説明

高い伸び回復不織布および製造方法

本発明は、高い伸び回復によって特徴づけられる新規な不織布および潜在捲縮性の繊維を用いることによる前記布の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い伸び回復によって特徴づけられる新規な不織布および潜在捲縮性の繊維を用いることによる前記布の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性合成繊維から製造される不織布は当該技術では周知であり、両方ともデュポン・カンパニー(DuPont Company)から入手可能な、ティベック(Tyvek)(登録商標)およびソンタラ(Sontara)(登録商標)のような商品名などで広範囲に商業的利用されている。
【0003】
高い伸び回復と組み合わされた高い伸縮性を有する嵩高いテキスタイル様製品が不織布で待望されている。かかる布は、まとめて「伸縮性不織布」として知られている。伸縮性不織布の製造への多くのアプローチが講じられてきた。
【0004】
伸縮性不織布の製造の一アプローチは、捲縮繊維の交絡が伸縮性不織布で必要とされる凝集力および回復を提供する、捲縮ステープルファイバーを用いることであった。当該技術において幾つかの場合には、捲縮繊維はマットへ形成され、空気または水ジェットの使用によって交錯させられる。当該技術において他の場合には、潜在捲縮性を有する真っ直ぐなまたは実質的に真っ直ぐな繊維は先ずマットへ形成され、その後潜在捲縮性は加熱によって実現され、それによって「それ自体交絡した」構造物を生み出す。しかしながら、当該技術の伸縮性不織布は、多くのテキスタイルおよび工業用途で有用であるための、引張弾性率と極限伸びとの積と定義される靱性、および密度に乏しい。それが伸ばされ得る量およびその回復の力である、その「伸縮性」を決定するのは布の靱性である。当該技術の伸縮性不織布は、低密度の、または専門用語で言えば、非常に低い伸縮性の嵩高い布に限定される。
【0005】
荒永ら、(特許文献1)は、潜在捲縮性を有するポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンテレフタレートの複合繊維から不織布を形成するためのウェット−レイ法を開示している。生じた不織布は、高い百分率の回復を有すると言われている。ウェット−レイ法は、捲縮を発現させる前に十分な交絡を提供するために繊維を水流交絡させる工程を含む。それによって製造された不織布は、0.3mm厚さの布で30g/m2の坪量によって特徴づけられる。高回復捲縮繊維が高価値不織布の製造の可能性を有することは、荒永および他の所で認められている。しかしながら、荒永ではっきりと認められた難関は、高い収縮力を有する繊維が単独で捲縮し、交絡形成を減少させて布嵩高さの増加をもたらす傾向があることである。それはまたしばしば収縮中の布破損と関係がある。その結果は典型的には荷重を受けない用途に好適な高い嵩高さ布であり、高回復繊維の全潜在力は実現されない。
【0006】
フルカワ(Furukawa)、米国特許公報(特許文献2)は、捲縮したポリオレフィン複合ステープルファイバーから形成された0.020g/cm3未満の嵩密度を有する非常に嵩高い不織布を開示している。インチ当たり12捲縮より大きな捲縮頻度は、それがウェブ密度を過度に高くするので、ウェブ形成に有害であると言われている。フルカワによる構造物は、熱接合によって「溶融接着されて」いると言われ、繊維交絡よりもむしろ、前記溶融接着がその構造物を一緒に保持している主な機構であると言われている。
【0007】
ストークス(Stokes)ら、(特許文献3)は、弾力性を維持するための架橋がそれに続く捲縮複合ポリオレフィン繊維からの耐圧縮性の嵩高い不織布の形成方法を開示している。
【0008】
テラカワ(Terakawa)ら、(特許文献4)は、潜在捲縮性を有する紡糸されたままの糸束を空気交絡させ、捲縮が発現する温度まで加熱する、および交差点で接合を引き起こす温度まで加熱する、連続複合ポリオレフィン繊維からの不織布の製造方法を開示している。テラカワによる不織布は0.030g/cm3より下の密度を有する。
【0009】
シャウバー(Shawver)ら、米国特許公報(特許文献5)は、エラストマー内層シートに積層されたスパンボンド材料からできた伸縮性不織布を開示している。
【0010】
パイク(Pike)ら、米国特許公報(特許文献6)は、潜在捲縮性を有する、および熱接合不織ウェブの形成前に空気中で様々な程度に捲縮させられた連続多成分熱可塑性繊維、特にポリオレフィンからの不織ウェブの形成を開示している。
【0011】
【特許文献1】特開平11−158733号公報
【特許文献2】米国特許第4,469,540号明細書
【特許文献3】国際公開第00/18995号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第0 391 260 B1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,540,976号明細書
【特許文献6】米国特許第5,418,045号明細書
【特許文献7】米国特許第3,338,992号明細書
