説明

高分子ポリマーを得るためにポリアクリル酸を修飾する方法

本発明は、アクリルポリマーの分野に関連し、特に、高分子量の化合物を形成させる目的でそれらを修飾することに関する。例えば「POLYGOR」という商標名で販売されているユニバーサルポリマー(acrylic universal polymer(PAU))という種類のプラスチック素材を出発物質として使用することができる。そして、このアクリル系出発物質を適当な修飾用化合物(重合調整剤)によって修飾する。このようにして、修飾されたポリマーは、2×10から15×10a.u.の範囲内の分子量になることができ、かつ水溶性である。これにより、それらを、軟沈殿、凝固、イオン交換の手段として用いること、および、界面活性剤への添加剤として、それらの洗浄および起泡能力を高めるために用いることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、アクリル系ポリマーの分野に関連し、特に、高分子プラスチック材料を得るためのポリアクリル酸修飾に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
アクリル酸およびメタアクリル酸のポリマー、およびそれらの誘導体は、ラジカル反応およびイオン反応のメカニズム、すなわち、ブロック重合、エマルジョン重合、懸濁重合、および溶液中での重合によって既知の方法で得ることができる。当業界での慣行によれば、ラジカル重合のメカニズムは、ブロック重合、懸濁重合、およびエマルジョン重合において利用され、その場合、過酸化ベンゾイルが重合反応を開始させる開始剤として用いられる。水性エマルジョンにおける重合では、過酸化水素、過酸化硫酸アンモニウム(ammonium peroxysulphate)など水溶性の開始剤、およびフリーラジカルの形成を誘導する酸化−還元系を利用することもできる。水溶液において、アクリル酸およびメタアクリル酸は、水素、過酸化化合物、または過酸化硫酸の存在下で重合する。
【0003】
過去にブロック重合法によって得られていたポリマーは、通常、2×10原子単位(a.u.)よりも小さな分子量を有する。材料において、通常、分子量は0.4×10〜2×10a.u.という限度内にある。
【0004】
既に重合している化合物の修飾法が、新しい有用な性質をもつポリマーの製造にとって最も重要な方法の一つである。修飾は、ポリマーの分子量および構造に実質的な変化なしにも、また、それらの化学構造および分子量に相当な変化を伴っても行うことができる。前者の場合、ポリマー類似変換(polymeranalogic transformation)反応であるが、後者の場合、ポリマーのブロック共重合およびグラフト共重合である。
【0005】
同様に、対応する官能基を導入することによって、ポリマーに酸性またはアルカリ性の性質を付与するために化学修飾反応を用いることもできる。
【0006】
ポリエチレンおよびその他のポリマーにおいて水素原子を塩素原子によって置換することは、塩素化ポリマーを製造するために広く利用されている。しばしば、塩素化処理は、二酸化硫黄(SO)の同時作用と併用される。このような処理によって、硫黄−塩素化ポリマーが生成される。
【0007】
また、イオン交換ポリマーであるイオニット(ionits)を合成するために、ベンゼン環の水素原子をアミノ基で置換することも広く利用されている。ポリスチレンの硫化が、別の既知のポリマーイオン交換体生成をもたらす。このようなイオン交換体は、ベンゼン環にスルホ基を含む。
【0008】
もう一つの重要なポリマー修飾法は、ブロック共重合およびグラフト共重合である。前者の場合、同一または異なったポリマー分子を互いに反応、すなわち、つなぎ合わせ(連結させ)て、新しい性質をもつ分子を形成させる。後者の場合には、ポリマーを枝分けさせて新しい高分子を形成させる。
【0009】
もっとも広く知られたブロック共重合およびグラフト共重合の形成法は、高分子の開始剤をモノマーと相互作用させること(方法I)、またはマクロラジカルとポリマーを互いに相互作用せること(方法II)に基づいている。
【0010】
第1の方法(I)は、ポリマーを高分子開始剤として用いるが、それは、重合処理の間、活性中心をポリマーの末端または中間にもつか、作出する。高分子における活性中心は、以下の方法によって得ることができる。(a)ポリマーとラジカルとの相互作用、(b)過酸化基の導入、または(c)ポリマーの照射、およびラジカルまたはイオン化化合物の作製。上記方法の短所は、分離するのに必ず困難を伴うグラフトおよびホモポリマーが同時に形成されることである。
【0011】
