物。
【0018】
2.4 カルシトニンが0.4から2.5mgの間、好ましくは0.8から1.2mgの間、最も好ましくは約1mgのカルシトニン、例えばサケカルシトニンを含む医薬組成物として提供されるものである、骨関節症の処置および/または予防用医薬の製造におけるカルシトニン、例えばサケカルシトニンの使用。
【0019】
2.5 骨関節症の処置または/および予防に使用するための0.4から2.5mgの間、好ましくは0.8から1.2mgの間、最も好ましくは約1mgのカルシトニン、例えばサケカルシトニンを含む医薬組成物。
【0020】
適当な第二薬剤物質は、異なる起源のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニン、カルシトニン類似体またはその誘導体、ステロイドホルモン、例えばエストロゲン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組み合わせ、SERM(選択的エストロゲン受容体調節剤)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、FC1271、Tibolone(Livial(登録商標))、ビタミンDもしくはその類似体またはPTH、PTHフラグメントもしくはPTH誘導体、例えばPTH(1−84)、PTH(1−34)、PTH(1−36)、PTH(1−38)、PTH(1−31)NH2またはPTS893、ビスホスホネート(例えばアレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、イバンドロネート);プロテアーゼ阻害剤、例えばカテプシン阻害剤、好ましくはカテプシンK阻害剤;PTH放出剤;SARM(選択的アンドロゲン受容体分子);MMP阻害剤(メタロプロテアーゼ阻害剤)、ストロンチウム・ラネレート、COX−2阻害剤、例えばルミラコキシブ(Prexige(登録商標))、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))、エトリコキシブ(Arcoxia(登録商標))またはCOX−1とCOX−2混合阻害剤、例えばジクロフェナクを含み得る。
【0021】
本明細書で使用する“併用投与”または“組み合わせ投与”などの用語は、選択した治療剤を単独の患者に投与することを含むことを意味し、かつ、これらの薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0022】
上記とは別に、本発明はまた下記を提供する:
3. 上記の1.1から2.2の下に定義した通りの方法のいずれかで使用するための、好ましくは薬学的に許容される経口送達形の、遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニン;または
【0023】
4. 上記の1.1から2.2の下に定義した通りの適応症のいずれかに使用するための医薬の製造のための、好ましくは薬学的に許容される経口送達形の、遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニン;または
【0024】
5. 好ましくは薬学的に許容される経口送達形の、遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンを、1個またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、上記の1.1から2.2の下に定義した通りの適応症のいずれかに使用するための、医薬組成物;
【0025】
6.
a)好ましくは薬学的に許容される経口送達形の、遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンである第一剤、および
b)例えば、上記の通りの、骨再吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛軽減剤である併用剤
を含む、医薬的組み合わせ;
【0026】
7.
a)好ましくは薬学的に許容される経口送達形の、遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケ、(Asu1−7)−ウナギまたはヒトカルシトニンである第一剤、および
b)例えば、上記の通りの、骨再吸収阻害剤、骨形成剤または疼痛軽減剤である併用剤
を含む、骨関節症の予防および/または処置に使用するための複数部分のキット。
【0027】
本明細書で使用する“患者”なる用語は、骨関節症の処置もしくは予防か、上記の1.1から2.2の下に定義した通りのいずれかの方法が必要である患者を意味し、ここで、患者は齧歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよび霊長類のような哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0028】
