説明

高分子アクチュエータ素子の駆動方法、ならびにアクチュエータおよびその製造方法

【課題】伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子の駆動方法を提供する。また、伸縮率と応答速度に優れたアクチュエータおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】駆動電解液中で電圧を印加することにより駆動する導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法であって、前記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子の駆動方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子アクチュエータ素子の駆動方法、ならびにアクチュエータおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリピロール等に代表される導電性高分子は、導電性を有するだけではなくイオンをドーパントとして取り込むことができ、電圧を印加することによりドーピングと脱ドーピングとを繰り返し行うことができる。そのため、導電性高分子は電気化学的な酸化還元により伸縮もしくは変形する現象である電解伸縮を発現することが可能である。この導電性高分子の電解伸縮は、高分子アクチュエータ素子の駆動として使用することが可能である。
【0003】
導電性高分子を用いたアクチュエータは、軽量であることから組み込まれる装置全体の重量を軽減することが可能であり、マイクロマシン等の小型の駆動装置のみならず、大型の駆動装置として用いられることが期待されている。なかでも特に、人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ等の用途として応用が期待されている。たとえばポリピロールを用いたリニアアクチュエータは、電解伸縮によって、1酸化還元サイクル当たり最大で15.1%の伸縮率を示し、最大で22MPaの力を発生することができる(たとえば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子は、ドーパントとして一般的なアニオンであるトリフルオロメタンスルホン酸イオンを用いた場合には伸縮等の駆動速度が遅く、たとえば厚さ20μm程度の導電性高分子膜では膜面と平行な方向に特定時間当りに小さな伸縮率でしか伸縮することができなかった。このため、これまでの導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子は、駆動速度が遅くても差しつかえない用途に好適に用いることができるものであった。一方、上述の導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子の駆動に際しては、一定時間内に所定の長さの駆動を実現するために高分子アクチュエータ素子自体のサイズを大きくするなどの工夫が必要であった。
【0005】
【非特許文献1】原進、外4名、「高伸縮かつ強力なポリピロールリニアアクチュエータ(Highly Stretchable and Powerful Polypyrrole Linear Actuators)」、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters)、日本、日本化学会発行、2003年、第32巻、第7号、p576-577。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子の駆動方法を提供することである。また、本発明の目的は、伸縮率と応答速度に優れたアクチュエータおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、高分子アクチュエータ素子の駆動方法について鋭意検討した結果、下記の手法を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本願第一発明である高分子アクチュエータ素子の駆動方法は、
駆動電解液中で電圧を印加することにより駆動する導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法であって、
前記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とする。
【0009】
また、本願第二発明である高分子アクチュエータ素子の駆動方法は、
駆動電解液中で電圧を印加することにより駆動する導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法であって、
前記導電性高分子が酸に接触処理したものであり、かつ、前記駆動電解液が、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液であることを特徴とする。
【0010】
本発明によると、実施例の結果に示すように、上記駆動電解液が酸を含む混合溶液、または上記導電性高分子が酸に接触処理したものとすることにより、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子の駆動が可能となる。かかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、上記駆動電解液中でのドーピング反応や脱ドーピング反応を迅速に進行させることにより、本発明における優れた効果を奏すると推測される。また、本発明では、従来と同一の駆動性能を発揮させる場合においても、従来よりも駆動電圧をより低く設定して駆動させることができる。
【0011】
なお、従来の駆動電解液においては、駆動時に電気化学的に活性な物質を駆動電解液中に加えることは行われていなかった。これは、このような電気化学的に活性な物質を系中に存在させてしまうと、通常その電気化学的に活性な物質自身が電圧の印加により酸化還元反応の反応体となってしまい、その結果アクチュエータとしての機能に用いられる電圧および駆動性能などが著しく低下してしまうなどのためである。しかしながら、本発明のアクチュエータでは上述のような酸を含む駆動電解液を用いることにより、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子の駆動が可能となることを見出したものである。
【0012】
また、本発明においては、上記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物であることが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、上記駆動電解液のpHが0〜4であることが好ましい。上記pHを上記範囲とすることにより、上記駆動電解液中でのドーピング反応や脱ドーピング反応をより確実に迅速に進行させ、その結果上述の優れた効果を奏すると推測される。
【0014】
さらに、上記導電性高分子が分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含むことが好ましい。
【0015】
また、上記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子であること、
(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)N (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕
または、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子であること、
(C(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)C (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕
が好ましい。
【0016】
一方、本願第三発明であるアクチュエータは、導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
上記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とする。
【0017】
また、本願第四発明であるアクチュエータは、導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
前記導電性高分子が酸に接触処理したものであり、かつ、前記駆動電解液が、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液であることを特徴とする。
【0018】
他方、本願第五発明であるアクチュエータの製造方法は、
導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が有機溶媒または有機溶媒と水の混合溶液であるアクチュエータの製造方法であって、
前記駆動電解液に酸を加える工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本願第六発明であるアクチュエータの製造方法は、
導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が有機溶媒または有機溶媒と水の混合溶液であるアクチュエータの製造方法であって、
前記導電性高分子を酸に接触処理する工程を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明のアクチュエータの製造方法は上述のような工程を有するため、伸縮率と応答速度に優れたアクチュエータを簡便に製造することができる。
【0021】