ブロック共重合およびグラフト共重合を形成する第2の方法(II)は、縮合反応またはポリマー組換えに基づいており、適当な官能基を含む。この官能基が、ポリマー鎖の末端にあると、ブロックコポリマーが生成され、それらが分子の中央部に含まれていると、グラフトポリマーが形成される。
【0012】
いわゆる超吸収体として働くポリアクリル酸は、トランスバーサル化学結合によって結合されている。これらの超吸収体は、親水性であるという特徴をもち、多量の水を吸収して、水に溶解されることなくゲル様状態を形成することができる。このようなゲルの不溶性は、ゲルが、別々の鎖を化学結合によって互いに結合している高分子ネットであるという事実によるものである。しかし、相互接続された鎖は、それらの分割または分離はポリマーの分解と等しいため、それらの間で溶媒分子が高分子を分割することを許さない。
【0013】
ポリマーのオゾン化反応によって、合成ポリマーを天然ポリマー(セルロース、デンプンなど)に付加することが可能になる。該反応は、本発明の一つに最も類似した技術的解決法であると考えることができる。例えば、オゾン化処理の助けを借りて、ポリアクリルニトリルと、セルロース、デンプン、ポリスチレンなどとのグラフトコポリマーを得ることができる(Shur A.M.高分子化合物(High−molecular compounds),Moscow.:Higher school,1966.P.179−180)。
【0014】
従来からの重合法は以下の特徴をもつ。
【0015】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
発明の目的
本発明の目的は、高分子ポリマー、特に、アクリル系高分子ポリマーを提供することである。さらなる目的は、水に少なくとも部分的に可溶性であるアクリル系高分子ポリマーを提供することである。本発明のさらなる目的は、高分子ポリマーを工業規模で製造することを可能にする方法を提供することである。本発明の一層さらなる目的は、ゲル形成性
水不溶性アクリル系ポリマーを水可溶性アクリル系ポリマーに変換することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
説明
本発明により、ゲル形成性水不溶性ポリマー、特にアクリル型のポリマーから出発して高分子ポリマーを形成する方法であって、以下の工程を含む方法によって上記目的を達成することができる。
a)開始温度において、少なくとも1つの開始剤−修飾剤化合物を相当量、水溶液に溶解する工程;b)この溶液にゲル形成性水不溶性ポリマーを加えて混合し、このポリマーから粗大凝集体を形成する工程;および、最後にc)この粗大凝集体を熱または照射によって修飾し、水溶性の高分子ポリマーを形成させる工程。原子状酸素のインサイチュ生成が、ポリマー分子間における過酸化物結合(−O−O−)の形成に関与すると考えられている。これらの過酸化物結合は、更なる工程において高温で、または照射によって破壊され、水溶性の高分子ポリマーの形成をもたらす。
【0018】
好ましくは、粗大凝集体を修飾するには、溶液の温度を、所定の時間、開始温度から高い熟成温度(aging temperature)まで間断なく上昇させるか、間隔を置きながら上昇させる。本発明の方法には以下の利点がある。アクリル酸(アクリル系ユニバーサルポリマー「POLYGOR」というタイプ)に由来する高分子ポリマーは、当業界において既知の方法によって合成されるポリマーの分子量よりも1桁大きな0.2×10〜15×10a.u.という分子量をもつことができる。さらに、本発明に従って修飾されたアクリル系ポリマーは、アクリル酸(SAP、FAWOR、SA、SXなど)の基材上に横向きに結合した親水性超吸収体であって、水とともに不溶性ゲルを形成する超吸収体とは対照的に水溶性である。
【0019】
本発明の方法は、水の吸収および膨張の過程で、出発物質、すなわちアクリル系ポリマーの基材上の超吸収体が、溶解されることなくゲル様の塊を形成し、その修飾が、水溶性の開始剤−修飾剤化合物を使用することによって誘発されるという点で、既知の重合法(上記表1参照)とは異なっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、市販のいわゆるアクリル系超吸収体を開始原料として用いることができること(SAP、FAWOR、SA、SXなどの親水性超吸収体)、および高分子ポリマーを合成するためにブロック共重合法を応用できることを発見した。
【0021】
