説明

高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物

栄養組成物並びに該栄養組成物を作製及び使用する方法が提供される。一般的な実施形態では、本開示は高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を提供する。栄養組成物は、特に、哺乳動物の創傷治癒を促進及び改善するのに使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
[0001]本開示は一般に、健康及び栄養に関する。より具体的には、本開示はタンパク質及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物、並びに該栄養組成物を作製及び使用する方法に関する。
【0002】
[0002]現在、多くの種類の栄養組成物が市場に出ている。栄養組成物の特定成分に基づき、栄養組成物は特定の消費者タイプ、例えば、若者、高齢者、運動選手等をターゲットとし得る。栄養組成物はまた、栄養組成物によって治療又は改善することが意図される特定の生理的状態に基づいて処方し得る。
【0003】
[0003]患者は、医療システムでのケアの間、自由に生活する個体と比較して栄養不良となった際に、創傷が比較的できやすくなる。これらの患者は、典型的には適切な量のタンパク質を摂取していない。タンパク質含有製品の摂取にも関わらず、褥瘡などの創傷の予防はうまくいかないことが多い。栄養製品を治療の一部として使用して、創傷の治癒及び閉鎖に役立てることが可能である。しかし、これらの栄養製品の使用は、様々なタイプの創傷の速やかな治癒の成功を保証するものではない。さらには、糖尿病などの医学的状態は、創傷治癒の妨げにもなるであろう。
【0004】
[0004]すべての入院患者のうち8〜12%が、入院後の最初の2週間で褥瘡を発生するものと推定されている。さらに多くの長期のケア施設入所者が、褥瘡を発生する。褥瘡は、ステージIを最も軽度としステージIVを最も重度とする4つのカテゴリーに分類される。これらの治癒にかかる平均的な期間は、ステージIで4週間、ステージIVで22週間である。このことは、褥瘡を有する患者に対する現在の栄養的手段が、速やかな治癒を補助するのに十分ではないことを示している。
[概要]
【0005】
[0005]高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを有する栄養組成物、並びに該栄養組成物を作製及び使用する方法が提供される。一般的な実施形態では、本開示は、高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を提供する。
【0006】
[0006]ある実施形態では、高タンパク成分は、1つ又は複数のタンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物を、栄養組成物の総カロリーの少なくとも約18%を供給する量で含む。
【0007】
[0007]ある実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有する。本栄養組成物中の高タンパク成分は、1つ又は複数のタンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物を、約14グラムを超える量で含む。
【0008】
[0008]ある実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。苦味アミノ酸は、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン又はそれらの組合せであってよい。ニュートラルな風味の酸は、グルタミン、グリシン、アラニン、スレオニン、プロリン、セリン又はそれらの組合せであってよい。
【0009】
[0009]ある実施形態では、外因性ヌクレオチドは、栄養組成物1000カロリーあたり約1グラムの量である。外因性ヌクレオチドは、5’−アデノシン一リン酸、5’−グアノシン一リン酸、5’−シトシン一リン酸、5’−ウラシル一リン酸、5’−イノシン一リン酸、5’−チミン一リン酸又はそれらの組合せ等の単量体形態であってよい。外因性ヌクレオチドは、無処置のリボ核酸又はヌクレオチドを含有する他の化合物であってよい。
【0010】
[0010]ある実施形態では、栄養組成物は、非複製型細菌、脂肪酸、トリグリセリド、ラクトウルフベリー(lactowolfberry)、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、フラボノイド、EGCg、ピクノジェノール、α−及びβ−グルカン、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アロエ、蜂蜜、アミノ酸、分枝鎖アミノ酸又はそれらの組合せ等の、1つ又は複数の成分をさらに含む。
【0011】
[0011]ある実施形態では、栄養組成物は、医薬製剤、栄養製剤、栄養補助食品、機能性食品及び飲料製品等の投与可能な形態である。
【0012】
[0012]別の実施形態では、本開示は、栄養組成物を作製する方法を提供する。該方法は、高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを栄養組成物に添加することを含む。
【0013】
[0013]代替的な実施形態では、本開示は、哺乳動物の創傷治癒を改善する方法を提供する。該方法は、有効量の高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、創傷を有する哺乳動物に投与することを含む。栄養組成物は、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の量で供給するように投与し得る。創傷は褥瘡、外科的な切開、切り傷、擦り傷又はそれらの組合せによるものであってよい。哺乳動物はまた、糖尿病を有していてもよい。
【0014】
[0014]本開示の利点は、高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを有する、改良した栄養組成物を提供することである。
【0015】
[0015]本開示の別の利点は、改良した栄養組成物を作製する方法を提供することである。
【0016】
[0016]本開示のさらに別の利点は、哺乳動物の創傷治癒を促進又は改善する栄養組成物を提供することである。
【0017】
[0017]さらなる特徴及び利点について本明細書に記載するが、以下の詳細な説明から明白となろう。
[詳細な説明]
【0018】
[0018]本開示は、高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物、並びに該栄養組成物を作製及び使用する方法に関する。本開示の栄養組成物の実施形態によって、創傷の治癒を改善し得る。創傷は、褥瘡、事故による傷害、外科的な切開等を含めた、いかなる種類のものであってもよい。創傷治癒を改善する必要性は、患者が経験する創傷ケアの高額な費用、比較的長期の入院、及び罹患状態から明らかである。
