説明

髄膜炎菌類タンパク質NMB1870のドメインおよびエピトープ

【課題】髄膜炎菌類タンパク質NMB 1870のドメインおよびエピトープを提供すること。
【解決手段】「NMB1870」は、全血清型を通して発現される髄膜炎菌の公知の表面タンパク質である。これは、3つの異なるファミリーを有する。所与のファミリーに対して惹起する血清は、同一ファミリー内で殺菌性を示すが、他の2つのファミリーのうちの1つを発現する株に対して活性を示さない(すなわち、ファミリー内交差防御であるがファミリー間交差防御ではない)。本発明者らは、NMB1870をドメインに分割することができ、全てのドメインが抗原性に必要であるわけではないことを見出した。抗原ドメインを、3つのNMB1870ファミリーからそれぞれ選び出し、1つのポリペプチド鎖として発現させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に引用した全書類は、その全体が参考として援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、免疫化分野、特に、髄膜炎菌(N.meningitidis)(髄膜炎菌類(meningococcus))などのナイセリア属の病原性細菌に起因する疾患に対する免疫化分野に属する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
髄膜炎菌は、ヒト集団の約10%の上気道にコロニー形成するグラム陰性被包性細菌である。多糖類結合型(polysaccharide and conjugate)ワクチンは、血清型A、C、W135、およびYに利用可能であるが、莢膜多糖類がヒトの自己抗原であるポリシアル酸のポリマーであるので、このアプローチを血清型Bに適用することはできない。血清型Bに対するワクチンを開発するために、外膜小胞(OMV)中に含まれる表面曝露タンパク質が使用されている。これらのワクチンは、血清細菌抗体応答を誘発して疾患から防御するが、交差株防御を誘導することはできない(1)。したがって、ワクチン用の特異的髄膜炎菌類抗原に注目している研究者もいる。
【0004】
1つのこのような抗原は、「NMB1870」である。このタンパク質は、最初に、MC58株由来のタンパク質「741」(参考文献2の配列番号2535および2536、本明細書中の配列番号1)として開示され、「GNA1870」(参考文献3および参考文献4)および「ORF2086」(5,6)とも呼ばれている。このタンパク質は、全髄膜炎菌類血清型を通して発現され、複数の髄膜炎菌類株で見出されている。NMB1870配列は3つのファミリーに分類され、所与のファミリーに対して惹起する血清は、同一ファミリー内で殺菌性を示すが、他の2つのファミリーのうちの1つを発現する株に対して活性を示さない(すなわち、ファミリー内交差防御であるがファミリー間交差防御ではない)ことが見出されている。
【0005】
したがって、NMB1870を使用した交差株防御を達成するために、1つを超えるファミリーを使用する。個別のタンパク質を発現および精製する必要性を回避するために、ハイブリッドタンパク質(1つのポリペプチド鎖中に2つまたは3つのファミリーを含む)として異なるファミリーを発現することが提案されている(7)。いくつかのハイブリッドが試験されており、有望な抗髄膜炎菌類有効性が得られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、NMB1870によって付与される防御のファミリー特異性を克服するためのさらに改良されたアプローチおよび特に血清型Bの髄膜炎菌類疾患および/または感染に対する免疫を得るためのこれらのアプローチの使用をさらに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、NMB1870をドメインに分割することができ、全てのドメインが抗原性に必要であるわけではないことを見出した。抗原ドメインを、3つのNMB1870ファミリーからそれぞれ選び出し、1つのポリペプチド鎖として発現させることができる。このアプローチは、1つのポリペプチド鎖中でNMB1870の末端から末端までの完全な発現よりも簡潔である。
【0008】
本発明者らは、NMB1870がαヘリックスの間に存在する表面ループ中のそのエピトープのいくつかを発現することも見出した。一方のファミリー由来のループエピトープから他方のファミリー中のループの位置への置換によって多ファミリー抗原性を有するキメラNMB1870を産生可能である。
【0009】
したがって、本発明は、異なるファミリー由来のNMB1870の一部を含むキメラNMB1870タンパク質を提供する。各NMB1870ファミリーが(たとえば、マウス中で)同一のNMB1870ファミリー中の株に対してのみ有効である抗体を誘発することができるのに対して、本発明のキメラポリペプチドは、1つを超えるファミリー由来のNMB1870タンパク質を認識する抗体を誘発することができる。
【0010】
細菌抗体応答をマウス中で都合良く測定され、これは、ワクチン有効性の標準的な指標である(例えば、参考文献4の巻末の注釈を参照のこと)。キメラタンパク質は、好ましくは、以下の3つの株群のうちの少なくとも2つにそれぞれ由来する少なくとも1つの髄膜炎菌株に対して殺菌性を示す抗体喉頭を誘発することができる。
【0011】
(I)MC58、gbl85(=M01−240185)、m4030、m2197、m2937、iss1001、NZ394/98、67/00、93/114、bzl98、ml390、nge28、Inpl7592、00−241341、f6l24、205900、m198/172、bzl33、gbl49(=M01−240149)、nm008、nm092、30/00、39/99、72/00、95330、bzl69、bz83、cu385、h44/76、ml590、m2934、m2969、m3370、m4215、m4318、n44/89、14847
(II)961−5945、2996、96217、312294、11327、a22、gb013(=M01−240013)、e32、ml090、m4287、860800、599、95N477、90−18311、c11、m986、m2671、1000、m1096、m3279、bz232、dk353、m3697、ngh38、L93/4286
(III)M1239、16889、gb355(=M01−240355)、m3369、m3813、ngpl65
例えば、キメラポリペプチドは、2つまたはこれを超える血清型Bの髄膜炎菌株(MC58、961−5945、およびM1239)に対して有効な細菌応答を誘発することができる。
【0012】
キメラポリペプチドは、好ましくは、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれを超える)の臨床的に関連する髄膜炎菌類血清型B株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる。キメラポリペプチドは、髄膜炎菌の血清型B株および血清型A、C、W135、およびYの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4)の株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる。キメラポリペプチドは、N.ゴノコッカス(gonococcus)株および/またはN.シネレア(cinerea)株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる。キメラポリペプチドは、参考文献3の図5の樹状図の3つの主な枝のうちの少なくとも2つ由来の株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる。
【0013】
キメラポリペプチドは、高ビルレント系列ET−37、ET−5、クラスターA4、系統3、亜群I、亜群II、および亜群III、および亜群IV−1のうちの少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7)の髄膜炎菌に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる(8、9)。キメラは、さらに、1つまたは複数の高侵襲性系列に対して殺菌性抗体応答を誘導することができる。
【0014】
キメラは、以下の多座配列型のうちの少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、6、7)の髄膜炎菌株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる:ST1、ST4、ST5、ST8、ST11、ST32、およびST41(10)。キメラはまた、ST44株に対して殺菌性を示す抗体応答を誘発することができる。
【0015】
組成物は、特定の系列またはMLST内のありとあらゆるMenB株に対して殺菌性を示す抗体を誘発する必要はなく、むしろ、特定の高ビルレント系列またはMLST内の4つまたはそれを超える血清型B髄膜炎菌類株のうちの任意の所与の群に対して誘発し、組成物によって誘発された抗体は、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える)の群に対して殺菌性を示す。
【0016】
株の好ましい群には、以下の国のうちの少なくとも4ヶ国で単離された株が含まれる:GB、AU、CA、NO、IT、US、NZ、NL、BR、およびCU。血清は、好ましくは、少なくとも1024(例えば、210、211、212、213、214、215、216、217、218、またはそれを超える、好ましくは少なくとも214)の殺菌力価を有する(すなわち、参考文献4の巻末の注釈14に記載のように、血清は、1024倍に希釈した場合に特定の株の試験細菌の少なくとも50%を死滅させることができる)。好ましいキメラポリペプチドは、血清を4096倍またはそれを超えて希釈した場合でさえも殺菌性を保持する抗体応答をマウス中で誘発することができる。
NMB1870ドメイン
配列番号1は、血清型BMC58株由来の全長ファミリーI NMB1870配列である:
【0017】
【化2】

プロセシングされた成熟リポタンパク質のN末端に下線を引いている(Cys−20)。全長配列を、3つのドメインに分割した(aa1〜119、120〜183、および184〜274)。
【0018】
【化3】

N末端からC末端まで、これらのドメインを、「A」、「B」、および「C」と呼ぶ。成熟C末端システインからのドメイン「A」の成熟形態を、「Amature」と呼ぶ。
【0019】
MC58について、ドメインは以下である:「A」=配列番号4;「B」=配列番号5;「C」=配列番号6;および「Amature」=配列番号13。複数のNMB1870配列が公知であり(例えば、参考文献3、6、および7を参照のこと)、標準的方法を使用して容易にアラインメントすることができる。このようなアラインメントにより、当業者は、MC58配列中の座標との比較によって任意の所与のNMB1870配列中のドメイン「A」(および「Amature」)、「B」、および「C」を同定することができる。しかし、参照を容易にするために、ドメインを以下のように定義する。
−所与のNMB1870配列中のドメイン「A」は、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のMet−1とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のLys−119とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントである。
−所与のNMB1870配列中のドメイン「Amature」は、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のCys−20とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のLys−119とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントである。
−所与のNMB1870配列中のドメイン「B」は、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のGln−120とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のGly−183とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントである。
−所与のNMB1870配列中のドメイン「C」は、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のLys−184とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のGln−274とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントである。
【0020】
ドメイン定義のための好ましい対合アルゴリズムは、デフォルトパラメーター(例えば、EBLOSUM62スコアリング行列を使用したギャップオープニングペナルティ=10.0およびギャップ伸長ペナルティ=0.5)を使用したNeedleman−Wunsch大域アラインメントアルゴリズム(11)である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージ中のneedleツールで都合良く実行される(12)。
【0021】
NMB1870配列は、本明細書中でファミリーI、II、およびIIIと呼ばれる3つのファミリーに分類される(3、7)。ファミリーI〜IIIのプロトタイプ配列は、それぞれ配列番号1〜3である。参考文献3の系統樹および樹状図法にしたがって、任意の所与のNMB1870配列のファミリーを容易に決定することができ、3つの各プロトタイプNMB1870配列を使用した対合アラインメントを使用して、最も近いファミリーを見出すことができる。配列は、3つのファミリーに明確に分類され、配列同一性は、ファミリーIとIIとの間で74.1%であり、ファミリーIとIIIとの間で62.8%であり、ファミリーIIとIIIとの間で84.7%であり、各ファミリー内の配列の変動は低い(例えば、最小の同一性は、ファミリーI内で91.6%、ファミリーII内で93.4%、およびファミリーIII内で93.2%)。系統発生分析を必要としない配列ファミリーの迅速な決定方法として、配列番号1との配列同一性が少なくとも85%である場合はファミリーIに分類することができ、配列番号2との配列同一性が少なくとも85%である場合はファミリーIIに分類することができ、配列番号3との配列同一性が少なくとも85%である場合はファミリーIIIに分類することができる。
【0022】
参考文献3の図6中のアラインメントに基づいて、NMB1870の3つのプロトタイプファミリーについての例示的ドメインA、B、およびC(配列番号1〜3)は以下である。
【0023】
【化4】

本発明での使用に好ましいドメインは、(a)1つまたは複数の配列番号4〜12との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(b)1つまたは複数の配列番号4〜12の少なくともy個の連続したアミノ酸配列のフラグメントを含むアミノ酸配列を含む。
【0024】
xの値は、50、60、70、75、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9、またはそれを超える値から選択される。yの値は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、またはそれを超える値から選択される。異なるファミリー由来のNMB1870配列を含むポリペプチドでは、各ファミリーについてのxおよびyの値は、同一でも異なっていてもよい。
【0025】
ドメイン「A」配列は、好ましくは、aとaとの間(両値を含む)(aは110、115、120、125、および130から選択され、aは115、120、125、130、および135から選択される)のアミノ酸長である。
【0026】
ドメイン「B」配列は、好ましくは、bとbとの間(両値を含む)(bは55、60、65、および70から選択され、bは60、65、70、75から選択される)のアミノ酸長である。
【0027】
ドメイン「C」配列は、好ましくは、cとcとの間(両値を含む)(cは80、85、90、95、および100から選択され、cは85、90、95、100、および105から選択される)のアミノ酸長である。
NMB1870表面ループ
αヘリックスの間に存在する配列番号1の表面ループは、(1)アミノ酸134〜141、(2)アミノ酸162〜168、(3)アミノ酸181〜182、(4)アミノ酸197、(5)アミノ酸219〜223、(6)アミノ酸234〜236、(7)アミノ酸261〜267である。
【0028】
【化5】

配列番号1の任意の他のNMB1870配列とのアラインメントにより、当業者は、この配列中のループ(1)〜(7)の位置を同定することができる。しかし、容易に参照するために、本明細書中では、ループの座標を、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1中の上記定義のループの第1のアミノ酸残基とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1中の上記定義のループの最後のアミノ酸で終了するNMB1870配列中のアミノ酸鎖と定義する。
【0029】
キメラタンパク質
異種ドメインBおよびCの連結
本発明は、(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列および(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「C」配列を含むキメラポリペプチドを提供する。第1のファミリーおよび第2のファミリーは、それぞれI、II、またはIIIから選択されるが、互いに同一ではない。キメラポリペプチドは、好ましくは、第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「C」配列を含まず、そして/または第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列を含まない。キメラポリペプチドは、好ましくは、495アミノ酸長未満である。
【0030】
好ましいポリペプチドは、アミノ酸配列−X−B−X−C−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−B−は第1のファミリー中のNMB1870配列由来のドメインBアミノ酸配列であり、−C−は第2のファミリー中のNMB1870配列由来のドメインCアミノ酸配列である)を含む。−B−は、−C−ドメインのC末端であるが、好ましくは、−C−ドメインのN末端である。
【0031】
好ましくは、第1のNMB1870ファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号5、配列番号8、または配列番号11との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号5、配列番号8、または配列番号11由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(2)第2のNMB1870ファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号6、配列番号9、または配列番号12との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号6、配列番号9、または配列番号12由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、但し、(1)および(2)のために選択される2つの配列番号は、(i)5および6を同時に選択しないか、(2)8および9を同時に選択しないか、(3)11および12を同時に選択しない。したがって、(1)および(2)のために組み合わせるべき適切な配列番号対は、5および9、5および12、8および6、8および12、11および6、ならびに11および9。
【0032】
異種BCドメインの連結
発明は、(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列ならびに(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列を含むキメラポリペプチドを提供する。キメラポリペプチドは、好ましくは、第1のファミリーのドメイン「A」配列を含まず、そして/または第2のファミリーのドメイン「A」配列を含まない。第1のファミリーおよび第2のファミリーは、それぞれI、II、またはIIIから選択されるが、互いに同一ではない。
【0033】
第1のファミリー由来のドメイン「B」および「C」は、好ましくは、連続している(「BC」ドメイン)。同様に、第2のファミリー由来のドメイン「B」および「C」配列は、好ましくは、連続している。
【0034】
好ましいポリペプチドは、アミノ酸配列−X−B−X−C−X−B−X−C−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−B−は第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」アミノ酸配列であり、−C−は第1のファミリー由来のドメイン「C」アミノ酸配列であり、−B−は第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」アミノ酸配列であり、−C−は第2のファミリー由来のドメイン「C」アミノ酸配列である)を含む。配列−X−および−X−は、好ましくは存在しない(すなわち、−X−B−C−X−B−C−X−が得られる)。
【0035】
−B−ドメインおよび−C−ドメインに対して−B−ドメインおよび−C−ドメインを有することが好ましい。
【0036】
好ましくは、(1)第1のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号J1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号J1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(2)第1のファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号J2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号J2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(3)第2のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号K1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(4)第2のファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号K2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、J1、J2、K1、およびK2は、以下のように選択される。
【0037】
【化6】

したがって、上記ポリペプチドは、3つのNMB1870ファミリーの少なくとも2つに由来するBCドメインを含む。より好ましくは、ポリペプチドは、3つの各ファミリー由来のBCドメインを含む。したがって、本発明は、(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列、(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列、(c)第3のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列を含むキメラポリペプチドを提供する。キメラポリペプチドは、好ましくは、第1のファミリー由来のドメイン「A」配列を含まず、そして/または第2のファミリー由来のドメイン「A」配列を含まず、そして/または第3のファミリー由来のドメイン「A」配列を含まない。
【0038】
第1のファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列は、好ましくは、連続している。同様に、第2のファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列は、好ましくは、連続している。同様に、第3のファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列は、好ましくは、連続している。
【0039】
好ましいポリペプチドは、アミノ酸配列−X−B−X−C−X−B−X−C−X−B−X−C−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−B−は第1のNMB1870ファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−C−は第1のファミリー由来のドメインCアミノ酸配列であり、−B−は第2のNMB1870ファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−C−は第2のファミリー由来のドメインCアミノ酸配列であり、−B−は第3のNMB1870ファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−C−は第3のファミリー由来のドメインCアミノ酸配列である)を含む。配列−X−、−X−および−X−は、好ましくは存在しない(すなわち、−X−B−C−X−B−C−X−B−C−X−が得られる)。
【0040】
好ましくは、(1)第1のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号J1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号J1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(2)第1のファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号J2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号J2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(3)第2のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号K1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号K1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(4)第2のファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号K2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号K2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(5)第3のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号L1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号L1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(6)第3のファミリーのドメインC配列は、(i)配列番号L2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号L2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、J1、J2、K1、K2、L1、およびL2は、以下のように選択される。
【0041】
【化7】

異種ABドメインの連結
発明は、(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列ならびに(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列を含むキメラポリペプチドを提供する。キメラポリペプチドは、好ましくは、第1のファミリーのドメイン「C」配列を含まず、そして/または第2のファミリーのドメイン「C」配列を含まない。第1のファミリーおよび第2のファミリーは、それぞれI、II、またはIIIから選択されるが、互いに同一ではない。
【0042】
第1のファミリー由来のドメイン「A」および「B」は、好ましくは、連続している。同様に、第2のファミリー由来のドメイン「A」および「B」配列は、好ましくは、連続している。
【0043】
好ましいポリペプチドは、アミノ酸配列−X−A−X−B−X−A−X−B−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−A−は第1のNMB1870ファミリー由来のドメインAアミノ酸配列であり、−B−は第1のファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−A−は第2のNMB1870ファミリー由来のドメインAアミノ酸配列であり、−B−は第2のファミリー由来のドメインBアミノ酸配列である)を含む。配列−X−および−X−は、好ましくは存在しない(すなわち、−X−A−B−X−A−B−X−が得られる)。
【0044】
−A−ドメインおよび−B−ドメインに対して−A−ドメインおよび−B−ドメインを有することが好ましい。
【0045】
好ましくは、(1)第1のファミリーのドメインA配列は、(i)配列番号J1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号J1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(2)第1のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号J2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または配列番号J2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(3)第2のファミリーのドメインA配列は、(i)配列番号K1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(4)第2のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号K2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、J1、J2、K1、およびK2は、以下のように選択される。
【0046】
【化8】

