説明

高分子乳化剤および乳化組成物

【課題】界面活性剤を配合しなくても油性成分を乳化できる高分子乳化剤を開発する。
【解決手段】ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする高分子乳化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子乳化剤および該高分子乳化剤により乳化した乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、継続して皮膚刺激の低い成分(皮膚浸透性が低く、低刺激性であり水溶性を有する成分)の開発に取り組み、該成分を含む化粧料の開発を進めている。
たとえば、抗菌性モノマーと水溶性モノマーとの共重合体を抗菌性化合物として化粧料に含ませる発明を提案した。(特許文献1:特許第4174596号公報、特許文献2:特許第4182186号公報)。
【0003】
メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの共重合物は、毛髪固定用高分子として使われることが知られている(特許文献3:特開2002−201116号公報)が、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの単独重合体に界面活性能があり、特定の油性成分に対して乳化、可溶化の機能を発揮し、乳化剤としての用途を有することや、該乳化剤で乳化した乳化組成物を化粧料にすることが可能なことは全く知られていない。
一方、高分子乳化剤としてアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が上市され、それを用いて乳化した乳化組成物や化粧料が知られている(特許文献4:特開平10−194922号公報)。
高分子乳化剤は、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などのいわゆる界面活性剤とは異なるものとして消費者に認知されており、界面活性剤不使用を謳った商品に好んで使用されている。アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体である、例えばPEMULEN(BFGoodrich社製)は、化粧品に用いられる高分子乳化剤の代表的な製品であり、油の種類を問わず乳化できるという特徴がある。
粘度の低い製品向けとしてPEMULEN TR−2(BFGoodrich社製)が市販されているが、粘度は1,500〜5,000mPa・s(0.2%水溶液)であり、例えば、化粧料であれば、適応範囲はクリームや乳液、ジェルである。その為、化粧水などの粘度がほとんど出ない製品において油性成分を乳化する場合には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などの通常の界面活性剤を配合する方法が一般的であり、界面活性剤を配合しなくても油性成分を乳化できる高分子乳化剤の技術開発が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特許4174596号公報
【特許文献2】特許4182186号公報
【特許文献3】特開2002−201116号公報
【特許文献4】特開平10−194922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、化粧水などの粘度がほとんど出ない製品において油性成分を乳化する場合には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などの通常の界面活性剤を配合する方法が一般的であったが、本発明は、界面活性剤を配合しなくても油性成分を乳化できる高分子乳化剤を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、末端置換基がメチル基であるポリエチレングリコール側鎖構造を有するメタクリル酸系化合物をモノマーとする単独重合体に乳化機能があることを知見したことに基づいて、新たな高分子乳化剤を提案する。本発明は、高分子乳化剤および該高分子乳化剤により乳化した乳化組成物である。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする高分子乳化剤。
(2)ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールのポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であることを特徴とする(1)に記載の高分子乳化剤。
(3)分子量がポリスチレン換算で1000以上、100000以下であることを特徴とする(2)記載の高分子乳化剤。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子乳化剤と油性成分を含有することを特徴とする乳化組成物。
(5)油性成分がシリコーン、アルキルグリセリルエーテル、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、精油からなる群から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする(4)に記載の乳化組成物。
(6)油性成分がシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、エチルヘキシルグリセリン、ローズマリー油、オレンジ油からなる群から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする(4)に記載の乳化組成物。
(7)(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子乳化剤と油性成分の質量比率は1:5〜100:1であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の乳化組成物。
(8)界面活性剤を含まないことを特徴とする(4)〜(7)に記載の乳化組成物。