【特許文献8】米国特許第3,671,379号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1結晶性ポリエステル成分と第2結晶性ポリエステル成分とを含む複数の交絡した螺旋状に捲縮した非対称複合繊維を含む不織布であって、前記第1結晶性ポリエステル成分が前記第2結晶性ポリエステル成分より遅い結晶化速度を示し、前記繊維が0.5〜6デニールのデニール範囲によって特徴づけられ、前記繊維が0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、インチ当たり少なくとも50捲縮を示し、かつ、前記繊維が主に互いに交絡し、かつ、さらに前記繊維がはっきりと画定された平面に主に配向されており、前記不織布が0.2〜0.4g/cm3の嵩密度によって特徴づけられる不織布を提供する。
【0013】
本発明はさらに、潜在捲縮性を有する複数の非対称複合繊維を、オーバーラップする繊維の平面アレーに配置する工程であって、前記繊維がその平面に主に配向され、前記平面アレーを2つの制約面間に配置する工程と、加熱の少なくとも一部の間に、前記不織構造物が前記制約面と制約接触しているという条件で前記平面アレーを加熱して前記潜在捲縮性の少なくとも一部を発現させる工程とを含む不織布の形成方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
当該技術では、潜在捲縮性を有する複合繊維の平面アレー、典型的には繊維マットを製造し、引き続いて加熱して捲縮を発現させ、それによって繊維を交絡させて安定な不織布構造を生み出すことによって不織布を製造することは公知である。捲縮発現工程の間ずっと、繊維マットまたは他の構造物は、平面に直角の方向に同時に起こる膨張と共に平面で収縮を受ける。結果として、当該技術の不織布は一般に0.1g/cm3より十分に下の全く低い嵩密度にある。結果として、それらは、高靱性または高い伸び回復を必要とする多くのテキスタイル用途では限定された実用性を有する。
【0015】
本発明は、高捲縮、高回復繊維間の交絡形成が捲縮発現の工程中に布の平面に直角方向の布膨張の注意深い制御によって促され得るという発見に基づいている。当該技術の方法では、捲縮発現は通常、平面に直角の方向における不随する膨張と共に平面での大きな収縮につながる。
【0016】
本発明の方法では、第1工程で潜在捲縮性を有する複数の非対称複合繊維は前記繊維の平面アレーを形成するために配置され、前記繊維はその平面に主に配向され、ここで、圧倒的多数の前記繊維は少なくとも1つの他の前記繊維とクロス状に接触している。好ましい実施形態での前記平面アレーは本明細書では、本発明の方法の第2工程、捲縮発現工程を受ける前の不織布構造物を示すために「繊維マット・プリフォーム」と言われる。捲縮発現工程は、平面アレーが平面アレーの平面に少なくともほぼ平行に配向された2つの制約面間に配置されている間に平面アレーを加熱して捲縮を発現させることによって行われる。2つの制約面の分離は、捲縮発現工程の少なくともある部分の間、平面に直角方向の平面アレーの膨張が両制約面との同時接触によって制約されるように調節される。膨張工程の間のこの接触は収縮中のアレーに圧縮力を導入する。生じた不織布は、匹敵する出発原料から製造される、平面に直角方向の膨張を制約することなしに製造される不織布より高い密度およびもっと強い物理的性質を示す。
【0017】
本発明の方法に好適な複合繊維は、2つの相が他と異なる収縮を示し、それによって収縮時に螺旋状捲縮の発現を可能にする、互いに接触した2つの連続相中に存在する、好ましくは同じ属群の2つのポリマーを含む繊維である。相は、サイドバイサイドまたは非対称シース−コア配置に配置されてもよい。サイドバイサイドが好ましい。好適な複合繊維には、複合ポリエステル、複合ポリアミド、および複合ポリオレフィンが含まれるが、それらに限定されない。ポリエステルが好ましい。これらの広範なクラス内のポリマーの共重合体はその中に含まれる。ポリエステルのうち好ましい種の複合繊維には、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、PET/ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびPPT/PBTが含まれ、PET/PPTが好ましい。
【0018】
また、ポリアミドおよびポリエステルのような、異なる群からのポリマーを含む二成分と時々言われる繊維もまた用語「複合」に包含される。しかしながら、二成分繊維はそれほど好ましくない。
【0019】
本発明の目的のためには、潜在捲縮性を有する繊維は、2成分の収縮挙動の差を利用することによって、典型的には成分の少なくとも1つをそのガラス転移温度より上に加熱することによって、追加の捲縮を発現する固有の能力を有する繊維である。潜在捲縮性繊維は幾らかの捲縮を示しても、または何の捲縮も示さなくてもよい。本発明の実施では、潜在捲縮性繊維は好ましくは平らで、捲縮なしである。
【0020】
それの発明者らは、例えば繊維マット・プリフォームの平面に平行な2つの金属板の間に置かれた布で捲縮発現を行うことによる場合のように、その平面に直角方向での布の膨張が制約される条件下で捲縮発現が行われる場合、その結果は布にかなりの高密度化を受けさせ、個別の繊維をより高度に交絡するようにさせることであることを発見した。結果は、同一の繊維マット・プリフォームから出発する先行技術方法によって製造された布より改善された伸び回復の、高密度の強靱な布である。
【0021】
達成することができる高密度化の程度および特性は、平面アレーの出発嵩密度、繊維が互いにオーバーラップする程度、および制約面間の分離の距離だけでなく、本発明で用いられる特定のタイプの繊維の捲縮収縮に依存するであろう。他のものが等しいとすれば、より高い捲縮収縮、繊維間オーバーラップのより大きい程度、より高い出発嵩密度、および制約面間のより狭いギャップ(繊維がもはやスリップできない、および捲縮加工が著しく妨害されるポイントまで)はすべてより高い密度不織製品、より高い靱性、およびより高い伸び回復に関係する。
