説明

高付価物質変換方法および高付価物質変換装置

【課題】本発明は高付価物質変換方法および高付価物質変換装置に関し、太陽光のように可視光領域、および紫外線領域の波長の光を複合光触媒に照射することにより二酸化炭素と水とを気相雰囲気下にて分解し、水素、メタン、メタノールのような高付価価値の有用物質を効率良く生成を行う。
【解決手段】少なくとも一部に透光部2を設けた容器1内にシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒3を収納し、二酸化炭素CO2と水蒸気との混合ガスを容器内に流通させて複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を複合光触媒に照射させることにより、二酸化炭素と混合ガスの水とを気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質5の生成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高付価物質変換方法および高付価物質変換装置に関し、太陽光のように可視光領域、および紫外線領域の波長の光を複合光触媒に照射することにより二酸化炭素と水とを気相雰囲気下にて分解し、例えば水素、メタン、メタノールのような高付価価値の有用物質を効率良く生成を行うものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出量の抑制と、石化エネルギー資源の埋蔵量の有限性に起因するエネルギーの有効活用との2つの目的を達成する観点から、排出された二酸化炭素を回収し、水を分解させて水素を発生させ、この水素と二酸化酸素とを反応させてメタノールを生成する技術が注目されている。
【0003】
従来、光触媒機能を有する薄膜材料を用いることにより、電気エネルギーを供給することなく、豊富な太陽光によって二酸化炭素からメタノールの合成をはかるメタノール合成装置として、被処理材料を投入し得る受光面にあたる上面および底面を有し、二酸化炭素ガス水溶液を導入するための供給口を一側に、また合成物としてのメタノールが排出される排出口が他側に設けられた処理槽の少なくとも1面に光触媒機能を有する薄膜材料を敷設してなる構成のものがであった。
【0004】
このメタノール合成装置は、波長が約400nm以下の紫外線が光触媒機能を有する薄膜材料に当たると、電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、薄膜材料表面にある二酸化炭素と水に作用して下記[式1]で表示されるような酸化・還元反応が生じてメタノールが合成されると考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
[式1]CO2+6H++6e- →CH3OH+H2
2O+2h+ →1/2O2+2H+
【0006】
特許文献1に記載された上記従来のメタノール合成装置は、光透過性処理槽の1面に光触媒機能を有する薄膜材料を用いているため、前記反応機構により、太陽光のエネルギーを供給するのみで、メタノールが合成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−33697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1のメタノール合成装置は、処理槽の一側に設けられた供給口から二酸化炭素ガス水溶液を処理槽内に導入した後に、二酸化炭素ガス水溶液は処理槽内に配列された邪魔板により形成された液体移動経路を反応を継続しながら移動することにより、合成されたメタノールを排出口から回収するものである。従って、光触媒機能を有する薄膜は、厚さ約1μmの酸化チタン製の薄膜により形成されるので、二酸化炭素ガス水溶液に対する光触媒の比表面積が狭く、接触面積や反応場が十分とは言えず、メタノールの合成効率が満足されるものではなく、収率は低いものであった。
【0009】
また、上記特許文献1のメタノール合成装置は、光触媒機能を有する薄膜材料に対して
二酸化炭素ガス水溶液は液体移送が行われるものであり、かつ処理槽内が液相雰囲気において前記反応機構により、メタノールが合成されるものであるから、メタノールを継続的に合成するのには、処理槽の外から処理槽、および処理槽内、処理槽内から処理槽外へと
処理系を通じて液体の移送を行うのに、ポンプを連続して運転しなければならないのと、処理系全体において液体移送が行われるので、ポンプへの負荷が増大し、電気エネルギーを多大に必要とし、消費電力が大きくなり、不経済であった。
【0010】
さらには、上記特許文献1に記載されたメタノール合成装置は、処理槽内に液体移動経路を確保するのに、邪魔板を設けているので、装置の構造が複雑化し、装置自体は大型にならざるをえない。そのため、製作および組付が容易ではなく、生産コストが高価になり、しかも装置の設置には広い用地が必要になっていた。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決するとともに、シリカ系鉱物および人造繊維の細孔を利用し、光触媒を担持させた複合光触媒により反応の比表面積を増加させるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場を増加するのと、から水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が効率的に行え、また、有用物質の生成反応には二酸化炭素と水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスを容器内に流通させて複合光触媒に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を照射することにより、気相雰囲気にて反応が行われるから、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さくなり、経済的である高付価物質変換方法および高付価物質変