高プロバイオティクス低有機酸の食品

本発明は、好ましくは108UFC/ml以上の濃度の活性で安定なプロバイオティクスを含有し、果実含有量が好ましくは50%以上と高く、有機酸が低減し、人工的な異質な香りの産生が最初の果実物質に対して低減した、飲料またはピューレのような容器充填果実系食品に関する。この食品の製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生きた安定なプロバイオティクスを好ましくは108CFU/ml以上の濃度で含み、果実含有量が好ましくは50%以上と高く、有機酸含有量が使用した果実母材料(fruit matrix)の初期の有機酸含有量に対して10〜100%、好ましくは30〜70%、さらにより好ましくは60%も低減した、飲料または果実ピューレといった果実を主成分とする食品、ならびにそのような食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスと呼ばれる、生きた微生物[その一部は細菌、特にラクトバチルス(Lactobacillus、乳酸桿菌)属に属する細菌である]の摂取は、人の健康に特に有益である。実際、プロバイオティクスは、さまざまな分野(例、アレルギー発現、感染性下痢、および炎症性疾患の分野)で、ならびにある種の生理学的機能(例、乳糖の消化、便通および免疫)について予防的臨床効果を実証している多くの研究の主題となってきた。このようなプロバイオティクスは、特に、腸内フローラ(細菌叢)の適正な機能を促進することができ、恐らくその全菌数に影響しよう。実際問題として、とりわけ、この種の細菌(プロバイオティクス)は、他のバクテリオシンおよび乳酸を産生し、これらが間接的に食品の消化吸収率を増大させ、腸蠕動を促進させて、排便を加速する。その上、これらの細菌は、ある種のビタミンB複合体を産生し、一般にビタミン類とミネラル類の吸収を促進し、血中コレステロールを低下させ、免疫系を増強し、そして腸管粘膜を有害微生物の侵入および作用に対して保護するようにコート(被覆)する。
【0003】
このため、農産物加工(agroprocessing)産業ではこのような細菌を製品に組み込もうとここ数年にわたって試みてきている。
細菌が添加されたそのような製品は伝統的には乳製品であるが、他の食品、特にフルーツ(果実)を主成分とする食品(果実系食品)を開発することは農産物加工産業にとって利点がある。
【0004】
ラクトバチルス型の細菌が添加された果実系食品は従来技術において既に知られている。例えば、国際特許出願公開WO00/70972および欧州特許出願公開EP0113055を参照。
【0005】
しかし、ラクトバチルス属細菌が添加された食品において、細菌増殖が観察される場合があり、それによりその食品の貯蔵中にその品質が、ガスおよび異質味(オフテイスト、off-tastes)の発生によって変質し、消費に適さないようになることがあった。
【0006】
多くの微生物が、trans−4−ヒドロキシ−メトキシ桂皮酸(フェルラ酸)およびtrans−4−ヒドロキシ桂皮酸(p−クマリン酸)のような置換桂皮酸を脱炭酸(脱カルボキシル化)して、それぞれ次の2種類の揮発性化合物:すなわち、3−メトキシ−4−ヒドロキシスチレン(4−ビニルケイアコール<4-vinylquaiacol>)および4−ヒドロキシスチレン(4−ビニルフェノール)を生じることができる。これらの生成分子は、「石炭酸、煙、革手袋のような薬臭い」タイプの異質味の原因となる。p−クマリン酸およびフェルラ酸の脱炭酸活性は、ラクトバチルス型の細菌中において検出された。
【0007】
具体的には、この種の活性を持つことが知られているラクトバチルス属細菌は次の通りである:L. brevis(ラクトバチルス・ブレビス), L. crispatus(ラクトバチルス・クリスパツス), L. fermentum,(ラクトバチルス・フェルメンツム、発酵乳酸桿菌) L. plantarum(ラクトバチルス・プランタルム), L. pentosus(ラクトバチルス・ペントスス)およびL. paracasei(ラクトバチルス・パラカゼイ) (参考文献: Van Beek, SおよびPriest FG -2000-「モルトウィスキー発酵中に分離された乳酸菌による置換桂皮酸類の脱炭酸」Applied and Environmental Microbiology, 66(12): 5322-8)。従って、ラクトバチルス属の菌株は、フェノール性カルボン酸からバイオトランスフォーメーション(生体内変化)経路により異質味を生ずる可能性がある。
【0008】
現在、ガスおよび異質味を生ずることを伴うこの問題を解決するための従来技術において提案されている解決策は、例えば、PROBI社が出願した国際特許公開WO00/70972におけるように、4〜8℃の温度で、低い果実濃度(例、約25%)にて食品を保存することからなる。
【0009】
しかし、このような解決策では、果実濃度が50%より高く、さらに生きた安定したラクトバチルス属細菌を有意な濃度で含有する食品を提案することが不可能となる。有意な濃度とは、製品(食品)の108CFU/ml以上の菌数を意味すると解される。安定した(安定な)細菌とは、細菌集団の代謝活性(ガスおよび/もしくは異質味の発生、ならびに制限かつ制御された貯蔵条件中での酸性化)が冷蔵、すなわち4〜10℃の温度では低減していることを意味する。後酸性化(post-acidification)が少ないことは、一方では食品中に存在する有機酸の濃度が低下した結果であり、他方ではその食品の貯蔵温度が低いことの結果である。
【0010】
安定した、生きたプロバイオティクスを含有する飲料または果実ピューレ型の果実系食品は、果実とプロバイオティクスの両方の利点を消費者に提供するという利点がある。
フランスにおける栄養・健康のナショナルプランは、一日に最低5種類の果実および野菜を摂取することを提唱している。多くの科学者により行われた観察結果は、果実と野菜の摂取量が多いほど、特にコレステロール率と脂質摂取を低下させ、小児肥満の罹患率を少なくすることができることを示している。
【0011】
