説明

高分子光開始剤

本発明は、光活性部分Q及びアミン官能基、好ましくは第3アミノ基を含む高分子光開始剤化合物に関し、光活性部分Qはベンゾイル光活性部分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規高分子光開始剤、それらの製造法並びに光重合性組成物における使用に関する。
【0002】
当該技術分野で、グリシドキシ化ベンゾフェノンのアミン化合物に対する開環付加反応が記載されている。たとえば、US3474071では、MW10000以上のグリシドキシ化ベンゾフェノンのアミン末端ポリカーボンアミド(ナイロン)への開環付加が記載されている。GB2403478は、ピペラジニル−ベンゾフェノンのオリゴアクリレートに対するマイケル付加を開示している。Surface Coatings International, Part B:Coatings Transactions 2004, 87(B2), 127−135では、アクリロイル化2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンのジアミンに対するマイケル付加が提示されている。
【0003】
硬化処方に保つために十分な分子量を有することに加えて、良好な反応性プロフィールを提供する光開始剤化合物が必要とされる。高分子量光開始剤化合物は、通常、低い移動可能性を有するが、一般的に、低分子量化合物と比較して反応性の損失を被る。
【0004】
本発明は、グリシドキシ化ベンゾフェノンのジアミン及びオリゴアミンに対する開環付加により製造される高分子光開始剤を記載する。このようにして得られる生成物は、安価かつ有効である。そのような高分子光開始剤は、低移動/低発光用途において特に興味深い。
【0005】
本発明の対象は、したがって、光活性部分Q及びアミン官能基、好ましくは第3アミノ基を含む光開始剤化合物であり、ここで
Qは、光活性部分
【化1】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を表す)であり;
g及びg’は、互いに独立して、0〜5の整数、特に0、1又は2であり;
1及びR’1は、互いに独立して、水素、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル、OC1〜C3アルキル、OR3、NO2、CN、(CO)OR2又はハロゲンであり;
Zは、基
【化2】

(式中、二重星印(**)はフェニル環に対する結合を表し、星印(*)は窒素原子に対する結合を表す)であり;
Xは、O、S又はOCH2CH2Oであり;
2は、水素又は直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであり;そして
3は、水素又は(CO)CH3である。
【0006】
本発明の化合物は、光開始剤と1分子中のアミン部分とを組み合わせることを特徴とし、これらは高い硬化速度を示し、このことは予想できなかった。
【0007】
化合物は、低移動/低発光用途、たとえば食品包装用印刷インクに潜在的に有用なベンゾフェノン型高分子光開始剤である。
【0008】
基準に対して増大した反応性は、共開始剤として作用し、そして酸素阻害を減少させることにより硬化速度を増大させる、骨格中に存在する第3アミノ基により提供される。これは、たとえば印刷インクなどの薄膜用途で特に有用な特性である。
【0009】
本発明において、低分子量光開始剤の骨格に対する化学結合は、その代わりに3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルエーテル基によって提供される。これらの基は、熱分裂及び加水分解の両方に関して本質的に安定であり、したがって低分子量光開始剤の望ましくない放出を排除する。
【0010】
式(1)
【化3】

(式中
4及びR5は、互いに独立して、
光活性部分Q;
水素;
場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;
或いはR4及びR5は、1以上の同一又は異なるY1により中断される直線若しくは分枝C2〜C20アルキル(この中断されたC2〜C20アルキルは、場合によって1以上の同一又は異なるY2により置換されている)であるか;
或いはR4及びR5は、場合によって1以上の同一又は異なるY3で置換されたC6〜C14アリールであるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−C1〜C20アルキル(ここで、C6〜C14アリール部分は、場合によって、1以上の同一又は異なるY3により置換され、そしてC1〜C20アルキル部分は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換されている)であるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−C2〜C20アルキル(ここで、C2〜C20アルキル部分は1以上の同一若しくは異なるY1により中断され、C6〜C14アリール部分は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY3により置換され、そして前記中断されたC2〜C20アルキル部分は置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−Y−C1〜C20アルキル(ここで、C1〜C20アルキル部分は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換され、そしてC6〜C14アリール部分は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY3により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−Y−C2〜C20アルキル(ここで、C2〜C20アルキル部分は、1以上の同一若しくは異なるY1により中断され、C6〜C14アリール部分は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY3により置換され、そして前記中断されたC2〜C20アルキル部分は置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、場合によって1以上の同一又は異なるY2及び/又はC1〜C3アルキルにより置換されたC5〜C12シクロアルキルであるか;
或いはR4及びR5は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化4】

を形成するか;
或いはR4及びR5は、互いに独立してE−R9基であり;
6は、R4及びR5について記載されるような意味のうちの1つを有するか、又はN(R10)(R11)、OR12、E1−R13基、E2−R14基、E3−R15基若しくは
【化5】

であり、
qは0又は1であり;
Qは光活性部分
【化6】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を示す)であり;
g及びg’は、互いに独立して、0〜5の整数、特に0、1又は2であり;
1及びR’1は、互いに独立して、水素、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル、OC1〜C3アルキル、OR3、NO2、CN、(CO)OR2又はハロゲンであり;
Zは、基
【化7】

(式中、二重星印(**)はフェニル環に対する結合を表し、星印(*)は窒素原子に対する結合を表す)であり;
Xは、O、S又はOCH2CH2Oであり;
2は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
3は、水素又は(CO)CH3であり;
Yは、O、S又はN(R16)であり;
1は、N(R16)、O、S、S−S、C(R17)=C(R18)、フェニレン、C5〜C6シクロアルキレン、
【化8】

(式中、同じ分子中の複数のY1は、同一であるか又は異なる)であり;
2は、N(R10)(R11)、OR12、SQ、C(R17)=(R182、(CO)OR2、C6〜C14アリール又はY−C6〜C14アリール(このC6〜C14アリール若しくはY−C6〜C14アリールは、場合によって、Y3により置換され、この場合、同じ分子中の複数のY2は同一若しくは異なっている)であり;
3は、ハロゲン、CN、NO2、OQ、SQ、OR12、N(R10)(R11)、(CO)OR2、SO3H;フェニル若しくはOフェニル(ここで、フェニル若しくはOフェニルは、場合によって1以上のハロゲン、直線状又は分枝C1〜C3アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C3アルキルにより置換されている)であるか;
或いはY3は、場合によって1以上のハロゲンにより置換された直線状又は分枝C1〜C6アルキルであるか;
或いはY3は、場合によってCN、SQ、OR12、N(R10)(R11)又は(CO)OR2により置換された直線状又は分枝C1〜C3アルキル(ここで、同じ分子中の複数のY3は、同一又は異なっている)であり;
7及びR8は、互いに独立して、光活性部分Q、水素、場合によって、OR12、CN、C(R17)=C(R182、C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールによって置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル(ここで、前記C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールは、場合によって、OR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状又は分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されている)であるか;
或いはR7及びR8は、1以上のO、(CO)O、O(CO)、C(R17)=C(R18)により中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によって、OR12、C(R17)=C(R182又はNR1011により置換されている)であるか;
或いはR7及びR8は、場合によってOR12より置換されたC5〜C6シクロアルキルであるか;
或いはR7及びR8は、場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状又は分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されたC6〜C14アリールであり;
9は、水素、G2−N(R10)(R11)、直線状又は分枝C1〜C20アルキル、直線状若しくは分枝C2〜C6アルケニル、フェニル、フェニル−C1〜C20アルキル又は(CO)CH3であり;
10及びR11は、互いに独立して、光活性部分Q、水素、場合によってOR12、CN、C(R17)=C(R182、(CO)OR2、C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル(ここで、前記C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールは、場合によって、OR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されている)であるか;
或いはR10及びR11は、1以上のO、(CO)O、O(CO)、C(R17)=C(R18)により中断された直線状若しくは分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12、C(R17)=C(R182又はN(C1〜C6アルキル)2により置換されている)であるか;
或いはR10及びR11は、場合によってOR12より置換されたC5〜C6シクロアルキルであるか;
或いはR10及びR11は、場合によって、OR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されたC6〜C14アリールであるか;
或いはR10及びR11は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化9】

を形成し;
R’7及びR’8は、互いに独立して、R7及びR8について記載した意味のうちの1つを有し;
12は、R2について記載した定義のうちの1つを有するか、又は(CO)CH3であり;
13は、水素、N(R10)(R11)、OH、O(CO)CH3又はOC2〜C6アルケニルであり;
14はN(R10)(R11)であり;
15は、水素又はN(R10)(R11)であり;
16は、R7及びR8について記載した意味のうちの1つを有するか、又は−G−N(R19)(R20)基であり;
17及びR18は、互いに独立して、R2について記載した定義のうちの1つを有し;
19及びR20は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義のうちの1つを有するか;
或いはR19及びR20は、互いに独立して、−G1−N(R21)(R22)基であり;
G及びG1は、互いに独立して、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;
21及びR22は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義のうちの1つを有し;
Eは、基
【化10】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を表す)であり;
複数存在する部分
【化11】

におけるG2は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
複数存在する部分
【化12】

におけるaは、独立して1〜50の整数であり;
1は、基
【化13】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を表す)であり;
複数存在する部分
【化14】

におけるMは、同一又は異なり、O又はN(R16)であり;
eは0又は1であり;
複数存在する部分
【化15】

におけるG3は、同一又は異なり、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;
b+c+dの合計は1〜50の整数であり;
23は、水素又は直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;
或いはR23は、eが1である場合、さらに基
【化16】

であり;この場合、f+b+c+dの合計は1〜50の整数であり;
複数存在する部分
【化17】

におけるG4は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
24は、R13について記載した定義のうちの1つを有し;
2は、基
【化18】

であり;
3は、場合によってフェニレンで縮合された5又は6員芳香族若しくは脂肪族環を含む二価環系(この5若しくは6員非縮合若しくは縮合芳香環は1以上の同一又は異なるYを含むか、又はこの非縮合又は縮合脂肪族環は1以上の同一又は異なるY’を含み、この二価環系は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY3により置換される)であり;
Y’は、Yについて記載した定義のうちの1つを有するか、又は(CO)であり;
25及びR’25は、互いに独立して、直線状又は分枝C1〜C6アルキルであり;
26及びR27は、互いに独立して、水素、場合によってハロゲンにより置換された直線状又は分枝C1〜C6アルキルであるか、
或いはR26及びR27は、それらが結合しているC原子と一緒になって、基
【化19】

を形成し;
5は、シクロヘキシレン又はフェニレン(このシクロヘキシレン又はフェニレンは場合によって直線状又は分枝C1〜C6アルキルにより置換される)であり;
6はシクロヘキシレン又はフェニレン(このシクロヘキシレン又はフェニレンは、場合によって直線状又は分枝C1〜C6アルキル又はN(R10)(R11)により置換される)であり;
7は、G5について記載された定義のうちの1つを有し;
8は、直接結合又は**−Oフェニレン(ここで、二重星印(**)は芳香環に対する結合を表す)であり;
9は、直接結合、C(R26)(R27)、O、S、SO2、N(R16)又は
【化20】

であり;そして
28及びR’28は、直線状又は分枝C1〜C6アルキル、ハロゲン、NO2又は(CO)OR2である;
ただし、
式(1)の化合物は、少なくとも1つのQ基を含み、
そして分子中の所定のアミン部分の少なくとも1つは第3アミンであるとする)により表される前記光開始剤化合物が特に興味深い。
【0011】
1〜C20アルキルは直線状又は分枝であり、たとえば、C1〜C18−、C1〜C14−、C1〜C12−、C1〜C8−、C1〜C6−、C1〜C4アルキル又はC1〜C3アルキルである。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシルである。C1〜C6アルキル及びC1〜C3アルキルは、対応するC原子数までC1〜C20アルキルについて前述と同じ意味を有する。
【0012】
1以上の同一又は異なるラジカル(たとえば前記定義のY1)により中断されているC2〜C20アルキルは、たとえば、1〜25、1〜20、1〜18、1〜12、1〜10、1〜9、1〜7又は1又は2回中断されている。中断されたC2〜C20アルキルは、直線状又は分枝であり、例えば中断されたC2〜C12−、C2〜C10−、C2〜C8−、C4〜C20−、C4〜C12−又はC2〜C18アルキルである。基が複数のラジカル又は基、たとえばY1により中断されている場合、前記ラジカル又は基、例えばY1は、少なくとも1つのメチレン基により互いに隔てられ、すなわち、Y1は非連続的である。例は、次の構造単位である:−CH2−Y1−CH3、−CH2CH2−Y1−CH2CH3、−[CH2CH21y−CH3(y=1−9)、−(CH2CH2Yr17CH2CH3、−CH2−CH(CH3)−Y1−CH2−CH2CH3、又は−CH2−CH(CH3)−Y1−CH2CH3(これらの例は、特にY1がOである場合に当てはまる)。
【0013】
中断されたC2〜C18アルキルは、対応するC原子数まで前記と同じ意味を有する。
【0014】
ハロ−C1〜C6アルキル及びハロ−C1〜C3アルキルは、1以上のハロゲンで置換された前記定義の直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又はC1〜C3アルキルである。ハロゲンは、アルキル基の全水素原子を置換していてもよいが、好ましくは、1個のハロゲンのみが存在し、この場合、ハロゲンは以下で定義するとおりである。
【0015】
5〜C12シクロアルキルは、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、特にシクロペンチル及びシクロヘキシル、好ましくはシクロヘキシルである。
【0016】
1以上の同一又は異なるY2で置換された、アルキル、中断されたアルキル及びシクロアルキルは、たとえば1〜4回、1〜3回又は1回又は2回、Y2により置換されている。
【0017】
フェニル−C1〜C20アルキルとは、フェニルにより置換された、前述の直線状又は分枝C1〜C20アルキルを指す。例は、ベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、フェニルドデシル等、又はα,α−ジメチルベンジル、特にベンジルである。
【0018】
6〜C14アリールは、たとえばフェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリル、特にフェニル又はナフチル、好ましくはフェニルである。
【0019】
置換されたC6〜C14アリールは、例えば1〜5回、たとえば1回、2回又は3回、特に1回又は2回置換されている。
【0020】
6〜C14アリール−C1〜C20アルキルは、前記のC6〜C14アリールで置換された、前記の直線状又は分枝C1〜C20アルキルを指す。
【0021】
2〜C20アルキル部分が1以上の同一又は異なるラジカル(たとえば前記定義のY1)により中断されているC6〜C14アリール−C2〜C20アルキルは、前記定義の中断されたC2〜C20アルキルを指し、これは前記定義のC6〜C14アリールで置換されている。
【0022】
2〜C20アルキル部分が1以上の同一又は異なるラジカル(たとえばY1)により中断されているC6〜C14アリール−Y−C1〜C20アルキル及びC6〜C14アリール−Y−C2〜C20アルキルの定義において、C6〜C14アリール、C1〜C20アルキル及び中断されたC2〜C20アルキルは前記定義のとおりである。
【0023】
ハロゲンとは、Br、Cl、F及びI、特にBr及びClを指し、特に、ハロゲンが芳香環で直接結合している場合はClを指し;一方、Fはアルキル基の置換基として、又芳香族環の側鎖としてのアルキル基の置換基として好ましい。
【0024】
2〜C6アルケニルは、一又は多不飽和直線状又は分枝であり、たとえばC2〜C4アルケニルである。例は、アリル、メタリル、ビニル、1,1−ジメチルアリル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ペンタジエニル又は5−ヘキセニル、特にアリル又はビニルである。
【0025】
2〜C6アルキレンは、直線状又は分枝アルキレン、たとえばメチレン、エチレン、プロピレン、1−メチルエチレン 1,1−ジメチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチル−プロピレン、ペンチレン又はヘキシレンである。
【0026】
5〜C6シクロアルキレンはシクロペンチレン又はシクロヘキシレンである。
【0027】
3について定義される二価環系の包括的でない例は、
【化21】