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされ請求項1に記載の発明は、少なくとも一部に透光部を設けた容器内にシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納し、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスを前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、前記二酸化炭素と混合ガスの水とを前記容器内における気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質の生成を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または2において、前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4記載の発明は、請求項1−3の何れかにおいて、前記容器が、ガラス、または合成樹脂よりなる透光材料により略U字管状または直管状に構成され、その上方または上下の開口部が管付き栓体により塞がれ、外容器内に収容されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5記載の発明は、請求項1−4の何れかにおいて、前記二酸化炭素が、前記容器内に流入される事前に、温度・気圧調整機構部の調整容器内に収容される前記熱水に通過させて水蒸気化させた湿潤ガスとされるか、または熱水からの水蒸気と混合されて湿潤ガスとされることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6記載の発明は、請求項1−5の何れかにおいて、前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7記載の発明は、少なくとも一部に透光部が設けられ、内部にはシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納している略U字管状
、または直管状に構成されてその開口部が管付き栓体により塞がれている容器と、
前記容器の事前に、調整容器、および該調整容器に対してその導入側および導出側において流入量、または流出量が制御可能に設けられる弁体、前記導入側から調整容器内に下底部より上位に挿入された撒気管、前記調整容器内に前記撒気管の略中間部の水位、または前記撒気管の下端より下位の水位に収容される水、から構成される温度・気圧調整機構部とを備え、
前記調整容器内に収容された熱水内を通過させるか、または前記熱水から生ずる水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスとされる二酸化炭素を前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、
前記二酸化炭素と前記水とを前記容器内の気相雰囲気にて分解し、
高付価価値の有用物質の生成を行う
ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項8記載の発明は、請求項7において、前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項9記載の発明は、請求項7または8の何れかにおいて、前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項10記載の発明は、請求項7−9の何れかにおいて、前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、少なくとも一部に透光部を設けた容器内にシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納し、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスを前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、前記二酸化炭素と水とを前記容器内における気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質の生成を行うので、容器内に収容されてシリカ系鉱物および人造繊維の多数の孔乃至は空隙に、光触媒を担持させた複合光触媒に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光が前記複合光触媒に照射されると、複合光触媒は反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。しかも、有用物質の生成反応には、二酸化炭素を熱水に通過させて湿潤化させた湿潤ガスを容器内に流通させて水蒸気化により気相雰囲気にて反応が行われるから、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さいので、経済的である。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであるので、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光が前記複合光触媒に照射されると、シリカ系鉱物および人造繊維の多数の孔乃至は空隙に、光触媒を担持させた複合光触媒は反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。しかも、有用物質の生成反応には、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスよりなる湿潤ガスを容器内に流通させて気相雰囲気にて反応が行われるから、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さいので、経済的である。
【0024】
