説明

髄膜炎菌外膜ベシクルに関する改良

【課題】髄膜炎菌外膜ベシクル(OMV)ワクチンを調製するための方法を提供すること。
【解決手段】本方法は、ワクチンの製造における使用のために(i)髄膜炎菌性髄膜炎の発生と関連する髄膜炎菌株の血清サブタイプを同定する工程;および(ii)工程(i)において同定された血清サブタイプを有する髄膜炎菌由来のOMVを調製する工程を包含する。本方法は、(iii)ワクチンとして前記OMVを処方する工程;および(iv)前記発生により影響されるかまたは影響されるであろう地理的領域に前記ワクチンを配給する工程のさらなる工程のうちの1つまたは両方を包含し得る。この髄膜炎菌株は代表的に血清群Bであるが、血清群A、C、W135、Yなどに代わり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中の引用されるすべての文書は、その全体が参照として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、免疫化の目的のための髄膜炎菌性の外膜ベシクルの分野にある。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)による感染に対して免疫化する種々のアプローチの1つは、外膜ベシクル(OMV)の使用である。血清型Bに対する効果的なOMVワクチンは、ノルウェー公衆衛生国立研究所(the Norwegian National Institute of Public Health)[「MenBvacTM」;例えば非特許文献1]により生産されてきたが、本ワクチンは安全でありMenB疾患を予防するにもかかわらず、効果は、このワクチンを作成するために使用される同種の血清型に限定される。
【0004】
「RIVM」ワクチンは、6つの異なるPorAサブタイプを含むOMVをベースにしている。これは臨床試験のフェーズIIにおいて、子供について免疫原性であることが示されている[非特許文献2]。
【0005】
特許文献1〜3は、65−kDaのタンパク質複合体を保持するOMVをベースにした血清群Bの髄膜炎菌の異なる病原性血清型に対するワクチンを開示する。特許文献4は、遺伝子改変した髄膜炎菌株由来のOMVを含むワクチンを開示し、本OMVは:少なくとも1つのクラス1外膜タンパク質(OMP)を含むがクラス2/3OMPは含まない。特許文献5および特許文献6は、表面ループにおける変異を有するOMPを含むOMVおよび髄膜炎菌性のリポポリサッカライド(LPS)の誘導体を含むOMVを開示する。特許文献7は、血清群Aの髄膜炎菌のためのOMVベースのワクチンを調製するためのプロセスを開示する。
【0006】
OMV効果を改善するための種々の提唱が存在する。特許文献8は、トラスフェリン結合タンパク質(例えば、TbpAおよびTbpB)ならびに/またはCu、Znスーパーオキシドジスムターゼを補充したOMVを含む組成物を開示する。特許文献9は、種々のタンパク質により補充されたOMVを含む組成物を開示する。特許文献10は、改変したfur遺伝子を有するN.meningitidisから得られる膜のベシクルの調製を開示する。特許文献11は、nspA発現が随伴性のporAおよびcpsノックアウトでアップレギュレートされるはずであることを教示している。OMV産生のためのN.meningitidisのさらなるノックアウト変異体が、特許文献11〜13に開示される。発現パターンの改変によりOMVを改善するこれらの試みと対照的に、特許文献14は、OMV調製の方法を改変することに焦点を置いており、デオキシコール酸のような界面活性剤の使用を避けることにより、ベシクル抽出中、NspAのような抗原が、保持され得ることを教示する。
【0007】
髄膜炎菌性OMVは非同種血清型に対する交差防御を惹起することができないことが、一般的なワクチンとしてのそれらの使用を限定している。しかし、髄膜炎菌性OMVは、本質的にクローン性である病原性株により疾患が特徴づけられる流行性の状況においては、非常に有用であり得る。従って、Finlay Instituteワクチン(VA−MENGOC−BCTM)は、血清群Bの疾患がP1.19,15血清型により支配されるラテンアメリカにおいて有用であるが、他の場所では効果的ではない[非特許文献3]。同様に、Chiron MeNZBTMワクチンは、1991年以来ニュージーランドにおいて流行してきた病原性株(P1.7b,4、近年の命名によりP1.7−2,4として公知である)を標的としている。
【0008】
参考文献11は、多価の髄膜炎菌性ブレブの組成物を含有するワクチンを開示し、使用国において流行している血清型をもつ髄膜炎菌株由来の第1のブレブ、および使用国において流行している血清型を必ずしも有さない髄膜炎菌株由来の第2のブレブを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,597,572号
【特許文献2】米国特許第5,747,653号
【特許文献3】欧州特許第0301992号
【特許文献4】欧州特許第0449958号
【特許文献5】米国特許第5,705,161号
【特許文献6】国際出願公開WO94/08021
【特許文献7】国際出願公開WO01/91788
【特許文献8】国際出願公開WO00/25811
【特許文献9】国際出願公開WO01/52885
【特許文献10】国際出願公開WO98/56901
【特許文献11】国際出願公開WO02/09746
【特許文献12】国際出願公開WO02/062378
【特許文献13】国際出願公開WO2004/014417
【特許文献14】国際出願公開WO2004/019977
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Bjuneら、Lancet338(8775):1093〜1096、1991年
【非特許文献2】de Kleijnら、Vaccine 20:352〜358、2001年
【特許文献3】Sacchiら、Rev Inst Med Trop Sao Paulo 40:65〜70、1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、さらに改良された髄膜炎菌性OMVの調製物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の開示)
MeNZBTMを用いた実績は、特定の病原性株を標的としたOMVが、局在化した疾患の発症を制御する点において非常に効果的であり得ることを示している。大量かつ再現可能な製造技術の組合せにおいて、ワクチンは、発症後急激に生産され得る。従って、本発明は、髄膜炎菌性の外膜ベシクル(OMV)ワクチンを調製するための方法を提供し、この方法は:(i)髄膜炎菌性髄膜炎の発症と関連する髄膜炎菌株の血清サブタイプを同定する工程;(ii)ワクチンの製造において使用するために、工程(i)で同定された血清型を有する髄膜炎菌株由来のOMVを調製する工程を包含する。本方法は、:(iii)ワクチンとして前記OMVを処方する工程;および(iv)前記発症により影響されるかまたは影響されそうな地理的領域において前記ワクチンを配布する工程のさらなる工程;のうちの1つまたは両方を包含し得る。本発明はまた、同じ方法を提供するが、関連する血清型がすでに同定されている状況に関しては工程(i)を省略する。髄膜炎菌株は、代表的に血清型Bであるが、血清型A、C、W135、Yなどに代わられ得る。
【0013】
MeNZBTMを用いた実績は、OMVが髄膜炎菌血清型A、C、W135およびYの単独かまたは組み合わせかのいずれかに対して免疫化するのに有用であり、そしてこれらは近年提案される結合体化ワクチンより製造するのに安価であり得ることを本発明者らに示している。従って、本発明は:(a)髄膜炎菌の血清型C株由来の外膜ベシクルを含有する組成物;(b)髄膜炎菌の血清型W135株由来の外膜ベシクルを含有する組成物;(c)髄膜炎菌の血清型Y株由来の外膜ベシクルを含有する組成物;および(d)髄膜炎菌の血清型A、B、C、W135およびYの2つ以上由来の外膜ベシクルを含有する組成物を提供する。(d)の中で、好ましい組成物としては、以下の血清群混合物:A+B;A+C;A+W135;A+Y;B+C;B+W135;B+Y;C+W135;C+Y;W135+Y;A+B+C;A+B+W135;A+B+Y;A+C+W135;A+C+Y;A+W135+Y;B+C+W135;B+C+Y;C+W135+Y;A+B+C+W135;A+B+C+Y;B+C+W135+Y;およびA+B+C+W135+Yが挙げられる。
【0014】
莢膜下抗原(sub−capsular antigen)は血清群間で共有されるので、OMV(およびOMV混合物)は、それらが調製される血清群より多くの血清群に対して防御し得る。例えば、サハラ南下アフリカにおいてみられる血清群A株および血清群W135株由来の莢膜下抗原は、世界のその他の場所でみられる血清群C株およびY群によって共有される。従って、本発明は、第2の血清群の1つ以上の髄膜炎菌株に対して防御するために、第1の血清群の髄膜炎菌株由来のOMVの使用を提供し、ここで前記第1および第2の血清群は異なる。本株は、好ましくは莢膜下抗原を共有し、そして、それらが異なる血清型を有するとはいえ、同じサブタイプ、血清型および/または免疫型を有し得る。血清群AおよびW135由来のOMV混合物が好ましく、血清群CおよびY由来のOMV混合物も同様である。
【0015】
MeNZBTMを用いた実績はまた、ニュージーランドOMV、ノルウェーOMVおよびキューバOMVに使用される株由来のOMV混合物が有用に効果的であることを、本発明者らに示している。従って、本発明は:(i)血清サブタイプP1.7b,4髄膜炎菌;(ii)血清サブタイプP1.7,16髄膜炎菌;および(iii)血清サブタイプP1.9,15髄膜炎菌の2つまたは3つ由来の外膜ベシクルを含有する組成物を提供する。異なるOMVは、好ましくは混合物であるが、あるいはキット内の別個の容器中に存在し得る。
【0016】
異なる血清サブタイプ由来のOMVを組み合わせることにより、本発明者らは、個々の血清サブタイプの用量が効果の喪失なしに減少され得ることを見出している。総タンパク質として測定される場合、VA−MENGOC−BTMは、50μgのOMV(0.5ml容量)を含有し、HexaMenTMは約1mgのOMV(0.3ml容量)を含有し、そしてMenBVacTMおよびMeNZBTMの両方は25μgのOMV(0.5ml容量)を含有するが、本発明者らは、混合物が使用される場合、個々のOMVの用量が効果の喪失なしに減少され得ることを見出している。従って本発明は、第1の髄膜炎菌血清サブタイプおよび第2の髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する組成物を提供し、ここで第1の血清サブタイプ由来のOMVの濃度は45μg/mlより少なく、第2の血清サブタイプ由来のOMV濃度は45μg/mlより少ない。本発明はまた、少なくとも2つの髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する組成物を提供し、ここでOMVを組み合わせた濃度は90μg/mlより少ない。本発明はまた、n個の異なる髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する組成物を提供し、ここで各n個のサブタイプ由来のOMVの濃度は45μg/mlより少ない(すなわち、45μg/mlより少ない総OMV用量)。nの値は、1、2、3、4、5、6、などであり得る。
