説明

高められた再加熱特性のポリプロピレンの成形

ボトル、容器および他の物品は、アンチモン、カーボンブラック、グラファイト、チタン、銅、マンガン、鉄、タングステン、グラファイト、赤外線吸収染料または他の赤外線吸収材料のような、再加熱剤を含むポリプロピレン組成物から形成される。ポリプロピレン組成物の再加熱時間は射出延伸ブロー成形または熱成形について短縮され、再加熱剤入りポリプロピレン顆粒組成物は、添加された再加熱剤なしのポリプロピレン顆粒対照についてのL値の少なくとも80%である、ガードナー色試験によって測定されるL値を有する。再加熱剤は、次亜リン酸のような還元剤によるアンチモントリグリコレートのような金属化合物のインサイチュー化学的還元によってポリプロピレン組成物中へ組み入れられてもよい。さらに、再加熱剤剤入りポリプロピレン組成物は高濃度の再加熱剤入りポリプロピレン・マスターバッチから誘導されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に射出延伸ブロー成形および熱成形技術による、ポリプロピレンポリマー組成物からのボトル、容器および他の物品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートまたはそのコポリマー(以下まとめて「PET」と言われる)のようなポリエステル組成物は周知の包装材料である。例えば、米国特許公報(特許文献1)で、PET組成物は様々な成形法によって飲料ボトルおよび他の容器(以下「ボトル」と言われる)を製造するために使用されている。
【0003】
ほとんどの飲料用途向けサイズおよび形状の現行方式PETボトルは、通常、射出延伸ブロー成形技術によって製造されている。射出延伸ブロー成形は2つの主工程を有する。第1工程で、顆粒の形のPETは射出成形機で溶融され、溶融物が冷却された金型中へ射出されて「プリフォーム」として知られる最終ボトルの前駆体を形成する。一般に、プリフォームは約8〜20cm短縮ボトル本体形状長さおよび3mm〜6mmの材料厚さと共にネジ山の付いた首を有する。第2工程で、プリフォームは延伸ブロー成形機に移され、そこでその外面は赤外(IR)ランプによって再加熱される。いったんプリフォームが所望の温度に達すると、それは延伸されブローされて最終ボトルを形成する。
【0004】
プリフォームを再加熱するために要する時間は全体工程にとって律速因子である。プリフォームは周囲温度でスタートし、延伸−ブロー工程がうまくいくことを可能にするのに十分なほどプリフォームが柔軟性になるように、ポリエステルのガラス転移温度より上に(一般に約110℃に)加熱されなければならない。一般に、ポリエステルポリマーはIR放射線を吸収するのに不満足な能力を有する。従って、全体生産時間を延ばすだけでなく、プリフォーム再加熱工程はまたかなりの量のエネルギーを必要とする。この問題に取り組むために、幾つかの先行特許は、PET組成物への黒色材料および/または金属粒子の添加が再加熱に必要とされる時間とエネルギーとを減らし得ることを教示してきた。従って、先行特許は、PETプリフォーム再加熱時間を減らすためにカーボンブラック(米国特許公報(特許文献2))、酸化鉄(米国特許公報(特許文献3))、ならびにアンチモンおよび他の金属粒子(米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5))を添加することを教示している。ほとんどの延伸ブロー成形機でIRランプによって発せられる赤外線波長、例えば、500nm〜2000nmでまたはその近くでアンチモン金属粒子は放射線を優先的に吸収するので、かかる粒子が好ましいと示唆された。さらに、米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に記載されているように、 アンチモン化合物は通常ポリエステル組成物そのものの中に(溶融重合のための触媒として)存在し、製造の溶融重合段階での還元剤の添加によって、所望のIR吸収特性を持ったアンチモン金属粒子に変換することができる。
【0005】
PETは、飲料ボトル向けに広範囲の用途を見いだしてきたが、PETを製造するための原料のコストは、幾つかの非PETポリマーについてよりはるかに高い。それ故、業界はPETからより低コスト代替物に切り替えることを絶えず追求している。これらの代替物を追求しているが、容器製造業者は、新たなポリマー材料を加工するための新しい資本設備に実質的資源を投資することを欲しておらず、彼らの既存のPET射出ブロー成形設備を新たな材料での使用に適合させることを好むであろう。
【0006】
飲料ボトルの射出延伸ブロー成形での使用のためのPETの可能な一代替物はポリプロピレンである。米国特許公報(特許文献6)は、プリフォームが外側および内側の両方から同時に加熱される場合ポリプロピレン・プリフォームの射出延伸ブロー成形が可能であることを教示している。それにもかかわらず、この方法によってポリプロピレンから満足のいく飲料ボトルを製造することはこれまでより困難であった。第1に、ポリプロピレンはPETより低い密度および比熱を有し、従って著しくより狭い加工時間枠を示す。第2に、ポリプロピレンは、IR放射線を吸収するその不満足な能力の観点からPETと同じ制限を受ける。さらに、ポリプロピレンはPETより大きい不透明度を一般に有し、それはその美的外観を損なう。業界は従って、ポリプロピレンがPETと同じ射出延伸ブロー成形設備で飲料ボトルを製造するために使用できるおよび/または他の熱成形物品を製造するために使用できるようにポリプロピレンのIR吸収特性を改善するための方法を追求し続けている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,340,721号明細書
【特許文献2】米国特許第4,476,272号明細書
【特許文献3】米国特許第4,250,078号明細書
【特許文献4】米国特許第5,419,936号明細書