【0019】
[0019]本明細書で使用する場合、用語「栄養組成物」とは、完全栄養組成物、部分的又は不完全栄養組成物、及び疾患又は状態に特異的な栄養組成物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
[0020]本明細書で使用する場合、「約」とは、一定の数値範囲における数を指すものと好ましくは理解される。さらには、本明細書での全ての数値範囲は、その範囲内にすべての整数(integer)、整数(whole)又は小数(fraction)が含まれるものと理解するべきである。
【0021】
[0021]本明細書で使用する場合、「完全栄養」とは、好ましくは投与を受ける動物にとって唯一の栄養源となるのに十分である、十分な種類及びレベルの多量栄養素(タンパク質、脂肪及び炭水化物)及び微量栄養素を含有する栄養製品である。患者はこのような完全栄養組成物から、必要とする栄養の100%を得ることができる。
【0022】
[0022]本明細書で使用する場合、「有効量」とは、好ましくは個体において欠乏症を予防し、疾患又は医学的状態を治療し、或いは、より一般的には症状を低減させ、疾患の進行を管理し、或いは栄養的、生理的、又は医学的な利益を個体にもたらす量である。治療は、患者又は医師に関連するものであってよい。また、用語「個体」及び「患者」は、本明細書で度々ヒトを指すのに使用されるが、本発明はそれに限定されない。したがって、用語「個体」及び「患者」とは、治療から利益を受ける可能性のある医学的状態を有する又はそのリスクがある、あらゆる動物、哺乳動物又はヒトを指す。
【0023】
[0023]本明細書で使用する場合、「高齢者」とは、好ましくは65歳以上、より好ましくは75歳以上のヒトである。
【0024】
[0024]本明細書で使用する場合、「不完全栄養」とは、好ましくは投与を受ける動物にとって唯一の栄養源となるのに十分である、十分なレベルの多量栄養素(タンパク質、脂肪及び炭水化物)又は微量栄養素を含有しない栄養製品である。部分的又は不完全栄養組成物は、栄養補助剤として使用することができる。
【0025】
[0025]本明細書で使用する場合、「長期的な投与」とは、好ましくは6週間を超える継続的な投与である。
【0026】
[0026]本明細書で使用する場合、哺乳動物とは、齧歯類、水生哺乳動物、犬及び猫などの家庭内動物、羊、豚、牛及び馬などの農場動物、並びにヒトなどが含まれるが、これらに限定されない。用語哺乳動物が使用される場合は、哺乳動物で発揮される又は発揮することが意図される効果が可能である、他の動物にも適用することが企図される。
【0027】
[0027]本明細書で使用する場合、用語「患者」とは、本明細書での定義においては、治療を受けている又は受けることが意図される動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトなどが含まれるものと好ましくは理解される。
【0028】
[0028]本明細書で使用する場合、「植物性化学物質」又は「植物性栄養素」とは、多くの食品に見られる非栄養化合物である。植物性化学物質は、基礎的な栄養を超えた健康上の利益を有する機能性食品であり、植物源由来の健康促進化合物である。本明細書で使用する場合、「植物性化学物質」及び「植物性栄養素」とは、植物によって生産され、利用者に1つ又は複数の健康上の利益を与えるあらゆる化学物質を指す。植物性化学物質は局所的、経腸的、及び/又は非経口的などのあらゆる手段により投与し得る。本明細書で使用する場合、植物性化学物質及び植物性栄養素の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
1. フェノール化合物[モノフェノール(アピオール、カルノソール、カルバクロール、ジラピオール、ローズマリノール等);以下のものを含むフラボノイド(ポリフェノール):フラボノール(ケルセチン、ギンゲロール、ケンペロール、ミリセチン、ルチン、イソラムネチン等)、フラバノン(ヘスペリジン、ナリンゲニン、シリビン、エリオジクチオール等)、フラボン(アピゲニン、タンゲリチン、ルテオリン等)、フラバン−3−オール(カテキン、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)、(−)−エピカテキン3−ガレート、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレート、テアルビジン等)、アントシアニン(フラボナール)及びアントシアニジン(ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペツニジン等)、イソフラボン(フィトエストロゲン)(ダイゼイン(ホルモノネチン)、ゲニステイン(ビオカニンA)、グリシテイン等)、ジヒドロフラボノール、カルコン、クメスタン(フィトエストロゲン)、及びクメストロール;フェノール酸(エラグ酸、没食子酸、タンニン酸、バニリン、クルクミン等);ヒドロキシケイ皮酸(コーヒー酸、クロロゲン酸、ケイ皮酸、フェルラ酸、クマリン等);リグナン(フィトエストロゲン)、シリマリン、セコイソラリシレシノール、ピノレシノール及びラリシレシノール);チロソールエステル(チロソール、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、オレウロペイン等);スチルベノイド(レスベラトロール、プテロスチルベン、ピセタノール等)及びプニカラギンなどが含まれる];
2. テルペン(イソプレノイド)[以下のものを含むカロテノイド(テトラテルペノイド):カロテン(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、リコペン、ノイロスポレン、フィトフルエン、フィトエン等)、及びキサントフィル(カンタキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチン等);モノテルペン(リモネン、ペリリルアルコール等);サポニン;以下のものを含む脂質:フィトステロール(カンペステロール、ベータシトステロール、ガンマシトステロール、スチグマステロール等)、トコフェロール(ビタミンE)、並びにオメガ−3、6、及び9脂肪酸(ガンマ−リノレン酸等);トリテルペノイド(オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、モロン酸等)などが含まれる];
3. ベタレイン[ベタシアニン(ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、ネオベタニン等);及びベタキサンチン(非グリコシド型)(インジカキサンチン、及びブルガキサンチン等)などが含まれる];