上記アクチュエータは、上述の高分子アクチュエータ素子の駆動方法を用いるものであり、変位もしくは屈曲の変位を生じるアクチュエータとして、多種多様の実用的用途に容易に用いることができる。特に、上記アクチュエータは伸縮率と応答速度に優れた駆動を必要とする用途に好適である。また、従来と同一の駆動性能を発揮させる場合においても従来よりも駆動電圧をより低く設定できるため副反応を抑制しやすくなり、その結果耐久性の向上が期待される。さらには、上記アクチュエータは複雑な機械部品を必要としないため、用いられる装置の小型化および軽量化を容易にすることができる。さらには、上記アクチュエータを、屈曲運動を直線的な運動に変換する装置と組合せることにより、直線的が変位を生じるアクチュエータとすることもできる。直線的な変位もしくは屈曲の変位を生じるアクチュエータは、直線的な駆動力を発生する駆動部、または円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部として用いることができる。さらに、上記アクチュエータは、直線的な動作をする押圧部として用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明のアクチュエータは、導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
前記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のアクチュエータは、導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
前記導電性高分子が酸に接触処理したものであり、かつ、前記駆動電解液が、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液であることを特徴とする。
【0025】
(駆動電解液)
本発明に用いられる駆動電解液は、上記高分子アクチュエータ素子が電圧印可により駆動するための電解質を含み、上記電解質を溶解するための溶媒として用いられる。本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液を用いることができる。また、上記導電性高分子が酸に接触処理したものを用いる場合では、上記電解質を溶解する溶媒として、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液を用いることができる。駆動電解液としてこれらの混合溶液を含むことにより、上記高分子アクチュエータ素子は、一定の電圧を与えた状態における時間に対する伸縮量(駆動速度)を測定した場合に、上記駆動電解液中で大きな駆動速度を示すことができる。
【0026】
また、本発明においては、上記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物であることが好ましい。
【0027】
上記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、電気化学の反応場として用いることができる溶媒であることが好ましい。上記極性有機化合物としては、たとえば、γ−ブチロラクトン、α―メチル−γ−ブチロラクトン(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、およびアセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)をあげることができる。上記極性有機化合物は速い伸縮速度と大きな最大伸縮率を得ることができるために好ましく、なかでもプロピレンカーボネートが特に好ましい。
【0028】
また、上記混合溶媒に水を含む場合、水と有機溶媒との混合比は、特に限定されるものではない。上記駆動電解液の溶媒として水を含む混合溶媒を用いた場合には、有機溶媒のみを用いた場合に比べて通常2倍以上の駆動速度の向上をすることができる。また、上記有機溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
上記駆動電解液は、導電性高分子や有機溶媒の種類により、上記混合比を特定することが難しい。有機溶媒の導電性高分子を膨潤させる能力等により、駆動速度を向上させるための有機溶媒の最小値は、上記有機溶媒の種類に依存することになる。たとえば、プロピレンカーボネートについては、特級試薬では水の含有量が0.005%であることから、水と有機溶媒との混合比を0.1:99.9とすることもできる。上記混合溶媒における水と有機溶媒との好適な混合比の範囲は、容量比で、水含有比下限が0.5、1.0、5.0、10または20から選ばれる値から、水含有比下限上限が99.5、99.0、95.0、90.0、または80.0から選ばれる範囲を、有機溶媒の種に応じて、選ぶことができる。なお、上記混合比は、ガスクロマトグラフィー法を用いた測定方法、特に水分含有率が少ない場合にはカールフィッシャー法を用いた測定方法を用いることにより、駆動電解液を分析することにより求めることができる。
【0030】
たとえば、上記有機溶媒がプロピレンカーボネートである場合には、水とプロピレンカーボネートとの混合比が容量比で25:75〜75:25であることが、導電性高分子への電圧印可による駆動速度がより速くなるため好ましい。上記混合溶媒は、上記有機溶媒が複数種用いられていてもよく、この場合には、上記混合比は、水の重量と全有機溶媒の合計重量との比で計算される。
【0031】
上記水は、特に限定されるものではないが、蒸留水もしくはイオン交換水であることが、金属イオンや塩化物イオン等による電解伸縮への阻害因子が含まれ難いために好ましい。
【0032】
また、上記駆動電解液には酸を含む混合溶液が用いられる。本発明に用いられる酸としては、特に限定されるものではないが、一価の強酸であることが好ましい。
【0033】
上記酸としては、たとえば、(CFSONH、(CSONH、(CFSO)(CSO)NHなどのパーフルオロアルキルスルホニルイミド、(CFSOCH、(CSOCH、(CFSO)(CSOCHなどのパーフルオロアルキルスルホニルメチド、硝酸などの無機酸などが好ましいものとしてあげられる。
【0034】
上記酸は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、上記駆動電解液のpHが0〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。上記pHが4以上であると十分な添加効果が得られにくく、一方、上記pHが0以下では溶媒が分解してしまうおそれがある。なお、上記導電性高分子が酸に接触処理したものを用いる場合では、特に酸を駆動電解液に含まなくてもよい。
【0035】
さらに、上記駆動電解液には、アニオンが含まれる。上記アニオンは、ドーパントイオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF、PFやパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。これらのアニオンを用いた場合であっても、上記混合溶媒を用いることにより、導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動速度を向上することができる。
【0036】
特に、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含むことがより好ましい。
(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)N (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕
【0037】
さらに、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含むことがより好ましい。
(C(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)C (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕
【0038】
これらのドーパントイオンを含むことにより、上記導電性高分子のバルク中に上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが取り込まれ、または放出されて、導電性高分子が大きな伸縮運動をすることができるので、上記高分子アクチュエータ素子は、従来の導電性高分子の電解伸縮方法に比べて、速い駆動速度を示すことができる。
【0039】
なお、本発明の高分子アクチュエータ素子においては、特定の形状を有し、かつ導電性高分子を含んでなる導電性高分子有形物に含まれるアニオンと同じアニオンが、上記作動電解液中に含まれることが好ましい。上記高分子アクチュエータ素子に用いられた導電性高分子のバルク中に含まれ、ドーパントとして機能し得るアニオンと同じアニオンが上記作動電解液中に含まれることにより、導電性高分子バルク中への出入りが容易となりやすく、所望の伸縮量の電解伸縮を容易に得ることができる。また、上記駆動電解液中に含まれるアニオンがパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンである場合には、上記駆動電解液中で電解伸縮をさせる導電性高分子有形物の製造用電解液中に含まれるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンとイオン半径が同程度であることが、電解伸縮を容易に行うことができるので好ましい。
【0040】
(高分子アクチュエータ素子)
本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記の導電性高分子を含むものであって、電圧を印加することにより駆動電解液中で、電解伸縮により駆動することができる導電性高分子を含むものであれば、特に限定されるものではない。
【0041】
上記導電性高分子は、バルクとしての形状が特に限定されるものではなく、膜状体、筒状体、円柱状体、角柱状や六角柱状等の多角柱状体、円錐状体、板状体、直方体状体などの、特定の形状であればよい。上記導電性高分子が、特定の形状の有形物として高分子アクチュエータ素子の一部もしくは全体を構成することにより、導電性高分子への電圧印可による電解伸縮により上記導電性高分子が容易に駆動することができる。
【0042】
上記高分子アクチュエータ素子の形状としては、上記の形状以外にも使用状況に適した形状に適宜形成することができる。また、本願発明の高分子アクチュエータ素子の形状に保護部材等の部品を付加して所望の形状とすることができる。なお、上記高分子アクチュエータ素子は、電解重合により作用電極上に得られた導電性高分子膜をそのまま用いてもよく、積層等の成形を施して、所望の形状にしてもよい。さらに、対極についても、柱状に限定されるものではなく、板状等の形状にすることができる。
