説明

髄膜炎菌H因子結合タンパク質および肺炎球菌糖結合体の組み合わせ

(i)結合体化肺炎球菌莢膜糖と、(ii)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)抗原とを含み、髄膜炎菌外膜小胞を含まない免疫原性組成物は、細菌性髄膜炎に対して被験体を免疫化するために有用である。好ましい組成物は、(i)リン酸アルミニウムアジュバントと、(ii)少なくとも肺炎球菌血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの結合体化肺炎球菌莢膜糖であって、上記の糖のそれぞれが、CRM197担体タンパク質と結合体化している糖と、(iii)少なくとも2つの異なる髄膜炎菌H因子結合タンパク質抗原であって、それらのそれぞれが、リン酸アルミニウムに少なくとも部分的に吸着している抗原とを含む。結合体化肺炎球菌糖も、リン酸アルミニウムに吸着してよい。組成物は、塩化ナトリウムおよび/または緩衝剤を含んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第61/163,005号(2009年3月24日出願)および同第61/270,407号(2009年7月7日出願)からの優先権を主張する。これらの出願の完全な内容は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、混合ワクチン、特に結合体化肺炎球菌莢膜糖と髄膜炎菌fHBP抗原との両方を含有するものの分野にある。
【背景技術】
【0003】
Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)は、グラム陰性の球状細菌である。現在の髄膜炎菌ワクチンも、莢膜糖に基づく。これらは、1価血清群C結合体ワクチン(MENJUGATE(商標)、MENINGITEC(商標)、NEISVAC−C(商標))と、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yについての4価結合体混合物(MENACTRA(商標))とを含む。血清群B(「MenB」)に対する一般的な使用のために承認された有用なワクチンは、現在のところ存在しない。MenBワクチンを作製するための現在の研究努力は、外膜小胞(例えばMENZB(商標)、HEXAMEN(商標)、NONAMEN(商標))またはリポオリゴ糖および外膜タンパク質のような外膜からの精製された成分に焦点を当てている。
【0004】
Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)は、グラム陽性球状細菌である。現在の肺炎球菌ワクチンは、莢膜糖に基づく。承認された小児ワクチンは、(a)血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fからの結合体化糖の7価混合物であるPREVNAR(商標)、(b)血清型1、血清型5および血清型7Fについてもカバーする10価結合体混合物であるSYNFLORIX(商標)、ならびに(c)血清型3、血清型6Aおよび血清型19Aについてもカバーする13価結合体混合物であるPREVNAR13(商標)である。その他の9価、10価、11価および13価結合体の組み合わせも公知である。PREVNAR(商標)と同じ7つの血清型は、髄膜炎菌の血清群B株からの外膜小胞複合体(「OMPC」)にも結合体化されている[1(非特許文献1)]。
【0005】
参考文献2(非特許文献2)は、13価肺炎球菌結合体ワクチン(「13vPnC」、Wyeth)と9価MenB外膜小胞ワクチン(NONAMEN(商標)、NVI)とを組み合わせることにより形成された、肺炎球菌とMenBの両方に対して免疫化するための組成物を開示している。同様の混合製品が、参考文献3(非特許文献3)において論じられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kilpiら、Clin Infect Dis(2003)37:1155〜64
【非特許文献2】van den Dobbelsteenら、Vaccine(2007)25:2491〜6
【非特許文献3】Bosら、Pharmacoeconomics(2006)24:141〜53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血清群B髄膜炎菌と肺炎球菌の両方に対して防御するためのさらなる、そして改良された混合ワクチンに対する必要性がまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
3つの異なる操作された外膜小胞の組み合わせを用いる参考文献2に開示される組成物とは異なって、本発明の組成物中の髄膜炎菌血清群B抗原は、少数の精製された抗原に基づく。目的は、組成物中にMenB抗原の複合体または規定されない混合物(例えば参考文献1および2で用いられている外膜小胞)の存在を回避することである。特に、本発明の組成物は、精製された髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)抗原を含む。肺炎球菌結合体をfHBPに加えることにより、抗髄膜炎菌応答が増進され、fHBPを肺炎球菌結合体に加えることにより、抗肺炎球菌応答が増進できることが見出された。
【0009】
よって、本発明は、(i)結合体化肺炎球菌莢膜糖と、(ii)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)抗原とを含む免疫原性組成物を提供する。組成物は、好ましくは、髄膜炎菌外膜小胞(細菌の成長中に自発的に形成され、培養培地中に放出される、天然に存在する膜小胞、および例えば髄膜炎菌の洗浄剤処理または超音波処理により形成される人工外膜小胞を含む)を含まない。
【0010】
好ましい組成物は、(i)リン酸アルミニウムアジュバントと、(ii)少なくとも肺炎球菌血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの結合体化肺炎球菌莢膜糖であって、上記の糖のそれぞれが、CRM197担体タンパク質と結合体化している糖と、(iii)少なくとも2つの異なる髄膜炎菌H因子結合タンパク質抗原であって、それらのそれぞれが、リン酸アルミニウムに少なくとも部分的に吸着している抗原とを含む。結合体化肺炎球菌糖も、リン酸アルミニウムに吸着してよい。組成物は、塩化ナトリウムおよび/または緩衝剤を含んでよい。
【0011】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製するための方法も提供し、この方法は、(i)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、結合体/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)該結合体/アジュバント混合物を少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質と混合するステップとを含む。
【0012】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製するための方法も提供し、この方法は、(i)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖を少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質と混合して、抗原混合物を形成するステップと、(ii)該抗原混合物をリン酸アルミニウムアジュバントと混合するステップとを含む。
【0013】
本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製するための方法も提供し、この方法は、(i)少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、タンパク質/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)該タンパク質/アジュバント混合物を少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖と混合するステップとを含む。
【0014】
あまり好ましくない実施形態において、本発明は、本発明の免疫原性組成物を調製するための方法も提供し、この方法は、(i)少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、タンパク質/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、結合体/アジュバント混合物を形成するステップと、(iii)該タンパク質/アジュバント混合物と結合体/アジュバント混合物とを混合するステップとを含む。
【0015】
好ましくは、本発明の方法は、水酸化アルミニウムアジュバントを、(i)髄膜炎菌H因子結合タンパク質、(ii)リン酸アルミニウムアジュバント、(iii)結合体化肺炎球菌莢膜糖、(iv)結合体/アジュバント混合物、(v)抗原混合物または(vi)タンパク質/アジュバント混合物のいずれかと混合するステップを含まない。よって、水酸化アルミニウムは、免疫原性組成物の成分として加えられない。
【0016】
結合体化肺炎球菌莢膜糖(複数可)
本発明の組成物は、少なくとも1つの肺炎球菌莢膜糖を含む。莢膜糖は、担体タンパク質と結合体化している。
【0017】
本発明は、1または複数の異なる肺炎球菌血清型からの莢膜糖を含むことができる。組成物が1より多い血清型からの糖抗原を含む場合、これらは、好ましくは、別々に調製され、別々に結合体化され、それから組み合わされる。肺炎球菌莢膜糖を精製するための方法は、当該技術において公知であり(例えば参考文献4を参照されたい)、23の異なる血清型からの精製された糖に基づくワクチンが、長年、公知である。これらの方法の改良も、例えば血清型3について参考文献5に、血清型1、4、5、6A、6B、7Fおよび19Aについて参考文献6に記載されている。
【0018】
肺炎球菌莢膜糖(複数可)は、以下の血清型から典型的に選択される:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび/または33F。よって、合計では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23またはそれより多い異なる血清型からの莢膜糖を含んでよい。少なくとも血清型6Bの糖を含む組成物が有用である。
【0019】
血清型の有用な組み合わせは、例えば血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む7価の組み合わせである。別の有用な組み合わせは、例えば血清型1、4、5、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む9価の組み合わせである。別の有用な組み合わせは、例えば血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む10価の組み合わせである。11価の組み合わせは、血清型3からの糖をさらに含み得る。12価の組み合わせは、血清型6Aおよび19A;6Aおよび22F;19Aおよび22F;6Aおよび15B;19Aおよび15B;または22Fおよび15Bを10価の混合物に加え得る。13価の組み合わせは、血清型19Aおよび22F;8および12F;8および15B;8および19A;8および22F;12Fおよび15B;12Fおよび19A;12Fおよび22F;15Bおよび19A;15Bおよび22F;6Aおよび19Aなどを11価の組み合わせに加え得る。
【0020】
よって、有用な13価の組み合わせは、例えば参考文献7〜10に開示されるようにして調製された、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19(または19A)、19Fおよび23Fからの莢膜糖を含む。あるこのような組み合わせは、血清型6Bの糖を約8μg/mlで、およびその他の12の糖をそれぞれ約4μg/mlの濃度で含む。別のこのような組み合わせは、血清型6Aおよび6Bの糖をそれぞれ約8μg/mlで、およびその他の11の糖をそれぞれ約4μg/mlで含む。
【0021】
結合体のための適切な担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素のような細菌毒素、またはそのトキソイドもしくは変異体を含む。これらは、結合体ワクチンにおいて通常用いられる。例えば、CRM197ジフテリア毒素変異体が有用である[11]。その他の適切な担体タンパク質は、合成ペプチド[12、13]、熱ショックタンパク質[14、15]、百日咳タンパク質[16、17]、サイトカイン[18]、リンホカイン[18]、ホルモン[18]、成長因子[18]、N19[20]のような種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質[19]、H.influenzaeからのタンパク質D[21〜23]、ニューモリシン[24]またはその非毒性誘導体[25]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[26]、鉄取り込みタンパク質[27]、C.difficileからの毒素AまたはB[28]、組換えPseudomonas aeruginosaエキソタンパク質A(rEPA)[29]などを含む。参考文献1で用いられているOMPCは、髄膜炎菌外膜小胞であるので、肺炎球菌糖についての可能な担体からは本明細書において除外される。
【0022】
肺炎球菌結合体ワクチンのために特に有用な担体タンパク質は、CRM197、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドおよびH.influenzaeタンパク質Dである。CRM197は、PREVNAR(商標)において用いられている。13価混合物は、13の結合体のそれぞれについての担体タンパク質としてCRM197を用いてよく、CRM197は、約55〜60μg/mlで存在してよい。
【0023】
組成物が1より多い肺炎球菌血清型からの結合体を含む場合、それぞれの別個の結合体について同じ担体タンパク質を用いることができるか、または異なる担体タンパク質を用いることができる。しかし、両方の場合において、異なる結合体の混合物は、通常、それぞれの血清型結合体を別々に調製し、それからそれらを混合して別個の結合体の混合物を形成することにより形成される。参考文献30は、多価肺炎球菌結合体ワクチン中に異なる担体タンパク質を用いる場合の潜在的な利点について記載しているが、PREVNAR(商標)製品は、7つの異なる血清型のそれぞれについて同じ担体を用いて成功している。
【0024】
担体タンパク質は、肺炎球菌糖に、直接またはリンカーを介して共有結合によって結合体化してよい。種々のリンカーが公知である。例えば、結合はカルボニルを介したものであってよく、これは、修飾糖の遊離のヒドロキシル基とCDIとの反応[31、32]と、その後のタンパク質との反応によりカルバメート結合による連結(carbamate linkage)を形成することにより形成され得る。カルボジイミド縮合を用いることができる[33]。アジピン酸リンカーを用いることができ、これは、遊離の−NH基(例えばアミノ化により糖に導入される)とアジピン酸(例えばジイミド活性化を用いて)とのカップリングと、次いで得られた糖−アジピン酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成し得る[34、35]。その他のリンカーは、β−プロピオンアミド[36]、ニトロフェニル−エチルアミン[37]、ハロアシルハロゲン化物[38]、グリコシド結合による連結(glycosidic linkage)[39]、6−アミノカプロン酸[40]、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)[41]、アジピン酸ジヒドラジドADH[42]、C〜C12部分[43]などを含む。
【0025】
還元的アミノ化による結合体化を用いることができる。糖は、過ヨウ素酸塩を用いてまず酸化してアルデヒド基を導入し、これが、次いで、担体タンパク質との直接的な共有結合による連結を、還元的アミノ化により例えばリジンのε−アミノ基に形成できる。糖が1分子あたりに複数のアルデヒド基を含む場合、この連結技術は、複数のアルデヒドが複数の担体アミンと反応した架橋生成物を導くことができる。この架橋による結合体化技術は、少なくとも肺炎球菌血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのために特に有用である。
【0026】
肺炎球菌糖は、肺炎球菌から調製される全長のインタクトな糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌において見られる天然の莢膜糖よりも短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製の間もしくは後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的な管理のしやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。1より多い肺炎球菌血清型を用いる場合、それぞれの血清型についてインタクトな糖を、それぞれの血清型についてフラグメントを、またはいくつかの血清型についてインタクトな糖と、その他の血清型についてフラグメントを用いることが可能である。
【0027】
組成物が、血清型4、6B、9V、14、19Fおよび23Fのいずれかからの糖を含む場合、これらの糖は、好ましくはインタクトである。対照的に、組成物が、血清型18Cからの糖を含む場合、この糖は、解重合されていることが好ましい。
【0028】
血清型3の糖も解重合されてよい。例えば、血清型3の糖は、例えば酢酸を用いる、解重合のための酸加水分解[7]に供することができる。得られるフラグメントを、次いで、活性化のために酸化され(例えば過ヨウ素酸塩酸化、おそらく2価カチオンの存在下、例えばMgClを用いる)、担体(例えばCRM197)に還元条件下(例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて)で結合体化させてよく、次いで(所望により)、糖中の未反応のいかなるアルデヒドをもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[7]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0029】