【特許文献5】米国特許第5,529,744号明細書
【特許文献6】米国特許第6,258,313号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、本発明は、再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物を含むプリフォームからのポリプロピレンボトルの射出延伸ブロー成形法である。再加熱剤は、アンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数の金属粒子であってもよく、ここでアンチモンが最も好ましい。再加熱剤はまた、カーボンブラック、グラファイト、赤外線吸収染料または他の赤外線吸収材料の粒子であってもよい。
【0009】
プリフォームは、通常1つまたは複数の加熱ランプでの加熱によって、所望の再加熱温度に再加熱される。プリフォームを再加熱するための時間は、再加熱剤なしのポリプロピレン組成物から形成された等しい寸法の対照プリフォームを再加熱するために時間より短い。プリフォームを製造するために使用されるポリマー顆粒は、対照プリフォームを製造するために使用されるポリマー顆粒のL値の少なくとも約80%のL値を有する。L値はガードナー(Gardner)色試験によって測定される。例えば、対照ポリプロピレン組成物顆粒が約75のL値を有する場合、本発明に従ってプリフォームを製造するために使用される顆粒は約60またはそれ以上のL値を有する。L値が対照のL値に近ければ近いほど、最終ボトルは対照ポリプロピレンから製造されたボトルの色/美観に一層似るであろう。
【0010】
好ましくは、再加熱剤は、約10ナノメートル(nm)〜約100マイクロメートルの範囲の、より好ましくは10nm〜10ミクロンの範囲の粒度を有する粒子の形でポリプロピレン中へ組み入れられる。好ましくは、再加熱剤粒子は、約2ppm〜1000ppm、より好ましくは2ppm〜350ppm、最も好ましくは2ppm〜50ppmの範囲の量でポリプロピレン中へ組み入れられる。再加熱剤粒子はまた、10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、および50ppm〜25,000ppmの範囲の量でポリプロピレン組成物中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成してもよい。次に、マスターバッチは他のポリプロピレン組成物(恐らく再加熱剤なしか、または異なる再加熱剤もしくは異なる割合の同じ再加熱剤を含有するかの)とブレンドされて所望の割合の再加熱剤入りポリプロピレン組成物を形成してもよい。
【0011】
さらに、再加熱剤は、還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によってポリプロピレン組成物内で生成されてもよい。
【0012】
このように、金属化合物はアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有することができ、還元剤は1つまたは複数の有機亜リン酸もしくは無機亜リン酸、またはタンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、またはヒドラジン、または亜硫酸塩、または錫II塩、水酸化ニッケル、または金属化合物を金属状態に還元するのに十分な電気化学ポテンシャルを持った任意の有機もしくは無機化合物であることができる。好ましくは、金属化合物はアンチモントリグリコレートであり、かつ、還元剤は次亜リン酸である。
【0013】
再加熱剤入りポリプロピレン組成物から製造されたプリフォーム、ポリプロピレンボトルおよび他のポリプロピレン物品もまた特許請求される。他のポリプロピレン物品の例には、カップまたは給仕トレーまたは食品容器のような3次元物品、およびシートのような2次元物品が挙げられる。最終物品の所望の美観に依存して、これらの他のポリプロピレン物品を形成するために使用される再加熱剤入りポリプロピレン顆粒のL値は、ボトルへ射出延伸ブロー成形されるボトルプリフォームを形成するために使用される組成物のLについての好ましい範囲の外側であってもよい。
【0014】
本発明は、次の図面に関して次の詳細な説明で記載されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、良好な色質および透明度の、延伸ブロー成形容器、特にボトルの製造に有用であるポリプロピレン組成物に関する。かかる組成物はまた、熱成形のような他の2工程技術で他のポリプロピレン容器およびポリプロピレン物品を製造するために使用されてもよい。ポリプロピレン組成物は、PET射出延伸ブロー成形でのIR加熱で用いられる赤外ランプからの放射線の典型的な波長である500nm〜2000nmの波長範囲の放射線を本質的に吸収するある種の金属粒子を再加熱剤として含有する。金属粒子は、射出延伸ブロー成形または熱成形中に所望の温度にポリプロピレン組成物のプリフォームを再加熱するためにさもなければ必要とされるであろう再加熱時間を減らすのに十分な量で存在する。再加熱剤入りのかかるポリプロピレン組成物はそれでもなお所望の最終使用用途に許容される色および透明度を有する。
【0016】
先ず図1A〜1Dについて言及すると、公知の射出延伸ブロー成形法は幾つかの工程を含む。第1に、図1Aに示されるような射出成形プリフォーム10は、ネジ山の付いた首部分12とボトル本体部分14とを有する。プリフォーム10は、再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物か、再加熱剤なしのポリマー顆粒と混合される再加熱剤コンセントレートマスターバッチの顆粒かのどちらかから射出成形される。最も一般には、各ポリプロピレン顆粒は長さが2.5〜4.0mm、直径が2.0〜3.0mmである。ポリプロピレン組成物またはポリプロピレン顆粒の混合物は、組成物/顆粒を溶融するために加熱されて流動性ポリマー溶融物を形成し、それは射出によって金型中へ導入される。射出金型は、所望の輪郭形状へとプリフォームを成形するための空洞と合わせラムとを有する。プリフォーム10は金型から取り出され、冷却され、ボトルへ成形される準備ができるまで保管される。