【0022】
本発明の方法の便益は全く一般的であり、オーバーラップする繊維の平面アレーに潜在捲縮性を持った複合繊維が用いられるという条件で、本質的に任意の組成の不織布の製造に適用されてもよい。
【0023】
本発明で用いられる繊維は、連続のまたは長い繊維の形態であってもよいし、またはそれらはステープルファイバーであってもよい。連続繊維はマルチフィラメント糸の形で紡糸されてもよいが、好ましくは繊維マット前駆体を形成するために個別の繊維として沈積される。ステープルファイバーが好ましく、3〜25mmの長さ範囲の、およびフィラメント当たり0.5〜6デニール(dpf)の範囲の繊維デニールの繊維が好ましい。好ましい実施形態では、繊維は、それぞれ70:30〜30:70、好ましくはそれぞれ60:40〜40:60の濃度比のPETおよびPPTの複合ステープルファイバーである。
【0024】
より好ましい実施形態では、本発明で用いられる繊維は、少なくとも40%、好ましくは70〜80%の潜在捲縮収縮を有する未捲縮ステープルPET/PPT複合繊維である。PETおよびPPTの両方とも結晶性ポリマーである。しかしながら、PPTはPETより高い結晶化速度を示す。
【0025】
本発明での使用に好ましいPET/PPT繊維は、0.4〜0.8、好ましくは0.5〜0.6の固有粘度(I.V.)を有するPETの溶融流れを、0.8〜1.5、好ましくは0.9〜1.0のI.V.を有するPPTの溶融流れと組み合わせ、組み合わせた流れを多孔紡糸口金にフィードし、そこからそれを260℃〜285℃、好ましくは265℃〜270℃の温度で押し出すことによって製造されてもよい。押出物は集められ、急冷され、次に延伸工程なしで巻き取られる。紡糸速度は1900〜3500m/分の範囲にあり、2000〜3000m/分が好ましい。紡糸後に、糸は、20〜25mmの長さが好ましい、3〜25mmの長さへの切断を受ける。I.V.はp−クロロフェノール中25℃で測定された際のものである。
【0026】
その実施者は、所望の繊維特性を与える紡糸速度の具体的な値が用いられるポリマーの具体的選択、紡糸温度の仕様、繊維径、および急冷のタイプに依存することを理解するであろう。その実施者はさらに、PET/PPT繊維に好適な紡糸速度範囲が他の組成物に好適な紡糸速度範囲とは異なることを理解するであろう。例えば、PET/PBT繊維については運転範囲は約1700〜3200m/分で、1800〜3000m/分が好ましく、PPT/PBT繊維については運転範囲は600〜2000m/分で、800〜1600m/分が好ましいことが分かった。
【0027】
そのように製造されたステープルファイバー糸は次に界面活性剤の助けで0.05g/l〜1g/l、好ましくは0.25g/l〜0.75g/lの範囲の固形分含有量で水に分散される。分散系は、繊維の均質な十分に分離した混合物を得るために乱流を引き起こすことなく撹拌される。次に繊維分散系は多孔性基材上に沈積され、過剰の水が排出され、生じた繊維のマットは70℃より下の温度、好ましくは約40℃で乾燥される。好ましくは乾燥は表面を拭き取りながら達成される。
【0028】
繊維を分散させるための他の手段および媒体が用いられてもよい。繊維は、液体が本質的に不活性である限り水以外の液体を用いて分散させてもよい。または繊維は空気のようなガス媒体に、または超臨界CO2に分散させることができる。しかしながら、周知の製紙法のそれに類似の技術を用いる水分散法が最も便利であり、それ故好ましい。
【0029】
本発明の代わりの実施形態では、繊維は潜在捲縮性を有する連続マルチフィラメント糸の形態である。かかる連続フィラメントが用いられる場合、本発明の方法に好適な平面アレーまたは繊維マット前駆体を形成するために、高度のフィラメント分離が起こらなければならない。当該フィラメント分離を達成する一方法は、糸束に静電気を帯電させることである。移動するマルチフィラメント糸束は、隣接フィラメントから各フィラメントを分離するのに十分な電位に静電気帯電させられ、次に、このように分離している間に、フィラメントはランダム不織ウェブとして集められる。好ましい糸は、フィラメントの最大分離を達成するためにゼロ撚りまたは捲縮を有する。電荷の最小レベルは30,000静電単位(esu)である。かかる張力が取り除かれるまで、すなわち、その上に平面アレーが形成されることになっている受入れ面の方へそれらが押し進められた後までそれらが分離しないような十分な張力下にある間に、帯電は成し遂げられ、その結果フィラメントは直ちに分離する。フィラメントは、コロナ放電によって、摩擦電気接触によって、電界帯電によって、または他の好適な方法によって帯電させられてもよい。一実施形態では、本発明の方法に従って形成された、新たに形成された合成有機フィラメントは、それらの凝固温度よりまだ上にある間に高強度電場を通過させることによって帯電させられる。本発明の実施に好適な糸束に電荷を帯電させるために好適な装置および詳細な手順は、米国特許公報(特許文献7)に記載されている。そのように処理された糸を構成するフィラメントは、レイダウンされてオーバーラップするパターンを形成し、フィラメントがその平面に主に配向されている平面アレーまたは繊維マット前駆体を生み出す。
【0030】