(9)(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子乳化剤を0.02〜20質量%配合したことを特徴とする乳化組成物。
【発明の効果】
【0007】
高分子乳化剤を提供することができた。
本発明の高分子乳化剤で乳化した乳化組成物は、他の界面活性剤を配合しなくても乳化することが可能であり、界面活性剤フリーを謳うことができるので商品価値が高い。
本発明の高分子乳化剤は、特に加熱しなくても常温(5度〜35度)で乳化、可溶化することができるので経済的である。
シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、エチルヘキシルグリセリン、ローズマリー油、オレンジ油を乳化でき、特にエチルヘキシルグリセリン(抗菌成分)や精油(香料成分)といった製品に少量しか配合しない油性成分について可溶化できたので、化粧水や美容液などの化粧料の乳化剤として特に優れている。
乳化剤として機能する配合量で製品の粘度に影響しないので、剤型を選ばずに使用できる。
本発明の高分子乳化剤は非イオン性であり、本発明の乳化組成物に任意に含ませることができる増粘剤の種類は多く、剤型のバリエーション化が豊富である。
本発明の高分子乳化剤で乳化した化粧料は、べたつかず、肌がなめらかになるという使用感の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に適用される重合体は、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを単独重合させて得られるものである。
【0009】
メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテルとメタクリル酸クロリドとを反応させて得ることができる。また、一部は試薬として市販されているものもある。例えば、新中村化学工業株式会社から市販されたNKエステルM−90G(化学名:メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート)や日油株式会社から市販されるブレンマーPME(PME-400:n≒9)をモノマーとして用いることができる。次に、重合体の製造方法については常法に従えば良く、モノマーを溶媒中で重合開始剤の存在下、反応させて得られる。
【0010】
以下に、本発明に係る重合体の合成例を示す。
【0011】
合成例1 ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.0403g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は9)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
【0012】
重合物の分子量をGPCを用いて測定した。その結果、合成例1の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量Mn=15363、質量平均分子量Mw=35680であった。
【0013】
上記の如くして得られる本発明に係る重合体の分子量は、その使用目的に応じて種々調整することができるが、乳化性能、感触面、ゲル化能、皮膜形成能等を勘案した場合、通常はポリスチレン換算で1000以上、100000以下であり、好ましくは2500以上、100000以下である。本発明の化粧料では、上記重合体が化粧料全体に対して、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.02〜20質量%の範囲で含有される。
0.01質量%に満たないと、油性成分を十分に乳化することが困難であり、20質量%を超えるとハンドリングが悪く好ましくない。
本発明において、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは乳化剤として作用する。該重合体を含ませると乳化組成物において併用する他の界面活性剤を減じることができ、あるいは他の界面活性剤を含まなくても優れた乳化組成物を得ることができる。
【0014】
前記高分子乳化剤によって乳化組成物を製造する場合の好ましい油性成分は、シリコーン、アルキルグリセリルエーテル、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、精油などである。
シリコーンとしては、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコンなどが例示できる。アルキルグリセリルエーテルとしては、エチルヘキシルグリセリンが例示できる。精油としては、ローズマリー油やオレンジ油などが例示できる。
シクロペンタシロキサンは環状シリコーンであり、市販品としては、信越化学工業(株)のKF-995等を入手して用いることができる。
シクロヘキサシロキサンは環状シリコーンであり、市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)のシリコンDC246等を入手して用いることができる。
ジメチコンは、鎖状シリコーンであり、市販品としては、信越化学工業(株)の KF-96A-6cs等を入手して用いることができる。
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、ダイマージリノール酸とジエチレングリコールをエステル化したもので、特許第4288306号公報に記載された実施例1の油剤(DEG−DA5)を例示できる。
エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンと2−エチルヘキシルアルコールのエーテルであり、市販品としては、Schulke&Mayr GmbH社製のSENSIVA SC50等を入手して用いることができる。
ローズマリー油は、マンネンロウ(植物)から得られる精油であり、市販品としては、PAYAN & BERTRAND社のローズマリー油等を入手して用いることができる。