いくつかの科学的研究では、同様にプロバイオティクスが健康に関して主導的な役割を果たしうることが示唆されている。各プロバイオティクス菌株が特定の健康上の利益を付与することができる。これらの利益としては下記を挙げることができる:消化系機能の改善および自然防御機能の強化。一部のプロバイオティクスはタンパク質を吸収することにより作用し、別のものはビタミン類を産生する。同様に、一部のものは病原菌の繁殖と戦う化合物を産生することができ、従って腸管生態系において役割を果たすことができる。
【0012】
農産物加工産業にとってそのような食品を製造できることは望ましいであろう。そして、それが本発明の課題である。
細菌の生存能力を増大させる目的で、キリンビール社が出願した欧州特許出願公開EP0113055およびEP0166238は、静菌性成分である果汁中のポリフェノールの濃度を、果汁を吸収剤と接触させることにより選択的に低下させることを提案している。この場合、望ましい目的は細菌の発酵も促進することであり、本発明に係る場合のように初期の細菌数を安定して保持することではない。
【0013】
果実が有機酸を含有することは公知であるが、本発明者らは、ラクトバチルス属の細菌がこれらの有機酸を代謝すること、およびこの有機酸の代謝が果汁系製品の二酸化炭素および/または異質味の発生の原因となりうることを見出した。ある種の果実の有機酸成分は、例えば、A.I.J.N.の「実施コード」における果実ごとの酸度範囲のような関連文献を調査することにより知ることもできる。
【0014】
ロイコノストック(Leuconostoc)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属およびラクトバチルス属の数多くの菌株が、リンゴ酸、クエン酸、ピルビン酸、フマル酸、酒石酸およびグルコン酸化合物を分解した時にガスを発生しうる。発生ガスの測定に比べて、ジアセチルおよびアセトイン含有量の定量は、ピルビン酸分解を検出するためのより有効な方法である(Hegazi, F.Z., Abo-Elnaga, I.G., 1980「乳中乳酸菌による有機酸の分解」, Mikrobioligie der Landwirtshaft der Technologie und des Umweltschutzes, 135 (3), 212)。
【0015】
分解しても、リンゴ酸またはクエン酸のような有機酸は、実際には、この同化が過度に高い酢酸(これも異質味を生ずる)の産生を伴わない限り、不愉快な味の発生を含む上述した問題を消費者に与えることはない。しかし、細菌菌株によるこれらの有機酸の同化は、この場合CO2を発生し、それにより商品の容器(パッケージ)が膨らんでしまう。実際には、これらの有機酸はラクトバチルス属のある種の細菌により自然に代謝されて、ピルビン酸(糖質代謝のような代謝サイクルの主要な化合物)およびCO2を生じ、さらにピルビン酸自体が脱炭酸反応を受けるので、こうしてCO2の生成速度が比例的に増大する。
【0016】
果実に含まれるこれらの有機酸の一部はフェノール性化合物(クマリン酸、フェルラ酸)であり、これらの化合物の細菌菌株による分解は食品における異質味を生ずることがある。
【0017】
最終製品のpHに応じて酸の感覚プロフィールは大きく変化しうる。例えば、乳酸はクエン酸およびリンゴ酸に比べてpH3.5ではより渋みが強い(Hartwig, P., McDaniel, M.R. 1995「乳酸、リンゴ酸、クエン酸および酢酸の各種pHレベルでの味覚特性」Journal of Food Science, 60(2) 384-388)。
【0018】
図1は、リンゴ酸(もしくはリンゴ酸塩)、クエン酸(もしくはクエン酸塩)ならびにピルビン酸塩の代謝のメカニズムを示す。
酸性pH(pH=3.8)においてラクトバチルス属の菌株を108CFU/mlに等しい最大濃度で含有する市販飲料は存在する。具体的にはSkanemejerier社から販売されている製品ProViva (R)である。しかし、この製品の安定性は4℃で貯蔵され、かつ低い果汁濃度(25%未満)の場合にしか保証されない。さらに、ProViva (R)商品は、有機酸濃度が低いある種の果実を対象とするものであり、そのような果実には、オレンジジュース、リンゴジュース、ならびにエキゾティック多種果汁(混合トロピカルフルーツジュース)のような主要な果汁は含まれない。
【特許文献1】国際特許公開WO00/70972
【特許文献2】欧州特許出願公開0113055
【特許文献3】欧州特許出願公開0166238
【発明の開示】
【0019】
本発明者らは、その食品の主成分となる果実の母材料(matrix)から有機酸を低減させると、最終製品の果実の種類、果実濃度および有機酸濃度に関係なく、その製品の栄養上の品質を保護しながら、同時に容器封入(パッケージング)後の最終製品の食品から二酸化炭素および/または異質味が発生するのを低下または解消できることを見出した。かくして、本発明者らは、処方における果実母材料の目標濃度および使用する果実の種類に応じて調整しなければならない限定的な有機酸濃度に制御することを提案し、その濃度を推奨する。
【0020】
従って、本発明の1主題は、生きた安定したプロバイオティクスを含む、果実を主成分とする果実系の容器入り食品であって、その有機酸含有量が使用した果実母材料の初期の有機酸含有量に対して10〜100%、好ましくは30〜70%、さらにより好ましくは60%低減し、異質味(オフテイスト)の発生が初期の果実母材料に比べて低減または解消されている、果実系容器入り食品である。
【0021】
プロバイオティクスなる用語は、十分量を含有させた時に、普通の栄養上の効果を超えた健康への増進効果を発揮する、生きた微生物を示す意味である。
本発明によると、生きたプロバイオティクスとは、本発明に係る食品中における29日後の生存率が60%以上、有利には80%以上であるプロバイオティクスを示す意味である。
【0022】
プロバイオティクスの生存性は、当業者に公知の計数法、例えば、マス・カウンティング(質量計数)、表面計数、マラッセ(Malassez)細胞、直接計数、濁り度、ネフェロメトリー(比濁分析)、電子計数、フローサイトメトリー、蛍光法、インピーダンス測定、および画像分析により測定される。