【0017】
本発明はまた、n個の異なるサブタイプから調製されるOMVを含有するキットを提供する。ベシクルは、一緒に用いられる(例えば、混合物として、あるいは同時に別々に使用するかまたは連続して使用するために)ことが必要とされるまで、キット中に別々に維持および貯蔵され得る。同様に、本発明は:各nの異なるサブタイプ由来の、nセットのOMVを調製する工程;およびnセットのベシクルの組み合わせる工程を包含するプロセスを提供する。異なるセットは、キット中または混合物中で組み合わされ得る。
【0018】
本発明はまた、P1.7b,4血清サブタイプを有する血清群Bの髄膜炎菌株から調製されるOMVを含有する組成物を提供し、ここで組成物におけるOMVの濃度は、約50μg/mlである。本組成物は、好ましくは水酸化アルミニウムアジュバントおよびヒスチジン緩衝液を含む。本組成物は、約0.5mlの投薬容量で与えられ得る。
【0019】
(ベシクル)
本発明は、Neisseria meningitidisから調製される外膜ベシクル(OMV)をベースにする。
【0020】
用語「OMV」は、外膜のタンパク質成分を含む外膜のベシクルを形成するために細菌性外膜を破裂させることにより得られる任意のタンパクリポソーム性のベシクルを含む。OMVは、細菌から人工的に調製される(例えば、界面活性剤処置により、または非界面活性剤的手法により)[29]。本用語はまた、ブレブ、マイクロベシクル(MV[12])および「天然のOMV」(「NOMV」[13])を包含する。これらは、細菌増殖の間に同時に形成する自然に発生する膜ベシクルであり、培養培地中に放出される。MVは、ブロス培養培地中でナイセリアを培養し、全細胞をブロス培養培地中の小さなMVから分離し(例えば、濾過または低速の遠心により小さなベシクルではなく細胞のみをペレットにする)、次いで細胞枯渇培地(cell−depleted medium)からMVを回収する(例えば、濾過により、MVの沈降または凝集の差により、低速の遠心によりMVをペレットにすることにより)ことによって得られ得る。MVの産生に使用するための株は、一般的に、培養物中に産生されるMVの量をベースに選択され得る(例えば、参考文献14および15は、高いMV産生を有するナイセリアを記載する)。
【0021】
OMVは、種々の方法で調製され得る。適した調製物を得るための方法は、例えば本明細書中に引用される参考文献に開示される。OMVを形成するための技術としては、胆汁酸塩界面活性剤(例えば、リトコール酸、ケノデキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、ウルソコール酸など、デオキシコール酸ナトリウム[16および17]が、Neisseriaを処置するのに好ましい)を、界面活性剤が沈殿しない十分高いpHで、細菌を処理することが挙げられる[6]。他の技術としては、超音波処理、ホモジナイズ、ミクロ流体化、キャビテーション、浸透ショック、粉砕、フレンチプレス(French press)、混合などのような技術を使用して、実質的に界面活性剤非存在[29]において実施され得る。
【0022】
OMV調製のための好ましい方法としては、粗製MVにおける高速の遠心分離に代わり、限外濾過[18]が挙げられる。これは、非常に大量のOMV含有上清を非常に短い時間(代表的に4時間で>15リットル、10時間で<1.5リットルに比較して)で処理することを可能にし、遠心分離後OMVを再分散させる必要性を回避する。超遠心は、大量のOMVをより簡単に調製させ、ワクチンの調製における使用のために選択した株からのOMVの迅速な産生を可能にする。
【0023】
(ワクチン調製のために用いられる髄膜炎菌株)
目的の髄膜炎菌株血清サブタイプの同定は、クラスIポーリン外膜タンパク質(PorA)をベースにして標準的な技術を用いて達成され得る。一度血清サブタイプが決定されると、同じサブタイプを共有する他の公知の株を探索するのが慣習的である。他の株は、第1の株と血清群および/または血清型(PorB)を共有し得るが、これは必ずしもそうではない。しかしながら、一般的に、血清群および血清型の両方に適合することが好まれる。
【0024】
本発明に従って使用される髄膜炎菌株は、一般的に、以下の血清群:A、B、C、W135またはYのうちの1つである。
【0025】
本発明に従って使用される髄膜炎菌株は、一般的に、多数の血清型(すなわち複数のPorAアレル)を発現する株ではない。従って、本発明を使用するために好まれる細菌は、単一のPorA配列を発現する(すなわち、単一血清サブタイプである)。
【0026】
PorAがダウンレギュレーションされている株、例えば、野生型レベルに比較して(参考文献11に開示されるように、例えば株H44/76に比較して)PorAの量が少なくとも20%減少されている(例えば、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%など)か、またはノックアウトすらされている株を使用することもまた可能である。
【0027】
本発明に従って使用される髄膜炎菌株は、いずれかの血清型(例えば、1、2a、2b、4、14、15、16など)および/またはいずれかの免疫型(例えば、L1;L3,3,7;L10;など)であり得る。髄膜炎菌は、任意の適した系統に由来し得る。この系統としては、高侵襲性系統および高毒性系統、例えば以下の7つの高毒性系統:サブグループI;サブグループIII;サブグループIV−1;ET−5複合体;ET−37複合体;A4クラスター;系統3が挙げられる。これら系統は、多座位酵素電気泳動(MLEE)により規定されるが、多座位配列タイピング(MLST)もまた髄膜炎菌を分類するために使用されており[参考文献19]、例えばET−37複合体はMLSTによりST−11であり、ET−5複合体はST−32(ET−5)であり、系統3はST−41/44である。
【0028】
髄膜炎菌は、1つ以上の遺伝子のノックアウト変異を有し得る。発熱活性を減少させるために、例えば、細菌は、低い毒素(LPS)レベルを有するべきであり、これはLPS生合成に関する酵素をノックアウトすることにより達成され得る。適した突然変異細菌は、例えばすでに公知の突然変異株Neisseria[20、21]および突然変異株Helicobacter[22]である。グラム陰性細菌からLPS欠損外膜を調製するためのプロセスは、参考文献23に開示される。
【0029】
特異的タンパク質のダウンレギュレートされた発現と同様に、細菌はNspA、プロテイン287[8]、プロテイン741[30]、TbpA[7]、TbpB[7]、スーパーオキシドジスムターゼ[7]などのような免疫原を過剰発現し得る(対応する野生型株に比較して)。
【0030】
特定の内因性遺伝子のノックアウトすることと同様に、細菌は、内因性ではない1つ以上の遺伝子を発現し得る。例えば、本発明は、対応する野生型株と比べ新しい遺伝子を発現する組み換え株を使用し得る。この様式における非内因性遺伝子の発現は、種々の技術、例えば、染色体挿入(同義PorA遺伝子を誘導するために使用されるように[24])、ノックイン変異株、余剰染色体ベクターからの発現(例えば、プラスミドから)などにより達成され得る。
【0031】
細菌はまた、参考文献25〜30に開示される1つ以上のノックアウト変異および/または過剰発現を含み得る。ダウンレギュレーションおよび/またはノックアウトのための好ましい遺伝子としては、:(a)Cps、CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LbxK、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[25];(b)CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LbxK、Opa、Opc、PhoP、PilC、PmrE、PmrF、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[26];(c)ExbB、ExbD、rmpM、CtrA、CtrB、CtrD、GalE、LbpA、LbpB、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpAおよび/またはTbpB[27];ならびに(d)CtrA、CtrB、CtrD、FrpB、OpA、OpC、
PilC、PorB、SiaD、SynA、SynBおよび/またはSynC[28]が挙げられる。
【0032】
異なる血清サブタイプに基づいてOMVを組み合わせるのと同様に、組み合わせは、他の基準に従って作成され得る。基準の例としては:血清型(PorB、クラス2または3OMP);免疫型(リポポリサッカリドまたはリポオリゴサッカリド);株の地理的起源;臨床株の地域的罹患率;高毒性系統(例えば2つ以上のサブグループI、サブグループIII、サブグループIV−1、ET5複合体、ET37複合体、A4クラスターおよび系統3);多座配列型(MLST)[19];3つの異なるNB1870改変体の1つ以上[31]が挙げられる。
【0033】
(OMV投薬)
現在の髄膜炎菌OMVワクチンは、本発明を実施するために薬学的ガイダンス、薬量学的ガイダンスおよび処方ガイダンスを提供する。例えば、VA−MENGOC−BCTMは、0.5mlにおいて注射可能な懸濁剤であり、0.01%チオメルサールおよびリン酸緩衝液を加えた2mgの水酸化アルミニウムゲルに吸着させたCu−385−83株由来のOMV50μgおよび血清群C莢膜サッカリド50μgを含有する。MeNZBTMはまた、0.5ml懸濁液であり、ヒスチジン緩衝液および塩化ナトリウムを添加した1.65mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸着させたNZ98/254株由来のOMV25μgを含有する。MenBvacは、MeNZBTMに類似しているが、44/76株から調製される。
【0034】
各サブタイプについてOMVの濃度は、患者への投与後に防御免疫を提供するのに十分高い。本発明の組成物におけるOMVの濃度は、一般的に10μg/mlと500μg/mlとの間であり、好ましくは25μg/mlと200μg/mlとの間であり、さらに好ましくは約50μg/mlまたは約100μg/mlである(OMVにおける総タンパク質により表される)。
