高バリア性不織布
本発明は、溶融添加物としてカルボン酸のエステルを用いることによって、ポリマー材料の表面張力が低減されたことを特徴とする高バリア性ポリマー不織布に関する。表面エネルギーの低下の結果、本発明の不織布は、例えば衛生適応において、便又はアルコールのような表面張力が低い液体に対する浸透性の低さに関して優れた特性を示す。ポリマー不織布にその特性を付加するための従来技術であるフッ素系化学物質又はシリコーンのコーティングを用いることなく、その特性は得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリマーと添加成分との混合物から得られる繊維からなる不織布ウェブ又は不織布層に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児のおむつ、女性の生理用品、成人の失禁用品、拭き取り繊維、包袋、創傷被覆材、医療用隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープ及びカバー、手術着、手術帽、並びにおりものシート又は生理用ナプキン若しくはパッド等の他の衛生用品等の衛生適応はよく知られ、日常的に用いられている。
【0003】
上記の品物において、例えば尿又は他の分泌液等の種々の体液のバリア材料としてのポリマー不織布の使用は、一般的であり、従来からよく知られている。
【0004】
孔径の減少及び繊維の径の減少が不織布の液体に対するバリア特性に有利であることも、一般に知られている。そのような特性を不織布に与えるために、極めて微細な径を有する繊維を用いて生成されるメルトブロー不織布が生産されることが増えている。メルトブロー不織布は、引っ張り強度に限りがあるため、通常、補強のためにスパンボンド不織布の層と組み合わされる。生成された2つ又はそれ以上の層は、例えば熱的に結合される。そのような層生成物は、連続工程で工業的に生成され得る。通常の層形成パターンは、SMSパターンを含み、また、例えばSMMS、SMMMS又はSSMMSパターン等のより多い層を有するパターンを含む。
【0005】
さらに、材料の基本重量の増大によって、液体浸透性に関する不織布のバリア性を増大させるアプローチが従来から知られている。これは当然のアプローチであるが、各生成物の柔軟性及び重量等の他の特性が不利な方向に変化されるため、あまり洗練されていない。
【0006】
例えば尿又は月経液等の比較的高い表面張力を有する主として水性の液体に対するバリア性を意味する不織布の液体バリア性を増大するための上記の技術は、一般用途向けであるため、具体的に表面張力が低い液体、例えば排便されたもの(新生児の便)に対して高バリア性を有する工業製品に関しては、材料自体の特性を変化させることが望ましいと結論づけられる。それらは、表面張力が低い液体に対して十分に高いバリア性を示さず、それは、例えばおむつからの漏れ(乳児を有するほとんどの親がよく知る現象)のより高いリスクがあることを意味する。
【0007】
解決法の候補は、一般に用いられるポリマーよりも低い固有の表面エネルギーを有する材料を開発することである。対象とする用途のために、より低い固有の表面エネルギー等は、表面張力が低い液体の裏抜けを十分に改善する。
【0008】
材料の表面エネルギーを低減し、それを用いて製造された不織布における表面張力が低い液体の裏抜け値を増大させるための一般的な方法は、ケイ素被覆及びフッ素系化学物質の使用であり、従来から既によく知られている。ケイ素被覆は、例えば国際特許WO2006/005769において用いられており、比較的低い表面張力を有する液体に不浸透性である成分が塗られることを意味する疎水性の表面被覆(シリコーン)処理が行われた軽量の不織布のバリア部材が示されている。ケイ素被覆の使用の主な難点は、ケイ素を分解することが極めて困難であるため、ケイ素を用いた後の洗浄における多くの問題、すなわち洗浄のために多くの肉体労働が必要であることにより、継続的な製造環境においてそれを用いることが比較的に難しいということである。また、被覆を用いることは、製造工程における追加工程を必要とし、複雑性が追加され、装置の費用の追加を必要とする。
【0009】
フッ素系化学物質の使用は、より低い固有の表面エネルギーの材料を達成することに関し、純粋なポリプロピレンからなる材料を改善し、例えば表面張力が低い液体に対するバリア性を増大する。しかしながら、表面エネルギーを低減し、表面張力が低い液体の裏抜けを改善する能力を有するにもかかわらず、各種の化学物質の付加により生じる皮膚炎のリスクのため、フッ素系化学物質は、衛生産業において一般に難色を示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
衛生適応において、表面張力が低い液体に対して優れたバリア性を有する不織布材料に最適な手段はまだ発見されていないことは上記から明らかである。従って、本発明の目的は、従来からの問題の1つ又は全てを解決すること、及び/又はスパンボンド/メルトブロー不織布を生成する連続的な工程においてポリマー顆粒と共に溶解物の中に入れられる添加物(溶融添加物)を用いることにより、フッ素化学又は被覆材料を用いることのない衛生適応のバリアシートから表面張力が低い液体が漏れるリスクを最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、これらの望ましい特性の1つ又は全ては、請求項1に従った不織布ウェブ又は不織布層により達成され得る。適宜に、添加成分は1つ又はそれ以上のエステル脂質を含む。
【0012】
この特定の溶融添加物により、低い固有の表面エネルギーがポリマー材料に与えられ得る。結果として、それらの溶融添加物は、そのような材料を用いて製造された不織布における表面張力が低い液体の裏抜けを改善できる。
【0013】
本発明は、溶融添加物としてエステル脂質を用いることによりポリマー材料の表面エネルギーが低減されていることを特徴とする高バリア性ポリマーの不織布を含む。本発明の好ましい一実施形態において、エステル脂質はトリグリセリドであり、通常のトリグリセリドの例は、これらに限られないが、例えばアラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸又はアラキドン酸の群のうちの同一又は異なる化合物、及び他のカルボン酸又はそれらの組み合わせを用いてエステル化された1つ、2つ又は3つ全てのヒドロキシ官能基を有するトリグリセリドである。
【0014】
本発明の最も好ましい実施形態において、トリグリセリドは、グリセロールトリステアレート(CAS No 555−43−1)であり、これは、トリステアリン又は1,2,3-トリオクタデカノイルグリセロール等の名称で知られている。以下、グリセロールトリステアレートの名称を用い、疑念がある場合にはCAS Noが基本識別子として見られる。
【0015】
グリセロールトリステアレートの付加により生じるポリマーの表面エネルギーの低下は、グリセロールトリステアレートが34.2mJ/m2の表面エネルギーを有しているため明確でない。通常、表面張力の低減は、例えばフッ素系化学物質といったそれぞれのポリマーよりも低い表面エネルギーを有する化学物質の付加により達成される。一実施形態において、エステル脂質、好ましくはグリセロールトリステアレートの付加は、スパンメルトの糸における繊維のえい糸性に不利な影響はなく(10%以下の濃度)、添加成分の付加は単純で且つ簡潔であり、例えば被覆処理とは対照的に製造工程において追加工程が要求されない。
【0016】
[表1]は一般的なポリマーの表面エネルギーを示している。
【0017】
【表1】
【0018】
繊維はポリマー組成物及び混合物を含む熱可塑性ポリマーから形成され得る。ここで用いられるのに適当な熱可塑性ポリマーの例は、好ましくはポリプロピレン若しくはポリエチレン又はポリエチレン−ポリプロピレン共重合体といったポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート及びそれらの混合物を含む。他の適当な熱可塑性ポリマーは、特にPHAs、PLAs又はデンプン組成等の生分解性のポリマーを含む。
【0019】
繊維は複合繊維を含む多成分繊維であってもよく、ここでの複合繊維は、並列、芯鞘型、セグメント化されたパイ、リボン又は海上の島状の構造であってもよい。鞘は芯の周囲に連続的又は非連続的に設けられてよい。鞘はポリプロピレンからなっていてもよい。一実施形態において、ポリプロピレン及びポリプロピレン成分は、プロピレンの単独重合体、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互の共重合体等のプロピレンの共重合体、三元重合体等、並びにそれらの混合物及び修飾体を含むことが好ましく、ポリプロピレンの単独重合体、並びにエチレン及び/又はブタンを含むプロピレンの共重合体が適当に用いられ得る。一実施形態において、添加成分と混合されるポリマーは、弾性がない又は弾性がほとんどないポリマーである。
【0020】
バリアシートは、前記の添加成分を含まない繊維からなる1つ又はそれ以上の不織布ウェブ又は不織布層を有してもよい。そのような不織布ウェブ及び不織布層は、上記の熱可塑性ポリマーからなり、上記の工程が用いられていてもよい。
【0021】
本発明における1つ又はそれ以上のウェブ又は層の繊維は、径が1000nmよりも小さいナノファイバであってもよい。層又はウェブは、ナノファイバのみにより構成されていてもよく、より大きい径を有する繊維と混合されていてもよい。その代わりに、又は付加的に、本発明におけるスパンボンドウェブ又は層は、例えば6μmから22μmまで、10μmから18μmまで、又は10μm若しくは11μmから15μm若しくは14μmまでの平均径のスパンボンド繊維を有してもよい。本発明におけるメルトブローウェブ又は層は、例えば1μmから5μmまで、1μmから4μmまで、好ましくは1μmから3μmまでの平均径のメルトブロー繊維を有してもよい。
【0022】