【0023】
本発明によると、安定な(又は安定した)プロバイオティクスとは、10℃で少なくとも30日間は活動性(activity)の不存在を示すプロバイオティクスを示す意味である。活動性の不存在は下記結果を生ずる:
・容器封入された貯蔵中のガス発生(例、CO2)の検出の不存在、
・原料果実母材料の初期品質を何ら変質させずに、かつ異質味の発生を全く生じずに一定の官能性(organoleptic)品質を保持、
・著しい後酸性化の不存在(pH低下が0.5未満)、
・プロバイオティクスが増殖せず、初期個体数を保持(±50%以内)。
【0024】
具体的には、これらのプロバイオティクスは細菌でよい。
本発明によると、細菌とは、好ましくはラクトバチルス属の種、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の種、ストレプトコッカス属の種、ラクトコッカス(Lactococcus)属の種、ロイコノストック属の種の乳酸菌類を意味すると解される。具体例を挙げると、ラクトバチルス・カゼイ (Lactobacillus. casei)、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ブルガリクス (Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベチクス (Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・アシドフィルス (Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・アニマリス (Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレベ (Bifidobacterium breve)、ストレプトコッカス・テルモフィラス (Streptococcus thermophilus)およびラクトコッカス・ラクティス (Lactococcus lactis)である。
【0025】
より具体的には、本発明に係る好ましい細菌は、有機酸をCO2および/または異質味を生ずる化合物に分解させる能力を有する細菌である。
より具体的には、本発明に係る好ましい細菌菌株は、ラクトバチルス属の菌株、好ましくはラクトバチルス・プランタルムおよびラクトバチルス・カゼイの菌株であり、さらにより好ましくは、ドイツ微生物寄託機関 [Deutsche Sammlung von Mikroorganismen von Zelkuturen GmbH (DSMZ)]において1995年3月16日にDSM 9843号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株、またはフランス微生物寄託機関 [Collection Nationale des Cultures de Microorganismes (CNCM)]において2002年4月4日にCNCM I-2845号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株である。
【0026】
ドイツ微生物寄託機関において1995年3月16日にDSM 9843号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株はプロビ (PROBI)社からラクトバチルス・プランタルム299v (R)なる商品名で販売されている。この菌株は果汁系食品中にプロバイオティクスとして使用するのに下記の多くの利点を有する。
【0027】
・科学界で確立されているプロバイオティクスの基準を満たす、
・特許されていて、特性決定され(RAPD,リボタイプが確定ずみ)、その分類が確認されている、
・GRAS(安全性が一般に承認ずみ)(Generally Recognized As Safe)である、
・Skanemejerier社が販売するProViva (R)商品中に108CFU/mlの割合で既に存在し、かつ1994年からずっと消費されている、
・4より低い酸性pHで非常に良好な生存率を有する、
・アミラーゼ陰性であり、従って最終製品の食品のキメ(舌触り)を劣化させない。
【0028】
しかし、この菌株は下記のいくつかの難点も併せ持つ:
・強い後酸性化の可能性を有する.
・酢酸合成に付随する顕著な官能性の欠陥を生ずる、
・クエン酸(例、レモン果汁、オレンジ果汁)、またはリンゴ酸(例、リンゴもしくはナシ果汁)を分解して、二酸化炭素ガスを発生させ、従って容器膨張の問題を生じうる;特に冷蔵系統が故障した場合(すなわち、温度が8℃より高くなった場合)。
【0029】
すなわち、この菌株は多くの利点を有するが、その食品の主成分である果実母材料の有機酸分を低減させなければ、果汁系食品中にそのままでは使用することができない。
同じことが、フランス微生物寄託機関(CNCM)において2002年4月4日にCNCM I-2845号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株にも当てはまる。
【0030】
本発明によると、果実母材料(fruit matrix)なる用語は、プロバイオティクスを含有せず、また有機酸含有量を低減させていない、果汁、濃縮還元果汁、または果実ピューレを意味すると解される。果実母材料は、例えば、糖類、水、香味料、食用着色料、甘味料、酸化防止剤、乳汁(ミルク)、保存料、酸性化剤、キメ調整剤(texturing agent)、動物性タンパク質(乳タンパク質、乳清タンパク質等)、又は植物性タンパク質(大豆、米等)或いは植物性抽出タンパク質(大豆、米等)といった他の物質を含有していてもよい。
【0031】
異質味(off-taste、オフテイスト)なる用語は、食品として普通ではない味を意味すると解される。異質味は消費者にとって喜ばしくない味であり、従って望ましくない。例えば、本発明に係る食品の場合で例示すると、食品の発酵および酸化により生ずる「土くさい、干し草のような」異質味、食品中に存在する有機酸発酵素により生ずる「酢のような」異質味、ならびに揮発性脂肪酸の存在により生ずる「敗油(油焼け、酸敗油)」の異質味を挙げることができる。