本明細書で使用する“医薬的組み合わせ”は、1個以上の活性成分の混合または組み合わせに由来する製品を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせの両方を含む。“固定された組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えばサケカルシトニンおよび併用剤の両方が、患者に同時に一つの物または調剤として投与されることを意味する。“固定されていない組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えばサケカルシトニンおよび併用剤の両方を、患者に、別々の物として、同時に、共に、または具体的な時間制限なしに連続して投与されることを意味し、このような投与は、患者の体内で2個の化合物の治療的有効量レベルを提供する。
【0029】
好ましくは遊離形または薬学的に許容される塩形のカルシトニン、例えばサケカルシトニンをプロテアーゼ阻害剤、例えばカテプシン阻害剤、例えばカテプシンK阻害剤と併用投与する。
【0030】
1.1から1.10の下に定義された通りのいずれかの方法の使用のための、好ましくは薬学的に許容される経口送達形のカルシトニン、例えば遊離形または塩形のサケカルシトニンの有用性は、動物試験法ならびに臨床で、例えば、実施例Bに後記の方法に従って証明できる。
【0031】
薬理学的活性剤がサケカルシトニンであるとき、適当な投与量は、もちろん、例えば、宿主および処置する状態の性質および重症度に依存して変化するであろう。しかしながら、一般に、十分な結果が、約0.5μg/kgから約10μg/動物体重kg、好ましくは1μg/kgから約6μg/動物体重kgの一日量で全身的に得られる。カルシトニンの製剤、例えばカルシトニンの経口製剤において使用する薬学的に許容される不活性賦形剤は、例えば、本発明により意図される固体経口投与形態の製剤もしくは製造を助ける、または胃腸環境において固体経口組成物の放出を助け得るポリマーおよび不活性化合物を含み得る。上記の薬学的不活性成分は、例えば所望により、すべてのクロスポビドンおよびポビドンであってよい、クロスポビドンおよびポビドンを含む。クロスポビドンは、1,000,000以上の分子量を有するN−ビニル−2−ピロリドン(1−エテニル−2−ピロリジノンとも呼ばれる)の合成架橋ホモポリマーである。市販のクロスポビドンは、ISPから入手可能なPolyplasdone XL、Polyplasdone XL-10、Polyplasdone INF-10、BASF Corporationから入手可能なKollidon CLを含む。好ましいクロスポビドンは、Polyplasdone XLである。ポビドンは、一般的に2,500から3,000,000の間の分子量を有する、直鎖1−ビニル−2−ピロリジノン基から成る合成ポリマーである。市販のポビドンは、BASF Corporationから入手可能なKollidon K-30、Kollidon K-90FおよびISPから入手可能なPlasdone K-30およびPlasdone K-29/32を含む。上記の通り、クロスポビドンおよびポビドンは市販されている。あるいは、それらを既知の方法で合成してよい。クロスポビドン、ポビドンまたはそれらの組み合わせは、一般的に、組成物中、全医薬組成物の総重量に対して0.5から50重量%の量で、好ましくは医薬組成物の総重量に対して2から25重量%、より好ましくは5から20重量%の量で存在する。
【0032】
製剤、例えば経口製剤に有用な送達剤は、特定の薬理学活性剤の送達に有用なすべての薬剤である。適当な送達剤は、上記米国特許5,866,536に記載の修飾アミノ酸または上記の米国特許5,773,647に記載の修飾アミノ酸のいずれか一つまたはこれらのいずれかの組み合わせである。上記の米国特許5,773,647および5,866,536は、参照によりその全体を本明細書に包含する。加えて、本送達剤は、前記修飾アミノ酸のいずれかの二ナトリウム塩ならびにそれらのエタノール溶媒和物および水和物であり得る。適当な化合物は、下記式I
【化1】

〔式中、
、R、R、およびRは独立して水素、−OH、−NR、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;
は置換もしくは非置換C−C16アルキレン、置換もしくは非置換C−C16アルケニレン、置換もしくは非置換C−C12アルキル(アリレン)、または置換もしくは非置換アリール(C−C12アルキレン)であり;そして
およびRは独立して水素、酸素またはC−Cアルキルである。〕
の化合物;ならびにその水和物およびアルコール溶媒和物を含む。式Iの化合物ならびにその二ナトリウム塩およびアルコール溶媒和物および水和物はWO00/059863に、それらの製造法と共に記載されている。
【0033】