【0043】
上記導電性高分子は、ドーパントとしてのアニオンを、該導電性高分子へのドーピングおよび脱ドーピングすることができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ドーパントは、必要とされる電解伸縮量や用途等に応じて、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF、PF、過塩素酸イオンやパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。
【0044】
特に、上記導電性高分子として、上記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)N (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕
または、上記導電性高分子として、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること
(C(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)C (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕
が、より速い駆動速度を得ることができるために好ましい。
【0045】
上述のようにパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンをバルク中に含む導電性高分子は、1酸化還元サイクル当たりの大きな伸縮率をも発揮することもできる。これらの上記アニオンは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の従来のドーパントに比べてより大きな分子サイズを有する。したがって、所定形状を有する導電性高分子の有形物では、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが内部に存在することになるが、印加する電圧の正負の切り替えを繰り返すことにより、これらのより大きな分子サイズのアニオンが導電性高分子の有形物から出入りし、その結果、1酸化還元サイクル当たりの大きな電解伸縮をすることができると推測している。
【0046】
上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンは、アニオン中心である窒素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有している。このパーフルオロアルキルスルホニル基は、一つはC(2n+1)SOで表され、他のパーフルオロアルキルスルホニル基は、C(2m+1)SOで表される。
【0047】
上記のmおよびnは、それぞれ1以上の任意の整数であり、mとnとが同じ整数であってもよく、nとmとが異なる整数であってもよい。たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩としては、たとえば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩、ビス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)イミド塩などを用いることができる。
【0048】
また、上記パーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、アニオン中心である炭素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有している。このパーフルオロアルキルスルホニル基は、一つはC2n+1SOで表され、他のパーフルオロアルキルスルホニル基はC2m+1SO、さらにC21+1SOで表される。
【0049】
上記のl、mおよびnは、それぞれ1以上の任意の整数であり、l、m、およびnが同じ整数であってもよく、l、m、およびnが異なる整数であってもよい。たとえば、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロプロピルスルホニル基、ノナフルオロブチルスルホニル基、ウンデカフルオロペンチルスルホニル基、トリデカフルオロヘキシルスルホニル基、ペンタデカフルオロヘプチルスルホニル基、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルメチド塩としては、たとえば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド塩、トリス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)メチド塩を用いることができる。中でも、本発明の態様として、上記メチドイオンが上記式1においてl=1、m=1、n=1、または上記式3においてn=1であるトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオンなどを用いることが好ましい。
【0050】
なお、上記導電性高分子は、ドーパントとしてのアニオンとして、該導電性高分子へのドーピングおよび脱ドーピングすることができる他のアニオンを含めることもできる。たとえば、必要とされる電解伸縮量や用途等に応じて、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF、PF、過塩素酸イオン、またはパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンなどを用いることができる。
【0051】
また、上記化学式(1)のパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンおよび上記化学式(2)のパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、カチオンと塩を形成することができ、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオン塩として電解重合法における電解液中に加えられていてもよい。
【0052】
これらパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと塩を形成するカチオンは、Liなどの1つの元素から構成されていてもよく、複数の元素より構成されていてもよい。また、上記カチオンは、1価の陽イオンとしてパーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチド塩を形成することができ、電解液中で解離することができるルイス酸であれば、特に限定されるものではない。
【0053】
また、上記導電性高分子は電解重合法などによって容易に得ることができる。また、上記導電性高分子は、電解重合法により得られた導電性高分子であって、上記電解重合に用いる電解液(導電性高分子製造用電解液)が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む有機化合物および/またはハロゲン化炭化水素を溶媒として含むことが好ましい。上記の電解液中に上記溶媒を含み、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンなどを含むことにより、得られた導電性高分子は、1酸化還元サイクル当たりにおいてより大きな電解伸縮を示すものとなる。
【0054】
上記有機化合物としては、たとえば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸-t-ブチル、1,2−ジアセトキシエタン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、およびアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)をあげることができる。なお、ヒドロキシル基を含む有機化合物は、特に限定されるものではないが、多価アルコールおよび炭素数4以上の1価アルコールであることが、伸縮率が良いためにより好ましい。なお、上記有機化合物は、上記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち、2つ以上の結合または官能基を任意の組合わせで含む有機化合物であってもよい。
【0055】
また、上記導電性高分子製造用電解液に溶媒として含まれるハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の水素が少なくとも1つ以上ハロゲン原子に置換されたもので、電解重合条件で液体として安定に存在することができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ハロゲン化炭化水素としては、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタンをあげることができる。上記ハロゲン化炭化水素は、1種類のみを上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできるが、2種以上併用することもできる。また、上記ハロゲン化炭化水素は、上記の有機化合物との混合液として用いてもよく、該有機溶媒との混合溶媒を上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできる。
【0056】
上記電解重合法により得られた導電性高分子のバルク中には、上記電解重合法に用いられた上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが存在することとなる。上記導電性高分子が上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含む上記導電性高分子は、上述のように1酸化還元サイクル当りの伸縮量が大きく、駆動速度(%/s)の値も大きく、しかも、容易に得ることができるので好ましい。たとえば、上記の導電性高分子の有形物を膜状体は、従来の導電性高分子の電解伸縮がその最大の伸縮率が面方向で1酸化還元サイクル当たり10〜15%程度までしか得られていなかったのに対して、ドーパントとして上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを導電性高分子のバルク中に含むことにより、長さ方向において、1酸化還元サイクル当たり16%以上、特に20%以上の優れた最大の伸縮率を示すことが可能となる。上記膜状体は、人工筋肉に代表される大きな伸縮率が要求される用途に好適に用いることができる。なお、上記の導電性高分子の有形物は、ドーパントの他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