また、本発明の請求項3記載の発明によれば、請求項1または2において、前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であるので、これらのシリカ系鉱物としての、天然ゼオライト、または人工ゼオライト、または、前記人造繊維としての人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)が有する多数の孔、乃至は繊維間空隙に光触媒の粒子が担持された複合光触媒は、反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【0025】
また、本発明の請求項4記載の発明によれば、請求項1−3の何れかにおいて、前記容器が、ガラス、または合成樹脂よりなる透光材料により略U字管状または直管状に構成され、その上方または上下の開口部が管付き栓体により塞がれ、外容器内に収容されているので、二酸化炭素を熱水に通過させた湿潤ガスを前記容器内に流通させ、該容器内に収容されている複合光触媒に接触されるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光が前記複合光触媒に照射されると、前記二酸化炭素と水とは前記容器内における気相雰囲気にて電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【0026】
また、本発明の請求項5記載の発明によれば、請求項1−4の何れかにおいて、前記二酸化炭素が、前記容器内に流入される事前に、温度・気圧調整機構部の調整容器内に収容される前記熱水内に通過させて水蒸気化された湿潤ガスとされるか、または熱水からの水蒸気と混合されて湿潤ガスとされるので、水蒸気との混合ガスとされた二酸化炭素が、容器内に流通されると、二酸化炭素と水とは前記容器内における気相雰囲気にて電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【0027】
また、本発明の請求項6記載の発明によれば、請求項1−5の何れかにおいて、前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたので、光触媒の粒子は、天然ゼオライト、または人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維の多数の孔乃至は空隙内に担持されることにより反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性化されて励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。そして、これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【0028】
また、本発明の請求項7記載の発明によれば、少なくとも一部に透光部が設けられ、内部にはシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納している略U字管状または直管状に構成されてその開口部が管付き栓体により塞がれている容器と、前記容器の事前に、調整容器、および該調整容器に対してその導入側および導出側において流入量、または流出量が制御可能に設けられる弁体、前記導入側から調整容器内に下底部より上位に挿入された撒気管、前記調整容器内に前記撒気管の略中間部の水位または前記撒気管の下端より下位の水位に収容されて加熱される熱水、から構成される温度・気圧調整機構部とを備え、前記調整容器内に収容された熱水内に通過させるか、または前記熱水から生ずる水蒸気としての混合ガスとしての湿潤ガスとされる二酸化炭素を前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、前記二酸化炭素と水とを前記容器内の気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質の生成を行うので、容器内に収容されてシリカ系鉱物および人造繊維の多数の孔乃至は空隙に、光触媒を担持させた複合光触媒に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光が照射されると、複合光触媒は反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が効率的に行える。しかも、有用物質の生成反応には、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスを容器内に流通させて気相雰囲気にて反応が行われるから、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さいので、経済的である。
【0029】
また、本発明の請求項8記載の発明によれば、請求項7の何れかにおいて、前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであるので、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光が前記複合光触媒に照射されると、シリカ系鉱物および人造繊維の多数の孔乃至は空隙に、光触媒を担持させた複合光触媒は反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。しかも、有用物質の生成反応には、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスよりなる湿潤ガスを容器内に流通させて気相雰囲気にて反応が行われるから、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さいので、経済的である。
【0030】
また、本発明の請求項9記載の発明によれば、請求項7または8の何れかにおいて、前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であるので、これらのシリカ系鉱物としての、天然ゼオライト、または人工ゼオライト、または、前記人造繊維としての人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)が有する多数の孔、乃至は繊維間空隙に光触媒の粒子が担持された複合光触媒は、反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【0031】