本二ナトリウム塩は、エタノール溶媒和物から、エタノール溶媒和物を、無水二ナトリウム塩を形成される分野で既知の方法により蒸発または乾燥させることにより製造できる。乾燥は、一般的に約80から約120℃、好ましくは約85から約90℃、および最も好ましくは約85℃の温度で行う。乾燥工程は、一般的に26”Hg以上の加圧下で行う。本無水二ナトリウム塩は、一般的には、無水二ナトリウム塩の100%総重量に基づいて、約5重量%以下のエタノールおよび好ましくは約2重量%以下のエタノールを含む。本送達剤の二ナトリウム塩はまた水中で送達剤のスラリーを産生し、2モル当量の水性水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなどを添加することにより製造できる。適当なナトリウムアルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。二ナトリウム塩を製造するさらに別の方法は、送達剤と1モル当量の水酸化ナトリウムを反応させて、二ナトリウム塩を形成することによる。本二ナトリウム塩は、二ナトリウム塩を含む溶液を濃厚なペーストまで減圧蒸留により濃縮することにより固体として単離できる。このペーストを真空オーブンで乾燥させ、送達剤の二ナトリウム塩を固体として得ることができる。本固体を、二ナトリウム塩の水性溶液の噴霧乾燥によりまた単離できる。本送達剤を、当分野で既知の方法により、例えば、上記の通り、米国特許5,773,647および5,866,536に記載の方法により、製造できる。上記WO00/059863に記載の通りのエタノール溶媒和物は、エタノール溶媒のイオンもしくは分子と送達剤の二ナトリウム塩の分子もしくはイオンの分子もしくはイオン錯体を含むが、これらに限定されない。典型的に、本エタノール溶媒和物は、約1エタノール分子またはイオンを、送達剤の二ナトリウム塩の1分子あたりに含む。本送達剤の二ナトリウム塩のエタノール溶媒和物は、送達剤をエタノールに溶解することにより製造できる。典型的に、送達剤の1グラムあたり、約1から約50mLのエタノール、および一般的に、約2から約10mLのエタノールに溶解する。本送達剤/エタノール溶液を、次いで、送達剤に対してモル過剰の、一ナトリウム含有塩のようなナトリウム含有塩と反応させ、すなわち送達剤の1モルあたり1モル以上のナトリウムカチオンが存在し、エタノール溶媒和物を産生する。適当な一ナトリウム塩は、水酸化ナトリウム;ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドのようなナトリウムアルコキシド;および前記の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。好ましくは、少なくとも約2モル当量の一ナトリウム含有塩をエタノール溶液に添加し、すなわち送達剤の1モルあたり、少なくとも約2モルのナトリウムカチオンが存在する。一般的に、本反応を、混合物の還流温度でまたはそれより低い温度、例えば環境温度で行う。本エタノール溶媒和物を、次いで、得られたスラリーの常圧蒸留、濃縮スラリーの冷却および固体の濾過のような当分野で既知の方法で回収する。この回収された固体を、次いで、真空乾燥し、エタノール溶媒和物を得ることができる。送達剤の二ナトリウム塩の水和物を、上記のようにエタノール溶媒和物を乾燥させて無水二ナトリウム塩を形成し、本無水二ナトリウム塩を水和することにより製造できる。好ましくは、二ナトリウム塩の一水和物を形成する。無水二ナトリウム塩が非常に含水性であるため、水和物は大気中の湿気に曝すと形成される。一般的に、この水和工程は、ほぼ環境温度から約50℃、好ましくは環境温度から約30℃で、少なくとも50%相対湿度を有する環境で行う。あるいは、本無水二ナトリウム塩を、上記で水和してよい。
【0034】
好ましい送達剤は、N−(5−クロロサリシロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)、N−(10−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(SNAD)、N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(SNAC)ならびにそれらの一ナトリウムおよび二ナトリウム塩、それらのナトリウム塩のエタノール溶媒和物ならびにそれらのナトリウム塩の一水和物ならびに任意のそれらの組み合わせである。最も好ましい送達剤は、5−CNACの二ナトリウム塩およびその一水和物である。好ましくは本二ナトリウム塩は、組成物に存在する5−CNACの総重量の90重量%以上の量で存在する。送達剤、5−CNAC、SNADおよびSNACは非常に水溶性でありそれが微粉化形でまたは粗製の形いずれで摂取されても、ほとんど完全に、すなわち90%以上、胃腸管から吸収される。しかしながら、驚くべきことに、組成物中でこれらの担体試薬の一つを微粉化形で使用したとき、本組成物の薬理学活性剤が、より完全に血流に吸収されることが、本発明により驚くべきことに判明した。したがって、微粉化担体試薬の使用は、本発明の必須要素である。本発明の固体経口投与形態の製造に使用される担体試薬の微粉化形は、薬理学活性剤と薬学的不活性成分の本組成物混合物に添加したとき、40マイクロメーター未満の平均粒子サイズを有する担体試薬と定義する。望ましくは、本発明の担体試薬は、20ミクロン未満の平均粒子サイズとして定義される微粉化形を有する。さらに興味深いことに、本発明の担体試薬は、10ミクロン未満の平均粒子サイズとして定義される微粉化形を有する。本発明の担体試薬の微粉化形は、それを医薬成分の粉砕に許容され、かつ医薬成分および/または担体試薬を細かく、かつ均質な微粉化粒子サイズに粉砕できる製粉機で粉砕することにより製造できる。このような製粉機の例は、Air Jet Mill Gem T(登録商標)(Copley Scientific, Ltd., Nottingham, UK)である。細かく粉砕した担体試薬を、別々に、または本発明の細かく粉砕したさらなる成分の任意の組み合わせと共に、例えば、適当な孔を有する篩を通して篩い、必要な粒子サイズを有するこれらの成分のみをそれを通過させ、本発明で使用するために回収されるようにしてよい。本発明の医薬組成物は、典型的に送達に有効な量の、すなわち所望の効果のための活性剤を送達するのに十分な量の1個またはそれ以上の送達剤を含む。一般的に、本送達剤は、2.5%から99.4重量%、より好ましくは25%から50重量%の量で存在する。
