説明

高さ測定装置

【課題】 センサの高さ位置を簡単に調整できる高さ計測装置を提供する。
【解決手段】
センサ本体1は、光源10を備え、光源ウインド11を通ってプローブ光15を出力し、対象面55にて反射したプローブ光15を計測ウインド12と計測レンズ13を通してラインセンサ14で受光し、対象面55の高さを計測する。 光源ウインド11の下側に、ビームスプリッタ21が設けられており、プローブ光15を直交方向に分岐してガイド光25とし、該ガイド光25を反射ミラー22で反射させて、スクリーン20上に当てる。スクリーン20は、スリガラスなどの光透過性の拡散板であり、下側から当たったガイド光25のガイド光位置26を上面から視認し、センサ本体1の高さ位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズの組み立てに際しては、構成要素の各レンズ毎にレンズの直径方向及び光軸方向の位置を高精度に調整する必要があり、そのために、レンズ表面の高さを高精度に計測する必要がある。即ち、レンズを回転させ、凸あるいは凹形状のレンズ表面の高さ変化を計測することによりレンズの中心軸の位置を計測し、調整することが可能になる。
この高さ計測を行うセンサとして、光干渉を利用するものがあるが、このセンサはレンズの中心に計測器を置く必要があり、小型のレンズには適しているものの、大型のレンズには不向きである。
また、レンズを透過した光の位置を検知する方式もあるが、複雑なレンズには対応できない問題がある。
更に、一般的な高さ計測装置として、光ビームを用いた三角測量を原理とする計測装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−14935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した三角測量方式の計測装置の場合、さまざまな焦点距離を持つ凸レンズや凹レンズの表面高さを計測する際に、該装置の高さセンサとレンズ面との距離と方向を調整し、レンズ表面を高さセンサの計測範囲内に入れるとともに正反射条件を満たす必要があるが、レンズ表面は透明かつ球面であるため、その表面角度を目視で見出すことは難しく、また、高さセンサに用いられているレーザ光の強度は1mW程度と小さいため目視では光路を観測できず、また、その計測範囲も数mmと狭いため、高さセンサでさまざまな特性を持つレンズ高さをすばやく計測することは難しかった。
以上のような理由から、三角測量方式の計測装置をレンズの組み立ての際の計測に用いた例はなかった。
本発明は上記従来技術の問題を解決し、レンズの高さ測定に適用可能な三角測量方式の計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明はプローブ光を用いて対象物の高さを三角測量法により測定する高さ測定装置であって、プローブ光が対象物で反射した反射光を入力するセンサ本体と、対象物に照射されるガイド光と、該ガイド光が対象物で反射した反射光を映すスクリーンと、該スクリーンの反射光位置に基づいて、前記センサ本体と対象物の間の距離を調整する位置調整装置と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、スクリーンに映ったガイド光の反射光の位置により、センサ本体と対象物の距離を知ることができ、簡単に位置調整が可能になる。
前記ガイド光は、前記プローブ光を直交方向に分岐して得るのが望ましく、新たな光源を必要としない効果がある。
前記スクリーンには、前記センサ本体と対象物の距離が計測に適正な範囲にあるときに、前記ガイド光がスクリーンに当たる位置に適正範囲マークを描いておき、この適正範囲マークとガイド光に基づいてセンサ本体の高さ位置調整をするのが望ましい。
更に前記スクリーンが、光透過性の拡散板であり、前記センサ本体の側部に配置され、前記ガイド光は拡散板の下側から当たり、該ガイド光の位置を拡散板の上側から視認可能である、ように構成することにより、センサ本体の上側からスクリーンを見ることにより、簡単に位置調整が可能になる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の高さ測定装置によれば、センサ本体と対象物の距離を適正な位置に調整することが簡単に行える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において本発明の高さ計測装置は、センサ本体1を有しており、回転台51上に載置された対象物の表面高さを計測するように構成されている。図1においては、対象物としてレンズ50の表面高さを計測する例を示している。
【0008】
センサ本体1は上下位置調整装置2に支持されており、上下方向に位置調整可能になっている。また、水平位置調整装置3に支持され、一方向の位置調整が可能に構成されている。更に回動装置4を備えており、垂直方向に回動可能に構成され、角度調整が可能になっている。また上下位置微調整装置5を備え、上下位置調整装置2に加えて上下方向位置の微調整が可能になっている。