【0032】
例えば、「オレンジ」または「フルーティーな」味のような、いわゆる「プラス」の特質(味)も食品中に検出されうる。これらの味は消費者にとって喜ばしくない味ではないので、本発明における「異質味」には含まれない。
【0033】
「異質味」の原因となる分子の濃度は、質量分析計(SM)を連結させたガスクロマトグラフィー(GC)に固相ミクロ抽出(SPME,solid phase microextraction)を組み合わせることにより測定される。この方法は特別に開発されたものであって、高い感度を有すると同時に、良好な再現性と良好な反復性とを有する。SPMEは、定量および定性分析の改善のために揮発性の標的分子の特異的な濃縮を可能にする。GCは揮発性分子の分離をその極性および分子量に基づいて可能にし、こうして各分子に対応するピークの取得を可能にする。各分子の濃度は、サンプル中のそれらの濃度に比例したピーク面積、すなわち吸光度単位(UA)により表される。最後に、質量分析計は、一方では各分子の積極的な同定をその特性イオンへの断片化により可能にし、他方では揮発性分子の別の定量を可能にする。この場合には濃度は質量単位で表される。
【0034】
香味料なる用語は、食品に香味(すなわち、味および/または香り)を付与するための成分を意味する。
香味料は下記の二つの主要な目的のために使用される:
・食品の天然の香味を増強するか、もしくはそれが弱すぎる場合にそれを部分的に回復させる(製造過程において本来の味の一部が失われた食品)、または
・ある成分を入れ換えると同時に最終製品に香りの評価を導入する(例、イチゴ風味のヨーグルト)。
【0035】
本発明によると、好ましい香味料は次のものである:リンゴ、オレンジ、レッド・ベリー(赤いベリー類)、イチゴ、桃、杏 (アプリコット)、プラム、ラズベリー、ブラックベリー、カラント類、レモン、柑橘類、グレープフルーツ、バナナ、パイナップル、キウイ、梨、サクランボ(チェリー)、ココナッツ、パッションフルーツ、マンゴー、イチジク、ルバーブ、メロン、多種果実(multi-fruits)、エキゾティックフルーツ(トロピカルフルーツ類)、バニラ、チョコレート、コーヒー、およびカプチーノ。
【0036】
(食用)着色料なる用語は、食品の着色を回復または付与することができる物質を意味すると解される。
本発明によると、好ましい着色料は、β−カロテンおよびカルミン(洋紅、カーマイン)である。
【0037】
甘味料なる用語は、砂糖のカロリーを必ずしも導入せずに、砂糖の持つ甘味力を模倣することができる物質を意味すると解される。
本発明によると、好ましい甘味料は、アスパルテーム、アセサルフェームK(acesulfame-K)、サッカリン、スクラロース(sucralose)、およびチクロ(cyclamate)である。
【0038】
酸化防止剤なる用語は、とりわけ油脂の酸敗またはカットされたフルーツおよび野菜の褐色化を引き起こす酸化現象を防止または低減することができる物質を意味すると解される。
【0039】
本発明によると、好ましい酸化防止剤はビタミンC、ビタミンE、およびローズマリーエキスである。
乳汁なる用語は、動物性(例、牛、羊および山羊)の乳汁または植物性の汁分(例、大豆、豆腐、米、オート麦、キノア、栗、アーモンドまたはヘーゼルナッツから抽出された汁分)を意味すると解される。
【0040】
保存料なる用語は、最終食品中の望ましくない微生物(例、食中毒の原因となるカビや細菌)の存在および増殖を防止することにより保存を助けるための物質を意味すると解される。
【0041】
本発明によると、好ましい保存料はソルビン酸および二酸化イオウである。
キメ調整剤(質感剤)なる用語は、最終食品の体裁(キメ、質感)または挙動上の性質を改良することができる物質を意味すると解される。キメ調整剤は、乳化剤、安定剤、増粘剤またはゲル形成性物質であってもよい。これらは単独または組み合わせて本発明に係る食品中に使用することができる。
【0042】
本発明によると、好ましいキメ調整剤は、ペクチン(ゲル形成性物質として使用される)、イナゴ豆の種子、カラゲーニン、アルギン酸類(塩など)、グアールガム、キサンタンガム、デンプン、ならびに食用脂肪酸のモノおよびジグリセリドである。
【0043】
酸性化剤なる用語は、好ましくは乳酸、および/またはクエン酸および/またはリン酸を意味すると解される。
水なる用語は、場合により、(逆)浸透精製水を意味すると解される。浸透精製水は最終食品中に存在するミネラルの量を制限することができる。ミネラルも異質味の原因となりうることがあるためである。
【0044】
カリウム、塩素、マグネシウムおよびカルシウムは、実際、各種形態(KCl, NH4Cl, CaCl2, 酢酸カルシウム, LiCl, MgSO4等)においてかなり苦いのに対し、ナトリウム、リチウムおよび硫酸イオンはその形態によりかなり塩辛いおよび/もしくは酸っぱい(塩辛い形態: NaCl, Na2SO4, 酒石酸Na; 酸っぱい形態: NaNO3, 酢酸Li; 塩辛く酸っぱい形態: 酢酸Na, アスコルビン酸Na, クエン酸Na)。これらの化合物は、食品の味覚上の品質に対するこのような直接作用に加えて、「煙、石炭酸など」の異質味の原因となる揮発性分子に対して、食品上に存在する気相へのその転化を促進することにより、「塩析」作用を発揮することもある。それにより、知覚される異質味の強さが増大する。
【0045】
本発明によると、有機酸なる用語は、特に、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ピルビン酸、フマル酸またはグルコン酸を示すと解される。
初期の果実母材料果実母材料に比べてその含有量が低減または除去される有機酸は、好ましくはリンゴ酸および/またはクエン酸である。
【0046】
果実母材料の初期有機酸含有量は関連文献から知ることができる。果実母材料が果汁または濃縮還元果汁である場合、参考関連文献は果汁の有機酸濃度に関する。そのような文献の出典は、例えば、下に掲げるような、AIJNの「ジュースの絶対品質要件に関する実施規範」から抜粋された表である。
【0047】
【表1】