【0057】
上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンは、上記の説明と同様に、アニオン中心である窒素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有していればよい。たとえばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩としては、たとえば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩、ビス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)イミド塩を用いることができる。
【0058】
また、上記パーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、上記の説明と同様に、アニオン中心である炭素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である3つのパーフルオロアルキル基を有していればよい。たとえば、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロプロピルスルホニル基、ノナフルオロブチルスルホニル基、ウンデカフルオロペンチルスルホニル基、トリデカフルオロヘキシルスルホニル基、ペンタデカフルオロヘプチルスルホニル基、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルメチド塩としては、たとえば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド塩、トリス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)メチド塩を用いることができる。
【0059】
上記電解重合法の電解液中に含むまれ得る上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、カチオンと塩を形成することができ、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチド塩として電解重合法における電解液中に加えられていてもよい。パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと塩を形成するカチオンは、Liの様に1つの元素から構成されていてもよく、複数の元素より構成されていてもよい。上記カチオンは、1価の陽イオンとしてパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを形成することができ、電解液中で解離することができるルイス酸であれば、特に限定されるものではない。
【0060】
上記カチオンが金属元素である場合には、たとえばリチウムなどのアルカリ金属から選ばれる元素を用いることができる。また、上記カチオンが分子である場合には、たとえば、テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムに代表されるアルキルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムなどを用いることができる。
【0061】
上記導電性高分子のドーパントとして用いられ得る上記のパーフルオロスルホニルイミドイオンは、上記のように塩基成分であるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンと酸成分であるカチオンとの組み合わせにより種々の塩を形成することができるが、パーフルオロスルホニルイミド塩は、溶液中の解離が容易であって入手も容易であることから、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドなどのリチウムビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ならびにビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドなどのビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドについての、テトラブチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩またはイミダゾリジウム塩が好ましい。
【0062】
上記導電性高分子のドーパントとして用いられ得る上記のパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、上記のように塩基成分であるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと酸成分であるカチオンとの組み合わせにより種々の塩を形成することができるが、パーフルオロスルホニルメチド塩は、溶液中の解離が容易であって入手も容易であることから、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、リチウムトリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチドなどのリチウムトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチド、ならびにトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、およびトリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチドなどのトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドについての、テトラブチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩またはイミダゾリジウム塩が好ましい。
【0063】
上記電解重合法における上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンの電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、十分な電解液のイオン導電性を確保するために、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩として、電解液中に1〜40重量%含まれるのが好ましく、2.8〜20重量%含まれるのがより好ましい。また、電解重合法により得られる導電性高分子膜の膜質を向上させるために、トリフルオロメタンスルホン酸塩を電解液中に1〜80%加えた複合電解質を用いることもできる。また、これらのイオンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
また、上記電解重合法にて用いられる電解液(導電性高分子製造用電解液)には、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩を含む以外に、導電性高分子の単量体を含んでいてもよく、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミドなどの公知のその他の添加剤を含むこともできる。
【0065】
上記電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能であり、定電位法、定電流法および電気掃引法のいずれをも適宜用いることができる。たとえば、上記電解重合法は、電流密度0.01〜20mA cm−2、反応温度−70〜80℃で行うことができ、良好な膜質の導電性高分子を得るために、電流密度0.1〜2mA cm−2、反応温度−40〜40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が−30〜30℃の条件であることがより好ましい。
【0066】
なお、上記電解重合法に用いられる作用電極は、電解重合に用いることができれば特に限定されるものではなく、ITOガラス電極、炭素電極や金属電極などを適宜用いることができる。上記金属電極は、金属を主とする電極であれば特に限定されるものではないが、Pt、Ti、Ni、Au、Ta、Mo、CrおよびWからなる群より選ばれた金属元素についての金属単体の電極または合金の電極を好適に用いることができる。なかでも、得られた導電性高分子の伸縮率および発生力が大きく、かつ電極を容易に入手できることから、金属電極に含まれる金属種がPt、Tiであることが特に好ましい。なお、上記合金としては、たとえば、商品名「INCOLOY alloy 825」、「INCONEL alloy 600」、「INCONEL alloy X−750」(以上、大同スペシャルメタル株式会社製)を用いることができる。また、対極については公知の電極、たとえばPt、Niを好適に用いることができる。
【0067】
上記電解重合法に用いられる電解液に含まれる導電性高分子の単量体としては、電解重合による酸化により高分子化して導電性を示す化合物であれば特に限定されるものではなく、たとえばピロール、チオフェン、イソチアナフテン等の複素五員環式化合物、ならびにそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体があげられる。なかでも、ピロール、チオフェン等の複素五員環式化合物、ならびにその誘導体が好ましく、特にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるために好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0068】