血清型1の糖は、重炭酸塩/炭酸塩緩衝液を用いるような例えばアルカリpH緩衝液処理[8]により達成して、少なくとも部分的に脱O−アセチル化してよい。このような(部分的)脱O−アセチル化糖は、活性化のために酸化され(例えば過ヨウ素酸塩酸化)、担体(例えばCRM197)に還元条件下(例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて)で結合体化させることができ、次いで(所望により)、糖中の未反応のいかなるアルデヒドをもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[8]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0030】
血清型19Aの糖は、活性化のために酸化され(例えば過ヨウ素酸塩酸化)、担体(例えばCRM197)にDMSO中で還元条件下に結合体化させてよく、次いで(所望により)、糖中の未反応のいかなるアルデヒドをもキャップできる(例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて)[44]。結合体化は、例えば活性化された糖と担体とを同時凍結乾燥させた後の凍結乾燥材料上で行ってよい。
【0031】
1または複数の肺炎球菌莢膜糖結合体が、凍結乾燥された形態で存在してよい。
【0032】
肺炎球菌結合体は、適切な糖と結合する抗莢膜抗体を理想的に惹起でき、例えば≧0.20μg/mLの抗糖抗体レベルを惹起できる[45]。抗体は、酵素イムノアッセイ(EIA)および/またはオプソニン作用活性(OPA)の測定により評価してよい。EIA法は、詳細に確認されており、抗体濃度とワクチン効力との間に関連が存在する。
【0033】
髄膜炎菌H因子結合タンパク質(複数可)
本発明の組成物は、少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)を含む。
【0034】
fHBP抗原は、詳細に特徴決定されている。これは、タンパク質「741」[参考文献56中の配列番号2535および2536]、「NMB1870」、「GNA1870」[参考文献46〜48]、「P2086」、「LP2086」または「ORF2086」[49〜51]とも呼ばれている。これは、天然ではリポタンパク質であり、全ての髄膜炎菌血清群にわたって発現されている。fHbpのC末端免疫優性ドメイン(「fHbpC」)の構造は、NMRにより決定されている[52]。タンパク質のこの部分は、8本鎖のβバレルを形成し、その鎖は、種々の長さのループで連結されている。バレルの前には、短いαヘリックスと可撓性N末端テイルがある。
【0035】
fHBP抗原は、3つの別々のバリアントに当てはまり[53]、ある所定のファミリーに対して産生された血清が、同じファミリー内で殺菌性であるが、その他の2つのファミリーの1つを発現する株に対しては活性でない、すなわちファミリー内交差防御が存在するが、ファミリー間交差防御は存在しないことが見出されている。本発明の組成物は、単一fHBPバリアントを含むことができるが、2または3のバリアントからのfHBPを含むことが有利である。
【0036】
組成物が単一fHBPバリアントを含む場合、これは、以下のものの1つを含み得る:
(a)(i)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号1からの少なくともx個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1アミノ酸配列を含む第1ポリペプチド;
(b)(i)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号2からの少なくともy個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2アミノ酸配列を含む第2ポリペプチド;
(c)(i)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号3からの少なくともz個隣接するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第3アミノ酸配列を含む第3ポリペプチド。
【0037】
組成物が2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これは、(i)上で規定される第1および第2ポリペプチド、(ii)上で規定される第1および第3ポリペプチド、または(iii)上で規定される第2および第3ポリペプチドの組み合わせを含み得る。第1および第3ポリペプチドの組み合わせが好ましい。
【0038】
組成物が2つの異なる髄膜炎菌fHBP抗原を含む場合、これらは、いくらかの共通の配列を有し得るが、第1、第2および第3ポリペプチドは、異なるfHBPアミノ酸配列を有する。
【0039】
第1アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号60の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(MC58)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号61の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号62の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0040】
第2アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号61の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(2996)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号60の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号62の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0041】
第3アミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合に、配列番号62の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質(M1239)と結合する抗体を含む抗体応答を惹起する。いくつかの実施形態において、これらの抗体のいくつかまたは全ては、配列番号60の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも配列番号61の新生アミノ酸配列を有する野生型髄膜炎菌タンパク質にも結合しない。
【0042】
いくつかの実施形態において、配列番号1からの少なくともx個隣接するアミノ酸のフラグメントは、配列番号2中にも配列番号3中にも存在しない。同様に、配列番号2からの少なくともy個隣接するアミノ酸のフラグメントは、配列番号1中にも配列番号3中にも存在しない可能性がある。同様に、配列番号3からの少なくともz個隣接するアミノ酸のフラグメントも、配列番号1中または配列番号2中に存在しない可能性がある。いくつかの実施形態において、配列番号1〜3の1つからの上記のフラグメントを、その他の2つの配列番号に対して隣接配列として整列させた場合に、そのフラグメントとその他の2つの配列番号のそれぞれとの間の同一性は、75%未満、例えば70%未満、65%未満、60%未満などである。
【0043】
aの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。bの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。cの値は、少なくとも80、例えば82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99またはそれより大きい値である。a、bおよびcの値は同じまたは異なってよい。いくつかの実施形態において、a、bおよびcは同一である。
【0044】
xの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。yの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。zの値は、少なくとも7、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250)である。x、yおよびzの値は同じまたは異なってよい。いくつかの実施形態において、x、yおよびzは同一である。
【0045】
フラグメントは、好ましくはそれぞれの配列番号の配列からのエピトープを含む。その他の有用なフラグメントは、それぞれの配列番号のC末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1もしくは複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、その少なくとも1つのエピトープを保持している。
【0046】
本発明で用いられるアミノ酸配列は、配列番号1、2または3と比較して、1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の保存的アミノ酸置換、すなわち関連する側鎖を有する別のものであるアミノ酸の置換を含み得る。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分配される:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物活性に対して大きな影響を有さない。ポリペプチドは、参照配列に対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の単一アミノ酸欠失を有してよい。ポリペプチドは、参照配列に対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば1、2、3、4または5アミノ酸のそれぞれ)を有してもよい。
【0047】
有用な第1アミノ酸配列は、配列番号1と少なくとも85%の同一性(例えば>95%または100%)を有する。別の有用な第1アミノ酸配列は、配列番号66と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。別の有用な第1アミノ酸配列は、配列番号67と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。
【0048】
有用な第3アミノ酸配列は、配列番号3と少なくとも85%の同一性(例えば>95%または100%)を有する。別の有用な第3アミノ酸配列は、配列番号68と少なくとも95%の同一性(例えば>98%または100%)を有する。
【0049】
配列番号66および68付近(またはそれらの近縁バリアント)に基づく第1および第3配列の混合物を含む組み合わせが、特に有用である。別の有用な組み合わせは、配列番号67および68(またはそれらの近縁バリアント)の混合物付近に基づく第1および第3配列の混合物を含む。よって、組成物は、配列番号63のアミノ酸配列を含むポリペプチドと、配列番号65のアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、fHBPポリペプチド(複数可)は、例えばN末端システインにて脂質付加される。別の実施形態において、しかし、fHBPポリペプチド(複数可)は、脂質付加されない。脂質付加fHBPについて、システインに付加される脂質は、通常、例えばトリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(Pam3Cys)、ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン(Pam2Cys)、N−アセチル(ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン)などとしてのパルミトイル残基を含む。成熟脂質付加fHBP配列の例は、配列番号63(配列番号66を含む)、配列番号64(配列番号67を含む)および配列番号65(配列番号68を含む)である。
【0051】
fHBPの投与は、好ましくは、配列番号1、2または3のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起する。本発明で用いるために有利なfHBP抗原は、被験体への投与の後に殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0052】
fHBPポリペプチドの全量は、通常、1〜500μg/用量、例えば60〜200μg/用量または120〜500μg/mlである。
【0053】
さらなる抗原(複数可)
結合体化肺炎球菌莢膜糖(複数可)と髄膜炎菌H因子結合タンパク質(複数可)に加えて、本発明の組成物は、髄膜炎菌、肺炎球菌および/またはさらなる病原体(複数可)からのさらなる抗原を含み得る。
【0054】
髄膜炎菌ポリペプチド抗原
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数のさらなる髄膜炎菌ポリペプチド抗原(複数可)を含んでよい。よって、組成物は、287、NadA、NspA、HmbR、NhhA、Appおよび/またはOmp85からなる群より選択されるポリペプチド抗原を含んでよい。これらの抗原は、精製ポリペプチド、例えば組換えポリペプチドとして有用に存在する。抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起する。本発明のいくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、1つだけの髄膜炎菌PorA血清サブタイプを含むか、または好ましくは、髄膜炎菌PorA外膜タンパク質を含まないかのいずれかである。
【0055】
本発明の組成物は、287抗原を含んでよい。287抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB2132(GenBank受理番号GI:7227388;本明細書において配列番号9)として含まれた。多くの株からの287抗原の配列が、それ以降公開されている。例えば、287の対立遺伝子型は、参考文献55の図5および15、参考文献56の実施例13および図21(その中の配列番号3179〜3184)で見ることができる。287抗原の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましい287抗原は、(a)配列番号9と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号9の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号9からのエピトープを含む。本発明の最も有用な287抗原は、被験体に投与した後に、配列番号9のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利な287抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0056】
本発明の組成物は、NadA抗原を含んでよい。NadA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB1994(GenBank受理番号GI:7227256;本明細書において配列番号10)として含まれた。多くの株からのNadA抗原の配列がそれ以降公開され、ナイセリアの付着因子としてのタンパク質活性は、詳細に文書化されている。NadAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいNadA抗原は、(a)配列番号10と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号10の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号10からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNadA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号10のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNadA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。配列番号6は、あるそのようなフラグメントである。
【0057】
本発明の組成物は、NspA抗原を含んでよい。NspA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB0663(GenBank受理番号GI:7225888;本明細書において配列番号11)として含まれた。抗原は、参考文献57および58から、以前に公知であった。多くの株からのNspA抗原の配列が、それ以降公開されている。NspAの種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいNspA抗原は、(a)配列番号11と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号11の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号11からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNspA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号11のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNspA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0058】