(式中、Yは、O、S又はN(R16)(前記定義のとおり)を示す)である。
【0028】
この文脈での「及び/又は」或いは「又は/及び」という用語は、所定の選択肢(置換基)のうちの1つだけでなく、複数の所定の選択肢(置換基)も存在し得ること、すなわち異なる選択肢(置換基)の混合物も存在し得ることを意味する。
【0029】
「少なくとも」という用語は、1つ又は2以上、たとえば1又は2又は3、好ましくは1又は2を規定することを意味する。
【0030】
「場合によって置換された」という用語は、言及される基が、置換されていないか、又は置換されているかのいずれかであることを意味する。
【0031】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲全体にわたって、文脈で特に要求されない限り、「comprise(含む)」という語、又は語尾変化、たとえば「comprises」若しくは「comprising」は、明示された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を包含することを意味するのであって、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外することを意味するのではない。
【0032】
本出願の文脈での「(メタ)アクリレート」は、アクリレート並びに対応するメタクリレートを指すことを意味する。
【0033】
本発明の文脈における本発明の化合物についてこの文脈で示される選択は、特許請求の範囲の全ての範疇、すなわち混合物、組成物、使用、方法、コーティングされた基体のクレームも指すことが意図される。
【0034】
式(1)の光開始剤化合物は、少なくとも1つのQ基を含む。式(1)の光開始剤化合物は、例えば少なくとも1つのQ基及び少なくとも1つのアミン官能基、好ましくはtert−アミン官能基を含む。
【0035】
本発明の光開始剤化合物は、例えば、5000g/molまで、好ましくは2500g/molまで、又は例えば500〜5000g/mol、750〜5000g/mol、好ましくは500〜2500g/mol又は750〜2500g/molの分子量を有する。
【0036】
aは、互いに独立して、1〜50の整数であり;例えば2〜50、1〜30、10〜50、1〜40、1〜10である。分子内の異なる基
【化22】

中のaは、同一又は異なっている。
【0037】
b+c+dの合計は、1〜50の整数であり;例えば、2〜50、1〜30、10〜50、1〜40、1〜10である。
【0038】
g及びg’は、特に、0、1又は2であり、たとえば0又は1であり、特に0である。
【0039】
1及びR’1は、例えば互いに独立して、水素、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又はハロゲンであり;特に水素又は直線状若しくは分枝C1〜C1アルキルであり、特に水素である。
【0040】
Zは、例えば基
【化23】

である。或いは、Zは、例えば基
【化24】

である。Zは、特に、基
【化25】

である。
【0041】
Xは、例えばO又はSであるか、或いは、Xは、例えばO又はOCH2CH2Oである。Xは、好ましくはOである。
【0042】
4及びR5は、例えば互いに独立して、光活性部分Q;
場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;
或いはR4及びR5は、1以上の同一又は異なるY1により中断された直線状若しくは分枝C2〜C20アルキル(この中断されたC2〜C20アルキルは、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5はC6〜C14アリール−C2〜C20アルキル(ここで、C2〜C20アルキル部分は、1以上の同一又は異なるY1により中断され、ここでC6〜C14アリール部分は、場合によって1以上の同一又は異なるY3により置換され、ここで、前記の中断されたC2〜C20アルキル部分は置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2及び/又は直線状若しくは分枝C1〜C3アルキルにより置換されたC5〜C12シクロアルキルであるか;
或いはR4及びR5は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化26】

を形成するか;
或いはR4及びR5は、互いに独立して、E−R9基である。
【0043】
例えば、R4及びR5は、互いに独立して、光活性部分Q;
場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであり;又はE−R9基である。
【0044】
特に、R4及びR5は、互いに独立して、光活性部分Qである。
【0045】
6は、例えば前記定義のR4及びR5について記載した意味のうちの1つを有するか、又はE1−R13基、E2−R14基、E3−R15基若しくは
【化27】

である。
【0046】
6は、例えば、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2によって置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;又はR6は、E−R9基若しくはE1−R13基である。
【0047】
Yは、たとえばO若しくはSであるか;又はたとえばO若しくはN(R16)であるか;又はたとえばS若しくはN(R16)であり;好ましくは、YはOである。
【0048】
1は、たとえばN(R16)、O、S若しくはS−Sであるか;又は例えば、N(R16)、O若しくはSであるか;又は例えばN(R16)若しくはO;N(R16)若しくはSであるか;又はO又はSである。
【0049】
2は、例えば、N(R10)(R11)、OR12、SQ、C(R17)=(R182若しくは(CO)OR2であるか;又はY2は、例えば、N(R10)(R11)、OR12、SQ若しくは(CO)OR2であるか;又は例えば、N(R10)(R11)若しくはOR12、特にN(R10)(R11)である。
【0050】
3は、例えば、ハロゲン、CN、NO2、OQ、SQ、OR12、N(R10)(R11)、(CO)OR2、SO3H;フェニル若しくはOフェニルであるか;又はY3は、場合によって1以上のハロゲンにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;或いはY3は、場合によってCN、SQ、OR12、N(R10)(R11)若しくは(CO)OR2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C3アルキルであるか;
或いはY3は、例えば、SQ、OR12、N(R10)(R11)、(CO)OR2、フェニル若しくはOフェニル又は場合によって1以上のハロゲンにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;又は例えば、OR12若しくはN(R10)(R11)である。
【0051】
7及びR8は、互いに独立して、たとえば光活性部分Q、水素、
場合によってOR12、CN、C(R17)=C(R182、C6〜C14アリール若しくはOC6〜C14アリールにより置換された直線状又は分枝C1〜C6アルキル(ここで、前記C6〜C14アリール若しくはOC6〜C14アリールは、場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されている)であるか;
或いはR7及びR8は、O、(CO)O、O(CO)、C(R17)=C(R18)によって中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12、C(R17)=C(R182又はN(C1〜C6アルキル)2によって置換されている)であるか;
或いはR7及びR8は、例えば光活性部分Q又はOにより中断された直線状若しくは分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12により置換されている)である。
【0052】
R’7及びR’8は、互いに独立して、前記R7及びR8について記載した意味のうちの1つを有する。
【0053】
9は、例えば、水素、N(R10)(R11)、G2−N(R10)(R11)、直線状若しくは分枝C1〜C20アルキル、直線状若しくは分枝C2〜C6アルケニル、フェニル、フェニル−C1〜C20アルキル又は(CO)CH3であるか;或いは例えば、水素、N(R10)(R11)、又は直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;或いは例えば、N(R10)(R11)、G2−N(R10)(R11)、直線状又は分枝C1〜C20アルキル、特にN(R10)(R11)である。
【0054】
10及びR11は、互いに独立して、例えば、光活性部分Q、水素、場合によってOR12により置換された直線状又は分枝C1〜C6アルキルであるか;
或いはR10及びR11は、O、(CO)O、O(CO)により中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12又はN(C1〜C6アルキル)2により置換されている)であるか;
或いはR10及びR11は、場合によってOR12より置換されたC5〜C6シクロアルキルであるか;
或いはR10及びR11は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化28】

を形成するか;
或いはR10及びR11は、互いに独立して、例えば光活性部分Qであるか;
或いはR10及びR11は、Oにより中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12又はN(C1〜C6アルキル)2により置換されている)であり;
10及びR11は、特に互いに独立して、例えば光活性部分Qであるか;
或いはR10及びR11は、Oにより中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12により置換されている)である。
【0055】
12は、例えばR2について記載した定義のうちの1つを有し、特に水素であり;
13は、例えば水素、N(R10)(R11)又はOHであるか;又は例えば水素、N(R10)(R11)又はO(CO)CH3であるか;又は例えば水素、N(R10)(R11)又はOC2〜C6アルケニルであり;特にN(R10)(R11)である。
【0056】
16は、例えばR7及びR8について記載した意味のうちの1つを有し;R16は、例えば光活性部分Qであるか、又はOによって中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキルであり、この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12により置換されている。
【0057】
17及びR18は、互いに独立して、R2について記載した定義(前記R2について記載した選択性を包含する)のうちの1つを有する。
【0058】
19及びR20は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義(前記R10及びR11について記載した選択性を包含する)のうちの1つを有するか、又はR19及びR20は、互いに独立して、−G1−N(R21)(R22)基であり;
21及びR22は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義(前記R10及びR11について記載した選択性を包含する)のうちの1つを有する。
【0059】
Eは、基
【化29】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)である。
【0060】
複数の部分
【化30】

中のG2は、同一又は異なり、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;言い換えると、前記構造単位中のアルキレンG2は、必ずしも各単位中で同じ数のC原子を有さなくてもよい。すなわち、基は、例えば、
【化31】

などである。
【0061】
複数存在する部分
【化32】

中のMは、同一又は異なり、O又はN(R16)であり;言い換えると、1分子中の複数のMは、所定の分子の異なる部分について同時にO及びNR16の両方の意味を有し得る。
【0062】
複数の、場合によって異なる部分
【化33】

中のaは、各部分について独立して、1〜50の整数であり;例えば、1〜25、2〜25、1〜15又は例えば2〜15の整数である。言い換えると、aの値は、複数の基
【化34】

について必ずしも同じである必要はない。
【0063】
eは0又は1であり、特に1である。
【0064】
1は、基
【化35】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)である。
【0065】
複数の部分
【化36】

中のG3は、同一又は異なり、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンである;言い換えると、前記構造単位中のアルキレンG2は、各単位中で必ずしも同じ数のC原子を有する必要はない。すなわち、基は、例えば
【化37】

等から構成され得る。さらに、同じ分子において、
【化38】

中の複数のG3は、必ずしも同じである必要はない。
【0066】
b+c+dの合計は、1〜50の整数であり;例えば、1〜25、2〜25、1〜15の整数、又は例えば2〜15である。
【0067】
23は、例えば水素又は直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル、特に直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか、又はR23は、eが1である場合、さらに、基
【化39】

であり;この場合、f+b+c+dの合計は1〜50の整数である。好ましくは、R23は直線状又は分枝C1〜C6アルキルである。
【0068】
複数の部分
【化40】

中のG4は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンである;言い換えると、前記構造単位中のアルキレンG2は各単位中で必ずしも同じ数のC原子を有する必要はない。G2及びG3について前記したのと同様である。
【0069】
24は、R13について記載した定義(前記のR13についての選択性を包含する)のうちの1つを有する。
【0070】
2は、例えば、基
【化41】

である。
【0071】
3は、例えば、場合によってフェニレンにより縮合した5若しくは6員芳香族若しくは脂肪族環を含む二価環系であり、この5若しくは6員非縮合若しくは縮合芳香環は、1以上の同一若しくは異なるYを含むか、又はこの5若しくは6員非縮合若しくは縮合脂肪族環は1以上の同一又は異なるY’を含み、この二価環系は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY3により置換され;具体例は前記のとおりである。E3は、例えば、
【化42】

である。
【0072】
26及びR27は、例えば互いに独立して、水素、場合によってハロゲンにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;又は例えば、水素、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;或いはR26及びR27は、例えばそれらが結合しているC原子と一緒になって、基
【化43】

を形成し;R26及びR27は、特に例えば水素、直線状又は分枝C1〜C6アルキルである。
【0073】
5は、例えば、シクロヘキシレン又はフェニレンであり、このシクロヘキシレン又はフェニレンは、場合によって直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルにより置換され;特に、G5は、非置換シクロヘキシレン又はフェニレンである。
【0074】
6は、シクロヘキシレン又はフェニレンであり、このシクロヘキシレン又はフェニレンは、場合によって直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又はN(R10)(R11)により置換され;特に、G6は、非置換シクロヘキシレン又はフェニレンである。
【0075】
7は、G5について記載した定義(前記G5について記載した選択性を包含する)のうちの1つを有する。
【0076】
8は、例えば直接結合又は**−Oフェニレン(ここで、二重星印(**)は芳香環に対する結合を示す)であり;特に直接結合である。
【0077】
9は、例えば、直接結合、C(R26)(R27)、O、S、SO2、N(R16)若しくは
【化44】

であるか;又は例えば、直接結合、C(R26)(R27)、O、S若しくはN(R16)であり、特に直接結合、C(R26)(R27)若しくはOであり;特に、直接結合若しくはC(R26)(R27)である。
【0078】
28及びR’28は、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル、ハロゲン、NO2又は(CO)OR2であり;特に直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルである。
【0079】
好ましいのは、前記の式(1)(式中、R4及びR5は光活性部分Qである)の光開始剤化合物であり;
6は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;
又は1以上の同一若しくは異なるY1により中断された直線状若しくは分枝C2〜C20アルキル(この中断されたC2〜C20アルキルは、場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換されている)であるか;
又はE−R9基若しくはE1−R13であり;
Qは光活性部分
【化45】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)であり;
g及びg’は0であり;
Zは、基
【化46】

(式中、二重星印(**)は、フェニル環に対する結合を示し、星印(*)は窒素原子に対する結合を示る)であり;
XはOであり;
3は、水素又は(CO)CH3であり;
1はO又はNR16であり;
2はN(R10)(R11)であり;
9は、G2−N(R10)(R11)又は水素であり;
10及びR11は、互いに独立して、光活性部分Q、水素であるか、
又はR10及びR11は、1以上のOにより中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12により置換されている)であり;
12は水素であり;
13はN(R10)(R11)であり;
16は、光活性部分Q、水素、又は1以上のOにより中断された直線状若しくは分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12又はNR1011により置換されている)であり;
Eは、基
【化47】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を示す)であり;
複数存在する部分
【化48】

中のG2は、同一又は異なり、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;
複数存在する部分
【化49】

中のaは、独立して1〜50の整数であり;
複数存在する部分
【化50】

中のMは、同一又は異なり、O又はN(R16)であり;
1は、基
【化51】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)であり;
eは1であり;
複数存在する部分
【化52】

中のG3は、同一又は異なり、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;
b+c+dの合計は、1〜12の整数であり;そして
23は直線状又は分枝C1〜C6アルキルである。
【0080】
本発明の対象は、1以上の異なる式Iの化合物の混合物を含む光開始剤;すなわち、前記定義の複数の光開始剤化合物を含む光開始剤混合物でもある。
【0081】
本発明の光開始剤化合物を単独で又は任意の組み合わせで用いることができる。本発明の対象は、したがって、複数、たとえば2又は3、特に2の前記光開始剤化合物を含む光開始剤でもある。
【0082】
本発明の化合物は、例えば、以下の一般的スキームにしたがって(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(フェニル環で場合によって置換されている)をジアミン及びオリゴアミンに開環付加することによって製造される:
【化53】

(式中、R1、R’1、g及びg’は、前記定義のとおりであり、星印(*)は、第1又は第3アミンの有機残基を示す)。
【0083】
本発明の対象は、式(1)
【化54】

(式中、R4、R5及びR6は、前記定義のとおりである)の化合物の製造法であって、
式(10)の(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンの、式(2’)又は(2'')のジアミン及びオリゴアミンに対する開環付加により、
【化55】

