説明

高レベルオメガ−3および低レベル飽和脂肪酸を含む組成物

必須不飽和脂肪酸EPAもしくはDHAを他のn−3 HUFAに対して高レベルで含み、かつ比較的低レベルの飽和脂肪酸(ミリスチン酸およびパルミチン酸)を含む食品および補助食品が提供される。これらの組成物は商業的な量、費用効率の高い方法で、選択された微生物の培養によって製造することができる。これらの食品および補助食品は、魚油起源からは満たされ得ないヒトの健康の必要性に適する。動物から得られるEPA含有食品も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この分野には、制御された量の飽和および不飽和脂肪酸成分を有する組成物を含む、動物もしくはヒトの食事に用いるための新規な組成物が含まれる。この分野には、該組成物の製造方法、およびここで提供される組成物を用いる被検体の治療方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
以下には本発明の理解において有用であり得る情報が含まれる。ここで提供される情報のいずれもがここに記載され、もしくは主張される発明に対する従来技術であるか、もしくはそれに関連するものであると承認するものではなく、また、具体的に、もしくは暗に参照されるあらゆる刊行物もしくは文献が従来技術であると承認するものでもない。
【0003】
ミリスチン酸(C14:0)および/もしくはパルミチン酸(C16:0)の食事摂取は心血管性疾患(CVD)、乳癌およびインスリン抵抗性の発症の危険性の増加に関連している(World Health Organisation and Food and Agricululture Organisation Joint Expert Committeee Report Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases, WHO Technical Report Series 916, WHO Geneva (2003年)を参照)。他方、オメガ−3高度不飽和脂肪酸(n−3 HUFA)DHAおよびEPAの食事摂取は心血管性疾患の発症の危険性の減少および他の有益な健康効果に関連している。オメガ−3−脂肪酸は、一般に、冠状動脈性心疾患の発生率の低下に有益であることが知られている(Lands, Fish and Human Health Academic Press (1986年))。実質的にEPAもしくはDHAのいずれか一方のみをそれらのn−3 HUFA画分に含む組成物(以下、それぞれ、EPAオイルおよびDHAオイルと称する)の食事摂取も、ライフステージ、栄養および疾患状態の異なる人々の健康に有益であり得る。
【0004】
高純度n−3調製品は医薬用途には入手可能であるが、EPAオイルもしくはDHAオイルを含み、かつ、同時に、比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含有する組成物の製造方法の開発に向けられる注意が、あったとしても、ごく僅かであることは驚くべきことである。実際、場合によっては、近年の開発は、これら潜在的に有害な脂肪酸を高レベルに含む組成物に依存する技術に向けられているようである。
【0005】
飽和脂肪酸からの一日のエネルギー摂取を10%未満とするヒトの望ましい目標のうちでさえ、C14:0およびC16:0に富む食品の摂取を、脂質中のこれら特定の脂肪酸の含有率が低い食品の摂取に置き換えるべきであることが推奨されている。このレベルの飽和脂肪酸摂取では、13メガジュール(MJ)のエネルギーを供給する一日の全食事を消費し、その飽和脂肪酸のすべてをC16:0およびC14:0に比較的富む食品源(例えば、ミルク)から得ている人の場合、3.25グラムのC14:0および10グラムまでのC16:0(それぞれ、総エネルギー摂取の約1%および3%とした場合)を得る可能性がある。米国食品医薬品庁(FDA)は、1日2グラムまでのEPAおよびDHAの栄養補助食品は安全であり得ると報告している。小プランクトン食性遠洋魚油(small planktivorous pelagic fish body oil)(SPPFBO)はヒトの食事補給に用いられる魚油の北半球における産業標準であり、SPPFBOはFDAによって認可された地位を有し(FDA GRAS Notice No GRN 000102)、かつ18%EPA、12%DHA、15.5%C16:0および6.5%C14:0を含む。したがって、魚油補助食品を含むn−3HUFA補助食品の安全量での補給は、これら潜在的に有害な脂肪酸の食事負荷を有意に変化させるのに十分なC14:0およびC16:0を提供することができる。
【0006】
1920年代のラットにおける食餌欠乏研究は、n−3脂肪酸が必須である(すなわち、哺乳動物が新規に生成することはできない)ことを実証した。これらの集団摂取とアテローム性動脈硬化の発生率との関連の可能性が1950年代に提示されている(Lancet, 270 (6919) 381-3 (1956年))。1960年代および70年代における疫学的研究は、n−3 HUFAの食事摂取と炎症および自己免疫障害を含む他の疾患状態の発生率との関連についての証拠を人口レベルで提供し始めた(Bang et al., Lancet (1971年) 1; 1143-5 Hirai et al., Lancet (1980年) 2; l132-3)。
【0007】
1980年代および1990年代、(魚油からの)EPAおよびDHAの双方を含む組成物を用いたヒト食事補助食品試験結果が広く公表され、食事補助食品の消費の増加をもたらし、および少なくとも2つのn−3 HUFA系医薬品の欧州における登録に至った。同時に、ヒト食事補給試験は、EPAオイルおよびDHAオイルの補給が多岐にわたる健康効果を有することを示唆し始めた。例えば、高精製EPAを用いたヒト食事補給試験の結果は、EPAオイルが特定の神経変性障害および精神神経疾患の治療に有用であり得ることを示唆している(米国特許第6689812号および米国特許第6384077を参照)。純粋なEPAは、心血管性疾患を治療するための医薬用途に日本では1990年以来承認されている。その上、(微細藻類から生成された)富DHR油でのヒト食事補給は、DHAオイルが母体および幼児の栄養上特に重要であることを示唆している(Uauy R. et al, in J Pediatr 143 (4 Suppl) S1-8 (2003年)を参照)。
【0008】
ほとんどの国において、食事指針および安全推奨がEPAとDHAとを区別することはない。例えば、米国国立健康食事参照摂取研究所(U.S. National Institutes of Health Dietary Reference Intake)は毎日消費されるエネルギーの0.06〜0.12%に相当するEPAおよびDHAの組み合わせの最小摂取を推奨している。13メガジュールの食事に対して、これは毎日約200mgから400mgのEPAおよびDHAに相当する。
【0009】
DHAを含むオメガ−3−脂肪酸のよく知られた供給源は特定の魚である(米国特許第4,670,285号を参照)。多くの魚油には有意水準のC14:0およびC16:0が含まれるが、残念なことに、毒性である環境汚染(例えば、重金属およびPCB)の影響で、これらの魚油をヒトの消費に使用できない場合がしばしばある。魚油は魚臭さおよび不快な味を有することもあり、食用成分に使用するには満足のいくものではない場合がある。食品および通常の食事補助食品用途に、魚油を実質的にEPAもしくはDHAのいずれか一方のみを比較的低レベルのC14:0およびC16:0と共に残す点まで精製するコストは非常に高価である。
【0010】
海洋微生物もオメガ−3−脂肪酸を含むことが知られている。特に、渦鞭毛藻類の様々な種はDHAを含むことが知られている。Harrington et al., "The Polyunsaturated Fatty Acids of Marine Dinoflagellates" J. Protozoal, 17:213-219 (1970年)は8種類の光合成および1種類の従属栄養性海洋渦鞭毛藻類の脂肪酸含有率を特徴付け、渦鞭毛藻類はドコサヘキサエン酸の最初の産生体群であり、相当量のドコサヘキサエン酸を海洋食物連鎖に提供するものと結論付けた。DHAおよびEPAを含有する食用油を生成するために、成功裏に渦鞭毛藻類を育成するには非常に問題がある。渦鞭毛藻類は、一般には、非常に成長が遅く、剪断感受性である。Guillard et al., Dinoflagellates, Academic Press (1984年)。
【0011】
食品用途の脂質の生成に有用である微生物を培養するには、費用効率の高い生産が実施可能であるように、全脂肪酸の収率の生産性が十分高い必要がある。高い収率のEPAオイルを含むバイオマスを増やす培養技術の考案に関する問題は、微生物のEPA含有率とその成長速度との間に逆相関が見られることである。これは、一つには、低温条件がEPA収率につながり、それに対して高温がより速い成長速度に関連付けられるという事実に関連する。したがって、最高収率のEPAオイルを最低費用で得るためには、時間依存性費用(これは成長速度の減少に従って増加する)を減少させる必要があり、EPA含有率と成長速度との得失評価をする必要がある。微細藻類バイオマスからEPAを生成しようとする既存の方法は、乾燥重量の割合として5%未満のEPAを含む微生物バイオマスを産生する(Wen, Z. and Chen F., Process Biochemistry 38: 523-529 (2002年))。これと比較すると、富DHA微生物を産生する方法(米国特許第6,566,123号を参照)では、乾燥重量の割合として20%を上回るDHAを含む微生物バイオマスが産生され、かつ処理費用は同等であるか、もしくはそれを下回ると見込まれる。さらに、最高EPA生産性を導く培養条件は多くの場合、微細藻類脂質中のC14:0および/またはC16:0の蓄積に有利に働くことも示されている。したがって、より高レベルのDHAおよび特に、EPAを産生し、かつ比較的低レベルのC14:0および/またはC16:0あるいは、C14:0および/またはC14:0対EPA比を有する微生物バイオマスのより良好な培養方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
要約すると、EPAオイルおよびDHAオイル(それらのn−3 HUFA画分に、実質的にEPAもしくはDHAのいずれか一方のみを含むもの)を含む組成物を製造するための現行の方法における問題は望ましいものではない。その理由は、それらがi)望ましくないほど高レベルのC14:0および/またはC16:0を含み、ii)一般食品および食事補助食品用途のコスト基準では高価であるような低い脂質生産性で産生され、またはiii)さもなければ、一般食品および食事補助食品用途に適さない(例えば、魚油に関連する不快な味もしくは臭いを有する)ためである。これらの問題に縛られず、比較的低いC14:0およびC16:0レベルを有し、効率的に製造することができ、かつ手頃な値段であるEPAオイルおよびDHAオイルの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで説明される発明はこの必要性を充足させる。ここで説明され、かつ主張される発明は多くの特性および実施形態を有するが、この要約および他所に記載され、もしくは説明され、もしくは参照されるものに限定されるものではない。これらの発明はこの要約において記載される特徴もしくは実施形態に限定されるものではなく、またはそれらによって限定されるものでもなく、それらは説明のためだけに含まれるものであり、限定ではない。
【0014】
第1の態様において、所望量のn−3 HUFA脂肪酸(例えば、EPAもしくはDHA)と比較的低レベルのC16:0およびC14:0との組み合わせを含む食用組成物が提供される。これらの組成物は栄養および食事補助食品として有用であり、例えば、異なるライフステージで、並びに異なる栄養状態、健康状態、および/または疾患状態におけるヒトの要求に特異的な栄養素を含むことができる。特定の実施形態においては、これらの組成物は微細藻類の従属栄養性の、もしくは主として従属栄養性の産生によって製造される栄養補助食品として処方される。その他の実施形態においては、これらの組成物を製造する代替的方法が用いられる。組成物の特定の実施形態(例えば、栄養補助食品)は、約18重量%から約50重量%のEPA、約11%未満のミリスチン酸、および約20%未満のパルミチン酸を含み、組成物中のEPAのDHAに対する比は少なくとも約6:1である。または、組成物中のEPAのDHAに対する比は少なくとも約7:1から9:1である。関連する実施形態においては、EPAの、組成物中の他のすべてのn−3 HUFAの合計比率に対する比は少なくとも約7:1から9:1である。これらの組成物は栄養補助食品の形態であり得る。そのような組成物は非水産養殖飼料用補助食品に適するように処方することができ、例えば、組成物は微細藻類の従属栄養性産生または大分部の従属栄養性の産生を含む方法によって製造される。
【0015】
特定の組成物は少なくとも1つのプロセスによって微細藻類起源のバイオマス材料から調製され、50%未満のEPAおよび比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含む抽出油を生成する。組成物の特定の好ましい実施形態(例えば、栄養補助食品)は、少なくとも約18重量%のEPA、約20%未満のパルミチン酸(C16:0)、約11%未満のミリスチン酸(C14:0)、および少なくとも約0.1%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)を含み、EPAのDHAに対する比は少なくとも約6:1であり、その組成物は培養微生物の主として従属栄養性の培養によって製造される。
【0016】
他の好ましい実施形態においては、組成物は少なくとも約18重量%のEPA、約20%未満のパルミチン酸(C16:0)、約11%未満のミリスチン酸(C14:0)を含み、EPAのDHAに対する比は少なくとも約6:1であり、かつ主として培養微生物の従属栄養性培養によって製造され、それにより総脂肪酸生産性はバッチ培養において少なくとも1リットルあたり約5mgであり、もしくは連続培養において1リットルあたり1mg/日である。
【0017】
したがって、幾つかの実施形態においては、栄養補助食品を含む組成物は市販の培養微生物(微細藻類を含む)の培養によって製造される。他の好ましい実施形態においては、栄養補助食品を含む組成物は市販の栽培植物もしくは市販の飼育動物の育成によって製造される。ここで説明される幾つかの組成物は培養微細藻類から製造され、この微細藻類には、これらに限定されるものではないが、従属栄養性、もしくは主として従属栄養性のプロセスで成長させることができるあらゆる微細藻類が含まれる。好ましい栄養補助食品は微生物の従属栄養産生、具体的には、微細藻類の従属栄養産生によって製造される。好適な培養微細藻類は微細藻類ニツシア・ラエビス(Nitzschia laevis)(UTEX2047)を従属栄養的に(例えば、単独従属栄養性)、もしくは混合栄養的に(主として従属栄養的に)成長させた培養物である。市販の培養微生物、植物、もしくは市販の飼育動物によって産生され、その生物の成長が停止した後にさらなる精製もしくは希釈の必要なしに、特定の量のn−3 HUFA脂肪酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸が得られる栄養補助食品も提供される。
【0018】
好ましい実施形態において、これらの組成物はヒトが消費するための栄養分として処方され、この非限定的な例として食品成分、機能性食品、食事補助食品および栄養補給食品の1つまたはそれ以上が含まれる。したがって、直接ヒト消費のための栄養および食事補助食品製品も提供される。好適な組成物は全細胞、脂肪酸エステル、アミド、トリグリセリド、リン脂質を含むことができ、それらのあらゆる組み合わせが粉末、ソフトゲルに処方され、マイクロカプセル化され、好ましくは、賦形剤もしくは酸化防止剤と組み合わせて経口投与に適する製品が提供される。ここで提供される特定の化合物、組成物、および細胞は賦形剤もしくは酸化防止剤と組み合わされ、経口投与に適する製品が提供される。
【0019】
他の実施形態においては、(例えば、経口投与に適する形態の)組成物で給餌された非水産養殖食品産生動物から採取される、1種または複数種類の食品がここで説明される。好適な食品にはミルクおよびミルク由来の乳製品、肉、内臓、および卵が含まれる。幼児用処方物も提供される。そのような食品は、好ましい態様においては、動物のタイプに配慮して、非水産養殖食品産生動物への経口投与に適する形態で提供される。例えば、押し出し形態もしくはマイクロカプセル化もしくは反すう胃内生物による攻撃に対して保護された形態の配剤として提供される。
【0020】
富EPA食品が提供され、例えば、その食品は、非水産養殖食料産生動物の飼料に、n−3 HUFAとして実質的にEPAのみを含有し、かつ比較的低い、もしくは検出不能なレベルのC14:0およびC16:0を含む組成物を補給することによって製造される。
【0021】
好ましくは、そのような食品もしくは補助食品の摂取は時間の経過とともに動物の血清および赤血球において、C14:0およびC16:0の有意な増加なしに、EPAレベルの測定可能な増加をもたらす。
【0022】
別の態様においては、直接ヒト用途の栄養および食事補助食品が提供される。一実施形態において、これらは、非水産養殖食料産生動物の飼料にこの項において前述されるn−3 HUFA脂肪酸(例えば、EPA)に富む組成物を補給し、その食料産生動物から、改変された脂質プロフィールを示す食品および/または組織を採取して製造される。
【0023】
経口投与用の組成物も提供され、これはn−3 HUFAの混合物(実質的に1種類のn−3 HUFAのみを含有するか、もしくは1種類のn−3 HUFAのみを含有するものを含む)を含有する公知調整品の摂取によって観察されるであろうものに比較して、ヒト被検体の血清および赤血球におけるEPAレベルの検出可能な増加を、特定の期間にわたって、C14:0もしくはC16:0の有意の増加なしに生じる。
【0024】
ここで提供される特定の組成物は、糖尿病(I型およびII型)、糖血値の乱れ、糖尿病関連高血圧、癌、変形性関節症、自己免疫疾患、関節リウマチ、炎症および関節炎以外の自己免疫疾患、呼吸器疾患、神経障害、神経変性疾患、腎および尿路障害、心血管性障害、脳血管性障害、眼の変性疾患、精神障害、生殖障害、内臓障害、筋肉障害、代謝障害、前立腺肥大および前立腺炎、インポテンスおよび男性不妊、乳房痛、男性型脱毛症、骨粗鬆症、皮膚疾患、失読症および他の学習障害、癌悪液質、肥満、潰瘍性大腸炎、クローン病、拒食症、火傷、変形性関節症、骨粗鬆症、注意欠陥/多動障害、並びに初期段階の大腸癌、肺および腎臓疾患、並びに異常成長および発達に関連する障害から選択されるものを含むがこれらに限定されるものではない特定の状態もしくは障害の予防、緩和、もしくは治療に有用である。
【0025】
ここで提供される食品および栄養補助食品のヒトによる摂取は、好ましくは、n−3 HUFAの他の公知調製混合物(実質的に1種類のn−3 HUFAのみを有するか、もしくは1種類のn−3 HUFAのみを有するものを含む)の摂取と比較して、時間の経過とともに血清および赤血球のおけるEPAレベルの測定可能な増加を、C14:0もしくはC16:0の有意の増加なしにもたらす。
【0026】
ここで提供される食品および栄養補助食品のヒトによる摂取は、特定の好ましい実施形態においては、血清および赤血球もしくは他の組織において、時間の経過とともに他の有益な脂肪酸、例えば、DPA、DHAおよびCLAのレベルの測定可能な増加を、C14:0もしくはC16:0の有意の増加なしにもたらす。
【0027】
ここに説明され、クレームされる発明のこれらおよびその他の態様および実施形態は本出願および請求の範囲から、およびそれらを通して明らかであり、本明細書の記載の一部とみなされるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
説明
定義
「脂肪酸(FA)」とは、炭素原子の骨格を有する化合物であって、炭素原子の幾つかの結合は「不飽和」であってもよく、「遊離」酸の場合には骨格のアルファ端に酸(COOH)部分を有する化合物を指す。他端はオメガ(ω)端である。本明細書の目的上、この用語はこれらの塩およびエステル(エチルもしくはコレステロールエステル、アミド、リン脂質、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−グリセリドを含むがこれらに限定されるものではない)を排除するものではない。
【0029】
本明細書中で用いられる「哺乳動物」という用語は、体毛とミルクを産生することが可能な乳腺とを有する温血胎盤動物を指す。哺乳動物にはウシ、野牛、他のウシ亜科動物、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ラット、ウサギ、マウス、およびヒトが含まれる。他の家畜、屋内動物、捕獲動物および競技用動物も含まれる。「飼育動物」という用語には、ニワトリ、ガチョウ、エミュー、魚、ダチョウ、七面鳥、および他の飼育動物が含まれる。
【0030】
「微細藻類」とは、植物性プランクトンもしくは珪藻などの単細胞植物様微生物であって、マットもしくはコロニーなどの凝集体を形成しえる(海藻などの多細胞性藻類とは区別される)。
【0031】
「N−3」とは、その分子のオメガ端から3炭素残基離れたところに位置する第1の二重結合を有する、オメガ−3脂肪酸の群を指す。N−3 HUFAとは、5つ以上の二重結合を有するn−3高度不飽和脂肪酸の群をいう(例えば、EPA、DPA、およびDHA)。
【0032】
「DHA」は4、7、10、13、16、19−ドコサヘキサエン酸(22:6n−3)を指す。
【0033】
「DHAオイル」は、そのn−3 HUFA画分に実質的にDHAのみを含む物質の組成物を指す。
【0034】
「EPA」は5、8、11、14、17−エイコサペンタエン酸(20:5n−3)を指す。
【0035】
「EPAオイル」は、そのn−3 HUFA画分に実質的にEPAのみを含む物質の組成物を指す。
【0036】
「CLA」は、18の炭素鎖長を有し、2つの二重結合を有する、シス9配座、トランス11配座の脂肪酸である、共役リノール酸を指す。
【0037】
ここで用いられる場合、「単独従属栄養培養物」は光なしで生成される培養物である(例えば、「従属栄養性珪藻」は暗所において特定の炭素基質で成長することが可能な珪藻である)。ここで用いられる場合、「主として従属栄養性の培養物」は以下のように決定される。i)培養物(培養物A)を混合栄養的に(培地中の有機炭素源に加えて光源の両者を用いて)生成し、ii)同一条件下で、しかしながら光なしに(単独従属栄養的に)、培養物(培養物B)を生成し、iii)両培養物から乾燥重量を得、iV)乾燥(洗浄)バイオマスを炭素含有率について分析し、およびv)そのプロセスに対する光の寄与パーセンテージを、a)培養物Aの洗浄乾燥バイオマスにおける炭素の値を得、b)培養物Bの炭素の値を引き、c)培養物Bの値で割り、そしてd)100%を掛けることによって概算する。得られた値は概算にしか過ぎないが、光の追加が従属栄養性効率を強化すると考え得るので、この概算はどちらかといえば高い概算であるものと考えられる。ここでは、実質的に従属栄養性は、(上記)式を適用することによって得られるパーセンテージが約50%未満、好ましくは約40%未満、より好ましくは約20%未満、さらにより好ましくは約10%未満であるプロセスと定義される。
【0038】
ここで用いる場合、総脂肪酸収率に関する「生産性」とは、所定の培養体積から得られるバイオマス乾燥重量として決定することができ、または、連続培養の場合には、設定期間にわたる所定の培養体積にそのバイオマスにおける総脂肪酸パーセンテージを掛けたものから決定することができる。
【0039】
ここで用いられる場合、動物(例えば、ヒト、もしくは他の動物)の「治療」もしくは「治療すること」とは、被検体の状態、疾患、生理、もしくは健康状態を緩和、予防または改善するため、組成物、処方物、食品、もしくは栄養補助食品を投与することを含む。
【0040】
ここで提供しようとする発明の説明は純粋に例としてもたらされるものであり、いかなる意味においても本発明の範囲もしくは程度を限定するものと理解されるべきではない。
【0041】
本明細書を通して、本文が他を必要としない限り、「含む(comprise)」という単語および変形、例えば、「含む(comprising)」もしくは「含む(comprises)」は、記載される整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の包含を暗示するが、他のいかなる整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の排除を暗示するものではないことは理解されるであろう。