【0017】
図1Bに示されるように、プリフォーム10は次に固定具18上方に設置され、再加熱または予熱空洞20内に保持される。1つのまたは一連のランプであってもよい加熱ランプ22は、プリフォーム10が固定具18上で回転される時にプリフォーム10の外面を加熱する赤外放射線を発する。PETボトルを形成する時には外側からだけの加熱が最も一般的な技術であるけれども、再加熱は、図1Bに示されるようにプリフォームの外側から、プリフォームの内側から、またはプリフォームの外側および内側の両方から行うことができる。
【0018】
プリフォーム10が所望の温度に達した時、再加熱されたプリフォーム10はその時延伸ブロー成形の準備完了である。次に、図1Cおよび1Dについて言及すると、再加熱されたプリフォーム10付き固定具18は、ポリマー材料をボトルへ成形するための輪郭を有する金型空洞30内に保持される。プッシュロッド32がポリマー材料を外に向かって膨らむように促して金型の内輪郭と合わせる時に、空気または窒素のようなガスが固定具18のノズルを通ってプリフォーム10の内容積中へ注入される。いったん射出延伸ブロー成形が完了したら、完成ボトル(示されていない)は金型から取り出される。一態様では、本発明は、PETの射出延伸ブロー成形のために業界で今一般に用いられている装置を用いるポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形に関する。
【0019】
本発明に従って再加熱時間を減らすためにポリプロピレン組成物に添加される再加熱剤には、アンチモン(Sb)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、カーボンブラック、グラファイト、赤外線染料、チタン(Ti)、タングステン(W)、および銅(Cu)が含まれる。アンチモンおよびカーボンブラックが好ましい再加熱剤であり、アンチモンが特に好ましい。再加熱剤は、約2ppm〜約1000ppm、より好ましくは約2ppm〜350ppm、最も好ましくは約2ppm〜50ppmの量で、および約10nm〜約100ミクロンの範囲の、最も好ましくは10nm〜10ミクロンの範囲の粒度でポリプロピレン組成物に好ましくは添加される。
【0020】
再加熱剤は、多くの方法でポリプロピレン組成物中へ組み入れられてもよい。1代替案として、再加熱剤は、プリフォームを形成するために混合物を射出金型に導入する前にポリプロピレン顆粒と直接混合されてもよい。別のもっと好ましい代替案として、再加熱剤は、射出成形機に導入する前に、ポリプロピレン顆粒と直接混合し、二軸スクリュー配合押出機または類似構成要素の装置を通過させてよく分散され分配されたポリプロピレン配合物を形成することができる。代わりのより好ましい代替案として、再加熱剤は、還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によってポリプロピレン組成物内に生成することができる。第4の、さらにより好ましい代替案として、再加熱剤は、上記代替案の1つによって、しかし高濃度でポリプロピレン組成物中へ組み入れてマスターバッチ顆粒を形成することができる。次に、かかるマスターバッチ顆粒は、異なる濃度の再加熱剤を有するもしくは何の再加熱剤もないまたはある濃度の異なる再加熱剤を有するポリプロピレン顆粒とブレンドして所望の濃度で1つまたは複数の再加熱剤を含有する所望のポリプロピレン組成物を形成してもよい。例えば、ポリプロピレン・マスターバッチは10nm〜100ミクロンの範囲の、好ましくは10ミクロン未満のサイズを有する粒子の形で、および50ppm〜25,000ppmの範囲の、好ましくは1250ppm未満の量で再加熱剤を組み入れてもよい。
【0021】
ポリプロピレン組成物中での再加熱剤分配および分散の程度は、再加熱効能に影響を及ぼす。換言すると、再加熱剤がポリマー中により均一に分配され、より広く分散されていればいるほど、再加熱効能は良好になる。同様に、ポリマー中の再加熱剤のより良好な分配および分散はポリマーの美観を改善する。
【0022】
より好ましい実施形態の1つでは、再加熱剤は還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によって形成される。金属化合物はアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を好ましくは含有し、還元剤は有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケル、または金属化合物を金属状態に還元するのに十分な電気化学ポテンシャルを持った任意の有機もしくは無機化合物の1つまたは複数よりなる群から好ましくは選択される。
【0023】
再加熱剤としてのアンチモンは、次亜リン酸または他の有機亜リン酸または無機亜リン酸のような還元剤によるアンチモン化合物のインサイチュー化学的還元によって好ましくは形成される。好ましいアンチモン化合物には、アンチモントリグリコレート(ATG)、三酢酸アンチモン(ATA)または三酸化アンチモン(ATO)が含まれる。次亜リン酸はアンチモン化合物をアンチモンに還元し、それはポリプロピレン組成物中に分散される。アンチモン粒子は、このようにポリプロピレン組成物中へ導入された時により一様に分散されるように見える。特に、本発明らは、ATA、ATOまたはATGと次亜リン酸および/または亜リン酸との反応によって沈積されたアンチモン粒子が特に有利な粒度を有し、かつ、ポリプロピレン中に特によく分散されることを発見した。
【0024】