そのように製造された連続繊維の平面アレーは次に連続または回分連続法で加熱ゾーンに搬送され、そこで潜在捲縮性が発現され、本発明の不織布が生み出される。加熱を提供する多くの方法が当該技術で知られているが、本発明の実施に好適ないかなる方法も必然的に前駆体布の平面に直角方向の制約膨張を伴うであろう。かかる方法には、2プレート間の固定加熱ゾーンのような回分タイプ法、またはカレンダー加工、もしくは加熱コンベアのような連続プロセス法が含まれるであろう。所望の捲縮を実現する方法は、前記加熱の少なくとも一部分の間に、前記不織構造物が制約面と制約接触しているという条件をそれが満たす限り決定的に重要ではない。
【0031】
そのように製造された不織構造物中の繊維の潜在捲縮性を発現させるための加熱は、当業者の十分理解し得る範囲内であるような様々な方法を用いて成し遂げられてもよい。満足できる結果は(i)強制対流流れの熱風オーブン中でのような熱風中80℃より上の温度、好ましくは約120℃で、または(ii)水中約95℃の温度で加熱することによって達成されることが本発明の実施で分かった。本発明の方法の典型的な実施では、捲縮発現は示された熱暴露後数秒以内に起こる。制約面間の距離が約2mmを超える場合、熱風が好ましい加熱媒体である。約2mmより厚いサンプルの熱水加熱はしばしばサンプル破砕をもたらすことが本発明の実施で分かる。
【0032】
さらなる実施形態では、本発明の目的は、高靱性および高伸縮性/低剛性から高剛性/低伸縮性の範囲の制御された特性の交絡した不織布を提供することにある。これは(i)高い潜在捲縮性の繊維を用いること、および(ii)本明細書で記載されるような本発明の方法に従って熱誘導面積収縮中の布厚さの膨張を抑えることによって得られる。捲縮発現中の面積収縮は捲縮発現の程度の指標である。
【0033】
本発明の不織布は、初期ヤング率(Young’s modulus)とその極限伸びとの積と定義される靱性の特に望ましい特性を有する。不織布が本発明の方法の好ましい実施形態に従って製造される場合、1.2〜12MPaの範囲の初期ヤング率値および150%までの極限伸びを示す布が製造される。本発明の不織布の好ましい実施形態は、0.20〜0.28g/cm3の嵩密度を有する布で、それぞれ、約30%および6MPaからそれぞれ100%および1.8MPaの範囲の極限伸びおよび引張弾性率の組合せを提供する。
【0034】
本発明の不織布は、第1結晶性ポリエステル成分と第2結晶性ポリエステル成分とを含む複数の交絡した螺旋状に捲縮したサイドバイサイド型複合繊維であって、前記第1結晶性ポリエステル成分が前記第2結晶性ポリエステル成分より遅い結晶化速度を示し、0.5〜6dpfのデニール範囲によって特徴づけられ、0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、インチ当たり少なくとも50捲縮を示し、かつ、主に互いに交絡し、かつ、さらに、はっきりと画定された平面に主に配向されている繊維を含み、0.2〜0.4g/cm3の嵩密度によって特徴づけられる。
【0035】
本発明の不織布の密度は、既知面積の試験片をカットし、その厚さおよびその重量を測定し、式
δ(密度)=重量(g)/(面積(cm2)×厚さ(cm))
によって密度をコンピューター計算することによって求められる。
【0036】
本発明の不織布は容易に圧縮され、繊維間に多くの隙間を与える。それ故、密度の正確な測定をするために厚さの正確な測定値を得ることは問題をはらむ。普通は、フィルムおよび布のような物体の厚さは当該技術では接触厚さ計の使用によって測定され、該厚さ計では測定されるべき試験片は、固定された金敷と厚さを表示するためのある手段に取り付けられた垂直に移動可能なフートとの間に置かれる。垂直に移動可能なフートが余りにも狭い断面を有する場合、それは隣接する繊維間でスリップし、それによって間違って低い厚さ読みを与えるかもしれない。垂直に移動可能なフートが測定中のエリアに過度の圧力をかける場合、それは布の圧縮をもたらし、再び、間違って低い厚さ読みをもたらすかもしれない。
【0037】
これらの落とし穴を回避するために、厚さ測定は、少なくとも0.5cm直径の円形断面の平らな試験片接触面を持った垂直に移動可能なフートを有し、95g以下の総力を加える厚さ計を用いて行われるべきである。厚さ計精度は少なくとも±0.0005cmであるべきである。それらの制限を満たす任意の機器が本発明によるサンプルの厚さを測定するのに好適であるが、満足できる幾つかの商業的に入手可能な機器が利用可能である。本発明による厚さ測定に好適であることが分かった一つのかかる機器は、モデル35B−8−R−1スタンドに取り付けられたモデルPT223接触フートを備えたモデルPT223フェデラル(Federal)(ロードアイランド州プロビデンス(Providence,RI))C2I比較測長器(Comparator)計である。厚さ測定は、試験片上の異なる点で取られた少なくとも3つの読みの平均を表すべきである。
【0038】
重量は、少なくとも0.0001gの精度を有する実験室はかりで測定される。
【0039】
本発明の不織布での使用に好適な複合繊維は、好ましくは、PET/PPT、PET/PBT、およびPPT/PBT繊維よりなる群から選択されたサイドバイサイド型複合繊維である。先行群の中で、前記第1結晶性ポリエステル成分は最初にリストされ、第2結晶性成分は二番目にリストされている。言い換えると、結晶化するのがより遅いポリマーが最初にリストされてポリマーはリストされている。最も好ましくは、前記複合繊維はPET/PPTのサイドバイサイド型複合繊維である。
【0040】