1つの好ましいポリマー材料は、メタロセン触媒を用いて結合されたポリプロピレンである。メタロセン分子は、モノマー同士が結合されることに対するより良好な制御を提供するため、そのようなメタロセン−ポリプロピレンポリマーは、チーグラーナッタ触媒を用いて結合された保守的なポリプロピレン材料よりも高い管理水準を提供する。このため、触媒の適切な選択は、イソタクチック、シンジオタクチック若しくはアタクチックポリプロピレン、又はそれらの組み合わせを生成させ得る。さらに、それらは、従来のチーグラーナッタ触媒よりも狭い分子量分布を有するポリプロピレン材料を生成でき、それらはさらに特性を改善でき、特に、より狭い分子量分布はより高い延伸比を可能とするため、より細い繊維を紡ぐことを可能とする。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、高バリア性不織布はスパンボンド法/メルトブロー法で層状にすることにより製造される。上述のように、より細い繊維に紡ぐことが可能であるため、上記のポリプロピレン材料の使用は、この技術を用いた不織布の生成に特に便利である。さらに、添加成分は、成型器における潤滑効果を有し、それは、処理条件における好ましい効果及び安定性を有する。SMMS又はSSMMSスパンメルトの2つのメルトブロー層(MM)とは対照的に、SMMMSスパンメルトには細いメルトブロー繊維の3つが含まれ、第2の効果との相乗効果で細いスパンボンド繊維が作用するため、グリセロールトリステアレートの添加の最も高い効果は、SMMMSにおいて達成される。3つのメルトブロー層を用いると、同等のカバレッジ(g/m2)を得るのに、それらのそれぞれに対する処理量をより低くできる。より細く且つより多いメルトブロー繊維は、不織布の孔径をより小さくし、繊維の表面領域をより大きくする。小さい孔は、液体が材料を通り抜けることをより困難にし、添加物が表面に存在して表面を活性化するため、繊維の高い表面領域は、溶融添加物の効果を増大する。
【0024】
上記の事実は、SMMMS構成にポリマー層を用いることに利点を与える。しかしながら、我々の発明は、当業者に知られているSMMS、SSMMS及び他の構成等の他の型の使用をも含んでいる。本発明に係る不織布は、前記ポリマー材料及び前記溶融添加物を含む繊維からなる少なくとも1つのスパンボンド(S)又はメルトブロー(M)ポリマー層を備えている。一実施形態において、これらの繊維は、溶解した前記ポリマー材料と前記溶融添加物との混合物から得られる。本発明の特定の実施形態において、不織布は90重量%〜99.9重量%の前記ポリマー材料及び0.1重量%〜10重量%の前記溶融添加物、好ましくは90重量%〜99.5重量%の前記ポリマー材料及び0.5重量%〜10重量%の前記溶融添加物を含む繊維からなる少なくとも1つのスパンボンド(S)又はメルトブローポリマー層を備えている。
【0025】
繊維を紡いだ後に、添加成分はそれらの長さ方向及び径方向(例えば中心から表面まで)の全体にわたって存在し得る。しかしながら、一実施形態において、添加成分は、繊維の中心よりも表面に高濃度で存在する。一実施形態において、前記繊維を備えた不織布ウェブ、バリアシート又はバリア成分は、(例えばこの濃度勾配を得るために、)ウェブの形成の際又は後に熱源により熱せられる若しくは照射される、又は例えばニップローラにより圧縮される。これは、不織布バリアシートの幅全体、又は特定のレーン、ゾーン又は領域(ここでは領域という)を横切って行われ得る。これは、種々の径、ニップギャップ若しくは圧力を有する圧縮ローラを用いることにより、又はニップローラの形状の熱い加熱帯、赤外熱源、又は他のレーン若しくは照射エネルギーの相互領域の使用により行われ得る。これらの計画的な活性工程は、不織布ウェブの生成の際、不織布バリアシートの際、それらの保存若しくは輸送の際、バリア成分中へのそれらの更なる処理の際に、又は吸収性物品の最終生成の際に用いられ得る。従って、一実施形態において、本発明は、前記熱可塑性ポリマー及び前記添加成分の混合物から得られる繊維の不織布ウェブ又は層を備えた不織布バリアシートを含むバリア成分を有する吸収性物品に関し、前記層又はウェブの一領域における繊維では、前記繊維の表面における添加成分の濃度が他の領域よりも高く、前記領域は概して少なくとも1mm2であり、前記濃度の差は、例えば少なくとも10%、20%又は30%である。
【0026】
本発明は、一実施形態において、60μmよりも小さい、好ましくは50μmよりも小さい、より好ましくは45μmよりも小さく、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μmの孔径を有する不織布バリアシート及び/又はバリア要素を備えている。好ましい実施形態の1つにおいて、不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、狭い孔の大きさの分布を有する。不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、平均の大きさが1から30μm、好ましくは5から20μmの範囲の孔を有する。
【0027】
後に例示される約22g/m2の密度を有する標準的なポリプロピレンからなる代表的なスパンメルト不織布は、例えば約16秒(SMMS)又は26秒(SMMMS)の表面張力が低い液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を有し得る。一実施形態において、本発明に係る不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、32mN/mの液体で本明細書に記載された方法による測定において、少なくとも約25%、好ましくは約50%、より好ましくは約100%以上、さらにより好ましくは約200%以上増大される表面張力裏抜け値を有する。表面張力裏抜け値は、200秒以下、150秒以下又は100秒以下に任意に制限されうる。不織布バリアシート又はバリア要素は、弾性材を含む領域又は他の材料と接する縁の領域を除く材料のいくつかの部分においてこの値を有する場合、上記の低表面張力裏抜け値を有するとみなされる。
【0028】
実施例及び結果において見られる低表面張力の裏抜け値に関する非常に有利な特性は、フッ素系溶融添加物又は他のフッ素系化学物質を加えることなく達成され得る。また、本発明は、シリコーン系材料又は他の材料の被覆を必要としない。しかしながら、当業者は、これらの処理のいくつかを有する本発明の要素を協調させた使用が、材料により低い表面エネルギーを与えることを認識するだろう。
【0029】
一実施形態において、生じた高バリア性ポリマー不織布は、表面張力が低い液体の裏抜けを改善することを示し、言い換えると、表面張力が低い液体に対するバリア性を増大させる。上記の方法による解決法は、追加の被覆工程、追加の装置又は追加の洗浄を避けることができるため、シリコーン被覆と比較して製造の観点から便利である。添加成分は、フッ素を含まないので、例えば疑わしい化学物質を用いることなく、流れやすいボールの移動を包むための表面エネルギーの必要な低減を得ることができる。
【0030】
さらに、スパンメルトポリプロピレン不織布の表面エネルギーの低減及び低い表面張力の裏抜け時間の改善といった追加の利点は、本発明の添加成分により与えられ得る。その不織布は、上記の溶融添加物の添加によりドレープ性が高く、滑らかになり、感知できる柔らかさの改善を引き起こし得る(これはハンドルオメーター試験法を用いて客観的に試験された)。さらに、その添加成分は、成型器の潤滑効果を有し、それは処理条件及び安定性に有利な効果を有し得る。
【0031】
バリア要素は、吸収性物品、特定の実施形態では吸収性衛生物品に不可欠な部分として用いられ得る。ここで、吸収性衛生物品は、好ましくは、おりものシート、生理用ナプキン若しくはパッド、乳幼児のおむつ、女性の生理用品、成人の失禁用品、拭き取り繊維、包袋、創傷被覆材、医療用隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープ若しくはカバー、手術着又は手術帽である。
【0032】
一実施形態において、バリア要素は、インク成分をさらに含み、例えば印刷によって、具体的に、模様、図形及び/又は文字が適応される。インク成分は水性であってもよい。これは、表面に繊維が存在するにもかかわらず、また、バリア性及び具体的にこれらのバリア要素及び不織布バリアシートの(疎水の)特性にもかかわらず、バリア性不織布シート又はバリア要素に適応され得る。
【0033】
一実施形態において、バリア要素は、スキンケア成分を含んでもよく、これは本分野において、ローション又はローション成分をいう。バリア要素の表面の一部又は表面全体は、スキンケア成分を含んでもよい(被覆されていてもよい)。前記バリア要素は、もし存在するならば、少なくとも上記の伸縮部に前記スキンケア成分(又はローション)を含むことが好ましい。
(試験方法)
(基本重量)
基本重量は、ASTM D 756、ISO 536及びEDANA ERT−40.3−90に従って測定され得る。それは、単位領域当たりの質量としてg/m2(gsmともいう)で定義され、この方法を用いることが可能ならば、全体としてのその要素又はシートにおいて測定され、また、それらのサンプルにおけるサンプルの総表面領域は、その試験方法に適する大きさであり、好ましくは、100cm2(±0.5%)のサンプルが用いられる。そのサンプルは、重量の測定の前に平衡に達するように摂氏23℃(±2℃)で相対湿度が50%の条件で2時間置かれる。
(繊維径)
繊維の径の平均は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び画像解析ソフトウェアを用いて測定される。倍率は、繊維が測定に適する大きさになるように、例えば1000倍〜10000倍で選択される。少なくとも100本の繊維が測定され、繊維の径の平均がソフトウェアを用いて計算される。
(最大孔径及び平均孔径の測定)
本明細書で用いられる最大孔径及び平均孔径は、ASTM E1294−89及びF316−89の方法に従ってPMIポロメーターを用いて測定され得る(ASTM法により毛管定数は1であり、湿潤流体は表面張力が15.9mN/mのGalwickであり、この流体の表面張力は、以下に示すように決定され得る。)。
【0034】
ポロメーターとしては、PMI Capillary Flow ポロメーターのCFP-1200-AEXモデルが適当に用いられ得る。
【0035】
しわが寄らないきれいな円形サンプルは、(20℃、相対湿度50%で2時間の条件で)1.0cmの径を有する(本明細書に記載された弾性材料又はフィルム材料はサンプル領域において含まれていない)バリア要素又は(本発明に従って試験されることが必要な値に依存する)不織布バリアシートから得られる。ピンセットが用いられて、サンプルは、流体がサンプルに完全に被覆されるように、15.9mN/mのGalwick湿潤流体で満たされたペトリ皿に30秒間浸される。その後、ピンセットが用いられて、サンプルは向きを変えられ同一の皿及び流体に再び30秒間浸される。これは、湿潤流体を孔に満たすことを完全なものにすることを保証する。
【0036】