本発明は、ボトルのようなポリプロピレン容器、および再加熱剤なしのポリプロピレン組成物に似た美観特性を有する他のポリプロピレン物品の製造方法を提供する。同時に、本方法はまた、再加熱剤なしのポリプロピレン組成物に比べて再加熱のためのエネルギー必要量を減らす。当面の一利点は、サイクル時間の減少またはエネルギー削減によるコスト削減である。本発明のさらに別の利点は、ポリプロピレンが殺菌またはクリーニングのような後の加工でPETより高い温度で使用できることである。さらに、ポリプロピレンはPETと同程度リサイクル可能である。
【0025】
次の実施例は本発明をさらに例示する。すべての部および百分率は、特に明記しない限り重量で表される。
【実施例】
【0026】
再加熱温度の2つの測定方法を、異なる再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物について再加熱時間を評価するために用いた。第1に、射出成形プラークをポリプロピレン組成物から形成し、かかるプラークについての貫通加熱時間を下に記載する手順に従って測定した。第2に、プラークをポリプロピレン組成物から成形し、かかるプラークについての表面再加熱時間を下に記載する手順に従って測定した。
【0027】
(ポリプロピレン・マスターバッチ組成物の調製)
長さ約2.5〜4.0mm、および直径2.0〜3.0mmのサイズのポリプロピレンポリマー顆粒を次の手順に従って再加熱剤と混合した。先ず、約5〜7kgポリプロピレンポリマーを流動パラフィン(約20ml)とプラスチック袋中で混合した。袋中のポリマーを混転させてポリマー顆粒をオイルの薄膜で被覆した。次に、再加熱剤を袋に加え、混合物を再び混転させた。次に、被覆したポリプロピレンポリマー顆粒を、APV MP2030二軸スクリュー押出機、引き続き4セクション空洞移動ミキサーを備えたボストン・マシュース(Boston Mathews)単軸スクリュー押出機を用いて配合した。得られた配合物を次に射出成形してさらなる試験のためのプラークを形成した。
【0028】
(プラーク貫通加熱温度の測定手順)
ポリプロピレン・プラーク貫通加熱温度測定を次の通り行った:
直径百ミリメートル(100mm)および断面厚さ4ミリメートル(4mm)のポリプロピレン・プラークを使用して様々なポリプロピレン組成物について再加熱時間を評価した。再加熱剤を含有するポリマー組成物の各ポリプロピレン・プラークおよび相当する対照組成物の各プラークを、イタリア国ミラノのネグリ・ボッシ(Negri Bossi of Milan Italy)から入手可能なNB90ネグリ・ボッシ90te射出成形装置を用いて標準射出成形法によって作製した。サンプルおよび対照プラークのすべてを、正確に同じ寸法(直径100mmおよび断面厚さ4mm)に作製した。プラークはきれいにされ、表面汚染物質なしであり、平坦な上面および下面を有した。
【0029】
図2に略例示されるように、フィリップス(Phillips)によって製造された300ワット電球である単一のIR放射ランプ22aを、プラーク26の一面を加熱するために置いた。一連の扁平な熱電対を、輻射および伝導温度を測定するためにプラーク26の反対側上に置いた。温度測定装置は、PE19 1QB、セント.ネオツ、ケンブリッジ・ストリート、ミル ハウスのピコ・テクノロジー・リミティッド(Pico Technology Limited of The Mill House,Cambridge Street,St.Neots,PE19 1QB)製のTC−08 8チャネル熱電対記録計(TC−08 8 channel thermocouple data logger)であり、温度測定ソフトウェアはTC−08装置と共に供給されたピコ・テクノロジー・リミティッド所有権のプログラムであった。プラークは赤外ランプの底部の下方165mmにあった。この試験方法は、加熱される側面からプラークを通って移動した熱の量を反映する。温度は、各試験サンプルからのおよび標準対照プラークからの5つの異なるプラークに関する5測定値の平均として記録された。本発明らは、このプラーク貫通熱方法からのデータが典型的な射出延伸ブロー成形法によって加工されるプリフォームのような物品中での、または再加熱方法とそれに続く熱成形のような物理成形とによって加工される物品についての熱移動および熱分布をより現実的に表すと考えている。
【0030】
測定装置を、明確な組成の対照プラークを用いることによって較正した。これらの対照プラークは繰り返し試験され、一定の再加熱測定値を示した。次に、比較のために試験したプラークについての再加熱時間を対照に関連して表した。2つの測定値:(1)プラークを80℃に加熱するための時間(秒)、および(2)300秒加熱時間後のプラークの温度を用いた。本発明らは、適切な比較のためには本方法で使用したプラークが同じ出発周囲温度を有するべきであることを見いだした。新たに成形したプラークは、試験前に十分な時間で室温まで冷却されるべきである。本発明らの試験では、新たに成形したプラークは、再加熱試験を行う前に少なくとも30分間室温で放冷した。
【0031】
図4、5および6について言及すると、ポリプロピレン対照からおよび異なる量のアンチモンまたはカーボンブラックを含有するポリプロピレン組成物から形成されたプラークについての再加熱プロフィールを評価した。
【0032】
図4の再加熱試験については、試験した組成物は、Sb1:等しい重量部のアンチモントリグリコレートと次亜リン酸との還元反応によって形成された25ppmアンチモン;Sb2:粒度範囲600nm〜2ミクロンの25ppmアンチモン金属(破砕された);CB1:25ppmの40nmカーボンブラック;およびCB2:25ppmのより大きな粒度6〜30ミクロンカーボンブラックであった。再加熱剤はすべて、ポリプロピレンの重量を基準にして、同じ量、25ppmで使用した。図4に示すように、再加熱剤を組み入れたポリプロピレン・プラークはすべて再加熱剤なしの対照ポリプロピレンより迅速に再加熱された。すべてが300〜360秒内に所望の80℃再加熱温度に達したが、対照はこの再加熱温度に達するためには480秒より多くを要した。それは30%〜35%またはそれより良好な再加熱時間の減少を表す。