4. オルガノスルフィド[ジチオールチオン(イソチオシアネート)(スルホラファン等);及びチオスルホネート(アリウム化合物)(アリルメチルトリスルフィド、及びジアリルスルフィド等)、インドール、インドール−3−カルビノールなどのグルコシノレート;スルホラファン;3,3’−ジインドリルメタン;シニグリン;アリシン;アリイン;アリルイソチオシアネート;ピペリン;Syn−プロパンチアール−S−オキシドなどが含まれる];
5. タンパク質阻害物質[プロテアーゼ阻害物質などが含まれる];
6. 他の有機酸[シュウ酸、フィチン酸(イノシトールヘキサホスフェート);酒石酸;及びアナカルジン酸などが含まれる];並びに
7. それらの組合せ。
【0029】
[0029]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈に明確な指示がない限り、指示対象の複数形が含まれる。したがって、例えば「ポリペプチド(a polypeptide)」との言及には、2種類以上のポリペプチドの混合物などが含まれる。
【0030】
[0030]本明細書で使用する場合、「プレバイオティクス」とは、好ましくは腸内の有益細菌の増殖を選択的に促進、又は病原細菌の増殖を阻害する食品物質である。プレバイオティクスは、摂取する人間の胃及び/又は上部腸で失活したり消化管で吸収されることなく、消化管内細菌叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵される。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995年 125巻:1401〜1412頁に定義されている。プレバイオティクスの例としては、アカシアガム、アルファグルカン、アラビノガラクタン、ベータグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーガム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、部分加水分解グアーガム、ペクチンオリゴ糖、老化デンプン、大豆オリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0031】
[0031]本明細書で使用する場合、プロバイオティクス微生物(以下「プロバイオティクス」)とは、好ましくは、適量で投与したときに宿主にとって健康上有益となることが可能な微生物(生きているもの、半生存可能若しくは弱体化などを含む、及び/又は非複製型)、代謝物、微生物細胞調製物又は微生物細胞の構成成分であり、より具体的には、腸内の微生物バランスを改善することにより宿主に有益な影響を与えて、宿主の健康又は福祉に効果をもたらすものである。(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら「Probiotics:how should they be defined」Trends Food Sci.Technol.1999年:10巻 107〜10頁。)一般的には、これらの微生物は腸管内の病原細菌の増殖及び/又は代謝を阻害する、或いは影響を与えると考えられている。プロバイオティクスはまた、宿主の免疫機能を活性化することができる。このような理由から、プロバイオティクスを食料品に含ませるのに多くの多様なアプローチが存在してきた。プロバイオティクスの例としては、アエロコッカス属(Aerococcus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム属(Clostridium)、デバロマイセス属(Debaromyces)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、メリソコッカス属(Melissococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ムコール属(Mucor)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ペニシリウム属(Penicillium)、ペプトストレポコッカス属(Peptostrepococcus)、ピキア属(Pichia)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードカテヌラタム属(Pseudocatenulatum)、リゾープス属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トルロプシス属(Torulopsis)、ワイセラ属(Weissella)、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0032】
[0032]一般的な実施形態では、本開示は、高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を提供する。高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドの組合せにより、哺乳動物の創傷治癒を促進又は改善するための相乗的な利益を得ることができる。本明細書で使用する場合、用語「哺乳動物」とは、ヒト(例えば、小児、成人)又は動物を指す。
【0033】
[0033]ヌクレオチドは、生化学のプロセスにとって鍵となる低分子量の生体分子である。供給源としては、de novo合成、回収メカニズムによる回復、及び食事摂取などが挙げられる。内因性の産出が主要なヌクレオチド供給源として機能しているが、免疫系及び消化器系で細胞が急速に増殖するのには、外因性供給源が重要であることを示唆する根拠が存在し、そこでは外因性供給源が条件的に必須となる可能性がある。外因性ヌクレオチドは、細胞傷害時に代謝活性細胞の最適な増殖及び機能を補助する可能性があり、その補給は、重症患者及び免疫抑制患者の臨床成績を改善し得る。
【0034】
[0034]外因性ヌクレオチドは、栄養組成物の一部として単量体及び多量体の形態で存在することができる。ヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(「DNA」)又はリボ核酸(「RNA」)のサブユニットである。ヌクレオチドは、窒素塩基、リン酸分子、及び糖分子(DNAのデオキシリボース及びRNAのリボース)からなる有機化合物である。個々のヌクレオチド単量体(単一ユニット)が結合して多量体、又は長鎖を形成する。本開示の実施形態における外因性ヌクレオチドは、特に栄養補助食品により提供される。
【0035】
[0035]外因性ヌクレオチドは、例えば、5’−アデノシン一リン酸(「5’−AMP」)、5’−グアノシン一リン酸(「5’−GMP」)、5’−シトシン一リン酸(「5’−CMP」)、5’−ウラシル一リン酸(「5’−UMP」)、5’−イノシン一リン酸(「5’−IMP」)、5’−チミン一リン酸(「5’−TMP」)又はそれらの組合せ等の単量体形態であってよい。外因性ヌクレオチドはまた、例えば、無処置のRNA等の多量体形態でもよい。例えば、酵母RNA等、多量体形態の複数の供給源が存在し得る。ある実施形態では、外因性ヌクレオチドは、栄養組成物1000カロリーあたり約1グラムの量である。