組成物
ここで提供される特定の組成物は、約10重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、約15%未満のミリスチン酸、および約20%未満のパルミチン酸を含む。これらの実施形態におけるn−3 HUFA脂肪酸はEPAを含むことができ、例えば、組成物中におけるEPAの他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比は少なくとも6:1である。
【0042】
組成物の好ましい実施形態は、約18重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、約11%未満のミリスチン酸、および約20%未満のパルミチン酸を含むことができる。これらの実施形態におけるn−3 HUFA脂肪酸はEPAを含むことができ、例えば、組成物中におけるEPAの他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比は少なくとも6:1である。他の実施形態においては、組成物中におけるC14:0のEPAに対する比は約0.66:1以下であり、組成物中におけるCl6:0のEPAに対する比は約1:1以下である。そのような組成物は栄養補助食品の形態であってもよい。
【0043】
特定の組成物の総脂肪酸プロフィールは約5%から約50%のEPAを含むことができ、組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比は少なくとも約9:1であり、組成物中におけるC14:0のEPAに対する比は約0.66:1以下であり、かつ組成物中におけるC16:0のEPAに対する比は約1:1以下である。他の実施形態においては、n−3 HUFA脂肪酸はDHAを含み、組成物中におけるDHAの他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比は少なくとも約9:1であるか、もしくは、組成物中におけるC14:0のDHAに対する比は約0.33:1以下であり、かつ組成物中におけるC16:0のDHAに対する比は0.5:1以下である。組成物の他の実施形態は約14重量%から約50重量%のDHAを含み、組成物中に存在するDHAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比は少なくとも約9:1であり、組成物中におけるC14:0のDHAに対する比は約0.33:1以下であり、かつ組成物中におけるC16:0のDHAに対する比は約0.5:1以下である。
【0044】
組成物の好ましい実施形態の1つは、少なくとも約18重量%のEPA、約20%未満のパルミチン酸(C16:0)、約11%未満のミリスチン酸(C14:0)、および少なくとも約0.1%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)を含み、EPAのDHAに対する比は少なくとも約6:1である。
【0045】
これらの組成物は栄養補助食品の形態であり得る。そのような組成物は非水産養殖動物餌補助食品に適するように処方することができ、例えば、組成物は微細藻類の従属栄養的もしくは主として従属栄養的な生成を含む方法によって製造される。そのような実施形態には、さらなる脂質処理もしくは精製工程をn−3 HUFA脂肪酸を含有するバイオマスに対して行わない組成物に加えて、処理もしくは精製の追加工程を行って上述の組成物プロフィールを達成する組成物の実施形態が含まれる。
【0046】
他の好ましい実施形態には、バイオマスの全脂質を含有する油を抽出する工程およびその脂肪酸組成を実質的に変更することなしにその油の味臭、質感色および安定性を強化する工程以外に、さらなる脂質処理もしくは精製工程をn−3 HUFA脂肪酸を含有するバイオマスに対して行わない組成物が含まれる。
【0047】
幾つかの特定の実施形態は、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約5:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約6:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約7:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約8:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約9:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約10:1である]、[組成物中に存在するEPAの他のあらゆるn−3 HUFAに対する比が少なくとも約15:1である]、栄養補助食品を含む組成物に向けられる。特定の実施形態は、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約5:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約6:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約7:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約8:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約9:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約10:1である]、[組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも約15:1である]、栄養補助食品を含む組成物に向けられる。そのような実施形態には、さらなる脂質処理もしくは精製工程をn−3 HUFA脂肪酸を含有するバイオマスに対して行わない組成物に加えて、処理もしくは精製の追加工程を行って上述の組成物プロフィールを達成する組成物の実施形態が含まれる。
【0048】
特定の実施形態は、少なくとも10重量%のEPA、少なくとも12重量%のEPA、少なくとも13重量%のEPA、少なくとも14重量%のEPA、少なくとも15重量%のEPA、少なくとも16重量%のEPA、少なくとも17重量%のEPA、少なくとも18重量%のEPA、少なくとも19重量%のEPA、および少なくとも20重量%のEPAを含有する組成物に向けられる。特定の実施形態は、約15重量%から約20重量%のEPAを含有し、約10重量%から約30重量%のEPAを含有し、約10重量%から約50重量%のEPAを含有し、約20重量%から約50重量%のEPAを含有し、約30重量%から約50重量%のEPAを含有し、もしくは約40重量%から約50重量%のEPAを含有する、栄養補助食品を含む組成物に向けられる。そのような実施形態には、さらなる脂質処理もしくは精製工程をn−3 HUFA脂肪酸を含有するバイオマスに対して行わない組成物に加えて、処理もしくは精製の追加工程を行って上述の組成物プロフィールを達成する組成物の実施形態が含まれる。
【0049】
特定の実施形態は、15%未満のミリスチン酸、14%未満のミリスチン酸、13%未満のミリスチン酸、12%未満のミリスチン酸、11%未満のミリスチン酸、10%未満のミリスチン酸、8%未満のミリスチン酸、15%未満のパルミチン酸、12%未満のパルミチン酸、もしくは10%未満のパルミチン酸を含有する組成物に向けられる。
【0050】
特定の実施形態は、少なくとも約0.05%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)、もしくは少なくとも約0.1%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)、もしくは少なくとも約0.5%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)をさらに含有する、ここで説明される組成物に向けられる。幾つかの実施形態においては、ここで説明される特定の方法による連続培養の収率は1日1リットルあたり少なくとも約0.2グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.3グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.4グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.5グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.6グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.7グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約0.8グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり少なくとも約1.0グラムの総脂肪酸である。幾つかの実施形態においては、ここで説明される特定の方法による連続培養の収率は1日1リットルあたり約0.3グラムから約1.0グラムの総脂肪酸、1日1リットルあたり約0.4グラムから約1.0グラムの総脂肪酸、および1日1リットルあたり約0.5グラムから約1.0グラムの総脂肪酸である。他の特定の実施形態においては、ここで説明される特定の方法による連続培養の収率は1日1リットルあたり約0.39グラムから約0.78グラムの総脂肪酸である。他の特定の実施形態においては、ここで説明される特定の方法による連続培養の収率は1日1リットルあたり約0.52グラムから約1.04グラムの総脂肪酸である。
【0051】
特定の実施形態においては、ここで説明される特定の方法によるバッチ培養の収率は、バッチにおいて1リットルあたり少なくとも約2グラム、バッチ培養において1リットルあたり少なくとも約5グラム、バッチ培養において1リットルあたり少なくとも約10グラム、およびバッチ培養において1リットルあたり少なくとも約15グラムである。幾つかの実施形態においては、ここで説明される特定の方法によるバッチ培養の収率は、リットルあたり約2グラムから約5グラム、バッチ培養において1リットルあたり約5グラムから約10グラム、さらにより好ましくは、バッチ培養において1リットルあたり約10グラムから約20グラムである。他の特定の実施形態においては、ここで説明される特定の方法によるバッチ培養の収率は、1リットルあたり約2.4グラムから約4.8グラム、好ましくは、バッチ培養において1リットルあたり約4.8グラムから約9.4グラム、さらにより好ましくは、バッチ培養において1リットルあたり約9.4グラムから約18.6グラムである。