【0009】
図2に示すように、センサ本体1は、光源10を備え、光源ウインド11を通ってプローブ光15を出力し、対象面55にて反射したプローブ光15を計測ウインド12と計測レンズ13を通してラインセンサ14で受光し、対象面55の高さを計測するように構成されている。
【0010】
光源ウインド11の下側に、ビームスプリッタ21が設けられており、プローブ光15を直交方向に分岐してガイド光25とし、該ガイド光25を反射ミラー22で反射させて、対象面55にて反射したガイド光25をスクリーン20上に当てて反射光を映すように構成されている。スクリーン20は、スリガラスなどの光透過性の拡散板であり、下側から当たったガイド光25のガイド光位置26を上面から視認できるようになっている。
【0011】
図3に示すように、対象面55の位置が対象面55’にあると、スクリーン20上のガイド光位置26の位置も移動するので、ガイド光位置26の位置を視認することにより、センサ本体1と対象面55の間の距離が確認可能になる。スクリーン20上には適正範囲マーク201が形成され、ガイド光位置26の位置が適正であるか否か目視でわかるようになっている。
【0012】
図4と図5により、各要素の位置関係を更に説明する。図4は正面図、図5は側面図である。
図4と図5に示すように、プローブ光15の一部はビームスプリッタ21によりプローブ光15と直交する方向に分岐されて、ガイド光25となって、反射ミラー22に反射され、対象面55で反射してスクリーン20に映るように構成されている。
スクリーン20はセンサ本体1の外側に装着され、センサ本体1の上側からスクリーン20上のガイド光位置26を視認できるようになっている。
反射ミラー22の角度は、対象面55に対するガイド光25の入射角が十分に大きく、ガイド光25の反射光がセンサ本体1外部に装着されたスクリーン20に当たるようになっている。
【0013】
上記の構成の場合、図5から明らかなように、プローブ光15とガイド光25は重なって見えるため、反射光の位置から観測中心位置までの距離を判定することができ、これにより観測面の角度や距離の調整をすばやく行うことができるようになる。
これを図3により説明する。ガイド光25はプローブ光15の計測中心点で交差し、この点と対象面55とが一致するとき、ガイド光15の反射光がスクリーン20上の適正範囲マーク201の中心に当たるように、即ちガイド光位置26が適正範囲マーク201に入るように設定されている(a’点)。なおa点はプローブ光15が計測ウインド12を透過する点であるが、これはセンサ本体1の下部にあるため上部からは見えない。対象面55の高さが低くなり対象面55’になると、ガイド光25はプローブ光15と分岐し、その反躰光によるガイド光位置26は、スクリーン20上でb点となる。光ビームが本発明の配置のとき、ガイド光25とプローブ光15を結ぶそれぞれの線l1、l2、l3は、プローブ光15の入射・反射光を含む面に直交し、互いに平行である。
ここで、高さ調整時に、ガイド光位置26がb’点にある場合には、ガイド光位置26a’点になるようにセンサ位置(高さ)を調整してやればいいことになる。ここで、適正範囲マーク201と現在のガイド光位置26との差を見れば、現在の対象面55高さが最良点面の上下どちら方向にあるか(どちら方向に調整すればよいか)が一目でわかる。また、高さ変動量と、スクリ一ン20上のガイド光位置26の変動量は比例しているので、a’とb’の距離を見れば、.どのくらいの高さ位置ずれがあるかが分かる。
【0014】
図6に図4と図5の配置関係を斜視図で示す。
光源10から放射されたプローブ光15とその反射光が形成する面を面Aとする。この面Aを境に、各要素の面Aの向こう側部分を灰色で示してある。面Aには、プローブ光15とその反射光がラインセンサ14に至るまでの光路を含んでいる。
【0015】
ビームスプリッタ21で分岐し、反射ミラー22で反射するガイド光25が形成する面Bは上記面Aと直交している。この面Bには光源10からのプローブ光15も含まれている。
面Cは、ガイド光25が対象面55で反射した反射光とプローブ光15の反射光が形成する面である。対象面55が高さ範囲の中心に来たとき、面Cは適正範囲マーク201の中心と計測ウインド12の中心を含むようになっている。この面Cも面Aと直交している。
ガイド光とプローブ光とが高さ計測中心で交差するように配置されている。
【0016】
図7にスクリーン20の上面図を示す。前記したように、スクリーン20には下側からガイド光25が当たり、このガイド光位置26がスクリーン20から視認できる。スクリーン20には、適正範囲マーク201が予め描かれており、センサ本体1と対象面55の距離が計測に適当な範囲内にある時、ガイド光位置26がこの適正範囲マーク201内に位置するようになっている。
