説明

高リン酸塩血症治療のための混合金属化合物

本発明は、特にリン酸塩結合剤としての薬理活性を有する混合金属化合物に関する。また本発明は、それらの化合物の製造方法、およびそのような化合物を含む医薬組成物にまで及ぶ。さらに本発明は、それらの医薬的使用にも関する。特に、本発明は式(I)の化合物の使用に関する。
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属(すなわち、2つの正電荷)であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属(すなわち、3つの正電荷)であり;および
1>a>0.4である]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にリン酸塩結合剤としての薬理活性を有する混合金属化合物に関する。また本発明は、それらの化合物の製造方法、およびそのような化合物を含む医薬組成物にまで及ぶ。さらに本発明は、それらの医薬的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に見ると、リン酸塩結合剤にはアルミニウム塩が含まれていた。しかしながら、アルミニウム塩の使用はアルミニウム蓄積が原因となり、毒性の合併症(例えば、ヘモグロビン産生の減少、自然治癒および骨産生の障害、並びに予想される神経/認知機能障害)を引き起こすことがわかった。そこで、他のアルミニウム化合物[例えば、結晶水酸化アルミニウム(ベーマイト)およびある特定のハイドロタルサイト]を用いることが提案された[例えば、Ookubo et al, Journal Pharmaceutical Sciences (November 1992), 81 (11), 1139-1140 に記載されている]。ところが、これらの化合物も同じ難点を有している。
【0003】
現在、典型的に用いられるリン酸塩結合剤は炭酸カルシウムまたは酢酸カルシウムである。しかしこれらの難点は、経口摂取したカルシウムが大量に吸収されるので高カルシウム血症を促進する傾向があり、また急速な心血管石灰化に結び付くので重大な副作用を生じかねないことである。よって、カルシウムベースのリン酸塩結合剤で治療をしている間は、血清カルシウムの量を常時観察することが必要となる。米国腎臓財団(National Kidney Foundation)のK/DOQI(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)は、カルシウムベースの塩の使用制限を提案している(Clinical Practice Guidelines for Bone Metabolism and Disease in Chronic Kidney Disease, Guide 5, pg 1 pt 5.5)。したがって、最近ではカルシウムを含まないリン酸塩結合剤の開発が注目されている。最新の研究では、カルシウムを含まないリン酸塩結合剤として、炭酸ランタンおよびセベラマーHClが用いられている。セベラマー塩酸塩は吸水性であって、非吸水性ヒドロゲル架橋ポリアリルアミン塩酸塩であるにも係わらず、その構造のために特定の脂溶性ビタミンおよび胆汁酸とも結合してしまう。したがって、それはリン酸塩結合に関して、これら競合アニオンで置換される傾向の方が強く、よって効果を発揮させるためには大量摂取が要求される(V. Autissier et al, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol 96, No 10, October 2007)。高用量ピル負担および/または大きな錠剤は大抵が劣悪な患者コンプライアンスを伴い、またこの種の製品はそのカルシウムの対応物と比べて高いことが知られている。なお、セベラマーは胃腸副作用も伴う[A.J. Hutchison et al, Drugs 2003; 63 (6), 577-596]。
【0004】
炭酸ランタンは新たなリン酸塩結合剤であって、炭酸カルシウムと同じくらい効果的であることが示されており、高カルシウム血症の発生率も低い。しかし、希土類元素であるランタンの長期投与は、生体組織における潜在的な希土類金属の蓄積という点で安全性の問題を抱えており、それは腎不全ではより重大な問題となり得る(Tilman B Druke, Seminars in Dialysis, Volume 20, Issue 4 page 329-332 July/August 2007)。
【0005】
公知の無機製剤による高リン酸塩血症治療の多くは、限られたpHの範囲でのみ有効なリン酸塩結合剤である。さらに言えば、特にアルカリ性結合剤は、胃のpHを高い値まで緩衝化してしまうのでリン酸塩結合能力を有さない。
【0006】
アルミニウムに伴う難点およびpH範囲の有効性が制限される問題を克服するために、国際公開第99/15189号は混合金属化合物の使用を開示しており、該化合物はアルミニウムを含まず、かつ2〜8のpH範囲にわたって存在するリン酸塩の総重量の少なくとも30重量%がリン酸塩結合能力を有する。
【0007】
前記混合金属化合物は通常、鉄(III)並びに少なくとも1つのマグネシウム、カルシウム、ランタン、およびセリウムを含んでもよい。それらは少なくとも1つのヒドロキシルおよび炭酸アニオンも含むことが好ましく、さらに適宜少なくとも1つの硫酸、硝酸、塩化物、および酸化物も含む。しかしながら、国際公開第99/15189号の混合金属化合物は、それ自身のマグネシウム含有物の一部を可溶性形態で放出することがあり、そのため血清マグネシウム量が上昇する(高マグネシウム血症)。
【0008】
国際出願第GB2006/000452号が開示しているのは、国際公開第99/15189号の化合物の医薬的使用に伴う二価金属(例えば、マグネシウム)の放出は、適した混合金属化合物(例えば、層状複水酸化物またはハイドロタルサイト構造を有する化合物)の熱処理により、著しく減少させられるということである。未処理のハイドロタルサイト構造よりもより耐酸性の形態ではあるものの、二価金属は未だに、極度な酸性条件(例えば、典型的には空っぽの胃)の下では強力にそれを放出するという形態を十分に有する。
【0009】
Seida et al (Water research 36 2002 1306-1312)が開示しているのは、アニオン交換の組合せ、およびリン酸塩と結合する放出二価金属イオンの沈殿または血液凝固に起因して、pH6.86で維持されたまま、鉄を含む層状複水酸化物によるリン酸塩結合が増加するということである。この化合物をリン酸塩溶液から単離して、その溶液中の残渣リン酸塩濃度を側定した。単離された化合物は、乾燥も製粉もせず、また新たなリン酸塩結合剤として用いる意図を有するのでもない。さらに、化合物は既に部分的にリン酸塩と結合しており、それにより、さらなるリン酸塩結合のために利用可能として残っている部位は減少していた。また、Seida et al は、混合金属化合物中のマグネシウムの存在が、十分な沈殿およびリン酸塩結合の増加を生じさせるために重要な役割を担っていることを示唆する。
【0010】
J.Das et al は、pH6より低い値で層状複水酸化物がいっそう溶解し、リン酸塩結合がさらに減少することを提示する。Ookubo et al (Langmuir 1993, 9, 1418-1422) は、層状複水酸化物(ハイドロタルサイトと呼ばれている)が強い酸性媒質で溶解性を示し、またそのハイドロタルサイトは腸における耐酸性コーティングで保護された場合でなければ薬物として用いるべきでないことを提示する。しかしながら、腸溶剤は耐酸性であると同時にリン酸塩結合に対しても耐性を有することとなる。さらに、Ookubo and Shin et al, Wat.Sci.Tech.1996, Vol 34, No1-2, page 161-168 は、ハイドロタルサイト型物質の炭酸が他のアニオンで容易に置換されないこと、並びに塩素を含むハイドロタルサイトがリン酸塩を結合するために用いられるべきであることを提示する。
【0011】
J.Das et al, Applied Clay Science 32 2006 252-260 は、「二価:三価金属」が「2:1〜4:1」の範囲にあるマグネシウム・アルミニウム混合金属の層状水酸化化合物は、「二価:三価金属」の比が増加するとリン酸塩結合が減少することを示す。三価金属が少ないサンプルと比べて、三価金属量の多い方でリン酸塩結合が増加するのは、水酸化物層上に高い正味の正電荷を生み出すからである。しかしながら、Das et al に記載される例は、「二価:三価金属」モル比が「2:1」よりも低くないことを示唆する。さらに Rives et al, Layered Double Hydroxides Present and Future は、好ましい下限値が「2:1」であり、「1:1」を下回る比率でないことを提示する。「二価:三価」の比が「2:1」よりも低い、Mg除去された(Mg-depleted)混合金属化合物を、我々の研究室内で以下のように製造した:すなわち、国際公開第99/15189号に開示されている共沈殿または沈殿の方法に修飾を加えて、反応段階の間のpHを低い値(すなわち、pH5)で制御しながら製造し、このことは国際公開第99/15189号で最適pH範囲が10〜10.5と記載されているのと対照的である)。あるいは、国際公開第99/15189号の混合金属化合物を、沈殿反応段階の後(すなわち、合成前)に、除去剤と処理した。塩酸と一緒に炭酸アニオンを含んで、国際公開第99/15189号の混合金属化合物を処理するのが好ましい。というのも、それらは良質なリン酸塩結合であり、かつ二価カチオンの放出が低い化合物をもたらすということが分かり、並びに/あるいは、MII(OH)、MII(OH)、未反応試薬または他の非ハイドロタルサイト結晶相が単一金属化合物の混合で減少したことを示したからである。さらに、単純に2つの異なる単一金属塩を当量比で、Mg除去された化合物と混合することにより製造した混合物は、より少ないリン酸塩結合、またはより多くの二価カチオン放出(表2)を有することがわかった。
【0012】
単一種類の金属に基づくリン酸塩結合剤の例として、例えばオキシ水酸化鉄FeOOHがUS 617444およびEP 1932808に開示されており、あるいはランタン炭酸がUS2008/0187602に開示されている。しかしそれらは、製造中、時間による劣化(time ageing)を防ぐため、また鉄オキシドまたはランタンヒドロキシ炭酸の変換を防ぐために炭水化物安定剤の存在を必要とし、そして通常は低いリン酸塩結合能力を有する。
【0013】
以上より、緊急かつ幅広い範囲において、より効果的なリン酸塩結合剤が必要であり、それはすなわち、三価または二価イオンを血液中に放出せず、腸溶コーティングを必要とせず、かつ2〜8という広い範囲のpHにわたって効果的なリン酸塩結合剤である。
【発明の概要】
【0014】
ある態様において、本発明は、
(a)式(I):
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
の混合金属化合物であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物;および
(b)医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
【化1】