本発明の組成物は、髄膜炎菌HmbR抗原を含んでよい。全長HmbR配列は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB1668(本明細書において配列番号7)として含まれた。参考文献59は、異なる株からのHmbR配列(本明細書において配列番号8)を報告している。配列番号7と8は、1アミノ酸長異なり、94.2%の同一性を有する。本発明は、全長HmbR配列を含むポリペプチドを用いることができるが、部分的なHmbR配列を含むポリペプチドを頻繁に用いる。よって、いくつかの実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7と少なくともi%(ここで、iの値は、50、60、70、80、90、95、99またはそれより多い)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメント(ここで、jの値は、7、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)のフラグメントを含んでよい。別の実施形態において、本発明に従って用いられるHmbR配列は、(i)配列番号7と少なくともi%の配列同一性を有し、かつ/または(ii)配列番号7からの少なくともj連続アミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸配列を含んでよい。jアミノ酸の好ましいフラグメントは、配列番号7からのエピトープを含む。このようなエピトープは、通常、HmbRの表面上にあるアミノ酸を含む。有用なエピトープは、ヘモグロビンとのHmbRの結合に関与するアミノ酸を有するものを含む。なぜなら、これらのエピトープと結合する抗体は、宿主のヘモグロビンと結合する細菌の能力を遮断できるからである。HmbRの位相幾何学およびその重要な機能的残基は、参考文献60において調べられた。本発明の最も有用なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、配列番号7のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なHmbR抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0059】
本発明の組成物は、NhhA抗原を含んでよい。NhhA抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB0992(GenBank受理番号GI:7226232;本明細書において配列番号12)として含まれた。多くの株からのNhhA抗原の配列がそれ以降公開され、例えば参考文献55および61であり、NhhAの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。これは、Hsfとしても公知である。本発明で用いるために好ましいNhhA抗原は、(a)配列番号12と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号12の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号12からのエピトープを含む。本発明の最も有用なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、配列番号12のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なNhhA抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0060】
本発明の組成物は、App抗原を含んでよい。App抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB1985(GenBank受理番号GI:7227246;本明細書において配列番号13)として含まれた。多くの株からのApp抗原の配列がそれ以降公開されている。Appの種々の免疫原性フラグメントが報告されている。本発明で用いるために好ましいApp抗原は、(a)配列番号13と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号13の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号13からのエピトープを含む。本発明の最も有用なApp抗原は、被験体に投与した後に、配列番号13のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なApp抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0061】
本発明の組成物は、Omp85抗原を含んでよい。Omp85抗原は、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公開されたゲノム配列[54]中に、遺伝子NMB0182(GenBank受理番号GI:7225401;本明細書において配列番号14)として含まれた。多くの株からのOmp85抗原の配列がそれ以降公開されている。Omp85についてのさらなる情報は、参考文献62および63で見出すことができる。Omp85の種々の免疫原性フラグメントも報告されている。本発明で用いるために好ましいOmp85抗原は、(a)配列番号14と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号14の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号14からのエピトープを含む。本発明の最も有用なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、配列番号14のアミノ酸配列からなる髄膜炎菌ポリペプチドと結合できる抗体を惹起できる。本発明で用いるために有利なOmp85抗原は、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0062】
髄膜炎菌リポオリゴ糖
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数の髄膜炎菌リポオリゴ糖(LOS)抗原(複数可)を含んでよい。髄膜炎菌LOSは、細菌の外膜の外側の単層で見出されるグルコサミンベースのリン脂質である。これは、リピドA部分とコアオリゴ糖領域とを含み、リピドA部分は、膜において疎水性アンカーとして作用する。オリゴ糖コア中の不均質性が、異なる髄膜炎菌株の間での構造的および抗原的多様性を生じ、これは、株を12のイムノタイプ(L1〜L12)に細分するために用いられている。本発明は、任意のイムノタイプ、例えばL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7および/またはL8からのLOSを用いてよい。
【0063】
L2およびL3のα鎖は、天然に、ラクトN−ネオテトラオース(LNnT)を含む。本発明がL2またはL3イムノタイプからのLOSを用いる場合、このLNnTは存在しないことがある。この非存在は、α鎖内でLNnT四糖を合成する能力が破壊されるように操作された変異体株を用いることにより、簡便に達成できる。関連する生合成付加を担う酵素のノックアウトによりこの目的が達成されることが公知である[64、65]。例えば、LgtB酵素のノックアウトは、LNnTの末端ガラクトースの付加を妨げるとともに、α鎖の末端シアル酸の下流の付加も妨げる。LgtA酵素のノックアウトは、LNnTのN−アセチル−グルコサミンの付加と、下流の付加とを妨げる。LgtAノックアウトは、LgtCノックアウトを伴い得る。同様に、LgtEおよび/またはGalE酵素のノックアウトは、内部ガラクトースの付加を妨げ、LgtFのノックアウトは、Hep残基へのグルコースの付加を妨げる。これらのノックアウトのいずれも、L2、L3、L4、L7またはL9イムノタイプ株におけるLNnT四糖の破壊のために、単独または組み合わせて用いることができる。有用な免疫原性を保持しながらLNnTエピトープが除去されたLOSを提供するので、少なくともLgtBのノックアウトが好ましい。
【0064】
LNnTエピトープを破壊する変異に加えて、またはその代わりに、galE遺伝子のノックアウトも、有用な改変LOSを提供し、リピドA脂肪トランスフェラーゼ(fatty transferase)遺伝子も同様にノックアウトされ得る[66]。少なくとも1つの第一級O結合脂肪酸を、LOSから除去してよい[67]。1LOS分子あたりの第二級アシル鎖の数が低減されたLOSを用いることもできる[68]。LOSは、典型的に、少なくともGlcNAc−Hepホスホエタノールアミン−KDO−リピドA構造を有する[69]。LOSは、GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc三糖を含むが、LNnT四糖を欠くことがある。
【0065】
LOSは、本発明の組成物中に種々の形態で含まれ得る。これは、精製された形態にてそれ自体で用いてよい。これは、担体タンパク質と結合体化してよい。LOSが結合体化されている場合、結合体化は、LOS中のリピドA部分を介するか、または任意のその他の適切な部分、例えばそのKDO残基によるものであってよい。LOSのリピドA部分が存在しない場合、このような代替の連結が必要となる。LOSについての結合体化技術は、参考文献67、69、70、71などから公知である。これらの結合体に有用な担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素またはそのトキソイドもしくは変異体のような上記で論じた例えば細菌毒素である。
【0066】
LOSは、参考文献72に記載されるような固定(すなわち相変動性(phase variable)でない)LOSイムノタイプを有する株(例えば遺伝子操作された髄膜炎菌株)からであってよい。例えば、L2およびL3 LOSイムノタイプを固定してよい。このような株は、イムノタイプ間のスイッチング率が、元の野生型株に対して1/2未満(>1/50にさえ)に低減されてよい。参考文献72は、lgtAおよび/またはlgtG遺伝子生成物の改変によりこの結果をどのようにして達成できるかについて開示している。
【0067】
LOSは、例えばL3について、そのヘプトースII残基に付加されたGlcNac残基上でO−アセチル化されてよい[73]。
【0068】
免疫原性組成物は、1より多い型のLOS、例えば髄膜炎菌イムノタイプL2およびL3からのLOSを含むことができる。例えば、参考文献74に開示されるLOSの組み合わせを用いてよい。
【0069】
LOS抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、殺菌性抗髄膜炎菌抗体を惹起できる。
【0070】
しかし、本発明の好ましい組成物は、髄膜炎菌リポオリゴ糖を含まない。
【0071】
髄膜炎菌莢膜糖抗原(複数可)
髄膜炎菌fHBPポリペプチド抗原(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数の髄膜炎菌莢膜糖結合体を含んでよい。本発明の組成物は、髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yの1、2、3または4つ、例えばA+C、A+W135、A+Y、C+W135、C+Y、W135+Y、A+C+W135、A+C+Y、A+W135+Y、A+C+W135+Yなどからの莢膜糖の1または複数の結合体を含んでよい。血清群Cの糖または血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yの4つ全てからの糖を含む組成物が理想的である。
【0072】
血清群A髄膜炎菌の莢膜糖は、C3位およびC4位に部分的O−アセチル化を有する(α1→6)結合N−アセチル−D−マンノースアミン−1−ホスフェートのホモポリマーである。C3位でのアセチル化は、70〜95%であり得る。糖を精製するために用いる条件は、脱O−アセチル化をもたらし得る(例えば塩基性条件下で)が、このC3位にてOAcを保持することが有用である。いくつかの実施形態において、血清群Aの糖中のマンノースアミン残基の少なくとも50%(例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%またはそれより多い)が、C3位にてO−アセチル化される。アセチル基は、加水分解を防ぐために、ブロック基で置き換えることができ[75]、このような改変糖は、本発明の意味において、まだ血清群Aの糖である。
【0073】
血清群Cの莢膜糖は、(α2→9)結合シアル酸(N−アセチルノイラミン酸または「NeuNAc」)のホモポリマーである。糖の構造は、→9)−NeupNAc7/8OAc−(α2→と記載される。ほとんどの血清群C株は、シアル酸残基のC7および/またはC8にてO−アセチル基を有するが、臨床単離株の約15%は、これらのO−アセチル基を欠く[76、77]。OAc基の存在または非存在は、ユニークエピトープを生じ、糖と結合する抗体の特異性は、O−アセチル化された株(OAc+)および脱O−アセチル化された株(OAc−)に対するその殺菌活性に影響し得る[78〜80]。本発明で用いられる血清群Cの糖は、OAc+またはOAc−株のいずれかから調製してよい。許諾されたMenC結合体ワクチンは、OAc−(NEISVAC−C(商標))およびOAc+(MENJUGATE(商標)およびMENINGITEC(商標))糖の両方を含む。いくつかの実施形態において、血清群Cの結合体の生成のための株は、例えば、血清型16、血清サブタイプP1.7a,1などのOAc+株である。よって、C:16:P1.7a,1 OAc+株を用いてよい。C11株のような血清サブタイプP1.1中のOAc+株も有用である。
【0074】
血清群W135の糖は、シアル酸−ガラクトース二糖単位のポリマーである。血清群Cの糖と同様に、これは、変動性のO−アセチル化を有するが、シアル酸7位および9位においてである[81]。この構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Gal−α−(1→と記載される。
【0075】
血清群Yの糖は、二糖反復単位がガラクトースの代わりにグルコースを含む以外は、血清群W135の糖と同様である。血清群W135と同様に、これは、シアル酸7位および9位において変動性のO−アセチル化を有する[81]。血清群Yの構造は、→4)−D−Neup5Ac(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Glc−α−(1→と記載される。
【0076】
本発明に従って用いられる糖は、上記のようにO−アセチル化されてよい(例えば、天然の莢膜糖で見られるのと同じO−アセチル化パターンで)か、またはこれらは、糖の環の1または複数の位置にて部分的もしくは完全に脱O−アセチル化されてよいか、またはこれらは、天然の莢膜糖に比べて過剰にO−アセチル化されてよい。
【0077】
結合体中の糖部分は、髄膜炎菌から調製される全長の糖を含んでよく、かつ/または全長の糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌で見られる天然の莢膜糖より短くてよい。糖は、よって、解重合されてよく、この解重合は、糖の精製の間もしくは後であるが、結合体化の前に生じる。解重合は、糖の鎖長を低減する。ある解重合法は、過酸化水素の使用を伴う。過酸化水素を糖に加え(例えば1%の最終H濃度まで)、混合物を、次いで、所望の鎖長の減少が達成されるまでインキュベートする(例えば約55℃にて)。別の解重合法は、酸加水分解を伴う。その他の解重合法は、当該技術において公知である。本発明に従って用いるための結合体を調製するために用いる糖は、これらの解重合法のいずれによっても得ることができる。解重合は、免疫原性のために最適な鎖長を提供し、かつ/または糖の物理的な管理のしやすさのために鎖長を低減するために用いることができる。いくつかの実施形態において、糖は、以下の範囲の平均重合度(Dp)を有する:A=10〜20;C=12〜22;W135=15〜25;Y=15〜25。Dpよりもむしろ分子量の点において、有用な範囲は、全ての血清群について<100kDa;5kDa〜75kDa;7kDa〜50kDa;8kDa〜35kDa;12kDa〜25kDa;15kDa〜22kDaである。
【0078】
いくつかの実施形態において、髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yのそれぞれからの糖についての平均分子量は、特にMALLSにより決定して、50kDaより高く、例えば≧75kDa、≧100kDa、≧110kDa、≧120kDa、≧130kDaなどであってよく[82]、1500kDaまででさえあってよい。例えば、MenAの糖は、50〜500kDa、例えば60〜80kDaの範囲であってよく、MenCの糖は、100〜210kDaの範囲であってよく、MenW135の糖は、60〜190kDa、例えば120〜140kDaの範囲であってよく、かつ/またはMenYの糖は、60〜190kDa、例えば150〜160kDaの範囲であってよい。
【0079】
組成物中の1血清群あたりの髄膜炎菌の糖の質量は、通常、1μg〜20μg、例えば1血清群あたり2〜10μg、または約4μgもしくは約5μgもしくは約10μgである。1より多い血清群からの結合体が含まれる場合、これらは、実質的に等しい質量で存在してよく、例えば、各血清群の糖の質量が、互いの+10%以内である。等しい比率の代替として、2倍の質量の血清群Aの糖を用いてよい。つまり、ワクチンは、MenAの糖を10μgと、MenC、W135およびYの糖をそれぞれ5μgで含んでよい。
【0080】
有用な担体タンパク質および結合化学は、上で論じている。有用な担体は、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドおよびCRM197を含む。
【0081】
1:5(すなわち過剰のタンパク質)〜5:1(すなわち過剰の糖)の糖:タンパク質比率(w/w)、例えば1:2〜5:1の比率および1:1.25〜1:2.5の比率の結合体を用いてよい。参考文献83に記載されるように、混合物中の異なる髄膜炎菌血清群結合体は、異なる糖:タンパク質の比率を有することができ、例えば、あるものは1:2〜1:5の比率を有し、別のものは5:1〜1:1.99の比率を有してよい。
【0082】
参考文献84に記載されるように、混合物は、直接の糖/タンパク質結合を有するある結合体と、リンカーを介する結合を有する別の結合体とを含むことができる。この取り合わせは、異なる髄膜炎菌血清群からの糖結合体を用いる場合に特に当てはまり、例えばMenAおよびMenCの糖はリンカーを介して結合体化してよく、MenW135およびMenYの糖は、担体タンパク質と直接結合体化してよい。
【0083】
肺炎球菌ポリペプチド抗原(複数可)