【0048】
果実母材料が果汁または濃縮還元果汁ではない場合、参考関連文献は果実の有機酸濃度に関する。そのような文献の出典は、例えば、"La composition des aliments: tableaux des valeurs nutritives (食品の組成:栄養分の表)" 2000年 (第6版)、 Souci S.W., Fachmann W., Kraut H., Scherz H.であり、その表のサンプルを下に再現する。
【0049】
【表2】

【0050】
どちらの場合も、果汁または果実の初期有機酸含有量を決定するのに使用した表からの値は最低値である。
【0051】
さらに、果実母材料の初期有機酸含有量は適当な定量方法によって決定することもできる。
そのような定量方法は、例えば次の方法である。
【0052】
・果実母材料中に存在する酸の濃度を定量する滴定酸度の測定。これは、果実母材料の試料を0.1N水酸化ナトリウム水溶液で中和することからなり、pHレベル8に到達するのに必要な水酸化ナトリウムの量により全酸度の値を求めることが可能となる。
【0053】
・電気伝導度分析による検出と連結させたHPAEC(高速陰イオン交換クロマトグラフィー)を用いたクロマトグラフィー分析法(ダイオネクス<Dionex>法: 164-166 Avenue Joseph Kessel, 78960 Voisins Le Bretonneux、フランス)。
【0054】
・リンゴ酸とクエン酸は、酵素法により分析することができる;基準となる方法は、果汁製造業国際連盟(IFU)により提唱されている(この基準は1985年以来制定されている)。リンゴ酸についてはIFU21,クエン酸についてはIFU22。これらは酵素反応を伴う分光光度法である。
【0055】
IFU21の方法は下記原理で作用する:果実母材料中に最初に存在しているクエン酸(クエン酸塩)が、クエン酸リアーゼ酵素CLにより触媒される反応によりオキサロ酢酸および酢酸に転化される(1)。
【0056】
【化1】

【0057】
L−リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(L−MDH)およびL−乳酸デヒドロゲナーゼ酵素(L−LDH)の存在下では、脱炭酸により生成したオキサロ酢酸およびピルビン酸がニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)によりそれぞれL−リンゴ酸およびL−乳酸に還元される(2)、(3)。
【0058】
【化2】

【0059】
反応(2)および(3)で酸化されたNADHの量はクエン酸の量と化学量論的である。NADHを334、340または365nmでのその吸光度の測定により定量する。この測定により、果実母材料中に最初に存在しているクエン酸の量を定量することが可能となる。
【0060】
IFU22の方法は下記原理で作用する:果実母材料中に最初に存在しているL−乳酸(L−乳酸塩)はL−乳酸デヒドロゲナーゼ(L−LDH)の存在下でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)によりピルビン酸(塩)に酸化される(1)。
【0061】
【化3】

【0062】
この反応の平衡はL−乳酸側に落ち着く。L−グルタミン酸の存在下でグルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)酵素により触媒されるその後の反応においてピルビン酸を捕捉することにより、平衡をピルビン酸およびNADHの方向にシフトさせることができる(2)。
【0063】
【化4】