【0036】
[0036]ある実施形態では、高タンパク成分は、1つ又は複数のタンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物を、栄養組成物の総カロリーの少なくとも約18%を供給する量で含む。
【0037】
[0037]ある実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有する。本栄養組成物中の高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。
【0038】
[0038]ある実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの1つ又は複数の苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムの1つ又は複数のニュートラルな風味の酸を含む。苦味アミノ酸は、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン又はそれらの組合せであってよい。ニュートラルな風味の酸は、グルタミン、グリシン、アラニン、スレオニン、プロリン、セリン又はそれらの組合せであってよい。
【0039】
[0039]本明細書で使用する用語「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」又は「ポリペプチド」とは、単一アミノ酸(単量体)、ペプチド結合により繋がった2つ以上のアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド、又はポリペプチド)、コラーゲン、それらの前駆体、相同体、類似体、模倣体、塩、プロドラッグ、代謝物、若しくはフラグメント又は組合せなどを含む、あらゆる組成物を指すものと好ましくは理解される。明瞭さを期すため、特に指定がない限り、上記用語のいずれの使用も交換可能である。ポリペプチド(又はペプチド又はタンパク質又はオリゴペプチド)は、20種の天然アミノ酸と通常言われる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有することが多いこと、並びに所与のポリペプチドにおいて、末端アミノ酸を含めた多くのアミノ酸を、グリコシル化及び他の翻訳後修飾などの天然プロセスによって、或いは当該技術分野で周知の化学的修飾技術によって修飾し得ることが理解されよう。本発明のポリペプチドでなし得る既知の修飾としては、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラバノイド又はヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、糖化、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)膜アンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのポリペプチドへのアミノ酸の転移RNA介在付加、及びユビキチン化が挙げられるが、これらに限定されない。用語「タンパク質」には「人工タンパク質」も含まれ、これは、ペプチドの繰り返しからなる線形又は非線形ポリペプチドを指す。タンパク質の非限定的な例としては、乳ベースのタンパク質及び植物ベースのタンパク質が挙げられる。乳ベースのタンパク質としては、カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウムなどを含めたすべての形態)、乳清(例えば、濃縮物、分離物、脱塩物などを含めたすべての形態)、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質分離物が挙げられる。植物ベースのタンパク質としては、大豆タンパク質(例えば、濃縮物及び分離物などを含めたすべての形態)、エンドウ豆タンパク質(例えば、濃縮物及び分離物などを含めたすべての形態)、カノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び分離物などを含めたすべての形態)、商業的には小麦タンパク質及び分画小麦タンパク質、トウモロコシ及びその分画、ゼイン、米、燕麦、ジャガイモ、ピーナッツなどを含む、並びにビーン、レンチル、及びパルス由来のあらゆるタンパク質である、他の植物タンパク質が挙げられる。
【0040】
[0040]タンパク質のさらなる例は、動物源(例えば、肉、肉粉、内臓肉、及び肉エキス)、海洋源(例えば、魚粉、魚肉筋肉、及びあらゆる形態の海生動物における同様のもの)、及び微生物源(例えば、単細胞タンパク質及び変種)に由来し得る。
【0041】
[0041]上記に列挙したタンパク質はすべて、無処置のタンパク質又は水解物として使用し得る。水解物の加水分解の程度は、低いものから高いものであってよい。加水分解で生じるペプチドは、大若しくは小ペプチド、又は様々な大きさのペプチドなどになり得る。
【0042】
[0042]タンパク質の代わりに、又はタンパク質に加えて遊離アミノ酸を使用することにより、必要なアミノ酸を得ることができる。ジペプチドも市販されており、それにより必要なアミノ酸を得ることができる。
【0043】
[0043]ペプチドの非限定的な例は、小(例えば、腸内での吸収のためにさらなる分解を必要としないジペプチド及びトリペプチド)、中(例えば、4〜10アミノ酸長のオリゴペプチド)、大(例えば、10超のアミノ酸であるが小タンパク質よりも小さい−分子量範囲1,000〜5,000)、及び巨大(例えば、分子量が5,000超であるが、摂取タンパク質ではない)などの大きさのカテゴリーに及び得る。
【0044】
[0044]外因性ヌクレオチド及び高タンパク成分とともに、さらなる成分を使用して創傷治癒を改善してもよい。ある実施形態では、栄養組成物は、非複製型細菌、脂肪酸、トリグリセリド、ラクトウルフベリー、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、フラボノイド、EGCg、ピクノジェノール、α−及びβ−グルカン、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アロエ、蜂蜜、アミノ酸、分枝鎖アミノ酸又はそれらの組合せ等の、1つ又は複数の成分をさらに含む。
【0045】
[0045]特定の成分及びその機能について、以下のとおり、より詳細に記載する:
【0046】
[0046]非複製型細菌(例えば、不活性化細菌)−免疫機能の補助。
【0047】
[0047]アルギニン−オルニチン経由のプロリン前駆体、血管拡張用の一酸化窒素前駆体、及びT細胞刺激による免疫機能。