【0035】
しかしながら、組成物が1つより多い髄膜炎菌血清サブタイプ由来のOMVを含有する場合、本発明者らは、個々の血清サブタイプの投薬が効果の喪失なしに減少され得ることを見出している。ニュージーランドサブタイプおよびノルウェーサブタイプの投薬は、免疫原性の喪失なしに0.5ml用量で25μgから12.5μgに半減され得る。従って、1つより多い髄膜炎菌サブタイプ由来の外膜ベシクルを含む本発明の組成物は、MenBvacTMおよびMeNZBTMにの単純な混合をベースに経験的に予測される100μg/ml未満、MenBvacTMまたはMeNZBTMのいずれかとVA−MENGOC−BCTMの単純な混合をベースに経験的に予測される150μg/ml未満を含む。従って、そのような本発明の組成物は、90μg/ml以下(例えば、80μg/ml、70μg/ml、60μg/ml、50μg/ml、40μg/ml、30μg/ml以下、またはさらに低い)の合わせたOMV濃度を有する。
【0036】
さらに一般的に、組成物がn個の異なる髄膜炎菌サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する場合、各サブタイプ由来のOMV濃度は45μg/mlより少ない(例えば、40μg/ml、35μg/ml、30μg/ml、25μg/ml、20μg/ml未満またはさらに低い)。約25μg/mlの濃度が好ましい。
【0037】
組成物がnの異なる髄膜炎菌サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する場合、各サブタイプのOMV量は、好ましくは、互いの±10%以内である、すなわちこの組成物は、実質的に等しい量の各OMVを含有する。しかしながら、ある場合において、1つのサブタイプの量は、別のサブタイプの量より約x倍多く、ここでxは、2、3または4であり得、例えばこの組成物は、本組成物において、他のサブタイプに比較して2倍量の1つのサブタイプを含有する。
【0038】
(OMVを含有する薬学的組成物)
本発明の組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物であり得る。そのような組成物は、OMVを薬学的に受容可能なキャリアと混合する工程を包含するプロセスを使用して調製され得る。
【0039】
代表的な「薬学的に受容可能なキャリア」としては、上記組成物を受ける個体に害のある抗体の産生をそれ自体では誘導しない任意のキャリアが挙げられる。適したキャリアは、代表的に、タンパク質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)のような大きなゆっくり代謝される巨大分子である。そのようなキャリアは、当業者において周知である。本ワクチンはまた、水、生理食塩水、グリセロールなどのような希釈剤を含む。さらに、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝化剤、スクロースなどのような補助剤が存在し得る。無菌の発熱物質を含まないリン酸緩衝化生理学的食塩水が、代表的なキャリアである(例えば、注射用水をベースに)。薬学的に受容可能な賦形剤の完全な考察は、参考文献32において入手可能である。
【0040】
本発明の組成物は、代表的に乾燥した形態(例えば、凍結乾燥)よりむしろ水溶性の形態(例えば、溶液または懸濁剤)である。水溶性組成物はまた、凍結乾燥した形態から他のワクチンを再構成するのに適している(例えば、凍結乾燥Hib結合体化ワクチン、凍結乾燥髄膜炎菌結合体化ワクチンなど)。本発明の組成物が、そのような即席の再構成に使用される場合、本発明は、キットを提供し得る。このキットは、注射する前に、バイアルの乾燥させた内容物を反応させるために使用されるシリンジの水溶性内容物とともに、2つのバイアルを含み得るかまたは1つのすでに充填されたシリンジおよび1つのバイアルを含み得る。
【0041】
本発明の組成物は、バイアル中に存在し得るか、すでに充填されたシリンジ中に存在し得る。本シリンジは、針とともにまたは針無しで供給され得る。組成物は、単位用量形態または複数回用量形態で包装され得る。シリンジは、一般的に単回用量の組成物を含有する一方で、バイアルは、単回用量または複数回用量を含有し得る。そのため複数回用量形態のためには、あらかじめ充填されたシリンジに対してバイアルが好ましい。
【0042】
効果的な投薬容量は慣習的に確立され得るが、組成物の代表的なヒト用量は、例えば、筋肉内注射に関しては約0.5mlの容量を有する。RIVM OMVベースワクチンは、大腿部または上腕部への筋肉内注射により0.5ml容量で投与された[33]。MeNZBTMは、大腿部の前外側または腕の三角筋部への筋肉内注射により0.5mlで投与される。同様な用量が、他の送達ルートのために使用され得、例えば噴霧のための鼻内OMVベースワクチンは、スプレーあたり約100μlまたは約130μlの容量を有し得[13]、約0.5mlの全用量を与えるためには4回のスプレーが投与される。
【0043】
本組成物のpHは、好ましくは6と8との間であり、さらに好ましくは、6.5と7.5との間(例えば、約7)である。RIVM OMVベースワクチンのpHは、7.4[34]であり、pH<7.5が本発明の組成物において好ましい。安定なpHは、緩衝液、例えばTris緩衝液、リン酸緩衝液またはヒスチジン緩衝液の使用により維持され得る。本発明の組成物は一般的に緩衝液を含有する。組成物が水酸化アルミニウムを含む場合、例えば、1〜10mMの間、好ましくは約5mMにおけるヒスチジン緩衝液の使用が好しい[35]。RIVM OMVベースワクチンは、10mM Tris/HCl緩衝液を使用することによりpHを維持する。組成物は、滅菌および/または発熱物質なしであり得る。本発明の組成物は、ヒトに対して等張性であり得る。
【0044】
本発明の組成物は、免疫原性であり、より好ましいワクチン組成物である。本発明に従うワクチンは、予防的(すなわち、感染を予防する)であるかまたは治療的(すなわち、感染を処置する)のいずれかであり得るが、代表的には予防的である。ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的に有効量の抗原、および必要に応じて、任意の他の成分を含む。「免疫学的有効量」は、単回用量または一連の投与の一部のいずれかで、個体に投与する量が、処置または予防に関して有効であることを意味する。この量は、治療される個体の健康および身体的状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個々の免疫システムの能力、所望される防御の度合い、ワクチンの処方、医学的状態に関する処置医の評価および他の関連要因に依存して変化する。この量は、比較的広い範囲になることが予測され、この範囲は、通常の試験を通して決定され得る。本発明の組成物の抗原含有量は、一般的に、1用量あたりのタンパク質量で表される。1mlあたり約0.9mgの用量が、OMVベースの鼻腔内ワクチンについて代表的である[13]。
【0045】
髄膜炎菌は、身体の種々の領域に影響を与え、そしてそのため、本発明の組成物は種々の形態で調製され得る。例えば、本組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかの注射可能物として調製され得る。本組成物は、肺投与(例えば、吸入のような)として、微細粒子またはスプレーを使用して調製され得る。本組成物は、坐剤または膣坐剤として調製され得る。本組成物は、鼻内、耳内または眼内投与のために、例えば、スプレー、液滴、ゲルまたは粉末として調製され得る[例えば、参考文献36および37]。筋肉内投与のための注射可能物が代表的である。
【0046】
本発明の組成物としては、特に複数回用量フォーマットで包装される場合、抗菌薬を含有し得る。チオメルサールおよび2−フェノキシエタノールのような抗菌薬は、一般的にワクチンにおいて見出されるが、水銀を含まない防腐剤を使用するかまたは全く防腐剤を使用しないかのいずれかが好ましい。
【0047】
本発明の組成物は、界面活性剤、例えば、Tween80のようなTween(ポリソルベート)を含み得る。界面活性剤は、一般的に低レベル、例えば<0.01%で存在する。
【0048】
本発明の組成物は、OMV調製に由来する残留界面活性剤(例えば、デオキシコール酸)を含み得る。残留界面活性剤の量は、タンパク質1μgごとについて0.4μgより少ないことが好ましい(さらに好ましくは、0.2μgより少ない)。
【0049】
本発明の組成物は、髄膜炎菌由来のLPSを含み得る。LPSの量は、好ましくは、タンパク質1μgごとについて0.12μgより少ないことが好まれる(さらに好ましくは、0.05μgより少ない)。
【0050】
本発明の組成物としては、張性を与えるためのナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含み得る。10±2mg/mlの濃度のNaClが代表的である。塩化ナトリウムの濃度は好ましくは、約9mg/mlである。
【0051】
本発明の組成物は、一般的に他の免疫調節物質との結合体において投与される。特に、組成物は、通常1つ以上のアジュバントを含み、本発明は、本発明の組成物を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、本発明のベシクルをアジュバント、例えば薬学的に受容可能なキャリアと混合する工程を包含する。適したアジュバントとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:
A.ミネラル含有組成物
本発明における、アジュバントとしての使用に適したミネラル含有組成物としては、アルミニウム塩およびカルシウム塩のような無機塩類が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などのミネラル塩などのような無機塩類[例えば、参考文献38の第8章および第9章を参照のこと]、または異なるミネラル化合物の混合物を含み、この化合物は任意の適した形態(例えば、ゲル、結晶、非結晶など)をとり、吸着することが好ましいとされる。ミネラル含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方され得る[39]。
【0052】
代表的なリン酸アルミニウムアジュバントは、PO/Alモル比が0.84と0.92との間で0.6mgのAl3+/mlを含む非結晶性のヒドロキシリン酸アルミニウムである。低用量のリン酸アルミニウムを用いる吸着が、例えば1用量あたり50μgと100μgとの間のAl3+で用いられ得る。リン酸アルミニウムを吸着に使用し、抗原をアジュバントに吸着させないことが所望される場合、このことは溶液中に遊離リン酸イオンを含むことにより(例えば、リン酸緩衝液の使用により)促進される。