また、本発明の請求項10記載の発明によれば、請求項7−9の何れかにおいて、前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたので、光触媒の粒子は天然ゼオライト、または人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維の多数の孔乃至は空隙内に担持された複合光触媒は反応の比表面積が増加されるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に励起され、電子が抜けた後にはホール(h+)が形成される。そして、これらの励起電子とホールによる強い還元力と酸化力が、複合光触媒の表面にある二酸化炭素と水に作用して酸化・還元反応が生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が同時に効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の高付価物質変換装置の実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に従って本発明を実施するための最良の形態につき、詳細に説明する。
【0034】
<実施形態>
本発明の高付価物質変換方法の実施形態を使用される高付価物質変換装置とともに説明すると、少なくとも一部に透光部2を設けた容器1内にシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒3を収納し、二酸化炭素CO2と水蒸気との混合ガスを前記容器1内に流通させて前記複合光触媒3に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を前記複合光触媒3に照射させることにより、前記二酸化炭素CO2と混合ガスの水H2Oとを前記容器1内における気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質5の生成を同時に行う。
【0035】
前記容器1が、ガラス、または合成樹脂よりなる透光材料により図1では略U字管状に構成されるので、図示する本実施形態の前記容器1は全体的に透光性が発揮されるが、容器1は図には示さないが直線状であってもS字状であっても良く、その形状、管径の大きさ、長さは自由である。そして、その上方開口部が管付き栓体1a,1bにより塞がれている。しかも、前記容器1は例えば、ステンレス、鋼鉄よりなる外容器1A内に収容されることにより、外容器1Aに設けられた窓孔を通じて前記光4を内部に透光するようになっている。
【0036】
可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を発する光源としては、太陽光に限らず、例えばキセノンランプ、水銀ランプが挙げられる。
【0037】
図1において7は導入される二酸化炭素CO2の温度と気圧とを調整するための温度・気圧調整機構部であり、この温度・気圧調整機構部7は、調整容器6と、該調整容器6に対してその導入側および導出側において流入量、または流出量が制御可能に設けられる弁体V1と、前記導入側から調整容器6内に下底部6aより上位に挿入された撒気管6Aと、前記調整容器6内に前記撒気管6Aの略中間部の水位または図には示さないが、前記撒気管6Aの下端より下位の水位に収容される水H2OをヒータHにより常圧にて100℃以上に加熱して水蒸気化する熱水と、から構成され、図1に示すように前記撒気管6Aにより二酸化炭素CO2を前記熱水内を通して水蒸気化するか、または図1には示さないが、前記熱水には撒気管6Aを通さずに熱水から生ずる水蒸気に二酸化炭素CO2を混合する混合ガスよりなる湿潤ガスGとする。
【0038】
前記複合光触媒3が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のもの、および光触媒機能を有効に発揮するために、エネルギーバンドのエネルギー順位を下げて活性化を促したり、または可視光化を促進するための添加物を加えることにより、例えば入手し易い材料、四塩化チタン、または三塩化チタンを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、100℃以上、好ましくは400〜500℃で焼成することにより、例えば酸化チタン、酸化タングステンの半導体が調整される。
【0039】
前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、これらの天然ゼオライト、または人工ゼオライトには多数の孔が設けられ、高い吸着能と吸湿能とが発揮される。また、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であり、これらの人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維には多数の空隙が設けられ、高い吸着能と吸湿能とが発揮される。
【0040】
前記高付価価値の有用物質5が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかである。
【0041】
図1においてHeは不活性ガスとしてのヘリウムであり、このヘリウムHeは前記二酸化炭素CO2を水蒸気との混合ガスとなした湿潤ガスGとするために、前記容器1内に流入される事前に、温度・気圧調整機構部7の調整容器6内に収容された熱水を加熱した水蒸気と混合させるのに先立って調整容器6、および容器1内に導入される先導ガスであり、この先導ガスは容器1および調整容器6内を満たされることにより不純物は系外に除去される。
【0042】
V2は略U字管状の容器1の導入側および導出側に設けられた流量調整弁であり、この流量調整弁V2は容器1内に導入される湿潤ガスGの流入量と、容器1から導出される有用物質5の流出量とを加減するためのものである。
