説明

高い通気量を有する粘弾性フォーム

粘弾性ポリウレタンフォームは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールと平均で1つより多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の芳香族化合物との反応生成物である。粘弾性ポリウレタンフォームは、少なくとも約0.5L/秒の通気量を有し、前記フォームは、コポリマーポリオールが実質的に存在しない状態で作られ、(未だ)機械で網状化されておらず、および好ましくは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを使用して、さらに好ましくは使用されるポリオールの少なくとも約20重量パーセントの量で、使用して作製される。粘弾性フォームの製造方法は、(A)少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートと水と少なくとも1種の触媒とを含む反応混合物を作る段階(この場合、前記ポリオールは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを含む)と;(B)前記反応混合物を、発泡および硬化させるために十分な条件に付して、粘弾性ポリウレタンフォームを作る段階と、を含む。もう1つの実施形態において、製造方法は、(a)少なくとも1種の天然油由来ポリオールおよび水を含む、天然油由来ポリオール組成物を作る段階と;(b)少なくとも1種のゲル化触媒および少なくとも1種の発泡触媒と前記天然油由来ポリオール組成物を混合して、触媒ポリオール混合物を作る段階と;(c)pMDIの場合には少なくとも約65および多くとの約95、あるいはそのイソシアネートがTDIもしくはMDIまたはその組み合わせであるときには少なくとも約80および多くとも約105、のイソシアネート指数に相当する量でイソシアネートを供給する段階と;(c)前記イソシアネートと前記触媒ポリオール混合物を混合する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム、好ましくは、粘弾特性を有するそのようなフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡品、特にポリウレタン発泡品は長年にわたって公知であり、多くの用途、特にクッション材料およびマットレスに使用されている。当分野において公知のフォームの中には、反発弾性フォームおよび粘弾性フォームまたは「記憶フォーム」がある。粘弾性フォームは、多くの異なる化学的アプローチによって製造することができ、それらのアプローチのすべてがポリオール化合物とイソシアネート化合物の反応を含む。通常、それらの製品は、分子1個につき平均で約3個のヒドロキシル基の官能価と約400から1500の分子量範囲とを有するポリオールを使用して発泡される。前記フォームは、気泡構造を制御するために特別なシリコーン界面活性剤を通常は用い、100重量部のポリオールあたり多くとも2.5重量部(pphp)、多くの場合、0.8から1.5pphpの範囲内の水分レベルを一般に使用して、他のポリウレタンフォームと比較して低いイソシアネート指数、約95未満、多くの場合60から95、で製造される。前記シリコーン界面活性剤は、気泡開放プロセスを助長し、ならびにポリウレタン気泡の全構造を制御する。低いイソシアネート指数での配合により、寝具用の柔軟性および感触レベルが向上したフォームも得られる。利用できるイソシアネートは限れているのでまたは「インデックスがつけられている」ので、これは、水とポリオール系の間のこれらの分子に対する競合を促進し、そのために、この配合技術は従来のウレタンとは非常に異なるものになる。一般的なスラブフォームと比較して低い水分レベルは、結果として、イソシアネート基との反応に利用できるポリオールヒドロキシル基をより多くし、発泡のための水をより少なくし、従って、フォームの密度をより高くする。
【0003】
水分レベルが高いほど、低い密度のフォームが生じ、および同等のフォーム密度ででは高い硬度(高い支持力)のフォームが生じることとなるため、粘弾特性を保持しながらより高い水分レベルを用いることが望ましい。より高いイソシアネートレベルは、トルエンジイソシアネート(TDI)と2当量の水との反応から得られるフォーム中の残留トルエンジアミン(TDA)レベルを減少させるのに役立つため、粘弾特性を犠牲にせずにより高いイソシアネート指数を用いることが望ましい。
【0004】
従来のポリオール、特にポリエーテルポリオール、とイソシアネートから製造されるこれらの粘弾性ポリウレタンフォームは、望ましくない低い通気特性、室温(22℃)および大気圧(1気圧)の条件下で最高でも約1.0標準立方フィート毎分(scfm)(0.47L/秒)未満、を有し、従って、コンフォートフォーム(例えば、寝具、座席および他のクッション材料)として使用すると、発汗を促進する。劣った通気は、そのフォームから不良な熱伝導および水分伝導も招き、それに起因して、(1)上昇したフォーム(ベッド)温度および(2)湿分レベルが生じることとなる。より高い温度の帰結は、より高い反発弾性および低減された粘弾性である。熱と湿度が併さると、フォーム(ベッド)の疲労が加速されることとなる。加えて、フォームの通気量が十分に低いと、フォームは製造中に収縮を起こし得る。さらに、従来のポリエーテルポリオールから製造された粘弾性フォームの支持因子の改善は、粘弾特性について妥協しない限り、制限される。これらの欠点は、例えば「Dow Polyurethanes Flexible Foams」, 2nd edition, R.L. Herrington and K. Hock, ed. (1997)において教示されているように、コポリマーポリオール、例えばスチレン/アクリロニトリル(SAN)を含有するものの添加によってもたらされることがある。それらの複雑な製造(高い費用を生じさせる結果となる)に加えて、SANコポリマーポリオールは、反発弾性を増加させ、フォーム製品の回復時間を減少させるという欠点をもたらし、これは粘弾性フォームの望ましい特性を弱める。
【0005】
好ましくは、コポリマーポリオール(特に、スチレン/アクリロニトリルポリマーを含有するもの)が実質的に存在しない状態で、フォームの粘弾特性、好ましくは、22℃および1気圧の条件下で1.0scfm(0.47)L/秒より大きい通気量、を保持しながら、従来のポリエーテルポリオールを使用して現在達成されるものより高い通気値を達成することが望ましい。さらに、支持因子を犠牲にせずに、さらに好ましくは支持因子を改善しながら、それを行うことが望ましい。支持因子は、発泡製品のより長期の耐久性の指標となると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
標準条件下で1.0scfm(0.47L/秒)より大きい通気量を有する粘弾性フォームを作製できることが、今般、判明している。例えば、粘弾性ポリウレタンフォームを作る際に少なくとも1種の天然油由来ポリオールを使用することにより、天然油由来ポリオールの代わりに従来のポリエーテルポリオールを用いることを除いて同じ配合から作られたフォームと比較して、粘弾特性を犠牲にせずに以下のうちの少なくとも1つを達成することができ、また(a)および(b)の場合には示されている配合変更を行うことができる。(a)より高い水分レベルの使用、(b)より高いイソシアネート指数の使用、(c)通気量の増加、(d)支持因子の増大または(e)それらの組み合わせ。
【0007】
本発明は、少なくとも1種の天然油由来ポリオールと1個より多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の芳香族化合物との反応生成物である、粘弾性ポリウレタンフォームを含む。
【0008】
もう1つの態様において、本発明は、少なくとも約0.5L/分の通気量を有する粘弾性ポリウレタンフォームであり、前記フォームは、コポリマーポリオールが実質的に存在しない状態で作られ、機械で網状化されておらず、および好ましくは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを使用して、さらに好ましくは使用される全ポリオールの少なくとも約20重量パーセントの量で使用して作製される。
【0009】
もう1つの態様において、本発明は、粘弾性フォームの製造方法であり、このプロセスは、A)少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートと水と少なくとも1種の触媒とを含む反応混合物を作る段階(この場合、前記ポリオールは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを含む)と;B)前記反応混合物を、その反応混合物を発泡および硬化させるために十分な条件に付して、粘弾性ポリウレタンフォームを作る段階と、を含む。
【0010】
さらにもう1つの態様において、本発明は、(a)少なくとも1種の天然油由来ポリオールと水とを含む天然油由来ポリオール組成物を作る段階と;(b)少なくとも1種のゲル化触媒および少なくとも1種の発泡触媒と前記天然油由来ポリオール組成物とを混合して、触媒ポリオール混合物を作る段階と;(c)pMDIの場合は少なくとも65および多くとも95、あるいはそのイソシアネートがTDIもしくはMDIまたはそれらの組み合わせであるときには少なくとも約80および多くとも105、のイソシアネート指数に相当する量でイソシアネートを供給する段階と;(c)前記イソシアネートと前記触媒ポリオール混合物とを混合する段階と、を含むプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のフォームの特性と、天然油由来ポリオール組成物を使用せずに製造した比較フォームの特性の円グラフである。
【0012】
【図2】図1におけるフォームとは異なる本発明のフォームの特性と、天然油由来ポリオール組成物を使用せずに製造した比較フォームの特性の円グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
【0014】
本明細書において用いる場合、用語「粘弾性」は、その材料に弾性(固体)の特性と粘性(液体)の特性が共存することに起因する、加えられた定荷重(圧力)に対する材料の時間依存性応答である。これは、初期瞬間変形値(弾性成分)で始まり、その後、時間に伴って幾つかの急速変形領域(粘弾性成分)を経て、最終的に定常歪速度値(液体成分)またはゼロ歪値(高架橋網状材料)に達する、変形速度が時間に伴って変わるクリープ実験(夜、人がベッドに横たわるプロセスに似ている−定荷重)において最もよく観察される。動的機械的特性付けにおいて、粘弾性レベルは、その材料のタンデルタによって測定される減衰係数に比例する。タンデルタは、粘性散逸損失弾性率G’’の貯蔵弾性率G’に対する比である。高いタンデルタ値は、その材料の挙動の中に高粘性成分があり、従って、任意の変動に対する強い減衰が観察されるということを意味する。
【0015】
用語「粘弾性フォーム」は、ASTM D3547 Test Hに従って測定したときに多くとも25%の反発弾性を有するフォームを表すと解釈する。反発弾性フォームは少なくとも25%の反発弾性を有するものであり、高反発弾性フォームは、50%より高い反発弾性を有する。粘弾性(VE)フォームは、加えられた応力に対して時間遅れの、速度依存的な応答を示す。低い反発弾性に加えて、それらは、圧縮されたときに遅い回復を有する。ポリウレタンフォームにおけるこれらの特性は、多くの場合、そのポリウレタンのガラス転移温度(Tg)と関係がある。多くの場合、粘弾性は、そのポリマーが使用温度(これは、多くの用途について室温である)にまたはその付近にTgを有するときに明示される。粘弾性または「記憶」フォームは、多くの非常に望ましい性能特性を有する。粘弾性フォームは、低反発弾性である、形状または体に順応する、ならびに音と振動または衝撃の両方を減衰させることができる傾向がある。
【0016】
用語「反発弾性」は、弾力性として知覚されるフォームの質を指すために用いる。それは、ASTM D3574 Test Hの手順に従って測定される。このボールリバウンド試験は、規定条件下で落下させたとき、重量が判っているその落下させた鋼球がフォームの表面からリバウンドする高さを測るものであり、その結果を最初の落高の百分率として表す。前記AMST試験に従って測定した場合、硬化VEフォームは、有利には、多くとも約20%、好ましくは多くとも約10%、さらに好ましくは多くとも約5%、最も好ましくは多くとも約3%の反発弾性を示す。
【0017】
用語「ボールリバウンド」は、前に説明したとおりのASTM D3574 Test Hの試験手順の結果を指すために本明細書では用いている。
【0018】
「ガラス転移温度」(Tg)は、動的機械的温度分析(DMTA)測定におけるタンデルタ曲線のピーク値に対応する温度点である。一般に、直径25ミリメートルで高さ25ミリメートルの一片のフォームサンプルを、1ヘルツの周波数および1%の初期歪速度での振動剪断変形に付す。5℃の間隔で−150℃から+150℃の温度範囲にわたってデータを収集する。それぞれの読取値を取る前に2分間、温度を平衡させる。貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、および損失正接またはタンデルタとして公知である、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比(G’’/G’)を温度に対して測定する。タンデルタ曲線のピークに対応する温度を、試験した試験片のガラス転移温度(Tg)と解する。
