説明

髄膜炎菌特異的抗血清に対する血清殺菌アッセイ

【課題】グラム陰性細菌、特に、髄膜炎菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイを提供する。
【解決手段】SBAアッセイは、髄膜炎菌に対する血清抗体の機能的活性を測定するための最も重要な方法である。被験体または集団が侵襲的髄膜炎菌に対して血清反応陽性であるかどうかを決定するためには、SBA試験は理想的には感度がよく、かつ特異的であるべきである。標準的な髄膜炎菌血清型AおよびWのSBAを、この点において大幅に改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイセリアワクチン組成物、ならびにその投与後に引き出される免疫応答の品質、例えば、防御の、特に、血清殺菌活性(SBA)の実験室相関を評価するための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイセリア・メニンギティディス(髄膜炎菌)は、しばしばヒト上気道から単離されるグラム陰性細菌である。それは、菌血症および髄膜炎などの重篤な侵襲性細菌疾患(風土病規模および伝染病規模で)の原因である。髄膜炎菌性疾患の発生は、地理的、季節的および年次的差異を示す(Schwartz, B., Moore, P.S., Broome, C.V.; Clin. Microbiol. Rev. 2 (補遺), S18-S24, 1989)。この細菌は主に6ヶ月から2歳の子供を襲うが、十代の若者も襲う。この細菌は、一般的には、その莢膜多糖類の血清群に従って分類される。
【0003】
温帯国における多くの疾患は、血清群Bの株に起因するものであり、発生率が1〜10/100,000/年総人口で変化し、時には、より高い値に達する(Kaczmarski, E.B. (1997), Commun. Dis. Rep. Rev. 7: R55-9, 1995; Scholten, R.J.P.M., Bijlmer, H.A., Poolman, J.T.ら、Clin. Infect. Dis. 16: 237-246, 1993; Cruz, C., Pavez, G., Aguilar, E.,ら、Epidemiol. Infect. 105: 119-126, 1990)。
【0004】
多くは中央アフリカにおける血清群Aの髄膜炎菌が優勢な伝染病は、最大1000/100,000/年のレベルの発生率に達することもある(Schwartz, B., Moore, P.S., Broome, C.V. Clin. Microbiol. Rev. 2 (補遺), S18-S24, 1989)。ほとんど全ての事例で、髄膜炎菌性疾患の全体は、血清群A、B、C、W-135およびYの髄膜炎菌により引き起こされ、四価のA、C、W-135、Y型莢膜多糖ワクチンが利用可能である(Armand, J., Arminjon, F., Mynard, M.C., Lafaix, C., J. Biol. Stand. 10: 335-339, 1982)。利用可能な莢膜多糖ワクチンは、現在ではそれらを担体タンパク質に化学的にコンジュゲートさせることにより改良されている(Lieberman, J.M., Chiu, S.S., Wong, V.K.ら、JAMA 275 : 1499-1503, 1996)。血清群Bの莢膜多糖類は、おそらく、それが宿主の成分との構造的類似性を有するため、非免疫原性であることがわかった(Wyle, F.A., Artenstein, M.S., Brandt, M.L.ら、J. Infect. Dis. 126: 514-522, 1972; Finne, J.M., Leinonen, M., Makela, P.M. Lancet ii.: 355-357, 1983)。
【0005】
髄膜炎菌感染の頻度は、多くの欧州諸国において過去数十年で上昇してきた。これは混雑した条件(例えば、ディスコ、スイミングプール、劇場など)下での社会活動の増加に起因する伝染率の増加が原因であった。標準的な抗生物質のいくつかに対して感受性が低いか、またはそれらに対して耐性を有する髄膜炎菌を単離することはもはや珍しいことではない。この現象は、新しい抗微生物剤、ワクチン、薬剤スクリーニング方法、およびこの生物のための診断試験に対する満たされていない医学的ニーズおよび需要を作り出してきた。
【0006】
有効なワクチンの開発には、ワクチン接種された個体において有効な免疫応答が引き出されたかどうかを確証するための信頼できる試験が必要である。髄膜炎菌血清群A、BおよびCワクチンについては、血清殺菌活性(SBA)アッセイがこの分野における黄金標準であると認められている(SBAにおける4倍の増加は、これらの血清群に対する防御の代用指標であると受け入れられている) [Borrowら、2001, Infect Immun 69:1568-1573; Vermontら、2002, FEMS ImmunおよびMed Microbiol 34:89-96]。このアッセイは、a)任意の特定の血清サンプルが防御閾値に到達するのに十分な殺菌抗体のレベル(力価)を有するかどうか、b)このレベルを超える被験体の血清反応陽性率(%SP)、c)i)特定の倍数(4倍)を超えて増加するSBA力価(免疫後と免疫前の血清力価)の比率、またはii)同様に、被験体(すなわち、非常に若い)における免疫前のSBA力価のレベルが防御SBA閾値より低い場合の%SPの被験体の血清変換率(%SC)に関する情報を与えることができる。従って、このアッセイを、(防御およびワクチン効力の)一次読み出しとして用いる。SBAアッセイに加えて、IgG ELISAアッセイが、二次読み出しとして用いられることが多い。これらのELISAアッセイは、髄膜炎菌の莢膜多糖類(A、C、W135またはY)に結合する血清サンプル中のIgG抗体の濃度(μg/ml)を測定するものである。
【0007】
A、C、W-135(またはW)、およびYのSBAアッセイにおいては、それぞれに特異的な抗血清群A、C、WおよびY髄膜炎菌抗体の効果を、補体(典型的には、子ウサギに由来するもの[rSBAアッセイ]、またはあるいは、ヒト血清に由来するもの[hSBAアッセイ])の存在下で評価する。細菌と補体の混合物を、血清に添加する。髄膜炎菌特異的抗体は、髄膜炎菌特異的タンパク質または糖鎖部分を介して、標的細胞表面に結合する。C1のC1qサブユニットは、表面結合したIgのFc部分に結合する。IgへのC1qの結合は、補体の古典的経路を活性化し、最終的には標的細胞の死をもたらす。各血清に関する殺菌力価を、50%殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す。
【0008】
SBAアッセイ方法は、当業界でよく知られている。1976年に、生物学的検定法に関するWHO専門家委員会は、髄膜炎菌多糖ワクチンの製造および発売のための要件を満たすためにSBAアッセイを用いることを推奨した(WHO Tech. Rep. Ser. 1976, 594:72-73)。この時点以来、米国疾病対策予防センター(CDC)、Atlanta、Georgia、USAは、SBAアッセイにおける様々な変数(ウェルあたりのCFU数、アッセイのバッファー、標的株の増殖、アッセイのインキュベーション時間、補体の供給源、補体濃度、および血清の出発希釈率)を研究し、当業界でよく知られ、また用いられている標準的なSBAアッセイプロトコルを推奨してきた(Maslankaら、Clin. Diag. Laboratory Immun. 1997, 4:156-167)。典型的には、CDCはまた、髄膜炎菌ワクチンの分野でSBAアッセイにおいて使用すべき髄膜炎菌株を推奨および提供している。例えば、髄膜炎菌血清群C(MenC)SBAアッセイ(WHOガイドライン)については、使用が推奨されるアッセイ株に関してコンセンサスに達している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
上述のように、SBAアッセイは、髄膜炎菌に対する血清抗体の機能的活性を測定するための最も重要な方法である。被験体または集団が侵襲的髄膜炎菌に対して血清反応陽性であるか(またはワクチン接種後に血清変換したか)どうかを決定するために、SBA試験は、理想的には感度が高く、かつ特異的であるべきである。SBA試験はは、有効なワクチン(MenA/W/C/Y莢膜糖類コンジュゲートワクチン)を用いる免疫後に誘導された防御抗体について高感度であるべきであるが、抗体の存在下にない単なる補体に対してはそうではない。また、SBA試験は、それが侵襲株に対する機能的抗体の存在を示す一方、保持(carriage)株に対して有効でありうるが侵襲株に対しては有効ではないかもしれない任意の低アビディティ抗体の存在の効果を最小化するように、特異的であるべきである。
【0010】
本発明者らは、髄膜炎菌血清群AおよびW135に対する防御抗体を評価するのに現在用いられるSBA方法を、上記の点の1つ以上において大幅に改善することができることを見出した。
【0011】
髄膜炎菌血清群A(MenA)については、特定のCDC株がSBAアッセイのために推奨されている(F8238)(Maslankaら、上掲を参照)。しかしながら、本発明者らは、臨床試験において、この株を用いるSBAアッセイはおよそ5ヶ月齢でのワクチン接種(MenA莢膜糖類コンジュゲートワクチンを用いる)により引き起こされる防御免疫応答を確認することができるが、この株を用いるSBAアッセイはより後の年齢(10〜15ヶ月)での免疫前および免疫後の応答を効果的に識別しないことを見出した。本発明者らは、MenA株に対する自然免疫が、感染者(carrier)分離株(主にL11 LOS免疫型)上のエピトープの認識によって1〜2歳の年齢で起こり始めることを見出した。これは、大部分は非莢膜多糖抗原に対する免疫応答に起因し、特に、天然のリポオリゴ糖(LOS)免疫化、およびひょっとすると莢膜多糖抗原に対する低アビディティ抗体に起因するものである。驚くべきことに、CDCにより認可されたMenA SBA株(F8238)は主にL11エピトープを発現することも確認された。
【0012】
従って、MenA莢膜糖類ワクチン組成物を評価するための従来のCDCにより認可されたMenAアッセイの使用における重要な問題が存在する。本発明者らは、新規なMenA参照株を用いて有利なSBA手法を開発した。本発明者らはまた、無症候性感染者から単離された細菌に由来するLOSエピトープに対する自然免疫からワクチン組成物の効力が区別されうるように、自然免疫を誘導し得る成分としてのLOSを有する全てのグラム陰性細菌について一般的に実施することができるSBA手法も開発した。
【0013】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、髄膜炎菌血清群W-135(MenW)SBAアッセイのためにCDCにより提供/示唆された株(S4383株)は、その感度が高すぎて、存在する血清を有さない補体供給源自体により殺傷される点で、この目的にとって最適ではないことを見出した。これは、SBAアッセイのためのこの株の使用における重大な問題を引き起こす。同様に、新規なMen W参照株を用いる有利なSBA手法を開発した。
【0014】
従って、一実施形態においては、以下の特徴:
a)その株が、40%、35%、30%、20%、10%、5%未満もしくは約0%の補体毒性(%)を有し、および/またはその補体毒性(%)が、米国疾病対策予防センター、Atlanta, Georgia, USAもしくはBCCMから入手可能なMen W S4383標準株の値未満であること;
b)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、および/または8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性(%)が、米国疾病対策予防センター、Atlanta, Georgia, USAもしくはBCCMから入手可能なF8238標準株に対する血清反応陽性(%)の値未満であること;ならびに
c)非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチンで免疫した少なくとも25人の3〜5歳の子供の群における前記株に対する血清変換率(%)が、血清を免疫の直前(彼らがナイーブであるとき)と該ワクチンによる免疫の1ヶ月後とで比較して、rSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することにより血清変換率を測定する場合に、50、60、70、80、90または95%を超えること、
を有する髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの参照株のそれぞれに対する、血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ(例えば、hSBAもしくはrSBAアッセイ)が提供される。
【0015】
一実施形態においては、MenA参照株は、L10免疫型の侵襲株である。3125株は、本発明のMenA SBAアッセイにとって非常に好適である。3193株(W135:2a:P1.5,2:L3)は、本発明のMenW SBAアッセイにとって非常に好適である。
【0016】
本発明のさらなる態様においては、グラム陰性細菌に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む該グラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイであって、使用前に、該グラム陰性細菌中に存在するリポオリゴ糖(LOS)エピトープに対する抗体を枯渇させる前記アッセイが、提供される。
【0017】
一実施形態においては、血清サンプルを、グラム陰性細菌中に存在する1種以上のリポオリゴ糖(LOS)エピトープ(好ましくは、LOS分子全体)と共に予めインキュベートして、LOSエピトープに対する抗体を血清サンプルから枯渇させることにより、これを達成する。具体的には、この手法は、MenAにとって有用であり、それぞれ対応するLOSエピトープ/分子とのインキュベーションにより、血清サンプルから、抗-L10および/またはL3,7,9および/またはL1、8抗体および/または抗L11抗体を有利に除去することができる。
【0018】
さらに、本発明のSBAアッセイを実施するためのキット、同様に、SBAアッセイにおける本発明の上記株の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】トリシンゲル電気泳動における各種MenA株についてのLOS免疫型プロフィールを示す図である。
【図2】得られた補体毒性(%)の頻度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の説明
本明細書で言及される刊行物および特許または特許出願の発明主題ならびにそれらの中に開示された情報は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0021】
「リポオリゴ糖」(または「LOS」)に対する言及はまた、「リポ多糖」または「LPS」とも呼ばれ得る。特定の免疫型のLOSエピトープに対する言及はまた、特定の免疫型の完全なLOS分子に対する言及でもある。
【0022】
本明細書における用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、必要に応じて、事例毎に、それぞれ、用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」、および「からなる(consists of)」と置換可能であると本発明者らにより意図される。
【0023】
本明細書に記載される本発明のSBAアッセイは、それが具体的な種類が特定されていることがその試験から明らかである場合を除いて、rSBA(子ウサギの補体を用いる)またはhSBA(ヒトの補体を用いる)アッセイのいずれかでありうる。
【0024】
上述のように、SBAアッセイは、髄膜炎菌に対する血清抗体の機能的活性を測定するための最も重要な方法である。現在まで、SBAは髄膜炎菌に対する防御の最良の代用指標であることが証明されている(それは髄膜炎菌性疾患に対する免疫と高く相関する)。典型的には、免疫の「前」および「後」の血清を、ナイーブ(未感作(naive))な被験体から回収し(例えば、ワクチン投与の直前の被験体[以前にワクチン中の該抗原を含むワクチンで免疫されたことがない]から「予め」回収し、さらに免疫後の1ヶ月「後」に回収する)、髄膜炎菌株に対する希釈殺菌力価を、hSBAアッセイ(例えば、Borrowら、2005 Vaccine 23:2222-2227)またはCDCのプロトコル[例えば、MSG96プロトコル]に従うrSBAアッセイ(Maslankaら、上掲)により決定する。免疫前および免疫後の血清の殺菌力価を、血清および補体とのインキュベーションの前に存在する標的細胞数(例えば、細菌が活性補体の存在下にあるが血清を含まない場合の値)と比較して、細菌の50%の殺傷をもたらす希釈率の逆数として表す(少なくとも50%に対応する2倍血清希釈、または一連の2倍血清希釈からの数学的近似により正確に決定する)。このアッセイは、a)任意の特定の「前」または「後」の血清サンプルが、防御の相関を満足させるのに十分な殺菌抗体のレベル(力価)を有するかどうか(通常、これはhSBAアッセイにおいては4以上の力価であり、あるいはrSBAアッセイについては8以上の力価である[Borrowら、2005、上掲])、b)該当する血清相関レベル以上を示すワクチン接種の前後の試験における被験体(典型的には少なくとも25人、例えば、少なくとも50人)の血清反応陽性率(%SP)、c)ワクチン試験における「後」(および適当な場合は「前」)のSBA力価の全て(典型的には、少なくとも25個、例えば、少なくとも50個)の幾何学平均力価(GMT)、d)i)特定のレベル(通常、免疫後のSBA力価の4倍以上の増加)を超えて増加するSBA力価の比率(免疫前の血清SBA力価に対する免疫後の血清SBA力価);[典型的には、自然免疫が防御レベルの相関を超えて「前」のSBA力価を上昇させたかもしれない場合の成体について用いられる]またはii)該当する血清相関レベル以上を示すワクチン接種後の被験体(典型的には、少なくとも25人、例えば、少なくとも50人)のうちの割合(%)(典型的には、非常に若い子供に用いられる)のいずれかによる試験での被験体(典型的には、少なくとも25人、例えば、少なくとも50人)の血清変換率(%SC)に関する情報を与えることができる。
【0025】
グラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイが、本発明で提供される。SBAアッセイを実行する好適な方法は、当業界でよく知られている(最適化された髄膜炎菌(Nmen)アッセイについては、例えば、Maslankaら(上掲)ならびに本明細書の実施例1および2を参照)。そのようなアッセイは、グラム陰性細菌に対して50%の細胞殺傷を引き起こすのに必要な力価について、血清サンプル(例えば、免疫前および免疫後)を試験することを含む。
【0026】
本発明の(上記のような)一実施形態においては、髄膜炎菌血清群Aまたは血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイは、そのような目的のために従来技術において用いられた株(例えば、CDCにより推奨された株)を超える以下の有益な特徴:
a)i)その株が40%、35%、30%、20%、10%、5%未満、もしくは約0%の補体毒性(%)を有し、および/またはii)その補体毒性(%)が、Men W S4383標準株の値未満であること;
b)i)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、および/またはii)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、F8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること;ならびに
c)血清を免疫直前(彼らがナイーブである場合)と該ワクチンによる免疫の1ヶ月後とで比較して、rSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することにより、血清変換率を測定する場合に、非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチンで免疫した少なくとも25人の3〜5歳の子供の群における前記株に対する血清変換率(%)が50、60、70、80、90もしくは95%を超えること、
を有する髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの参照株のそれぞれに対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む。
【0027】
上記特徴の任意の置換は、本発明者らにより想定されている。特に、特徴a)およびb)の組合せを有する本発明の任意の実施形態として、以下の特徴の組合せが特に想定される。
【表1】

【0028】
これらのそれぞれと、特徴c)から50、60、70、80、90または95%を超える場合を別々に組合わせることができる。特徴c)を、任意の非コンジュゲート髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチン、例えば、GlaxoSmithKline Biologicals s.a.社製のMencevax(商標)などを用いて評価すべきである。これを、3歳を超える被験体(例えば、3〜5歳、または18〜25歳の被験体)において評価すべきである。
【0029】
特徴a)ii)に関して、本発明の実施形態においては、標準株の値「未満」とは、標準株の補体毒性(%)よりも小さい、少なくとも10、20、30、40または50%の補体毒性単位を意味しうる。
【0030】
特徴b)ii)に関して、本発明の実施形態においては、標準株の値「未満」とは、標準株の血清反応陽性率(%)よりも小さい、少なくとも10、20、30、40または50%の血清反応陽性単位を意味しうる。
【0031】
特徴b)ii)を、必要に応じて、未知の参照株に対する3125株の血清反応陽性率(%)の比率が、0.1〜2.5、0.5〜2.0、0.7〜1.5、または約1(0.9〜1.1)であるという特徴に置き換えてもよい( b)ii)により記載されたようにして実施する)。
【0032】