(式中、R1、R’1、g、g’、R5及びR6は前記定義のとおりである)にしたがって式(1’)又は(1'')の化合物を提供する方法である。
【0084】
式(10)の出発物質は、対応するヒドロキシベンゾフェノンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる。
【0085】
前記反応は、構造的に異なる反応生成物を提供する可能性があり、これは、分離せずに使用する場合、その後、例えば、スキームにしたがって、アミンとの反応後に異なる構造を有する化合物を提供する:
【化56】

【0086】
前記反応における出発物質として好適なアミンの例は次のとおりである:
【化57】

【化58】

並びに
Jeffamine SD及びSTシリーズ(−NH2→−NH(イソプロピル)変換によりJeffamine D及びTシリーズから得られる)
Jeffamine SD−231(D−230から;MW約315)
Jeffamine SD−401(D−400から;MW約515)
Jeffamine SD−2001(D−2000から;MW約2050)
Jeffamine ST−404(T−403から;MW約565)
Jeffamine XTJ−568 and XTJ−566(ブチレンキャップされたアルコールのアミノ化により得られるJeffamine D−230及びT−403の類似体)
Jeffamine XTJ−582
Jeffamine XTJ−578
前記リストは、決して包括的であることを意図せず、特に本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0087】
好ましくは、反応におけるアミンは、たとえばマイケル付加反応において残存する第1及び第2アミンのアクリレートとの熱架橋などの副反応を回避するために、反応におけるアミンは完全に第3アミンに変換される。したがって、Qを化学量論的に小過剰で使用し、過剰のQを例えば場合によって反応後に除去するか、又はQを化学量論値未満で使用し、アルキル化剤(エポキシド、エポキシエーテルなど)によりアルキル化を完了し、そして反応後の過剰のアルキル化剤を(たとえば蒸留により)除去するかのいずれかである。通常、反応は、例えば、プロトン性溶媒、たとえばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール又はプロトン性溶媒(たとえば本明細書中で前述のもの)とアセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK),テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン等の非プロトン性溶媒との混合物などの溶媒中で実施される。
【0088】
反応温度は、原則として、用いられる溶媒の沸点に依存し、例えば、25℃から溶媒の沸点、例えば好ましくは50℃〜125℃である。
【0089】
反応時間は、アルキル化の望まれる程度、及び反応温度に依存する。通常、反応時間は、例えば約60℃〜70℃の温度で、数時間から24時間までの範囲である。反応時間は、反応温度が高いほど、圧力が増大するほど、及び又は触媒を使用すると、減少する。
【0090】
好適な触媒は当業者に公知であり、例えば、Houben−Weyl, Methoden der organischen Chemie, Georg Thieme Verlag、Stuttgart, vol. VI/3, pp. 465(1965), vol. XI/1, pp. 311(1957)、特にvol. E16d, pp. 1202(1992)に記載されている。例えば、(非包括的列挙)ルイス酸、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基、遷移金属錯体又は有機金属化合物、たとえば(非包括的列挙)ZnCl2、酒石酸亜鉛塩、AlCl3、HCl、ゼオライト、Al23、Pd[P(フェニル)34、ブチルリチウムなどを使用する。
【0091】
本発明によれば、光活性部分Q及びアミン官能基(たとえば式Iの化合物)を含む光開始剤化合物は、エチレン性不飽和化合物又はそのような化合物を含む混合物の光重合のための光開始剤として使用することができる。
【0092】
本発明は、したがって、
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物及び
(B)少なくとも1つの前記定義の光開始剤又は前記定義の光開始剤混合物
を含む光重合性組成物にも関する。
【0093】
組成物は、成分(B)に加えて、少なくとも1つのさらなる光開始剤(C)及び/又は他の通常の添加剤(D)を含んでもよい。
【0094】
エチレン性不飽和光重合性化合物は、モノマー又はオリゴマーである。不飽和化合物(A)は、たとえば1以上のオレフィン性二重結合を含む。これらは低分子量(モノマー)又は高分子量(オリゴマー)のものである。
【0095】
二重結合を含むモノマーの例は、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル、たとえばアルキルエステル、たとえばメチル、エチル、2−クロロエチル、N−ジメチルアミノエチル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソボルニル[2−エキソボルニル]エステル、フェニル、ベンジル並びにo−、m−及びp−ヒドロキシフェニルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、たとえば2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル又はグリセロール[1,2,3−プロパントリオール]エステル、エポキシアルキルエステル、たとえばグリシジル、2,3−エポキシブチル、3,4−エポキシブチル、2,3−エポキシシクロヘキシル、10,11−エポキシウンデシルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、たとえばN−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド及びN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、IBMAA(N−イソブトキシメチルアクリルアミド)、(メタ)アクリロニトリル、不飽和酸無水物、たとえば無水イタコン酸、無水マレイン酸、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、不飽和エステル、たとえばマレイン酸エステル、フタル酸エステル、イタコン酸エステル[メチレンコハク酸エステル]、スチレン、たとえばメチルスチレン、クロロメチルスチレン並びにo−、m−及びp−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、たとえばイソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル及びフェニルビニルエーテル、ビニル及びアリルエステル、たとえば酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、酪酸ビニル及び安息香酸ビニル、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、塩化ビニル及び塩化ビニリデン、イソシアヌレート、たとえばトリアリルイソシアヌレート及びトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート、N−ビニル複素環式化合物、たとえばN−ビニルピロリドン若しくは置換N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム若しくは置換N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジンである。
【0096】
好適なエステルのさらなる例は次のとおりである:
ジアクリレートエステル、たとえば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール修飾トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0097】
アルコキシル化アルコールのアクリル酸エステル、たとえばグリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレートもしばしば用いられる。
【0098】
高分子量不飽和化合物(オリゴマー、プレポリマー)の例は、エチレン性不飽和一若しくは多官能性カルボン酸及びポリオール又はポリエポキシドのエステル、並びに鎖若しくは側基中にエチレン性不飽和基を有するポリマー、たとえば、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン並びにそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル基を有するポリマー及びコポリマー、並びに1以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0099】
好適な一若しくは多官能性不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、不飽和脂肪酸、たとえばリノレン酸又はオレイン酸が挙げられる。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0100】
しかし、不飽和カルボン酸との混合物での飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸も用いることができる。好適な飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸の例としては、たとえば、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、無水フタル酸、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0101】
ポリオールとして、芳香族及び特に脂肪族及び脂環式ポリオールが好適である。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、並びにノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、記載したポリオール、特に芳香族ポリオール及びエピクロロヒドリンベースのものである。ポリマー鎖又は側基中にヒドロキシル基を含むポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール及びそのコポリマー又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はそのコポリマーもポリオールとして好適である。さらなる好適なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0102】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、たとえばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールである。
【0103】
ポリオールは、1つ又は異なる不飽和カルボン酸により部分的又は完全にエステル化されていてもよく、部分エステル中の遊離ヒドロキシル基が、たとえばエーテル化、又は他のカルボン酸によりエステル化するなど、修飾することが可能である。
【0104】
ポリウレタンの例は、飽和ジイソシアネート及び不飽和ジオール又は不飽和ジイソシアネート及び飽和ジオールから構成されるものである。
【0105】
メタクリル化エポキシエステル、メタクリル化ポリエステル、ビニル基を有するポリエステル、メタクリル化ポリウレタン、メタクリル化ポリエーテル及びポリオールが好ましい。
【0106】
好適な成分(A)はまた、たとえば、US3844916、EP280222、US5482649又はUS5734002で記載されるような第1又は第2アミンとの反応により修飾されたアクリレートである。そのようなアミン修飾アクリレートは、アミンアクリレートとも称する。アミンアクリレートは、たとえば、UCB ChemicalsからEBECRYL80、EBECRYL81、EBECRYL83、EBECRYL7100の名称で、BASFからLaromer PO83F、Laromer PO84F、Laromer PO94Fの名称で、CognisからPHOTOMER 4775F、PHOTOMER 4967Fの名称で、又はCray ValleyからCN501、CN503、CN550の名称で、そしてRahnからGENOMER 5275の名称で入手可能である。
【0107】
特に、低抽出物及び臭気用途のために設計されたいくつかのアクリレートバインダーも配合物中で使用することができる。そのような樹脂は、たとえば商品名EbecrylLEO樹脂で市販されている。
【0108】
さらに、カチオン性UV硬化性組成物を、ハイブリッドカチオン性/ラジカルUV硬化のために成分(A)の一部として使用することができる。そのような系は、典型的には、脂肪族及び/又は芳香族エポキシド、少なくとも1つのポリオール又はポリビニルポリオール又はオキセタン、及びカチオンを生成する少なくとも1つの光開始剤を含む。前記エポキシド、ポリオール及びポリビニルポリオールは、当該技術分野で公知であり、市販されている。慣例的に使用される光開始剤は、たとえばUS6306555で記載されるようなヨードニウム及びスルホニウム塩である。加えて、エチレン性不飽和化合物を前記カチオン性UV硬化性組成物に添加してもよい。溶媒又は水を本発明の方法で用いられる組成物に添加することも可能である。好適な溶媒は、当業者に公知であり、特に表面コーティング技術において一般的な溶媒である。例は、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン;芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレン又はテトラメチルベンゼン;グリコールエーテル、たとえばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル;エステル、たとえば酢酸エチル;脂肪族炭化水素、たとえばヘキサン、オクタン、デカン;又は石油溶媒、たとえば石油エーテルなどの種々の有機溶媒である。
【0109】
本発明はまた、成分(A)として、水中に溶解又は乳化させた少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物に関する。
【0110】
そのような放射線硬化性水性プレポリマー分散液は、多くのバリエーションで市販されている。それらは、水及び水中に分散された少なくとも1つのプレポリマーからなる分散液と理解されるべきである。これらの系中の水の濃度は、たとえば、5〜80質量%、特に30〜60質量%である。放射線硬化性プレポリマー又はプレポリマー混合物は、たとえば95〜20質量%、特に70〜40質量%の濃度で存在する。これらの組成物中の水及びプレポリマーの表示されたパーセンテージの合計は、それぞれの場合100であり;意図される用途に応じて様々な量で存在する補助剤及び添加剤がそれ以外に存在する。
【0111】
水中に分散されているか、又は多くの場合溶解している放射線硬化性フィルム形成性プレポリマーは、フリーラジカルにより開始でき、水性プレポリマー分散液に関してそれ自体公知の一若しくは多官能性エチレン性不飽和プレポリマーであり;これらは、たとえば、100gのプレポリマーあたり0.01〜1.0の重合性二重結合含有量及びたとえば少なくとも400、特に500〜10000の平均分子量を有するが、意図される用途に応じて、さらに高い分子量を有するプレポリマーも検討される。
【0112】
たとえば、重合性C−C二重結合を含み、最高で10の酸価を有するポリエステル、重合性C−C二重結合を含むポリエーテル、1分子あたり少なくとも2個のエポキシド基を含むポリエポキシドと少なくとも1つのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキシル基含有反応生成物、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びたとえば、EP012339に記載されるようなα,β−エチレン性不飽和アクリル基を含むアクリルコポリマーが用いられる。これらのプレポリマーの混合物も使用することができる。たとえば、EP033896に記載される重合性プレポリマーも好適であり、これは、少なくとも600の平均分子量、0.2〜15%のカルボキシル基含有量及び100gのプレポリマーあたり0.01〜0.8モルの重合性C−C二重結合含有量を有する重合性プレポリマーのチオエーテル付加物である。特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合生成物ベースの他の好適な水性分散液は、EP041125に記載されており;ウレタンアクリレートから得られる好適な水分散性、放射線硬化性プレポリマーは、たとえばDE2936039で見いだされる。
【0113】
光重合性化合物(A)は、単独で、又は任意の所望の混合物で用いられる。
【0114】
成分(A)はバインダーを含んでもよく、これは、光重合性化合物が液体又は粘性物質である場合に特に有利である。バインダーの量は、たとえば、全固体物質を基準として、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、そして特に40〜90質量%であってよい。バインダーは、使用分野及びそれに必要とされる特性、たとえば、水性及び有機溶媒系中での現像性、基体に対する接着性、及び酸素に対する感受性にしたがって選択される。
【0115】
好適なバインダーは、たとえば、約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000の分子量を有するポリマーである。例は:アクリレート及びメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、たとえばメチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル);セルロースエステル及びエーテル、たとえばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニリデンのアクリロニトリル、メチルメタクリレート及び酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリマー、たとえばポリカプロラクタム及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル、たとえばポリ(エチレングリコールテレフタレート)及びポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)である。
【0116】
不飽和化合物は、非光重合性フィルム形成性成分との混合物で使用することもできる。後者は、たとえば、物理的乾燥性ポリマー又はたとえばニトロセルロース若しくはセルロースアセトブチレート等の有機溶媒中のそれらの溶液であるが、化学若しくは熱硬化性樹脂、たとえばポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂も使用することができる。メラミン樹脂は、メラミン(=1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)の縮合生成物だけでなく、メラミン誘導体の縮合生成物も含むと理解されるべきである。一般に、バインダーは、熱可塑性又は熱硬化性樹脂(主に熱硬化性樹脂)ベースのフィルム形成性バインダーである。それらの例は、アルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂並びにそれらの混合物である。熱硬化性樹脂の併用は、光重合されかつ熱架橋された、いわゆるハイブリッド系における使用に重要である。
【0117】
成分(A)は、熱可塑性又は熱硬化性樹脂(主に熱硬化性樹脂)ベースのフィルム形成性バインダーも含み得る。その例は、アルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂並びにそれらの混合物である。それらの例は、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol. A18, pp. 368−426, VCH, Weinheim 1991に記載されている。
【0118】
バインダーは、そのための硬化触媒の添加が有利であり得る、低温又は高温で完全に硬化するバインダーであり得る。バインダーの完全な硬化を促進する好適な触媒は、たとえばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A18, p. 469, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim 1991に記載されている。
【0119】
WO99/03930;WO2000/010974及びWO2000/020517 は、マレイミド修飾バインダーを記載している。その種類のマレイミド修飾バインダーも、本発明の光硬化性組成物中に同様に存在してもよい。
【0120】
バインダーの例は次のとおりである:
1.低温若しくは高温架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ又はメラミン樹脂或いはかかる樹脂の混合物ベースの表面コーティング(場合によって硬化樹脂を添加);
2.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル若しくはポリエーテル樹脂及び脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートベースの2成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
3.チオール基含有アクリレート、ポリエステル若しくはポリエーテル樹脂及び脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートベースの2成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
4.ブロックトイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートベースの1成分ポリウレタン表面コーティング組成物(ストービング中はブロックされず;場合によって、メラミン樹脂の添加も可能である);
5.脂肪族若しくは芳香族ウレタン又はポリウレタン及びヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂ベースの1成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
6.ウレタン構造中に遊離アミン基を有する脂肪族若しくは芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート、及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂ベースの1成分ポリウレタン表面コーティング組成物(場合によって、硬化触媒を添加);
7.(ポリ)ケチミン及び脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートベースの2成分表面コーティング組成物;
8.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコール酸メチルエステルベースの2成分表面コーティング組成物;
9.カルボキシル基又はアミノ基含有ポリアクリレート及びポリエポキシドベースの2成分表面コーティング組成物;
10.無水物基含有アクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分ベースの2成分表面コーティング組成物;
