説明

高フィラー含量の架橋可能な及び/又は重合可能な安定したカチオン性歯科用組成物

本発明は、安定で且つ実質的に充填されるカチオン性歯科用組成物に関し、その歯科用組成物は:
(1)少なくとも1のカチオン反応する化合物(A);
(2)少なくとも1の歯科用フィラー(B);
(3)任意で少なくとも1の有機ポリマー又はコポリマーを含む少なくとも1の分散剤(C);
(4)少なくとも1のカチオン性光開始剤(D);
(5)及び任意で少なくとも1の光増感剤(E)、を含み;
少なくとも1の前記歯科用フィラー(B)が、
a)少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と及び
b)少なくとも1の化合物(G)と、処理され;
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は、活性化後に歯科用フィラーと化学結合を形成する珪素原子と直接結合している少なくとも1の反応基(rfA)、及び、活性化後に化合物(G)の反応基(rfC)と化学結合を形成する珪素原子と直接結合していない少なくとも1の反応基(rfB)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用組成物に関する。より具体的には、本発明により開発された歯科用組成物は、歯科用補綴物の製造及び歯科用修復のために使用できる。
【背景技術】
【0002】
これらの歯科用組成物は従来、エポキシ樹脂、又は光重合可能なシリコーン若しくはフリーラジカル重合可能なアクリレート樹脂であった。これらの組成物はまた、粒子補強フィラー(例えば疎水性シリカ)、光開始剤及び任意で光増感剤又は、顔料又は安定化剤等のさらに他の機能的な添加剤等も含有する。
【0003】
これらの組成物は、共に混合されてから成形され、その後光架橋されて歯に類似する構造の物体となる。
【0004】
フィラーが、広い比表面積を持つ極めて微細な粒子(約0.01〜5μm)からなる事実は、樹脂へ組み込まれる程度を限定する要因となる。これは、上記樹脂がその吸収力に限界を有するからである。その結果、このような組成物のフィラー含有量は、45体積%を超えることは稀である。従って、これは粒子フィラーによる機械的強度増加機能を不利にしている。
【0005】
そのうえ、歯科用組成物は、超低粒子径の鉱物ガラス又は燃焼シリカ等の補強フィラーであり、その表面のシラノール及び/又は残留水はカチオン性基と反応するフィラーと一緒に配合されるため、その組成物の保管を困難としている。これはまたこれらのガラスや燃焼シリカがシラン、例えば、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン若しくはグリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はメタクリロキシプロピルトリメトキシシランと前処理される場合にも同様である。補強フィラーは、(光)重合可能で架橋可能な種の反応基と相互作用し、それによって、数ヶ月に至るかもしれない貯蔵中に歯科用組成物が不安定となる問題の原因となる。この貯蔵不安定現象は、(フィラーが)実質的に充填される組成物(すなわち、全フィラー含有量≧50%)の特徴となっている。
【0006】
特許文献1は、エポキシ樹脂(例えばUVR(登録商標)6105、EPON(登録商標)828、GY281(登録商標))、オキセタン又はビニルエーテル、とりわけ、カチオン性及び照射下で重合可能/架橋可能であって、任意でフリーラジカル重合可能な(メタ)アクリレート樹脂をベースとする歯科用組成物に関する。一方、カチオン性光開始剤、任意でフリーラジカル開始剤等の重合開始剤は、場合に応じて選択され、これらの組成物は、7未満の等電点を有する、次の金属化合物:酸化物、ハロゲン化物、ボラート、リン酸塩、ケイ酸塩、カーボネート、ゲルマネート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、から選択された放射線不透過性の微粒子無機フィラーを含む。この組成物は、25℃で30分のカチオン性重合の後にバーコル硬度が少なくとも10となるものである。
【0007】
これらの樹脂は、UV−可視光線照射による重合活性化のための化学線照射に対して透過性が完全でない欠点があり、反応速度論的に有害で、従って極めて厚く(thick)光架橋された材料を得ることができない。
【0008】
特許文献2は、カチオン性及び照射下で重合可能で架橋可能であり、その後熱架橋されてもよいシリコーン樹脂をベースとする歯科用組成物を開示して、上記問題を克服しようとしている。これらのシリコーン樹脂は、オキシラン(エポキシド、オキセタン等)又はビニルエーテル基を含んでいる。このような組成物は:
−少なくとも1のそれらの末端に下式の反応基を有する1以上のカチオン架橋可能な及び/又は重合可能なポリジメチルシロキサン:
【化1】

【0009】
−有効量の少なくとも1のオニウムボラート型開始剤:
【化2】

【0010】
−少なくとも1の光増感剤、並びに
−歯科用ガラス、ポリメチルメタアクリレート又は燃焼シリカであり、ヘキサメチルジシラザン若しくはポリジメチルシロキサンと任意で処理され、200m2/gの比表面積を有するものをベースとする少なくとも1の歯科用フィラー又は不活性補強フィラー、
を含む。
【0011】
これらの歯科用組成物は、歯科用補綴物又は装着物の製造及び歯科用修復を目的としている。
【0012】
これらのシリコーンは、UV−可視光線に対して極めて透過性であるため、カチオン架橋性有機樹脂よりも有利であり、その結果、可視範囲>400nmを照射するUVランプで非常に短時間(1分未満)に極めて厚く(thick)(数ミリメータ厚)光架橋された材料を得ることができる。
【0013】
しかし、これらのシリコーンは、極小粒子径の粉砕ガラス又は燃焼シリカ等の、その表面シラノール及び/又は残留水がカチオン性基と反応する、ルイス酸性又はブレンステッド酸性を有する補強フィラーと配合される。従ってこのようなシリコーン配合物は、貯蔵上不安定である。そのうえ、これらのシリコーンが、チオキサントンタイプの光増感剤と配合されたとき、非常な変色が架橋照射中に観察される。この現象は、最終生成物(照射後)のピンク呈色を生じ、審美的に望ましくない。
【0014】
この問題以外に、これらのシリコーン歯科用組成物については、機械的性質が改善されなければならないため、フィラー含有量の増加に関して依然として改良されなければならない。
【0015】
良好な機械的性質を有し、0.05〜0.5μmの粒子径(φm)を有する10〜70体積%(直径φ>0.50μmの粒子で50体積%未満)のフィラー(例えば燃焼シリカ)、フリーラジカル−光重合可能なアクリル系モノマー及び下式のリン酸エステルタイプの分散剤を含んでいる(フィラーが)実質的に充填された歯科用組成物は、特許文献3で更に周知である。
R−[−CO−(CH25−O−]nPO32
【特許文献1】米国特許第6,306,926(B)号明細書
【特許文献2】フランス特許出願2,784,025(A)号公報
【特許文献3】欧州特許出願第1,050,291(A)号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このようなフリーラジカル歯科用組成物に関連した教示は、シリコーンをベースとするカチオン性歯科用組成物に決して置き換えることができない。その原因は、分散剤であるR−[−CO−(CH25−O−]nPO32が、カチオン性組成物には適切ではないためであり、特に、オキシラン基の存在下で反応して組成物の安定性を害する大きな酸性残基であるRPO32を含んでいるからである。
【0017】
上記従来技術は、UV下でカチオン重合可能な構成単位(例えばオキシラン)をベースとする歯科用組成物の貯蔵安定性、及び樹脂中の大量のフィラー分散性の2個の問題について十分な解決を示さない。そのうえ、従来技術は、架橋後の歯科用組成物に残る呈色問題解決策も提供しない。
【0018】
従って、本発明の1の本質的な目的は、貯蔵安定性及びフィラー含有量の制限に関する従来技術の欠点を有さない、UV下でカチオン重合可能な構成単位(例えばオキシラン)をベースとする新規な歯科用組成物の提供によってこの問題を克服することにある。
【0019】
本発明の別の本質的な目的は、口内環境で重合可能な及び/又は架橋可能な新規のカチオン性歯科用組成物であり、貯蔵上安定で(フィラーが)実質的に充填(例えば≧50%)されるのみならず、UV−可視光線に対して極めて透過性のある利点があり、その結果、可視範囲>400nmを照射するUVランプで非常に短時間(1分未満)に極めて厚く(thick)(数ミリメータ厚)光架橋された材料を得ることができる利点を有する、重合可能な及び/又は架橋可能な新規のカチオン性歯科用組成物を提供することである。
【0020】
本発明の別の本質的な目的は、口内環境で重合可能な及び/又は架橋可能な新規のカチオン性歯科用組成物であり、安定で(フィラーが)実質的に充填(例えば≧50%)され、容易で且つ経済的に調製できるのみならず、架橋後に不純な呈色を生ずる欠点を有さない組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の本質的な目的は、特に歯科用組成物中の補強フィラーとして使用されるとき、上述の制限を満たすことができる、補強フィラー、特に歯科用補強フィラーを処理するための新規の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これらの目的は、とりわけ本発明によって達成され、第一に、下記歯科用組成物に関する:
(1)少なくとも1のカチオン反応する化合物(A);
(2)少なくとも1の歯科用フィラー(B);
(3)任意で少なくとも1の有機ポリマー又はコポリマーを含む少なくとも1の分散剤(C);
(4)少なくとも1のカチオン性光開始剤(D);
(5)及び任意で少なくとも1の光増感剤(E)、を含み、
少なくとも1の歯科用フィラー(B)が
a)少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と及び
b)少なくとも1の化合物(G)と、処理され、
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は、歯科用フィラーと反応する珪素原子に直接結合している少なくとも1の反応基(rfA)、及び化合物(G)の反応基(rfC)と反応する珪素原子に直接結合していない少なくとも1の反応基(rfB)を含む。
【0023】
1の好ましい実施態様では:
−前記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合している反応基(rfA)は、アルコキシ、エノキシ又はヒドロキシル基であり;
−前記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合していない反応基(rfB)は、オキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物又はジオール基であり;及び
−前記化合物(G)の反応基(rfC)は、オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル又はカーボネート基である。
【0024】
本発明者らは、驚くべきことであり予想外にも、フィラー表面の処理が可能でありそれによってフィラー含有量を増大でき、その結果、組成物の貯蔵安定性を改善すると同時に材料の強化もできることを本発明者の功績として示した。この安定性は、貯蔵寿命が数ヶ月又は数年であることで示される。
【0025】
この技術的解決は、採算が合い且つ容易に実行することができるので、すべてにおいてより有益である。
【0026】
またこの組成物は、歯科用途において全体的に特筆すべき、重合/架橋後の収縮を限定する点において満足できるものであることも有益なこととして特筆される。
【0027】
本発明の1の好ましい態様によれば、本発明の歯科用組成物は、下記のステップを含む方法(I)を経由して処理された少なくとも1の歯科用フィラー(B)を含む:
a)前記歯科用フィラー(B)並びに、珪素原子に直接結合している少なくとも1のアルコキシ及び/又はヒドロキシル基並びに少なくとも1のオキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物及び/又はジオール基を含む、少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)を一緒に溶媒、好ましくは水溶媒に混合するステップ、
b)前記溶媒を、蒸発させて歯科用フィラー中間体(B−1)を得るステップ、
c)前記歯科用フィラー中間体(B−1)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−1)及び前記カップリング剤(F)間のカップリング反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー中間体(B−2)を得るステップ、
d)次に前記歯科用フィラー中間体(B−2)を、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む少なくとも1の化合物(G)と溶媒中で混合するステップ、
e)前記溶媒を蒸発させ、歯科用フィラー中間体(B−3)を得るステップ並びに
f)前記歯科用フィラー中間体(B−3)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−3)及び前記化合物(G)間の反応を起こさせそれによって処理済み歯科用フィラー(B−4)を得るステップ。
【0028】
本発明の別の好ましい態様によれば、方法(I)のステップc)及びf)の加熱処理は、200℃以下、好ましくは165℃以下、更に好ましくは100〜165℃の温度に加熱して実施される。
【0029】
1の好ましい実施態様によれば、前記歯科用フィラー(B)の含有量全体は、歯科用組成物の全重量に対して85重量%以下、好ましくは60〜80重量%である。
【0030】
特に、前記歯科用フィラー(B)の処理は、歯科用組成物の全重量に対して前記化合物(G)の、20重量%以下、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%で実施される。
【0031】
前記歯科用フィラー(B)の前記オルガノシリコンカップリング剤(F)との処理は、好ましくは下式の化合物と実施される:
【化3】