その後、ピンセットが用いられて、その流体で満たされたサンプルは、湿潤流体を排出させることなく下側のサンプルアダプタのOリングの上に直接に置かれ、これは、サンプルが置かれている間にガーゼを覆うことなく、Oリングはサンプルにより完全に覆われることを保証する。
【0037】
下側のアダプタの上で上向きで且つ上側のアダプタの方に向いているOリング及びサンプルを用いて、ポロメーターはそのマニュアルによりさらに準備され、その測定はマニュアルに従って開始される。装置のソフトウェアは、測定を解析し、本明細書における最大孔径を示す。また、それは平均孔径を計算する。
(ハンドルオメーター剛性)
ハンドルオメーター剛性は、標準試験法WSP 90.3.0(05)に従って測定された。
(アルコール撥水性)
アルコール撥水性(AR)は、INDA IST80.8により測定された。
【0038】
INDA IST80.8は、イソプロパノール水溶液による浸透に対する不織布の耐性を測定するための標準試験法である。アルコール撥水性は、アルコール濃度に基づく評価で示された。5分以内に試験不織布に浸透しない試験溶液の最も高い数が示された。
(低表面張力裏抜け(LST.ST)値の方法)
本明細書において称される低表面張力裏抜け値は、表面張力が低い液体(以下を参照)が用いられること及び1インチ×1インチ(25mm×25mm)のサンプルが用いられることを除いて、Edana法WSP70.3(05)により得られる。サンプルは、弾性材料又は他の材料と接する縁を含むべきでない。
【0039】
このサンプルの測定から得られた値は本明細書に示される。
【0040】
表面張力が低い液体は、以下のように調製された表面張力が32mN/mの液体である。きれいなフラスコ内において、(予めフラスコに入れられた)500mlの蒸留水に、2.100gのTriton−X−100が加えられ、その後、5000mlの蒸留水が加えられる。その溶液は、30分間混合され、その後、表面張力が測定され、32mN/mにする(その表面張力は、Kruss K12張力計を用いたASTM D1331−56(表面活性剤の溶液の表面及び界面張力のための標準試験法)により測定され得る。)。
【0041】
以下の実施例及び図は、より詳細に我々の発明を説明することを目的として示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は比較例1及び実施例1〜5のアルコール撥水性を示すグラフである。
【図2】図2は比較例1及び実施例1〜5の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例1に対してLSTが増大した割合を示している。
【図3】図3は比較例1及び実施例1〜5の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図4】図4は比較例1及び実施例1〜5のハンドルオメーター剛性(g)を示すグラフである。
【図5】図5は比較例2及び実施例6〜8の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例2に対してLSTが増大した割合を示している。
【図6】図6は比較例2及び実施例6〜8の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図7】図7は比較例3及び実施例9〜12の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例3に対してLSTが増大した割合を示している。
【図8】図8は比較例3及び実施例9〜12の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図9】図9は比較例4及び実施例13〜16の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例4に対してLSTが増大した割合を示している。
【図10】図10は比較例4及び実施例13〜16の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図11】図11は比較例5及び実施例17及び18の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例5に対してLSTが増大した割合を示している。
【図12】図12は比較例5及び実施例17及び18の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
比較例1〜5は、実施例1〜19と比較して従来技術を説明することを目的とし、実施例1〜19は、本発明において開示された方法を用いることにより達成され得る不織布の特性を説明することを目的としている。
【0044】
(比較例1)
SMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil3SMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は9.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.5g/m2の重量を有し、その結果、22g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMS層の不織布生成物が生じる。
【0045】
以下の5つの実施例のそれぞれにおいて、SMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)S(4)の括弧内の数で示す。
【0046】
(実施例1)
層状の布は、比較例1に記載した工程の後に生成され、ポリマーが添加成分として0.8重量%のグリセロールトリステアレート(以下、「有効成分」という)を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均0.3重量%である。
【0047】
(実施例2)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが0.8重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均0.7重量%である。
【0048】
(実施例3)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが1.6重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均1.4重量%である。
【0049】
(実施例4)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均2.1重量%である。
【0050】
(実施例5)
層状の布は、実施例1に従って生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層1、2及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均2.2重量%である。
【0051】
比較例1及び実施例1〜5の有効成分の含量を表2に要約する。
【0052】
【表2】
【0053】
以下の試験は、アルコール撥水特性、裏抜け(32mJ/m2)特性、ハンドルオメーターCD(横方向の)剛性及びハンドルオメーターMD(機械方向の)剛性を評価するために「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。対応する結果は表3〜6及び図1〜4に要約されている。
【0054】
アルコール撥水性は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、その結果は表3及び図1に示されている。
【0055】
【表3】
【0056】
裏抜け(32mJ/m2)は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、その結果は表4並びに図2及び図3に示されている。
【0057】
【表4】
【0058】
ハンドルオメーターCD剛性及びハンドルオメーターMD剛性は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、それぞれの値は、表5及び6並びに図4に示されている。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
(比較例2)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるメタロセンポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は9.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.0g/m2の重量を有し、その結果、22g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0062】
以下の3つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0063】
(実施例6)
層状の布は、比較例2に記載した工程の後に生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4を形成し、布全体における有効成分が平均0.3重量%である。
【0064】
(実施例7)
層状の布は、実施例6に記載するように生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、2.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.2重量%である。
【0065】
(実施例8)
層状の布は、実施例6に記載するように生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.6重量%である。
【0066】
比較例2及び実施例6〜8の有効成分の含量を、表7に要約する。
【0067】
【表7】
【0068】
以下の試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例2及び実施例6〜8において裏抜け(32mJ/m2)特性が測定され、その結果は表8並びに図5及び6に示されている。
【表8】
【0069】
(比較例3)
SMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil3SMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.9g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは0.6g/m2の重量を有し、その結果、15g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMS層の不織布生成物が生じる。
【0070】
以下の5つの実施例のそれぞれにおいて、SMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)S(4)の括弧内の数で示す。
【0071】
(実施例9)
層状の布は、比較例3に記載した工程の後に生成され、ポリマーが7.6重量%の有効成分を含む層2及び3のそれぞれ形成し、2.3重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.7重量%である。
【0072】
(実施例10)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが2.5重量%の有効成分を含む層2及び3のそれぞれを形成し、3.4重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.8重量%である。
【0073】
(実施例11)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが6.0重量%の有効成分を含む層1のそれぞれを形成し、7.6重量%の有効成分を含む層2及び3を形成し、6.0重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均6.1重量%である。
【0074】
(実施例12)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが4.1重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.9重量%である。
【0075】
比較例3及び実施例9〜12の有効成分の含量を、表9に要約する。
【0076】
【表9】
【0077】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例3及び実施例9〜12の対応する結果は、表10並びに図7及び8に要約されている。
【0078】
【表10】
【0079】
(比較例4)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.3g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは0.8g/m2の重量を有し、その結果、15g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0080】
以下の4つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0081】
(実施例13)
層状の布は、比較例4に記載した工程の後に生成され、ポリマーが1.2重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれ形成し、1.9重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.0重量%である。
【0082】
(実施例14)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、1.9重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.2重量%である。
【0083】
(実施例15)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.6重量%である。
【0084】
(実施例16)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.8重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.0重量%である。
【0085】
比較例4及び実施例13〜16の有効成分の含量を、表11に要約する。
【0086】
【表11】
【0087】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例4及び実施例13〜16の対応する結果は、表12並びに図9及び10に要約されている。
【0088】
【表12】
【0089】
(比較例5)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるメタロセンポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.3g/m2の重量を有し、その結果、17g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0090】
以下の2つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0091】
(実施例17)
層状の布は、比較例5に記載した工程の後に生成され、ポリマーが2.9重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれ形成し、3.5重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.0重量%である。
【0092】
(実施例18)
層状の布は、実施例17に記載するように生成され、ポリマーが3.9重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、4.8重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.7重量%である。
【0093】
比較例5及び実施例17及び18の有効成分の含量を、表13に要約する。
【0094】
【表13】
【0095】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例5及び実施例17及び18の対応する結果は、表14並びに図11及び12に要約されている。
【0096】
【表14】
【0097】
表4、8、10、12及び14並びに図2、5、7、9及び11に示すように、異なる領域当たりの重量を有するSMMS及びSMMMSの層構造不織布の両方において、本発明に係る不織布は、請求項1に係る添加成分を含まない布と比較して、25%以上、ほとんどの場合では50%以上、いくつかの場合では100%以上、またいくつかの場合では200%以上のLSTの増大を示す。このように、本発明に係る不織布は、請求項1に係る添加成分を含まない布と比較して、2倍又は3倍のLSTを有し得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリマーと添加成分との混合物から得られる繊維からなる不織布ウェブ又は不織布層に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児のおむつ、女性の生理用品、成人の失禁用品、拭き取り繊維、包袋、創傷被覆材、医療用隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープ及びカバー、手術着、手術帽、並びにおりものシート又は生理用ナプキン若しくはパッド等の他の衛生用品等の衛生適応はよく知られ、日常的に用いられている。
【0003】
上記の品物において、例えば尿又は他の分泌液等の種々の体液のバリア材料としてのポリマー不織布の使用は、一般的であり、従来からよく知られている。
【0004】
孔径の減少及び繊維の径の減少が不織布の液体に対するバリア特性に有利であることも、一般に知られている。そのような特性を不織布に与えるために、極めて微細な径を有する繊維を用いて生成されるメルトブロー不織布が生産されることが増えている。メルトブロー不織布は、引っ張り強度に限りがあるため、通常、補強のためにスパンボンド不織布の層と組み合わされる。生成された2つ又はそれ以上の層は、例えば熱的に結合される。そのような層生成物は、連続工程で工業的に生成され得る。通常の層形成パターンは、SMSパターンを含み、また、例えばSMMS、SMMMS又はSSMMSパターン等のより多い層を有するパターンを含む。
【0005】
さらに、材料の基本重量の増大によって、液体浸透性に関する不織布のバリア性を増大させるアプローチが従来から知られている。これは当然のアプローチであるが、各生成物の柔軟性及び重量等の他の特性が不利な方向に変化されるため、あまり洗練されていない。
【0006】
例えば尿又は月経液等の比較的高い表面張力を有する主として水性の液体に対するバリア性を意味する不織布の液体バリア性を増大するための上記の技術は、一般用途向けであるため、具体的に表面張力が低い液体、例えば排便されたもの(新生児の便)に対して高バリア性を有する工業製品に関しては、材料自体の特性を変化させることが望ましいと結論づけられる。それらは、表面張力が低い液体に対して十分に高いバリア性を示さず、それは、例えばおむつからの漏れ(乳児を有するほとんどの親がよく知る現象)のより高いリスクがあることを意味する。
【0007】
解決法の候補は、一般に用いられるポリマーよりも低い固有の表面エネルギーを有する材料を開発することである。対象とする用途のために、より低い固有の表面エネルギー等は、表面張力が低い液体の裏抜けを十分に改善する。
【0008】
材料の表面エネルギーを低減し、それを用いて製造された不織布における表面張力が低い液体の裏抜け値を増大させるための一般的な方法は、ケイ素被覆及びフッ素系化学物質の使用であり、従来から既によく知られている。ケイ素被覆は、例えば国際特許WO2006/005769において用いられており、比較的低い表面張力を有する液体に不浸透性である成分が塗られることを意味する疎水性の表面被覆(シリコーン)処理が行われた軽量の不織布のバリア部材が示されている。ケイ素被覆の使用の主な難点は、ケイ素を分解することが極めて困難であるため、ケイ素を用いた後の洗浄における多くの問題、すなわち洗浄のために多くの肉体労働が必要であることにより、継続的な製造環境においてそれを用いることが比較的に難しいということである。また、被覆を用いることは、製造工程における追加工程を必要とし、複雑性が追加され、装置の費用の追加を必要とする。
【0009】