参照株の特徴a)、b)またはc)[またはa)およびb)、a)およびc)、b)およびc)、もしくはa)、b)およびc)]を、補体毒性(%)および/または血清反応陽性率(%)および/または血清変換率(%)の測定を、それぞれ、実施例2b、1bおよび1cに記載のようにして実施することにより好適に評価することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様においては、髄膜炎菌血清群W参照株が、血清の非存在下で補体依存的殺傷に対して感受性ではないか、または米国疾病対策センター、Atlanta, Georgia, USAもしくはBCCMから入手可能なS4383標準参照株よりも血清の非存在下で補体依存的殺傷に対する感受性が低い、髄膜炎菌血清群W参照株に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む髄膜炎菌血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイが、提供される。例えば、髄膜炎菌血清群W参照株の補体毒性(%)が、40%、35%、30%、20%、10%、5%未満であるか、または約0%でありうる。標準株の値「未満」との用語は、標準株の補体毒性(%)よりも小さい、少なくとも10、20、30、40または50%の補体毒性単位を意味しうる。必要に応じて、前記参照株は、上記の特徴c)を有してもよい。
【0034】
補体依存的殺傷に対する髄膜炎菌血清群W参照株の感受性を、実施例2bに記載の方法による補体毒性(%)の測定により確認することができる。
【0035】
補体依存的殺傷に対する、前記アッセイにおいて用いられる髄膜炎菌血清群W参照株の感受性は、当業界で公知の任意の好適なSBAアッセイ(例えば、Maslankaら、上掲)において血清の非存在下で対照を用いることにより確認可能である。例えば、実施例2bのSBAアッセイを用いることができる(その場合に、補体毒性(%)を測定する)。かくして、この対照について得られたコロニー形成単位(CFU)は、ヒト血清サンプルを添加しない細菌の増殖の結果であり、従って、参照株について得られたCFUの平均は、理想的には0%殺傷に一致すべきである。
【0036】
特に、補体毒性(%)は、MenW株、または本明細書で考察される任意のSBA参照株の補体感受性の有用な評価である。さらなるSBA対照を行う場合、希釈液、細菌および不活性化された補体[例えば、使用前に56℃で40分間などの熱処理後のもの](最初の対照において活性な補体の代わりに用いる)をプレートに添加して、これを算出することができる。理想的には、8以上(例えば、48)の活性および不活性サンプルの対を測定して、平均測定値を取得する。それぞれ活性/不活性の対の測定値は、同じロットの補体供給源または異なるロットのものを用いたものであってよいが、それぞれの対の中では、同じロットの補体を用いるべきである。SBAアッセイにとって好適である任意の補体供給源(子ウサギ補体)を用いることができる。活性な補体を用いてサンプル中で得られた細菌殺傷を、不活性な補体を用いてサンプル中で得られた細菌殺傷と比較する。その結果を、以下:
補体毒性(%)=(平均CFU数[不活性化補体]-平均CFU数[活性補体])/(平均CFU数[不活性化補体])×100(%)
で算出することにより補体毒性(%)として表す。
【0037】
SBAアッセイについてCDCから得られたMenW株(S4383)に関する補体毒性(%)は、ある実験においては約55%であった。
【0038】
典型的には、プレート上の補体毒性(%)対照が40%を超える場合(さもなければ、非常に高いSBA力価およびその結果の高い生存能力が得られるであろう)、SBAアッセイプレートを排除する。本発明は、この問題を克服することができ、そのような無駄になるプレートの損失の減少をもたらすことができる。
【0039】
本発明のさらなる態様においては、以下の特徴を有する髄膜炎菌血清群A参照株:
b)i)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であるか、またはb)ii)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)でrSBAアッセイにより血清反応陽性が測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)がF8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること、
に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイが提供される。必要に応じて、血清反応陽性率(%)の測定を、実施例1bに記載のようにして実施してもよい。必要に応じて、前記参照株は上記の特徴c)をも有してよい。
【0040】
特徴b)ii)に関して、本発明の実施形態においては、標準株の値「未満」とは、標準株についての血清反応陽性率(%)よりも小さい、少なくとも10、20、30、40または50%の血清反応陽性単位を意味しうる。
【0041】
必要に応じて、特徴b)ii)を、未知の参照株に対する3125株の血清反応陽性率(%)の比率が0.1〜2.5、0.5〜2.0、0.7〜1.5、または約1(0.9〜1.1)であるという特徴により置き換えてもよい。
【0042】
一般的には、特徴b)に関する本発明の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイについては、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供はフィリピン出身であってよい。本発明の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイについては、髄膜炎菌血清群A参照株は侵襲株であってよく、必要に応じて、免疫型L10(もしくはこの免疫型が優勢)のもの、例えば、3125株であってよく、または必要に応じて、免疫型L3,7,9(もしくはこの免疫型が優勢)のもの、例えば、3048株であってよい。場合により、Marc Achtman (Max-Planck Institut fur Infektionsbiologie, Berlin, Germany)社製のA群株Z1092(4,21:P1.10)[Granoffら、2005 Vaccine 23:4307-4314]は、本発明のMenA参照株ではない。本発明の髄膜炎菌血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイについては、髄膜炎菌血清群W参照株は侵襲株であってよく、必要に応じて、免疫型L3,7,9(もしくはこの免疫型が優勢)のもの、例えば、3193株であってよい。場合により、米国疾病対策予防センター(CDC)から入手したW-135群のM9262株(2a:P1.5,2)[Granoffら、2005 Vaccine 23:4307-4314]は、本発明のMenW参照株ではない。明らかに、F8238株およびS4383株は、本発明の上記態様のSBA標準株ではない。
【0043】
本発明の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイにおいては、血清サンプルを、髄膜炎菌血清群Aおよび/またはWに由来する莢膜糖類(オリゴ糖または多糖)抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含むワクチン組成物で免疫した宿主から取得することができる。
【0044】
本発明の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイにおいては、血清サンプルは、0〜55歳、1ヶ月〜20歳、2ヶ月〜16歳、6ヶ月〜10歳、8ヶ月〜7歳、10ヶ月〜4歳、0〜2歳、6ヶ月〜2歳、または1〜2歳のヒトから取得されたものである。
【0045】
本発明のSBAアッセイを実施するためのキットも提供される。そのようなキットにおいて、本発明の参照株が提供されうる。これを、SBAアッセイにおける使用の必要な説明書、および必要に応じて、他のSBAアッセイ試薬と共に提供することができる。
【0046】
本発明の参照株(特に、Netherlands Reference Laboratory for Bacterial Meningitis, Amsterdamからの[またはECACCからの]髄膜炎菌W135:2a:P1.5,2:L3分離株3193 -この株の補体毒性(%)は非常に低いことがわかった[ある実験においては約-9%]またはNetherlands Reference Laboratory for Bacterial Meningitis, Amsterdamからの[またはECACCからの]髄膜炎菌A:NT:P1.6:L3,6分離株、または侵襲的L10髄膜炎菌血清群A株[分離株3125など]、または本明細書に記載のような類似する性質を有する株)のSBAアッセイにおける使用は、本発明のさらなる態様である。
【0047】
本発明者らはさらに、それが、少なくとも部分的には、ナイーブな1〜2歳の子供から得た血清中で高い見掛けのSBA力価をもたらし得るグラム陰性細菌(例えば、血清群Aの髄膜炎菌)の保持株に由来するLOSに対する抗体応答であることを見出した。
【0048】
従って、本発明のさらなる態様においては、グラム陰性細菌に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含むグラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイであって、使用前に、該血清サンプルから該グラム陰性細菌中に存在するリポオリゴ糖(LOS)エピトープに対する抗体を枯渇させる、前記アッセイが提供される。「枯渇させる」とは、少なくとも1つの免疫型のLOSに対する抗体の濃度が、20、30、40、50、60、70、80、90、95または100%減少することを意味する。
【0049】
この血清サンプルは、ナイーブな宿主(前記グラム陰性細菌に由来する抗原を含むワクチン組成物で免疫されていない宿主)またはグラム陰性細菌に由来するLOS抗原を含まないワクチン組成物で免疫された(例えば、血清回収の1ヶ月前に)宿主から取得されたものであってよく、ここで、ワクチン組成物中に存在する抗原を含むグラム陰性細菌に関するSBA力価が測定される。例えば、前記ワクチン組成物は、グラム陰性細菌に由来する莢膜糖類(オリゴ糖もしくは多糖)抗原(好ましくは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、インフルエンザ菌由来プロテインDなどの担体タンパク質にコンジュゲートされたもの)を含んでもよい。
【0050】
一実施形態においては、本発明の血清殺菌活性(SBA)アッセイは、使用前に、血清サンプルを、前記グラム陰性細菌の1種以上のリポオリゴ糖(LOS)エピトープまたは1種以上の免疫型のLOS分子と共に予備インキュベートして、該LOSエピトープ/免疫型に対する抗体の前記血清サンプルを枯渇させるようにして、実施する。「LOSエピトープ」は、LOS免疫型の原因であるLOS上に存在するオリゴ糖構造、もしくはそのミモトープ、またはLOS分子全体でさえ用いられることを意味する。
【0051】
一実施形態においては、血清サンプルを枯渇させるのに用いられる1種以上のLOSエピトープ/免疫型は、グラム陰性細菌の保持株において優勢である1種以上のLOSエピトープ/免疫型を含む。「優勢」とは、前記細菌の保持株の10、20、30、40、50または60%を超える割合が、前記エピトープを含むことを意味する。
