説明

高い耐化学薬品性を有するベーキング可能な平版印刷版

基板上に、アルカリ水溶液中に可溶性又は分散性であって、(メタ)アクリル反復単位、イミド反復単位、及び対応するエチレン系不飽和重合性モノマーから誘導されるアミド反復単位を含むコポリマーを含んで成る輻射線感光性塗膜を有し、前記コポリマーが、ネガ型又はポジ型となることができる平版印刷版前駆体に増強された耐化学薬品性を提供する、単層又は多層平版印刷版前駆体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐化学薬品性及び耐摩耗性を一層増大させ得るようにさらにベーキングすることができる塗膜を有する、化学薬品及び現像剤に対して高い耐性を有する平版印刷版前駆体に関する。本発明はまた、このような前駆体の製造及び画像形成の方法、並びにこのような前駆体を製造するための輻射線感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷の技術分野は、油と水との不混和性に基づく。油性材料又は印刷インクは、好ましくは、画像領域によって受容され、そして水又は湿し水溶液は、好ましくは、非画像領域によって受容される。適切に製造された表面が水で湿潤され、そして印刷インクが適用されると、背景又は非画像領域が水を受容し、印刷インクを弾くのに対して、画像領域は印刷インクを受容し、水を弾く。次いで画像領域内の印刷インクは材料、例えば、紙や布地などの被画像形成面に移される。しかし、一般に、印刷インクは先ず、ブランケットと呼ばれる中間材料に移され、次いで、ブランケットは、被画像形成面上に印刷インクを移す。この技術はオフセット平版印刷と呼ばれる。
【0003】
しばしば使用される平版印刷前駆体のタイプ(本明細書では、印刷版前駆体という用語は、露光・現像前の塗膜付き印刷版を意味する)は、アルミニウムを基材とする基板上に適用された感光性塗膜を含む。塗膜が輻射線に対して反応することができるので、露光された部分はこれが現像処理中に除去されるように可溶性になる。このような版はポジ型と呼ばれる。他方において、塗膜の露光された部分が輻射線によって硬化される場合には、ネガ型と呼ばれる。両方の事例において、残りの画像領域は印刷インクを受容し、すなわち親油性であり、そして非画像領域(背景)は水を受容し、すなわち親水性である。画像領域と非画像領域との区別化は露光中に行われる。
【0004】
コンベンショナルな版の場合、転写させられるべき情報を含有するフィルムは、良好な接触を保証するために、真空下で印刷版前駆体に取り付けられる。次いで、輻射線源によって版は露光される。輻射線源の一部はUV線から成る。ポジ型版が使用される場合、版上の画像に対応するフィルム上の領域は、光が版に達しないように不透明であり、これに対して、非画像領域に対応するフィルム上の領域は透明であり、そして光が塗膜を透過するのを可能にし、塗膜の溶解度は増大する。ネガ型版の場合、反対のことが行われる。すなわち、版上の画像に対応するフィルム上の領域は透明であり、これに対して、非画像領域は不透明である。透明フィルム領域の下側の塗膜は、入射光により硬化され、これに対して、光によって影響されない領域は現像中に除去される。従って、ネガ型版の光硬化された表面は、親油性であり、印刷インクを受容し、これに対して、現像剤によって除去される塗膜で塗布されていた非画像領域は、減感され、従って親水性である。
【0005】
ここ数十年間にわたって、ポジ型の商業的印刷版前駆体は、アルカリ可溶性フェノール樹脂及びナフトキノンジアジド誘導体の使用によって特徴付けられ、UV線によって画像形成が行われた。
【0006】
平版印刷版前駆体分野における最近の開発は、レーザーによって直接的にアドレスできる印刷版前駆体の製造に適した輻射線感光性組成物をもたらした。コンベンショナルな版では一般的であるようなフィルムの使用なしに、印刷版前駆体上に画像を伝達するために、デジタル画像形成情報を使用することができる。
【0007】
過去数年間に、感熱性印刷版前駆体(しばしば「サーモプレート」とも呼ばれる)を開発することに集中的な努力が払われている。ここでは、画像形成は、直接的な加熱によって、又は光熱変換体(例えば、IR吸収剤)によって熱に変換される輻射線(例えば、IR線)によって実施される。
【0008】
ポジ型の、直接レーザーアドレッシング可能な印刷版前駆体の一例が、米国特許第4,708,925号明細書に記載されている。この特許明細書には、フェノール樹脂と輻射線感光性オニウム塩とを含む画像形成層を有する平版印刷版前駆体が記載されている。特許明細書中に記載されているように、フェノール樹脂とオニウム塩との相互作用の結果、組成物がアルカリ不溶性になり、この組成物はオニウム塩の光分解によってアルカリ可溶性を回復する。印刷版前駆体は、ポジ型印刷版の前駆体として使用することができ、又は英国特許第2,082,339号明細書に詳細に記載されているように、露光工程と現像工程との間に追加の処理工程が加えられる場合には、ネガ型印刷版の前駆体として使用することができる。
【0009】
ポジ型系として使用することができる、直接レーザーアドレッシング可能な印刷版前駆体の別の例が、米国特許第5,372,907号明細書及び同第5,491,046号明細書に記載されている。これら2つの特許明細書は、像様露光時に樹脂マトリックスの溶解度を増大させるために、輻射線によって潜伏性ブロンステッド酸を分解することを記載している。米国特許第4,708,925号明細書に記載された印刷版前駆体の場合のように、これらの系は、画像形成工程と現像工程との間の追加の処理工程と組み合わされたネガ型系として使用することもできる。ネガ型印刷版前駆体の場合、分解副産物は続いて、照射された領域の層を不溶性にするために、樹脂間の架橋反応を触媒するのに使用され、このことは、現像工程の前に加熱工程を必要とする。
【0010】
欧州特許出願公開第0 823 327号明細書には、IR吸収剤及びポリマー、例えば、ノボラックに加えて、アルカリ現像剤中の組成物の溶解度を減少させる物質を含む輻射線感光性層を有するIR感光性印刷版前駆体が記載されている。とりわけ、スルホン酸エステル、リン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、無水カルボン酸、芳香族ケトン及びアルデヒド、芳香族アミン及び芳香族エーテルが、このような「不溶化剤」として言及されている。これらの印刷版前駆体は、高度なIR感光性を示し、そして露光工程と現像工程との間に追加の工程を必要とせず、さらに、これらの前駆体は通常の照明条件下(所定のUV線分を有する日光)で取り扱うことができ、すなわち黄色灯を必要としない。しかし、印刷室の化学薬品(湿し水溶液、印刷インク中の有機溶剤、洗浄溶液など)に対する現像された印刷版の耐性は満足のいくものではない。
【0011】
国際公開第99/21725号パンフレットは、アルカリ現像剤による攻撃に対する非加熱領域の耐性を改善する物質を含む感熱性層を有するIR感光性ポジ型印刷版前駆体を開示しており、この物質は、ポリアルキレンオキシド単位、シロキサン、並びに多価アルコールのエステル、エーテル及びアミドを有する化合物から選ばれる。これらの印刷版前駆体も、高度のIR感光性によって特徴づけられ、そして通常の日光中で処理することができる。ここでもまた、耐印刷室化学薬品性の改善が望まれる。多くの部数を伴う印刷用途の場合、ベーキング工程が推奨される。
【0012】
国際公開第2005/016645号パンフレットには、国際公開第99/21725号パンフレットに記載されたシロキサンの代わりに、(C4〜C20−アルキル)フェノール・ノボラックが使用される感熱性要素が記載されている。
【0013】
欧州特許出願公開第1101607号明細書の場合、追加のセルロースポリマーのカルボン酸誘導体を含むIR感光性塗膜を有するIR感光性要素が記載されている。この酸性セルロースポリマーを使用する結果、例えば、ある種の印刷インク、湿し水溶液及び洗浄溶液中に含有される有機溶剤に対する塗膜の耐性が改善されるので、印刷版はより多くの部数を産出した。しかし、更なる改善が望まれる。
【0014】
米国特許第6,294,311号明細書、同第6,358,669号明細書、及び同第6,555,291号明細書はそれぞれ、感熱性二重層印刷版前駆体を記載しているが、しかし、耐化学薬品性及び耐摩耗性が改善されることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
近年、オフセット印刷版は、溶剤及び一般的な印刷室化学薬品、例えば、版クレンザー又はブランケット洗浄溶液及び湿し水溶液中のアルコール代替物に対する耐性に関してますます高くなる要求を満たさなければならなくなっている。具体的にはUV硬化性インクを用いた印刷時に、高いエステル、エーテル又はケトン含量を有する洗浄溶液が使用される場合、コンベンショナルな版、特にIR感光性ポジ型版の耐化学薬品性は、特別の安定化処理を受けない限り、もはや十分でない。
【0016】
こうして、オフセット印刷版のための化学耐性バインダーの分野において広範囲に研究が行われているにもかかわらず、現行の技術は、具体的にはよりフレキシブルに採用できるバインダーに関して、まだ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の目的は、輻射線感光性塗膜が輻射線感光性に実質的な影響を与えることなしに高度な耐化学薬品性を有する、平版印刷版前駆体を提供することである。さらに、ベーキングが通常、耐化学薬品性及び耐摩耗性の更なる増大をもたらすことから、塗膜がベーキング可能であるならばさらに有利である。
【0018】
この目的は、親水性表面を有する基板、並びに(メタ)アクリル単位A、イミド単位B及びアミド単位Cを含むコポリマー(CP)を含む単層又は多層輻射線感光性塗膜を含んでなる平版印刷版前駆体(以下では、「輻射線感光性要素」とも呼ぶ)であって、
単位Aが下記式
【0019】
【化1】

【0020】
を有し、
イミド単位Bが下記式
【0021】
【化2】

【0022】
を有し、そして
単位Cが、
【0023】
【化3】

【0024】
から選ばれた少なくとも1つの単位である、
(上記式中、
各R及び各R1は独立して、水素、アルキル、アリール、ハロゲン、及び−CNから選ばれ、
Xはスペーサであり、
各R’は独立して、水素、アルキル及びアリールから選ばれ、
nは0又は1であり、そして
2a、R2、R3a及びR3は独立して、水素及びアルキルから選ばれ、又は、
2及びR3又はR2a及びR3aは、これらが結合されている2つのC原子と一緒になってアリール基、ヘテロアリール基、又は不飽和型もしくは飽和型炭素環式もしくは複素環式基を形成し、
r、s、t及びuはそれぞれ0又は1であるが、但しR2及びR2aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、r及びsのうちの一方が0であることを条件とし、そしてR3及びR3aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、t及びuのうちの一方が0であることを条件とし;
そして破線は、存在してもしなくてもよい二重結合を示す)
平版印刷版前駆体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
特に断りのない限り、本発明において使用される「アルキル」という用語は、炭素原子数1〜18、特に好ましくは、炭素原子数1〜10、そして最も好ましくは、炭素原子数1〜6の、直鎖状又は分枝状の飽和型炭化水素基を意味する。アルキル基は任意選択的に、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、CN、NO2、NR’2、COOR’及びOR’(R’は独立して水素原子、又はアルキル基である)から選ばれた1つ又は2つ以上の置換基(好ましくは、0又は1つの置換基)を含むことができる。
【0026】
特に断りのない限り、飽和型炭素環式基の環内炭素原子数は5〜10であるものとする。ブリッジされた飽和型環状炭化水素、例えば、二環式炭化水素(ノルボルナン基がその一例となる)も含まれるものとし、ブリッジはO、S及びNから選ばれたヘテロ原子を含むこともできる。炭素環式基は任意選択的に、アルキル基、ハロゲン原子、−OR’、−NR’2及びCN(R’は独立しては水素原子又はアルキル基を表す)から選ばれた1つ又は2つ以上の置換基を含むこともできる。1つ又は2つ以上の(好ましくは、1つ又は2つ)の環内炭素が、O、S及びNR’(R’は水素又はアルキルである)から選ばれたヘテロ原子で置換されている場合、その基は飽和型複素環式基と呼ばれる。炭素環式基が芳香族環系を形成することなしに、1つ又は2つ以上の二重結合を含有する場合、これは、不飽和型炭素環式基と呼ばれ、この場合も、ブリッジされた系(ブリッジは任意選択的にO、S及びNから選ばれたヘテロ原子を含む)、例えば、ノルボルネン基が含まれるものとする。複素環式基が芳香族環系を形成することなしに、1つ又は2つ以上の二重結合を含有する場合、これは不飽和型炭素環式基と呼ばれ、この場合も、任意選択的にO、S及びNから選ばれたヘテロ原子を含む架橋された系が含まれるものとする。不飽和型炭素環式基、並びに、飽和型及び不飽和型複素環式基は任意選択的に、例えば、飽和型炭素環式基との関連で述べられるものから選ばれた、1つ又は2つ以上の置換基を含むこともできる。
【0027】
特に断りのない限り、本発明において使用される「アリール基」という用語は、好ましくは、炭素原子数5〜14の、1つ又は2つ以上の縮合環を有する芳香族炭素環式基を意味する。アリール基は任意選択的に、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、CN、NO2、NR’2、COOR’及びOR’(各R’は独立して水素及びアルキルから選ばれる)から選ばれた1つ又は2つ以上の置換基(好ましくは、0〜3つ)を含むことができる。好ましい例は、任意選択的に置換されることができるフェニル基及びナフチル基を含む。
【0028】
本発明においてヘテロアリール基と呼ばれるものは、少なくとも1つ(好ましくは、1〜3つ)の環内炭素がO、S及びN(好ましくは、N)から選ばれたヘテロ原子で置換されているアリール基であり、置換基は、アリールとの関連で上述したものを含む。
【0029】
本発明において縮合環又は環系と呼ばれるものは、その環が縮合により合体された環と一緒に2つの原子を共有する環、例えば、ナフタレンである。
【0030】
本発明によれば、塗膜は、1つの層又は相次いで適用されたいくつかの層から成ることができる。ただ1種の塗布用溶液を適用することが可能であるが、しかし、乾燥中の分離プロセスにより2つの層を形成することも可能である。いくつかの層を含んでなる塗膜は、これらの層のうちの少なくとも1つが輻射線感光性である場合は、「輻射線感光性」と考えられる。
【0031】
コポリマー(CP)
本発明において使用されるコポリマーは、(メタ)アクリル単位A、イミド単位B、及び(C−1)、(C−2)及び(C−3)から選ばれたアミド単位Cを含んで成る:
【0032】
【化4】

