説明

高分子フィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置

【課題】光学的異方性が小さく、さらには光学的異方性の波長分散が小さいことから、偏光板の保護層として液晶表示装置に使用したときに、視野角特性に優れ、表示色味が変化しにくい高分子フィルムであって、更に液晶表示装置等の画像表示装置に好適に使用できるよう貼合性を制御した高分子フィルムを提供すること。
【解決手段】正面レターデーション値Re(λ)および膜厚方向のレターデーション値Rth(λ)(λは波長(nm)を示す。)が、下記式(i)および(ii)を満たし、更に少なくとも片側の面の表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下であり、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制し光学異方性を低下させる化合物を含み、
前記光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である、セルロースアシレートフィルム。
(i) 0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(ii) |Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面レターデーション値Re(λ)および膜厚方向のレターデーション値Rth(λ)(λは波長(nm)を示す。)が、下記式(i)および(ii)を満たし、更に少なくとも片側の面の表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下であり、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制し光学異方性を低下させる化合物を含み、
前記光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である、セルロースアシレートフィルム。
(i) 0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(ii) |Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
【請求項2】
前記表面エネルギーの面内バラツキ値ΔEが10以下である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項3】
フィルムの少なくとも片側の面が表面処理された面であり、該表面処理された面の、表面処理前の表面エネルギーが30mN/m以上50mN/m以下であって、かつ表面処理後の表面エネルギーが前記50mN/m以上80mN/m以下である請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項4】
Re(λ)およびRth(λ)の面内バラツキ値ΔRe(λ)およびΔRth(λ)が、下記式(iii)および(iv)を満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
(iii)ΔRe(λ)≦5
(iv) ΔRth(λ)≦10
【請求項5】
前記表面処理した前後におけるRe、Rth値の変化が、下記式(v)および(vi)を満たす請求項3または4に記載のセルロースアシレートフィルム。
(v) |Re−Re’|≦10
(vi) |Rth−Rth’|≦20
ここで、
Re:表面処理前のフィルム面内のレターデーション値(nm)
Re’:表面処理後のフィルム面内のレターデーション値(nm)
Rth:表面処理前のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
Rth’:表面処理後のフィルム膜厚方向のレターデーション値(nm)
である。
【請求項6】
下記式(vii)を満たす前記光学異方性を低下させる化合物を、下記式(viii)を満たす範囲で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。(vii) (Rth−Rth)/A≦−1.0
(viii)0.01≦A≦30
ここで、
Rthは上記化合物をA質量%含有したフィルムのRth(nm)、
Rthは上記化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、
Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの上記化合物の質量(%)
を表す。
【請求項7】
前記光学異方性を低下させる化合物として、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0〜7である化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項8】
|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項9】
前記表面処理がアルカリケン化処理である請求項3〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項10】
フィルム表面を前記アルカリケン化処理した際の、前記光学異方性を低下させる化合物のアルカリ溶液への溶出度が、20質量%以下である請求項9に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項11】
フィルム表面を前記アルカリケン化処理した後の、アルカリ溶液の450nmにおける吸光度が0.1以下である請求項9または10に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項12】
未表面処理のフィルム表面を1.5NのNaOH水溶液を用いて55℃の温度条件にて前記アルカリケン化処理する際に、表面エネルギーが50mN/m以上となるのに要する時間が1分以内である請求項9〜11のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項13】
前記光学異方性を低下させる化合物のpKaが、14以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項14】
前記表面処理がプラズマ処理である請求項3〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項15】
前記表面処理がコロナ処理である請求項3〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項16】
前記セルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00である請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項17】
前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.80〜2.99であり、その平均重合度が180〜550である請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項18】
前記セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなり、アシル置換度が2.50〜3.00のセルロースアシレートからなる請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項19】
フィルムの面内方向の遅相軸がフィルムの機械搬送方向(MD方向)、またはフィルムの機械搬送方向に対して垂直方向(TD方向)である請求項1〜18のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項20】
フィルムの膜厚が10〜120μmである請求項1〜19のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項21】
フィルムの幅が1350mm以上である請求項1〜20のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項22】
フィルムが長さ1500m以上の長尺フィルムである請求項1〜21のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムの表面エネルギーが50mN/m以上80mN/m以下である面のうちの少なくとも片側の面上に更に接着剤層が形成されている接着剤層付きセルロースアシレートフィルム。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムに、下記式(ix)をみたす光学異方性層を設けた光学補償フィルム。
(ix)Re=0〜200(nm)かつ|Rth|=0〜400(nm)
【請求項25】
前記光学異方性層がディスコティック液晶性化合物を含有する請求項24に記載の光学補償フィルム。
【請求項26】
前記光学異方性層が棒状液晶性化合物を含有する請求項24または25に記載の光学補償フィルム。
【請求項27】
前記光学異方性層が複屈折を持つポリマーフィルムから形成される請求項24〜26のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
【請求項28】
前記光学異方性層を形成する前記ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有する請求項27に記載の光学補償フィルム。
【請求項29】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、または請求項24〜28のいずれか1項に記載の光学補償フィルムを少なくとも1枚用いて偏光子の保護フィルムとした偏光板。
【請求項30】
表面にハードコート層、防眩層、反射防止層の少なくとも一層を設けた請求項29に記載の偏光板。
【請求項31】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項24〜28のいずれか1項に記載の光学補償フィルム、請求項29または30に記載の偏光板、のいずれかを用いた液晶表示装置。
【請求項32】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム、請求項24〜28のいずれか1項に記載の光学補償フィルム、請求項29または30に記載の偏光板、のいずれかを用いたVAまたはIPS液晶表示装置。
【請求項33】
表面凸凹の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下である請求項1〜23いずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−128430(P2012−128430A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−284378(P2011−284378)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2005−211479(P2005−211479)の分割
【原出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】