【0052】
本発明のSBAアッセイは、グラム陰性細菌がLOSを有する任意のグラム陰性細菌のSBAアッセイに適用可能であることが想定される。一実施形態においては、それは、ナイセリア属菌株、例えば、髄膜炎菌血清群A、B、C、WまたはY、特に、血清群A(MenA)に対するSBAアッセイにおいて有用であろう。
【0053】
そのようなナイセリア属菌のSBAアッセイにおいては、使用前に、血清サンプルを、1種以上のLOS免疫型から誘導されたLOSエピトープと共に、またはL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11およびL12からなる群より選択される1種以上のLOS免疫型と共に、予備インキュベートすることができる。例えば、予備インキュベーション工程を、L11(MenA保持株の最も一般的な免疫型)および/またはL3,7,9および/またはL10および/またはL1および/またはL8および/またはL2を用いて行ってもよい。
【0054】
予備インキュベーションは、例えば、100μg/mlのLOS溶液(V/V混合物を作製し、それにより最終濃度50μg/mLのLOSを得ることができる)と共に血清サンプルを37℃で1時間インキュベートすることにより容易に達成することができる。
【0055】
髄膜炎菌のリポオリゴ糖(LOS)は、O-側鎖を欠くことにより腸内細菌科のリポ多糖(LPS)とは異なっており、すなわちラフ型のLPSに類似する外膜結合型糖脂質である(Griffissら、Rev Infect Dis 1988; 10: S287-295)。LOSのオリゴ糖部分内の不均一性は、異なる髄膜炎菌株間で構造的および抗原的多様性をもたらす(Griffissら、Inf. Immun. 1987; 55: 1792-1800)。これを用いて、前記株は上記の12の免疫型に再分類されている(Scholtanら、J Med Microbiol 1994, 41:236-243)。免疫型L3、L7およびL9は、免疫学的に同一であり、構造的に類似しており(または同じでさえある)、従って、L3,7,9と命名されている(または、本明細書の目的のためには、一般的に「L3」と称される)。髄膜炎菌LOS L3,7,9(L3)、L2およびL5を、シアル化により修飾することができる。LOSに対する抗体は、髄膜炎菌に感染した子供における殺菌活性に寄与することが示されている(Griffissら、J Infect Dis 1984; 150: 71-79)。
【0056】
本発明のさらなる実施形態においては、LOS予備インキュベーション工程を、本明細書に記載のいずれかまたは全部のSBAアッセイに加える(例えば、本発明の髄膜炎菌血清群AまたはWの参照株を用いる)。
【0057】
LOSに対する抗体を血清サンプルから枯渇させるための手段(例えば、上記の手段)およびSBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、本発明のこのSBAアッセイを実行するためのキットも提供される。本発明の血清および/または参照株を予備インキュベートするためのLOSエピトープ(好ましくは、LOS全体)を、該キット中に提供することができる。使用のために必要な説明書、および必要に応じて、他のSBAアッセイ試薬を含有させることもできる。好適な免疫型の細菌からLOSを単離する方法は、当業界でよく知られている(例えば、Wesphal & Jannの温水-フェノール手順[Meth. Carbo. Chem. 1965, 5:83-91])。また、Galanosら、1969, Eur J Biochem 9:245-249、およびWuら、1987, Anal Bio Chem 160:281-289も参照されたい。そのような方法を用いて、本発明のキットに含まれるLOSを作製することができる。
【0058】
あるいは、ナイーブな宿主における抗LOS抗体に対する保持株の効果を、SBAアッセイ株が抗LOS抗体と交叉反応しなかった場合に、SBAアッセイの問題から取り除くことができる。かくして、本発明のさらなる態様においては、LOSを合成することができないかまたはトランケート(末端切断)されたLOSオリゴ糖構造を産生するかのいずれか(該株が血清サンプル中の抗LOS抗体に対して感受性でないように)であるLOS突然変異体のグラム陰性細菌参照株に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、グラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイが提供される。髄膜炎菌については、例えば、lpxX突然変異体または他の公知の突然変異体を用いて、LOSを除去することができる。あるいは、高度にトランケートされたLOS構造を、本発明のSBAアッセイのいずれか、または全部における参照株として用いることができるlgtA(-)、lgtE(-)またはgalE(-)株において作製することができる。また、そのような突然変異参照株、およびSBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む本発明のこのSBAアッセイを実行するためのキットも提供される。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は、特に詳細に別途説明されたものを除いて、当業者にはよく知られ、かつ日常的である標準的な技術を用いて実行されたものである。この実施例は説明的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0060】
実施例1a:典型的なMenA SBAアッセイ手順(例えば、参照株として3125またはF8238 MenA株を用いる)
日とその変化
1日目
1.使用種菌の前培養
使用種菌MenA 3125(またはF8238)(-70℃)
単離方法において以下のプレートの全体に50μLの細菌を広げる:
・3つの脳心臓輸液+1%ウマ血清(BHI)(4℃)
・1つのThayer Martin(TM)→抗生物質を含むN.メニンギティディス(Nmen)に対する選択培地(4℃) (髄膜炎菌細胞が存在することを示す対照プレート)
・1つの栄養寒天(NA)→夾雑物の検出(4℃)(増殖する夾雑物が存在しないことを示す対照プレート-Nmenは増殖しない)。
コロニーを増殖させるために、加湿5%CO2下で、37℃にて一晩または約40〜42時間インキュベートする。
【0061】
2日目
2.固体培地上でのWSの培養
TMおよびNA培地を対照にする:試験前に確認。
1個のBHIペトリ皿から約20個のコロニー(よく単離されたもの)を取得する。
これらのコロニーを1個のBHIの全体に広げ、この操作を3回繰り返す。
加湿5%CO2下、37℃にて4時間インキュベートする。
【0062】
3.サンプルおよび対照の調製
(血清サンプルおよび対照を、使用前に56℃で40分間、不活性化させる)
アッセイ用希釈液PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4を用いてチューブ中で希釈する(4℃)。
CTRL1:(-20℃) チューブ中の希釈率1/32(マイクロプレート中では1/128)。
CTRL2:(-20℃) チューブ中の希釈率1/128(マイクロプレート中では1/512)。
(CTRL1/2はSBA力価が分かっている血清サンプルの任意的な対照である)
マイクロプレート中のサンプル1/8:チューブ中の希釈率1/2。
マイクロプレート中のサンプル1/256:チューブ中の希釈率1/64。
【0063】
4.サンプルおよび対照の添加
4.1.アッセイ用希釈液の添加(マイクロプレート・フタ付きNunc 96穴平底滅菌マイクロプレート中)
希釈液:PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4
マイクロプレートの各ウェルに各25μLの希釈液を分注する。
【0064】
4.2.サンプルおよび対照の添加
第1行、第1〜5列および第7〜11列に、25μLのサンプルおよび対照を分注する。
第1行中の溶液を混合する。
AからBに25μLを移す。第B行から第C行、...第G行から第H行への移動を繰り返す。
第H行中の血清を混合した後、25μLを除去し、廃棄する。
25μLのサンプルを第12列に分配し、サンプル1をウェルAに、...サンプル8をウェルHに分注する。
混合する。
混合後、25μLを除去し、廃棄する。
【0065】
5.細菌懸濁液の調製
5.1. 5 mLのアッセイ希釈液を用いる1 BHIからのコロニーの採集
この懸濁液をアッセイ希釈液で希釈して、600 nmでのOD+/-0.4000(0.380〜0.420)を得る。
【0066】
5.2. 細菌懸濁液
細菌懸濁液の1:175000希釈液を調製する[約114 CFU/25μl]:
1:10:1 mL 0.400吸光度+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:100:1 mLの1:10溶液+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:1000:1 mLの1:100溶液+9 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:10)
1:175000:2 mLの1:1000溶液+33 mLアッセイ希釈液 希釈率(1:17.5)。
【0067】
6. 細菌/補体混合物の添加
ウサギ補体Pel Freez(-70℃)[例えば、3〜4週齢の子ウサギから得た補体]
不活性および活性な補体の解凍を、室温で行う。
50%の補体および50%の1:175000細菌懸濁液に対応する、不活性および活性な補体と細菌との混合物を調製する。
25μLの不活性混合物を第12列に添加する。
25μLの活性混合物を第1〜11列に添加する。
プラスチックフィルムでマイクロプレートを被覆する。
回転式振とう器(210 rpm)中、37℃で1時間30分インキュベートする。
【0068】
3日目
7. 寒天培地の添加
マイクロ波中で寒天培地を液化し、水浴(48℃)中でその温度を平衡化させる。
プレートからプラスチックを除去し、マイクロプレートのフタを交換する。
被覆1:50μLのTSB[トリプシン大豆ブロス]+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温で15分間、フローフード下にマイクロプレートを静置して、寒天を固化させる。
被覆2:50μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温で30分間(または時間が十分である場合、15分間)、フローフード下にマイクロプレートを静置して、寒天を固化させる。
加湿して(CO2を含まない)33℃で16〜20(または18〜20)時間、インキュベートする。
かくして、第A列から第H列は、ブランクである第6レーン(0%の殺傷:細菌+活性補体であるが、血清を含まない)および第12レーン(最も低い希釈率の8つの血清サンプルと細菌+不活性補体[使用前に56℃で40分間])を除き、8つの血清サンプル2倍希釈液(例えば、8〜1024倍;または血清が高い力価を有することが分かっている場合、64倍から開始する)に対応する。第7および8レーンは、殺菌力価が分かっている任意の対照血清サンプルである。第1〜5、9〜11レーンは、プレート上の8つの試験血清サンプルである。
【0069】