発明者らが驚いたことには、さらに高分子量の化合物を合成するために、架橋ポリアクリル酸を開始ポリマーとして利用できることが発見されている。生成したマクロラジカルは、ポリマー鎖で表されるが、その移動性は、分子間の化学結合によって本質的に調節されると思われる。分子間結合は、「ゲル化作用」を強化し、ブロック共重合処理で得られる分子量の増加を促進する。
【0022】
修飾剤化合物の選択は、水溶液において酸素および過酸化物の化合物が重合開始剤であるポリアクリル酸の化学的性質によって決定される。
【0023】
重合反応の正確な原理はまだ分かっていないが、この過程は、横につなぎ合わされたポリマー鎖からの水素除去によってマクロラジカルが形成されることによって開始される。
【0024】
酸素の作用でマクロラジカル(R)が形成される反応メカニズムは、恐らく以下のとおりである:
RH + O → R + HO
「活性酸素」、すなわち原子状酸素は、過酸化物、過酸化化合物、および破壊されると活性酸素を遊離させるその他の化合物を破壊する過程で遊離または生成される(放出される)。
【0025】
つなぎ合わされたポリマーの修飾をもたらす活性酸素を得るために、一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaO(E−H、Na、K;Ha−ハロゲン)の酸素含有ハロゲン化合物、CaOCl、および、オゾン、過酸化物化合物(E)、ペルオキシ硫酸アンモニウムも使用することが示唆されている。
【0026】
修飾反応は、EHaO型の酸素含有化合物をインサイチュで生成させる目的で、アルカリ反応混合液の中にガス状塩素を入れることによっても開始または実施することができる:
Cl + 2NaOH → NaCl + NaClO + H
Cl + HO → HCl + HClO
提示された方法は、塩素酸素(chloroxygen)含有化合物が存在する場合に、本発明に記載されているように、修飾処理における主な役割は、塩素ではなく酸素が果たすという点で、ポリマー類似変換の過程における従来の塩素化反応とは異なっている。
【0027】
留意すべきは、本発明に係る高分子ポリマーの合成は、EClO → ECl + Oという反応による次亜塩素酸の分解を促進する限り、日光、UV照射、および加熱の作用の下でより集中的かつ速く行われるということである。
【0028】
説明された本発明の溶液によれば、水素除去は、架橋されたポリマー鎖の末端に活性中心(ラジカル)を生じさせる結果となる。さらに、ポリマーを機械的に破壊する過程においても得られる。
【0029】
活性中心が相互作用する結果、高分子とポリマー性粗大凝集体との間で化学結合が形成される。
【0030】
【化1】

【0031】
粗大凝集体中のつなぎ合わされたポリマー鎖は、ブロック共重合処理の結果、それらの長さがかなり伸びた場合には、開始ポリマーよりもずっと大きな分子量になるという特徴がある。
【0032】
次に高分子ポリマー鎖間の(横につながった)化学結合を破壊することが、架橋ポリアクリル酸の修飾処理における次の工程である。このために以下のような破壊法が用いられる:温度処理、光化学的処理、透過性放射線処理(γ線またはX線照射)。開始剤−修飾剤が相当量過剰である場合には、酸素の発生も、酸化によるポリマー崩壊をもたらす。
【0033】
横につながった化学結合を破壊した結果、高分子の直鎖状ポリマーが得られ、それらは、水や水溶液に溶解できる。
【0034】
好ましくは、この方法は、過剰な開始剤−修飾剤化合物を除去するために還元剤を溶液に加える工程をさらに含む。過剰な開始剤−修飾剤化合物を除去することによって、重合処理を停止させて、得られる分子量を調節することができる。
【0035】
好ましくは、開始剤−修飾剤化合物は、一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaOをもつものであるが、式中、Eは水素またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり、Haはハロゲンである。これらの化合物は、重合処理を開始させるのに有効であることが分かっている。より正確には、開始剤−修飾剤化合物は、CaOCl、オゾン、過酸化物化合物(E)、および/またはペルオキシ硫酸アンモニウムのうちの1つである。一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaOをもつが、式中、Eは水素またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり、Haはハロゲンである「インサイチュ」物質を形成させるために前駆化合物または抽出物を加えても、開始剤−修飾剤化合物を「インサイチュで(原位置に)」生成させることができる。