{式中:
−Rは、水素又は直鎖状若しくは分岐状のC1−C4アルキル又はアルケニル基、
−R1は、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はフェニル基、
−Xは0、1又は2に等しく、及び
【0032】
Xは次式:
【化4】

【化5】

【0033】
によって定義され:
−E及びDは、直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル類から選ばれた同種又は異種の基、
−zは、0又は1に等しく;
−nは、0又は1に等しく;
−Pは、0、1、2、3、4、5又は6に等しく;
−R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、同種又は異種の基であってもよく、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状のC1〜C12アルキルを表す。
【0034】
好ましいオルガノシリコンカップリング剤(F)として、次の化合物が挙げられる:グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、前記グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、前記グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランの酸性溶媒における加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン又は該加水分解生成物、シランであるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン又は該加水分解生成物、シランであるβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又は該加水分解生成物。
【0035】
前記歯科用フィラー(B)の前記化合物(G)との処理は、好ましくは有機モノマー、オリゴマー若しくはポリマー又は、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含み、更に好ましくは少なくとも1のオキシラン基を含むオルガノシロキサンの化合物を使用して行われる。
【0036】
好ましくは、前記化合物(G)は、下記の(M−7)から(M−12)の構造からなる群から選択される少なくとも1の官能基を含む:
【化6】

但し、R”は直鎖状又は分岐状C1〜C6アルキル基を表す。
【0037】
第一の好ましい実施態様によれば、前記化合物(G)は、シリコーンオリゴマー(G−1)又はシリコーンポリマー(G−2)である。前記シリコーンオリゴマー(G−1)及び前記シリコーンポリマー(G−2)は:
a)下式の少なくとも1の単位:
【化7】

{式中:
−a=0、1又は2、
−R0は同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、水素含有(hydrogeno)又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表し、
−Zは同種又は異種であり、少なくとも1のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン及び/又はカーボネート基を含む有機置換基である}、並びに
b)少なくとも2個の珪素原子、
を含む。
【0038】
有益には、前記シリコーンオリゴマー(G−1)及び前記シリコーンポリマー(G−2)は、下式の化合物よりなる群から選択される:
【化8】

【化9】

【化10】

【0039】
【化11】

式中、L=H;OH;Me;フェニル;C1〜C12アルキル;C1〜C6シクロアルキル;又は次の基である、
【化12】

【化13】

式中、n<100;a<100及びm<100
【0040】
【化14】

式中、Ro又はR0は同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル又はアリール基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表す。
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

式中、D基は直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル及びnは1〜20の整数(境界値を含む)であり、Ar=アリール基。
【0041】
第二の好ましい実施態様によれば、前記化合物(G)は下式のシラン(G−3)である:
【化29】

式中:
【化30】

−Rは同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、水素含有又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表し、
−Zは同種又は異種であり、少なくとも1のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン及び/又はカーボネート基を含む有機置換基であり、
−a+b=3。
【0042】
1の好ましい実施態様によれば、前記シラン(G−3)は、下記分子(S−93)から(S−95)よりなる群から選択される:
【化31】

【0043】
別の好ましい実施態様によれば、前記化合物(G)は、下記分子(S−96)から(S−104)よりなる群から選択される有機化合物(G−4)である:
【化32】

式中、nは、1〜10の整数(境界値を含む)。
【化33】

式中、n<100及びD=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル。
【0044】
前記タイプ(S−103)の分子として、ダウケミカル社販売の樹脂UVR6150(登録商標)を選択してもよい。
【化34】

式中、n<100及びD基=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル。
【0045】
タイプ(S−104)の樹脂としてn=0であるものが、本発明にとって特に適切である。
【0046】
一般的に、光活性化は、UV照射下で実行される。より好ましくは、約200〜約500nmの波長のUV照射が歯科用補綴物の製造に使用され、400nmより大きい波長のUV−可視光照射は、修復材料の製造に使用される。400nmより大きい波長は、口内環境での架橋及び/又は重合を可能とする。
【0047】
光線性(光化学的)活性化は、有益に熱活性化で仕上げ(又はさらに置き換え)をしてもよい。
【0048】
好ましくは、前記カチオン性反応する化合物(A)はモノマー及び/又は(コ)ポリマーであって:
エポキシ、ビニルエーテル、オキセタン、スピロオルトカーボネート、スピロオルトエステル及びそれらの組み合わせ、を含む群から選択される。
【0049】
更に好ましくは、前記カチオン反応する化合物(A)は、(M−13)によって上記で定義された、シリコーンオリゴマー(G−1)、シリコーンポリマー(G−2)、シラン(G−3)若しくは有機化合物(G−4)、又は前記分子(S−1)から(S−101)である。
【0050】
式(M−13)中の反応基Zとして、好ましく有益には、下記の基から選択される少なくとも1の反応基が挙げられる:
【化35】

−但し、R”は直鎖状又は分岐状C1〜C6アルキル基を表す。
【0051】
1の有益な態様によれば、カチオン反応する化合物(A)は、そのフラクションの80質量%未満である有機エポキシ樹脂又はオキセタンと結合する。好ましく選ばれる反応基含有の有機樹脂は、その反応基の質量百分率が20%未満、好ましくは15%未満であるものである。その体積収縮は、重合中いっそう減少する。好ましくは選択される樹脂として、下式(S−103)及び(S−104)のものが挙げられる:
【化36】

式中、n<100及びD=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル。
【0052】
選択される(S−103)タイプの樹脂として、ダウケミカル社販売の樹脂UVR6150(登録商標)が挙げられる。
【化37】

式中、n<100及び基D=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル。
【0053】
タイプ(S−104)の樹脂としてn=0であるものが、本発明にとって好ましく適切である。
【0054】
多様なタイプの歯科用フィラー(B)が、本発明の組成物を調整するために使用できる。上記フィラーは、歯科用組成物の最終用途の機能のために選択される:これらのフィラーは、歯科用組成物の架橋及び/又は重合後に得られる材料の、外観、UV放射線透過性等の重要な性質、及びその機械的及び物理的性質に影響する。
【0055】
本発明に使用できる補強フィラーとして、処理済み又は未処理の焼成シリカフィラー、非晶質シリカフィラー、石英、酸化ケイ素ベースのガラス又は非ガラス質フィラー(例えば米国特許第6,297,181号明細書(バリウムフリー)に記載の種類)、ジルコニウム、バリウム、カルシウム、弗素、アルミニウム、チタン、亜鉛、ボロシリケート、アルミノシリケート、タルク、spherosil(登録商標)、三フッ化イッテルビウム、不活性若しくは機能性のポリメチルメタアクリレート、ポリエポキシド又はポリカーボネート等の微細化粉末体ポリマーベースのフィラー、セラミックウィスカー(Si−C、Si−O−C、Si−N、Si−N−C、Si−N−C−O)及びガラス繊維が挙げられる。
【0056】
例として、下記が挙げられる:
−歯科用分野に使用されピンク色に着色されたUGL社製ポリメチルメタアクリレートLuxaself(登録商標)をベースとする不活性フィラー、
−200m2/gの比表面積のヘキサメチルジシラザン又はポリジメチルシロキサンで処理した燃焼シリカフィラー、
−未処理の燃焼シリカフィラー(デグサ社販売のAerosil−AE200(登録商標))
−石英又は酸化ケイ素をベースとするガラス。
【0057】
本発明の1の実施態様によれば、前記歯科用フィラー(B)は、鉱物ガラス又は燃焼シリカである。
【0058】
本発明の1の好ましい特徴では、前記歯科用フィラー(B)は、歯科用組成物の全重量に対して85重量%以下、好ましくは50〜85重量%、更に好ましくは60〜85重量%である。
【0059】
本発明によれば、前記分散剤(C)は下記群から選ばれる:アルキルアンモニウムと任意に塩化するポリウレタン/アクリレートコポリマー、アルキルアンモニウムと任意に塩化するアクリル系コポリマー、カルボン酸モノジエステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、変性ポリウレタン、ポリオール−ポリアクリル酸、これらのコポリマー又はそれらの混合物。商品名Disperbyk(登録商標)(Byk社)又はSolsperse(登録商標)(Aveci社)により販売される分散剤は、本発明では特に適切である。例として特に、下記市販商品が挙げられる:Disperbyk(登録商標)164、Disperbyk(登録商標)161、Disperbyk(登録商標)166、Disperbyk(登録商標)2070、Disperbyk(登録商標)9075、Disperbyk(登録商標)9076。また下記特許に記載された分散剤も挙げられる:
−ポリウレタン/イミダゾール−アクリレート又はエポキシドをベースとする分散剤を記述している米国特許第5,882,393(B)号明細書;
−ポリウレタンをベースとする分散剤を記述している米国特許第5,425,900(B)号明細書;
−ポリウレタン/ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルをベースとする分散剤を記述している米国特許第4,795,796(B)号明細書;
−ポリウレタン/ポリ(オキシアルキレン−カルボニル):ε−カプロラクトン及びδ−バレロラクトン誘導体をベースとする分散剤を記述している国際公開第99/56,864(A)号パンフレット;並びに
−ポリウレタン/ポリビニル/ポリアクリル酸ランダム共重合体及びポリオキシアルキレンポリエーテルを含む、グラフト化ポリオール−ポリアクリル酸タイプの分散剤を記述している欧州特許第0,403,197(B)号明細書。
【0060】
量的には、前記分散剤(C)は、50ppm〜1%、好ましくは100ppm〜5000ppmの割合で存在する。
【0061】
好ましくは、前記分散剤(C)のアミン価は、分散剤(C)1グラム当たり水酸化カリウム60mg以下、更に好ましくは0.1〜50mgである。
【0062】
好ましくは、分散剤の酸価は、分散剤1グラム当たり水酸化カリウム200mg以下、好ましくは100mg以下、更に好ましくは1〜60mgである。
【0063】
本発明のカチオン性光開始剤(D)は、周期律表[Chem.& Eng.News、vol.63、No.5、 26、1985年2月4日]の第15〜17族元素の、又は該周期律表[同参照]の第4〜10族元素の有機金属錯体のオニウムボラート(単体又は混合物)から選ばれる。
【0064】
1の好ましい態様によれば、前記カチオン性光開始剤(D)は、ボラートタイプであり、下記から選ばれる:
a)下記から選ばれるボラートのカチオン性種:
(1)下式のオニウム塩:
[(R9n−A−(R10m+
(I)
{式中:
−Aは第15〜17族元素、例えばI、S、Se、P又はNを表し、
−R9は、C6〜C20炭素環式又は複素環式アリール基を表し、前記複素環式基は、ヘテロ元素として窒素又は硫黄を含有してもよく、
−R10は、R9又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C30アルキル若しくはアルケニル基を表し;前記R9及びR10基はC1〜C25アルコキシ、C1〜C25アルキル、ニトロ、クロロ、ブロモ、シアノ、カルボキシル、エステル又はメルカプト基によって任意に置換されていてもよく、
−m及びnは整数であって、n+m=v+1、vは元素Aの原子価である、}、
【0065】
(2)オキソイソチオクロマニウム塩であって、国際公開第90/11,303号パンフレットに記載されており、好ましくは2−エチル−4−オキソイソチオクロマニウム又は2−ドデシル−4−オキソイソチオクロマニウムのスルホニウム塩及び構造式Vのオキソイソチオクロマニウム塩:
【化38】