【0033】
【化5】

【0034】
(上記式中、
各R及び各R1は独立して、水素、アルキル、アリール、ハロゲン、及び−CNから選ばれ、
Xはスペーサであり、
各R’は独立して、水素、アルキル及びアリールから選ばれ、
nは0又は1であり、そして
2a、R2、R3a及びR3は独立して水素及びアルキルから選ばれ、又は、
2及びR3又はR2a及びR3aは、これらが結合されている2つのC原子と一緒になってアリール基、ヘテロアリール基、又は不飽和型もしくは飽和型炭素環式もしくは複素環式基を形成し、
r、s、t及びuはそれぞれ0又は1であるが、但しR2及びR2aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、r及びsのうちの一方が0であることを条件とし、そしてR3及びR3aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、t及びuのうちの一方が0であることを条件とし;
そして破線は、存在してもしなくてもよい二重結合を示す)。
【0035】
Rは、好ましくは、水素、又は任意選択的に置換されたアルキル基、特に好ましくは、水素又はメチル基、そして具体的に好ましくは、メチル基である。
【0036】
各R1は、好ましくは、独立して、任意選択的に置換されたアルキル基、又は水素、そして特に好ましくは、水素である。
【0037】
nは、好ましくは、0である。
【0038】
好ましくは、R2及びR3又はR2a及びR3aは、これらが結合されている2つのC原子と一緒になってアリール基(特に好ましくは、任意選択的に置換されたフェニル基)、又は不飽和型もしくは飽和型炭素環式基(好ましくは、環内原子数6)を形成する。炭素環式基が単不飽和型であり、そしてこれが任意選択的に、O原子を任意に含有するブリッジを含むことが特に好ましく、−CH2−及び−O−が、好ましいブリッジである。炭素環が単不飽和型である場合は、R2、R2a、R3及びR3aが結合されているC原子は、好ましくは、C−C二重結合の部分ではない。R2とR3とが環を形成する場合は、R2a及びR3aは、好ましくは、両方とも水素であり、R2aとR3aとが環を形成する場合は、R2及びR3は、好ましくは、両方とも水素である。
【0039】
2、R2a、R3及びR3aが結合されているC原子が、C−C二重結合の部分ではない場合は、好ましくは、R2及びR2aの一方、並びにR3及びR3aの一方は水素原子である。
【0040】
式(C−2)の単位において、各R’は独立して、水素、又は任意選択的に置換されたアルキル基を表し、好ましくは、水素とは異なる基R’は、全くないか又は1つしかない。
【0041】
Xは、好ましくは、アルキレン、アリーレン、任意選択的に不飽和型の複素環式基、任意選択的に不飽和型の炭素環式基、ヘテロアリール基(上記基のそれぞれが任意選択的に単置換型又は多置換型)、式(1)の基
【0042】
【化6】

【0043】
、式(2)の基
【0044】
【化7】

【0045】
、及び式(3)の基
【0046】
【化8】

【0047】
から選ばれる
(上記式中、z及びyは独立して、0又は1から20までの整数であり、xは1から20までの整数であり、そして各R’’は独立してアルキル及びアリールから選ばれ、式(2)の二価基は、−CH2−末端又は−CH(CH3)−末端を介してカルボキシ基の酸素原子に結合できるのに対して、式(3)の二価基はSi原子を介してカルボキシ基の酸素原子に結合できるだけである)。
【0048】
Xがアルキレン又はアリーレン基、具体的にはアルキレン基であることが特に好ましい。
【0049】
単位Aが下記式(A’)を有することが特に好ましい:
【0050】
【化9】

【0051】
(上記式中、Rは上記の通りであり、そして好ましくは、水素又はメチルを表す)。
【0052】
単位Bが下記式(B’)を有することが特に好ましい:
【0053】
【化10】

【0054】
(上記式中、Rは上記の通りであり、そして好ましくは、水素又はメチルを表し、そしてR2、R2a、R3、R3a、n、r、s、t及びuは、上記の通りである)。
【0055】
単位Cが下記式(C−1’)、(C−2)及び(C−3’)のうちの少なくとも1つであることが特に好ましい:
【0056】
【化11】

【0057】
(上記式中Rは上記の通りであり、そして好ましくは、水素又はメチルを表す)。
【0058】
モノマー単位Aは、本発明のコポリマー中に、該コポリマーを基準として、好ましくは、1〜98重量%、より好ましくは、5〜60重量%、特に好ましくは、20〜40重量の量で存在する。
【0059】
モノマー単位Bは、好ましくは、該コポリマーを基準として1〜98重量%、より好ましくは、10〜90重量%、特に好ましくは、20〜80重量の量で存在する。
【0060】
モノマー単位Cは、好ましくは、該コポリマーを基準として1〜98重量%、より好ましくは、5〜60重量%、特に好ましくは、20〜40重量の量で存在する。
【0061】
コポリマーの重量平均分子量は(GPCによって測定して)、好ましくは、1,000〜1,000,000、特に好ましくは、5,000〜250,000である。
【0062】
コポリマーは、モノマーM−A及びM−B、並びにM−C−1、M−C−2及びM−C−3から選ばれたモノマーM−C、並びに任意選択的に更なるモノマーから、一般的な重合プロセス(例えば、溶液重合、塊重合、エマルジョン及び懸濁重合)によって調製することができる。
【0063】
【化12】

【0064】
(上記式中、R、R1、R2、R3、R2a、R3a、R’、n、r、s、t及びuは、A、B及びCに関して規定した通りである)。好ましくは、モノマーM−A、M−B、及びM−Cを含有する溶液は加熱され、一般的な開始剤が添加される。モノマー混合物に開始剤を添加し、次いで有機溶剤を添加し、続いて、その結果生じた溶液を加熱することも可能である。
【0065】
メタクリル酸が、特に好ましいモノマーM−Aである。
【0066】
特に好ましいモノマーM−Bは、N−O結合を有するモノマーであり(すなわちn=0)、下記のものが特に好ましい。
【0067】
【化13】

【0068】
別の好ましいM−Bは下記のものである。
【0069】
【化14】

【0070】
特に好ましいモノマーM−Cは、Rが−CH3を表すモノマーである。
【0071】
単位(A)、(B)及び(C)に加えて、コポリマーCPは他の構造単位を含むこともできる。任意選択の構造単位の量は、コポリマーを基準として、好ましくは、0〜80重量%、より好ましくは、50重量%以下、特に好ましくは、35重量%以下である。好ましい態様によれば、単位(A)、(B)及び(C)に加えて、コポリマー中に更なる構造単位は存在しない。任意選択の構造単位は、例えば、スチレン及び置換されたスチレン、(メタ)アクリレート、及びアリル化合物などから誘導された単位である。
【0072】
コポリマーCPは、UV/VIS感光性(250〜750nm、好ましくは、300〜450nm)要素、及びIR感光性(750〜1,200nm、好ましくは、800〜1,100nm)要素のためのバインダーとして使用することができる。これらはポジ型要素及びネガ型要素の両方に使用することができる。これらは、好ましくは、IR感光性要素、特に好ましくは、ポジ型IR感光性要素に使用される。それというのも、これらは低い耐化学薬品性の問題をしばしば呈するからである。コポリマーCPはさらに、これらがベーキング可能であるという利点を有している。
【0073】
平版印刷版前駆体
平版印刷版の前駆体は、親水性表面を有する基板と、基板上に適用された輻射線感光性塗膜とを含んでなる。
【0074】
基板
輻射線感光性前駆体のために使用される基板は好ましくは、寸法安定性を有するプレート状又はフォイル状材料が好ましくは使用される。印刷版前駆体を製造する際には、印刷物のための基板として既に使用されている寸法安定性を有するプレート状又はフォイル状材料を使用することができる。このような基板の例は、紙、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)で塗布された紙、金属プレート又はフォイル、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)、亜鉛及び銅プレート、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリビニルアセテートから形成されたプラスチック・フィルム、及び紙又はプラスチック・フィルムと上述の金属のうちの1種とから形成された積層材料、又は蒸着により金属化された紙/プラスチック・フィルムを含む。これらの基板の中では、アルミニウム・プレート又はフォイルが特に好ましい。それというのは、アルミニウム・プレート又はフォイルは卓越した寸法安定度を示し、低廉であり、そしてさらに輻射線感光性塗膜に対する優れた付着力を呈するからである。さらに、複合フィルムを使用することもでき、この複合フィルムの場合、アルミニウム・フォイルが、プラスチック・フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート・フィルム、又は紙、又は、アルミニウムが蒸着によって適用されているプラスチック・フィルム上にラミネートされている。
【0075】
金属基板、具体的にはアルミニウム基板には、例えば、乾燥状態でのブラッシング、又は研磨懸濁液を用いたブラッシング、又は例えば塩酸電解質又はHNO3を用いた電気化学的なグレイニングによるグレイニング処理、及び任意選択的に、例えば、硫酸又はリン酸中の陽極処理が施されるのが好ましい。
【0076】
好ましくは、厚さ0.1〜0.7mm、より好ましくは、0.15〜0.5mmのアルミニウム・フォイルが特に好ましい基板である。ファイルがグレイニング処理(好ましくは、電気化学的)され、次いで平均粗さ0.2〜1μm、特に好ましくは、0.3〜0.8μmを示すことが好ましい。
【0077】
特に好ましい態様によれば、グレイニング処理されたアルミニウム・フォイルはさらに陽極処理されている。得られる酸化アルミニウムの層重量は、好ましくは、1.5〜5g/m2、特に好ましくは、2〜4g/m2である。
【0078】
さらに、グレイニング処理、及び任意選択的に陽極処理を施された金属基板の表面の親水特性を改善するために、例えば、ケイ酸ナトリウム、フッ化カルシウムジルコニウム、ポリビニルホスホン酸又はリン酸の水溶液による後処理を、金属基板に施すことができる。
【0079】
上記基板処理の詳細は当業者によく知られている。
【0080】
ネガ型輻射線感光性要素
ネガ型塗膜は、数多くの参考文献に記載されており、例えば、ネガ型ジアゾ樹脂に基づくUV感光性塗膜が欧州特許第0752430号明細書に記載されており、405nmに対して感光性のフォトポリマー層が、ドイツ国特許第10307451号明細書に記載されており、VISに対して感光性のフォトポリマー層が、欧州特許第0684522号明細書に記載されており、そしてIR感光性の重合性系が、ドイツ国第199068232号に記載されている。
【0081】
光重合(UV/VIS及びIR)
基板上に適用されたネガ型塗膜の1つのタイプは、(a)波長250〜1,200nmの輻射線を吸収し、そしてラジカル重合を開始することができる、光開始剤及び増感剤/共開始剤系から選ばれた少なくとも1種の成分、並びに(b)ラジカル重合性モノマー、オリゴマー、及び/又はプレポリマーを含み、このような塗膜内では、新規のコポリマーを、単独の高分子バインダーとして、又は他のバインダーと一緒に使用することができる。
【0082】
吸収剤成分
輻射線感光性塗膜はさらに、光開始剤及び増感剤/共開始剤系から選ばれた少なくとも1種の吸収剤成分を含む。
【0083】
吸収剤成分は、後で画像形成中に使用されるべき輻射線源が放射する範囲において有意な吸収を行うことができるように選ばれ、好ましくは、吸収剤は、その範囲内で吸収極大値を示す。こうして、輻射線感光性要素がIRレーザーによって画像形成されるようになっている場合には、吸収剤は本質的に、約750〜1,200nmの輻射線を吸収し、そして好ましくは、その範囲において吸収極大値を示すのがよい。他方において、画像形成がUV/VIS線によって行われるようになっている場合、吸収剤は本質的に、約250〜750nmの輻射線を吸収し、そして好ましくは、その範囲において吸収極大値を示すのがよい。好適な光開始剤及び/又は増感剤が当業者に知られており、又は、有意な吸収が所期波長範囲内で生じるかどうかを、単純な試験(例えば、吸収スペクトルの記録)によって容易に見極めることができる。
【0084】
本発明において、光開始剤は、露光されると輻射線を吸収することができ、そしてそれ自体で、すなわち共開始剤の添加無しにフリーラジカルを形成することができる化合物である。UV又はVIS線を吸収する好適な光開始剤の例は、1〜3つのCX3基を有するトリアジン誘導体(いずれのXも独立して、塩素又は臭素原子から選ばれ、そして好ましくは、塩素原子である)、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、オキシムエーテル、オキシムエステル、α−ヒドロキシ−又はα−アミノ−アセトフェノン、アシルホスフィン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、メタロセン、過酸化物などを含む。好適なトリアジン誘導体の例は、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを含む。好適なオキシムエーテル及びオキシムエステルは、例えば、ベンゾインから誘導されたものである。好ましいメタロセンは、例えば、2つの5員シクロジエニル基、例えば、シクロペンタジエニル基と、少なくとも1つのオルト−フッ素原子及び任意選択的に1つのピリル基をも有する1つ又は2つの6員芳香族基とを含むチタノセンであり;最も好ましいメタロセンは、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニル]チタニウム及びジシクロペンタジエン−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−チタニウム又はジルコニウムである。
【0085】
本発明において、単一の光開始剤、又は2種又は3種以上のものの混合物を使用することができる。
【0086】
光開始剤は、単独で、又は1種もしくは2種以上の共開始剤との組み合わせで使用することができ、共開始剤が添加されると、光開始の効果を増大させることができる。
【0087】
光開始剤の量は特に限定されることはないが、光開始剤が存在する場合、これは乾燥層重量を基準として、好ましくは、0.2〜25重量%、特に好ましくは、0.5〜15重量%である。
【0088】
本発明において言及される増感剤は、露光されると輻射線を吸収することができるが、しかしそれ自体では、すなわち共開始剤の添加無しではフリーラジカルを形成することはできない化合物である。
【0089】
光被酸化性もしくは光被還元性であるか、又はそれらの励起エネルギーを受容体分子に転移することができる全ての光吸収化合物が、本発明における使用に適した増感剤である。このような色素の例は、シアン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、ジアリールメタン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、クマリン誘導体、ケトクマリン色素、アクリジン色素、フェナジン色素、キノキサリン色素、ピリリウム色素、又はチアピリリウム色素、アザアヌレン色素(例えば、フタロシアニン及びポルフィリン)、インディゴ色素、アントラキノン色素、ポリアリーレン、ポリアリールポリエン、2,5−ジフェニルイソベンゾフラン、2,5−ジアリールフラン、2,5−ジアリールチオフラン、2,5−ジジアリールピロール、2,5−ジアリールシクロペンタジエン、ポリアリールフェニレン、ポリアリール−2−ピラゾリン、カルボニル化合物、例えば、芳香族ケトン又はキノン、例えば、ベンゾフェノン誘導体、ミヒラーケトン、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、及びフルオレノン誘導体を含む。
【0090】
式(I)のクマリン増感剤は、例えば、電磁スペクトルのUV範囲に適している。
【0091】
【化15】