【0053】
RIVMワクチンは、リン酸アルミニウムアジュバントかまたは水酸化アルミニウムアジュバントのいずれかに対する吸着により試験され、リン酸アルミニウムアジュバントが、より優れた結果を与えることが見出された[34]。MeNZBTM、MenBvacTMおよびVA−MENINGOC−BCTM製品は、すべて水酸化アルミニウムアジュバントを含有する。
【0054】
アルミニウムアジュバントの代表的な用量は、約3.3mg/ml(Al3+濃度として表される)である。
【0055】
B.油性乳濁液
本発明における、アジュバントとしての使用に適した油性乳剤組成物としては、MF59[参考文献38の第10章、参考文献40も参照のこと](ミクロ流動器(microfluidizer)を使用してサブミクロン粒子に処方される5%スクアレン、0.5%Tween 80、および0.5%Span 85)のようなスクアレン−水乳剤が挙げられる。フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)もまた使用され得る。
【0056】
C.サポニン処方物[参考文献38の第22章]
サポニン処方物もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根さらに花においてさえ見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群である。Quillaia saponaria Molinaの樹皮に由来のサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。スミラックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサプリラ(sarsaprilla)、シュッコンカスミソウ(ブライデスベール(brides veil))、およびサボンソウ(サボンソウ根)由来のサポニンはまた、商業的に入手され得る。サポニンアジュバント処方物としては、QS21のような精製処方物およびISCOMのような脂質処方物が挙げられる。QS21は、StimulonTMとして市販される。
【0057】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを使用して精製される。これらの技術を使用して精製された特定の画分が同定されており、その精製画分としては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが挙げられる。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生産方法は、参考文献41に開示されている。サポニン処方物はまた、コレステロールのようなステロールを含み得る[42]。
【0058】
サポニンとコレステロールとの組み合わせが、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる固有の粒子を形成するために使用され得る[参考文献38の第23章]。ISCOMとしては、代表的に、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンのようなリン脂質が挙げられる。任意の公知のサポニンが、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、ISCOMとしては、QuilA、QHAおよびQHCの1つ以上が挙げられる。ISCOMは、さらに参考文献42〜44に記載される。必要に応じて、ISCOMは余分な界面活性剤を含まない[45]。
【0059】
サポニンベースのアジュバントの開発についての概説は、参考文献46および47に見出され得る。
【0060】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。これらの構造は、一般的に、必要に応じてリン脂質と組み合わせられるかまたは処方されるウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。これらは、一般的に、非病原性、非複製性であり、一般的に、いかなる天然のウイルスゲノムも含まない。ウイルスタンパク質は組換えによって産生され、ウイルス全体から単離され得る。ビロソームまたはVLPにおける使用に適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス由来のタンパク質(HAまたはNAのような)、B型肝炎ウイルス由来のタンパク質(コアタンパク質またはカプシドタンパク質のような)、E型肝炎ウイルス由来のタンパク質、麻疹ウイルス由来のタンパク質、シンドビスウイルス由来のタンパク質、ロタウイルス由来のタンパク質、口蹄疫ウイルス由来のタンパク質、レトロウイルス由来のタンパク質、ノーウォークウイルス由来のタンパク質、ヒト乳頭腫ウイルス由来のタンパク質、HIV由来のタンパク質、RNA−ファージ由来のタンパク質、Qβ−ファージ由来のタンパク質(コートタンパク質のような)、GA−ファージ由来のタンパク質、fr−ファージ由来のタンパク質、AP205ファージ由来のタンパク質、およびTy由来のタンパク質(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1のような)が挙げられる。VLPは、参考文献48〜53でさらに考察される。ビロソームはさらに、例えば、参考文献54で考察される。
【0061】
E.細菌性または微生物性誘導体
本発明における、使用に適したアジュバントとしては、腸内細菌リポポリサッカリド(LPS)の非毒性誘導体、脂質A誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびADPリボシル化毒素、ならびにそれらの解毒誘導体のような細菌性または微生物性の誘導体が挙げられる。
【0062】
LPSの非毒性誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4、5または6つのアシル化鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、参考文献55に開示される。そのような3dMPLの「小粒子」は、0.22μmの膜を通して滅菌濾過されるほど十分に小さい[55]。他の非毒性LPS誘導体としては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体(例えば、RC−529)のようなモノホスホリル脂質A模倣物が挙げられる[56、57]。
【0063】
脂質A誘導体としては、OM−174のようなEscherichia coli由来の脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば参考文献58および59に記載される。
【0064】
本発明における、アジュバントとしての使用に適した免疫刺激オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列(グアノシンへのリン酸結合により連結される非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0065】
CpGは、ホスホロチオエート修飾物のようなヌクレオチド修飾物/アナログを含み得、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献60、61および62は、可能なアナログ置換(例えばグアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによる置換)を開示する。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献63〜68においてさらに考察される。
【0066】
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはモチーフTTCGTTのようなTLR9に対して向けられ得る[69]。CpG−A ODNのようなCpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得るか、またはCpG−B ODNのようなCpG配列は、B細胞応答の誘導により特異的であり得る。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献70〜72において考察される。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0067】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識のためにアクセス可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、その3’末端で結合され得、「イムノマー(immunomer)」を形成する。例えば、参考文献69および73〜75を参照のこと。
【0068】
細菌性ADPリボシル化毒素およびその解毒誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli(E.coli熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。粘膜アジュバントとしての解毒ADPリボシル化毒素の使用は、参考文献76に記載され、非経口アジュバントとしての使用は、参考文献77に記載される。毒素または類毒素は、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホロ毒素の形態である。好ましくは、Aサブユニットは、解毒性の変異を含み;好ましくは、Bサブユニットは変異されない。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLT−G192のような解毒LT変異体である。ADPリボシル化毒素およびその解毒誘導体、特に、LT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、参考文献78〜85に見出され得る。アミノ酸置換に関する数の参照は、好ましくは、参考文献86に記載のADPリボシル化毒素のAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントをベースとし、特にその全体が本明細書中において参考として援用される。
【0069】
F.ヒト免疫調節因子
本発明において、アジュバントとして使用に適したヒト免疫調節因子としては、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[87]など)[88]、インターフェロン(例えば、インターフェロン−?)、マクロファージコロニー刺激因子および腫瘍壊死因子のようなサイトカインが挙げられる。