式中:
Aは、次式を表し
【化39】

【0066】
n1=1〜3の整数;
z1=0〜3の整数;
Xは、式M11rl(1)又は式Q1(2)の基を表し、
式M11rl(1)中、M1=Sb、As、P、B又はClであり、Y1は、ハロゲン(好ましくはF又はCl)又はOを表し、r1は4〜6の整数を表し、
式Q1(2)はスルホン酸R81−SO3を表し、R81は、アルキル若しくはアリール基、又はハロゲン、好ましくはF若しくはClで置換されたアルキル若しくはアリール基であって;
101は、好ましくはC1〜C20の、アルキル若しくはシクロアルキル基、又はアリール基を表し;
21は、水素、好ましくはC1〜C20の、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基、又はアリール基を表し、全てのR21は、互いに独立し;
31は、水素、好ましくはC1〜C20の、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基、又はアリール基を表し、全てのR31は、互いに独立し;
41は、水素、ハロゲン、好ましくはC1〜C20の、ビニル等のアルケニル基、シクロアルケニル、アルキル若しくはシクロアルキル、好ましくはC1〜C20の、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、ヒドロキシル末端の10以下のアルキレンオキシド単位若しくは(C1〜C12)アルキルを有するポリ(アルキレンオキシド)基、アリール基若しくはアリールオキシ又はチオアリールオキシ基を表し;
51は、ハロゲン、好ましくはC1〜C20の、ビニル等のアルケニル基、シクロアルケニル、アルキル若しくはシクロアルキル基、好ましくはC1〜C20の、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、ヒドロキシル末端の10以下のアルキレンオキシド単位若しくは(C1〜C12)アルキルを有するポリ(アルキレンオキシド)基、アリール基若しくはアリールオキシ又はチオアリールオキシ基を表し;
61は、水素、好ましくはC1〜C20の、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基、又はアリール基を表し;
71は、水素、好ましくはC1〜C20の、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基、又はアリール基を表す;並びに
【0067】
(3)次式を有する有機金属塩:
(L123M)+q
(II)
{式中:
−Mは、第4〜10族金属、特に鉄、マンガン、クロム又はコバルトを表し;
−L1は、π電子を経由して金属Mに結合するリガンドを表し、該リガンドは;η3−アルキル、η5−シクロペンタジエニル及びη7−シクロヘプタトリエニルリガンド;任意で置換されたη6−ベンゼンリガンドから選択されるη6−芳香族化合物;並びに2〜4個の縮合環を含有する化合物、但し、各環は、3〜8個のπ電子を経由して金属Mの原子価殻に寄与することができる;から選択され、
−L2は、π電子を経由して金属Mに結合するリガンドを表し、該リガンドは;η7−シクロヘプタトリエニルリガンド;任意で置換されたη6−ベンゼンリガンドから選択されるη6−芳香族化合物;並びに、2〜4個の縮合環を含有する化合物、但し、各環は、6又は7個のπ電子を経由して金属Mの原子価殻に寄与することができる;から選択され;
−L3は、σ電子を経由して金属Mに結合する0〜3個の同種又は異種のリガンドを表し、この1以上のリガンドは、CO及びNO2+から選択され;L1、L2及びL3が寄与する錯体の合計電荷q並びに金属Mのイオン電荷は正であり1又は2に等しい}、並びに
b)次式を有する陰イオン性ボラート種:
[BXab-
(III)
{式中:
−a及びbは、aが0〜3、bが1〜4の範囲の整数、a+b=4であり、
−記号Xは下記を表し:
*a=0〜3の場合、ハロゲン原子(塩素又は弗素)、又は
*a=0〜2の場合、OH基、
−記号Rは同種又は異種のものであって下記基を表す:
−少なくとも1個の電子吸引基、例えばOCF3、CF3、NO2又はCN及び/若しくは少なくとも2個のハロゲン原子(最も好ましくは弗素)によって置換されたフェニル基、この場合カチオン種は第15〜17族元素のオニウムである、
−少なくとも1の元素又は電子吸引基、特にハロゲン原子(最も好ましくは弗素)、CF3、OCF3、NO2又はCNによって置換されたフェニル基、この場合カチオン種は第4〜10族元素の有機金属錯体である、又は
−少なくとも2個の芳香族核、例えばビフェニル若しくはナフチル、を含有するアリール基、上記アリール基はカチオン種に関係なく少なくとも1の元素又は電子吸引基、特に弗素を含有するハロゲン原子、特にOCF3、CF3、NO2若しくはCNによって任意で置換されている}。
【0068】
制限されるものではないが、本発明で使用される好ましいオニウムボラート及び有機金属塩のボラートのサブクラスについての更に詳細を下記に記載する。
【0069】
本発明の第一の好ましい態様によれば、最も好ましい陰イオン性ボラート種は下記のものである:
1’:[B(C654-
2’:[(C652BF2-
3’:[B(C64CF34-
4’:[B(C64OCF34-
5’:[B(C63(CF324-
6’:[B(C6324-
7’:[C65BF3-
【0070】
本発明の第二の好ましい態様によれば、本発明で使用できる式(S−26)のオニウム塩は、多数の文献、特に米国特許第4,026,705(A)号公報、米国特許第4,032,673(A)号公報、米国特許第4,069,056(A)号公報、米国特許第4,136,102(A)号公報及び米国特許第4,173,476(A)号公報に記載されている。これらのうち、下記のカチオンは、特に好ましい:
[(C817)−O−(C64)−I−C65)]+
[C1225−(C64)−I−C65+
[(C817−O−(C64))2I]+
[(C817)−O−(C64)−I−C65)]+
[(C652S−(C64)−O−C817+
[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH32+
[(C1225−(C64)−I−(C64)−CH−(CH32+
[(C1225−C642I]+
[(C653S]+
[CH3−(C64)−I−(C64)−CH(CH32+
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メチル−1−ナフタレン)Fe+
[(C65)−S−C64−S−(C652+
[(CH3−(C64)−I−(C64)−OC25+
[(Cn2n+1−C642I]+(但し、Cn2n+1基は、n=1〜18の場合は直鎖状又は分岐状である)。
【0071】
第三の好ましい態様によれば、本発明で使用できる式(S−27)の有機金属塩(3)は、文献米国特許第4,973,722(A)号公報、米国特許第4,992,572(A)号公報、欧州特許第203,829(A)号公報、欧州特許第323,584(A)号公報及び欧州特許第354,181(A)号公報に記載されている。本発明でより好ましく選択される有機金属塩は特に:
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メチル−1−ナフタレン)Fe+
(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+
ビス(η6−メシチレン)Fe+
ビス(η6−ベンゼン)Cr+
【0072】
これらの3種の好ましい態様によれば、オニウムボラート型の光開始剤例として次の製品が挙げられる:
(P−16):[(C817)−O−C64−I−C65)]+、[B(C654-
(P−17):[C1225−C64−I−C65+、[B(C654-
(P−18):[(C817−O−C642I]+、[B(C654-
(P−19):[(C817)−O−C64−I−C65)]+、[B(C654-
(P−20):[(C652S−C64−O−C817+、[B(C64CF34-
(P−21):[(C1225−C642I]+、[B(C654-
(P−22):[CH3−C64−I−C64−CH(CH32+、[B(C654-
(P−23):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、[B(C654-
(P−24):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メチル−1−ナフタレン)Fe+、[B(C654-
(P−25):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+、[B(C654-
(P−26):[C1225−C642I]+、[B(C63(CF32-
(P−27):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH32+、[B(C654-
(P−28):[CH3−C64)−I−C64−CH2CH(CH32+、[B(C63(CF324-;及び
(P−29):[CH3−C64−I−C64−CH(CH32+、[B(C63(CF324-
【0073】
オニウムボラート(1)及び(2)並びに有機金属塩(3)のボラートについて言及している別の参考文献として、欧州特許出願第0,562,897号及び0,562,922号公報が挙げられる。この文献の内容全てを資料として使用する。
【0074】
光開始剤として使用できるオニウム塩の別の例として、米国特許第4,138,255号明細書及び米国特許第4,310,469号明細書に開示されたものが挙げられる。
【0075】
他のカチオン性光開始剤も使用でき、例えば下記が挙げられる:
下式等のヘキサフルオロリン酸ヨードニウム塩又はヘキサフルオロアンチモン酸ヨードニウム塩:
−[CH3−[(C64)−I−[(C64)−CH(CH32+[PF6-
−[CH3−(C64)−I−(C64)−CH2CH(CH32+[PF6-
−[(C1225−C642I]+[PF6-
又はこれらの種々の陰イオンのフェロセニウム塩。
【0076】
本発明の歯科用組成物に含まれる光増感剤は、極めて多様な性質を有してもよい。本発明の範囲内で、光増感剤は好ましくは下式(IV)〜(XXIV)の1つである。
【化40】