【0092】
上記式中、
1、R16、R17、及びR18は独立して、−H、ハロゲン原子、C1〜C20アルキル、−OH、−O−R4、及び−NR56から選ばれ、R4は、C1〜C20アルキル、C5〜C10アリール、又はC6〜C30アラルキル(好ましくは、C1〜C6アルキル)であり、そしてR5及びR6は独立して水素原子及びC1〜C20アルキルから選ばれ、
又は、R1及びR16、R16及びR17、もしくはR17及びR18が一緒になって、式(I)に示したフェニル環に隣接する一方又は両方の位置において、N及びOから選ばれたヘテロ原子を有する5又は6員複素環を形成し、
又は、R16及びR17は、その2つの隣接する置換基のそれぞれと一緒になって、式(I)に示したフェニル環に隣接する一方又は両方の位置において、N及びOから選ばれたヘテロ原子を有する5又は6員複素環を形成し、
形成されたそれぞれの5又は6員複素環は独立して、1つ又は2つ以上のC1〜C6アルキル基で置換されることができ、
但し、R1、R16、R17、及びR18のうちの少なくとも1つが、水素及びC1〜C20アルキルとは異なっており、
2は、水素原子、C1〜C20アルキル、C5〜C10アリール、又はC6〜C30アラルキルであり、そして、
3は、水素原子、又は−COOH、−COOR7、−COR8、−CONR910、−CN、C5〜C10アリール、C6〜C30アラルキル、又は5もしくは6員複素環式の、任意選択的にベンゾ縮合された基、基−CH=CH−R12、及び
【0093】
【化16】

【0094】
から選ばれた置換基ある。
【0095】
上記式中、R7はC1〜C20アルキルであり、R8はC1〜C20アルキル、又は5もしくは6員複素環式基であり、R9及びR10は独立して、水素原子及びC1〜C20アルキルから選ばれ、R11はC1〜C12アルキルもしくはアルケニル、複素環式非芳香族環、又はO、S及びNから選ばれたヘテロ原子を任意選択的に有するC5〜C20アリールであり、そしてR12は、C5〜C10アリール、又は5又は6員複素環式の、任意選択的に芳香族である環であり;
又は、R2及びR3は、これらが結合された炭素原子と一緒になって、5又は6員の、任意選択的に芳香族である環である。
【0096】
これらは、例えば、国際公開第2004/049068号パンフレットに、より詳細に記載されている。
【0097】
さらに、国際公開第2004/074929号パンフレットにより詳細に記載されているような式(II)のビスオキサゾール誘導体及び類似体:
【0098】
【化17】

【0099】
(上記式中、
Xは、複素環と共役した少なくとも1つのC−C二重結合を含むスペーサ基であり、
Y及びZは独立して、任意選択的に置換された縮合芳香族環を表し、そして
V及びWは独立して、O、S及びNRから選ばれ、Rは、任意選択的に一置換されるか又は多置換されていることができるアルキル、アリール及びアラルキル基である)、及び国際公開第2004/074930号パンフレットにより詳細に記載されているような式(III)のオキサゾール化合物:
【0100】
【化18】

【0101】
(上記式中、
各R1、R2及びR3は独立して、ハロゲン原子、任意選択的に置換されたアルキル基、縮合されてもよい任意選択的に置換されたアリール基、任意選択的に置換されたアラルキル基、基−NR45及び基−OR6から選ばれ、
4及びR5は独立して、水素原子、アルキル、アリール又はアラルキル基から選ばれ、
6は、任意選択的に置換されたアルキル、アリール又はアラルキル基又は水素原子であり、そしてk、m及びnは独立して、0又は整数1〜5である)
がUV範囲に適している。
【0102】
国際公開第2004/111731号パンフレットに記載された式(IV)の1,4−ジヒドロピリジン化合物は、UV範囲に適した別のクラスの増感剤の例である:
【0103】
【化19】

【0104】
上記式中、
1は、水素原子、−C(O)OR7、任意選択的に置換されたアルキル基、任意選択的に置換されたアリール基、及び任意選択的に置換されたアラルキル基から選ばれ、
2及びR3は独立して、任意選択的に置換されたアルキル基、任意選択的に置換されたアリール基、CN及び水素原子から選ばれ、
4及びR5は独立して、−C(O)OR7、−C(O)R7、−C(O)NR89、及びCNから選ばれ、
又は、R2及びR4は一緒になって、任意選択的に置換されたフェニル環又は5〜7員炭素環又は複素環を形成し、ここで単位
【0105】
【化20】

【0106】
は、ジヒドロピリジン環の位置5に隣接する炭素環又は複素環内に存在し、そして、炭素環又は複素環は任意選択的に追加の置換基を含んでなり、
又は、R2及びR4、並びにR3及びR5の両方は、任意選択的に置換されたフェニル環又は5〜7員炭素環もしくは複素環を形成し、ここで単位
【0107】
【化21】

【0108】
は、ジヒドロピリジン環の位置3及び5に隣接する炭素環又は複素環内に存在し、そして、炭素環又は複素環は任意選択的に追加の置換基を含んでなり、
又は、R2/R4の組、及びR3/R5の組のうちの一方が、5〜7員炭素環又は複素環を形成し、ここで単位
【0109】
【化22】

【0110】
は、ジヒドロピリジン環の位置5又は3に隣接する炭素環又は複素環内に存在し、そして、炭素環又は複素環は任意選択的に追加の置換基を含んでなり、そして他方の組は、任意選択的に置換されたフェニル環を形成し、
又はR2及びR1、もしくはR3及びR1が、任意選択的に1つ又は2つ以上の置換基を含むことができる5〜7員複素環を形成し、そして該複素環は、1,4−ジヒドロピリジン環と共有する窒素原子に加えて、任意選択的に、追加の窒素原子、−NR13基、−S−又は−O−を含んでなり、
13は、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれ、
6は、任意選択的にハロゲン原子又は−C(O)基で置換されたアルキル基、任意選択的に置換されたアリール基、任意選択的に置換されたアラルキル基、任意選択的に置換された複素環式基、及び基
【0111】
【化23】

【0112】
(Yはアルキレン又はアリーレン基である)から選ばれ、
7は、水素原子、アリール基、アラルキル基又はアルキル基であり、アルキル基、及びアラルキル基のアルキル単位は任意選択的に、1つ又は2つ以上のC−C二重結合及び/又はC−C三重結合を含み、
そして、R8及びR9は独立して、水素原子、任意選択的に置換されたアルキル基、任意選択的に置換されたアリール基、及び任意選択的に置換されたアラルキル基から選ばれる。
【0113】
ドイツ国第10 2004 051 810号に、より詳細に記載された式(V)
【0114】
【化24】

【0115】
(上記式中、
【0116】
【化25】

【0117】
及び各
【0118】
【化26】

【0119】
は、独立して芳香族又は複素環式芳香族単位を表し、
各R1及びR2は独立して、ハロゲン原子、アルキル、アリール、又はアラルキル基、基−NR45又は基−OR6から選ばれ、
4、R5及びR6は独立して、アルキル、アリール、及びアラルキル基から選ばれ、そして
nは、少なくとも2の整数であり、そして
k及びmは独立して、0又は1〜5の整数を表す)
の増感剤、
並びに、ドイツ国第10 2004 055 733号により詳細に記載された、式(VI)
【0120】
【化27】

【0121】
(上記式中、
【0122】
【化28】

【0123】
は、共役π系が構造(I)内の2つの基Zの間に存在するような芳香族又は複素芳香族単位、又は、これら2つの単位の組み合わせであり、
各Zは独立して、スペーサASと共役系とを結合するヘテロ原子を表し、
各R1及びR2は独立して、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アルキルアリール、又はアラルキル基、基−NR34又は基−OR5から選ばれ、
各R3、R4及びR5は独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール及びアラルキル基から選ばれ、
a及びbは独立して、0又は1〜4の整数を表し、
nは値>1を有し、そして
ASは脂肪族スペーサである)
のオリゴマー又はポリマー化合物も、UV感光性要素に適している。
【0124】
輻射線感光性要素がVISレーザーダイオードを用いて露光される場合、国際公開第03/069411号パンフレットに記載された、例えば、シアノピリドン誘導体が、増感剤として適している。
【0125】
IR感光性要素のために、増感剤は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン顔料/色素、及びポリチオフェン、スクアリリウム、チアゾリウム、クロコネート、メロシアニン、シアニン、インドリジン、ピリリウム、又は金属ジチオリンのクラスの顔料/色素から、特に好ましくは、シアニン・クラスから選ばれる。例えば、米国特許第6,326,122号明細書の表1において述べられた化合物が、好適なIR吸収剤である。更なる例は、米国特許第4,327,169号明細書、同第4,756,993号明細書、同第5,156,938号明細書、国際公開第00/29214号パンフレット、米国特許第6,410,207号、及び欧州特許出願公開第1 176 007号明細書に見いだすことができる。
【0126】
1つの態様によれば、式(VII)のシアニン色素が使用される:
【0127】
【化29】