であることは理解されるだろう。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、薬物として用いるための混合金属化合物であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、リン酸塩結合するための薬物の製造における混合金属化合物の使用であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物の使用を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、高リン酸塩血症、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病(CKD)、骨石灰化における臨床的な劇的変化(骨軟化症、無形成骨疾患、線維性骨炎)、軟組織石灰化、高リン酸塩に伴う循環器疾患、二次性副甲状腺機能亢進症、リン酸塩の過剰治療、およびリン酸塩吸収をコントロールする他の症状のいずれかを予防または治療するための薬物の製造における混合金属化合物の使用であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物の使用を提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
混合金属化合物を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、酸、キレート剤、またはそれの混合物の処理によって、得るまたは得られる混合金属化合物
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
0<a≦0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
を提供する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(式中、1>a>0.4である)
のマグネシウム除去混合金属化合物の製造方法であって、該方法が
a)式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(式中、0<a≦0.4である)
の化合物を酸、キレート剤、またはそれの混合物と接触させ、
b)生じた化合物を適宜、熱処理にさらす、
段階を含み、いずれの式においても、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である、製造方法を提供する。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、
(a)本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物、および
(b)医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、薬物として用いるための、本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物を提供する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、リン酸塩結合するための薬物の製造における、本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物の使用を提供する。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、以下:高リン酸塩血症、代謝性骨疾患、メタボリックシンドローム、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病(CKD)、骨石灰化における臨床的な劇的変化(骨軟化症、無形成骨疾患、線維性骨炎)、軟組織石灰化、高リン酸塩に伴う循環器疾患、二次性副甲状腺機能亢進症、リン酸塩の過剰治療、およびリン酸塩吸収をコントロールする他の症状のいずれかの予防または治療のための薬物の製造における、本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物の使用を提供する。
【0026】
さらに本発明は、M−O結合距離が約2Å(オングストローム)[Extended X−Ray Absorption Fine Structure(EXAF)研究によって測定された]である金属の酸化水酸化物を含む除去化合物(除去された化合物)の製造方法を提供する。より具体的に、Mg・Fe混合金属化合物(実施例A)から生じた除去化合物では、中心の吸着鉄原子とそれに最も近い酸素原子との距離は1.994Å[第1殻距離(1st shell disctance)]である。中心吸着鉄原子とそれに最も近い鉄との距離(M−O−M距離)は3.045Å(第2殻距離)である。好ましいM−O結合距離の範囲は1.5〜2.5Åであり、好ましいM−O−M距離の範囲は2〜4Åである。
【0027】
驚くべきことだが、我々は以下のことを発見した。すなわち、コントロールされた条件下では、より可溶な金属を混合金属化合物(例えば、層状水酸化物構造または熱処理混合金属化合物)から取り除く一方で、「二価:三価」モル比が1未満であり、典型的なハイドロタルサイト(XRDで決定)を有する混合金属化合物の維持が可能であり;それによって、改善または維持されたリン酸塩結合、およびリン酸塩結合の間における二価または三価金属イオン(例えば、マグネシウム)のより少ない放出を有する、金属除去された混合金属化合物が作られるということである。加えて、金属除去された混合金属化合物は、リン酸塩結合を増加して、さらなる金属(例えば、マグネシウム)放出を抑えるために熱処理してもよい。金属除去された混合金属化合物は、国際公開第99/15189号および国際出願第GB2006/000452号の混合金属化合物よりも、優れたリン酸塩結合の特性を有する。金属除去された混合金属化合物では、マグネシウムが除去されてもよい。マグネシウム除去された混合金属化合物は、より可溶な二価マグネシウムイオンの含有量が少なく、より非可溶な三価鉄を多く含むので、結果的に、「二価Mg:三価Fe」の割合が、先に示した、リン酸塩結合のために用いられる固体混合金属化合物よりも著しく低い範囲にある。
【0028】
我々は、出発物質として硫酸アニオンの代わりに炭酸を用いることによって、混合金属化合物の酸性化においてより純粋な化合物をもたらすことを発見した(すなわち、より少ない量の硫酸が除去生成物に残る)。というのも、炭酸アニオンの酸性化では、水および二酸化炭素の形成のみが生じるからである。
【0029】
混合金属化合物とは、化合物の原子構造が、その構造を通して均一に分布する、少なくとも2つの異なる金属カチオンを含むことを意図する。混合金属化合物という用語には、2つの塩の結晶の混合物であって、各々の結晶型が1つの金属カチオンしか含まないものは含まれない。混合金属化合物は、通常、異なる単一金属化合物の溶液から共沈殿により生じるのであって、2つの異なる単一金属塩による単純な固形の物理的混合物とは違う。本明細書で用いられる混合金属化合物には、同じ種類の金属であるが、その金属が2つの異なる原子価状態にある[例えば、Fe(II)およびFe(III)]化合物、並びに1つの化合物に2以上の異なる種類の金属を含む化合物が含まれる。
【0030】
混合金属化合物は、不定形(非晶質)物質を含んでもよい。不定形という用語は、X線回折技術の検出限界以下の微結晶サイズを有する結晶相か、あるいはある程度の規則配列(ただし結晶回折パターンは示さない)を有する結晶相、および/または短距離規則配列(長距離規則配列ではない)を示す真の不定形物質を有する結晶相のいずれかを意味する。
【0031】
本発明の物質は、式(I)または(IV)の化合物の少なくとも1つを含んでもよい。例えば除去化合物の製造方法は、式(I)または(IV)の化合物のみならず、他の物質ももたらすかもしれない[例えば、単一(混合と逆に)金属化合物も製造方法の過程で形成されるかもしれない]。
【0032】
式(I)または(IV)の化合物の製造方法は、出発物質である化合物の構造の変化をもたらすかもしれない。したがって、式(I)または(IV)では、式(I)または(IV)の化合物における基本的な組成物のみを記載し、構造の定義を与えない。
【0033】
本発明の化合物または本発明の使用は、化合物の結晶のサイズが大きく成長するのを防ぐために、またリン酸塩結合が行われるための広い面積を維持するために、好ましくは時効(aging)または熟水処理をせずに形成される。式(I)の化合物はまた、良質なリン酸塩結合を維持するために、好ましくは、ポスト合成経路の間、微細な粒径の形態で維持される。好ましくは、体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が200ミクロン未満の粒径を有し、より好ましくは体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が100ミクロン未満の粒径を有し、最も好ましくは体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が50ミクロン未満の粒径を有する。
【0034】
本発明の化合物はまた、顆粒の形態で製造されてもよい。顆粒の形態で構成される場合、好ましくは、体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が1000ミクロン未満の粒径を有し、より好ましくは体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が750ミクロン未満の粒径を有し、最も好ましくは体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が500ミクロン未満の粒径を有し、そしてより好ましくは体積に基づいて式(I)の化合物の90%(d90)が250ミクロン未満の粒径を有する。
【0035】
本明細書で用いるように、用語「層状複水酸化物」(LDH)は、主層およびアニオン種を含む中間層ドメインに2種の金属カチオンを有する、合成または天然層状水酸化物を指す。化合物のこの広いファミリーはまた、層間ドメインがカチオン種を含む、より一般的なカチオン性クレイと比較して、アニオン性クレイと言われることもある。LDHはまた、対応する「Mg−Al」ベース無機物の多形の一つを参考にして、ハイドロタルサイト様化合物としても報告されている(“Layered Double Hydroxides: Present and Future”, ed, V Rives, 2001 pub. Nova Scienceを参照)。
【0036】
参照をし易くするために、上記および本発明のさらなる態様は、適当な見出しを設けて記載する。しかしながら、各々の区分の開示は、必ずしも各々の特定の区分に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書で論じられるように、本発明で用いる(例えば、本発明の組成物のために用いる)混合金属化合物は式(I)であってもよく、
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;および
1>a>0.4である]
化合物は電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む。
【0038】
好ましくは、混合金属化合物は、式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0≦z≦5である]
である。
【0039】
II/MIII
少なくとも1つの二価金属(MII)は、いずれの適した金属から選択されてもよい。MIIは、好ましくは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される。MIIは、さらに好ましくは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、およびNi(II)から選択される。その中でも、Mgが特に好ましい。
【0040】
少なくとも1つの三価金属(MIII)は、いずれの適した金属から選択されてもよい。MIIIは、好ましくは、Al(III)、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される。MIIIは、好ましくは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される。その中でも、Fe(III)が特に好ましい(特に、MIIがMgである場合)。MIIおよびMIIIは異なる金属であってもよく、またはそれらは異なる原子価状態であれば、同じ金属であってもよい。例えば、MIIがFe(II)であり、MIIIがFe(III)であってもよい。しかしながら、より好ましいのは、MIIおよびMIIIが異なる金属である。アルミニウム蓄積および毒性の合併症が問題とならない治療では、M(III)はAl(III)であってもよい。本発明の物質はいずれも、実質的にまたは完全にアルミニウムが存在しないことが好ましい。
【0041】
Fe(III)は特に好ましい。というのも、除去プロセスの間、該金属はMg(II)と同時に溶けないことを結果が示しており、Mg除去化合物の形成を可能にするからである。反対に、Mg・Alから製造された混合金属化合物は除去するのがより難しかった。その理由は、MgおよびAl金属が類似の溶解特性を有し、そのため等モル比に近い化合物が生じるからである。
【0042】
n−
アニオンAn−は、化合物が電荷中性であるという必要条件を満たすように選択され得る。An−は、好ましくは、炭酸、炭酸水素、硫酸、硝酸、ハロゲン化物および水酸化物から選択されるアニオンの少なくとも1つを含む。その中でも、炭酸が特に好ましい。
【0043】
n価アニオンAn−は交換可能なアニオンであることが好ましく、それにより、固体の混合金属化合物中にあるAn−原子価アニオンのリン酸塩交換を促進する。
【0044】
強く好まれる態様において、本発明で用いる(例えば、本発明の組成物のために用いる)混合金属化合物は、式(IV)の化合物であってもよい。
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
【0045】

本明細書で論じられるように、0≦d≦2である。
【0046】
ある態様において、dは0であってもよい。したがって、式(II):
II1−aIIIn−・zHO (II)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0およびΣcn<0.9aの式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;並びに
0<z≦5である]
の化合物が提供される。
【0047】
dが0である場合、好ましくはΣcn<0.9aである。
【0048】
さらなる態様において、dは0以外である。したがって、0<d≦2が想定される。
【0049】
ある態様において、0<d≦2である。好ましくは、dは1.5またはそれ未満であり、より好ましくは、dは1またはそれ未満である。本発明が提供するのは以下である。
0<d≦1
0≦d≦1
【0050】

ある態様において、bは0であってもよい。したがって、式(III)
II1−aIII(OH)n−c・zHO (III)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;並びに
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−d−cn=0、Σcn<0.9aの式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
の化合物が提供される。
【0051】
さらなる態様において、bは0以外である。したがって、0<b≦2が想定される。
【0052】
好ましくは、bは1.5またはそれ未満であり、1.2またはそれ未満であるか、あるいは好ましくは1またはそれ未満である。本発明が提供するのは以下である。
0<b≦1.5
0≦b≦1.5
0<b≦1.2
0≦b≦1.2
0<b≦1
0≦b≦1
【0053】

bが0でない場合;好ましくは、cは0.5であるか、あるいは好ましくは0.15またはそれ未満である。本発明が提供するのは以下である。
0<c≦0.5
0<c≦0.15
0≦c≦0.15
0.01<b≦0.15
0.01≦b≦0.15
【0054】

好ましくは、zは5またはそれ未満であり、好ましくは、zは2またはそれ未満であり、1.8またはそれ未満であるか、あるいは好ましくは1.5またはそれ未満である。本発明が提供するのは以下である。
0<z≦5
0<z≦2
0≦z≦2
0<z≦1.8
0≦z≦1.8
0<z≦1.5
0≦z≦1.5
【0055】