8. プレートの読み取りおよびデータの転送
マイクロプレートのフタを取る。
各ウェル中のCFUを、当業界で公知の任意の方法により計数し、例えば、プレートをKS400画像化システム(Zeiss):MA1プロトコルを用いて読み取ることができる。
生データを転送し、SoftMax proを用いて力価を算出する。
【0070】
各血清に関する殺菌力価を、50%殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す(細菌+活性な補体のみの0%殺傷対照[ブランク]との比較値 -すなわち、50%殺傷=プレート上の全てのそのような対照に関する平均CFUの50%)。
【0071】
実施例1b:血清反応陽性率(%)を算出するための典型的な方法
1〜2歳の少なくとも25人(例えば、少なくとも50人)の異なるナイーブ(未感作)な子供(そのような子供の大多数においては防御免疫が低い)から得た血清と共に選択した参照株を用いて、実施例1aまたは2の方法を実行する。
【0072】
SBAアッセイの特異性を見るために、ナイーブな子供[すなわち、MenAおよび/またはMenWワクチン(例えば、莢膜糖類コンジュゲート)をワクチン接種されていない子供]から得た血清を、50%の細胞殺傷を達成するSBA力価について評価することができる。SBA試験において8以上の逆数力価を達成する血清を含むこれらの被験体の割合(%)を、血清反応陽性率(%)と定義する。
【0073】
MenAおよび/またはMenWワクチンを用いる免疫後の血清反応陽性率(%)もこの方法で行うことができる。
【0074】
実施例1c:血清変換率(%)を算出するための典型的な方法
3歳を超える年齢(例えば、3〜5歳、または18〜25歳)の少なくとも25人(例えば、少なくとも50人)の異なる子供(ナイーブ[免疫の直前には]で、非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチン、例えば、GlaxoSmithKline Biologicals s.a.社製Mencevax(商標)で免疫した1ヵ月後の子供)から得た血清と共に選択した参照株を用いて実施例1aまたは2の方法を実行する。
【0075】
SBAアッセイの感度を評価するために、前記株に対する血清変換率(%)を、rSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することにより測定する。
【0076】
実施例2:典型的なMenW SBAアッセイ手順(例えば、参照株として3193株を用いる)
日とその変化
1日目
1. サンプルおよび対照の調製
(サンプルおよび対照を、使用前に56℃で40分間不活性化する)
アッセイ希釈液PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH7.4(4℃)を用いてチューブ中で希釈する。
CTRL1:(-20℃) 希釈率:チューブ中で1/128(マイクロプレート中で1/512)
CTRL2:(-20℃) 希釈率:チューブ中で1/128(マイクロプレート中で1/512)
(CTRL1/2は、SBA力価が分かっている血清サンプルの任意的な対照である)
マイクロプレート中のサンプル1/8:希釈率:チューブ中で1/2
マイクロプレート中のサンプル1/256:希釈率:チューブ中で1/64。
【0077】
2. サンプルおよび対照の添加
2.1. アッセイ希釈液の添加(マイクロプレート・フタ付きNunc 96穴平底滅菌マイクロプレート中)
希釈液:PBS+グルコース0.1%+MgCl2 0.5 mM+CaCl2 0.9 mM pH 7.4
マイクロプレートの各ウェルに各25μLの希釈液を分注する。
【0078】
2.2.サンプルおよび対照の添加
第1行、第1〜5列および第7〜11列に、25μLのサンプルおよび対照を分注する。
第1行中の溶液を混合する。
AからBに25μLを移す。第B行から第C行、...第G行から第H行への移動を繰り返す。
第H行中の血清を混合した後、25μLを除去し、廃棄する。
25μLのサンプルを第12列に分注し、サンプル1をウェルAに、...サンプル8をウェルHに分注する。
混合する。
混合後、25μLを除去し、廃棄する。
【0079】
3. 細菌懸濁液の調製
使用種菌Men W135 3193(-70℃)
3.1. 使用種菌の前培養
25μLを大規模な様式で1個のTMプレートおよび1個のNAプレートの全体に広げる(対照培地)。
加湿5%CO2下、37℃で一晩インキュベートする。
【0080】
3.2. 細菌懸濁液
細菌懸濁液の1:18000希釈液を調製する(二次培養は必要ない:細菌懸濁液は、使用種菌(WS)を1:18000まで希釈することにより直接作製する[WSのOD600=0.400〜0.500];希釈した細菌懸濁液は約1111 CFU/25μlを含む):
1:10:200μL WS+1800μLアッセイ希釈液(1:10)
1:100:1 mLの1:10溶液+9 mLアッセイ希釈液(1:10)
1:1000:1 mLの1:100溶液+9 mLアッセイ希釈液(1:10)
1:18000:2 mLの1:1000溶液+34 mLアッセイ希釈液(1:18)。
【0081】
4. 細菌/補体混合物の添加
ウサギ補体Pel Freez(-70℃)[例えば、3〜4週齢の子ウサギから得た補体]
不活性および活性な補体の解凍を、室温で行う。
60%の補体および40%の1:18000細菌懸濁液に対応する、不活性および活性な補体と細菌との混合物を調製する。
25μLの不活性混合物を第12列に添加する。
25μLの活性混合物を第1〜11列に添加する。
プラスチックフィルムでマイクロプレートを被覆する。
回転式振とう器(210 rpm)中、37℃で1時間インキュベートする。
【0082】
5. 寒天培地の添加
マイクロ波中で寒天培地を液化し、水浴(48℃)中でその温度を平衡化させる。
プレートからプラスチックを除去し、マイクロプレートのフタを交換する。
被覆1:100μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温でフローフード下でマイクロプレートを静置して寒天を固化させる(約30分間)。
被覆1:25μLのTSB+0.9%寒天(4℃)を添加する。
室温でフローフード下でマイクロプレートを静置して寒天を固化させる(約15分間)。
加湿して(CO2を含まない)35℃で18〜20時間インキュベートする。
【0083】
2日目
6. プレートの読み取りおよびデータの転送
TMおよびNA培地をコントロールとする。
各ウェル中のCFUを、当業界で公知の任意の方法により計数し、例えば、KS400画像化システム(Zeiss):MA1プロトコルを用いて、プレートを読み取ることができる。
生データを転送し、SoftMax proを用いて力価を算出する。
各血清に関する殺菌力価を、50%殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す(細菌+活性な補体のみの0%殺傷対照[ブランク]との比較値 -すなわち、50%殺傷=プレート上の全てのそのような対照に関する平均CFUの50%)。
【0084】
実施例2b:補体毒性の算出
それぞれ未知の血清に関する殺菌力価を、正確に50%の細菌の殺傷に対応する血清希釈率の逆数として表す。0%の殺傷(すなわち、最大CFU)を、ブランクにより取得する。GSK rSBAアッセイにおいてブランクは希釈液、細菌および活性補体のみを含む。
【0085】
株の補体毒性を試験するために、希釈液、細菌および活性補体のみを含むブランクを、プレート上に希釈液、細菌および不活性化補体を含む対照と比較する、単純化されたSBAアッセイ(実施例1aおよび2[これらに基づいているが]と比較して)を設定することができる。次いで、希釈液、細菌および活性補体を充填したウェル中で得られるCFUを、希釈液、細菌および不活性化補体(使用前に56℃で40分間)を充填したウェル中で得られるCFUと比較する。96穴プレート中、それぞれ8個以上、例えば、それぞれ48個を試験すべきである。全ての活性サンプルのCFUを平均化し、以下の式を用いて平均CFUまたは不活性補体サンプルと比較する。
補体毒性(%)=(平均CFU数[不活性化補体1]-平均CFU数[活性補体1])/(平均CFU数[不活性化補体1])×100
【0086】
本発明者らは、MenW 3193株のもの(すなわち、約0%)と同等の補体毒性(%)を有する髄膜炎菌株が、SBAアッセイにおける使用にとって有益な補体毒性(%)特性を有することを見出した(実施例4を参照)。
【0087】
実施例3:MenA SBAアッセイの結果
自然免疫が髄膜炎菌A型株に対する防御にとって重要な役割を果たし得ることは公知である。
【0088】
幼児をmenAコンジュゲートワクチンで初回免疫したフィリピンで行われた最近の臨床試験においては、初回免疫されていない群を対照として加えた。子供が10ヶ月齢である場合、MenA IgG ELISA試験よりもMenA SBA試験によって、より多くの抗体が検出されることが観察された(初回免疫されていない群においては、70%を超える幼児がMenA rSBA応答を示したが、10%未満の幼児がMenA IgG ELISA応答を示した)。この効果は、いくつかの理由:GSK menA IgG ELISAにより測定されない抗PSA抗体の存在、または非病原性髄膜炎菌もしくは髄膜炎菌と共有された交叉反応性表面抗原を発現するいくつかの他の細菌の保持により誘導された非PSA抗体の存在によるものであるかもしれない。
【0089】
約5ヶ月齢の免疫されていない被験体は、低いSBA力価を有していた(CDCにより認可されたF8238株を用いる場合、8以上の力価を有するのは10%未満であった)。しかしながら、免疫されていない10ヶ月齢の追加免疫前のSBAについては、8以上の力価を有する者が77%に上昇した。12〜13ヶ月での追加免疫後に、23%の免疫されていない対照被験体は8以上の力価を有さず、これらのうちの80%は今やそのような力価を有していた。かくして、免疫化と自然免疫に起因するSBAの区別は困難であった。
【0090】
IgG抗PSA抗体以外の存在を、抗総Ig PSA ELISAにより調査した。
【0091】
MenA株に関して、本発明者らは、LPSが自然免疫に関与すると仮定した。12個のLPS免疫型が、髄膜炎菌において多様な範囲の糖鎖構造に対応して記載されている。L9〜11は、血清群Aの髄膜炎菌間で主に見出される。
【0092】
本発明者らは、ワクチン接種により引き起こされる免疫応答と自然免疫により引き起こされる免疫応答とを区別する方法を見つけようと試みた。
【0093】
MenA IgTOT ELISA:
まず、抗PSA抗体以外のIgG抗体の存在を調査した。標準的なアッセイにおいて、抗ヒトIgGコンジュゲートを、抗IgA+M+Gコンジュゲートにより置換した。以下に認められるように、MenA IgG ELISAとMenA SBA試験との一致性はいくらか改善されるが、観察される自然免疫を説明するものではなく、結果として、アッセイ株およびLPS阻害に関するさらなる研究が行われた。
【表2】

【0094】
異なるMenAアッセイ株の使用
完全な株を用いる2つの作用:
トリシンゲルを泳動させて(図1)、現在の株、すなわち、F8328(=CDC F8238)株およびオランダで単離された潜在的な新株(3227、3048、760570)の免疫型プロフィールを決定した。両株の正確なプロフィールを決定することはできないが、ゲルは、両方の株群が異なるLOSプロフィールを有することを示唆している。