オレンジ油は、オレンジの果皮から抽出した精油であり、市販品としては、小川香料(株)の日本薬局方オレンジ油等を入手して用いることができる。
なかでも、製品への抗菌作用を目的として配合されるエチルヘキシルグリセリン、製品への賦香を目的として配合されるローズマリー油やオレンジ油などの精油成分は、少量で目的(抗菌、賦香)とする効果を化粧料に付与することができる油性成分であるが、本発明の乳化剤で可溶化することが出来るため特に好ましい油性成分として例示できる。また、シリコーンの乳化状態は特に優れていたので特に好ましい油剤として例示できる。
本発明の高分子乳化剤は極性が低い油は乳化が難しい傾向がある。例えば、スクワランについては 本発明の乳化剤のみで乳化する場合には相溶性が良くないことから乳化状態が不良となり好ましくない。
【0015】
他の界面活性剤を含ませずに本発明の高分子乳化剤のみで乳化させる場合は、油性成分の配合量は20質量%以下が好ましい。
油性成分の1/5倍量の本発明の高分子乳化剤を処方中に含ませると乳化、可溶化に好ましい。化粧水や乳液や美容液などの乳化組成物の場合、本発明の高分子乳化剤と油性成分の質量比率は1:5〜100:1が好ましい。本発明の高分子乳化剤が油性成分の1/5倍量に満たないと、乳化が不完全になる場合があり好ましくない。
【0016】
本発明の高分子乳化剤は、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの単独重合体そのものが乳化剤となるが、任意に水や多価アルコール、エタノールなどの水溶成分と混合して乳化剤とすることができる。本発明の乳化剤を水溶成分と混合して粘度を調整することでハンドリングが良い乳化剤となる。
多価アルコールを含ませると、油性成分との相溶性が向上するので好ましい。多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ポリエチレングリコール等が例示できる。特に、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
【0017】
本発明の乳化組成物は、皮膚外用医薬、皮膚外用医薬部外品、化粧料に適する。
本発明の高分子乳化剤、乳化組成物、皮膚外用剤(医薬、医薬部外品、化粧料)には、任意成分として発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられている成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、保香剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤その他の美容成分、薬効成分などを配合することができる。
増粘剤を含ませると、乳化組成物の安定性がさらに向上する場合がある。また、乳化組成物の剤型のバリエーションを増やすことができる。
増粘剤としては、水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでもよい。たとえば、天然高分子としては、トラガントガム、カラヤガム、キサンタンガム、グアガム、カチオン化グアガム、アニオン化グアガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジュランガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、クインスシード、デキストラン、等が例示できる。半合成高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト等が例示できる。合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ジアルキルポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、合成スメクタイト、等が例示できる。これらの配合量は、好ましくは0.01〜3%であり、さらに好ましくは0.1〜2%である。配合量が0.01%に満たないと、増粘効果が十分でなく、3%を超えるとぬるつきが生じたり、べたついたりするので好ましくない。
【0018】
本発明の乳化組成物は、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パックなどの化粧料にすることができる。特に、化粧水に好ましく利用される。増粘剤を含ませて、美容液、乳液、クリーム、パックなどにすることができる。
【実施例】
【0019】
本発明の高分子乳化剤を用いて実施例1〜18および比較例1〜6の乳化組成物を調製し、乳化状態を評価した。
【0020】
(乳化組成物の調製方法)
合成例1を含有する水溶液(A)と油性成分(B)を混和した溶液を、精製水(C)に投入しながらホモミキサー(9000rpm、2分、室温)を用いて乳化し、さらに水性成分(D)を混和して乳化組成物を調製した。
【0021】
〔乳化状態の評価〕
(相溶性の評価)
合成例1を含有する水溶液(A)と油性成分(B)を混和したときの溶解状態を下記の基準により目視評価した。この評価は、本乳化に進む前に本発明品の高分子乳化剤と油性成分との相溶性を評価することで、本乳化の結果を予測する評価になる。
○;透明
△;半透明
×;混和しない
【0022】
(乳化組成物の乳化状態の評価)
実施例1〜18および比較例1〜6の乳化組成物の乳化状態を下記基準により目視評価した。乳化粒子径(体積平均)はレーザー回折式粒度分布計により測定した。
○;良好に乳化している
△;表面に油性成分のにじみがある又は油滴が少し浮いている
×;完全分離または明らかな油滴がある
【0023】
〔使用感評価〕
女子被験者(23〜55歳)10名に、実施例及び比較例の乳化組成物を顔面全体に塗布し、塗布後の使用感を評価した。
(評価基準)
○;べたつかず、滑らかな感触である
×;べたつく
(判定)
○;評価基準で8名〜10名が○と評価した
△;評価基準で7名〜5名が○と評価した
×;評価基準で4名〜1名が○と評価した
【0024】
合成例1を含む乳化組成物の乳化状態、使用感を評価した結果を表1〜表4に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