また、上記導電性高分子が酸に接触処理したものを用いる場合では、上記電解質を溶解する溶媒として、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液を用いることができる。
【0069】
上記接触処理としては、たとえば、酸(酸溶液)に浸漬する手法や酸雰囲気下に静置する手法などがあげられるが、上記導電性高分子を酸に接触させるのであれば特に限定されない。
【0070】
上記接触処理に用いられる酸としては、特に限定されるものではないが、一価の強酸であることが好ましい。
【0071】
上記酸としては、たとえば、(CFSONH、(CSONH、(CFSO)(CSO)NHなどのパーフルオロアルキルスルホニルイミド、(CFSOCH、(CSOCH、(CFSO)(CSOCHなどのパーフルオロアルキルスルホニルメチド、硝酸などの無機酸などが好ましいものとしてあげられる。
【0072】
また、本発明においては、上記酸(酸溶液)のpHが0〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。上記pHが4以上であると十分な接触効果が得られない場合があり、一方、上記pHが0以下では導電性高分子が分解してしまうおそれがある。
【0073】
本発明における高分子アクチュエータ素子は上述のような構成を有するものである。上記導電性高分子により所望の形状を有する有形物が構成され、上記有形物が上記高分子アクチュエータ素子の全体または一部を構成し、上記有形物が駆動することにより上記高分子アクチュエータ素子が駆動する。上記導電性高分子成の有形物は、その形状が特に限定されるものではなく、膜状、管状、筒状、角柱および繊維状等の形状に成形または成型されたものであってもよいが、上記導電性高分子が電解重合時に作用電極に膜状として得られることから、膜状であることまたは膜状でてきようできることが好ましい。また、作用電極上に重合された導電性高分子は、アセトン等の導電性高分子を膨潤させることができる溶媒を用いて作用電極から分離することにより、上記有形物である導電性高分子膜として容易に得ることができる。
【0074】
(駆動条件)
本発明の高分子アクチュエータ素子の駆動方法において、上記駆動電解液の温度は特に限定されるものではないが、上記の導電性高分子をより速い速度で電解伸縮させるために、10〜100℃であることが好ましく、20〜60℃であることがさらに好ましい。
【0075】
また、上記駆動電解液中のアニオンの濃度も特に限定されるものではないが、0.1〜5.0mol dm−3であることが好ましく、大きな伸縮率が得られ、安定して駆動することができる。
【0076】
また上記駆動方法においては、上記導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子が上記駆動電解液中に置かれ、上記駆動電解液中に対極が設置されて、上記導電性高分子と上記対極とに電圧が印加されることにより、上記高分子アクチュエータ素子が駆動させることができる。
【0077】
また、上記高分子アクチュエータ素子の駆動における上記電圧は特に限定されるものではないが、その厚みが0.01mm〜1mm程度である場合には、通常印加電圧(V)の絶対値が0.2〜5Vであることができるが、0.5〜3Vであることが好ましく、0.5〜1.5Vであることがより好ましい。なお、本発明の高分子アクチュエータ素子を用いることにより、従来と同一の駆動性能を発揮させる場合においても、従来よりも駆動電圧をより低く設定して駆動させることができる。
【0078】
また、上記高分子アクチュエータ素子にたとえば左右に往復する等の連続的な変位運動をさせる場合には、0.001〜100Hz周期で各電極に反対電圧が印加されるようにすることが好ましく、0.1〜10Hz周期であることがより好ましく、1〜5Hz周期であることがさらに好ましい。
【0079】
(アクチュエータ)
本発明のアクチュエータは上記導電性高分子と上記駆動電解液を含むアクチュエータであることを特徴とする。
【0080】
上記アクチュエータは、装置構成として作動部、電解質(駆動電解液)および対極を含めば特に限定されるものではないが、作動の際に液漏れがしないように作動部へ取付けられたシャフトが筐体にパッキングされたアクチュエータ、または作動部の作動にしたがう伸縮が可能な筐体を備えたアクチュエータであることが、電解液等の液漏れを生じないので好ましい。
【0081】
上記作動部は、上述の導電性高分子を含み、電圧印加により電解伸縮をすれば特に限定されるものではない。上記作動部は、特に、電圧印加した際に伸縮率16%以上の伸縮性を示すことが好ましい。上記作動部が電圧印加した際に16%以上の伸縮をすることにより16%以上の伸縮をするアクチュエータを得ることができ、このアクチュエータは、人工筋肉に代表される大きな伸縮率が要求される用途に好適に用いることができる。上記作動部は、ドーパントの他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
【0082】
本発明のアクチュエータは、その形状が特に限定されるものではない。上記アクチュエータは、たとえば、円筒状、角柱状や六角柱状等の多角柱状、円錐状、板状、直方体状など使用状況に対応する形状に形成することができる。また、本願発明のアクチュエータの内部に設置される作動部は、円柱状に限定されるものではなく、角柱状や六角柱状等の多角柱状、円錐状、直方体状など、アクチュエータの外形に応じて適切な形状とすることができる。上記作動部は、電解重合により作用電極上に得られた導電性高分子膜をそのまま用いてもよく、積層等の成形を施して、所望の形状にしてもよい。さらに、対極についても、柱状に限定されるものではなく、板状等の形状にすることができる。
【0083】
また、上記アクチュエータにおいて、作動部と電解質として、導電性高分子含有層と固体電解質との積層体を用いることもできる。上記積層体は、導電性高分子含有層に、上述の導電性高分子の製造方法により得られた導電性高分子を含む層を用いることにより、層中の導電性高分子が大きく伸縮して、より大きな伸縮の用途に用いることができる。なお、対極は、上記固体電解質を介し、対極と導電性高分子含有層との間で電圧を印加できるように設置されていればよく、特に設置する場所が限定されるものではない。
【0084】
上記アクチュエータは、内部の作動部に上述の構成を有することにより優れた伸縮率と応答速度を得ることができるので、変位が小さくても用いることができるスイッチやセンサー等の用途以外に変位が大きい用途である人工筋肉としても好適に用いることがでる。上記アクチュエータは、リニアアクチュエータ、駆動装置、押圧装置として用いることができる。本発明のアクチュエータは、電圧の印加により導電性高分子が駆動するアクチュエータであるので、駆動時に無音もしくは低音であるために、室内用途装置における駆動部または押圧部として好適である。また、上記アクチュエータは、金属部品が少ないために従来のリニアアクチュエータに比べて軽量であるので、位置決め装置、姿勢制御装置、昇降装置、搬送装置、移動装置、調節装置、調整装置、誘導装置ならびに関節装置の駆動部として用いること好適に用いることができる。
【0085】
(用途)
本発明のアクチュエータは、人工筋肉、ロボットアーム、パワードスーツ、義手および義足に好適に使用することができる。また、本発明のアクチュエータを、マイクロサージェリー技術におけるピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具、検査や補修等を行う各種センサーもしくは補修用工具など、健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚などの水中モービル、または動く釣り餌や推進ヒレなどのホビー用品などの水中で用いられる物品に好適に使用することができる。
【0086】
より具体的には、上記アクチュエータは、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降器械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気かみそり、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置および航空機用付属装備展張装置、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキおよびロック装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。また、上記アクチュエータは、上記の装置、機器、器械等以外においても、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、および押圧装置の押圧部において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。また、上記アクチュエータは、関節装置における駆動部として、関節中間部材等の直接駆動可能な関節部または関節に回転運動を与える駆動部に好適に用いることができる。
【0087】
上記アクチュエータは、たとえば、CAD用プリンター等のインクジェットプリンターにおけるインクジェット部分の駆動部、プリンターの上記光ビームの光軸方向を変位させる駆動部、外部記憶装置等のディスクドライブ装置のヘッド駆動部、ならびに、プリンター、複写機およびファックスを含む画像形成装置の給紙装置における紙の押圧接触力調整手段の駆動部として好適に用いることができる。
【0088】
上記アクチュエータは、たとえば、電波天文用の周波数共用アンテナ等の高周波数給電部を第2焦点へ移動させるなどの測定部や給電部の移動設置させる駆動機構の駆動部、ならびに、車両搭載圧空作動伸縮マスト(テレスコーピングマスト)等のマストやアンテナにおけるリフト機構の駆動部に好適に用いることができる。
【0089】
上記アクチュエータは、たとえば、椅子状のマッサージ機のマッサージ部の駆動部、介護用または医療用ベットの駆動部、電動リクライニング椅子の姿勢制御装置の駆動部、マッサージ機や安楽椅子等に用いられるリクライニングチェアのバックレスト・オットマンの起倒動自在にする伸縮ロッドの駆動部、椅子や介護用ベッド等における背もたれやレッグレスト等の人を乗せる家具における可倒式の椅子の背もたれやレッグレスト或いは介護用ベッドの寝台の旋回駆動等に用いられる駆動部、ならびに、起立椅子の姿勢制御のため駆動部に好適に用いることができる。