【0036】
好ましくは、重合反応の間、反応溶液のpHを7から14の間に保つ。pHが6から7であると、重合速度が急に低下することが観察されている。開始剤−修飾剤化合物の濃度は、「活性酸素」に応じて決めることができる。好ましくは、この(開始剤−修飾剤化合物の重量による)濃度は、修飾されるポリマーの質量の0.05〜20.0%である。開始剤−修飾剤化合物の濃度が、修飾されるポリマーの質量の0.1から10%の間、好ましくは、0.3から5%の間、および最も好ましくは、0.5から1.0%の間であるときに、良好な結果を得ることができる。
【0037】
ポリマーを顆粒状にして、または懸濁液として反応溶液に加えることも可能である。好ましくは、顆粒は、最大400μm、好ましくは最大200μm、もっとも好ましくは最大150μmの平均直径をもつ粒子から構成されている。アルカリ溶液を形成するためのアルカリ化合物の量は、重量当り10%未満、好ましくは、2%未満、最も好ましくは、重量当り1%未満である。
【0038】
ポリマーの添加は、短時間、例えば20分以内、好ましくは15分以内、また最も好ましくは10分以内に行うことが好ましい。開始剤−修飾剤化合物の溶解は、0から50℃の温度範囲、好ましくは10から40℃の温度範囲、および最も好ましくは15から25℃の温度範囲で行うことができる。
【0039】
本発明を好適に改変させたものによれば、修飾されるポリマーは親水性の超吸収体、好ましくは、アクリル酸またはその塩などのアクリル化合物に由来する親水性の超吸収体である。好ましくは、出発材料として使用される超吸収体は、最大2*10a.u.、好ましくは、最大2*10a.u.、および最も好ましくは、最大6*10a.u.の平均分子量をもつ。
【0040】
好ましくは、反応混合液は、熟成温度20から50℃に1時間よりも長く、好ましくは、3時間よりも長く、最も好ましくは、10時間よりも長く置いて熟成させる。好適な熟成温度時間は、1から20時間の間で、好ましくは3から15時間の間で、および最も好
ましくは5から10時間の間で変化する。熟成処理が長くなるほど良好な結果になることが分かっている。電磁放射線、好ましくは日光、UV光、透過性(γ)および/またはX線照射により反応混合液を照射することによって、重合処理が加速される。ゲル形成水溶性ポリマーを添加する過程および添加後に反応混合液を強く撹拌または混合するのが好ましい。
【0041】
本発明の別の態様によれば、本発明の目的は、請求項1から20の1つによって得ることができる高分子量アクリル系ポリマーでもある。新規のポリマー材料には、平均分子量が0.2×10から15×10a.u.の間にあるという特徴がある。
【0042】
[高分子量アクリル系化合物を製造するための一般的方法]
修飾処理を行うために、ステンレス鋼またはホウロウでできた既知の通常型の反応装置を用いることができる。この反応装置は、ミキサー(150〜300rpm)および熱伝達装置、例えば、熱伝導媒体がその中を循環しているチューブを備えている。
【0043】
まず、この反応装置に水を満たし、アルカリ化合物、好ましくはアルカリ塩を加えて完全に混合する。反応混合液のpHを調節して、好ましくは、pHを7から14の間にする。ただし、反応混合液に加えるアルカリの最大量は、重量(テーブル)当り10%を超えてはならない。
【0044】
アルカリ化合物を溶解した後、適量の開始剤−修飾剤を加える。好適な開始剤−修飾剤化合物は、式中、EがH、NaまたはK、およびHaがハロゲンである一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaOをもつ酸素含有ハロゲン化合物、CaOCl、オゾン、式中EがH、NaまたはKである一般式Eを有する過酸化物化合物、またはペルオキシ硫酸アンモニウムである。反応混合液を、15から25℃の室温で約5から10分間ホモジナイズする。
【0045】
開始剤−修飾剤化合物の濃度は、活性酸素、すなわち原子状酸素に基づいて決定される。活性酸素の濃度は、修飾されるポリマー塊の重量当り0.05〜20.0%の間で変化しうる。活性酸素の最適な含有量は、0.5〜1%の範囲にある。開始剤−修飾剤化合物の量は、修飾されたポリマーの結果的な分子量に重大な影響を与える。修飾剤の含有量が多いほど、修飾されたポリマーの分子量が小さくなる。
【0046】