【0048】
[0048]グルタミン−シトルリン経由のアルギニン前駆体;リンホカイン活性化キラー(「LAK」)細胞は、活性をグルタミンに依存している。
【0049】
[0049]脂肪酸及びトリグリセリド−炎症の調節、並びに細胞膜及び皮膚の構成成分。
【0050】
[0050]ラクトウルフベリー−ネスレ(Nestle)(登録商標)、免疫応答性のための、ゴジベリーのバイオアベイラブルな形態。
【0051】
[0051]銅−マクロファージ機能、及び攻撃に応答した免疫細胞の増殖に必須。
【0052】
[0052]亜鉛−最適な自然免疫応答に必要であり、タンパク質合成、細胞分裂、及び免疫機能に必須の補助因子。
【0053】
[0053]ビタミンC−ストレスで枯渇する;コラーゲンの合成、インターフェロンの刺激、細胞及び細胞内基質成分のレドックス整合性維持に必要。
【0054】
[0054]ビタミンA−抗体反応の制御、並びにB細胞のIgG発現細胞への分化において重要、また皮膚の保全及びコラーゲンの架橋結合にも必要。
【0055】
[0055]β−カロテン−ビタミンA前駆体であり、ビタミンAに抗酸化作用をプラスしたものとしても有益。
【0056】
[0056]ビタミンE−脂溶性抗酸化剤であり、細胞膜及び細胞脂質を安定化させて免疫細胞への酸化ダメージを防ぐ。
【0057】
[0057]セレン−セレンタンパク質の成分であり、インターフェロンの産生、T細胞増殖のピーク早期化、及びヘルパーT細胞増加を通して細胞の免疫応答性を増大させる。
【0058】
[0058]ポリフェノール−炎症性サイトカインであるインターロイキン−1を阻害し、プロスタグランジンE2の産生を減少させる。
【0059】
[0059]フラボノイド−タンパク質リン酸化を促進又は阻害することによって、免疫細胞機能を制御する。
【0060】
[0060]EGCg−創傷部位を監視する樹状細胞に対する保護作用を有するカテキンであり、炎症性メディエーターIL−6及びCOX−2の産生を減少させる。
【0061】
[0061]ピクノジェノール−T細胞及びB細胞機能のいずれも改善し、IL−2及びナチュラルキラーT細胞の活性を促進する。
【0062】
[0062]α−及び/又はβ−グルカン−マクロファージへの直接結合による、自然免疫系及び獲得免疫系の双方の免疫細胞刺激物質。
【0063】
[0063]AHCC−(メチル化α−グルカン)−特異的に修飾したアルファ−グルカン。
【0064】
[0064]アロエ−炎症性サイトカインであるTNF−アルファ及びIL−1ベータの抑制。
【0065】
[0065]蜂蜜−浸透圧及びpHの作用により感染を防ぐ、及び免疫の刺激。
【0066】
[0066]分枝鎖アミノ酸−酸化が容易なので、B細胞によるタンパク質抗体(「Ab」)等の、免疫細胞によるタンパク質合成のために補給される。
【0067】
[0067]ロイシン−免疫細胞の増殖及び筋肉の同化作用のためのタンパク質の刺激及び維持に最も有効な分枝鎖アミノ酸。
【0068】
[0068]α−HICA−(α−ヒドロキシイソカプロン酸)同化作用を改善し得る、ロイシンの代謝物。
【0069】
[0069]ある実施形態では、栄養組成物は1つ又は複数のアミノ酸をさらに含む。アミノ酸の非限定的な例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、シトルリン、システイン、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリシン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0070】
[0070]本明細書で使用する場合、用語「抗酸化剤」とは、活性酸素種(ROS)及び他のラジカル種及び非ラジカル種によって促進される酸化又は反応を阻害する(ベータ−カロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンC、ビタミンE、及びセレンなどのような)各種物質のいずれか1つ又は複数などが含まれるものと好ましくは理解される。また、抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅らせる又は防止することが可能な分子である。本明細書で使用する場合、抗酸化剤の非限定的な例としては、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオンゴジ(ウルフベリー)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー、リグナン、ルテイン、リコペン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0071】
[0071]本明細書で使用する場合、用語「ビタミン」とは、あらゆる様々な脂溶性又は水溶性の有機物質(非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又は塩酸ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン;ビタミン補給剤では一般的にはシアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK(ビタミンK1及びビタミンK2などが含まれる)が挙げられるが、これらは身体の正常な発達及び活動には微量ながら必須であり、植物性及び動物性の食品から自然に得られるか、合成によって作られる)、プロビタミン、誘導体、類似体などが含まれるものと好ましくは理解される。本明細書で使用する場合、用語「ミネラル」とは、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、及び亜鉛などが含まれるものと好ましくは理解される。
【0072】
[0072]本明細書で使用する場合、用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」とは、好ましくは、(標的となる病態又は障害の発現を予防する及び/又は遅らせる)予防的又は防止的治療、並びに、診断された病態又は障害を治癒する、遅延させる、症状を軽減する、及び/又は進行を阻止する治療的措置などの、治癒的、療法的又は疾患修飾的な治療の双方;並びに疾患に接触するリスクのある、或いは疾患に接触したことが疑われる患者、さらには罹患した、或いは疾患又は医学的状態にかかっていると診断された患者の治療に対するものである。該用語は必ずしも、対象が完全な回復まで治療を受けることを意味しない。用語「治療」及び「治療する」はまた、疾患にかかっていないが、窒素不均衡又は筋肉量低下などの不健康な状態を発現しやすい個体の健康の維持及び/又は促進も指す。用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」はまた、1つ又は複数の一次予防的又は治療的措置の効果増強、或いは向上が含まれることを意図する。用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」は、疾患又は状態の食事管理、又は疾患又は状態の予防又は防止のための食事管理が含まれることをさらに意図する。