【0043】
本発明の高付価物質変換方法の実施形態は以上のような構成からなり、天然ゼオライト、または人工ゼオライトのような多数の孔が設けられたシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)のような多数の空隙が設けられた人造繊維に、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のもの、および光触媒機能を有効に発揮するために、エネルギーバンドのエネルギー順位を下げて活性化を促したり、または可視光化を促進するための添加物を加えることにより、例えば酸化チタン、酸化タングステンのような半導体に調整された光触媒を担持した複合光触媒3を収納し、少なくとも一部に透光部2を設けた容器1内に、二酸化炭素CO2と水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスGを加圧力が加えられることにより流通させて前記複合光触媒3に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を前記複合光触媒3に照射させると、容器1内に収納された複合光触媒3が光励起反応され、前記二酸化炭素CO2と水H2Oとは前記容器1内における気相雰囲気にて分解され、高付価価値の有用物質5が同時に生成される。
【0044】
この際、二酸化炭素CO2と水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスGを得るには、図1に示されるように、前記二酸化炭素CO2が、前記容器1内に流入される事前に、温度・気圧調整機構部7の調整容器6内に収容された水H2OをヒータHにて100℃以上に加熱した熱水内を撒気管6Aを介して通過されるか、または図1には示さないが、撒気管6Aの下端よりも下位の水位にて収容される水H2OをヒータHにより常圧にて100℃以上にて加熱し、発生される水蒸気と二酸化炭素CO2とを混合することにより二酸化炭素CO2と水H2Oとの混合気体としての湿潤ガスGを得る。そして、二酸化炭素CO2と水H2Oとは、温度・気圧調整機構部7により、前述のように水H2Oを熱水から水蒸気化するために100℃以上の温度と、複合光触媒3を収納している容器1内の圧力を複合光触媒3に二酸化炭素水CO2と水H2Oとを送り込めるような数気圧の圧力に調整される。また、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を、複合光触媒3に照射する時には、光4が逃げないように、ミラー、プリズム等の光学部品を用いて複合光触媒3に投光させることもできる。
【0045】
そして、容器1内に収容されて天然ゼオライト、または人工ゼオライトのような多数の孔が設けられたシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)のような多数の空隙が設けられた人造繊維の多数の孔乃至は空隙に、光触媒を担持させた複合光触媒3に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4が照射されると、本実施形態の複合光触媒3は、例えば特許文献1に記載されたメタノール合成装置のように、厚さ約1μmの酸化チタン製の薄膜では、二酸化炭素水溶液に対する光触媒の比表面積が狭く、接触面積や反応場が十分とは言えず、メタノールの変換効率が満足されるものではなく、収率は低いものであったのとは異なり、二酸化炭素CO2、および水H2Oとの反応の比表面積が増加されるとともに、光触媒の反応場が増加されるのと、から電子(e-)が安定な基底状態から活性な励起状態に効率的に励起され、電子(e-)が抜けた後にはホール(h+)が形成される。これらの励起電子とホール(h+)による強い還元力と酸化力が、複合光触媒3の表面にある二酸化炭素CO2と湿潤ガスGに含まれる水H2Oに作用して酸化・還元反応が迅速かつ円滑に生じて水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質5の生成が連続して効率的に同時に行え、メタノールの変換効率は、特許文献1に記載されたような従来の方法に比べて大幅に向上する。
【0046】
容器1中に収納された複合光触媒3に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を照射させて光触媒反応を励起させることにより、メタノールを生成する時には、容器1内の気圧は数気圧程度であり、温度は常温程度でも光触媒反応はするが、有用物質5の取扱いの簡易性と、管理の便宜性の観点からメタノールの沸点64.7℃以上であって100℃以下であることが望ましい。
【0047】
しかも、前記有用物質5の生成反応には、温度・気圧調整機構部7の調整容器6内に収容した水H2OをヒータHにて100℃以上に加熱した熱水内に図1に示すように二酸化炭素CO2を撒気管6Aを通じて撒気させて通過するか、または図1には示さないが、撒気管6Aの下端よりも下位の水位に収容される水H2Oを常圧にて100℃以上にて加熱することによって水蒸気化した二酸化炭素CO2と水H2Oとの混合ガスとしての湿潤ガスGを容器1内に流通させ、複合光触媒3に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4が照射されることにより、気相雰囲気にて反応が行われるから、圧力ボンベの圧力を二酸化炭素CO2に加えることにより系内に流したり、または工場から生ずる廃ガス程度の数気圧の圧力を二酸化炭素CO2に加えることにより系内を移送することがでるため、系の運転には、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、しかも、負荷に対する電気エネルギーが小さく、消費電力も小さいので、経済的である。
【0048】