本発明の不織布での使用に好ましいPET/PPT繊維は、0.5〜1.2、好ましくは0.7〜0.9の固有粘度(I.V.)を有するPETの溶融流れを、0.8dl/g〜1.5dl/g、好ましくは0.9〜1のI.V.を有するPPTの溶融流れと組み合わせ、組み合わされた流れを多孔紡糸口金にフィードすることによって製造されてもよく、紡糸口金から265℃〜285℃、好ましくは265℃〜270℃の温度で単一複合ストランドがその各孔から押し出される。押出物は集められ、急冷され、次に延伸工程なしで巻き取られる。この場合紡糸速度と同義語である巻取速度は2000〜3500m/分の範囲にあり、2500〜3000m/分が好ましい。紡糸後に、糸は、25mmの長さが好ましい、3〜25mmの長さへの切断を受ける。I.V.はp−クロロフェノール中25℃で測定された際のものである。
【0041】
そのように製造された好ましい繊維は次に既に記載されたその方法に従って加工され、本発明の不織布をもたらす。
【0042】
本発明の不織布の異常に高い密度および高い回復力は、細粒濾過および保護用途のような分野でそれらを有用にする。不織布は、繊維のそれらのランダム配置が個別の流れへのキャリア相の迅速な分配を可能にするので、工業ダスト除去用途の理想的な候補である。不織布の大部分はニードルパンチされ、通常、約0.2g/cm3の密度の「ニードルフェルト」として知られている。同じ密度で、本発明の布は、繊維の3次元ランダム配置を容易にもたらすので、優れた濾過効率を有すると期待される。後者は、ダストの浸透を極めて低いレベルまで急速に減らすために非常に重要である「ダストブリッジ」のビルドアップを大きく促進する。
【0043】
別の実施形態では、本発明での使用に好適な複合繊維は、生じた布の強度、耐熱性および貫入抵抗を高めるために、好ましくは繊維マット前駆体のレイダウン中に、デュポン・カンパニーから入手可能なノメックス(Nomex)(登録商標)またはケブラー(Kevlar)(登録商標)繊維のようなポリアラミド繊維と組み合わせられてもよい。この実施形態では、一般に熱収縮を示さないポリアラミドステープルファイバーは、本発明の実施に好適な複合繊維と混ぜ合わせられて繊維マット前駆体を形成する。本発明の方法に従った捲縮発現中に、ポリアラミド繊維は撚りおよび捲縮複合繊維との交絡を受けて、交絡した繊維の高度に強化されたネットワークを形成し、ポリアラミド繊維を不織布にしっかりと結合させる。この密接結合は、ポリアラミドを含むブレンドの製造で一般に用いられるような結合剤の使用なしに達成することができる。
【0044】
例えば、抗菌性および難燃性を与えるために、表面改質剤および添加剤が本発明の不織布へ容易に組み入れられ得る。潜在捲縮性を示すまたは示さない他のポリマー繊維もまた、本発明の実施で複合繊維とのブレンドによって、特に本発明の好ましい実施形態の水スラリー段階で繊維を組み合わせることによって、容易に組み入れることができる。短いポリアラミド繊維の添加は、例えば、難燃性および耐摩耗性を改善すると考えることができよう。
【0045】
本発明は、次の具体的な実施形態についてさらに記載されるが、それに限定されない。
【実施例】
【0046】
次の実施例で用いる繊維は、50/50比のPET(クライスター(Crystar)4415、IV=0.54±0.02)およびPPT(シデュー(CIDU)、IV=1.04±0.03)製の複合サイドバイサイド型糸であった。ポリマーを、当該技術における標準手順に従って、およびエバンス(Evans)ら、米国特許公報(特許文献8)に記載されているような、サイドバイサイド型複合繊維を製造するための当該技術で標準的な周知の押出ブロックおよび紡糸口金パックを用いて265〜270℃で34穴紡糸口金によって溶融紡糸した。
【0047】
押出物を、長さ72インチのクロスフロー急冷ゾーンを通過させることによって、おおよそ10m/分で糸経路と直角に移動する室温急冷空気の流れで冷却した。次にそれを、いかなる別個の延伸段階もなしに、具体的な実施例で示す速度で巻き取った。生じた糸は真っ直ぐであり、すなわち、それは何の目に見える捲縮も示さなかった。
【0048】
紡糸後に、糸を、11cmの直径を有する小さなモーター駆動かせ機にそれぞれ90mの長さで巻き直した。次に各かせをはさみで、具体的な実施例に示す長さの短繊維フロックへカットした。2リットル水中の5グラムのF−98プリル(Prill)(ニュージャージー州マウントオリーブのバスフ社(BASF Corp.,Mt.Olive,NJ)から入手可能な界面活性剤)の溶液を、寸法28cm×28cm×28cmを有するウィリアムス標準パルプ試験装置(Williams Standard Pulp Testing Apparatus)の溜めへ注ぎ込んだ。溜めを一杯にするために追加の冷水を加えた。次に6gのフロックを、スパチュラを用いてパルプ装置中で穏やかに分散させ、水性スラリーを、その中に穴のある幅広いスチール板よりなる携帯型かき混ぜ機を用いて約30秒間かき混ぜた。必然的に凝集につながる乱流を避けるよう高度の注意を払わなければならない。次に水を排出し、それによって溜めの底部の多孔性クロス上に繊維マットを沈積させた。
【0049】
次にクロスおよび繊維マットを、ニューヨーク州ウォータータウンのウィリアムス・アパレイタス(Williams Apparatus,Watertown,NY)によってまた製造されたシート乾燥機上へ移した。図1に示すシート乾燥機は多孔性金属ドラム1よりなり、その円周の半分以下にわたってクロスおよび繊維マット2を配置した。マットを所定の位置に固定するために、ドラムの表面上に一端4で固定したキャンバスシート3をクロスおよび繊維マット2の一面に置き、キャンバスシートの他端が取り付けられているノブ5を回すことによって締め付ける。所望の締め付け度までノブを手動で回すことによって、キャンバスシートによってクロスおよび繊維マットに加えられる圧力を、幾分主観的ではあるが、広い範囲にわたって変えてもよい。