11.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドベースの2成分表面コーティング組成物;
12.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基含有アクリレート樹脂又は不飽和アクリレート樹脂又は脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートベースの2成分表面コーティング組成物;
13.不飽和(ポリ)アクリレート及び(ポリ)マロネートベースの2成分表面コーティング組成物;
14.エーテル化メラミン樹脂と組み合わせた、熱可塑性アクリレート樹脂又は外発的架橋アクリレート樹脂ベースの熱可塑性ポリアクリレート表面コーティング組成物;
15.マロネート−ブロックトイソシアネートとクロスリンカー(酸触媒作用を受ける)としてのメラミン樹脂(たとえばヘキサメトキシメチルメラミン)ベースの表面コーティング系、特にクリアコート;
16.オリゴマーウレタンアクリレート及び/又はアシレートアクリレートベースのUV硬化性系(場合によって他のオリゴマー又はモノマーを添加);
17.まず熱により硬化し、次いでUV硬化するか、またはその反対である二重硬化系(この場合、表面コーティング組成物の構成成分は、UV光及び光開始剤により及び/又は電子線硬化により反応するようにすることができる二重結合を含む)。
【0121】
1成分(1C)及び2成分(2C)系はどちらもバインダーとして使用することができる。そのような系の例は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A18, Paints andCoatings, page 404−407, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim(1991)に記載されている。
【0122】
組成物は、たとえば、バインダー/クロスリンカー比を変えることによって、配合物を特別に修飾することにより最適化することができる。コーティング又はインク技術の分野に精通した者は、このような手段をよく知っているであろう。
【0123】
本発明の光重合性組成物は、たとえば、バインダーポリマー(e)、特にメタクリレート及びメタクリル酸のコポリマーをさらに含む。
【0124】
光開始剤に加えて、光重合性混合物は、種々の添加剤(D)を含んでもよい。それらの例は、未成熟重合を防止することを目的とする熱阻害剤、たとえば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)及びその誘導体、たとえば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル)−デカンジオエート又はポリアルキル−ピペリジン−N−オキシル基、3−アリール−ベンゾフラン−2−オン及びその誘導体、たとえば、5,7−ジ−tert−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン(たとえば、WO01/42313に記載のとおり)、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトール又は立体障害フェノール、たとえば2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾールである。暗所貯蔵安定性を増大させるために、銅化合物、たとえばナフテン酸銅、ステアリン酸銅、又はオクチル酸銅、リン化合物、たとえばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト又はトリベンジルホスファイト、第4アンモニウム化合物、たとえばテトラメチル−アンモニウムクロリド若しくはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、又はヒドロキシルアミン誘導体、たとえばN−ジエチルヒドロキシルアミンを使用することが可能である。重合中の大気酸素を排除するために、パラフィン又は類似のワックス様物質を添加することが可能であり、これは、ポリマー中に不溶性であり、重合の始めに表面に移動し、空気の進入を防ぐ透明な表面層を形成する。酸素を通さない層を適用することも等しく可能である。
【0125】
光安定剤として、UV吸収剤、たとえばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾ−ル、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジンタイプのものを添加することが可能である。そのような化合物をそれら自体で、又は混合物の形態で用いることができる(立体障害アミン(HALS)の使用の有無は問わない)。そのような化合物は当業者に広く知られている。
【0126】
そのようなUV吸収剤及び光安定剤の例は、WO04/074328, page 12, line 9 to page14, line 23に記載され、前記開示内容は、参考として本明細書で援用される。
【0127】
さらに、当該技術分野で慣例的である添加剤、たとえば、帯電防止剤、流動改善剤及び接着促進剤を使用することができる。
【0128】
本発明によれば、配合物がバインダーを含む場合、熱乾燥又は硬化触媒を配合物にさらなる添加剤(D)としてさらに添加してもよい。可能な乾燥触媒、又は熱硬化触媒は、たとえば、有機金属化合物、アミン又は/及びホスフィンである。有機金属化合物は、たとえば金属カルボン酸塩、特に金属Pb、Mn、Hf、Co、Zn、Zr若しくはCuのカルボン酸塩、又は金属キレート、特に金属Hf、Al、Ti若しくはZrのキレート、又は有機金属化合物、たとえば有機スズ化合物である。金属カルボン酸塩の例は、Pb、Mn若しくはZnのステアリン酸塩、Co、Zn若しくはCuのオクチル酸塩、Mn及びCoのナフテン酸塩若しくは対応するリノール酸塩若しくはトール酸塩(ロジン酸、オレイン酸及びリノール酸を含むトール油)である。金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチル−トリフルオロアセチルアセテートのアルミニウム、チタン又はジルコニウムキレート及びこれらの金属のアルコキシドである。有機スズ化合物の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジオクトエートである。アミンの例は、特に第3アミン、たとえば、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン及びジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)並びにそれらの塩である。さらなる例は、第4アンモニウム塩、たとえばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。たとえばトリフェニルホスフィンなどのホスフィンを硬化触媒として使用することも可能である。好適な触媒は、たとえば、J. Bielemann, Lackadditive, Wiley−VCH Verlag GmbH、Weinheim、1998、pages 244−247に記載されている。例は、たとえば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸及びジノニルナフタレンジスルホン酸などのカルボン酸である。たとえば、潜在的又はブロックトスルホン酸を使用することもでき、酸のブロッキングには、イオン性又は非イオン性であり得る。
【0129】
そのような触媒は、当該技術分野で慣例的であり、当業者に公知の濃度で用いられる。
【0130】
光重合を促進するために、特に第3アミン、たとえばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ミヒラーケトン、N−メチル−ジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、18−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)及びそれらの塩などのアミンをさらなる添加剤(D)として添加することができる。さらなる例は、第4アンモニウム塩、たとえばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。アミンの作用は、ベンゾフェノンタイプの芳香族ケトンを添加することによって強化することができる。酸素捕捉剤として好適なアミンは、たとえば、EP339841で記載されるようなN,N−ジアルキルアニリンである。さらなる促進剤、共開始剤、自己酸化剤は、たとえば、EP438123及びGB2180358に記載されるようなチオール、チオエーテル、ジスルフィド及びホスフィンである。
【0131】
当該技術分野で慣例的な連鎖移動剤を本発明の組成物に添加することも可能である。例は、メルカプタン、アミン及びベンゾチアゾ−ルである。
【0132】
光重合は、さらなる添加剤(D)として、スペクトル感受性をシフトさせる又は拡大する光増感剤を添加することによっても促進することができる。これらには、特に、芳香族カルボニル化合物、たとえばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、たとえば特にイソプロピルチオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、及び3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、カンファーキノン並びにエオシン、ローダミン及びエリトロシン色素が含まれる。
【0133】
前記アミンは、たとえば、光増感剤と見なすこともできる。好適な増感剤化合物(D)の例は、WO06/008251, page 36, line 30 to page 38, line 8(その開示内容は、参考として本明細書で援用される)に開示されている。
【0134】
特に、着色された(たとえば二酸化チタンで着色された)組成物の硬化方法はまた、温熱条件下でフリーラジカル形成成分であるさらなる添加剤(D)、たとえばアゾ化合物、たとえば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタザジエン又はペルオキシ化合物、たとえばヒドロペルオキシド又はペルオキシカーボネート、たとえばEP245639で記載されているようなtert−ブチルヒドロペルオキシドを添加することによって促進することもできる。
【0135】
さらなる慣例の添加剤(D)は、意図される使用に応じて、蛍光増白剤、フィラー、たとえばカオリン、タルク、バライト、石膏、チョーク又はケイ酸塩タイプのフィラー、湿潤剤又は流動改善剤である。
【0136】
厚い着色されたコーティングの硬化に関して、たとえばUS5013768で記載されているように、ガラス微小球又は粉末状ガラスファイバーの添加が好適である。
【0137】
配合物は、色素及び/又は白色若しくは着色顔料[さらなる添加剤(D)として]も含み得る。意図される使用に応じて、無機及び有機顔料の両方を使用することができる。そのような添加剤は当業者に公知であり;数例は、二酸化チタン顔料、たとえばルチル又はアナターゼタイプのもの、カーボンブラック、酸化亜鉛、たとえば亜鉛白、酸化鉄、たとえば酸化鉄黄、酸化鉄赤、クロム黄、クロム緑、ニッケルチタンイエロー、群青、コバルトブルー、バナジン酸ビスマス、カドミウムイエロー又はカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノアゾ又はビスアゾ顔料、及びそれらの金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、たとえばペリレン、アントラキノン、チオインディゴ、キナクリドン又はトリフェニルメタン顔料、並びにジケト−ピロロ−ピロール、イソインドリノン、たとえばテトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン及びキノフタロン顔料である。
【0138】
顔料を配合物において、単独で又は混合物で用いることができる。
【0139】
顔料を配合物に対し、意図される使用にしたがって、当該技術分野で慣例的な量で、たとえば合計量を基準として1〜60質量%、又は10〜30質量%の量で添加する。
【0140】
配合物は、たとえば非常に多様な種類の有機色素も含み得る。例は、アゾ色素、メチン色素、アントラキノン色素又は金属錯体色素である。慣例の濃度は、たとえば合計量を基準として0.1〜20%、特に1〜5%である。
【0141】
添加剤の選択は、光重合性組成物の特定の使用分野及び当該分野で望ましい特性に基づく。
【0142】
本発明の対象はまた、さらなる添加剤(D)として顔料若しくは色素又は顔料若しくは色素の混合物を含む前記光重合性組成物である。
【0143】
本明細書中で前述の添加剤(D)は当該技術分野で慣例的であり、当該分野で慣例の量で使用される。
【0144】
式(1)の光開始剤化合物又は前記化合物の混合物を、たとえばポリオールのアクリレートなどの反応性希釈剤との混合物で使用することもできる。そのような反応性希釈剤は、たとえば商品名SR(Sartomer製)又はLaromer(BASF製)で入手可能である。例は、SR306(トリプロピレングリコールジアクリレート)、SR344(ポリエチレングリコール[PEG400]ジアクリレート)、SR9020(グリセリルプロポキシトリアクリレート)、SR355(ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート)、SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、SR494(ペンタエリスリトールポリエチレングリコールエーテルテトラアクリレート)、SR399(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)、DPHA=ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、SR341(アミンアクリレート)、LAROMER TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)、LAROMER BDDA(ブタンジオールジアクリレート)、LAROMER HDDA(ヘキサンジオールジアクリレート)、LAROMER TPGDA(トリプロピレングリコールトリアクリレート)、LAROMER DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)、LAROMER LR 8863(エトキシル化TMPトリアクリレート)である。
【0145】
前記リストは、決して包括的であることを意図せず、特に本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0146】
もちろん、本発明の化合物と公知光開始剤(C)との混合物、たとえばカンファーキノン;ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、たとえば2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、3−メチル−4’−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;ケタール化合物、たとえばベンジルジメチルケタール;アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、たとえばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン又はα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、たとえば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;オリゴマーα−ヒドロキシケトン;ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノアセトフェノン、たとえば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン;4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、たとえばジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸エステル及びその誘導体、たとえばα−オキソベンゼン酢酸メチル、オキソ−フェニル酢酸2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル、二量体フェニルグリオキサル酸エステル、たとえばオキソ−フェニル−酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル;オキシムエステル、たとえば1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、又はたとえばオキシムエステルとα−アミノケトンとの組み合わせ、たとえば(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンと[4−(2−メチルフェニルカルボキシ)フェニル]−ビス[4−(O−アセチルオキシイミン)フェニル]アミンとの組み合わせ;パーエステル、たとえばEP126541に記載されているようなベンゾフェノンテトラカルボン酸パーエステル、モノアシルホスフィンオキシド、たとえば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;ビスアシルホスフィンオキシド、たとえばビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、たとえば2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1、3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、たとえば2−メルカプトベンゾチアゾールと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール、フェロセニウム化合物、又はチタノセン、たとえばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタンとの組み合わせを使用することが可能である。さらに、ホウ酸塩化合物を共開始剤として使用することができる。
【0147】
前記さらなる光開始剤(C)の多くは、たとえば商品名DAROCUR(登録商標)及びIRGACURE(登録商標)でCiba Inc.(BASF SEに属する)から市販されている。
【0148】
前記の光重合性組成物は、たとえば、組成物を基準として、0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜5質量%の光開始剤(B)又は光開始剤(B)+(C)を含む。
【0149】
本発明の組成物は、種々の目的のために、たとえばオーバープリントコーティングにおいて、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット印刷若しくはフレキソ印刷用インク、インクジェットインク、シートフィード印刷用インク、電子写真用インク、凹版インクとして、クリアコート、白色コート若しくは着色コートとして(たとえば木材若しくは金属用)、粉末コーティングとして、塗料として(特に、紙、木材、金属若しくはプラスチック用)、構造物及び道路標識用の日光硬化性塗料として、建物、建造物、車両等用の塗料、写真複製処理用、ホログラフィック記録材料用、画像記録処理用又は有機溶媒を使用するか若しくは水性−アルカリ性媒体を用いて現像可能な印刷版の製造において、スクリーン印刷用マスクの製造のため、歯科用充填化合物として、接着剤として、感圧性接着剤として、積層樹脂として、エッチングレジスト又はパーマネントレジストとして、液体及び乾燥フィルムの両方、光構造化可能な誘電体として、及び電子回路用のソルダーマスクとして、任意の種類のディスプレースクリーン用カラーフィルターの製造において又はプラズマディスプレー及び電光表示製造中の構造の作製においてレジストとして、光スイッチ、光格子(干渉格子)の製造において、塊での硬化(透明な鋳型中でのUV硬化)による又はたとえばUS4575330に記載されているようなステレオリソグラフィーによる立体物品の製造において、ゲルコート及び厚い層の組成物の複合材料(たとえばガラスファイバー及び/又は他の繊維及び他のアジュバントを含み得るスチレンポリエステル)の製造において、電子部品のコーティング若しくはシーリングにおいて、又は光ファイバー用コーティングとして使用することができる。組成物は、光学レンズ、たとえばコンタクトレンズ若しくはフレネルレンズの生産及び医療機器、補助器具又はインプラントの製造にも好適である。組成物は、サーモトロピック特性を有するゲルの製造にも使用することができる。そのようなゲルは、たとえばDE19700064及びEP678534に記載されている。
【0150】
光硬化はさらに、印刷用途に非常に重要である。なぜなら、インクの乾燥時間はグラフィック製品の生産速度の重要な因子であり、数秒分の1程度でなければならないからである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷、オフセットインク、インクジェットインク、フレキソ印刷用インク、凹版インク、電子写真用インク、シートフィード用インク、オーバープリントワニス又はプライマー用に特に重要である。
【0151】
すでに記載したように、新規光開始剤は、印刷版、たとえばフレキソ印刷版又はオフセット印刷版の生産にも非常に好適である。この用途は、たとえば、可溶性直線状ポリアミド又はスチレン/ブタジエン及び/又はスチレン/イソプレンゴム、カルボキシル基を含むポリアクリレート又はポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール又はウレタンアクリレートと光重合性モノマー、たとえばアクリルアミド及び/又はメタクリルアミド、又はアクリレート及び/又はメタクリレート、及び光開始剤との混合物を使用する。これらの系(湿潤若しくは乾燥)のフィルム及びプレートを、印刷されたオリジナルのネガ(又はポジ)上で暴露し、続いて適切な溶媒若しくは水溶液を用いて未硬化部分を洗い流す。
【0152】
印刷インクは当業者に公知であり、当該技術分野で広く用いられ、そして文献で記載されている。
【0153】
これらは、たとえば着色印刷インク及び色素で着色された印刷インクである。
【0154】
印刷インクは、たとえば、着色剤(顔料若しくは色素)、バインダー並びに場合によって溶媒及び/又は場合によって水及び添加剤を含む液体又はペースト形分散液である。液体印刷インクにおいて、バインダー及び、妥当ならば、添加剤を通常、溶媒中に溶解させる。ブルックフィールド粘度計における慣例の粘度は、たとえば、液体印刷インクについては20〜5000mPa・s、たとえば20〜1000mPa・sである。ペースト形印刷インクについては、この値は、たとえば、1〜100Pa・s、好ましくは5〜50Pa・sの範囲である。当業者は、印刷インクの成分及び組成をよく知っているであろう。
【0155】
当該技術分野で慣用の印刷インク配合物などの好適な顔料は、一般的に公知であり、広く記載されている。
【0156】
印刷インクは、顔料を有利には、印刷インクの合計質量を基準として、たとえば、0.01〜40質量%、好ましくは1〜25質量%、特に5〜15質量%の濃度で含む。
【0157】
印刷インクを、たとえば、たとえば出版、包装又は輸送、ロジスティックス、広告、偽造防止印刷又はオフィス用設備の分野において、一般的に公知の配合物を使用し、本発明の方法にしたがって前処理した物質上の凹版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、平版印刷又は連続若しくは滴状インクジェット印刷に使用することができる。
【0158】
好適な印刷インクは、溶媒系印刷インク及び水性印刷インクの両方である。
【0159】
興味深いのは、たとえば、水性アクリレートベースの印刷インクである。そのようなインクは、基
【化59】