【0064】
最初の反応で生成したNADHの量はL−乳酸の量と化学量論的である。NADHの増大を334、340または365nmでのその吸光度の測定により定量する。この測定により、果実母材料中に最初に存在しているL−乳酸の量を定量することが可能となる。
【0065】
本発明の第1の側面によると、食品は飲料、好ましくは果汁または濃縮還元果汁を含有する飲料とすることができる。
本発明によると、果汁としては下記を挙げることができる:オレンジジュース、特に、Brix値(糖度)が10〜12°のNFC(非濃縮由来=ストレート果汁)、および濃縮還元オレンジジュースとしてはBrixが値66°のFCOJ(冷凍濃縮オレンジジュース)、ならびにBrix値が10〜70°の他の濃縮果汁。
【0066】
本発明によると、該食品は20〜99.99%の果汁、好ましくは50〜99.99%の果汁を含有する。
本発明の第2の側面によると、該食品は好ましくは50〜99.99%の果実ピューレ、さらにより好ましくは90〜99.99%の果実ピューレを含有する、果実系ピューレとすることができる。
【0067】
本発明によると、プロバイオティクスは5×105〜1×109CFU/mlの範囲内の濃度、好ましくは108CFU/ml以上の濃度である。この濃度は最も好ましくは4×107CFU/mlである。
【0068】
本発明によると、食品のpHは3〜4の範囲内である。
本発明によると、食品は、静菌剤の添加を必要とせずに、最高温度10℃で少なくとも30日間は品質を保持し、従って消費できる。
【0069】
本発明によると、食品は1種類の果実を主成分とする。
本発明によると、食品は2種以上の果実を主成分とする。
本発明によると、1種または2種以上の果実は有機酸含有量が高いものである。
【0070】
本発明によると、果実はオレンジ、レモン、ブドウ、パイナップル、リンゴ、梨、桃、および/またはレッド・ベリー(赤いベリー類)である。
本発明によると、食品はさらに乳汁および/または野菜ジュースを含有することが好ましい。
【0071】
野菜ジュースは好ましくは大豆から作られたジュースもしくは汁(大豆および/または豆腐から抽出されたジュースもしくは汁)である。
本発明によると、果実母材料から除去されるのが好ましい有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ピルビン酸、フマル酸、グルコン酸、p−クマリン酸および/またはカフェイン酸である。
【0072】
本発明の第2の主題は、下記工程を含むことを特徴とする、本発明に係る食品の製造方法である:
a)果実を主成分とする母材料からの有機酸の低減、
b)工程a)で得られた母材料へのプロバイオティクスの添加、
c)工程b)で得られた生成物の容器封入(パッケージング)。
【0073】
本発明によると、果実を主成分とする母材料から有機酸を低減させる工程a)は、天然酸度が低い果実母材料を選択することにより行われる。
本発明によると、天然酸度が低い果実母材料なる用語は、それから天然で低酸度の果汁が得られる果実母材料を示す意味であると解される。その酸度は、果汁分野の全専門家により認められたAIJN「実施規範」(欧州連合の果実および野菜ジュースおよびネクター産業協会、The Association of the Industry of Juice and Nectars from Fruits and Vegetables of the European Union)で指示された低い酸度値とこの値の50%の値との間である。
【0074】
天然の酸度は、果実種のみならず、その品種(variety)、気候および収穫時期にも依存する。従って、果実ごとに酸度の範囲が規定され、その値は次の表に示される(出典:AIJN)。
【0075】
【表3】

【0076】
オレンジについては、天然酸度が低い品種では酸度レベルが例えば3の(すなわち、上記範囲の最低値を40%下回る)ものがある。
【0077】
本発明によると、天然酸度が低い果実母材料の選択は、果実の品種の選択および/または果実の熟し加減の調節により行われる。
果実は晩熟(late maturity)に達した後すぐに選択することが好ましい。
【0078】
本発明によると、果実を主成分とする母材料から有機酸を低減させる工程a)は、果実母材料の脱酸により行われる。
本発明によると、果実母材料の脱酸(滴定酸度の低下)は、果実母材料の電気透析、カルシウム塩による果実母材料からの有機酸の沈殿、リンゴ酸から乳酸への発酵、クエン酸の選択的同化、および/または果実母材料の陰イオン交換樹脂の通過により行われる。
【0079】
クエン酸発酵は乳酸菌によりジアセチルおよびアセトインの産生を生ずる。
本発明に従った果実母材料の脱酸は、好ましくは電気透析および/または果実母材料の陰イオン交換樹脂への通過により行われる。
【0080】
実際、陰イオン交換樹脂はCOOH酸基を有する化合物の捕集には理想的である。これらの基はCOO-(陰イオン)とH+(カチオン)とに容易に解離するからである。従って、陰イオン交換樹脂は有機酸の捕集に適している。
【0081】
使用する陰イオン交換樹脂は、例えば、米国ダウ・ケミカル社製のDowex(R) 1および米国ロームアンドハース社製のAmberlite(R) IRA-402からなるものでよい。
本発明によると、プロバイオティクスの配合は、遅延差別化法(delayed differentiation process)の一部として、すなわち、生産ラインの最終段階で、容器封入(容器充填又はパッケージング)工程の直前またはその最中に行われる。
【0082】
さらに、本発明に従った工程b)と工程c)とを同時に行うことができる。この仮説的な場合、本発明に係る方法は、微生物の増殖を生じずに最終食品製品の貯蔵中のその変質を防止するのに2工程だけですむ。
【0083】
1好適態様において、乳酸を添加する工程を本発明の方法の工程b)と工程c)との間またはそれらの工程と同時に行う。乳酸の添加量は、使用すべき所望の細菌菌株に応じて当業者により容易に決定されよう。
【実施例】
【0084】
実施例1:接種された果汁に関するラクトバチルス・プランタルムDSM9843及びラクトバチル・プランタルムI−2845菌株(2002年4月4日にCNCMに寄託)によるガス発生
材料および方法:
I.1−細菌懸濁液の調製と果汁の接種
DSM9844およびI−2845菌株を用いて最初の2mLの予備培養液を作製する。この予備培養液を用いて100mLの1%天然SRM(すなわち、108〜109CFU/mL)を接種する。この第2の予備培養液から、3×1000mLの天然SRM(すなわち、108〜109CFU/mL)を接種する。
【0085】
各菌株に対して、500mLのボウルを用いて次のように遠心分離(ベックマン社JA−25、ローターJA−10)を行う:
・6個のボウルに培養液330mlを充填、
・12,000g,20℃で10分間遠心分離、
・上清を除去して、培養液165mLを追加、
・12,000g,20℃で10分間遠心分離、
・上清を除去。
【0086】
得られた各ペレットを次いで再び別々に試験する果汁中に加え、得られた懸濁液を果汁が入っていた長方形紙容器(ブリックカートン)に戻し、紙容器を再び慎重に閉じる。
I.2−有機酸分析
選択した方法は、高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)により有機酸を分離することからなる。有機酸の検出は、サプレッサ方式(抑制型)電気伝導度分析法による検出(SCD)により行われる。
【0087】
使用したクロマトグラフィーシステムは、サプレッサ方式電気伝導度検出システムを備えたダイオネクス(DIONEX)ブランドのもの(DX600型)である。恒温に制御された電気伝導度セル(DS3型)を外部自己サプレッサシステムASRS−ULTRA(4mm)に連結する。この電解型サプレッサは、4mL/分の流量(約15psiの圧力)のMilli−Q向流式水再循環手段と共に使用された。
【0088】
AS11−HC型(4mm)陰イオン交換カラムをAG11−HC型ガードカラムと組み合わせる。溶離流量は1.5mL/分である。
II 結果
II.1 細菌カウント数
10℃での果汁貯蔵中のラクトバチルス・プランタルムラクトバチルス・プランタルムの生存率を評価するために、製品の貯蔵中における細菌数の計数を行う。
【0089】
【表4】