したがって、上記ポリペプチドは、3つのNMB1870ファミリーの少なくとも2つに由来するABドメインを含む。より好ましくは、ポリペプチドは、3つの各ファミリー由来のABドメインを含む。したがって、本発明は、(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列、(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列、(c)第3のNMB1870ファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列を含むキメラポリペプチドを提供する。キメラポリペプチドは、好ましくは、第1のファミリー由来のドメイン「C」配列を含まず、そして/または第2のファミリー由来のドメイン「C」配列を含まず、そして/または第3のファミリー由来のドメイン「C」配列を含まない。
【0047】
第1のファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列は、好ましくは、連続している。同様に、第2のファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列は、好ましくは、連続している。同様に、第3のファミリー由来のドメイン「A」配列およびドメイン「B」配列は、好ましくは、連続している。
【0048】
好ましいポリペプチドは、アミノ酸配列−X−A−X−B−X−A−X−B−X−A−X−B−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−A−は第1のNMB1870ファミリー由来のドメインAアミノ酸配列であり、−B−は第1のファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−A−は第2のNMB1870ファミリー由来のドメインAアミノ酸配列であり、−B−は第2のファミリー由来のドメインBアミノ酸配列であり、−A−は第3のNMB1870ファミリー由来のドメインAアミノ酸配列であり、−B−は第3のファミリー由来のドメインBアミノ酸配列である)を含む。配列−X−、−X−および−X−は、好ましくは存在しない(すなわち、−X−A−B−X−A−B−X−A−B−X−が得られる)。
【0049】
好ましくは、(1)第1のファミリーのドメインA配列は、(i)配列番号J1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号J1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(2)第1のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号J2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号J2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(3)第2のファミリーのドメインA配列は、(i)配列番号K1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(4)第2のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号K2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号K2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(5)第3のファミリーのドメインA配列は、(i)配列番号L1との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号L1由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、(6)第3のファミリーのドメインB配列は、(i)配列番号L2との配列同一性が少なくともx%であり、そして/または(ii)配列番号L2由来の少なくともy個連続するアミノ酸配列のフラグメントを含み、J1、J2、K1、K2、L1、およびL2は、以下のように選択される。
【0050】
【化9】

選択可能なX配列
本発明のポリペプチドは、NMB1870由来の配列に連結した配列を含むことができ、そして/またはNMB1870に由来しないN末端配列およびC末端配列を含むことができる。このような配列を、本明細書中で、「X」(X、X、X、X、X、X、Xなど)と指定する。各Xは、存在しても存在しなくてもよく、各配列は同一であっても同一でなくても良い。
【0051】
リンカーアミノ酸配列は、典型的には、短い(例えば、20個またはそれ未満(すなわち、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)のアミノ酸)。例には、クローニングを容易にする短いペプチド配列(ポリグリシンリンカー(すなわち、Gly、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える)およびヒスチジンタグ(すなわち、His、n=3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える))が含まれる。他の適切なリンカーアミノ酸配列が当業者に明らかである。有用なリンカーはGSGGGG(配列番号17)(BamHI制限部位からGly−Serジペプチドが形成される)であり、したがって、クローニングおよび操作に役立ち、別の有用なリンカーはGKGGGG(配列番号45)(HindIII制限部位からGly−Lysジペプチドが形成される)である。制限部位の後に、典型的なポリグリシンリンカーであるGlyテトラペプチド(配列番号18)が存在する。他の有用なリンカーは、配列番号19および20である。
【0052】
選択可能なN末端アミノ酸配列は、典型的には、短い(例えば、40個またはそれ未満の(すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)アミノ酸)。例には、ポリペプチド輸送を指示するためのリーダー配列またはクローニングまたは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ(すなわち、His、n=3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える))が含まれる。他の適切なN末端アミノ酸配列が当業者に明らかである。配列が配列自体のN末端メチオニンを欠く場合、有用なN末端配列により、翻訳されたポリペプチド中のメチオニン残基(例えば、1つのMet残基)などが得られる。
【0053】
選択可能なC末端アミノ酸配列は、典型的には、短い(例えば、40個またはそれ未満の(すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)アミノ酸)。例には、ポリペプチド輸送を指示するための配列またはクローニングまたは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ(すなわち、His、n=3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える)を含む)またはポリペプチドの安定性を増強する配列が含まれる。他の適切なC末端アミノ酸配列が当業者に明らかである。
【0054】
キメラNMB1870配列の構築
本発明は、(a)第1のNMB1870アミノ酸配列と第2のNMB1870アミノ酸配列とをアラインメントしてアラインメント配列対を得る工程と、(b)前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第1のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、(c)前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第2のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、ここで、前記aおよびaならびに前記bおよびbがアラインメント配列対にアラインメントされることと、(d)前記第1のアミノ酸配列の一部を前記第2のアミノ酸配列の一部に置換し、それにより、キメラNMB1870アミノ酸配列が得られる工程とを含む、キメラNMB1870アミノ酸配列の産生プロセスを提供する。第1の配列および第2の配列は異なり、好ましくは、異なるNMB1870ファミリーに由来する。
【0055】
工程(b)から(d)を、工程(a)由来の同一のアラインメントのために1回を超えて行うことができる(すなわち、第2の配列から第1の配列への置換を複数回行うことができる)。同様に、工程(a)から(d)を、1回を超えて行うことができ、異なる「第2のアミノ酸配列」をその後の工程(a)で任意選択的に使用する(すなわち、第1の配列を第2の配列とアラインメントし、置換手順に供し、異なる第2の配列とアラインメントし、さらなる置換などに供することができる)。
【0056】
したがって本発明は、(a)第1のNMB1870アミノ酸配列と第2のNMB1870アミノ酸配列とをアラインメントして第1のアラインメント配列対を得る工程と、(b)前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第1のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、(c)前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第2のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、ここで、前記aおよびaならびに前記bおよびbが第1のアラインメント配列対にアラインメントされることと、(d)前記第1のアミノ酸配列の一部を前記第2のアミノ酸配列の一部に置換し、それにより、中間体キメラNMB1870アミノ酸配列が得られる工程と、(e)第1のNMB1870アミノ酸配列または前記中間体キメラ配列と第3のNMB1870アミノ酸配列とをアラインメントして第2のアラインメント配列対を得る工程と、(f)前記中間体キメラ配列得のアミノ酸aから開始して前記中間体キメラ配列のアミノ酸bで終了する中間体キメラ配列の一部を選択する工程と、(g)前記第3のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第3のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第3のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、ここで、前記aおよびaならびに前記bおよびbが第2のアラインメント配列対にアラインメントされることと、(h)前記中間体キメラ配列の一部を前記第3のアミノ酸配列の一部に置換し、それにより、中間体キメラNMB1870アミノ酸配列が得られる工程とを含む、キメラNMB1870アミノ酸配列の産生プロセスを提供する。
【0057】
選択された部分は、好ましくは、少なくともcアミノ酸長(cは、3、4、5、6、7、8、9またはこれを超える)である。
【0058】
置換された配列は、好ましくは、表面ループ配列である。本発明は、10個まで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)またはこれを超える置換を含む状況を含む。
【0059】
本発明はまた、キメラNMB1870アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記キメラNMB1870アミノ酸配列が上記プロセスによって得ることができる、ポリペプチドを提供する。
【0060】
本発明のプロセスの後に、キメラNMB1870アミノ酸配列を含むポリペプチドのさらなる産生工程(例えば、組換えタンパク質発現)を行うことができる。
【0061】
本発明は、アミノ酸配列F−X−F(式中、Fは第1のNMB1870アミノ酸配列のN末端フラグメントであり、Fは第2のNMB1870アミノ酸配列のC末端フラグメントであり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、前記第1および第2のNMB1870アミノ酸配列が異なるNMB1870ファミリーに由来し、前記フラグメントFおよびFは共に少なくとも10アミノ酸長であり、前記フラグメントFおよびFは組み合わせて少なくともffアミノ酸長を有する)を含むポリペプチドを提供する。ffの値は、220、210、220、230、240、250、または260である。−X−配列は、好ましくは存在せず、異なるファミリー中のNMB1870タンパク質由来のN末端とC末端との融合物である配列F−Fが得られる。本発明はまた、前記ポリペプチドの少なくともg個連続するアミノ酸のフラグメントを提供し、但し、前記フラグメントは、それぞれのFおよびFに由来する少なくとも1つのアミノ酸を含む(すなわち、FとFとの間を架橋するフラグメント)。gの値は、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、40、50、75、100、またはこれを超える。
【0062】
本発明は、アミノ酸配列(F−X(式中、各FはmthNMB1870アミノ酸配列のフラグメントであり、各−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、各フラグメントFは少なくともgアミノ酸長であり、Fの場合のnは3つのNMB1870ファミリーI、II、およびIIIのうちの少なくとも2つ由来のフラグメントを含む)を含むポリペプチドを提供する。gの値は、上記で定義する。nの値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を超える。
【0063】
本発明は、(i)ファミリーI NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーI NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、(ii)ファミリーII NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーII
NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、(iii)ファミリーIII
NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーIIII NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、のうちの少なくとも2つを含むポリペプチドを提供する。
【0064】
ループ置換
本発明者らは、NMB1870がαヘリックスの間に存在する表面ループ中のそのエピトープのいくつかを曝露することを見出した。一方のファミリー由来のループエピトープから他方のファミリー中のループの位置への置換によって多ファミリー抗原性を有するキメラNMB1870を産生可能である。
【0065】
本発明は、第1のNMB1870ファミリーの修飾アミノ酸配列を含み、ここで、前記修飾配列が、第1のファミリー由来の表面ループ配列の代わりに少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、または7)の第2のNMB1870ファミリー由来の表面ループ配列を含む、ポリペプチドを提供する。
【0066】
したがって本発明はまた、アミノ酸配列:
−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B
(式中、(a)B、B、B、B、B、B、B、およびBは、それぞれ、(i)配列番号Mのフラグメント、(ii)(i)のフラグメントとの配列同一性が少なくともm%であり、そして/または(i)のフラグメント由来の少なくともmm個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、(b)L、L、L、L、L、L、およびLは、(iii)配列番号1、配列番号2、および/または配列番号3のフラグメント、(iv)(iii)のフラグメントとの配列同一性が少なくともn%であり、そして/または(iii)のフラグメント由来の少なくともnn個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、但し、L、L、L、L、L、L、およびLの少なくとも1つが、配列番号Mのフラグメントではない)を含むポリペプチドを提供する。
【0067】
したがって、ポリペプチドは、8つの部分から構成される基本骨格配列および7つのループ(骨格配列の各連続部分の間に存在する)を含むが、少なくとも1つのループ配列は、基本骨格配列由来の異なるNMB1870ファミリーに由来するNMB1870配列から選択される。1つを超える異なるNMB1870配列由来の表面ループを使用することが好ましく、これらのループを1つの骨格配列に挿入することが可能である。
【0068】
Mの値は、1、2、または3から選択され、B、B、B、B、B、B、B、およびBおよびL、L、L、L、L、L、およびLの定義は、Mの値によって変化する。
【0069】
「(i)配列番号Mのフラグメント」の意味を以下に示す。
【0070】
【化10】