本発明の明細書から分かるように、aは1および0.4の間のいずれの値でもよい。したがって、1>a>0.4である。
【0056】
本発明の好ましい態様は以下である。
1.>a>0.4
0.98>a>0.5
0.98>a>0.6
0.98>a≧0.7
0.95>a≧0.7
0.90>a≧0.7
0.85>a≧0.7
0.80>a≧0.7
【0057】
0.98を超える「a」の値がもたらすのは、リン酸塩結合のより著しい減少であり、それは最大で75%に達する。理論に縛られないのであれば、0.98を超える「a」の値でリン酸塩結合が減少したのは、二価金属(マグネシウム)を完全に取り除いたためであると考えられる。さらには、鉄の損失のため、収量(除去反応後に、単離されたリン酸塩結合剤の量)は著しく減少した。これによって、化合物の構造は不安定になり、結果的にリン酸塩結合剤としての効果は減少する。一方で、「a」の値が0.98>a≧0.7である場合、リン酸塩結合はわずか10%前後しか減少しないかもしれない。「a」の値が0.7より小さい場合、リン酸塩結合はより高められるか、またはそのまま維持される。「a」の値が0.8を超える場合、二価金属(マグネシウム)放出の潜在力は、除去されていないリン酸塩結合剤に存在する二価金属の利用可能な総量の50%よりも多く、それによって、潜在的に、望ましくない金属放出を提供してしまう。結果として、好ましい範囲は0.80>a≧0.7であり、これは十分なリン酸塩結合と溶解可能な二価金属量の減少との間における最も良い妥協策を提供する。偶然にも、これはpH4〜6の領域内に落ち着くのであり、これは除去されていない物質について、最も大きいpH緩衝作用が観察されるpHであり、また結晶(ハイドロタルサイト)から非晶質構造への変換が観察されるpHでもある(表3)。通常、a≧0.7ならば、除去反応の収率は50%未満ではない(表5)。
【0058】
さらに、0.95を超える「a」の値の除去化合物は常時製造するのがより難しく、またリン酸塩結合は減少し、FeOOHのサンプル(「a」の値は1)に近づく。本明細書で既に論じたように、純粋なFeOOH化合物は、より不安定であり、また安定化剤(例えば、炭水化物)を必要とする。
【0059】
8、9またはより高いpH値で保たれた溶液を単離した化合物から得られる「a」の値の場合、リン酸塩結合は主に、溶液中のリン酸塩アニオンが、固体の層状複水酸化物または混合金属化合物中に存在するアニオンとイオン交換することによってのみ生じる。0.4より小さい「a」の値を有する層状複水酸化物構造または混合金属化合物の最大リン酸塩結合能力は、出発物質の範囲内における、交換可能なアニオンの量およびそれに伴う電荷によって制限される。加えて、0.4未満の「a」の値では、混合金属化合物の層の間における空間が取り得る大きさもまた、リン酸塩の交換を制限する。0.4より大きい「a」の値は、より不安定な層状複水酸化物構造を導くことが当業者に知られており、したがって、これらの組成物はこれまで、アニオン(例えばリン酸塩)の効果的な結合剤とみなされていなかった。驚くことだが、我々は、典型的な層状複水酸化物またはハイドロタルサイト構造が徐々に失われたとしても、リン酸塩結合は実際のところ増加するか、または通常は0.4より大きい「a」の値で維持され、そして「a」が0.98より大きい場合にのみ著しく減少することを発見した。より多量の三価金属は良質なリン酸塩結合を維持すると考えられており、というのも、三価金属がより少ないものの「a」の値が0.4より小さい化合物で観察されるようなリン酸塩結合の制限を有していないサンプルと比較して、金属水酸化物層でより高い正味の正電荷を有するからである。さらに、我々が発見したのは以下のことである。単一金属の三価金属水酸化物(例えば、三価鉄水酸化物またはクエン酸第二鉄化合物)はより効果の低いリン酸塩結合剤であって、これが示すのは、いくらかの二価金属の存在が好まれるが、しかし結果的に「a」の値が0.4を下回るような混合金属化合物の割合の量ではないということである。また、マグネシウムおよび鉄の塩の混合物から製造された単純な混合物は、さほど効果的ではない(表2)。
【0060】
薬物として用いる前に、金属ベースのリン酸塩結合剤を除去剤にさらしたことで、事実上、その後の胃における胃酸との接触において可溶化金属の放出は著しく減少し、一方で、驚くことに腸では良質なリン酸塩結合活性が維持された。
【0061】
(製造方法)
本明細書で論じられるように、本発明は、式(IV)の、マグネシウム除去された混合金属化合物の製造方法、並びに該製造方法によって得た/得られる混合金属化合物を提供する。
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(ここで式中、1>a>0.4である)
該方法は、以下の段階からなる:
a)式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(ここで式中、0<a≦0.4である)
の化合物を酸、キレート剤またはそれの混合物と接触させ、並びに
b)生じた化合物を適宜、熱処理にさらす。
[いずれも、式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
【0062】
本発明のある態様では、式(IV)において0<a≦0.4である化合物の処理によって得られた化合物を、さらに熱処理にさらす。用語「熱処理」は、か焼も意味する。
【0063】
HCl、HSO、クエン酸、EDTA、HNO、酢酸および硫酸アルミニウム[Al(SO]、並びにそれらの組合せから選択される除去剤を用いて、構造を金属中で除去するのが適している。好ましくは、酸またはキレート剤が塩酸である。
【0064】
除去の製造方法は、他のリン酸塩結合剤のために用いてもよい。好ましくは、この方法は金属ベースの結合剤のためであるが、非金属ベースのリン酸塩結合剤(例えば、セベラマータイプのポリマー)のために用いてもよい。
【0065】
除去剤の濃度は、約0.01Mから約5Mの範囲であってもよい。適切なのは(例えばマグネシウムにおいてそうであるように)、構造が除去される際に用いる除去剤の濃度が0.01Mから5M、好ましくは濃度が0.1Mから〜2M、より好ましくは0.5Mから1.5Mである。
【0066】
好ましくは、製造方法は、式(IV)の化合物で未処理のものと比較して、金属MIIO量を少なくとも10重量%低下させることを提供する。
【0067】
塩酸(HCl)の処理は、HClの濃度が0.01Mから5M、好ましくは濃度が0.1Mから2M、より好ましくは0.5Mから1.5Mで行なうのが適している。
【0068】
0<a≦0.4である式(IV)の化合物を、5分またはそれより長く、より好ましくは15分またはそれより長く、より好ましくは1時間またはそれより長い期間かけて処理してもよい。
【0069】
0<a≦0.4である式(IV)の化合物を、好ましくは1時間またはそれより短く、より好ましくは30分またはそれより短く、さらに好ましくは15分またはそれより短い期間かけて処理してもよい。
【0070】
最適な処理時間は、処理条件(例えば、出発物質の量、酸濃度、酸の種類、処理したpHなど)によって変えてもよい。より強い酸を用いる場合は最適な処理時間が短くなり、一方、より弱い酸を用いる場合は最適な処理時間が長くなる。
【0071】
酸強度は弱すぎないこが好ましく(0.1M未満)、というのもそれによって、生成時間が増加し、必要な酸の量が増加し得るからである。
【0072】
上記の処理によって、式(IV)の化合物から二価金属イオンが減少する。この処理は、本発明の化合物の形成を導くと考えられる。この結果、式(IV)の化合物の「a」の値は、対応する未処理の式(IV)の化合物の「a」の値と同じかそれより大きくなる。
【0073】
除去処理は、酸および/またはキレート剤濃度、および/または暴露時間に関して過剰でないことが好ましく、すなわちこれは2時間より多くの処理をすべきでないことを意味し、さもないと、最適未満のリン酸塩結合能力が見つかるかもしれない。
【0074】
pH=3以下での酸処理[すなわち、最初に添加した全て、およびpHを一定に維持するための処理は以下:pHが3の平衡に達するまで、十分な時間、化合物を酸と接触させて、次いで十分な時間(典型的には30分間)、平衡値で維持する]は、「a」の値を0.98よりも大きく増加させ、またリン酸塩結合の著しい減少をもたらす。従って、「a」が0.99未満であることが好ましく、より好ましくは0.95未満、さらに好ましくは0.9未満、最も好ましくは0.85未満である。過剰な酸処理は、化合物の完全な溶解とともに、リン酸塩結合能力または沈殿物の収率の著しい減少をもたらすかもしれないので、本発明の物質を完全に溶解しないことが好ましい。
【0075】
pHが5以下の酸処理は、結果的に、ハイドロタルサイト(XRDシグナル)の完全な 損失を生じさせる。理論に縛られないのであれば、pH5以下で得られる二価金属除去化合物は、結晶性ハイドロタルサイトから非結晶相への転移によってもたらされると考えられる。非結晶相は構造的に安定だが、pH3以下で得られた場合には、三価金属イオンの放出も起こす。結果的に、物質が除去される最適pH範囲が存在することになる。pH5で得られる除去化合物は、通常、0.85よりも大きくない「a」の値を有し、従って、式(I)の化合物が0.85またはそれ未満の「a」の値を有していれば好ましく、より好ましくは0.8またはそれ未満であるが、0.4未満ではなく、好ましくは0.5未満ではなく、さらに好ましくは0.6未満ではなく、最も好ましくは0.7未満ではない。0.7未満でない「a」の値が好ましいのは、「a」の値が0.7の除去化合物は、リン酸塩結合の間、溶液中に二価金属を放出するのを約50%減少させるからである。同等のリン酸塩結合能力を想定すると、腎臓患者が摂取した場合に、同等の50%未満のマグネシウムを含むマグネシウム除去MgFe混合金属化合物の平均的な日用量(すなわち、3〜4.5gの実施例A)は血清マグネシウムを0.12〜0.18mmol/l増加させることが予想され、一方で、除去されていない同等化合物の使用は0.24〜0.36mmol/l増加させることが予想される。対照的に、通常の機能の腎臓を持つ被験者では、除去された化合物または除去されていない化合物のいずれを取り込んだとしても、平均基準値の0.95mmol/lから血清マグネシウムの増加が見られない。コントロールされた使用であって、少量(すなわち、血清マグネシウムの増加が0.12mmol/l未満である)だが、過剰ではない(すなわち、血清マグネシウムの増加が0.24mmol/lより多くない)量のマグネシウム補給は、健康な被験者または腎臓患者にとって利益となるかもしれない。
【0076】
好ましくは、式(IV)の化合物の処理によって、酸またはキレート剤の処理で得るまたは得られる物質である式(IV)の化合物に関して、実質的に、標準的なリン酸塩結合方法(試験方法1a)に従って測定した場合に少なくとも5%高いリン酸塩結合能力をもたらすか、あるいは代表的な試験方法(試験方法1b、または方法1cもしくは1d)に従って測定した場合に25%より多くないリン酸塩結合能力の減少をもたらす。
【0077】
酸付加の程度をモニターするための適した方法は、pHの連続的な測定を用い、それには複合ガラス電極(VWR 6621759)を用いるpHメーター(Jenway 3520)を用いた。pHメーターは、どんな測定をする前にもまず、pH4、7および10の緩衝液でキャリブレーションした。溶液のpHは、室温(20±5℃)で、最少量の酸および/またはキレート剤の溶液を用いて調整した。pHを調整するために加えた量が、総量の60%を超えることは一度も無かった。
【0078】
化合物の二価金属除去をモニターする適した方法は酸化金属含有量の測定であり、すなわち、マグネシウム除去された化合物ではMgO含有量の測定である。この測定はXRF(PW2400 Wavelength Dispersive XRF Spectrometer)を用いる。
【0079】
化合物の二価金属除去をモニターする適した別の方法は、リン酸塩結合の間に化合物から放出されたマグネシウムを測定することである。
【0080】
好ましくは、処理後のマグネシウム除去された混合金属化合物は、MgO含有量(重量)で28%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは20%未満であるが、0.5%未満ではない。
【0081】
(製剤化)
リン酸塩上の1または2の負に帯電した酸素イオンと水酸化物の置換による固体中のM(III)金属中心との直接的なイオン相互作用を通して、リン酸塩も除去された化合物と結合することが考えられる。
【0082】
M(II)除去物質が由来した出発物質のpH緩衝領域の範囲内にあるpHの溶液から単離した化合物が、最も大きなリン酸塩結合の増加および/またはマグネシウム放出の減少を有することが発見された。例えば、混合金属化合物A(表3)はpH3〜8のpH緩衝特性を有し、最も著しいのはpH5〜7である。化合物「A」から単離されたMg除去化合物は全て、pH値3、8または9で単離された場合よりも、pH3〜8で単離された場合の方が、より多くのリン酸塩結合を示した(リン酸塩結合の試験方法1A)。非常に低いpH(pH3以下)で単離された除去化合物はより少ないリン酸塩結合、低い収率、そして三価カチオンのより顕著な溶解をもたらすのに対して、8または9の高いpH値で単離された除去化合物では、十分な除去がされないので出発物質を上回るようにリン酸塩結合の改善がされず、またより多くの二価金属の放出が見られた。
【0083】