【0095】
さらに、ELISAおよびrSBA試験を行って、株を区別した。ELISAおよびrSBAの両方において、それぞれの株を試験株として使用し、9-2-L379マウスモノクローナル抗体をスクリーニングに用いた。このアッセイは、F8238はL3、L7またはL9株ではないようであったが(実際にはL11プロフィールであると免疫型決定された-実施例5を参照-Maslankaら、上掲により提言されたL10プロフィールとは対照的である)、オランダ株は反応することが見出されたことを示唆していた。補体毒性データに基づいて、3048株をさらなる評価のために選択した(データは示さない)。
【0096】
LPS阻害:
MenB H44/76から精製されたLPSを取得し、血清をこのL3 LPSを用いて阻害した。100μg/ml溶液(V/V混合物を作製し、最終濃度50μg/mLのL3 LPSを得る)と共に37℃で1時間インキュベートすることにより、これを行った。付属の表に認められるように、上記の不一致(ELISA対rSBA)の血清サンプルについては完全な中和が得られたが、一致するサンプル(ELISA対rSBA)については部分的な阻害血清のみが得られた。免疫化前(追加免疫前)のサンプルに関して不一致のサンプルが、最も高いと予想される。
【表3】

【0097】
menAに対する自然免疫における抗LPSの決定的な重要性は、以前には記載されていなかったが、APSにより誘導される応答を評価するためのアッセイを開発するためのこの新しい情報の決定的な使用は新規である。
【0098】
実施例4-MenW SBA試験
発明
本発明者らの提案は、S4383株ではなく3193株(または類似する株)を用いるrSBAアッセイを使用することである。S4383株は、GSK rSBA設定において被験体にとって補体毒性であることが見出されている。
【0099】
SBA試験における髄膜炎菌の殺傷は、血清サンプル中の抗MenW抗体および補体(この場合、外来起源の補体、すなわち、ウサギ補体を用いる)の両方の組合せに起因して生じるはずである。ウサギ補体の固有の殺菌活性を調べるために、2つの対照をそれぞれのアッセイにおいて加える。第1の対照においては、活性な補体を、抗体を含めずに細菌に添加し、第2の対照においては、不活性な補体を、抗体を含めずに細菌に添加する(実施例2bを参照)。殺菌効果が対照において認められる場合には、そのウサギ補体ロットを排除する。
【0100】
→補体毒性基準は3193株については満たされていたが、S4383株については満たされていなかった。
【0101】
バックグラウンド
殺菌効果は、抗体および活性な補体の両方を、補体の存在下で添加する場合にのみ生じるはずである。これを調べるために、希釈液、細菌および活性な補体のみを含む殺菌対照を、それぞれのアッセイにおいて加える。かくして、この対照について得られるコロニー形成単位(CFU)は、ヒト血清サンプルを添加しない細菌の増殖の結果であり、かくして、得られるCFUの平均は0%の殺傷に相当する。
【0102】
新しい補体を用いる場合、希釈剤、細菌のみを含む第2の殺菌対照であるが、不活性化された補体を同様にプレートに添加する。次いで、活性な補体を用いて細菌対照において得られる細菌の殺傷を、不活性化された補体を用いて細菌補体において得られる細菌の殺傷と比較する。これを、下記式として行う:
補体毒性(%)=(CFU数[不活性化補体]-CFU数[活性補体])/(CFU数[不活性化補体])×100%
【0103】
→補体毒性(%)が40%を超える場合、そのアッセイプレートを排除する。かくして、細菌を、補体のみの添加により殺傷される。この基準を用いない場合、これは非常に高いSBA力価および結果の高い変動性をもたらしうる。
【0104】
データ
108個のアッセイプレートを、S4383株を用いる古典的rSBAアッセイ設定を用いて試験した。それぞれのプレート上で、両方の細菌対照を添加する。異なるプレート中で得られる全ての補体毒性を平均する場合、39%の値が得られるが、後述の図面は、多くのプレートについて、40%の基準を満たさなかったことを示している。
【0105】
それは、SBAアッセイ間を調和させるために後の段階でアッセイ設定を適合させるGSKの意図であった。補体毒性の問題が生じたため、前もってアッセイ設定を調和させた後、そのアッセイ形式においてS4383株と3193株を比較することを決定した。さらなる試験の前に、ここで、補体毒性を、アッセイプレートを2つの部分に分割することにより比較した:1つの部分は活性な補体を含む細菌補体を含み、1つの部分は不活性な補体を含む細菌補体を含む。ここで、4383株については55%の補体毒性が得られ、3193株については-9%の補体毒性が得られた。
【0106】
→これらのデータに基づいて、3193株を用いて継続することを決定した。
【0107】
実施例5:MenA LOSの免疫型
最近、初回免疫されていない幼児において、参照株F8238について得られた抗PSA IgG ELISAデータおよびMenA殺菌データの間で、相違が観察された。有意なレベルのMenA殺菌抗体が測定されたが、MenA PS IgG抗体はほとんど認められなかった。これらの観察は、これらの子供が髄膜炎菌血清群Aに対する自然免疫を生じていることを示唆している。また、この相違を、保持的MenA株のLOSと近縁であるかまたは類似するLOS(但し侵襲的MenA株のLOSと類似しない)を発現したSBA MenA株の使用と関連付けることができることも示唆された。
【0108】
この実施例の目的は、文献データを精査して、保持的および侵襲的血清群A髄膜炎菌株が類似するLOSを発現するか、またはしないかを評価し、その主要な免疫型を決定することである。
【0109】
方法
最も正確な免疫型決定法を用いる論文のみを選択した。これらは以下のものである。
【0110】
Zollinger WおよびMandrell R(1980)
この論文においては、免疫ツールはウサギポリクローナル抗体である。論文中で考察されるデータに基づいて、
・抗L10はL10免疫型に特異的である、
・抗L11はL11免疫型に対して強く反応するが、L10免疫型に対するいくらかの交叉反応性を示す、
・抗L9はL10およびL11免疫型に対して反応しないが、L3、L4、L6およびL7株に対するいくらかの交叉反応性を示す、
ことを結論付けることができる。
【0111】
Kim JJら(1988);Salih Mら(1990)およびAchtman Mら(1992)
これらの3つの論文は、それらがLOSの免疫型決定と相対分子量(MrS)とを組み合わせたため、選択された。髄膜炎菌株のLOSは、SDS-PAGEにより分離することができる1〜6個の成分から構成される。MrSは3150〜7100であると見積もられた。これらの異なる電気泳動移動度は、それらのオリゴ糖の化学的組成の差異を反映し、オリゴ糖組成の差異は抗原性の差異の原因ともなる。
【表4】

【0112】
Poolman Jら(1982)およびScholten Rら(1994)
これらの2つの論文においては、ポリクローナル抗体を用いるマイクロ沈降法および/または14種の異なるモノクローナル抗体のセットを用いる全細胞ELISAタイピングが用いられた。マイクロ沈降法は、特異的な技術であることが示されたが、14種のMAbの反応性に基づいて、アルゴリズムを用いる免疫型の割り当ては、マイクロ沈降法技術と類似する結果を与える。
【0113】
この文献中に見出される他の論文は、免疫型決定法の特異性の明確な証明がないことに基づき、排除した。
【0114】
結果
侵襲的MenA株の免疫型
以下の表は、最初の4つの論文に由来するデータをまとめたものである。
【表5】

【0115】
クローンIV-1株を考慮に入れなければ、結果は、侵襲的MenA株の多くがL10(54.4%)であり、次いでL11免疫型(20.5%)およびL9免疫型(14.8%)であることを示している。免疫型9を示すMenA株の多くが、他の免疫型(多くは全体的にはL3および/またはL7)も担持することに留意すべきである。
【0116】
これらのデータ(侵襲的MenA株に由来する)は、マイクロ沈降法(および/または一連の14種のMAbを用いる全細胞ELISA)により得られるデータと良好に相関する(Poolmanら、1982およびScholtenら、1994)。
【表6】

【0117】
侵襲的MenA株の多く(クローンIV-1に属する株を含まない)はL10であると結論付けることができる。他のものはL9(L379)またはL11である。
【0118】
保持的MenA株の免疫型
【表7】

【0119】
北米で分離された保持株は、主にL10、11免疫型である。にもかかわらず、このタイピングに用いられる抗L11ウサギポリクローナルはL10と交叉反応するため、これらの株がL10免疫型を示すか否かを結論付けることはできない。
【0120】
興味深いことに、保持的MenA株から得られる限定的なデータは、これらの株間での免疫型の分布が、侵襲的な場合について得られる分布と全く異なることを示唆しているようである。実際、侵襲株の多くがL10である場合、保持株の大多数は少なくともL11免疫型を発現する。
【0121】
結論および考察
CDCにより開発された古典的なMenA SBAは、標的としてF8238株を用いた。ここで本発明者らは、この株がL11 LOS(Hopman C, AMC lab, Netherlandsにより免疫型決定された)を発現し、以前に考えられていたようにL10を発現しないことを今や見出している。換言すれば、SBAに用いられる参照MenA株は、侵襲的なMenA株よりも保持的なMenA株により近い。この関係は、初回免疫されていない幼児集団において抗PSA ELISAと「古典的」MenA SBAとの間で観察される一致の欠如を説明することができる(実施例3)。
【0122】
この観察は、抗PSA ELISAとF8238 MenA SBAとの間で観察される一致の欠如が、その免疫が多糖類に対するもの(または少なくとも高アビディティでない抗PS抗体)ではないが、おそらくは少なくとも感染者(carrier)分離株に由来するLOS抗原に対するものである、非侵襲的髄膜炎菌株の保持により獲得される自然免疫と関連するという仮説を補強するものである。
【0123】
参考文献
・Achtman M, Kusecek B, Morelli G, Eickmann K, Jianfu W, Crowe B, Wall R, Hassan-King M, Moore PおよびZollinger W (1992) A comparison of the variable antigens expressed by clone IV-1 and subgroup III of Neisseria meningitidis serogroup A. J. Infect. Dis. 165: 53-68
・Kim J., Mandrell M, Zhen H, Westerink M, Poolman JおよびMcLeod Griffis J (1988) Electromorphic characterization and description of conserved epitopes of the lipooligosaccharides of groupA Neisseria meningitidis. Infect. Immun. 56: 2631-2638.