【0035】
好ましくは遊離形または塩形のカルシトニン、例えばサケカルシトニンを、カルシトニンおよびカルシトニンのための送達剤を含む医薬組成物として送達する。より好ましくは該医薬組成物は、5−CNAC、SNADおよびSNACからなる群から選択される送達剤を含む。より好ましくは該医薬組成物は、5−CNACの二ナトリウム塩、SNADの二ナトリウム塩、およびSNACの二ナトリウム塩からなる群から選択される送達剤を含む。より好ましくは、該医薬組成物は、微粉化された形の送達剤を含む。
【0036】
あるいは、カルシトニンは、また、WO94/26778;US5,359,030;US5,438,040;US5,681,811;US6,191,105;US6,309,633;US6,380,405;US6,436,990;US6,458,776;およびUS6,479,692(これらの内容は、引用によりその全体を本明細書に包含する)に記載のもののような他の技術により経口的に送達できる。簡単に言うと、このような経口製剤は、一般的に結合体−安定化(ポリ)ペプチドおよびタンパク質組成物に関する。
【0037】
より特に、このような経口送達形は、一つの広い構成的局面において、カルシトニンが、その必須部分として親水性部分、例えば、直鎖状ポリアルキレングリコールを含む、1個またはそれ以上のポリマーの分子と共有結合しており、かつ、該ポリマーが、その必須部分として親油性部分を含むものである、共有結合的に結合しているカルシトニン共役体に関する。一つの特定の局面において、このような経口送達形は、(i)直鎖状ポリアルキレングリコール部分および(ii)親油性部分を含むポリマーと共有結合している生理学的に活性なペプチドを含む、生理学的に活性なカルシトニン組成物であって、ここで、ペプチド、直鎖状ポリアルキレングリコール部分および親油性部分が、生理学的に活性なカルシトニン組成物中の生理学的に活性なペプチドが、生理学的に活性なカルシトニン単独(すなわち、それに結合するポリマーがない非共役体形)と比較して、酵素的分解にインビボで耐性となるようにお互いに配置されているものに関する。他の局面において、このような経口送達形は、(i)直鎖状ポリアルキレングリコール部分および(ii)親油性部分を含むポリソルベート複合体と共有結合した生理学的に活性なカルシトニンを含む、三次元立体配置の生理学的に活性なカルシトニン組成物であって、ここで、生理学的に活性なカルシトニン、直鎖状ポリアルキレングリコール部分および親油性部分が、(a)親油性部分が該三次元立体配置において外側で利用可能であり、そして(b)生理学的に活性なカルシトニン組成物中の生理学的に活性なカルシトニンが、生理学的に活性なカルシトニン単独と比較して、酵素的分解に対して増加したインビボ耐性を有するようにお互いに配置されているものに関する。さらなる局面において、このような経口送達形は、トリグリセリド骨格部分の炭素原子で結合しているポリアルキレングリコール・スペーサー基を介してトリグリセリド骨格部分と共有結合している生物活性カルシトニン;およびトリグリセリド骨格部分の炭素原子に直接共有結合しているかまたはポリアルキレングリコール・スペーサー部分を介して共有結合的に結合している少なくとも1個の脂肪酸部分を含む、多リガンド接合カルシトニン複合体に関する。このような多リガンド接合カルシトニン複合体において、トリグリセリド生物活性部分のdおよびB炭素原子は、それに直接共有結合するか、またはポリアルキレングリコール・スペーサー部分を介して間接的に共有結合している脂肪酸部分を有してよい。あるいは、脂肪酸部分は、直接的に、またはポリアルキレングリコール・スペーサー部分を介して、トリグリセリド骨格部分のaおよびd炭素に共有結合してよく、生物活性カルシトニンは、有利にはトリグリセリド骨格部分の13炭素と、直接それに共有結合するか、間接的にそれにポリアルキレン・スペーサー部分を介して結合している。このような多リガンド接合カルシトニン複合体において、本発明の広い範囲内で、本生物活性カルシトニンは、有利には、トリグリセリド修飾された骨格部分にアルキルスペーサー基、または別の許容されるスペーサー基を介して結合している。このような内容において、スペーサー基の許容性は、立体的、構成的および最終使用適用特異的許容特性を意味する。さらに別の局面において、このような経口送達形は、トリグリセリド骨格ならびに:(i)脂肪酸基;および(ii)それに共有結合した生理学的活性部分を有するポリエチレングリコール基(例えば、生理学的活性部分は、ポリエチレングリコール基の適当な官能基に共有結合している)を含むポリソルベート部分を含む、ポリソルベート複合体に関する。
【0038】