【0073】
[0073]本明細書で使用する場合、「経管食」とは、好ましくは、経口投与以外によって動物の消化器系に投与される完全又は不完全栄養製品であり、経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、胃チューブ、空腸瘻チューブ(J−チューブ)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)、胃、空腸にアクセスすることができる、胸壁ポートなどのポート、及び他の適切なアクセスポートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
[0074]別の実施形態では、本開示は、栄養組成物を作製する方法を提供する。該方法は、例えば、哺乳動物の創傷治癒を促進又は改善するために、高タンパク成分及び1つ又は複数の外因性ヌクレオチドを有効量で栄養組成物に添加することを含む。栄養組成物は、医薬製剤、栄養製剤、栄養補助食品、機能性食品、飲料製品又はそれらの組合せ等の投与可能な形態であってよい。
【0075】
[0075]代替的な実施形態では、本開示は、哺乳動物の創傷治癒を改善する方法を提供する。該方法は、有効量の高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、創傷を有する哺乳動物に投与することを含む。栄養組成物は、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の量で供給するように投与し得る。創傷は、褥瘡、外科的な切開、切り傷、擦り傷又はそれらの組合せによるものであってよい。哺乳動物はまた、糖尿病を有していてもよい。
【0076】
[0076]代替的な実施形態では、本開示は、以前に記載したのと同様のステップを用いた哺乳動物の褥瘡を改善する方法を提供する。
【0077】
[0077]他の任意成分を加えて、栄養組成物を十分に味の良いものにすることができる。任意成分は、任意の適切な量で加えることができる。
【実施例】
【0078】
[0078]以下の実施例は、限定ではなく例として、本開示の様々な実施形態を説明するものである。
【0079】
実施例1
【表1】

【0080】
実施例2
【表2】

【0081】
実施例3
【表3】

【0082】
実施例4
【表4】

【0083】
実施例5
【表5】

【0084】
[0079]栄養製品とは、従来の食品添加物を含めた、いくつもの任意付加的成分、例えば1つ又は複数の、酸味料、付加的増粘剤、pH調整用の緩衝液又は剤、キレート剤、着色料、乳化剤、賦形剤、香味料、ミネラル、浸透圧剤、薬学的に許容される担体、保存料、安定剤、糖、甘味料、調質剤、及び/又はビタミンをさらに含むものと好ましくは理解される。任意成分は、任意の適切な量で加えることができる。
【0085】
[0080]好適な実施形態では、栄養組成物は、高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも約18%を供給する量で含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。さらなる実施形態では、苦味アミノ酸は、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン及びそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる実施形態では、ニュートラルな風味の酸は、グルタミン、グリシン、アラニン、スレオニン、プロリン、セリン及びそれらの組合せからなる群から選択される。さらなる実施形態では、外因性ヌクレオチドは、約1グラム/栄養組成物1000カロリーの量である。さらなる実施形態では、外因性ヌクレオチドは、5’−アデノシン一リン酸、5’−グアノシン一リン酸、5’−シトシン一リン酸、5’−ウラシル一リン酸、5’−イノシン一リン酸、5’−チミン一リン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される単量体形態である。さらなる実施形態では、外因性ヌクレオチドは、無処置のリボ核酸及び/又はヌクレオチドを含有する他の形態である。
【0086】
[0081]好適な実施形態では、栄養組成物は、非複製型細菌、脂肪酸、トリグリセリド、ラクトウルフベリー、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、フラボノイド、EGCg、ピクノジェノール、α−及びβ−グルカン、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アロエ、蜂蜜、アミノ酸、分枝鎖アミノ酸及びそれらの組合せからなる群から選択される成分をさらに含む。
【0087】
[0082]好適な実施形態では、栄養組成物は、医薬製剤、栄養製剤、栄養補助食品、機能性食品及び飲料製品からなる群から選択される投与可能な形態である。
【0088】
[0083]好適な実施形態では、栄養組成物は抗酸化剤をさらに含む。さらなる実施形態では、抗酸化剤は、以下からなる群から選択される:カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオンゴジ(ウルフベリー)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー、リグナン、ルテイン、リコペン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、又はそれらの組合せ。
【0089】
[0084]好適な実施形態では、栄養組成物は炭水化物をさらに含む。
【0090】
[0085]好適な実施形態では、栄養組成物は脂肪をさらに含む。
【0091】
[0086]好適な実施形態では、栄養組成物は魚油をさらに含む。さらなる実施形態では、魚油は、以下からなる群から選択される:ドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)。
【0092】
[0087]好適な実施形態では、栄養組成物はミネラルをさらに含む。さらなる実施形態では、ミネラルは、以下からなる群から選択される:ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、及びそれらの組合せ。
【0093】
[0088]好適な実施形態では、栄養組成物は植物性栄養素をさらに含む。さらなる実施形態では、植物性栄養素は、以下からなる群から選択される:フラボノイド並びに類似のフェノール及びポリフェノール化合物、カロテノイドを含めたテルペノイド、並びにアルカロイド;クルクミン、リモニン、及びケルセチンなどを含む、並びにそれらの組合せ。