を含む少なくとも1つのモノマーの重合により得られ、水又は水含有有機溶媒中に溶解させたポリマー又はコポリマーを含むと理解される。好適な有機溶媒は、当業者により慣用の水混和性溶媒、たとえばアルコール、たとえばメタノール、エタノール並びにプロパノール、ブタノール及びペンタノールの異性体、エチレングリコール及びそのエーテル、たとえばエチレングリコールメチルエーテル及びエチレングリコールエチルエーテル、並びにケトン、たとえばアセトン、エチルメチルケトン又はシクロ、たとえばイソプロパノールである。水及びアルコールが好ましい。
【0160】
好適な印刷インクは、たとえばバインダーとして、主に、アクリレートポリマー又はコポリマーを含み、溶媒は、たとえば、水、C1〜C5アルコール、エチレングリコール、2−(C1〜C5アルコキシ)−エタノール、アセトン、エチルメチルケトン及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0161】
バインダーに加えて、印刷インクは、当業者に公知の慣例の添加剤も慣例の濃度で含み得る。
【0162】
凹版又はフレキソ印刷に関して、印刷インクは通常、印刷インク濃縮物の希釈により製造され、次いでそれ自体公知の方法に従って用いることができる。
【0163】
印刷インクは、たとえば、酸化的に乾燥するアルキド系も含み得る。印刷インクを当該技術分野で慣例の公知方法で、場合によってコーティングを加熱して乾燥する。
【0164】
好適な水性印刷インク組成物は、たとえば、顔料又は顔料、分散剤及びバインダーの組み合わせを含む。
【0165】
本発明の対象は、したがって、さらなる添加剤(D)として分散剤又は分散剤の混合物を含む前述の光重合性組成物でもある。
【0166】
検討される分散剤としては、たとえば、慣例の分散剤、たとえば1以上のアリールスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物又は1以上の水溶性オキシアルキル化フェノール、非イオン性分散剤又はポリマー酸ベースの水溶性分散剤が挙げられる。そのような分散剤は公知であり、たとえばUS5186846及びDE19727767に記載されている。好適なオキシアルキル化フェノールも同様に公知であり、たとえば、US4218218及びDE19727767に記載されている。好適な非イオン性分散剤は、たとえば、アルキレンオキシド付加物、ビニルピロリドン、酢酸ビニル又はビニルアルコールの重合生成物並びにビニルピロリドンの酢酸ビニル及び/又はビニルアルコールとのコポリマー又はターポリマーである。
【0167】
たとえば、分散剤として、かつバインダーとして作用するポリマー酸を使用することも可能である。
【0168】
例としてあげられる好適なバインダー成分には、(メタ)アクリレート基含有、ビニル基含有及び/又は、意図される使用に応じて、エポキシ基含有モノマー、プレポリマー及びポリマー並びにそれらの混合物が含まれる。さらなる例は、メラミンアクリレート及びシリコーンアクリレートである。アクリレート化合物はまた、非イオン的に修飾(たとえばアミノ基を提供)又はイオン的に修飾(たとえば酸基又はアンモニウム基を提供)されていてもよく、水性分散液又はエマルジョンの形態で使用することができる(たとえばEP704469、EP012339)。さらに、所望の粘度を得るために、無溶媒アクリレートポリマーをいわゆる反応性希釈剤、たとえばビニル基含有モノマーと混合することができる。さらなる好適なバインダー成分はエポキシ基含有化合物である。
【0169】
印刷インク組成物は、さらなる成分として、たとえば、保水作用を有する薬剤(保湿剤)、たとえば多価アルコール、ポリアルキレングリコールも含んでもよく、これにより、組成物はインクジェット印刷に特に好適になる。
【0170】
印刷インクは、さらなる補助剤、たとえば、特に(水性)インクジェットインクについて、そして印刷及びコーティング産業で慣例的なさらなる補助剤、たとえば保存料(たとえばグルタルジアルデヒド及び/又はテトラメチロール−アセチレン尿素、酸化防止剤、脱気剤/消泡剤、粘度調節剤、流動改善剤、沈殿防止剤、光沢改善剤、潤滑剤、接着促進剤、皮張り防止剤、つや消し剤、乳化剤、安定剤、疎水性物質、光安定剤、取扱改善剤及び帯電防止剤を含み得ると理解される。そのような薬剤が組成物中に存在する場合、それらの合計量は、一般的に、製造物の質量を基準として、1質量%以下である。
【0171】
印刷インクは、たとえば、色素(インクの合計質量を基準としてたとえば1〜35質量%の合計含有量の色素を含む)を含むものを包含する。そのような印刷インクの着色に好適な色素は当業者に公知であり、たとえばCiba AG、Baselから広く市販されている。
【0172】
そのような印刷インクは、有機溶媒、たとえば水混和性有機溶媒、たとえばC1〜C4アルコール、アミド、ケトン又はケトンアルコール、エーテル、窒素含有複素環式化合物、ポリアルキレングリコール、C2〜C6アルキレングリコール及びチオグリコール、さらなるポリオール、たとえばグリセロール及び多価アルコールのC1〜C4アルキルエーテルを、通常、印刷インクの合計質量を基準として、2〜30質量%の量で含み得る。
【0173】
印刷インクはまた、たとえばε−カプロラクタムなどの可溶化剤も含み得る。印刷インクは、特に、粘度を調節する目的で、天然又は合成起源の増粘剤を含んでもよい。増粘剤の例には、市販のアルギン酸増粘剤、デンプンエーテル又はローカストビーン粉エーテルが含まれる。印刷インクは、そのような増粘剤を、たとえば印刷インクの合計質量を基準として0.01〜2質量%の量で含む。
【0174】
4〜9、特に5〜8.5のpH値を確立するために、印刷インクが緩衝物質、たとえばホウ砂、ホウ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩又はクエン酸塩を、たとえば0.1〜3質量%の量で含むことも可能である。
【0175】
さらなる添加剤として、そのような印刷インクは、界面活性剤又は保湿剤を含み得る。検討される界面活性剤には、市販の陰イオン性及び非イオン性界面活性剤が含まれる。検討される保湿剤は、たとえば、尿素又は乳酸ナトリウム(有利には50〜60%水溶液の形態で)及びグリセロール及び/又はプロピレングリコールの混合物を印刷インク中、たとえば0.1〜30質量%、特に2〜30質量%の量で含む。
【0176】
さらに、印刷インクは、慣例の添加剤、たとえばフォーム低減剤又は特に真菌及び/又は細菌の増殖を阻害する物質も含み得る。そのような添加剤は、通常、印刷インクの合計質量を基準として、0.01〜1質量%の量で用いられる。
【0177】
印刷インクはまた、個々の成分を一緒に、たとえば所望の量の水中で混合することにより、慣例の方法で製造することもできる。
【0178】
すでに記載したように、使用の性質に応じて、たとえば、印刷インクの粘度又は他の物理的特性、特に、問題の基体についての印刷インクの親和性に影響を及ぼす特性が、しかるべく適応されることが必要であり得る。
【0179】
印刷インクは、たとえば、印刷インクが小さな開口部から液滴の形態で絞り出され、その上に画像が形成される基体にこの液滴が向けられるような種類の記録システムでの使用にも適している。好適な基体は、たとえば、本発明の方法により前処理された紡織繊維材料、紙、プラスチック又はアルミ箔である。好適な記録システムは、たとえば、市販のインクジェットプリンターである。
【0180】
水性印刷インクが使用される印刷方法が好ましい。好ましいインクジェットインク配合物は、(メタ)アクリル化エポキシエステル;(メタ)アクリル化ポリエステル又はビニル−エーテル基含有ポリエステル、(メタ)アクリル化ポリウレタン、ポリエーテル及びポリオールを含む。
【0181】
UV硬化性インクジェットにおいて使用される好ましい成分は、たとえばUS3844916、EP280222、US5482649又はUS5734002で記載されているような、第1又は第2アミンとの反応により修飾されたアクリレートである。そのようなアミン修飾アクリレートはアミノアクリレートとも称する。例はすでに前述している。アミノアクリレートの存在下で、UV硬化性系は、増大した硬化性能を示すことが知られている。これらは、ラジカルにより誘導される重合反応、特にUV硬化性インクジェットなどの低粘性系について典型的に観察される酸素阻害を克服するために有用である。
【0182】
これらの記載した全てのモノマー、プレポリマー、ポリマー及びオリゴマーの混合物を、本発明の新規光開始剤を含むインク組成物で使用できることは明かであろう。
【0183】
この点について光重合性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーの量は、たとえば、10〜80質量%、好ましくは10〜60質量%である。
【0184】
本発明の光開始剤を含むインクは、ラジカル重合性成分に加えて、少なくとも1つの脂肪族若しくは芳香族エポキシド、前記のような少なくとも1つのポリオール又はポリビニルポリオール、並びに少なくとも1つのカチオン生成光開始剤を含む低粘度のカチオン性硬化性組成物も含み得る。多くのこれらのエポキシドは、当該技術分野で周知であり、市販されている。カチオン性光硬化性組成物において使用可能な光開始剤は、たとえば、アリールヨードニウム塩及びアリールスルホニウム塩である。
【0185】
強調されるのは、カチオン性及びラジカル性重合性並びに光重合性原料を含むようなハイブリッド系である。カチオン性重合性系の例としては、環状エーテル、特にエポキシド及びオキセタン、並びにビニルエーテル及びヒドロキシ含有化合物が挙げられる。ラクトン化合物及び環状チオエーテル並びにビニルチオエーテルも用いることができる。さらなる例としては、アミノプラスチック又はフェノール系レゾール樹脂が挙げられる。これらは特に、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂であるが、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はアルキド樹脂とメラミン樹脂との混合物である。放射線硬化性樹脂は、エチレン性不飽和化合物、特に(メタ)アクリレート樹脂を含む。例はまた、前述のとおりである。
【0186】
さらに興味深いのは、第1段階で光重合され、次いで第2段階で熱後処理により架橋されるか、またはその逆のハイブリッド系である。そのようなハイブリッド系は、非光重合性フィルム形成性成分との混合物中に不飽和化合物を含む。これらは、たとえば、物理的乾燥ポリマー又はニトロセルロース若しくはセルロースアセトブチレートなどの有機溶媒中のそれらの溶液であってよい。しかし、これらは、化学若しくは熱硬化性樹脂、たとえばポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂であってもよい。
【0187】
たとえばインクジェットインクとして好適な他の組成物は、まず熱により、次いでUV若しくは電子照射により硬化するか、又はその逆であり、その成分が光開始剤(本発明の文脈では前記の式(1)の新規光開始剤)の存在下で、UV光の照射により反応可能な前述のエチレン性二重結合を含む、二重硬化性組成物である。
【0188】
インクジェットインクは、たとえば着色剤を含む。様々な有機及び無機色素並びに顔料を、単独又は組み合わせで、インクジェットインク組成物における使用のために選択することができ;当業者は、適切な選択をよく知っている。顔料粒子は、噴射ノズルでのインクの自由流動を可能にするために十分小さくなければならない(0.005〜15μm)。顔料粒子は好ましくは0.005〜1μmである。
【0189】
顔料の極微細分散液及びそれらの製造法は、たとえば、US5538548で開示されている。
【0190】
インクは、好ましくは、インクの合計質量を基準として、1〜35質量%、特に1〜30質量%、そして好ましくは1〜20質量%の着色剤合計含有量を含む。2.5質量%、特に5質量%、そして好ましくは7.5質量%の限度がここでは下限として好ましい。
【0191】
好適な着色剤は、たとえば純粋な顔料粉末、たとえばCyan IRGALITE(登録商標)Blue GLO(Ciba Inc.)又は顔料製造物たとえばMICROLITH−顔料製造物である。
【0192】
インクジェットインクは、様々なさらなる添加剤、たとえば界面活性剤、殺生物剤、緩衝剤、カビ防止剤、pH調節剤、導電率調節剤、キレート剤、さび止め剤、重合防止剤、光安定剤などを含み得る。そのような添加剤は、所望により、インクジェットインク中に任意の有効量で含まれていてもよい。
【0193】
好ましい使用分野は、オーバープリントコーティング及び着色された薄いコーティング(層厚さ<20μm)、たとえば、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、グラビア印刷、凸版印刷、タンポン印刷及びインクジェット印刷などの印刷法で使用される印刷インクを含む。
【0194】
オーバープリントコーティングは、典型的には、エチレン性不飽和化合物、たとえばオリゴマー及び/又はモノマーアクリレートを含む。アミンアクリレートも含まれていてもよい。
【0195】
本明細書中で前述のように、オーバープリントコーティング及び印刷インクは、さらなる光開始剤及び共開始剤も含み得る。
【0196】
本発明の対象は、したがって、前記のような光重合性組成物でもあり、これは印刷インク、特にオフセット印刷インクである。
【0197】
本発明の光開始剤は、UV硬化性接着剤において;たとえば、感圧性接着剤、積層接着剤、ホットメルト接着剤、湿気硬化接着剤、シラン反応性接着剤又はシラン反応性シーラント等の製造、及び関連する用途においての使用にも好適である。前記接着剤は、ホットメルト接着剤並びに水性若しくは溶媒系接着剤、液体無溶媒接着剤又は2成分反応性接着剤であり得る。特に、好適なのは、感圧性接着剤(PSA)、たとえばUV硬化性ホットメルト感圧性接着剤である。前記接着剤は、たとえば、少なくとも1つのゴム成分、粘着賦与剤としての少なくとも1つの樹脂成分及び少なくとも1つの油成分を、たとえば30:50:20の比で含む。好適な粘着賦与剤は、天然又は合成樹脂である。当業者は、好適な対応する化合物並びに好適な油成分又はゴムを認識している。
【0198】
たとえばブロック化形態でイソシアネートを含むプレ重合接着剤は、たとえば、高温で処理し、ホットメルト方法にしたがって基体上にコーティングすることができ、その後、ブロックトイソシアネートを含むさらなる硬化ステップにより完全な硬化が達成され、これは光潜在性触媒の光活性化により実現される。
【0199】
本発明の化合物は、乳化重合、ビーズ重合若しくは懸濁重合法の開始剤として、又は液体−結晶性モノマー及びオリゴマーの配向状態の固定のための重合の開始剤として、又は有機材料上に色素を固定するための開始剤としても使用することができる。
【0200】
本発明の化合物及びそれらの混合物は、放射線硬化性粉末コーティング用のフリーラジカル光開始剤又は光開始系としても使用することができる。粉末コーティングは、反応性二重結合を含む固体樹脂及びモノマー、たとえばマレエート、フマレート、ビニルエーテル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びそれらの混合物ベースであってよい。フリーラジカルUV硬化性粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と固体アクリルアミド(たとえばメチルアクリルアミド−グリコール酸メチルエステル)及び本発明のフリーラジカル光開始剤、たとえば講義"Radiation Curing of Powder Coating", Conference Proceedings, Radtech Europe 1993 by M. Wittig and Th. Gohmannに記載されているものとを混合することによって配合することができる。フリーラジカルUV硬化性粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と固体アクリレート、メタクリレート又はビニルエーテル及び本発明の光開始剤(若しくは光開始剤混合物)とを混合することによっても配合することができる。粉末コーティングは、たとえば、DE4228514及びEP636669に記載されているようなバインダーも含んでよい。EP636669で記載されている粉末コーティング配合物は、たとえば、a)(半)結晶性若しくはアモルファス不飽和ポリエステル、不飽和ポリアクリレート又はそれらの不飽和ポリエステルとの混合物の群から得られる不飽和樹脂(特定の性能は、マレイン酸又はフマル酸に由来する);b)ビニルエーテル−、ビニルエステル−若しくは(メタ)アクリレート−官能基を含むオリゴマー又はポリマー架橋剤(特定の性能が、ビニルエーテルオリゴマー、たとえばジビニルエーテル官能化ウレタンに賦与される);c)光開始剤を含む。
【0201】
UV硬化性粉末コーティングは、白色若しくは着色顔料も含んでもよい。したがって、たとえば、良好な隠ぺい力を有する硬化した粉末コーティングを得るために、好ましくはルチル二酸化チタンを50質量%までの濃度で使用してもよい。方法は、通常、粉末を基体、例えば金属又は木材上に静電又は摩擦静電スプレーし、加熱の結果として粉末を融解させ、そして、平滑フィルムが形成された後、紫外線及び/又は可視光を使用して、たとえば中圧水銀ランプ、金属ハロゲン化物ランプ又はキセノンランプを使用して、コーティングを放射線硬化させることを含む。対応する熱硬化性コーティングと比較して、放射線硬化性粉末コーティングの特定の利点は、なめらかで高光沢のコーティングの形成を確実にするために望ましいだけ粉末粒子の溶融後のフロー時間を延長できることである。熱硬化性系と対照的に、放射線硬化性粉末コーティングは、望ましくない貯蔵期間減少効果がなく比較的低い温度で融解するように配合することができる。この理由で、これらは感熱性基体、たとえば木材又はプラスチックのコーティングにも好適である。しかし、粉末コーティングが非感熱性基体、たとえば金属に塗布される場合(車両用コーティング)、本発明の光開始剤を用いて「二重硬化性」粉末コーティング配合物を利用できるようにすることも可能である。そのような配合物は当業者に公知であろう;これらは熱及びUVの使用の両方で硬化し、たとえば、US5922473で見出すことができる。
【0202】
本発明の化合物は、水性、たとえば0.5〜5%、好ましくは0.5〜2%、ポリマー分散液中分散液、たとえば水性ポリウレタン分散液(いわゆるPUD)中分散液の形態で使用することもできる。
【0203】
本発明の光硬化性組成物は、たとえば、あらゆる種類の基体、たとえば木材、織物、紙、セラミック、ガラス、プラスチック、たとえばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はセルロースアセテート(特にフィルムの形態)、並びに金属、たとえばAl、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo及びGaAs、Si又はSiO2のコーティング物質として好適であり、これに対して保護層又は、イメージごとに露光することによりイメージが、適用される。
【0204】
基体は、液体組成物、溶液若しくは懸濁液又は粉末を基体に塗布することによってコーティングすることができる。溶媒の選択及びその濃度は、組成物の性質及びコーティング法によって主に支配される。溶媒は不活性でなければならず、つまり、成分との化学反応に参加してはならず、コーティング操作後に乾燥して再度除去できなければならない。好適な溶媒は、たとえば、ケトン、エーテル及びエステル、たとえばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル及び3−エトキシプロピオン酸エチルである。
【0205】
配合物を公知コーティング法により、たとえばフレキソ印刷、平版印刷、インクジェット、スクリーン印刷、スピンコーティング、浸漬、ローラー適用、ナイフコーティング、カーテン注入、ブラシ適用又はスプレー(特に静電スプレー及び逆回転ロールコーティング、並びに電気泳動的堆積による)などの印刷法により基体に均一に塗布する。感光性層を仮の柔軟性支持体に塗布し、その後、積層により層を移すことによって最終層をコーティングすることも可能である。塗布の種類の例は、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol.A18, pp. 491−500で見出される。
【0206】
塗布される量(層の厚さ)及び基体(層支持体)の性質は、使用の所望の分野によって変わる。
【0207】
使用の更なる分野は、内層並びに中間及び外層の両方のガラスファイバーのコーティングに好適である組成物を含む。コーティングされたガラスファイバーをまとめて束にして、さらにコーティングを得ることもできる。そのようなコーティング層は、UV硬化性オリゴマー、UV硬化性モノマー並びに少なくとも1つの光開始剤及び添加剤を含む。
【0208】
任意のUV硬化性オリゴマーがガラスファイバーのコーティングに好適である。
【0209】
光硬化の使用のさらなる分野は、金属コーティング、たとえばシートメタル及び管、缶又はビンの閉鎖手段への上塗りの塗布、及びプラスチックコーティング、たとえばPVC系床又は壁紙上の光硬化である。
【0210】
紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、包装材料又はブックカバーへの無色上塗りの塗布である。
【0211】
本発明の組成物の感光性は、通常、約150nmからIR範囲まで及ぶ。好適な放射線は、たとえば、日光又は人工光源からの光中に存在する。したがって、多数の種々の光源を使用することができる。点光源及び扁平ラジエータ(ランプアレイ)のどちらも好適である。例は:カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、適切ならば金属ハロゲン化物をドープした中圧、高圧及び低圧水銀ラジエータ(金属ハロゲン化物ランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、フラッシュランプ、たとえば高エネルギーフラッシュランプ、写真用フラッドライトランプ、発光ダイオード(LED、OLED)、電子線及びX線である。ランプと暴露される基体との距離は、意図される使用並びにランプの種類及び強度によって変わる可能性があり、たとえば、2cm〜150cmである。特に好適なのは、レーザー光源、たとえばエキシマーレーザー、たとえば248nmでの暴露用クリプトン−Fレーザーである。可視及び赤外又はNIR範囲のレーザーも使用できる。
【0212】
すでに記載したように、本発明による硬化は、単に電磁放射線を照射することによって実施できる。しかし、硬化させる配合物の組成に応じて、照射前、照射中又は照射後の熱硬化が有利である。
【0213】
熱硬化は、当業者に公知の方法により実施される。一般に、硬化は、オーブン、たとえば循環空気オーブン中、加熱プレート上、又はIRランプでの照射により実施される。使用されるバインダー系に応じて、室温での自力硬化も可能である。硬化温度は一般的に、室温から150℃の間、たとえば25〜150℃又は50〜150℃である。粉末コーティング又はコイルコーティングの場合、硬化温度は、さらに高くてもよく、たとえば350℃までであってよい。
【0214】
本発明は、エチレン性不飽和二重結合を含む化合物を含む組成物の光重合のための光開始剤としての前記光開始剤化合物の使用、及び少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含むモノマー、オリゴマー又はポリマー化合物の光重合のための方法であって、前記化合物に前記少なくとも1つの光開始剤前記光開始剤混合物を添加し、そして結果として得られる組成物に電磁放射線を照射することを含む方法に関する。
【0215】
興味深いのは、顔料着色及び非顔料着色塗料及びワニス、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、感圧性接着剤、歯科用組成物、ゲルコート、電子機器用フォトレジスト、電気めっきレジスト、エッチングレジスト、液体及び乾燥フィルムの両方、ソルダーレジスト、種々のディスプレー用途のためのカラーフィルター製造用レジスト、プラズマディスプレーパネルの製造法において構造物を生成させるためのレジスト、電光表示及びLCD、LCD用スペーサーを製造するため、ホログラフィックデータ記憶(HDS)用、電気及び電子部品を封入するための組成物として、磁気記録材料、マイクロメカニカル部品、導波管、光スイッチ、めっきマスク、エッチングマスク、色校正刷りシステム、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するため、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、画像記録材料として、ホログラフィック記録、超小型電子回路、脱色材料、画像記録材料用脱色材料のため,マイクロカプセルを使用する画像記録材料のため、UV及び可視レーザー直接画像化システム用フォトレジスト材料として、プリント回路板のシーケンシャルビルドアップ層において誘電層を形成するために用いられるフォトレジスト材料としての前記組成物の使用;特に顔料着色及び非顔料着色塗料並びにワニス、粉末コーティング、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット印刷用インク、印刷版、接着剤、シーリング、ポッティング成分、歯科用組成物、フォーム、成形コンパウンド、複合組成物、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するため、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、並びに画像記録材料、フォトレジスト組成物、脱色材料、画像記録材料用脱色材料として、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための前記光重合性組成物の使用である。
【0216】
さらに興味深いのは、顔料着色及び非顔料着色塗料並びにワニス、粉末コーティング、印刷インク,印刷版,接着剤、感圧性接着剤、歯科用組成物、ゲルコート、電子機器用フォトレジスト、電気めっきレジスト、エッチングレジスト、液体及び乾燥フィルムの両方、ソルダーレジスト、種々のディスプレー用途のためのカラーフィルター製造用レジスト、プラズマディスプレーパネルの製造法において構造を生成させるためのレジスト、電光表示及びLCD、LCD用スペーサー、ホログラフィックデータ記憶(HDS)のため、電気及び電子部品を封入するための組成物として製造するため、磁気記録材料、マイクロメカニカル部品、導波管、光スイッチ、めっき用マスク、エッチング用マスク、色校正刷りシステム、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するため、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、画像記録材料として、ホログラフィック記録、超小型電子回路、脱色材料、画像記録材料用脱色材料のため、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のため、UV及び可視レーザー直接画像化システム用フォトレジスト材料として、プリント回路板のシーケンシャルビルドアップ層において誘電層を形成するために用いられるフォトレジスト材料として製造するための前記方法;特に、顔料着色及び非顔料着色塗料及びワニス、粉末コーティング、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット印刷用インク、印刷版、接着剤、シーリング、ポッティング成分、歯科用組成物、フォーム、成形コンパウンド、複合組成物、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシル、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、及び画像記録材料、フォトレジスト組成物、脱色材料、画像記録用脱色材料として、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のために製造するための方法である。
【0217】
好ましいのは、顔料着色及び非顔料着色表面コーティング、オーバープリントコーティング、粉末コーティング、印刷インク、インクジェットインク、ゲルコート、複合材料又はガラスファイバーコーティングの生産について前述されるような方法である。
【0218】
本発明は、少なくとも1つの表面が前述の組成物、並びに前記重合性組成物の硬化により得られる重合若しくは架橋組成物でコーティングされたコーティング基体にも関する。
【0219】
特に、興味深いのは、食品包装材料の表面コーティングとしての前述の組成物の使用、並びに前記組成物を用いる食品包装材料用表面コーティングの生産について前述した方法である。
【0220】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明し、範囲はこの実施例のみに限定されない。説明の残りの部分及び請求の範囲におけるような、部及びパーセンテージは、特に別段の記載がない限り、質量基準である。4個以上の炭素原子を有するアルキルラジカルが特定の異性体について言及されずに実施例で記載されている場合、それぞれの場合、n−異性体を意味する。
【0221】
製造例
以下の実施例の製造に関して、以下の出発物質を使用する:
オキシラニル成分として(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン
【化60】