式中:
−n=1の場合、Ar1は、6〜18個の炭素原子含有アリール基、テトラヒドロナフチル、チエニル、ピリジル若しくはフリル基又は、F、Cl、Br、CN、OH、直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル類、−CF3、−OR13、−Oフェニル、−SR13、−Sフェニル、−SO2フェニル、−COOR13、−O−(CH2−CH=CH2)、−O(CH24−O)m−H、−O(C36O)m−Hよりなる群から選択された1以上の置換基を有するフェニル基を表し(但しmは1〜100を表す)、
−n= 2の場合、Ar1は、C6〜C12アリーレン基又はフェニレン−T−フェニレン基を表し(但しTは−O−、−S−、−SO2−又は−CH2−を表す)、
−Xは、基−OR14又は−OSiR15(R162を表すか、R11と共に基−O−CH(R17)−を形成し、
−R11は、非置換の、又は、基−OH、−OR13、C2〜C8アシロキシ、−CF3若しくは−CN、C3若しくはC4アルケニル基、C6〜C18アリール基若しくはC7〜C9フェニルアルキル基を(置換基として)有する直鎖状若しくは分岐状C1〜C8アルキルを表し、
−R12は、R11と同じ意味であるか、−CH2CH218基を表すか、又はR11と共に、C2〜C8アルキレン基、C3〜C9オキサ−アルキレン若しくはアザ−アルキレン基を形成し、
−R13は、1〜12個の炭素原子含有低級アルキル基を表し、
−R14は、水素原子、C1〜C12アルキル基、−OH、−OR13又はCNの基を有するC2〜C6アルキル基、C3〜C6アルケニル基、シクロヘキシル若しくはベンジル基、塩素原子又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C12アルキル基で任意で置換されたフェニル基、又は2−テトラヒドロピラニル基を表し、
−R15及びR16は、同種又は異種であって各々C1〜C4アルキル基又はフェニル基を表し、
−R17は、水素原子、C1〜C8アルキル基又はフェニル基を表し、
−R18は、−CONH2、−CONHR13、−CON(R132、−P(O)(OR132又は2−ピリジル基を表す。
【0077】
【化41】

式中:
−Ar2は、n=1の場合、式(IV)のAr1と同じ意味であり、
−R19は、Ar2基、直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル基、C6〜C12シクロアルキル基及び、ケトンの炭素又はAr2基の炭素と共にC6〜C12環を形成しているシクロアルキル基よりなる群から選択される基を表す。但し、上記基は、−F、−Cl、−Br、−CN、−OH、−CF3、−OR13、−SR13、−COOR13、−OH、−OR13及び/又は−CN基を任意で有してもよい直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル基、及び直鎖状又は分岐状C1〜C8アルケニル基よりなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0078】
【化42】

式中:
−R12は、同種又は異種であり、式(IV)の場合と同じ意味であり、
−Yは、同種又は異種であり、X及び/又はR4を表し、
−zは:
直接結合を表し、又は
1〜C6の二価のアルキレン基、又はフェニレン、ジフェニレン若しくはフェニレン−T−フェニレン基(T:直鎖状若しくは分岐状C1〜C12アルキル)を表し、又は、2個の置換基R12及びその置換基を有する2個の炭素原子と共に、シクロペンタン又はシクロヘキサン核と形成し、又は
二価の基である−O−R19−O−、−O−SiR1516−O−SiR1516−O−、又は−O−SiR1516−O−を表し、
−R20は、C2〜C8アルキレン、C4〜C6アルケニレン又はキシリレン基を表し、
−又あるいは下記種を示し:
【化43】

(−O−O−に対応する)、
−Ar4は、式(IV)のn=1の場合のAr1と同じ意味を有する。
【0079】
式(VII)のチオキサントンファミリー:
【化44】

−m=0〜8、
−R21は、芳香族核上の同種又は異種の置換基であってもよく、直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル基、C6〜C12シクロアルキル基、Ar1基、ハロゲン原子、又は−OH、−OR13、−CN、−NO2、−COOR13、−OCOR13、−N(R132、−O−R13−(NR132−CHO、−O−フェニル、−CF3、−SR13、−S−フェニル、−SO2−フェニル、−O−アルケニル又は−Si(R133基を示す。
【0080】
式(VIII)のキサンテンファミリー:
【化45】

n=0〜8
【0081】
式(IX)のキサントンファミリー:
【化46】

p=0〜8
【0082】
式(X)のナフタレンファミリー:
【化47】

q=0〜8
【0083】
式(XI)のアントラセンファミリー:
【化48】

r=0〜10
【0084】
式(XII)のフェナントレンファミリー:
【化49】

s=0〜10
【0085】
式(XIII)のピレンファミリー:
【化50】

t=0〜10
【0086】
式(XIV)のフルオレンファミリー:
【化51】

u=0〜9
【0087】
式(XV)のフルオランテンファミリー:
【化52】

v=0〜10
【0088】
式(XVI)のクリセンファミリー:
【化53】

w=0〜12
【0089】
式(XVII)のフルオロンファミリー:
【化54】

但し、x=0〜8、例えば2,7−ジニトロ−9−フルオレノン。
【0090】
式(XVIII)のクロモンファミリー:
【化55】

但し、y=0〜6
【0091】
式(XIX)のエオシンファミリー:
【化56】

【0092】
式(XX)のエリトロシンファミリー:
【化57】

但し、z=0〜2又は0〜3
【0093】
式(XXI)のエリトロシンファミリー:
【化58】

但し、z=0〜3
【0094】
式(XXII)のビスクマリンファミリー:
【化59】

但し、x=0〜8
【0095】
式(XXIII)のチオキサントンファミリー:
【化60】

但し、y=0〜6
【0096】
式(XXIV)のチオキサントンファミリー:
【化61】

但しy=0〜6
【0097】
式(VIII)から(XXIII)について、R21基は、分子(VII)での定義と同じ意味である。
【0098】
他の増感剤も使用できる。特に米国特許第4,939,069号明細書、米国特許第4,278,751号明細書、米国特許第4,147,552号明細書に記載された光増感剤、並びにクマリン、共役ジケトン、フルオロン、アミノケトン及びパラ−アミノスチリルケトンファミリーの化合物、及びそれらの混合物からなる群を使用することも可能である。
【0099】
1の好ましい態様によれば、光増感剤(E)は、アントラセン、チオキサントン、カンホルキノン及びフェナントレンキノン類の化合物、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0100】
別の好ましい態様によれば、本発明の歯科用組成物は光増感剤(E)として、アンモニウム基を含む少なくとも1の基で置換されたチオキサントン塩が挙げられる。この種の光増感剤の使用は、本発明の歯科用組成物が歯科用補綴物の製造の為に架橋結合するとき、不純な呈色を避ける利点がある。
【0101】
本発明の第一の態様によれば、アンモニウム基を含む少なくとも1の基で置換されたチオキサントン塩に関係する陰イオンは次の陰イオンから選ばれる:
−ハロゲン化物、BF4-、PF6-;SbF6-;上記で定義されている式[BXab-の陰イオン(III)、RfSO3-;(RfSO23-又は(RfSO22-(Rfは少なくとも1のハロゲン原子、好ましくは弗素原子で置換された直鎖状又は分岐状アルキル基である)。
【0102】
本発明の第二の態様によれば、前記光増感剤(E)は、任意で少なくとも1のカンホルキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換されたアントラセンと組み合わされ、下式を有する:
【化62】

{式中:
−R22及びR23は同種又は異種であって、水素又は任意で置換されたC1〜C10アルキル基、好ましくはR22=R23=メチルを表し、
−(X-)はアニオン種であり、好ましくはハロゲン化物;BF4-、PF6-;SbF6-;上記で定義されている式[BXab-の陰イオン(III)、RfSO3-;(RfSO23-又は(RfSO22-(Rfは少なくとも1のハロゲン原子、好ましくは弗素原子で置換された直鎖状又は分岐状アルキル基である)から選択され、(X-)は更に好ましくは次式:[B(C63(CF324-及び[B(C654-を有するボラートから選択される}。
【0103】
1の好ましい態様によれば、前記光増感剤(E)は、任意で少なくとも1のカンホルキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換されたアントラセンと組み合わされ、下式を有する:
【化63】

【0104】
本発明の範囲内で、光増感剤は歯科用補綴物の調製のため、200〜500nm、好ましくは400〜500nmのUV光の残留(residual)吸収を有する。歯科用修復において、400nm以上のUV光の残留吸収がある光増感剤が好ましい。
【0105】
1の好ましい態様によれば、本発明の光増感剤は、(VII)、(X)、(XI)、(XIII)、(XXIII)、(XXIV)及び(XXV)ファミリーのものから選択される。別の実施態様によれば、本発明の光増感剤は、次の化合物よりなる群から選択される:
−(PS−30):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド;
−(PS−31):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート;
−(PS−32):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムテトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート;
−(PS−33):フェナントレンキノン;
−(PS−34):カンホルキノン;
−(PS−35):アセナフテンキノン;
−(PS−36):過酸化ジベンゾイル;
−(PS−37):2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン;
−(PS−38):9,10−ジエトキシアントラセン;
−(PS−39):9,10−ジブトキシアントラセン;
−(PS−40):9−ヒドロキシメチルアントラセン;
−(PS−41):2−ジメチルアミノチオキサントン;
−(PS−42):3−エチルカルボキシ−7−メトキシチオキサントン;
−(PS−43):1−フェニルチオ−4−プロポキシチオキサントン;
−(PS−44):2−メトキシチオキサントン;
−(PS−45):2−(N,N−ジエチルアミノプロポキシ)チオキサントン;
−(PS−46):2−イソプロピルチオキサントン;
−(PS−47):1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン;
−(PS−48):4−イソプロピルチオキサントン;
【化64】