【0050】
マットを35℃〜40℃で乾燥した。乾燥は、ノブの約2回転によってシートを覆うキャンバスを締め付けることによって得られた僅かな圧力下に行った。1時間の乾燥時間後に、マットを取り出し、正方形3インチ×3インチ・サンプルへカットした。次に、各サンプルを個別に、それぞれ554gの重さがある2つの16cm×21cm×0.7cmテフロン(登録商標)被覆アルミニウム板の間に挿入した。板間距離は、0.25から4mmまで変わる厚さのシムの挿入によって制御した。次に、複合体(2板+サンプル+シム)を熱風により120℃で約30分間加熱した。
【0051】
機械試験はすべて、テーブルトップ・インストロン引張試験機、モデル1123(Instron Tensile Tester,Model 1123)を用いて行った。該機械は、MTS作動(Testworks)ソフトウェア・バージョン4.0を含むMTS更新パッケージ(Renew Package)でアップグレードされていた。
【0052】
本発明の方法で用いることになっている糸の捲縮収縮(CC)は次の通り評価した。糸の4インチ片を熱風中120℃で30分間加熱した。次に、当該片をその中点でホックから吊し、それによってループを形成し、その2端をテープで貼り合わせた。そのテープで貼り合わせた端に取り付けた1.5mg/d荷重下の糸の長さをL1.5で示し、100mg/d荷重下のそれをL100で示すと、捲縮収縮は、CC(%)=[(L100−L1.5)/L100]×100として計算した。3試験片を平均して結果を得た。
【0053】
インチ当たりの捲縮(CPI)の数を測定するために、捲縮収縮試験におけるように糸の別個の試験片を加熱した。次に、それを2つのガラス板の間に挟み、頂光付き立体鏡を約16倍の倍率で用いて検査した。CPI数は、1インチに等しい両端距離を有するセクションにわたって繊維軸の一面上でピークの数を計算することによって得た。
【0054】
密度は、スタンド(モデル35B−8−R−1)に取り付けた、フェデレラルC2I比較測長器計を用いて3インチ×3インチ(7.62cm×7.62cm)正方形試験片の厚さを測定することによって求めた。該比較測長器は、93±2gの全体力を加える平らな接触点モデルPT223、および0.18インチ(0.46cm)のフート径を有する。厚さは、試験片上の異なる場所での5つの測定値の平均であった。
【0055】
布試験片の重量は、精度0.0001gを有するメトラー(Mettler)8200はかりを用いて測定した。
【0056】
熱処理の前に、1/4インチ・フロックでできた典型的なウェットレイド・シートは厚さ0.28±0.02mmを有する。
【0057】
面積収縮は、関係100×(A−A)/(A)(ここで、AおよびAは収縮前後の正方形サンプルの面積を表す)を用いて全体サンプルについて測定した。
【0058】
(実施例1)
本明細書で上に記載した方法に従って、フィラメント当たり5.9デニールを有する34フィラメント50/50PET/PPT複合糸を3030m/分の速度で紡糸した。糸束は1.6グラム/デニールの引張強度を示した。そのように製造した糸をはさみで1インチ・フロックへカットし、加熱剤として熱風を使って、本明細書で上に記載した方法を用いてウィリアムス標準パルプ試験装置で加工した。生じた捲縮糸は次の特性を有した。捲縮収縮CC=74%、0.13mmの平均曲率半径でインチ当たりの捲縮の数CPI=58であった。異なるシム厚さについて布の特性を表Iに示す。各値は2サンプルにわたる平均であった。弾性率と伸びとの積(靱性と言われる)は約2の一定値を有した。
【0059】
【表1】

【0060】
(実施例2)
ウィリアムス標準パルプ試験装置での分散の前に、1インチ・フロックを水中のポリエチレンオキシド(Mw=900,000)の1%w/w溶液中で完全に湿らせたことを除いては実施例1の材料および手順を繰り返した。結果を表IIに示す。
【0061】
【表2】

【0062】
(実施例3)
繊維を1/4インチ・フロックへカットしたことを除いては実施例1の材料および手順を繰り返した。結果を表IIIに示す。
【0063】
【表3】

【0064】
(比較例1)
糸を1850m/分で紡糸して約1.17g/dの引張強度のフィラメント糸当たり4.7デニールをもたらしたことを除いては実施例3の方法および材料を繰り返した。本明細書で上に概説した方法に従ってその潜在捲縮性を発現させると、糸は次の特性:捲縮収縮CC=0.42、1.1mmの平均曲率半径でインチ当たりの捲縮の数CPI=17を有した。結果を表IVに示す。本比較例でのフロックは長さ0.64cmであった。
【0065】
【表4】

【0066】
(比較例2)
フロック長さが51mmであったことを除いては実施例1の材料および方法を繰り返した。結果を表Vに示す。
【0067】
【表5】

【0068】
(比較例3)
本比較例は、60℃より高い乾燥温度で、収縮で制約された繊維がヒートセットを受け、それによって潜在捲縮性を削除することを例示する。
【0069】
表VIに示すように様々な温度で乾燥を行って、実施例3の材料および手順を繰り返した。しかしながら、実施例3とは違って、繊維マットに圧力を加え、繊維の可動性を抑制し、それによって収縮を防ぐために乾燥の間ずっと繊維マットをカバーするキャンバスシートを非常に強く締め付けた。結果は、3030m/分で紡糸し、1/4インチ・フロックへカットし、その後2mmシムを用いて熱風中で熱処理した糸についてである。
【0070】
【表6】

【0071】
(比較例4)