製造方法
微細藻類培養物由来のDHAオイルは、ヒトもしくは食料産生動物に適度の最終DHA摂取をもたらすことを目的とする食事補助食品として提供されるとき、総C14:0および/もしくはC16:0食事負荷への有意の寄与を構成することができる。例えば、牛乳に0.4〜0.8g/L DHAを組み込むのに必要な量で乳牛に給餌するとき、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)由来の組成物を含む食事補助食品はミルク中のC14:0およびC16:0の有意の同時増加をもたらした(Franklin et al, J Nutr; 129: 2048-2052 (1999年))。一例として、米国特許第6,568,351号は、これらの組成物を餌に補給することによって、肉におけるC14:0およびC16:0の増加をもたらすウサギの飼育方法を提供する。同様の状況下で、比較的高レベルのC14:0およびC16:0を含有するEPAオイルの補給も総C14:0および/もしくはC16:0食事負荷に対する有意の寄与をもたらすものと予想することができる。本発明以前には、低レベルのC14:0およびC16:0を含むEPAオイルもしくはDHAオイルを目的とする開発を可能とする技術は達成されていなかった。
【0052】
DHAおよびEPAの多岐にわたる健康効果は、異なるレベルの摂取が異なるライフステージで、並びに異なる栄養および疾患状態において、有益であり得ることを示している。これは、DHAオイルと比較したEPAオイル製造の(n−3 HUFAの重量基準で)有意に高いコストと共に、これらの組成物を産業的に適用可能とし、かつ一般食品および食事補助食品用途に適するものとするため、新たな最終用途を可能にする異なる製造および異なる技術が望ましく、かつ必要であり得ることを意味する。
【0053】
そのような技術には、適切な微生物を同定し、かつそれらをスクリーニングして異なる栄養および/もしくは光強度および品質で効率的に吸収および成長するそれらの能力を同定することが可能なものが含まれる。微生物の脂質組成物は、異なる培養条件下で有意に、かつ、時には、予測可能な様式で変化し得ることが公知である。しかしながら、現在まで、この知識は本発明の望ましい組成物を生成するための製造に含めることができる微生物の探索および同定に系統的に適用されてはいない。
【0054】
そのような技術は、その動物の食餌に組成物を補足することによって、非水産養殖食料生成動物の特定の組織の組成に有益な変化をもたらすことによる。これらの変化には、必ずしもこれらに限定される必要はないが、1種類以上の高度不飽和オメガ−3脂肪酸の存在の増加、有害飽和脂肪酸、例えば、C14:0およびC16:0の減少、並びに他の有益な脂肪酸、例えば、CLAの増加が含まれる。
【0055】
本発明以前には、乳牛もしくは他の大型食料生成哺乳動物の食餌に、EPAオイルを補足することによって食料が製造されたことは皆無であったと信じられる。さらに、本発明以前には、非水産養殖食料生成動物の食餌をEPAオイルを含有する微生物の従属栄養的もしくは主として従属栄養的な生成を含む製造によって生成された組成物を補足することによって食料が製造されたことは皆無であるとするのが発明者らの理解である。我々の知識では、本発明以前には、非水産養殖食料生成動物の食餌を比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含有するEPAオイルもしくはDHAオイルのいずれかを含む微生物の主として従属栄養的な生成を含む製造によって生成された組成物を補足することによって食料が製造されたことは皆無である。
【0056】
この技術には、非水産養殖食料生成動物もしくは非水産養殖非食料生成動物において効果を生じ、それにより、EPAオイル組成物とともにそのような動物の食餌を補給することによって疾患、障害もしくは苦痛を予防、緩和もしくは治癒することが可能なものも含まれ得る。我々の知識では、本発明以前には、微生物の従属栄養的もしくは主として従属栄養的な生成を含む製造によって生成されるEPAオイル組成物を提供し、当該動物に対するこれらの有益な健康効果を研究するために動物に投与する研究はなされていない。
【0057】
そのような技術には、微生物の従属栄養的もしくは主として従属栄養的な生成を含むアプローチによって生成される、比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含有するEPAオイルを含む組成物をヒトの食事に補足することによって達成され、または食料生成動物の食餌にそのような組成物を補足することによって生成される食料を用いて達成される、ヒトの特定の組織の組成における有益な変化を達成することが可能なものも含まれる。発明者らの知識では、本発明以前には、そのような組成物を用いる、もしくは食料生成動物の食餌にEPAオイルを補足することによって生成される食料を用いる食事補足試験はヒトにおいては実施されていない。
【0058】
そのようなアプローチは、ヒトの食事にEPAオイル組成物もしくはここで提供される他の組成物を補足することにより、疾患、障害、もしくは苦痛を予防、緩和、もしくは治療する効果をヒトにおいて生じることができる。
【0059】
すなわち、本発明以前には、非水産養殖食料生成動物の食餌に比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含有するEPAオイルおよびDHAオイルを補足することによって食料を生成することができる方法は満足いくレベルまで達成されてはいない。
【0060】
米国特許(第5,397,591号、第5,407,957号、第5,492,938号、第5,547,699号、第5,550,156号、第5,711,983号を含む)は、渦鞭毛藻類微生物クリプテコジニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)を優先的に含み、C14:0対DHAおよびC16:0対DHA比が0.25:1という小ささの組成物を提供する製造を開示する。これらの比は望ましいものではあるが、食事補助食品の製造には改善が非常に有益である。また、望ましい脂質プロフィールを有する大規模調製品の製造が不可能であることは、それに加えてクリプテコジニウム・コーニイ組成物の製造の商業的に高コストも相まって、食料および食事補助食品の目的でのそれらの一般的な適用を妨げる。
【0061】
米国特許(第5,130,242号、第5,340,594号、第5,340,742号、第5,518,918号、第5,656,319号、第5,698,244号、第5,908,622号、第6,177,108号、第6,410,282号、第6,451,567号、第6,509,178号、第6,566,123号、第6,582,941号、第6,607,900号、第6,566,123号を含む)は、トラウストキトリド(thraustochytrid)微生物シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)、シゾキトリウムSR21株、およびウルケニア種(Ulkenia sp.)を優先的に含む製造アプローチを開示する。これらは非常に望ましくないDHAオイル組成物とみなされるC16:0対DHAの比を含む微細藻類バイオマスを報告する。例えば、Martek Biosciencesの微細藻類DHAオイル製品DHASCO-Sについての製品仕様書はDHA対C16:0比を0.59:1と規定し、Australia New Zealand Food Safety Authority Application No. A522は微細藻類DHAオイル製品Nutrinova DHAのDHA対C16:0比を0.71:1と規定する。
【0062】
米国特許第5,244,191号は、微細藻類種ニツシア・アルバ(Nitzschia alba)を優先的に含む従属栄養的もしくはほとんど従属栄養的な製造であって、3つのタイプの脂肪酸のみが生成され、したがって、明らかに精製プロセスを単純化する製造を報告する。そのような脂肪酸組成物は精製EPAの製造に適する微細藻類油の製造の助けとなり得るが、それは5.5:1を上回る望ましくないほど高いC14:0対EPA比を含み、かつ7.6:1を上回る望ましくないほど高いC16:0対EPA比を含み、したがって、全体として本発明の目的には不適切な油組成物を製造する。
【0063】
微生物ニツシア・ラエビス(Nitzschia laevis)の従属栄養的製造がWen & Chen, Biotechnol. Prog., 18, 21-28 (2002年)によって開示され、その主張によると、実質的にEPAのみをそれらのn−3 HUFAとして含有し、かつ比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含む組成物が報告されている。本発明者の最良の知識では、WenおよびChenによって実施された研究は20より長い炭素鎖長を有するもの、例えば、DPAおよびDHAを含む脂肪酸を同定していなかった。WenおよびChen並びに他の者はそれらの微生物を精製EPAの潜在的源とみなしており、他の者はそれを水産養殖孵化場餌の潜在的源とみなしている(Tan & Johns, J. Appl. Phycol , 8:59-64 (1996年)、Simental-Trinidad, JA et al, J Shellfish Res 20, 611-617 (2001年))。これらの研究は一般食品および食事補助食品用途の富EPA組成物の源の生成には向けられておらず、培養物中のC14:0レベルを低下させ、全脂肪酸の生産性が有用であるのに十分な高さであり、かつEPAのDHAおよび/もしくは他のn−3 HUFAに対する比が許容可能な大きさである培養物を提供するためには改善が依然として必要である。その上、これらのアプローチは小規模でのみ実施されており、これは栄養補助食品用の組成物の製造に有用であるのに十分な物質を生成するのに実用的なものではない。ここで提供される特定の実施形態において、この微生物ニツシア・ラエビスを用いて組成物を製造しているが、それはWenおよびChenによって記載される方法に従って生成されたものではなく、もしくは区別可能な脂質プロフィールを有する。
【0064】
本発明の脂肪酸組成物を構成し、もしくはその起源とすることができる微生物バイオマスはEPAオイルを産生することが可能なあらゆるタイプの微生物、例えば、細菌、酵母、真菌もしくは微細藻類(またはそれらの混合物)の培養から得ることができる。例えば、本発明の脂肪酸組成物は、微細藻類から好ましく得られるエイコサペンタエン酸(EPA)豊富油を含むことができる。現在科学的コンセンサスと認められる微細藻類の属は以下の藻類の科に入る。バシラリオフィセエ(Bacillariophyceae)、ボドノフィセエ(Bodonophyceae)、クロロフィセエ(Chlorophyceae)、クリソフィセエ(Chrysophyceae)、シアノフィセエ(Cyanophyceae)、ジノフィセエ(Dinophyceae)、ユーグレノフィセエ(Euglenophyceae)、フェノフィセエ(Phaeophyceae)、ロドフィセエ(Rhodophyceae)、トリコモナドフィセエ(Trichomonadophyceae)、キサントフィセエ(Xanthophyceae)、および前記に基づくハイブリッド。
【0065】
本発明に従って培養されたときに生成されるEPAの量が増加している野生株、突然変異体もしくは組換え構築微生物も考慮される。
【0066】
微細藻類細胞は菌株から得ることができ、または環境サンプルからも得ることができ、これは沿岸、海洋および陸上の水および氷(遊離の熱噴出口での生活体、これらの環境内の他の生物、例えば、海草、サンゴ、真菌、有孔虫への付着物でもよい)を含む。
【0067】
光独立栄養性条件下で好適なFA組成物。従属栄養性もしくは混合栄養性成長は不適切なFA組成物を生成する。これらには、アンフィジニウム・カルテリ(Amphidinium carteri)、ケトセロス・カルシタンス(Chaetoceros calcitrans)、クロレラ・ミヌチシマ(Chlorella minutissima)UTEX 2341、シリンドロテカ・フシホルミス(Cylindrotheca fusiformis)、モノズス・スブテラネウス(
Monodus subterraneus)UTEX 151、ナノクロロプシス・オクラタ(Nannochloropsis oculata)、ナビクラ・サプロフィラ(Navicula saprophila)、ニツシア・クロステリウム(Nitzschia closterium)(=P.トリコルヌツム)(P. tricornutum))、ニツシア・ラエビス(Nitzschia laevis)、フェドアクチルム・トリコルヌツム(Phaedoactylum tricornutum)UTEX 640、フェドアクチルム・トリコルヌツムUTEX 642、ポルフィリジウム・クルエンツム(Porphyridium cruentum)、スケレトネマ・コスタツム(Skeletonema costatum)が含まれる。これらは以下の参考文献に記載される。Yongmanitchai, W. and Ward, O. Photochemistry, 30:9. 2963-2967. (1991年)、Servel et al, Phytochemistry, 36:3, 691-693 (1994年)、Nanton & Castell Aguaculture, 163: 251-261(1998年)、Brown et al, Aquaculture, 151 : 315-331 (1997年)、Liang et al, J. Appl. Phycol, 17: 61-65 (2005年)、Vazhappilly & Chen J. of Am. Oil Chem. Soc, 75: 393-397 (1998年)、Kitano et al, J. Appl. Phycol, 9: 559-563 (1997年)、Kitano et al, J. Appl. Phycol, 10: 101-105 (1998年)、Tan & Johns J. Appl Phycol, 8: 59-64 (1996年)、Fuentes et al, Journal of Biotechnology 70: 271-288 (1999年)、Pennarun et al, J. Agric. Food Chem., 51: 2006-2010 (2003年)、Leonardo & Lucas Aquaculture 182: 301-315 (2000年)、Berge et al, Phytochemistry 39: 5 1017-1021 (1995年)、Kotzabasis et al, Journal of Biotechnology, 70: 357-362 (1999年)、Hyash et al, Izvestiya Akademii Nauk SeriyaBiologicheskaya (4): 472-477 jul-aug 19 (1996年)。
【0068】
光独立栄養成長条件下で好適なFA組成物。我々が知る限り、従属栄養的に成長することができない。これらには、アムフィジニウム種(Amphidinium sp.)、ビズルフィア・シネンシス(Biddulphia sinensis)、ケトセロス・ムエレリ(Chaetoceros muelleri)、ヘテロマストリクス・ロツンダ(Heteromastrix rotunda)、モノクリシス・ルテリ(Monochrysis lutheri)、ナノクロロプシス(Nannochloropsis)様、ナビクラ(Navicula)様、未知の種、ナビクラ種、ニツシア・フルスツルム(Nitzschia frustulum)、ニツシア・パレアセア(Nitzschia paleacea)、パブロバ・ルテリ(Pavlova lutheri)、パブロバ・ピンギス(Pavlova pinguis)、シュードペジオネラ種(Pseudopedionella sp)、ロドソルス種(Rhodosorus sp.)、クリコスフェラ・カルテレ(Cricosphaera carterae)が含まれる。これらは以下の参考文献に記載される。Mansour et al., J. Appl. Phycol., 17, 287-300 (2005年)、Volkman et al, Phytochemistry, 19: 1809-13 (1980年)、Lokman Arch. Int. Phys. Biochim. Biophys., 101: 253-256 (1993年)、Leonardos & Lucas Aquaculture 182, 301-315 (2000年)、Yongmanitchai, W. and Ward, O. Phytochemistry, 30: 9. 2963-2967 (1991年)、Brown, M. R., et al, Aquaculture, 151: 315-331 (1997年)、Rao et al, Marine Ecology, 26: 63-71 (2005年)、Renaud, S.M. et al, J. Appl Phyc. 7: 595-602 (1995年)、Delaunay et al, J. Exp. Mar. Biol. Ecol, 173: 163-179 (1993年)。
【0069】
EPAに富むが、適切な組成物の生成の記録がない。これらには、クラミドモナス・プレトラ(Chlamydomonas plethora)、ココリツス・フクスレイイ(Coccolithus huxleyi)、クリコスフェラ・カルテリ(Cricosphaera carteri)、クリプロモナス・マクラタ(Cryptomonas maculata)、シクロテラ・クリプチカ(Cyclotella cryptica)、ズナリエラ・プリモレクタ(Dunaliella primolecta)、ズナリエラ・テルチオレクタ(Dunaliella tertiolecta)、エミリアニア・フクスレイイ(Emiliania huxleyi)、イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)、ナノクロリス・オクラタ(Nannochloris oculata)、パブロバ・サリナ(Pavlova salina)、パブロバ・ビリジス(Pavlova viridis)、ポルフィリジウム・プルプレウム(Porphyridium purpureum)、プロロセントルム・ミニマム(Prorocentrum minimum)、ロドモナス・レンス(Rhodomonas lens)、シゾキトリウム・アグレガツム(Schizochytrium aggregatum)、テトラセルミス・スエシカ(Tetraselmis suecica)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)、ナノクロロプシス種(Nannochloropsis sp.)が含まれる。これらは以下の参考文献に記載される。Rao et al, Mar. Ecol 26: 63-71 (2005年)、Galloway J. Phycol, 26: 752-760 (1990年)、Sriharan et al, Appl. Biochem. Biotech., 28: 317-326 (1991年)、Nanton & Castell Aquaculture, 163: 251-261 (1998年)、Nanton & Castell Aquaculture 175: 167-181 (1999年)、Delaunay et al, J. Exp. Mar. Biol. Ecol, 173:163-179 (1993年)、Riebesell et al, Geochim. Cosmochim. Act., 64: 4179-4192 (2000年)、Yamamoto et al, Org. Chem., 31: 799-811 (2000年)、Bell & Pond Phytochemistry. 41: 465-471 (1996年)、Thompson et al, J. Phycol., 28: 488-497 (1992年)、Nuutila et al, J. Biotech., 55: 55-63 (1997年)、Ohta et al, J. Ferm. Bioeng., 74: 398-402 (1992年)、Ohta et al, Botanica Marina, 36: 103-107 (1993年)、Jonasdottir Mar. Biol. 121: 67-81 (1994年)、Delaporte et al, Comp. Biocehm. Physiol., 140: 460-470 (2005年)、Thompson et al, Aquaculture, 143: 379-391 (1996年)、Zhukova Russian Journal of Plant Physiology, 51 : 702-707 (2004年)、Wood et al, Journal of Biotechnology 70: 175-183 (1999年)、Grima et al, Process biochemistry 27: 299-305 (1992年)、Servel et al, Phytochemistry, 36:3 691-693 (1994年)、Otero et al, Biotechnol. Appl Biochem. 26: 171-177 (1997年)、Fidalgo et al, Aquaculture. 166: 105-116 (1998年)、Volkman et al, Phytochemistry, 30: 6, 1855-1869 (1991年)、Li et al, Annals of Microbiology, 55, 51-55 (2005年)、Fuentes et al, Journal of Biotechnology. 70: 271-288 (1999年)、Rogova J. Plant Physiol 149: 241-245 (1996年)、Grima Appl. Microbiol. Biotechnol 38: 599-605 (1993年)、Adlerstein & Bigogno J. Phycol. 33: 975-979 (1997年)、Sukenik et al., Aquaculture, 117: 313-326 (1993年)。
【0070】
EPAの合成を担う遺伝子の組がそれを有する生物から採取されて別の生物、例えば、植物もしくは動物に該遺伝子の合理的なレベルでの発現を担う遺伝子制御機構と共に伝達される場合、微細藻類をEPAの本来の源として頼る必要はもはやない。
【0071】
無菌技術を用いて、細胞もしくは細胞の集合を周囲試料を源とする単離体もしくは菌株から当業者に公知の方法によって物理的に分離することができる。例えば、顕微鏡およびマイクロピペットを用い、続いて適切な培地において培養することによって単生細胞を単離することができ、または成長モノクローナルクローンを、天然もしくは培養由来の試料をストリークした寒天プレートから移すことができる。または、望ましくない細菌を殺すため、様々な抗生物質を(真核藻類の培養物に)添加することができる(Andersen & Kawach, Chapter 6 in Algal Culturing Techniques (ed. Andersen) Elsevier (2005年))。
【0072】
微細藻類の培養は、通常、液体培地中で行われる。最も一般的に用いられる培地は、しばしば、成長を補助するための追加的な微量および主要栄養素を含む天然もしくは人工の海水に基づく。大部分の微細藻類用の主要栄養素は窒素およびリンであり、珪藻の場合には、その上にケイ酸塩である。後者は、通常、その5もしくは9水和物形態のいずれかのメタ珪酸ナトリウムの形態で、例えば、培養培地中に1リットルあたり120mgのレベルで供給される。窒素は、微細藻類が窒素含有分子の合成において用いるのに適する形態(1種類またはそれ以上)(すなわち、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酵母抽出物、トリプトン、コーンスティープリカー、尿素、アンモニア)で供給することができる。一例は、硝酸ナトリウムを単独の窒素源として培養培地の1リットルあたり30mgから1200mgで供給することである。リンは、通常、リン酸塩として添加され、これは藻類によって容易に吸収される。微量栄養素もしくは微量金属(すなわち、鉄、マンガン、亜鉛、およびコバルト)は低レベル(1リットルあたり<<1mg)で培地に添加される。大部分の培地は、ビタミン、通常はB12、チアミンおよびビオチンも含有するが、ほとんどの藻類はそれらのうちの1もしくは2種類のみを必要とする(Provasoli & Carlucci in Algal Physiology and Biochemistry (ed. Stewart) Blackwell Scientific, UK (1974年))。
【0073】
実質的に従属栄養性の成長を可能とするため、有機炭素の1種類またはそれ以上の源も培養物に供給する。様々な単糖類、二糖類および多糖類を用いて有機炭素を吸収可能な形態で培養培地中に添加することができる。用いられる微生物によって、比較的純粋な果糖、グルコース、ラクトース、マルトースおよびスクロース、もしくはこれらの組み合わせを含む源を用いることができる。一例は、グルコースを培養培地中に1リットルあたり2、5、25もしくは50グラムのレベルで含めることである(Wen & Chen Journal of Industrial Microbiology and Biotechnology, 25: 21 8-224 (2000年))。複合炭素源を利用することもでき、これには、これらに限定されるものではないが、未加工サトウキビもしくはテンサイ糖、デンプンまたは糖を含有する産業副産物、例えば、コーンスティープリカーが含まれ、これらは複合窒素源を含んでいてもよい。ラクトースを含有する乳清流が本発明の特定の方法に特に有用であることが見出されている。
【0074】
栄養素は培地中に生成サイクルの開始時に供給することができ、または当該技術分野における当業者に公知の戦略を用いて成長培地の希釈の調節および培養物中の栄養素の置換を行うこともできる。培養培地の製法は膨大であり、菌株のホームページ(すなわち、UTEX Culture Collection of Algae http://www.bio.utexas.edu/research/utex/)もしくは刊行文献(すなわち、Starr & Zeikus J. Phycol. 29: 1-107 (1993)、Andersen et al, (2005年) Appendix A in Algal Culturing Techniques (ed. Andersen) Elsevier)のいずれかから容易に到達可能である。
【0075】
培養中の雑菌混入を回避するため、成長する培養物で研究するときの用いられる培養培地およびすべての機器(培養容器、ピペット、種菌ループ等)は接種に先立って殺菌するべきである。これは当業者に公知の様々な技術によって達成することができる。機器の殺菌に通常用いられる方法はオートクレーブ処理(2atmの蒸気圧および121℃)もしくは火炎処理(裸火に用具を通過させる)である。培地および栄養素の原液はオートクレーブ処理もしくは濾過(<0.2μm細孔サイズフィルタ)のいずれかによって殺菌する(Kawachi & Noel Chapter 5 in Algal Culturing Techniques (ed. Andersen) Elsevier (2005年))。
【0076】
培養はその微細藻類種が成長することができるあらゆる温度で実施することができる。通常、反応容器内の培地を熱交換機構を用いることによって25から40度の温度で保持する。そのような機構は当該技術分野における当業者に公知である。EPAは、一般には、低温で総脂肪酸の割合に従って増加するが、高温ではEPAオイルの生産性全体を高め得る。N.ラエビスの培養を実施するのに好都合かつ経済的な温度は20℃である。
【0077】
培養培地のpH値は制御しなければならない。通常、7から9のpHが微細藻類株に好ましいが、高および低pH値が栄養素の沈殿を生じることがあるため、微細藻類および培地の組成によっては、より高い、もしくはより低いpHレベルを用いることができる。pHは、培養の全プロセスを通して、適切な酸もしくは塩基、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の添加によって制御することができる。ニツシア・ラエビスの培養に対しては、pHを7.5から8.5で維持することが好ましい(Wen & Chen, Biotechnol. Bioeng., 75:159-169 (2001))。
【0078】
培養物の長期保存には、保存培養物を寒天斜面培地もしくは液体培地中のいずれかに、成長に準最適な条件(すなわち、低温)下で保持する(Lorenz et al., Chapter 10 in Algal Culturing Techniques (ed. Andersen) Elsevier (2005年))。
【0079】
または、様々な低温保存技術を適用して長期間にわたり生存細胞を保存することもできる(J.G. Day et al, J Appl Phycology 9: 121-127, (1997年), and J.G. Day et al, J Appl Phycology 12: 369-377, (2000年))。接種物は、細胞を寒天斜面培地もしくはプレートから6〜10mlの培養培地を含む試験管に移して調製することができる。次に、成長期間の後、試験管内の細胞を用いて500ml振盪フラスコ内の200mlの無菌成長培地に接種する。接種した振盪フラスコの内容物を用いて体積が数リットルまでの、小型の機械的攪拌を行なう発酵槽に接種する。次に、より大きな製造反応器に、生成サイクルの開始時、上記方法によって調製された接種物をその反応器の体積の約10%で接種する。
【0080】
給餌バッチ、連続給餌バッチ、もしくは連続プロセスにおいては、新鮮な培地を追加、もしくは濃縮保存液を継ぎ足すことによって補充することができる。培地中の栄養素レベルおよび比の変更が微細藻類における脂質産生および組成に影響を及ぼし得ることは当該技術分野における当業者に公知である。特に、微細藻類培養物中の窒素対炭素比並びに窒素およびケイ酸塩の供給を培養サイクルの異なる部分で変更することに関して重要な研究が行われている。例えば、珪藻に対するケイ酸塩の供給を制限すると油産生(oleogenesis)を誘発することが公知である(Borowitzka, "Micro-Algal Biotechnology", Cambridge University Press (1988年))。米国特許第5,244,191号は、所定時間のケイ酸塩欠乏を負荷することによってニツシア・アルバにおいて油産生相(oleogenic phase)を誘導する方法と、油産生相の時間の長さが培養される微生物のタイプおよび利用可能な栄養素供給に依存することを開示する。しかしながら、米国特許第5,244,191号は、いずれの栄養素欠乏のタイミングをいずれかの特定の微生物に対して如何にして調節するべきであるかを示唆しておらず、タイミング、長さもしくはいずれかの栄養素欠乏の特定の組み合わせがいずれかの微生物における脂質の相対組成を如何にして変更し得るのかも教示していない。本発明においては、鍵となる栄養素の比および供給を、培養サイクルの開始時に、徐々に、もしくは培養サイクルを通じて連続的に、または、得られた脂肪酸組成が本明細書で規定するEPAオイルもしくはDHAオイルの範囲内であることを確実にするために仕上げ工程の一部として変更することによって培養プロセスを制御することができる。例えば、EPAオイルを生成するため、異なる炭素基材を異なる種と共に用いることが有益であり得る。特定の生物については、異なる炭素基材を培養培地中で用いることによって脂肪酸組成を有益に変更できることが公知である。例えば、Wu, Yu & Lin, "Effect on culture conditions on docosahexaenoic acid production by Schizochytrium sp. S31. Process Biochemistry, 40: 3 103-3 108 (2005年)を参照のこと。微生物に対する炭素源の効果を決定する系統的アプローチを適用することにより、他のパラメータも同時に考慮するとき、どの組み合わせが比較的低レベルのC16:0およびC14:0を有するEPAオイルもしくはDHAオイルの生成を導くことが可能であり得るのかを決定することができる。微生物ニツシア・ラエビスを用いて比較的少ないC16:0およびC14:0を含むEPAオイルを生成するのに好ましい炭素源はラクトースである。
【0081】
光は微細藻類の成長および細胞組成にとって非常に重要なもう一つの要素であり、脂肪酸生成効率を強化し、および/もしくはバイオマスの脂肪酸組成の改善に相応する生理学的応答を誘起するための方策は微細藻類細胞を強度、周波数および持続時間の異なる光に露出することである。様々な著者が微細藻類および関連生物の光合成培養における脂質生成に対する光強度および波長の効果を研究している(Mock & Kroon, Phytochemistry 61 : 5-60 (2002年)、Saavedra & Voltolina Comparative Biochemistry and Physiology B - Biochemistry & Molecular Biology, 107: 39-44 (1994)、Radwan et al, Z. Naturforsch, 43c: 15-18 (1988年)を参照)。いくつもの論文が、光が主なエネルギー源である微細藻類の混合栄養性生成について記載している(すなわち、Kotzabasis et al., Journal of Biotechnology, 70: 357-362 (1999年))。しかしながら、脂質産生微細藻類を主として従属栄養性の培養において比較的少量の光に露光する効果に関して報告している研究は、あったとしても、非常に僅かである。上述の著者もあらゆる従来技術刊行物も、非常に低レベルの光もしくは波長が制限された光もしくはその両者の組み合わせを用いてEPAオイルもしくはDHAオイルを微細藻類において、実質的に従属栄養性の商業的培養において生成する方法を示してはいない。バイオリアクターを部分的に、もしくは全体として透明材料から作製し、細胞をこれら少量の光に効率的に露光できるようにすることは有用であり得る。Su & Lee Biotechnology and Bioprocess Engineering, 8: 313-321 (2003年)において概説されるように、多数の光バイオリアクターの設計は当該技術分野における当業者に公知である。
【0082】
好ましくは、各細胞が露光される光の総量は、人工光の場合には電気消費を最小とするのに、自然光の場合には透明リアクター表面と接触させるのに必要となり得るいずれかの所定時間での培養物の割合を最小とし、バイオリクター設計におけるこれらの必要性を最小とするのに十分な少なさのものである。細胞を非常に低い光レベルのみに露光する必要性は、理想的には、自然光の強度および持続時間が培養バイオマスの生産性および組成に対して有し得るあらゆる望ましくない変動を、細胞の露光を利用可能な光の最低共通持続時間および強度以下に制限することによって低減させる。低い総細胞露光量を達成するため、細胞を低強度の光に連続的に、もしくはより高い強度の光に周期的に、もしくはその組み合わせで露光することができる。明暗サイクルとして公知の効果は、いくつもの明域および暗域が存在し得る反応器内で、反応器の一部を強度および/もしくは持続時間の異なる光源で露光することにより、またはこれらの方法の組み合わせで細胞を混合することにより達成することができる。または、波長が制限された光に細胞を露光することもでき、これにより総脂質生産性が増加し、および/もしくは総脂肪酸における少なくとも1種類のn−3 HUFAの割合が増加し、および/もしくは総脂肪酸における少なくとも1種類の飽和脂肪酸の割合が減少する。代替の生成方法においては、主として従属栄養性の培養の微生物を長い期間をかけて非常に少量の光に露光し、高レベルの少なくとも1種類の特定のn−3 HUFAおよび比較的低レベルのC16:0および/もしくはC14:0を含むバイオマスの培養物を生成することができる。低レベルの光強度および/もしくは波長が制限された光の微生物に対する効果を決定する系統的アプローチを適用して、他のパラメータも同時に考慮した場合、どの組み合わせが比較的低レベルのC16:0およびC14:0を含むEPAオイルもしくはDHAオイルの生成を導くことが可能であり得るかを決定することができる。微生物ニツシア・ラエビスを用いて比較的低レベルのC16:0およびC14:0を含むEPAオイルを生成するのに好ましい方法は、毎秒1平方メートルあたり1から10マイクロモル光子の白色光での連続照射を、バイオマス密度が、1リットルあたり1グラム未満の乾燥バイオマスである細胞200mのl溶液を入れた十分攪拌された500ml三角フラスコの低垂直面に対し行なうことで得られるのと等しい光量子束を細胞に与える低強度の光の使用である。透明バイオリアクター内での細胞あたりの露光を見積もるための方法は当該技術分野における当業者に公知である。すなわち、Zhang & Richmond, Biotechnol, 5: 302-310 (2003年)。
【0083】
通常、20〜200,000リットル以上の容量を有する、1台もしくは数台の反応器が培養物の調製に適する。あらゆるタイプの発酵槽を本発明で用いることができるが、回転シャフトによって電気モーターに連結する4、5もしくは6枚ラシュトン型羽根を有するステンレス鋼発酵槽が、幾つかの実施形態においては、高レベルの混合を提供し、かつ高レベルの溶解気体を維持するのに好ましい。そのような反応器の使用および設計のためのパラメータは当該技術分野における当業者に公知である(M.J. Kennedy "A review of the design of reaction vessels for the submerged culture of micro-organisms". Industrial Processing Division, New Zealand Dept. of Scientific and Industrial Research (1984年))。大規模培養に好ましい発酵槽はエア・リフト発酵槽である。これらの発酵槽においては、流体力学的乱流および気体物質移動とを調節するため最適化した幾何学的設計を利用した、気体の注入によって培養物を攪拌し、十分量の微細藻類バイオマスを産生する(Chisti M.Y., Airlift Bioreactors Elsevier Applied Science (1989年)を参照)。エア・リフト発酵槽は混合のために必要なエネルギーを低減することができる。ハイブリッド部分羽根駆動エア・リフト反応器も幾つかの実施形態においては好ましい。反応器内の気体のレベルは当該技術分野における当業者に公知の様々な方法によって調節することができ、これらに限定されるものでないが、ろ過空気もしくは精製気体の注入、散布、羽根速度の制御、反応器設計配置の変更、反応器の加圧および脱気装置の使用によるものが含まれる。羽根もしくは気泡を気体の分散および容器内の培地の混合の補助に用いる場合、培地中の高速の羽根先端速度および表面での泡の破裂が微生物を剪断応力に晒すことがある。これらの要素は設計および操作条件によって最適化するべきであり、必要であれば本明細書内で参照される刊行物を参照して、当該技術分野における当業者が最適化することができる。当該技術分野における当業者に公知の方法を両タイプの反応器で用いて、剪断感受性微生物に対する剪断被害の可能性を低下させることができる。そのような方法には、これらに限定されるものではないが、羽根の先端速度を低く保持することおよび化学薬剤を用いて培養培地の粘度を低下させることが含まれる。
【0084】
反応器はバッチもしくは連続培養の基本的主旨の様々なバリエーションのうちの幾つかに沿って稼働させることができる。連続培養の一例がZ.Y. Wen and S. F. Chen in Biotechnol. Prog. 18: 21-28 (2002年)に記載されている。高度なバッチ培養、例えば、連続供給、希釈および細胞の再利用の採用も、成長を阻害する物質を培地から除去することと同様に、そのプロセスを通して栄養素レベルのより細かい制御を達成することに有益であり、高い細胞密度での連続成長を達成することができる(Wen, Z. and Chen, F, Process Biochemistry 38: 523 529 (2002年)も参照)。または、培地を機械的、化学的もしくは他の物理的手段によって処理して、抗藻類性もしくは自己阻害性の代謝物を除去し、または細胞の成長もしくは生産性を阻害する二次代謝物の生成を変更することもできる。
【0085】
特定の実施形態は微生物バイオマスの処理方法にも関する。ここでは、微生物バイオマスを当該技術分野における当業者に公知の様々な方法によって油の抽出前に前処理することができる。そのような方法には、綿状沈殿、沈降、遠心分離、低温殺菌、押し出し、凍結乾燥、ベルト乾燥、噴霧乾燥が含まれる。培養中もしくはその終了時に採取された細胞は凝集を形成して容易に沈殿する傾向を有することがあり、または綿状沈殿によって沈降のプロセスを補助することができる。以下の参考文献が有用であり得る。Mackay, D. (1996年). 培養液の条件と説明、 天然産物の後処理プロセス。実用ハンドブック (Ed. M.S. Verral), 11-40, John Wiley & Sons、Boonaert, C.J.P et al, "Cell separation, Flocculation: Encyclopedia of Bioprocess Technology" (1999年)、Fermentation, Biocatalysts and Bioseparation (eds M.C. Flickinger & S.W. Drew), 1: 531-47, John Wiley & Sons, Inc.、 Hee-Mock, O. et al., "Harvesting of Chlorella vulgaris using a bioflocculant from Paenibacillus sp. AM49," Biotechnol. Lett., 23: 1229-34 (2001年)。これらの各々は参照によりここにその全体が組み込まれる。
【0086】
または、J Am Oil Chem Soc 73: 1025-1031においてM. E. Cartensらによってもたらされた技術に追随することもできる。採取された細胞から、濾過および/もしくは遠心分離によって水分を除去した後、ドラム、噴霧、もしくは凍結乾燥によってさらに乾燥させることができる。培養物の遠心分離に関連する技術分野において記述され、かつ公知である方法および技術には、例えば以下が含まれる。Chisti. Y. & Moo-Young, M. "Fermentation technology, bioprocessing, scale-up and manufacture" (1991年)、Biotechnology: the science and business (eds M. Moses & R.E. Cape), 167-209. Harwood Academic Publishers, New York、Mackay, D. "Broth conditioning and clarification, Downstream processing of natural products", A practical handbook, (ed. M.S. Verral), 11-40, John Wiley & Sons (1996年)、Benemann, J.R. et al, "Development of microalgae harvesting and high rate pond technologies in California" (1980年)、 Algal Biomass (eds G. Shelef & C.J. Soeder), 457, Elsevier, Amsterdam、Richmond, A. & Becker, E.W. "Technological aspects of mass cultivation, a general outline", In: CRC Handbook of microalgal mass culture (ed. Richmond), 245-63 (1986年), CRC Press Inc., Boca Raton, Florida、D'Souza, F.M.L. et al, "Evaluation of centrifuged microalgae as diets for Penaus monodon Fabricius larvae", Aquaculture Res., 31: 661-70 (2000年)、Heasman, M. et al., "Development of extended shelf-life microalgae concentrate diets harvested by centrifugation for bivalve molluscs - a summary", Special issue: "Live feeds and microparticulate diets", Aquaculture Res., 31: 8-9, 637-59 (2000年)、Mohn, F.H. "Improved technologies for the harvesting and processing of microalgae and their impact on production costs", Archiv fur Hydrobiologie, Beihefte Ergebnisse der Limnologie, 1: 228-53 (1978年)、Letki, A.G. "Know when to turn to centrifugal separation", Chem. Eng. Prog., September, 29-44 (1998年)。これらの各々は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0087】
培養物の濾過に関連する技術分野において記述され、かつ公知である方法および技術には、例えば以下が含まれる。Mohn, F.H. "Experiences and strategies in the recovery of biomass from mass cultures of microalgae", Algae Biomass (eds G. Shelef & C.J. Soeder), 547-71 (1980年)、Gudin, C. & Therpenier, C. "Byconversion of solar energy into organic chemicals by microalgae", Adv. Biotechnol. Proc, 6: 73-110 (1986年)、Belter, P.A. et al, "Bioseparations, Downstream processing for biotechnology", John Wiley & Sons (1988年)、Ben-Amotz, A. & Avron, M. "The biotechnology of mass culturing of Dunaliella for products of commercial interest. Algal and Cyanobacterial Technology", (eds R.C. Cresswell, T.A.V., Rees & N. Shah), 90-114, Longman Scientific and Technical Press (1987年)、およびRuane, M. "Extraction of caroteniferous materials from algae", オーストラリア特許第7239574号(1977)。これらの各々は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0088】
培養物およびバイオマスの噴霧、ドラムおよび凍結乾燥に関連する技術分野において記述され、かつ公知である方法および技術には、例えば以下が含まれる。Ben-Amotz, A. & Avron, M. "The biotechnology of mass culturing of Dunaliellafor products of commercial interest ", Algal and Cyanobacterial Technology (eds R.C. Cresswell, T.A.V., Rees & N. Shah), 90-114, Longman Scientific and Technical Press (1987年)、Belter, P.A. et al, "Bioseparations, Downstream processing for biotechnology", John Wiley & Sons (1988年)、Chisti, Y. & Moo-Young, M. "Fermentation technology, bioprocessing, scale-up and manufacture", Biotechnology, the science and the business (edsw M. Moses & R.E. Cape), 167-209, Harwood Academic Publishers, New York (1991年)、Molina-Grima, E. et al, "Gram-scale purification of eicosapentaenoic acid *EPA 20:5n3) from wet Phaeodactylum tricorautum UTEX 640 biomass", J. Appl. Phycol., 8:359-67 (1996年)、Snowman, J.W. "Lyophilization, Downstream processing of natural products", A practical handbook, (ed. M.S. Verral), 275-300, John Wiley & Sons (1996年)、Bruttini, R. "Freeze-drying, pharmaceuticals", Encyclopedia of Bioprocess Technology (eds M.C. Fickinger & S.W. Drew) 1276-98, vol.2. John Wiley & Sons (1999年)。これらの各々は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0089】
乾燥もしくは半乾燥バイオマスは冷却されたバット内に押し出されたスラリーとして、または固形、ペレットもしくは粉末に形成して保存することができる。これらは、後に、ヒトもしくは動物消費用の食品に処方することができる。特定の実施形態はポリ不飽和脂肪酸含有油を微生物バイオマスから単離する方法にも関する。EPAオイルを湿潤もしくは乾燥バイオマスから当該技術分野における当業者に公知の技術に従って抽出し、脂質を含有する複合体を生成することができる。全脂肪酸は乾燥もしくは湿潤バイオマスから揮発性有機溶媒、例えば、エタノールもしくはヘキサンを用いる抽出または超臨界ガスクロマトグラフィーによって抽出することができる。
【0090】
抽出された脂質を濃縮して中間体もしくは高純度EPA油画分を生成することに関連する技術分野において記述され、かつ公知である方法および技術には、例えば以下が含まれる。Robles Medina, A. et al, "Concentration and purification of stearidonic, eicosapentaenoic and docosahexaenoic acids from cod liver oil and the marine microalga Isochrysis galbana", JAOCS, 72: 575-83 (1995年)、Cartens, M. et al., "Eicosapentaenoic acid (20:5n3) from the marine microalga Phaeodactylum tricornutum", J. Am. Oil Chem. Soc, 73: 1025-31 (1996年)、Molina-Grima, E. et al., "Gram-scale purification of eicosapentaenoic acid EPA 20:5n3) from wet Phaeodactylum tricornutum UTEX 640 biomass", J. Appl Phycol., 8: 359-67 (1996年)、Ibanez Gonzalez et al., "Optimization of fatty acid extraction from Phaeodactylum tricornutum UTEX 640 biomass", J. Am. Oil Chem. Soc, 75: 1735-40 (1998年)、Gimenez, A. et al., "Downstream processing and purification of eicosapentaenoic (20:5n3) and arachidonic (20:4n6) acids from the microalga Porphyridium cruentum. Bioseparation", 7: 89-99 (1998年)、Belarbi, H. et al., "A process for high and scaleable recovery of high purity eicosapentaenoic acid esters from microalgae and fish oil", Enzyme Microb. Technol., 26: 516-29 (2000年)、Rodiguez-Ruiz, L. et al., "Rapid simultaneous lipids extraction and transesterification for fatty acid analysis", Biotechnol. Tech. (1998年)、Belarbi, E.H. et al., "Downstream processing of algal oils rich in polyunsaturated fatty acids: The purification of eicosapentaenoic acid (EPA) with a view towards industrial production", Algal Biotechnology, A Sea of Opportunities (2002年)、The 1st Congress of the International Society for Applied Phycology, 9th international Conference on Applied Algology, Aguadulce, Roquetas de Mar, Almeria, Spain, 26-30 May (eds M. Garcia, E. Molina, F.C. Acien, J.M. Fernandez, J.A. Sanchez & C. Brindley, p 106, Universidad de Almeira、Walker, "Supercritical CO2 extraction of Lipids from Pythium irregulare". J Am Oil Chem Soc 76: 595-602 (1999年)。超臨界CO2の最適化は、脂質のタイプの分離を導くYener "Estimation of lipid properties related to supercritical fluid extraction" Int J Food Properties 4:1 45-57 (2001年)に照らして行うことができ、上記の各々は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0091】
バルク抽出脂質は直ちにさらに処理することができ、またはさらなる処理の前に保存することができる。保存中の脂肪酸の酸化を防止するため、酸化防止剤を添加することができ、油を冷却し、不活性ガス、例えば、窒素もしくはアルゴンを噴霧することによって酸素への露出から保護し、暗所保存によって光から保護することができる。ヘキサンを用いて抽出される脂質については、以下の参考文献がその実践者に有用であり得る。Guil-Guerrerro JL "Hexane reduces peroxidation of fatty acids during storage" Eur J Lipid Sci Technol 103: 271-278 (2001年)。油はさらに処理して粉末、ゲル、マイクロカプセル化もしくはカプセル化ソフトゲルとし、既存の食品、食品成分もしくは栄養補助食品と処方し、さらに処理して色、風味および他の感覚特性を変更することができる。
【0092】
特定の実施形態においては、発酵から生じる物質(しばしばブロスと呼ばれる)を用いることができる。好ましくは、バイオマス固形物を得るため、大部分の水は除去する。この段階でのバイオマスは、好ましくは、20から75%の乾燥物質含有率を有する。その後、バイオマスを顆粒状粒子に造粒することができる。これは、好ましくは、押し出しによって達成され、それに先だって高剪断混合を行ってもよい。その後の処理がどのようなものであるかによって、特に得られた顆粒を使用する前に保存する場合には、細胞の破壊を防止するかまたは最小化することが好ましい。 抽出されたEPAオイルはその状態でさらに処理することなく用いることができ、もしくは1つまたはそれ以上のさらなる精製工程にかけることができる。油の精製は標準技術を用いて行うことができる。例えば、油に脱ゴム処理、脱酸処理、漂白および/もしくは脱臭処理を施すことができる。油は比較的安定であり、もしくは、酸化防止剤混合物を添加して酸化分解的反応の効果を防止もしくは軽減することができる。