−及びそれらの混合物。
【0106】
本発明の範囲内で、架橋後得られた材料の、貯蔵安定性、機械的強度、弾性係数及び圧縮強度は、顕著に改良される。式(XXV)で示されるチオキサントンファミリーが使用される場合、(PS−31)又は(PS−32)のチオキサントンを使用すると、任意で少なくとも1のカンホルキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換されたアントラセンと組み合わせて、更なる利点、即ち残存呈色がないことが観察される。
【0107】
補強フィラーと共に、顔料を、想定される使用及び人種に応じて歯科用組成物を着色するために使用することができる。
【0108】
例えば、マイクロファイバーの存在下で赤色顔料が、血管を模倣するため歯科用補綴物の調製用の歯科用組成物に使用される。
【0109】
金属酸化物(酸化鉄及び/又は酸化チタン及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化ジルコニウム等)をベースとする顔料は、また、架橋結合した象牙色の材料を得るため、修復材料の調製用の歯科用組成物に使用される。
【0110】
他の添加剤も、本発明の歯科用組成物に組み合わせてよい。例えば、殺生物剤、安定化剤、香料類、可塑剤及び接着促進剤が挙げられる。
【0111】
想定される添加剤のうち、有機型の架橋可能な及び/又は重合可能な助剤は、有益に使用される。これらの助剤は、室温又は100℃未満の熱溶融温度で液体であり、各助剤は、少なくとも2個の反応基、オキセタン−アルコキシ、オキセタン−ヒドロキシル、オキセタン−アルコキシシリル、カルボキシ−オキセタン、オキセタン−オキセタン、アルケニルエーテル−ヒドロキシル、アルケニルエーテル−アルコキシシリル、エポキシ−アルコキシ、エポキシ−アルコキシシリル、ジオキソラン−ジオキソラン−アルコール等を含む。例えば、R70及びR71樹脂が挙げられる。
【0112】
本発明の歯科用組成物は、数多くの歯科用途、特に歯科用補綴物分野、歯科用修復分野及び仮歯分野に使用できる。
【0113】
本発明の歯科用組成物は、好ましくは多様な構成成分を含有する単一製品(モノコンポーネント)の形であり、特に歯科用補綴物の分野でその実施が促進される。任意で、この製品の安定性は、国際公開WO98/07798号パンフレットに開示されているアミン基含有有機誘導体によって確保されてもよい。
【0114】
歯科用補綴物の分野で、モノコンポーネント形の製品は、シリンジを使用して直接石膏モデル上又は楔栓内に注入できる。次に、それは、UVランプ(可視光スペクトル400〜500nm)を使用し、重合(可能な連鎖の積層による重合)される。
【0115】
一般的に、10〜15分で、耐久性があり審美的な歯科用補綴物の作成が可能である。
【0116】
本発明の歯科用組成物を使用して得られる製品は、非多孔質である。そのため例えばフェルトブラシを使用して任意に研磨した後、得られた歯科用補綴物の表面は、滑らかで且つ光沢があるので、ワニスを使用する必要がない。
【0117】
歯科用補綴物分野での用途は、基本的に着脱可能補綴物の用途であって、以下の2種に分けられる:
−全ての歯がない患者の場合の総入れ歯;
−仮歯又は部分義歯のいずれかで表される数個の歯がないための部分入れ歯。
【0118】
歯科用修復分野で、本発明の歯科用組成物は、異なる色調(例えば「VITA」色調)を有する、前歯と奥歯を固定するための材料として使用されてもよく、す早く簡単に使用することができる。
【0119】
本発明の歯科用組成物は無毒且つ厚い層まで重合可能であるために、次の層中の材料を重合する必要はない。一般的に、本発明の歯科用組成物を1回注入すれば充分である。
【0120】
歯科用補綴物及び修復材料の製造は、通常の当分野の技術で行われる。
【0121】
本発明の歯科用組成物の歯への適用において、その歯は酸エッチング後、それ自体光架橋可能な接着プライマーと共に前処理されるか、それとも歯科用組成物を使用前に接着プライマーとの混合物として準備してもよい。
【0122】
本発明はまた、補強フィラー、特に歯科用補強フィラーの処理方法であり、前記フィラーが:
a)少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と、及び
b)少なくとも1の化合物(G)と、処理され:
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は、歯科用フィラーと反応する珪素原子に直接結合している少なくとも1の反応基(rfA)、及び化合物(G)の反応基(rfC)と反応する珪素原子に直接結合していない少なくとも1の反応基(rfB)を含む処理方法に関する。
【0123】
本発明の方法の1の好ましい態様では:
−上記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合している反応基(rfA)は、アルコキシ、エノキシ及び/又はヒドロキシル基であり;
−上記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合していない反応基(rfB)は、オキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物又はジオール基であり;及び
−化合物(G)の反応基(rfC)は、オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル又はカーボネート基である、
【0124】
別の1の実施態様によれば、フィラーは:
a)珪素原子並びに少なくとも1のオキシラン、オキセタン、ヒドロキシル及び/又はジオール基に直接結合している少なくとも1のアルコキシ及び/又はヒドロキシル基を含む、少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と;並びに
b)少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む少なくとも1の化合物(G)と、
処理される。
【0125】
本発明のプロセスは、歯科用フィラーを処理するために特に適切である。このプロセス(I)は、下記のステップを含む:
a)前記歯科用フィラー(B)並びに珪素原子に及び少なくとも1のオキシラン、オキセタン、ヒドロキシル及び/又はジオール基に直接結合している少なくとも1のアルコキシ及び/又はヒドロキシル基を含む、少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)を一緒に溶媒に混合するステップ、
b)前記溶媒を蒸発させて歯科用フィラー中間体(B−1)を得るステップ、
c)前記歯科用フィラー中間体(B−1)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−1)及び前記カップリング剤(F)間のカップリング反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー中間体(B−2)を得るステップ、
d)次に前記歯科用フィラー中間体(B−2)を、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む少なくとも1の化合物(G)と溶媒中で混合するステップ、
e)前記溶媒を蒸発させ、歯科用フィラー中間体(B−3)を得るステップ、並びに
f)前記歯科用フィラー中間体(B−3)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−3)及び前記化合物(G)間の反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー(B−4)を得るステップ。
【0126】
1の好ましい態様によれば、プロセス(I)のステップc)及びf)の加熱処理は、200℃以下、好ましくは160℃以下、更に好ましくは100℃〜165℃の温度で加熱して実施される。
【0127】
オルガノシリコンカップリング剤(F)、化合物(G)及び歯科用補強フィラー(B)は、本発明の歯科用組成物中で定義されている。
【0128】
本発明はまた、本発明のプロセスを経由して得られる補強フィラーに関する。
【0129】
下記の実施例及び試験は、本発明の説明のために記載する。それらは特に本発明がより明らかに理解されるため、そのいくつかの利点を示し、その変形例のいくつかを示す。
【実施例】
【0130】
実施例及び試験
構造式
【化65】

【0131】
−ダウケミカル社販売の参考記号ERLX−4360(登録商標)(上記構造S−104の樹脂ファミリー)の樹脂、
−フィラー(B−1):ショット(Schott)社販売の参考記号G018−163の石英ガラス(粒子径=1.5μm、SiO256%;SrO14%;B2314%;Al2314%;F2%)
−フィラー(B−2):ショット(Schott)社販売の参考記号GM27−884の石英ガラス(粒子径=1.5μm、SiO255%;BaO25%;B2310%;Al2310%)。
【0132】
アンモニウムボラート基含有チオキサントン(S−61)の調整:
【化66】

3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ社販売)1.02g;「Kisbore(登録商標)」塩KB(C654(ロディア社製造)2.688g及びイソプロパノール(50ml)を遮光しながら不透明なフラスコに投入し、得られた混合物を室温で48分間磁気撹拌しながら放置した。続いて混合物を脱イオン水(200ml)中に投入した。黄色の沈殿物が形成された。(沈殿物の)懸濁液を、ブフナー漏斗を通して濾過し、得られた固体をオーブン中で100℃、24時間乾燥させた。(PS−31)で表される塩が得られた(融点235℃;吸収最大λmax=397.3nm)。
【0133】
実施例1(比較例):フィラー(B−1)の処理
a)ジオール基含有カップリング剤(F−2)によるフィラーの処理:
シラングリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又はDegussa社販売の式(F−1)のGLYMOは、下記反応のように酸性溶媒中で加水分解される:
【化67】

但し、R=メチル
化合物(F−2)は、ほとんど重縮合体となり、水相に可溶となる。
【0134】
使用された溶液は、pH=3〜4のシラン(F−2)40%含有溶液である。
【0135】
この40%シラン(F−2)溶液12.5gをビーカーに注ぎ、次いで脱イオン水200gと混合した。フィラー(B−1)200gをこの溶液に注ぎ、次いでこの混合物を、羽付攪拌機を使用して室温で1時間撹拌した。この混合物を結晶皿上に注ぎ、フィラーをオーブン中150℃、16時間乾燥した。続いてフィラーを250ミクロンガーゼでふるいにかけた。
【0136】
b)オキシラン基含有カップリング剤との処理
比較目的のため、中性溶媒中でシラングリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解を実施し、加水分解反応から生じるメタノールの大部分を留去した。1H NMR分析で、この溶液を数週間冷蔵保存した場合にはエポキシド基が加水分解されないことが明らかになった。
【化68】

pH=7でシラン(F−3)40%溶液を使用した。
【0137】
この40%溶液12.5gをビーカーに注ぎ、脱イオン水200gと混合した。未処理フィラー(B−1)200gをこの溶液中に投入し、得られた混合物を羽付攪拌機を使用して室温で1時間撹拌した。混合物を結晶皿上に注ぎ、フィラーをオーブン中150℃、16時間乾燥した。続いてフィラーを250ミクロンガーゼでふるいにかけた。
【0138】
c)歯科用組成物の性質
オキシラン基含有シロキサン樹脂(S−1)11.625gを、遠心混合機(Hauschild社製)中に配置した。
参考記号Disperbyk−164(登録商標)としてByk社が販売する分散剤(C−1)4%溶液1.125gを加えた。混合物を16秒間遠心混合機を使用して3000rpmで攪拌し、三フッ化イッテルビウム3gを加えた。混合物は、更に16秒間遠心混合機により3000rpmで攪拌し、次に光開始剤(P−22)30重量%と式(PS−31)の光増感剤0.89重量%を含有する光開始剤系(P)1.25gを(S−1)溶液として加えた。
【0139】
混合物を、16秒間、室温で遠心混合機によって3000rpmで撹拌し、続いてフィラー(B−1)25gをそれぞれ下記のとおり加えて配合物を得た:
−未処理(配合物1t)、
−又はa)によって処理済み(配合物1a)、
−又はb)によって処理済み(配合物1b)。
【0140】
混合物を遠心混合機で16秒間撹拌した。3グラムの燃焼シリカタイプのフィラー(B−3)(SiO2>99%、Degussa社により参考記号OX50(登録商標)として販売されている)を加えて、続いて混合物を16秒間撹拌した。最後に、Degussa社により参考記号R202(登録商標)として販売されている燃焼シリカタイプのフィラー(B−4)5gを加え、次に混合物を16秒間撹拌した。
【0141】
経時的粘度変化を3種の配合物に対して観察した。混合配合物がゲル化し、もはや操作できなくなった瞬間を記録した。その結果を表1に示す。
【表1】