を(4−ヒドロキシ−フェニル)−フェニル−メタノン及び2−クロロメチル−オキシランから、T. Nishikubo et al., Macromolecules 1998, 31, 2789−2796で教唆されるようにして製造する。
【0222】
以下に列挙するポリエーテルアミンはHUNTSMANから購入(特に別段の記載がない場合):
Jeffamine D−230
【化61】

(x−2.5;MW約230)
Jeffamine D−400
【化62】

(x〜6.1;MW約430)
Jeffamine ED−600
【化63】

(y約9.0、[x+z]約3.6;MW約600)
Jeffamine EDR−148
【化64】

(x=2.0;MW148)
Jeffamine T−403
【化65】

([x+y+z]約5〜6;MW約440)
Jeffamine EDR−176、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
【化66】

Jeffamine EDR−104、1,5−ジアミノ−3−オキサペンタン
【化67】

【0223】
さらに、以下のアミンを(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンと反応させる(手順は最適化されていない):
4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン(7300−34−7)
【化68】

【0224】
4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン(4246−51−9):
【化69】

【0225】
ポリエチレンイミンMN423(Aldrich468533;29320−38−5);アミン水素当量AHEW(gアミン/molエポキシド)=34
ポリエチレンイミンMW約800(Lupasol FG、BASF SE製;9002−98−6);AHEW=35.6;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.9/0.5
ポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350BASF SE製;960525−56−8);AHEW=88;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.217/0.012
【0226】
実施例1:
【化70】

【0227】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のヘキサン−1,6−ジアミンへの開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びヘキサン−1,6−ジアミン(16.8meq N/g;0.3g、5.0ミリモルN)のn−プロパノール(15ml)中混合物を、60℃でエポキシド変換が完了するまで(20時間)撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(2.6g)を得る。
【0228】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(面積%):実測値1133.6(≧80);計算値1132(C7072212;標記化合物)。
【0229】
MS(pos.APCI)、m/z:実測値1133.6、879.6、624.4;計算値878(C5458SN29;3倍開環付加から誘導される化合物)、624(C384426;2倍開環付加から誘導される化合物)。
【0230】
実施例2:
【化71】

【0231】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)及び2−ブトキシメチル−オキシラン(2当量)のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンへの開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(22.2meq N/g;0.45g、10.0ミリモルN)のn−プロパノール(15ml)中混合物をエポキシド変換が完了するまで(20時間)、60℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。2−ブトキシメチル−オキシラン(95%;0.68g、0.005mol)を添加し、反応混合物を60℃でさらに8時間撹拌する。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.8g)を得る。
【0232】
MS(pos.APCI)、m/z(%相対強度):実測値1079.9(40)、1203.8(100)、1327.5(80)、1451.6(30);計算値1078(C59106413;4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンの1回の開環付加及び2−ブトキシメチル−オキシランの5倍の開環付加から誘導される化合物)、1202(C68106414;4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンの2倍開環付加及び2−ブトキシメチル−オキシランの4倍開環付加から誘導される化合物)、1326(C77106415;4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンの3倍開環付加及び2−ブトキシメチル−オキシランの3倍開環付加から誘導される化合物)、1450(C86106416;4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンの4倍開環付加及び2−ブトキシメチル−オキシランの2倍開環付加から誘導される化合物)。
【0233】
GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1164/1326/1.14(96.3)。
【0234】
実施例3:
【化72】