操作者は、センサ本体1の上からスクリーン20を見て、ガイド光位置26が適正範囲マーク201内に入るようにセンサ本体1の高さ位置を調整することにより、簡単にセンサ本体1の位置調整が可能である。
ガイド光軌跡27は、対象面55が正反射条件を保ったまま上下した時のガイド光位置26の軌跡を示す。
この実施形態では、更に適正範囲マーク201に加えて、計測可能な上限位置を示す上限マーク202、下限位置を示す下限マーク203を描いてある。
【0017】
図8にビームスプリッタ21と反射ミラー22に変えて一体型プリズム23を用いた例を示す。
この一体型プリズム23では、光分岐をビームスプリッタで行い、反射をガラス傾斜部で行う。この一体型プリズム23を用いた場合、反射面がガラス内部にあること、プリズムとミラーの相互距離が固定されていること、などから安定した反射特性が得られる利点がある。
【0018】
図9と図10に各要素を他の配置として実施形態を示す。面Aは図6と同じである。ガイド光25とその反射光が形成する面B’を面Aと直交するように配置してある。そして、スクリーン20もその中心線がこの面B’上にあるように配置されている。
ガイド光25の方向は、プローブ光15が最良計測点で交差するように設置されている。対象面55の法線Hと面B’の交差線が一致し、対象面55がセンサ本体1の最良計測点と一致したときが最良計測条件である。
この構成の場合、図10に示すように、ガイド光位置26は面B’内で変化する。
【0019】
図11に、計測高さを延長する構成を示す。この実施形態では、プローブ光15の光路に平行ガラス板19を挿入してある。この例では計測ウインド12の下側に平行ガラス板19を設けている。
この構成の場合、プローブ光15の光路を対象面55方向に延長することが可能である。図中実線が平行ガラス板19を設けた時の光路、点線が平行ガラス板19がないときの光路である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態におけるセンサ本体1の斜視図。
【図3】本発明の一実施形態におけるセンサ本体1の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態の正面図。
【図5】本発明の一実施形態の側面図。
【図6】本発明の一実施形態における要素の配置を示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態におけるスクリーン20の平面図。
【図8】本発明の他の実施形態の正面図。
【図9】本発明の他の実施形態の要素の配置を示す説明図。
【図10】図9に示す実施形態の平面図。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0021】
1:センサ本体、2:上下位置調整装置、3:水平位置調整装置、4:回動装置、5:上下位置微調整装置、10:光源、11:光源ウインド、12:計測ウインド、13:計測レンズ、14:ラインセンサ、15:プローブ光、19:平行ガラス板、20:スクリーン、21:ビームスプリッタ、22:反射ミラー、23:一体型プリズム、25:ガイド光、26:ガイド光位置、27:ガイド光軌跡、50:レンズ、51:回転台、55:対象面、201:適正範囲マーク、202:上限マーク、203:下限マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ光を用いて対象物の高さを三角測量法により測定する高さ測定装置であって、
プローブ光が対象物で反射した反射光を入力するセンサ本体と、
対象物に照射されるガイド光と、
該ガイド光が対象物で反射した反射光を映すスクリーンと、
該スクリーンの反射光位置に基づいて、前記センサ本体と対象物の間の距離を調整する位置調整装置と、
を備えたことを特徴とする高さ測定装置。
【請求項2】
前記ガイド光は、前記プローブ光を直交方向に分岐して得られる、
請求項1の高さ測定装置。
【請求項3】
前記スクリーンは、
前記センサ本体と対象物の距離が計測に適正な範囲にあるときに、前記ガイド光がスクリーンに当たる位置に適正範囲マークを有する、
請求項1又は2の高さ測定装置。
【請求項4】
前記スクリーンが、
光透過性の拡散板であり、
前記センサ本体の側部に配置され、
前記ガイド光は拡散板の下側から当たり、該ガイド光の位置を拡散板の上側から視認可能である、
請求項1又は2又は3の高さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−121971(P2010−121971A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293690(P2008−293690)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(300091670)株式会社アドテックエンジニアリング (23)
【Fターム(参考)】