説明

高分子化合物及びそれを用いた発光素子

【課題】発光効率に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される構成単位及び芳香族アミンを構成単位を有する高分子化合物。


式中、n及びnは1〜5の整数を示し、R〜R10は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基又は1価の複素環基を示し、R〜Rのうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよく、R〜R10のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物、その原料化合物、該高分子化合物を含む組成物、該高分子化合物を含む液状組成物、有機薄膜、発光素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子に用いるための発光材料として、例えば、アリールアミンから誘導された構成単位を含む高分子化合物(特許文献1)、及び、フルオレンから誘導された構成単位を含む高分子化合物(特許文献2)が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−143419号公報
【特許文献2】特表2004−527628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の高分子化合物を用いた発光素子は、その発光効率が必ずしも十分ではない。
【0005】
そこで、本発明は、発光効率に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、当該高分子化合物を含む組成物、液状組成物、有機薄膜、発光素子、面状光源及び表示装置を提供することを目的とする。本発明はさらに、高分子化合物の原料化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位を有する高分子化合物を提供する。
【化1】


[式中、n及びnはそれぞれ独立に、1〜5の整数を示し、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、R、R、R及びRがそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR、R、R及びRは互いに同一でも異なっていてもよく、R、R、R及びRのうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよく、R、R、R及びR10のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。]
【化2】


[式中、a及びbはそれぞれ独立に0又は1を示し、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、又は、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と互いに連結して環構造を形成していてもよい。]
【0007】
このような高分子化合物によれば、発光効率に優れる発光素子が得られる。
【0008】
本発明の高分子化合物は、上記式(2)で表される構成単位として、下記式(3)で表される構成単位を有していてもよい。
【化3】


[式中、Rは水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は−C(R11−で表される基(R11は、非置換若しくは置換のアルキル基又は非置換若しくは置換のアリール基を示し、複数存在するR11は互いに同一でも異なっていてもよい。)を示す。]
【0009】
本発明の高分子化合物は、下記式(4)で表される構成単位をさらに有していてもよい。
【化4】


[式中、Arは非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、又は、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)を示す。但し、式(4)で表される構成単位は、前記式(1)で表される構成単位とは異なる。]
【0010】
本発明の高分子化合物は、上記式(4)で表される構成単位として、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位を有していてもよい。
【0011】
本発明の高分子化合物は、上記式(4)で表される構成単位として、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基からなる構成単位を有していてもよい。
【0012】
本発明の高分子化合物は、上記式(4)で表される構成単位として、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基、及び、下記式(5’)で表される基、からなる群より選ばれる少なくとも一種の基からなる構成単位を有していてもよい。
【化5】


[式中、c及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、cは0〜5の整数を示し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のアルコキシカルボニル基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はシアノ基を示し、R12、R13及びR14がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR12、R13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0013】
本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のフェニレン基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0014】
本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0015】
本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0016】
本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、下記式(5)で表される構成単位(すなわち、式(5’)で表される基からなる構成単位)と、を有するものであってもよい。
【化6】


[式中、c及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、cは0〜5の整数を示し、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のアルコキシカルボニル基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はシアノ基を示し、R12、R13及びR14がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR12、R13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0017】
本発明の高分子化合物は、上記式(1)におけるn及びnが、それぞれ独立に3又は4であってもよい。
【0018】
本発明はまた、下記式(6)で表される化合物を提供する。
【化7】