M(II)除去の完了した化合物が生じた混合金属化合物の標準的な試験方法1aによって測定した場合、M(II)除去化合物によるリン酸塩除去の増加は、pH緩衝能力の増加と相関する。結果として、M(II)除去化合物中におけるヒドロキシ(OH)基の存在がリン酸塩を結合するのに好ましく、例えば以下のような式である:MII1−aIII(OH)、[MII1−aIII(OH)](An−、または式(I)、(III)もしくは(IV)であり、ここで1>a>0.4および0<d≦2である。
【0084】
リン酸塩結合はM(II)除去固体の表面においても行われるから、表面積の量も、M(II)除去化合物がどのくらいリン酸塩と結合できるかを決定する上で重要な性質の一つである。好ましくは、表面積は10m/gより多く、好ましくは50m/gより多く、より好ましくは100m/gより多く、最も好ましくは250m/gより多い。
【0085】
本発明の化合物または本発明に用いる化合物は、上述した適切な出発物質を塩酸で酸処理して製造するのが好ましい。本発明の物質を製造するために、他の化学薬品が適宜用いられてもよく、例えば他の酸やキレート剤を用いてもよい。他の製造経路が適宜用いられてもよく、例えば以下が用いられてもよい:スラリー処理、化合物を含む湿生濾過ケーキ、ウェットケーキ、製粉、乾燥化合物の製粉されていない形態、または反応段階の間pHをコントロールすること。好ましくは、pH10未満だがpH3未満ではなく、この範囲の間でpH5が好ましい。共沈殿経路の方法は、より少量の二価塩(すなわち、MgSO)を用いることによって適宜変えてもよい。適宜他の条件を用いてもよく、例えば、高い/低い温度条件、または圧力下条件などがある。
【0086】
上述したような適した出発物質の処理によって製造される本発明の物質は、金属MIIの水溶性化合物、および金属MIIIの水溶性化合物の第1溶液を提供することによって製剤化してもよく、なおアニオンは第1溶液から沈殿が生じないように選ばれる。第2溶液もまた提供され、それは水溶性の水酸化物(例えば、NaOH)および水溶性のアニオンAn−塩である(カチオンは、水酸化物またはアニオンと水酸化物からの金属とで沈殿しないように選択される)。そして2つの溶液を混合し、混合金属化合物を出発物質の共沈殿によって形成する。それは、固体の結晶性物質を含み、また通常はいくらかの固形不定形物質も存在する。好ましくは、そのように形成された少なくともいくつかの物質は層状複水酸化物および/またはハイドロタルサイト構造であり(通常は、いくらかの不定形および/または不十分な結晶物質も有する)、好ましくは共沈殿後、次いで物質を濾過また遠心分離し、洗浄し、熱乾燥する。
【0087】
出発物質は、出発物質の熱処理(か焼)によって製造されてもよい。あるいは、リン酸塩結合を改良するために、除去物質が熱処理(か焼)されてもよく、好ましくは500℃またはそれ未満の温度である。500℃またはそれ未満のか焼温度は、スピネルタイプの化合物の形成を防ぎ、リン酸塩結合を最適化するのに好ましい。
【0088】
処理の副産物である水溶性塩を除去するために、物質を洗浄するのが好ましい。これらの水溶性塩が多量に単離固体と混合したままである場合、後の固体は潜在的に、そのリン酸塩結合の性質に悪影響を及ぼすかもしれない。物質は、後述する乾燥の後、水溶性塩(水中で1g/リットルまたはそれ以上のの溶解性を有する)の残っている量が固体混合金属化合物の15重量%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満となるように洗浄するのが好ましい。というのも、特に除去プロセス(例えば、HClで酸処理)では、除去処理の副産物として、二価金属(すなわち、MgCl)の水溶性塩が形成されるからである。我々が発見したのは、水溶性塩を除去するためには、何回も繰り返し洗浄することが必要であることである。
【0089】
除去化合物を単離し(あらゆる単離を意味し、例えば濾過、遠心分離またはデカンテーション)、洗浄した後、乾燥は好ましくは低い温度(例えば、生成物温度または乾燥機温度を上げるのは120℃まで)で行われ、例えば、乾燥機、噴霧または流動層により乾燥した。
【0090】
大きすぎる粒子を製粉および/または篩過および/または他の任意の技術(例えば、処理される物質を、実質的に直径が100μmよりも大きくない粒子に制限するなど)によって取り除くために、適宜、乾燥物質を酸処理前に分類してもよい。篩過で測定して直径が106μmより大きいものは、粒子の10重量%未満、より好ましくは5%未満である。最も好ましくは、全ての粒子の直径が、篩過で測定した106μmよりも大きくないことである。
【0091】
典型的には、乾燥物質を必要な処理に直接さらすのであって、好ましくはHClの濃度が0.01Mから5M、好ましくは濃度が0.1Mから2M、より好ましくは0.5Mから1.5Mであり、そして処理時間は5分またはそれより長く、より好ましくは15分またはそれより長く、より好ましくは1時間またはそれより長い時間である。化合物は、好ましくは1時間またはそれ未満の時間処理され、より好ましくは30分またはそれ未満であり、より一層好ましくは15分またはそれ未満である。
【0092】
適宜、湿生濾過ケーキまたはスラリー物質を処理に直接さらしてもよい。
【0093】
本発明における好ましい製造方法は以下で列挙されている。
式(II):
II1−aIIIn−・zHO (II)
(ここで、「a」の値は0.2〜0.4が適している)
の化合物、または式(III):
II1−aIII(OH)n−・zHO (III)
(ここで0<a<0.4)
を含む化合物(20g)を準備し、水(500ml)中でスラリーし、pH3〜9の範囲から選択される値で、一定に保たれるpH値に物質を維持し(ここで、4〜8が好ましく、5〜7が最も好ましい)、その際に時間は60分間、好ましくは30分間、より好ましくは15分間またはそれ未満であり、酸および/またはキレート剤を一緒に用いた(好ましくはHClの濃度が0.01Mから5M、より好ましくは濃度が0.1Mから2M、より好ましくは0.5Mから1.5M、最も好ましくは1MのHClである)。次いで、スラリーを濾過し、200mlの水で洗浄した。好ましくは200mlまたそれより多く、より好ましくは600mlまたそれより多く、最も好ましいのは3000mlまたそれより多くである。濾過または遠心分離をし、洗浄した後、乾燥を好ましくは低い温度(例えば、生成物の温度を上げるのは120℃まで)で行ない、例えば、乾燥機、噴霧または流動層により乾燥した。次いで、大きすぎる粒子を、製粉によりサイズを小さくし、および/または篩過により取り除き、および/または、例えば、物質を実質的に直径が100μmよりも大きくない粒子に制限するために、他の任意の技術を用いる。篩過で測定した直径が106μmより大きいのは、粒子の10重量%未満、より好ましくは5%未満であることが好ましい。最も好ましくは、全ての粒子の直径が、篩過で測定した106μmよりも大きくないことである。
【0094】
好ましくは、後述する試験を用いて金属MIIの損失を測定する場合、処理によって、酸処理化合物からの金属MIIの溶液中への損失量は、未処理化合物からの損失と比較して少なくとも5重量%の減少がもたらされる。
【0095】
本発明の物質は式(I)または式(IV)の化合物の少なくとも1つを含んでもよいが、出発物質を製造するための上述の方法によって、他の物質も中間生成物に存在するかもしれず、例えば最終産物中に式(II)および/または(III)の化合物、あるいは例えば共沈殿または除去プロセスの間に形成し得る単一(混合とは逆)金属化合物が存在するかもしれない。
【0096】
(リン酸塩結合能力の測定)
簡単なリン酸塩溶液中におけるインビトロリン酸塩結合試験
リン酸塩結合能力を測定するための具体的な方法は、本節においてより詳しく述べられている。本方法は、実際に実施例で用いられた方法である。しかしながら一般論として、本明細書の至るところでは、特にことわりがなければ、リン酸塩結合能力パーセントに関するいかなる記載も好ましくは以下の方法によって測定された方法である。本発明の物質(0.4グラム)を、ナトリウムリン酸塩溶液(10ml、40mmol l−1)に加えて、最適のpHに調節した。好ましくは、本明細書で引用されるいかなるリン酸塩結合能力パーセンテージも3〜7(より好ましくは2〜8)の範囲にわたるpH値の測定値で維持される。サンプルを均一化し、室温(20℃)で30分間穏やかに撹拌した。続いて、3000rpmで5分間遠心分離し、その上澄みを0.22μmのミリポア・フィルターを通して濾過した。上澄部における可溶なリン酸塩を測定した。次いで、リン酸塩結合剤によるリン酸塩結合パーセントを、未処理のリン酸塩出発溶液と比較して計算した。
【0097】
ヒト胃腸菅モデルにおけるリン酸塩結合試験
インビトロ・リン酸塩結合試験は、高リン酸塩血症の治療における、リン酸塩結合剤の有効性の評価に関する文献で広く実証されている。リン酸塩結合試験の原理をインビボ環境に用いることは、広く許容されている。これをさらに例証するために、我々はまた、試験食(test meal)の存在下で、洗練された胃腸モデル(これをtiny−TIMと名付けた)においても、リン酸塩結合活性を測定した。
【0098】
実施例A、2および5の500mgのMg除去された生成物のリン酸塩結合を、カプセル剤(ゼラチンカプセル)に入れ、ヒト胃腸菅モデルであるtiny−TIM(TNO社、ザイスト、オランダ)に投与した。このモデルの詳細は広く公開されており、例えばUS 5525305などに開示されている。これらの実験を、ヒトに代表される胃腸管の平均的な生理的条件下で行った。これらの条件には、胃内容排出および腸通過時間の動態、胃および腸のpH値、並びに組成物、および分泌物の活性が含まれる。リン酸塩結合能力を、生物学的に利用できるリン(腸内吸収で利用できるフラクション)の減少から測定した。
【0099】
「リン酸塩」は、溶液中の全てのリン酸塩を指す。溶液のpHによっては、この「リン酸塩」は、PO3−、HPO2−、HPO4−またはHPOの形であり得る。
【0100】
(医薬組成物)
医薬的に許容される担体は、本発明の物質が製剤化され、その投与が容易となるようないずれの物質であってもよい。担体は固体または液体であってもよく、それらは通常、気体であるが、液体を形成するために圧縮されたものも含まれ、また医薬組成物の製剤化に通常用いられるいずれの担体を用いてもよい。好ましくは、本発明の組成物は0.5重量%〜95重量%の活性成分を含む。「医薬的に許容される担体」という用語は、希釈剤、賦形剤または補助剤を包含する。
【0101】
本発明の物質が医薬組成物の一部である場合、それらをいずれの適した医薬組成物にも製剤化することができる[例えば、散剤、顆粒剤、顆粒、小袋(sachet)、カプセル剤、スティック・パック(stick pack)、バトル(battle)、錠剤]。それは特に経口投与に適した形態であって、例えば固形単位投与形態(例えば、錠剤またはカプセル剤など)、または液体形態(例えば、液体懸濁液であり、特に水性懸濁液)、あるいは半固体状製剤[例えば、ゲル、チューイング棒(chewy bar)、分散液用量、チューイング用量形態(chewable dosage form)または食用小袋(edible sachet)]である。食べ物に直接添加してもよい。身体の外部に適した投与形態、または静脈内投与でさえも可能である。適した製剤は、周知技術によって通常の固体担体(例えば、ラクトース、デンプン、または滑石)または液体担体(例えば、水、脂肪油または液体パラフィン)を用いて行なうことができる。用いてもよい他の担体には、以下が含まれる。動物または野菜タンパク質に由来する物質(ゼラチン、デキストリンおよび大豆、小麦およびオオバコの種子タンパク質など);ゴム(アカシア、グアー、寒天およびキサンタンなど)多糖類;アルギン酸塩;カルボキシメチルセルロース;カラギナン;デキストラン;ペクチン;合成ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);ポリペプチド/タンパク質または多糖類複合体(ゼラチン−アカシア複合体など);糖(マンニトール、デキストロース、ガラクトースおよびトレハロースなど);環状糖類(シクロデキストリンなど);無機塩(リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびケイ酸アルミニウムなど);並びに2〜12炭素原子を有するアミノ酸(グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンおよびL−フェニルアラニンなど)。
【0102】
補助成分(錠剤崩壊剤、可溶化剤、保存剤、抗酸化剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、香味剤、pH調節剤、甘味剤または味覚マスキング剤など)もまた、組成物に組み込んでもよい。適切な着色剤には、赤、黒および黄色酸化鉄、およびEllis & Everardから入手可能なFD&C染料(FD & C blue No.2 および FD & C red No.40 など)が含まれる。適切な香味剤には、ミント、ラズベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、チェリーおよびグレープフレーバー、並びにこれらの組合せが含まれる。適切なpH調節剤には、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、酒石酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適切な甘味剤には、アスパルテーム、アセサルフェームKおよびタウマチンが含まれる。適切な味覚マスキング剤には、炭酸水素ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン含有化合物、吸着質またはマイクロカプセル化された活性物質が含まれる。