【0033】
図5および6は、対照と様々な量のアンチモンまたはカーボンブラックを含有するポリプロピレンとについて80℃への再加熱時間を比較する。図5および6では、再加熱剤は、Sb1:等しい重量部のアンチモントリグリコレートと次亜リン酸とを使用して形成されたSbとして10ppm;Sb2:25ppmアンチモン金属(破砕された);CB1:40nmカーボンブラック;およびCB2:より大きな粒度600nm〜2ミクロンカーボンブラックであった。アンチモンおよびカーボンブラックの両方とも再加熱時間を効果的に減らすことができるが(図5)、カーボンブラックは低レベルでかなりより暗い着色(対照Lが75である場合に60よりかなり下のL)をもたらし得るし(図6)、それはポリプロピレン組成物のための再加熱剤としてのその使用を美感的に損ね得る。ポリプロピレン中に2〜350ppm、最も好ましくは10〜30ppmのアンチモン含有率をもたらすトリグリコレートと次亜リン酸との組合せが特に効果的であった。
【0034】
ポリプロピレン組成物中への再加熱剤の導入は、最終容器、物品またはボトル製品の望ましくない着色をもたらし得る。再加熱剤によって誘発される着色の程度は、使用される該剤のタイプおよび量に依存して変わる。所与の再加熱剤について、より少ない量の該剤が使用されるほど、最終製品で着色は少なくなるであろう。使用される再加熱剤の量が望まれない着色を許容されるレベルまで最小にするのに十分なほど低い場合、当該量は再加熱時間を減らすのに十分でないかもしれない。それ故、課題は、再加熱時間を効果的に減らし、かつ、最小着色の最終容器、物品またはボトルをそれでもなお製造することができる再加熱剤を見いだすことである。
【0035】
本発明らは、異なる再加熱剤によって引き起こされるポリプロピレン組成物の着色を評価するためにガードナー色彩計からの色測定値(L)を用いた。色測定値(L)は試験材料による光の吸収および散乱を反映する。ガードナーBYK色−視分光光度計(Gardner BYK Color−View spectrophotometer)モデルNo.9000は、BYKガードナー社、米国メリーランド州コロンビア(BYK Gardner,Inc.,Columbia,Maryland USA)から入手可能である。L値を、異なる量で異なる再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物から作製したポリプロピレン・プラークについて測定した。
【0036】
図6に示すL測定値は、ポリプロピレン・プラークの着色とそれからプラークが作製されたポリプロピレン組成物中の再加熱剤の量との関係を例示する。対照プラークは、再加熱剤の添加なしのポリプロピレンであった。対照プラークは約75のL値を有した。ポリプロピレン組成物がより少ない着色を有するほど、そのL値は対照のそれに近くなる。図6に示すように、10ppmアンチモン入りポリプロピレン組成物(組成物Sb1)は、いかなる再加熱剤もなしのポリプロピレン(対照)のそれに最も近い美観特性を有した。これらの実施例では、ポリプロピレン対照についての約75のLと比べて約60以上のL値を有するサンプルは、対照のL値の少なくとも80%である色美観を有した。
【0037】
下の表1は、再加熱時間の減少によるエネルギー節約とこれら幾つかの試験したポリプロピレン組成物の相対的色美観とをまとめる。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
(ブローイング試行詳細)
ブローイング試行のためのプリフォームを、実験室規模の組合せ射出成形・ブローイング機で製造した。プリフォームを典型的なポリプロピレン加工条件で射出成形した−溶融温度は220℃であり、金型温度は15℃であり、サイクル時間は27秒であった。その時本発明らは、特にポリプロピレン用にデザインされた別個の実験室ブローイング機を用いた。このブローイング機は、それぞれが10,000ワット加熱能力を有し、それぞれが強制空気換気装置を備えた2つの加熱オーブンを有した。幾つかの回転するプリフォーム・ホルダーを用いて空隙によって分離された2つのオーブンによってプリフォームを割り出しした。各プリフォームを約60〜80秒で第1オーブンによって割り出しした。次に、プリフォームを空隙によって割り出しして加熱されたプリフォームを約60〜80秒間平衡するにまかせた。次に、プリフォームを約60〜80秒間第2オーブンによって割り出しし、次に、空気中でさらなる10秒間割り出しの後に、それをブローイング・ステーションに送付した。
【0041】
エネルギー削減実験については、機械割り出し速度を一定の時間出力当たり750ボトルに設定し、オーブン設定値を、各サンプルが最適射出成形ボトルを与えるように調節した(減らした)。次に、エネルギー削減を、対照ボトルを再加熱するために必要とされる加熱エネルギーの量対再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物から形成されたボトルを再加熱するために必要とされる加熱エネルギーのより少ない量に基づいて計算した。表1に、エネルギー削減を百分率として表す。
【0042】
サイクル時間削減実験については、両オーブンを一定の8900ワット出力に(組み合わせた17,800ワット出力のために)設定した。次に、プリフォームがボトルの最適ブローイングを可能にするのに十分なほど加熱されるまでサイクル時間を増やした。各サンプルの増やされたサイクル時間を対照サイクル時間に対して計算し、百分率として表した。
【0043】