結合体化肺炎球菌莢膜糖(複数可)を含むことに加えて、組成物は、1または複数の肺炎球菌ポリペプチド抗原(複数可)を含んでよい。よって、組成物は、(1)spr0057抗原、(2)spr0286抗原、(3)spr0565抗原、(4)spr1098抗原、(5)spr1345抗原、(6)spr1416抗原、(7)spr1418抗原、(8)spr0867抗原、(9)spr1431抗原、(10)ニューモリシン、(11)spr2021抗原、(12)spr0096抗原、(13)spr1433抗原および/または(14)spr1707抗原の1または複数を含んでよい。
【0084】
組成物は、(1)PspAポリペプチド、(2)PsaAポリペプチド、(3)PspCポリペプチド、(4)LytAポリペプチド、(5)PhtAポリペプチド、(6)PhtAポリペプチド、(7)PhtAポリペプチドおよび/または(8)PhtDポリペプチドの1または複数を含んでよい。
【0085】
組成物は、RrgA、RrgBおよび/またはRrgCのような肺炎球菌ピリ繊毛のサブユニットを含んでよい。
【0086】
肺炎球菌ポリペプチド抗原は、好ましくは、被験体に投与した後に、防御抗体を惹起できる。
【0087】
元の「spr0057」配列は、参考文献85中に「ベータ−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体」(GI:15902101を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0057のアミノ酸配列を、配列番号18として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr0057ポリペプチドは、(a)配列番号18と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号18の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0057タンパク質は、配列番号18のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号18からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号18のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号18の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号32であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ(sortase)認識配列とを欠いている。
【0088】
元の「spr0286配列」は、参考文献85中に「ヒアルロン酸リアーゼ前駆体」(GI:15902330を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0286のアミノ酸配列を、配列番号19として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr0286ポリペプチドは、(a)配列番号19と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号19の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0286タンパク質は、配列番号19のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号19からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号19のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号19の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号33であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。その他の適切なフラグメントは、配列番号34および35である。
【0089】
元の「spr0565」配列は、参考文献85中に「ベータ−ガラクトシダーゼ前駆体」(GI:15902609を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0565のアミノ酸配列を、配列番号20として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号20と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号20の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0565タンパク質は、配列番号20のバリアントを含む(例えば配列番号66;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号20からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号20のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号20の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号36であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。その他の適切なフラグメントは、配列番号37および38である。
【0090】
spr0565のバリアント形態は、本明細書中の配列番号39である。免疫化のためのこのバリアント形態の使用は、参考文献86に報告されている(その中の配列番号178)。有用なspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号39と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号39の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号39のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号39からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号39のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号39の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。配列番号39の免疫原性フラグメントは、参考文献86の表1に同定されている。
【0091】
spr0565は天然において長いポリペプチド(>2000aa)であるので、フラグメントを発現させることがより簡便であり得る。よって、本発明で用いるためのspr0565の適切な形態は、1500アミノ酸未満の長さ(例えば<1400、<1300、<1200、<1100など)であり得る。spr0565のこのような短い形態は、「spr0565A」(配列番号37)および「spr0565B」(配列番号38)を含む。
【0092】
元の「spr1098」配列は、参考文献85中に「ソルターゼ」(GI:15903141を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1098のアミノ酸配列を、配列番号21として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1098ポリペプチドは、(a)配列番号21と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号21の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1098タンパク質は、配列番号21のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号21からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号21のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号21の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号40であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0093】
元の「spr1345」配列は、参考文献85中に「仮想タンパク質」(GI:15903388を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1345のアミノ酸配列を、配列番号22として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1345ポリペプチドは、(a)配列番号22と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号22の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1345タンパク質は、配列番号22のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号22からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号22のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号22の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号41であり、これは、天然のリーダーペプチド配列とソルターゼ認識配列とを欠いている。
【0094】
元の「spr1416」配列は、参考文献85中に「仮想タンパク質」(GI:15903459を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1416のアミノ酸配列を、配列番号23として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1416ポリペプチドは、(a)配列番号23と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号23の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1416タンパク質は、配列番号23のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号23からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号23のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号23の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0095】
元の「spr1418」配列は、参考文献85中に「仮想タンパク質」(GI:15903461を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1418のアミノ酸配列を、配列番号24として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1418ポリペプチドは、(a)配列番号24と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号24の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1418タンパク質は、配列番号24のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号24からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号24のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号24の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0096】
元の「spr0867」配列は、参考文献85中に「エンド−ベータ−N−アセチルグルコサミニダーゼ」(GI:15902911を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0867のアミノ酸配列を、配列番号25として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr0867ポリペプチドは、(a)配列番号25と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号25の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0867タンパク質は、配列番号25のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号25からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号25のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号25の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号42であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0097】
元の「spr1431」配列は、参考文献85中に「1,4−ベータ−N−アセチルムラミダーゼ」(GI:15903474を参照されたい)としてアノテートされた。これは、「LytC」として公知であり、免疫化のためのその使用は、参考文献100に報告されている。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1431のアミノ酸配列を、配列番号26として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1431ポリペプチドは、(a)配列番号26と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号26の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1431タンパク質は、配列番号26のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号26からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号26のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号26の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号43であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。
【0098】
R6株で見出される全長ニューモリシンのアミノ酸配列を、配列番号27として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいニューモリシンポリペプチドは、(a)配列番号27と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号27の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのニューモリシンタンパク質は、配列番号27のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号27からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号27のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号27の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ワクチン接種で用いるためのニューモリシンの変異体形態は、当該技術において公知であり[25、87〜92]、これらの変異体形態は、本発明で用いてよい。解毒化は、例えば34アミノ酸、45アミノ酸、7アミノ酸[94]などを欠失するC末端切断(例えば参考文献93を参照されたい)により達成できる。さらなる変異は、配列番号27に従って番号付けすると、Pro325→Leu(例えば配列番号44)および/またはTrp433→Phe(配列番号45)を含む。これらの変異は、C末端切断と組み合わせて、例えばPro325→Leu変異を7mer切断と組み合わせる(例えば配列番号46)ことができる。
【0099】
元の「spr2021」配列は、参考文献85中に「一般ストレスタンパク質GSP−781」(GI:15904062を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr2021のアミノ酸配列を、配列番号28として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr2021ポリペプチドは、(a)配列番号28と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号28の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr2021タンパク質は、配列番号28のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号28からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号28のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号28の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。ある適切なフラグメントは、配列番号47であり、これは、天然のリーダーペプチド配列を欠いている。参考文献86は、spr2021を、GbpBに対する相同性を有する分泌45kDaタンパク質としてアノテートし、免疫原としてのその使用を開示している(その中の配列番号243;SP2216)。spr2021の免疫原性フラグメントは、参考文献86の表1(第73頁)に同定されている。spr2021の別の有用なフラグメントは、参考文献95の配列番号1として開示される(本明細書の配列番号28のアミノ酸28〜278)。