投与
別の態様において、ここで説明される組成物を、例えば、ヒトもしくは、通常、ヒトが消費するための食品の産生に用いられる動物を含む、動物に与えることができる。
【0093】
特定の実施形態において、動物によるこれらの組成物の消費、例えば、ヒトによる直接消費もしくは投与による、動物による直接消費もしくは投与による、もしくは食品の消費を通しての消費は、被検体における望ましくない生化学的、生理学的、もしくは身体的疾患の改善もしくは緩和をもたらす。
【0094】
一般的には、ここで説明される組成物は広範囲の状態および障害の治療に有用であり、その例には、糖耐性の障害、空腹時の血糖の障害、糖尿病、1型および2型糖尿病を含む糖尿病並びにそれらの合併症、インスリン抵抗性、糖尿病関連高血圧、シンドロームX、癌、変形性関節症、自己免疫疾患、関節リウマチ、関節炎以外の炎症性および自己免疫性疾患、呼吸器疾患、神経障害、神経変性疾患、腎および尿路障害、心臓血管疾患、脳血管障害、眼の変性疾患、精神疾患害、生殖障害、内臓障害、筋肉障害、代謝障害、前立腺肥大および前立腺炎、インポテンツおよび男性不妊、乳房痛、男性型脱毛症、骨粗鬆症、皮膚疾患、失読症および他の学習障害、および癌悪液質、肥満、潰瘍性大腸炎、クローン病、拒食症、火傷、変形性関節症、骨粗鬆症、注意欠陥/多動障害、並びに初期段階の結腸直腸癌、肺および腎臓疾患、並びに異常成長および発達に関連する障害が含まれ、それらを必要とする患者に有効量の組成物を投与することを含む。
【0095】
他の標的とする疾患、障害、および状態には、心筋症、糖尿病性心筋症を含む心筋症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心臓病、高血糖症、高コレステロール血症(例えば、低比重リポタンパク質(LDL−C)中のコレステロールの増加)、高血圧、高インスリン血症、および/もしくは高脂血症、高脂血症、高コレステロール血症(例えば、低比重リポタンパク質(LDL−C)中のコレステロールの増加)、高血糖症、高血圧、および/もしくは高インスリン血症のいずれか1つ以上を部分的特徴とする疾患および障害、全体として、もしくは部分的に、LDL−Cの増加を特徴とする疾患、障害もしくは状態、並びに、全体として、もしくは部分的に、(a)高銅血症および/もしくは銅関連組織損傷並びに(b)高血糖症、インスリン抵抗性、糖耐性障害、および/または空腹時血糖障害、および/または高レベルもしくは望ましくないレベルのLDL−C、または(a)および(b)の傾向もしくは危険性を特徴とする疾患、障害もしくは状態が含まれる。
【0096】
いかなるメカニズムにも限定しようとするものではないが、ここで提供される組成物を用いる動物の治療方法は、特定の場合において、および少なくとも部分的には、動物(例えば、ヒト、ウシ等)における脂質組成もしくは代謝の調節によって達成されるものと信じられる。そのような改善の1つはヒト被検体の血清の脂質組成に向けられ、これは関連する医学的状態の改善もしくは緩和と相関する。したがって、特定の実施形態においては、動物の血清脂質プロフィールの変更方法が提供される。
【0097】
ヒトもしくは動物の関連組織における脂肪酸の変化は当該技術分野における当業者に公知の様々な技術によって測定することができる。それらには、これらに限定されるものではないが、ここで以下に説明される方法が含まれる。血清中の遊離脂肪酸は、抽出の後、気−液クロマトグラフィー(以下、「GLC」という)によって、例えば、Dol, (1956年), J. Clin. Invest. 35: 150、Turnell et al, (1980年), Clin. Chem. 26: 1879に記載されるように、分析および定量することができる。血清トリグリセリドは、リパーゼおよびエステラーゼの混合物による加水分解の後、グリセロールキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、およびラクテートデヒドロゲナーゼを加えて用いる動力学的定時間分析によるグリセロールの決定で測定することができる(例えば、Ziegenhorn, (1975年), Clin. Chem. 2: 1627、 Klotzsch & McNamara, (1990年), Clin. Chem. 36:1605を参照)。動物、例えば、ウシからのミルクの脂肪組成および/もしくはコレステロール組成を、個々のウシが適切な組成を有するミルクを産生するかどうかの決定に用いることができる。代表的なミルク試料を得るための手段は当該技術分野において公知である。ミルク試料は凍結することができ、もしくは凍結することなしにさらなる分析に処することができる。ミルク試料の脂肪組成を後述のように当該技術分野において公知の方法を用いて測定し、ミルク試料中に存在する脂肪酸および/もしくはコレステロールのタイプおよび量を記録することができる。ほとんどの場合、ミルク試料の採取に先立って、個々のウシに通常の餌を、例えば、少なくとも約3日、好ましくは少なくとも約5日給餌する。脂肪および脂肪酸のタイプおよび量を決定するための方法は、例えば、Cook et al, J. Dairy Res. 39: 211 (1972年)、Noakes et al., Am. J Clin. Nutr. 63:42 (1996年)、米国特許第6,242,013号に記載されている。通常、全脂肪は、組織もしくは流体、例えば、ミルク(もしくはミルクから製造されるバター)から適切な溶媒、例えば、クロロホルム、クロロホルム/エタノールもしくはクロロホルム/イソプロパノール、ジエチルエーテル、または石油エーテル、または混合液、例えば、NH4OH/エタノール/ジエチルエーテル/石油エーテル(Walstra & Mulder, Neth Milk Dairy J 18: 237 (1964年))と混合もしくはホモジナイズすることによって抽出した後、重量分析することにより決定する。代替の容量分析法はH2SO4を用いて脂肪を遊離させ、次にそれを測定する。例えば、Ling, A Textbook of Dairy Chemistry, 3rd ed. Vol. 2, Practical, Chapman Hall, London (1956年)、 Horwitz, ed., Official Methods of Analysis, 13th ed., Association of Official Analytical Chemists, Washington, D.C. (1980年)を参照のこと。ミルク中の脂肪の量の迅速決定は3.4もしくは5.7mu.mでの赤外線の吸収を測定することによって行うことができる(例えば、Horwitz、前出、Goulden, J. Dairy Res.; 31: 273 (1964年))。抽出された脂肪中の脂肪酸タイプ並びに脂肪および脂肪酸の量を化学分解および、例えばGLCを用いる、脂肪酸の特徴付けによってさらに特徴付けることができ(例えば、James & Martin, Biochem. J. 63:144 (1956年)、Jensen et al, J. Dairy Sci. 45:329 (1962年)、Jensen et al, J. Dairy Sci. 50:19 (1967年))、ここでは、脂肪酸は揮発性脂肪酸誘導体、例えば、ナトリウムメトキシドとのエステル交換によって形成されるメチル誘導体の混合物を分離することによって決定される(Christopherson & Glass, J. Dairy Sci. 52: 1289 (1968年))。または、脂肪酸を、ナトリウムブトキシドもしくはH2SO4および三フッ化ホウ素触媒ブチロリシス(butyrolysis)(Iverson & Sheppard, J Assn Off Anal Chem 60:284 (1977年))を用いてエステル化し、ブチルエステルとしての決定を可能にすることもできる(例えば、Christopher & Glass、前出、Parodi, Aust. J. Dairy Technol. 25:200 (1970年))。または、ミルク脂肪酸を、銀化薄層クロマトグラフィー(以下、「TLC」)に続くGLC−質量分析(例えば、Strocchi & Holman, Riv. Ital. Sostanze Grasse 48:617 (1971年))によって、もしくは高解像度開管GLC(例えば、Ackman et al., Lipids 7:683 (1972年))によって決定することもできる。ミルク脂肪抽出物中に存在する共役脂肪酸の総量は紫外線分光測定によって決定されている(例えば、Smith et al., J. Am. Oil Chem. Soc. 55:257 (1978年)を参照)。抽出物からのミルク脂質クラスもTLCによって分離および分類することができる(例えば、Smithら、前出を参照)。ミルクのコレステロール組成はトリメチルシリルエステルのGLC−質量分析(例えば、Mincione et al., Milchwissensch 132: 107 (1977年))を用いて、もしくはGLC(例えば、Parodi, Aust J Dairy Sci 28:135 (1973年)を参照)によって定量することができる。例えば、LaCroix et al, J. Am Diet Assn 62:275 (1973年)も参照のこと。