【0103】
高リン酸塩血症の治療または予防のために、活性化合物として好ましくは0.1〜500mg、より好ましくは1〜200mg/体重kgの量の本発明の物質が、目的の結果を得るために毎日投与された。しかしながら、患者の体重、適用方法、患者の動物種、および薬物への個々の反応、または製剤の種類、または薬物が適用される時間もしくは間隔に応じて、上記の量から逸脱することが時々必要となる。特別な場合には、上記の最小量よりも少ない量を使用することが十分であってもよく、他の場合には、最大用量を超えなければならないかもしれない。より大きな用量について、用量をより少量のいくつかの単一用量に分割することが望ましいかもしれない。最終的に、用量はかかりつけ医の裁量に依存するだろう。通常は食事の直前(例えば食事の前または食物の摂取の前1時間以内)に投与するのが好ましい。
【0104】
ヒト大人投与のための典型的な単一固形単位用量は、本発明の物質を1mg〜1g(好ましくは10mg〜800mg)含んでもよい。
【0105】
固形単位投与形態はまた、放出速度制御添加剤を含んでもよい。例えば、本発明の物質を、体液と接触する際にマトリクスから段階的に該物質が浸出するように、疎水性ポリマーマトリクス内に保持してもよい。あるいは、本発明の物質を、体液の存在下で段階的にまたは急速に溶解する親水性マトリクス内に保持してもよい。錠剤は異なる放出特性を有する2以上の層を含んでもよい。層は、親水性層、疎水性層、または親水性および疎水性層の混合物であってもよい。多層錠の隣接層は、不溶性障壁層または親水性分離層によって分離してもよい。不溶性障壁層は、不溶性包装を形成するために用いられる物質を形成してもよい。親水性分離層は、分離層が溶解するにつれて錠剤コアの放出層がさらされるような、錠剤コアの他の層よりも可溶な物質から形成されてもよい。
【0106】
適切な放出速度制御ポリマーには、ポリメタクリレート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラギナン、酢酸セルロース、ゼインなどが含まれる。
【0107】
水性液体と接触して膨潤する適切な物質には、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリル酸カリウム ジビニルベンゼンコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドン、および高分子量ポリビニルアルコールから選択される高分子材料が含まれる。
【0108】
本発明の物質を含む固形単位投与形態は、容器に一緒に包装されるか、または例えば患者への手引きのためにそれぞれの用量に対して週の日数でマークされた箔片、ブリスター包装などにより提供してもよい。
【0109】
例えば高齢者または小児患者の場合に、患者コンプライアンスを改善することができる剤形の必要性もある。粉末剤の形態の剤形は、水で希釈するか、再構成されるか、分散するかのいずれかであり得る。
【0110】
(組合せ)
本発明の化合物は、それを唯一の活性成分としてか、または他のリン酸塩結合剤(例えば、セベラマーHCL、セベラマー炭酸、炭酸ランタン、酢酸カルシウムまたは炭酸カルシウム)と組み合わせて用いてもよい。それはまた、カルシウム擬態薬(例えば、シナカルセット、ビタミンDまたはカルシトリオール)と組合せて用いてもよい。さらには、胃腸系のNa−Pi−2bナトリウム依存リン酸塩共トランシポーターを直接的に阻害することを介して透析患者におけるリン酸塩量を低下させるために、ナイアシン(ニコチン酸、ビタミンB3)およびそれの代謝物ニコチンアミドと組合せて用いてもよい。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、高リン酸塩血症の予防または治療のための薬物の製造における、本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物の使用を提供する。
【0112】
本発明のさらなる態様において、除去された化合物は可溶炭水化物(例えば、ショ糖のようなグルコース誘導体)と、または非可溶炭水化物(例えば、デンプン、デキストラン、デキストリン)と組み合わせて用いてもよい。その炭水化物は貯蔵または製造の間における、副産物への熟成、形質変換または分解を防ぐこと、あるいは過剰乾燥を防ぐことが要求されるかもしれない。過剰乾燥は、リン酸塩結合能力の損失をもたらすかもしれない。
【0113】
(用途)
本明細書で論じられるように、本発明は薬物として用いるための混合金属化合物を提供し、ここで混合金属化合物は式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であり、化合物は電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む。
【0114】
さらなる態様において、本発明はリン酸塩を結合するための薬物の製造における、混合金属化合物の使用を提供し、ここで混合金属化合物は式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であり、化合物は電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む。
【0115】
さらなる態様において、本発明は、高リン酸塩血症、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病(CKD)、骨石灰化における臨床的な劇的変化(骨軟化症、無形成骨疾患、線維性骨炎)、軟組織石灰化、高リン酸塩に伴う循環器疾患、二次性副甲状腺機能亢進症、リン酸塩の過剰治療、およびリン酸塩吸収をコントロールする他の症状のいずれか1つの予防または治療のための薬物の製造における混合金属化合物の使用を提供し、ここで混合金属化合物は式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であり、化合物は電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む。
【0116】
さらなる態様において、本発明は、高リン酸塩血症、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病、およびリン酸塩の過剰治療のいずれか1つの予防または治療のための薬物の製造における混合金属化合物の使用を提供し、ここで混合金属化合物は式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であり、化合物は電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む。
【0117】
好ましくは、化合物は高リン酸塩血症の予防または治療のための薬物の製造において使用される。
【0118】
さらなる態様において、本発明は、高リン酸塩血症、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病、およびリン酸塩の過剰治療のいずれか1つの予防または治療のための薬物の製造における、本発明の化合物または本発明において得る/得られる化合物の使用を提供する。
【0119】
CKDの危険性を示唆し得る、1またはそれ以上の徴候の例を下記に示す:
クレアチン濃度が1.6mg/dL以上、
血中リン酸塩量が4.5mg/dL以上、
尿中でわずかでも検出できる血、
尿タンパク質濃度が100mg/dL以上、
尿アルブミン濃度が約100mg/dL以上、
糸球体濾過速度(GFR)が90mL/分/1.73m2以下、または
血中の副甲状腺ホルモン濃度が150pg/mL以上。
その症状はまた、米国腎臓財団の Kidney Disease Outcomes Quality Initiative (「NKF−K/DOQI」または「K/DOQI」)にも定義されている。
【0120】
ある好まれる態様において、本発明によって治療される慢性腎臓病(CKD)は、第1段階から第5段階のCKDである。
【0121】
薬物は動物に対して用いてもよく、好ましくはヒトである。
【0122】
式(I)、(II)、(III)および(IV)は、全体の電荷中性を保持するように解釈されるべきであることに注意する。
【0123】
続いて、以下の非限定例によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1はグラフを示し、図2もグラフを示す。
【0125】
(化合物の製造方法)
(a):式(II)の化合物(実施例B)および式(III)の化合物(実施例A、C、D、E、F、G)並びに単一金属タイプ比較のための化合物(表2に記載されている)の製造
実施例A、C、D、EおよびFと命名された出発物質は、共沈殿経路により、国際公開第99/15189号に記載された方法によって製造した。実施例Bと命名された出発物質は、500℃で3時間熱処理するような、国際出願第GB2006/000452号に記載された方法によって製造した。
【0126】
実施例A、B、C、Dの物質は「Mg:Fe」が2:1の割合、実施例Eは4:1の割合であることをターゲットにした。実施例Fは、「Mg:Al」割合が3:1であることをターゲットにした。特に断りがない限り、洗浄し、製粉し、篩過した物質(実質的に直径が100μmより大きくない粒径)から元素組成を決定した。分析して分かった実際の分子式は以下である:
実施例A:[Mg0.67Fe0.33(OH)][(CO0.17(SO0.01.0.43HO][NaSO0.03
実施例B:[Mg0.67Fe0.331.11][(CO0.06.0.22HO]
実施例C:実施例A(スラリーの形態)
実施例D:実施例A(ウェットケーキの形態)
実施例E:[Mg0.80Fe0.20(OH)][(CO0.16(SO0.01.0.60HO][NaSO0.03
実施例F:[Mg0.75Al0.25(OH)][(CO0.13.zHO]
実施例G:[MgFe2+Fe3+(OH)12CO.nHO]
実施例H:FeOOH(純度99%)、シグマ・アルドリッチから購入
実施例I:Fe(純度99%)、シグマ・アルドリッチから購入
実施例J:FeOOH(66%)/MgOH(34%)の混合
実施例K:FeOOH(82%)/MgOH(18%)の混合
実施例L:Fe(66%)/MgO(34%)の混合
実施例M:Fe(82%)/MgO(18%)の混合
実施例N:[Mg0.01Fe0.99(OH)n−c・zHO]
実施例O:[Mg0.5Fe0.5(OH)n−c・zHO]
実施例P:Fe(O)OH
実施例Q:炭酸ランタン
【0127】
実施例Gを、塩化鉄、マグネシウムおよび硫酸鉄塩(各々1:1:1の割合)の共沈殿による、国際公開第99/15189号に記載された方法を用いて製造した。その生成物を、凍結乾燥によって単離した。
実施例J〜Kを、Fe(O)OHおよびMgOH水酸化物の混合物によって製造して、重量%で「Fe(O)OH:MgOH」の割合が「66:34」および「82:18」を有する生成物を生じさせた。そのサンプルを製粉および/または篩過して、実質的に直径が106μmより大きくない粒径にした。
実施例L〜Mを、FeおよびMgOオキシドの混合物によって製造して、重量%で「Fe:MgO」の割合が「66:34」および「82:18」を有する生成物を生じさせた。そのサンプルを製粉および/または篩過して、実質的に直径が106μmより大きくない粒径にした。
実施例NおよびOと命名された出発物質を、共沈殿経路により、両方とも「Mg:Fe=1:1」のモル比を有するように(すなわち、硫酸鉄および硫酸マグネシウムの塩を、1:1のモル比で共沈殿させた)、国際公開第99/15189号に記載された方法によって製造した。実施例NはpH5で沈殿させて製造し、実施例OはpH10で沈殿させて製造した。実施例Pと命名された出発物質を、国際公開第WO2008/071747(A1)号で記載さているような、Fe(O)OH方法を用いて合成した。
実施例Qを、市販品として入手可能Fosrenol(La炭酸)から製造した。その物質を製粉および/または篩過して、実質的に直径が106μmより大きくない粒径にした。
【0128】
(b):式(I)または(IV)の化合物の製造
表1のM1による、除去化合物の実際の製造は後述する。20gの出発物質(化合物実施例A〜Eの化合物のいずれか1つ)を取り、水中(500ml)でスラリーし、すぐにpHを測定し、1MのHCl(除去剤)を加えることにより、pHを3で30分間、一定に維持した。スラリーを得て、次いでそれを濾過し、水(200ml)で洗浄し、乾燥機で乾燥した(120℃で3時間)。次いで、製粉および篩過して大きすぎる粒子を取り除き、篩過して直径が106μmよりも大きくない粒径とした。次いで、別の除去剤、別の強さ、別の処理時間、そして別の製造pHを用いて行うことにより、M1の除去方法を変えた。
【0129】
除去剤をHCl、HSO、クエン酸、EDTA、HNO、酢酸から選択し、またHClのモル濃度は1Mおよび5Mから選択した。反応培地を、水またはリン酸塩水溶液から選択した。酸付加の間の接触時間を15分、30分または60分から選択した。製造pHを3、4、5、6、7、8、または9から選択した。
【0130】
その方法は以下の表1に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