【0019】
本明細書において用いる場合、用語「支持因子」は、65%押込力たわみ(Indentation Force Deflection)を25%押込力たわみで割った比率を指す。用語「押込力たわみ」(IFD)は、24平方インチ(155cm2)以上の4インチ(10cm)厚サンプルを、用語25%IFDおよび65%IFDによってそれぞれ示されるようなそのサンプルの最初の高さの25または65%に圧縮するために必要な力(単位:ポンド)(kPaに換算)として測定される、軟質材料(例えば、フォーム)の支持力の測度を指す。軟質フォームIFD測定値は、約5ポンド(22N)(プラッシュ)から約80ポンド(356N)(非常に硬い)の範囲であり得る。前記IFDは、ASTM 3574−01、Test Bの手順に従って測定する。
【0020】
用語「密度」は、フォームの単位体積あたりの重量を指すために本明細書では用いている。粘弾性ポリウレタンフォームの場合、密度は、ASTM D357401、Test Aの手順に従って決定する。有利には、粘弾性フォームは、有利には少なくとも約3、好ましくは少なくとも約3.5、さらに好ましくは少なくとも約4ポンド/ft3で、好ましくは多くとも約8、さらに好ましくは多くとも約6、最も好ましくは多くとも約5.5ポンド/ft3(それぞれ、48、56、64、128、96、88kg/m3)の密度を有する。
【0021】
用語「引張強度」は、フォームに適用する場合、犬の骨の形をしたフォームサンプルが直線(一軸)伸張力のもとで伸張されている間に有し得る最大の力を指すために本明細書では用いている。材料が破断点に達するまで応力を増加させ、その破断点での破断時の荷重および伸張を用いて引張強度および伸びを計算する(すべて、ASTM D−3574、Test Eの手順に従って決定し、平方インチ(PSI)またはキロパスカル(kPa)あたりのポンドで測定する)。
【0022】
用語「極限伸び」は、フォームに適用する場合、フォームのサンプルが破断前に達成することができる直線伸張を指すために本明細書では用いている。引張強度を決定するために用いた同じ方法によってフォームを試験し、その結果を、ASTM D−3574、Test Eの手順に従ってフォームサンプルの原長の百分率として表す。
【0023】
用語「引裂強度」は、フォームサンプルに縦方向の細長い切れ目を入れた予めノッチが付いているフォームサンプルを引裂くために必要な最大平均力を指すために本明細書では用いている。試験結果は、ASTM D3574−Fの手順に従って、線形インチあたりのポンド(PLI)でまたはメートルあたりのニュートン(N/m)で決定される。
【0024】
用語「25%たわみ時の荷重」は、ASTM D3574 Bの手順に従って決定される、寸法4インチ×4インチ×2インチ厚(10.16×10.16×5.08cm)のフォームサンプルをその原厚の75%に移すために必要な、ポンド力(lbF)でまたはニュートン(N)で測定される力を指すために本明細書では用いている。同様に、65%および75%たわみ時の荷重は、寸法(4インチ×4インチ×2インチ厚)(10.16×10.16×5.08cm)のフォームをその最初のフォームの高さのそれぞれ35%または25%に圧縮するために必要な力を指す。
【0025】
用語「回復時間」は、フォームが圧縮(1ポンド力(4.45N)の加力)後に回復するためにかかる時間を指すために本明細書では用いており、これは、ASTM D−3574Mの手順に従って決定され、秒で測定される。粘弾性フォームの場合、この時間は、望ましくは少なくとも約3秒、好ましくは少なくとも約5秒、さらに好ましくは少なくとも約7秒、および最も好ましくは少なくとも約10秒であるが、有利には約30秒未満および好ましくは約20秒未満である。
【0026】
用語「CS 75% Parallel−CT」は、75%圧縮変形レベルでそのフォームの上昇方向と同方向に測定される圧縮永久歪試験を表す。この試験は、使用中のクッション厚損失とフォーム硬度の変化を相関させるために本明細書では用いている。圧縮永久歪は、ASTM D3574−95、Test Iの手順に従って決定し、サンプルの原厚の百分率として測定する。同様に、「CS 90% Parallel−CT」は、上記(圧縮永久歪)と同じ測定を指すが、これは、サンプルの90%圧縮変形レベルでフォームの上昇方向と同方向に測定する。
【0027】
用語「通気量」は、125Pa(0.018psi)の圧で1.0インチ(2.54cm)厚の2インチ×2インチ(5.08cm)方形切片フォームを通過する空気の量を指す。単位は、秒あたりの立方デシメートルで表され、分あたりの標準平方フィートに換算される。通気量を測定するための代表的な市販ユニットは、スイス、チューリッヒのTexTest AGによって製造されており、TexTest Fx3300として認定されている。この測定は、ASTM D 3574 Test Gに準拠する。
【0028】
用語「硬度」は、IFDに対応するASTM D 3574、Test Bの手順によって測定される特性を指す。特に、本明細書では65%IFDを硬度の測度として用いている。
【0029】
用語「弾性率(modulus of erasticityまたはerasticity modulus)」は、材料の剛性の測度である。弾性率とは、線形弾性限界内の単位応力に応じた材料の単位長の変化に関係する、およびその材料に固有のものである、比例定数である。弾性率は、加えられた力をその加えられた力に対して垂直な材料の断面積で割って、加えられた応力を得、その後、この応力を結果として生じた歪で割って率を得ることにより得られる。弾性率は、ASTM D−638の手順に従って測定する。
【0030】
用語「NCO指数」は、この用語がポリウレタン分野において一般に用いられているとおり、イソシアネート指数を意味する。本明細書において用いる場合、イソシアネートの当量をイソシアネート反応性水素含有材料の全当量で割り、100をかけたものとして用いる。別の考え方をすると、百分率として与えられる、配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するイソシアネート基の比である。従って、イソシアネート指数は、配合物に使用されているイソシアネート反応性水素量と反応するために理論的に必要なイソシアネートの量に対する、配合物に実際に使用されているイソシアネートの百分率を表す。
【0031】
本明細書において用いる場合、「ポリオール」は、分子1個につき平均で1.0個より多いヒドロキシル基を有する有機分子を指す。それは、他の官能価、すなわち、他のタイプの官能基も含むことがある。
【0032】
本明細書において用いる場合、用語「従来のポリエーテルポリオール」は、少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの組み合わせから作られ、植物または動物油に由来する分子(ポリウレタンフォーム、特に本発明の実施のための粘弾性ポリウレタンフォーム、の製造に一般に使用されるタイプのポリオール)の一部を有さないポリオールである。ポリエーテルポリオールは、公知の方法によって、例えば、適する出発分子のアルコキシル化によって、作製することができる。そのような方法は、一般に、触媒の存在下での開始剤、例えば水、エチレングリコールまたはプロピレングリコールと、アルキレンオキシドとの反応を含む。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらのオキシドの組み合わせは、アルコキシル化反応に特に有用である。ポリエーテルポリオール、例えば、ポリオキシエチレンポリオールは、アルキル置換基を含有することがある。ポリエーテルポリオールを製造するためのプロセスは、アルキレンオキシドの混合物の不均一供給物、単一成分のブロックを有するポリオールを製造するために純粋なまたはほぼ純粋なアルキレンオキシドポリオールの逐次供給物、または例えばエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドでキャップされているポリオールを含むことがある。これらのタイプのポリオールは、すべて公知であり、ポリウレタン化学において使用されている。
【0033】
用語「天然油ポリオール」(以後、NOP)は、動物および植物油、好ましくは植物油、を包含する天然油から単離される、前記天然油に由来する、または前記天然油から製造される、ヒドロキシル基を有する化合物を指すために本明細書では用いている。使用することができる植物および動物油の例としては、大豆油、紅花油、亜麻仁油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、カノーラ油、ごま油、綿実油、パーム油、菜種油、桐油、魚油、またはこれらの油の任意のブレンドが挙げられるが、それらに限定されない。あるいは、任意の部分硬化またはエポキシ化天然油または遺伝子修飾天然油を使用して、所望のヒドロキシル含有量を得ることができる。そのような油の例としては、高オレイン酸紅花油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸落花生油、高オレイン酸ひまわり油(例えば、NuSunひまわり油)、高オレイン酸カノーラ油、および高エルカ酸菜種油(例えば、Crumbeオイル)が挙げられるが、これらに限定されない。天然油ポリオールは、十分に当業者の知識の範囲内であり、例えば、Colvin et al., UTECH Asia, Low Cost Polyols from Natural Oils. Paper 36, 1995および「Renewable raw materials--an important basis for urethane chemistry」: Urethane Technology: vol. 14, No. 2, Apr/May 1997, Crain Communications 1997、WO 01/04225、WO 040/96882;WO 040/96883;US 6686435、US 6433121、US 4508853、US 6107403、米国特許公開20060041157および20040242910などに開示されている。
【0034】
用語「天然油由来ポリオール」は、天然油に由来するNOP化合物を指すために本明細書では用いている。例えば、天然油またはそれらの単離物を化合物(空気または酸素から、アミンおよびアルコールをはじめとする有機化合物にわたる)と反応させる。多くの場合、天然油中の不飽和を、ヒドロキシル基に、またはポリオールが得られるようにヒドロキシル基を有する化合物を後に反応させることができる基に転化させる。そのような反応は、前の段落の参考文献の中で論じられている。
【0035】
用語「ヒドロキシル数」は、ポリマー、特にポリオール、の組成物中のヒドロキシル部分の濃度を示す。ヒドロキシル数は、mg KOH/(ポリオールのg)を表す。ヒドロキシル数は、ピリジンおよび無水酢酸でのアセチル化によって決定され、その結果は、KOH溶液での2回の滴定間の差として得られる。従って、ヒドロキシル数は、アセチル化によって1グラムのポリオールと結合させることができる無水酢酸を中和するミリグラムでのKOHの重量と定義することができる。より大きなヒドロキシル数は、組成物中のヒドロキシル部分のより高い濃度を示す。組成物のヒドロキシル数を決定する方法の説明は、当分野において周知のテキスト、例えば、Woods, G., The ICI Polvurethanes Book--2nd ed.(ICI Polyurethanes, Netherlands, 1990)の中で見つけることができる。
【0036】
用語「第一ヒドロキシル基」は、付いている他の炭素が1個だけである炭素原子上のヒドロキシル基(−OH)(好ましくは、前記炭素原子には水素原子しか付いていない)(−CH2−OH)を意味する。
【0037】
用語「硬化する」または「硬化した」は、粘弾性フォームに適用する場合、すべてのイソシアネート官能基が化学反応によって他の化学種に転化された状態を指す。
【0038】
用語「官能価」、特に「ポリオール官能価」は、ポリオール中のヒドロキシル基の数を指す。
【0039】