表1の結果は、アンチモントリグリコレートと次亜リン酸とから生み出された10ppmSbの使用がプリフォーム再加熱エネルギーとサイクル時間とを5ppmカーボンブラックと同じレベルまで減らしたが、アンチモンを含有するポリプロピレン顆粒の色および視覚美観がカーボンブラックを含有する顆粒よりはるかに良好であったことを示す。このように、アンチモン入りポリプロピレン組成物から形成される生成ボトルは、5ppmまたは10ppmカーボンブラックを含有するポリプロピレン組成物から形成されるボトルが有したよりも良好な色および視覚美観を有した。
【0044】
再加熱剤入りプリフォームは対照プリフォームと比べて約10%〜30%、好ましくは15%〜20%の範囲のエネルギー削減と、約25%〜35%の範囲のサイクル時間削減とを生み出した(表1を参照されたい)。このように、再加熱剤入りポリプロピレン組成物は、再加熱時間を短縮し、許容される色および視覚美観のボトルをそれでもなお生み出す。
【0045】
本発明らは、異なるタイプのアンチモン試薬の再加熱および美観特性をさらに調査した。より具体的には、本発明らは、異なる濃度でアンチモントリグリコレート、三酸化アンチモンおよび三酢酸アンチモンを試験した。本発明らは、他の再加熱剤の再加熱および美観特性をさらに調査した。本発明らはまた、再加熱剤とポリプロピレンとの異なる混合方法、すなわち、ポリプロピレン顆粒への直接施用による、およびポリプロピレン顆粒と高濃度の再加熱剤を含有するマスターバッチ顆粒との混合による方法をも試験した。再加熱剤について、異なる投与量の異なる亜リン酸もまた試験した。これらの結果のまとめについては下の表2および3を参照されたい。
【0046】
本発明らは、再加熱剤としてのアンチモンの添加が美観の観点からカーボンブラックより好ましいことを見いだした。本発明らは、リン酸、好ましくは次リン酸と組み合わせたアンチモン化合物の添加がポリプロピレン組成物中に金属粒子をより完全に分散させることを見いだした。最後に、ポリプロピレン組成物中に2ppm〜350ppmアンチモン金属粒子をもたらすアンチモントリグリコレート、三酸化アンチモンまたは三酢酸アンチモンと次リン酸との組合せが再加熱性能および色美観について最良の結果を達成した。
【0047】
(プラーク表面再加熱温度の測定手順)
表1、2および3に明記されるようなポリプロピレン組成物から射出成形したプラークを、IR加熱ランプ(2400°Kでフィリップス製の175ワットランプ・モデルIR−175C−PAR)(例えば、図2Aを参照されたい)により発せられる放射線によって加熱している間ずっと回転させた。赤外線高温計(ミノルタ・ランド(Minolta Land)製のモデル番号サイクロップス(Cyclops)300AF)(図2に示されていない)をIRランプに関してプラークの反対側に置いた。プラークの表面温度を監視し、再加熱の間ずっと記録した。
【0048】
試験したプラークは、様々な量で、アンチモン(Sb)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)、グラファイト、赤外線染料およびカーボンブラックのような様々な再加熱剤を含有した。結果を下の表2および3に報告する。表2および3に示す組成物については、対照は、再加熱添加剤なしのポリプロピレンから作製されたプラークであった。試験した再加熱剤のすべてが対照ポリプロピレンと比べてプラーク表面再加熱時間を改善した。しかしながら、再加熱剤の幾つかは、ポリプロピレン顆粒(およびプラーク)中へ組み入れられた時にターゲットL(対照の80%)よりはるかに低いL値を有し、従ってボトルの射出延伸ブロー成形での使用に好適なものではないかもしれない。これらの組成物は、熱成形技術で他のポリプロピレン物品を製造する時に有用性をそれでもなお有するかもしれない。
【0049】
再加熱剤を含む幾つかのポリプロピレン組成物についての表面再加熱時間のデータを、対照C1と比較して、図3にグラフで示す。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
本発明による再加熱剤入りポリプロピレン組成物は、対照組成物の再加熱時間と比べて、好ましくは再加熱時間の少なくとも10%減少、より好ましくは再加熱時間の少なくとも25%減少、最も好ましくは再加熱時間の少なくとも35%減少をもたらす。従って、表2および3から、375秒以下、特に300秒以下の80℃への再加熱時間を有する再加熱剤入りポリプロピレン組成物が最も有利であった。
【0054】
本発明は好ましい実施形態の詳細な説明および実施例によって例示されてきた。形態および詳細の様々な変更は当業者の技能内であろう。それ故、本発明は特許請求の範囲によって判定されなければならず、実施例または好ましい実施形態の説明によって判定されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】ボトル製造のための射出延伸ブロー成形法での典型的な工程の略図である。
【図1B】ボトル製造のための射出延伸ブロー成形法での典型的な工程の略図である。
【図1C】ボトル製造のための射出延伸ブロー成形法での典型的な工程の略図である。
【図1D】ボトル製造のための射出延伸ブロー成形法での典型的な工程の略図である。
【図2】その装置がポリマーの貫通加熱時間を測定するために用いられてもよい、ポリマー・プラークを単一IRランプで加熱するための装置を示す略図である。
【図3】異なるポリプロピレン組成物で形成されたプラークで行われたプラーク表面再加熱実験について再加熱時間にわたるプラーク温度データのグラフである。
【図4】プラークを形成するポリプロピレン組成物中の再加熱剤の量との関係でポリプロピレン・プラークをターゲット温度(すなわち、80℃)まで貫通加熱するために必要とされる時間の変動を示すデータのグラフである。
【図5】再加熱時間(80℃への秒)対プラークを形成するポリプロピレン組成物に添加された再加熱剤の量を比較するデータのグラフである。
【図6】L(色の程度についての)対プラークを形成するポリプロピレン組成物に添加された再加熱剤の量を比較するデータのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物からプリフォームを形成する工程と、