【0094】
[0089]好適な実施形態では、栄養組成物はプレバイオティクスをさらに含む。さらなる実施形態では、プレバイオティクスは、以下からなる群から選択される:アカシアガム、アルファグルカン、アラビノガラクタン、ベータグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーガム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、部分加水分解グアーガム、ペクチンオリゴ糖、老化デンプン、大豆オリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はそれらの組合せ。
【0095】
[0090]好適な実施形態では、栄養組成物はプロバイオティクスをさらに含む。さらなる実施形態では、プロバイオティクスは、以下の複製及び非複製型からなる群から選択される:アエロコッカス属、アスペルギルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、カンジダ属、クロストリジウム属、デバロマイセス属、エンテロコッカス属、フソバクテリウム属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、メリソコッカス属、ミクロコッカス属、ムコール属、オエノコッカス属、ペディオコッカス属、ペニシリウム属、ペプトストレポコッカス属、ピキア属、プロピオニバクテリウム属、シュードカテヌラタム属、リゾープス属、サッカロミセス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トルロプシス属、ワイセラ属、又はそれらの組合せ。
【0096】
[0091]好適な実施形態では、栄養組成物はビタミンをさらに含む。さらなる実施形態では、ビタミンは、以下からなる群から選択される:ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK(ビタミンK1及びビタミンK2を含む)、葉酸及びビオチン、プロビタミン、誘導体、類似体などを含む、脂溶性又は水溶性の有機物質。並びにそれらの組合せ。
【0097】
[0092]好適な実施形態では、栄養組成物は完全栄養である。
【0098】
[0093]好適な実施形態では、栄養組成物は不完全栄養である。
【0099】
[0094]好適な実施形態では、栄養組成物を作製する方法であって、該方法は、高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを栄養組成物に添加することを含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも18%を供給する量で含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は、医薬製剤、栄養製剤、栄養補助食品、機能性食品及び飲料製品からなる群から選択される投与可能な形態である。
【0100】
[0095]さらなる実施形態では、哺乳動物の創傷治癒を改善又は創傷を治療する方法は、有効量の高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、創傷を有する哺乳動物に投与することを含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の量で供給するように投与される。さらなる実施形態では、哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態では、哺乳動物は高齢者である。さらなる実施形態では、哺乳動物は病院に入院している。さらなる実施形態では、哺乳動物は療養施設に入所している。さらなる実施形態では、哺乳動物はナーシングホームに入所している。さらなる実施形態では、栄養組成物は経管食である。さらなる実施形態では、該投与は長期的な投与向きである。さらなる実施形態では、該投与は短期的な投与向きである。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも18%を供給する量で含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。さらなる実施形態では、創傷は褥瘡、外科的な切開、切り傷、擦り傷及びそれらの組合せである。さらなる実施形態では、哺乳動物は糖尿病を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は腎不全を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は肝機能不全又は肝不全を有する。
【0101】
[0096]好適な実施形態では、哺乳動物の褥瘡を治療する方法であって、該方法は、有効量の高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、褥瘡を有する哺乳動物に投与することを含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の量で供給するように投与される。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも18%を供給する量で含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。さらなる実施形態では、哺乳動物は糖尿病を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は腎不全を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は肝機能不全又は肝不全を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態では、哺乳動物は高齢者である。さらなる実施形態では、哺乳動物は病院に入院している。さらなる実施形態では、哺乳動物は療養施設に入所している。さらなる実施形態では、哺乳動物はナーシングホームに入所している。さらなる実施形態では、栄養組成物は経管食である。さらなる実施形態では、該投与は長期的な投与向きである。さらなる実施形態では、該投与は短期的な投与向きである。
【0102】