【0070】
G.生体付着物および粘膜付着物
生体付着物および粘膜付着物はまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。適した生体付着物としては、エステル型のヒアルロン酸マイクロスフィア[89]または架橋したポリ(アクリル酸)の誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカリドおよびカルボキシメチルセルロースのような粘膜付着物が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る[9
0]。
【0071】
H.微粒子
微粒子もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μmの粒子、より好ましくは直径約200nm〜約30μmの粒子、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)は、生体分解性および非毒性(例えば、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)である物質から形成され、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましく、必要に応じて負に荷電した表面(例えば、SDSを用いて)または正に荷電した表面(例えば、CTABのようなカチオン性界面活性剤を用いて)を有するように処理される。
【0072】
I.リポソーム(参考文献38の第13章および第14章)
アジュバントとしての使用に適したリポソーム処方物の例は、参考文献91〜93に記載される。
【0073】
J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物
本発明における、使用に適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる[94]。そのような処方物はさらに、オクトキシノールとの組み合わせでポリオキシエチレンソルビタンエステルのサーファクタント[95]および少なくとも1つのオクトキシノールのようなさらなる非イオン性サーファクタントとの組み合わせでポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルのサーファクタントを含む[96]。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0074】
K.ポリホスファザン(PCPP)
PCPP処方物は、例えば参考文献97および98に記載される。
【0075】
L.ムラミルペプチド
本発明におけるアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン MTP−PE)が挙げられる。
【0076】
M.イミダゾキノロン化合物
本発明においてアジュバントを使用するために適したイミダゾキノロン化合物の例としては、Imiquamodおよびそのホモログ(例えば、「Resiquimod 3M」)が挙げられ、さらに参考文献99および100に記載される。
【0077】
本発明はまた、上記に同定される1つ以上のアジュバントの局面の組み合わせを含む。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において用いられ得る:(1)サポニンおよび水中油型乳剤[101];(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)[102];(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)[103];(5)例えば、QS21および/または水中油型乳剤と3dMPLとの組み合わせ[104];(6)大きい粒子サイズの乳剤を生成するためにサブミクロン乳剤中に微流動化させるかまたはボルテックスされた、10%スクアラン、0.4%Tween 80TM、5%プルロニックブロックポリマーL121およびthr−MDPを含むSAF。(7)2%スクアレン、0.2%Tween 80、ならびにモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコラート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem)、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM);ならびに(8)1つ以上の無機塩類(アルミニウム塩のような)+LPSの非毒性誘導体(3dMPLのような)。
【0078】
免疫刺激物質として作用する他の基質は、参考文献38の第7章に開示される。
【0079】
アルミニウム塩アジュバントの使用が特に好ましく、抗原は一般的にそのような塩に吸着される。本発明の組成物において、水酸化アルミニウムにいくつかの抗原を吸着することが可能であるほかに、リン酸アルミニウム関連して他の抗原を有することが可能である。しかしながら、一般的に1つの塩(例えば、水酸化物またはリン酸塩)だけを使用することが好ましく、両方は好まれない。すべてのベシクルが吸着されることを必要とするとは限らず、すなわちいくつかまたはすべてのベシクルが溶液中で遊離し得る。
【0080】
(処置方法)
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を惹起するための方法を提供し、この方法は、本発明の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を包含する。免疫応答は、好ましくは防御的であり、好ましくは抗体を含む。本方法は、すでにN.meningitidisに対して初回免疫されている患者において追加免疫応答を惹起し得る。OMVに関する皮下および鼻内の初回免疫/追加免疫レジメンは参考文献105に開示される。
【0081】
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ワクチンが予防的に使用される場合、このヒトは、好ましくは子供(例えば、幼児または乳児)または10代であり;ワクチンが治療的に使用される場合、このヒトは、好ましくは成人である。子供を意図したワクチンはまた、成人に投与され得る(例えば、安全性、用量、免疫原性などを評価するため)。
【0082】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明のOMV組成物および混合物を提供する。本医薬は、好ましくは哺乳動物において免疫応答を惹起することができ(すなわち、免疫原性組成物である)、さらに好ましくはワクチンである。
【0083】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を惹起するための医薬の製造における、本発明のOMV組成物および混合物の使用を提供する。
【0084】
これらの使用および方法は、好ましくはN.meningitidis、例えば細菌性(またはさらに具体的には髄膜炎菌性)髄膜炎または敗血症により生じる疾患の予防および/または処置のためである。
【0085】
治療的処置の効果を調べる1つの方法としては、本発明の組成物の投与後、ナイセリア感染をモニターすることが挙げられる。予防的処置の効果を調べる1つの方法としては、組成物の投与後、OMV抗原に対する免疫応答をモニターすることが挙げられる。本発明の組成物の免疫原性は、試験被験体(例えば、12〜16ヶ月齢の子供または動物モデル[106])に投与し、次いで血清の細菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)を含む標準的パラメーターを決定することにより、決定され得る。これらの免疫応答は、一般的に組成物投与後約4週間で決定され、組成物の投与前に決定された値と比較される。少なくとも4倍または8倍のSBA上昇が好まれる。1用量より多い組成物が投与される場合、1より多い投与後決定がなされ得る。
【0086】
本発明の好ましい組成物は、患者における抗体力価を与え得、この力価はヒト被験体の受容可能なパーセンテージについての血清防御に関する基準を上回っている。関連抗体力価(この力価より上で、宿主が抗原に対して血清変換されると考えられる)を有する抗原は周知であり、そのような力価は、WHOのような組織により公開される。好ましくは、80%より多い統計的に有意な被験体サンプル、さらに好ましくは90%より多い、よりさらに好ましくは93%より多い、最も好ましくは96〜100%の被験体サンプルが血清変換される。
【0087】
本発明の組成物は、一般的に患者に直接的に投与される。直接的な送達は、非経口的注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の間質へ)により、または直腸投与、経口投与、膣投与、局所投与、経皮投与、鼻内投与、眼内投与、耳内投与、肺投与または他の粘膜投与により達成され得る。大腿部または上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針を介し得る(例えば、皮下組織用針)が、針なし注射が、代わりに用いられ得る。代表的な筋肉内用量は0.5mLである。
【0088】
投薬処置は、単回投薬スケジュールまたは複数回投薬スケジュールであり得る。複数回投薬は、最初の免疫スケジュールにおいて、および/または追加免疫スケジュールにおいて用いられ得る。最初の投薬スケジュールに続いて追加免疫が行われ得る。初回免疫投薬の間(例えば、4〜16週間)および初回免疫と追加免疫との間の適したタイミングは、慣習的に決定され得る。OMVベースのRIVMワクチンは、0ヶ月、2ヶ月および8ヶ月または0ヶ月、1ヶ月、2ヶ月および8ヶ月でワクチン接種をする、3回投薬または4回投薬の初回スケジュールを使用して試験された。MeNZBTMは、6週間の間隔で3回投薬として投与される。
【0089】
上記に記載されるように、本発明は、1より多いN.meningitidisの血清サブタイプ由来のベシクルの、別々あるいは混合物のいずれかにおける投与を包含する。
【0090】
本発明は、全身性免疫および/または粘膜性免疫を導くために使用され得る。
【0091】
一般的に、本発明の組成物は、被験体に投与された後、血清細菌抗体応答を誘導することができる。これらの応答は、マウスにおいて簡便に測定され、ワクチンの効果の標準的指標である[例えば参考文献166の巻末の注14を参照のこと]。血清細菌活性(SBA)として、補体により媒介される細菌の死滅を測定し、ヒトの補体または生まれたばかりのウサギ補体を使用してアッセイされ得る。WHO標準は、ワクチンが90%より多いレシピエントにおいて、SBAにおける少なくとも4倍の上昇を誘導することを要求している。MeNZBTMは、第3の投薬の投与後4〜6週間で、SBAにおける4倍の上昇を導く。