同様に、「(iii)配列番号1、配列番号2、および/または配列番号3のフラグメント」の意味を以下のように定義する。
【0071】
【化11】

例えば、本発明は、アミノ酸配列:
−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B
(式中、Bは、配列番号1のアミノ酸1〜139またはアミノ酸1〜133との配列同一性が少なくともm%であり、そして/またはアミノ酸1〜133由来の少なくともmm個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、Bは、配列番号1のアミノ酸142〜161またはアミノ酸142〜161との配列同一性が少なくともm%であり、そして/またはアミノ酸142〜161由来の少なくともmm個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、...Bは、配列番号1のアミノ酸268〜274またはアミノ酸268〜274との配列同一性が少なくともm%であり、そして/またはアミノ酸268〜274由来の少なくともmm個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、Lは、配列番号2のアミノ酸134〜141またはアミノ酸134〜141との配列同一性が少なくともn%であり、そして/またはアミノ酸134〜141由来の少なくともnn個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、Lは、配列番号2のアミノ酸162〜167またはアミノ酸162〜167との配列同一性が少なくともn%であり、そして/またはアミノ酸162〜167由来の少なくともnn個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列であり、...Lは、配列番号3のアミノ酸268〜274またはアミノ酸268〜274との配列同一性が少なくともn%であり、そして/またはアミノ酸268〜274由来の少なくともnn個連続するアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列である)を含むペプチドを提供する。
【0072】
mの値は、50、60、70、75、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9、またはこれを超える値から選択される。nの値は、50、60、70、75、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9、またはこれを超える値から選択される。mmの値は、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、40、45、50、60、70、75、100、またはこれを超える値から選択される。nnの値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される。nnの値は、好ましくは、20未満である。
【0073】
本発明はまた、上記定義のキメラアミノ酸配列:
−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B−L−B
を含み、前記キメラ配列(NMB1870配列)のN末端またはC末端のいずれかをさらに含むポリペプチドであって、NMB1870配列が、配列番号Mと同一のNMB1870ファミリーに属する、ポリペプチドを提供する。したがって、ポリペプチドは、(i)特定のファミリー由来のNMB1870および(ii)同一のファミリー由来のNMB1870の両方を含むが、その表面ループの少なくとも1つが異なるNMB1870ファミリーに置換されている。
【0074】
本発明は、配列番号Qに対する配列全体の同一性がq%であり、ここで、qが少なくともrであり、配列番号Qに対するアミノ酸配列の配列同一性が、配列番号Qの骨格領域でq%を超え、配列番号Qに対するアミノ酸配列の配列同一性が配列番号Qのループ領域でq%未満であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。rの値は、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、および99.5から選択される。
【0075】
Qの値は、1、2、または3であり、ループ領域および骨格領域の境界線を、上記表にしたがって選択する(L〜Lはループであり、B〜Bは骨格である)。
【0076】
Qが1である場合、ループ領域中のアミノ酸配列は、配列番号2または配列番号3の対応するループ領域に対する配列同一性がq%を超え得る。Qが2である場合、ループ領域中のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号3の対応するループ領域に対する配列同一性がq%を超え得る。Qが3である場合、ループ領域中のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号2の対応するループ領域に対する配列同一性がq%を超え得る。
NMB1870フラグメント
本発明は、(a)フラグメントがアミノ酸Arg−223を含み、(b)ポリペプチドが、(i)完全なファミリーI NMB1870アミノ酸配列および(ii)完全なファミリーI ?G−NMB1870アミノ酸配列のいずれも含まない、ファミリーI NMB1870配列のフラグメントを含むポリペプチドを提供する。アミノ酸残基の番号づけは、本明細書中の配列番号1の数に従う。フラグメントは、完全なドメインBおよびCを含み得る。
【0077】
ポリペプチドがフラグメントのN末端のアミノ酸を含む場合、ポリペプチド中のフラグメントのN末端にすぐ接したアミノ酸は、好ましくは、配列番号1中のフラグメントのN末端にすぐ接して見出されるアミノ酸と異なる。
【0078】
同様に、ポリペプチドがフラグメントのC末端のアミノ酸を含む場合、ポリペプチド中のフラグメントのC末端にすぐ接したアミノ酸は、好ましくは、配列番号1中のフラグメントのC末端にすぐ接して見出されるアミノ酸と異なる。
【0079】
本発明は、アミノ酸配列−Z−Arg−Z−(式中、
(a)−Z−はyアミノ酸からなるアミノ酸配列であり、ここで、yは、少なくとも10(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、またはこれを超える)であり、
(b)−Z−はyアミノ酸からなるアミノ酸配列であり、ここで、yは、少なくとも10(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、またはこれを超える)であり、
(c)−Z−は配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ上流に存在するyアミノ酸との配列同一性が少なくともx%であり(上記で定義する)、
(d)−Z−は配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ下流に存在するyアミノ酸との配列同一性が少なくともx%である(上記で定義する))を含むポリペプチドを提供する。
【0080】
の値は、好ましくは、220未満である。yの値は、好ましくは、50未満である。
【0081】
ポリペプチドが−Z−の上流のアミノ酸配列を含む場合、配列は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ上流に存在するyアミノ酸のすぐ上流で見出される配列と異なる。
【0082】
ポリペプチドが−Z−の下流のアミノ酸配列を含む場合、配列は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ下流に存在するyアミノ酸のすぐ下流で見出される配列と異なる。
【0083】
これらのフラグメントを含む本発明のポリペプチドは、好ましくは、いかなる公知のポリペプチド(例えば、参考文献2、3、6、7に開示のポリペプチドなど)も含まない。
【0084】
本発明はまた、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む混合物であって、第1のポリペプチドがNMB1870のドメインB由来のフラグメントであり、第2のポリペプチドがNMB1870のドメインC由来のフラグメントであり、ここで、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを会合して、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド上で見出されないエピトープを産生することができる、混合物を提供する。任意の所与のNMB1870のために、本明細書中に提供された情報を使用して、ドメインBおよびドメインCが容易に同定され、個別のドメインの短縮および/または切断ならびにその後の混合を使用して、ポリペプチドが会合するかどうかを調査することができる。高次構造のエピトープの会合および形成を決定するための都合の良いアッセイは、NMB1870のドメインBCフラグメントを認識するが、ドメインBまたはドメインCのみを認識しないモノクローナル抗体の使用を含む。このような抗体を、標準的なスクリーニング法によってポリクローナルマウス抗NMB1870抗血清から単離することができる。
【0085】
ポリペプチド
本発明は、上記のポリペプチドを提供する。
【0086】
本発明はまた、配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、23、24、43、44、52、53、61、62、63、64、および65からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。本発明はまた、(a)配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、23、24、43、44、52、53、61、62、63、64、および65からなる群から選択されるアミノ酸配列との配列同一性を有し、そして/または(b)配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、23、24、43、44、52、53、61、62、63、64、および65からなる群から選択されるアミノ酸配列のフラグメントを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。配列同一率は、好ましくは、50%を超える(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはこれを超える)。フラグメントは、好ましくは、開始配列から7個またはこれを超える連続したアミノ酸を含む(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、45、50、55、60、65、70、75、70、85、90、95、100、またはこれを超える)。
【0087】
NMB1870は、天然に、髄膜炎菌のリポタンパク質である。大腸菌中で発現した場合に脂質付加されることも見出されている。本発明の好ましいポリペプチドは、脂質付加することができるC末端システイン残基(例えば、パルミトイル基を含む)を有する。
【0088】
本発明の好ましいポリペプチドの特徴は、宿主動物への投与後に殺菌性抗髄膜炎菌類抗体を誘導する能力である。
【0089】
本発明のポリペプチドを、種々の手段(例えば化学合成(少なくとも一部)、プロテアーゼを使用したより長いポリペプチドの消化、RNAからの翻訳、細胞培養物(例えば、組換え発現物または髄膜炎菌培養物)からの精製など)によって調製することができる。大腸菌宿主中での異種発現は、好ましい発現経路である(例えば、DH5a、BL21(DE)、BLRなど)。
【0090】
本発明のポリペプチドを、固体支持体に付着または固定することができる。
【0091】
本発明のペプチドは、検出可能な標識(例えば、放射性標識、蛍光標識、またはビオチン標識)を含むことができる。これは、免疫アッセイ技術で特に有用である。
【0092】
ポリペプチドは、種々の形態(例えば、未変性形態、融合物形態、グリコシル化形態、非グリコシル化形態、脂質付加形態、ジスルフィド結合形態)をとることができる。
【0093】
ポリペプチドを、好ましくは、実質的に純粋であるか実質的に単離された形態(すなわち、他のナイセリアまたは宿主細胞のポリペプチドを実質的に含まない)または実質的に単離された形態で調製する。一般に、ポリペプチドを、天然に存在しない環境で提供する(例えば、ポリペプチドを、その天然に存在する環境から分離する)。一定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、コントロールと比較してポリペプチドが豊富な組成物中に存在する。そのようなものとして、精製ポリペプチドを提供し、精製は、ポリペプチドが他の発現されるポリペプチドを実質的に含まない組成物中に存在することを意味し、実質的に存在しないは、組成物の90%未満、通常には60%未満、より通常には50%未満が他の発現されるポリペプチドから作製されることを意味する。
【0094】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーをいう。ポリマーは、直鎖でも分枝鎖でも良く、修飾アミン酸を含むことができ、非アミノ酸が介在していてもよい。この用語はまた、天然に修飾されているか介在によって修飾されているアミノ酸ポリマーを含むことができる(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾(標識化合物との抱合など))。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などが含まれる)の1つまたは複数のアナログおよび当該分野で公知の他の修飾を含むポリペプチドも定義内に含まれる。ポリペプチドは単一の鎖または会合した鎖として生じ得る。
【0095】
核酸
本発明は、上記定義の本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明はまた、(a)核酸の少なくともn個の連続したヌクレオチドのフラグメントであって、nは、10またはこれを超える(例えば、12、14、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500、またはこれを超える)、フラグメント、および/または(b)核酸と少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはこれを超える)の配列同一性を有する配列を含む核酸を提供する。
【0096】
さらに、本発明は、好ましくは、「高ストリンジェンシー」条件下で(例えば、65℃で0.1×SSC、0.5%SDS溶液)本発明のポリペプチドをコードする核酸に対してキメラであり得る(chimericese)核酸を提供する。
【0097】
本発明の核酸を、ハイブリッド形成反応(例えば、ノーザンブロット、サザンブロット、核酸マイクロアレイ、または「遺伝子チップ」)、増幅反応(例えば、PCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBAなど)、および他の核酸技術で使用することができる。
【0098】
本発明の核酸を、多数の方法(例えば、全部または一部の化学合成(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用したより長い核酸の消化、(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを使用した)ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリー由来のより短い核酸またはヌクレオチドの連結)で調製することができる。
【0099】
本発明の核酸は、種々の形態(例えば、一本鎖形態、二本鎖形態、ベクター形態、プライマー形態、プローブ形態、標識形態、非標識形態など)をとることができる。
【0100】
本発明の核酸は、好ましくは、単離形態または実質的に単離された形態である。
【0101】
本発明は、例えば、アンチセンスもしくは探索のためまたはプライマーとして使用するための上記の核酸と相補的な配列を含む核酸を含む。
【0102】
用語「核酸」には、DNAおよびRNAが含まれ、そのアナログ(修飾骨格を含むアナログなど)およびペプチド核酸(PNA)なども含まれる。
【0103】
本発明の核酸を、例えば、放射性標識または蛍光標識で標識することができる。これは、例えば、PCR、LCR、TMA、NASBAなどの技術で使用されるプライマーまたはプローブである核酸検出技術で核酸が使用される場合に特に有用である。
【0104】
本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター(核酸免疫化に適切なベクターなど))およびこのようなベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0105】
免疫化
本発明のポリペプチドを、好ましくは、免疫原性組成物として提供し、本発明は、薬物として使用するための本発明の免疫原性組成物を提供する。
【0106】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の抗体応答を惹起する方法を提供する。抗体応答は、好ましくは、防御および/または殺菌性抗体応答である。
【0107】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、ナイセリア(例えば、髄膜炎菌類)感染から哺乳動物を防御する方法を提供する。
【0108】
本発明は、薬物(例えば、免疫原性組成物またはワクチン)または診断薬として使用するための本発明のキメラポリペプチドを提供する。本発明はまた、哺乳動物におけるナイセリア(例えば、髄膜炎菌類)感染の防止のための薬物の製造における本発明の核酸、ポリペプチド、または抗体の使用を提供する。
【0109】
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ヒトは、成人または好ましくは子供であり得る。ワクチンを予防のために使用する場合、ヒトは、好ましくは子供(よちよち歩きの幼児または乳児)であり、ワクチンを治療のために使用する場合、ヒトは、好ましくは成人である。例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、子供用のワクチンを、成人に投与することもできる。
【0110】
使用および方法は、疾患(髄膜炎(特に、細菌性髄膜炎)および菌血症が含まれるが、これらに限定されない)の防止/治療に特に有用である。
【0111】
治療上の処置の有効性を、本発明の組成物の投与後のナイセリア感染のモニタリングによって試験することができる。予防的処置の有効性を、組成物の投与後のNMB1870に対する免疫応答のモニタリングによって試験することができる。本発明の組成物の免疫原性を、試験被験体(例えば、12〜16歳の子供または動物モデル(13))への投与および標準的パラメーター(血清殺菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)が含まれる)の決定によって決定することができる。これらの免疫応答を、一般に、組成物の投与から約4週間後に決定し、組成物の投与前に決定した値と比較する。少なくとも4倍または8倍のSBA増加が好ましい。1回を超えて組成物を投与する場合、1回を超えて投与後に決定することができる。
【0112】
本発明の好ましい組成物は、患者に、許容可能な比率のヒト被験体についての各抗原成分に対するセロプロテクション基準より優れている抗体力価を付与することができる。宿主が抗原に対して抗体陽転したと見なされる関連抗体力価を有する抗原が周知であり、このような力価は、WHOなどの組織が公表している。好ましくは、80%を超え、より好ましくは、90%を超え、さらにより好ましくは93%を超え、最も好ましくは96〜100%の被験体の統計的に有意なサンプルが抗体陽転する。
【0113】
本発明の組成物を、一般に、患者に直接投与する。非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔)、直腸、経口、膣内、局所、経皮、鼻腔内、眼内、耳内、肺内、または他の粘膜投与によって直接投与することができる。大腿部または上腕への筋肉内投与が好ましい。ニードル(例えば、皮下注射針)によって注射することができるが、無針注射を代わりに使用することもできる。典型的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0114】
本発明を使用して、全身および/または粘膜免疫を誘発することができる。
【0115】
投与治療は、単回投与計画または複数回投与計画であり得る。複数回投与を、一次免疫化投与計画および/または追加免疫化投与計画で使用することができる。一次投与計画の後に追加免疫投与計画を行うことができる。初回投与の間(例えば、4〜16週間)および初回投与と追加免疫との間の適切なタイミングを、日常的に決定することができる。
【0116】
本発明の免疫原性組成物は、一般に、薬学的に許容可能なキャリアを含み、これは、それ自体が組成物を投与した患者に有害な抗体の産生を誘導せず、且つ過度の毒性を示さずに投与することができる任意の物質である。適切なキャリアは、巨大なゆっくりと代謝される高分子(タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子など)であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。薬学的に許容可能なキャリアには、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールなどの液体が含まれ得る。賦形剤(湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝液など)もこのような賦形剤中に存在し得る。リポソームは、適切なキャリアである。薬学的キャリアの十分な考察は、参考文献14から得ることができる。
【0117】
ナイセリア感染は身体の種々の領域に影響を与えるので、本発明の組成物を種々の形態で調製することができる。例えば、組成物を、注射液(溶液または懸濁液)として調製することができる。溶液または懸濁液(液体賦形剤)に適切な注射前の固体形態も調製することができる。局所投与のために、例えば、軟膏、クリーム、または粉末として組成物を調製することができる。経口投与のために、例えば、錠剤、カプセル、またはシロップ(任意選択的に風味づけした)として組成物を調製することができる。肺投与のために、例えば、微粉または噴霧を使用した吸入薬として組成物を調製することができる。座剤またはペッサリーとして組成物を調製することができる。鼻、耳、または眼への投与のために、例えば、点滴薬として組成物を調製することができる。
【0118】
組成物は、好ましくは、無菌である。組成物は、好ましくは、発熱物質を含まない。組成物は、好ましくは、緩衝化されている(例えば、pH6とpH8との間、一般に、約pH7)。組成物が水酸化アルミニウム塩を含む場合、ヒスチジン緩衝液を使用することが好ましい(15)。本発明の組成物は、ヒトに関して等張であり得る。
【0119】
免疫原性組成物は、免疫学的有効量の免疫原および必要に応じて任意の他の特定の成分を含む。「免疫学的有効量」は、単回用量または一連の投与の一部のいずれかとしてのこの量の個体への投与により、治療または防止効果があることを意味する。この量は、治療を受ける個体の健康および健康状態、治療を受ける個体の年齢、分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系の抗体を合成する能力、所望の防御の程度、ワクチンの処方、処置する医師の医学的状況の評価、ならびに他の関連する要因によって変化する。この量は、日常的試験によって決定することができる比較的広い範囲の量と予想される。投与治療は、単回投与計画または複数回投与計画(例えば、追加免疫が含まれる)であり得る。組成物を、他の免疫調節薬と組み合わせて投与することができる。
【0120】
本発明の組成物中で使用することができるアジュバントには、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
A.ミネラル含有組成物
本発明でアジュバントとしての使用に適切なミネラル含有組成物には、塩(アルミニウム塩およびカルシウム塩など)が含まれる。本発明には、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルソリン酸塩)、硫酸塩などのミネラル塩など(例えば、参考文献16の第8章および第9章を参照のこと)または異なるミネラル化合物が含まれ、化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、無定形など)を取り、吸着することが好ましい。ミネラル含有組成物を、金属塩の粒子としても処方することができる(17)。
【0122】
特にインフルエンザ桿菌多糖抗原を含む組成物中にはリン酸アルミニウムが特に好ましく、典型的なアジュバントは、PO/Alモル比が0.84と0.92との間で0.6mgのAl3+/mlを含む無定形ヒドロキシリン酸アルミニウムである。低用量のリン酸アルミニウムの吸着作用を使用した(例えば、50μgAl3+/抱合体/用量と100μgAl3+/抱合体/用量との間)。組成物中に1つを超える抱合体が存在する場合、全ての抱合体が吸着する必要はない。
【0123】
B.油性乳濁液
本発明におけるアジュバントとしての使用に適切な油性乳濁液組成物には、スクアレン−水乳濁液(MF59(参考文献16の第10章、参考文献18も参照のこと)(5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Span85、microfluidizerを使用してサブミクロン粒子に配合する)など)が含まれる。フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)も使用することができる。
【0124】
C.サポニン処方物(参考文献16の第22章)
サポニン処方物を、本発明でアジュバントとして使用することもできる。サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、幹、根、およびさらに花で見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群である。バラ科キラヤの樹皮由来のサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。スミラックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ)、シュッコンカスミソウ(ブライデスベール(brides veil))、およびサボンソウ(サボンソウ根)由来のサポニンを購入することもできる。サポニンアジュバント処方物には、精製処方物(QS21など)および液体処方物(ISCOMなど)が含まれる。QS21は、Stimulon(商標)として市販されている。
【0125】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを使用して精製されている。これらの技術を使用して、特定の精製画分(QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが含まれる)が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成方法は、参考文献19に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール(コレステロールなど)も含むことができる(20)。
【0126】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる固有の粒子を形成することができる(参考文献16の第23章を参照のこと)。ISCOMには、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質が含まれる。任意の公知のサポニンを、ISCOM中で使用することができる。好ましくは、ISCOMには、1つまたは複数のQuilA、QHA、およびQHCが含まれる。ISCOMは、参考文献20〜22にさらに記載されている。任意選択的に、ISCOMはさらなる界面活性剤を欠き得る(23)。
【0127】
サポニンベースのアジュバントの開発についての概説を、参考文献24および25に見出すことができる。