抽出されたポリマーを反応装置の中に入れて、反応混合液を250〜300rpmで撹拌する。必要があれば、予めポリマーを機械的に粒状化しておいてもよい。好ましくは、この顆粒は、粒子サイズが200μmよりも小さい。基材上で親水性超吸収体として作用する横向きに結合されたポリアクリル酸(SAP、FAWOR、SA、SXなど)を開始ポリマーとして使用する。これらの化合物は市販されており、ダウケミカル(Dow Chemical)、BASF、ストックハウゼン(Stockhausen)、日本触媒(Nippon Shokubai)、住友精化(Sumitomo Saika)、サンダイアポリマーズ(Sun−Dia Polymers)などの会社で製造されている。これらの超吸収体は、水と一緒に不溶性ゲルを形成する。
【0047】
短い時間内にポリマーを反応混合液に加えることが好ましいが、その時間は、溶液内でゲル化するポリマーの急速な膨張を考慮すると、15〜25℃の温度で3〜5分を超えてはならない。反応混合液の均質化およびゲルの形成後に攪拌を停止する。
【0048】
反応混合液に加える開始ポリマーの量は以下の要素によって決まる:開始物質の親水性およびそれが膨張する(不溶性ゲルを形成する)時間、修飾された産物の予想分子量、および、その結果として最終的なポリアクリル酸の考慮すべき粘性。好ましくは、反応混合
液中のポリマー濃度は、0.1から50.0%である。好ましくは、反応混合液中のポリマー濃度は、5から10%の範囲内であり、最適な濃度は約7%である。
【0049】
次に、ゲル様の塊を、反応装置内で20から50℃の温度で5〜10時間熟成させる。熟成処理の後、温度を次第に上昇させて、5から10時間約100から130℃に保つ。
【0050】
この反応処理は、日光、紫外光、透過性(γ)およびX線照射により加速することができる。電磁放射はマクロラジカルの形成を促進するため、これも、架橋ポリアクリル酸の修飾反応を加速する。
【0051】
ゲル様の塊がプラスチック状態に部分的に遷移したら、反応液の混合を開始して(約100〜150rpm)、均一な堅さをもつ反応塊を産生させる。開始剤−修飾剤の残量を除去し、適量のNaSOを加える。
【0052】
【表2】

【0053】
修飾処理が完了した後、水性ポリマー溶液を乾燥させる。水性ポリマー溶液が、得られる反応混合液のpHよりも低いpH値である場合には、適当な酸(例えば、HCl、1:1)を加えて中和させる。
【0054】
上記した処理によって、分子量が約2×10から約15×10の原子単位をもつアクリル系ユニバーサルポリマー「POLYGOR」タイプのポリマーを得ることができる。得られたポリマーは、いくつもの有用な性質によって特徴づけられる。それらは、凝集剤、凝固剤、イオン交換剤、ゲル化剤、および、界面活性剤の洗浄能力および起泡能力を高めるための添加剤としても使用することができる。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

【0062】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル形成性水不溶性ポリマー、特にアクリル型のポリマーから出発して高分子ポリマーを形成する方法であって、
a)少なくとも1つの開始剤−修飾剤化合物を相当量、開始温度で水溶液に溶解する工程
b)この溶液にゲル形成性水不溶性ポリマーを加え、それとともに混合して、このポリマーから粗大凝集体を形成する工程、および、最後に
c)この粗大凝集体を熱または照射によって修飾し、水溶性の高分子ポリマーを形成させる工程
を含む方法。
【請求項2】
粗大凝集体を修飾するために、溶液の温度を、開始温度から高い熟成温度(aging
temperature)まで所定の時間内、間断なく上昇させるか、間隔を置きながら上昇させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
過剰な開始剤−修飾剤化合物を除去するために還元剤を溶液に加える工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
開始剤−修飾剤化合物が、一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaOをもつものであって、式中、
Eは水素またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり、
Haはハロゲンである
請求項1から3いずれか記載の方法。
【請求項5】
開始剤−修飾剤化合物が、CaOCl、オゾン、過酸化物化合物(E)、および/またはペルオキシ硫酸アンモニウムのうちの1つである、請求項1から4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
開始剤−修飾剤化合物が、一般式EHaO、EHaO、EHaO、EHaOをもつ「インサイチュ」物質を形成させるために前駆化合物または抽出物を加えて、「インサイチュで」生成され、上記式中、