【0100】
元の「spr0096」配列は、参考文献85中に「仮想タンパク質」(GI:15902140を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr0096のアミノ酸配列を、配列番号29として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr0096ポリペプチドは、(a)配列番号29と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号29の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr0096タンパク質は、配列番号29のバリアントを含む(例えば配列番号40;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号29からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号29のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号29の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0101】
配列番号29に対するそのC末端付近に挿入物を有するspr0096のバリアント形態は、本明細書中の配列番号48である。免疫化のためのこのバリアントの使用は、参考文献86に報告されており(その中の配列番号150)、ここでは、LysMドメインタンパク質としてアノテートされている。よって、本発明で用いるためのspr0096は、(a)配列番号48と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号48の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含んでよい。これらのポリペプチドは、配列番号48のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号48からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号48のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号48の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。配列番号48の免疫原性フラグメントは、参考文献86の表1に同定されている。
【0102】
spr0096ポリペプチドは、二量体、例えばホモ二量体の形態で用いてよい。
【0103】
元の「spr1433」配列は、参考文献85中に「仮想タンパク質」(GI:15903476を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1433のアミノ酸配列を、配列番号30として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1433ポリペプチドは、(a)配列番号30と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号30の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1433タンパク質は、配列番号30のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号30からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号30のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号30の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0104】
元の「spr1707」配列は、参考文献85中に「ABCトランスポーター基質結合タンパク質−オリゴペプチド輸送」(GI:15903749を参照されたい)としてアノテートされた。参照の目的のために、R6株で見出される全長spr1707のアミノ酸配列を、配列番号31として本明細書中に示す。本発明で用いるために好ましいspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号31と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号31の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1707タンパク質は、配列番号31のバリアントを含む(例えば配列番号100;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号31からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号31のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号31の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0105】
配列番号31とは4アミノ酸異なるspr1707のバリアント形態は、本明細書中の配列番号49である。免疫化のための配列番号49の使用は、参考文献86に報告されている(その中の配列番号220)。よって、本発明で用いるためのspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号49と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号49の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号49のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号49からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号49のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号49の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。配列番号49の免疫原性フラグメントは、参考文献86の表1に同定されている。
【0106】
PspAは、肺炎球菌表面タンパク質Aである。参照の目的のために、全長PspAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号50である。R6ゲノムにおいて、PspAはspr0121である[85]。本発明で用いるために好ましいPspAポリペプチドは、(a)配列番号50と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号50の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPspAタンパク質は、配列番号50のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号50からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号50のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号50の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。免疫化のためのPspAの使用は、なかでも参考文献96に報告されている。これは、PspCと組み合わせて有利に投与できる。
【0107】
PsaAは、肺炎球菌表面付着因子である。参照の目的のために、全長PsaAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号51である。本発明で用いるために好ましいPsaAポリペプチドは、(a)配列番号51と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号51の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPsaAタンパク質は、配列番号51のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号51からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号51のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号51の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。PsaAの有用なフラグメントは、参考文献95に配列番号3として開示されている(本明細書中の配列番号51のアミノ酸21〜519に相当)。免疫化のためのPsaAの使用は、参考文献97に報告されている。これは、PspAおよび/またはPspCと組み合わせて使用できる。
【0108】
PspCは、肺炎球菌表面タンパク質C[98]であり、コリン結合タンパク質A(CbpA)としても公知である。免疫化のためのその使用は、参考文献99および100に報告されている。R6株において、これはspr1995であり、参照のために、全長spr1995のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号52である。本発明で用いるために好ましいPspCポリペプチドは、a)配列番号52と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号52の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのspr1995タンパク質は、配列番号52のバリアントを含む(例えば配列番号27;以下を参照されたい)。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号52からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号52のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号52の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0109】
PspCのバリアントは、「Hic」として公知である。これは、参考文献101の図1に示すPspCと類似しており、ここでは、これはH因子(fH)と結合すると報告されている。参照の目的のために、全長Hicのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号53である。Hicタンパク質は、本発明において、PspCポリペプチドに加えてまたはその代わりに用いてよい。本発明で用いるために好ましいHicポリペプチドは、(a)配列番号53と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号53の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのHicタンパク質は、配列番号53のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号53からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号53のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号53の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。
【0110】
PspCおよび/またはHicは、PspAおよび/またはPsaAと組み合わせて有利に用いることができる。
【0111】
LytAは、N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(自己溶解素)である。参照の目的のために、全長LytAのアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号54である。R6ゲノムにおいて、LytAは、spr1754である[85]。本発明で用いるために好ましいLytAポリペプチドは、(a)配列番号54と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号54の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのLytAタンパク質は、配列番号54のバリアント(例えばGI:18568354)を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号54からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号54のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号54の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。特に異種乱雑(promiscuous)Tヘルパーエピトープと融合したLytAコリン結合ドメインを含む形態での、免疫化のためのLytAの使用は、参考文献102に報告されている。
【0112】
PhtAは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質(histidine triad protein)Aである。参照の目的のために、全長PhtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号55である。R6ゲノムにおいて、PhtAはspr1061である[85]。本発明で用いるために好ましいPhtAポリペプチドは、(a)配列番号55と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号55の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtAタンパク質は、配列番号55のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号55からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号55のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号55の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。免疫化のためのPhtAの使用は、参考文献103および104に報告されている。
【0113】
PhtBは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Bである。参照の目的のために、全長PhtB前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号56である。残基578のXaaは、リジンであり得る。本発明で用いるために好ましいPhtBポリペプチドは、(a)配列番号56と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号56の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtBタンパク質は、配列番号56のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号56からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号56のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号56の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。免疫化のためのPhtBの使用は、参考文献103、104および105に報告されている。
【0114】
PhtDは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Dである。参照の目的のために、全長PhtD前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号57である。R6ゲノムにおいて、PhtDはspr0907である[85]。本発明で用いるために好ましいPhtDポリペプチドは、(a)配列番号57と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号57の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtDタンパク質は、配列番号57のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号57からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号57のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号57の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。免疫化のためのPhtDの使用は、参考文献103、104および106に報告されている。
【0115】
PhtEは、肺炎球菌ヒスチジン三連タンパク質Eである。参照の目的のために、全長PhtE前駆体のアミノ酸配列は、本明細書中の配列番号58である。R6ゲノムにおいて、PhtEはspr0908である[85]。本発明で用いるために好ましいPhtEポリペプチドは、(a)配列番号58と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより多い)を有し、かつ/または(b)配列番号58の少なくとも「n」連続アミノ酸のフラグメント(ここで、「n」は7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い))を含むアミノ酸配列を含む。これらのPhtEタンパク質は、配列番号58のバリアントを含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号58からのエピトープを含む。その他の好ましいフラグメントは、配列番号58のC末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれより多い)を欠失しているが、配列番号58の少なくとも1つのエピトープを保持している。その他のフラグメントは、1または複数のタンパク質ドメインを欠いている。免疫化のためのPhtEの使用は、参考文献103および104に報告されている。