処方物、投与量、治療、および投与方法
動物において望ましいレベルを達成し、もしくは、幾つかの実施形態においては、望ましい効果(1つ以上)を達成するため、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸および他の生理活性化合物を、単回あるいは、分割投与として投与することができ、例えば、体重当たり少なくとも約1mg/kgから約1g/kg、少なくとも約10mg/kgから約500mg/kg、少なくとも約10mg/kgから約300mg/kgもしくは少なくとも約5mg/kgから約200mg/体重kgもしくは少なくとも約10mg/kgから約200mg/kgで投与することができるが、他の投与量でも有益な効果を提供しえる。投与される量は様々な要素に依存して変化し、この要素は選択される環状組成物およびその臨床効果、動物の疾患、体重、身体状態、健康、年齢、予防もしくは治療のいずれを達成しようとするのか、およびその組成物が化学的に修飾されているかどうかを含むがこれらに限定されるものではない。そのような要素は、臨床試験からの実験データを吟味し、かつ前臨床動物モデルの結果もしくは当該技術分野において利用可能である他の試験システムを吟味する臨床医が容易に決定できる。
【0098】
本発明による治療薬剤の投与は、例えば、受容者の生理学的状態、投与の目的が治療もしくは予防のいずれであるのか、および当業専門家に公知の他の要素に依存して、単回投与、複数回投与、連続もしくは断続投与であり得る。本発明の組成物の投与は、本質的には、予め選択された期間にわたって連続であってよく、もしくは一連の間隔をあけた投与であってもよい。局所および全身投与の両者が考慮される。
【0099】
組成物は合成により、もしくは他の方法で得られ、必要に応じて、もしくは所望により精製した後、凍結乾燥および安定化する。その後、組成物を適切なレベルに調整し、任意に、他の薬剤と組み合わせることができる。単位用量に含まれる所定の組成物の絶対重量は広範に変化し得る。
【0100】
EPAおよびDHAを含む、ここで説明されるn−3 HUFA脂肪酸は、所望の生理活性を有する別の化合物とは別々に、もしくは組み合わせて投与することができる。それらは別々に包装することができ、もしくは同じ全体パッケージ内に存在していてもよい。または、当該技術分野における当業者に公知の技術を用いて、EPAおよびDHAを含むn−3 HUFA脂肪酸を、好ましくは、投与用に、体重約70kgの成人患者において約0.1から約100g/日、好ましくは約1から約50g/日、さらにより好ましくは0.1gから5〜10g/日の範囲の用量で調製する。それに従って、もしくはここで開示される他の用量およびこの薬剤についてここで処方されるものよりも少ない用量を用いて、例えば、錠剤およびカプセルなどの投与形態で調製することができる。
【0101】
または、全細胞バイオマスを投与し、もしくは消費のために提供することができる。そのような全細胞バイオマスは、食料源として提供されるとき、通常、1日約0.01キログラムから10キログラム、1日0.1キログラムから10キログラム、1日0.5キログラムから5キログラム、1日0.5キログラムから約3キログラムの量、もしくは他の所望の量で提供される。
【0102】
したがって、n−3 HUFA脂肪酸およびここで説明される組成物を含有する1種類以上の適切な単位投与形態は、経口、非経口(皮下、静脈内、筋肉内および腹腔内を含む)、直腸、皮膚、経皮、胸腔内、肺内および鼻内(呼吸器)経路を含む様々な経路によって投与することができる。これらの治療用組成物は脂質処方物中に、もしくは徐放用(例えば、マイクロカプセルを用いて、WO 94/07529および米国特許第4,962,091号を参照)に処方することもできる。これらの処方物は、適切である場合、別個の単位投与形態で都合よく用意でき、かつ医薬技術分野に公知の方法のいずれによっても調製することができる。そのような方法は、治療薬を液体坦体、固体マトリックス、半固体担体、微粉砕固体担体もしくはそれらの組み合わせと混合し、次いで、必要であれば、その生成物を望ましい送達系に導入し、もしくはそれを形成する工程を含むことができる。
【0103】
本発明の治療用組成物を経口投与用に調製するとき、それらを、一般には、薬学的に許容し得る坦体、希釈剤もしくは賦形剤と組み合わせて医薬処方物もしくは単位投与形態を形成することができる。経口投与用には、これらの組成物を油抽出物、カプセル、ピル、粉末、顆粒状処方物、溶液、懸濁液、エマルジョン、またはチューインガムから活性成分を摂取するための天然もしくは合成ポリマーもしくは樹脂として与えることができる。これらの活性組成物はボーラス、舐剤もしくはペーストとすることもできる。本発明の経口投与治療用組成物は徐放用に処方することもでき、例えば、これらの組成物をコートし、マイクロカプセル化し、さもなければ持続性送達装置内に入れることができる。そのような処方物中の総活性成分はその処方物の0.1から99.9重量%を構成する。
【0104】
「薬学的に許容し得る」が意味するところは、その処方物中の他の成分と適合し、かつそれらの受容者に対して有害ではない坦体、希釈剤、賦形剤、および/もしくは塩である。
【0105】
本発明の治療用組成物を含有する医薬処方物は、公知かつ容易に入手可能な成分を用いて、当該技術分野において公知の手順によって調製することができる。例えば、一般的な賦形剤、希釈剤、もしくは坦体を用いて組成物を処方し、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、エアロゾル等を形成することができる。そのような処方物に適する賦形剤、希釈剤、および坦体の例には、緩衝剤に加えて、充填剤および増量剤、例えば、デンプン、セルロース、糖、マンニトール、およびケイ素含有誘導体が含まれる。結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、並びにポリビニルピロリドンを含めることもできる。湿潤剤、例えば、グリセロール、崩壊剤、例えば、炭酸カルシウムおよび重炭酸ナトリウムを含めることができる。溶解を遅延させるための薬剤、例えば、パラフィンも含めることができる。吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物も含めることができる。界面活性剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールを含めることができる。吸着坦体、例えば、カオリンおよびベントナイトを添加することができる。潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム、並びに固体ポリエチルグリコールも含めることができる。保存剤も添加することができる。本発明の組成物は増粘剤、例えば、セルロースおよび/もしくはセルロース誘導体も含むことができる。それらはゴム、例えば、キサンタン、グアーガムもしくはカルボガムまたはアラビアゴム、または、ポリエチレングリコール、ベントンおよびモンモリロナイトを含むこともできる。
【0106】
例えば、本発明の環状組成物を含有する錠剤もしくはカプレットは緩衝剤、例えば、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムおよび炭酸マグネシウムを含むことができる。カプレットおよび錠剤は不活性成分、例えば、セルロース、アルファ化デンプン、二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、デンプン、タルク、二酸化チタン、安息香酸、クエン酸、コーンスターチ、鉱油、ポリプロピレングリコール、リン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等を含むこともできる。少なくとも1種類の本発明の環状組成物を含有する硬もしくは軟ゼラチンカプセルは不活性成分、例えば、ゼラチン、微結晶セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、タルク、および二酸化チタン等に加えて、液体ビヒクル、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)および植物油を含むことができる。さらに、1種類以上の本発明の組成物を含有する腸溶性カプレットもしくは錠剤は、胃内での崩壊に抵抗し、かつ十二指腸のより中性からアルカリ性の環境において溶解するように設計される。
【0107】
本発明の治療用組成物は簡便な経口投与のためのエリキシルもしくは溶液として、または、例えば、筋肉内、皮下、腹腔内もしくは静脈内経路による非経口投与に適する溶液として処方することもできる。本発明の治療用組成物の医薬処方物は水性もしくは無水溶液もしくは分散液の形態、さもなければエマルジョンもしくは懸濁液もしくは軟膏の形態をとることもできる。
【0108】
したがって、これらの治療用組成物は(例えば、注射、ボーラス注射もしくは連続輸液による)非経口投与用に処方することができ、かつアンプル、予備充填シリンジ、小容量輸液容器内の単位用量形態または多用量容器で与えることができる。上述のとおり、保存剤を添加して投与形態の貯蔵寿命の維持を助けることができる。活性組成物および他の成分は油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、もしくはエマルジョンを形成することができ、かつ処方剤、例えば、懸濁剤、安定化剤および/もしくは分散剤を含むことができる。または、活性組成物および他の成分は、無菌固体の無菌単離によって、もしくは溶液からの凍結乾燥によって得られる、使用前に適切なビヒクル、例えば、無菌発熱物質非含有水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0109】
これらの処方物は当該技術分野において公知である薬学的に許容し得る坦体、ビヒクルおよび補助剤を含むことができる。例えば、水に加えて、溶媒、例えば、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、グリコールエーテル、例えば、「Dowanol」ポリグリコールおよびポリエチレングリコールの名称で販売される製品、短鎖酸のC1−C4アルキルエステル、乳酸エチルもしくは乳酸イソプロピル、脂肪酸トリグリセリド、例えば、「Miglyol」ミリスチン酸イソプロピルの名称で販売される製品、動物油、鉱油および植物油並びにポリシロキサンから選択される、生理学的観点から許容可能である1種類以上の有機溶媒を用いて、溶液を調製することが可能である。
【0110】
必要であれば、酸化防止剤、界面活性剤、他の保存剤、膜形成性角質溶解剤もしくは面皰溶解剤、香料、香味料および着色剤から選択される補助剤を添加することができる。酸化防止剤、例えば、t−ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびα−トコフェロールおよびその誘導体を添加することができる。
【0111】
さらに、これらの組成物は徐放性投与形態等としての処方物に非常に適する。これらの処方物は、それらが活性組成物を、例えば、腸管もしくは気道の特定の部分で、場合により一定期間にわたって、放出するように構成することができる。コーティング、外皮、および保護マトリックスを、例えば、ポリマー性物質、(例えば、ポリ乳酸−グリコレート)、リポソーム、マイクロエマルジョン、微粒子、ナノ粒子、もしくはワックスから製造することができる。これらのコーティング、外皮、および保護マトリックスはコート留置装置、例えば、ステント、カテーテル、腹腔透析チューブ、吸引装置等に用いることができる。
【0112】
本発明の医薬処方物は、任意の成分として、薬学的に許容し得る坦体、希釈剤、可溶化剤もしくは乳化剤、および当該技術分野において利用可能であるタイプの塩を含むことができる。そのような物質の例には、正常生理食塩水、例えば、生理学的に緩衝された生理食塩水および水が含まれる。本発明の医薬処方物において有用である坦体および/もしくは希釈剤の具体的で非限定的な例には、水および生理学的に許容し得る緩衝生理食塩水、例えば、pH7.0〜8.0のリン酸緩衝生理食塩水が含まれる。
【0113】
ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を食品に組み込むことにより、それらの食品の長期摂取を達成することができ、これはライフスタイル関連疾患を予防および治療する効果の獲得に有利につながる。本発明の食品には、一般的な食品に加えて、特定の機能によって健康を促進するための食品、例えば、健康食品、機能性食品、および指定された健康用途の食品が含まれる。これらの特定食品を調製するため、本発明の食品は、食品よりはむしろ、錠剤、顆粒、粉末等に形成することができる。食品の例には、製パン関連製品、例えば、パン、ケーキ、クッキー、パイ、ピザ皮、および製パン混合物、O/W型油/脂肪処理製品、例えば、ドレッシング、マヨネーズソース、コーヒークリーマー、およびホイップクリーム、W/O型油/脂肪処理製品、例えば、マーガリン、スプレッド、およびバタークリーム、スナック食品、例えば、チョコレート、ポテトチップ、アイスクリーム、およびデザート、乳製品、例えば、ミルク、チーズ、およびヨーグルト、飲料、ソース、焼肉用の液体調味料、ピーナッツバター、フライおよび焼き物用のショートニング、処理肉、例えば、ハム、ソーセージ、およびハンバーガー、麺、冷凍食品、レトルト・パウチ食品、並びに揚げ物、例えば、フライ、天ぷら等の他に、炒め物のための調理油が含まれる。これらの食品は本発明の油/脂肪組成物および目的の食品に従った典型的な食品原料から調製する。本発明の油/脂肪組成物は様々な食品に組み込むことができるため、この組成物はいかなる特別の努力もなしに毎日摂取することができる。一般には、本発明の油/脂肪組成物は食品に、好ましくは0.05〜100%、特に好ましくは0.5〜80%の量で組み込むが、この量は食品のタイプに従って変化する。
【0114】
さらに、活性成分を他の治療薬、例えば、心血管障害の治療用の薬剤、疼痛緩和剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン、気管支拡張剤等、肥満の治療用の薬剤、高血圧の治療用の薬剤、糖尿病の治療用の薬剤と、記述される状態用のためであろうと、幾つかの他の状態のためであろうと、組み合わせて用いることもできる。
【0115】
例えば、特定の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル・コエンザイムA還元酵素阻害剤、例えばシンバスタチン、アトルバスタチン、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスチン、ロスバスタチン、イタバスタチン、およびビサスタチンと併用して投与する。 他の特定の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を神経遮断薬、抗精神病薬、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取込阻害薬、抗てんかん薬、およびリチウム薬剤から選択される薬物もしくは組成物と共に投与する。
【0116】
他の特定の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を血圧降下剤と共に投与する。適切な例示的血圧降下剤には、利尿剤、β1−選択的アドレナリン作動性アンタゴニスト(「ベータ・ブロッカー」とも呼ばれる)カルシウムチャンネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素(「ACE」)阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(「アンジオテンシン受容体ブロッカー」もしくは「ARB」とも呼ばれる)、もしくはアルファ−1受容体ブロッカー(「アルファ・ブロッカー」とも呼ばれる)が含まれ得る。血圧が非常に高い場合、血管拡張剤、例えば、ヒドララジン、ミノキシジル、ジアゾキシド、もしくはニトロプルシドが必要となり得る。「ウォーターピル(water pills)」と呼ばれる利尿剤は、尿を介して水および塩を流し出す。利尿剤は、しばしば、第1選択の高血圧薬物療法であり、これには、例えば、チアジド、例えば、クロルタリドン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、およびスピロノラクトンが含まれる。β1−選択的アドレナリン作動性アンタゴニストは心臓および血管内の受容体を標的とし、心臓ポンプをより遅い速度およびより弱い力にする。ベータ・ブロッカーには、アセブトロール、アルベジロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、エスモロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オキサプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ソタロール、およびマレイン酸チモロールが含まれる。カルシウムチャンネルブロッカーは細胞内へのカルシウムの流入の制御を助け、これは心臓および血管が弛緩するのを助ける。カルシウムチャンネルブロッカーには、例えば、ニソルジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、アムロジピン、およびベプリジルが含まれる。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤はアンジオテンシンII、血管を収縮させるホルモンの形成を妨げる。ACE阻害剤は血管を弛緩させ、それにより血圧を降下させる。ACE阻害剤には、例えば、カプトプリオール、フェンチアプリル、ピバロプリル、ゾフェノプリル、アラセプリル、エナラプリル、エナラプリラト、エナラプリロ、リシノプリル、ベナゼプリル、キナプリル、およびモエキシプリルが含まれる。アンジオテンシンII受容体アンタゴニストには、例えば、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、およびオルメサルタンメドキソミルが含まれる。アルファ−1受容体ブロッカーは神経刺激を制御し、血管を弛緩させて血液を高い圧力に遭遇することなしに流動させる。アンジオテンシンIIの形成を妨げる代わりに、アンジオテンシン受容体ブロッカーは血管をアンジオテンシンIIから遮断する。アルファ−1受容体ブロッカーには、例えば、ドキサゾシン、テラゾシン、およびプラゾシンが含まれる。血管拡張剤には、例えば、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム、二硝酸イソソルビド、およびジアゾキシドに加えて、ボセンタン、エポルプロステノール、トレプロスチニル、およびイロプロストが含まれる。他の使用頻度に劣る高血圧薬物療法には、α−アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト(例えば、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、ケタンセリン、インドラミン、ウラピジル、クロニデイン、グアナベンズ、グアンファシン、グアナドレル、レセルピン、およびメチロシン)、交感神経遮断薬(例えば、メチルドパ)、神経節遮断薬(例えば、メカミラミンおよびトリメタファン)、並びにエンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ボセンタンおよびシタキセンタン)が含まれる。
【0117】
特定の他の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を抗肥満薬と共に投与する。適切な例示的抗肥満薬には体脂肪を低下させるものが含まれ、例えば、食欲抑制剤、食欲低下剤(フェンテルミン、マジンドール、ジエチルプロピオン、およびフェンジメトラジンを含む)、リパーゼ阻害剤(オルリスタットを含む)、エクセンジンおよびエクセンジンアゴニスト(エクセンジン−4を含む)、アミリンおよびアミリンアゴニスト(プラムリニチドを含む)、レプチン、GLP−1およびGLP−1アゴニスト(Arg(34)Lys(26)−(N−ε−(γ−Glu(N−α−ヘキサデカノイル))−GLP−1(7−37)、ここでは、GLP−1LAと呼ぶ)を含む)、およびアドレナリン作動性受容体アゴニスト(シブトラミンを含む)が含まれ得る。
【0118】
特定の他の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物をインスリンおよびインスリン様薬剤と共に投与する。適切な例示的インスリンおよびインスリン様化合物には、(1)急速作用性インスリン(「単量インスリン類似体」とも呼ばれる)、(2)短期作用性インスリン(「通常」インスリンとも呼ばれる)、(3)中間作用性インスリン、(4)長期作用性(「基本インスリン」とも呼ばれる)、(5)超長期作用性インスリン、(6)pI−シフトインスリン類似体、(7)インスリン欠損類似体、(8)誘導体化インスリン、(9)誘導体化インスリン類似体、(10)誘導体化プロインスリン、(11)ヒトインスリン類似体複合体(例えば、六量体複合体)、(12)インスリン混合物、および(13)PEG−インスリンが含まれる。インスリンは本発明の組成物中に、例えば、(1)血糖を低下させ、(2)血清糖を低下させ、(3)尿糖を低下させ、(4)グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを低下させ、(5)フルクトサミンを低下させ、(6)食後糖血症を軽減し、(7)糖耐性障害を緩和し、(8)空腹時糖障害を緩和し、および/または(9)重症低血糖症状を含む、低血糖症状の割合および/もしくは重症度を低減するのに有効な量で存在し得る。
【0119】
特定の他の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を抗低血糖薬と共に投与する。適切な例示的抗低血糖薬には、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピログリタゾン)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボーズおよびミグリトール)、およびスルホニル尿素(例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、グリクラジド、グリベンクラミド、グリピジド、およびグリメピリド)が含まれ得る。そのような化合物は本発明の組成物中に、例えば、(1)血糖を低下させ、(2)血清糖を低下させ、(3)尿糖を低下させ、(4)グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを低下させ、(5)フルクトサミンを低下させ、(6)食後糖血症を軽減し、(7)糖耐性障害を緩和し、(8)絶食時糖障害を緩和し、並びに/または(9)重症低血糖症状を含む、低血糖症状の割合および/もしくは重症度を低減するのに有効な量で存在し得る。
【0120】
特定の他の実施形態においては、ここで提供されるn−3 HUFA脂肪酸組成物を神経変性性疾患もしくは障害もしくは状態を指向する薬剤と共に投与する。例示的な障害には、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、大うつ病、単極性うつ病、双極性うつ病、強迫神経症、境界性人格障害、産後うつ病、器質性脳障害、および外傷性脳損傷が含まれる。そのような本発明の組成物との併用投与に適する例示的薬剤には、レボドパ薬物、例えば、レボドパ、およびレボドパ/カルビドパ;ドーパミンアゴニスト、例えば、アポモルフィン、ロピニロール、プラミペキソールおよびカベルゴリン、ペルゴリド、ブロモクリプチン、タリペキソール、およびリスリド;抗コリン作動剤、例えば、トリヘキシフェニジル、オルフェナドリン、ベンズトロピン、メシレート、塩酸プロシクリジン、ジフェンヒドラミン、およびエトプロパジン、ベンズヘキソール、トリヘキシフェニジル、ベンズトロピン、アニソトロピン、アトロピン、ベラドンナ、クリジニウム、ジシクロミン、グリコピロレート、ホマトロピン、ヒオスシアミン、メペンゾレート、メタンテリン、プロパンテリン、およびスコポラミン;comt阻害剤、例えば、トルカポンおよびエンタカポン;抗ウイルス剤、例えば、塩酸アマンタジン;並びにmao阻害剤、例えば、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよび塩酸セレギリン、レベチラセタム;抗ヒスタミン剤、例えば、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン;チアピリド、ピモジド、ハロペリドール、テルトラベナゾン;ならびにクロルプロマジン、フルフェナジン、メソリダジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、およびトリフルプロマジンを含むがこれらに限定されるものではない、フェノチアジン;挙動症状例えば、うつ、不安、過敏、攻撃性および精神病の治療に用いられる薬物、三環系抗うつ剤、例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、プロトリプチリン、トリミプラミン;選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)、例えば、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、およびシタロプラムエシタロプラムオキサレート;mao阻害剤、例えば、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよび塩酸セレギリン;ベンゾジアゼピン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラム;古典的抗精神病薬、例えば、ハロペリドール、チオチキシン、およびロキサピン;抗精神病薬、例えば、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン、およびジプラシドン、およびアリピプラゾール;運動機能低下症を治療する薬物;ミラキソン;コエンザイムQ10;リルゾール;エイコサペンタエン酸エチル(エチルEPA);筋萎縮性側索硬化症(als)を指向する薬剤;鎮痙剤、例えば、リオレサール(バクロフェン);健忘症、抗不安、抗痙攣剤、抗振戦剤、骨格筋弛緩剤、例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラムを含む、ベンゾジアゼピン;抗運動障害症、例えば、トリヘキシフェニジル;アナフラニール、アセンジン、アベンチル、エラビル、エンデプ、ノルフィラニル、ノルプラミン、パメロル、シネクアン、スルモンチル、チプラミン、トフラニール、トフラニール−PM、ビバクチルを含む、アミトリプチリン;セフトリアキソン;AVP−923−ニューロデクス;IGF−1(Myotrophin(登録商標));イノシクリン;ブソピロン;クレアチン;TCH346、リトナビルおよびヒドロキシ尿素組み合わせ;AEOL10150;フェニル酪酸ナトリウム;セレブレクス;ネオトロフィンT(AIT−082、レテプリニムカリウム);NAALADase(N−アセチル化−アルファ−連結−酸性−ジペプチダーゼ);オキサンドロロン;トピラメート(トパマクス);キサリプロデン;インジナビル(Tysabri(登録));インターフェロンβ−1a(Avonex(登録));インターフェロンβ−1a(Rebif(登録));グラチラマーアセテート注射剤(コパキソン);ミトキサントロン(ノバントロン);抗うつ剤;ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン;ベノジアゼピン;リオレサール(バクロフェン);チザニジン(ザナフレクス);アマンタジン シンメトレル;ABT−874;イノシン;RG2077(CTLA4−IgG4m);ダクリズマブ(Zenapax(登録));ドネペジル(Aricept(登録))およびグルコース;BHT−3009リツキサン(リツキシマブ);AVP−923;ベタセラン/コパキソン;RO0506997;コリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル(Aricept(登録));酒石酸リバスチグミン(Exelon(登録));ガランタミンHBr(Razadyne(登録)、公式にはReminyl(登録)であった);タクリン(コグネクス);塩酸メマンチン(Namenda(登録));ネオトロフィンT(AIT−082、レテプリニムカリウム);キサリプロデン;PPI−1019;ネラメキサン;SGS742;経皮17−β−エストラジオール;およびバルプロエートが含まれ得る。
【0121】
以下の非限定的な例により本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0122】
EPA組成物
この例は、そのn−3 HUFA画分に実質的にEPAのみを含み、かつ比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含む微生物バイオマスプロセスを生成するための、微生物の従属栄養性もしくは主として従属栄養性のバッチ培養によって生成される組成物の製造を説明する。用いられる微生物はN.ラエビスである。
培養起源および予備培養条件
珪藻N.ラエビス(UTEX2047)をUniversity of Texas Culture Collection of Algaeから得た。純培養予備培養物をバッチ培養物として500ml三角フラスコ内で、1リットルあたり15mgのNa2SiO39H2Oで改変され、かつ1リットルあたり合計で600mgの硝酸ナトリウムを含有するように調整されたリューウィン珪藻培地(Lewin's Diatom Medium)を含む基本培地において従属栄養的に成長させた。オートクレーブ処理に先立ち、デキストロース(100%グルコース)をこの培地に添加してグルコースレベルを1リットルあたり5グラムとした。実験に先立ち、予備培養物を入れたフラスコを、暗所において25℃で1週間、150rpmのオービタル・シェーカーに置いた。