また、温度・気圧調整機構部7は、調整容器6と、および該調整容器6に対してその導入側および導出側において流入量、または流出量が制御可能に設けられる弁体V1、前記導入側から調整容器6内に下底部6aより上位に挿入された撒気管6Aと、前記調整容器6内に前記撒気管6Aの略中間部の水位に収容されるか、または図には示さないが、撒気管6Aの下端よりも下位の水位に収容されて100℃以上に加熱される熱水と、から構成され、しかも、反応に供せられる容器1は、ガラス、または合成樹脂よりなる透光材料により略U字管状または直管状に構成され、その上方の開口部が管付き栓体1a,1bにより塞がれることにより気密性が確保され、容器1の内部には天然ゼオライト、または人工ゼオライトのような多数の孔が設けられたシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)のような多数の空隙が設けられた人造繊維における多数の孔乃至は空隙に担持された複合光触媒3が収容され、そして、容器1は外容器1A内に収容された構成であるので、装置自体は構造簡単にして小型化されるため、製作および組付けは容易であり、設置面積も省面積で済み、経済的である。
【0049】
(実施例1)
先ず、先導ガスとしてのヘリウムHeを温度・気圧調整機構部7、および容器1内に送り込むことにより、図1に示すような高付価物質変換装置の系内から不純物を除去した。次いで、二酸化炭素CO2を温度・気圧調整機構部7内に送り込むことにより、調整容器6に収容される水H2OをヒータHで100℃以上で加熱した熱水内に撒気管6Aから二酸化炭素CO2を気泡となして撒気し、通過させることにより水蒸気化した二酸化炭素CO2と、水H2Oとの混合ガスとしての湿潤ガスGとされ、容器1内に送られて行く。そして、湿潤ガスGとされた二酸化炭素CO2が容器1内に数気圧の圧力にて連続して流入され、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を天然ゼオライトに酸化チタンを主触媒として担持させて容器1内に収容された複合光触媒3に照射することにより、ガスクロマトグラフィーで検査した結果、二酸化炭素CO2と水H2Oとは複合光触媒3の光触媒反応によりメタノールに変換され、水素、またはメタン、蟻酸等の有用物質5を同時に生成した。
【0050】
(実施例2)
先導ガスとしてのヘリウムHeを温度・気圧調整機構部7、および容器1内に送り込むことにより、高付価物質変換装置の系内から不純物を除去した。次いで、二酸化炭素CO2を温度・気圧調整機構部7内に数気圧にて送り込むことにより、調整容器6に収容される水H2OをヒータHで100℃以上で加熱した熱水内に撒気管6Aから二酸化炭素CO2を気泡となして撒気し、通過させることにより水蒸気化した湿潤ガスGとされ、容器1内に送られて行く。そして、湿潤ガスGとされる二酸化炭素CO2が容器1内に連続して流入され、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を人工ゼオライトに酸化タングステンを主触媒として担持させて容器1内に収容された複合光触媒3に照射させると、これをガスクロマトグラフィーで検査した結果、二酸化炭素CO2と水H2Oとは複合光触媒3の光触媒反応によりメタノールに変換され、水素、またはメタン、蟻酸等の有用物質5を同時に生成した。
【0051】
(実施例3)
先導ガスとしてのヘリウムHeを温度・気圧調整機構部7、および容器1内に送り込むことにより、高付価物質変換装置の系内から不純物を除去した。次いで、二酸化炭素CO2を温度・気圧調整機構部7内に送り込むことにより、調整容器6に収容される水H2OをヒータHで100℃以上で加熱した熱水内に撒気管6Aから二酸化炭素CO2を気泡となして撒気し、通過させることにより水蒸気化した湿潤ガスGとされ、容器1内に送られて行く。そして、湿潤ガスGとされる二酸化炭素CO2が容器1内に連続して流入され、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を人造ガラス繊維に酸化チタンを主触媒として担持させて容器1内に収容された複合光触媒3に照射させると、ガスクロマトグラフィーで検査した結果、二酸化炭素CO2と水H2Oとは複合光触媒3の光触媒反応によりメタノールに変換され、水素、またはメタン、蟻酸等の有用物質5を同時に生成した。
【0052】
(実施例4)
先導ガスとしてのヘリウムHeを温度・気圧調整機構部7、および容器1内に送り込むことにより、高付価物質変換装置の系内から不純物を除去した。次いで、二酸化炭素CO2を温度・気圧調整機構部7内に送り込むことにより、調整容器6に収容される水H2OをヒータHで100℃で加熱した熱水内に撒気管6Aから二酸化炭素CO2を気泡となして撒気し、通過させることにより水蒸気化して湿潤ガスGとされ、容器1内に送られて行く。そして、湿潤ガスGとされる二酸化炭素CO2が容器1内に連続して流入され、太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光4を人造鉱物繊維(MMMF)に酸化チタンを主触媒として担持させて容器1内に収容された複合光触媒3に照射させると、ガスクロマトグラフィーで検査した結果、二酸化炭素CO2と水H2Oとは複合光触媒3の光触媒反応によりメタノールに変換され、水素、またはメタン、蟻酸等の有用物質5を同時に生成した。
【0053】
なお、上記実施形態では、容器1内に収容された複合光触媒3による光触媒反応によりメタノール等の有用物質5に変換される事前に、図1に示すように温度・気圧調整機構部7の調整容器6の下底部6aより上位に挿入された撒気管6Aの略中程の水位に収容された水H2OをヒータHにより加熱した熱水を通して二酸化炭素CO2と水蒸気とを混合することにより湿潤ガスとするか、または図1には示さないが、前記熱水に撒気管6Aを通さずに上位に配して熱水から生ずる水蒸気に二酸化炭素CO2を混合して混合ガスよりなる湿潤ガスGとなし、この湿潤ガスGを容器1内に流入し、複合光触媒3により光触媒反応を行うようにしているが、本発明はこれに限ることなく、温度・気圧調整機構部7を経ずに直接的に水蒸気と二酸化炭素CO2とを容器1内に流入することにより混合ガスとし、複合光触媒3との光触媒反応を起こさせ、メタノールに変換し、水素、またはメタン、蟻酸等の有