【0116】
その他の病原体(複数可)からのさらなる抗原
結合体化肺炎球菌莢膜糖(複数可)および髄膜炎菌H因子結合タンパク質(複数可)に加えて、本発明の組成物は、さらなる病原体(複数可)からの抗原(複数可)を含むことができる。
【0117】
例えば、組成物は、以下のさらなる抗原(複数可)の1または複数を含んでよい:
−表面抗原HBsAgのようなB型肝炎ウイルスからの抗原。
−所望によりペルタクチンおよび/または凝集原2および3とも組み合わせた、Bordetella pertussisからの百日咳ホロ毒素(PT)および繊維状ヘマグルチニン(FHA)のようなB.pertussisからの抗原。
−ジフテリアトキソイドのようなジフテリア抗原。
−破傷風トキソイドのような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzae B(Hib)からの、典型的には結合体化された糖抗原。
−不活化ポリオウイルス抗原(複数可)。
【0118】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原と破傷風抗原も含むことが好ましい。DTPの組み合わせが、よって、好ましい。
【0119】
ハイブリッドポリペプチド
髄膜炎菌H因子結合タンパク質は、個別の分離したポリペプチドとして組成物中に存在してよいか、またはこれは、参考文献107中に髄膜炎菌抗原について開示されるように、少なくとも2(例えば2、3、4、5またはそれより多い)の抗原が単一ポリペプチド鎖として発現される「ハイブリッド」ポリペプチドの部分として存在してよい。このハイブリッドポリペプチドアプローチは、いずれの追加の髄膜炎菌ポリペプチド(複数可)および/または肺炎球菌ポリペプチドについても用いることができる。
【0120】
ハイブリッドポリペプチドは、2つの主な利点を提供する。第1に、それ自体では不安定または発現が乏しいことがあるポリペプチドが、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを加えることにより援助され得る。第2に、商業的な製造が単純化される。なぜなら、ともに抗原的に有用な2つのポリペプチドを生成するために、1回の発現および精製を使用することしか必要とされないからである。
【0121】
ハイブリッドポリペプチドは、上に開示されるように2以上の髄膜炎菌および/または肺炎球菌のポリペプチド配列を含んでよい。2、3、4、5、6、7、8、9または10の抗原からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが有用である。特に、2または3の抗原のような2、3、4または5の抗原からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが好ましい。
【0122】
ハイブリッドポリペプチドは、式NH−A−{−X−L−}−B−COOH(式中、Xは、上で論じたように、二者択一の髄膜炎菌または肺炎球菌抗原のアミノ酸配列であり、Lは、任意選択のリンカーアミノ酸配列であり、Aは、任意選択のN末端アミノ酸配列であり、Bは、任意選択のC末端アミノ酸配列であり、nは、2以上の整数である(例えば2、3、4、5、6など))で表すことができる。通常、nは、2または3である。
【0123】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの−X−部分は、fHBPである。その他の実施形態において、少なくとも2つの−X−部分は、fHBP、例えば異なるfHBPバリアントである。その他の実施形態において、fHBPは、個別のポリペプチドとして存在してよく、ハイブリッドポリペプチド中の少なくとも1つの−X−部分は、非fHBP髄膜炎菌ポリペプチドであり、かつ/または肺炎球菌ポリペプチドである。
【0124】
−X−部分が、その野生型形のリーダーペプチド配列を有する場合、これは、ハイブリッドタンパク質に含めてよいか、またはハイブリッドタンパク質から省いてよい。いくつかの実施形態において、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端にある−X−部分のもの以外は削除され、すなわち、Xのリーダーペプチドが保持されるが、X・・・Xのリーダーペプチドは省かれる。このことは、全てのリーダーペプチドを削除し、Xのリーダーペプチドを−A−部分として用いることと等しい。
【0125】
{−X−L−}のnの場合のそれぞれについて、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在してよいかまたは存在しなくてよい。例えば、n=2である場合、ハイブリッドは、NH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOHなどであってよい。リンカーアミノ酸配列(複数可)−L−は、典型的には短い(例えば20以下のアミノ酸、すなわち20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわちGly(n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)を含む)およびヒスチジンタグ(すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が含まれる。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、GSGGGG(配列番号15)またはGSGSGGGG(配列番号16)であり、Gly−SerジペプチドがBamHI制限部位から形成されるので、クローニングおよび操作の助けとなり、(Gly)テトラペプチドが、典型的なポリグリシンリンカーである。特に最後のLとして用いるためのその他の適切なリンカーは、Leu−Gluジペプチドまたは配列番号59である。
【0126】
−A−は、任意選択のN末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示するリーダー配列、またはクローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い))が含まれる。その他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。Xがそれ自体のN末端メチオニンを欠失している場合、−A−は、N末端メチオニン、例えばMet−Ala−Serを提供するオリゴペプチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸を有する)、または単一Met残基であることが好ましい。
【0127】
−B−は、任意選択のC末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば40以下のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質輸送を指示する配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えばヒスチジンタグ、すなわちHis(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い)を含む、例えば配列番号17)、またはタンパク質安定性を増進する配列が含まれる。その他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。
【0128】
fHBP抗原を含む髄膜炎菌ポリペプチド抗原の特に有用な組み合わせは、参考文献107および108に開示され、本発明の組成物は、よって、結合体化肺炎球菌莢膜糖と、fHBPと、(1)「NadA」タンパク質;(2)「936」タンパク質;(3)「953」タンパク質;および(4)「287」タンパク質の1、2、3または4つとを含んでよい。例えば、組成物は、結合体化肺炎球菌莢膜糖と、(i)配列番号4のアミノ酸配列を有する第1ポリペプチド;(ii)配列番号5のアミノ酸配列を有する第2ポリペプチド;および(iii)配列番号6のアミノ酸配列を有する第3ポリペプチドとを含んでよい。
【0129】
アジュバント(複数可)
本発明の組成物は、免疫学的アジュバントを含んでよい。よって、例えば、これらは、アルミニウム塩アジュバントまたは水中油型エマルジョン(例えば水中スクアレンエマルジョン)を含んでよい。その他のアジュバントも用いてよい。
【0130】
適切なアルミニウム塩は、水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)(例えば、参考文献109の第8および9章を参照されたい)またはそれらの混合物を含む。塩は、任意の適切な形態を取り得る(例えばゲル、結晶、非晶質など)。患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、5mg/ml未満、例えば≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大で0.85mg/用量が好ましい。
【0131】
本発明で用いるための好ましいアルミニウム塩アジュバントは、リン酸アルミニウムである。このアジュバントは、fHBPと、PREVNAR(商標)およびSYNFLORIX(商標)肺炎球菌結合体ワクチンとの両方に適合する。「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的には、少量の硫酸塩も頻繁に含有しているヒドロキシリン酸アルミニウムである(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートサルフェート(aluminium hydroxyphosphate sulfate))。これらは、沈殿により得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度は、塩中のヒドロキシルのホスフェートによる置換の程度に影響する。ヒドロキシリン酸塩は、通常、PO/Alモル比が0.3〜1.2である。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在により厳密なAlPOから区別できる。例えば、3164cm−1(例えば200℃に加熱時)でのIRスペクトルのバンドは、構造上のヒドロキシルの存在を示す。
【0132】
リン酸アルミニウムアジュバントのP/Alモル比は、通常、0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2または0.85〜1.0、より好ましくは約0.9である。少なくとも0.5のP/Alモル比が、より良好な熟成特性を有するアジュバントを提供できる。
【0133】
リン酸アルミニウムアジュバントは、通常、非晶質である(すなわち、X線に対して非晶質)。これは、通常、粒子状である(例えば、透過型電子顕微鏡写真により観察されるような板状の形態)。板の典型的な直径は、10〜100nmであり、これらは、0.5〜20μmのサイズ(例えば約1〜10μm)の凝集体を形成する。pH7.4にてAl+++1mgあたり0.7〜1.5mgタンパク質の吸着能力が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0134】
典型的なアジュバントは、0.84〜0.92のP/Alモル比を有する非晶質リン酸アルミニウムであり、このアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれることができる。
【0135】
患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは5mg/ml未満、例えば≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.2〜1mg/mlである。0.85mg/用量の最大Al+++濃度が好ましい。
【0136】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルのホスフェートによる置換の程度と反比例し、この置換の程度は、沈殿により塩を調製するために用いる反応条件および反応物の濃度に依存して変動できる。PZCは、溶液中の遊離ホスフェートイオンの濃度を変化させること(より多いホスフェート=より酸性側のPZC)、またはヒスチジン緩衝剤のような緩衝剤を加えること(PZCをより塩基性にする)によっても変更される。本発明に従って用いられるリン酸アルミニウムは、通常、4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば約5.7のPZCを有する。
【0137】
「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的にはオキシ水酸化アルミニウム塩であり、これは、通常、少なくとも部分的に結晶である。式AlO(OH)で表すことができるオキシ水酸化アルミニウムは、その他のアルミニウム化合物から、赤外(IR)分光法により、特に1070cm−1での吸収帯および3090〜3100cm−1での強いショルダーの存在により区別できる[参考文献109の第9章]。水酸化アルミニウムアジュバントは、通常、約11.4のPZCを有する。
【0138】
本発明のある実施形態において、アジュバント成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物を含む。この場合、水酸化物よりも多くのリン酸アルミニウムが存在し、例えば、少なくとも2:1、例えば≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比であってよい。最も好ましくは、しかし、アジュバント成分は、水酸化アルミニウムを含まない。よって、組成物は、ヒドロキシリン酸アルミニウムを含んでよいが、オキシ水酸化アルミニウムは含まないことがある。
【0139】
本発明の好ましい組成物において、fHBPは、リン酸アルミニウムアジュバントに吸着される。組成物中の全fHBPの少なくとも50%、例えば>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%または実質的に100%が吸着されてよい。吸着されたfHBPの割合は、処方の間に塩濃度および/またはpHを変更することにより制御でき、例えば、通常、より高いNaCl濃度は、fHBPの吸着を減少させることができる。fHBPの安定的な吸着を容易にするために、3つの有用な技術を用いてよい。(i)吸着は、アジュバントのPZCと等しいかまたはそれ未満のpHで生じ得る;(ii)fHBPとアジュバントとを、fHBPのpIとアジュバントのPZCとがともに5.0〜7.0の範囲内になるように選択する;そして(iii)fHBPがアジュバントのPZCより高い等電点を有する場合、緩衝剤を加えてpHをPZCの1.2pH単位以内にする。
【0140】
本発明の組成物を調製するために用いられるアルミニウム塩(複数可)の懸濁物は、緩衝剤(例えばリン酸塩またはヒスチジンまたはTris緩衝剤)を含んでよいが、常に必要なわけではない。懸濁物は、好ましくは滅菌され、発熱物質を含まない。懸濁物は、1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する遊離の水性ホスフェートイオンを含んでよい。懸濁物は、塩化ナトリウムも含んでよい。
【0141】
アルミニウム塩(複数可)の代替として、種々の水中油型アジュバントが公知である。これらは、典型的には、少なくとも1種の油と少なくとも1種の界面活性剤とを含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝可能)であり、生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、通常、直径5μm未満であり、サブミクロンの直径さえ有してよく、これらの小さいサイズは、マイクロフルイダイザーを用いて安定なエマルジョンを得ることにより達成される。220nm未満のサイズの液滴は、フィルタ滅菌に供することができるので好ましい。
【0142】
本発明は、動物(例えば魚類)または植物の供給源からのもののような油を用いることができる。植物油の供給源は、堅果、種子および穀粒を含む。ピーナツ油、大豆油、ココナツ油およびオリーブ油が、最も一般的に入手可能な堅果油の例である。例えばホホバ豆から得られるホホバ油を用いることができる。種子油は、紅花油、綿実油、ひまわり種子油、ごま種子油などを含む。穀粒の群において、コーン油が最も容易に入手可能であるが、小麦、オート麦、ライ麦、米、テフ、ライ小麦などのようなその他の穀類の穀粒の油も用いてよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然に存在しないが、堅果油および種子油から出発する適切な材料の加水分解、分離およびエステル化により調製し得る。哺乳動物の乳からの脂肪および油は代謝可能であり、よって、本発明の実施において用いてよい。動物の供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化およびその他の手段の手順は、当該技術において周知である。ほとんどの魚類は、容易に回収し得る代謝可能な油を含有する。例えば、タラ肝油、サメ肝油および鯨ろうのような鯨油は、本明細書において用い得る魚油のいくつかの例である。いくつかの分岐鎖油が、5炭素イソプレンユニットで生化学的に合成され、通常、テルペノイドとよばれる。サメ肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして公知の分岐不飽和テルペノイドを含有し、これは、本明細書において特に好ましい。スクアレンの飽和類似体であるスクワランも好ましい油である。スクアレンおよびスクワランを含む魚油は、商業的な供給源から容易に入手可能であるか、または当該技術において公知の方法により得ることができる。その他の好ましい油は、トコフェロールである。油の混合物を用いることができる。