(b)前記プリフォームが所望の温度に達する時間が前記再加熱剤なしのポリプロピレン組成物から形成されている等しい寸法の対照プリフォームを所望の温度に再加熱するための時間より少ない、前記プリフォームを所望の温度に再加熱する工程と、
(c)前記再加熱されたプリフォームを射出延伸ブロー成形してボトルを形成する工程と
を含むポリプロピレンボトルの射出延伸成形法であって、
再加熱剤を含有する前記ポリプロピレン組成物が、前記プリフォームを形成する前に顆粒形にある時に、前記再加熱剤の不存在下での顆粒形のポリプロピレン組成物のL値の少なくとも約80%である、ガードナー(Gardner)色試験によって測定されるL値を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再加熱剤がカーボンブラック、グラファイトまたは赤外線染料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜1000ppmの範囲の量でポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜50ppmの範囲の量でポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再加熱剤が、還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によって前記ポリプロピレン組成物内に生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、50ppm〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレンボトル。
【請求項11】
ポリプロピレン組成物を形成するためのポリプロピレン中への再加熱剤の反応押出配合であって、前記再加熱剤が還元剤による金属のインサイチュー化学的還元によって生成される配合
を含むことを特徴とする再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物の製造方法。
【請求項12】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜1000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲の粒度を有する粒子の形で、かつ、2〜350ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲の粒度を有する粒子の形で、かつ、50〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレン組成物。
【請求項19】
請求項11に記載の方法に従って製造されたポリプロピレン組成物から形成されることを特徴とするポリプロピレンボトル。
【請求項20】
請求項15に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレン・マスターバッチ。
【請求項21】
(a)再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物からシートを形成する工程と、
(b)前記シートが所望の温度に達する時間が前記再加熱剤の不存在下でのポリプロピレン組成物から形成されている等しい寸法の対照シートを所望の温度に再加熱するための時間より少ない、前記シートを所望の温度に再加熱する工程と、
(c)前記再加熱されたシートをポリプロピレン物品へ成形する工程と
を含むことを特徴とするポリプロピレン物品の形成方法。
【請求項22】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記再加熱剤がカーボンブラック、グラファイトまたは赤外線染料を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜1000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜50ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記再加熱剤が還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によって前記ポリプロピレン組成物内に生成されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、50ppm〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
請求項21に記載の方法に従って製造されることを特徴とする3次元ポリプロピレン物品。
【請求項31】
請求項21に記載の方法に従って製造されることを特徴とする2次元ポリプロピレン物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物からプリフォームを形成する工程と、
(b)前記プリフォームが所望の温度に達する時間が前記再加熱剤なしのポリプロピレン組成物から形成されている等しい寸法の対照プリフォームを所望の温度に再加熱するための時間より少ない、前記プリフォームを所望の温度に再加熱する工程と、
(c)前記再加熱されたプリフォームを射出延伸ブロー成形してボトルを形成する工程と
を含むポリプロピレンボトルの射出延伸成形法であって、