用物質5を同時に生成させることも本発明の適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明はシリカ系鉱物および人造繊維の細孔を利用し、光触媒を担持させた複合光触媒により反応の比表面積を増加させるとともに、二酸化炭素、および水との光触媒の反応場を増加するのと、から水素、メタン、メタノール、蟻酸のような高付価価値の有用物質の生成が効率的に行え、また、有用物質の生成反応には二酸化炭素と水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスを容器内に流通させて複合光触媒に太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を照射することにより、気相雰囲気にて反応が行われ、しかも、必ずしもポンプ等の駆動源を必要とすることなく、負荷や電気エネルギーが小さく、消費電力も小さくなり、経済的であるという用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0055】
1 容器
1A 外容器
2 透光部
3 複合光触媒
4 光
5 有用物質
6 調整容器
7 温度・気圧調整機構部
CO2 二酸化炭素
2O 水
G 湿潤ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に透光部を設けた容器内にシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納し、二酸化炭素と水蒸気との混合ガスを前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、前記二酸化炭素と前記湿潤ガスの水とを前記容器内における気相雰囲気にて分解し、高付価価値の有用物質の生成を行うことを特徴とする高付価物質変換方法。
【請求項2】
前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の高付価物質変換方法。
【請求項3】
前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であることを特徴とする請求項1または2に記載の高付価物質変換方法。
【請求項4】
前記容器が、ガラス、または合成樹脂よりなる透光材料により略U字管状または直管状
に構成され、その上方または上下の開口部が管付き栓体により塞がれ、外容器内に収容されていることを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の高付価物質変換方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素が、前記容器内に流入される事前に、温度・気圧調整機構部の調整容器内に収容される前記熱水に通過されて水蒸気化させた湿潤ガスとされるか、または熱水からの水蒸気と混合されて湿潤ガスとされることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の高付価物質変換方法。
【請求項6】
前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたことを特徴とする請求項1−5の何れかに記載の高付価物質変換方法。
【請求項7】
少なくとも一部に透光部が設けられ、内部にはシリカ系鉱物、または人造繊維に光触媒を担持した複合光触媒を収納している略U字管状または直管状に構成されてその開口部が管付き栓体により塞がれている容器と、
前記容器の事前に、調整容器、および該調整容器に対してその導入側および導出側において流入量、または流出量が制御可能に設けられる弁体、前記導入側から調整容器内に下底部より上位に挿入された撒気管、前記調整容器内に前記撒気管の略中間部の水位または前記撒気管の下端より下位の水位に収容されて加熱される熱水、から構成される温度・気圧調整機構部とを備え、
前記調整容器内に収容された熱水内に通過させるか、または前記熱水から生ずる水蒸気との混合ガスとしての湿潤ガスとされる二酸化炭素を前記容器内に流通させて前記複合光触媒に接触させるとともに太陽光のような可視光領域、および紫外線領域の波長の光を前記複合光触媒に照射させることにより、
前記二酸化炭素と前記水とを前記容器内の気相雰囲気にて分解し、
高付価価値の有用物質の生成を行う
ことを特徴とする高付価物質変換装置。
【請求項8】
前記高付価価値の有用物質が、水素、またはメタン、メタノール、蟻酸の何れかであることを特徴とする請求項7に記載の高付価物質変換装置。
【請求項9】
前記シリカ系鉱物が、天然ゼオライト、または人工ゼオライトであり、前記人造繊維が、人造ガラス繊維、または人造鉱物繊維(MMMF)であることを特徴とする請求項7または8に記載の高付価物質変換装置。
【請求項10】
前記複合光触媒が、金属酸化物、金属塩化物、金属硫化物、金属リン化物、金属砒化物、金属セレン化物、または金属テルル化物、窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは2種以上のものを有機溶媒、または硫酸、塩酸に溶解した酸性またはアルカリ性の水溶液に分散させた粒子を前記天然ゼオライト、または前記人工ゼオライトよりなるシリカ系鉱物、または人造ガラス繊維、もしくは人造鉱物繊維(MMMF)よりなる人造繊維に付着させ、焼成することにより調整されたことを特徴とする請求項7−9の何れかに記載の高付価物質変換装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−245511(P2012−245511A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121964(P2011−121964)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(511132203)
【出願人】(511132214)
【出願人】(511132225)
【出願人】(511132236)
【Fターム(参考)】