培養培地
改変リューウィン珪藻培地(mLDM)を現地で入手可能な成分からUTEXウェブサイト(現時点で、www.bio.utexas.edu/research/utex)の処方に従って調製する。15mg/Lのメタ珪酸ナトリウム9H2Oを、1リットルあたり600mgの硝酸ナトリウムの総レベルを達成するのに十分な硝酸ナトリウムと共に培地に添加する。希塩基溶液の滴定、例えば、0.1モル強度の水酸化カリウムの滴定によりmLDMをpH8.5に調整し、121℃で15分間オートクレーブ処理した後、急速に冷却して沈殿の形成を防止した。4種類の純粋な糖、グルコース(G)、スクロース(S)、D(−)フルクトース(F)およびラクトース(L)に加えて、等量で対になった糖の6種類の組み合わせ(GS、GF、GL、SF、SL、FL)を培地に添加し、5g1−1の各糖もしくは糖対組み合わせの最終レベルを有するバッチを生成した。全ての実験は3回ずつ行った。フラスコを暗所に25℃で置き、0.2ミクロンろ過空気を泡立てて培養中の循環を11〜12日維持した。第12日に、2500gで反復遠心分離した後、培地を回収して蒸留水を補充することにより、すべての残留フラスコからバイオマスを採取した。試料を窒素流の下で乾燥させ、トルエン、メタノールおよび硫酸の混合液を用いる1工程インキュベーション手順において脂質を抽出してメチル化した。この混合物を中和し、抽出物を木炭および無水硫酸ナトリウムで精製および乾燥させた。脂肪酸は、抽出前に試料に注入した標準と比較することにより決定する。次に、ヘキサンに溶解した試料からの溶質のアリコートを採取し、105メートル 0.25mm 90% ビス−シアノプロフィールカラム(RTX2330、Restek)および0.25ミクロン膜厚を有するガスクロマトグラフィー(GCFID6890、Agilent Corp)によって分析した。脂肪酸は37成分混合物(Suplco)との比較で保持時間によって同定した。次に、理論的応答因子(AOCS)を用いてピーク面積をピーク応答に合わせて修正し、結果を曲線下の面積として報告した(Sukhija, P.S. & Palmquist, D.L. (1988年) Rapid method for determination of total fatty acid content and composition of feedstuffs and feces. J. Agric. Food Chem. 36: 1202-1206およびWu, J., James, Jr. D.W., Dooner, H.K. & Browse, J. A mutant of Arabidpsis deficient in the elongation of palmitic acid. Plant Physiol. 106: 143-150. (1994年))。
【0123】
培養フラスコから採取したバイオマスが少なくとも個々の糖の部分を含有するものにグループ分けされたとき、以下の結果が得られた。
バイオマスの総脂肪酸におけるEPAパーセンテージ
フルクトース: 14.06 S.D.=2.17
ラクトース: 13.71 S.D.=1.17
スクロース: 13.62 S.D.=1.42
グルコース: 12.27 S.D.=1.35
バイオマスの総脂肪酸におけるC16;0パーセンテージ
フルクトース: 21.62 S.D.0.54
ラクトース: 22.52 S.D.1.33
スクロース: 22.90 S.D.1.36
グルコース: 23.50 S.D.0.88
ミリグラムでのフラスコあたりの総脂肪酸生成
フルクトース: 0.77, S.D.=0.42
ラクトース: 0.67, S.D.=0.27
スクロース: 0.65, S.D.=0.32
グルコース: 0.44, S.D.=0.25
この例において報告される研究の結果(上記)は、微生物種ニツシア・ラエビスから比較的高収率の総脂肪酸を生成することが可能な糖の部分を少なくとも含有する培養培地が、同時に、比較的低収率の総脂肪酸を生成する糖の部分を少なくとも含有する培養培地よりも、より多くのEPAおよびより少ないC16:0を含む組成物を生成することが可能であったことを示唆する。
【0124】
したがって、フルクトースの部分を少なくとも含む培養培地を含むフラスコが分析のために一緒にグループ分けされたとき、得られたバイオマスが、他の糖の含有物に従ってグループ分けされた他のすべてのフラスコと比較して、より高い総脂肪酸収率を、より高いEPAの割合およびより低いC16:0の割合と共に同時に生成することを示すことができた。ラクトースの部分を少なくとも含有するものは2番目に高い脂肪酸の収率、2番目に高い脂肪酸におけるEPAの割合および2番目に低いC16:0の割合を有し、スクロースは3番目に高い脂肪酸の収率、3番目に高い脂肪酸におけるEPAの割合、および3番目に低いC16:0の割合であった。一緒にグループ分けされた、グルコースの部分を少なくとも含む培養培地を含むフラスコにおいて生成したバイオマスは最も低い脂肪酸の収率を示し、あわせて、総脂肪酸の割合に対して最低量のEPAおよび最高パーセンテージのC16:0を示した。
【0125】
これは、フルクトースもしくはラクトースもしくはスクロースの部分を少なくとも含有する培養培地と比較して、グルコース単独では比較的低いC16:0を含むEPAオイルをニツシア・ラエビスから生成するのに好ましい炭素源ではないことを示唆する。
【実施例2】
【0126】
EPA組成物
この例は、そのn−3 HUFA画分に実質的にEPAのみを含み、かつ比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含む微生物バイオマスプロセスを生成するための、微生物の従属栄養性もしくは主として従属栄養性のバッチ培養によって生成される組成物の製造を説明する。用いられる微生物はN.ラエビスである。
【0127】
改変リューウィン珪藻培地(Lewin's Diatom Medium)(mLDM)を現地で入手可能な成分からUTEXウェブサイト(現時点で、www.bio.utexas.edu/research/utex)の処方に従って調製した。15mg/Lのメタ珪酸ナトリウム9H2Oを、1リットルあたり600mgの硝酸ナトリウムの総レベルを達成するのに十分な硝酸ナトリウムと共に培地に添加した。希塩基溶液の滴定、例えば、0.1モル強度の水酸化カリウムの滴定によりmLDMをpH8.5に調整し、121℃で15分間オートクレーブ処理した後、急速に冷却して沈殿の形成を防止した。
【0128】
D(−)フルクトース、グルコース、ラクトースもしくはスクロースのいずれかの濃縮溶液をシリンジフィルタを介して無菌的に添加し、培地中に糖のうちの1つの2.5グラムのレベルを達成した。12個の500ml三角フラスコに200mlの培養培地を無菌環境において充填し、無菌ループにより、University of Texas Micro-algal Culture Collectionから入手したN,ラエビス(UTEX2047)の生存細胞を含有する傾斜から細胞を接種した。細胞を、無菌空気をフラスコを通して泡立てることによってまったくの暗闇で7日間予備培養した後、異なる波長の光を特徴とする3つの異なる非常に低強度の光条件のうちの1つに置いた。360〜720ナノメートル(白色)の可視スペクトルを通して比較的均一に広がるか、またはゲルフィルター処理によって主として450〜600ナノメートル(青色)もしくは600〜720(赤色)に制限された波長を含む一定の光を2連白色蛍光ランプ(Phillips)によってもたらした。光強度は、デジタル・ディミング・ブラストにより、フラスコの基部での量子センサ(Apogee QSO-ELEC)による測定で毎秒1平方メートルあたり2.5マイクロモル光子の光子束密度に調整し、さらに7日間連続的に供給した。第14日に、細胞を3000rpmで2分間の遠心分離によって採取し、脂肪酸分析の前に−20℃で凍結保存する。解凍後、バイオマス試料中の脂肪酸を実施例1aに記載される方法によって抽出および分析した。
【0129】
培養フラスコから採取したバイオマスを同じ光条件で露光したものにグループ分けし、白色および赤色光が青色光(0.596 S.D.=0.342)よりも高い脂肪酸収率(それぞれ、0.743 S.D.=0.513および0.762 S.D.=0.600)を生じたことを明らかにした。
【0130】
あらゆる光条件のすべてのフラスコにわたる平均EPAおよびC16:0含有率は、白色光の下で最高(それぞれ、15.522 S.D.=2.454および20.618 S.D.=1.410)であり、それに青色が続き(それぞれ、15.214 S.D.=1.332および20.514 S.D.=0.689)、次いで赤色(それぞれ、11.894 S.D.=1.352および21.699 S.D.=0.637)であった。P値は両側スチューデントT検定によって算出した。赤色に露光したフラスコからのバイオマス対青色におけるEPAおよびC16:0パーセンテージ間の報告された差は、C16:0について0.045、EPAについて0.013のP値で統計的に有意とみなされた。3つの光条件を通してより高いEPAおよびより低いC16:0に向かう明らかに一貫した傾向も存在し、白色光が青色および赤色よりも好ましかった。
【0131】
すべての光条件にわたって、ラクトース、フルクトース、スクロースおよびグルコースの平均脂質収量は以下の通りであった(1.073 S.D.=0.522;0.778 S.D.=0.240;0.644 S.D.=0.609;0.274 S.D.=0.049)。グルコースと比較したとき0.023のP値を有する差で、フルクトースのみが脂肪酸収率の点で有意であった。ラクトースおよびグルコース脂肪酸収率の間の差は0.058のP値で有意に近似された。
【0132】
異なる光条件への露光によって生成されたバイオマスを培地中の糖に従ってグループ分けしたとき、EPAおよびC16:0のパーセンテージ間にパターンは観察されず、かつ有意の差は測定されなかった。
【0133】
最良のバイオマス脂肪酸組成物は、培養培地流にラクトースを含有し、かつ低強度の白色光下で成長させたフラスコから得られた。これは脂肪酸パーセンテージで以下のように報告される。
【0134】
C20:5=18.21
C16:0=19.3
C14:0=7.75
C22:6=2.97
この培養条件は1.254の脂肪酸収率も生じており、これは赤色光下のラクトースに次ぐほぼ最高記録であった。
【0135】
この例において報告される研究の結果は、フルクトースおよび、場合によってラクトースを含有する培養培地が低強度の光の下で生成された微生物種ニツシア・ラエビスのバッチ培養物からより高い脂肪酸生産性を獲得するのに適し得ることを示唆する。好ましいEPAオイル組成物はラクトースを単独の糖源として白色光の下で用いることによって生成された。
【0136】
赤および青条件の間のバイオマスにおけるEPAおよびC16:0間の差のみが統計的に有意であるとみなされたが、3つの光条件にわたってより高いEPAおよびより低いC16:0に向かう明らかな傾向が観察され、白色光が青色および赤色光より好ましいものであった。これは、赤色もしくは白色光が比較的低いC14:0およびC16:0レベルを有するEPAオイルの生成に好ましい低強度光源であることを示唆する。
【実施例3】
【0137】
EPAオイル生成
この例は、まず第一にヒトもしくは動物の摂取に適するような十分な容量で生成することができる、EPAに富む組成物を含有する様々な製品を提供する。生成は微細藻類の培養によるものが最も実現可能である。EPAの合成をまかなう遺伝子の組がそれを有する生物から採取されて別の生物、例えば、植物もしくは動物に、該遺伝子の発現をまかなう遺伝子制御機構と共に合理的なレベルで移される場合、微細藻類をEPAの本来の源として頼る必要はもはやない。
【0138】
この例は、ヒトが許容可能な食品成分(例えば、医薬純度ではないスプレッド、粉末、香味料、植物油様物質、もしくは油 − 20〜50%EPA)、機能性食品(例えば、調製チョコレートバー、エネルギーバー、乾燥食品等)、飲料、食事補助食品(我々が意味するところの、知覚された、もしくは実際の状態または最適下の健康の救済として店頭で販売される製品)、および栄養補助食品(我々の意味するところの、様々な障害の緩和もしくは治療のために、もしくは福祉を維持するために処方することができる食品)、および動物が許容し得る補助食品(例えば、ペレット、押し出し品、懸濁液、ドレンチ、スプレー)を含む。
【0139】
本発明の好ましい実施形態は、微細藻類N,ラエビス(UTEX2047)の富EPA全細胞バイオマスを含むか、もしくはそれから誘導される組成物の提供を含む。または、従属栄養的もしくは主として従属栄養的に生成することができる他の微生物を用いることもできる。培養したときに、比較的低レベルのC14:0およびC16:0を同時に有するEPAオイルのより高い収率を可能とする微細藻類の天然種が存在する可能性もあるが、大量の公開された研究は未だそれらの種のうちにはない。
【0140】
実施例2の方法によって生成されたバイオマスは単純な沈殿および培地のデカントによって採取することができる。沈殿した細胞を収集し、3000rpmで2分間遠心分離することができる。次に、得られたバイオマスを、Ruston型羽根によって攪拌されるサイズが3リットルの反応器への接種に用いることができる。フラスコのサイズおよび通気法の単純な調整(両者の技術は当該技術分野において公知である)により、これはより大型の容器への接種に用いることができる大容量の接種物を提供できる。
【0141】
羽根もしくはエア・リフト並びに幾何学的設計を利用して流体力学的乱流および気体物質移動とを調節する20〜200,000リットルの1台もしくは数台のバイオリアクタを用いて、非水産養殖食料生成動物の餌に組み込むのに適する補助食品に処理するのに十分な容量のN.ラエビス・バイオマスを生成する。そのような反応器の設計パラメータは当該技術分野における当業者に公知であり、テキスト、例えば、Chisti M.Y., Airlift Bioreactors Elsevier Applied Science 1989年およびM.J. Kennedy, A review of the design of reaction vessels for the submerged culture of micro-organisms. Industrial Processing Division, Dept. of Scientific and Industrial Research, 1984年を参照することにより容易に到達することができる。
【0142】
pH、溶存酸素、溶存二酸化炭素、塩度、選択的イオン、温度および光学密度もしくは濁度をモニターすることが可能な1つもしくは幾つかのプローブを反応器に挿入し、反応器内の該環境変数を動的に変化させるため、信号を、必要であれば中間トランスミッタを介して、制御信号をプロセス制御装置にフィードバックすることが可能なプログラムされた論理コントローラに中継することができる。そのようなプロセス制御装置には、これらに限定されるものではないが、ダイアフラムおよび蠕動ポンプを含むポンプ、電気作動弁、電気モーター、コンプレッサー、電気加熱素子、遠心器、磁気作動チャンバ、超音波装置、および電灯が含まれる。温度は加温ブランケット、ジャケット装着反応器もしくは熱交換コイルによって20℃に維持し、これらすべての方法は当該技術分野における当業者に公知であり、かつ電流制限装置および、必要であれば、汲み上げた培地によって調節することができる。溶存の酸素および二酸化炭素レベルは、無菌空気の注入、反応器の圧力調節、および、モーター駆動羽根で攪拌される反応器の場合には、モーター速度の調整によって制御する。溶存酸素の好ましいレベルは約3百万分の1である。最適な二酸化炭素レベルは当該技術分野における当業者に公知の方法によって到達することができる。pHは、水酸化カリウムもしくは希塩酸を動的に制御された蠕動ポンプを介して注入することにより、約8.0に維持する。細胞密度は濁度もしくは光学密度測定から見積もり、細胞再循環システムによって制御する。そのような細胞再循環システムは当該技術分野における当業者に公知である。Z-Y Wen and S F Chen in Process Biochemistry 38: (2002年) 523-529の参照が有用であるとわかるであろう。そのような方策は、培地から細胞が失われる程度を制限しながら培養培地を交換することを含む。これは、成長を阻害する物質を培地から除去し、高い細胞密度での連続成長を生じるという利点を有する。
【0143】
または、培地を機械的、化学的もしくは他の物理的手段によって処理し、細胞の成長もしくは生産性を阻害する抗藻類物質もしくは自己阻害性代謝物を除去することもできる。
【0144】
または、細胞を処理中に機械的、化学的もしくは他の物理的手段によって処理し、成長および/もしくはEPAの生成を阻害し得る二次代謝物の生成を変化させることもできる。
【0145】
培養培地は実施例1に記載される改変LDM培地の基本培地を含む。
【0146】
または、培養培地は天然海水もしくは希釈天然海水を含むこともできる。
【0147】
当該技術分野における当業者は代替基本培地に到達することができる。
【0148】
好ましい実施形態において、培養培地は、ステンレス鋼反応容器において生じ得る腐食のレベルを低減するため、低レベルの塩化物を含むことができる。
【0149】
好ましい培養培地は、総糖含有量が1リットルあたり5もしくは20グラム以上に等しくなるように少なくともラクトースもしくはフルクトースの部分を無菌的に添加して含有する糖混合物を有する。
【0150】
または、有機炭素源がこれらの糖の部分を少なくとも含有し、その他の方法では、他の個々の糖のみ、もしくはそれらの混合物(例えば、グルコース、スクロース、マルトース)、またはより複雑な炭素源、例えば、デンプンもしくは糖含有産業副生物、例えば、乳業からの乳清流を含む培地を用いてもよい。または、より低レベルの糖を用いることもできる。微生物が吸収可能な形態の窒素を、利用可能な窒素の合計が1リットルあたり30mgから1リットルあたり3gの範囲となるように、培養培地もしくは原液中の培養物に供給する。好ましい窒素源は硝酸ナトリウムである。または、より複雑な窒素源を用いることもでき、これには、これらに限定されるものではないが、酵母抽出物トリプトン(tyrptone)、コーンスターチリカー等が含まれる。
【0151】
ケイ酸塩を、ケイ酸塩のレベルが1リットルあたり約15mgから200mgとなるように、培養培地に供給する。好ましいケイ酸塩の源は、5もしくは9水和物形態のメタケイ酸ナトリウムである。
【0152】
培養培地は希釈によって絶えず交換する。栄養素含有量が高い培養においては、用いられる希釈比は栄養素レベルが高いものよりも小さいものであり得る。1リットルあたり20グラム以上の糖含有率を有する培養に好ましい希釈比は約(>0.4)である。
【0153】
または、産生効率を強化し、および/もしくはバイオマスの組成の改善に相応する生理学的応答を誘起するため、微細藻類細胞を強度、周波数および持続時間の異なる光に露光させることができる。
【0154】
好ましい方法は、ラクトースを単独の糖源として含有する培地中の細胞を総量が非常に少ない白色光で露光することを含む。これは、1リットルあたり約1グラム以下の微細藻類バイオマスの希釈細胞懸濁液200mlを含有する十分に混合された500ml三角フラスコの基部で測定される、毎秒1平方メートルあたり2.5マイクロモルフォトンの光子束密度を有する白色蛍光によってもたらされるものに等しい総露光量を各細胞に付与する光強度を有する、連続照射によって達成することができる。細胞あたりの合計露光は当該技術分野において公知の幾つかの方法によって算出することができる(Grima, E. M., Fernandez, F. G. A., Camacho, F. G., and Chisti, Y., J. Biotechnol., 70, 231-247 (1999年). Photobioreactors: light regime, mass transfer, and scaleup.を参照)。
【0155】
または、波長が主として400〜500もしくは600〜800ナノメートル範囲またはそれらの混合のいずれかに集中するように、フィルター処理された光を用いて特定スペクトルの光を利用することもできる。
【0156】
または、栄養分の供給を、照射の有無に関わりなく処理の特定の段階の間、栄養分制限もしくは栄養分比の変更が用いられる1つ以上の「仕上げ工程」において変更し、生成効率を高め、もしくは得られるバイオマスの組成を改善することができる。そのような方策は当該技術分野における当業者に公知であり、窒素およびケイ酸塩の供給の変更もしくは炭素窒素比の変更が含まれ得る。
【0157】
または、a)脂肪酸をバイオマスの試料から抽出して実施例1の方法によって脂肪酸組成を分析し、次いでb)上記培養パラメータを、好ましい組成物を含む大量のバイオマスを得ることが可能となるように調整することによって処理を連続様式で行うことができる。該微細藻類バイオマスは約18%を上回るC20:5 n−3、約20%未満のC16:0、約11%未満のC14:0、少なくとも約0.1%のC18:3 n−3を含み、EPA対DHA比が約6:1以上であることが好ましい。
【0158】
培養中もしくはその終了時に採取された細胞は凝集を形成して容易に沈殿する傾向にあり得るか、もしくは沈殿のプロセスを綿状化によって補助することができる。以下の参考文献が有用であり得る。Boonaert et al, "Cell separation, Flocculation" Encylopedia of Bioprocess Technology Fermentation, Biocatalysis (1999年) and Bioseparation Volume 1 : 531-47。または、J Am Oil Chem Soc 73: 1025-1031においてM. E. Cartensらに提供される技術に従うこともできる。
【0159】
水は採取した細胞から濾過および/もしくは遠心分離によって除去してもよく、その後、ドラム、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥によってさらに乾燥させることができる。これらの技術は当該技術分野における当業者に公知であるが、以下の参考文献が有用であり得る。Letki, A.G. "Know when to turn to centrifugal separation", Chem Eng. Prog., September 29-44 (1998年)、 Bruttini R. "Freeze drying, Pharmaceuticals", Encylopedia of Bioprocess Technology Fermentation, Biocatalysis and Bioseparation 2: 1276-98 (1999年)。
【0160】
乾燥もしくは半乾燥バイオマスは冷却バット内にスラリーとして押し出し、または固形、ペレットもしくは粉末に形成して保存することができる。これらは、次に、ヒトもしくは動物消費用の食品に処方することができる。総脂質は乾燥もしくは湿潤バイオマスから揮発性有機溶媒、例えば、エタノールもしくはヘキサンを用いる抽出または超臨界ガスクロマトグラフィーによって抽出することができる。当該技術分野における当業者に公知であるこれらの方法は、抽出された脂質を濃縮して中間体もしくは高純度EPA油画分を生成するのに用いることもできる。
【0161】
Cartens M. E. et al., in "Eicosapentaenoic Acid (20:5 n-3) from the Marine Microalga Phaeodactylum tricornutum" J Am Oil Chem Soc 73: 1025-1031 (1996年)、Ibanez M. J. et al., "Optimization of fatty acid extraction from Phaeodactylum UTEX 640 biomass" J Am Oil Chem Soc 75: (12) 1735-1740 (1998年)、Walker, "Supercritical CO2 extraction of Lipids from Pythium irregulare" J Am Oil Chem Soc 76: 595-602 (1999年)によって有用な方法がもたらされる。超臨界CO2の最適化は下記文献を参照して行なうことができ、これは脂質のタイプの分離を導く。Yener "Estimation of lipid properties related to supercritical fluid extraction" Int J Food Properties 4:1 45-57 (2001年)。
【0162】
バルク抽出した脂質は直ちにさらに処理することができ、もしくはさらなる処理の前に保存することができる。保存中の脂肪酸の酸化を防止するため、酸化防止剤を添加することができ、油を冷却し、不活性気体、例えば、窒素もしくはアルゴンを噴霧することによって酸素への露出から保護し、暗所保存により光から保護することができる。ヘキサンを用いて抽出した脂質については、以下の参考文献が実践者に有用なものであり得る。Guil-Guerrerro J.L., "Hexane reduces peroxidation of fatty acids during storage" Eur J Lipid Sci Technol 103 : 271-278 (2001年)。
【0163】
油をさらに処理して粉末、ゲル、マイクロカプセル化もしくはソフトゲルカプセル化し、既存の食品、食品成分もしくは栄養補助食品と処方し、さらに処理して色、香味および他の感覚性の特徴を変更することができる。
【実施例4】
【0164】
EPA食品の生成
この例は、実質的にEPAのみをそれらのn−3 HUFA成分として含有し、かつ比較的低いか、もしくは検出不能のレベルのC14:0およびC16:0を含有する補助食品を非水産養殖食料生成動物に給餌することによる、EPA食品の生成を説明する。実質的にEPAのみをそれらのn−3 HUFA成分として含有し、かつ比較的低いか、もしくは検出不能のレベルのC14:0およびC16:0を含有する組成物の非水産養殖食料生成動物への投与およびその結果生じる、望ましい改変脂肪酸プロフィールを有する新規食品の生成について説明する。
【0165】
ヒトの食料を調製するために組成物を予備処理する別の方法はバイオマスを既存のタイプの食料生成動物に通過させることであり、これは、本質的には、食物連鎖に連鎖を追加することである。誘導される食品は、脂肪酸プロフィールがヒトの健康に有利であるという利益を伴って、食料生成動物からの古典的な食料および食品として許容し得るものでなければならない。余分の連鎖の導入には内在的な非効率があるものの、驚くべき利点がもたらされる。
【0166】
実施例2に含まれる典型的な製品は、動物の分泌物もしくは身体部分の消費に基づくものである(例えば、ミルク、肉、内臓、卵および他の臓器もしくは組織)。乳牛および他のウシ科動物、ヒツジ、ヤギ、シカ、ブタ、ウマおよびラクダ科動物(ラクダ、アルパカ等を含む)が(限定なしに)ミルクおよび/もしくは肉生成動物の群に含まれる。ラード(ショートニング)および他の「純粋脂肪」製品は定義されたn−3 HUFAで強化可能な注目に値するものである。ニワトリ、七面鳥および飼育鳥類の多くの他の種は、共に、ヒトの肉摂取のかなりの割合を提供する。
【0167】
近年の医学的証拠は、オメガ−3脂肪酸EPAでの食事補助が一方のDHAでの補助よりも多数の個々にとってより有益であり得ることを示唆する。Horrobin, D.F., Prog Drug Res、 59: 171-99 (2002年)を参照のこと。これら双方の脂肪酸は牛乳中に低レベルで存在するか、もしくは検出不可能であるが、海洋起源の多くの天然油にはかなり高レベルで存在する。食料生成動物の餌にEPAおよびDHAの両者に富む魚油並びにDHAに富む微細藻類を補給することによって生成されている、乳製品を含む強化「機能性」食品はますます利用されるようになっている。この例においては、泌乳牛の餌に実質的にEPAのみを含有する補助食品を補給することにより、その脂肪酸成分にEPAを含むが実質的にDHAは含まないミルクを生成する。
【0168】
牧草食動物(例えば乳牛)の通常の食餌成分である植物は、生来、高度不飽和オメガ−3脂肪酸(n−3 HUFA)を生成しない、したがって、ウシ科動物が植物において見出されるn−3 HUFAの最も一般的な代謝前駆体である、アルファリノレン酸(ALA)をn−3 HUFAに変換することができる程度が制限されている様である。Hauswirth et al., "高山地域で草で育てられたウシの乳脂肪には、非高山地域のウシの乳脂肪より高レベルのアルファリノレン酸(ALA)とn−3HUFAエイコサペンタエン酸(EPA)の双方と、低レベルのパルミチン酸が含まれている旨の報告", Circulation, 109: 103-107 (2004年)。しかしながら、Petitら(2002b)は、毎日500グラムのALAの十二指腸注入が、EPAの同時増加を伴わずに、乳脂肪における高レベルのALA(14%)を導いたことを報告する。(Milk Production and Composition, Ovarian Function, and Prostaglandin Secretion of Dairy Cows Fed Omega-3 Fatsl Dairy Sci. 85: 889-899 American Dairy Science Association, (2002年))。したがって、収穫後強化によらずに、n−3 HUFAレベルを有意に上昇させた乳脂肪を生成するため、ウシ科動物の餌に予め調製したn−3 HUFAを補給することが必要である。
【0169】
しかしながら、EPAおよびDHAの双方を含有する組成物を泌乳牛に給餌すると、双方の脂肪酸のレベルがミルク中で増加する。したがって、EPAのみのミルクを生成するため、EPAのみを含む組成物を補給することが必要となり得る。ミルク中へのEPAの見かけの移行効率は、幾人かの著者により、DHAより高いことが報告されている(Gulatia, S.K et al., International Dairy Journal 13 339-343 (2003年)、Wright, T. C. et al., J. Dairy Sci. 86: 861-869 American Dairy Science Association (2003年)を参照)。反芻動物においてはDHAがEPAに逆変換されることも提示されている(Barclay, W., et al., Dietetics, 83: 61-76 (1998年)を参照)。
【0170】
しかしながら、今日まで、実質的にEPAのみを含有する組成物を用いるin vivoでのウシへの補給研究は文献において報告されておらず、存在しているとしても、ウシ科動物においてEPAがDHAに代謝され得るという程度の僅かな情報である。我々は、泌乳牛の餌に実質的にEPAのみを含有する組成物を補給することがEPAのみのミルクの生成につながるのかどうかを研究したいと望んだ。