このような共有結合は、例えば、ポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端官能基に直接であってよく、あるいは、共有結合は、例えば、蓋をしたポリエチレングリコール基が末端カルボキシ官能性を有して、それに生理学的活性部分が共有結合できるように末端カルボキシ官能性スペーサー基でポリエチレングリコール基のヒドロキシ末端に蓋をすることにより、間接的であってよい。このような経口送達形は、さらなる局面で、生理学的に適合性のポリエチレングリコール修飾された糖脂質部分に共有結合した生理学的に活性なカルシトニンを含む、安定な、水溶性の、接合したカルシトニン複合体に関する。このような複合体において、本生理学的に活性なカルシトニンは、生理学的に適合性のポリエチレングリコールで修飾した糖脂質部分に、ポリペプチドのteeアミノ酸基で、不安定な共有結合していてよい。本生理学的に適合性のポリエチレングリコール修飾された糖脂質部分は、有利にはポリソルベートポリマー、例えば、モノパルミテート、ジパルミテート、モノラウレート、ジラウレート、トリラウレート、モノオレエート、ジオレエート、トリオレエート、モノステアレート、ジステアレートおよびトリステアレートからなる群から選択される脂肪酸エステル基を含むポリソルベートポリマーを含み得る。このような複合体において、本生理学的に適合性のポリエチレングリコール修飾された糖脂質部分は、適当には、脂肪酸のポリエチレングリコールエーテルおよび脂肪酸のポリエチレングリコールエステル(ここで、脂肪酸は、例えばラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびステアリン酸からなる群から選択される脂肪酸を含む)からなる群から選択されるポリマーを含んでよい。上記の複合体において、本生理学的に活性なカルシトニンは、説明の目的で、インスリン、カルシトニン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドロフィン、エンケファリン、バソプレッシン、天然に存在しないオピオイド、スーパーオキシドディスムターゼ、インターフェロン、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、トリプシン、ケモトリプシンおよびパパインからなる群から選択されるカルシトニンを含む。他の局面において、本発明は、薬学的に許容される担体および、生理学的に適合性のポリエチレングリコール修飾された糖脂質部分と共有結合しているインスリンまたはプロインスリンを含む、安定な、水溶性、接合インスリン複合体を含む、インスリン欠乏症の薬物療法のための経口投与形態に関する。
【0039】
さらに、第二の別の例として、本発明によって使用し得る経口送達投与形態は、WO97/33531;US5,912,014およびUS608618(それらの内容を、引用により全体を本明細書に包含する)に記載の技術である。簡単に言うと、このようなさらなる経口送達形は、カルシトニンを、それが胃および腸を通過し、血流中への挿入を促進するように酸性環境および消化酵素から保護する。それが血流中に安全に入ると、カルシトニンはその治療効果を発揮できる。このような経口送達形は、例えば(A)治療的有効量の該サケカルシトニン;(B)少なくとも1個の薬学的に許容されるpH低下剤;(C)該サケカルシトニンの生体利用能の促進に有効な、少なくとも1個の吸収促進剤;および(D)腸溶性コーティングを含む、サケカルシトニンの経口送達用医薬組成物であり;ここで、該pH低下剤は、該医薬組成物中に、0.1M水性重炭酸ナトリウム溶液10ミリリットルを添加したとき、該溶液のpHを5.5より高くならないように低下させるのに十分な量で存在する。本医薬組成物では、該腸溶性コーティングは、該腸溶性コーティングを除く該医薬組成物の残りの重量の20重量%を超えない量で存在している。上記の医薬組成物においては、該腸溶性コーティングは、該腸溶性コーティングを除く該医薬組成物の残りの重量の5−15重量%を超えない量で存在している。
【0040】
骨関節症の処置において、カルシトニンの有効性が示される医薬組成物は、軟ゲルカプセルを含むカプセル、錠剤、カプレット、坐薬または他の固体経口投与形で提供でき、これらすべて当分野で既知の方法で製造できる。
【0041】
本発明の固体医薬組成物は、最初に担体試薬、または担体試薬と本組成物の他の成分の任意の組み合わせを微粉化粒子サイズに粉砕化することにより製造できる。この微粉化した担体試薬または微粉化した担体試薬と微粉化した本発明のさらなる成分の組み合わせを、さらに、慣用法で、例えば1個の活性剤もしくは複数の活性剤、送達剤、クロスポビドンもしくはポビドンおよび他の成分の混合物を混合し、練り、カプセルに充填するか、カプセルに充填する代わりに、成形し、さらに打錠するか、または錠剤を得るために圧縮成形することにより、加工してよい。加えて、固体分散体を既知の方法で形成でき、続いて、さらに加工して錠剤またはカプセルを形成できる。
【0042】
下記実施例は本発明をさらに説明するために提供し、当分野の通常の技術者には明らかであろう。本実施例は本発明をいかなる方法でも限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0043】
A. 製剤実施例
実施例1:製剤1(3バッチ)