捲縮発現段階を95℃水中で行ったことを除いては実施例3の材料および手順を繰り返した。結果を表VIIに示す。サンプルは大きなシム厚さ>1mmで水中で破断した。
【0072】
【表7】

【0073】
(比較例5)
比較例4と同じであったが、糸については1850m/分で紡糸した。結果を表VIIIに示す。
【0074】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ウィリアムス・パルプ試験装置の乾燥ドラム上の湿った繊維マット前駆体およびクロスサポートの配置を描く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1結晶性ポリエステル成分と第2結晶性ポリエステル成分とを含む複数の交絡した螺旋状に捲縮した非対称複合繊維を含む不織布であって、前記第1結晶性ポリエステル成分が前記第2結晶性ポリエステル成分より遅い結晶化速度を示し、前記繊維が0.5〜6デニールのデニール範囲によって特徴づけられ、前記繊維が0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、インチ当たり少なくとも50捲縮を示し、かつ、前記繊維が主に互いに交絡し、かつ、さらに前記繊維がはっきりと画定された平面に主に配向されており、前記不織布が0.2〜0.4g/cm3の嵩密度によって特徴づけられることを特徴とする不織布。
【請求項2】
前記複合繊維がサイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記複合繊維が主にステープルファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
それぞれ70:30〜30:70の範囲の濃度比で、前記第1結晶性ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステルがポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記濃度比がそれぞれ60:40〜40:60の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の不織布。
【請求項9】
前記複合繊維が連続であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
1.2〜12MPaの初期ヤング率および150%までの極限伸びによってさらに特徴づけられることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
範囲60:40〜40:60の濃度比でポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートとを含む、0.5〜6デニールの範囲および20〜25ミリメートルの範囲の未捲縮長さの複数の交絡した螺旋状に捲縮したサイドバイサイド型複合ステープルファイバーを含む不織布であって、前記繊維が0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、インチ当たり少なくとも50捲縮を示し、かつ、前記繊維が主に互いに交絡し、かつ、さらに前記繊維がはっきりと画定された平面に主に配向されており、0.2〜0.4g/cm3の嵩密度、1.2〜12MPaの初期ヤング率、および150%までの極限伸びによって特徴づけられることを特徴とする不織布。
【請求項12】
潜在捲縮性を有する複数の非対称複合繊維を、オーバーラップする繊維の平面アレーに配置する工程であって、前記繊維がその平面に主に配向され、前記平面アレーを2つの制約面間に配置する工程と、加熱の少なくとも一部の間に、前記不織構造物が前記制約面と制約接触しているという条件で前記平面アレーを加熱して前記潜在捲縮性の少なくとも一部を発現させる工程とを含むことを特徴とする不織布の形成方法。
【請求項13】
前記平面アレーが繊維マット・プリフォームの形態であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複合繊維がサイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複合繊維がポリエステルより本質的になることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
3〜25ミリメートルの平均長さを有するフロックの水性スラリーから繊維マット・プリフォームを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
70〜80%の潜在捲縮収縮、長さ20〜25ミリメートルを有するサイドバイサイド型未捲縮ステープル複合繊維の水性スラリーから繊維マット・プリフォームを形成し、前記繊維マット・プリフォームを2つの制約面間に配置する工程と、加熱の少なくとも一部の間に、前記繊維マット・プリフォームが前記制約面と制約接触しているという条件で前記平面アレーを加熱して前記潜在捲縮性の少なくとも一部を発現させる工程とを含む不織布の形成方法であって、前記複合繊維がポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートとを60:40〜40:60の範囲のそれぞれの濃度比で含むことを特徴とする方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1結晶性ポリエステル成分と第2結晶性ポリエステル成分とを含む複数の交絡した螺旋状に捲縮した非対称複合繊維を含む不織布であって、前記第1結晶性ポリエステル成分が前記第2結晶性ポリエステル成分より遅い結晶化速度を示し、前記繊維が0.5〜6デニールのデニール範囲によって特徴づけられ、前記繊維が0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、少なくともセンチメートル当たり19.7捲縮(インチ当たり50捲縮)を示し、かつ、前記繊維が主に互いに交絡し、かつ、さらに前記繊維がはっきりと画定された平面に主に配向されており、前記不織布が0.2〜0.4g/cm3の嵩密度によって特徴づけられることを特徴とする不織布。