材料および方法
パイロット補足研究を着手するのにオークランド大学動物倫理委員会から倫理的許可を得た。この研究は、4頭のフリージアン乳牛の餌に1日量40から160のエチル−エイコサペンタエン酸(純度>98%)を9日間補給することを含んでいた。乳牛を、第1日目に160グラムのEPAを補給し、毎日15グラムずつ用量を減少させて第9日目に40グラムに到達する動物を含む高−低用量(HTLD)群(n=2)および第1日目に40グラムを補給し、毎日15グラムずつ用量を増加させて第9日目に160グラムに到達する動物を含む低−高用量(LTHD)群(n=2)に分割した。給餌およびミルクのサンプリングは、2004年8月19日から29日にウエストオークランドの酪農場で、その群れを世話した経験を有する監督獣医師の監督の下で行なった。補助食品はドレンチングガンにより、1日1回午前中に、搾乳に続いて与えた。毎日、補給に先立ち、ミルクの50ml試料を各動物から2本収集し、収集して1時間以内に100mlポリエチレン容器内で温度制御−20℃冷蔵庫において保存した。ミルク試料を解凍して脂肪酸を抽出し、分析用に用意した。乳脂肪を、ヘキサン中に溶解し、2モルレベルKOHメタノールと反応させることによってメチル化した。2mlのN−ヘキサンに溶解し、次いで20マイクロリットルの2モルレベルKOHメタノールを添加した20ミリグラムの脂肪を3秒間静置し、30秒間激しくボルテックスした。次に、その混合物を6分間静置した後、水中に2モルレベルのHClでメチルレッドに中和し、次いで再度ボルテックスして遠心分離した(Terry Knight publications) Knight T.W., et al., New Zealand Journal Of Agricultural Research 47:3: 287-297 SEP (2004年)にも報告される、agilentウェブサイトからの改変法)。次に、ヘキサンのアリコートを採取し、105メートル 0.25mm RTX2330 90%ビスシアノプロフィールカラム(Restek)および0.25ミクロン膜厚を有するGCFID6890(Agilent Corp)によって分析した。脂肪酸は37成分混合物(Suplco)との比較で保持時間によって同定した。理論的応答因子(AOCS参照)を用いてピーク面積をピーク応答に合わせて修正した。結果を曲線下面積として報告した。
【0171】
4100頭のNZフリージアン(Fresia)乳牛の集団から誘導された参照基線を参照して、順列に基づく統計解析法をFA基礎組成物の評価に用いた。給餌試験において測定された各脂肪酸ピークの対数をとり(底を2とする対数)、第0日(基線)測定を減じて各時点での基線からの変化を報告した。乳牛4頭平均および乳牛2頭平均における変化の有意性を、4100頭の動物の群れの参照データセットから2もしくは4頭の乳牛の多くのグループを無作為に選択することにより検定し、給餌試験結果をより大きな参照集団からの対数処理測定の平均と比較した。これは、給餌試験における動物からの平均に中心を置く基線と一致するようにゼロに中心を置く、各群サイズの基線分布を生成した。その後、有意の閾値を、調査した脂肪酸ピークの数および行った測定の数に合わせて調整した。

結果および考察
オメガ−3脂肪酸、本研究において、エイコサペンタエン酸(C20:5 EPA)およびドコサペンタエン酸(C22:5 DPA)は、HTLD群においてはそれぞれ第2日および第3日に、LTHD群においては第5日および7日に基線から有意に増加した(図1および図2を参照)。総脂肪酸のパーセンテージ(%TFA)としてのEPAおよびDPAは、HTLD群においてはそれぞれ第5日(1.55)および6日(0.41)に、LTHD群においては第9日(1.29)および11日(0.38)にピークであった。DHAは基線では検出不能であって、この研究を通して不変のままであり、これはEPAからDHAへの変換が泌乳牛においては有意の程度までは生じない可能性を示唆する。従来の著者は、ヒトにおいて特定の食事条件の下で生じる、DHAをEPAに逆変換する代謝経路が、ウシ科動物においてはより大きな程度で起こり得ることを示唆していた(Barclayら、1998)が、Spainら(1995年)は十二指腸に注入した魚油がDHAよりも高レベルの血漿中EPAを導くことを報告しており、これはDHAが、ヒトと同様に、ミルク以外の幾つかの組織および細胞区画に優先的に捕捉され得ることを示唆する(Spain J.N., et al., J Dairy Sci 78:1142-1153 (1995年)を参照)。DHAがそのような区画から放出され、長期の時間スケールにわたってミルク中に蓄積されることは無視することができる。
【0172】
飽和脂肪酸:特には主要乳脂肪酸C16:0を含む、特定の飽和脂肪酸(SFA)の食事量の減少が健康の専門家によって推奨されている(WHO Technical Report Series 916, WHO Geneva (2003年))。正常環境下で、食事によるC16:0の約50%が乳腺に取り込まれる。本研究においては、%TFA C16:0は給餌期間を通して一貫して低下し、両群にわたって第9日に基線レベルの15.44%の最大減少に到達した(31.1対36.78)(図4を参照)。C16:0の減少は、厳密な家族間の 誤差率制御法を用いたときには研究における非常に小さい試料サイズのために統計的有意を達成しなかったが、偽発見率制御多重比較および手順を適用したときには有意となった。この乳脂肪C16:0の減少は、対応する変化が他のSFAにおいては観察されなかったことを考えると、研究中の給餌挙動の変化によっては説明できそうもない。C16:0の乳腺におけるパルミトレイン酸(C16:1)へのさらなる代謝の寄与を研究するため、乳脂肪における基質/生成物比を幾つかのSFAおよびそれらの単不飽和脂肪酸対応物について比較した。これらの比はデルタ−9−デサチュラーゼ活性酵素の活性の代理測定と考えられる(下記表1を参照)。
【0173】
【表1】

【0174】
比は第5日に両群にわたって単飽和物が有意に減少し、これは、デルタ−9−デサチュラーゼ活性の初期上方調節が、おそらく、既に第3日に有意であった乳脂肪ステアリン酸(C18:0)の劇的減少によって誘発されることを示唆する。乳腺に対するC18:0の供給の減少は、反芻胃微生物によるリノレイン酸(LA C18:2)およびアルファ−リノレン酸(ALA C18:3)の生体内水素化のEPAによる阻害によって説明することができ、これはAbuGazelahらによってイン・ビトロで示されている(2004年)(AbuGhazaleh AA, et al., J Dairy Scl, Mar、 87:3 645-51 (2004)を参照)。上記からわかるように、比は基線レベルを超える飽和物に従って強く反撥した(C18:対C18:1を除く)。第11日は、おそらくは、第1胃内微生物の「環境馴化」および乳腺に対する不飽和脂肪酸の総供給量の直近の増加に応答したデルタ−9−デサチュラーゼの下方調節の組み合わせ効果のためである。C16:0の脱飽和化は乳脂肪におけるC16:0の減少を示したが、他のメカニズム(1以上)が乳脂肪におけるC16:0の観察された減少の原因であることが継続して示されている。泌乳牛の餌におけるC16:0レベルは相当程度まで血清レベルに反映される。さらに、乳牛の乳腺による血漿からのC16:0の取り込みが相当程度まで生じるものと信じられる。したがって、餌中のC16:0レベルはミルク組成に直接の影響を及ぼす。食餌変化後のミルク中のC16:0レベルの変化も未だに解明されていない他のメカニズムの制御下にある。Mashekら(2002年)は、ウシ肝細胞におけるC16:0の酸化の有意の増加を、イン・ビトロでこれらの細胞にEPAを補給することによって生成した(Aiello, R. J., and L. E. Armentano, Comp. Biochem. Physiol. B. 91:2, 339-344 (1988年)、Belury M.A., Nutr Rev. 53: 83-89 (1995年)、Rainer & Heiss, Journal of the American Dietetic Association 104:6, 963-8 (2004年)、Mashek, D. G. et al., J. Dairy Sci. 85 :2283-2289 American Dairy Science Association, (2002年)を参照)。
【0175】
発明者らの最良の知識では、Mashekらも従来の文献も、乳牛の餌を変更して健康をもたらす特徴が強化されたヒト食品もしくは食餌補助食品を生成することによってこの効果をヒトにおいて有益な効果に変える方法に関してはいかなる情報も提供していない。この研究においては、EPA補給が肝臓および他の組織におけるC16:0の酸化の速度増加につながり、それが乳腺への取り込みに使用されるC16:0の量を制限することが提示される。これは、C16:0が代謝されて最終的なミルクレベルに影響を及ぼす速度の変化を利用する実行不可能な方法を示唆する。共役リノール酸CLA:魚油での乳牛の補給が乳牛ミルク中のC18:1ct11バクセン酸(VA)および共役リノール酸(CLA)レベルの増加につながることは公知である。CLAは、摂取されるとき、抗癌および抗糖尿病誘発性特性を含む、ヒトにおける有益な健康効果を有するものと信じられる(Belury M.A. Nutr Rev. 53:83-89 (1995年)、 Rainer & Heiss Journal of the American Dietetic Association. 104: 6, :963-8, (2004年)を参照)。AbuGazaleh & Jenkins(J. Dairy Sci. 87:1047-1050, (2004年))は、DHAが、同様の効果をそれほどではないにせよ示すEPAと共に、バクセン酸の蓄積を促進する魚油中の成分であることを提示している(AbuGazaleh & Jenkins J. Dairy Sci 87: 645-651, (2004年)。しかしながら、AbuGazaleh & Jenkinsも従来の文献も、EPAの効果がDHAより定量的に優れているか否かに関わらず、ミルク中の共役リノール酸蓄積に対するEPAの多岐にわたる効果およびこれらをヒトにおける有益な効果に変える方法に関していかなる情報も提供してはいない。本研究は乳脂肪CLAの強化におけるDHAと比較したEPAの相対効率を研究するようには設計されていないが、それにも関わらず、実質的にEPAのみを含有する補助食品がイン・ビボでCLAを増加させることが可能であり、それが最大レベルで総脂肪酸の4.2%、基線レベルを375%上回る増加(平均274%)であって、その効果がEPAのみの乳製品の摂取に関連する有益な治療効果につながり得ることを確認した(実施例6を参照)。
【0176】
第一胃生体水素化から保護されない限り、乳牛に給餌されるとき、魚もしくは微細藻類誘導補助食品中のDHAおよびEPAの両者は第一胃微生物によってほとんど(95%まで)水素化される。この効果は、場合によっては、より高レベルのEPAを含む特定の脂肪酸の短期間での増加食餌負荷の存在下では減少するが、そのような付随する損失を最小にするより経済的な手段はn−3 HUFAで乳牛の餌を食餌補給することによって改変されるミルクの生成にとって重要である。そのような手段は、第一胃生体水素化に対して保護する手段および方法の開発および改善された補給の提供を含み得る。
【0177】
(前の研究の結果に基づいて)試験組成物の大部分が第一胃微生物叢によって水素化されたものと予想される。したがって、費用有効第一胃保護補助食品が望まれる。DHAを上回ってEPAを餌からミルクに移すためのより有効な仮定経路は研究されていないが、この研究はEPAでの補給の一例を提供し、証明された場合には、DHAミルクと比較してEPA生成の効率を強化する方法を提供する。
【0178】
EPAおよびDHAの両者を含有する魚ベースの補助食品での乳牛の餌の補給を含む幾つかの研究にわたって、EPAがDHAよりも効率的にミルクに移行することが観察されている。しかしながら、従来の文献は、それが立証されたとして、この効果を望ましい製品の生成に変えることができる方法に関するいかなる情報も提供してはいなかった。
【0179】
この研究はミルクへのEPAの移行効率に関していかなるものも示さなかったが、EPAについての餌からミルクへの比較的高い移行効率の観察された現象を立証することなしに、この研究はEPAのみのミルクの産生を可能にし、これはさらなる研究がこの現象を利用することができる背景を初めて用意するものである。
【実施例5】
【0180】
この例は、動物もしくはヒトの集団において評価することができる従来知られていなかった有益な機構および健康効果を実現する方法であって、その有益な機構および健康効果が、実質的にEPAのみをそれらのn−3 HUFA成分として含み、かつ比較的低レベルのC14:0およびC16:0を含む、微細藻類の従属栄養的もしくは主として従属栄養的な生成によって産生される組成物の食事形態での生成および使用によって得られる方法を説明する。
【0181】
この方法は、a)組成物を生成し、b)その組成物を動物もしくはヒトの集団に、有益な健康効果が追随し得るような十分な量および期間にわたって与え、およびc)有益な健康効果およびこれらが得られる機構を評価することを含む。補給はわずか1日、もしくは数年という長さで継続することができる。
【0182】
好ましい例は、実施例1において微細藻類ニツシア・ラエビスの従属栄養的もしくはほとんど従属栄養的な生成により提供される全細胞組成物またはそれらから抽出される油の提供である。全細胞バイオマスは動物の集団(n=>1)に1日当たり0.01から10キログラムの量で提供することができ、もしくは油抽出物をヒトの集団(n=>1)を構成する1名または複数名の個人に1日当たり0.1から100グラムの量で提供することができる。
【0183】
他の栄養分の摂取は、飼育動物の場合には必須食餌の供給を制限することにより、および/もしくは、必要であれば、摂取を監視することにより制御することができる。ヒトの場合、研究からの制御されない食事摂取によって生じる潜在的な偏りを排除するよう試みるため、ヒトを滞在型代謝ユニットに住まわせながら補給に着手することによってこれを達成することができる。
【0184】
血液試料もしくは他の組織の試料、例えば、ミルクもしくは筋肉(もしくは、鳥類が研究されている場合、卵)を補給の前後に個体から採取することができる。その後、脂肪酸および他の有益もしくは有害な栄養分もしくは疾患危険性の生化学的マーカーの存在およびレベルの変化を血漿および赤血球において測定することができる。
【0185】
次に、脂肪酸および疾患危険性の他の生化学的マーカーの測定値を分析し、補給により得られる健康効果および関連する機構を評価することができる。評価法には(限定なしに)、ガスクロマトグラフィーによる組織FA組成の脂肪酸解析、核酸の抽出、ポリメラーゼ連鎖反応によるDNAの増幅、免疫組織化学タンパク質染色、および他の方法が含まれる。
【0186】
健康効果には、続発症を含む、障害の臨床的徴候もしくは症状の減少が含まれる。
【0187】
機構には、組成物中の栄養分の食餌から組織への移行、他の代謝経路、例えば、肝細胞におけるC16:0の過酸化物化に対する組成物の効果、核転写因子(PPARガンマ等)の下方調節、基質利用性もしくは化学型相互作用、例えば、リザーバからの他の脂肪酸の除去が含まれる。
【0188】
本発明は、ヒトに不足している、「必須脂肪酸」、特には、EPAおよびDHAの適切な摂取/レベルの必要性を満たすそうとするものである。医学刊行物は、現在、健康におけるEFAの位置付けのさらなる態様を明らかにしている。1日あたり数百万キログラム程度と確認された世界的な不足を、野生から捕獲された魚から製造された製品に頼ることによって救済できる見込みはほとんどない。さらに、個々のn−3 HUFAをFAの複雑な混合物から精製して一般的な食事要求を満たすことは非経済的である。適正なレベルでの特定のn−3 HUFAの供給はその集団の健康レベルを強化する。現時点で、要求を満たすことができると思われる公知の製造はない。本発明はEFAの代替源をヒト集団に望まれる量および質で提供することが可能である。
【0189】
本発明は、比較的安価で比較的純粋な食事もしくは栄養補助食品、または公知のタイプの日常食品(例えば、食料生成動物から間接的に得られる強化された健康特性を有するミルクおよびバター)さえも提供し、提供された物質は特定のn−3 HUFAの比較的汚染されておらず、安価で、許容し得る源をもたらす。これらの生成物のほとんどの種類は、C14:0およびC16:0並びに他の無益もしくは有害EFAの食事摂取によって生じる健康リスクを減少させると同時に、ヒト脂質プロフィールにおける選択されたEFAおよび他の有益な脂肪酸のレベルを高める効果を有する。
【0190】
費用有効性および一般的な認容性は、採取後処理、例えば、採取された物質の脂質プロフィールを変更する工程の必要性の最小化と共に、部分的には、出発物質として適切な微細藻類の選択に依存する。
【実施例6】
【0191】
強化EPA含有ミルクのヒト消費
この例は、EPAのみの乳製品の消費によるn−3 HUFAのヒト組織への組み込みを説明する。好ましい実施形態において、この方法は(i)比較的低レベルのミリスチン酸およびパルミチン酸のEPAのみの補助食品を用いる泌乳牛の補給によりEPAのみのミルクを生成し、(ii)該乳牛からミルクを採取し、(iii)該ミルクをヒトによる消費に適する乳製品(クリーム状ミルクおよび強化クリームを含む)に処理し、(iV)次いで、これらを、該乳製品の十分なn−3 HUFA成分がヒトによって吸収されて組織に組み込まれるように、ヒトが十分に長い期間にわたって消費することを含む。
【0192】
38歳の健常男性被験者に、実施例3の方法によって生成したミルクから調製したクリーム状ミルクおよび強化クリームを、2日にわたって与え、該乳製品から血清および赤血球細胞への脂肪酸の吸収および組み込みを実証する試みを行なった。