フッ素系化学物質の使用は、より低い固有の表面エネルギーの材料を達成することに関し、純粋なポリプロピレンからなる材料を改善し、例えば表面張力が低い液体に対するバリア性を増大する。しかしながら、表面エネルギーを低減し、表面張力が低い液体の裏抜けを改善する能力を有するにもかかわらず、各種の化学物質の付加により生じる皮膚炎のリスクのため、フッ素系化学物質は、衛生産業において一般に難色を示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
衛生適応において、表面張力が低い液体に対して優れたバリア性を有する不織布材料に最適な手段はまだ発見されていないことは上記から明らかである。従って、本発明の目的は、従来からの問題の1つ又は全てを解決すること、及び/又はスパンボンド/メルトブロー不織布を生成する連続的な工程においてポリマー顆粒と共に溶解物の中に入れられる添加物(溶融添加物)を用いることにより、フッ素化学又は被覆材料を用いることのない衛生適応のバリアシートから表面張力が低い液体が漏れるリスクを最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、これらの望ましい特性の1つ又は全ては、請求項1に従った不織布ウェブ又は不織布層により達成され得る。適宜に、添加成分は1つ又はそれ以上のエステル脂質を含む。
【0012】
この特定の溶融添加物により、低い固有の表面エネルギーがポリマー材料に与えられ得る。結果として、それらの溶融添加物は、そのような材料を用いて製造された不織布における表面張力が低い液体の裏抜けを改善できる。
【0013】
本発明は、溶融添加物としてエステル脂質を用いることによりポリマー材料の表面エネルギーが低減されていることを特徴とする高バリア性ポリマーの不織布を含む。本発明の好ましい一実施形態において、エステル脂質はトリグリセリドであり、通常のトリグリセリドの例は、これらに限られないが、例えばアラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸又はアラキドン酸の群のうちの同一又は異なる化合物、及び他のカルボン酸又はそれらの組み合わせを用いてエステル化された1つ、2つ又は3つ全てのヒドロキシ官能基を有するトリグリセリドである。
【0014】
本発明の最も好ましい実施形態において、トリグリセリドは、グリセロールトリステアレート(CAS No 555−43−1)であり、これは、トリステアリン又は1,2,3-トリオクタデカノイルグリセロール等の名称で知られている。以下、グリセロールトリステアレートの名称を用い、疑念がある場合にはCAS Noが基本識別子として見られる。
【0015】
グリセロールトリステアレートの付加により生じるポリマーの表面エネルギーの低下は、グリセロールトリステアレートが34.2mJ/m2の表面エネルギーを有しているため明確でない。通常、表面張力の低減は、例えばフッ素系化学物質といったそれぞれのポリマーよりも低い表面エネルギーを有する化学物質の付加により達成される。一実施形態において、エステル脂質、好ましくはグリセロールトリステアレートの付加は、スパンメルトの糸における繊維のえい糸性に不利な影響はなく(10%以下の濃度)、添加成分の付加は単純で且つ簡潔であり、例えば被覆処理とは対照的に製造工程において追加工程が要求されない。
【0016】
[表1]は一般的なポリマーの表面エネルギーを示している。
【0017】
【表1】
【0018】
繊維はポリマー組成物及び混合物を含む熱可塑性ポリマーから形成され得る。ここで用いられるのに適当な熱可塑性ポリマーの例は、好ましくはポリプロピレン若しくはポリエチレン又はポリエチレン−ポリプロピレン共重合体といったポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート及びそれらの混合物を含む。他の適当な熱可塑性ポリマーは、特にPHAs、PLAs又はデンプン組成等の生分解性のポリマーを含む。
【0019】
繊維は複合繊維を含む多成分繊維であってもよく、ここでの複合繊維は、並列、芯鞘型、セグメント化されたパイ、リボン又は海上の島状の構造であってもよい。鞘は芯の周囲に連続的又は非連続的に設けられてよい。鞘はポリプロピレンからなっていてもよい。一実施形態において、ポリプロピレン及びポリプロピレン成分は、プロピレンの単独重合体、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互の共重合体等のプロピレンの共重合体、三元重合体等、並びにそれらの混合物及び修飾体を含むことが好ましく、ポリプロピレンの単独重合体、並びにエチレン及び/又はブタンを含むプロピレンの共重合体が適当に用いられ得る。一実施形態において、添加成分と混合されるポリマーは、弾性がない又は弾性がほとんどないポリマーである。
【0020】
バリアシートは、前記の添加成分を含まない繊維からなる1つ又はそれ以上の不織布ウェブ又は不織布層を有してもよい。そのような不織布ウェブ及び不織布層は、上記の熱可塑性ポリマーからなり、上記の工程が用いられていてもよい。
【0021】
本発明における1つ又はそれ以上のウェブ又は層の繊維は、径が1000nmよりも小さいナノファイバであってもよい。層又はウェブは、ナノファイバのみにより構成されていてもよく、より大きい径を有する繊維と混合されていてもよい。その代わりに、又は付加的に、本発明におけるスパンボンドウェブ又は層は、例えば6μmから22μmまで、10μmから18μmまで、又は10μm若しくは11μmから15μm若しくは14μmまでの平均径のスパンボンド繊維を有してもよい。本発明におけるメルトブローウェブ又は層は、例えば1μmから5μmまで、1μmから4μmまで、好ましくは1μmから3μmまでの平均径のメルトブロー繊維を有してもよい。
【0022】
1つの好ましいポリマー材料は、メタロセン触媒を用いて結合されたポリプロピレンである。メタロセン分子は、モノマー同士が結合されることに対するより良好な制御を提供するため、そのようなメタロセン−ポリプロピレンポリマーは、チーグラーナッタ触媒を用いて結合された保守的なポリプロピレン材料よりも高い管理水準を提供する。このため、触媒の適切な選択は、イソタクチック、シンジオタクチック若しくはアタクチックポリプロピレン、又はそれらの組み合わせを生成させ得る。さらに、それらは、従来のチーグラーナッタ触媒よりも狭い分子量分布を有するポリプロピレン材料を生成でき、それらはさらに特性を改善でき、特に、より狭い分子量分布はより高い延伸比を可能とするため、より細い繊維を紡ぐことを可能とする。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、高バリア性不織布はスパンボンド法/メルトブロー法で層状にすることにより製造される。上述のように、より細い繊維に紡ぐことが可能であるため、上記のポリプロピレン材料の使用は、この技術を用いた不織布の生成に特に便利である。さらに、添加成分は、成型器における潤滑効果を有し、それは、処理条件における好ましい効果及び安定性を有する。SMMS又はSSMMSスパンメルトの2つのメルトブロー層(MM)とは対照的に、SMMMSスパンメルトには細いメルトブロー繊維の3つが含まれ、第2の効果との相乗効果で細いスパンボンド繊維が作用するため、グリセロールトリステアレートの添加の最も高い効果は、SMMMSにおいて達成される。3つのメルトブロー層を用いると、同等のカバレッジ(g/m2)を得るのに、それらのそれぞれに対する処理量をより低くできる。より細く且つより多いメルトブロー繊維は、不織布の孔径をより小さくし、繊維の表面領域をより大きくする。小さい孔は、液体が材料を通り抜けることをより困難にし、添加物が表面に存在して表面を活性化するため、繊維の高い表面領域は、溶融添加物の効果を増大する。
【0024】
上記の事実は、SMMMS構成にポリマー層を用いることに利点を与える。しかしながら、我々の発明は、当業者に知られているSMMS、SSMMS及び他の構成等の他の型の使用をも含んでいる。本発明に係る不織布は、前記ポリマー材料及び前記溶融添加物を含む繊維からなる少なくとも1つのスパンボンド(S)又はメルトブロー(M)ポリマー層を備えている。一実施形態において、これらの繊維は、溶解した前記ポリマー材料と前記溶融添加物との混合物から得られる。本発明の特定の実施形態において、不織布は90重量%〜99.9重量%の前記ポリマー材料及び0.1重量%〜10重量%の前記溶融添加物、好ましくは90重量%〜99.5重量%の前記ポリマー材料及び0.5重量%〜10重量%の前記溶融添加物を含む繊維からなる少なくとも1つのスパンボンド(S)又はメルトブローポリマー層を備えている。
【0025】
繊維を紡いだ後に、添加成分はそれらの長さ方向及び径方向(例えば中心から表面まで)の全体にわたって存在し得る。しかしながら、一実施形態において、添加成分は、繊維の中心よりも表面に高濃度で存在する。一実施形態において、前記繊維を備えた不織布ウェブ、バリアシート又はバリア成分は、(例えばこの濃度勾配を得るために、)ウェブの形成の際又は後に熱源により熱せられる若しくは照射される、又は例えばニップローラにより圧縮される。これは、不織布バリアシートの幅全体、又は特定のレーン、ゾーン又は領域(ここでは領域という)を横切って行われ得る。これは、種々の径、ニップギャップ若しくは圧力を有する圧縮ローラを用いることにより、又はニップローラの形状の熱い加熱帯、赤外熱源、又は他のレーン若しくは照射エネルギーの相互領域の使用により行われ得る。これらの計画的な活性工程は、不織布ウェブの生成の際、不織布バリアシートの際、それらの保存若しくは輸送の際、バリア成分中へのそれらの更なる処理の際に、又は吸収性物品の最終生成の際に用いられ得る。従って、一実施形態において、本発明は、前記熱可塑性ポリマー及び前記添加成分の混合物から得られる繊維の不織布ウェブ又は層を備えた不織布バリアシートを含むバリア成分を有する吸収性物品に関し、前記層又はウェブの一領域における繊維では、前記繊維の表面における添加成分の濃度が他の領域よりも高く、前記領域は概して少なくとも1mm2であり、前記濃度の差は、例えば少なくとも10%、20%又は30%である。
【0026】
本発明は、一実施形態において、60μmよりも小さい、好ましくは50μmよりも小さい、より好ましくは45μmよりも小さく、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μmの孔径を有する不織布バリアシート及び/又はバリア要素を備えている。好ましい実施形態の1つにおいて、不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、狭い孔の大きさの分布を有する。不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、平均の大きさが1から30μm、好ましくは5から20μmの範囲の孔を有する。