微粉化5−CNACの製造:微粉化すべき粗製の5−CNACを、ジェットミル(Air Jet Mil Gem T(登録商標)Copley Scientific, Ltd., Nottingham, UK)に、80セラミックパンケーキジェットミル、8cm直径、6バールN2、0.5mmノズル、約700g/時間の手動供給を使用して添加する。粗製5−CNACをジェットミルに付し、参照すべき物差しを備えた顕微鏡下で定期的にサンプル採取し、望ましい微粉化粒子サイズがいつ得られるかを同定する。3個の異なるバッチを6μm、35μm、および46μmバッチを作るために微粉化する。別々の微粉化バッチの個々を、次いで、U10、813μm円錐形篩、円形ビーター、1500μpmの開口の円錐形篩ミル(Quadro Comil, Quadro Engineering Incorporated 613 Colby Drive, Waterloo, Ontario, Canada N2V 1A1)で、約150kg/時間の処理量で篩う。
【0044】
【表1】

【0045】
製剤1の製造:錠剤の3個の異なるバッチを、微粉化5−CNAC二ナトリウムの3個の異なるバッチを使用して製造し、1つ目の錠剤バッチは、平均46ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズ(バッチA)、2つ目の錠剤バッチは平均6ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズ(バッチB)、および3つ目の錠剤バッチは平均35ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズ(バッチC)を有する。
【0046】
40メッシュ篩を予め通して篩った0.50gのサケカルシトニン、35メッシュ篩を通して篩った57.gの微粉化5−CNAC二ナトリウム塩、および10gのPolyplasdone XL(クロスポビドン、NF、International Specialty Products, 1361 Alps Road, Wayne, New Jersey, 07470, USA)を、500mL広口瓶中で合わせ、Turbulaミキサーを使用して、46RPMの速度で100回転混合する。さらに35メッシュ篩を通して篩った57.gの微粉化5−CNAC二ナトリウム塩および36.75gのAvicel PH 102(登録商標)を広口瓶に加え、46RPMの速度で500回転混合する。さらに36.75gのAvicel PH 102(登録商標)を広口瓶に加え、46RPMの速度でさらに100回転混合する。4.0gのステアリン酸マグネシウムを、35メッシュ篩を使用して広口瓶に篩いながら入れ、1分間、46RPMの速度で混合する。最終混合物をManesty B3B錠剤プレスを使用して錠剤に圧縮する。この錠剤重量は約400mgである。
実施例1で製造した錠剤の生物学的利用能を下記の通り試験できる:
【0047】
実施例2
霊長類への投与
錠剤を、実施例1の通りに、平均46ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズを有する1つ目の錠剤バッチ(バッチA)、平均6ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズを有する2つ目の錠剤バッチ(バッチB)および平均35ミクロンの5−CNAC二ナトリウム粒子サイズを有する3つ目のバッチ(バッチC)である、3つの異なる微粉化5−CNAC二ナトリウムを使用して製造する。3つの異なるバッチ各々から製造した錠剤を、同じ4匹のアカゲザルに、別の日に下記の通り投与する:
アカゲザルを、投薬前に一晩絶食させ、試験期間中、完全に意識のある状態で、椅子に拘束する。バッチAまたはバッチBまたはバッチCの1個の錠剤を各サルに胃管栄養管を介して投与し、続いて10mLの水を投与する。
【0048】
アカゲザル血液サンプルを投与直前および投与0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、および6時間後に採る。残った2種の錠剤バッチのいずれの錠剤も、同じ方法で、しかし各残りの錠剤バッチについて別の日に投与し、血液サンプルを採る。各投薬および各サルについて得られた血漿サケカルシトニンを、放射免疫検定法で測定する。各サルについて、一つのバッチおよび一つの時点での霊長類血漿サケカルシトニン(SCt)、一つのバッチおよび一つの時点での全サルの平均血漿SCt濃度、一つのバッチおよび一つの時点での血漿SCt濃度の標準偏差(SD)および一つのバッチおよび一つの時点での全サルの血漿SCt濃度の平均の標準誤差(SEM)を計算し、下記の通り表1、2、および3に示す。
【0049】
【表2】

定量の下限(LLOQ)=2.5pg/mL、LLOQ以下の濃度は、表1では0とする。
【0050】
【表3】

定量の下限(LLOQ)=2.5pg/mL、LLOQ以下の濃度は、表2では0とする。
【0051】
【表4】

定量の下限(LLOQ)=2.5pg/mL、LLOQ以下の濃度は、表3では0とする。
【0052】
実施例3:製剤2−4の製造:
別法として、さらに製剤を提供する:
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
上記の製剤の製造法は、実施例1に記載のものと類似である。しかしながら、いくつかの成分がここでは追加されているため、下記に記載するいくつかの差がある:
1 0.3gのsCTを予め量り、sCTを#60メッシュ篩を通す
2 重量0.25gの篩ったsCT DS
3 Turbulaミキサーを使用し、適当な容器中でsCTとクロスポビドンを混合、10分間混合
4 #45メッシュ篩を通す
5 5−CNACを工程3の混合物に添加、10分間混合
6 #35メッシュ篩を通す
7 Avicelの半分を5の混合物に添加、10分間混合
8 #35メッシュ篩を通す
9 残りのAvicel、Pluronic F68およびCab-O-Silを添加、20分間混合
10 タルクおよびステアリン酸Mgを上記混合物に添加し、2分間混合
使用した装置はすべて実施例1に記載のものと同じである。
【0056】
実施例4:製剤5の製造:
あるいは、製剤は、下記に簡単に示すようなものである:予め40メッシュ篩を通して篩った0.502のサケカルシトニン、予め35メッシュ篩を通して篩った120gの5−CNAC二ナトリウム塩および20gのPolyplasdone XL(クロスポビドン、NF)を、500mL広口瓶で合わせ、Turbulaミキサーを使用して、2分間、46RPMの速度で混合する。さらに、予め35メッシュ篩を通して篩った125.4gの5−CNAC二ナトリウム塩および32.5gのAvicel PH 102を広口瓶に添加し、46RPMの速度で8分間混合する。さらに32.5gのAvicelを広口瓶に添加し、46RPMの速度で5分間混合する。4.0gのステアリン酸マグネシウムを、35メッシュ篩を使用して広口瓶に篩いながら入れ、1分間、46RPMの速度で混合する最終混合物をManesty B3B錠剤プレスを使用して錠剤に圧縮する。この錠剤重量は約400mgである。
【0057】
実施例5:製剤6の製造:
経鼻投与に適したサケカルシトニンを含む別の製剤:
【表8】

【0058】
成分1から3を、(2500mlの最終容量を作るための規模で)窒素ガスの保護下で慣用法で混合し、10%のサケカルシトニンを濾過時の損失を考慮に入れて添加する。4)を次いで添加して、pHを3.7にし、蒸留水を2500mlの最終容量まで添加する。得られた溶液を濾過し(例えば0.2マイクロメートル(.mu.m)フィルターを使用して)、経鼻投与に適し、かつ2mlの溶液容量の噴霧経鼻ディスペンサーに入れるのに適した組成物を得る。
【0059】
実施例6:製剤7の製造:
坐薬あたり下記の粗製を含む、300I.U.(国際単位)のサケカルシトニンを含む坐薬を、例えばUS5149537(その内容を引用によりその全体を包含する)に従い製造する:
【表9】

坐薬基剤Aとして、カカオ脂を使用し得る。合成または半合成坐薬基剤の使用が好ましい。これらは、例えばココナッツ油またはパーム核油から製造された、水不溶性脂肪、例えば脂肪酸のグリセリド(モノ−、ジ−および/またはトリ−)であり得る。
【0060】
直鎖C10−18脂肪酸グリセリド、簡便には飽和のものが好ましい。例は、Dynamit Nobel, W. Germanyから入手可能なWitepsol(登録商標)、例えばWitepsol Hシリーズ;Gattefosse, Franceから入手可能なSuppocire(登録商標)、例えばSuppocire AMまたはAS2およびHenkel GmbH, W. Germanyから入手可能なNovata(登録商標)、例えばNovata BDである。
【0061】
あるいは、Guerbetアルコールおよびポリエチレングリコールのような水溶性坐薬を使用し得る。
好ましくは坐薬基剤は低い融点範囲、例えば30から36℃を有する。
【0062】
製造法
a)顆粒の製造(3,500投与量分)
0.2423gのカルシトニン、2.73gのクエン酸、1.75gの三ナトリウム塩を乾燥状態で混合し、14.0gの水に溶解する。170.3gの篩ったマンニトールを添加する(AS 700ミクロン、WD 120ミクロン)。塊を練り、篩う(AS 1,600ミクロン、WD 450ミクロン)。脱凝集した粉末を40℃で25分間乾燥させ、篩って(AS 450ミクロン、AS 120ミクロン)、167gの粉末を得る。
【0063】
b)促進剤の添加および成形(3,000投与量分)
混合した工程a)から得た150gの粉末および90gの粉砕したタウロコール酸ナトリウムを、篩い(AS 250;WD 100ミクロン)、再び混合する。本混合物を4260gの融解した坐薬基剤Aに38℃で添加する。均質化を3分間行う(Polyton装置、速度設定4)。この塊を33℃で、予め温めた坐薬製造器(BONAPACE)に移す。
【0064】
坐薬を33から33.5℃で、中性塩化ポリビニル・ホイル(またはアルミニウムホイル)中、約1.5mlで1.5g重量の用量に成形する。20℃の空気流で冷却する。収量、2,590個の坐薬。崩壊時間6分。融点34.9℃。硬度20℃で81N、水中のpH4.2。
【0065】
B. 骨関節症におけるカルシトニンの効果を示す実施例:
実施例7:臨床試験
本試験を完了した36名の骨関節症患者は、12週(84日)、二重盲検、プラセボ対照、一施設、並行試験に含まれる。目的は、ヒト骨関節症における、インビボでのカルシトニンの経口製剤の骨、軟骨および滑膜代謝の生化学マーカーに対する効果を評価することである。患者を3群に分ける:2つの群は経口カルシトニンの0.5mgまたは1mgいずれかで1日1回処置され、1つのコントロール群はプラセボを投与される。