【0128】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も本発明でアジュバントとして使用することができる。これらの構造は、一般に、任意選択的にリン脂質と組み合わせるか配合したウイルス由来の1つまたは複数のタンパク質を含む。これらは、一般に、非病原性、非複製性であり、一般に、いかなる天然のウイルスゲノムも含まない。ウイルスタンパク質を組換えによって産生し、ウイルス全体から単離することができる。ビロソームまたはVLPでの使用に適切なこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルス(HAまたはNAなど)、B型肝炎ウイルス(コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNA−ファージ、Qβ−ファージ(コートタンパク質など)、GA−ファージ、fr−ファージ、AP205ファージ、およびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1など)由来のタンパク質が含まれる。VLPは、参考文献26〜31でさらに考察されている。ビロソームは、例えば、参考文献32でさらに考察されている。
【0129】
E.細菌または微生物の誘導体
本発明での使用に適切なアジュバントには、腸内細菌リポ多糖類(LPS)の非毒性誘導体、脂質A誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、およびADPリボシル化毒素、ならびにこれらの解毒誘導体などの細菌または微生物の誘導体が含まれる。
【0130】
LPSの非毒性誘導体には、モノホスホリル脂質A(MPL)および脱3−O−アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、脱3−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと4、5、または6つのアシル化鎖との混合物である。脱3−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、参考文献33に開示されている。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μmの膜で濾過滅菌するのに十分に小さい(33)。他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリル脂質A模倣物(アミノアルキルグルコサミニドリン酸誘導体(例えば、RC−529)など)が含まれる(34、35)。
【0131】
脂質A誘導体には、OM−174などの大腸菌由来の脂質Aの誘導体が含まれる。OM−174は、例えば、参考文献36および37に記載されている。
【0132】
本発明でのアジュバントとしての使用に適切な免疫刺激オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列(グアノシンへのリン酸結合によって連結した非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)が含まれる。回文配列またはポリ(dG)配列を含む二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドも免疫刺激性を示すことが示されている。
【0133】
CpGには、ホスホロチオエート修飾物などのヌクレオチド修飾物/アナログが含まれ、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献38、39、および40は、可能なアナログ置換(グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンとの置換など)を開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献41〜46でさらに考察されている。
【0134】
CpG配列は、TLR9(モチーフGTCGTTまたはTTCGTTなど)に指向することができる(47)。CpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的であり得るか(CpG−A ODN)、B細胞応答の誘導により特異的であり得る(CpG−B ODN)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献48〜50で考察されている。好ましくは、CpGは、CpG−A ODNである。
【0135】
好ましくは、5’末端が受容体認識のために利用できるようにCpGオリゴヌクレオチドを構築する。任意選択的に、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列を、その3’末端で結合させて「イムノマー(immunomer)」を形成することができる(例えば、参考文献47および51〜53を参照のこと)。
【0136】
細菌ADPリボシル化毒素およびこの解毒誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することができる。好ましくは、タンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ菌(「CT」)、または百日咳菌(「PT」)に由来する。解毒ADPリボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は、参考文献54に記載されており、非経口アジュバントとしての使用は、参考文献55に記載されている。毒素または類毒素は、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホロ毒素の形態である。好ましくは、Aサブユニットは、解毒変異を含み、好ましくは、Bサブユニットは変異されていない。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLT−G192などの解毒LT変異体である。ADPリボシル化毒素およびその解毒誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)のアジュバントとしての使用を、参考文献56〜63に見出すことができる。アミノ酸置換についての多数の参考文献は、好ましくは、参考文献64(詳細には、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のADPリボシル化毒素のAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0137】
F.ヒト免疫調節薬
本発明でアジュバントとして適切なヒト免疫調節薬には、サイトカイン(インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12)(65)など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−?)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が含まれる。
【0138】
G.生体接着剤および粘膜接着剤
生体接着剤および粘膜接着剤を、本発明でアジュバントとして使用することができる。適切な生体接着剤には、ヒアルロン酸ミクロスフェア(67)またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、およびカルボキシメチルセルロースなどの粘膜接着剤が含まれる。キトサンおよびその誘導体を、本発明でアジュバントとして使用することもできる(68)。
【0139】
H.微粒子
微粒子も本発明でアジュバンとして使用することができる。微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μm)は、生分解性且つ非毒性の材料(例えば、ポリ(a−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルソエステル、ポリアンヒドリド、ポリカプロラクトンなど)から形成され、任意選択的に、負電荷の表面(例えば、SDS)または正電荷の表面(例えば、陽イオン性界面活性剤(CTABなど))を有するように処理されたポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましい。
【0140】
I.リポソーム(参考文献16の第13章および14章)
アジュバントとしての使用に適切なリポソーム処方物の例は、参考文献69〜71に記載されている。
【0141】
J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル処方物
本発明での使用に適切なアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが含まれる(72)。このような処方には、さらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(73)およびオクトキシノールなどの少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルが含まれる(74)。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステオイルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオイルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0142】
K.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP処方物は、例えば、参考文献75および76に記載されている。
【0143】
L.ムラミルペプチド
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なムラミルペプチドの例には、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニンー2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が含まれる。
【0144】
M.イミダゾキノロン化合物
本発明でのアジュバントとしての使用に適切なイミダゾキノロン化合物の例には、Imiquamodおよびそのホモログ(例えば、「Resiquimod 3M」)が含まれ、参考文献77および78にさらに説明されている。
【0145】
本発明はまた、上記で同定した1つまたは複数のアジュバントの態様の組み合わせを含むことができる。例えば、以下のアジュバント組成物を本発明で使用することができる:(1)サポニンと水中油滴型乳濁液(79)、(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(80)、(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール、(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(任意選択的に、+ステロール)(81)、(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油滴型乳濁液との組み合わせ(82)、(6)10%スクアラン、0.4%Tween80(商標)、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAF(サブミクロン乳濁液にマイクロフルイド化(microfluidized)されるか、ボルテックスしてより大きな粒子サイズの粒子にする)、(7)2%スクアラン、0.2%Tween80、およびモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくはMPL+CWS(Detox(商標)))からなる群から選択される1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含むRibi(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem)、および(8)1つまたは複数のミネラル塩(アルミニウム塩など)+LPSの非毒性誘導体(3dMPLなど)。
【0146】
免疫刺激薬として作用する他の物質は、参考文献16の第17章に開示されている。
【0147】
アルミニウム塩(リン酸アルミニウム、特にヒドロキシリン酸塩および/または水酸基、特にオキシ水酸化物)およびMF59は、非経口免疫化のための好ましいアジュバントである。毒素変異体は、好ましい粘膜アジュバントである。QS21は、単独または1つまたは複数のアジュバント(例えば、アルミニウム塩)と組み合わせて使用することができるNMB1870のための別の有用なアジュバントである。
【0148】
ムラミルペプチドには、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニルーL−アラニン−2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが含まれる。
さらなる抗原性成分
本発明の組成物には、キメラNMB1870ポリペプチドが含まれる。組成物が抗原の複合体または定義されていない混合物を含まないことが特に好ましい(例えば、組成物中に外膜小胞を含まないことが好ましい)。本発明のポリペプチドは、好ましくは、異種宿主中で組換え発現され、精製される。
【0149】
本発明の組成物には、キメラNMB1870ポリペプチドが含まれる。細菌あたり1つを超える抗原をターゲティングするワクチンによってエスケープ変異体の選択能力が減少する1つまたは複数のさらなるナイセリア抗原も含まれ得る。組成物への封入のためのナイセリア抗原には、以下を含むタンパク質が含まれる。
(a)参考文献83に開示の446の偶数の配列番号(すなわち、2、4、6、...、890、892)
(b)参考文献84開示の45の偶数の配列番号(すなわち、2、4、6、...、88、90)
(c)参考文献2に開示の1674の偶数の配列番号2〜3020、偶数の配列番号3040〜3114、および全配列番号3115〜3241
(d)参考文献4の2160のアミノ酸配列NMB0001〜NMB2160
(e)好ましくは組換え発現された任意のサブタイプの髄膜炎菌類PorAタンパク質
(f)(a)〜(e)の変異形、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など
(g)髄膜炎菌由来の外膜小胞調製物(例えば、参考文献177を参照のこと)
ナイセリアタンパク質抗原に加えて、組成物には、他の疾患または感染に対する免疫化のための抗原が含まれ得る。例えば、組成物は、1つまたは複数の以下のさらなる抗原を含み得る。
−髄膜炎菌血清型A、C、W135、および/またはY由来の糖抗原(血清型C(参考文献86も参照のこと)由来の参考文献85に開示されている少糖または参考文献87の少糖など)
−肺炎球菌由来の糖抗原(例えば、88、89、90)
−A型肝炎ウイルス(不活性化ウイルスなど)由来の抗原(例えば、91、92)
−B型肝炎ウイルス由来の抗原(表面抗原および/またはコア抗原など)(例えば、92、93)
−ジフテリア抗原(ジフテリア類毒素など)(例えば、参考文献94の第3章)(例えば、CRM197変異体)(例えば、95)
−破傷風抗原(破傷風類毒素など)(例えば、参考文献94の第4章)
−百日咳菌由来の抗原(任意選択的にパータクチンおよび/または凝集源2および3と組み合わせた百日咳菌由来の百日咳ホロ毒素(PT)および繊維状赤血球凝集素(FHA)など)(例えば、参考文献96および97)
−インフルエンザ桿菌B型由来の糖抗原(例えば、86)
−ポリオ抗原(例えば、98、99)(IPVなど)
−麻疹、ムンプス、および/または風疹抗原(例えば、参考文献94の第9章、第10章、または第11章)
−インフルエンザ抗原(例えば、参考文献94の第19章)(血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質など)
−カタル球菌由来の抗原(例えば、100)
−ストレプトコッカス・アガラクチア(ストレプトコッカスB群)由来のタンパク質抗原(例えば、101、102)
−ストレプトコッカス・アガラクチア(ストレプトコッカスB群)由来の糖抗原
−化膿性連鎖球菌(ストレプトコッカスA群)由来の抗原(例えば、102、103、104)
−黄色ブドウ球菌由来の抗原(例えば、105)
組成物は、1つまたは複数のこれらのさらなる抗原を含むことができる。
【0150】
必要に応じて、毒性タンパク質抗原を解毒することができる(例えば、化学的および/または遺伝的手段による百日咳毒素の解毒(97))。
【0151】
組成物中にジフテリア抗原を含む場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、破傷風抗原を含む場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、百日咳抗原を含む場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むことも好ましい。したがって、DTP組み合わせが好ましい。
【0152】
糖抗原は、好ましくは、抱合体の形態である。抱合体のためのキャリアタンパク質には、髄膜炎菌外膜タンパク質(106)、合成ペプチド(107、108)、熱ショックタンパク質(109、110)、百日咳タンパク質(111、112)、インフルエンザ桿菌由来のプロテインD(113)、サイトカイン(114)、リンホカイン(114)、ストレプトコッカスタンパク質、ホルモン(114)、成長因子(114)、C.ディフィシル由来の毒素AおよびB(115)、鉄取り込みタンパク質(116)などが含まれる。好ましいキャリアタンパク質は、CRM197ジフテリア毒素(117)である。
【0153】
組成物中の抗原は、典型的には、それぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般に、任意の所与の抗原の濃度は、抗原に対して免疫応答を誘発するのに十分である。
【0154】
本発明の免疫原性組成物を、治療的(すなわち、既存の感染を治療するため)または()予防的(すなわち、将来的な感染を防止するため)に使用することができる。
【0155】
本発明の抗原性組成物中でのタンパク質抗原の別の使用方法として、抗原をコードする核酸(好ましくは、例えば、プラスミドの形態のDNA)を使用することができる。
【0156】
本発明の特に好ましい組成物には、(a)髄膜炎菌類血清型Y、W135、C、および(任意選択的に)A由来の糖抗原、(b)インフルエンザ桿菌B型由来の糖抗原、および/または(c)肺炎球菌由来の抗原のうちの1つ、2つ、または3つが含まれる。
髄膜炎菌類血清型Y、W135、C、および(任意選択的に)A
血清型A、C、W135、およびYに対する多糖ワクチンは、長く知られている。これらのワクチン(MENCEVAX ACWY(商標)およびMENOMUNE(商標))は生物の莢膜タンパク質に基づいており、これらは青年および成人に有効であるが、免疫応答が弱く、且つ防御の持続時間が短く、幼児に使用できない。
【0157】
これらのワクチン中の非複合多糖抗原と対照的に、最近承認された血清型Cワクチン(Menjugate(商標)(118、85)、Meningitec(商標)、およびNeisVac−C(商標))は、複合糖質を含む。Menjugate(商標)およびMeningitec(商標)は、CRM197キャリアと抱合した少糖抗原を有するのに対して、NeisVac−C(商標)は、破傷風類毒素キャリアと抱合した(脱O−アセチル化された)完全な多糖類を使用する。Menactra(商標)ワクチンは、各血清型Y、W135、C、およびA由来の莢膜複合糖抗原を含む。
【0158】
本発明の組成物は、好ましくは、抗原がキャリアタンパク質および/または少糖と抱合した1つまたは複数の髄膜炎菌類血清型Y、W135、C、および(任意選択的に)Aを含む。例えば、組成物は、血清型C、血清型AおよびC、血清型A、C、およびW135、血清型A、C、およびY、血清型C、W135、およびY、または血清型A、C、W135、およびYの全てに由来する莢膜糖抗原を含むことができる。
【0159】
用量あたりの各髄膜炎菌類糖抗原の典型的な量は、1μgと20μgとの間(約1μg、約2.5μg、約4μg、約5μg、または約10μg(糖として示す))である。
【0160】
混合物が血清型AおよびCの両方由来の莢膜糖を含む場合、MenA糖;MenC糖の比(w/w)は、1を超えてよい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、またはそれを超える)。混合物が血清型Yおよび血清型CとW135との両方由来の莢膜糖を含む場合、MenY糖:MenW135糖の比(w/w)は、1を超えてよく(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、またはこれを超える)、そして/またはMenY糖:MenC糖の比(w/w)は、1未満であってよい(例えば、1:2、1:3、1:4、1:5、またはこれ未満)。血清型A:C:W135:Y由来の糖の好ましい比(w/w)は、1:1:1:1、1:1:1:2、2:1:1:1、4:2:1:1、8:4:2:1、4:2:1:2、8:4:1:2、4:2:2:1、2:2:1:1、4:4:2:1、2:2:1:2、4:4:1:2、および2:2:2:1である。血清型C:W135:Y由来の糖の好ましい比(w/w)は、1:1:1、1:1:2、1:1:1、2:1:1、4:2:1、2:1:2、4:1:2、2:2:1、および2:1:1である。実質的に各糖量が等しいのが好ましい。
【0161】
莢膜糖を、一般に、少糖の形態で使用する。これらを、精製莢膜多糖の断片化(例えば、加水分解)および通常は実施するその後の所望のサイズのフラグメントの精製によって都合よく形成する。
【0162】
多糖を断片化して少糖の最終平均重合度(DP)が30未満(例えば、血清型Aについては10と20との間、好ましくは約10、血清型W135およびYについては15と25との間、好ましくは約15〜20、血清型Cについては12と22との間など)にすることが好ましい。DPを、イオン交換クロマトグラフィまたは比色法によって都合よく測定することができる(119)。
【0163】
加水分解を行う場合、一般に、加水分解物をサイズによって分類して、短い少糖を除去する(68)。種々の方法(限外濾過およびその後のイオン交換クロマトグラフィなど)でこれを行うことができる。血清型Aについては、重合度が約6以下の少糖を除去することが好ましく、血清型W135およびYについては、重合度が約4未満の少糖を除去することが好ましい。
【0164】
Menjugate(商標で使用される好ましいMenC糖抗原)は、参考文献118に開示されている。
【0165】
糖抗原を化学修飾することができる。これは、血清型Aの加水分解の還元に特に有用である(120、以下を参照のこと)。髄膜炎菌類糖を脱O−アセチル化することができる。少糖について、解重合前後に修飾することができる。
【0166】
本発明の組成物がMenA糖抗原を含む場合、抗原は、好ましくは、天然の糖上の1つまたは複数の水酸基が封鎖基と置換されている修飾糖である(120)。この修飾により、加水分解耐性が改良される。
【0167】
封鎖基を有する単糖単位数は様々であり得る。例えば、全てまたは実質的に全ての単糖単位は、封鎖基を有し得る。あるいは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の単糖単位は、封鎖基を有し得る。少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の単糖単位は、封鎖基を有し得る。
【0168】
同様に、単糖単位上の封鎖基数は様々であり得る。例えば、単糖単位上の封鎖基数は、1または2であり得る。封鎖基は、一般に、単糖単位の4位および/または3位に存在する。
【0169】
末端単糖単位は、その天然の水酸基の代わりに封鎖基を有しても、有さなくてもよい。末端単糖単位上の遊離アノマー水酸基を保持してさらなる反応物(例えば、抱合体)を得ることが好ましい。アノマー水酸基を、還元的アミノ化(例えば、NaBHCN/NHClを使用する)によってアミノ基(−NHまたは−NH−E(式中、Eは窒素保護基である))に変換し、他の水酸基が封鎖基に変換された後に再生することができる。
【0170】
水酸基と置換するための封鎖基は、水酸基の誘導体化反応(すなわち、水酸基の水素原子の別の基との置換)を介して直接接近することができる。封鎖基として作用する水酸基の適切な誘導体は、例えば、カルバメート、スルホネート、カーボネート、エステル、エーテル(例えば、シリルエーテルまたはアルキルエーテル)、およびアセタールである。このような封鎖基のいくつかの特定の例は、アリル、Aloc、ベンジル、BOM、t−ブチル、トリブチル、TBS、TBDPS、TES、TMS、TIPS、PMB、MEM、MOM、MTM、THPなどである。直接接近不可能であり、且つ水酸基と完全置換される他の封鎖基には、C1〜12アルキル、C3〜12アルキル、C5〜12アリール、C5〜12アリール−C1〜6アルキル、NR(RおよびRは、以下の段落で定義する)、H、F、Cl、Br、COH、CO(C1〜6アルキル)、CN、CF、CClなどが含まれる。好ましい封鎖基は、電子求引基である。
【0171】
好ましい封鎖基は、式−O−X−Yまたは−OR(式中、Xは、C(O)、S(O)、またはSOであり、Yは、C1〜12アルキル、C1〜12アルコキシ、C3〜12シクロアルキル、C5〜12アリール、またはC5〜12アリール−C1〜6アルキルであり、それぞれを、F、Cl、Br、COH、CO(C1〜6アルキル)、CN、CF、またはCClから独立して選択される1つ、2つ、または3つの基と任意選択的に置換することができるか、Yは、NRであり、;RおよびRは、独立して、H、C1〜12アルキル、C3〜12シクロアルキル、C5〜12アリール、C5〜12アリール−C1〜6アルキルから選択されるか、RとRを連結して、C3〜12飽和複素環基を形成することができ、Rは、C1〜12アルキルまたはC3〜12シクロアルキルであり、それぞれを、F、Cl、Br、CO(C1〜6アルキル)、CN、CF、またはCClから独立して選択される1つ、2つ、または3つの基と任意選択的に置換することができるか、RはC5〜12アリールまたはC5〜12アリール−C1〜6アルキルであり、それぞれを、F、Cl、Br、COH、CO(C1〜6アルキル)、CN、CF、またはCClから独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの基と任意選択的に置換することができる)の封鎖基である。RがC1〜12アルキルまたはC3〜12シクロアルキルである場合、典型的には、これを、1つ、2つ、または3つの上記定義の基と置換する。RとRを連結して、C3〜12飽和複素環基を形成する場合、RとRは窒素原子と共に3個と12個との間の任意の炭素原子数(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含む飽和複素環基を形成する。複素環基は、窒素原子以外の1個または2個のヘテロ原子(N、O、またはS)を含むことができる。C3〜12飽和複素環基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、アゼチジニル、およびアジリジニルである。
【0172】
封鎖基−O−X−Yおよび−ORを、標準的な誘導体化手順(水酸基とアシルハライド、アルキルハライド、スルホニルハライドなどとの反応など)によって−OH基から調製することができる。したがって、−O−X−Y中の酸素原子は、好ましくは、水酸基中の酸素原子である一方で、−O−X−Y中の−X−Y基は、好ましくは、水酸基の水素原子を置換している。
【0173】
あるいは、封鎖基は、置換反応(Mitsonobu型置換など)を介して接近可能であり得る。これらおよび他の水酸基からの封鎖基を調製する方法が公知である。
【0174】
より好ましくは、封鎖基は、−OC(O)CF(121)またはカルバメート基−OC(O)NR(式中、RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルから選択される)である。より好ましくは、RおよびRは共にメチルである(すなわち、封鎖基は、−OC(O)NMeである)。カルバメート封鎖基は、グリコシド基に対して安定化効果を有し、穏やかな条件下で調製することができる。
【0175】
好ましい修飾MenA糖は、n個の単糖単位を含み、少なくともh%の単糖単位が3位および4位の両方に−OH基を持たない。hの値は、24またはこれを超え(25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、98、99、または100)、好ましくは、50またはこれを超える。上記定義の封鎖基は、−OH基が存在しないことが好ましい。
【0176】
他の好ましい修飾MenA糖は、単糖単位(少なくともsの単糖単位が3位に−OHを持たず、且つ4位に−OHを持たない)を含む。sの値は、少なくとも1(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90)である。上記定義の封鎖基は、−OH基が存在しないことが好ましい。
【0177】
本発明での使用に適切な修飾MenA糖は、式:
【0178】
【化12】