【0235】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のJeffamine D−230への開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びJeffamine D−230(8.25meq N/g;0.6g、4.95ミリモルN)のn−プロパノール(15ml)中混合物を、エポキシド変換が完了するまで(20時間)、60℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.15g)を得る。
【0236】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1207.6、1265.6、1323.6(3つ全て併せて≧80);計算値1206(C7378214;x=2)、1264(C7684215;x=3)、1322(C7990216;x=4)。
【0237】
GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1068/1164/1.09(90.6)。
【0238】
実施例4:
【化73】

【0239】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のJeffamine D−400への開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びJeffamine D−400(4.37meq N/g;1.14g、4.98ミリモルN)のn−プロパノール(15ml)中混合物を、エポキシド変換が完了するまで(20時間)、60℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.65g)を得る。
【0240】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1207.6、1265.6、1323.7、1381.7、1439.7、1497.8、1555.8、1613.8(3つ全てあわせて≧91);計算値1206(C7378214;x=2)、1264(C7684215;x=3)、1322(C7990216;x=4)、1380(C8296217;x=5)、1438(C85102218;x=6)、1496(C88108219;x=7)、1554(C91114220;x=8)、1612(C94120221;x=9)。
【0241】
GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1383/1522/1.10(89.4)。
【0242】
実施例5:
【化74】

【0243】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のJeffamine ED−600への開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びJeffamine ED−600(3.43meq N/g;1.46g、5.0ミリモルN)のn−プロパノール(15ml)中混合物を、エポキシド変換が完了するまで(20時間)、60℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.85g)を得る。
【0244】
GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1491/1668/1.12(91.3)。
【0245】
実施例6:
【化75】

【0246】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のJeffamine EDR−148への開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(2.54g、0.01モル)及びJeffamine EDR−148(13.03meq N/g;0.38g、4.95ミリモルN)のn−プロパノール/1,4−ジオキサン(15ml/7ml)中混合物を、エポキシド変換が完了するまで(20時間)70℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.1g)を得る。
【0247】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1165.6(≧95);計算値1164(C7072214;標記化合物)。
【0248】
MS(pos.APCI)、m/z:実測値1165.6、911.4、658.3;計算値910(C5458211;3倍開環付加から誘導される化合物)、656(C384428;2倍開環付加から誘導される化合物)。
【0249】
実施例7:
【化76】

【0250】
実施例6の化合物のO−アセチル化
実施例6の化合物(前記と同じ方法で新たに製造)をクロロホルム(15ml)中に溶解させる。無水酢酸(1.27g、12.4ミリモル)を添加し、混合物を70℃で20時間撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。結果として得られる溶液を冷却し、続いて苛性ソーダ(水性、1モル濃度)及び食塩水で洗浄する。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(3.4g)を得る。
【0251】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1333.8(57)、1291.8(28);計算値1332(C7880218;標記化合物)、1290(C7678217;3倍O−アセチル化から誘導される化合物)。
【0252】
実施例8:
【化77】

【0253】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(6当量)のJeffamine T−403への開環付加
(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(3.81g、0.015mol)及びJeffamine T−403(6.0meq N/g;1.25g、7.5ミリモルN)のn−プロパノール(20ml)中混合物を、エポキシド変換が完了するまで(20時間)、70℃で撹拌し、反応の進行をGLCによりモニタリングする。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を次に留去して、淡黄色樹脂(4.0g)を得る。
【0254】
GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1546/1799/1.16(91.4)。
【0255】
実施例9:
【化78】

【0256】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)の4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミンへの開環付加
4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン(7300−34−7;97%;1.72g、8.17ミリモル)を1−プロパノール(50ml)と1,4−ジオキサン(23ml)との混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(8.58g、33.74ミリモル)を添加し、反応混合物を一晩、72℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.7g)を得る。
【0257】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1221.6(86.1)、255.1(4.3);計算値1220(C7480214;標記化合物)、254(C16143;(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン)。
【0258】
生成物(10.7g)を、Sartomer(登録商標)SR344[ポリエチレングリコール(PEG400)ジアクリレート−CAS26570−48−9](2.5g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)[4−ベンジリデン−2,6−ジ−tert−ブチル−シクロヘキサ−2,5−ジエノン]と、補助溶媒としてジクロロメタン(20g)を使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(13.4g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0259】
質量により測定される光開始剤濃度は53.4%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0260】
実施例10:
【化79】

【0261】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)の4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミンへの開環付加
4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン(4246−51−9;98%;1.82g、8.10ミリモル)を、1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(8.40g、33.03ミリモル)を添加し、反応混合物を一晩、72℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.7g)を得る。
【0262】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1237.5(85.4)、255.0(6.7);計算値1236(C7480215;標記化合物)、254(C16143;(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン)。
【0263】
生成物(10.7g)をSartomer SR344(Sartomer社製)(1.79g)及びIrgastab(登録商標)UV22(BASF SE製)(0.1g)と、ジクロロメタン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(12.5g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0264】
質量により測定される光開始剤濃度は、56.1%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0265】
実施例11:
【化80】

【0266】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)のエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(Jeffamine EDR−176への開環付加
エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル(Jeffamine EDR−176、2997−01−5;98%;1.51g、8.40ミリモル)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(8.72g、34.29ミリモル)を添加し、反応混合物を一晩、72℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.8g)を得る。
【0267】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1193.5(90.9)、255.0(3.1);計算値1192(C7276214;標記化合物)、254(C16143;(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン)。
【0268】
生成物(10.8g)をSartomer SR344(2.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)と、ジクロロメタン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(13.4g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0269】
質量により測定される光開始剤濃度は54.3%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0270】
実施例12:
【化81】

【0271】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(4当量)の1,5−ジアミノ−3−オキサペンタン(Jeffamine EDR−104)への開環付加
1,5−ジアミノ−3−オキサペンタン(Jeffamine EDR−104、2752−17−2;95%;0.98g、8.94ミリモル)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(9.57g、37.63ミリモル)を添加し、反応混合物を一晩、72℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(11.22g)を得る。
【0272】
LC/MS(pos.APCI)、m/z(%面積):実測値1121.4(87.2)、255.0(5.4);計算値1120(C6868213;標記化合物)、254(C16143;(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン)。
【0273】
生成物(11.22g)をSartomer SR344(2.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)と、ジクロロメタン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(13.2g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0274】
質量により測定される光開始剤濃度は、60.5%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0275】
実施例13:
【化82】

【0276】
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(6当量)のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(実施例2と同様)への開環付加
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(22.2meq N/g;1.06g、23.53ミリモルN)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(9.07g、35.67ミリモル)を添加し、反応混合物を一晩、72℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.75g)を得る。
【0277】
MS(pos. ESI)、m/z(%強度):実測値1700.48(30);計算値1698(C104106418;標記化合物)。
【0278】
生成物(10.75g)をSartomer SR344(2.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)と、ジクロロメタン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(13.2g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0279】
質量により測定される光開始剤濃度は57.3%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0280】
実施例14:
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン [(アミン水素当量(AHEW)基準で60mol%)及び1,2−エポキシブタン(AHEW基準で40mol%)のポリエチレンイミンMN423(Aldrich 468533;29320−38−5)への開環付加
ポリエチレンイミンMN423(Aldrich 468533、29320−38−5;アミン水素当量AHEW(gアミン/molエポキシド)=34;1.58g、46.47ミリモルエポキシドに等しい)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(99%;7.15g、27.84ミリモル;AHEW基準で60mol%)を添加し、反応混合物を60℃で24時間撹拌する。1,2−エポキシブタン(1.34g、18.58ミリモル;AHEW基準で40mol%)を添加し、反応混合物をさらに24時間60℃で撹拌する。さらなる1,2−エポキシブタン(1.34g、18.58ミリモル;AHEW基準で40mol%)を次いで添加し、反応混合物をさらに42時間60℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.63g)を得る。
【0281】
w(計算値):約2680;GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1003/1366/1.36(94.6);%w/w残留(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン:<0.5(LCによる);ガラス転移温度(Tg):37.2℃。
【0282】
生成物(10.63g)をSartomer SR344(2.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)と、テトラヒドロフラン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(12.4g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0283】
質量により測定される光開始剤濃度は47.7%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0284】
実施例15:
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(AHEW基準で60mol%)及び1,2−エポキシブタン(AHEW基準で40mol%)のポリエチレンイミンMW約800(Lupasol FG、BASF;9002−98−6)への開環付加
ポリエチレンイミンMW約800(Lupasol FG、BASF、9002−98−6;AHEW=35.6;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.9/0.5;1.64g、46.07ミリモルエポキシドに等しい)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(99%;7.10g、27.64ミリモル;AHEW基準で60mol%)を添加し、反応混合物を60℃で24時間撹拌する。1,2−エポキシブタン(1.33g、18.44ミリモル;AHEW基準で40mol%)を添加し、反応混合物をさらに24時間60℃で撹拌する。さらなる1,2−エポキシブタン(1.33g、18.44ミリモル;AHEW基準で40mol%)を次いで添加し、反応混合物をさらに42時間60℃で撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.33g)を得る。
【0285】
w(計算値):約4877;GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1286/2068/1.61(93.8);%w/w残留(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン:<0.5(LCによる);ガラス転移温度(Tg):40.3℃。
【0286】
生成物(10.33g)をSartomer SR344(2.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.1g)と、テトラヒドロフラン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(12.4g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0287】
質量により測定される光開始剤濃度は47.3%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0288】
実施例16:
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(AHEW基準で90mol%)及び1,2−エポキシブタン(AHEW基準で10mol%)のポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF;960525−56−8)への開環付加
ポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF、960525−56−8;AHEW=88;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.217/0.012;2.72g、30.91ミリモルエポキシドに等しい)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(99%;7.13g、27.76ミリモル;AHEW基準で90mol%)を添加し、反応混合物を60℃で24時間撹拌する。1,2−エポキシブタン(0.44g、6.1ミリモル;AHEW基準で20mol%)を添加し、反応混合物を60℃でさらに48時間撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.84g)を得る。
【0289】
w(計算値):約1473;GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1322/1755/1.33(96.5);%w/w残留(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン:<0.5(LCによる)。
【0290】
質量により測定される光開始剤濃度は54.3%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに等しい。
【0291】
実施例17:
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(AHEW基準で90mol%)及び1,2−エポキシブタン(AHEW基準で10mol%)のポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF;960525−56−8)への開環付加
ポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF、960525−56−8;AHEW=88;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.217/0.012;2.72g、30.91ミリモルエポキシドに等しい)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(99%;7.13g、27.76ミリモル;AHEW基準で90mol%)を添加し、反応混合物を60℃で24時間撹拌する。1,2−エポキシブタン(0.22g、3.05ミリモル;AHEW基準で10mol%)を添加し、反応混合物を60℃でさらに48時間撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、黄色がかった樹脂(10.7g)を得る。樹脂を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に再溶解させる。1,2−エポキシブタン(0.22g、3.05ミリモル;AHEW基準で10mol%)を添加し、反応混合物を60℃でさらに48時間撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.69g)を得る。
【0292】
w(計算値):約1473;GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1313/1754/1.34(94.3);%w/w残留(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン:<0.5(LCによる)。
【0293】
生成物(10.69g)をSartomer SR344(0.53g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.03g)と、テトラヒドロフラン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(10.4g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0294】
質量により測定される光開始剤濃度は56.7%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに均しい。
【0295】
実施例18:
4−(オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(AHEW基準で100mol%)のポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF;960525−56−8)への開環付加
ポリテトラヒドロフランアミンMW約400(PolyTHFAmine350、BASF、960525−56−8;AHEW=88;第1アミン/第2アミン/第3アミン=1/0.217/0.012;2.57g、29.2ミリモルエポキシドに均しい)を1−プロパノール(50ml)及び1,4−ジオキサン(23ml)の混合物中に溶解させる。結果として得られる溶液を撹拌し、40℃にする。(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(99%;7.50g、29.2ミリモル;AHEW基準で100mol%)を添加し、反応混合物を60℃で42時間撹拌する。さらなる(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン(0.23g、0.90ミリモル;AHEW基準で3mol%)を添加し、反応混合物を60℃でさらに48時間撹拌する。揮発性物質を次いでロータリーエバポレーターで除去し、残留物をオイルポンプで乾燥して、標記化合物(10.7g)を得る。
【0296】
w(計算値):1556;GPC(ポリスチレン校正;RI検出器、THF)、Mn/Mw/PDI(%面積):1453/1838/1.27(93.9);%w/w残留(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノン:1.2(LCによる)。
【0297】
生成物(10.7g)をSartomer SR344(1.12g)及びIrgastab(登録商標)UV22(0.06g)と、テトラヒドロフラン(20g)を補助溶媒として使用して混合して、溶媒を除去した後、粘度が低下した試料(11.6g)を得、これを試験(すなわち硬化速度の測定)に付す。
【0298】
質量により測定される光開始剤濃度は55.1%w/w(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンに均しい。
【0299】
応用例
インク配合物1は、以下の成分を混合することによって製造する:
15.0質量%の6官能性ポリエステルアクリレート(EBECRYL450、Cytec製)
20.0質量%の4官能性ポリエステルアクリレート(EBECRYL812、Cytec製)
15.0質量%のアミン修飾ポリエーテルアクリレート(EBECRYL83、Cytec製)
33.3質量%の1官能性アクリレート(EBECRYL160、Cytec製)
0.7質量%のシリコーン添加剤(DC57)、DOW Corning製;
16.0質量%の青色顔料(IRGALITE Blue GLO、BASF SE製)
【0300】
配合物A〜Hの試験
95%の配合物1を1%の(Irgacure(登録商標)369、=2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン BASF SE製)及び4%の試験される化合物と混合することによって、配合物A〜Hを製造する。配合物及び対応する試験化合物を以下の第1表に記載する:
第1表
【表1】

【0301】
コロナ処理されたPEC(ポリエチレンカーボネート)白色ホイル上にプリューフバウ機を用いて配合物を塗布する(1.6g/m2転写)。異なるベルト速度で空気下、アルミニウム反射物を用いて試料を中圧水銀ランプ(200W/cm)に暴露する:照射直後に転写試験を用いて重合効率を評価する。ここで、印刷面を白色紙基体(Lumiart brilliant、couche standard、135gm2)により覆い、さらにアルミニウムシリンダーにより加えられた200Nの圧力に付す(1m/分の移動速度)。露出表面から紙への目に見えるインクの転写は、インク表面の不十分な硬化を特徴付ける。
【0302】
一定の光強度で適切な硬化(インクの転写がない)を達成するために必要な最大ベルト速度と定義される硬化速度により反応性を測定する。
【0303】
結果を以下の第2表にまとめる。
【0304】
第2表
【表2】