本明細書におけるすべての百分率、好ましい量または測定値、範囲およびそれらの終点は、包括的であり、すなわち、「約10未満」は約10を含む。「少なくとも」は、例えば、「〜より大きいまたは〜と等しい」と等価であり、したがって、「多くとも」は、例えば、「〜より小さいまたは〜と等しい」と等価である。本明細書における数は、示されているものより高い精度を有さない。従って、「105」は、少なくとも104.5から105.49を含む。さらに、すべてのリストは、そのリストの2つまたはそれ以上の構成員の組み合わせを含む。「少なくとも」、「〜より大きい」、「〜より大きいまたは〜と等しい」とまたは同様に記載するパラメータから、「多くとも」、「〜までの」、「〜より小さい」、「〜より小さいまたは〜と等しい」とまたは同様に記載されているパラメータまでのすべての範囲は、それぞれのパラメータについて示されている好ましさの相対的な程度に関係なく、好ましい範囲である。従って、最も好ましい上限と併せて有利な下限を有する範囲が本発明の実施には好ましい。すべての量、比率、割合および他の測定値は、別様に述べていなければ重量によるものである。すべての百分率は、別様に述べていない限り、本発明の実施に従って全組成物に基づく重量パーセントを指す。別様に述べていない限り、またはそうでなければ不可能であると当業者に認識されない限り、本明細書に記載するプロセスの段階は、場合によっては、本明細書においてそれらの段階を論じている順序とは異なる順序で行われる。さらに、場合によっては、段階は、タイミングの点で別々に、同時にまたはオーバーラップさせて行われる。例えば、段階、例えば加熱および混合は、当分野では、多くの場合、タイミングの点で、別々であり、同時であり、または部分的にオーバーラップしている。別様に述べていない限り、望ましくない作用を生じさせ得る要素、材料または段階が、その作用を許容しがたい程に生じさせないような量または形態で存在するとき、それは本発明の実施においては実質的に存在しないとみなす。さらに、用語「許容しがたい」および「許容しがたく」は、商業的に有用であり得ることからの逸脱、与えられた状況で別様に有用であり得ることからの逸脱、または所定の範囲外であること(この範囲は、具体的な状況および用途に伴って変わり、作業明細書などの事前決定によって設定され得る)を指すために用いている。許容可能範囲は、装置、条件、用途および他の可変要因によって変わるが、それらを適用できるそれぞれの状況で過度の実験を伴わずにそれらを決定できることは、当業者には理解される。場合によっては、あるパラメータにおける変動またはずれが、別の望ましい結果を達成するために許容されることもある。
【0040】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する」、または「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的でありすなわちオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素、材料または段階を除外しない。用語「から本質的に成る」は、指定要素、材料または段階に加えて、要素、列挙されていない材料または段階が、主題の少なくとも1つの基本的なまたは新規の特徴に許容しがたい著しい影響を及ぼさない量で存在し得ることを示す。用語「から成る」は、述べられている要素、材料または段階のみが存在することを示す。
【0041】
本発明は、少なくとも1種の天然油由来ポリオールおよび少なくとも1種のイソシアネートから製造される粘弾性フォームを含む。好適には、前記天然油由来ポリオールは、当業者が本発明の実施に従って使用して、粘弾性フォーム、好ましくは、その天然油由来ポリオールの代わりに同じ当量、同じ平均官能価および第一ヒドロキシル基の全ヒドロキシル基に対する同じ比率を有するポリエーテルポリオールを用いることを除いて同じ配合を用いて製造したフォームのものより大きな通気量を有する粘弾性フォーム、を製造することができるような任意の化合物である。これらの3つの特性について同じ値を有するポリエーテルポリオールと比較することは好ましいが、それぞれの特性、好ましくはそれらの特性の多くとも2つ、さらに好ましくはそれらの特性の多くとも1つに関して、好ましくは多くとも約50%、さらに好ましくは多くとも約25%、最も好ましくは多くとも約10%の変動があるときには、通気量の比較が有意であると考えられる。有利には、前記天然油由来ポリオールは、分子1個につき、少なくとも約2.0個、好ましくは少なくとも約2.4個、さらに好ましくは少なくとも約2.7個、最も好ましくは少なくとも約3.0個で、好ましくは多くとも約12個、さらに好ましくは多くとも約8個、最も好ましくは多くとも約6個のヒドロキシル基を有する。有利には、前記天然油由来ポリオールは、粘弾性であるフォームを形成するために少なくとも十分な当量を有し、これは、有利には少なくとも約200、好ましくは少なくとも約300、さらに好ましくは少なくとも約500で、好ましくは多くとも約2000、さらに好ましくは多くとも約1500、最も好ましくは多くとも約1000である。これらの好ましいヒドロキシル官能価、当量またはこれらの組み合わせを有する天然油由来ポリオールを、本発明の実施の際に単独でまたは従来のポリエーテルポリオールとのブレンドで適切に使用する。好ましくは、約200より大きく、約700より小さい当量を有するポリオールを、約1000より大きく、約2500より小さい当量のポリオールとのブレンドで使用する。WO 04/096882およびWO 04/096883に開示されているポリオールが最も好ましい。これらは、活性水素を有する開始剤、例えばポリオールもしくはポリアミン、アミノアルコールまたはそれらの混合物と、不飽和脂肪酸またはエステルのヒドロホルミル化、それに続く、結果として生じたホルミル基の少なくとも一部の水素化のようなプロセスによって作製された植物油ベースのモノマーとの反応生成物である。このようなポリオールを、以後、「開始脂肪酸ポリエステルアルコール」と呼ぶ。これらの中で、さらに好ましいポリオールとしては、アルコキシル化された、好ましくはエトキシル化された、ポリヒドロキシ化合物、好ましくはグリセリン、スクロースまたはこれらの組み合わせで開始され、ならびに有利には少なくとも約400、さらに好ましくは少なくとも約600で、好ましくは多くとも約1000、さらに好ましくは多くとも約800の分子量を有するものが挙げられる。本発明の実施のための他のさらに好ましいポリオールとしては、Grosch,G.H.ら、WO0014045(A1)(2000年3月16日);David M.Casper、US20060041155(A1)、2004年8月23日;David M.CasperおよびTrevor Newbold、US20060041156(A1);Ashvin ShahおよびTilak Shah、WO 0104225(A1)、(2000年7月12日);Ron HerringtonおよびJeffrey Malsam、US20050070620(A1)、(2004年6月25日);Dwight E.PeermanおよびEdgar R.Rogier、EP106491(1983年9月6日);US4496487(1982年9月7日);US4423162(1983年12月27日);およびUS4543369(1984年10月26日);Zoran S.Petrovicら、US20060041157(A1)、(2005年6月24日)のような参考文献に開示されているものが挙げられ、前記参考文献には、エポキシ化大豆油とアルコール、例えばメタノール、エタノールなど、との反応生成物、またはアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドなど、とヒマシ油との反応生成物が教示されている。そのようなポリオールを、以後、「ヒマおよびダイズエポキシド生成物」と呼ぶ。アルキレンオキシドは、別の第二ヒドロキシルではなく脂肪酸の第二ヒドロキシルへのEO付加からのエトキシド基に優先的に付加する。そのようなポリオールは、EOの長い鎖と、残存第二アルコール基を有するばかりでなく粘弾性フォームを製造するために最適と考えられる、より高い当量とを有する。当分野の技術の範囲内の複合金属シアン化物触媒および他の触媒を使用して、第二アルコール基への付加率を改善する。そのようなポリオールを、以後、「第二アルコールアルコキシル化生成物」と呼ぶ。場合によっては、天然油由来ポリオールのいずれかを、エポキシド、好ましくはアルキレンオキシド、さらに好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド、でアルコキシル化して、分子量を増加させる。
【0042】
本発明の実施の際に好ましい開始脂肪酸ポリエステルアルコールを製造する場合、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、12から26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸またはそうしたヒドロキシルメチル化脂肪酸のエステルと、分子1個あたり平均で少なくとも20個のヒドロキシル、第一アミンおよび/または第二アミン基を有するポリオール、ヒドロキシルアミンまたはポリアミン開始剤化合物とを反応させることによって、従来どおり作製する。出発原料の割合および反応条件は、結果として生じるヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、開始剤化合物中のヒドロキシル、第一アミンおよび第二アミン基それぞれについてヒドロキシメチル含有脂肪酸またはそのエステルに由来する繰り返し単位を平均で少なくとも1.3個有するように、ならびにそのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から約15,000までの当量を有するように、選択する。有利には、前記ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、下記の平均構造(構造1)を有する化合物の混合物である。
[H−X](n-p)−R−[X−Z]p (I)
【0043】
式中、Rは、n個のヒドロキシルおよび/または第一もしくは第二アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、この場合、nは、少なくとも2であり;それぞれのXは、独立して、−O−、−NH−または−NR’−であり、この場合、R’は、不活性置換されているアルキル、アリール、シクロアルキルまたはアラルキル基であり;pは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子1個あたりの[X−Z]基の平均数を表す1からnの数であり;Zは、脂肪酸の残基を含む線状または分岐鎖である。「不活性置換されている」基は、イソシアネート基と反応しない、およびヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールの作製中に副反応に別様に関与しない基である。そのような不活性置換基の例としては、アリール、シクロアルキル、シリル、ハロゲン(特に、フッ素、塩素または臭素)、ニトロ、エーテル、エステルなどが挙げられる。
【0044】
式I中、nは、好ましくは2から8、さらに好ましくは2から6、さらにいっそう好ましくは2から5、およびとりわけ約3から5である。それぞれのXは、好ましくは−O−である。ヒドロキシメチル化ポリオール分子1個あたりの脂肪酸残基の総平均数は、好ましくはnの値の少なくとも1.5倍、例えば、nの値の約1.5から約10倍、nの値の約2から約10倍、またはnの値の約2から約5倍である。
【0045】
構造式Iのヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、少なくとも1つの構成脂肪酸鎖中に1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する植物または動物脂肪から多段プロセスで作製することができる。適する脂肪としては、例えば、にわとり脂肪、カノーラ油、柑橘類種子油、カカオ脂、コーン油、綿実油、ラード、亜麻仁油、オート麦油、オリーブ油、パーム油、落花生油、菜種油、米ぬか油、紅花油、ごま油、大豆油、ひまわり油または牛脂が挙げられる。
【0046】
適便には、前記植物または動物脂肪を、先ず、低級アルカノール、とりわけメタノールまたはエタノール、とのトランスエステル化反応に付して、構成脂肪酸のアルキルエステルを生成する。所望される場合には、結果として生じたアルキルエステルを対応する脂肪酸に加水分解してもよいが、この段階は、通常、必要なく、望ましくない。好都合には、それらのアルキルエステル(または脂肪酸)を、一酸化炭素および水素との反応によってヒドロホルミル化する。これによって、脂肪酸鎖の炭素−炭素不飽和部位に−CHO基が導入される。適するヒドロホルミル化法は、例えば米国特許第4,731,486号および4,633,021号に、ならびに2003年4月25日出願の米国特許仮出願60/465,663に記載されており、すべて本明細書に参照として組み込まれている。一部の脂肪酸基は、多数の炭素−炭素二重結合部位を含有する。そのような場合、ヒドロホルミル化反応によってそれらの二重結合部位のすべてに−CHO基が導入されないことがある。その後の水素化段階によって、残存炭素−炭素結合を水素化して本質的にすべての炭素−炭素不飽和を除去しながら、それらの−CHO基をヒドロキシメチル(−CH2OH)に転化させる。その後、結果として生じたヒドロメチル化脂肪酸混合物を開始剤化合物と反応させ、水または低級アルカノールを除去して、ポリエステルポリオールを形成する。
【0047】
前記開始剤は、2個またはそれ以上のヒドロキシル、第一アミンまたは第二アミン基を含有し、ポリオール、アルカノールまたはポリアミンであり得る。特に興味深い開始剤はポリオールである。分子1個あたり2から8個、とりわけ2から4個のヒドロキシル基を有し、約150から3000、とりわけ200から1000の分子量を有するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマーをはじめとするポリエーテルポリオール開始剤は、有用である。
【0048】