【0128】
(上記式中、
各Z1は独立して、S、O、NRa又はC(アルキル)2を表し;
各R’は独立して、アルキル基、アルキルスルホネート基、又はアルキルアンモニウム基を表し;
R’’はハロゲン原子、SRa、ORa、SO2a又はNRa2を表し;
各R’’’は独立して、水素原子、アルキル基、−COORa、ORa、−SRa、−NRa2、又はハロゲン原子を表し;R’’’はベンゾ縮合環であってもよく;
-はアニオンを表し;
b及びRcは両方とも、水素原子を表すか、又はこれらが結合された炭素原子と一緒になって炭素環式5員又は6員環を形成し;
aは、水素原子、アルキル又はアリール基を表し;
各bは独立して、0、1、2又は3である)。
【0129】
R’がアルキルスルホネート基を表す場合、アニオンA-が必要とならないように内塩を形成することができる。R’がアルキルアンモニウム基を表す場合、A-と同じ又はA-とは異なる第2の対イオンが必要とされる。
【0130】
式(VII)のIR色素のうち、対称的な構造を有する色素が特に好ましい。
【0131】
特に好ましい色素の例は:
2−[2−[2−フェニルスルホニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド、
2−[2−[2−チオフェニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド、
2−[2−[2−チオフェニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムトシレート、
2−[2−[2−クロロ−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−ベンゾ[e]−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−1H−ベンゾ[e]−インドリウムトシレート、及び、
2−[2−[2−クロロ−3−[2−エチル−(3H−ベンズチアゾル−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−3−エチル−ベンズチアゾリウムトシレート
を含む。
【0132】
下記化合物も、本発明に適したIR吸収剤である。
【0133】
【化30】

【0134】
【化31】

【0135】
【化32】

【0136】
【化33】

【0137】
【化34】

【0138】
【化35】

【0139】
【化36】

【0140】
本発明において、1種の増感剤、又は2種もしくは3種以上のものの混合物を使用することができる。
【0141】
増感剤は1種又は2種以上の共開始剤と組み合わせて使用される。加えて、光開始剤を使用することができるが、これは好ましくない。
【0142】
増感剤の量は特に限定されることはないが、増感剤が存在する場合には、増感剤は乾燥層重量を基準として、好ましくは、0.2〜15重量%、特に好ましくは、0.5〜10重量%である。光開始剤及び増感剤の両方が塗膜中に存在する場合には、これらの総量は、乾燥層重量を基準として、好ましくは、0.5〜30重量%、特に好ましくは、1〜15重量%である。
【0143】
本発明において言及される共開始剤は、照射された場合に本質的に吸収することができないが、本発明において使用される輻射線吸収増感剤と一緒にフリーラジカルを形成する化合物である。共開始剤は、例えば、オニウム化合物、例えば、オニウム・カチオンがヨードニウム(例えば、トリアリールヨードニウム塩)、スルホニウム(例えば、トリアリールスルホニウム塩)、ホスホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウム、ジアゾニウム、セレノニウム、アルセノニウム、及びN置換型N複素環式オニウム・カチオン(Nは、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、又はアリールで置換されている);N−アリールグリシン及びこれらの誘導体(例えば、N−フェニルグリシン);芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロメチルアリールスルホン;イミド、例えば、N−ベンゾイルオキシフタルイミド;ジアゾスルホネート;9,10−ジヒドロアントラセン誘導体;アリール単位の窒素、酸素、又は硫黄原子に当該カルボキシ基のうちの少なくとも1つが結合された少なくとも2つのカルボキシ基を有するN−アリール、S−アリール、又はO−アリールポリカルボン酸(例えば、アニリン二酢酸及びその誘導体、及び米国特許第5,629,354号明細書に記載されたその他の共開始剤):ヘキサアリールビイミダゾール;チオール化合物(例えば、メルカプトベンズチアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、及びメルカプトトリアゾール);1〜3つのCX3基を有する1,3,5−トリアジン誘導体(いずれのXも独立して、塩素又は臭素原子から選ばれ、そして好ましくは、塩素原子である)、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン;オキシムエーテル及びオキシムエステル、例えば、ベンゾインから誘導されたもの;メタロセン(好ましくは、チタノセン、及び特に好ましくは、2つの5員シクロジエニル基、例えば、シクロペンタジエニル基と、少なくとも1つのオルトフッ素原子及び任意選択的にピリル基をも有する1つ又は2つの6員芳香族基とを含むチタノセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニル]チタニウム及びジシクロペンタジエン−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−チタニウム又はジルコニウム);アシルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシド、及びジアシルホスフィン過酸化物(例えば、有機過酸化物のタイプのアクチベータとして欧州特許出願公開第1 035 435号明細書に挙げたもの)、α−ヒドロキシ又はα−アミノアセトフェノン、アシルホスフィン、アシルホスフィンスルフィド、カルボニル化合物、例えば、芳香族ケトン又はキノン、例えば、ベンゾフェノン誘導体、ミヒラーケトン、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、及びフルオレノン誘導体から選ばれる。
【0144】
好適な2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサアリールビイミダゾール(以下、単にヘキサアリールビイミダゾールと呼ぶ)は、下記式(VIII)によって表される:
【0145】
【化37】

【0146】
(上記式中、A1〜A6は、互いに同一の又は異なる置換もしくは無置換のC5〜C20アリール基であって、基の環内で、1つ又は2つ以上の炭素原子を、O、N及びSから選ばれたヘテロ原子によって任意選択的に置換されることができる基である。アリール基のための好適な置換基は、トリアリールイミダゾリル・ラジカルへの光誘起解離を阻止することのない置換基、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、−CN、C1〜C6アルキル(ハロゲン原子、−CN、及び−OHから選ばれた1つ又は2つ以上の置換基を、任意選択的に有する)、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオ、(C1〜C6アルキル)スルホニルである。
【0147】
好ましいアリール基は、置換及び無置換のフェニル、ビフェニル、ナフチル、ピリジル、フリル、及びチエニル基である。特に好ましいのは、置換及び無置換のフェニル基であり、そして特に好ましいのは、ハロゲン置換されたフェニル基である。
【0148】
例には:
2,2’−ビス(ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−カルボキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−エトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(m−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ヘキソキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス[m−(ベータフェノキシ−エトキシフェニル)]ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−メトキシフェニル)−4,4’−ビス(o−メトキシフェニル)−5,5’−ジフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
【0149】
2,2’−ビス(p−フェニルスルホニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−スルファモイルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4,5−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−4−ビフェニリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−1−ナフチル−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ジ−9−フェナントリル−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ジフェニル−4,4’,5,5’−テトラ−4−ビフェニリルビイミダゾール、
2,2’−ジフェニル−4,4’,5,5’−テトラ−2,4−キシリルビイミダゾール、
2,2’−ジ−3−ピリジル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−3−チエニル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−o−トリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−p−トリル−4,4'−ジ−o−トリル−5,5’−ジフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−2,4−キシリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサキス(p−フェニルチオフェニル)ビイミダゾール、
【0150】
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサ−1−ナフチルビイミダゾール、
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2−ニトロ−5−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、及び
2,2’−ビス(2−クロロ−5−スルホフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
が含まれ、
【0151】
そして特に好ましいのは:
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロ−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、又は
2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール
であるが;
しかし本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0152】
好適なヘキサアリールビイミダゾールは、公知の方法(例えば、米国特許第3,445,232号明細書参照)に従って調製することができる。好ましいプロセスは、アルカリ溶液中で、相応のトリアリールイミダゾールを、鉄−(III)−ヘキサシアノフェレート(II)で酸化的二量化することである。
【0153】
ヘキサアリールビイミダゾール異性体(又は異性体の混合物)を使用すること(例えば、1,2’−、1,1’−、1,4’−、2,2’−、2,4’−、及び4,4’−異性体)は、これが光解離性であり、そして現像処理時にトリアリールイミダゾリル・ラジカルを提供する限り、本発明の目的上不適切である。
【0154】
共開始剤として適したトリハロゲンメチル化合物は、フリーラジカルを形成することができる。トリハロゲンメチル置換されたトリアジン及びトリハロゲンメチル−アリールスルホンが好ましい。下記のものを例として挙げることができる(本発明をこれらの化合物に限定することはない):
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス−(トリブロモメチル)−s−トリアジン、及び
トリブロモメチルフェニルスルホン。
【0155】
多くの共開始剤が、吸収帯内で露光されたときに光開始剤として機能することもできる。このように、光開始剤又は増感剤は長波長スペクトル範囲(IR及び/又は可視範囲)を対象とし、そして共開始剤は短波長スペクトル範囲(例えば、UV範囲)を対象とするので、例えば、幅広いスペクトル範囲にわたって感光性を有する感光性層を得ることができる。この効果は、消費者が種々異なる輻射線源で同じ材料を照射することを望む場合には、有利であり得る。この場合、共開始剤は、IR又は可視範囲に対しては、上記定義の意味における実際の共開始剤として機能する一方、UV範囲に対しては光開始剤として機能する。
【0156】
本発明において、1種の共開始剤、又は共開始剤の混合物を使用することができる。
【0157】
共開始剤の量は具体的に限定されることはないが、乾燥層重量を基準として、好ましくは、0.2〜25重量%、特に好ましくは、0.5〜15重量%である。
【0158】
IR感光性塗膜のための好適な増感剤、及び共開始剤の更なる例は、国際公開第2004/041544号パンフレット、同第2000/48836号パンフレット、及びドイツ国第10 2004 003143号にも記載されている。
【0159】
ラジカル重合性成分
少なくとも1つのC−C二重結合を含む全てのモノマー、オリゴマー、及びポリマーを、ラジカル重合性モノマー、オリゴマー、及びポリマーとして使用することができる。C−C三重結合を有するモノマー/オリゴマー/ポリマーを使用することもできるが、しかしこれらは好ましくない。当業者には好適な化合物がよく知られており、これらを本発明において、いかなる特定の限定もなしに使用することができる。モノマー、オリゴマー又はプレポリマーの形態の、1つ又は2つ以上の不飽和基を有するアクリル酸及びメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸及びフマル酸のエステルが好ましい。これらは固体又は液体の形態で存在してよく、固体及び高粘性形態が好ましい。モノマーとして適した化合物は、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート及びペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート及びヘキサメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート及びテトラメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、又はテトラエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレートを含む。好適なオリゴマー及び/又はプレポリマーは、例えば、ウレタンアクリレート及びメタクリレート、エポキシドアクリレート及びメタクリレート、ポリエステルアクリレート及びメタクリレート、ポリエーテルアクリレート及びメタクリレート、又は不飽和型ポリエステル樹脂である。
【0160】
モノマー及び/又はオリゴマーに加えて、主鎖又は側鎖内にラジカル重合性のC−C二重結合を含むポリマーを使用することもできる。その例は、無水マレイン酸オレフィン・コポリマーとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物(例えば、独国特許第4 311 738号明細書参照);アリルアルコールで部分又は完全エステル化された(メタ)アクリル酸ポリマー(例えば、独国出願公開第3 332 640号明細書参照;高分子ポリアルコールとイソシアナト(メタ)アクリレートとの反応生成物;不飽和型ポリエステル;(メタ)アクリレートを末端基とするポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸ポリマー、ラジカル重合性基を含むエポキシドで部分又は完全エステル化された(メタ)アクリル酸ポリマー;及び任意選択的に更なるコモノマーとのアリル(メタ)アクリレートの重合によって得ることができるアリル側基を有するポリマーを含む。
【0161】
本発明において使用することができるラジカル重合性化合物はまた、分子量3,000以下であり、そしてジイソシアネートを、(i)1つのヒドロキシ基を有するエチレン系不飽和型化合物と、そして同時に(ii)1つのNH基及び1つのOH基を有する飽和型有機化合物と反応させることにより得られる反応生成物である化合物を含む。反応物質は下記条件:
イソシアネート基のモル数≦OH基プラスNH基のモル数
に基づく量で使用される。
【0162】
ジイソシアネートの例は下記式によって表される:
【0163】
【化38】