(i)除去 pHが6未満なら、除去剤の90%を最初の10分で加え、残りを20分かけて加えた。除去pH6が以上なら、除去剤の75%を最初の5分で加え、残りを25分かけて加えた。
(ii)目的のpHを得るために、0分における除去剤の固定量を添加
(iii)添加速度は、最初の40分間が10ml/分、次の20分間は5ml/分、最後の10分間は2.5ml/分であり、添加時間の合計は70分である。
【0131】
したがって、様々な方法から酸処理物質が得られ、それらを次いで、リン酸塩結合能力、可溶性マグネシウム、表面吸水量に関して試験し、またX線回折分析を行なった。用いた方法は以下に記載されている。
【0132】
各サンプルについて用いた個々の除去方法を特定するために、各方法の識別番号(例えばM1)を以下の試験で用いる。
【0133】
除去化合物を錠剤化する製造方法
実施例2(表2)の除去された化合物(80.00%w/w)、予めゲル状にしたデンプン(15.00%w/w)、および微粉化したクロスポビドン(5.00%w/w)を含む乾燥混合物をミキサー/ブレンダーの中で作り、次いで精製水を加えて、混合物の顆粒化を達成した。同じAPIを必要とする、さらなる顆粒のバッチはいずれも、乾燥前に作って、合わせた。次いで、顆粒を流動層乾燥機で乾燥し、目的の湿気である5〜7%w/wにし、高速ブレードミルで製粉し、425ミクロンの開口部の篩に通過させた。次いで、篩過顆粒を0.25%w/wの篩過ステアリン酸塩マグネシウムと混合し、錠剤化するための物質を生成した。
錠剤を作ったのだが、これは両凸長方形穿孔器(double convex oblong punch)および型打ち機(die set)を用いる、Manesty F3 single station press において可能であった。錠剤の目的硬度は、Holland C50 tablet hardness tester で測定したように、10〜15Kgであった。
錠剤のコーティングは、熱気ガン(hot air gun)によって供給された錠剤を乾燥するために、熱気と一緒の回転バスケット(rotating basket)の中、錠剤の核とハンド・ヘルド・スプレー・ガン(hand held spray gun)を用いて達成した。
コーティング懸濁液には、以下が含まれる:84.03%w/w 水、0.81%w/w ドデシル硫酸ナトリウム、8.075%w/w Eudragit EPO、1.21%w/w ステアリン酸塩、2.09%w/w タルク、2.8285w/w ステアリン酸塩マグネシウム、0.643%w/w 二酸化チタン、および0.323%w/w 酸化鉄。達成されたコーティングの重量は、コーティングされていない錠剤重量に基づいて、4.0〜6.66%w/wであった。コーティングされた錠剤の崩壊時間は決定しなかった。実施例2の除去された化合物を含む錠剤に関して、リン酸塩結合およびマグネシウム放出(標準方法)は各々0.54mmol/gおよび0.157mmol/gであるのに対して、除去されていない化合物を含む錠剤は、リン酸塩結合およびマグネシウム放出について各々、0.63mmol/gおよび0.16mmol/gを示した。
【0134】
(試験方法1)
(a)標準方法を用いる、リン酸塩結合能力および溶性マグネシウム/鉄の決定
40mMのリン酸ナトリウム溶液(pH4)を製造し、リン酸塩結合剤で処理した。次いで、遠心分離した、リン酸塩溶液および結合剤の混合物の上澄みを希釈し、Fe、MgおよびP含有量について、ICP―OESによって分析した。後者の分析技術は当業者によく知られている。ICP−OESは、「inductively coupled plasma optical emission spectroscopy」の頭字語である。
【0135】
この方法で用いられた試薬は以下:リン酸二水素ナトリウム一水和物(アルドリッチ)、1Mの塩酸、AnalaR(登録商標)水、標準的な亜リン酸溶液(10.000μg/ml、ロミール社)、標準的なマグネシウム溶液(10,000μg/ml、ロミール社)、標準的な鉄溶液(1.000μg/ml)、塩化ナトリウム(BDH)。
【0136】
用いられた特定の装置は、遠心分離機(Metler 2000E)、血液チューブ・ローテータ(blood−tube rotator)(Stuart Scientific)、ミニシェイカー(MS1)、ICP−OES、血液回収チューブ(blood collection tube)。
リン酸塩緩衝液(pH=4)は、5.520g(±0.001g)のリン酸二水素ナトリウムを量り、続いてAnalaR(登録商標)水を添加し、1リットル容積測定のフラスコに移すことにより、製造した。
【0137】
次いで、1リットル容積測定のフラスコにHCl(1M)を滴下して加え、pHをpH4(±0.1)に調整し、添加の間は混合をした。次いでAnalaR(登録商標)水を用いて容積を正確に1リットルにし、徹底的に混合した。
【0138】
各サンプルの0.4g(±0.005g)を量り、血液回収チューブに供給し、ホールディング・ラック(holding rack)に入れた。全てのサンプルを2つ作り、溶液の温度を20℃で維持した。一定分量(10ml)のリン酸塩緩衝液を各血液回収チューブ(あらかじめ量った試験物質を含む)にピペットし、ねじぶたを絞めた。その容器をミニシェイカーで約10秒間撹拌した。容器を血管チューブ・ローテータに移し、30分(±2分)間混合した。次いで、容器を3000rpm、20℃で5分間遠心分離した。サンプルを遠心分離機から取り除き、上澄みの一定分量(2.5ml)をピペットし、未使用の血液回収チューブに移した。7.5mlのAnalaR(登録商標)水を各一定分量(2.5ml)にピペットし、ねじぶたを絞め、徹底的に混合した。次いで、その溶液をキャリブレーションされたICP−OESで分析した。
【0139】
リン酸塩結合能力を以下により決定した:
リン酸塩結合(mmol/g)=[S(mmol/l)−T(mmol/l)]/W(g/l)
ここで、
=リン酸塩結合剤と反応した後の、リン酸塩溶液中のリン酸塩の測定値。溶液P(mg/l)4/30.97。試験方法1aではTを用い、また試験方法1b、1cおよび1dではTの代わりにTを用いた。
=リン酸塩結合剤と反応する前の、リン酸塩溶液中のリン酸塩の測定値。
W=試験方法で用いた結合剤の濃度(g/l)(すなわち、0.4g/10mlの試験方法1aでは40g/l)。
【0140】
マグネシウム放出を以下により決定した:
マグネシウム放出(mmol/g)=[TMg(mmol/l)-SMg(mmol/l)]/W(g/l)
ここで、
Mg=リン酸塩結合剤と反応した後の、リン酸塩溶液中のマグネシウムの測定値。溶液Mg(mg/l)4/24.31。試験方法1aではTMgを用い、試験方法1b、1cおよび1dではTMgの代わりにTMgを用いた。
【0141】
Mg=リン酸塩結合剤と反応する前の、リン酸塩溶液中のマグネシウムの測定値。
【0142】
鉄放出を以下により決定した:
鉄放出(mmol/g)=[TFe(mmol/l)−SFe(mmol/l)]/W(g/l)
ここで、
Fe=リン酸塩結合剤と反応した後の、リン酸塩溶液中の鉄の測定値。溶液Fe(mg/l)4/55.85。試験方法1aではTFeを用い、試験方法1b、1cおよび1dではTFeの代わりにTFeを用いた。
【0143】
Fe=リン酸塩結合剤と反応する前の、リン酸塩溶液中の鉄の測定値。
【0144】
リン酸塩結合能力、マグネシウム放出および鉄放出に関する結果は、標準方法により測定しており、表2、3および4で見ることができる。
【0145】
(b)0.4gリン酸塩結合剤/10mlで代表的方法を用いる、リン酸塩結合能力および溶性マグネシウム/鉄の決定
標準的なリン酸塩結合試験の試験方法1(a)には、pH4に調整したリン酸塩緩衝液の使用が含まれる。この試験のpHは、実施例A〜Fの混合金属化合物の添加後、pH4から約8.5〜9まで増加することがわかった。したがって、我々は、胃における条件(低いpH値である3)としてより代表的な方法であって、またリン酸塩結合の間にpHが上昇してもよい標準的なリン酸塩結合試験とは反対に、リン酸塩結合の間にHCl(1M)を加えることで一定のpH値を維持する方法によってもリン酸塩結合能力を測定した。
【0146】
(リン酸塩結合およびマグネシウムまたは鉄放出を測定するための)代表的方法では、標準的なリン酸塩結合試験の試験方法1(a)のように維持した(すなわち、0.4gのリン酸塩結合剤を、10mlのリン酸塩緩衝液中に分散させた)。溶液の温度は20℃。pHをモニターするために、サンプルを Sterling Jar に入れて量った。このジャー(jar)を攪拌皿に置いた。10mlのリン酸塩緩衝液をサンプルに加え、その後ですぐにpHをpHプローブによってモニターし、それを30分間行ない、pHは滴定装置によって供給した1MのHClを用いてpH=3に維持した。pHを調整するために加えた酸の総量が、総量の61%を超えることは一度もなかった。代表的方法において、pH調整のために用いる酸の量は、実施例1〜5(除去)および実施例A(=出発物質すなわち、除去されていない)で後述する。他の化合物に関して、pHを一定に維持するために必要とされる酸の量もリン酸塩結合試験の間に記録し、後述する式(その式は酸付加から生じる希釈のために測定濃度が修正されている)に用いた。
実施例番号 V(ml)[代表的方法で、pH調整のために用いるHCl(1M)量]
1 0
2 0.5
3 1.0
6 5.7
A 6.1
このデータから明らかなことだが、より高いpHで除去されたサンプルに関しては、よりいっそうのpH調整が必要であった。
【0147】
次いで、代表的方法のリン酸塩結合並びにMgおよびFe放出データは、酸付加に起因して、リン酸塩または化合物濃度の希釈に関して修正がされた(というのも、リン酸塩結合並びにMgおよびFe放出は、リン酸塩結合と反応する前後における違いから測定しているからである)。修正には以下の式が用いられた:
=T(10ml+V)/10ml
Mg=TMg(10ml+V)/10ml
Fe=TFe(10ml+V)/10mlであり、
ここで、
=リン酸塩結合剤と反応した後のリン酸塩の測定濃度
=Tと同一であるが、酸付加のため、希釈に関して修正した濃度
Mg=リン酸塩結合剤と反応した後のマグネシウムの測定濃度
Mg=TMgと同一であるが、酸付加のため、希釈に関して修正した濃度
Fe=リン酸塩結合剤と反応した後の鉄の測定濃度
Fe=TFeと同一であるが、酸付加のため、希釈に関して修正した濃度
【0148】
リン酸塩結合の30分後、スラリーを血液サンプル・チューブ(約10ml)に移し、3000RPMで5分間遠心分離した。次いで、標準的なリン酸塩結合の試験方法1のように、(a)2.5mlの上澄みを、別の回収チューブにあるAnalaR水で希釈して10mlにし、ICP分析の準備をした。
【0149】
代表的方法で測定された、リン酸塩結合能力、マグネシウム放出および鉄放出の結果は、表2および3に記載する。
【0150】
c)0.2gリン酸塩結合剤/10mlで代表的方法を用いる、リン酸塩結合能力および溶性マグネシウム/鉄の決定
方法1bで記載されたのと同一の方法だが、0.2gリン酸塩結合剤/10mlを用いる。
【0151】
(試験方法2:X線回折(XRD)測定)
40kVおよび55mAで生成した、銅Kアルファ照射を用いて、自動粉末X線回折装置(Philips)で2〜70°2θから良質な粒子サンプルについてデータを回収した。
【0152】
XRD測定の結果を表3および5に示す。
【0153】
(試験方法3:Leco Method による炭素含有量分析)
この方法は、炭素含有量(混合金属化合物中に存在する炭酸アニオンが存在することを示す)を決定するために用いられた。分かっている質量のサンプルを、純粋な酸素雰囲気下、1350℃前後の炉中で燃焼した。サンプル中の炭素を全てCO変換し、それを湿気トラップに通過させ、その後で赤外線装置によって測定する。わかっている濃度の標準的なものと比較することによって、サンプルの炭素含有量がわかる。酸素供給、セラミック燃焼ボート(ceramic combustion boat)、ボートランス(boat lance)およびトング(tong)を有する、Leco SC−144DR carbon and Sulphur Analyserを用いた。0.2g(±0.01g)のサンプルを量り、燃焼ボートに入れた。次いで、ボートをLeco炉(furnace)に入れ、炭素含有量を分析した。分析は2回行なった。
【0154】
%Cを以下によって決定した:
%C(サンプル)=(%C+%C)/2
およびCは別々の炭素結果である。
【0155】
炭素含有量測定の結果は表5に記載し、%CO=%C×44/12と表現した。
【0156】
(試験方法4:XRF分析)
生成物のXRF分析を Philips PW2400 Wavelength Dispersive XRF Spectrometer により行なった。サンプルを50:50 四ホウ酸リチウム/メタホウ酸リチウム(高純度)で融合し、ガラス玉として装置に与えた。用いた試薬は全て、特に断りがなければ、分析グレードまたは同等物である。AnalaRTM水、50%四ホウ酸リチウム・50%メタホウ酸リチウムフラックス(高純度グレード ICPH Fluore-X 50)。1025℃まで可能なマッフル炉、延長したトング(extended tong)、ハンド・トング(hand tong)、Pt/5%Auのキャスティング・トレー(casting tray)、およびPt/5%/Auディッシュを用いた。1.5g(±0.0002g)のサンプルおよび7.5000g(±0.0002g)の四ホウ酸/メタホウ酸を正確に量り、Pt/5%/Auディッシュに出した。2つの構成物はスパーテルを用いてディッシュ中で簡単に混合したが、その前に1025℃にプリセットした炉で12分間静置した。ディッシュを6分および9分で撹拌し、サンプルの均一性を確認した。9分ではまた、キャスティング・トレーを炉に入れて、温度平衡を可能とした。12分後、溶解したサンプルをキャスティング・トレーに注ぎ、それを炉から取り除き、冷却した。ビーズ(bead)組成物を分光光度計により測定した。
【0157】
XRF測定の結果を表5に示す。
【0158】
(試験方法5:a、b、c、dおよびzの値の決定)
式[MII(1−a)III(a)(OH)n−c・zHO]のd値はヒドロキシ(OH)基の相対量を示し、これは除去されていない化合物をHCl酸でトリチュレートして決定した[すなわち、初期pH(MgFe混合金属化合物Aに関して約9であり、除去する前のpH)から最終pH(除去後のpHであり、除去された化合物を単離したときのpH)に変換するための必要な酸の量を測定することにより決定した]。dの値は、化合物のpH緩衝特性と相関することが分かった。例えば、dの最大値である2は、以下の組成物の除去されていない化合物で見つけることができる:[Mg0.67Fe0.33(OH)][(CO0.17(SO0.01・0.43HO][NaSO0.03。この化合物を酸でトリチュレートすると、マグネシウムおよびヒドロキシイオン(放出されたヒドロキシイオンはpH緩衝作用をもたらす)の放出をもたらす。
【0159】
以下の式を用いて、dを計算した。
d=2×[{(pH3で物質を除去するために必要な酸の量)−(酸の量)}/(pH3で物質を除去するために必要な酸の量)
【0160】
以下の結果で示すのは、実施例Aの除去後の、pH関数としてのdの多様な例である。
【表4】