強化食品の調製
1種類のクリーム状ミルク(クリーム状ミルク)および2種類の強化クリーム(強化クリームAおよび強化クリームB)を調製した。クリーム状ミルクは、ミルクを3つの20リットル容器内で一晩、4℃で静置した後、クリーム状ミルクを容器の頂部から抜き取り、合わせたクリーム状ミルクをホモジナイズすることによって調製した。該クリーム状ミルクを600ml遠心ボトル内で5分間、2000gで遠心分離し、強化クリームをボトルの頂部からすくい取り、該強化クリームをホモジナイズすることによって2種類の強化クリームをさらに調製した。次に、クリーム状ミルクおよび強化クリームを様々なn−3食品に組み込んだが、これにはバナナおよびイチゴをクリーム状ミルクおよび強化クリームと共に液状化することによって製造されたフルーツスムージー、強化クリームを既存のビーフシチューに混合することによって製造されたクリーム状ビーフシチュー、強化クリームをホイップし、既存のチョコレート・ログ・ケーキの頂部に乗せることによって調製されたホイップ強化クリームを有するチョコレート・ログ・ケーキが含まれる。その後、これらのn−3 HUFA強化食品を消費に利用可能なものとした。

乳脂肪分析
クリーム状ミルクおよび強化クリームからの試料を20℃で2〜3日間凍結保存した後、脂肪酸抽出のために解凍し、ガスクロマトグラフィーによって分析した。約30mg(20μL)の溶融脂肪(60℃)を15mL kimmax管に加え、2mlのヘプタンに溶解し、20μLの2M KOHメタノール溶液を添加することによって脂肪酸試料を分析用に調製した。その後、これらの試料を濁るまで30秒間ボルテックスし、5分間静置した。次に、それらの混合物を、25μLの2M HCLを添加することによって中和して赤色を生じさせ、十分に混合されるまで再度ボルテックスした後、3,000rpmで2分間遠心分離した。その後、試料の上部ヘプタン層をパスツールピペットで除去し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析用にオートサンプラー・バイアルに入れた。GC分析は、炎イオン化検出器(GCFID6890、Agilent Corp)が装着され、105メートル 0.25mm 90%ビスシアノプロフィールカラム(RTX2330、Restek)を備え、0.25ミクロン膜厚を有するガスクロマトグラフィーにおいて行った。脂肪酸は37成分混合物(Suplco)との比較で保持時間によって同定した。理論的応答因子(AOCS参照)を用いてピーク面積をピーク応答に合わせて修正し、結果を曲線下面積として報告した。

血液分析
基準となる食後(通常の昼食の4時間後)および空腹時(絶食から10時間後)の血液試料を、補給開始の前、並びに補給開始後、それぞれ、24時間および39時間に採取した。血清試料は、血液を1時間凝固させた後、血液を1000gで15分間遠心分離し、血清を遠心管の頂部から抜き取ることによって調製した。赤血球(RBC)は、1000gで2分間遠心分離し、血清を抜き取った後、以下の方法、すなわち、細胞をpH7.4に調整したリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、再度遠心分離して流体を抜き取ることをを2回繰り返して調製した。血清およびRBC試料を20℃で2〜3日間凍結させた後、脂肪酸抽出のために解凍し、ガスクロマトグラフィーによって分析した。

乳脂肪分析
脂質分析は、クリーム状ミルクが6.70重量%の総脂質を含み、強化クリーム1および2が、それぞれ、53.74重量%および49.85重量%の総脂質を含むことを示した。総乳脂肪酸のパーセンテージとしてのN−3 HUFA含有率は、クリーム状ミルク、強化クリーム1および2について、それぞれ、EPAが0.49、0.57および0.41%、DPAが0.12、0.12、および0.11%、並びにDHAが0.04、0.04および0.03%であった。クリーム状ミルク、並びに強化クリーム1および2において、それぞれ、C16:0は総脂肪酸の21.84、21.80および22.04%を構成し、かつCLAは2.06、2.21および2.17%を構成していた。当該技術分野において公知のように、脂質の80%が脂肪酸を含んでなるものと仮定した。

n−3 HUFA強化食品の消費
38歳の被験者は精製魚油カプセルの常用者であったが、この実験の開始の2週間前に補助食品の摂取を止めていた。この実験の過程で、被験者が魚および魚油もしくはオメガ−3補助食品を消費することはなかった。クリーム状ミルクおよび強化クリームを除いて、補給された食事で消費した残りのものも、葉の多い緑色野菜、亜麻仁油もしくは他のオメガ−3脂肪酸の豊富源を含まない、アルファ−リノレン酸(C18:3n−3)が比較的少ないものであった。補給の最初の24時間において、3キログラムのクリーム状ミルク、250グラムの強化クリーム1および400グラムの強化クリーム2を含む強化食品を消費した。24時間から30時間までの間に、さらに2.0キログラムのクリーム状ミルクおよびさらに400グラムの強化クリーム2を強化食品において消費した。
【0193】
ここから、補給後最初の24時間で、160.8グラムの乳脂肪酸がクリーム状ミルクから消費され、107.5グラムの脂肪酸が強化クリーム1から消費され、かつ159.52グラムの脂肪酸が強化クリーム2から消費され、合計で427.8グラムの乳脂肪酸が消費されたことが算出される。補給の最後の5〜6時間においては、さらに107.2グラムの乳脂肪酸がクリーム状ミルクから消費され、かつさらに159.52グラムの脂肪酸が強化クリーム2から消費され、合計で266.72グラムの乳脂肪酸が消費された。これは、補給の最初の24時間においては、EPA、DPAおよびDHAについて、それぞれ、2.1、0.5および0.2グラム、最後の5〜6時間においては、1.3、0.3および0.1グラムの摂取に等しい。C16:0およびCLA摂取は、最初の24時間においては93.6および9.2グラム、補給の最後の5〜6時間においては34.9および3.42グラムと計算することができる。

血液試料中の脂肪酸
基準時、絶食血清試料中の総脂肪酸のパーセンテージとしてのEPAおよびDPAおよびDHAは、補給後39時間に採取された血液からの血清における3.74、0.97および2.5と比較して、それぞれ、1.36、0.84および3.0であった。食後血清試料においては、EPAおよびDPAおよびDHAは基準時、それぞれ、総脂肪酸の1.44、0.90、3.50パーセントと測定され、それに対して補給後24時間に採取された試料においては2.23、0.72、および1.89パーセントであった。食事後赤血球においては、EPAおよびDPAおよびDHAは基準時、それぞれ、総脂肪酸の0.92、1.98および6.9パーセンテージと測定され、それに対して補給後24時間に採取された試料においては、それぞれ、1.55、3.01および8.39であった。血液中のCLAレベルは測定しなかった。
【0194】
絶食血清中のC16:0は基準時、総脂肪酸の23.11パーセントと測定され、それに対して補足後39時間では20.91であり、食事後においては基準時21.8の血清脂肪酸対補給後24時間の22.72であった。食事後赤血球細胞脂肪酸におけるC16:0は基準時22.22から補給後24時間の19.74まで低下した。C14:0は基準時絶食血清において脂肪酸の2.38%と測定され、補給後39時間で2.23%まで低下した。しかしながら、C14:0は、食事後血清および赤血球において、血清においては基準時1.42%から補給後24時間の4.71%に、赤血球においては0.43%から0.51%に上昇した。
【0195】
これは、有意なレベルのEPAを含み、実質的にDHAを含まないミルクをヒトに与えた最初の公知例である。絶食血清脂肪酸中で測定されたEPAの割合の2.75倍の増加は、EPAのみの乳製品の消費後、ヒトにおいてEPAが十分に吸収されることを示す。この結論は、食事後血清脂肪酸において測定した高度不飽和オメガ−3脂肪酸の割合が1.5倍を上回る増加を示したことによって支持される。補給期間全体にわたって測定された血清DHAの減少は、組織への吸収を可能なものとする、血清トリグリセリドからのDHAの置換によって説明することができる。この説明は、基準対補給後24時間に採取された食事後血液試料から調製された赤血球におけるDHAが占める脂肪酸の割合の顕著な上昇(6.9対8.39)と一致する。有意のDPAが補給において供給されたが、血清試料中のDPAの割合がそれほど変化しなかったことは注目に値する。食事後赤血球試料における脂肪酸のDPAが占める割合は、補給後24時間と比較して基準時から有意に上昇した(1.98対3.01)。明らかに、多量の飽和脂肪酸、特には、この期間にわたって消費されたC16:0の定期的な消費は賢明なものではない。おそらくは驚くべきことに、C16:0において観察された最も明白な変化は、食後赤血球において基準時から補給後24時間と比較した、総脂肪酸の22.22から19.74%への減少が測定されたことであり、それに対して、C14:0は0.43から0.51%と僅かに増加した。EPAミルクにおける有益な脂肪酸レベルの増加は、この飽和脂肪酸の酸化を高めると考えられるが、試験が短期間であること、試料規模が小さいこと、および基準時における他の源に由来する通常の食事脂肪酸の寄与形態におけるかく乱を制御することが困難であることを含む幾つかの要素のために、このデータからは結論に到達しない。。
【0196】
ここで参照もしくは言及されるすべての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、並びに他の文書および資料は、本発明が属する技術分野における当業者の技術のレベルを示すものであり、そのような参照される文書および資料の各々は、あたかもそれが参照によりその全体が個別に組み込まれており、もしくはここにその全体が記載されているのと同じ程度まで、参照によりここに組み込まれる。出願人は、あらゆるそのような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、および他の参照される資料もしくは文書からのあらゆるすべての資料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利を保留する。
【0197】
ここで説明される特定の方法および組成物は好ましい実施形態の代表であって例示的なものであり、本発明の範囲に対する限定を目的とするものではない。他の目的、態様、および実施形態は本明細書を考慮することで当該技術分野における当業者が思い浮かべるであろうものであり、請求の範囲によって定義される発明の精神に包含される。様々な置換および変更を、ここで開示される発明に、発明の範囲および精神から逸脱することなしになし得ることは、当該技術分野における当業者には容易に明らかであろう。ここで説明的に記載される発明は、ここで必須であるものとは明確に開示されていない、あらゆる要素(1以上)もしくは限定(1以上)なしで実施することができる。したがって、例えば、ここでの各々の場合、本発明の実施形態もしくは例において、「を含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語は本明細書において他の2つの用語のうちのいずれかで置き換えることができる。その上、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」等の用語は拡張的かつ限定なしに読まれるべきである。ここで説明的に記載される方法およびプロセスは異なる順番の工程で実施することができ、ここで、もしくは請求の範囲において示される工程の順番に必ずしも限定されるものではない。ここで、および添付の請求の範囲において用いられる場合、単数形態「a」、「an」および「the」は、その文脈が明瞭に他を指示しない限り、複数の参照を含む。本特許がここで明確に開示される特定の例もしくは実施形態もしくは方法に限定されるものと解釈することができる状況はない。いかなる審査官または特許商標局のいかなる他の職員もしくは従業員によってなされたいかなる陳述であっても、そのような陳述が具体的に、かつ保留なしに、出願人によって回答書において明確に承認されない限り、それによって本発明が限定されるものと解釈できる状況はない。
【0198】
用いられている用語および表現は記述の用語として用いられるのであって限定の用語ではなく、そのような用語および表現の使用において示され、かつ記述される特徴のあらゆる等価物もしくはそれらの一部を排除しようとする意向はないが、様々な変更が主張される発明の範囲内で可能であることは認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって明確に開示されてはいるが、ここで開示される概念の変更および変形を当該技術分野における当業者が訴えることができ、かつそのような変更および変形が添付の請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることは理解されるであろう。
【0199】
本発明をここでは広範に、かつ一般的に説明している。より狭い種および一般開示内に入る準一般分類も本発明の一部を形成する。これは、あらゆる主題を類概念から取り除く条件もしくは消極的限定の下で、切り離された事項がここで明確に記載されるかどうかに関わりなく、本発明の一般記述を含む。
【0200】
他の実施形態は以下の請求の範囲内にある。加えて、本発明の特徴もしくは態様がマーカッシュグループという形で記述される場合、当該技術分野における当業者は、本発明がマーカッシュグループのあらゆる個々の構成要素もしくは構成要素の下位群の観点でも記述されることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】給餌試験におけるミルク中のEPAの発現を示すグラフ(実施例3を参照)。
【図2】給餌試験におけるミルク中のDPAの発現を示すグラフ(実施例3を参照)。
【図3】給餌試験におけるミルク中のDHAの発現を示すグラフ(実施例3を参照)。
【図4】給餌試験におけるミルク中のC16:0の発現を示すグラフ(実施例3を参照)。
【図5】給餌試験におけるミルク中のCLAの発現を示すグラフ(実施例3を参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
18重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、
11%未満のミリスチン酸(C14:0)、
20%未満のパルミチン酸(C16:0)、
を含む組成物であって、
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも6:1である組成物。
【請求項2】
18重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、
11%未満のミリスチン酸(C14:0)、
20%未満のパルミチン酸(C16:0)、
を含む組成物であって、
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも6:1であり、1日1リットルあたり少なくとも5mgの脂質を産生する方法によって生成される組成物。
【請求項3】
18重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、
11%未満のミリスチン酸(C14:0)、
20%未満のパルミチン酸(C16:0)、
を含む組成物であって、
前記組成物中のEPAの、他の全てのn−HUFAの総量に対する比が少なくとも6:1である組成物。
【請求項4】
18重量%から約50重量%のn−3 HUFA脂肪酸、
11%未満のミリスチン酸(C14:0)、
20%未満のパルミチン酸(C16:0)、
を含む組成物であって、
組成物中のEPAの、他の全てのn−HUFAの総量に対する比が少なくとも6:1であり、1日1リットルあたり少なくとも5mgの脂質を産生する方法によって生成される組成物。
【請求項5】
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも7:1である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも8:1である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも9:1である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中のEPAのDHAに対する比が少なくとも10:1である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中のEPAの、他の全てのn−3 HUFA脂肪酸に対する比が少なくとも7:1である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中のEPAの、他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比が少なくとも8:1である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中のEPAの、他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比が少なくとも9:1である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中のEPAの、他のn−3 HUFA脂肪酸に対する比が少なくとも10:1である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも約0.1%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)をさらに含有する請求項1から11、または12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも約0.5%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)をさらに含有する請求項1から11、または12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも約1.0%のアルファリノレン酸(18:3 n−3)をさらに含有する請求項1から11、または12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも15重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも17重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも18重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも20重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
約20重量%から約50重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
約30重量%から約50重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
約40重量%から約50重量%のEPAを含む請求項1から15、または16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
10%未満のミリスチン酸を含む請求項1から21、または22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
8%未満のミリスチン酸を含む請求項1から21、または22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
15%未満のパルミチン酸を含む請求項1から21、または22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
12%未満のパルミチン酸を含む請求項1から21、または22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
10%未満のパルミチン酸を含む請求項1から21、または22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
ヒト消費用栄養補助食品として処方される請求項1から26、および27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
動物消費用栄養補助食品として処方される請求項1から26、および27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
食品成分、機能性食品、食事補助食品および栄養補助食品のうちの1つ以上の形態である請求項28または29に記載の栄養補助食品。
【請求項31】
商業的に培養した微生物、植物、もしくは商業的に飼育した動物の培養によって生成される請求項28または29に記載の栄養補助食品。
【請求項32】
商業的に培養した微生物、植物、または商業的に飼育した動物のいずれかによって生成される請求項28または29の栄養補助食品であって、特定量のn−3 HUFA脂肪酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸が生物の成長が終止した後のさらなる精製もしくは希釈に頼ることなく得られる栄養補助食品。
【請求項33】
商業的に培養した微細藻類種ニツシア・ラエビスの培養物から採取した組成物を含有する請求項28から31、および32のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項34】
前記組成物中の脂質のさらなる精製もしくは抽出なしに生成される請求項28から32、および33のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項35】
前記組成物中の脂質の精製もしくは抽出をさらに含む方法によって製造される請求項28から32、および33のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項36】
微生物の従属栄養性の生産によって製造される請求項28から34、および35のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項37】
微生物の主として従属栄養性の生産によって製造される請求項28から34、および35のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項38】
微細藻類の主として従属栄養性の生成によって製造される請求項37に記載の栄養補助食品。
【請求項39】
微細藻類ニツシア・ラエビスを培養することによって生成される請求項37に記載の栄養補助食品。
【請求項40】
ヒトが消費するための食品として処方される請求項28から38、および39のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項41】
カプセル、ピル、もしくはヒトへの経口投与用の投与形態として処方される請求項40に記載の栄養補助食品。
【請求項42】
幼児用処方物として処方される請求項28から40、および41のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項43】
高齢者用の食費補助食品として処方される請求項28から40、および41のいずれか1項に記載の栄養補助食品。
【請求項44】
請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の脂肪酸組成物を有する微生物の細胞を含み、前記細胞が微生物を発酵槽内で培養することによって生成されるバイオマス。
【請求項45】
請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の脂肪酸組成物を有する微生物の細胞を含み、前記細胞が微生物を光バイオリアクタ内で培養することによって生成されるバイオマス。
【請求項46】
請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の脂肪酸組成物を有する微生物の細胞を含み、前記細胞が微生物を発酵槽および光バイオリアクタの混成において培養することによって生成されるバイオマス。
【請求項47】
バイオマスから油を得るための方法であって、前記油が請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の脂肪酸組成物を含む前記方法。
【請求項48】
請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物から油を得るための方法であって、前記油が選択された量のn−3 HUFA脂肪酸を含む前記方法。
【請求項49】
ヒトの血清脂質プロフィールを改善するのに有効な量で処方される請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
ヒトの血清脂質プロフィールを改善するのに有効な量で処方される請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
心臓血管疾患もしくは状態を治療するための請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
肥満もしくは肥満関連状態を治療するための請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
糖尿病(I型、およびII型)の合併症、糖尿病関連高血圧、癌、変形性関節症、自己免疫疾患、関節リウマチ、関節炎以外の炎症性および自己免疫性疾患、呼吸器疾患、神経障害、神経変性疾患、腎および尿路障害、心臓血管疾患、脳血管障害、眼の変性疾患、精神疾患、生殖性障害、内臓障害、筋肉障害、代謝障害、前立腺肥大および前立腺炎、インポテンツおよび男性不妊、乳房痛、男性型脱毛症、骨粗鬆症、皮膚疾患、失読症および他の学習障害、および癌悪液質、肥満、潰瘍性大腸炎、クローン病、拒食症、火傷、変形性関節症、骨粗鬆症、注意欠陥/多動性障害、並びに早期段階の結腸直腸癌、肺および腎臓疾患、並びに異常成長および発達に関連する障害からなる群より選択される障害を治療するための請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
糖尿病(I型、およびII型)の合併症、糖尿病関連高血圧、癌、変形性関節症、自己免疫疾患、関節リウマチ、関節炎以外の炎症性および自己免疫性疾患、呼吸器疾患、神経障害、神経変性疾患、腎および尿路障害、心臓血管疾患、脳血管障害、眼の変性疾患、精神疾患、生殖性障害、内臓障害、筋肉障害、代謝障害、前立腺肥大および前立腺炎、インポテンツおよび男性不妊、乳房痛、男性型脱毛症、骨粗鬆症、皮膚疾患、失読症および他の学習障害、および癌悪液質、肥満、潰瘍性大腸炎、クローン病、拒食症、火傷、変形性関節症、骨粗鬆症、注意欠陥/多動性障害、並びに早期段階の結腸直腸癌、肺および腎臓疾患、並びに異常成長および発達に関連する障害からなる群より選択される障害を治療するための方法であって、それらを必要とする患者に有効量の請求項1から43、および53のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項55】
動物食品の製造方法であって、請求項1から28、および29のいずれか1項に記載の組成物を動物に、前記動物の選択された組織もしくは前記動物から得られる選択された食品における脂質組成を変更するのに十分な量および時間で投与、もしくは供給する工程、並びに食品の選択された動物組織を採取する工程を含む方法。
【請求項56】
動物食品の製造方法であって、実質的にEPAのみを含む組成物を動物に、前記動物の選択された組織もしくは前記動物から得られる選択された食品における脂質組成を変更するのに十分な量および時間で投与し、もしくは供給する工程、並びに食品の選択された動物組織を採取する工程を含む方法。
【請求項57】
請求項55または56に記載の方法に従って製造されるミルクを含む食品。
【請求項58】
請求項57に従って製造されるミルクを含む食品であって、バター、チーズ、チョコレート、カッテージチーズ、クリーム、ミルク、粉末化ミルク、コンデンスミルク、スキムミルク、アイスクリーム、ヨーグルトおよび幼児用処方物からなる群より選択されるものを含む食品。
【請求項59】
請求項57または58に記載のミルクベースの製品であって、総脂肪酸の少なくとも約0.2重量%のEPA、および約0.1重量%未満のDHA酸、および約25重量%未満のパルミチン酸(C16:0)を含む製品。
【請求項60】
少なくとも約0.3%のEPAを含有する請求項57、58または59のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項61】
少なくとも約0.4%のEPAを含有する請求項57、58または59のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項62】
少なくとも約0.5%のEPAを含有する請求項57、58または59のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項63】
少なくとも約1.0%のEPAを含有する請求項57、58または59のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項64】
総脂肪酸におけるDHAの重量パーセンテージが約0.2%未満である請求項57から62、および63のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項65】
総脂肪酸におけるDHAの重量パーセンテージが約0.3%未満である請求項57から62、および63のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項66】
総脂肪酸におけるDHAの重量パーセンテージが約0.5%未満である請求項57から62、および63のいずれか1項に記載のミルクベースの製品。
【請求項67】
ヒトの血清脂質プロフィールを改善するためにヒトが摂取するための請求項49、50、または51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項68】
心臓血管疾患もしくは状態を治療するためにヒトが摂取するための請求項49、50、または51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
肥満もしくは肥満関連状態を治療するためにヒトが摂取するための請求項1から28、および29、50、51、または52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
神経変性性状態の治療または神経精神医学用にヒトが摂取するための請求項1から28、および29、50、51、または52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
炎症状態の治療のためにヒトが摂取するための請求項1から28、および29、50、51、または52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
手術に関連する治療のためにヒトが摂取するための請求項1から28、および29、50、51、または52のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−517090(P2008−517090A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536293(P2007−536293)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/004078
【国際公開番号】WO2006/085144
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507125424)フォトンズ コーポレイション リミテッド (1)
【出願人】(307039754)
【出願人】(307039765)
【出願人】(307039787)
【Fターム(参考)】