【0027】
後に例示される約22g/m2の密度を有する標準的なポリプロピレンからなる代表的なスパンメルト不織布は、例えば約16秒(SMMS)又は26秒(SMMMS)の表面張力が低い液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を有し得る。一実施形態において、本発明に係る不織布バリアシート及び/又はバリア要素は、32mN/mの液体で本明細書に記載された方法による測定において、少なくとも約25%、好ましくは約50%、より好ましくは約100%以上、さらにより好ましくは約200%以上増大される表面張力裏抜け値を有する。表面張力裏抜け値は、200秒以下、150秒以下又は100秒以下に任意に制限されうる。不織布バリアシート又はバリア要素は、弾性材を含む領域又は他の材料と接する縁の領域を除く材料のいくつかの部分においてこの値を有する場合、上記の低表面張力裏抜け値を有するとみなされる。
【0028】
実施例及び結果において見られる低表面張力の裏抜け値に関する非常に有利な特性は、フッ素系溶融添加物又は他のフッ素系化学物質を加えることなく達成され得る。また、本発明は、シリコーン系材料又は他の材料の被覆を必要としない。しかしながら、当業者は、これらの処理のいくつかを有する本発明の要素を協調させた使用が、材料により低い表面エネルギーを与えることを認識するだろう。
【0029】
一実施形態において、生じた高バリア性ポリマー不織布は、表面張力が低い液体の裏抜けを改善することを示し、言い換えると、表面張力が低い液体に対するバリア性を増大させる。上記の方法による解決法は、追加の被覆工程、追加の装置又は追加の洗浄を避けることができるため、シリコーン被覆と比較して製造の観点から便利である。添加成分は、フッ素を含まないので、例えば疑わしい化学物質を用いることなく、流れやすいボールの移動を包むための表面エネルギーの必要な低減を得ることができる。
【0030】
さらに、スパンメルトポリプロピレン不織布の表面エネルギーの低減及び低い表面張力の裏抜け時間の改善といった追加の利点は、本発明の添加成分により与えられ得る。その不織布は、上記の溶融添加物の添加によりドレープ性が高く、滑らかになり、感知できる柔らかさの改善を引き起こし得る(これはハンドルオメーター試験法を用いて客観的に試験された)。さらに、その添加成分は、成型器の潤滑効果を有し、それは処理条件及び安定性に有利な効果を有し得る。
【0031】
バリア要素は、吸収性物品、特定の実施形態では吸収性衛生物品に不可欠な部分として用いられ得る。ここで、吸収性衛生物品は、好ましくは、おりものシート、生理用ナプキン若しくはパッド、乳幼児のおむつ、女性の生理用品、成人の失禁用品、拭き取り繊維、包袋、創傷被覆材、医療用隔離ガウン、手術用ガウン、手術用ドレープ若しくはカバー、手術着又は手術帽である。
【0032】
一実施形態において、バリア要素は、インク成分をさらに含み、例えば印刷によって、具体的に、模様、図形及び/又は文字が適応される。インク成分は水性であってもよい。これは、表面に繊維が存在するにもかかわらず、また、バリア性及び具体的にこれらのバリア要素及び不織布バリアシートの(疎水の)特性にもかかわらず、バリア性不織布シート又はバリア要素に適応され得る。
【0033】
一実施形態において、バリア要素は、スキンケア成分を含んでもよく、これは本分野において、ローション又はローション成分をいう。バリア要素の表面の一部又は表面全体は、スキンケア成分を含んでもよい(被覆されていてもよい)。前記バリア要素は、もし存在するならば、少なくとも上記の伸縮部に前記スキンケア成分(又はローション)を含むことが好ましい。
(試験方法)
(基本重量)
基本重量は、ASTM D 756、ISO 536及びEDANA ERT−40.3−90に従って測定され得る。それは、単位領域当たりの質量としてg/m2(gsmともいう)で定義され、この方法を用いることが可能ならば、全体としてのその要素又はシートにおいて測定され、また、それらのサンプルにおけるサンプルの総表面領域は、その試験方法に適する大きさであり、好ましくは、100cm2(±0.5%)のサンプルが用いられる。そのサンプルは、重量の測定の前に平衡に達するように摂氏23℃(±2℃)で相対湿度が50%の条件で2時間置かれる。
(繊維径)
繊維の径の平均は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び画像解析ソフトウェアを用いて測定される。倍率は、繊維が測定に適する大きさになるように、例えば1000倍〜10000倍で選択される。少なくとも100本の繊維が測定され、繊維の径の平均がソフトウェアを用いて計算される。
(最大孔径及び平均孔径の測定)
本明細書で用いられる最大孔径及び平均孔径は、ASTM E1294−89及びF316−89の方法に従ってPMIポロメーターを用いて測定され得る(ASTM法により毛管定数は1であり、湿潤流体は表面張力が15.9mN/mのGalwickであり、この流体の表面張力は、以下に示すように決定され得る。)。
【0034】
ポロメーターとしては、PMI Capillary Flow ポロメーターのCFP-1200-AEXモデルが適当に用いられ得る。
【0035】
しわが寄らないきれいな円形サンプルは、(20℃、相対湿度50%で2時間の条件で)1.0cmの径を有する(本明細書に記載された弾性材料又はフィルム材料はサンプル領域において含まれていない)バリア要素又は(本発明に従って試験されることが必要な値に依存する)不織布バリアシートから得られる。ピンセットが用いられて、サンプルは、流体がサンプルに完全に被覆されるように、15.9mN/mのGalwick湿潤流体で満たされたペトリ皿に30秒間浸される。その後、ピンセットが用いられて、サンプルは向きを変えられ同一の皿及び流体に再び30秒間浸される。これは、湿潤流体を孔に満たすことを完全なものにすることを保証する。
【0036】
その後、ピンセットが用いられて、その流体で満たされたサンプルは、湿潤流体を排出させることなく下側のサンプルアダプタのOリングの上に直接に置かれ、これは、サンプルが置かれている間にガーゼを覆うことなく、Oリングはサンプルにより完全に覆われることを保証する。
【0037】
下側のアダプタの上で上向きで且つ上側のアダプタの方に向いているOリング及びサンプルを用いて、ポロメーターはそのマニュアルによりさらに準備され、その測定はマニュアルに従って開始される。装置のソフトウェアは、測定を解析し、本明細書における最大孔径を示す。また、それは平均孔径を計算する。
(ハンドルオメーター剛性)
ハンドルオメーター剛性は、標準試験法WSP 90.3.0(05)に従って測定された。
(アルコール撥水性)
アルコール撥水性(AR)は、INDA IST80.8により測定された。
【0038】
INDA IST80.8は、イソプロパノール水溶液による浸透に対する不織布の耐性を測定するための標準試験法である。アルコール撥水性は、アルコール濃度に基づく評価で示された。5分以内に試験不織布に浸透しない試験溶液の最も高い数が示された。
(低表面張力裏抜け(LST.ST)値の方法)
本明細書において称される低表面張力裏抜け値は、表面張力が低い液体(以下を参照)が用いられること及び1インチ×1インチ(25mm×25mm)のサンプルが用いられることを除いて、Edana法WSP70.3(05)により得られる。サンプルは、弾性材料又は他の材料と接する縁を含むべきでない。
【0039】
このサンプルの測定から得られた値は本明細書に示される。
【0040】
表面張力が低い液体は、以下のように調製された表面張力が32mN/mの液体である。きれいなフラスコ内において、(予めフラスコに入れられた)500mlの蒸留水に、2.100gのTriton−X−100が加えられ、その後、5000mlの蒸留水が加えられる。その溶液は、30分間混合され、その後、表面張力が測定され、32mN/mにする(その表面張力は、Kruss K12張力計を用いたASTM D1331−56(表面活性剤の溶液の表面及び界面張力のための標準試験法)により測定され得る。)。
【0041】
以下の実施例及び図は、より詳細に我々の発明を説明することを目的として示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は比較例1及び実施例1〜5のアルコール撥水性を示すグラフである。
【図2】図2は比較例1及び実施例1〜5の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例1に対してLSTが増大した割合を示している。
【図3】図3は比較例1及び実施例1〜5の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図4】図4は比較例1及び実施例1〜5のハンドルオメーター剛性(g)を示すグラフである。
【図5】図5は比較例2及び実施例6〜8の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例2に対してLSTが増大した割合を示している。
【図6】図6は比較例2及び実施例6〜8の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図7】図7は比較例3及び実施例9〜12の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例3に対してLSTが増大した割合を示している。
【図8】図8は比較例3及び実施例9〜12の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図9】図9は比較例4及び実施例13〜16の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例4に対してLSTが増大した割合を示している。
【図10】図10は比較例4及び実施例13〜16の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【図11】図11は比較例5及び実施例17及び18の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。比較例5に対してLSTが増大した割合を示している。