【0092】
異なる血清サブタイプに対するOMVを混合することにより、本発明の組成物は、1つより多い髄膜炎菌の高毒性系統に対して細菌抗体応答を誘導し得る。特にそれらは、好ましくは以下の3つの高毒性系統のうち2つまたは3つに対して細菌応答を誘導し得る:(i)クラスターA4;(ii)ET5複合体;および(iii)系統3。それらはさらに、高毒性系統のサブグループI、サブグループIII、サブグループIV−1またはET−37複合体の1つ以上に対して、そして他の系統、例えば、高毒性系統に対して、細菌抗体応答を誘導し得る。これは、この組成物がこれら高毒性系統内のそれぞれおよびすべての髄膜炎菌株に対して細菌抗体を誘導し得ることを必ずしも意味するものではなく、例えば、特定の高毒性系統のうち4つ以上の髄膜炎菌株の任意の所定の群に関して、この組成物により誘導される抗体は、その群の少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)に対して殺菌性である。好ましい株の群としては、以下に挙げる国の少なくとも4カ国において単離された株が挙げられる:GB、AU、CA、NO、IT、US、NZ、NL、BRおよびCU。血清は、好ましくは少なくとも1024(例えば、210、211、212、213、214、215、216、217、218またはより高い、好ましくは少なくとも214)の殺菌力価を有する(例えば、参考文献166に記載されるように、血清は1024分の1に希釈した場合、特定の株の試験細菌の少なくとも50%を殺菌し得る)。
【0093】
好ましい組成物は、血清群B髄膜炎菌の以下の株に対して殺菌応答を誘導し得る:(i)クラスターA4由来の961〜5945株(B:2b:P1.21,16)および/または株G2136(B:−);(ii)ET−5複合体由来のMC58株(B15:P1.7,16b)および/または44/76株(B:15:P1.7,16);(iii)系統3由来の株394/98(B:4:P1.4)および/またはBZ198株(B:NT:−)。より好ましい組成物は、961−5945株、44/76株および394/98株に対する殺菌応答を誘導し得る。
【0094】
株961〜5945およびG2136はいずれもナイセリアMLST参照株である[参考文献107のids 638および1002]。MC58株は広く入手可能であり(例えば、ATCC BAA−335)、参考文献108において配列決定された株である。44/76株は広く用いられ、特徴付けられており(例えば、参考文献109)、ナイセリアMLST参照株の1つである[参考文献107のid237;参考文献19の表2の32行]。349/98株は、本来1998年にニュージーランドにおいて単離され、本株を使用するいくつかの発表された研究がある(例えば、参考文献110および111)。BZ198株は、別のMLST参照株である[参考文献107のid409;参考文献19の表2の41行]。
【0095】
(さらなる抗原性成分)
OMVを含有するのと同様に、本発明の組成物は、さらに非ベシクル性抗原を含み得る。例えば、本組成物は、さらに以下の抗原を1つ以上含み得る:
−血清群C由来の参考文献112に開示されるオリゴサッカリドまたは参考文献113に開示されるオリゴサッカリドのような、N.meningitidis血清群A、C、W135および/またはY由来のオリゴサッカリド抗原。VA−MENINGOC−BCTM製品は、血清群Cポリサッカリドを含む。
−Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド抗原[例えば、参考文献114〜116;参考文献123の第22章および第23章]。
−不活化ウイルスのようなA型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、117、118;参考文献123の第15章]。
−表面抗原および/またはコア抗原のようなB型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、118、119;参考文献123の第16章]。
−C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば120]。
−必要に応じてペルタクチンおよび/または凝集原2および凝集原3とも組み合わせた、B.pertussis由来の百日咳ホロ毒素(PT)および繊維状赤血球凝集素(FHA)のような、Bordetella pertussis由来の抗原[例えば、参考文献121および122;参考文献123の第21章]。
−ジフテリアトキソイドのようなジフテリア抗原[参考文献123の第13章]。
−破傷風トキソイドのような破傷風抗原[例えば、参考文献123の第27章]。
−Haemophilus influenzae B由来のサッカリド抗原[参考文献123の第14章]。
−N.gonorrhoeae由来の抗原[例えば、参考文献124]。
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原[例えば、参考文献125〜131]。
−Chlamydia trachomatis由来の抗原[例えば、132]。
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原[例えば、参考文献133]。
−IPVのようなポリオ抗原[例えば、134、135;参考文献123の第24章]。
−凍結乾燥不活化ウイルス[例えば137、RabAvertTM]のような狂犬病抗原[例えば136]。
−麻疹、ムンプスおよび/または風疹抗原[例えば、参考文献123の第19章、第20章および26章]。
−血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質のようなインフルエンザ抗原[例えば、参考文献123の17章および18章]。
−Moraxella catarrhalis由来の抗原[例えば138]。
−Streptococcus agalactiae(ストレプトコッカスB群)由来のタンパク質抗原[例えば、139、140]。
−Streptococcus pyogenes(ストレプトコッカスA群)由来の抗原[例えば、140、141、142]。
【0096】
サッカリド抗原または糖質サッカリド抗原が使用される場合、この抗原は、好ましくは、免疫原性を増強するためにキャリアに結合体化される。H.influenzae B、髄膜炎菌および肺炎球菌のサッカリド抗原の結合体化は周知である。
【0097】
毒性タンパク質抗原は、必要である場合、解毒化され得る(例えば、化学的方法および/または遺伝的方法による百日咳毒素の解毒[122])。
【0098】
ジフテリア抗原が組成物中に含有される場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含有することもまた好まれる。同様に、破傷風抗原が含有される場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含有することもまた好ましい。同様に、百日咳抗原が含有される場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含有することもまた好ましい。従って、DTPの組み合わせが好ましい。
【0099】
サッカリド抗原は、好ましくは、結合体の形態である。結合体のための好ましいキャリアタンパク質は、ジフテリアトキソイドまたは百日咳トキソイドのような細菌毒素または細菌トキソイドである。ジフテリア毒素のCRM197変異体[143〜145]は、特に好ましいキャリアであり、ジフテリアトキソイドも同様である。他の適したキャリアタンパク質としては、N.meningitidis外膜タンパク質[146]、合成ペプチド[147、148]、熱ショックタンパク質[149、150]、百日咳タンパク質[151、152]、サイトカイン[153]、リンホカイン[153]、ホルモン[153]、成長因子[153]、種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含有する人工タンパク質[154]、H.influenzae由来のタンパク質D[155、156]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[157]、肺炎球菌溶血素[158]、鉄取り込みタンパク質[159]、C.difficile由来の毒素Aまたは毒素B[160]などが挙げられる。
【0100】
本組成物における抗原は、代表的に、それぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般的に、任意の所定の抗原の濃度は、抗原に対する免疫応答を誘導するのに十分である。
【0101】
本発明の組成物において使用するタンパク質抗原の代替物として、抗原をコードしている核酸が用いられ得る。本発明の組成物のタンパク質成分は、タンパク質をコードする核酸(好ましくはDNA、例えば、プラスミドの形態において)により置換され得る。
【0102】
好ましい組成物としては、1つ以上(すなわち、1、2、3または4)の髄膜炎菌血清群A、C,W135およびY由来の結合体化莢膜サッカリドを加えた上記に記載されるような髄膜炎菌OMVを含む。OMVが血清群B由来である場合、本アプローチは、以下の血清群が包含されることを可能にする:B+A;B+C;B+W135;B+Y;B+C+W135;B+C+Y;B+W135+Y;B+A+C+W135;B+A+C+Y;B+A+W135+Y;B+C+W135+Y;およびB+A+C+W135+Y。2つの好ましい組み合わせは、血清群A+W135+Yまたは血清群A+C+W135+Yのいずれか由来の結合体化抗原を加えた血清群BのOMVを使用する。一般的に、xの血清群のOMVおよび残りの5−x血清群の結合サッカリドを選択することにより、血清群A、B、C、W135およびYの5つすべての血清群を包含することは可能である。
【0103】