上述のプロセスで製造されたヒドロキシメチル含有脂肪酸は、ヒドロキシメチル基を有さない材料と、1、2または3個のヒドロキシメチル基を有する材料との混合物である傾向がある。2および3個のヒドロキシメチル基を有する材料の割合は、2つおよび3つの炭素−炭素二重結合を含有する出発脂肪酸(またはアルキルエステル)の割合より、一般には多少低い。ヒドロホルミル化反応は、ストリンジェントな反応条件を用いない限り、すべての炭素−炭素二重結合にわたって起こらないことが多いからである。一般に、ヒドロホルミル化されない炭素−炭素二重結合が水素化されることとなる。
【0049】
そのようなヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールを製造する方法は、WO2004/096882に記載されている。
【0050】
そのようにして製造されたヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールは、一般に、多少の未反応開始剤化合物を含有し、および未反応ヒドロキシメチル化脂肪酸(またはエステル)を含有することもある。開始剤化合物は、脂肪酸(またはエステル)と一官能価的または二官能価的にしか反応しないことが多く、結果として生じるポリエステルポリオールは、その開始剤化合物の残基に直接結合している遊離ヒドロキシルまたはアミノ基を含有することが多い。
【0051】
場合によっては、前記天然油由来ポリオールを、天然油由来ポリオールとは異なるポリオール、例えば、ポリウレタンフォーム、とりわけ粘弾性フォーム、の形成に一般に使用されるポリエーテルポリオール(以後、従来のポリオールまたは追加のポリオールと呼ぶ)と共に使用する。粘弾性フォームを製造するために、前記従来のポリオールは、有利には、分子1個につき約2.5から約6個のヒドロキシル基の官能価、および約200から約1000の当量を有する。これらのポリオールは、好ましくは、少なくとも約600、好ましくは少なくとも約650から、多くとも約4500、さらに好ましくは多くとも約3000の分子量を有する。ここでのポリオール分子量は、すべて、数平均分子量である。前記ポリオールは、1つまたはそれ以上のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび1,2−ブチレンオキシド、またはそのようなアルキレンオキシドの混合物のポリマーであり得る。好ましいポリエーテルは、ポリプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物のポリマーである。前記追加のポリオールは、ポリエステルポリオールであってもよい。これらのポリエステルポリオールは、ポリオール、好ましくはジオール、と、ポリカルボン酸またはそれらの無水物、好ましくはジカルボン酸またはジカルボン酸無水物、との反応生成物を含む。前記ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式のものであってよく、ならびにハロゲン原子などで置換されていてもよい。前記ポリカルボン酸は、不飽和であってもよい。これらのポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびフマル酸が挙げられる。前記ポリエステルポリオールの製造に使用されるポリオールは、好ましくは150またはそれ以下の当量を有し、それらとしては、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,4−および2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどが挙げられる。The Dow Chemical Companyによって商品名「Tone」で販売されているものなどのポリカプロラクトンポリオールも有用である。いずれの従来のポリオールも好適に使用されるが、好ましいポリオールは、脂肪族ポリオール、さらに好ましくはポリエステルポリオール、さらに好ましくはポリエーテルポリオールであるものである。
【0052】
粘弾性フォームの製造には多くのアプローチがある。前記天然油由来ポリオールは、当分野の技術の範囲内の方法のいずれにおいても好適に使用される。1つの一般的な実施形態では、平均で約3個の官能基から約6個のヒドロキシル基および約3000から約4500の分子量を有する少なくとも1種のより高い分子量(MW)のポリオールを、分子1個につき約2から約3個のヒドロキシル基および約450から約800の分子量を有する少なくとも1種のより小さい分子量のポリオールと共に使用する。もう1つの実施形態では、分子1個につき約3個のヒドロキシル基および約1000の分子量を有する少なくとも1種の中等度の分子量ポリオールを使用する。前記天然油由来ポリオールは、より高い、より低いもしくは中等度の分子量のポリオールとして単独で、または別の天然油由来ポリオールもしくは前に説明したような従来のポリオールとの混合物で、好適に使用される。それぞれの天然油由来ポリオールは、場合により、すべて第一級のヒドロキシル基、またはすべて第二級のヒドロキシル基、または第一ヒドロキシル基と第二ヒドロキシル基の組み合わせを有する。前記天然油由来ポリオールを少なくとも1種の従来のポリオールと併用するとき、それは、すべて第一級のヒドロキシル基、またはすべて第二級のヒドロキシル基、または第一ヒドロキシル基と第二ヒドロキシル基の組み合わせを適切に有する。好ましくは、本発明の実施の際、ポリオールブレンド中の少なくとも1種のポリオール(これは、前記天然油由来ポリオールである場合もあり、または従来のポリオールである場合もある)は、第一ヒドロキシル基を有し、さらに好ましくは、少なくとも1種のポリオールのヒドロキシル基の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくはすべてが、第一ヒドロキシル基である。
【0053】
本発明のために、本発明の粘弾性フォームを製造するために使用するポリオールまたはポリオールの組み合わせを、天然油由来ポリオール組成物と呼ぶ。天然油由来ポリオール組成物中の天然油由来ポリオールは、存在するポリオールの総重量(pphp全ポリオールにも相当する)に基づいて、有利には少なくとも約1、さらに有利には少なくとも約10、好ましくは少なくとも約20、さらに好ましくは少なくとも約30、最も好ましくは少なくとも約50重量パーセントで、多くとも約100、さらに有利には多くとも約90、好ましくは多くとも約80、さらに好ましくは多くとも約75、最も好ましくは多くとも約70重量パーセントが少なくとも1種の天然油由来ポリオールまたは天然油由来ポリオールの組み合わせである。
【0054】
前記天然油由来ポリオール組成物を、分子1個につき平均で1.8個またはそれ以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種のイソシアネートと反応させる。前記イソシアネート官能価は、好ましくは少なくとも約1.9で、好ましくは多くとも約4、多くとも約3.5、最も好ましくは多くとも約2.5である。生成物ポリウレタンに付与される特性に基づいて、一般には芳香族ポリイソシアネートが好ましい。例示的ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、ならびに2個より多くのイソシアネート基を有するポリイソシアネート、好ましくは、MDIおよびMDIの誘導体、例えばビウレット修飾「液体」MDI生成物および高分子量MDI(PMDI)、ならびにTDIの2,4−および2,6−異性体(後者が本明細書の実施に最も好ましい)が挙げられる。一般に、粘弾性フォームには2,4異性体と2,6TDI異性体の65/35重量パーセント混合物が使用されるが、2,4異性体と2,6TDI異性体の80/20重量パーセント混合物も本発明の実施には有用であり、入手可能性に基づき好ましい。本発明のフォームを製造するために、他の好ましいイソシアネートとしては、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびまたはその高分子形(PMDI)が挙げられる。
【0055】
前記天然油由来ポリオール組成物、およびイソシアネートに加えて、本発明のフォームを製造するために使用される組成物中に水を使用する。この水は、フォームの発泡を達成するためにおよびイソシアネートとの反応によって尿素セグメント(ハードセグメント)を作るために使用される。スラブストックポリウレタンフォームは、一般に、100重量部の全ポリオールにつき(pphp)約2.5から約6重量部の量の水を利用するが、本発明の粘弾性フォームは、ポリオール成分の全重量の百分率(pphp)として計算して、有利には少なくとも約0.5、好ましくは少なくとも約0.6、さらに好ましくは少なくとも約0.8、最も好ましくは少なくとも約1.0重量パーセント、およびポリオール成分の全重量に基づいて有利には多くとも約2.5、好ましくは多くとも約2.0、さらに好ましくは多くとも1.8、最も好ましくは多くとも約1.5pphpの水を利用する。場合によっては、前記発泡反応または密度制御は、他の発泡剤、例えば炭化水素(例えば、シクロ、イソもしくはn−ペンタン)またはヒドロフルオロカーボン(HFC)、および他の揮発性分子(ガス状または液体)と水を併用することによって達成する。
【0056】
全オポリオールおよび水に対する割合でのイソシアネートの量は、イソシアネート指数によって示される。本発明の粘弾性フォームにおいて、TDIまたはMDIを使用するとき、そのイソシアネート指数は、好ましくは少なくとも約80、さらに好ましくは少なくとも約85、最も好ましくは少なくとも約90で、多くとも約110、さらに好ましくは多くとも105、最も好ましくは多くとも約100である。pMDIを使用するとき、そのイソシアネート指数は、有利には少なくとも約65、好ましくは少なくとも約70、さらに好ましくは少なくとも約80、最も好ましくは少なくとも約85で、好ましくは多くとも約100、さらに好ましくは多くとも約95、最も好ましくは多くとも約90である。イソシアネートのブレンドの場合、併せたイソシアネート指数は、有利には少なくとも約70、さらに有利には少なくとも約75、好ましくは少なくとも約80、さらに好ましくは少なくとも約85、最も好ましくは少なくとも約90で、有利には多くとも約110、さらに有利には多くとも約105、好ましくは多くとも約100、さらに好ましくは多くとも約95、最も好ましくは多くとも約90である。
【0057】
少なくとも1種の天然油由来ポリオール組成物と少なくとも1種のイソシアネートを、1種またはそれ以上の触媒の存在下で互いに反応させる。一般に、ウレタンフォームの形成には、ポリオール−イソシアネート(ゲル化)反応を触媒することができる少なくとも1種の触媒、もしくは水−イソシアネート(発泡)反応(水を発泡剤として使用するとき)を触媒することができる少なくとも1種の触媒、またはその両方を利用する。水発泡フォームを製造する際、発泡反応に好適な少なくとも1種の触媒とゲル化反応に好適な少なくとも1種の触媒の混合物、または両方に好適な1種の触媒を一般に使用する。これらを、その配合物を発泡させるためにおよび好ましくはそのフォーム中の気泡の多くを開放させるために十分な発泡を達成しながら、望ましい気泡構造を維持するために十分なゲル化(粘性)を達成するように均衡させる。粘弾性フォームを製造する際、錫触媒、例えばジブチル錫ジラウレート(DBTDL)が一般に使用される。驚くべきことに、本発明の実施では、DBTDLは有用であるが、第一錫オクトアート(SO)も好ましい錫触媒であり、一部の実施形態ではより好ましい。アミンポリオールの組み合わせを使用する粘弾性フォームの製造も一般的であり、この組み合わせは本発明の実施に有用であるが、本発明の実施の際、発泡反応を促進する単一アミン触媒の使用が、最終フォーム製品の悪臭を低減するために、および前記フォーム製品を製造するための配合物を単純にするために好ましい。
【0058】