【図12】図12は比較例5及び実施例17及び18の液体の裏抜け時間(32mJ/m2)を秒数で示すグラフである。LSTはそれぞれの実施例における有効成分の割合に従って示される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
比較例1〜5は、実施例1〜19と比較して従来技術を説明することを目的とし、実施例1〜19は、本発明において開示された方法を用いることにより達成され得る不織布の特性を説明することを目的としている。
【0044】
(比較例1)
SMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil3SMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は9.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.5g/m2の重量を有し、その結果、22g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMS層の不織布生成物が生じる。
【0045】
以下の5つの実施例のそれぞれにおいて、SMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)S(4)の括弧内の数で示す。
【0046】
(実施例1)
層状の布は、比較例1に記載した工程の後に生成され、ポリマーが添加成分として0.8重量%のグリセロールトリステアレート(以下、「有効成分」という)を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均0.3重量%である。
【0047】
(実施例2)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが0.8重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均0.7重量%である。
【0048】
(実施例3)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが1.6重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均1.4重量%である。
【0049】
(実施例4)
層状の布は、実施例1に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層1及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均2.1重量%である。
【0050】
(実施例5)
層状の布は、実施例1に従って生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層1、2及び4のそれぞれを形成し、布全体における有効成分が平均2.2重量%である。
【0051】
比較例1及び実施例1〜5の有効成分の含量を表2に要約する。
【0052】
【表2】
【0053】
以下の試験は、アルコール撥水特性、裏抜け(32mJ/m2)特性、ハンドルオメーターCD(横方向の)剛性及びハンドルオメーターMD(機械方向の)剛性を評価するために「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。対応する結果は表3〜6及び図1〜4に要約されている。
【0054】
アルコール撥水性は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、その結果は表3及び図1に示されている。
【0055】
【表3】
【0056】
裏抜け(32mJ/m2)は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、その結果は表4並びに図2及び図3に示されている。
【0057】
【表4】
【0058】
ハンドルオメーターCD剛性及びハンドルオメーターMD剛性は、比較例1及び実施例1〜5で測定され、それぞれの値は、表5及び6並びに図4に示されている。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
(比較例2)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるメタロセンポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は9.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.0g/m2の重量を有し、その結果、22g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0062】
以下の3つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0063】
(実施例6)
層状の布は、比較例2に記載した工程の後に生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4を形成し、布全体における有効成分が平均0.3重量%である。
【0064】
(実施例7)
層状の布は、実施例6に記載するように生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、2.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.2重量%である。
【0065】
(実施例8)
層状の布は、実施例6に記載するように生成され、ポリマーが2.3重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.6重量%である。
【0066】
比較例2及び実施例6〜8の有効成分の含量を、表7に要約する。
【0067】
【表7】
【0068】
以下の試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例2及び実施例6〜8において裏抜け(32mJ/m2)特性が測定され、その結果は表8並びに図5及び6に示されている。
【表8】
【0069】
(比較例3)
SMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil3SMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.9g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは0.6g/m2の重量を有し、その結果、15g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMS層の不織布生成物が生じる。
【0070】
以下の5つの実施例のそれぞれにおいて、SMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)S(4)の括弧内の数で示す。
【0071】
(実施例9)
層状の布は、比較例3に記載した工程の後に生成され、ポリマーが7.6重量%の有効成分を含む層2及び3のそれぞれ形成し、2.3重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.7重量%である。
【0072】
(実施例10)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが2.5重量%の有効成分を含む層2及び3のそれぞれを形成し、3.4重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.8重量%である。
【0073】
(実施例11)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが6.0重量%の有効成分を含む層1のそれぞれを形成し、7.6重量%の有効成分を含む層2及び3を形成し、6.0重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均6.1重量%である。
【0074】
(実施例12)
層状の布は、実施例9に記載するように生成され、ポリマーが4.1重量%の有効成分を含む層4を形成し、布全体における有効成分が平均1.9重量%である。
【0075】
比較例3及び実施例9〜12の有効成分の含量を、表9に要約する。
【0076】
【表9】
【0077】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例3及び実施例9〜12の対応する結果は、表10並びに図7及び8に要約されている。
【0078】
【表10】
【0079】
(比較例4)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるチーグラーナッタポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.3g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは0.8g/m2の重量を有し、その結果、15g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0080】
以下の4つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0081】
(実施例13)
層状の布は、比較例4に記載した工程の後に生成され、ポリマーが1.2重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれ形成し、1.9重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.0重量%である。
【0082】
(実施例14)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、1.9重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.2重量%である。
【0083】
(実施例15)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.0重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均1.6重量%である。
【0084】
(実施例16)
層状の布は、実施例13に記載するように生成され、ポリマーが2.4重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、3.8重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.0重量%である。