【請求項2】
前記複合繊維がサイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記複合繊維が主にステープルファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
それぞれ70:30〜30:70の範囲の濃度比で、前記第1結晶性ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステルがポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
前記濃度比がそれぞれ60:40〜40:60の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の不織布。
【請求項9】
前記複合繊維が連続であることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
1.2〜12MPaの初期ヤング率および150%までの極限伸びによってさらに特徴づけられることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
範囲60:40〜40:60の濃度比でポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートとを含む、0.5〜6デニールの範囲および20〜25ミリメートルの範囲の未捲縮長さの複数の交絡した螺旋状に捲縮したサイドバイサイド型複合ステープルファイバーを含む不織布であって、前記繊維が0.2mm以下の捲縮曲率半径を持つ、少なくともセンチメートル当たり19.7捲縮(インチ当たり50捲縮)を示し、かつ、前記繊維が主に互いに交絡し、かつ、さらに前記繊維がはっきりと画定された平面に主に配向されており、0.2〜0.4g/cm3の嵩密度、1.2〜12MPaの初期ヤング率、および150%までの極限伸びによって特徴づけられることを特徴とする不織布。
【請求項12】
潜在捲縮性を有する複数の非対称複合繊維を、オーバーラップする繊維の平面アレーに配置する工程であって、前記繊維がその平面に主に配向され、前記平面アレーを2つの制約面間に配置する工程と、加熱の少なくとも一部の間に、前記不織構造物が前記制約面と制約接触しているという条件で前記平面アレーを加熱して前記潜在捲縮性の少なくとも一部を発現させる工程とを含むことを特徴とする不織布の形成方法。
【請求項13】
前記平面アレーが繊維マット・プリフォームの形態であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複合繊維がサイドバイサイド型複合繊維であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複合繊維がポリエステルより本質的になることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(プロピレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1結晶性ポリエステル成分がポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、前記第2結晶性ポリエステル成分がポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
3〜25ミリメートルの平均長さを有するフロックの水性スラリーから繊維マット・プリフォームを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
70〜80%の潜在捲縮収縮、長さ20〜25ミリメートルを有するサイドバイサイド型未捲縮ステープル複合繊維の水性スラリーから繊維マット・プリフォームを形成し、前記繊維マット・プリフォームを2つの制約面間に配置する工程と、加熱の少なくとも一部の間に、前記繊維マット・プリフォームが前記制約面と制約接触しているという条件で前記平面アレーを加熱して前記潜在捲縮性の少なくとも一部を発現させる工程とを含む不織布の形成方法であって、前記複合繊維がポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンテレフタレートとを60:40〜40:60の範囲のそれぞれの濃度比で含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−507417(P2006−507417A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554031(P2004−554031)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037672
【国際公開番号】WO2004/046442
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【Fターム(参考)】