【0066】
【表10】

【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
試験法:2週間の、最大1日量3000mgのパラセタモールのみ摂取が許容されている処置前ウォッシュアウト期間の後、各患者をプラセボまたはカルシトニンの経口製剤の2種の投与量のいずれかに無作為化する。12週間の処置期間中、患者は必要な場合に最大1日量3000mgのパラセタモールの摂取が許可されている。
【0070】
【表13】

【0071】
【表14】

【0072】
実施例8:経口サケカルシトニンでの3ヶ月の処置は、閉経後女性において尿コラーゲンタイプII分解産物を抑制する
対象および方法:試験集団は、152名の一般的に健康なデンマーク人の55−85歳の、閉経後少なくとも5年の女性から成る。女性に、eligenテクノロジーを利用した担体分子(200mg)と組み合わせたsCT(0.15、0.4、1.0または2.5mg)のいずれかの1日1回経口投与(医薬組成物については下記参照)またはプラセボを3ヶ月投与する。すべての参加者は1000mgのカルシウム補助剤+400IUのビタミンDを、試験期間中投与される。効果パラメーターは、基底および3ヶ月治療後に評価した、クレアチニン排泄に対して補正したコラーゲンタイプI(CTX−I)およびCTX−IIの24時間尿C−末端テロペプチドである。
【0073】
試験に使用したサケカルシトニンを含む医薬組成物
【表15】

【0074】
製造法:
i)5−CNACを量り、2個の等量に分け、AおよびBとラベルする。
ii)Avicelを量り、2個の等量に分け、AおよびBとラベルする。
1)クロスポビドンを35メッシュ篩上に置く。予め秤量したカルシトニンをクロスポビドン上に置き、5−CNACのAを加える。
2)クロスポビドン/カルシトニン/5−CNACを篩い、適当なサイズの混合機に移し、500回転混合する。
3)5−CNACのBを35メッシュ篩を通して篩う。
4)篩った5−CNACのBとAvicelのAを、工程2)の混合した混合物に添加し、800回転混合する。
5)AvicelのBを、上記の工程4)の混合した混合物に添加し、500回転混合する。
6)ステアリン酸マグネシウムを35メッシュ篩を通して篩い、工程5)の混合粉末に添加し、100回転混合する。
【0075】
結果:年齢、BMI、CTX−IおよびCTX−IIの基底尿含量について、sCTの異なる処置群で有意差はない。24時間尿CTX−II応答と経口sCTに明らかで有意な用量依存性関係がある(ANOVA=0.012)。プラセボと比較して、1日1.0mg群は、3ヶ月処置後、尿CTX−IIが最も減少する(−19.7%、p=0.009)。0.4mgおよび2.5mgのsCTを投与した女性も、尿CTX−IIが有意に減少する(各々−15.2%、p=0.04、および−17.5%、p=0.02)。同様な用量依存性が、3ヶ月処置時の24時間尿CTX−Iでも見られる。1.0mgのsCTを投与された女性はまた24時間尿CTX−I(−41.0%、p<0.001)が、プラセボ群の女性と比較して最も減少する。試験集団を基底尿CTX−IIを三層に分けたとき、異なる三層の尿CTX−IIの平均は、各々114.6、197.9および385.4ng/mmolであった。基底時に尿CTX−IIの最上層である女性が、経口sCTに対して、用量依存的に最も大きな反応を示す。最高の1.0mgのsCTを受け、基底時に最も高い軟骨代謝である女性は、最下層の女性と比較して、3ヶ月処置後に尿CTX−IIがより減少する(−36,6%対−9.9%、p=0.005)。同様な経口が、0.4mg sCTでも、尿CTX−IIの最上層の女性と最下層の女性を比較したときに観察される。
【0076】
タイプIコラーゲン(CTX−I)のC−テロペプチドは、骨再吸収に感受性の特異的マーカーと見なされる;逆に、タイプIIコラーゲンC−テロペプチド(CTX−II)は、有用な軟骨マーカーと見なされる。
【0077】
結論:我々の試験は、サケCTが軟骨退化を減少でき、したがって、0.4から2.5mgの投与範囲のサケカルシトニン、より好ましくは1mg前後のサケカルシトニンの投与範囲で、骨関節症に治療的利点を提供できることを強く示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に治療的有効量の遊離形または塩形のカルシトニンを投与することを含む、それを必要とする患者における骨関節症を予防および/または処置する方法。

【公開番号】特開2011−121987(P2011−121987A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35273(P2011−35273)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【分割の表示】特願2006−520797(P2006−520797)の分割
【原出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【出願人】(506025523)ノルディック・バイオサイエンス・アクティーゼルスカブ (5)
【氏名又は名称原語表記】NORDIC BIOSCIENCE A/S
【Fターム(参考)】