[0097]好適な実施形態では、哺乳動物の外科的な切開を治療する方法であって、該方法は、有効量の高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、褥瘡を有する哺乳動物に投与することを含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の量で供給するように投与される。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも18%を供給する量で含む。さらなる実施形態では、栄養組成物は300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分は、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、約14グラムを超える量で含む。さらなる実施形態では、高タンパク成分は、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含む。さらなる実施形態では、哺乳動物は糖尿病を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は腎不全を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物は肝機能不全又は肝不全を有する。さらなる実施形態では、哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態では、哺乳動物は高齢者である。さらなる実施形態では、哺乳動物は病院に入院している。さらなる実施形態では、哺乳動物は療養施設に入所している。さらなる実施形態では、哺乳動物はナーシングホームに入所している。さらなる実施形態では、栄養組成物は経管食である。さらなる実施形態では、該投与は長期的な投与向きである。さらなる実施形態では、該投与は短期的な投与向きである。
【0103】
[0098]好適な実施形態では、該方法は、ヘルスケア費用の減少につながる。さらなる実施形態では、ヘルスケア費用の減少は、病院での入院期間の短縮によるものである。さらなる実施形態では、ヘルスケア費用の減少は、療養施設での入所期間の短縮によるものである。さらなる実施形態では、ヘルスケア費用の減少は、合併症の減少によるものである。
【0104】
[0099]本出願中に掲載されるすべての投与量範囲には、該範囲中に含まれるすべての数、整数又は小数が含まれることが意図される。
【0105】
[00100]本明細書に記載したこれらの好適な実施形態に対する様々な変更及び修正形態が、当業者にとって明らかとなることを理解されたい。本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、またその意図された利点を減ずることなく、このような変更及び修正形態をなすことが可能である。したがって、このような変更及び修正形態は、添付の特許請求の範囲により包括されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物であって、高タンパク成分が、タンパク質、ペプチド及びアミノ酸、並びにタンパク質、ペプチド及びアミノ酸の前駆体及び代謝物のうちの少なくとも1つを、栄養組成物の総カロリーの少なくとも約18%を供給する量で含む、栄養組成物。
【請求項2】
栄養組成物が300mL以下の総容積を有し、高タンパク成分が約14グラムを超える量である、請求項1の栄養組成物。
【請求項3】
高タンパク成分が、少なくとも約5グラムのタンパク質、少なくとも約3グラムの苦味アミノ酸、及び少なくとも約7グラムのニュートラルな風味の酸を含み、
苦味アミノ酸が、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、ヒスチジン及びそれらの組合せからなる群から選択され、
ここで、ニュートラルな風味の酸が、グルタミン、グリシン、アラニン、スレオニン、プロリン、セリン及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1の栄養組成物。
【請求項4】
外因性ヌクレオチドが、栄養組成物1000カロリーあたり約1グラムの量である、請求項1の栄養組成物。
【請求項5】
外因性ヌクレオチドが、5’−アデノシン一リン酸、5’−グアノシン一リン酸、5’−シトシン一リン酸、5’−ウラシル一リン酸、5’−イノシン一リン酸、5’−チミン一リン酸及びそれらの組合せからなる群から選択される単量体形態である、請求項1の栄養組成物。
【請求項6】
外因性ヌクレオチドが、無処置のリボ核酸及び/又はヌクレオチドを含有する他の形態である、請求項1の栄養組成物。
【請求項7】
非複製型細菌、プロバイオティクス、脂肪酸、トリグリセリド、ゴジ、ラクトウルフベリー、抗酸化剤、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、フラボノイド、EGCg、ピクノジェノール、α−及びβ−グルカン、アルファ−ヒドロキシイソカプロン酸、アロエ、蜂蜜、アミノ酸、分枝鎖アミノ酸、炭水化物、脂肪、魚油、植物性栄養素、プレバイオティクス、及びそれらの組合せからなる群から選択される成分をさらに含む、請求項1の栄養組成物。
【請求項8】
哺乳動物の創傷を治療する、又は創傷治癒を改善する方法であって、有効量の高タンパク成分及び外因性ヌクレオチドを含む栄養組成物を、創傷を有する哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項9】
栄養組成物が、請求項1〜7のいずれか一項の組成物を含む、請求項8の方法。
【請求項10】
栄養組成物が、外因性ヌクレオチドを約0.2g/日〜約4グラム/日の範囲の量で供給するように投与される、請求項8のいずれか一項の方法。
【請求項11】
前記哺乳動物が高齢者である、請求項8の方法。
【請求項12】
前記哺乳動物が、病院、療養施設、ナーシングホームに入所している、又は在宅ケアを受けている、請求項8の方法。
【請求項13】
前記栄養組成物が経管食である、請求項8の方法。
【請求項14】
哺乳動物が、糖尿病、腎不全、肝機能不全、又は肝不全のうち少なくとも1つを有する、請求項8の方法。
【請求項15】
創傷が褥瘡である、請求項8の方法。
【請求項16】
創傷が外科的な切開である、請求項8の方法。
【請求項17】
前記方法がヘルスケア費用の減少につながる、請求項8の方法。
【請求項18】
前記ヘルスケア費用の減少が、病院での入院期間の短縮によるものである、請求項17の方法。
【請求項19】
前記ヘルスケア費用の減少が、療養施設での入所期間の短縮によるものである、請求項17の方法。
【請求項20】
前記ヘルスケア費用の減少が、合併症の減少によるものである、請求項17の方法。
【請求項21】
前記合併症が、局所感染、敗血症、治癒の遅延、塞栓症、血栓症、医原性事象、低酸素症、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20の方法。

【公表番号】特表2013−511983(P2013−511983A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541118(P2012−541118)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057310
【国際公開番号】WO2011/066175
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】