【0090】
II.2 貯蔵中の有機酸消費の実証
上記計数と同時に0日目(D0)および5日目(D5)に有機酸分析を行った。結果を表5にまとめる。
【0091】
【表5】

【0092】
表5に示した結果によると、使用した菌株に関係なく、リンゴ酸がラクトバチルス・プランタルムにより最もひどく消費される基質であることは明らかである。この消費は、乳酸と酢酸の産生、従って、pHレベルの目につく低下を伴う(特にオレンジジュースおよびリンゴジュースにおいて)だけでなく、ガスの発生を伴い、それは容器(パッケージ)について肉眼で見える結果となって現れる。
【0093】
図1に示した代謝経路、ギ酸産生の検出の不存在(ピルビン酸ギ酸リアーゼ作用が存在しない)、処理した果汁中の非常に低いペントース含有量により、下記のCO2(モル数で表す)の計算式を提案することができる:
全CO2量=リンゴ酸消費量+クエン酸消費量+(全酢酸産生量−クエン酸由来酢酸量)
すなわち、クエン酸から産生した酢酸量をクエン酸の消費量で置き換えると、次のようになる:
全CO2量=リンゴ酸消費量+全酢酸産生量
結論:
すなわち、リンゴ酸と、程度はずっと低いがクエン酸は、DSM9843またはI−2845ラクトバチルス・プランタルム細菌を高濃度(>1×109FCU/mL)で含有する果汁貯蔵時のガス発生に大きく寄与する。
【0094】
実施例2:調合処方中の果汁%に対するラクトバチルス・プランタルムと適合性のある有機酸の最大濃度を決めるためのオレンジ果汁の希釈
5、10、20および30%オレンジ果汁(オレンジジュース)となるように希釈を行った。これらの希釈率はそれぞれ95、90、80および70%の脱酸率に対応する。
【0095】
【表6】

【0096】
ラクトバチルス・プランタルムを含有するオレンジジュース系飲料が製造後30日以上も安定であるようにするには、その飲料が下記特性を有する必要があることがわかった。
【0097】
【表7】

【0098】
(注)
・「Brix/酸度の比」は、ジュース(果汁)100グラム当たりの無水のクエン酸のグラム数に対するジュースのBrix値の比(Brix/酸比)を意味する。
【0099】
・「Brix値」は、「Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemistry (公式分析化学協会の公式分析方法)」第14版、1984に「果実製品の(可溶性)固形分」と題して発表されている米国公式分析化学協会の方法に従って屈折率測定により求められる、酸度補正が加えられた糖含有量を意味する。(BRIX含有量<Brix content>) DORS/88-8, 第2条; DORS/95-548, 第2条; DORS/2000-184, 第27条; DORS/2003-6, 第65条 (F)。
【0100】
実施例3:各種食品の官能分析
工場環境でDSM9843菌株を使用する場合の技術的問題点(リンゴ酸および/またはクエン酸の代謝によるCO2の発生、これはUHT長方形紙容器(ブリックカートン)の膨満、有機酸の存在およびフェノール系カルボン酸の代謝に起因する異質味の産生、を生ずる)に続いて、下記の技術的解決策を試験した:
1)イオン交換樹脂による果汁(オレンジジュース)の脱酸処理、
2)浸透圧精製水の使用(異質味に及ぼすミネラル類の影響の評価)、
3)酸性化のための各種の酸(乳酸、クエン酸またはリン酸)の使用。
【0101】
これらの仮説の全てから表8の7種の試験を行った。結果を表9に示す。
【0102】
【表8】

【0103】
【表9】

【0104】
(注)香味評価は、−(この香味の強さが非常に弱い)から+++(この香味の強さが非常に強い)までとして行った。表の下向き矢印(↓)は低下を、上向き矢印(↑)は増加をそれぞれ意味し、3本の上向き矢印(↑↑↑)はその果汁のプラス及び/又はマイナスの香りの評価記録(「果汁味」評価記録)(「異質味」評価記録)の顕著な増大を意味する。
【0105】
一般に、クエン酸はD0(0日目)からD30(30日目)までの製品における「オレンジ果汁」評価記録(表では果汁評価)を増強するものの、これらの製品の全てでそれらの官能特性が低下するので、オレンジ果実味の評価記録に関しては相対的に中性である。
【0106】
代謝の観点からは、クエン酸は実際、異質味の前駆物質である。なぜなら、この酸はラクトバチルス・プランタルムにより代謝されると、酢酸(脱酸処理した果汁の場合)またはエチルフェノール(標準的な普通の果汁の場合)を生ずる。従って、クエン酸の添加はこれらの分子の生成を防止するために可及的に少なくすべきである。ただし、クエン酸は同時に「果汁味」評価記録にはプラスの影響を及ぼす。
【0107】
果汁(オレンジジュース)の種類に関して、果汁の脱酸処理は異質味の生成防止を可能にする(クエン酸が存在する場合を除いて)方法であり、酸敗(敗油)臭の評価記録だけが残る。これは主に乳汁の存在のせいである。従って、脱酸処理果汁/乳汁の比を調整すべきである。
【0108】
最後に、異質味(干し草、家畜小屋、土壌、酢、酸敗臭)の不存在およびオレンジジュースに特有の香り評価記録の存在に関して、最良の結果は脱酸処理したジュースに浸透精製水を混合し、乳酸で酸性化したものにおいて得られる。
【0109】
実施例4:果汁+乳汁の処方
【0110】
【表10】