【0164】
(上記式中、a及びbは独立して、0又は整数1〜3を表し、各R9は独立して、H及びC1〜C3アルキルから選ばれ、そしてDは、2つのイソシアネート基に加えて更なる置換基を任意選択的に含むことができる飽和型又は不飽和型スペーサである)。
Dは鎖状又は環状の単位となることができる。本発明において使用される「ジイソシアネート」という用語は、2つのイソシアネート基を含むが、しかしOH基を含まず、また第2級及び第1級アミノ基も含まない有機化合物をいう。
【0165】
Dは、例えば、アルキレン基(CH2wであることが可能であり、wは整数1〜12,好ましくは、1〜6であり、そして1つ又は2つ以上の水素原子は、置換基、例えば、アルキル基(好ましくは、C1〜C6)、シクロアルキレン基、アリーレン基、又は飽和型もしくは不飽和型複素環式基で、任意選択的に置換される。
【0166】
ヒドロキシ基を含むエチレン系不飽和型化合物(i)は、末端基であることが好ましい少なくとも1つの非芳香族C−C二重結合を含む。ヒドロキシ基は好ましくは、二重結合された炭素原子に結合されておらず、ヒドロキシ基はカルボキシ基の部分ではない。1つのOH基に加えて、エチレン系不飽和型化合物(i)は、イソシアネートと反応することができる更なる官能基、例えば、NHを含まない。
【0167】
エチレン系不飽和型化合物(i)の例は、
ヒドロキシ(C1〜C12)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−、3−、又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシ(C1〜C12)アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2−、3−又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド)、オリゴマー又はポリマーエチレングリコール又はプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート(例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート)、アリルアルコール、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ(C1〜C12)アルキルスチレン(例えば、4−ヒドロキシメチルスチレン)、4−ヒドロキシスチレン、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート
を含む。
【0168】
本発明において使用される「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及びアクリレート等の両方を示す。
【0169】
飽和型有機化合物(ii)は、1つのOH基及び1つのNH基を有する化合物である。
【0170】
飽和型有機化合物(ii)は、例えば、下記式(X)又は(XI)によって表すことができる:
【0171】
【化39】

【0172】
[上記式中、R10は直鎖状(好ましくは、C1〜C12、特に好ましくは、C1〜C4)、分枝状(好ましくは、C3〜C12、特に好ましくは、C3〜C6)、又は環状(好ましくは、C3〜C8、特に好ましくは、C5〜C6)アルキル基であり、
Eは、直鎖状(好ましくは、C1〜C6、特に好ましくは、C1〜C2)、分枝状(好ましくは、C3〜C12、特に好ましくは、C3〜C6)、又は環状(好ましくは、C3〜C8、特に好ましくは、C5〜C6)アルキレン基であり、
【0173】
【化40】

【0174】
は、上記窒素原子に加えてS、O及びNR12から選ばれた別のヘテロ原子を任意選択的に含む環内原子数5〜7の飽和型複素環を表し、R12は、OH基で任意選択的に置換されたアルキル基であり、
11は、OH、又はOH基で置換された直鎖状、分枝状、又は環状アルキル基であり、そして複素環がNR12を含んでなり、そしてR12がOHで置換されたアルキル基である場合にはz=0であり、そして飽和型複素環がNR12を含んでいない場合、又は飽和型複素環がNR12を含んでなり、そしてR12が無置換のアルキル基である場合には、z=1である]。
【0175】
イソシアネート基のモル数は、組み合わされたOH基とNH基とのモル数を超えてはならない。それというのも、生成物は、これ以上遊離イソシアネート基を含むべきではないからである。
【0176】
追加の好適なC−C不飽和型ラジカル重合性化合物が、欧州特許出願公開第1 176 007号明細書に記載されている。
【0177】
種々異なる種類のモノマー、オリゴマー、又はポリマーを混合物中で使用することがもちろん可能であり、さらに、モノマー及びオリゴマー及び/又はポリマーの混合物、並びにオリゴマーとポリマーとの混合物を、本発明において使用することもできる。
【0178】
ラジカル重合性成分は好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%の量で使用される。
【0179】
バインダー
上記コポリマーCPは、光重合性の系(UV/VIS又はIR感光性)中のバインダーとして使用することができる。
【0180】
コポリマーCPが単独のバインダーとして使用される場合、これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%の量で使用される。
【0181】
しかし、コポリマーCPは、水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性の他のポリマー/コポリマー、例えば、ノボラック及びレゾールのようなフェノール樹脂との混和物、そして(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、及び(メタ)アクリルアミドのコポリマーとの混和物中で使用することもできる(ドイツ国第199 36 331号参照)。バインダーの総量はこの場合好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%である。新規のコポリマーの量は好ましくは、バインダー総量の5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%を占める。
【0182】
ネガ型ジアゾ系(UV感光性)
基板上に適用されるネガ型UV感光性塗膜の別のタイプは、ジアゾニウム重縮合生成物を含んでなり、この場合も同様に、上記コポリマーCPを、単独のバインダーとして、又は他のバインダーと一緒に使用することができる。
【0183】
当業者に知られたジアゾニウム重縮合生成物を、ジアゾニウム重縮合生成物として使用することができる。このような縮合生成物は、例えば、欧州特許出願公開第0 104 863号明細書に記載されたジアゾモノマーを、縮合剤、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、又はベンズアルデヒドと縮合することにより、公知の方法に従って調製することができる。さらに、ジアゾニウム塩単位に加えて、感光性ではなくしかも縮合性化合物、具体的には芳香族アミン、フェノール、フェノールエーテル、芳香族チオールエーテル、芳香族炭化水素、芳香族複素環及び有機酸アミドから誘導された他の単位をも含む共重縮合生成物が使用される。ジアゾニウム重縮合生成物の特に有利な例は、ジアゾ基を担持するフェニル基内にメトキシ基を任意選択的に有するジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩と、ホルムアルデヒド又は4,4’−ビスメトキシメチルジフェニルエーテルとの反応生成物を含む。芳香族スルホネート、例えば、4−トリルスルホネート又はメシチレンスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、及びヘキサフルオロアルセネートが、これらのジアゾ樹脂のアニオンとして特に適している。ジアゾニウム重縮合生成物は好ましくは、感光性組成物中に3〜60重量%の量で存在する。
【0184】
ネガ型輻射線感光性塗膜内のバインダーとしてコポリマーCPと一緒に、ジアゾニウム重縮生成物と上述のUV感光性ラジカル重合性系とのハイブリッド系を使用することもできる。
【0185】
このタイプのネガ型UV感光性塗膜の場合、単独のバインダーとしての上記コポリマーCPは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%の量で存在する。
【0186】
しかし、上記コポリマーCPは、水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性の他のポリマー/コポリマー、例えば、ノボラック及びレゾールのようなフェノール樹脂との混和物、そして(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、及び(メタ)アクリルアミドのコポリマーとの混和物中で使用することもできる(ドイツ国第199 36 331号参照)。バインダーの総量はこの場合好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%である。上記コポリマーCPの量は好ましくは、バインダー総量の5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%を占める。
【0187】
単層ネガ型IR感光性要素
上記コポリマーCPを、別のタイプのネガ型単層IR感光性要素の製造に際してバインダーとして使用することもできる。この場合基板上の輻射線感光性層は、IR線に照射されると水性アルカリ現像剤中に不溶性にされ、又は水性アルカリ現像剤によって浸透不能にされ、そして
(i)加熱時に酸を形成する少なくとも1種の化合物(以下、「潜伏性ブロンステッド酸」とも呼ぶ)、及び
(ii)酸によって架橋可能な成分(以下、「架橋剤」とも呼ぶ)又はこれらの混合物、及び
(iii)少なくとも1種のIR吸収剤
を含んでなる。
【0188】
この原理に基づく系は、例えば、欧州特許第0 625 728号明細書及び同第0 938 413号明細書に記載されている。
【0189】
IR範囲(750超〜1,200nm)からの輻射線を吸収する上記増感剤全てをIR吸収剤として使用することもできる。
【0190】
イオン性及び非イオン性ブロンステッド酸を、潜伏性ブロンステッド酸として使用することができる。イオン性潜伏性ブロンステッド酸の例は、オニウム塩、具体的にはヨードニウム、スルホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、ホスホニウム、セレノニウム、テルロニウム、ジアゾニウム及びアルソニウム塩を含む。具体例は、ジフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルメチル−オルト−シアノベンジルスルホニウム−トリ−フルオロメタンスルホネート、及び2−メトキシ−4−アミノフェニル−ジアゾニウム−ヘキサフルオロホスフェートを含む。
【0191】
非イオン性潜伏性ブロンステッド酸の例は、RCH2X、RCHX2、RCX3,R(CH2X)2、及びR(CH2X)3を含み、Xは、Cl、Br、F又はCF3SO3を表し、そしてRは芳香族基、脂肪族基、又はアラリファティック基である。
【0192】
下式のイオン性潜伏性ブロンステッド酸も好適である:
【0193】
【化41】