【0143】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、εまたはξトコフェロールのいずれを用いることもできるが、α−トコフェロールが好ましい。トコフェロールは、いくつかの形態、例えば異なる塩および/または異性体を取ることができる。塩は、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などのような有機塩を含む。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方を用いることができる。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。
【0144】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性比)により分類できる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、それらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenとよばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;線状EO/POブロックコポリマーのようなDOWFAX(商標)の商標の下で販売されるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が興味深い;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30)のようなラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪酸エーテル(Brij界面活性剤として公知である);ならびにソルビタントリオレエート(Span85)およびソルビタンモノラウレートのようなソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知である)を含む界面活性剤を用いることができる。エマルジョンに含めるために好ましい界面活性剤は、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTritonX−100である。
【0145】
界面活性剤の混合物、例えばTween80/Span85混合物を用いることができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)のようなオクトキシノールとの組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせは、ラウレス−9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含む。
【0146】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばTween80)0.01〜1%、特に約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えばTritonX−100またはTritonシリーズのその他の洗浄剤)0.001〜0.1%、特に0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えばラウレス9)0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0147】
本発明で有用な具体的な水中油型エマルジョンアジュバントは、それらに限定されないが、以下のものを含む:
・スクアレンとTween80とSpan85とのサブミクロンのエマルジョン。エマルジョンの容量での組成は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%Span85であり得る。重量の点において、これらの比率は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%Span85になる。このアジュバントは、参考文献109の第10章および参考文献113の第12章により詳細に記載されるように、「MF59」[110〜112]として公知である。MF59エマルジョンは、シトレートイオン、例えば10mMクエン酸ナトリウム緩衝液を含んでよい。
・スクアレンとトコフェロールとポリソルベート80(Tween80)とのエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水を含んでよい。これは、Span85(例えば1%で)および/またはレシチンも含んでよい。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%Tween80を有してよく、スクアレン:トコフェロールの重量比は、より安定なエマルジョンが得られるので、好ましくは≦1である。スクアレンとTween80とは、約5:2の容量比または約11:5の重量比で存在してよい。あるこのようなエマルジョンは、Tween80をPBS中に溶解して2%溶液を得て、次いで90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlスクアレン)の混合物と混合し、次いで混合物を微小流動化する(microfluidise)ことにより作製できる。得られるエマルジョンは、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径のサブミクロンの油滴を有し得る。エマルジョンは、3−脱−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3d−MPL)も含んでよい。この型の別の有用なエマルジョンは、1ヒト用量あたりに0.5〜10mgスクアレン、0.5〜11mgトコフェロールおよび0.1〜4mgポリソルベート80を含んでよい[114]。
・スクアレンとトコフェロールとTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)とのエマルジョン。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい。エマルジョンは、リン酸緩衝液を含有してよい。
・ポリソルベート(例えばポリソルベート80)とTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)とトコフェロール(例えばα−トコフェロールスクシネート)とを含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3成分を、約75:11:10の質量比で含んでよく(例えば750μg/mlポリソルベート80、110μg/mlTritonX−100および100μg/mlα−トコフェロールスクシネート)、これらの濃度は、抗原からのこれらの成分のいずれの寄与も含むべきである。エマルジョンは、スクアレンも含んでよい。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい。水相は、リン酸緩衝液を含有してよい。
・スクワランとポリソルベート80とポロキサマー401(「Pluronic(商標)L121」)とのエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4中で処方できる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達媒体であり、スレオニル−MDPとともに「SAF−1」アジュバント中で用いられている[115](0.05〜1%Thr−MDP、5%スクワラン、2.5%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。これは、「AF」アジュバントでのようにThr−MDPなしで用いることもできる[116](5%スクワラン、1.25%PluronicL121および0.2%ポリソルベート80)。微小流動化が好ましい。
・スクアレンと水性溶媒とポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン界面活性剤(例えばポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)と疎水性非イオン界面活性剤(例えばソルビタンモノオレエートまたは「Span80」のようなソルビタンエステルまたはマンニドエステル)とを含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90%の油滴(容量による)が200nm未満のサイズである[117]。エマルジョンは、アルジトール、凍結保護剤(例えばドデシルマルトシドおよび/またはスクロースのような糖)、および/またはアルキルポリグリコシドの1または複数も含んでよい。このようなエマルジョンは、凍結乾燥してよい。
・0.5〜50%の油と、0.1〜10%のリン脂質と、0.05〜5%の非イオン界面活性剤とを含むエマルジョン。参考文献118に記載されるように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
・代謝不可能油(例えば軽鉱油(light mineral oil))と少なくとも1種の界面活性剤(例えばレシチン、Tween80またはSpan80)とのサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性物質結合体(例えば脂肪族アミンをデスアシルサポニンに、グルクロン酸のカルボキシル基を介して付加することにより生成される、参考文献119に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(dimethyidioctadecylammonium)ブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンのような添加物を含んでよい。
・鉱油と、非イオン親油性エトキシ化脂肪アルコールと、非イオン親水性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)とを含むエマルジョン[120]。
・鉱油と、非イオン親水性エトキシ化脂肪アルコールと、非イオン親油性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)とを含むエマルジョン[120]。
・サポニン(例えばQuilAまたはQS21)とステロール(例えばコレステロール)とが、らせん状ミセルとして会合しているエマルジョン[121]。
【0148】
水中油型エマルジョンは、それら自体でアジュバントとして、またはさらなる免疫賦活性化合物、例えば免疫賦活性オリゴヌクレオチド、3d−MPLなどのための担体として用いることができる。
【0149】
医薬組成物
本発明は、患者に投与するための医薬組成物に関する。これらは、典型的には、薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体の詳細な考察は、参考文献122で入手可能である。
【0150】
有効投薬容量は、日常的に確立できるが、組成物の典型的なヒト用量は、例えば筋肉内注射について約0.5mlの容量である。これは、PREVNAR(商標)製品、RIVM OMVベースのワクチンおよびMeNZB(商標)についての投薬容量である。これらの投薬容量は、筋肉内注射について典型的であるが、同様の用量をその他の送達経路のために用いてよく、例えば噴霧化(atomisation)用の鼻内OMVベースのワクチンは、1スプレーあたり約100μlまたは約130μlの容量を有して4回のスプレーで投与して、約0.5mlの合計用量を与えてよい。
【0151】
本発明の組成物のpHは、通常、6〜8、より好ましくは6.5〜7.5(例えば約7)である。組成物は、緩衝剤、例えばTris緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、コハク酸ナトリウム緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤を含んでよい。
【0152】
組成物は、滅菌され、かつ/または発熱物質を含まなくてもよい。本発明の組成物は、ヒトに関して等張であってよい。
【0153】
患者に投与するための本発明の組成物は、免疫原性であり、より好ましくはワクチン組成物である。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち感染を防止する)または治療的(すなわち感染を処置する)のいずれかであってよいが、典型的には予防的である。ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または連続するものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および体調、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望まれる防御の程度、ワクチンの処方、医療状態についての処置医の評価およびその他の関連する因子に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲にあると予測される。本発明の組成物の抗原含量は、通常、1用量あたりのタンパク質の量で表される。
【0154】
髄膜炎菌および肺炎球菌は、身体の種々の領域に影響し、よって、本発明の組成物は、種々の液体の形態で調製してよい。例えば、組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとしての注射用剤として調製してよい。組成物は、例えば吸入器により、微細な噴霧(spray)を用いての肺投与のために調製してよい。組成物は、例えばスプレー剤またはドロップ剤として鼻、耳または眼投与のために調製してよい。筋肉内投与のための注射用剤が典型的である。
【0155】
本発明の組成物は、多回用量フォーマットで包装される場合は特に、抗菌剤を含んでよい。チオメルサールおよび2−フェノキシエタノールのような抗菌剤が、ワクチン中で通常見られるが、水銀を含まない防腐剤を用いるか、または防腐剤を全く用いないことが好ましい。
【0156】
本発明の組成物は、洗浄剤、例えばTween80のようなTween(ポリソルベート)を含んでよい。洗浄剤は、通常、低いレベル、例えば<0.01%で存在する。
【0157】
本発明の組成物は、張度を得るためにナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含んでよい。10±2mg/ml NaClの濃度、例えば約9mg/mlが典型的である。
【0158】
処置方法
本発明は、本発明の組成物を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類における免疫応答を惹起するための方法も提供する。免疫応答は、好ましくは、髄膜炎菌と肺炎球菌との両方に対して防御的であり(少なくとも、組成物中にある髄膜炎菌血清群と肺炎球菌血清型とについて)、好ましくは抗体を含む。方法は、既に初回刺激(prime)された患者における追加免疫応答を惹起し得る。
【0159】
哺乳類は、好ましくはヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは、好ましくは、小児(例えば、よちよち歩きの幼児または幼児)または10代の若者であり、ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくは成人である。小児用を意図するワクチンは、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人に投与してもよい。
【0160】
本発明は、医薬品として用いるための本発明の組成物も提供する。医薬品は、好ましくは、上記のように、哺乳類における免疫応答を惹起するために用いられ(すなわちこれは免疫原性組成物である)、より好ましくはワクチンである。
【0161】
本発明は、哺乳類における上記のような免疫応答を惹起するための医薬品の製造における、(i)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖と、(ii)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)抗原との使用も提供する。
【0162】
これらの使用および方法は、N.meningitidisおよび/またはS.pneumoniaeを原因とする疾患、例えば細菌性(またはより具体的には髄膜炎菌および/もしくは肺炎球菌性)髄膜炎もしくは敗血症の予防および/または処置のためであることが好ましい。
【0163】
治療処置の効力を確認するある方法は、本発明の組成物の投与後の髄膜炎菌および/または肺炎球菌への感染を監視することを含む。予防的処置の効力を確認するある方法は、組成物の投与後の抗原に対する免疫応答を監視することを含む。本発明の組成物の免疫原性は、それらを試験被験体(例えば12〜16ヶ月齢の小児、または動物モデル[123])に投与し、次いで、髄膜炎菌についての血清殺菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)を含む標準的なパラメータを決定することにより決定できる。これらの免疫応答は、通常、組成物の投与の4週間後付近に決定され、組成物の投与前に決定された値と比較される。少なくとも4倍または8倍のSBAの増加が好ましい。組成物の1回より多い用量を投与する場合、1回より多い投与後測定を行ってよい。
【0164】
本発明の組成物は、通常、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の間隙の空間へ)または任意のその他の適切な経路により達成してよい。本発明は、全身および/または粘膜免疫を惹起するために用いてよい。大腿または上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針を介して(例えば皮下針)であってよいが、無針注射を代わりに用いてよい。典型的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0165】
投薬処置は、単回用量計画または多回用量計画であり得る。多回用量は、一次免疫化計画および/または追加免疫化計画で用い得る。一次用量計画の後に、追加用量計画を行い得る。初回刺激用量間(例えば4〜16週間)、および初回刺激と追加刺激との間の適切なタイミングは、日常的に決定できる。多回用量(例えば2回用量たは3回用量)は、肺炎球菌と髄膜炎菌との両方に対する免疫を確立するために典型的である。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態において、肺炎球菌および髄膜炎菌の抗原は、別々であるが共投与(co−administer)してよく、すなわち2つの抗原を、同時、別々または逐次的に投与してよい。典型的には、しかし、2つの抗原を、同時の組み合わせた投与のために混合する。