特異的な髄膜炎菌タンパク質抗原(好ましくは血清群B由来)もまた、OMV組成物を補充するために加えられ得る。特に、参考文献30および161〜169に開示されるようなタンパク質抗原が加えられ得る。少数の定義された抗原が加えられ得る(10または10より少ない(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2)精製抗原の混合物)。本発明とともに使用するための好ましいさらなる免疫原性ポリペプチドは、参考文献169に開示されるもの:(1)「NadA」タンパク質;(2)「741」タンパク質;(3)「936」タンパク質;(4)「953」タンパク質;および(5)「287」タンパク質。他の可能な補充髄膜炎菌抗原としては、トランスフェリン結合タンパク質(例えば、TbpAおよびTbpB)および/またはCu、Znスーパーオキシドジスムターゼ[7]が挙げられる。他の可能な補充髄膜炎菌抗原として、以下のアミノ酸配列の1つを含むタンパク質:参考文献161由来の配列番号:650;参考文献161由来の配列番号:878;参考文献161由来の配列番号:884;参考文献162由来の配列番号:4;参考文献163由来の配列番号:598;参考文献163由来の配列番号:818;参考文献163由来の配列番号:864;参考文献163由来の配列番号:866;参考文献163由来の配列番号:1196;参考文献163由来の配列番号:1272;参考文献163由来の配列番号:1274;参考文献163由来の配列番号:1640;参考文献163由来の配列番号:1788;参考文献163由来の配列番号:2288;参考文献163由来の配列番号:2466;参考文献163由来の配列番号:2554;参考文献163由来の配列番号:2576;参考文献163由来の配列番号:2606;参考文献163由来の配列番号:2608;参考文献163由来の配列番号:2616;参考文献163由来の配列番号:2668;参考文献163由来の配列番号:2780;参考文献163由来の配列番号:2932;参考文献163由来の配列番号:2958;参考文献163由来の配列番号:2970;参考文献163由来の配列番号:2988、または、(a)前記配列に対して50%以上の同一性(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)を有し、かつ/または(b)前記配列由来の少なくともn個の連続的なアミノ酸のフラグメントを含み、ここで、nは7またはそれ以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以上)である、アミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。(b)に関して好ましいフラグメントは、関連配列由来のエピトープを含む。1つ以上(例えば、2、3、4、5、6)のこれらポリペプチドが含まれ得る。髄膜炎菌抗原トランスフェリン結合タンパク質および/またはHsfタンパク質がまた、加えられ得る[170]。
【0104】
このような方法において、定義した髄膜炎菌抗原によるOMVの補充は、OMVが血清サブタイプP1.7b,4の髄膜炎菌または血清サブタイプP1.7,16髄膜炎菌である場合、特に有用である。これら両血清サブタイプ由来のOMVの混合物の補充が好ましい。
【0105】
(特異的血清サブタイプ)
本発明は、以下のサブタイプの1つを有する髄膜炎菌から調製されるOMVを含む組成物を提供する:P1.2;P1.2,5;P1.4;P1.5;P1.5,2;P1.5,c;P1.5c,10;P1.7,16;P1.7,16b;P1.7h,4;P1.9;P1.15;P1.9,15;P1.12,13;P1.13;P1.14;P1.21,16;P1.22,14。
【0106】
上記髄膜炎菌は好ましくは血清群Bである。
【0107】
これらのOMVは、上に記載されるような、本発明での使用に適している。
【0108】
(OMV投与レジメン)
本発明は、患者に髄膜炎菌OMVを投与するための方法を提供し、ここで第1の投薬は時間0において与えられ、第2および第3の投薬は、次の2ヶ月にわたり与えられ、第4の投薬は、時間0から11ヶ月後と13ヶ月後の間に与えられる。
【0109】
本発明はまた、患者に髄膜炎菌OMVを投与するための方法を提供し、ここで第1の投薬は時間0において与えられ、第2および第3の投薬は、次の2ヶ月にわたり与えられ、第4の投薬は、時間0から11ヶ月後と13ヶ月後の間で与えられ、そしてここで(a)第1、第2および第3の投薬は、互いに同じ血清サブタイプを有するOMVを含み、かつ(b)第4の投薬は、はじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプを有するOMVを含む。第4の投薬は、はじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプを有するOMVのみ含み得るか、または2つの型のOMVを含み得、1つは、はじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプを有し、1つは同じサブタイプを有する。
【0110】
第1、第2および第3の投薬は、好ましくは6週間と8週間の間の間隔で与えられる。4回目の投薬は、好ましくは時間0から、約1年後に与えられる。
【0111】
患者は、好ましくは第4の投薬それぞれで、同量のワクチンを与える。
【0112】
OMVは、好ましくは、血清サブタイプP1.7b,4および/またはP1.7,16である。
【0113】
本発明はまた、患者に髄膜炎菌ワクチンを投与するための方法を提供し、ここで:(a)本ワクチンは、第1の血清サブタイプを有する髄膜炎菌OMVを含み;(b)この患者は、第2の血清サブタイプを有する異なるOMVワクチンを以前に受けており、異なるOMVワクチンの第1の投薬が本方法の11ヶ月より前に与えられている。
【0114】
本発明はまた、髄膜炎菌性髄膜炎に対して免疫化するための医薬の製造における、第1の血清サブタイプを有する髄膜炎菌OMVの使用を提供し、ここでこの医薬は、第2の血清サブタイプを有するOMVであらかじめ免疫化されている、患者に投与するためである。
【0115】
OMV投与はまた、髄膜炎菌結合体化ワクチンでの免疫化に続き得る。従って、本発明は、少なくとも髄膜炎菌性髄膜炎に対して免疫化するための医薬の製造における第1の髄膜炎菌血清群由来の髄膜炎菌OMVの使用を提供し、ここでこの医薬は、第2の髄膜炎菌血清サブタイプ由来の結合莢膜サッカリドを用いてあらかじめ免疫されている患者に投与するためである。同様に、本発明は、患者に髄膜炎菌ワクチンを投与するための方法を提供し、ここで:(a)このワクチンは、第1の血清群を有する髄膜炎菌OMVを含み;(b)この患者は、あらかじめ第2の髄膜炎菌血清群由来の結合莢膜サッカリドを受けている。
【0116】
予備免疫は、OMVが投与される6ヶ月以上前に実施され得る(例えば、11ヶ月以上前)。従って、例えば、患者は時間0で結合体化サッカリドが与えられ、次いでOMVが11ヶ月後に与えられ得る。
【0117】
髄膜炎菌サッカリドを用いる予備免疫は、好ましくは少なくとも血清群Cを用いるが、1つより多い血清群、例えばA+Cの両方、A+C+YおよびA+C+W135+Yなどを用い得る。
【0118】
第1の血清群は、好ましくは血清群Bである。
【0119】
OMVは、髄膜炎菌結合体と同時に投与され得、すなわち、患者はさらにOMVを受けるのと同時に髄膜炎菌結合体の投薬を受けている。
【0120】
患者は、第1の血清群由来のOMVを用いて予備免疫されていてもよいし、されていなくてもよい。
【0121】
患者は、b型H.influenzae莢膜サッカリド結合体を用いて予備免疫され得る。
【0122】
患者は、ジフテリア毒素よび百日咳毒素を用いて予備免疫され得る。
【0123】
(概要)
用語「〜を含む(comprising)」は、「〜を含む(including)」および「〜からなる」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなり得るか、または何かの付加を含み得る(例えば、X+Y)。
【0124】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0125】
用語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないものであり得る。必要な場合、用語「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
髄膜炎菌の血清群A、B、C、W135およびYの2つ以上に由来の外膜ベシクル(OMV)を含有する、組成物。
(項目2)
以下の血清群の組み合わせ:A+B;A+C;A+W135;A+Y;B+C;B+W135;B+Y;C+W135;C+Y;W135+Y;A+B+C;A+B+W135;A+B+Y;A+C+W135;A+C+Y;A+W135+Y;B+C+W135;B+C+Y;C+W135+Y;A+B+C+W135;A+B+C+Y;B+C+W135+Y;およびA+B+C+W135+Yの1つに由来するOMVを含有する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記組成物が、高侵襲性系統における髄膜炎菌株由来のOMVを含有する、項目1および項目2のいずれかに記載の組成物。
(項目4)
前記組成物が、高毒性系統における髄膜炎菌株由来のOMVを含有する、項目1〜項目3のいずれかに記載の組成物。
(項目5)
前記株が、以下の7つの高毒性系統:サブグループI;サブグループIII;サブグループIV 1;ET 5複合体;ET 37複合体;A4クラスター;系統3のいずれか由来である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記組成物が、LPS生合成に関与する1つ以上の酵素のノックアウトを有する髄膜炎菌由来のOMVを含有する、項目1〜項目5のいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記組成物が、NspAを過剰発現する髄膜炎菌由来のOMVを含有する、項目1〜項目6のいずれかに記載の組成物。
(項目8)
各サブタイプについてOMVの濃度が、10μg/mlおよび500μg/mlである、項目1〜項目7のいずれかに記載の組成物。
(項目9)
タンパク質1μgごとに0.4μg未満のデオキシコール酸を含有する、項目1〜項目8のいずれかに記載の組成物。
(項目10)
タンパク質1μgごとに0.12μg未満の髄膜炎菌LPSを含有する、項目1〜項目9のいずれかに記載の組成物。
(項目11)
髄膜炎菌の株由来の外膜ベシクルを含有する組成物であって、株が血清群C、W135またはYである、組成物。
(項目12)
髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYの1つ以上に由来の結合体化莢膜サッカリドをさらに含有する、項目1〜項目11のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
第1の投薬が時間0で与えられ、第2および第3の投薬が次の2ヶ月にわたり与えられ、そして第4の投薬が時間0から11ヶ月後と13ヶ月後との間で与えられる、患者に髄膜炎菌OMVワクチン(例えば、項目1に記載のワクチン)を投与する、方法。
(項目14)