【0305】
配合物J〜Sの試験
94%の配合物1と1%の(Irgacure(登録商標)369、BASF SE製)及び5%の試験される光開始剤化合物とを混合することによって配合物J〜Sを調製する。
【0306】
プリューフバウ機(1.4〜1.6g/m2転写)を25℃、圧力500Nで用いてコロナ処理されたPEC白色ホイル上に配合物を塗布する。基体に1m/分のコンベア速度で印刷する。
【0307】
コールドミラー反射物を空気下、各試料について適切なベルト速度で使用して、印刷された基体を中圧水銀ランプ(200W/cm)に暴露する。
【0308】
照射直後に転写試験を用いて重合効率を評価する。ここで、印刷面を白色紙基体(Lumiart brilliant、couche standard、135gm2)で覆い、さらにアルミニウムシリンダー(1m/分の移動速度)により適用される200Nの圧力に付す。印刷された試料と接触した白色紙表面にインク転写が全く無い場合、最適表面硬化条件が達成される。一定の光強度で適切な硬化(=インク転写がない)を得るために必要な最大ベルト速度と定義される硬化速度により反応性を測定する。
【0309】
配合物及び対応する試験結果を以下の第3表に記載する:
第3表
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性部分Q及びアミン官能基、好ましくは第3アミノ基を含む光開始剤化合物であって、
Qは、光活性部分
【化1】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を示し;
g及びg’は、互いに独立して、0〜5の整数、特に0、1又は2であり;
1及びR’1は、互いに独立して、水素、直線状又は分枝C1〜C6アルキル、OC1〜C3アルキル、OR3、NO2、CN、(CO)OR2又はハロゲンであり;
Zは、基
【化2】

(式中、二重星印(**)はフェニル環に対する結合を表し、星印(*)は窒素原子に対する結合を表す)であり;
Xは、O、S又はOCH2CH2Oであり;
2は、水素、又は直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであり;そして
3は水素又は(CO)CH3である)である、光開始剤化合物。
【請求項2】
式(1)
【化3】

(式中、
4及びR5は互いに独立して
光活性部分Q;
水素;
場合によって1以上の同一又は異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;
或いはR4及びR5は、1以上の同一又は異なるY1によって中断された直線状又は分枝C2〜C20アルキル(この中断されたC2〜C20アルキルは、場合によって1以上の同一又は異なるY2により置換されている)であるか;
或いはR4及びR5は、場合によって1以上の同一又は異なるY3により置換されたC6〜C14アリールであるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−C1〜C20アルキル(ここで、C6〜C14アリール部分は場合によって1以上の同一若しくは異なるY3により置換され、C1〜C20アルキル部分は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換されている)であるか;
或いはR4及びR5はC6〜C14アリール−C2〜C20アルキル(ここで、C2〜C20アルキル部分は、1以上の同一若しくは異なるY1により中断され、C6〜C14アリール部分は、場合によって1以上の同一若しくは異なるY3により置換され、前記の中断されたC2〜C20アルキル部分は置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、C6〜C14アリール−Y−C1〜C20アルキル(ここで、C1〜C20アルキル部分は、場合によって1以上の同一又は異なるY2により置換され、C6〜C14アリール部分は置換されていないか又は1以上の同一又は異なるY3により置換されている)であるか;
或いはR4及びR5はC6〜C14アリール−Y−C2〜C20アルキル(ここで、C2〜C20アルキル部分は、1以上の同一又は異なるY1により中断され、C6〜C14アリール部分は、場合によって1以上の同一又は異なるY3により置換され、前記の中断されたC2〜C20アルキル部分は置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY2により置換される)であるか;
或いはR4及びR5は、場合によって1以上の同一又は異なるY2及び/又はC1〜C3アルキルにより置換されたC5〜C12シクロアルキルであるか;
或いはR4及びR5は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化4】

を形成するか;
或いはR4及びR5は、互いに独立してE−R9基であり;
6は、R4及びR5について記載した意味のうちの1つを有するか、又はN(R10)(R11)、OR12基、E1−R13基、E2−R14基、E3−R15基又は
【化5】

であり;
qは0又は1であり;
Qは光活性部分
【化6】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示し;
g及びg’は、互いに独立して、0〜5の整数、特に0、1又は2であり;
1及びR’1は、互いに独立して、水素、直線状又は分枝C1〜C6アルキル、OC1〜C3アルキル、OR3、NO2、CN、(CO)OR2又はハロゲンであり;
Zは、基
【化7】

(式中、二重星印(**)はフェニル環に対する結合を示し、星印(*)は窒素原子に対する結合を示す)であり;
Xは、O、S又はOCH2CH2Oである)であり;
2は、水素又はC1〜C6アルキルであり;
3は、水素又は(CO)CH3であり;
Yは、O、S又はN(R16)であり;
1は、N(R16)、O、S、S−S、C(R17)=C(R18)、フェニレン、C5〜C6シクロアルキレン、
【化8】

(式中、同じ分子中の複数のY1は同一又は異なる)であり;
2は、N(R10)(R11)、OR12、SQ、C(R17)=(R182,(CO)OR2、C6〜C14アリール又はY−C6〜C14アリールであり、このC6〜C14アリール又はY−C6〜C14アリールは場合によってY3により置換され(ここで、同じ分子中の複数のY2は同一又は異なる);
3は、ハロゲン、CN、NO2、OQ、SQ、OR12、N(R10)(R11),(CO)OR2、SO3H;フェニル又はOフェニル(ここで、前記フェニル又はOフェニルは場合によって1以上のハロゲン、直線状若しくは分枝C1〜C3アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C3アルキルにより置換されている)であるか;
或いはY3は、場合によって1以上のハロゲンにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;
或いはY3は、場合によってCN、SQ、OR12、N(R10)(R11)又は(CO)OR2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C3アルキル(ここで、同じ分子中の複数のY3は同一又は異なる)であり;
7及びR8は、互いに独立して、光活性部分Q、水素、場合によってOR12、CN、C(R17)=C(R182、C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールによって置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル(ここで、前記C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールは場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状又は分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されている)であるか;
或いはR7及びR8は、1以上のO、(CO)O、O(CO)、C(R17)=C(R18)により中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは場合によってOR12、C(R17)=C(R182又はNR1011により置換される)であるか;
或いはR7及びR8は、場合によってOR12より置換されたC5〜C6シクロアルキルであるか;
或いはR7及びR8は、場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されたC6〜C14アリールであり;
9は、水素、G2−N(R10)(R11)、直線状若しくは分枝C1〜C20アルキル、直線状若しくは分枝C2〜C6アルケニル、フェニル、フェニル−C1〜C20アルキル又は(CO)CH3であり;
10及びR11は、互いに独立して、光活性部分Q、水素、場合によってOR12、CN、C(R17)=C(R182、(CO)OR2、C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールにより置換された直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル(ここで、前記C6〜C14アリール又はOC6〜C14アリールは場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換される)であるか;
或いはR10及びR11は、1以上のO、(CO)O、O(CO)、C(R17)=C(R18)により中断された直線状若しくは分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12、C(R17)=C(R182又はN(C1〜C6アルキル)2により置換されている)であるか;
或いはR10及びR11は、場合によってOR12より置換されたC5〜C6シクロアルキルであるか;
或いはR10及びR11は、場合によってOR12、(CO)OR2、ハロゲン、CN、NO2、直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又は直線状若しくはは分枝ハロ−C1〜C6アルキルにより置換されたC6〜C14アリールであるか;
或いはR10及びR11は、それらが結合しているN原子と一緒になって、基
【化9】

を形成し;
R’7及びR’8は、互いに独立して、R7及びR8について記載した意味のうちの1つを有し;
12は、R2について記載した定義のうちの1つを有するか、又は(CO)CH3であり;
13は、水素、N(R10)(R11)、OH、O(CO)CH3又はOC2〜C6アルケニルであり;
14はN(R10)(R11)であり;
15は、水素又はN(R10)(R11)であり;
16は、R7及びR8について記載した意味のうちの1つを有するか、又は−G−N(R19)(R20)基であり;
17及びR18は、互いに独立して、R2について記載した定義のうちの1つを有し;
19及びR20は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義のうちの1つを有するか;
或いはR19及びR20は、互いに独立して、−G1−N(R21)(R22)基であり;
G及びG1は、互いに独立して、直線状又は分枝C2〜C6アルキレンであり;
21及びR22は、互いに独立して、R10及びR11について記載した定義のうちの1つを有し;
Eは、基
【化10】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を表す)であり;
複数存在する部分
【化11】

中のG2は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
複数存在する部分
【化12】

中のaは独立して1〜50の整数であり;
1は、基
【化13】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)であり;
複数存在する部分
【化14】

中のMは、同一又は異なり、O又はN(R16)であり;
eは0又は1であり;
複数存在する部分
【化15】

中のG3は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
b+c+dの合計は1〜50の整数であり;
23は、水素又は直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルであるか;
或いはR23は、eが1である場合、さらに基
【化16】

であり;この場合、f+b+c+dの合計は1〜50の整数であり;
複数存在する部分
【化17】

中のG4は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
24は、R13について記載した定義のうちの1つを有し;
2は、基
【化18】

であり;
3は、場合によってフェニレンで縮合された5若しくは6員芳香族若しくは脂肪族環を含む二価環系(この5若しくは6員非縮合若しくは縮合芳香環は1以上の同一若しくは異なるYを含むか、又はこの5若しくは6員非縮合若しくは縮合脂肪族環は1以上の同一若しくは異なるY’を含み、この二価環系は、置換されていないか、又は1以上の同一若しくは異なるY3により置換される)であり;
Y’は、Yについて記載した定義のうちの1つを有するか、又は(CO)であり;
25及びR’25は、互いに独立して、直線状又は分枝C1〜C6アルキルであり;
26及びR27は、互いに独立して、水素、場合によってハロゲンにより置換された直線状又は分枝C1〜C6アルキルであるか、
或いはR26及びR27は、これらが結合しているC原子と一緒になって、基
【化19】

を形成し;
5は、シクロヘキシレン又はフェニレン(このシクロヘキシレン又はフェニレンは、場合によって直線状若しくは分枝C1〜C6アルキルにより置換される)であり;
6は、シクロヘキシレン又はフェニレン(このシクロヘキシレン又はフェニレンは、場合によって直線状若しくは分枝C1〜C6アルキル又はN(R10)(R11)により置換される)であり;
7は、G5について記載された定義のうちの1つを有し;
8は、直接結合又は**−Oフェニレン(ここで、二重星印(**)は芳香環に対する結合を示す)であり;
9は、直接結合、C(R26)(R27)、O、S、SO2、N(R16)又は
【化20】

であり;そして
28及びR’28は、直線状又は分枝C1〜C6アルキル、ハロゲン、NO2又は(CO)OR2である;
ただし、式(1)の化合物は少なくとも1つのQ基を含むものとする)により表される請求項1記載の光開始剤化合物。
【請求項3】
4及びR5が光活性部分Qであり;
6が場合によって1以上の同一若しくは異なるY2により置換された直線状若しくは分枝C1〜C20アルキルであるか;
又は1以上の同一若しくは異なるY1により中断された直線状若しくは分枝C2〜C20アルキル(この中断されたC2〜C20アルキルは場合によって1以上の同一又は異なるY2により置換されている)であるか;
又はE−R9基若しくはE1−R13であり;
Qが光活性部分
【化21】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示し;
g及びg’が0であり;
Zが、基
【化22】

(式中、二重星印(**)はフェニル環に対する結合を示し、星印(*)は窒素原子に対する結合を示す)である)であり;
XがOであり;
3が、水素又は(CO)CH3であり;
1が、O又はNR16であり;
2がN(R10)(R11)であり;
9が、G2−N(R10)(R11)又は水素であり;
10及びR11は、互いに独立して、光活性部分Q、水素であるか、
或いはR10及びR11は、1以上のOにより中断された直線状又は分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12により置換される)であり;
12は水素であり;
13は、N(R10)(R11)であり;
16は、光活性部分Q、水素、又は1以上のOにより中断された直線状若しくは分枝C2〜C18アルキル(この中断されたC2〜C18アルキルは、場合によってOR12若しくはNR1011により置換される)であり;
Eは、基
【化23】

(式中、星印(*)は、N原子に対する結合を表す)であり;
複数存在する部分
【化24】

中のG2は、同一又は異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
複数存在する部分
【化25】

中のaは、独立して1〜50の整数であり;
複数存在する部分
【化26】

中のMは、同一又は異なり、O又はN(R16)であり;
1は、基
【化27】

(式中、星印(*)はN原子に対する結合を示す)であり;
eは1であり;
複数存在する部分
【化28】

中のG3は、同一若しくは異なり、直線状若しくは分枝C2〜C6アルキレンであり;
b+c+dの合計が、1〜12の整数であり;そして
23は、直線状又は分枝C1〜C6アルキルである、請求項2記載の式(1)の光開始剤化合物。
【請求項4】
1より多くの、請求項1から3までのいずれか1項で定義される光開始剤化合物を含む光開始剤混合物。
【請求項5】
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物及び
(B)請求項1から3までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの光開始剤又は請求項4記載の光開始剤混合物
を含む、光重合性組成物。
【請求項6】
成分(B)に加えて、少なくとも1つのさらなる光開始剤(C)及び/又は他の慣例の添加剤(D)を含む、請求項5記載の光重合性組成物。
【請求項7】
全組成物に基づいて、0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%の光開始剤化合物又は光開始剤混合物を含む、請求項5記載の重合性組成物。
【請求項8】
式(1)
【化29】

(式中、R4、R5及びR6は、請求項2で定義したとおりである)の化合物を製造するための方法であって、式(10)の(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−フェニル−メタノンを式(2’)又は(2'')のジアミン及びオリゴアミンに開環付加することにより、
【化30】

(式中、R1、R’1、g、g’、R5及びR6は、請求項2で定義したとおりである)にしたがって式(1’)又は(1'')の化合物を得る、方法。
【請求項9】
少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含むモノマー、オリゴマー又はポリマー化合物の光重合のための方法であって、前記化合物に、請求項1から3までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの光開始剤又は請求項4記載の光開始剤混合物を添加し、結果として得られた組成物に電磁放射線を照射することを含む、方法。
【請求項10】
少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含むモノマー、オリゴマー若しくはポリマー化合物の光重合のための、請求項1から3までのいずれか1項に記載の光開始剤又は請求項4記載の光開始剤混合物の使用。
【請求項11】
顔料着色及び非顔料着色塗料及びワニス、粉末コーティング、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット印刷用インク、印刷版、接着剤、シーリング、ポッティング成分、歯科用組成物、フォーム、成形コンパウンド、複合組成物、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するため、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、及び画像記録材料、フォトレジスト組成物、脱色材料、画像記録材料用脱色材料として、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための、請求項9記載の方法。
【請求項12】
顔料着色及び非顔料着色塗料及びワニス、粉末コーティング、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット印刷、フレキソ印刷又はインクジェット印刷用インク、印刷版、接着剤、シーリング、ポッティング成分、歯科用組成物、フォーム、成形コンパウンド、複合組成物、ガラスファイバーケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するため、ステレオリソグラフィーにより立体物を製造するため、及び画像記録材料、フォトレジスト組成物、脱色材料、画像記録材料用脱色材料として、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための、請求項5から7までのいずれかに記載の光重合性組成物の使用。
【請求項13】
請求項5から7までのいずれか1項に記載の組成物で少なくとも1つの表面上がコーティングされた、被覆基材。
【請求項14】
請求項5から7までのいずれか1項に記載の重合性組成物を硬化させることによって得られる重合又は架橋組成物。

【公表番号】特表2013−500303(P2013−500303A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522126(P2012−522126)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060764
【国際公開番号】WO2011/012560
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】