【0090】
上記アクチュエータは、たとえば、検査装置の駆動部、体外血液治療装置等に用いられている血圧等の圧力測定装置の駆動部、カテーテル、内視鏡装置や鉗子等の駆動部、超音波を用いた白内障手術装置の駆動部、顎運動装置等の運動装置の駆動部、病弱者用ホイストのシャシの部材を相対的に伸縮させる手段の駆動部、ならびに、介護用ベッドの昇降、移動や姿勢制御等のための駆動部に好適に用いることができる。
【0091】
上記アクチュエータは、たとえば、エンジン等の振動発生部からフレーム等の振動受部へ伝達される振動を減衰させる防振装置の駆動部、内燃機関の吸排気弁のための動弁装置の駆動部、エンジンの燃料制御装置の駆動部、ならびにディーゼルエンジン等のエンジンの燃料供給装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0092】
上記アクチュエータは、たとえば、手振れ補正機能付き撮像装置の校正装置の駆動部、家庭用ビデオカメラレンズ等のレンズ駆動機構の駆動部、スチルカメラやビデオカメラ等の光学機器の移動レンズ群を駆動する機構の駆動部、カメラのオートフォーカス部の駆動部、カメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるレンズ鏡筒の駆動部、光学望遠鏡の光を取り込むオートガイダの駆動部、立体視カメラや双眼鏡等の2光学系を有する光学装置のレンズ駆動機構または鏡筒の駆動部、光通信、光情報処理や光計測等に用いられるファイバ型波長可変フィルタの波長変換のファイバに圧縮力を与える駆動部もしくは押圧部、光軸合せ装置の駆動部、ならびに、カメラのシャッタ機構の駆動部に好適に用いることができる。
【0093】
上記アクチュエータは、たとえば、ホース金具をホース本体にカシメ固定する等の固定具の押圧部に好適に用いることができる。
【0094】
上記アクチュエータは、たとえば、自動車のサスペンションの巻ばね等の駆動部、車両のフューエルフィラーリッドを解錠するフューエルフィラーリッドオープナーの駆動部、ブルドーザーブレードの伸張および引っ込みの駆動の駆動部、自動車用変速機の変速比を自動的に切り替えるためやクラッチを自動的に断接させるための駆動装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0095】
上記アクチュエータは、たとえば、座板昇降装置付車椅子の昇降装置の駆動部、段差解消用昇降機の駆動部、昇降移載装置の駆動部、医療用ベッド、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、介護用ベッド、昇降テーブル、CTスキャナ、トラックのキャビンチルト装置、リフター等や各種昇降機械装置の昇降用の駆動部、ならびに重量物搬送用特殊車両の積み卸し装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0096】
上記アクチュエータは、たとえば、食品加工装置の食材吐出用ノズル装置等の吐出量調整機構の駆動部に好適に用いることができる。
【0097】
上記アクチュエータは、たとえば、清掃装置の台車や清掃部等の昇降等の駆動部に好適に用いることができる。
【0098】
上記アクチュエータは、たとえば、面の形状を測定する3次元測定装置の測定部の駆動部、ステージ装置の駆動部、タイヤの動作特性を検知システム等のセンサー部分の駆動部、力センサーの衝撃応答の評価装置の初速を与える装置の駆動部、孔内透水試験装置を含む装置のピストンシリンダのピストン駆動装置の駆動部、集光追尾式発電装置における仰角方向へ動かすための駆動部、気体の濃度測定装置を含む測定装置のサファイアレーザー発振波長切替機構のチューニングミラーの振動装置の駆動部、プリント基板の検査装置や液晶、PDPなどのフラットパネルディスプレイの検査装置においてアライメントを必要とする場合にXYθテーブルの駆動部、電子ビーム(Eビーム)システムまたはフォーカストイオンビーム(FIB)システムなどの荷電粒子ビームシステム等において用いる調節可能なアパーチャー装置の駆動部、平面度測定器における測定対象の支持装置もしくは検出部の駆動部、ならびに、微細デバイスの組立をはじめ、半導体露光装置や半導体検査装置、3次元形状測定装置などの精密位置決め装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0099】
上記アクチュエータは、たとえば、電気かみそりの駆動部、ならびに、電動歯ブラシの駆動部に好適に用いることができる。
【0100】
上記アクチュエータは、たとえば、三次元物体の撮像デバイス或いはCD、DVD共用の読み出し光学系の焦点深度調整用デバイスの駆動部、複数のアクチュエータによって駆動対象面を能動曲面としてその形状を変形させることによって所望の曲面を近似的に形成して焦点位置を容易に可変できる可変ミラーの駆動部、光ピックアップ等の磁気ヘッドの少なくとも一方を有する移動ユニットを直線移動させることが可能なディスク装置の駆動部、リニアテープストレージシステム等の磁気テープヘッドアクチュエータアセンブリのヘッド送り機構の駆動部、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに適用される画像形成装置の駆動部、磁気ヘッド部材等の搭載部材の駆動部、集束レンズ群を光軸方向に駆動制御する光ディスク原盤露光装置の駆動部、光ヘッドを駆動するヘッド駆動手段の駆動部、記録媒体に対する情報の記録または記録媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置の駆動部、ならびに、回路しゃ断器(配電用回路しゃ断器)の開閉操作の駆動部に好適に用いることができる。
【0101】
上記アクチュエータは、たとえば、ゴム組成物のプレス成形加硫装置の駆動部、移送される部品について単列・単層化や所定の姿勢への整列をさせる部品整列装置の駆動部、圧縮成形装置の駆動部、溶着装置の保持機構の駆動部、製袋充填包装機の駆動部、マシニングセンタ等の工作機械や射出成形機やプレス機等の成形機械等の駆動部、印刷装置、塗装装置やラッカ吹き付け装置等の流体塗布装置の駆動部、カムシャフト等を製造する製造装置の駆動部、覆工材の吊上げ装置の駆動部、無杼織機における房耳規制体等の駆動装置、タフティング機の針駆動システム、ルーパー駆動システム、およびナイフ駆動システム等の駆動部、カム研削盤や超精密加工部品等の部品の研磨を行う研磨装置の駆動部、織機における綜絖枠の制動装置の駆動部、織機における緯糸挿通のための経糸の開口部を形成する開口装置の駆動部、半導体基板等の保護シート剥離装置の駆動部、通糸装置の駆動部、CRT用電子銃の組立装置の駆動部、衣料用縁飾り、テーブルクロスやシートカバー等に用途をもつトーションレースを製造するためのトーションレース機におけるシフターフォーク駆動選択リニア制御装置の駆動部、アニールウィンドウ駆動装置の水平移動機構の駆動部、ガラス溶融窯フォアハースの支持アームの駆動部、カラー受像管の蛍光面形成方法等の露光装置のラックを進退動させる駆動部、ボールボンディング装置のトーチアームの駆動部、ボンディングヘッドのXY方向への駆動部、チップ部品のマウントやプローブを使った測定などにおける部品の実装工程や測定検査工程の駆動部、基板洗浄装置の洗浄具支持体の昇降駆動部、ガラス基板を走査される検出ヘッドを進退させる駆動部、パターンを基板上に転写する露光装置の位置決め装置の駆動部、精密加工などの分野においけるサブミクロンのオーダで微小位置決め装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングツールの計測装置の位置決め装置の駆動部、導体回路素子や液晶表示素子等の回路デバイスをリソグラフィ工程で製造する際に用いられる露光装置および走査露光装置に好適なステージ装置の位置決めのための駆動部、ワーク等の搬送または位置決め等の手段の駆動部、レチクルステージやウエハステージ等の位置決めや搬送のための駆動部、チャンバ内の精密位置決めステージ装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングシステムでのワークピースまたは半導体ウェーハの位置決め装置の駆動部、半導体のステッパー装置の駆動部、加工機械の導入ステーション内に正確に位置決めする装置の駆動部、NC機械やマシニングセンター等の工作機械等またはIC業界のステッパーに代表される各種機器用のパッシブ除振およびアクティブ除振の除振装置の駆動部、半導体素子や液晶表示素子製造のリソグラフィ工程に使用される露光装置等において光ビーム走査装置の基準格子板を上記光ビームの光軸方向に変位させる駆動部、ならびに、コンベヤの横断方向に物品処理ユニット内へ移送する移送装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0102】
上記アクチュエータは、たとえば、電子顕微鏡等の走査プローブ顕微鏡のプローブの位置決め装置の駆動部、ならびに、電子顕微鏡用試料微動装置の位置決め等の駆動部に好適に用いることができる。
【0103】
上記アクチュエータは、たとえば、自動溶接ロボット、産業用ロボットや介護用ロボットを含むロボットまたはマニピュレータにおけるロボットアームの手首等に代表される関節機構の駆動部、直接駆動型以外の関節の駆動部、ロボットの指のそのもの、ロボット等のハンドとして使用されるスライド開閉式チャック装置の運動変換機構の駆動部、細胞微小操作や微小部品の組立作業等において微小な対象物を任意の状態に操作するためのマイクロマニピュレータの駆動部、開閉可能な複数のフィンガーを有する電動義手等の義肢の駆動部、ハンドリング用ロボットの駆動部、補装具の駆動部、ならびにパワースーツの駆動部に好適に用いることができる。
【0104】
上記アクチュエータは、たとえば、サイドトリマの上回転刃または下回転刃等を押圧する装置の押圧部に好適に用いることができる。
【0105】
上記アクチュエータは、たとえば、パチンコ等の遊戯装置における役物等の駆動部、人形やペットロボット等のアミューズメント機器の駆動部、ならびに、乗車用シミュレーション装置のシミュレーション装置の駆動部に好適に用いることができる。
【0106】