第1の投薬が時間0で与えられ、第2および第3の投薬が次の2ヶ月にわたり与えられ、そして第4の投薬が時間0から11ヶ月後と13ヶ月後の間で与えられ、ここで(a)該第1、第2および第3の投薬は互いに同じ血清サブタイプをもつOMVを含み、そして(b)該第4の投薬は、はじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプをもつOMVを含む、患者に髄膜炎菌OMVワクチンを投与する、方法。
(項目15)
前記第4の投薬がはじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプをもつOMVのみを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第4の投薬が、2つの型のOMVを含み、1つははじめの3回の投薬とは異なる血清サブタイプを有し、1つははじめの3回の投薬と同じサブタイプを有する、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記OMVが、血清サブタイプP1.7b,4のものである、項目12〜項目16のいずれか1つに記載の方法。
(項目18)
前記OMVが、血清サブタイプP1.7,16のものである、項目12〜項目16のいずれか1つに記載の方法。
(項目19)
患者に髄膜炎菌ワクチンを投与するための方法であって、(a)該ワクチンは第1の血清サブタイプを有する髄膜炎菌OMVを含有し;(b)該患者は、第2の血清サブタイプを有する異なるOMVワクチンを以前に受けており、該異なるOMVワクチンの第1の投薬が該方法の11ヶ月より前に与えられている、方法。
(項目20)
髄膜炎菌性髄膜炎に対して免疫するための医薬の製造における第1の血清サブタイプを有する髄膜炎菌OMVの使用であって、該医薬は第2の血清サブタイプを有するOMVを用いて予備免疫された患者に投与するためである、使用。
(項目21)
前記第2の血清サブタイプがP1.7b,4である、項目19に記載の方法または項目20に記載の使用。
(項目22)
前記第2の血清サブタイプがP1.7,16である、項目19に記載の方法または項目20に記載の使用。
(項目23)
前記第2の血清サブタイプがP1.19,15である、項目19に記載の方法または項目20に記載の使用。
(項目24)
前記予備免疫が、医薬が投与される11ヶ月より前であった、項目19〜項目22のいずれか1つに記載の使用。
(項目25)
ワクチンの製造における使用のために、(i)髄膜炎菌性髄膜炎の発症と関連する髄膜炎菌株の血清サブタイプを同定する工程;および(ii)工程(i)において同定された血清サブタイプを有する髄膜炎菌由来のOMVを調製する工程を包含する、髄膜炎菌外膜ベシクル(OMV)ワクチンを調製するための、方法。
(項目26)
(iii)ワクチンとして前記OMVを処方する工程;および(iv)前記発症により影響されるかまたは影響されるであろう地理的領域に該ワクチンを配給する工程;のさらなる工程のうちの1つまたは両方を包含する、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記髄膜炎菌株が血清群Bである、項目25または項目26に記載の方法。
(項目28)
第2の血清群における1つ以上の髄膜炎菌株に対して防御するための、第1の血清群における髄膜炎菌株由来のOMVの使用であって、該第1の血清群と該第2の血清群とが異なっている、使用。
(項目29)
前記第1の血清群由来のOMVの濃度が45μg/mlより少なく、前記第2の血清群由来のOMVの濃度が45μg/mlより少ない、第1の髄膜炎菌血清サブタイプおよび第2の髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する、組成物。
(項目30)
前記第1の血清サブタイプ由来のOMVの濃度が約25μg/mlであり、前記第2の血清サブタイプ由来のOMVの濃度が約25μg/mlである、第1の髄膜炎菌血清サブタイプおよび第2の髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する、組成物。
(項目31)
約25μg/mlの濃度で第3の髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する、項目30に記載の組成物。
(項目32)
合わせたOMVの濃度が90μg/mlより少ない、少なくとも2つの髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する、組成物。
(項目33)
n個の異なる髄膜炎菌血清サブタイプ由来の外膜ベシクルを含有する組成物であって、該n個のサブタイプそれぞれに由来のOMV濃度が45μg/mlより少なく、ここでnが1、2、3、4、5または6である、組成物。
(項目34)
髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYの1つ以上に由来の結合体化莢膜サッカリドをさらに含有する、項目29〜項目33のいずれか1つに記載の組成物。
(項目35)
nが2、3、4、5または6であり、n個の異なる血清サブタイプから調製されるOMVを含む、キット。
(項目36)
nが2、3、4、5または6であり、各nの異なるサブタイプ由来の、nセットのOMVを調製する工程;そしてキット中または混合物中のいずれかにnセットのベシクルを組み合わせる工程を包含する、プロセス。
(項目37)
P1.7b,4血清サブタイプを有する血清群Bの髄膜炎菌株から調製されるOMVを含有する組成物であって、組成物におけるOMV濃度が約50μg/mlである、組成物。
(項目38)
前記組成物が、水酸化アルミニウムアジュバントおよびヒスチジン緩衝液を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
約0.5mlの投薬容量における、項目37または項目38に記載の組成物。
(項目40)
nが2、3、4、5または6であり、n個の異なる髄膜炎菌高毒性系統に由来の外膜ベシクルを含有する、組成物。
(項目41)
前記高毒性系統として、サブグループI、サブグループIII、サブグループIV 1、ET 5複合体、ET 37複合体、A4クラスターおよび系統3が挙げられる、項目40に記載の組成物。
(項目42)
nが2または3であり、n個の異なる髄膜炎菌NMB1870改変体に由来の外膜ベシクルを含有する、組成物。
(項目43)
以下のサブタイプ;P1.2;P1.2,5;P1.4;P1.5;P1.5,2;P1.5,c;P1.5c,10;P1.7,16;P1.7,16b;P1.7h,4;P1.9;P1.15;P1.9,15;P1.12,13;P1.13;P1.14;P1.21,16;およびP1.22,14の1つを有する髄膜炎菌から調製されるOMVを含有する、組成物。
(項目44)
(i)血清サブタイプP1.7b,4髄膜炎菌;(ii)血清サブタイプP1.7,16髄膜炎菌;および(iii)血清サブタイプP1.19,15髄膜炎菌、の2つまたは3つに由来の外膜ベシクルの混合物を含有する、組成物。
(項目45)
髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYの1つ以上に由来の結合体化莢膜サッカリドをさらに含有する、項目37〜項目44のいずれか1つに記載の組成物。
(項目46)
(i)血清サブタイプP1.7b,4髄膜炎菌;(ii)血清サブタイプP1.7,16髄膜炎菌;および(iii)血清サブタイプP1.19,15髄膜炎菌の2つまたは3つに由来の外膜ベシクルの分離した容器を含む、キット。
(項目47)
髄膜炎菌血清群A、C、W135およびYの1つ以上に由来の結合体化莢膜サッカリドをさらに含む、項目35または項目46に記載のキット。
(項目48)
少なくとも髄膜炎菌性髄膜炎に対して免疫するための医薬の製造における第1の血清サブタイプに由来の髄膜炎菌OMVの使用であって、該医薬は第2の血清サブタイプに由来の結合莢膜サッカリドを用いて予備免疫された患者に投与するためである、使用。
【発明を実施するための形態】
【0126】
(本発明を実施するための様式)
OMV投薬−単一株
MeNZBTM製品の投薬試験を、健常な成人において実施した。成人に、25μgまたは50μgのいずれかのOMVの3回の投薬を与え、25mm23ゲージの針を介して6週間間隔で与えらた。3回目のワクチン接種後4〜6週間で測定されたワクチン株に対するSBA力価の4倍の上昇が、25μg用量を受けた患者100%でみられたが、驚くことに高用量を受けた患者87%だけにしかみられなかった。応答者の割合はまた、2回目の投薬後、低用量においてより高かった(87%対78%)。そのため低用量をさらなる使用のために選択し、このことによって、ワクチンのストックを2倍の患者の免疫化のために提供することが可能になった。
【0127】
OMV投薬−複数混合株
ノルウェー株H44/76から調製されるOMVは以前に記載され、臨床試験のフェーズI、IIおよびIIIにおいてヒト患者に投与された。これらは、MenBvacTM製品のベースを形成する。同様に、ニュージーランド株HZ98/254から調製されるOVAは、MenNZBTM製品のベースを形成する。これらの安全性および有効性は確かめられている。
【0128】
MenNZBTMおよびMenBvacTMの両方は、0.5ml用量において50μg/ml(タンパク質の量として測定される)の濃度でOMVを含む。2つの異なる血清サブタイプに対する効果を維持するために、ヒトにおいて2つのOMVの組み合わせを試験する場合、もっとも直接的な比較は、各OMVの濃度を50μg/mlに保つことである。対照的に、本発明者らは、総OMV用量を2つの一価の製品(50μg/ml)と同じに保つことを選択し、各OMVの半分の量に変えた(すなわち各血清サブタイプの25μg/mlを使用する)。
【0129】
合わせたワクチンは、以前にMenNZBTMまたはMenBvacTMのいずれかを受けた患者に投与される。1価のOMVの最初の投与から1年後に、この組み合わせが与えられる。
例示のみで、本発明が記載されており、本発明の範囲および趣旨の範囲内である限り、改変がなされ得ることが理解される。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2011−236254(P2011−236254A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−185225(P2011−185225)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−529033(P2007−529033)の分割
【原出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(507238285)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (35)
【Fターム(参考)】