多種多様な材料がポリウレタン形成反応を触媒することは公知であり、それらとしては、第三アミン;t−ホスフィン、例えば、トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィン;様々な金属キレート、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトアセテートなどと、金属、例えばBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNiから得ることができるもの;強酸の酸金属塩、例えば、塩化第二鉄、塩化第二錫、塩化第一錫、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマス;強塩基、例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシドおよびフェノキシド、様々な金属アルコラートおよびフェノラート、例えば、Ti(OR)4、Sn(OR)4およびAl(OR)4(この場合、Rは、アルキルまたはアリールである)、ならびに前記アルコラートとカルボン酸、ベータ−ジケトンおよび2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールの反応生成物;アルカリ土類金属、Bi、Pb、SnまたはAlカルボン酸塩;ならびに四価錫化合物、および三または五価ビスマス、アンチモンまたは砒素化合物が挙げられる。好ましい触媒としては、第三アミン触媒および有機錫触媒が挙げられる。市販されている第三アミン触媒の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミンおよびジメチルアルキルアミン(この場合のアルキル基は、4から18個の炭素原子を含有する)が挙げられる。これらの第三アミン触媒の混合物を使用することが多い。市販されているアミン触媒の例としては、Niax(商標)A1およびNiax(商標)A99(GE Advanced Materials,Siliconesから入手できる、プロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテル)、Niax(商標)B9(GE Advanced Materials,Siliconesから入手できる、ポリアルキレンオキシドポリオール中のN,N−ジメチルピペラジンおよびN−N−ジメチルヘキサデシルアミン)、Dabco(商標)8264(Air Products and Chemicalsから入手できる、ジプロピレングリコール中のビス(ジメチルアミノエチル)エーテルとトリエチレンジアミンとジメチルヒドロキシエチルアミンの混合物)、およびDabco(商標)33LV(Air Products and Chemicalsから入手できる、ジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミン)、Niax(商標)A−400(GE Advanced Materials,Siliconesから入手できる、水および有標ヒドロキシル化合物中の有標第三アミン/カルボン酸塩およびビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル);Niax(商標)A−300(GE Advanced Materials,Siliconesから入手できる、水中の有標第三アミン/カルボン酸塩およびトリエチレンジアミン);Polycat(商標)58(Air Products and Chemicalsから入手できる、有標アミン触媒)、Polycat(商標)5(Air Products and Chemicalsから入手できる、ペンタメチルジエチレントリアミン)およびPolycat(商標)8(Air Products and Chemicalsから入手できる、N,N−ジメチルシクロへキシルアミン)が挙げられる。
【0059】
有機錫触媒の例は、塩化第二錫、塩化第一錫、第一錫オクトアート、オレイン酸第一錫、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、式SnRn(OR)4-nの他の有機錫化合物(この式中、Rは、アルキルまたはアリールであり、ならびにnは、0から2である)などである。一般に、有機錫触媒は、使用されるとしても、1種またはそれ以上の第三アミン触媒と共に使用される。対象となる市販の有機錫触媒としては、Dabco(商標)T−9およびT−95触媒(両方とも、Air Products and Chemicalsから入手できる第一錫オクトアート)が挙げられる。
【0060】
触媒は、一般に、少量で使用し、例えば、それぞれの触媒は、前記天然油由来ポリオール組成物の約0.0015から約5重量%で利用する。この量は、触媒または触媒の混合物、特定の装置についてのゲル化反応と発泡反応の望ましいバランス、ポリオールとイソシアネートの反応性、ならびに当業者によく知られている他の要因に依存する。
【0061】
多くの場合、有利には、VEフォーム配合物に、それが発泡および硬化するときのフォームの安定化を助長するために、界面活性剤が含まれる。界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤および湿潤剤、例えば、プロピレンオキシドそして次にエチレンオキシドをプロピレングリコールに逐次的に添加することによって調製されたもの、固体または液体有機シリコーン、および長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテルが挙げられる。イオン性界面活性剤、例えば、長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸の第三アミンまたはアルキロールアミン塩も使用することができる。プロピレンオキシドそして次にエチレンオキシドをプロピレングリコールに逐次的に添加することによって調製された界面活性剤が好ましく、固体または液体有機シリコーンも好ましく、これらが最も好ましい。有用な有機シリコーン界面活性剤の例としては、市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマー、例えば、Tegostab(Goldschmidt Chemical Corp.の商標)B−8462およびB−8404、ならびにDow Corningから入手できるDC−198およびCD−5043界面活性剤、ならびにGE Advanced Materials,SiliconesからのNiax(商標)627界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の量は、特定の界面活性剤の界面活性、およびフォーム気泡構造を安定化または開放するその能力、ならびにポリオールの混合物の反応性、表面張力および粘度によって変わるが、一般には、ポリオールの総重量に基づき約0.0015pphpと3pphpの間の量で使用する。
【0062】
前記発泡性組成物は、連鎖延長剤または架橋剤を含有することがあるが、それらの使用は一般に好ましくなく、これらの材料は、存在するにしても、一般には少量(例えば、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物あたり10重量部まで、とりわけ2重量部まで)である。連鎖延長剤は、正確に2個のイソシアネート反応性基/分子を有する材料であり、これに対して架橋剤は、平均で2個より多いイソシアネート反応性基/分子を含有する。いずれの場合も、イソシアネート反応性基1個あたりの当量は、約30から約125の範囲であり得るが、好ましくは30から75である。前記イソシアネート反応性基は、好ましくは、脂肪族アルコール、第一アミンまたは第二アミン基であり、脂肪族アルコール基が特に好ましい。連鎖延長剤および架橋剤の例としては、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど;グリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど;シクロヘキサンジメタノール;グリセリン;トリメチロールプロパン;トリエタノールアミン;ジエタノールアミンなどが挙げられる。
【0063】
前記発泡性ポリウレタン組成物に含まれる追加の発泡剤(水以外)がない、故意量に満たない、または好ましくは約0.5pphp未満であるほうが好ましいが、追加の物理的または化学的発泡剤を含むことは、本発明の範囲内である。物理的発泡剤の中には、CO2および様々な炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン)、クロロフルオロカーボンおよびヒドロクロロフルオロカーボン、ケトン、例えば、メチル;エチルケトンまたはアセトン、およびエステル、例えば、ギ酸メチルなどがある。化学的発泡剤は、高温で分解または(イソシアネート基以外と)反応して、二酸化炭素および/または窒素を生成する材料である。
【0064】
本発明の粘弾性フォームを製造するために使用する組成物は、ポリウレタンポリマーの製造のための当分野において一般に公知の任意の添加剤を場合によっては含む。一定範囲の添加剤、例えば、界面活性剤、気泡開放剤、着色剤、フィラー、支持力強化用添加剤、例えばコポリマーポリオール、内部用離型剤、静電防止剤、抗菌剤、可燃性を低下させるための添加剤、分散剤、および当業者に公知の他の添加剤、のいずれもが本発明の範囲内で有用である。
【0065】
本発明の実施に従って粘弾性フォームを作るための組成物での使用に適する添加剤の中には、2006年8月10日出願の米国特許同時係属出願60/836,810およびその孫出願(2007年8月3日出願の「METHOD FOR PREPARING VISCOELASTIC POLYURETHANE FOAM」と題するPCT/US07/17419(代理人ドケット番号64809))において教示されている加工性を改善するための添加剤がある。この出願は、法律によって許される最大限に本明細書に組み込まれている。前記添加剤は、前記触媒またはその組み合わせとは異なる少なくとも1種の化合物であり、少なくとも1種の(e1)カルボン酸のアルカリ金属または遷移金属塩、(e2)1,3,5−トリスアルキル−または1,3,5−トリス(N,N−ジアルキルアミノアルキル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン化合物;および(e3)第四アンモニウム化合物のカルボン酸塩から選択される。タイプ(e1)の添加剤は、場合によっては、モノまたはポリカルボン酸の塩である。好ましくは、それは、水溶性であるか、本発明の実施の際に使用される少なくとも1種のポリオールに可溶性である。タイプ(e1)の添加剤は、好ましくは、C2-24モノカルボン酸の塩、特に、C2-18モノカルボン酸の塩、およびとりわけ、C2-18カルボン酸と金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、亜鉛、銅、ニッケル、銀などの塩である。具体的な例としては、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、ヘキサン酸ナトリウム、オクタン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、オクタン酸ニッケルなどが挙げられる。あるいは、タイプ(e1)添加剤は、好ましくは、カルボキシル官能性有機ポリマー、例えば、アクリル酸ポリマーまたはコポリマー、の塩である。タイプ(e2)添加剤の例は、1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジンである。タイプ(e3)添加剤は、場合によっては、モノまたはポリカルボン酸の第四アンモニウム塩である。好ましくは、それは、水溶性であるか、本発明の実施の際に使用される少なくとも1つのポリオールに可溶性である。1つの実施形態において、好ましい(e3)添加剤は、C1-12モノカルボン酸の塩、とりわけ、C2-12モノカルボン酸の塩、例えば、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムカルボン酸塩である。もう1つの実施形態において、好ましいタイプ(e3)添加剤は、(e1)添加剤に関して説明したようなカルボキシル官能性有機ポリマーの第四アンモニウム塩である。そのような添加剤は、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物あたり、好ましくは約0.01から1.0、さらに好ましくは0.01から0.5、最も好ましくは0.025から0.25重量部の量で使用する。一部のケースでは、例えば、(e1)または(e3)添加剤がカルボキシル官能性有機ポリマーに基づくとき、場合によっては、より多い量の添加剤を使用し、このケースでの前記添加剤の量は、場合により、100重量部のポリオールまたはポリオール混合物あたり、好ましくは25重量部ほどであり、さらに好ましくは10重量部までであり、および最も好ましくは5重量部までである。前記添加剤は、その反応混合物の少なくとも1種の他の成分に溶解し、好ましくは水、任意のポリオール、触媒、界面活性剤、架橋剤もしくは連鎖延長剤、または非反応性溶剤に溶解する。イソシアネートへの溶解は、通常、最も好ましくない。
【0066】
天然油由来ポリオール組成物からポリウレタンを作る際、その天然油由来ポリオール組成物を適切な添加剤、例えば、発泡剤、乾燥剤、フィラー、顔料、触媒などまたはそれらの組み合わせとブレンドして、配合ポリオールを製造することができる。前に論じたイソシアネート指数に相当するイソシアネート量を添加し、ポリオールと共に攪拌する。発泡が停止するまで、そのポリオール/イソシアネート混合物を真空下で維持し、その後、金型に注入する。結果として生じたポリウレタンフォームは、室温でまたはより高い温度で硬化させることができる。
【0067】
1つの実施形態において、粘弾性フォームを作るためのプロセスは、(a)少なくとも1種の天然油由来ポリオールおよび水を含む天然油由来ポリオール組成物を作る段階と;(b)少なくとも1種のゲル化触媒および少なくとも1種の発泡触媒と前記天然油由来ポリオール組成物とを混合して、触媒ポリオール混合物を作る段階と;(c)pMDIの場合は少なくとも約65および多くとも95、あるいはそのイソシアネートがTDIもしくはMDIまたはそれらの混合物であるときには少なくとも80および多くとも105、のイソシアネート指数に相当する量でイソシアネートを供給する段階と;(c)前記イソシアネートと前記触媒ポリオール混合物とを混合する段階と、を含む。場合により、これらの段階を同時にまたは任意の順序で行う。場合により、追加の成分、例えば発泡助剤も添加する。説明したようなプロセスは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールと他のポリオールを混合して天然油由来ポリオール組成物を作る段階を含むが、天然油由来ポリオール組成物に少なくとも1種の天然油由来ポリオールを添加剤として添加する段階も含むことに留意しなければならない。