bの値は、式2+a−2b−d−cn=0で表現される電荷中性の必要性により決定され;
aの値は、以下の式に従って、二価および三価金属含有量の間の割合から決定した:
【化2】

【0161】
IIIおよびMIIのモル数は、XRFの方法により決定した。
【0162】
c(アニオン)の値は、Leco(CO)およびXRF(SO)の方法により決定した:
【化3】

【0163】
zを以下により計算した:
【化4】

【0164】
%HOを以下により決定した:
%w/wHO=100−(%w/w MIIO+%w/w MIII+%w/w CO+%w/w NaO+%w/w SO
【0165】
(試験方法6:EXAF研究)
Daresbury Synchrotron Radiation Sourceのステーション(station)9.3、透過(transmission)(スタンダード)モード、周囲温度、FeK−エッジ(edge)でデータを回収し、それは平均電流180mA、2GeVで行なった。Si(111)二重結晶単色光分光器を用いて、入射信号(incident signal)の50%を取り除くためにデチューンして、伴う混入物を最小化した。Feホイル標準(foil standard)に関するエッジ・スキャン(edge scan)を行なうことにより、単色光分光器の角度をキャリブレーションした。「Io」および「It」は、Ar/Heの混合物で満たしたイオン容器を用いて測定した。ある1つのスキャンは、透過スタンダードおよびサンプルの各々について記録した。
【0166】
単色光分光器の角度を対応するX線エネルギーに変換するために、データを最初に Daresbury program EXCALIB で処理した。なお、透過スペクトルに関するシグナルはln(Io/It)として計算した。各サンプルについて回収したスペクトルを比較して、合計した。
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0167】
除去の異なる方法における、リン酸塩結合能力、Mg放出、およびFe放出は、図2で示す。
【0168】
所定の化合物のマグネシウム放出およびそれのリン酸塩結合能力は、複数のパラメーターに応じて変わる。
【0169】
リン酸塩結合およびマグネシウム放出に対する、定数「a」(ここで「a」は、本明細書で用いる一般式における変数「a」)の効果を表3に示す。
【表11】

【0170】
これらの結果は図1および2においても視覚的に表現している。してみると、定数「a」を0.98の値まで増加させると、マグネシウム損失が減少し、また良質なリン酸塩結合も減少することがわかる。
【0171】
式(II)の化合物に対する、HCl(1M)との、処理時間および製造pHの効果を表4に示す。
【0172】
【表12】

除去生成物の収率(%)=[除去生成物の重量(g)/初期物質の重量(g)]×100
【0173】
表4からわかるように、マグネシウムを化合物から取り除き、一方で鉄を構造内に維持することのできる処理において、最適時間の期間がある。処理時間30分で製造pH4を用いると、MgO含有量が3.98%であり、リン酸塩結合が0.93mmol/gである。このサンプルの収率は43%であった。
【0174】
処理期間が15分未満であれば、化合物から除去されるマグネシウムが、望まれるよりも少量となり、結果的にリン酸塩結合における改善も小さくなる。
【0175】
そして、60分以上の処理期間に伸ばすと、Mg除去された化合物自身が分解してしまい、結果的に収率が低下し、またリン酸塩結合の損失も伴う。
【0176】
さらには、pHを極端に低くし、処理期間を極端に長くすると、化合物の構造から鉄が除かれる傾向にある。
【0177】
したがって、表4のデータは、pH範囲が4〜8における最適処理時間は30分であることを示す。pH3での最適処理時間は15分である。
【0178】
しかしながら、当業者にとって明らかなことだが、最適処理時間は用いる処理条件(例えば、出発物質の量、酸の種類、濃度、処理pHなどの変化)によって変わる。
【0179】
【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【0180】
表5を見て分かるのは、低い製造pH(3〜5)を用いた除去方法では、非晶質構造を有する化合物が生成する傾向にあるということである。5以上の製造pHを用いた除去方法では、ハイドロタルサイト構造を有する化合物が生成する傾向にある。表5の結果はまた、図5においても目に見える形で記載されている。
【0181】
【表19】

除去された物質の組成物に対して、洗浄水の量を増加させる効果は、低い製造pHでもっとも顕著である。MgO含有量は、生成物に著しいパーセンテージのマグネシウム塩(除去の間に生成)が含まれることを示す。3Lで洗浄すると、明らかに、より純粋な除去生成物が生じる。代表的方法は、洗浄水の量が高いとリン酸塩結合能力が増加することを示す。洗浄を増加させることの効果は、特に、標準方法を通じて得られた結果によって例証される。
【0182】
【表20】

(I)酸を一気に全部加える;HCl(1M)を、0分で825ml。
(II)酸をゆっくり加える;最初の40分は速度が10ml/分であり、次いでさらに20分は5ml/分であり、そして残る10分は2.5ml/分であり、加えた時間は全部で70分。
【0183】
データは、ゆっくりとした酸付加が、除去物質の構成に影響を与えることを示す。酸化鉄含有量が、約25%w/w増加する。これはまた、酸を一気に全部加える方法では、多量の酸を急激に加えることによって得られる極端に低いpH条件のために、不純生成物が生じることを示す。結果的に、代表的方法ではリン酸塩結合能力が減少し、マグネシウム放出が増加する。
【0184】
【表21】

【表22】

データは最適乾燥温度が40℃、3時間であることを示し、これらの条件では最良のリン酸塩結合およびマグネシウム放出を生み出す。低い温度で乾燥した同じ物質と比較した場合、同じ乾燥時間において、高い乾燥温度では、より高いMgO含有量の化合物が生じる。
【0185】
【表23】

望ましい「a」の値の範囲は、標準方法で「0.60〜0.99」、代表的方法(0.4g)で「0.70〜0.99」、代表的方法(0.2g)で「0.80〜0.99」。標準的なPi結合方法では溶液のpHが維持されないために、より低いマグネシウム放出の値を与え、そしてそのため、用いる除去条件にも依存するが、初期pH4から約pH9まで上昇する。高いpH条件では、Mg放出が減少する。
【0186】
【表24】