【0167】
全般
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当該技術の技量内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に詳細に説明されている。例えば参考文献124〜130などを参照されたい。
【0168】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなり得るか、または何か追加のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0169】
数値xに関する「約」との用語は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
【0170】
本発明が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであってよいが、通常、B細胞エピトープである。このようなエピトープは、経験的に同定できる(例えばPEPSCAN[131、132]または類似の方法を用いて)か、またはこれは予想できる(例えばJameson−Wolf抗原インデックス(antigenic index)[133]、行列に基づくアプローチ[134]、MAPITOPE[135]、TEPITOPE[136、137]、ニューラルネットワーク(neural network)[138]、OptiMer&EpiMer[139、140]、ADEPT[141]、Tsites[142]、親水性[143]、抗原インデックス[144]または参考文献145〜149に開示される方法などを用いて)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それと結合する抗原の部分であり、これらは、「抗原決定基」とよぶこともできる。
【0171】
本発明が、「精製された」抗原を用いる場合、この抗原は、それが天然に存在する環境から分離されている。例えば、抗原は、存在する任意のその他の精製された抗原に由来するもの以外のその他の髄膜炎菌成分を実質的に有さない。精製された抗原の混合物は、2つの抗原が天然に混合されて存在していても、それぞれの抗原を別々に精製し、次いでそれらを再び組み合わせることにより典型的に調製される。
【0172】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性についての言及は、整列させたときに、アミノ酸のそのパーセンテージが、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術において公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献150の7.7.18節に記載されるものを用いて決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティでのアフィンギャップ検索、62のBLOSUMマトリクスを用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献151に開示されている。
【0173】
「実質的に」との語句は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことがある。必要であれば、「実質的に」との語句を、本発明の定義から省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】図1は、6Bフィンランド肺炎球菌に対するオプソニン作用活性アッセイの結果を示す。このグラフは、血清希釈に対するOPA死滅%を示す。記号は、陽性対照抗6B血清からのデータを示す中実菱形(◆)、および予備免疫化血清を用いたデータを示す中実三角形(▲)以外は、マウス群1〜7について以下に説明されている。いくつかの線は、X軸に沿っている(すなわち0%活性)ので、見えない。
【発明を実施するための形態】
【0175】
血清群B髄膜炎菌と肺炎球菌との両方に対して防御するためのワクチンを得るために、髄膜炎菌fHBP抗原(MC58株;50μg/ml)を、7価肺炎球菌莢膜糖結合体混合物(4μg/mlでの血清型4、9V、14、18C、19Fおよび23F;8μg/mlでの6B)と組み合わせた。組成物を、7群のCD1マウス(1群あたり8匹のマウス)に、2回用量計画(第0日および第21日)で腹腔内投与した。リン酸アルミニウムアジュバントを用いた。組成物はいずれも、髄膜炎菌外膜小胞を含まなかった。
【0176】
5つの異なる組成物(A〜E)をマウスに投与した:
【0177】
【表1】

7群のマウス(1〜7)を用い、これらに以下のように組成物A〜Eを与えた:
【0178】
【表2】

血液を、免疫応答の評価のために第16日および第35日に採取した。肺炎球菌免疫原性を、オプソニン作用アッセイによりおよび糖に対する抗体力価により評価した。髄膜炎菌免疫原性は、2つの異なる株(MC58およびH44/76)に対する血清殺菌性アッセイにより評価した。
【0179】
髄膜炎菌SBA力価は、以下のとおりであった:
【0180】
【表3】

力価は、群3〜6の全てで許容可能であったが、35日後での最高力価が、両方の株について群5で見られた。これらのデータは、肺炎球菌結合体をfHBPに加えることにより、抗fHBP応答が増進できたことを示す。
【0181】
OPA活性を、肺炎球菌の6Bフィンランド株に対して、仔ウサギ補体を用いる参考文献152のUAB−MOPA法を用いて評価した。結果を、図1に示す。最良の応答は、群6(□)、次いで群2(△)である。群2と群6との違いは、群6についての免疫化組成物が、髄膜炎菌fHBPを肺炎球菌結合体に加えて含んでいたことであった。よって、これらのデータは、fHBPを肺炎球菌結合体に加えることにより、抗肺炎球菌応答を、少なくとも血清型6Bに対して増進できることを示す。
【0182】
血清を、TIGR4株に対しても評価した。OPA応答は、群2および群6において同様であった。血清を、7価結合体によりカバーされない肺炎球菌血清型35Bに対しても試験した。予測されたように、血清は、OPAアッセイにおいて非常に効果的というわけではなかった。
【0183】
OPAアッセイの結果は、50%の細菌の死滅をもたらす血清希釈の逆数であるOPA力価として表すことができる。50%の死滅閾値が2つの希釈の間にある場合、力価は、ある範囲として表される。この尺度により、血清型6B株および血清型4株に対する力価は、免疫化の21日後に以下のとおりであった:
【0184】
【表4】

全体として、よって、これらのデータは、結合体化肺炎球菌莢膜糖が、髄膜炎菌fHBPの免疫原性を増進でき、その逆もそうであることを示す。
【0185】
別々の実験において、マウスを、(i)血清群B髄膜炎菌のMC58株から調製した外膜小胞10μg、(ii)7価肺炎球菌莢膜糖結合体混合物0.4μg、および(iii)(i)と(ii)との混合物で免疫化した。全ての組成物は、水酸化アルミニウムアジュバントを含んでいた。小胞および血清型14の糖に対するIgG力価(GMT)を、Luminexアッセイにより測定した。第34日(第1日および第21日における免疫化の後)に、力価は、3つの群において、相対的単位(RLU/ml)で測定して、以下のとおりであった:
【0186】
【表5】

これらのデータは不完全で、十分に決定的ではないが、群(ii)と比較して群(iii)における抗OMV応答の減少は、肺炎球菌の糖とfHBPとの間の有利な相互作用が、全ての髄膜炎菌抗原について普遍的ではないことを示唆する。
【0187】
本発明は、例としてのみ記載され、本発明の範囲および精神内に留まったまま改変を行うことができることが理解される。
【0188】
参考文献
【0189】
【化1】

【0190】
【化2】

【0191】
【化3】

【0192】
【化4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)結合体化肺炎球菌莢膜糖と、(ii)髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHBP)抗原とを含むが、髄膜炎菌外膜小胞を含まない免疫原性組成物。
【請求項2】
2以上の異なる肺炎球菌血清型からの莢膜糖を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
莢膜糖が、以下の肺炎球菌血清型:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む、請求項2または請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
血清型1、血清型3、血清型4、血清型5、血清型6A、血清型6B、血清型7F、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの莢膜糖を含む、請求項2または請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
それぞれの血清型の糖が、CRM197、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドおよびH.influenzaeタンパク質Dからなる群より選択される担体タンパク質と別々に結合体化し、異なる血清型についての前記担体タンパク質が、同じまたは異なっていてよい、請求項2から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/もしくは配列番号1からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列;または(b)配列番号2と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/もしくは配列番号2からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列;または(c)配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を有し、かつ/もしくは配列番号3からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む単一fHBPポリペプチドを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
(a)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチド;(b)配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドの2つの異なるfHBPポリペプチドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
配列番号3と少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくとも40隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
(a)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチド;ならびに(b)配列番号2と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号2からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドの2つの異なるfHBPポリペプチドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
リン酸アルミニウムアジュバントを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
(i)リン酸アルミニウムアジュバントと、(ii)肺炎球菌血清型4、血清型6B、血清型9V、血清型14、血清型18C、血清型19Fおよび血清型23Fのそれぞれからの結合体化肺炎球菌莢膜糖であって、前記糖のそれぞれがCRM197担体タンパク質と結合体化している糖と、(iii)少なくとも2つの異なる髄膜炎菌H因子結合タンパク質抗原であって、それらのそれぞれが、リン酸アルミニウムアジュバントに少なくとも部分的に吸着している抗原とを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記結合体化肺炎球菌糖の少なくとも1つが、リン酸アルミニウムアジュバントに吸着されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
塩化ナトリウムおよび/または緩衝剤を含む、請求項12または請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
(a)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号1からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第1ポリペプチドと、(b)配列番号2と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号2からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第2ポリペプチドと、(c)配列番号3と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ/または配列番号3からの少なくとも7隣接アミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む第3ポリペプチドとの3つの異なるfHBPポリペプチドを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中のfHBPポリペプチドが、N末端システインにて脂質付加されている、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物中のfHBPポリペプチド(複数可)の全量が、600μg未満である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物中のfHBPポリペプチド(複数可)の全量が、200μg未満である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物中のfHBPポリペプチド(複数可)の全量が、60μg未満である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
髄膜炎菌血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yの1、2、3または4つからの莢膜糖の1または複数の結合体(複数可)をさらに含む(例えば血清群C髄膜炎菌莢膜糖の結合体を含む)、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
水酸化アルミニウムを含まない、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記請求項のいずれかに記載の組成物を哺乳類に投与するステップを含む、前記哺乳類における免疫応答を惹起するための方法。
【請求項24】
医薬品として用いるための、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
免疫原性組成物を調製するための方法であって、前記方法は、(i)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、結合体/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)前記結合体/アジュバント混合物を少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質と混合するステップとを含む、方法。
【請求項26】
免疫原性組成物を調製するための方法であって、前記方法は、(i)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖を少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質と混合して、抗原混合物を形成するステップと、(ii)前記抗原混合物をリン酸アルミニウムアジュバントと混合するステップとを含む、方法。
【請求項27】
免疫原性組成物を調製するための方法であって、前記方法は、(i)少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、タンパク質/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)前記タンパク質/アジュバント混合物を少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖と混合するステップとを含む、方法。
【請求項28】
免疫原性組成物を調製するための方法であって、前記方法は、(i)少なくとも1つの髄膜炎菌H因子結合タンパク質をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、タンパク質/アジュバント混合物を形成するステップと、(ii)少なくとも1つの結合体化肺炎球菌莢膜糖をリン酸アルミニウムアジュバントと混合して、結合体/アジュバント混合物を形成するステップと、(iii)前記タンパク質/アジュバント混合物および前記結合体/アジュバント混合物を混合するステップとを含む、方法。
【請求項29】
水酸化アルミニウムアジュバントを、(i)髄膜炎菌H因子結合タンパク質、(ii)リン酸アルミニウムアジュバント、(iii)結合体化肺炎球菌莢膜糖、(iv)結合体/アジュバント混合物、(v)抗原混合物、または(vi)タンパク質/アジュバント混合物のいずれかと混合するステップを含まない、請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−521403(P2012−521403A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501409(P2012−501409)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000734
【国際公開番号】WO2010/109324
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】