【0068】
VEフォームは、いわゆるスラブストックプロセスで、または様々な成形プロセスによって作製することができる。スラブストックプロセスは、最も興味深い。スラブストックプロセスでは、それらの成分を混合し、トラフまたは他の領域に注入し、そこでその配合物は反応し、少なくとも1方向に自由に発泡し、硬化する。スラブストックプロセスは、一般に、商業規模で連続的に運転されるが、不連続またはボックスフォームプロセスで運転されることもある。
【0069】
スラブストックプロセスでは、様々な成分を個々に、または様々な部分的組み合わせ(subcombination)で、混合ヘッドに導入し、そこでそれらを混合し、計量分配する。混合前の成分温度は、一般に、15から35℃の範囲内である。一般には、熱をかけずともその計量分配混合物は発泡し、硬化する。スラブストックプロセスでは、反応混合物が自由にまたは最小限の拘束(例えば、カバーシートまたはフィルムの重量のために掛けられることがある拘束)下で発泡する。あるいは、粘弾性フォームを製造するための成分を、同時に、例えば、スラブストックフォームの連続製造用に設計された装置、例えばMaxfoam machineで、または当分野における技術の範囲内の他の方法、例えばFoamex Internationalから入手できる、1995年10月のInsight 95 International Conferenceにおいて提出された「Polyurethane Foam: Polymers' Cinderella Product」にHebnerが記載しているもので、併せることができる。そのようなプロセスは、発泡助剤、例えばCO2の噴射を場合によっては利用する、高圧噴射ヘッド技術を用いて実行することができ、または低圧噴射システムでのインライン成分混合で実行することもできる。両方の技術が当業者に公知である。反応混合物を密閉金型に導入し、そこでそれが発泡し、硬化することによる成形プロセスで、VEフォームを製造することもできる。他のプロセス、例えば、手動スプレー装置の使用によりまたはロボット式フォームスプレー装置、例えば、自動車の車内に騒音減衰用フォームをスプレーするために使用されるタイプ、により発泡混合物を基材に向かって空間にスプレーするスプレーフォーム技術を用いることもできる。加えて、フォームを減圧下で製造して、大気圧で同じ配合物を用いて得ることができるものより低い密度で低い硬度を有するフォームを製造する、変圧発泡(VPF)などのプロセスを用いてもよい。あるいは、VPFプロセスを上昇圧下で行って、大気圧で同じ配合物を用いて得ることができるものより高い硬度を有する高密度のフォームを得ることもできる。
【0070】
有利なことに、本発明の粘弾性フォームは、粘弾性ポリウレタンフォームでは滅多に観察されない特性を有する。ポリエーテルポリオールから作られる典型的な粘弾性ポリウレタンが、約0.1scfm(0.05L/秒)から約1.0scfm(0.47L/秒)の通気量値を有するのに対し、本発明のフォームは、天然油由来ポリオールの代わりにほぼ同じ官能価、当量、および第一ヒドロキシル官能価の第二ヒドロキシル官能価に対する比率の少なくとも1種のポリエーテルポリオールが用いることを除いて同じ組成のフォーム(以後、比較フォームと呼ぶ)より、大きい通気量値を有することが観察される。天然油由来ポリオール組成物を使用して作られる本発明のフォームは、比較フォームのものより、好ましくは少なくとも約100、さらに好ましくは少なくとも約200、最も好ましくは少なくとも約300パーセント大きい通気量を有する。本発明の粘弾性フォームの通気量は、有利には少なくとも約0.5、さらに有利には少なくとも約0.6、好ましくは少なくとも約0.8.さらに好ましくは少なくとも約1.0、最も好ましくは少なくとも約1.2L/秒である。有利なことに、この通気量改善は、通気量を増加させるために用いられる機械的網状化を伴わず、およびコポリマーポリオールの使用を伴わずに達成される。しかし、比較のために使用するフォームにおいても同機械的網状化、コポリマーポリオール、または両方が用いられるとき、場合によっては一方または両方を用いる。
【0071】
大気圧で作られたTDIをイソシアネートとして用いて90の指数で製造される、約0.10L/秒より大きい通気量および4.0 lb/ft3(64kg/m3)の密度を有するポリエーテルポリオールから作られる典型的な粘弾性ポリウレタンフォームが、ASTM D3574試験B1に概説されているような65%押込力たわみ(IFD)によって判断して、約8.0 lbf(36N)から約8.5 lbf(38N)の硬度値を有するのに対し、本発明のフォームは、天然油由来ポリオールの代わりにほぼ同じ官能価、当量、および第一ヒドロキシル官能価の第二ヒドロキシル官能価に対する比率の少なくとも1つのポリエーテルポリオールが用いることを除いて同じ組成のフォーム(以後、比較フォームと呼ぶ)より、大きい硬度値を有することが観察される。天然油由来ポリオール組成物を使用して、大気圧で、TDIをイソシアネートとして用いて90の指数で製造される、3.2から3.5 lb/ft3(51から56kg/m3)の密度で作られる本発明のフォームは、比較フォームのものより、少なくとも約50、さらに好ましくは少なくとも約100、最も好ましくは少なくとも約200パーセント大きい通気量を有する。本発明の粘弾性フォームの硬度は、有利には少なくとも約9.0 lbf(40N)、さらに有利には少なくとも約11 lbf(49N)、好ましくは少なくとも約15 lbf(67N)、さらに好ましくは少なくとも約18 lbf(80N)、最も好ましくは少なくとも約20 lbf(89N)であり、従って、約40から約85kg/m3の一般的な密度の粘弾性フォームの場合、本発明の実施は、有利には少なくとも約30N、さらに有利には少なくとも約45N、好ましくは少なくとも約60N、さらに好ましくは少なくとも約75N、最も好ましくは少なくとも約90Nの、65%IFDによって示される硬度を有するフォームを生じさせ、特にこの場合、密度の高いフォームのほうが、密度の低いフォームより高い硬度を有する。一般に、好ましい硬度に制限はないが、枕などの特定の用途については、望ましい硬度に制約がある場合もあることは理解される。本発明の実施の際、とりわけ80から85kg/m3のような高い密度のフォームの場合、硬度が90Nをはるかに超えることがあることも、当業者には理解される。
【0072】
本発明の粘弾性フォームは、既存の粘弾性フォームの使用目的、例えば、コンフォート用途、例えば座席用、吸音用、振動減衰用およびこれらの組み合わせのためのマットレス、枕およびクッション材料、のいずれにも有用である。加えて、本発明のフォームは、様々な包装およびクッション材料用途、例えば、マットレス、包装、バンパーパッド、スポーツ用具、医療器具、ヘルメットライナー、操縦席、耳栓、ならびに様々な騒音および振動減衰用途において有用である。
【0073】
本発明の目的および利点を図によってさらに説明する。
【0074】
図1は、本発明のフォームの特性および天然油由来ポリオール組成物を使用せずに製造した比較フォームの特性の円グラフである。図1では、下記実施例4に対応するフォームの特性を、下記比較サンプル(CS)Bに対応するフォームの特性と比較する。図1において、実施例4のフォームは、CS Bのものと同様の指数で作ったものであり、CS Bのものより多少低い密度およびCS Bのものとほぼ同じ伸び率を有する。他の点では、通気量、引張、引裂、反発弾性、IFD65%の改善と、低減された圧縮永久歪90%を示す。
【0075】
図2は、図1におけるフォームとは異なる本発明のフォームの特性と、天然油由来ポリオール組成物を使用せずに製造した比較フォームの特性の円グラフである。図1では、下記の実施例5に対応するフォームの特性を、下記のCS Bに対応するフォームの特性と比較する。実施例5のフォームは、CS Bよりはるかに低い密度を有するが、他の特性に関しては非常に類似しており、引張は高く、90%での圧縮永久歪は多少低い。この図は、本発明のフォームが、はるかに低い密度(重量)で、先行技術フォームと非常に類似したまたは改善された特性、必要な材料の実質的な低減、をもたらすことができることを示している。なお、図1と図2の尺度が異なることに留意しなければならない。
【0076】
本発明の目的および利点を以下の実施例によってさらに説明する。これらの実施例において列挙する特定の材料およびそれらの量ならびに他の条件および詳細を、本発明を限定するために用いるべきでない。別様に述べていない限り、すべての百分率、部および比率は、重量によるものである。本発明の実施例には番号を付け、一方、本発明の実施例でない比較例はアルファベット順に示す。
【0077】
実施例
【0078】
本発明のフォームを製造する際に以下の材料を使用する。
PEPO−1は、The Dow Chemical Companyから商品呼称Voranol 3150ポリオールで市販されている、3官能価、336当量 100%パーセントプロピレンオキシドポリエーテルポリオールである;
PEPO−2は、The Dow Chemical Companyから商品呼称Voranol 4053ポリオールで市販されている、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの6.9官能価、1800当量 ランダムコポリマーである;
PEPO−3は、The Dow Chemical Companyから商品呼称Voranol 3943ポリオールで市販されている、43重量%のスチレンとアクリロニトリルのコポリマーを含有する、3官能価、1030当量 ポリエーテルポリオールである;
PEPO−4は、The Dow Chemical Companyから商品呼称DWK 4066.01ポリオールで市販されている、153から171mg KOH/(g ポリオール)のヒドロキシル数を有する、3.08官能価 ポリエーテルポリオールである;
NOPO−1は、大豆油からの脂肪酸を使用して調製した、100%の第一ヒドロキシル含有量と86から92のヒドロキシル数(OH#)を有する、3−官能性天然油ポリオールである。500ppmの第一錫オクトアート(City Chemical Co.から市販されている)を触媒として使用して、ヒドロキシメチル化大豆脂肪酸メチルエステルと分子量624のポリ(エチレンオキシド)トリオールを4.1:1のモル比で反応させることによって製造する。得られたポリエステルは、25℃で2000cPの粘度、620のヒドロキシ当量、1860のMn、3612のMw、および1.54の多分散性を有する。NOPO−1は、平均で約3.0個のヒドロキシル基/分子を有する。NOPO−1は、構造式I(式中、Xは、−O−であり、およびn=3)に対応する。
水は、脱イオン水である。
MOD−1は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax L−627で市販されている有機シリコーン界面活性剤である。
MOD−2は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax L−540で市販されている有機シリコーン界面活性剤である。
MOD−3は、BYK Chemieから商品呼称DISPERBYK 190(商標)190分散剤で市販されている水溶性ブロックコポリマーである。
MOD−4は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax L−625で市販されている有機シリコーン界面活性剤である。
MOD−5は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax L−5614で市販されている有機シリコーン界面活性剤である。
MOD−6は、Aminoquimicaからの商品名Amiflex HPでのフォーム硬化剤製品である。
CAT−1は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax(商標)A1触媒で市販されているビス(ジメチルアミノエチル)エーテル触媒である。
CAT−2は、GE Advanced Materials,Siliconesから商品呼称Niax(商標)A300で市販されているアミン触媒である。
CAT−3は、Air Products and Chemicals,Inc.から商品呼称Dabco(商標)33LV触媒で市販されている、67パーセントジプロピレングリコール中のジエチレントリアミンの33パーセント溶液である;
CAT−4は、安定化第一錫オクタノエート(Air Products and Chemicals,Inc.から商品呼称Dabco(商標)T9触媒で市販されており、入手できる、軟質スラブストックフォームにおいて使用されるゲル化剤)である。
CAT−5は、Air Products and Chemicals,Inc.から商品呼称Dabco(商標)TL触媒で市販されているアミン触媒である。
CAT−6は、N,N−ジメチルエタノールアミン(Air Products and Chemicals,Inc.からDabco(商標)DMEAとして入手できるアミン触媒)である。