【0142】
実施例2(本発明)
a)実施例1a)で得られたフィラーのオキシラン基含有樹脂(S−1)での処理
オキシラン基含有樹脂(S−1)の2.5重量%含有溶液をアセトンで調製した。
【0143】
実施例1a)で処理したフィラー(B−1)100gをこの2.5%溶液100g中に注ぎ、機械的攪拌を室温で約1分間行った。混合物を、続いて結晶皿中に注ぎ、室温でアセトンを蒸発させた。
【0144】
得られた残渣を、150℃で16時間加熱してフィラーの表面にオキシラン基含有樹脂(S−1)を重合して形成した。得られたフィラーをふるいにかけて粉末を得た。
【0145】
b)実施例1b)で得られたフィラーのオキシラン基含有樹脂(S−1)での処理
オキシラン基含有樹脂(S−1)2.5重量%含有溶液をアセトンで調製した。
【0146】
実施例1b)で処理したフィラー(B−1)100gをこの2.5%溶液100g中に注ぎ、機械的攪拌を室温で約1分間行った。混合物を、続いて結晶皿中に注ぎ、室温でアセトンを蒸発させた。得られた残渣を、150℃で16時間加熱してフィラーの表面にオキシラン基含有樹脂(S−1)を重合して形成した。得られたフィラーをふるいにかけて粉末を得た。
【0147】
c)歯科用組成物の性質
実施例2−a)及び2−b)の2種のフィラーを、実施例1−c)と同様に配合し、全フィラー含有量は組成物重量に対して72重量%とした。2種の歯科用組成物(それぞれ配合物(2a)及び(3b))を得て、その経時的安定性及び変化を観察した。
【0148】
【表2】

【0149】
下記配合物間の結果比較:
−(1a)及び(2a)配合物、並びに
−(1b)及び(2b)配合物は安定性の顕著な改良を示す。
【0150】
実施例3(本発明、フィラーの二重処理)
オキシラン基含有樹脂(S−1)含有量の変化
実施例2a)を、フィラー(B−1)処理中オキシラン基含有樹脂(S−1)の含有量を変化させる以外は同様に行った。
【0151】
その結果本発明の歯科用組成物が、実施例2c)として配合された。
【0152】
実際の組成物は、下記配合物に相当する(全フィラー含有量は、組成物重量に対して66重量%である):
−オキシラン基含有樹脂(S−1)=29.25g
−(C−1)4%含有分散溶液=2.25g
−光開始剤系(P)(実施例1参照):(P−22)+(PS−31)=2.5g
−三フッ化イッテルビウム=6g
−二重処理済みフィラー(B−1)=50g
−未処理フィラー(B−3)燃焼シリカOX50(登録商標)=5g
−未処理フィラー(B−4)燃焼シリカR202(登録商標)=5g
【0153】
エポキシ含有量の変化は、過塩素酸分析溶液内で混合物溶液を電位差測定分析によって観察した。
【表3】

【0154】
実施例4(本発明、フィラーの二重処理):組成物重量に対する全フィラー含有量70重量%を有する歯科用組成物の調製
オキシラン基含有シロキサン樹脂(S−1)11.5gをHauschild社製遠心混合機内に配置した。参考記号Disperbyk−164(登録商標)としてByk社が販売する分散剤(C−1)4%溶液2.25gを加えた。混合物を16秒間遠心混合機を使用して3000rpmで攪拌し、三フッ化イッテルビウム3gを加えた。混合物は、更に16秒間遠心混合機により3000rpmで攪拌し、次に光開始剤(P−22)30重量%と式(PS−31)をベースとする光増感剤0.89重量%を含有する光開始剤系(P)1.25gを樹脂(S−1)に加えた。混合物を、16秒間、室温で遠心混合機によって3000rpmで撹拌し、続いて実施例2a)、その後実施例3による処理(フィラー(B−1)を樹脂(S−1)5重量%含有アセトン溶液で処理する)をされたフィラー(B−1)27gを続いて加えた。混合物を、遠心混合機で16秒間撹拌した。フィラー(B−1)として処理済み燃焼シリカ(B−3)(Degussa社により参考記号OX50(登録商標)として販売されている、SiO2>99%)2.5gを加え、続いて混合物を16秒間撹拌した。最後に、Degussa社により参考記号R202(登録商標)として販売されている燃焼シリカ(B−4)2.5gを加え、次に混合物を16秒間撹拌した。
【0155】
経時的粘度変化を処理したフィラーを有する配合物に対して観察した。この配合物は、25℃で1年間を超えて安定であった。
【0156】
サンプルを、標準ISO4049に記載されているようにDemetron Optilux500タイプ(登録商標)のハロゲンランプを使用し(照射時間:40秒2回)架橋した。
【0157】
標準ISO−4049に従い測定された曲げ強度は、9000MPaの曲げ係数において90MPa+/−10であった。
【0158】
架橋深度は、40秒間照射後4mmであった。
【0159】
重合の前後に測定された密度から算出された体積収縮は、−1.6%+/−0.2であった。
【0160】
実際の組成物は、下記配合物に相当する(全フィラー含有量は、組成物重量に対して70重量%である):
−オキシラン基含有樹脂(S−1)=11.5g
−分散溶液(C−1)=2.25g
−光開始剤系(P):(P−22)+(PS−31)=1.25g
−処理済み三フッ化イッテルビウム=3g
−二重処理済みフィラー(B−1)=27g
−未処理フィラー(B−3)燃焼シリカOX50(登録商標)=2.5g
−未処理フィラー(B−4)燃焼シリカR202(登録商標)=2.5g
【0161】
実施例5(本発明、フィラーの二重処理)
歯科用ランプで照射後の組成物の呈色に対する光増感剤の性質の影響を比較した。実施例4を、組成物内に導入された光増感剤の性質と量を変更して繰り返した。
【0162】
実施例2〜5に記載の歯科用組成物は、Optilux Demetron(登録商標)ランプを使用し、30秒〜1分の照射時間で、2〜3mmの厚さに架橋する。L*、a*、b*値は、Minolta CR200 chromameter(登録商標)又は比色計を使用し、白背景上で15分間架橋後及び架橋して5日後に測定した。
【0163】
△c=[(△a)2+(△b)21/2として定義される△cが得られ、そこから色収差が導き出される。
【0164】
光増感剤(PS−31)、単独で又は他の光増感剤、例えば(PS−39);(PS−34)及び(PS−33)と組み合わせた増感剤が配合された歯科用組成物を、Demetron Optilux 500(登録商標)歯科用ランプで架橋させると、呈色問題は起こらない(照射直後に色値a>1で照射中赤化現象なし)ことが見いだされた。
【表4】