【0194】
(上式中、Xがヨウ素を表す場合には、R1c及びR1dは遊離電子対であり、そしてR1a及びR1bはアリール基又は置換されたアリール基であり、
XがS又はSeを表す場合には、R1dは遊離電子対であり、そしてR1a、R1b及びR1cは独立して、アリール基、置換されたアリール基、脂肪族基、又は置換された脂肪族基から選ばれ、
XがP又はAsを表す場合には、R1dはアリール基、置換されたアリール基、脂肪族基、又は置換された脂肪族基であることが可能であり、そして
Wは、BF4,CF3SO3、SbF6、CCl3CO2,ClO4,AsF6又はPF6から選ばれる)。
【0195】
1〜C5−アルキルスルホネート、アリールスルホネート(例えば、ベンゾイントシレート、2−ヒドロキシメチルベンゾイントシレート、及び2,6−ジニトロベンジルトシレート)及びN−C1〜C5−アルキル−スルホニルスルホンアミド(例えば、N−メタンスルホニル−p−トルエン−スルホンアミド及びN−メタンスルホニル−2,4−ジメチルベンゼン−スルホンアミド)も好適である。
【0196】
具体的な好適なオニウム化合物は、例えば、米国特許第5,965,319号明細書において、式(I)〜(III)として詳細に挙げられている。
【0197】
潜伏性ブロンステッド酸は好ましくは、乾燥層重量を基準として、0.5〜50重量%、特に好ましくは、3〜20重量%の量で使用される。
【0198】
架橋剤は、例えば、レゾール、C1〜C5−アルコキシメチルメラミン、C1〜C5−アルコキシメチル−グリコールウリル樹脂、ポリ(C1〜C5−アルコキシ−メチル−スチレン)、及びポリ(C1〜C5−アルコキシメチルアクリルアミド)、エポキシド化ノボラック樹脂、及び尿素樹脂から選ばれた樹脂であることが可能である。具体的には、芳香族環に結合された、ヒドロキシメチル、アルコキシメチル、エポキシ、及びビニルエーテル基から選ばれた、分子内に少なくとも2つの基を含む化合物を、架橋剤として使用することができ、これらのうち、米国特許第5,965,319号明細書の第31〜37欄に挙げられているように、ベンゼン環に結合された、ヒドロキシメチル及びアルコキシメチル基から選ばれた少なくとも2つの基を有するフェノール誘導体、3〜5つのベンゼン環及び分子量1,200以下が好ましい。
【0199】
架橋剤は好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜90重量%、特に好ましくは、10〜60重量%の量で使用される。
【0200】
コポリマーCPは輻射線感光性層内のバインダーとして作用することができる。しかしながら、例えば、アルカリ可溶性又は分散性(コ)ポリマー、例えば、ノボラック、アセトンピロガロール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、及び米国特許第5,965,319号明細書に成分(C)として挙げられているようなヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド−コポリマー、米国特許第5,919,601号明細書にバインダー樹脂として記載されているようなポリマー、及びドイツ国第199 36 331号に記載されているようなコポリマーから選ばれた、1種又は2種以上の追加のバインダーが任意選択的に存在することも可能である。
【0201】
コポリマーCPが単独のバインダーとして使用される場合、CPは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、5〜60重量%の量で存在する。CPが他のポリマー/コポリマーとの混和物中で使用される場合、バインダー総量(乾燥層重量を基準として、好ましくは、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%)中のこれらの量は好ましくは、バインダー総量を基準として5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量を占める。
【0202】
原則的に、例えば、米国特許第5,919,601号明細書及び国際公開第00/17711号パンフレットに記載されているような、公知の、単層構造を有するIR感光性要素を、塗膜中にコポリマーCPを追加して使用することにより改質することができる。単層構造の場合、改質されたポリマーは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜80重量%、特に好ましくは、20〜60重量%の量で使用される。
【0203】
ポジ型輻射線感光性要素
UV−感光性
ポジ型UV要素は、例えば、米国特許第4,594,306号明細書に記載されているように、キノンジアジド(好ましくは、ナフトキノンジアジド)及びノボラックを基剤とすることができる。
【0204】
コポリマーCPが単独のバインダーとして使用される場合、CPは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%の量で存在する。
【0205】
しかし、コポリマーCPは、水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性の他のポリマー/コポリマー、例えば、ノボラック及びレゾールのようなフェノール樹脂との混和物、そして(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、及び(メタ)アクリルアミドのコポリマーとの混和物中で使用することもできる(ドイツ国第199 36 331号参照)。バインダーの総量はこの場合好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%である。コポリマーCPの量は好ましくは、バインダー総量の5〜95重量%、特に好ましくは、10〜85重量%を占める。
【0206】
IR感光性
ポジ型IR感受性要素の数多くの例があり、これらは2つの群、すなわち1つの層を有する要素と、2つの層を有する要素とに分けることができる。
【0207】
単層版
上記コポリマーCPは、耐化学薬品性及び耐摩耗性を高めるために、単層ポジ型IR感光性要素中のバインダーとして使用することもできる。公知の単層ポジ型IR感受性要素は通常ベーキングすることができないので、ベーキングはこれらの特性を改善するための選択肢にはならない。コポリマーCPを使用すると、ベーキングを施さなくても耐性が改善され、また、この耐性はベーキングによってさらに改善することができる。通常、単層ポジ型IR感光性要素は、
(a)任意選択的に前処理された基板
(b)(i)水性アルカリ現像剤中に可溶性の少なくとも1種のポリマー、例えば、ノボラック樹脂、
(ii)現像剤可溶性ポリマー(例えば、ノボラック)の水性アルカリ現像剤溶解度を低減し、前記溶解度低減は加熱されると逆転される、少なくとも1種の成分(「不溶化剤」)、及び
(iii)任意選択のIR吸収剤(すなわち、IR線を吸収し、そしてこれを熱に変換する化合物)
を含むポジ型感熱性層
を含んでなり、
上記成分(i)及び(ii)は別個の物質として存在する必要はなく、適宜に官能化されたノボラックの形態で使用することができる。不溶化剤としても作用するIR吸収剤を使用することも可能である。このような単層IR感光性ポジ型要素は、例えば、欧州特許第825 927号明細書に記載されている。
【0208】
水性アルカリ現像剤中に可溶性のポリマーとしては、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、アミド、及びマレイミド基を有するポリマーを、例えば使用することができる。具体的には、これらの化合物は、フェノール樹脂、4−ヒドロキシスチレンと3−メチル−4−ヒドロキシスチレン又は4−メトキシスチレンとのコポリマー、(メタ)アクリル酸とスチレンとのコポリマー、マレイミドとスチレンとのコポリマー、ヒドロキシ又はカルボキシ官能化セルロース、無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー、及び無水マレイン酸の部分加水分解ポリマーを含む。フェノール酸、具体的にはノボラックが特に好ましい。
【0209】
好適なノボラック樹脂は、フェノール、例えば、フェノール自体、C−アルキル置換フェノール(クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール及びノニルフェノールを含む)、及びジフェノール(例えば、ビスフェノールA)と、好適なアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、及びフルフルアルデヒドとの縮合生成物である。触媒のタイプ、及び反応物質のモル比は分子構造、ひいては樹脂の物理的特性を決定する。「ノボラック」として知られ、そして熱可塑特性を有するフェノール樹脂を生成するために、約0.5:1〜1:1、好ましくは、0.5:1〜0.8:1のアルデヒド/フェノール比、及び酸触媒が使用される。しかしながら、本出願において使用される「ノボラック樹脂」という用語は、より高いアルデヒド/フェノール比で、またアルカリ触媒の存在において得られる「レゾール」として知られるフェノール樹脂も含むものとする。
【0210】
乾燥層重量を基準として、ノボラック樹脂は好ましくは、少なくとも40重量%、より好ましくは、少なくとも50重量%、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%、及び特に好ましくは、少なくとも80重量%の量で存在する。通常、この量は95重量%を超えず、より好ましくは、85重量%を超えない。
【0211】
IR吸収剤の化学構造は、吸収された輻射線を熱に変換することができる限り、特に限定されない。光重合性IR感光性要素と関連して上述したIR吸収材料を使用することができる。IR吸収剤は好ましくは、乾燥層重量を基準として、少なくとも0.1重量%、より好ましくは、少なくとも1重量%、及び特に好ましくは、少なくとも2重量%の量で存在する。通常、IR吸収剤の量は25重量%を超えず、より好ましくは、20重量%を超えず、特に好ましくは、15重量%を超えない。単独のIR吸収剤、又は2種又は3種以上の混合物が存在することができ、後者の場合、与えられた量は、全てのIR吸収剤の総量を意味する。
【0212】
使用されるIR吸収剤の量はまた、塗膜の乾燥層厚に照らして考慮しなければならない。これは好ましくは、塗膜の光学濃度が、例えば、透明ポリエステル・フィルム上で測定して、好ましくは、塗膜を照射するIR線の波長で0.4〜1.0の値を示すように選ばれるのがよい。
【0213】
IR感光性塗膜はさらに、ノボラックのようなポリマーの水性アルカリ現像剤溶解度を低減する少なくとも1種の物質を含んでなり、この場合、この溶解度低減は加熱によって逆転される。以下では、この物質を短く「不溶化剤」と呼ぶ。不溶化剤はポリマーに共有結合されてもしなくてもよい。
【0214】
従来技術において既述された不溶化剤又は種々異なる不溶化剤を使用することができる。
【0215】
好適な不溶化剤は、例えば、感光性ではなく、そしてノボラック樹脂のフェノールOH基との水素結合内に入ることができる官能基を含む、国際公開第98/42507号パンフレット、及び欧州特許出願公開第0 823 327号パンフレットに記載された化合物を含む。国際公開第98/42507号パンフレットには、スルホン、スルホキシド、チオン、ホスフィンオキシド、ニトリル、イミド、アミド、チオール、エーテル、アルコール、尿素、ニトロソ、アゾ、アゾキシ及びニトロ基、ハロゲン、及び具体的にはケト基が好適な官能基として述べられている。キサントン、フラバノン、フラボン、2,3−ジフェニル−1−インデノン、ピロン、チオピロン及び1’−(2’−アセトナフトニル)ベンゾエートが、好適な化合物の例として述べられている。
【0216】
国際公開第99/01795号パンフレットには、好ましくは、ジアジド基、酸基又は酸形成基を含まない特定の官能基Qを有するポリマーが不溶化剤として使用され、そして好ましい態様によれば、Qは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、モノアルキルアミド、ジアルキルアミド基、フッ素原子、塩素原子、カルボニル、スルフィニル、又はスルホニル基から選ばれる。これらの高分子不溶化剤は本発明において使用することもできる。
【0217】
国際公開第99/01795号パンフレットに記載された不溶化剤、この場合はジアジド単位を有する化合物を本発明においても使用することができる。
【0218】
本発明において使用するのに適した不溶化剤の別の群が、国際公開第97/39894号パンフレットに記載されている。これらは、少なくとも1つの窒素原子が四級化され複素環部分を形成する、例えば、窒素含有化合物であり、例えば、キノリニウム化合物、ベンゾチアゾリウム化合物、及びピリジニウム化合物、及び具体的にはカチオン性トリメチルメタン色素、例えば、ビクトリア・ブルー(CIベーシック・ブルー7)、クリスタル・バイオレット(CIベーシック・バイオレット3)及びエチル・バイオレット(CIベーシック・バイオレット4)を含む。さらに、カルボニル官能基を有する化合物、例えば、N−(4−ブロモブチル)−フタルイミド、ベンゾフェノン及びフェナントレンキノンが挙げられている。式Q1−S(O)n−Q2の式(Q1=任意選択的に置換されたフェニル又はアルキル基;n=0,1又は2;Q2=ハロゲン原子又はアルコキシ基)、アクリジン・オレンジ・ベース及びフェロセニウム化合物も使用することができる。
【0219】
IR吸収剤が国際公開第97/39894号パンフレットにおいて述べられている構造要素を含む場合、これらも不溶化剤として機能する。
【0220】
米国特許第6,320,018号明細書に記載された官能化ノボラックも、本発明の感熱性要素内に使用することができる。これらのノボラックは、ポリマー分子間に2−又は4−中心水素結合(好ましくは、四極子水素結合QHBとも称される4中心水素結合)を許す置換基を含有する。これもまた根底を成すノボラックの水性アルカリ現像剤溶解度を減少させる。このような水素結合は、加熱によって破断され、そしてノボラックの元の溶解度が回復される。このような官能化ノボラックが使用される場合、このことは、上記のような相応の官能基及び/又は不溶化剤を含まないノボラックの追加の使用は必要ではないが、しかし排除もされないような、感熱性組成物の成分(i)及び(ii)の機能を想定する。
【0221】
官能化ノボラックは、少なくとも1つの共有結合単位と、少なくとも1つの非共有結合単位とを含んでなり、非共有結合は熱的に不安定であり、これらのノボラックは本質的に非共有結合単位毎に中央に水素原子を有する2つ又は4つ有する水素結合を有している。同時不溶化機能を有するノボラックとして使用することができるこのような官能化ノボラックの好ましい群は、下記式(XII)で記述することができる:
【0222】
【化42】