NCO−1は、The Dow Chemical Companyから商品呼称ISONATE(商標)TDI−80で市販されている、軟質フォームの製造に使用されるトルエンジイソシアネートの2,4−異性体と2,6−異性体の80/20ブレンドである。
【0079】
「プロセスA」に従って調製したそれぞれの実施例および比較サンプルでは、触媒を除き、所与の配合物のすべての成分および添加剤(MOD−1、MOD−2およびMOD−3として示した)を個々に計量し、それらを1クォート(0.965L)容量の金属カップに入れることによってフォームを調製する。成分温度は、約20から30℃である。3000rpmの混合速度が可能な高剪断ミキサーを使用して1800rpmで15秒間、その内容物を予混する。表に示す触媒を重量で計量分配し、その後、前記攪拌成分に添加し、さらに15秒間、1800rpmで混合する。その後、表に示す量のトルエンジイソシアネート(NCO−1)をカップに添加し、3秒間、2400rpmで激しく攪拌する。その後、カップの内容物を、ポリエチレンバッグで内側を覆った15’’×15’’×10’’(45×45×25cm)木製ボックスに注入する。発泡時間および任意の他の特異的反応特性を目で観察し、記録する。得られたフォームバンを換気フードのもとで一晩放置して硬化させる。その後、それらを7日間、周囲温度で保管した後、ASTM試験法名D 3574−03を用いる物理的性質の評定に付す。
【0080】
「プロセスB」に従って調製したそれぞれの実施例および比較サンプルにおいて、すべての実験に使用した装置は、Schmuzigerから市販されている50リットル混合容器(予め計量した成分のすべてをここに添加する)、5hp(3.73kW)モーターによって駆動する機械攪拌器(この攪拌器は、WEGから商品呼称100L0501で市販されている)、およびSchmuzigerから市販されている1立方メートル金属ボックスから成る。その金属ボックスを離型剤、例えばChemTrendから商品呼称CT6004で市販されている離型剤、で前処理する。オペレーターが混合速度および一連の混合段階の時間を変えることができる自動パネルによって、混合操作を制御する。
【0081】
個別に計量したポリオールおよび界面活性剤を50リットル混合容器に入れ、30秒間、1200rpmで攪拌する。表に示すとおりの水、アミン触媒および他の添加剤の量を添加し、30秒間、1200rpmで攪拌する。錫触媒(CAT−4)を添加し、それらの成分を30秒間、1200rpmで混合する。表に示すイソシアネート量を添加し、最終混合を1500rpmで5から7秒間行う。その後、その発泡混合物を金属ボックスに計量分配し、そこで90秒と300秒の間の期間にフォームが膨れ上がる。得られたフォームブロックを型から取り出し、24時間、周囲条件で硬化させる。その後、ASTM D−3574−03に概説されている準備および試験手順に従って、そのフォームを小片に切り分け、試験する。
【0082】
実施例1から8ならびに比較サンプルAおよびB:
【0083】
実施例1から8ならびに比較サンプルAおよびBは、表1に示す材料を使用して「プロセスA」に従って調製する。
【表1】


【0084】
表1のデータは、幾つか配合の異なるNOPO−1を従来のポリエーテルポリオールの代わりに用いた影響を例証するものである。指数、水分レベルおよび触媒バランスの変化を超えて、50%のNOPO−1を含有するフォームは、天然油由来ポリオールを含有しない対照より高い通気量を維持する。加えて、回復時間およびフォームの硬度は維持されるが、反発弾性およびコンフォート因子の増大が観察される。
【0085】
実施例9から12ならびに比較サンプルC:
【0086】
実施例9から12ならびに比較サンプルCは、表2に示す材料を使用して「プロセスB」に従って調製する。
【表2】

【0087】
表2における量は、イソシアネートをイソシアネート指数として表される当量によって記載したことを除き、100重量部のポリオールあたりの重量部での量である。すべてのフォームが粘弾性である。C.S.Cは、通気量を増加させるためのコポリマーポリオール(PEPO−3)をはじめとする、この目的のための当分野において認められているポリオールからの粘弾性フォームである。
【0088】
表2は、従来のポリエーテルの50%を上記天然油由来ポリオールに代えて用いた結果を例証するものである。フォームの指数を増加させることができ、それによって、悪臭を低減することができ、その上、機械的特性を維持し、通気量に改善をもたらすことができる。特に、フォーム密度が10%低減されると同時に、IFDによって判断してフォーム硬度の有意な増加が観察され(実施例11)、または同じフォーム硬度が、25%のフォーム密度の低減と共に観察され(実施例12)、またはコポリマーポリオールPEPO−3を完全に除去することおよび全ポリオール成分の50%をNOPO−1に代えて用いることを除いて同一の配合条件下で、同一の密度で、フォーム硬度の50%増加が達成される(実施例9をCS Cと比較)。
【0089】
実施例13から16:
【0090】
実施例13から16は、表3に示す材料を使用して「プロセスB」に従って調製する。
【表3】

【0091】
表3における量は、イソシアネートをイソシアネート指数として表される当量によって記載したことを除き、100重量部のポリオールあたりの重量部での量である。すべてのフォームは、粘弾性である。
【0092】
表3は、天然油由来ポリオールNOPO−1を含有する粘弾性フォームの調製のための4つの異なる配合物を例証するものである。49kg/m3(3.1 lb/ft3)から62kg/m3(3.88 lb/ft3)のフォーム密度を2.2scfmから0.8scfm(1.04から0.38L/秒)の通気量で調製する。
【0093】
実施例17から20:
【0094】
実施例17から20は、表4に示す材料を使用して「プロセスB」に従って調製する。
【表4】

【0095】
表4における量は、イソシアネートをイソシアネート指数として表される当量によって記載したことを除き、100重量部のポリオールあたりの重量部での量である。すべてのフォームは、粘弾性である。
【0096】
表4におけるデータは、50重量%のポリオールから70重量%ほどのポリオールまで配合物中のNOPO−1の含有量を増加させた結果を例証するものである。IFDによって判断してフォーム硬度の有意な増加が観察される一方で、通気量、良好な引張強度、低い圧縮永久歪および低い反発弾性といった望ましい特性を維持している。
【0097】
本発明の実施形態としては、次のものが挙げられる。
1.少なくとも1種の天然油由来ポリオールと1つより多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の芳香族化合物との反応生成物である、粘弾性ポリウレタンフォーム。
2.少なくとも約0.5、0.6、0.8、1.0または1.2L/秒のいずれかの通気量を有する粘弾性ポリウレタンフォーム。この場合、前記フォームは、コポリマーポリオールが実質的に不在の状態で作り、機械で網状化しておらず、すなわち網状化する前であり、ならびに好ましくは、前記フォームを製造する際に少なくとも1つの天然油由来ポリオールを使用し、ならびに好ましくは前記フォームは、65%IFDによって示される、少なくとも約30N、45N、60N、75Nもしくは90Nのいずれかの硬度(さらに好ましくは、約40から約85kg/m3の密度で);または少なくとも約40N、50N、67N、80Nもしくは90Nのいずれかの硬度(さらに好ましくは、少なくとも約50kg/m3から多くとも56kg/m3の密度で、もしくはTDIを用いて約90のNCO指数で製造して、さらに好ましくはその両方で)を有する。
3.A)少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートと水と少なくとも1種の触媒を含む反応混合物を作る段階(この場合、前記ポリオールは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを含む)と;
B)前記反応混合物を、その反応混合物を発泡および硬化させるために十分な条件に付して、粘弾性ポリウレタンフォームを作る段階と、
を含む粘弾性フォームの製造方法。
4.実施形態3のプロセスによって製造された実施形態1もしくは2のフォームまたはそれらの組み合わせを含む物品。
5.フォームが、天然油由来ポリオールの代わりに、当量、平均官能価、および第一ヒドロキシル基の全ヒドロキシル基に対する比率について同様のまたは同じ値を有する少なくとも1つの従来のポリエーテルポリオールが用いられることを除いて同じ配合から作られたフォームのものより大きい、少なくとも通気量およびまた好ましくはIFDによって示される硬度を有し、好ましくは、前記ポリエーテルポリオールのこれらの値の少なくとも1つ、好ましくは2つ、最も好ましくは3つが、天然油ポリオールのものの少なくとも約50、25または10パーセントのいずれかの範囲内である、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
6.少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、(a)開始脂肪酸ポリエステルアルコール、(b)ヒマおよびダイズエポキシド生成物、(c)第二アルコールアルコキシル化生成物、(d)他のアルコキシル化天然油化合物または(e)(a)、(b)、(c)および(d)の任意の選択物もしくは組み合わせ、のうちの少なくとも1つから選択される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
7.天然油由来ポリオールが、脂肪酸誘導体と、少なくとも1種のグリシン、スクロースまたはこれらの組み合わせから好ましくは選択される、少なくとも1種のポリオール、ポリアミン、アミノアルコールまたはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1種との反応によって作られたポリエステルである、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
8.天然油由来ポリオールが、アルコキシル化天然油ポリオールであり、前記アルコキシル化剤が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの組み合わせから好ましくは選択されるアルキレンオキシドである、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
9.少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、以下の特徴、
(a)分子1個につき、平均で少なくとも約2.0、2.4、2.7もしくは3個のいずれかから、多くとも約6、8もしくは12個のいずれかのヒドロキシル基;
(b)少なくとも約200、300もしくは500のいずれかから、多くとも約1000、1500もしくは2000のいずれかの当量;または
(c)少なくとも約400もしくは600から、多くとも約800または1000の分子量、
のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つを有する、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
10.天然油由来ポリオールとは異なる少なくとも1種の従来のポリエーテルポリオールが追加で使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、プロセスまたは物品。
11.少なくとも1種の従来のポリエーテルポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはこれらの組み合わせから選択される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
12.従来のポリオールが、有利には、以下のこと、
(a)分子1個につき約2.5から約6個のヒドロキシル基の官能価;
(b)約200から約1000の当量;または
(c)約600または650のいずれかから、約3000または4500の分子量、
の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つを有する、上記実施形態のいずれかのフォーム、プロセスまたは物品。
13.少なくとも1種のポリオール、好ましくは天然油由来ポリオールが、第一ヒドロキシル基、さらに好ましくは少なくとも20、50または100のいずれかのパーセント第一ヒドロキシル基を有する、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
14.少なくとも1種の第一ポリオールが、約3から約6個の官能基および約3000から約4500の分子量を有し、ならびに第二ポリオールが、約2から約3個のヒドロキシル基および約450から約800の分子量を有し、ならびに第一および第二ポリオールの少なくとも一方が、天然油由来ポリオールである、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
15.少なくとも約3個のヒドロキシル基の官能価および少なくとも約1000の分子量を有する少なくとも1種の天然油由来ポリオールが使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