(式中、
nは1〜100の整数(好ましくは、15〜25の整数)であり、
Tは式(A)または(B):
【0179】
【化13】

(式中、
各Z基は、独立して、OHまたは上記定義の封鎖基から選択され、
各Q基は、独立して、OHまたは上記定義の封鎖基から選択され、
Yは、OHまたは上記定義の封鎖基から選択され、
Eは、Hまたは窒素保護基であり、
約7%を超える(例えば、8%、9%、10%、またはこれを超える)のQ基が封鎖基である)である)を有する。
【0180】
各n+2個のZ基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。同様に、各n+2個のQ基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。全Z基はOHであってよい。あるいは、少なくとも10%、20、30%、40%、50%、または60%のZ基がOAcであってよい。好ましくは、約70%のZ基がOAcであり、残りのZ基がOHまたは上記定義の封鎖基である。少なくとも約7%のQ基が封鎖基である。好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、さらに100%のQ基が封鎖基である。
【0181】
髄膜炎菌類莢膜多糖を、典型的には、ポリサッカリド沈殿工程(例えば、陽イオン性界面活性を使用する)、エタノール分画、冷フェノール抽出(タンパク質を除去するため)、および限外濾過(LPSを除去するため)を含むプロセスによって調製する(例えば、参考文献122)。しかし、より好ましいプロセス(87)は、多糖の沈殿およびその後の低級アルコールを使用した沈殿多糖の可溶化を含む。陽イオン性界面活性剤(テトラブチルアンモニウムおよびセチルトリメチルアンモニウム塩(例えば、臭化物塩)、または臭化ヘキサジメスリンおよびミリスチルトリメチルアンモニウム塩など)を使用して、沈殿を行うことができる。臭化セチルトリメチルアンモニウム(「CTAB」)が特に好ましい(123)。沈殿材料を、メタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ジオールなどの低級アルコールを使用して可溶化することができるが、CTAB−多糖複合体の可溶化にはエタノールが特に適切である。好ましくは、エタノールを、沈殿多糖に添加して、50%と95%との間の最終濃度(エタノールおよび水の総含有率の基づく)にする。
【0182】
再可溶化後、多糖をさらに処理して夾雑物を除去することができる。これは、少量の汚染でさえも許容できない状況(例えば、ヒトワクチン産生)で特に重要である。これは、典型的には、1つまたは複数の濾過工程(例えば、深層濾過(活性炭による濾過を使用することができる)、サイズ濾過、および/または限外濾過)を含む。一旦濾過して夾雑物が除去されると、さらなる処置および/または処理のために多糖を沈殿させることができる。陽イオン交換によって(例えば、カルシウム塩またはナトリウム塩の添加による)これを都合よく行うことができる。
【0183】
精製の代替法として、莢膜糖を、全合成または部分合成によって得ることができる(Hib合成は参考文献124に開示されており、MenA合成は参考文献125に開示されている)。
【0184】
本発明の組成物は、髄膜炎菌の少なくとも2つの血清型由来の莢膜糖を含む。糖を、好ましくは、個別に調製し(任意の断片化、抱合、修飾など)、その後に混合して、本発明の組成物を得る。
【0185】
しかし、組成物が血清型A由来の莢膜糖を含む場合、血清型A糖を、加水分解の可能性を最小にするために、使用直前まで他の糖と組み合わせないことが好ましい。血清型A成分(典型的には、適切な賦形剤を含む)を凍結乾燥形態にし、他の血清型成分を液体形態(これも適切な賦形剤を含む)にすることによってこれを都合よく行うことができ、使用時に液体成分を使用して凍結乾燥したMenA成分を再構成する。アルミニウム塩アジュバントを使用する場合、液体ワクチンを含むアジュバントをウイルス中に含め、アジュバントを含まないMenA成分を凍結乾燥することが好ましい。
【0186】
したがって、本発明の組成物を、(a)凍結乾燥形態の髄膜炎血清型A由来の莢膜糖および(b)液体形態の組成物由来のさらなる抗原を含むキットから調製することができる。本発明はまた、髄膜炎血清型A由来の凍結乾燥した莢膜糖とさらなる抗原(さらなる抗原が液体形態である)とを組み合わせる工程を含む、本発明の組成物の調製方法を提供する。
【0187】
本発明はまた、(a)2つまたはそれを超える髄膜炎菌血清型C、W135、およびY由来の莢膜糖(全て凍結乾燥形態)を含む第1の容器と、(b)(i)被験体への投与後に被験体中で2つまたはそれを超える(例えば、2つまたは3つ)髄膜炎菌血清型Bの高ビルレント系列A4、ET−5、および系列3に対して殺菌性を示す抗体応答を誘導することができる組成物、(ii)無しか1つの髄膜炎菌血清型C、W135、およびY由来の莢膜糖、および、任意選択的に、(iii)髄膜炎菌類莢膜糖を含まないさらなる抗原(以下を参照のこと)を液体形態で含む第2の容器を含み、コンテナ(b)の内容物によるコンテナ(a)の内容物の再構成によって本発明の組成物が得られる、キットを提供する。
【0188】
各用量内で、各糖抗原の量は、一般に、1〜50μg(糖の質量として測定)であり、それぞれ約2.5μg、5μg、または10μgが好ましい。したがって、A:C:W135:Yの重量比が、1:1:1:1、1:1:1:2、2:1:1:1、4:2:1:1、8:4:2:1、4:2:1:2、8:4:1:2、4:2:2:1、2:2:1:1、4:4:2:1、2:2:1:2、4:4:1:2、および2:2:2:1である場合、数字1で示す量は、好ましくは、2.5μg、5μg、または10μgである。A:C:W:Y比が1:1:1:1である組成物を糖あたり10μg使用する場合、1投与あたり40μgの糖が投与される。好ましい組成物は、1投与あたりおよそ以下のμgの糖を有する。
【0189】
【化14】

本発明の好ましい組成物は、1投与あたり50μg未満の髄膜炎菌類糖を含む。他の好ましい組成物は、1投与あたり40μg以下の髄膜炎菌類糖を含む。他の好ましい組成物は、1投与あたり30μg以下の髄膜炎菌類糖を含む。他の好ましい組成物は、1投与あたり25μg以下の髄膜炎菌類糖を含む。他の好ましい組成物は、1投与あたり20μg以下の髄膜炎菌類糖を含む。他の好ましい組成物は、1投与あたり10μg以下の髄膜炎菌類糖を含むが、理想的には、本発明の組成物は、1投与あたり10μgの髄膜炎菌類糖を含む。
【0190】
Menjugate(商標)およびNeisVac(商標)抱合体は、水酸化物アジュバントを使用するのに対して、Meningitec(商標)は、リン酸塩を使用する。本発明の組成物中で水酸化アルミニウムにいくつかの抗原を吸着させることが可能であるが、リン酸アルミニウムと組み合わせた他の抗原を有することが可能である。四価の血清型組み合わせについて、例えば、以下の置換が利用可能である。
【0191】
【化15】