【0223】
(上記式中、R及びR’は独立して、水素原子、及び好ましくは、炭素原子数1〜22の環状又は直鎖状又は分枝状の飽和型又は不飽和型炭化水素基から選ばれ(好ましくは、水素及びC1〜C4アルキル)、R’’は、ノボラックR’’(OH)pから誘導されたフェノール基であり、Yは、式Y(NCO)2のジイソシアネートから誘導された、好ましくは、炭素原子数1〜22の二価の環状又は直鎖状又は分枝状の飽和型又は不飽和型炭化水素基(例えば、イソホロンジイソシネート、トルエン−1,2−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−1−メチルシクロ−ヘキシルイソシアネート)であり、mは少なくとも1であり、そしてpは1又は2である)。
【0224】
式(XII)の官能化ノボラックの調製は、米国特許出願公開第2002/0,150,833号明細書から推察することができる。
【0225】
好適な官能化樹脂の別のクラス、例えば、官能化フェノール樹脂及び具体的には官能化ノボラックが、米国特許第6,537,735号明細書に開示されている。非官能化樹脂が水性アルカリ現像剤中に可溶性であるのに対して、官能化樹脂は現像剤中に不溶性であるが、しかし、加熱すると(例えば、IR線によって熱を発生させる)これは現像剤中に可溶性になる。好ましくは、非官能化樹脂は、官能化樹脂中では少なくとも部分的に共有結合官能基Qに変換されるOH又はSH基を含んでなり、好ましくは、官能基QはOH基のエステル化反応を介して形成され、そして好ましくは、−O−SO2−トリル、−O−ダンシル、−O−SO2−チエニル、−O−SO2−ナフチル及び−O−CO−フェニルから選ばれる。官能基QとOH基との比は、好ましくは、1:100〜1:2、より好ましくは、1:50〜1:3である。ノボラック樹脂、レゾール、フェノール側鎖及び上記ヒドロキシスチレンを有するアクリル樹脂は、例えば、非官能化樹脂として使用することができる。このクラスの特に好ましい官能化樹脂は、トルエンスルホン酸又はスルホン酸酸化物で部分(例えば、10〜20%)エステル化されたフェノール樹脂(好ましくは、ノボラック)であるが、しかし米国特許第6,537,735号明細書に記載された他の官能化樹脂も本発明において使用することができる。
【0226】
上記不溶化剤全てを本発明の感熱性塗膜内に使用することもできるが、下記のもの、すなわち:シアニン色素、トリアリールメタン色素、キノリニウム化合物、ケト基を有する上記不溶化剤、及びスルホン基を有する上記不溶化剤、並びに4−中心水素結合を形成することができる置換基で官能化されたノボラック、が好ましい。シアニン色素、トリアリールメタン色素、キノリニウム化合物、ケトン、及びスルホンは低分子物質として使用するか、又はポリマーに結合することができる。
【0227】
単独の不溶化剤、又は2種又は3種以上の化合物の混合物を、本発明の感熱性要素内で使用することができる。
【0228】
不溶化剤の量は、ノボラックの水性アルカリ現像剤溶解度を低減する限り、特に限定されない。しかし、溶解度低減は、水性アルカリ現像剤が使用されると、塗膜の加熱領域が非加熱領域よりもかなり速く除去されるような程度に行われなければならない。
【0229】
不溶化剤はこれがIR吸収剤として機能するか否かとは無関係に、好ましくは、乾燥層重量を基準として、少なくとも0.1重量%、より好ましくは、少なくとも0.5重量%、特に好ましくは、少なくとも1重量%、そして具体的に好ましくは、少なくとも2重量%の量で存在する。好ましくは、25重量%以下、より好ましくは、15重量%が使用される。
【0230】
上記コポリマーCPが単独のバインダーとして使用される場合には、これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、1〜99重量%、特に好ましくは、10〜98重量%の量で使用される。
【0231】
しかし、コポリマーCPは、水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性の他のポリマー/コポリマー、例えば、ノボラック及びレゾールのようなフェノール樹脂との混和物、そして(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、及び(メタ)アクリルアミドのコポリマーとの混和物中で使用することもできる(ドイツ国第199 36 331号参照)。バインダーの総量はこの場合好ましくは、乾燥層重量を基準として、1〜99重量%、特に好ましくは、10〜98重量%である。コポリマーCPの量は好ましくは、バインダー総量の5〜95重量%を占める。
【0232】
コポリマーCPのうちの少なくともいくつかを、IR感光性単層要素内の単独のポリマーとして使用できることが判っている。すなわち、ポジ型感熱性層は、不溶化剤と相互作用する成分としてのノボラックなどを含まず、任意の塗布用成分に加えて、(a)少なくとも1種のコポリマーCP、(b)不溶化剤、及び任意選択的に(c)IR吸収剤を含むだけであり、この場合、不溶化剤として同時に作用するIR吸収剤を使用することも可能である。
【0233】
具体的には、コポリマーの単位(C)が式(C−2)の単位、例えば、ウレイルメタクリレートである場合、IR吸収剤とコポリマーCP(及び場合によっては任意選択の添加剤)とから成る層には、画像を形成することができる。
【0234】
二重層版
二重層版は、ポジ型二重層要素であることも可能であり、この場合、基板の親水性表面上に、水性アルカリ現像剤中に可溶性の第1層が設けられており、第1層の上側には上層(「マスキング層」)が設けられていて、この上層は、水性アルカリ現像剤中に分散性又は可溶性でなく、しかも水性アルカリ現像剤によって浸透可能でなく、そしてIR線によって、現像剤中に可溶性又は分散性にされるか、又は現像剤によって浸透可能にされる。
【0235】
上記コポリマーCPは、このような二重層ポジ型IR感光性要素の第1層(「下」層)のためのバインダーとして好適であり、単独のバインダーとして使用することができ、又は、水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性の他のポリマー/コポリマー、例えば、ノボラック及びレゾールのようなフェノール樹脂との混和物、そして(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、及び(メタ)アクリルアミドのコポリマーとの混和物中で使用することもできる(ドイツ国第199 36 331号参照)。
【0236】
コポリマーCPが単独のバインダーとして使用される場合には、これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、5〜99重量%、特に好ましくは、10〜98重量%の量で使用される。コポリマーCPが他のバインダーとの混和物中で使用される場合、これらの量は好ましくは、バインダー総量の5〜95重量%を占める。
【0237】
IR吸収剤(光熱変換材料)は第1層、又は上層、又は両層内に存在し、IR吸収剤は別個の「吸収剤層」内に存在することもできる。好ましくは、IR吸収剤は第1層内に存在する。
【0238】
IR吸収剤の化学構造は、これが、吸収されたIR線を熱に変換することができる限り、特に限定されない。光重合性IR感光性要素との関連で上述したIR吸収剤を使用することができる。IR吸収剤は好ましくは、これが存在する層の乾燥層重量を基準として、少なくとも1重量%、より好ましくは、少なくとも2重量%、及び特に好ましくは、少なくとも5重量%の量で存在する。通常、IR吸収剤の量は、これが存在する層の35重量%を超えず、より好ましくは、30重量%を超えず、特に好ましくは、25重量%を超えない。IR吸収剤が単独で第1層内に存在する場合、前記層内のその量は好ましくは、第1層の乾燥層重量を基準として、10〜20重量%である。単独のIR吸収剤、又は2種又は3種以上の混合物が存在することができ、後者の場合には、与えられた量は、1つの層内に存在する全てのIR吸収剤の総量を意味する。
【0239】
本発明に係る上層は、水性アルカリ現像剤によって溶解されることから第1層を保護する。従って、上層自体が水性アルカリ現像剤中に可溶性又は分散性ではなく、又は水性アルカリ現像剤によって浸透可能ではないことが必要である。「水性アルカリ現像剤中に可溶性でなく、又は水性アルカリ現像剤中に分散性ではなく、又は水性アルカリ現像剤によって浸透可能ではない」という文言は、上層が、少なくとも2分間にわたって、pHが少なくとも8の水性アルカリ現像剤の攻撃に抵抗することができることを意味する。しかしながら、IR線に暴露されると、上層は、水性アルカリ現像剤によって除去可能になる(所要滞留時間:2分未満)。
【0240】
種々の二重層版が当業者に知られているが、IR線による露光に起因する溶解度/分散性/浸透性の変化メカニズムは、まだ完全には理解されていない。このような二重層は、例えば、米国特許第6,352,812号、同第6,352,811号、同第6,358,699号、米国特許出願公開第2002/0,150,833号、米国特許第6,320,018号、同第6,537,735号の各明細書、及び国際公開第02/14071号パンフレットに記載されている。
【0241】
原則的には、下記タイプの上層が知られている:
a)上層は、それ自体は水性アルカリ現像剤中に可溶性/分散性であるノボラックのようなポリマーと、この層が現像条件下で可溶性又は浸透可能ではないほど高い程度に溶解度/分散性を低減する「不溶化剤」とを含んでなる。ポリマーと抑制剤との相互作用は、層の照射された(加熱された)領域が現像剤中に可溶性/分散性にされるか、又は現像剤によって浸透可能にされるような程度に、IR線によって弱化されるように思われる。このような系は、例えば、米国特許第6,352,811号明細書及び同第6,358,669号明細書に記載されている。ポリマー/不溶化剤系は、単層版に関して上述したものと同じであることが可能である。
b)上層は、それ自体は水性アルカリ現像剤中に可溶性/分散性であるがしかし、水性アルカリ現像剤によって可溶性/分散性/浸透可能ではないように(例えば、「不溶化剤」と化学的に結合することによって)化学的に改質されているノボラックのようなポリマーを含んでなる。このような官能化樹脂(例えば、官能化ノボラック)は、例えば、米国特許出願公開第2002/0,150,833号、米国特許第6,320,018号、同第6,537,735号の各明細書に記載されている。
【0242】
上層は、通常の現像条件で水性アルカリ現像剤中に可溶性/分散性ではないポリマーを含んでなることもできる(すなわち上層は少なくとも2分間にわたる現像剤の攻撃に抵抗することができる)。
【0243】
IR線によって弱化された上層内部の何らかの相互作用の存在、又は露光された領域内の現像剤によって、可溶性下層と一緒に、最初は不溶性/浸透不能である上層の除去を可能にするIR線への暴露(及びこれにより形成された熱)により、上層内、又は第1層と上層との間の界面内に形成された微小クラック及び/又は気泡の存在が想定される。
【0244】
上述のタイプ(a)の上層のためには、フェノールOH基、すなわちフェノール樹脂を有するポリマー及びコポリマーが使用されるのが好ましい。好適なフェノール樹脂は、ノボラック、レゾール、例えば、フェノール側鎖を有するアクリル樹脂、及びポリビニルフェノール樹脂を含み、この場合ノボラックが特に好ましい。
【0245】
本発明に適したノボラック樹脂は、好適なフェノール、例えば、フェノール自体、C−アルキル置換フェノール(クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール及びノニルフェノールを含む)、及びジフェノール(例えば、ビスフェノールA)と、好適なアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、及びフルフルアルデヒドとの縮合生成物である。触媒のタイプ、及び反応物質のモル比は分子構造、ひいては樹脂の物理的特性を決定する。「ノボラック」として知られ、そして熱可塑特性を有するフェノール樹脂を生成するために、約0.5:1〜1:1、好ましくは、0.5:1〜0.8:1のアルデヒド/フェノール比、及び酸触媒が使用される。しかしながら、本出願において使用される「ノボラック樹脂」という用語は、より高いアルデヒド/フェノール比で、またアルカリ触媒の存在において得られる「レゾール」として知られるフェノール樹脂も含むものとする。
【0246】
上記タイプ(a)の上層内の不溶化剤の量は、ノボラックの水性アルカリ現像剤溶解度を低減する限り、特に限定されない。しかし、溶解度低減は、水性アルカリ現像剤が使用されると、塗膜の加熱領域が非加熱領域よりもかなり速く除去されるような程度に行われなければならない。
【0247】
不溶化剤は好ましくは、乾燥層重量を基準として、少なくとも0.1重量%、より好ましくは、少なくとも0.5重量%、特に好ましくは、少なくとも2重量%、そして具体的に好ましくは、少なくとも5重量%の量で存在する。好ましくは、40重量%以下、より好ましくは、25重量%が使用される。
【0248】
タイプ(b)の上層に有用なポリマーは、例えば、上記式(XII)のもののような官能化ノボラック、及び米国特許第6,537,735号明細書に記載されているような官能化フェノール樹脂(例えば、トシル化ノボラック)である。また、見出し「単層版」の下の箇所も参照されたい。改質アルキルフェノール樹脂(例えば、商品名SP 1077及びHPJ 302でSchenectadyから商業的に入手可能であるもの)、並びにキシレノール及びクレゾールを基剤とするノボラック(例えば、商品名SPN-572でAZ-Electronicsから商業的に入手可能であるもの)も、タイプ(b)の上層にとって有用である。
【0249】
任意選択の成分
要素がUV/VIS感光性であるかIR感光性であるかとは無関係に、必須成分に加えて、下記任意選択の成分のうちの1種又は2種以上を含むことができる。塗膜がいくつかの層から成る場合、任意選択の成分は、層のうちの1つ、いくつか、又は全てに存在することができる。コントラストを高めるために、可視スペクトル範囲において高吸収率を有する色素又は顔料が存在することができる(「コントラスト色素及び顔料」)。特に好適な色素及び顔料は、溶剤又は溶剤混合物中によく溶けるか又は顔料の分散形態中に容易に導入される色素及び顔料である。好適なコントラスト色素はとりわけ、ローダミン色素、トリアリールメタン色素、例えば、ビクトリア・ブルーR及びビクトリア・ブルーBO、クリスタル・バイオレット及びメチル・バイオレット、アントラキノン顔料、アゾ顔料、及びフタロシアニン色素及び/又は顔料を含む。着色剤は好ましくは、乾燥層重量を基準として、0〜15重量%、より好ましくは、0.5〜10重量%、特に好ましくは、1.5〜7重量%の量で存在する。
【0250】
さらに、当該層(複数となることができる)は界面活性剤(例えば、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性テンシド及びこれらの混合物)を含む。好適な例は、フッ素含有ポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド基を有するポリマー、ソルビトール−トリ−ステアレート及びアルキル−ジ−(アミノエチル)−グリシンを含む。これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、0〜10重量%、特に好ましくは、0.2〜5重量%の量で存在する。
【0251】
当該層はさらに、プリントアウト色素、例えば、クリスタル・バイオレット・ラクトン又はフォトクロミック色素(例えば、スピロピラン他)を含むこともできる。これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、0〜15重量%、特に好ましくは、0.5〜5重量%の量で存在する。
【0252】
また、流動性向上剤、例えば、ポリ(グリコール)エーテル改質型シロキサンが層内に存在することができ、これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、0〜1重量%の量で存在する。
【0253】
当該層はさらに、抗酸化剤、例えば、メルカプト化合物(2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、及び3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール)、及びトリフェニルホスフェートを含むことができる。これらは好ましくは、乾燥層重量を基準として、0〜15重量%、特に好ましくは、0.5〜5重量%の量で使用される。
【0254】
他の塗膜添加物ももちろん存在することができる。
【0255】
前駆体の製造
輻射線感光性組成物及び任意の追加の層は、一般的な塗布法、例えば、スピン塗布、浸漬塗布、噴霧塗布、スロット塗布器を用いた塗布、及びドクターブレードによる塗布によって、基板の表面に適用することができる。輻射線感光性組成物及び更なる層を基板の両側に適用することが可能であるが、輻射線感光性塗膜は基板の一方の側だけに適用されることが好ましい。
【0256】
画像形成
増感剤がUV/VIS線を吸収する場合、こうして製造された輻射線感光性要素は、波長250〜750nmのUV/VIS線で、当業者に知られた形式で像様露光される。これを目的として、一般的なランプ、例えば、炭素アーク・ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ及び金属ハロゲン化物ランプ、又はレーザー又はレーザーダイオードを使用することができる。約405nm(例えば、405±10nm)の範囲のUV線を放射するUVレーザーダイオード、可視範囲(488nm又は514nm)で発光するアルゴンイオン・レーザー、及びほぼ532nmで発光する周波数二重化fd:Nd:YAGレーザーが、輻射線源として特に重要である。
【0257】
増感剤がIR線を吸収する場合、すなわち、波長750超〜1,200nmの輻射線を区別的に吸収し、そして好ましくは、吸収スペクトルのこの範囲内で吸収極大値を示す場合、像様露光はIR線源によって実施することができる。好適な輻射線源は、750〜1,200nmで発光する半導体レーザー又はレーザーダイオード、例えば、Nd:YAGレーザー(1,064nm)、790〜990nmで発光するレーザーダイオード、及びTi:サファイヤ・レーザーである。レーザー線は、コンピュータを介してデジタル制御することができ、すなわち、レーザー線は、コンピュータ内に記憶されたデジタル化情報を介して版の像様露光を行うことができるように、オン又はオフすることができ、こうしていわゆるコンピュータ・ツー・プレート(CTP)印刷版を得ることができる。当業者に知られたIRレーザーを備えたいかなるイメージセッターをも使用することができる。
【0258】
輻射線感光性要素がポジ型であるかネガ型であるかにしたがって、照射された領域又は非照射領域はそれぞれ、印刷用画像領域及び非印刷用背景領域が得られるように、続いて現像剤(好ましくは、水性アルカリ性現像剤)で除去される。
【0259】
現像された要素は通常、保存剤で処理される(「ガミング」)。保存剤は、親水性(コ)ポリマー、湿潤剤、及び他の公知の添加剤の水溶液である。
【0260】
或る特定の用途の場合、熱処理(「ベーキング」と呼ばれる)及び/又は全体露光(例えば、UV光を当てる)を施すことによって、得られた画像領域の機械強度を増大させることがさらに有利である。これを目的として、処理前に、画像形成された版は、非画像領域を保護する溶液で処理されるので、熱処理によって、これらの領域がインクを受容するようにはならない。この目的に適した溶剤は、例えば、米国特許第4,355,096号明細書に記載されている。ベーキングは通常150〜250℃の温度で行われる。ベーキング及び全体露光の両方が行われる場合、2つの処理工程を同時に又は相前後して実施することができる。
【0261】
本発明による要素は、改善された耐化学薬品性によって特徴付けられ、現像された印刷版は、多くの部数が印刷されるのを可能にする優れた耐摩耗性を示す。
【0262】
本発明の枠組みの中で、「平版印刷版前駆体」、「前駆体」、及び「輻射線感光性要素」という用語は、基板が輻射線感光性塗膜を両面に含んでなる要素/前駆体をも含む。しかし、片面塗膜が好ましい。
【実施例】
【0263】
下記例において本発明を、より詳細に説明する。
下記略語を使用する:
DAA ジアセトンアルコール
BG ブチルグリコール
DMSO ジメチルスルホキシド
TN13 ノボラック、部分トシル化
PD−140 Mw=7,000を有するm/p−クレゾール・ノボラック
P−3000 2,1,5−ナフトキノンジアジド
トランプ(Trump)色素
【0264】
【化43】