16.天然油由来ポリオールまたはその組み合わせが、そのフォームを製造するために使用される全ポリオール(併せたポリオール成分の重量とも呼ばれる)の約1、10、20、30または50のいずれかの重量パーセントから、約70、75、80、90または100のいずれかの重量パーセントである、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
17.イソシアネートが、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリジフェニルメタンジイソシアネートまたはこれらの組み合わせから選択される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
18.イソシアネートが、分子1個につき、平均で、少なくとも約1.8または1.9個から、約4、3.5または2.5個のいずれかまでのイソシアネート、またはこれらの組み合わせを有する、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
19.イソシアネートが、約80重量パーセントの2,4TDIと20重量パーセントの2,6TDIの混合物である、上記実施形態のいずれかのフォーム、プロセスまたは物品。
20.水が、併せたポリオール成分全体の重量に基づき、約0.5、0.6、0.8、1.0pphpのいずれかから、約1.5、1.8、2.0、2.5pphpのいずれかの量で、フォームを製造するために使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
21.イソシアネートまたはその組み合わせが、70、75、80もしくは85のいずれかから、約90、96、100、105もしくは110のいずれか、好ましくは、イソシアネートがTDIの異性体、MDIの異性体もしくはそれらの組み合わせから選択されるときには約80、85もしくは90のいずれかから、約100、105もしくは110のいずれか、または好ましくは、イソシアネートがPMDIもしくはその組み合わせであるときには約65、70、80もしくは85のいずれかから、約90、95もしくは100のいずれか、のイソシアネート指数に相当する量で使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
22.フォームが、少なくとも1種のゲル化触媒および少なくとも1種の発泡触媒が存在する状態で作られる、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
23.触媒が、アミンおよび錫触媒から選択され、好ましくは、前記錫触媒が、第一錫オクトアート、 ジブチル錫ジラウレートまたはこれらの組み合わせであり、さらに好ましくは、1つの実施形態ではジブチル錫ジラウレート、さらに好ましくはもう1つの実施形態では第一錫オクトアートであり;好ましくは、アミン触媒が1種のみで使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
24.フォームが、少なくとも1種の界面活性剤または混和剤が存在する状態で作られる、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
25.連鎖延長剤または架橋剤のいずれか、好ましくはその両方が、実質的に存在しないまたは避けられる、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
26.水が、使用される唯一の発泡剤である、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
27.水以外の発泡剤が、使用されない、または故意量に満たない量、好ましくは約0.5pphp未満の量で存在する、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
28.水が、少なくとも1種の追加の発泡剤と共に使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
29.フォームが、有利には、以下のこと、
(a)少なくとも約0.5、0.6、0.8、1.0もしくは1.2L/秒のいずれかの通気量(好ましくは、この場合、コポリマーポリオールが実質的に存在しない状態で作られ、機械で網状化されていない(もしくは、機械で網状化される前である));
(b)天然油由来ポリオールの代わりに、当量、平均官能価、および第一ヒドロキシル基の全ヒドロキシル基に対する比率について同様のまたは同じ値を有する少なくとも1種の従来のポリエーテルポリオールが用いられていることを除いて同じ配合から作られたフォームのものより、少なくとも約50、100もしくは200のいずれかのパーセント大きい通気量(好ましくは、この場合、前記ポリエーテルポリオールのこれらの値の少なくとも1つ、好ましくは2つ、最も好ましくは3つは、天然油ポリオールのものの少なくとも約50、25または10のいずれかのパーセントの範囲内である);
(c)天然油由来ポリオールの代わりに、当量、平均官能価、および第一ヒドロキシル基の全ヒドロキシル基に対する比率について同様のまたは同じ値を有する少なくとも1種の従来のポリエーテルポリオールが用いられていることを除いて同じ配合から作られたフォームのものより大きい硬度(好ましくは、この場合、前記ポリエーテルポリオールのこれらの値の少なくとも1つ、好ましくは2つ、最も好ましくは3つは、天然油ポリオールのものの少なくとも約50、25または10のいずれかのパーセントの範囲内である);
(d)少なくとも約30N、45N、60N、75Nもしくは90Nのいずれか(さらに好ましくは、約40から約85kg/m3の密度で);または少なくとも約40N、50N、67N、80Nもしくは90Nのいずれか(さらに好ましくは、少なくとも約50kg/m3から多くとも56kg/m3の密度で、もしくはTDIを用いて約90のNCO指数で製造して、さらに好ましくはその両方で)、の65%IFDによって示される硬度、
の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらに好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくは4つを有する、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
30.フォームが、(a)少なくとも1種の天然油由来ポリオールおよび水を含む天然油由来ポリオール組成物を作る段階と;(b)少なくとも1種のゲル化触媒および少なくとも1種の発泡触媒と前記天然油由来ポリオール組成物を混合して、触媒ポリオール混合物を作る段階と;(c)pMDIの場合は少なくとも約65および多くとも約95、あるいはイソシアネートがTDIもしくはMDIまたはこれらの組み合わせであるときには少なくとも約80および多くとも105、のイソシアネート指数に相当する量でイソシアネートを供給する段階と;(c)前記イソシアネートと前記触媒ポリオール混合物を混合する段階と、を含むプロセスによって作られる、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。
31.フォームが、コンフォート用途、マットレス、枕、座席、吸音、振動減衰、ハーシュネス低減、包装、バンパーパッド、スポーツ用具、医療器具、安全装置、ヘルメットライナー、操縦席、耳栓、騒音減衰、またはこれらの組み合わせにおいて使用される、上記実施形態のいずれかのフォーム、方法または物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の天然油由来ポリオールと平均で1つより多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の芳香族化合物との反応生成物である、粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
コポリマーポリオールが実質的に存在しない状態で作られ、機械で網状にされていない場合、または機械的に網状化される前に測定されたとき、少なくとも約0.5L/秒の通気量と、少なくとも約30Nの65%IFDによって示されるような硬度とを有する、粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、フォームの製造に使用される、請求項2に記載のフォーム。
【請求項4】
天然油由来ポリオールの代わりに、当量、平均官能価および第一ヒドロキシル基の全ヒドロキシル基に対する比率について類似したまたは同じ値を有する少なくとも1種の従来のポリエーテルポリオールが用いられることを除いて同じ配合から作られたフォームのものより大きい通気量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項5】
少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、(a)開始脂肪酸ポリエステルアルコール、(b)ヒマおよびダイズエポキシド生成物、(c)第二アルコールアルコキシル化生成物、(d)他のアルコキシル化天然油化合物または(e)(a)、(b)、(c)および(d)の任意の選択物もしくは組み合わせ、のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項6】
少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、少なくとも1種の開始脂肪酸ポリエステルアルコールである、請求項5に記載のフォーム。
【請求項7】
天然油由来ポリオールまたはその組み合わせが、フォームを製造するために使用される全ポリオールの少なくとも約20重量パーセントおよび多くとも約80重量パーセントであり、ポリオールの残分が、少なくとも1種のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはそれらの組み合わせである、請求項1または3に記載のフォーム。
【請求項8】
少なくとも1種の天然油由来ポリオールが、以下の特徴、
(a)分子1個につき平均で少なくとも約2.0個から多くとも約12個のヒドロキシル基;
(b)少なくとも約200から多くとも約2000の当量;または
(c)少なくとも約400、多くとも約1000の分子量、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項7に記載のフォーム。
【請求項9】
少なくとも1種の第一ポリオールが、3から6個の官能基および3000から4500の分子量を有し、第二ポリオールが、2から3個のヒドロキシル基の官能価および450から800の分子量を有し、ならびに第一または第二ポリオールの少なくとも一方が、天然油由来ポリオールである、請求項8に記載のフォーム。
【請求項10】
イソシアネートが、約80重量パーセントの2,4TDIと20重量パーセントの2,6TDIの混合物である、請求項9に記載のフォーム。
【請求項11】
A)少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートと水と少なくとも1種の触媒とを含む反応混合物を作る段階(この場合、前記ポリオールは、少なくとも1種の天然油由来ポリオールを含む)と;
B)前記反応混合物を、発泡および硬化させるために十分な条件に付して、粘弾性ポリウレタンフォーム、すなわち、ASTM D3574−Test Hの手順に従って測定して多くとも25パーセントの反発弾性を有するフォームを作る段階と、
を含む粘弾性フォームの製造方法。
【請求項12】
フォームを製造するために、併せるポリオール成分全体の重量に基づき少なくとも0.5から多くとも2.5pphpの量で水が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
イソシアネートまたはその組み合わせが、65から105のイソシアネート指数に相当する量で使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
コンフォート用途、マットレス、枕、座席、吸音、振動減衰、ハーシュネス低減、包装、バンパーパッド、スポーツ用具、医療器具、安全装置、ヘルメットライナー、操縦席、耳栓、騒音減衰、またはこれらの組み合わせにおいて使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載のフォームを含む物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−504391(P2010−504391A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529182(P2009−529182)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/019582
【国際公開番号】WO2008/036173
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【出願人】(509079695)ダウ ブラジル スデステ インダストリアル エルティデイエイ. (3)
【Fターム(参考)】