表1(実施例1〜7)に示すとおり、合成例1の重合体は、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、エチルヘキシルグリセリン、ローズマリー油、オレンジ油を乳化することができた。実施例1〜7の乳化組成物は、べたつかずに滑らかな感触であり優れた使用感であった。実施例5と実施例6の乳化組成物は光散乱挙動から粒子サイズを測定するレーザー回折式粒度分布計では粒子径を測定できないほど乳化組成物が透明であり、油性成分が可溶化された状態であった。ここで、透明とは、直径4cmの透明ガラス製円筒容器に入れた乳化組成物が、同様の容器に精製水を入れたものと比較したときに目視でほとんど識別できないレベルである。実施例1〜7の乳化組成物の粘度は、B型粘度計で測定できる限界値10mPa・s以下であった。
【0029】
表2に示すとおり、油性成分であるシクロペンタシロキサンの配合量を0.2、1.0、2.0、5.0にした実施例8〜11においても、合成例1の重合体を1質量%配合することにより乳化できた。実施例11、実施例13に示すとおり、合成例1の重合体の配合量の5倍量にあたるシリコーン(シクロペンタシロキサン、ジメチコン)を乳化することができた。油性成分をシクロペンタシロキサン、ジメチコン、ローズマリー油のいずれかにして、合成例1の重合体の配合量を増減させた実施例12〜15の乳化組成物は、いずれも乳化状態は良好であった。
実施例8〜15の乳化組成物は、べたつかずに滑らかな感触であり優れた使用感であった。実施例8〜11、13、15の乳化組成物の粘度は、B型粘度計で測定できる限界値10mPa・s以下であった。
【0030】
次に乳化組成物を調製するときの多価アルコールの効果を評価した。結果を表4に示す。
【0031】
【表4】

乳化組成物に多価アルコール(1,3−ブチレングリコール)を含ませると、油性成分との相溶性がよくなり、乳化状態も良好であった。
【0032】
処方例1 化粧水
(配合成分) (質量%)
1.精製水 残部
2.グリセリン 10
3.メチルパラベン 0.1
4.クエン酸 0.01
5.クエン酸ナトリウム 0.05
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.ローズマリー油 0.003
8.合成例1で得た重合体 0.3

(製法)
1〜5の成分を70℃で加温溶解し、30℃に冷却後、予め混合した6〜8を添加し、均一に攪拌混合する。
【0033】
処方例1の化粧水は、透明であった。べたつかず、肌がなめらかになり心地よい使用感であった。保存安定性も良好であった。
【0034】
処方例2 ジェル状美容液
(配合成分) (質量%)
(A)
1.精製水 残部
2.カルボキシビニルポリマー 0.3
3.キサンタンガム 0.1
4.グリセリン 10
5.フェノキシエタノール 0.3
6.水酸化カリウム 0.09
(B)
7.精製水 30
8.シクロペンタシロキサン 1
9.合成例1で得た重合体 1
10.1,3−ブチレングリコール 1.5
11.精製水 2.5

(製法)
(A)1〜5を70℃で加温溶解し、6を加えて30℃に冷却する。(B)8〜11を混合後7に添加しホモミキサーを用いて乳化する。(A)と(B)を均一に攪拌混合する。
【0035】
処方例2のジェル状美容液は、白濁した外観であり、保存安定性に優れていた。べたつかず、肌がなめらかになり心地よい使用感であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする高分子乳化剤。
【請求項2】
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールのポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であることを特徴とする請求項1に記載の高分子乳化剤。
【請求項3】
分子量がポリスチレン換算で1000以上、100000以下であることを特徴とする請求項2記載の高分子乳化剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の高分子乳化剤と油性成分を含有することを特徴とする乳化組成物。
【請求項5】
油性成分がシリコーン、アルキルグリセリルエーテル、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、精油からなる群から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項4に記載の乳化組成物。
【請求項6】
油性成分がシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ジメチコン、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル、エチルヘキシルグリセリン、ローズマリー油、オレンジ油からなる群から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項4に記載の乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の高分子乳化剤と油性成分の質量比率は1:5〜100:1であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項8】
界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項4〜7に記載の乳化組成物。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の高分子乳化剤を0.02〜20質量%配合したことを特徴とする乳化組成物。

【公開番号】特開2012−31087(P2012−31087A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171291(P2010−171291)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】