[式中、m及びmはそれぞれ独立に1又は2を示し、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、X11、X12、X13及びX14はそれぞれ独立に、−C(R31−で表される基(R31は、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、複数存在するR31は互いに同一でも異なっていてもよい。)を示し、R27、R28、R29及びR30のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよく、Z及びZはそれぞれ独立に、下記置換基群から選ばれる基を示す。但し、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個は、水素原子以外の基である。
<置換基群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)41(R41は、アルキル基、又は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基、を示す。)で表される基、−B(OR42(R42は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR42は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基、−BF(Qは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる1価の陽イオンを示す。)で表される基、−MgY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、−ZnY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、及び、−Sn(R43(R43は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR43は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基。]
【0019】
本発明はまた、上記本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含有する組成物を提供する。このような組成物は、発光素子の製造に好適に使用でき、得られる発光素子は発光効率に優れたものとなる。
【0020】
本発明はまた、上記本発明の高分子化合物と、溶媒と、を含有する液状組成物を提供する。このような液状組成物によれば、上記高分子化合物を含有する有機薄膜を容易に製造することができる。
【0021】
本発明はまた、上記本発明の高分子化合物を含有する有機薄膜を提供する。このような有機薄膜は、発光効率に優れる発光素子の製造に有用である。
【0022】
本発明はまた、上記本発明の組成物を用いてなる有機薄膜を提供する。このような有機薄膜は、発光効率に優れる発光素子の製造に有用である。
【0023】
本発明はまた、上記本発明の有機薄膜を有する発光素子を提供する。このような発光素子は、発光効率に優れたものとなる。
【0024】
本発明はまた、上記本発明の発光素子を有する面状光源及び表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、発光効率に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することができる。また本発明によれば、当該高分子化合物を含む組成物、液状組成物、有機薄膜、発光素子、面状光源及び表示装置を提供することができる。さらに本発明によれば、高分子化合物の原料化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の発光素子の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の発光素子の他の実施形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明の面状光源の一実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて例を挙げて説明する。
【0028】
本明細書中、「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示し、「Ph」はフェニル基を示し、「t−Bu」は、tert−ブチル基を示す。
【0029】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構成単位」は、「繰り返し単位」(すなわち、高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
【0030】
「C〜C」(x及びyは、x<yを満たす正の整数である。)という用語は、この用語の直後に記載された官能基名に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜y個であることを意味する。すなわち、「C〜C」の直後に記載された有機基が、複数の官能基名を組み合わせて命名された有機基(例えば、C〜Cアルコキシフェニル基)である場合、複数の官能基名のうち「C〜C」の直後に記載された官能基名(例えば、アルコキシ)に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜y個であることを意味する。例えば、「C〜C12アルキル基」は炭素原子数が1〜12個であるアルキル基を意味し、「C〜C12アルコキシフェニル基」は「炭素原子数が1〜12個であるアルコキシ基」を有するフェニル基を意味する。
【0031】
本明細書中、「非置換若しくは置換の」という用語は、この用語の直後に記載された官能基が置換基を有していてもよいことを意味する。例えば、「非置換若しくは置換のアルキル基」は、「非置換のアルキル基若しくは置換基を有するアルキル基」を意味する。
【0032】
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。これらの基は、上記から選ばれる置換基をさらに有していてもよい。
【0033】
「アルキル基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基の炭素原子数は、特記しない限り、直鎖状アルキル基及び分岐状アルキル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルキル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜12である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基が挙げられる。
【0034】
「アルコキシ基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルコキシ基、分岐状アルコキシ基及び環状アルコキシ基(シクロアルコキシ基)のいずれであってもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、直鎖状アルコキシ基及び分岐状アルコキシ基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルコキシ基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。
【0035】
「アルキルチオ基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキルチオ基、分子鎖状アルキルチオ基及び環状アルキルチオ基(シクロアルキルチオ基)のいずれであってもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、直鎖状アルキルチオ基及び分岐状アルキルチオ基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜12であり、環状アルキルチオ基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基が挙げられる。
【0036】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団である。アリール基は、置換基を有していてもよく、アリール基としては、ベンゼン環を有するもの、縮合環を有するもの等が含まれる。アリール基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレン等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基が挙げられる。
【0037】
「アリールオキシ基」は、−O−Ar11で表される基(Ar11は、上記アリール基を示す。)であり、Ar11におけるアリール基は置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、2−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、2−フルオレニルオキシ基が挙げられる。