【0085】
比較例4及び実施例13〜16の有効成分の含量を、表11に要約する。
【0086】
【表11】
【0087】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例4及び実施例13〜16の対応する結果は、表12並びに図9及び10に要約されている。
【0088】
【表12】
【0089】
(比較例5)
SMMMS多層構造不織布は、幅が4.5mのReifenhauser社のReicofil4SMMMSラインでの連続生産によるメタロセンポリプロピレンから生成された。S層のそれぞれの層は6.5g/m2の重量を有し、M層のそれぞれは1.3g/m2の重量を有し、その結果、17g/m2の領域毎の総重量を有する熱的に結合されたSMMMS層の不織布生成物が生じる。
【0090】
以下の2つの実施例のそれぞれにおいて、SMMMSシートの単一層のそれぞれは、S(1)M(2)M(3)M(4)S(5)の括弧内の数で示す。
【0091】
(実施例17)
層状の布は、比較例5に記載した工程の後に生成され、ポリマーが2.9重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれ形成し、3.5重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.0重量%である。
【0092】
(実施例18)
層状の布は、実施例17に記載するように生成され、ポリマーが3.9重量%の有効成分を含む層2、3及び4のそれぞれを形成し、4.8重量%の有効成分を含む層5を形成し、布全体における有効成分が平均2.7重量%である。
【0093】
比較例5及び実施例17及び18の有効成分の含量を、表13に要約する。
【0094】
【表13】
【0095】
裏抜け試験は、裏抜け(32mJ/m2)特性を評価するために、「試験方法」の項に示した方法に従って行われた。比較例5及び実施例17及び18の対応する結果は、表14並びに図11及び12に要約されている。
【0096】
【表14】
【0097】
表4、8、10、12及び14並びに図2、5、7、9及び11に示すように、異なる領域当たりの重量を有するSMMS及びSMMMSの層構造不織布の両方において、本発明に係る不織布は、請求項1に係る添加成分を含まない布と比較して、25%以上、ほとんどの場合では50%以上、いくつかの場合では100%以上、またいくつかの場合では200%以上のLSTの増大を示す。このように、本発明に係る不織布は、請求項1に係る添加成分を含まない布と比較して、2倍又は3倍のLSTを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリマー及び添加成分の混合物から得られる繊維からなり、前記添加成分は1つ又はそれ以上のエステル脂質を含むことを特徴とする不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項2】
前記添加成分は、溶融添加物であることを特徴とする請求項1に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項3】
前記添加成分は、トリグリセリドを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項4】
前記添加成分は、グリセロールトリステアレートを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーは、イソタクチックな熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーは、メタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項8】
スパンボンド(S)及び/又はメルトブロー(M)ポリマー層の2つ又はそれ以上の積層布が熱的に結合されて形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項9】
前記スパンボンド(S)及び/又はメルトブロー(M)ポリマー層は、SMMS、SSMMS又はSMMMSの順に設けられることを特徴とする請求項8に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項10】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が25%以上増大することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項11】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が50%以上増大することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項12】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が100%以上増大することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項13】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が200%以上増大することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項14】
スキンケア成分及び/又はインク成分をさらに含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項15】
スパンボンド層及び/又はメルトブロー層を含み、少なくとも1つの層は、90重量%〜99.5重量%の熱可塑性ポリオレフィンポリマーと0.5重量%〜10重量%の前記添加成分との混合物から得られる繊維からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項1】
1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリマー及び添加成分の混合物から得られる繊維からなり、前記添加成分は1つ又はそれ以上のエステル脂質を含むことを特徴とする不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項2】
前記添加成分は、溶融添加物であることを特徴とする請求項1に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項3】
前記添加成分は、トリグリセリドを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項4】
前記添加成分は、グリセロールトリステアレートを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーは、イソタクチックな熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーは、メタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項8】
スパンボンド(S)及び/又はメルトブロー(M)ポリマー層の2つ又はそれ以上の積層布が熱的に結合されて形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項9】
前記スパンボンド(S)及び/又はメルトブロー(M)ポリマー層は、SMMS、SSMMS又はSMMMSの順に設けられることを特徴とする請求項8に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項10】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が25%以上増大することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項11】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が50%以上増大することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項12】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が100%以上増大することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項13】
前記不織布の低表面張力の裏抜け(32mJ/m2)時間が200%以上増大することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項14】
スキンケア成分及び/又はインク成分をさらに含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【請求項15】
スパンボンド層及び/又はメルトブロー層を含み、少なくとも1つの層は、90重量%〜99.5重量%の熱可塑性ポリオレフィンポリマーと0.5重量%〜10重量%の前記添加成分との混合物から得られる繊維からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の不織布ウェブ又は不織布層。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−530855(P2012−530855A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516530(P2012−516530)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002530
【国際公開番号】WO2010/149239
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510310118)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002530
【国際公開番号】WO2010/149239
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510310118)
【Fターム(参考)】
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