再加熱剤を含有する前記ポリプロピレン組成物が、前記プリフォームを形成する前に顆粒形にある時に、前記再加熱剤の不存在下での顆粒形のポリプロピレン組成物のL値の少なくとも約80%である、ガードナー(Gardner)色試験によって測定されるL値を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再加熱剤がカーボンブラック、グラファイトまたは赤外線染料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜1000ppmの範囲の量でポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜50ppmの範囲の量でポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再加熱剤が還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によって前記ポリプロピレン組成物内に生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、50ppm〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレンボトル。
【請求項11】
ポリプロピレン組成物を形成するためのポリプロピレン中への再加熱剤の反応押出配合であって、前記再加熱剤が還元剤による金属化合物の金属状態へのインサイチュー化学的還元によってかかる反応押出配合中に生成され、そのように生成された前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形にあり、かつ、かかる粒子が前記ポリプロピレンの全体にわたって一様に分配される配合
を含むことを特徴とする再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物の製造方法。
【請求項12】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再加熱剤が、2ppm〜1000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲の粒度を有する粒子の形で、かつ、2〜350ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲の粒度を有する粒子の形で、かつ、50〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレン組成物。
【請求項19】
請求項11に記載の方法に従って製造されたポリプロピレン組成物から形成されることを特徴とするポリプロピレンボトル。
【請求項20】
請求項15に記載の方法に従って製造されることを特徴とするポリプロピレン・マスターバッチ。
【請求項21】
(a)再加熱剤を含有するポリプロピレン組成物からシートを形成する工程と、
(b)前記シートが所望の温度に達する時間が前記再加熱剤の不存在下でのポリプロピレン組成物から形成されている等しい寸法の対照シートを所望の温度に再加熱するための時間より少ない、前記シートを所望の温度に再加熱する工程と、
(c)前記再加熱されたシートをポリプロピレン物品へ成形する工程と
を含むことを特徴とするポリプロピレン物品の形成方法。
【請求項22】
前記再加熱剤が1つまたは複数の金属粒子を含み、かつ、前記金属粒子がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記再加熱剤がカーボンブラック、グラファイトまたは赤外線染料を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜1000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記再加熱剤が10nm〜10ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、2ppm〜50ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記再加熱剤が還元剤による金属化合物のインサイチュー化学的還元によって前記ポリプロピレン組成物内に生成されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記金属化合物がアンチモン、チタン、銅、マンガン、鉄およびタングステンの1つまたは複数を含有し、かつ、前記還元剤が有機亜リン酸、無機亜リン酸、タンニン酸、没食子酸、およびピロガル酸、ヒドラジン、亜硫酸塩、錫II塩ならびに水酸化ニッケルの1つまたは複数よりなる群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記金属化合物がアンチモントリグリコレートであり、かつ、前記還元剤が次亜リン酸であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記再加熱剤が10nm〜100ミクロンの範囲のサイズを有する粒子の形で、かつ、50ppm〜25,000ppmの範囲の量で前記ポリプロピレン組成物中へ組み入れられてポリプロピレン・マスターバッチを形成することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
請求項21に記載の方法に従って製造されることを特徴とする3次元ポリプロピレン物品。
【請求項31】
請求項21に記載の方法に従って製造されることを特徴とする2次元ポリプロピレン物品。
【請求項32】
かかる反応押出配合が二軸スクリュー配合押出機で行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−520709(P2006−520709A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507163(P2006−507163)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007759
【国際公開番号】WO2004/083294
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【Fターム(参考)】