値は4つの実験の平均であり、NS=有意でない
【0187】
このより適当な胃の試験モデルを用いて、全体的なリン酸塩結合の増加が観察された。この表から、標準方法または代表的方法1aもしくは1bよりも、胃腸菅モデルの方が、リン酸塩結合およびマグネシウム放出に関して、より多くのバリエーションが存在すると結論付けることができる。より低いpHの除去では(a=0.98の化合物)マグネシウム放出が著しく減少し、リン酸塩結合能力は維持されたのに対して、より高いpHの除去では(a=0.39の化合物)同様のリン酸塩結合能力が確認されたものの、マグネシウム放出はより多かった。他の場合については試験しなかったが、上記はMg除去がマグネシウムの放出を少なくする一方で、リン酸塩結合能力を維持するという原則に裏づけを与える。Bonferroni multiple comparison試験(カラム5および6)を用いたところ、実施例A、2または5の間でリン酸塩結合能力に関する統計学的な違いはなかった(p<0.05、NS)。しかしながら、マグネシウム放出に関しては、実施例Aと2との間、および実施例Aと5との間で統計的な違いあり(いずれも、p<0.0001)、一方で実施例2と5との間では統計学的な違いがなかった(p<0.5、NS)。
【0188】
図1は、2つの結合方法によって測定されたリン酸塩結合の関数として「a」を示す。
【0189】
標準方法(試験方法1a)は、標準的なリン酸塩結合方法である。代表的方法(試験方法1b)は、胃の条件により近づけて似させるために選ばれた方法である。
【0190】
いずれの方法も、0.95までは「a」の関数として、リン酸塩結合が増加または維持された。
【0191】
いずれの方法も、「a」=0.95および1.0との間でリン酸塩結合が減少することを示し、これは極端に低い酸性のpHおよび時間にさらしたことによる化合物の溶解によって説明することができる。
【0192】
図2は、(リン酸塩結合剤からの)マグネシウム放出の関数として「a」を示す。マグネシウム放出が少ないことが好ましい。
【0193】
標準方法(試験方法1a)は、標準的なマグネシウム放出分析方法である(標準的なリン酸塩結合のと同じ時間および装置/方法で測定された)。代表的方法(試験方法1b)は、胃の条件により近づけて似させるために選ばれた方法である。
【0194】
標準方法は、相対的に、マグネシウム放出が一定値であることを示し、というのも、この試験方法ではpHが4から9まで(マグネシウム放出があまり著しくない)上昇し得るからである。代表的方法では、「a」が増加するとMg放出が減少することを示す。この試験方法では、pHが一定に維持され(pH3)、結果的に、構造に対してより多くの酸が攻撃をする。結論として、この試験では、除去されていない場合には、標準的な試験方法と比較して、マグネシウムを放出する傾向がより強い。
【0195】
(図1および2を組み合わせて得る結論)
図1および2のデータを組み合わせた場合、驚くことに、以下のことを発見した。混合金属化合物からのマグネシウム除去は、新たなマグネシウム除去された混合金属化合物をもたらし、それは0.35より大きい「a」の増加により示された。この値で、リン酸塩結合は減少を示さなかったが、一方で、特に代表的方法1bのより胃に近い条件下で、リン酸塩結合プロセスの間、マグネシウム放出は潜在的に減少した。
【0196】
未処理の物質は典型的に「a」=0.35。
【0197】
本明細書で挙げた刊行物の全ては、参照により援用されている。本発明で記載された方法およびシステムに関して、様々な修飾およびバリエーションは、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、当業者にとって自明である。本発明は特定の好ましい態様によって記載されているものの、特許請求される本発明が、そのような特定の態様に過度に制限されるべきではないことが理解されよう。実際、本発明を行なうために記載されたモードの様々な修飾(それらは、化学または関連分における当業者にとって自明である)は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
の混合金属化合物であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物;および
(b)医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤
を含む医薬組成物。
【請求項2】
混合金属化合物が式(IV):
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0≦z≦5である]
である、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのアニオンAn−が炭酸である、請求項1または2の医薬組成物。
【請求項4】
IIが、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される、いずれかの請求項1〜3の医薬組成物。
【請求項5】
IIIが、Al(III)、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項1〜4のいずれかの医薬組成物。
【請求項6】
IIIが、Mn(III)、 Fe(III)、 La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項1〜 5のいずれかの医薬組成物。
【請求項7】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
である、請求項1の医薬組成物。
【請求項8】
薬物として用いるための混合金属化合物であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物。
【請求項9】
該混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0≦z≦5である]
である、請求項8の、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項10】
少なくとも1つのアニオンAn−が炭酸である、請求項8または9の、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項11】
IIが、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される、請求項8〜10のいずれかの、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項12】
IIIが、Al(III)、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項8〜11のいずれかの、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項13】
IIIが、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項8〜12のいずれかの、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項14】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、 Fe(III)、 La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
である、請求項8の、薬物として用いるための混合金属化合物。
【請求項15】
リン酸塩結合するための薬物の製造における混合金属化合物の使用であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは、少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物の使用。
【請求項16】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0≦z≦5である]
である、請求項15の使用。
【請求項17】
少なくとも1つのアニオンAn−が炭酸である、請求項15または16の使用。
【請求項18】
IIが、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される、請求項15〜17のいずれかの使用。
【請求項19】
IIIが、Al(III)、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項15〜18のいずれかの使用。
【請求項20】
IIIが、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項15〜19のいずれかの使用。
【請求項21】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;
0<z≦5である]
である、請求項15の使用。
【請求項22】
高リン酸塩血症、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病、およびリン酸塩の過剰治療のいずれかを予防または治療するための薬物の製造における混合金属化合物の使用であって、該混合金属化合物が式(I)
II1−aIII (I)
[式中、
IIは少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは少なくとも1つの三価金属であり;並びに
1>a>0.4である]
であって、電荷中性となるように少なくとも1つのn価アニオンAn−を含む混合金属化合物の使用。
【請求項23】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;
0≦z≦5である]
である、請求項22の使用。
【請求項24】
少なくとも1つのアニオンAn−が炭酸である、請求項22または23の使用。
【請求項25】
IIが、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される、請求項22〜24のいずれかの使用。
【請求項26】
IIIが、Al(III)、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項22〜25のいずれかの使用。
【請求項27】
IIIが、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される、請求項22〜26のいずれかの使用。
【請求項28】
混合金属化合物が式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
である、請求項22の使用。
【請求項29】
高リン酸塩血症を予防または治療するための薬物の製造における、請求項22〜28のいずれかの使用。
【請求項30】
式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
1>a>0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
である混合金属化合物。
【請求項31】
dが0である、請求項30の混合金属化合物。
【請求項32】
0<d≦2である、請求項30の混合金属化合物。
【請求項33】
bが0である、請求項30〜32のいずれかの混合金属化合物。
【請求項34】
0<b≦2である、請求項30〜32のいずれかの混合金属化合物。
【請求項35】
bが1.5またはそれ未満である、請求項30〜34のいずれかの混合金属化合物。
【請求項36】
bが1.2またはそれ未満である、請求項30〜35のいずれかの混合金属化合物。
【請求項37】
dが1またはそれ未満である、請求項30〜36のいずれかの混合金属化合物。
【請求項38】
0≦z≦2である、請求項30〜37のいずれかの混合金属化合物。
【請求項39】
z≦1.5である、請求項30〜38のいずれかの混合金属化合物。
【請求項40】
0.95>a>0.4である、請求項30〜39のいずれかの混合金属化合物。
【請求項41】
0.9>a>0.4である、請求項30〜40のいずれかの混合金属化合物。
【請求項42】
0.85>a>0.5である、請求項30〜41のいずれかの混合金属化合物。
【請求項43】
aが0.58である、請求項30〜42のいずれかの混合金属化合物。
【請求項44】
IIIが少なくともFe(III)である、請求項30〜43のいずれかの混合金属化合物。
【請求項45】
IIIがFe(III)である、請求項30〜44のいずれかの混合金属化合物。
【請求項46】
IIが少なくともMg(II)である、請求項30〜45のいずれかの混合金属化合物。
【請求項47】
IIがMg(II)である、請求項30〜46のいずれかの混合金属化合物。
【請求項48】
IIがMg(II)であり、MIIIがFe(III)である、請求項30〜47のいずれかの混合金属化合物。
【請求項49】
n−が、炭酸、炭酸水素、硫酸、硝酸、ハロゲン化物、および水酸化物から選択され、その中で少なくとも1つのAn−が炭酸である、請求項30〜45のいずれかの混合金属化合物。
【請求項50】
n−が炭酸である、請求項49の混合金属化合物。
【請求項51】
酸、キレート剤、またはそれの混合物の処理によって、得るまたは得られる:
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
[式中、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
0<a≦0.4であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である]
である、請求項30の混合金属化合物。
【請求項52】
式(IV)の化合物の処理によって得る化合物をさらに熱処理にさらす、請求項51の混合金属化合物。
【請求項53】
熱処理がか焼である、請求項52の混合金属化合物。
【請求項54】
酸またはキレート剤が塩酸である、請求項51、52または53の混合金属化合物。
【請求項55】
酸またはキレート剤が、2Mから0.1Mの濃度の塩酸である、請求項51、52または53の混合金属化合物。
【請求項56】
酸またはキレート剤が、1.5Mから0.5Mの濃度の塩酸である、請求項51、52または53の混合金属化合物。
【請求項57】
酸またはキレート剤が、1Mの濃度の塩酸である、請求項51、52または53の混合金属化合物。
【請求項58】
式(IV)の化合物を5分またはそれより長い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項59】
式(IV)の化合物を15分またはそれより長い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項60】
式(IV)の化合物を1時間またはそれより長い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項61】
式(IV)の化合物を1時間またはそれより短い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項62】
式(IV)の化合物を30分またはそれより短い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項63】
式(IV)の化合物を、15分またはそれ短い時間かけて、酸、キレート剤、またはそれの混合物で処理する、請求項51〜57のいずれかの混合金属化合物。
【請求項64】
式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(式中、1>a>0.4である)
のマグネシウム除去混合金属化合物の製造方法であって、該方法が
a)式(IV)
[MII1−aIII(OH)](An−・zHO (IV)
(式中、0<a≦0.4である)
の化合物を酸、キレート剤、またはそれの混合物と接触させ、
b)生じた化合物を適宜、熱処理にさらす、
段階を含み、いずれの式においても、
IIは、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Ca(II)、La(II)、Ce(II)、およびNi(II)から選択される少なくとも1つの二価金属であり;
IIIは、Mn(III)、Fe(III)、La(III)、およびCe(III)から選択される少なくとも1つの三価金属であり;
n−は、少なくとも1つのn価アニオンであって、その中で少なくとも1つのアニオンは炭酸であり;
0≦b≦2であり;
各アニオンに関するcの値は、2+a−2b−d−cn=0の式で表現される、電荷中性の必要性により決定され;
0≦d≦2であり;並びに
0<z≦5である、製造方法。
【請求項65】
酸またはキレート剤が、HCl、HSO、クエン酸、EDTA、HNO、および酢酸から選択される、請求項64の方法。
【請求項66】
酸またはキレート剤が塩酸である、請求項65の方法。
【請求項67】
塩酸が0.01Mから5Mの濃度である、請求項66の方法。
【請求項68】
塩酸が0.1Mから2Mの濃度である、請求項67の方法。
【請求項69】
塩酸が0.5Mから1.5Mの濃度である、請求項67の方法。
【請求項70】
塩酸が1Mの濃度である、請求項68または69の方法。
【請求項71】
化合物を、5分またはそれより長い時間かけて、酸またはキレート剤と接触させる、請求項64〜70のいずれかの方法。
【請求項72】
化合物を、15分またはそれより長い時間かけて、酸またはキレート剤と接触させる、請求項64〜70のいずれかの方法。
【請求項73】
化合物を、1時間またはそれより長い時間かけて、酸またはキレート剤と接触させる、請求項64〜70のいずれかの方法。
【請求項74】
熱処理がか焼である、請求項64〜70のいずれかの方法。
【請求項75】
請求項31〜63のいずれかの特徴を有する、請求項64〜70のいずれかの方法。
【請求項76】
請求項64〜75のいずれかで定義される方法によって製造、得る、または得られる混合金属化合物。
【請求項77】
(a)請求項30〜63または76のいずれかで定義される化合物、並びに
(b)医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤または補助剤
を含む医薬組成物。
【請求項78】
薬物として用いるための、請求項30〜63または76のいずれかで定義される混合金属化合物。
【請求項79】
リン酸塩結合のための薬物の製造における、請求項30〜63または76のいずれかで定義される混合金属化合物の使用。
【請求項80】
高リン酸塩血症、代謝性骨疾患、メタボリックシンドローム、腎不全、過剰リン酸塩血症、偽性過剰リン酸塩血症、急性未治療先端巨大症、慢性腎臓病(CKD)、深刻な骨症状、軟組織石灰化、二次性副甲状腺機能亢進症、リン酸塩の過剰治療、およびリン酸塩吸収をコントロールする他の症状のいずれかの予防または治療のための薬物の製造における、請求項30〜63または76のいずれかで定義される混合金属化合物の使用。
【請求項81】
高リン酸塩血症の予防または治療のための薬物の製造における、請求項30〜63または76のいずれかで定義される混合金属化合物の使用。
【請求項82】
いずれかの実施例において記載されている化合物。
【請求項83】
いずれかの実施例において記載されている組成物。
【請求項84】
いずれかの実施例において記載されている方法。

【公表番号】特表2011−500654(P2011−500654A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529446(P2010−529446)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003509
【国際公開番号】WO2009/050468
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(507272290)イネオス・ヘルスケア・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】INEOS HEALTHCARE LIMITED
【Fターム(参考)】