・Poolman J, Hopman CおよびZanen H (1982) Problems in the definition of meningococcal serotypes. FEMS Microbiol Letters 13: 339-348
・Salih M, Danielsson D, Backman A, Caugant D, Achtman MおよびOlcen P (1990) Characterization of epidemic and non-epidemic Neisseria meningitidis serogroup A strains from Sudan and Sweden. J. Clin. Microbiol.28: 1711-1719
・Scholten R, Kuipers B, Valkenburg H, Dankert J, Zollinger WおよびPoolman J (1994) Lipooligosaccharide immunotyping of Neisseria meningitidis by a whole-cell ELISA with monoclonal antibodies. J. Med. Microbiol. 41: 236-243
・Zollinger WおよびMandrell R (1980) Type-specific antigens of group A Neisseria meningitidis: lipopolysaccharide and heat-modifiable outer membrane proteins. Infect. Immun. 28: 451-458
実施例6:SBAアッセイにおけるCDC F8238株対3125株の特異性
実験の目的:
MenA rSBAアッセイを用いて観察される自然免疫に対する、種々の免疫型を有する髄膜炎菌A型株(ここではそれぞれ、L11免疫型を有するF8238株 対 L10免疫型を有する3125株)を用いる影響を調べた。自然免疫が、MenA(抗MenA莢膜多糖類)IgG ELISAアッセイによりかなり低い程度で観察されたことに留意すべきである。かくして、後者のアッセイは、ワクチンにより誘導された免疫と自然に誘導された免疫とを区別することができる。
【0124】
選択されたサンプル:
第1のセットのサンプルは、Hibと共に同時投与された百日咳(無細胞もしくは全細胞)ワクチンで初回免疫された子供に対する、Hibワクチン(コンジュゲートもしくは非コンジュゲート)の追加免疫用量の免疫原性を評価する研究から選択された。ドイツで実施された第1の研究において(Hib-044)、幼児は12〜18ヶ月齢であり、Hibと共に同時投与された全細胞百日咳ワクチンの種々の製剤で初回免疫した。ミャンマーで実施された第2の研究において(Hib-064)、幼児は15〜24ヶ月齢であり、Hibと共に同時投与された全細胞百日咳ワクチンの種々の製剤で初回免疫した。
【0125】
第2のセットのサンプルは、11〜25ヶ月齢の子供に投与されたA型肝炎ワクチンの免疫原性を評価する研究(HAV-20)から選択された。
【0126】
これらの研究の目的は、menAワクチン接種の効果を研究するためのものではないため、MenAワクチンはこれらの子供(彼らはMenAワクチン接種に関してナイーブであった)に投与されなかったことは自明であろう。MenA IgG ELISAおよび2回のMenA rSBAアッセイ(アッセイ株としてL10およびL11を用いる)の両方を実施するのに十分残存する容量を有するいくつかのサンプルを、無作為に選択した。
【0127】
これらの研究の目的はmenA群を評価することではなかったため、これらの被験体がどの群に属するかを正確に調べなかった。
【0128】
第3のセットのサンプルは、種々のmenAワクチン接種を評価する研究から選択された。フィリピンで実施された第1の研究(DTPw-HepB/HibMenAC-TT-002)においては、約10ヶ月齢および15〜18ヶ月齢で、DTPw-HepB/HibMenACワクチンを以前に初回免疫されたことがない子供を選択した。第2の研究(MenACWY-TT-003)においては、MenAワクチンを以前にワクチン接種されたことがない18〜25歳の成人を選択した。
【0129】
結果:
以下の表に明らかに認められるように、menA IgG ELISAについて0.30μg/mL以上の力価を有する被験体の割合(%)は、成人を除いて、非常に低い。同じことは、3125(L10)株を用いるMenA rSBAについて8以上の力価を有する被験体に関して認められる。かくして、同じ効果は、これらのプラセボサンプルに対する両アッセイについても認められる、すなわち、ワクチンを投与しなかった場合、それらは共に低い応答を示しうる。対照的に、F8238(L11)株を用いるmenA rSBAアッセイの実施は、より高い割合(%)の応答者(8以上)をもたらすが、それ自体は被験体がワクチン接種されていなかったという事実を反映していない。従って、3125(L10)株を用いるMenA rSBAは、ワクチンにより誘導される応答を良好に区別することができると結論付けられる。
【表8】

【0130】
実施例7:SBAアッセイにおけるCDC F8238株 対 3125株の感受性
種々のmenAワクチン接種を評価する研究から、臨床試験サンプルを選択した。フィリピンで実施された第1の研究においては、約14週齢のナイーブな子供を、3つの異なるDTPw-HepB/HibMenACワクチン製剤(HibMenACは全てコンジュゲートされている)のうちの1つを用いて初回免疫した。血清変換率(%SC)を、8以上のrSBA(50%)力価を有する初回免疫の1ヶ月後の子供の割合(%)として測定した。
【表9】

【0131】
また、種々のmenACYWワクチン接種を評価する研究から、臨床試験サンプルを選択した。ベルギーで実施された研究においては、18〜25歳のナイーブな成人(menAワクチンで以前に免疫されたことがない)を、非コンジュゲートmenACWY莢膜多糖ワクチン(Mencevax(商標)-GSKBiologicals s.a.)またはコンジュゲートmenACWYワクチンで初回免疫した。免疫直前と比較してrSBA(50%)力価が4倍増加した免疫の1ヶ月後の成人の割合(%)として、血清変換率(%SC)を測定した。
【表10】

【0132】
このデータは、3125株が、コンジュゲートまたは非コンジュゲートmenA莢膜多糖ワクチンに由来するワクチン誘導抗体に対して感受性であることを示している。さらに、3125株を用いて得られた%SCデータは、F8238株を用いるものよりも正確である可能性がある(例えば、3歳を超える年齢において)。
【0133】
寄託材料
髄膜炎菌血清群A型F8238株は、米国疾病対策センター(CDC)、Atlanta, Georgia, USAから入手可能である。あるいは、それはBelgian Coordinated Collections of Microorganisms (BCCM), Laboratorium voor Microbiologie-Bacterieanverzameling (BCCM/LMG), Universiteit Gent, K.L. Ledeganckstraat 35, 9000 GHENT, Belgium (CDC MenA F8238と同等株であるという陳述と共に2005年6月20日に寄託された)にも寄託されている。それは受託番号LMG P-23098を有する。
【0134】
髄膜炎菌血清群A型3125株は、Academic Medical Center (AMC), University of Amsterdam, Netherlands Reference Laboratory for Bacterial Meningitis, Dept. of Medical Microbiology, Meibergdreef 15, 1105 AZ Amsterdam, The Netherlandsから入手可能である。あるいは、それはBelgian Coordinated Collections of Microorganisms (BCCM), Laboratorium voor Microbiologie-Bacterieanverzameling (BCCM/LMG), Universiteit Gent, K.L. Ledeganckstraat 35, 9000 GHENT, Belgium (AMC MenA 3125株と同等株であるという陳述と共に2005年6月20日に寄託された)にも寄託されている。それは受託番号LMG P-23097を有する。
【0135】
髄膜炎菌血清群A型3048株(A:NT:P1.6:L3,6)は、Academic Medical Center (AMC), University of Amsterdam, Netherlands Reference Laboratory for Bacterial Meningitis, Dept. of Medical Microbiology, Meibergdreef 15, 1105 AZ Amsterdam, The Netherlandsから入手可能である。あるいは、それはEuropean Collection of Cell Cultures (ECACC), Health Protection Agency, Porton Down, Salisbury, SP4 0JG, UK (受託番号: 04070702)にも寄託されている。この株は2004年6月21日に寄託された。
【0136】
髄膜炎菌血清群W型S4383株は、米国疾病対策センター(CDC)、Atlanta, Georgia, USAから入手可能である。あるいは、それはBelgian Coordinated Collections of Microorganisms (BCCM), Laboratorium voor Microbiologie-Bacterienverzameling (BCCM/LMG), Universiteit Gent, K.L. Ledeganckstraat 35, 9000 GHENT, Belgiumにも寄託されている(CDC MenW S4383株と同等株であるという陳述と共に2005年6月20日に寄託された)。それは受託番号LMG P-23099を有する。
【0137】
髄膜炎菌血清群W型3193株は、Academic Medical Center (AMC), University of Amsterdam, Netherlands Reference Laboratory for Bacterial Meningitis, Dept. of Medical Microbiology, Meibergdreef 15, 1105 AZ Amsterdam, The Netherlandsから入手可能である。あるいは、それはEuropean Collection of Cell Cultures (ECACC), Health Protection Agency, Porton Down, Salisbury, SP4 0JG, UK (受託番号: 04070701)にも寄託されている。この株は2004年6月21日に寄託された。
【0138】
寄託株の寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて為された。寄託株は取下げ不能であり、制限または条件もなしに特許の発行に際して公共に開放されるであろう。寄託株は単に当業者にとって便利なものとして提供されるものであり、寄託が35 U.S.C.§112の元で要求されるような実施可能要件に必要であることを自認するものではない。寄託株を作製、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、そのようなライセンスはここで認めるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイであって、それぞれ、以下の特徴を有する髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの参照株:
a)その株が、40%、35%、30%、20%、10%、5%未満もしくは約0%の補体毒性(%)を有し、および/またはその補体毒性(%)が、Men WのS4383標準株の値未満であること;
b)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、および/または8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、F8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること;ならびに
c)非コンジュゲート化髄膜炎菌ACWY莢膜多糖ワクチンで免疫した少なくとも25人の3〜5歳の子供の群における前記株に対する血清変換率(%)が、血清を免疫の直前(彼らがナイーブである場合)と該ワクチンによる免疫の1ヶ月後とで比較してrSBA力価(50%の細胞殺傷を達成する値)が少なくとも4倍増加した被験体の割合(%)を評価することによりその血清変換率を測定する場合に、50、60、70、80、90または95%を超えること、
に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、前記アッセイ。
【請求項2】
特徴a)、b)またはc)[またはa)およびb)、a)およびc)、b)およびc)、もしくはa)、b)およびc)]において、それぞれ、補体毒性(%)および/または血清反応陽性率(%)および/または血清変換率(%)の測定が、それぞれ、実施例2b、1bおよび1cに記載されるように実行される、請求項1に記載の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項3】
特徴b)において、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供が、フィリピン出身である、請求項1または2に記載の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項4】
髄膜炎菌血清群A参照株が侵襲株である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項5】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L10が優勢なものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項6】
髄膜炎菌血清群A参照株が3125株である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項7】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L3,7,9が優勢なものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項8】
髄膜炎菌血清群A参照株が3048株である、請求項1〜4または請求項7のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項9】
髄膜炎菌血清群W参照株が、分離株3193である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項10】
血清サンプルが、髄膜炎菌血清群Aおよび/またはWに由来する莢膜糖類抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含むワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項11】
血清サンプルが、0〜55歳、1ヶ月〜20歳、2ヶ月〜16歳、6ヶ月〜10歳、8ヶ月〜7歳、10ヶ月〜4歳、0〜2歳、6ヶ月〜2歳、または1〜2歳のヒトから取得されたものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aまたは血清型Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aおよび/または血清型Wの参照株と、SBAアッセイにおけるその/それらの使用のための説明書を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実行するためのキット。
【請求項13】
SBAアッセイにおける侵襲的L10髄膜炎菌血清群A株の使用。
【請求項14】