Eは水素またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり、
Haはハロゲンである
請求項1から5いずれか記載の方法。
【請求項7】
開始剤−修飾剤化合物の濃度が、「活性酸素」に応じて決められる、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
開始剤−修飾剤化合物の濃度(重量による)が、修飾されるポリマーの質量の0.05〜20.0%である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
開始剤−修飾剤化合物の濃度が、修飾されるポリマーの質量の0.1から10%の間、好ましくは、0.3から5%の間、および最も好ましくは、0.5から1.0%の間である、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
修飾されるポリマーが固体状である、請求項1から9いずれか一項記載の方法。
【請求項11】
ポリマーを顆粒状にして反応溶液に加える、請求項10記載の方法。
【請求項12】
顆粒が、最大400μm、好ましくは最大200μm、および最も好ましくは最大150μmの平均直径をもつ粒子から構成されている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
アルカリ溶液を形成するためのアルカリ化合物の量が、重量当り10%未満、好ましくは、2%未満、および最も好ましくは、重量当り1%未満である、請求項1から12いずれか一項記載の方法。
【請求項14】
開始剤−修飾剤化合物の溶解が、0から50℃、好ましくは10から40℃、および最も好ましくは15から25℃の温度範囲で起きる、請求項1から13いずれか一項記載の方法。
【請求項15】
ポリマーの添加が、20分以内、好ましくは15分以内、および最も好ましくは10分以内に行なわれる、請求項1から14いずれか一項記載の方法。
【請求項16】
修飾されるポリマーが親水性の超吸収体、好ましくは、アクリル酸の基材上にある親水性の超吸収体である、請求項1から15いずれか一項記載の方法。
【請求項17】
反応混合液中のポリマーの濃度が、重量当り0.1%から50.0%の間、好ましくは3%から15%の間、および最も好ましくは、重量当り5から10%の間である、請求項1から16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
反応溶液のpHが、5から14の間、および好ましくは7から12の間である、請求項1から17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
得られた反応物を、熟成温度20から50℃で少なくとも1時間、好ましくは、少なくとも3時間、最も好ましくは、少なくとも10時間熟成させる、請求項1から18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
反応混合液を電磁放射線、好ましくは日光、UV光、透過性(γ)および/またはX線照射によって照射する、請求項1から19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
ゲル形成水溶性ポリマーを添加する過程および添加後に反応混合液を強く撹拌または混合する、請求項1から20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項によって得ることができる高分子量アクリル系ポリマー。
【請求項23】
平均分子量が0.2×10〜15×10a.u.である、請求項22記載のアクリル系ポリマー。
【請求項24】
ポリマーが水溶性である、請求項22または23記載のアクリル系ポリマー。

【公表番号】特表2007−523241(P2007−523241A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553500(P2006−553500)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001367
【国際公開番号】WO2005/080447
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506282230)バルテック・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】WALTECH AG
【Fターム(参考)】