三価の髄膜炎菌血清型の組み合わせのために、以下の置換が利用可能である。
【0192】
【化16】

インフルエンザ桿菌B型
組成物がインフルエンザ桿菌B型抗原を含む場合、組成物は、典型的には、Hib莢膜糖抗原である。インフルエンザ桿菌B型由来の糖抗原は周知である。
【0193】
有利には、特に子供における免疫原性を増強するために、Hib糖はキャリアタンパク質に共有結合している。一般に多糖抱合体および特にHib莢膜多糖の調製は十分に報告されている(例えば、参考文献126〜134など)。本発明は、任意の適切なHib抱合体を使用することができる。適切なキャリアタンパク質を以下に記載し、Hib糖の好ましいキャリアはCRM197(「HbOC」)、破傷風類毒素(「PRP−T」)、および髄膜炎菌の外膜複合体(「PRP−OMP」)である。
【0194】
抱合体の糖部分は、多糖(例えば、全長ポリリボシルリビトールリン酸(PRP))であり得るが、多糖を加水分解して少糖(例えば、分子量約1〜約5kDa)を形成することが好ましい。
【0195】
好ましい抱合体は、アジピン酸リンカーを介してCRM197と共有結合したHib少糖を含む(135、136)。破傷風類毒素もまた、キャリアとして好ましい。
【0196】
本発明の組成物は、1つを超えるHib抗原を含むことができる。
【0197】
組成物がHib糖抗原を含む場合、水酸化アルミニウムアジュバントも含まないことが好ましい。組成物がリン酸アルミニウムアジュバントを含む場合、Hib抗原をアジュバントに吸着させても(137)、吸着させなくてもよい(138)。
【0198】
Hib抗原を、例えば、髄膜炎菌類抗原と共に凍結乾燥することができる。
肺炎球菌
組成物が肺炎球菌抗原を含む場合、組成物は、典型的には、キャリアタンパク質に抱合することが好ましい莢膜糖抗原である(例えば、参考文献88〜90)。1つを超える肺炎球菌の血清型由来の糖を含むことが好ましい。例えば、23種の異なる血清型由来の多糖の混合物が広く使用されており、5腫と11腫との間の異なる血清型由来の多糖を含む抱合体ワクチンも同様である(139)。例えば、PrevNar(商標)(140)は、7つの血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、および23F)由来の抗原を含み、各糖は還元的アミノ化によってCRM197に個別に抱合し、各糖は0.5mlの用量で2μg存在し(血清型6Bは4μg)、抱合体はリン酸アルブミンアジュバントに吸着する。本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも血清型6B、14、19F、および23Fを含む。抱合体を、リン酸アルミニウムに吸着させることができる。
【0199】
肺炎球菌由来の糖抗原の使用の代替法として、組成物は、1つまたは複数の多糖抗原を含むことができる。いくつかの肺炎球菌類株のゲノム配列を利用可能であり(141、142)、逆ワクチン学(143〜146)に供して、適切なポリペプチド抗原を同定することができる(147、148)。例えば、参考文献149に定義するように、組成物は、1つまたは複数の以下の抗原を含むことができる:PhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、およびSp130。
【0200】
いくつかの実施形態では、組成物は、肺炎球菌類由来の糖抗原およびポリペプチド抗原の両方を含むことができる。これらを、簡潔な混合物中で使用することができるか、肺炎球菌類糖抗原を、肺炎球菌類タンパク質に抱合することができる。このような実施形態に適切なキャリアタンパク質は、前の段落に列挙した抗原を含む(149)。
【0201】
肺炎球菌類抗原を、例えば、髄膜炎菌類抗原および/またはHib抗原と共に凍結乾燥することができる。
【0202】
共有結合的抱合
本発明の組成物中の莢膜糖を、通常、キャリアタンパク質に抱合する。一般に、抱合により、糖の免疫原性が増強されてT独立性抗原からT依存性抗原に変換するようになり、それにより、免疫記憶をプライミングすることが可能である。抱合は、小児用ワクチンに特に有用であり、周知の技術である(例えば、参考文献150および126〜134に概説)。
【0203】
好ましいキャリアタンパク質は、細菌の毒素または類毒素(ジフテリア類毒素または破傷風類毒素など)である。CRM197変異ジフテリア毒素(117、151、152)が特に好ましい。他の適切なキャリアタンパク質には、髄膜炎菌外膜タンパク質(106)、合成ペプチド(107、108)、熱ショックタンパク質(109、110)、百日咳タンパク質(111、112)、サイトカイン(114)、リンホカイン(114)、ホルモン(114)、成長因子(114)、種々の病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質(153)、インフルエンザ桿菌由来のプロテインD(113、154)、肺炎球菌類表面タンパク質PspA(155)、鉄取り込みタンパク質(116)、C.ディフィシル由来の毒素AおよびB(115)などが含まれる。好ましいキャリアは、ジフテリア類毒素、破傷風類毒素、インフルエンザ桿菌プロテインD、およびCRM197である。
【0204】
本発明の組成物内で、1つを超えるキャリアタンパク質を使用してキャリア抑制のリスクを軽減することが可能である。したがって、異なるキャリアタンパク質を、異なる血清群のために使用することができる(例えば、血清型A糖を、CRM197に抱合することができる一方で、血清型C糖を破傷風類毒素に抱合することができる)。特定の糖抗原のために1つを超えるキャリアタンパク質を使用することも可能である(例えば、血清型A糖は、2つの群に分類することができ、CRM197に抱合するものもあれば、破傷風類毒素に抱合するものもある)。しかし、一般に、全糖について同一のキャリアタンパク質を使用することが好ましい。
【0205】
1つのキャリアタンパク質は、1つを超える糖抗原を含むことができる(156)。例えば、1つのキャリアタンパク質を、血清型AおよびC由来の糖に抱合することができるかもしれない。この目的を達成するために、抱合反応前に糖を混合することができる。しかし、一般に、各血清型のための個別の抱合体を有することが好ましい。
【0206】
糖:タンパク質比(w/w)が1:5(すなわち、タンパク質過剰)と5:1(すなわち、糖過剰)との間の抱合体が好ましい。1:2と5:1との間の比が好ましく、1:1.25と1:2.5との間の比がより好ましい。MenAおよびMenCには過剰なキャリアタンパク質が好ましい。
【0207】
抱合体を、遊離キャリアタンパク質と組み合わせて使用することができる(157)。所与のキャリアタンパク質が本発明の組成物中に遊離形態および抱合形態で存在する場合、非抱合形態は、好ましくは、全体として組成物中のキャリアタンパク質の総量の5重量%未満、より好ましくは2重量%未満で存在する。
【0208】
任意の適切な抱合反応を、必要に応じて任意の適切なリンカーと共に使用することができる。
【0209】
糖を、典型的には、抱合前に活性化または官能化する。活性化は、例えば、CDAP(例えば、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(158、159など))などのシアニル化試薬を含み得る。他の適切な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン(norborane)、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを含む(参考文献132の緒言も参照のこと)。
【0210】
任意の公知の手順(例えば、参考文献160および161に記載の手順)を使用して、リンカー基を介して結合することができる。1つの結合型は、多糖の還元的アミノ化、得られたアミノ基のアジピン酸リンカー基の一方の末端とのカップリング、その後のタンパク質のアジピン酸リンカー基の他方の末端とのカップリングを含む(130、162、163)。他のリンカーには、B−プロピオンアミド(164)、ニトロフェニル−エチルアミン(165)、ハロアシルハライド(166)、グリコシド結合(167)、6−アミノカプロン酸(168)、ADH(169)、C〜C12部分(170)などが含まれる。リンカー使用の代替法として、直接結合を使用することができる。例えば、参考文献171および172に記載のように、タンパク質への直接結合は、多糖の酸化およびその後のタンパク質との還元的アミノ化を含むことができる。
【0211】
糖へのアミノ基の導入(例えば、末端=O基の−NHへの置換による)およびその後のアジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル)での誘導体化およびキャリアタンパク質との反応を含むプロセスが好ましい。別の好ましい反応は、例えば、MenAまたはMenCのためのプロテインDキャリアでのCDAP活性化を使用する。
【0212】
抱合後、遊離糖および抱合糖を分離することができる。多数の適切な方法(疎水性クロマトグラフィ、タンジェンシャルフロー型限外濾過、ダイアフィルトレーションが含まれる)が存在する(参考文献173および174も参照のこと)。
【0213】
本発明の組成物が抱合少糖を含む場合、抱合の前に少糖を調製することが好ましい。
【0214】
外膜小胞
本発明の組成物が抗原の複合体または定義されていない混合物(OMVの典型的な特徴である)を含まないことが好ましい。しかし、本発明をOMVに適用することができる1つの方法は、複数回投与計画で投与することである。
【0215】
1回を超えてOMVを投与する場合、各投与物に、上記定義の第1のタンパク質、第2のタンパク質、または第3のタンパク質のうちの1つを補足することができる(精製タンパク質の添加またはOMVが由来する細菌内でのタンパク質の発現のいずれかによる)。好ましくは、異なる投与物に、異なるNMB1870ファミリーを補足する。3つのOMV投与計画では、例えば、各投与物は、3つのOMV投与物の投与後に3つ全てのファミリーが投与されるように、第1のタンパク質、第2のタンパク質、および第3のタンパク質の異なる1種を含むことができる。2つのOMV投与計画では、OMV投与あたり1つのファミリーを使用することができるか(したがって、1つのファミリーが省略される)、3つ全てのファミリーが対象とされるように、一方または両方のOMV投与物に1つを超えるファミリーを補足することができる。好ましい実施形態では、3つのOMV投与物が存在し、3つの各OMV投与物は、3つのサブタイプをそれぞれ示し、それにより、全部で9つの異なるサブタイプが得られる3つの異なる遺伝子操作された小胞集団を含む。
【0216】
一般に、このアプローチを使用して、髄膜炎菌血清型B微小胞(175)、「天然のOMV」(176)、小疱、または外膜小胞の調製物を改良することができる(例えば、参考文献177〜182など)。これらを、例えば、免疫原性を増加させ(例えば、免疫原を高発現する)、毒性を減少させ、莢膜多糖合成を阻害し、PorA発現を下方制御するように遺伝子操作した細菌から調製することができる。高小疱形成株からこれらを調製することができる(187〜190)。非病原性ナイセリア由来の小胞を含めることができる(191)。界面活性剤を使用することなくOMVを調製することができる(192、193)。これらは、その表面上に非ナイセリアタンパク質を発現することができる(194)。これらは、LPSが枯渇し得る。これらを、組換え抗原と混合することができる(177、195)。異なるクラスI外膜タンパク質サブタイプ(例えば、それぞれ3つのサブタイプを示す2つの異なる遺伝子操作された小胞集団を使用する6つの異なるサブタイプまたはそれぞれ3つのサブタイプを示す3つの異なる遺伝子操作された小胞集団を使用する9つの異なるサブタイプなど)を有する細菌由来の小胞を使用することができる。有用なサブタイプには、以下が含まれる:P1.7,16;P1.5−1,2−2;P1.19,15−1;P1.5−2,10;P1.12−1,13;P1.7−2,4;P1.22,14;P1.7−1,1;P1.18−1,3,6。
【0217】
勿論、2つまたは3つの異なるファミリーを有する小胞調製物を補足することも可能である。
【0218】
モノクローナル抗体
本発明は、髄膜炎菌類NMB1870タンパク質中のエピトープを認識するモノクローナル抗体であって、エピトープがNMB1870中のドメインBおよびCの存在を必要とする、モノクローナル抗体を提供する。したがって、モノクローナル抗体は、個別のドメインBや個別のドメインCに結合しないが、ドメインBとCとの組み合わせに結合する(全長NMB1870にも結合する)。したがって、エピトープは、ドメインBおよびドメインCの両方のアミノ酸残基から形成された不連続エピトープであり得る。
【0219】
用語「モノクローナル抗体」には、任意の種々の利用可能な人工抗体および抗体由来タンパク質(例えば、目的の抗原に結合するヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単一ドメイン抗体、単鎖Fv(scFv)抗体、モノクローナルオリゴボディ、二量体もしくは三量体抗体フラグメントもしくは構築物、ミニボディ、またはこれらの機能的フラグメント)が含まれる。抗体は、好ましくは、実質的に単離された形態である。
【0220】
天然の抗体分子では、2つの重鎖および2つの軽鎖が存在する。各重鎖および各軽鎖は、そのN末端に可変ドメインを有する。各可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)によって変化する4つのフレームワーク領域(FR)から構成される。可変ドメイン中の残基は、従来より、Kabat et al.(198)によって考案されたシステムにしたがって、番号がつけられている。Kabatの残基指定は、アミノ酸残基の直線的に番号づけと常に対応しているわけではなく、直鎖アミノ酸は、厳密なKabat番号づけよりも少ないか多いアミノ酸を含むことができる。これは、構造成分(基本可変ドメイン構造のフレームワークまたはCDRのいずれか)の短縮または挿入に対応し得る。
【0221】
ヒトにおける非特異的抗マウス免疫応答を回避するために、非ヒト抗体は、好ましくは、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。(例えば、参考文献199および200)。代替法として、完全なヒト抗体を使用することができる。キメラ抗体では、非ヒト定常領域を、ヒト定常領域に置換するが、可変領域は非ヒトのままである。ヒト化抗体を、種々の方法(例えば、(1)非ヒト可変領域由来の相補性決定領域(CDR)のヒトフレームワークへのグラフティング(「CDRグラフティング」)および任意選択的な非ヒト抗体由来の1つまたは複数のフレームワーク残基のさらなる導入(「ヒト化」)、(2)全非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換(「ベニヤリング」によってこれらをヒト様表面で「クローキング」が含まれる)によって得ることができる。本発明では、ヒト化抗体には、可変領域のCDRグラフティング、ヒト化、およびベニヤリングによって得られたヒト化抗体が含まれる(例えば、参考文献201〜207)。
【0222】
ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように操作されたトランスジェニック動物を使用して、ヒト化抗体または完全なヒト抗体を産生することもできる。例えば、参考文献208は、内因性重鎖および軽鎖の遺伝子座の不活化によって機能的内因性免疫グロブリンを産生しない、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物を開示している。参考文献209はまた、抗体が霊長類定常領域および/または可変領域を有し、内因性免疫グロブリンコード遺伝子座が置換されているか不活化されている、免疫原に対する免疫応答を開始することができるトランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主を開示している。参考文献210は、哺乳動物中の免疫グロブリン遺伝子座を修飾して(定常領域または可変領域の全部または一部を置換するなど)修飾抗体分子を形成するためのCre/Lox系の使用を開示している。参考文献211は、不活化内因性Ig遺伝子座および機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳動物宿主を開示している。参考文献212は、マウスが内因性重鎖を欠き、且つ1つまたは複数の外因性定常領域を含む外因性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスの作製方法を開示している。
【0223】
抗体は、天然に、2つの個別の鎖を有するが、軽鎖および重鎖の可変ドメインがリンカーによって連結されて1つのポリペプチド鎖が得られる単鎖抗体(「sFv」)を使用することが好ましい。sFvの調製用キットが市販されており、抗リガンドsFvは、本発明と共に使用するための好ましい第2の配列である。単ドメイン抗体を、ラクダもしくはサメ(213)またはラクダ化(214)によって得ることもできる。
【0224】
sFvポリペプチドは、ペプチドコードリンカーによって連結されたVおよびVコード遺伝子を含む遺伝子融合物から発現される共有結合したV−Vヘテロ二量体である(215)。抗体V領域由来の天然に凝集しているが化学的には分離している軽鎖および重鎖のポリペプチド鎖の抗原結合部位の構造と実質的に類似している三次元構造への変換のための化学構造(リンカー)を識別および構築するための多数の方法が記載されている。例えば、参考文献216〜218を参照のこと。当該分野で説明されている方法を使用して、sFv分子を産生することができる。デザインの基準には、一般に、コイル化せず、二次構造を形成しない小さな親水性アミノ酸残基からリンカーが形成される、一方の鎖のC末端と他方の鎖のN末端との間の距離をわたすのに適切な長さの決定が含まれる。このような方法は、当該分野で説明されている(例えば、参考文献216〜218)。適切なリンカーは、一般に、変化するグリシン残基およびセリン残基組のポリペプチド鎖を含み、溶解性を増強するために挿入したグルタミン酸残基およびリジン残基を含むことができる。
【0225】
「ミニ抗体」または「ミニボディ」も本発明で適用される。ミニボディは、ヒンジ領域によってsFvから離れた、そのC末端にオリゴマー化ドメインを含むsFvポリペプチド鎖である(219)。オリゴマー化ドメインは、さらなるジスルフィド結合によってさらに安定化することができる自己結合αヘリックス(例えば、ロイシンジッパー)を含む。オリゴマー化ドメインを、膜を貫通するベクトル折り畳み(vectorial folding)(ポリペプチドの機能的結合タンパク質へのin vivo折り畳みを容易にすると考えられているプロセス)と適合するようにデザインする。一般に、ミニボディを、当該分野で周知の組換え法を使用して産生する。例えば、(219)、(220)を参照のこと。
【0226】
「オリゴボディ」も本発明で適用される。オリゴボディは合成抗体である。これらの試薬の特異性は、ウェスタンブロット分析および免疫組織化学によって証明されている。これらは、いくつかの所望の性質(すなわち、その産生が免疫系と無関係である)を有し、これらは、数日間で調製することができ、精製標的タンパク質が必要ない(221)。当該分野で周知の組換え法を使用して、オリゴボディを産生する(222)。
【0227】
当業者に周知の技術を使用して、抗体を産生する(例えば、参考文献223〜228)。一般に、モノクローナル抗体を、Kohler&Milstein(1975)(229)の方法またはその修正形態を使用して調製する。典型的には、マウスまたはラットを上記のように免疫化する。ウサギも使用することができる。しかし、血清を抽出するために出血させるよりもむしろ、脾臓(および任意選択的にいくつかの大リンパ節)を取り出し、1つの細胞に引き離す。必要に応じて、脾細胞を、抗原をコーティングしたプレートまたはウェルへの細胞懸濁液の塗布によって(非特異的接着細胞の除去後に)スクリーニングすることができる。抗原に特的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞がプレートに結合し、残りの懸濁液で洗い流されない。次いで、得られたB細胞または全ての分離した脾細胞を、骨髄腫細胞と融合するように誘導してハイブリドーマを形成し、選択培地(例えば、「HAT」培地)中で培養する。得られたハイブリドーマを、限界希釈によってプレートし、免疫化抗原に特異的に結合する(且つ、無関係の抗原に結合しない)抗体の産生についてアッセイする。次いで、選択されたモノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを、in vitro(例えば、組織培養ボトルまたは中空糸反応器)またはin vivo(例えば、マウス腹水中)で培養する。
【0228】
本発明はまた、本発明の抗体を発現するハイブリドーマを提供する。このハイブリドーマを、種々の方法(例えば、モノクローナル抗体の供給源としてか、その後の組換え発現のための抗体遺伝子のクローニングのための本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸(DNAまたはmRNA)の供給源として)で使用することができる。
【0229】
抗体を、任意の適切な手段(例えば、組換え発現)によって産生することができる。組換え供給源からの発現は、B細胞またはハイブリドーマからの発現よりも薬学的目的(例えば、安定性、再現性、培養の容易さなど)のためにより一般的である。
【0230】
NMB1870を認識する能力を保持する抗体フラグメントも本発明の範囲内に含まれる。インタクトな抗体分子の免疫学的結合特性を示すことができる抗原結合部位を含む多数の抗体フラグメントが当該分野で公知である。例えば、ペプシンを使用して抗体分子から抗原結合を担わない定常領域を切断し、それによってF(ab’)フラグメントを産生することによって、機能的抗体フラグメントを産生することができる。これらのフラグメントは、2つの抗原結合部位を含むが、各重鎖由来の定常領域の一部を欠く。同様に、必要に応じて、例えば、パパインを使用したモノクローナル抗体消化によって、1つの抗原結合部位を含むFabフラグメントを産生することができる。重鎖および軽鎖の可変領域のみを含む機能的フラグメントを、免疫グロブリン分子の組換え産生または優先的タンパク質分解性切断などの標準的技術を使用して産生することもできる。これらのフラグメントは、Fvとして公知である。例えば、(230)、(231)、および(232)を参照のこと。
【0231】
従来にない手段を使用して、本発明の抗体を生成および同定することもできる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを、本発明の抗体についてスクリーニングすることができる(233〜236)。
【0232】
本発明の抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG、IgM(すなわち、α、γ、またはμ重鎖))であり得るが、好ましくは、IgGである。IgGアイソタイプ内で、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスであり得る。本発明の抗体は、κまたはλ軽鎖を有し得る。
【0233】
タンパク質発現
細菌発現技術は、当該分野で公知である。細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼに結合し、コード配列(例えば、構造遺伝子)のmRNAへの下流(3’)転写を阻害することができる任意のDNA配列である。プロモーターは、通常、コード配列の5’末端の近位に存在する転写開始領域を有する。この転写阻害領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。細菌プロモーターはまた、RNA合成が開始される隣接RNAポリメラーゼ結合部位を重複することができるオペレーターと呼ばれる第2のドメインを有し得る。遺伝子抑制タンパク質がオペレーターに結合し、それにより、特定の遺伝子の転写を阻害することができるので、オペレーターにより、(誘導性)転写を負に調節可能である。オペレーターなどの負の調節エレメントの非存在下で構成性発現が起こり得る。さらに、存在する場合、通常はRNAポリメラーゼ結合配列の近位(5’)に存在する遺伝子活性化因子タンパク質結合配列によって正の調製を得ることができる。遺伝子活性化因子タンパク質の例は、大腸菌(E.coli)中のlacオペロンの転写開始を補助する異化産物活性化因子タンパク質(CAP)である(Raibaud et al.(1984)Annu.Rev.Genet.75:173)。したがって、調節された発現は正または負のいずれかであり、それにより、転写を増強または減少することができる。
【0234】
代謝経路酵素をコードする配列は、特に有用なプロモーター配列を提供する。例には、糖代謝酵素(ガラクトース、ラクトース(lac)(Chang et al.(1977)Nature 198:1056)、およびマルトースなど)由来のプロモーター配列が含まれる。さらなる例には、トリプトファン(trp)などの生合成酵素由来のプロモーター配列が含まれる(Goeddel et al.(1980)Nuc.Acids Res.8:4057;Yelverton et al.(1981)Nucl.Acids Res.9:731;米国特許第4,738,921号;EP−A−0036776号およびEP−A−0121775号)。β−ラクタマーゼ(bla)プロモーター系(Weissmann(1981)”The cloning of interferon and other mistakes.” In Interferon
3(ed.I.Gresser)]、バクテリオファージλPL(Shimatake
et al.(1981)Nature 292:128)、およびT5(米国特許第4,689,406号)プロモーター系も有用なプロモーター配列を提供する。目的の別のプロモーターは、誘導性アラビノースプロモーター(pBAD)である。
【0235】
さらに、天然に存在しない合成プロモーターも細菌プロモーターとし機能する。例えば、細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターの転写活性化配列を、別の細菌プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターのオペロン配列と連結し、合成ハイブリッドプロモーターを作製することができる(米国特許第4,551,433号)。例えば、tacプロモーターは、lacリプレセッサーによって調節されるtrpプロモーターおよびlacオペロン配列の両方から構成されるハイブリッドtrp−lacプロモーターである(Amann et al.(1983)Gene 25:167;de
Boer et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.80:21)。さらに、細菌プロモーターには、細菌RNAポリメラーゼに結合して転写を開始する能力を有する非細菌起源の天然に存在するプロモーターが含まれ得る。非細菌起源の天然に存在するプロモーターを、適合性RNAポリメラーゼとカップリングして、原核生物中のいくつかの遺伝子を高レベルで発現することもできる。バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ/プロモーター系は、カップリングしたプロモーター系の例である(Studier et al.(1986)J.Mol.Biol.189:113;Tabor et al.(1985)Proc Natl.Acad.Sci 82:1074)。さらに、ハイブリッドプロモーターはまた、バクテリオファージプロモーターおよび大腸菌オペレーター領域から構成され得る(EPO−A−O 267 851)。
【0236】
機能的プロモーター配列に加えて、有効なリボゾーム結合部位は、原核生物中の外来遺伝子の発現にも有用である。大腸菌では、リボース結合部位を、シャイン−ダルガルノ(SD)配列と呼び、開始コドン(ATG)および開始コドンの3〜11ヌクレオチド上流に存在する3〜9ヌクレオチド長の配列を含む(Shine et al.(1975)Nature 254:34)。SD配列は、SD配列と大腸菌16S rRNAの3’との間の塩基対合によってリボースへのmRNAの結合を促進すると考えられる(Steitz et al.(1979)”Genetic signals and nucleotide sequences in messenger RNA.” In Biological Regulation and Development:Gene Expression(ed.R.F.Goldberger))。弱いリボゾーム結合部位を有する真核細胞遺伝子および原核生物遺伝子を発現するために(Sambrook et al.(1989)”Expression of cloned genes in Escherichia coli.” In Molecular Cloning:A Laboratory Manual)。
【0237】
プロモーター配列を、DNA分子と直接連結することができ、この場合、N末端の第1のアミノ酸は、常にATG開始コドンによってコードされるメチオニンである。必要に応じて、N末端のメチオニンを、臭化シアンとのin vitroインキュベーションまたは細菌メチオニンN末端ペプチドとのin vivoまたはin vitroインキュベーションによってタンパク質から切断することができる(EP−A−0219237)。
【0238】
通常、細菌によって認識される転写終結配列は、翻訳終始コドンに対して3’に存在し、それにより、プロモーターと共にコード配列に隣接する調節領域である。これらの配列は、mRNAの転写を指示し、DNAによってコードされるポリペプチドに翻訳することができる。転写終結配列は、頻繁に、転写の終結を補助するステムループ構造を形成することができる約50ヌクレオチドのDNA配列を含む。例には、強力プロモーターを有する遺伝子(大腸菌中のtrp遺伝子および他の生合成遺伝子など)に由来する転写終結配列が含まれる。
【0239】
通常、プロモーター、シグナル配列(必要に応じて)、目的のコード配列、および転写終結配列を含む上記成分を発現構築物に合わせる。発現構築物を、しばしば、細菌などの宿主中で安定に維持することができる染色体外エレメント(例えば、プラスミド)などのレプリコン中に維持する。レプリコンは複製系を有するので、発現またはクローニングおよび増幅のいずれかのために原核生物宿主中で維持することが可能である。さらに、レプリコンは、高コピー数または低コピー数のプラスミドのいずれかであり得る。高コピー数のプラスミドは、一般に、約5〜約200、通常、約10〜約150の範囲のコピー数を有する。高コピー数のプラスミドを含む宿主は、好ましくは、少なくとも約10個、より好ましくは少なくとも約20個のプラスミドを含む。高コピー数または低コピー数のベクターのいずれかを、ベクターの効果および宿主上の外来タンパク質に依存して選択することができる。
【0240】
あるいは、発現構築物を、組み込みベクターを使用して、細菌ゲノムに組み込むことができる。組み込みベクターは、通常、ベクターを組み込むことが可能な細菌染色体に相同な少なくとも1つの配列を含む。組み込みは、ベクター中の相同DNAと細菌染色体との間の組換えに起因するようである。例えば、種々のバチルス株由来のDNAを使用して構築した組み込みベクターは、バチルス染色体に組み込まれる(EP−A−0127328)。組み込みベクターはまた、バクテリオファージまたはトランスポゾン配列から構成され得る。
【0241】
通常、染色体外発現構築物および組み込み発現構築物は、形質転換された細菌株を選択可能な選択マーカーを含むことができる。選択マーカーを、細菌宿主中で発現することができ、細菌に薬物(アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン(ネオマイシン)、およびテトラサイクリンなど)に対する耐性を付与する遺伝子が含まれる(Davies et al.(1978)Annu.Rev.Microbiol 32:469)。選択マーカーには、生合成遺伝子(ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシン生合成経路における生合成遺伝子など)も含まれ得る。
【0242】
あるいは、上記成分のいくつかを、形質転換ベクターに合わせることができる。上記のように、形質転換ベクターは、通常、レプリコン中に維持されるか、組み込みベクターに進化させる選択マーカーから構成される。
【0243】
発現ベクターおよび形質転換ベクター、染色体外レプリコンまたは組み込みベクターのいずれかは、多数の細菌への形質転換のために開発されている。例えば、とりわけ、以下の細菌のための発現ベクターが開発されている:枯草菌(Palva et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 74:5582;EP−A−O 036 259およびEP−A−O 063 953;WO 84/04541)、大腸菌(Shimatake et al.(1981)Nature 292:128;Amann et al.(1985)Gene 40:183;Studier et al.(1986)J.MoI Biol.189:113;EP−A−O 036 776,EP−A−O 136 829およびEP−A−O 136 907、ストレプトコッカス・クレモリス(Powell et al.(1988)Appl.Environ.Microbiol.54:655)、 ストレプトコッカス・リビダンス(Powell et al.(1988)Appl.Environ.Microbiol.54:655)、ストレプトマイセス・リビダンス(米国特許第4,745,056号)。
【0244】
細菌宿主への異種DNAの移入方法は当該分野で周知であり、通常、CaClまたは他の薬剤(2価の陽イオンおよびDMSOなど)で処置した細菌の形質転換を含む。DNAを、エレクトロポレーションによって細菌細胞に移入することもできる。形質転換手順は、通常、形質転換すべき細菌種によって変化する。例えば、(Masson et al.(1989)FEMS Microbiol.Lett.60:273;Palva
et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5582;EP−A−O 036 259 および EP−A−O 063 953;WO
84/04541,Bacillus),(Miller et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:856;Wang et al.(1990)J.Bacteriol.172:949,Campylobacter),(Cohen et al.(1973)Proc.Natl.Acad.Sci.69:2110;Dower et al.(1988)Nucleic Acids Res.16:6121;Kushner(1978)”An improved method
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【0245】
概要
用語「〜を含む(comprising)」は、「〜を含む(including)」および「〜からなる」を含む(例えば、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなることができるか、何かを加えて含むことができる(例えば、X+Y))。
【0246】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0247】
用語「実質的に」は、「完全に」を排除しない(例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい)。必要に応じて、用語「実質的に」を、本発明の定義から省略することができる。
【0248】
「配列同一性」を、好ましくは、パラメーター(ギャップオープンペナルティ=12およびギャップ伸長ペナルティ=1)を使用したアフィンギャップ検索を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実行されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定する。
【0249】
血清型表記の後の髄膜炎菌類分類は、セロタイプ、セロサブタイプ、および免疫型を含み、標準的な命名法により、血清型、セロタイプ、セロサブタイプ、および免疫型をそれぞれコロンで分けて列挙する(例えば、B:4:P1.15:L3,7,9)。血清型B内で、いくつかの系列によってしばしば疾患が発症され(高侵襲性)、いくつかの系列によって他の系列よりも重篤な疾患形態を引き起こし(高ビルレント)、その他の系列によって疾患が引き起こされることは稀である。7種の高ビルレント系列が認識されている(すなわち、亜群I、III、およびIV−1、ET−5複合体、ET−37複合体、A4クラスター、および系列3)。これらは、多座酵素電気泳動(MLEE)によって定義されているが、多座配列分類(MLST)も使用して、髄膜炎菌類を分類している(参考文献10)。4つの主な高ビルレントクラスターは、ST32、ST44、ST8、およびST11複合体である。
【0250】
用語「アルキル」は、直鎖および分岐形態のアルキル基をいう。アルキル基は、−O−、−NH−、または−S−から選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子が割り込んでいても良い。アルキル基はまた、1つ、2つ、または3つの二重結合および/または三重結合が割り込んでいても良い。しかし、用語「アルキル」は、通常、ヘテロ原子が割り込まれていないか、二重結合や三重結合が割り込まれていないアルキル基をいう。C1〜12アルキルを参照例とした場合、これは、アルキル基が1と12との間の任意の炭素原子数(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含むことができることを意味する。同様にC1〜6アルキルを参照例とした場合、これは、アルキル基が1と6との間の任意の炭素原子数(例えば、C、C、C、C、C、C)を含むことができることを意味する。
【0251】
用語「シクロアルキル」には、シクロアルキル基、ポリシクロアルキル基、およびシクロアルケニル基、ならびにこれらとアルキル基との組み合わせ(シクロアルキルアルキル基など)が含まれる。シクロアルキル基は、−O−、−NH−、または−S−から選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子が割り込んでいても良い。しかし、用語「シクロアルキル」は、通常、ヘテロ原子の割り込みのないシクロアルキル基をいう。シクロアルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキシルメチル、およびアダマンチル基が含まれる。C3〜12シクロアルキルを参照例とした場合、これは、シクロアルキル基が3と12との間の任意の炭素原子数(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含むことができることを意味する。
【0252】
用語「アリール」は、芳香族基(フェニルまたはナフチルなど)をいう。C5〜12アリールを参照例とした場合、これは、アリール基が5と12との間の任意の炭素原子数(例えば、C、C、C、C、C、C10、C11、C12)を含むことができることを意味する。
【0253】
用語「C5〜12アリール−C1〜6アルキル」は、ベンジル、フェニルエチル、およびナフチルメチルなどの基をいう。
【0254】
窒素保護基には、シリル基(TMS、TES、TBS、TIPSなど)、アシル誘導体(フタリミド、トリフルオロアセトアミド、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(ZまたはCbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc))、スルホニル誘導体(β−トリメチルシリルエタンスルホニル(SES)、スルフェニル誘導体、C1〜12アルキル、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、9−フェニルフルオレニルなど)が含まれる。好ましい窒素保護基は、Fmocである。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
異なるNMB1870ファミリー由来のNMB1870の一部を含むキメラNMB1870タンパク質。
(項目2)
(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列、(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「C」配列を含み、ここで、前記第1のファミリーおよび第2のファミリーが互いに異なり、NMB1870のファミリーI、ファミリーII、またはファミリーIIIから選択され、ここで、(i)キメラポリペプチドが前記第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「C」配列を含まず、そして/または(ii)キメラポリペプチドが前記第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列を含まず、ここで、(1)ドメイン「B」が、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のGln−120とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のGly−183とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントであり、(2)ドメイン「C」が、対合アラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1とアラインメントした場合に配列番号1のLys−184とアラインメントしたアミノ酸から開始され、配列番号1のGln−274とアラインメントしたアミノ酸で終了する前記NMB1870のフラグメントである、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目3)
(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列および(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「C」配列を含み、ここで、前記第1のファミリーおよび第2のファミリーが互いに異なり、NMB1870のファミリーI、ファミリーII、またはファミリーIIIから選択され、ここで、キメラポリペプチドが495アミノ酸長未満である、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目4)
アミノ酸配列−X−B−X−C−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−B−は第1のファミリー中のNMB1870配列由来のドメインBアミノ酸配列であり、−C−は第2のファミリー中のNMB1870配列由来のドメインCアミノ酸配列であり、ここで、前記第1のファミリーおよび第2のファミリーが互いに異なり、NMB1870のファミリーI、ファミリーII、またはファミリーIIIから選択される)を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目5)
(a)第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列ならびに(b)第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」配列およびドメイン「C」配列を含み、ここで、前記第1のファミリーおよび第2のファミリーが互いに異なり、NMB1870のファミリーI、ファミリーII、またはファミリーIIIから選択され、ここで、キメラポリペプチドが、(i)第1のファミリー由来のドメイン「A」配列を含まず、そして/または(ii)第2のファミリー由来のドメイン「A」配列を含まない、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目6)
アミノ酸配列−X−B−X−C−X−B−X−C−X−(式中、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、−B−は第1のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」アミノ酸配列であり、−C−は第1のファミリー由来のドメイン「C」アミノ酸配列であり、−B−は第2のNMB1870ファミリー由来のドメイン「B」アミノ酸配列であり、−C−は第2のファミリー由来のドメイン「C」アミノ酸配列であり、前記第1のファミリーおよび第2のファミリーが互いに異なり、NMB1870のファミリーI、ファミリーII、またはファミリーIIIから選択される)を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目7)
(a)第1のNMB1870アミノ酸配列と第2のNMB1870アミノ酸配列とをアラインメントしてアラインメント配列対を得る工程と、(b)前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第1のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第1のアミノ酸配列の一部を選択する工程と、(c)前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸aから開始して前記第2のアミノ酸配列のアミノ酸bで終了する第2のアミノ酸配列の一部を選択する工程であって、ここで、残基aおよびaならびに残基bおよびbがアラインメント配列対にアラインメントされる、工程と、(d)前記第1のアミノ酸配列の一部を前記第2のアミノ酸配列の一部に置換し、それにより、キメラNMB1870アミノ酸配列を提供する工程とを含む、キメラNMB1870アミノ酸配列の産生プロセス。
(項目8)
前記第1の配列および第2の配列が異なり、且つ異なるNMB1870ファミリーに由来する、項目7に記載のプロセス。
(項目9)
前記第1の配列が、ファミリーI NMB1870配列である、項目8に記載のプロセス。
(項目10)
前記選択された部分が、少なくとも3アミノ酸長である、項目7〜項目9のいずれか1項に記載のプロセス。
(項目11)
前記部分が表面ループ配列である、項目7〜項目10のいずれか1項に記載のプロセス。
(項目12)
項目7〜項目11のいずれか1項に記載のプロセスによって得ることができるキメラNMB1870アミノ酸配列を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目13)
アミノ酸配列F−X−F(式中、Fは第1のNMB1870アミノ酸配列のN末端フラグメントであり、Fは第2のNMB1870アミノ酸配列のC末端フラグメントであり、−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、前記第1および第2のNMB1870アミノ酸配列が異なるNMB1870ファミリーに由来し、フラグメントFおよびFは共に少なくとも10アミノ酸長であり、フラグメントFおよびFは組み合わせて少なくとも200アミノ酸長を有する)を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目14)
アミノ酸配列(F−X(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、各FはmthNMB1870アミノ酸配列のフラグメントであり、各−X−は選択可能なアミノ酸配列であり、各フラグメントFは少なくとも7アミノ酸長であり、Fの場合のnは3つのNMB1870ファミリーI、II、およびIIIのうちの少なくとも2つ由来のフラグメントを含む)を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目15)
前記nが3であり、アミノ酸配列F−X−F−X−F−Xを含む、項目14に記載のポリペプチド。
(項目16)
前記nが5であり、アミノ酸配列F−X−F−X−F−X−F−X−F−Xを含む、項目14に記載のポリペプチド。
(項目17)
(i)ファミリーI NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーI NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、(ii)ファミリーII NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーII NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、(iii)ファミリーIII NMB1870配列の240アミノ酸以下のフラグメントであって、ここで、前記フラグメントが前記ファミリーIII NMB1870配列のエピトープを含む、フラグメント、のうちの少なくとも2つを含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目18)
第1のNMB1870ファミリーの修飾アミノ酸配列を含み、ここで、前記修飾配列が、第1のファミリー由来の表面ループ配列の代わりに少なくとも1つの第2のNMB1870ファミリー由来の表面ループ配列を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目19)
アミノ酸配列:
【化1】