SBAアッセイにおける髄膜炎菌血清群A分離株3125の使用。
【請求項15】
以下の特徴を有する髄膜炎菌血清群A参照株:
b)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における髄膜炎菌血清群A参照株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、または8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、F8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること、
に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項16】
特徴b)において、血清反応陽性率(%)の測定が、実施例1bに記載されるように行われる、請求項15に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項17】
特徴b)において、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供が、フィリピン出身である、請求項15または16に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項18】
髄膜炎菌血清群A参照株が侵襲株である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項19】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L10が優勢なものである、請求項15〜18のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項20】
髄膜炎菌血清群A参照株が3125株である、請求項15〜19のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項21】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L3,7,9が優勢なものである、請求項15〜18のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項22】
髄膜炎菌血清群A参照株が3048株である、請求項15〜18または請求項21のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項23】
血清サンプルが、髄膜炎菌血清群Aに由来する莢膜糖類抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含むワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものである、請求項15〜22のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項24】
血清サンプルが、0〜55歳、1ヶ月〜20歳、2ヶ月〜16歳、6ヶ月〜10歳、8ヶ月〜7歳、10ヶ月〜4歳、0〜2歳、6ヶ月〜2歳、または1〜2歳のヒトから取得されたものである、請求項15〜23のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群A参照株と、SBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、請求項15〜24のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実行するためのキット。
【請求項26】
グラム陰性細菌に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む該グラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイであって、使用前に、血清サンプルから該グラム陰性細菌中に存在するリポオリゴ糖(LOS)エピトープに対する抗体を枯渇させる、アッセイ。
【請求項27】
血清サンプルが、LOS抗原を含まないワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものであり、SBA力価を、該ワクチン組成物中に存在する抗原を含むグラム陰性細菌に関して測定する、請求項26に記載のSBAアッセイ。
【請求項28】
前記ワクチン組成物が、グラム陰性細菌に由来する莢膜糖類抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含む、請求項27に記載のSBAアッセイ。
【請求項29】
使用前に、血清サンプルを、1種以上のリポオリゴ糖(LOS)エピトープまたは前記グラム陰性細菌の1種以上の免疫型のLOS分子と共に予備インキュベートして、該LOSエピトープ/免疫型に対する抗体を該血清サンプルから枯渇させる、請求項26〜28のいずれか1項に記載の血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項30】
前記血清サンプルを枯渇させるのに用いられる1種以上のLOSエピトープ/免疫型が、グラム陰性細菌の保持株中で優勢な1種以上のLOSエピトープ/免疫型を含む、請求項29に記載のSBAアッセイ。
【請求項31】
前記グラム陰性細菌が、ナイセリア属菌株、好ましくは、髄膜炎菌である、請求項26〜30のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項32】
前記グラム陰性細菌が、髄膜炎菌血清群A、C、WまたはYである、請求項31に記載のSBAアッセイ。
【請求項33】
前記グラム陰性細菌が、髄膜炎菌血清群Aである、請求項32に記載のSBAアッセイ。
【請求項34】
使用前に、血清サンプルを、1種以上のLOS免疫型から誘導されたLOSエピトープ、またはL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、およびL12からなる群より選択される1種以上のLOS免疫型と共に、予備インキュベートする、請求項31〜33のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項35】
血清サンプルを、免疫型L3,7,9から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L3,7,9のLOSと共に予備インキュベートする、請求項34に記載のSBAアッセイ。
【請求項36】
血清サンプルを、免疫型L10から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L10のLOSと共に予備インキュベートする、請求項34または35に記載のSBAアッセイ。
【請求項37】
血清サンプルを、免疫型L1および/もしくはL8から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L1および/もしくはL8のLOSと共に予備インキュベートする、請求項34〜36のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項38】
血清サンプルを、免疫型L2から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L2のLOSと共に予備インキュベートする、請求項34〜37のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項39】
血清サンプルを、免疫型L11から誘導されたLOSエピトープ、または免疫型L11のLOSと共に予備インキュベートする、請求項34〜38のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項40】
請求項1〜11、15〜24、または59〜64のいずれか1項に記載の髄膜炎菌血清群Aまたは血清群Wの参照株に対するSBA力価を測定する、請求項34〜39のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項41】
侵襲株の優勢なLOS免疫型を有するグラム陰性細菌の参照株に対するSBA力価を測定する、請求項26〜40のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項42】
ナイセリア属菌株、好ましくは、髄膜炎菌である、グラム陰性細菌の参照株に対してSBA力価を測定する、請求項26〜41のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項43】
グラム陰性細菌の参照株が髄膜炎菌血清群A、C、WまたはYである、請求項42に記載のSBAアッセイ。
【請求項44】
グラム陰性細菌の参照株が髄膜炎菌血清群Aである、請求項43に記載のSBAアッセイ。
【請求項45】
グラム陰性細菌の参照株が免疫型L10の髄膜炎菌血清群Aである、請求項44に記載のSBAアッセイ。
【請求項46】
前記参照株が髄膜炎菌分離株3125である、請求項45に記載のSBAアッセイ。
【請求項47】
グラム陰性細菌の参照株が、以下の特徴:
b)8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における髄膜炎菌血清群A参照株に対する血清反応陽性率(%)が、40、35、30、25、20もしくは15%未満であり、または8以上の力価(50%の細胞殺傷を達成する値)での血清反応陽性がrSBAアッセイにより測定される場合の、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供の群における該株に対する血清反応陽性率(%)が、F8238標準株に対する血清反応陽性率(%)の値未満であること、
を有する、髄膜炎菌血清群A参照株である、請求項44または45に記載のSBAアッセイ。
【請求項48】
特徴b)において、血清反応陽性率(%)の測定が、実施例1bに記載されるように行われる、請求項47に記載のSBAアッセイ。
【請求項49】
特徴b)において、少なくとも25人のナイーブな1〜2歳の子供が、フィリピン出身である、請求項47または48に記載のSBAアッセイ。
【請求項50】
髄膜炎菌血清群A参照株が侵襲株である、請求項47〜49のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項51】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L10が優勢なものである、請求項47〜50のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項52】
髄膜炎菌血清群A参照株が3125株である、請求項47〜51のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項53】
髄膜炎菌血清群A参照株が免疫型L3,7,9が優勢なものである、請求項47〜50のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項54】
髄膜炎菌血清群A参照株が3048株である、請求項47〜50または請求項53のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項55】
血清サンプルが、髄膜炎菌血清群Aに由来する莢膜糖類抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含むワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものである、請求項31〜54のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項56】
LOSを合成することができないか、またはトランケートされたLOSオリゴ糖構造を産生するLOS突然変異体であるグラム陰性細菌参照株に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含む、グラム陰性細菌に対する血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項57】
請求項1〜11、15〜24、26〜55、または59〜64のいずれか1項に記載のSBAアッセイの工程をさらに含む、請求項56に記載のSBAアッセイ。
【請求項58】
前記参照株が、LOSを合成することができないか、またはトランケートされたLOSオリゴ糖構造を産生する髄膜炎菌LOS突然変異体である、請求項56または57に記載のSBAアッセイ。
【請求項59】
髄膜炎菌血清群W参照株に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含み、該髄膜炎菌血清群W参照株が、血清の非存在下では補体依存的殺傷に対して感受性ではない、髄膜炎菌血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項60】
髄膜炎菌血清群W参照株に対する血清サンプルのSBA力価を決定する工程を含み、該髄膜炎菌血清群W参照株が、血清の非存在下ではS4383標準参照株よりも補体依存的殺傷に対して感受性が低い、髄膜炎菌血清群Wの血清殺菌活性(SBA)アッセイ。
【請求項61】
補体依存的殺傷に対する髄膜炎菌血清群W参照株の感受性が、実施例2bに記載の方法による補体毒性(%)の測定により確認可能である、請求項59または60に記載のSBAアッセイ。
【請求項62】
髄膜炎菌血清群W参照株の補体毒性(%)が40%、35%、30%、20%、10%、5%未満であるか、または約0%である、請求項59〜61のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項63】
髄膜炎菌血清群W参照株が、髄膜炎菌分離株3193である、請求項59〜62に記載のSBAアッセイ。
【請求項64】
血清サンプルが、髄膜炎菌血清群Wに由来する莢膜糖類抗原(好ましくは担体タンパク質にコンジュゲートされているもの)を含むワクチン組成物で免疫された宿主から取得されたものである、請求項59〜63のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項65】
LOSに対する抗体を血清サンプルから枯渇させるための手段と、SBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、請求項26〜55のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実行するためのキット。
【請求項66】
LOSを合成することができないか、またはトランケートされたLOSオリゴ糖構造を産生するLOS突然変異体である参照株、およびSBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、請求項56〜58のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実行するためのキット。
【請求項67】
請求項59〜64に記載の髄膜炎菌血清群W参照株、およびSBAアッセイにおけるその使用のための説明書を含む、請求項59〜64のいずれか1項に記載のSBAアッセイを実行するためのキット。
【請求項68】
SBAアッセイにおける髄膜炎菌分離株3193の使用。
【請求項69】
SBAアッセイにおける髄膜炎菌分離株3048の使用。
【請求項70】
hSBAアッセイである、請求項1〜11、15〜24、26〜55、56〜58、または59〜64のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。
【請求項71】
rSBAアッセイである、請求項1〜11、15〜24、26〜55、56〜58、または59〜64のいずれか1項に記載のSBAアッセイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−145589(P2012−145589A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55989(P2012−55989)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【分割の表示】特願2008−528349(P2008−528349)の分割
【原出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】