【0038】
「アリールチオ基」は、−S−Ar12で表される基(Ar12は、上記アリール基を示す。)であり、Ar12におけるアリール基は置換基を有していてもよい。アリールチオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラセニルチオ基、2−アントラセニルチオ基、9−アントラセニルチオ基、2−フルオレニルチオ基が挙げられる。
【0039】
「アルケニル基」は、アルケンのsp炭素に結合する水素原子を1個除いた残りの原子団である。アルケニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基の炭素原子数は、特記しない限り、直鎖状アルケニル基及び分岐状アルケニル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10であり、環状アルケニル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15であり、さらに好ましくは5〜10である。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
【0040】
「アルキニル基」は、アルキンのsp炭素に結合する水素原子を1個除いた残りの原子団である。アルキニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基のいずれであってもよい。アルキニル基の炭素原子数は、特記しない限り、直鎖状アルキニル基及び分岐状アルキニル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10であり、環状アルキニル基では、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは5〜20であり、より好ましくは6〜15であり、さらに好ましくは7〜10である。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
【0041】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアミノ基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1又は2個の置換基で置換されたアミノ基(以下、「置換アミノ基」という。)である。該置換基はさらに置換基(以下、有機基の有する置換基が、さらに有する置換基を、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜60、より好ましくは2〜48、さらに好ましくは2〜40である。
【0042】
置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニルアミノ基、ビス(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0043】
「シリル基」は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のシリル基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたシリル基(以下、「置換シリル基」という。)である。置換基は二次置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1〜60、より好ましくは3〜48、さらに好ましくは3〜40である。
【0044】
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0045】
「アシル基」としては、例えば、−C(=O)−R44(R44は、上記アルキル基、上記アリール基又は後述する1価の複素環基を示す。)で表される基が挙げられる。R44におけるアルキル基、アリール基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよい。アシル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。また、置換基を有するアシル基としては、置換基としてハロゲン原子を有するアシル基(例えば、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基)等が挙げられる。
【0046】
「アシルオキシ基」としては、例えば、−O−C(=O)−R45(R45は、上記アルキル基、上記アリール基又は後述する1価の複素環基を示す。)で表される基が挙げられる。R45におけるアルキル基、アリール基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよい。アシルオキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。また、置換基を有するアシルオキシ基としては、置換基としてハロゲン原子を有するアシルオキシ基(例えば、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基)等が挙げられる。
【0047】
「オキシカルボニル基」としては、−C(=O)−O−R45a(R45aは、上記アルキル基、上記アリール基又は後述する1価の複素環基を示す。)で表される基が挙げられる。R45aにおけるアルキル基、アリール基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよい。オキシカルボニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは2〜20、より好ましくは2〜18、さらに好ましくは2〜16である。
【0048】
「1価の複素環基」は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団である。複素環基は置換基を有していてもよく、複素環基としては単環の基、縮合環を有する基等が含まれる。1価の複素環基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。
【0049】
複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む化合物をいう。
【0050】
1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。1価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団である。芳香族複素環式化合物としては、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等のヘテロ原子を含む複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等のヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
【0051】
「複素環オキシ基」は、−O−Ar13(Ar13は上記1価の複素環基を示す。)であり、Ar13における複素環基は置換基を有していてもよい。複素環オキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。複素環オキシ基としては、例えば、ピリジルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基、トリアジニルオキシ基が挙げられる。
【0052】
「複素環チオ基」は、−S−Ar14(Ar14は上記1価の複素環基を示す。)であり、Ar14における複素環基は置換基を有していてもよい。複素環チオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。複素環チオ基としては、例えば、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジニルチオ基、ピラジニルチオ基、トリアジニルチオ基が挙げられる。
【0053】
「イミン残基」は、式:H−N=C(R46及び式:H−C(R47)=N−R48の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、該式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、R46、R47及びR48はそれぞれ独立に、上記アルキル基、上記アリール基、上記アルケニル基、上記アルキニル基又は上記1価の複素環基を示す。R46、R47及びR48におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基及び1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。複数存在するR46は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成してもよい。イミン残基としては、例えば、以下の構造式で示される基が挙げられる。
【0054】
【化8】