(式中、
(a)Bは配列番号1のアミノ酸1〜133であり、Bは配列番号1のアミノ酸142〜161であり、Bは配列番号1のアミノ酸169〜180であり、Bは配列番号1のアミノ酸183〜196であり、Bは配列番号1のアミノ酸198〜218であり、Bは配列番号1のアミノ酸224〜233であり、Bは配列番号1のアミノ酸237〜260であり、Bは配列番号1のアミノ酸268〜274であり、
(b)Lは配列番号2のアミノ酸134〜141または配列番号3のアミノ酸142〜149のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸162〜167または配列番号3のアミノ酸170〜175のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸180〜181または配列番号3のアミノ酸188〜189のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸196または配列番号3のアミノ酸204のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸218〜222または配列番号3のアミノ酸226〜230のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸233〜235または配列番号3のアミノ酸241〜243のいずれかであり、Lは配列番号2のアミノ酸260〜266または配列番号3のアミノ酸268〜274のいずれかである)を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目20)
配列番号1に対する配列全体の同一性が少なくとも80%であり、ここで、前記配列番号1に対するアミノ酸配列の配列同一性が、配列番号1の骨格領域で80%を超え、前記配列番号1に対するアミノ酸配列の配列同一性が配列番号1のループ領域で80%未満であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目21)
配列番号2に対する配列全体の同一性が少なくとも80%であり、ここで、前記配列番号2に対するアミノ酸配列の配列同一性が、配列番号2の骨格領域で80%を超え、前記配列番号2に対するアミノ酸配列の配列同一性が配列番号2のループ領域で80%未満であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目22)
配列番号3に対する配列全体の同一性が少なくとも80%であり、ここで、前記配列番号3に対するアミノ酸配列の配列同一性が、配列番号3の骨格領域で80%を超え、前記配列番号3に対するアミノ酸配列の配列同一性が配列番号3のループ領域で80%未満であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載のキメラポリペプチド。
(項目23)
(a)前記フラグメントがアミノ酸Arg−223を含み、(b)前記ポリペプチドが、(i)完全なファミリーI NMB1870アミノ酸配列も(ii)完全なファミリーI?G−NMB1870アミノ酸配列も含まない、ファミリーI NMB1870配列のフラグメントを含むポリペプチド。
(項目24)
アミノ酸配列−Z−Arg−Z−(式中、(a)−Z1−は少なくとも100アミノ酸からなるアミノ酸配列であり、(b)−Z−は少なくとも30アミノ酸からなるアミノ酸配列であり、(c)−Z−は配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ上流に存在する100アミノ酸との配列同一性が少なくとも75%であり、(d)−Z−は配列番号1のアミノ酸Arg−223のすぐ下流に存在する30アミノ酸との配列同一性が少なくとも75%である)を含むポリペプチド。
(項目25)
配列番号4、5、6、7、23、24、43、44、52、53、61、62、63、64、および65からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド。
(項目26)
前記項目のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
(項目27)
前記項目のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
(項目28)
アルミニウム塩アジュバントをさらに含む、項目27に記載の組成物。
(項目29)
髄膜炎菌類PorAタンパク質をさらに含む、項目27または項目28に記載の組成物。
(項目30)
髄膜炎菌由来の外膜小胞調製物をさらに含む、項目27または項目28に記載の組成物。
(項目31)
薬物として使用するための、前記項目のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
(項目32)
項目27〜項目30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における抗体応答を惹起する方法。
【0255】
一般に、本発明は、特に参考文献3、5、6、および7に開示されている種々のNMB1870配列を含まないが、これらのNMB1870配列を、例えば、キメラ配列の構築などのために、本発明にしたがって使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0256】
【図1】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図2】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図3】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図4】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図5】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図6】図1〜6は、NMB1870の三次元モデルを示す。
【図7】図7は、NMB1870についての表面ループ導入を示す。
【図8】図8は、ファミリーI NMB1870タンパク質の12量体PepScanエピトープマッピングを示す。上から下の3つのパネルは、NMB1870ファミリーI、II、およびIIIに対して生成された抗血清を使用した結果である。結果を、任意の色素単位である。
【図9】図9は、ポリクローナル血清を使用して染色した、NMB1870フラグメントのウェスタンブロットを示す。
【図10】図10は、異なるNMB1870フラグメントに対して惹起された抗血清を使用したFACS分析を示す。
【図11】図11は、モノクローナル抗体mAb502(左のブロット)またはポリクローナル抗NMB1870血清(右のブロット)のいずれかで染色したNMB1870ファミリーI、II、またはIIIの染色物のウェスタンブロットを示す。
【図12】図12は、mAb502を使用して染色した、NMB1870フラグメントのウェスタンブロットを示す。
【図13】図13は、mAb502を使用して染色した、NMB1870フラグメントのドットブロットを示す。ドメインA〜Cを、個別に試験した。AドメインのB−Cフラグメントも試験し、ドメインBとCとの混合物も試験した。
【図14】図14は、細菌のFACS分析を示す。3つの列を異なる抗体で染色した:上=mAb502、中央=ポリクローナル血清、下=莢膜糖に対するモノクローナル抗体(正のコントロール、SEAM3)。図14中の3つの列は、全て以下のファミリーI株である:MC58、M2934、およびBZ83。
【図15】図15は、細菌のFACS分析を示す。図15中の3つの列は、以下のファミリーI NMB1870を発現しない:MC58株の?NMB1870同質遺伝子ノックアウト、ファミリーII 961−5945株、ファミリーIII M1239株。
【図16】図16は、残基120〜274のNMB1870MC58配列(配列番号1)の親水性および二次構造の分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0257】
発明実施の形態
エピトープマッピング
NMB1870MC58の12量体および10量体フラグメントを、「PepScan」エピトープマッピングのために使用した。フラグメントを、セルロース膜に固定し、以下の3つの各NMB1870ファミリー由来の1つの株に対して惹起した抗血清と反応させた:(I)MC58、(II)2996、(III)M1239。12量体の分析結果を、図8に示す。
【0258】
NMB1870のおよそ最初の110アミノ酸を含む領域は、3つのファミリーに共通の直鎖エピトープを含む。残基120〜183は、ファミリー特異的エピトープを含む。さらに下流には正のペプチドは認められないことから、これらの配列がタンパク質の三次構造に包埋しているので血清中にいかなる抗体を惹起できないか、エピトープがここで不連続であり、「PepScan」分析で認められないことが示唆される。以下のアラインメントは、各抗血清と反応したNMB1870MC58配列(配列番号1)の領域を示す。
【0259】
【化17】

したがって、3つの全ファミリーの共通のエピトープは、DKGLQSLTLDQSVR(配列番号21)およびFDFIRQIEVDGQLI(配列番号22)である。
【0260】
エピトープマッピングの結果に基づいて、NMB1870配列を、以下の3つの概念的ドメインに分割した:。
(A)抗MC58、アミノ酸1〜119(配列番号4)
【0261】
【化18】

(B)アミノ酸120〜184(配列番号5)
【0262】
【化19】

(C)アミノ酸185〜274(配列番号6)
【0263】
【化20】

これらのドメインを、個別に、ドメインA、B、またはC(配列番号4〜6)を含むタンパク質として示し、組合わせを、A−B(配列番号23)またはB−C(配列番号24)を含むタンパク質として示す。
【0264】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを、これらのタンパク質の構築で使用し、NdeIおよびXhoI制限部位を移入した。
【0265】
【化21】

標識としてポリクローナル抗NMB1870MC58を使用したドメインA(VAA...から始まるように短縮)、B、およびCのウェスタンブロットを、図9に示す。融合物ABおよびBCも含む。ブロットの最終レーンは、全長タンパク質を含む。
【0266】
各ドメインA、B、およびCに対する抗血清は、FACS分析において全細胞に結合することができた(図10)。ドメインAおよびCで蛍光シフトが最も強く、これらがより免疫学的に利用しやすいことが示唆される。抗血清は、?NMB1870ノックアウト株を認識できなかった。
【0267】
アジュバントとしてCFAまたは水酸化アルミニウム(AH)を使用したタンパク質(およびコントロールタンパク質)に対してマウス中で血清を惹起し、3つの異なる髄膜炎菌類株に対するSBAの結果を以下に示した。
【0268】
【化22】

したがって、配列番号1(MC58)内で、最も重要な細菌エピトープには、ドメインBとCの両方(ドメインBC)の存在が必要である。これにより、タンパク質がこれら2つのドメインの両方由来の配列から作製された不連続なエピトープをふくむことができることが示唆される(参考文献237を参照のこと)。
【0269】
さらに、髄膜炎菌類感染に対してラットを受動的に防御することができるモノクローナル抗体(Jar1、Jar3、およびJar4)は、BCドメインを認識するが、単独のドメインBまたはCを認識しない。同様に、Jar5は、ABドメインを認識するが、単独のドメインAまたはBを認識しない。
【0270】
本研究のさらなる詳細を、参考文献238に見出すことができる。
キメラタンパク質−BM1239−CMC58
BCドメインによって誘導された高細菌活性を調査するために、ハイブリッドBCドメインを、ファミリーIIIドメインB(M1239株)およびファミリーIドメインC(MC58株)から構築した。ファミリーIおよびIIIのBドメインの同一性は、43.8%である。
【0271】
配列番号1は、血清型BのMC58株由来の全長ファミリーI NMB1870配列である。この配列を、以下の3つに分割した:(A)aa1〜119、(B)aa120〜183、(C)aa184〜274。
【0272】
配列番号3は、血清型BのM1239株由来の全長ファミリーIII NMB1870配列である。この配列を、以下の3つに分割した:(A)aa1〜127、(B)aa128〜190、(C)aa191〜286。
【0273】
M1239のBドメインおよびMC58のCドメインをコードするDNAフラグメントを、特異的株由来のテンプレート染色体DNAおよび以下のプライマーを使用したPCRによって増幅した。
【0274】
【化23】

増幅フラグメントを、NdeI/HindIIIおよびHindIII/XhoIフラグメントとしてpET21b+中で連続的にクローン化した。最後のBM1239MC58配列は配列番号43であり、ドメインCMC58の開始時のKL配列は、HindIII制限部位によって得られた。
【0275】
タンパク質は、C末端His−タグ融合タンパク質として発現し、精製し、アジュバントとしてAHまたはFCAのいずれかを使用してマウスを免疫化するためにこれを使用した。血清を、3つのNMB1870ファミリーを代表する株に対する細菌活性について分析した。力価を以下に示した。
【0276】
【化24】

B(1239)−C(MC58)キメラによって誘導された力価は、B(MC558)−C(MC58)コントロールによって誘導された力価よりMC58に対して低く、M1239株に対して陰性であった。これらの結果は、B−Cキメラでは、Bドメインの配列は細菌抗体の誘導に重要であり、ドメインBおよびCは理想的には分離されるべきではないことを示す。
【0277】
ファミリーIタンパク質のみに存在するエピトープを認識するモノクローナルIgG2a抗体(mAb502)(図11)は、ウェスタンブロットでいかなる各ドメインA、B、およびCも認識しなかたが(図12)、ドメインB−Cフラグメントを認識した。これらの結果は、各ドメインA、B、およびCまたはドメインB−Cフラグメントのドットブロットでも認められた(図13)。しかし、さらに、抗体は、個別のドメインBとCとの混合物を認識し、抗体によって認識されたエピトープをin vitroで再構築することができ、両ドメインのアミノ酸残基によって形成されていることが示唆された。モノクローナル抗体は、いかなるPepScanフラグメントも認識しなかった。
【0278】
ドメインBとCとの並列によって高次構造のエピトープを形成することができる。
キメラタンパク質−BC2996−BCM1239
配列番号2は、血清型Bの2996株由来の全長ファミリーII NMB1870配列である。この配列を、以下の3つのドメインに分割した:(A)aa1〜119、(B)aa120〜182、(C)aa183〜273。
【0279】
グリシンリッチリンカー(配列番号17、BamHI制限部位由来のGS、ポリグリシンリンカーとしては配列番号18)を介して、2996株由来のドメインBおよびCをM1239株由来のドメインBおよびCと連結して、BCIIBCIIIキメラを作製した。ドメインをコードするDNAを、特定の株由来のテンプレート染色体DNAおよび以下のプライマーを使用したPCRによって増幅した。
【0280】
【化25】