上記アクチュエータは、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられる弁の駆動部に用いることができ、たとえば、蒸発ヘリウムガスの再液化装置の弁の駆動部、ベローズ式の感圧制御弁の駆動部、綜絖枠を駆動する開口装置の駆動部、真空ゲート弁の駆動部、液圧システム用のソレノイド動作型制御バルブの駆動部、ピボットレバーを用いる運動伝達装置を組み込んだバルブの駆動部、ロケットの可動ノズルのバルブの駆動部、サックバックバルブの駆動部、ならびに、調圧弁部の駆動部に好適に用いることができる。
【0107】
上記アクチュエータは、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるブレーキの押圧部として用いることができ、たとえば、非常用、保安用、停留用等のブレーキやエレベータのブレーキに用いて好適な制動装置の押圧部、ならびに、ブレーキ構造もしくはブレーキシステムの押圧部に好適に用いることができる。
【0108】
上記アクチュエータは、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるロック装置の押圧部として用いることができ、たとえば、機械的ロック装置の押圧部、車両用ステアリングロック装置の押圧部、ならびに、負荷制限機構および結合解除機構を合わせ持つ動力伝達装置の押圧部に好適に用いることができる。
【実施例】
【0109】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0110】
<伸縮率の測定>
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率(%)を測定した。
【0111】
各高分子アクチュエータ素子を長さ15mm、幅2mmの短冊状とし、高分子アクチュエータ素子を動作電極とし、白金プレートを対向電極とし、各電極の端部にリードを接続し、各電極を上記電解液中に保持しながら、リードを介して電源と接続して、各周波数(Hz)における電位(−0.7〜+0.7V v.s. Ag/Ag)を1サイクル印加して変位量(変位した長さ)を測定した。動作電極が1サイクルの印加(1酸化還元サイクル)で伸長と収縮とをすることにより得られた変位の差を、動作電極の元の長さで割ることにより、1酸化還元サイクル当たりの伸縮率(%)を求めた。
【0112】
<変位角の測定>
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の変位角(°)を測定した。
【0113】
作製した各高分子アクチュエータ素子について、一方の端部から2mm内側の位置において、一対の金属電極のそれぞれに通電できるように、白金端子にて高分子アクチュエータ素子の厚さ方向に挟み、膜面が重力方向と平行になるように握持した。
【0114】
次に、ポテンショスタット(ボテンショ・ガルバノスタット HA−151、北斗電工社製)およびマルチファンクションジェネレータ(エヌエフ回路設計ブロック社製、ウェーブファクトリーWF1946)を用いて一対の金属電極の一方が正極、もう一方が負極となるようにして、±0.5Vの正弦波電圧を印加し、次いで3.0Hz周期で各金属電極に反対電圧が印加されるように電圧を印加し左右に往復する変位運動をさせた。
【0115】
この往復変位運動における屈曲ないし変位した状態での高分子アクチュエータ素子の先端の変位凸面の接線方向と重力方向とのなす角を、室温にて、右側変位、左側変位とも測定し、これを平均して変位角とした。
【0116】
〔実施例1〕
ピロール(0.1mol dm−3)、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(TBATFSI)(0.2mol dm−3)を含む安息香酸メチルとフタル酸ジメチルの混合溶媒(体積比1:5)を電解液として用い、作用極として白金をスパッタしたステンレス板(SUS310S板)を用い、対極としてニッケル板を用い、電流密度0.2mA cm−2の定電流法で0℃、4時間電解重合を行い、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン(TFSI)がドープされたポリピロール膜(a)を作用極上に得た。このポリピロール膜(a)をアセトン中で剥がし、洗浄後、風乾して高分子アクチュエータ素子である自立ポリピロール膜(a)を調製した。
【0117】
得られたポリピロール膜(a)を短冊状(長さ2mm×幅10mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート(PC)溶液と0.05mol dm−3の硝酸水溶液との混合溶液(体積比2:3)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0118】
〔比較例1〕
得られたポリピロール膜(a)を短冊状(長さ10mm×幅2mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と水との混合溶液(体積比2:3)、対極として白金板を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0119】
実施例1および比較例1で得られた高分子アクチュエータ素子の伸縮率(%)の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
上記表1の結果より、周波数の高い場合(0.25〜2.0Hz)において、駆動電解質に硝酸水溶液を添加した場合(実施例1)、硝酸水溶液を添加しなかった場合(比較例1)に比べ、より大きな伸縮率を示すことがわかった。硝酸水溶液を添加することによって上記ポリピロール膜がより高速に駆動することが可能となった。
【0122】
〔実施例2〕
実施例1と同様の電解重合溶液を調製し、作用極として延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜の両面に金をスパッタした基材を用い、対極にニッケル板を配置して、電流密度0.2mA cm−2の定電流法で0℃、4時間電解重合を行い、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン(TFSI)がドープされたポリピロールePTFE複合膜を得た。この複合膜は、ePTFEが絶縁膜であり、その両側にTFSIがドープされたポリピロールが配置された構造のバイモルフ型の高分子アクチュエータ素子である。
【0123】
得られたポリピロールePTFE複合膜を短冊状(長さ15mm×幅2mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(0.5mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と0.1mol dm−3の硝酸水溶液との混合溶液(体積比1:1)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0124】
〔比較例2〕
得られたポリピロールePTFE複合膜を短冊状(長さ15mm×幅2mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(0.5mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート(PC)溶液と水との混合溶液(体積比1:1)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0125】
実施例2および比較例2で得られた高分子アクチュエータ素子の変位角(°)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
上記表2の結果より、同一周波数で同一電圧において、駆動電解質に硝酸水溶液を添加した場合(実施例2)、硝酸水溶液を添加しなかった場合(比較例2)に比べ、より大きく振れることがわかった。硝酸水溶液を添加することによって上記ポリピロールePTFE複合膜の変位性能を大きく向上させることが可能となった。
【0128】
〔実施例3〕
ピロール(0.1mol dm−3)、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(TBATFSI)(0.2mol dm−3)を含む安息香酸メチルとフタル酸ジメチルの混合溶媒(体積比1:5)を電解液として用い、作用極として白金を用い、対極としてニッケル板を用い、+1.4V v.s. Ag/AgClの定電位法で−10℃、6時間電解重合を行い、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン(TFSI)がドープされたポリピロール膜(b)を作用極上に得た。このポリピロール膜(b)をアセトン中で剥がし、洗浄後、風乾して高分子アクチュエータ素子である自立ポリピロール膜(b)を調製した。
【0129】
得られたポリピロール膜(b)を短冊状(長さ2mm×幅10mmのサイズ)に切断し、プロピレンカーボネートと0.1mol dm−3の硝酸水溶液との混合溶液(体積比9:1)に5分間含浸した後、再びアセトンで洗浄、風乾した。酸に接触処理をした上記ポリピロール膜(b)を、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と水との混合溶液(体積比2:3)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0130】
〔比較例3〕
得られたポリピロール膜(b)を短冊状(長さ10mm×幅2mmのサイズ)に切断し、実施例3の酸への接触処理を行わずに、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と水との混合溶液(体積比2:3)、対極として白金板を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0131】
実施例3および比較例3で得られた高分子アクチュエータ素子の伸縮率(%)の測定を行った。得られた結果を表3に示す。
【0132】
【表3】

【0133】
上記表3の結果より、酸への接触処理を行った場合(実施例1)、酸への接触処理を行わなかった場合(比較例1)に比べ、周波数の高い場合(0.1〜2.0Hz)において、+0.7V v.s. Ag/AgClの定電位を印加した伸長、−0.7V v.s. Ag/AgClの定電位を印加した収縮のいずれにおいても、より大きな伸縮率を示すことがわかった。酸の前処理を行ったことによって上記ポリピロール膜がより高速に駆動することが可能となった。