【0111】
実施例5:オレンジジュース50%および75%の処方
【0112】
【表11】

【0113】
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】クエン酸およびリンゴ酸の代謝同化、ならびに乳酸菌における酢酸の産生を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた安定したプロバイオティクスを含む、果実を主成分とする果実系容器入り食品であって、その有機酸含有量が使用した果実母材料の初期の有機酸含有量に対して10〜100%、好ましくは30〜70%、さらにより好ましくは60%低減し、異質味の発生が初期の果実母材料に対して低減または解消されている、容器充填された果実系食品。
【請求項2】
飲料であることを特徴とする、請求項1記載の食品。
【請求項3】
果実母材料が果汁または濃縮還元果汁であることを特徴とする、請求項2記載の食品。
【請求項4】
20〜99.99%の果汁を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の食品。
【請求項5】
50〜99.99%の果汁を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食品。
【請求項6】
果実系ピューレを主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載の食品。
【請求項7】
50〜99.99%の果実ピューレを含有することを特徴とする、請求項1および6のいずれかに記載の食品。
【請求項8】
90〜99.99%の果実ピューレを含有することを特徴とする、請求項7に記載の食品。
【請求項9】
プロバイオティクスがラクトバチルス属(Lactobacillus genus)の細菌菌株であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の食品。
【請求項10】
プロバイオティクスがラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であることを特徴とする、請求項9に記載の食品。
【請求項11】
プロバイオティクスが、ドイツ微生物寄託機関 [Deutsche Sammlung von Mikroorganismen von Zelkuturen GmbH (DSMZ)]において1995年3月16日にDSM 9843号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株、またはフランス微生物寄託機関 [Collection Nationale des Cultures de Microorganismes (CNCM)]において2002年4月4日にCNCM I-2845号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株であることを特徴とする、請求項10に記載の食品。
【請求項12】
プロバイオティクスが5×105〜1×109CFU/mlの濃度であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の食品。
【請求項13】
プロバイオティクスが108CFU/ml以上の濃度であることを特徴とする、請求項12に記載の食品。
【請求項14】
pHが3〜4であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の食品。
【請求項15】
最高温度10℃で少なくとも30日間は品質が保持されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の食品。
【請求項16】
1種類の果実を主成分とすることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の食品。
【請求項17】
2種以上の果実を主成分とすることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の食品。
【請求項18】
果実が、有機酸含有量が高いものであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の食品。
【請求項19】
果実がオレンジ、レモン、ブドウ、パイナップル、リンゴ、梨類、桃、および/または赤いベリー類であることを特徴とする、請求項18に記載の食品。
【請求項20】
さらに乳汁および/または野菜ジュースを含有することを特徴とする、請求項1記載の〜19のいずれかに記載の食品。
【請求項21】
野菜ジュースが大豆から作られたジュースであることを特徴とする、請求項20に記載の食品。
【請求項22】
有機酸がリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ピルビン酸、フマル酸および/またはグルコン酸であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の食品。
【請求項23】
下記工程を含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の食品の製造方法:
a)果実を主成分とする母材料からの有機酸の低減、
b)工程a)で得られた母材料へのプロバイオティクスの添加、
c)工程b)で得られた生成物の容器封入。
【請求項24】
果実を主成分とする母材料から有機酸を低減させる工程a)を、天然酸度が低い果実母材料を選択することにより行うことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
天然酸度が低い果実母材料の選択を、果実の品種の選択および/または果実の熟し加減の調節により行うことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
果実を主成分とする母材料から有機酸を低減させる工程a)を、果実母材料の脱酸により行うことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
果実母材料の滴定酸度の低下を、果実母材料の電気透析、カルシウム塩による果実母材料からの有機酸の沈殿、リンゴ酸から乳酸への発酵、クエン酸の選択的同化、および/または果実母材料の陰イオン交換樹脂の通過により行うことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程b)と工程c)とを同時に行うことを特徴とする、請求項23〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
果実を主成分とする母材料が果汁、濃縮還元果汁、または果実ピューレであることを特徴とする、請求項23〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記方法の工程b)と工程c)との間またはそれらの工程と同時に乳酸を添加する工程を行うことを特徴とする、請求項23〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
フランス微生物寄託機関 [Collection Nationale des Cultures de Microorganismes (CNCM)]において2002年4月4日にCNCM I-2845号として寄託されたラクトバチルス・プランタルムの菌株。

【図1】
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【公表番号】特表2008−541774(P2008−541774A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515228(P2008−515228)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063109
【国際公開番号】WO2006/131569
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506375923)
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE GERVAIS DANONE
【Fターム(参考)】