NdeI/BamHIおよいbBamHI/XhoIフラグメントとして、pET21b+中で配列を連続的クローン化した。タンパク質は、C末端His−タグ融合タンパク質として発現し、これを精製し、マウスの免疫化のために使用した。
【0281】
簡単に述べれば、10匹のメスCD1マウス群を、アルミニウムまたはフロイントアジュバントを使用して、20μgのタンパク質で腹腔内に免疫化した。タンパク質を、単独または参考文献239の33頁に開示の「3つのタンパク質」の組み合わせと組み合わせて投与した。3つの免疫化物(immunization)を投与し、第3の免疫化物の投与から2週間後に血清を採取し、3つのNMB1870ファミリーを代表する株に対する殺菌活性について分析した。各NMB1870ファミリーについての3つの例示的株に対する力価を以下に示した。
【0282】
【化26】

したがって、ファミリーIIおよびIII由来の融合BCドメインによって良好な抗II活性および抗III活性が得られるが、予想通り、有意な抗I活性は得られなかった。融合BCドメインは、全長(?G)NMB1870配列の融合物よりもSBA力価が低い。
キメラタンパク質−BCMC58−BCM1239−BC2996
類似のアプローチを使用して、3つの全NMB1870ファミリーのためのBCドメインのキメラを構築した。ドメインの増幅のために以下のプライマーを使用した。
【0283】
【化27】

最終配列は配列番号52を有し、配列番号17(BamHI制限部位、その後のポリGlyリンカー)によってファミリーI配列がファミリーIII配列に連結しており、配列番号45(HindIII制限部位、その後のポリGlyリンカー)によってファミリーIII配列がファミリーII配列に連結している。
【0284】
I−III−IIよりもむしろI−II−IIIの順序のBCドメインを含むさらなるキメラを産生した。このキメラを、ファミリーIII株に融合したファミリーII株のBCドメインのキメラおよびSEAM−3の正のコントロールと共に細菌アッセイで試験した。結果を以下に示した。
【0285】
【化28】

したがって、1つ(NGH38)を除く全ての場合、三重キメラによって二重キメラよりも良好な結果が得られた。この所見は、ファミリーI株では驚くべき物ではなく、二重キメラがこのファミリーのNMB1870配列を含まないからであった。しかし、ファミリーIIおよびIIIについてさえも、結果は改善された。同様に、三重キメラにおける力価が128以上のファミリーII株の数は9/13であるのに対して、二重キメラについてはたった6/13であった。
【0286】
モノクローナル抗体502
殺菌活性を有する抗NMB1870モノクローナル抗体を選択するために、CD1マウスを、ファミリーI NMB1870MC58で免疫した。各マウス由来のポリクローナル血清を、ELISAによって精製タンパク質および全MC58細胞に対する抗体結合について評価し、MC58に対する殺菌活性を媒介する補体について評価した。これらの結果に基づいて、高応答マウスの脾臓を、骨髄種細胞との融合について選択した。抗体を産生するいくつかのハイブリドーマ細胞株を単離し、精製タンパク質またはMC58全細菌細胞に対する陽性ELISAによって選択した。MAb502(MC58株に対して殺菌性を示すIgG2aアイソタイプモノクローナル抗体)を、さらなる研究のために選択した。ELISAによって、抗体は精製タンパク質を認識し、MC58株に対するFACS分析において陽性であった。
【0287】
3つの各変異形由来のNMB1870に対するウェスタンブロット分析により、mAb502がファミリーI配列のみで存在するエピトープを認識することが確認された。対照的に、ポリクローナル血清は全ての変異形を認識した。モノクローナルmAb502を、多数のファミリーI株に対するFACS分析で使用した。いずれの場合も、抗体は細胞表面抗原を認識した(図14、上の行)。抗NMB1870ポリクローナル(中央の行)または抗莢膜モノクローナル(下の行)を使用した場合、蛍光シフトはあまり大きくなかったが、結合は特異的であった。対照的に、mAb502は、?NMB1870ノックアウト株を認識せず(図15、左の列)、ファミリーII株またはファミリーIII株を認識しなかった(中央および右の列)。抗莢膜の正のコントロールは、認識されなかった全ての株を認識した(図15、下の行)。
キメラタンパク質−NMB1870MC58−NMB1870M1239−NMB18702996
3つの全NMB1870ファミリーを含む1つのポリペプチドを提供するための別のアプローチとして、全長タンパク質(わずかなN末端短縮を除く、天然のポリGly配列(すなわち、?Gタンパク質)まで含む)を融合して、三重キメラ配列(配列番号53)を作製した。配列番号19(BamHI制限部位、その後の淋菌類リンカー)によってファミリーI配列をファミリーIII配列と連結し、配列番号54(HindIII制限部位、その後の淋菌類リンカー)によってファミリーIII配列をファミリーII配列と連結した。タンパク質を、以下のプライマーを使用した増幅後にC末端His−タグ融合物として発現された。
【0288】
【化29】

30℃での成長後に、タンパク質を可溶性産物として精製することができる。
【0289】
精製三重キメラ(3−C)タンパク質をマウスに投与し、得られた血清を、水酸化アルミニウム(AH)またはフロイント完全アジュバントのいずれかを使用した殺菌アッセイで試験した。相同NMB1870タンパク質に対して惹起した血清(AHで免疫賦活した)も試験した。
【0290】
【化30】

したがって、ほとんど全ての場合、三重キメラタンパク質により、各相同タンパク質よりも良好な殺菌性血清が得られた。したがって、三重キメラタンパク質以下の2つの利点を付与する:(1)1つのタンパク質中で全てのNMB1870ファミリーを対象とすること、および(2)1つの相同NMB1870タンパク質と比較して殺菌応答が増強されること。
【0291】
ドメインの免疫原性の比較
MC58?G−NMB1870配列(ファミリーI)のA、B、Cドメインを、単一およびABおよびBC融合物として調製し、これらは全てC末端His−タグを有する。これらを使用して、マウスを免疫化し、各NMB1870ファミリー由来の株に対する殺菌活性を試験した。比較のために、3つのファミリーの?G−NMB1870配列に応答して惹起された血清も試験した。タンパク質を、水酸化アルミニウムまたはFCAで免疫賦活した。結果を以下に示した。
【0292】
【化31】

したがって、各ドメインは、特に有効な免疫原ではなく、ABドメインも特に有効ではないが、BCドメインは良好な活性を示す。
BCドメインの三次元モデル
BCドメインの超二次構造を、HMMSTR/RosettaサーバにMC58配列を提出することによって予想した(240)。出力を、図1に示す。
【0293】
三次元構造をVAST検索(241)に供して、得られたタンパク質構造との類似性を見出し、ループを精密化した。VAST出力(図2)は、以下であった
【0294】
【化32】

VAST出力を使用して、229〜259フラグメント(図2の右上)をさらにモデル化し、図2の破線に沿って骨格にターンを導入することによって修飾した。得られたモデルを、エネルギー最小化によって精密化して、図3の最終モデルを得た。
【0295】
このモデルの表面ループを強調したモデルを図6に示す。
表面エピトープマッピング
ウェスタンブロットでmAb502を認識した株由来のNMB1870のBCドメインの多配列アラインメントにより、種々の配列情報が明らかとなった。抗体に結合した全ての株は残基Arg223を含むが、この残基は、ブロットで認識されなかった株でHisである。そうであっても、Arg223を有する全ての配列が殺菌性血清を産生するわけではなく、それにより、総殺菌性エピトープは、この単一の残基よりも広範なはずである。
【0296】
アラインメントにより、特定の殺菌性エピトープの形成に関与し得る以下の他の残基が同定された:Phe128(F)、Ilel33(I)、Asn197(N)、Gly2217(G)、Lys249(K)、Lys260(K)、およびVal262(V)。これらの全アミノ酸(以下の灰色のバックグラウンド)がET−5株(MC58など)間で保存されており、これは、BCA陽性であるが、BCA陰性株では異なる。
【0297】
【化33】

殺菌性ポリクローナル血清と反応する株由来の配列のアラインメントに基づいた同様の研究により、以下の残基が同定された:Phe128、Ile133、Asn197、およびGly221。モノクローナル抗体によって同定された残基Lys249、Lys260、およびVal262は、これら3つの残基がBCA陰性株(M2197)のNMB1870配列中に保存されているので、この段階で破棄した。
【0298】
NMB1870の三次元モデルから、Phe134およびIle139は予想されるαヘリックス内に存在するようであるので、抗体に十分に接近できない。他方では、Asn197およびGly221は共に表面ループ内に含まれるので、十分に曝露されている。Gly221およびAsn197は空間的にArg223に近く、それにより、同一エピトープの一部であり得る。Gly221に注目すると、BCA陰性株は、しばしば、GluまたはLys(共に嵩高く、且つ帯電している)と置換されたこの小さい中性のアミノ酸を有する。この置換により、このエピトープの適切な認識および抗体への結合が損なわれ得る。
【0299】
したがって、この分析により、以下の5つの重要なアミノ酸が明らかとなる:Phe128、Ile133、Asn197、Gly221、およびArg223。これらの残基を、三次元モデルにマッピングした場合(図4)、これらのうちの3つがタンパク質表面でクラスター化する(図5)。推定二次構造とのアラインメント(図16)により、Ile133、Asn197、Gly221、およびArg223が親水性領域(すなわち、表面ループ)に存在することも示される。
【0300】
他の重要な残基は、215〜216位のジペプチドADであり得る。ADは、ほとんどのBCA陰性株においてAYと置換され、いくつかの弱い反応物でSDと置換される。
【0301】
アミノ酸197、221、および223を、以下のように変異した。
【0302】
【化34】

変異誘発のためにInvtrogenのGeneTailor(商標)SDMシステムを使用した。コドンが変化した内部プライマーを、説明書に従ってデザインし、以下に示す。
【0303】
【化35】

各変異体を生成するために、100ngのpET−?G741(1)−HisプラスミドDNAを、メチル化反応のテンプレートとして使用し、12.5ngのメチル化プラスミドを、以下のプライマー対を使用した変異誘発反応における基質として使用した。
741(1)−N197H for/741(1)−N197Hrev
741(1)−G221K for/741(1)−G221Krev
741(1)−R223H for/741(1)−R223Hrev
GeneTailor(商標)Site−Directed Mutagenesis
Systemの説明書にしたがってPCRを行った。反応後、10μlの産物を、1%アガロースゲルで分析し、次いで、変異誘発反応混合物由来の2μlを、説明書にしたがって、DH5a(商標)−T1大腸菌株に形質転換した。陽性クローンを、プラスミド単離(QIAprep Spin Miniprep Kit,QIAGEN(商標))によって分析し、配列決定した。二重変異体(?G741(1)−His−N197H−G221K)を生成するために、陽性変異体?G741(1)−His−G221KのDNAを、対応するプライマー対(741(1)−N197H for/741(1)−N197Hrev)を使用するつぎの段階のための基質として使用した。
【0304】
C末端−His−tag融合物としての組換えタンパク質の発現のために、1.5μlの各構築物を使用して、大腸菌BL21−DE株を形質転換した。1つの組換えコロニーを、4ml LB+Amp(100μg/ml)に接種し、37℃で一晩インキュベートし、125mlフラスコ中の20mlのLB+Amp(100μg/ml)で30倍に希釈して、0.1と0.2との間のOD600nmを得た。フラスコを、OD600nmが発現の誘導に適切な指数増殖を示すまで(0.4〜0.8のOD値)、37℃の旋回水浴震盪器中でインキュベートした。1.0mM IPTGの添加によってタンパク質発現を誘導した。37℃で3時間のインキュベーション後、OD600nmを測定し、発現を試験した。1.0mlの各サンプルを、微量遠心管で遠心分離し、ペレットをPBSに再懸濁し、SDS−PAGEおよびクーマシーブルー染色によって分析した。野生型と同様に全変異体も発現し、37℃で可溶性形態として精製した。
ループ置換
三次元モデルおよびエピトープマッピング研究に基づいて、NMB1870のファミリーIIおよびファミリーIII由来の表面ループを、ファミリーIフレームワークに導入した。
【0305】
ループ1について、アミノ酸配列は、全てのファミリーII株およびファミリーIII株で100%保存されている。3つ全てのファミリーでは、ループ1は、ループの正確な曝露/折り畳みに寄与する可能性が高い2つのαヘリックス(配列中に保存されていない)に隣接する。Gly140残基はファミリーIM6190配列で見出されず、モノクローナルJar3およびJar5はファミリーI配列に結合する一方でM6190に結合することができず、このループのエピトープ重要性がさらに確認される。ファミリーIフレームワークへの挿入のために、ファミリーII配列を選択した。
【0306】
ループ2は、殺菌性エピトープに対応する。ファミリーIIとIIIとの間のこの位置でのたった2つの相違は、Asp/Gly置換である。ファミリーII株の間の殺菌応答の分析により、Asp残基の極めて重要な役割が示唆され、それにより、ファミリーII配列を選択した。
【0307】
ループ3は、ファミリーIIおよびIIIで可変性が高いが、ファミリーIでは保存されている。ファミリーIIでは、大部分の株が配列PNGを有するが、ファミリーIIIでは、大部分がAGGを有する。このループが防御のために重要でないと思われるが(PNG株はファミリーIII AGG株から防御することができる)、両方の可能性を対象とするために、ファミリーIのAG配列をPNと置換した。
【0308】
ループ4中のAsn197は、ファミリーIのBCA陽性株とBCA陰性株とを区別するための重要な残基として以前に同定され、ET−5株で常に保存されている。この残基は、全ファミリーII株およびファミリーIII株の亜群でHisに置換されている。さらに、Hisはまた、いくつかのファミリーI株に存在する。したがって、Hisを、ファミリーIIおよびIII、さらに、MC58によって対象とされていない任意のファミリーIを対象とするためにこのループ中で使用した。
【0309】
ループ5、ループ6、およびループ7は、ファミリーIIおよびIIIで同一であるが、ファミリーIで異なる。これら3つのループのために、ファミリーII/III配列を使用した。2996株のタンパク質に対して惹起された血清に感受性を示すファミリーII株がこの位置にGly残基を有するので、ループ中の第2の残基は、ValよりもむしろGlyである。
【0310】
配列番号1から配列番号61に変更するための置換を図7に示す。ループ1、2、および4がファミリーII配列を受け入れ、ループ3がファミリーIII配列を受け入れ、ループ5、6、および7がファミリーIIおよびIIIの両方に共通の配列を受け入れた。全部で274個(配列番号1)および273個(配列番号61)のアミノ酸のうちの28個の置換により、表面ループ交換後の全体の同一性は、90%を超えたままである。
【0311】
ループを連続的に置換した。いくつかのタンパク質がこの一連の置換で作製され、?GNMB1870MC58配列の各ループが順番に置換された。7つの置換タンパク質を、LP、LP、...LPと呼んだ。LP変異体は、配列番号61である。
【0312】
GenTailor(商標)SDM系を、本研究(上記)のために使用し、以下のプライマーを使用した。
【0313】
【化36】

野生型タンパク質と同様に全タンパク質も発現し、37℃での成長後に可溶性産物として精製することができる。タンパク質LP、LP、...LPを使用して、マウスを免疫化し、得られた血清を、血清型B髄膜炎菌類の種々の異なる株(各NMB1870ファミリー由来の少なくとも3種が含まれる)に対して試験した。出発タンパク質(LP0)も試験した。タンパク質を、水酸化アルミニウム(AH)アジュバントまたはFCA(F)のいずれかで免疫賦活した。以下の表では、各行(下の行を除く)は、9種の例示的株に対して試験した1つの血清についてのSBAを示す。下の行は、相同NMB1870由来の野生型抗原を使用して得た血清の活性を示す(すなわち、MC58に対する抗NMB1870MC58血清の試験)。
【0314】
【化37】

LP0(置換なし;NMB1870;ファミリーI)からのLP1、LP2を経たLP7への進行により、タンパク質に対して惹起した血清はNMB1870がファミリーIIまたはファミリーIIIに存在する株に対してより活性が高くなる。ファミリーI配列をファミリーII/III配列に置換するにつれて、推測に反して、ファミリーI株に対する殺菌応答は増加する傾向がある。
【0315】
したがって、配列番号61は、ファミリーIエピトープを置換するためのファミリーIIおよびIII由来の表面エピトープを含む。キメラポリペプチドを使用して、ファミリーIIおよびIII由来のNMB1870に対する抗体を惹起することができ、通常のファミリーI配列と組み合わせて多ファミリー抗原性を得ることができる。組み合わせは、2つの異なるポリペプチドの混合物であり得るか、ハイブリッド(7)の形態であり得る(例えば、NH−X−配列番号61−X−配列番号1−X−COOH、NH−X−配列番号1−X−配列番号61−X−COOHなど)。
新規のNMB1870配列
NMB1870についての広範囲の配列情報を利用可能である(例えば、参考文献3、5、6、および7)。さらなる新規のNMB1870配列が見出されている。
【0316】
成熟タンパク質のN末端システインから開始される4243株の配列を、配列番号62に示す。切断されたリーダーペプチドは、通常のファミリーI配列と同一である。
【0317】
M.01.0240320株(「gb320」、配列番号63)およびS10026株(配列番号64)でNMB1870の第4のファミリーが認められている。m3813由来の配列(参考文献7の配列番号21、本明細書中の配列番号65)もファミリーIVに分類することができる。
【0318】
本発明を例示のみを目的として上で説明しており、本発明の範囲および精神を維持しながら修正することができると理解される。
【0319】
【化38】

【0320】
【表1】

【0321】
【表2】

【0322】
【表3】

【0323】
【表4】

【0324】
【表5】

【0325】
【表6】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。


【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−168611(P2011−168611A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−112884(P2011−112884)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【分割の表示】特願2007−529041(P2007−529041)の分割
【原出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】