【0265】
LB6564 Mw=7,000を有するクレゾール/フェノール・ノボラック
PD494 Mw=9,000を有するm/p−クレゾール・ノボラック
バイオレット612 トリフェニルメタン色素
【0266】
【化44】

【0267】
【化45】

【0268】
コポリマーCPの合成:
表1に挙げられたモノマーからコポリマーを調製した。重合のために、攪拌器及び窒素入口を備えた60℃のフラスコ内で、モノマーをメチルグリコール中に入れ(総モノマー濃度:2.5モル/l)、そして0.1モル%のアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として添加する。再沈殿を3倍量のメタノール中で行った。結果として得られたコポリマーを48時間にわたって50℃で乾燥させた。
【0269】
【表1】

【0270】
コポリマーの特性
結果として生じたコポリマーを化学特性及び機械特性に関して試験した。
【0271】
好適な有機溶剤(例えば、メチルグリコール)中の種々のコポリマーの溶液を、約1.5g/m2の乾燥層重量が得られるように、グレイニング処理及び陽極処理が施されたアルミニウム基板に適用した。
【0272】
ジアセトンアルコール/H2O(比80:20)及びブチルグリコール/H2O(比80:20)に対する塗膜の耐性を下記のように試験した:
版試料を最大8分間にわたって30秒単位で液体に曝す。塗膜表面上の攻撃を視覚的に評価する。
【0273】
さらに、ベーキングされた塗膜の耐摩耗性を試験した:
試料を、研磨剤(25μ Al23粒子)を含有する水性懸濁液で15分間にわたって処理する。次いで摩耗を重量測定法で測定し、そして元の層重量のパーセンテージとして表す。
【0274】
上記試験の結果を表2から推論することができる。
【0275】
さらに、コポリマーから調製された塗膜を235℃で8分間にわたってベーキングしたときの、コポリマーの特性を試験した。
【0276】
耐摩耗性を上記のように試験した。
【0277】
さらに、DMSOに対する、そして商業的な修正液(Kodak Polychrome Graphicsの修正液243)に対する塗膜の耐性を試験した。試験は下記のように行った:
版試料を最大8分間にわたって30秒単位で液体に曝す。塗膜表面上の攻撃を視覚的に評価する。
【0278】
上記ベーキングされた塗膜に関する試験結果も表2から推論することができる。
【0279】
【表2】

【0280】
二重層印刷版前駆体
二重層IR感光性印刷版前駆体において本発明のコポリマーを試験するために、上記のアルミニウム基板上に、表3に示された2つの層を適用した。
【0281】
【表3】

【0282】
最初に、アルミニウム基板上に下層だけを適用し、そしてその耐性を、未ベーキング状態及びベーキングされた状態で試験した。その結果を表4から推論することができ、これらの試験は上記のように行った。
【0283】
【表4】

【0284】
さらに、二重層前駆体を調製し(表3参照)、Creoイメージ・セッター(830nm)で像様露光し、そしてKodak Polychrome Graphicsの現像剤956を使用した現像した。UGRAグレイスケールV 2.0 EPSを使用して、1×1,2×2及び4×4スクリーン・ポイントで同じトーン値を得る(すなわち全てのスクリーン・ポイントが同じ明るさ又は暗さを有する)ために必要なエネルギーを測定した。最適露光エネルギー値及び現像された版の光学評価を表5に示す。
【0285】
【表5】

【0286】
単層印刷版前駆体
単層IR感光性印刷版前駆体を、上記基板を使用して、表6に示された組成物から調製した。
【0287】
【表6】

【0288】
Goldstar現像剤及び有機溶剤(ナフサ/イソプロパノール/水79:20:1)に対する(ベーキングされていない)塗膜の耐性を試験し、これらの結果を表7から推論することができる。
【0289】
【表7】

【0290】
単独のバインダーとしてのコポリマーCPを有する単層印刷版前駆体
15重量%のトランプ色素及び85重量%のコポリマー(表8参照)を含有する乾燥層重量1.7g/m2の塗膜を、上記アルミニウム基板上に適用した。
【0291】
その塗膜がIR線に曝されるとより可溶性にされるような画像形成性印刷版前駆体が得られるかどうかを試験した。Goldstar現像剤による塗膜(非露光領域)の攻撃をいつ観察することができたか、そして、200mJによる露光後の現像中にクリーンな背景を得るためにいかに多くの時間が必要となるかを示しており、露光の前及び後の耐現像剤性の間の時間差が余りにも小さいときにはいつでも、画像を得ることはできなかった。
【0292】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親水性表面を有する基板;並びに
(b)輻射線感光性成分、及び
アルカリ水溶液中に可溶性又は分散性であって、単位A、B及びCを含むコポリマーCPを含んで成る
単層又は多層輻射線感光性塗膜
を含んでなる平版印刷版前駆体。
単位Aは下記式
【化1】

を有し、
単位Bは下記式
【化2】

を有し、そして
単位Cは、
【化3】

から選ばれた少なくとも1つの単位である、
(上記式中、
各R及び各R1は独立して、水素、アルキル、アリール、ハロゲン、及び−CNから選ばれ、
Xはスペーサであり、
各R’は独立して、水素、アルキル及びアリールから選ばれ、
nは0又は1であり、そして
2a、R2、R3a及びR3は独立して、水素及びアルキルから選ばれ、又は、
2及びR3又はR2a及びR3aは、これらが結合されている2つのC原子と一緒になってアリール基、ヘテロアリール基、又は不飽和型もしくは飽和型炭素環式もしくは複素環式基を形成し、
r、s、t及びuはそれぞれ0又は1であるが、但しR2及びR2aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、r及びsのうちの一方が0であることを条件とし、そしてR3及びR3aが結合されているC原子がC−C二重結合の部分である場合には、t及びuのうちの一方が0であることを条件とし;
そして破線は、存在してもしなくてもよい二重結合を示す)。
【請求項2】
該輻射線感光性塗膜が、750超〜1,200nmの電磁スペクトルに対して感光性を有する請求項1に記載の前駆体。
【請求項3】
該輻射線感光性塗膜が、250〜750nmの電磁スペクトルに対して感光性を有する請求項1に記載の前駆体。
【請求項4】
該前駆体が、ポジ型前駆体である請求項1〜3までのいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項5】
該前駆体が、ネガ型前駆体である請求項1〜3までのいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項6】
該輻射線感光性塗膜の上側に酸素不透過性上塗り層をさらに含む請求項5に記載の前駆体。
【請求項7】
該コポリマーが、単位A、B及びCから成っている請求項1〜6までのいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項8】
単位Aが下記式:
【化4】

(上記式中、Rは水素又はメチルを表す)
を有し;
そして/又は単位Bが下記式:
【化5】

(上記式中、Rは水素又はメチルを表し、そしてR2、R2a、R3、R3a、n、r、s、t及びuは、請求項1に記載されている通りである)
を有し;
そして/又は
単位Cが、
【化6】

(上記式中、Rは水素又はメチルを表す)
から選ばれた少なくとも1つの単位である、
請求項1〜7までのいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項9】
単位Aがメタクリル酸から誘導され;
そして/又は
単位Bが下記モノマー:
【化7】

のうちの1種又は2種以上から誘導され、
そして/又は
単位Cが、下記モノマー:
【化8】

のうちの1種又は2種以上から誘導される、
請求項8に記載の前駆体。
【請求項10】
単位Aの量、又は異なる単位Aが存在する場合にはそれらの総量が、該コポリマーを基準として5〜60重量%を占め;
そして/又は単位Bの量、又は異なる単位Bが存在する場合にはそれらの総量が、該コポリマーを基準として10〜90重量%を占め;
そして/又は単位Cの量、又は異なる単位Cが存在する場合にはそれらの総量が、該コポリマーを基準として5〜60重量%を占める、
請求項1〜9までのいずれか1項に記載の前駆体。
【請求項11】
該コポリマーに加えて、該塗膜が、少なくとも1種のノボラック樹脂と、少なくとも1種のIR吸収剤と、ノボラックの水性アルカリ現像剤溶解度を減少させ、この溶解度減少は加熱によって逆転される少なくとも1種の成分とを含んでなり、該少なくとも1種のIR吸収剤と、ノボラックの溶解度を減少させる該少なくとも1種の成分とが、同じか又は異なる化合物である請求項2に記載の前駆体。
【請求項12】
該塗膜が下層と上層とを含んでなり、該下層は該コポリマーを含んでなり、そして該上層は、(i)水性アルカリ現像剤中に可溶性のノボラック樹脂、及びノボラックの水性アルカリ現像剤溶解度を減少させる成分、又は(ii)水性アルカリ現像剤中に不溶性であり、水性アルカリ現像剤中に分散性ではなく、そして水性アルカリ現像剤によって浸透可能ではないように化学的に改質されたノボラックを含んでなり;そしてIR吸収剤が該下層内又は該上層内又はこれら両方の層内に存在する請求項2に記載の前駆体。
【請求項13】
該輻射線感光性塗膜が光重合性であり、そして該ポリマーに加えて:
(a)250〜750nmの輻射線又は750nm超〜1,200nmの輻射線を吸収し、そしてラジカル重合を開始する、光開始剤及び増感剤/共開始剤系から選ばれた吸収剤成分、並びに
(b)ラジカル重合性モノマー、オリゴマー、もしくはプレポリマー、又はこれらのうちの2種もしくは3種以上の混合物
を含んでなる請求項2又は3に記載の前駆体。
【請求項14】
該コポリマーに加えて、該輻射線感光性塗膜が:
(a)IR線に曝されると酸を形成する少なくとも1種の化合物、及び
(b)酸によって架橋可能な少なくとも1種の成分
を含んでなる請求項2に記載の前駆体。
【請求項15】
該塗膜が、IR吸収剤を含み、そして該コポリマーが、該塗膜内の唯一のポリマーである請求項2に記載の前駆体。
【請求項16】
該コポリマーに加えて、該輻射線感光性塗膜が、ジアゾニウム重縮合生成物を含む請求項3に記載の前駆体。
【請求項17】
該コポリマーに加えて、該輻射線感光性塗膜が、1種又は2種以上のノボラックと、1種又は2種以上のキノンジアジドとを含含む請求項3に記載の前駆体。
【請求項18】
輻射線感光性成分と請求項1及び請求項7〜10までのいずれか1項に記載のコポリマーCPとを含む輻射線感光性組成物。
【請求項19】
請求項1〜17までのいずれか1項に記載の前駆体に画像を形成することにより得られる画像形成された平版印刷版。

【公表番号】特表2009−534714(P2009−534714A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506945(P2009−506945)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003271
【国際公開番号】WO2007/121871
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】