【0134】
〔実施例4〕
実施例1と同様に調製したTFSIがドープされたポリピロール膜(a)を短冊状(長さ2mm×幅10mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート(PC)溶液と0.05mol dm−3のビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸(HTFSI)水溶液との混合溶液(体積比2:3)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0135】
〔比較例4〕
得られたポリピロール膜(a)を短冊状(長さ10mm×幅2mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と水との混合溶液(体積比2:3)、対極として白金板を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0136】
実施例4および比較例4で得られた高分子アクチュエータ素子の伸縮率(%)の測定を行った。得られた結果を表4に示す。
【0137】
【表4】

【0138】
上記表4の結果より、駆動電解質に硝酸水溶液を添加した場合(実施例4)、硝酸水溶液を添加しなかった場合(比較例4)に比べ、周波数の高い場合(0.1〜2.0Hz)において、+0.7V v.s. Ag/AgClの定電位を印加した伸長、−0.7V v.s. Ag/AgClの定電位を印加した収縮のいずれにおいても、より大きな伸縮率を示すことがわかった。硝酸水溶液を添加することによって上記ポリピロール膜がより高速に駆動することが可能となった。
【0139】
〔実施例5〕
ピロール(0.25mol dm−3)、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(DMPIMe)(0.12mol dm−3)を含む安息香酸メチルを電解液として用い、作用極としてグラッシーカーボン板を用い、対極としてニッケル板を用い、+1.2V v.s. Ag/AgClの定電位法で−10℃、15時間電解重合を行い、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオンがドープされたポリピロール膜(c)を作用極上に得た。このポリピロール膜(c)をアセトン中で剥がし、洗浄後、風乾して高分子アクチュエータ素子である自立ポリピロール膜(c)を調製した。
【0140】
得られたポリピロール膜(c)を短冊状(長さ2mm×幅10mmのサイズ)に切断し、駆動電解液として1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(DMPIMe)(0.10mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート(PC)溶液と0.1mol dm−3の硝酸水溶液との混合溶液(体積比2:3)を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0141】
〔比較例5〕
得られたポリピロール膜(c)を短冊状(長さ10mm×幅2mmのサイズ)に切断し、駆動電解液としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)(1.0mol dm−3)を含むプロピレンカーボネート溶液と水との混合溶液(体積比9:1)、対極として白金板を用いて高分子アクチュエータ素子を評価した。
【0142】
実施例5および比較例5で得られた高分子アクチュエータ素子の伸縮率(%)の測定を行った。得られた結果を表5に示す。
【0143】
【表5】

【0144】
上記表5の結果より、周波数の高い場合(0.1〜0.5Hz)において、駆動電解質に硝酸水溶液を添加した場合(実施例5)、硝酸水溶液を添加しなかった場合(比較例5)に比べ、より大きな伸縮率を示すことがわかった。硝酸水溶液を添加することによって上記ポリピロール膜がより高速に駆動することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電解液中で電圧を印加することにより駆動する導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法であって、
前記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
【請求項2】
駆動電解液中で電圧を印加することにより駆動する導電性高分子を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法であって、
前記導電性高分子が酸に接触処理したものであり、かつ、前記駆動電解液が、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
【請求項3】
前記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物である請求項1または2に記載の高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
【請求項4】
前記駆動電解液のpHが0〜4である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
【請求項5】
前記導電性高分子が分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む請求項1〜4のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
【請求項6】
前記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)N (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕
【請求項7】
前記導電性高分子が、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
(C(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)C (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕
【請求項8】
導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
前記駆動電解液が、有機溶媒および酸の混合溶液、または有機溶媒、水、および酸の混合溶液であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項9】
導電性高分子と駆動電解液を含むアクチュエータであって、
前記導電性高分子が酸に接触処理したものであり、かつ、前記駆動電解液が、有機溶媒、または有機溶媒および水の混合溶液であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項10】
前記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物である請求項8または9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記駆動電解液のpHが0〜4である請求項8〜10のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記導電性高分子が分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む請求項8〜11のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項8〜12のいずれかに記載のアクチュエータ。
(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)N (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕
【請求項14】
前記導電性高分子が、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項8〜12のいずれかに記載のアクチュエータ。
(C(2l+1)SO)(C(2m+1)SO)(C(2n+1)SO)C (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕
【請求項15】
導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が有機溶媒または有機溶媒と水の混合溶液であるアクチュエータの製造方法であって、
前記駆動電解液に酸を加える工程を含むことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
【請求項16】
導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が有機溶媒または有機溶媒と水の混合溶液であるアクチュエータの製造方法であって、
前記導電性高分子を酸に接触処理する工程を含むことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
【請求項17】
前記有機溶媒が、エステル結合、カーボネート結合、およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む極性有機化合物である請求項15または16に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項18】
前記駆動電解液のpHが0〜4である請求項15〜17のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。

【公開番号】特開2007−300755(P2007−300755A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127659(P2006−127659)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(302014860)イーメックス株式会社 (49)
【Fターム(参考)】