【0165】
チオキサントン(PS−31)を組み合わせて使用すると、呈色問題が解消することができるが一方で、低濃度(実施例5−hの場合0.1%未満)で、カンホルキノン(PS−34)単独又はアントラセン誘導体(PS−39)と組み合わせたカンホルキノンを使用すると反応速度問題が生じた。
【0166】
実施例6:(本発明、フィラーの二重処理)
実施例5を、下記を変更する以外は同様に行った:
−光開始剤(P−22)を光開始剤(P−29)に変更し;
−光開始剤系(P)を、光開始剤(P−29)30重量%及び(PS−31)ベースの光増感剤0.89重量%を樹脂(S−1)中に含む光開始剤系(P’)に変更する。
【0167】
色収差:
−白背景上で15分間架橋後、L*,a*,b*はそれぞれ72.1;+0.10;9.53であり;
−(架橋して)5日後、L*,a*,b*はそれぞれ75;−0.25;8.1であった。
【0168】
=>△c=[(△a)2+(△b)21/2=1.47。
【0169】
実施例7:(本発明、フィラーの二重処理)
a)グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランによるフィラー(B−2)の処理
2.5%のグリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを含有するアセトン溶液300gを、窒素下で300gのガラスB−2に注いだ。次に混合物をテフロン被覆羽付攪拌機を使用して激しく室温で8時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、ガラスを回収して、濾過物を、200ミクロンガーゼでふるいにかけた。ふるいにかけたガラスを、110℃で8時間空気乾燥した。
【0170】
b)実施例7−a)で得られたフィラー(B−2)の、オキシラン基含有樹脂(S−1)及び(S−104)の混合物を使用した処理。
3.8%の(S−1)及び3.8%の(S−104)を含有するアセトン溶液300gを、実施例7−a)により処理済みのガラス300g上に注ぎ、次に混合物をテフロン被覆羽付攪拌機を使用して窒素下、室温で8時間撹拌した。
【0171】
ガラスをポリアミドフィルターで濾過し、次に200ミクロンガーゼでふるいにかけ、最後に110℃で12時間乾燥した。
【0172】
次に、得られた処理済みガラス(二重処理済みフィラー)を、下記歯科用組成物(全フィラー含有量は、組成物全重量の75%)を製造するため使用した:
−オキシラン基含有樹脂(S−1)=4.5g
−オキシラン基含有樹脂(S−104)=4.5g
−分散溶液(C−1)=2.25g
−光開始剤系(P):(P22)+(PS−31)=1.25g
−二重処理済みフィラー(B−2)=32.5g
−二重処理済みフィラー(B−3)、燃焼シリカOX50(登録商標)=2.5g
−未処理フィラー(B−4)、燃焼シリカR202(登録商標)=2.5g
【0173】
本発明の組成物のエポキシ含有量の経時的変化を観察した。本発明の組成物は、少なくとも9ヶ月間、25℃で安定であり、エポキシ変換率は20%未満であることが観察された。
【0174】
サンプルを、標準ISO4049に記載されているようにDemetron Optilux500タイプ(登録商標)のハロゲンランプを使用し(照射時間:40秒2回)架橋した。
【0175】
標準ISO−4049に従い測定された曲げ強度は、800MPa+/−1000の曲げ係数において90MPa+/−10であった。
【0176】
架橋深さは、40秒間照射後に4mmであった。
【0177】
重合の前後に測定された密度から算出された体積収縮は、−1.4%+/−0.2であった。
【0178】
実施例8:(本発明、フィラーの二重処理)
次に、実施例7b)で得られた処理済みガラス(二重処理済みフィラー)を、下記歯科用組成物(全フィラー含有量は、組成物全重量の75%)を製造するため使用した:
−オキシラン基含有樹脂(S−1)=4.5g
−オキシラン基含有樹脂(S−104)=4.5g
−分散溶液(C−1)=2.25g
−光開始剤系(P):(P22)+(PS−31)=1.25g
−二重処理済みフィラー(B−2)=32.5g
−二重処理済みフィラー(B−3)、燃焼シリカOX50(登録商標)=2.5g
−未処理フィラー(B−5)コロイダルシリカ、Hanse Chemie社販売の樹脂(S−96)中の約40重量%濃度溶液=2.5g
【0179】
本発明の組成物のエポキシ含有量の経時的変化を観察した。本発明の組成物は、少なくとも9ヶ月間、25℃で安定であり、エポキシ変換率は20%未満であることが観察された。
【0180】
サンプルを、標準ISO4049に記載されているようにDemetron Optilux500タイプ(登録商標)のハロゲンランプを使用し(照射時間:40秒2回)架橋した。
【0181】
標準ISO−4049に従い測定された曲げ強度は、8000MPa+/−1000の曲げ係数において100MPa+/−10であった。
【0182】
架橋深さは、40秒間照射後に4mmであった。
【0183】
重合の前後に測定された密度から算出された体積収縮は、−1.4%+/−0.2であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用組成物であって:
(1)少なくとも1のカチオン反応する化合物(A);
(2)少なくとも1の歯科用フィラー(B);
(3)任意で少なくとも1の有機ポリマー又はコポリマーを含む少なくとも1の分散剤(C);
(4)少なくとも1のカチオン性光開始剤(D);
(5)及び任意で少なくとも1の光増感剤(E)、を含み:
少なくとも1の歯科用フィラー(B)が
a)少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と及び
b)少なくとも1の化合物(G)と、処理され:
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は、歯科用フィラーと反応する珪素原子に直接結合している少なくとも1の反応基(rfA)、及び化合物(G)の反応基(rfC)と反応する珪素原子に直接結合していない少なくとも1の反応基(rfB)を含む、歯科用組成物。
【請求項2】
−前記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合している反応基(rfA)は、アルコキシ、エノキシ又はヒドロキシル基であり;
−前記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合していない反応基(rfB)は、オキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物又はジオール基であり;及び
−前記化合物(G)の反応基(rfC)は、オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル又はカーボネート基である請求項1に記載の歯科用組成物。
【請求項3】
少なくとも1の歯科用フィラー(B)が、下記のステップを含むプロセス(I)を経由し処理される請求項1〜2いずれか1項に記載の歯科用組成物:
a)前記歯科用フィラー(B)並びに、珪素原子に直接結合している少なくとも1のアルコキシ、エノキシ及び/又はヒドロキシル基並びに少なくとも1のオキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物及び/又はジオール基を含む、少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)を一緒に溶媒に混合するステップ、
b)前記溶媒を蒸発させて歯科用フィラー中間体(B−1)を得るステップ、
c)前記歯科用フィラー中間体(B−1)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−1)及び前記カップリング剤(F)間のカップリング反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー中間体(B−2)を得るステップ、
d)次に前記歯科用フィラー中間体(B−2)を、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む少なくとも1の化合物(G)と溶媒中で混合するステップ、
e)前記溶媒を蒸発させ、歯科用フィラー中間体(B−3)を得るステップ、並びに
f)前記歯科用フィラー中間体(B−3)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−3)及び前記化合物(G)間の反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー(B−4)を得るステップ。
【請求項4】
プロセス(I)のステップc)及びf)の加熱処理が、200℃以下、好ましくは165℃以下、更に好ましくは100〜165℃の温度に加熱して実施される、請求項3に記載の歯科用組成物。
【請求項5】
前記歯科用フィラー(B)の内容物全体が、歯科用組成物の全重量に対して85重量%以下、好ましくは60〜80重量%を表す、請求項1〜4いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項6】
前記歯科用フィラー(B)の処理が、歯科用組成物の全重量に対して前記化合物(G)の20重量%以下、好ましくは1〜15重量%及び/又は前記化合物(F)の20重量%以下、好ましくは1〜15重量%で実施される、請求項1〜5いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項7】
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)が、式:
【化1】

{式中:
−Rは、水素又は直鎖状若しくは分岐状のC1〜C4アルキル基、
−R1は、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はフェニル基、
−Xは0、1又は2に等しく、及び
Xは次式:
【化2】

によって定義され:
−E及びDは、直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル類から選ばれた同種又は異種の基、
−zは、0又は1に等しく;
−nは、0又は1に等しく;
−E及びDは、0、1、2、3、4、5又は6に等しく;
−R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は同種又は異種の基であってもよく、水素又は直鎖状若しくは分岐状のC1〜C12アルキルを表す。}の請求項1〜6いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項8】
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)が、次の化合物:グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、前記グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、前記グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランの酸性溶媒における加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン又は該加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン又は該加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又は該加水分解生成物よりなる群から選択される、請求項7に記載の歯科用組成物。
【請求項9】
前記化合物(G)が、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む有機又はオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー若しくはポリマーである請求項1〜8いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項10】
前記化合物(G)が、下記の(M−7)から(M−12)の構造からなる群から選択される少なくとも1の官能基を含む請求項9に記載の歯科用組成物:
【化3】

但し、R”は直鎖状又は分岐状C1〜C6アルキル基を表す。
【請求項11】
前記化合物(G)が、シリコーンオリゴマー(G−1)又はシリコーンポリマー(G−2)である請求項1〜10いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項12】
前記シリコーンオリゴマー(G−1)及び前記シリコーンポリマー(G−2)が:
a)下式の少なくとも1の単位:
【化4】

{式中:
−a=0、1又は2、
−R0は同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、水素含有又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表し、
−Zは同種又は異種であり、少なくとも1のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン及び/又はカーボネート基を含む有機置換基である}、並びに
b)少なくとも2個の珪素原子、
を含む、請求項11に記載の歯科用組成物。
【請求項13】
前記シリコーンオリゴマー(G−1)及び前記シリコーンポリマー(G−2)が、下式の化合物:
【化5】

【化6】

【化7】

式中、L=H;OH;Me;フェニル;C1〜C12アルキル;C1〜C6シクロアルキル;又は次の基である、
【化8】

【化9】

式中、n<100;a<100及びm<100
【化10】

{式中、Ro又はR0は同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル又はアリール基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表す。}
よりなる群から選択される、請求項12に記載の歯科用組成物。
【請求項14】
前記カチオン反応する化合物(A)は、エポキシ、ビニルエーテル、オキセタン、スピロオルトカーボネート及びスピロオルトエステル、並びにそれらの組み合わせを含む、モノマー及び/又は(コ)ポリマーの群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項15】
前記カチオン反応する化合物(A)は、少なくとも1の架橋可能な及び/又は重合可能なシリコーンオリゴマー(G−1)若しくはシリコーンポリマー(G−2)からなり、室温又は100℃未満の熱融解温度で液体であって;
a)次式を有する少なくとも1の単位:
【化11】

{式中:
−a=0、1又は2、
−R0は同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、水素含有又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表し、
−Zは同種又は異種であり、少なくとも1のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン、ジオキソラン及び/又はカーボネート基を含む有機置換基を表す}、並びに
b)少なくとも2個の珪素原子
を含む、請求項14に記載の歯科用組成物。
【請求項16】
前記単位(M−13)は、下記の基(R−1)から(R−9)よりからなる群から選択されるZ基を含む請求項15に記載の歯科用組成物:
【化12】

(式中、R”は直鎖状又は分岐状C1〜C6アルキル基を表す)。
【請求項17】
前記カチオン反応する化合物(A)が、請求項13に記載される化合物(S−1)から(S−15)よりなる群から選択される、請求項1〜16いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項18】
前記カチオン性光開始剤(D)が、ボレートタイプであり、下式の化合物から選択される、請求項1〜17いずれか1項に記載の歯科用組成物:
a)下式から選ばれるボレートのカチオン種:
(1)下式のオニウム塩:
[(R9n−A−(R10m+(I)
{式中:
−Aは第15〜17族元素、例えばI、S、Se、P又はNを表し、
−R9は、C6〜C20炭素環式又は複素環式アリール基を表し、前記複素環式の基は、ヘテロ元素として窒素又は硫黄を含有してもよく、
−R10は、R9又は直鎖状若しくは分岐状C1〜C30アルキル若しくはアルケニル基を表し;前記R9及びR10の基はC1〜C25アルコキシ、C1〜C25アルキル、ニトロ、クロロ、ブロモ、シアノ、カルボキシル、エステル又はメルカプト基によって任意に置換されてもよく、
−m及びnは整数であって、n+m=v+1、vは元素Aの原子価である、}、
(2)オキソイソチオクロマニウム塩;及び
(3)次式を有する有機金属塩:
(L123M)+q
(II)
{式中:
−Mは、第4〜10族金属、特に鉄、マンガン、クロム又はコバルトを表し、
−L1は、π電子を経由して金属Mに結合するリガンドを表し、該リガンドは;η3−アルキル、η5−シクロペンタジエニル及びη7−シクロヘプタトリエニルリガンド;任意で置換されたη6−ベンゼンリガンドから選択されるη6−芳香族化合物;並びに2〜4個の縮合環を含有する化合物、但し、各環は3〜8個のπ電子を経由して金属Mの原子価殻に寄与することができる;から選択され、
−L2は、π電子を経由して金属Mに結合するリガンドを表し、該リガンドは;η7−シクロヘプタトリエニルリガンド;任意で置換されたη6−ベンゼンリガンドから選択されるη6−芳香族化合物;並びに、2〜4個の縮合環を含有する化合物、但し、各環は6又は7個のπ電子を経由して金属Mの原子価殻に寄与することができる;から選択され、
−L3は、σ電子を経由して金属Mに結合する0〜3個の同種又は異種のリガンドを表し、この1以上のリガンドは、CO及びNO2+から選択され;L1、L2及びL3が寄与する錯体の合計電荷q並びに金属Mのイオン電荷は正であり1又は2に等しい}、並びに
b)次式を有する陰イオン性ボレート種:
[BXab-
(III)
{式中:
−a及びbは、aが0〜3、bが1〜4の範囲の整数、a+b=4であり、
−記号Xは下記を表し:
*a=0〜3の場合、ハロゲン原子(塩素又は弗素)、又は
*a=0〜2の場合、OH基、
−記号Rは同種又は異種であって下記基を表す:
−少なくとも1個の電子吸引基、例えばOCF3、CF3、NO2又はCN及び/若しくは少なくとも2個のハロゲン原子(最も好ましくは弗素)によって置換されたフェニル基、この場合カチオン種は第15〜17族元素のオニウムである、
−少なくとも1の元素又は電子吸引基、特にハロゲン原子(最も好ましくは弗素)、CF3、OCF3、NO2又はCNによって置換されたフェニル基、この場合カチオン種は第4〜10族元素の有機金属錯体である、又は
−少なくとも2個の芳香族核、例えばビフェニル若しくはナフチル、を含有するアリール基、上記アリール基はカチオン種に関係なく少なくとも1の元素又は電子吸引基、特に弗素を含有するハロゲン原子、特にOCF3、CF3、NO2若しくはCNによって任意で置換されている}。
【請求項19】
前記カチオン性光開始剤(D)が、次の化合物よりなる群から選択される請求項18に記載の組成物:
(P−16):[(C817)−O−C64−I−C65)]+、[B(C654-
(P−17):[C1225−C64−I−C65+、[B(C654-
(P−18):[(C817−O−C642I]+、[B(C654-
(P−19):[(C817)−O−C64−I−C65)]+、[B(C654-
(P−20):[(C652S−C64−O−C817+、[B(C64CF34-
(P−21):[(C1225−C642I]+、[B(C654-
(P−22):[CH3−C64−I−C64−CH(CH32+、[B(C654-
(P−23):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、[B(C654-
(P−24):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メチル−1−ナフタレン)Fe+、[B(C654-
(P−25):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+、[B(C654-
(P−26):[(C1225−C642I]+、[B(C63(CF32-
(P−27):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH32+、[B(C654-
(P−28):[CH3−C64)−I−C64−CH2CH(CH32+、[B(C63(CF324-;及び
(P−29):[CH3−C64−I−C64−CH(CH32+、[B(C63(CF324-
【請求項20】
前記カチオン性光開始剤(D)が、ヨードニウム塩である請求項1に記載の歯科用組成物。
【請求項21】
前記光増感剤(E)が、その構造中に、200〜500nmの残存吸光度を有する1以上の置換された又は非置換の芳香族核を含む、請求項1〜20いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項22】
前記光増感剤(E)が、アントラセン、チオキサントン、カンホルキノン及びフェナントレンキノン種の化合物、並びにそれらの混合物、よりなる群から選択される、請求項1〜21いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項23】
前記光増感剤(E)が、アンモニウム基を含む少なくとも1の基で置換されたチオキサントン塩である、請求項22に記載の歯科用組成物。
【請求項24】
アンモニウム基を含む少なくとも1の基で置換されたチオキサントン塩の対応する陰イオンは次の陰イオンから選択される請求項23に記載の歯科用組成物:ハロゲン化物、BF4-、PF6-;SbF6-;請求項18で定義されている式[BXab-の陰イオン(III)、RfSO3-;(RfSO23-又は(RfSO22-(Rfは少なくとも1のハロゲン原子、好ましくは弗素原子で置換された直鎖状又は分岐状アルキル基である)。
【請求項25】
前記光増感剤(E)が、任意で少なくとも1のカンホルキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換されたアントラセンと組み合わされ、下式を有する請求項1〜24いずれか1項に記載の歯科用組成物:
【化13】

{式中:
−R22及びR23は同種又は異種であって、水素又は任意で置換されたC1〜C10アルキル基、好ましくはR22=R23=メチルを表し、
−(X-)はアニオン種であり、好ましくはハロゲン化物;BF4-、PF6-;SbF6-;請求項16で定義されている式[BXab-の陰イオン(III)、RfSO3-;(RfSO23-又は(RfSO22-(Rfは少なくとも1のハロゲン原子、好ましくは弗素原子で置換された直鎖状又は分岐状アルキル基である)から選択され、(X-)は、更に好ましくは次式:[B(C63(CF324-及び[B(C654-を有するボレートから選択される}。
【請求項26】
前記光増感剤(E)が、任意で少なくとも1のカンホルキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換されたアントラセンと組み合わされ、下式を有する請求項1〜25のいずれか1項に記載の歯科用組成物:
【化14】

【請求項27】
前記光増感剤(E)が、次の化合物よりなる群から選択される請求項1〜26のいずれか1項に記載の歯科用組成物:
−(PS−30):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド;
−(PS−31):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
−(PS−32):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート;
−(PS−33):フェナントレンキノン;
−(PS−34):カンホルキノン;
−(PS−35):アセナフテンキノン;
−(PS−36):過酸化ジベンゾイル;
−(PS−37):2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン;
−(PS−38):9,10−ジエトキシアントラセン;
−(PS−39):9,10−ジブトキシアントラセン;
−(PS−40):9−ヒドロキシメチルアントラセン;
−(PS−41):2−ジメチルアミノチオキサントン;
−(PS−42):3−エチルカルボキシ−7−メトキシチオキサントン;
−(PS−43):1−フェニルチオ−4−プロポキシチオキサントン;
−(PS−44):2−メトキシチオキサントン;
−(PS−45):2−(N,N−ジエチルアミノプロポキシ)チオキサントン;
−(PS−46):2−イソプロピルチオキサントン;
−(PS−47):1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン;
−(PS−48):4−イソプロピルチオキサントン;
【化15】

−及びそれらの混合物。
【請求項28】
前記光増感剤(E)が、クマリン、ジケトン、フルオロン、アミノケトン及びパラ−アミノスチリルケトンファミリーの化合物、並びにそれらの混合物、よりなる群から選択される請求項1〜27いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項29】
前記シリコーンポリマー(G−2)又は前記シリコーンオリゴマー(G−1)が式(S−103)若しくは(S−104)の有機エポキシ又はオキセタン樹脂と組み合わされる請求項1〜28いずれか1項に記載の歯科用組成物:
【化16】

式中、
−0≦n≦100であり、
−D=直鎖状又は分岐状のC1〜C12アルキルから選択された基である。
【請求項30】
前記歯科用フィラー(B)が鉱物ガラス又は燃焼シリカである請求項1〜29いずれか1項に記載の歯科用組成物。
【請求項31】
前記化合物(G)は、下式のシラン(G−3)である請求項1〜30いずれか1項に記載の歯科用組成物:
【化17】

{式中:
【化18】

−Rは、同種又は異種であり、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、水素又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6の低級アルキルを表し、
−Zは同種若しくは異種であってもよく、少なくとも1のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン及び/又はカーボネート基を含む有機置換基であり、
−a+b=3}。
【請求項32】
前記シラン(G−3)が、次の分子よりなる群から選択される請求項31に記載の歯科用組成物:
【化19】

【請求項33】
前記化合物(G)が、分子(S−96)から(S−104)よりなる群から選択される有機化合物(G−4)である請求項1〜32いずれか1項に記載の歯科用組成物:
【化20】

(式中:nは、1〜10の整数(境界値を含む))、
【化21】

(式中、n<100及びD=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル)、
【化22】

(式中、n<100及びDの基=直鎖状又は分岐状C1〜C12アルキル)。
【請求項34】
補強フィラー、特に歯科用補強フィラーの処理方法であり、前記フィラーが:
a)少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)と、及び
b)少なくとも1の化合物(G)と、処理され:
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は、歯科用フィラーと反応する珪素原子に直接結合している少なくとも1の反応基(rfA)、及び化合物(G)の反応基(rfC)と反応する珪素原子に直接結合していない少なくとも1の反応基(rfB)を含む処理方法。
【請求項35】
−上記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合している反応基(rfA)は、アルコキシ又はヒドロキシル基であり;
−上記オルガノシリコンカップリング剤(F)の珪素原子に直接結合していない反応基(rfB)は、オキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物又はジオール基であり;及び
−化合物(G)の反応基(rfC)は、オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル又はカーボネート基である、
請求項34に記載の補強フィラー、特に歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項36】
前記歯科用フィラーが、下記のステップ:
a)前記歯科用補強フィラー(B)並びに、珪素原子並びに少なくとも1のオキシラン、オキセタン、ヒドロキシル及び/又はジオール基に直接結合している少なくとも1のアルコキシ及び/又はヒドロキシル基を含む、少なくとも1のオルガノシリコンカップリング剤(F)を溶媒中で混合するステップ、
b)前記溶媒を蒸発させて歯科用フィラー中間体(B−1)を得るステップ、
c)前記歯科用フィラー中間体(B−1)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−1)及び前記カップリング剤(F)間のカップリング反応を起こさせ、それによって歯科用フィラー中間体(B−2)を得るステップ、
d)次に前記歯科用フィラー中間体(B−2)を、少なくとも1のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート基を含む少なくとも1の化合物(G)と溶媒中で混合するステップ、
e)前記溶媒を蒸発させ、歯科用フィラー中間体(B−3)を得るステップ、並びに
f)前記歯科用フィラー中間体(B−3)を加熱処理し、前記歯科用フィラー中間体(B−3)及び前記化合物(G)間の反応を起こさせ、それによって処理済み歯科用フィラー(B−4)を得るステップ、
を含むプロセス(I)を経由して処理される請求項34又は35に記載の歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項37】
前記プロセス(I)のステップc)及びf)の加熱処理が、200℃以下、好ましくは160℃以下、更に好ましくは100〜165℃の温度に加熱して実施される、請求項36に記載の歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項38】
前記オルガノシリコンカップリング剤(F)は請求項7又は8で定義されている、請求項34〜37いずれか1項に記載の歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項39】
前記化合物(G)が請求項10〜12のいずれか1項で定義されている、請求項34〜36のいずれか1項に記載の歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項40】
前記補強フィラーは鉱物ガラス又は燃焼シリカである、請求項34〜39いずれか1項に記載の歯科用補強フィラーの処理方法。
【請求項41】
請求項34〜40いずれか1項に記載のプロセスを経由して得られる補強フィラー。
【請求項42】
歯科用補綴物の製造又は歯科用修復のため、請求項1〜29いずれか1項に記載の歯科用組成物を使用する方法。
【請求項43】
請求項1〜33いずれか1項に記載の組成物の架橋によって得ることができる歯科用補綴物。
【請求項44】
請求項1〜33いずれか1項に記載の組成物の架橋によって得ることができる歯科用修復材料。

【公表番号】特表2008−501644(P2008−501644A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512250(P2007−512250)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001048
【国際公開番号】WO2005/121200
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】