【0055】
「アミド化合物残基」は、式:H−N(R49)−C(=O)R50及び式:H−C(=O)−N(R51の少なくとも一方で表される構造を有するアミド化合物から、該式中の水素原子を除いた残基を意味する。式中、R49、R50及びR51はそれぞれ独立に、上記アルキル基、上記アリール基、上記アルケニル基、上記アルキニル基又は上記1価の複素環基を示す。R49、R50及びR51におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基及び1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。複数存在するR51は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。アミド化合物残基としては、例えば、ホルムアミド残基、アセトアミド残基、プロピオアミド残基、ブチロアミド残基、ベンズアミド残基、トリフルオロアセトアミド残基、ペンタフルオロベンズアミド残基、ジホルムアミド残基、ジアセトアミド残基、ジプロピオアミド残基、ジブチロアミド残基、ジベンズアミド残基、ジトリフルオロアセトアミド残基、ジペンタフルオロベンズアミド残基が挙げられる。
【0056】
「酸イミド残基」は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子1個を除いて得られる残基を意味する。酸イミド残基の炭素原子数は、好ましくは4〜20、より好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜16である。酸イミド残基としては、例えば以下の構造式で示される基が挙げられる。
【0057】
【化9】

【0058】
「非置換又は置換のアルキル基」としては、非置換のアルキル基及び上記置換基を有するアルキル基が挙げられる。ここでアルキル基が有する置換基は、特記しない限り、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0059】
「非置換又は置換のアルコキシ基」としては、非置換のアルコキシ基及び上記置換基を有するアルコキシ基が挙げられる。ここでアルコキシ基が有する置換基は、特記しない限り、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0060】
「非置換若しくは置換のアリール基」としては、非置換のアリール基及び上記置換基を有する上記アリール基が挙げられる。ここでアリール基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0061】
「非置換若しくは置換のアリールオキシ基」としては、非置換のアリールオキシ基及び上記置換基を有するアリールオキシ基が挙げられる。ここでアリールオキシ基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0062】
「非置換若しくは置換の1価の複素環基」としては、非置換の1価の複素環基及び上記置換基を有する1価の複素環基が挙げられる。ここで1価の複素環基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0063】
「非置換若しくは置換のアリーレン基」としては、非置換のアリーレン基及び上記置換基を有するアリーレン基が挙げられる。ここでアリーレン基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0064】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団である。アリーレン基は、置換基を有していてもよく、アリーレン基には、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基も含まれる。アリーレン基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは6〜60、より好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。
【0065】
上記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレン等が挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等のフェニレン基;1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル基等のナフタレンジイル基;1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等のアントラセンジイル基;2,7−フェナントレンジイル基等のフェナントレンジイル基;1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等のナフタセンジイル基;2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等のフルオレンジイル基;1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等のピレンジイル基;3,8−ペリレンジイル基、3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等のペリレンジイル基が挙げられる。
【0066】
「非置換若しくは置換の2価の複素環基」としては、非置換の2価の複素環基及び上記置換基を有する2価の複素環基が挙げられる。ここで、2価の複素環基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0067】
「2価の複素環基」は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団である。2価の複素環基は置換基を有していてもよく、2価の複素環基には、単環の基、縮合環の基が含まれる。複素環基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに好ましくは4〜60、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20である。
【0068】
2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団である。
【0069】
2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等のピリジンジイル基;2,6−キノリンジイル基等のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等のイソキノリンジイル基;5,8−キノキサリンジイル基等のキノキサリンジイル基;2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基等の2,1,3−ベンゾチアジアゾール基;4,7−ベンゾチアゾールジイル基等のベンゾチアゾールジイル基;2,7−ジベンゾシロールジイル基等のジベンゾシロールジイル基;ジベンゾフラン−4,7−ジイル基、ジベンゾフラン−3,8−ジイル基等のジベンゾフランジイル基;ジベンゾチオフェン−4,7−ジイル基、ジベンゾチオフェン−3,8−ジイル基等のジベンゾチオフェンジイル基が挙げられる。
【0070】
「アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基」としては、例えば、2,7−ビフェニリレン基、3,6−ビフェニリレン基等のビフェニリレン基のように、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる2個の基が単結合で連結した2価の基が挙げられる。該2価の基は置換基を有していてもよく、該2価の基が有する置換基は、特記しない限り、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基であることが好ましい。
【0071】
以下、本発明の高分子化合物、化合物、組成物、液状組成物、有機薄膜、発光素子、面状光源及び表示装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0072】
(高分子化合物)
本実施形態に係る高分子化合物は、下記式(1)で表される第一構成単位及び下記式(2)で表される第二構成単位を有する。上記高分子化合物は、これらの構成単位を有することにより、発光効率に優れる発光素子の製造に有用なものとなる。
【0073】
本実施形態に係る高分子化合物は、共役系高分子化合物であることが好ましい。また、本実施形態に係る高分子化合物は、下記式(4)で表される第三構成単位を更に有していてもよい。このような高分子化合物は、発光効率に優れる発光素子の製造に一層有用である。ここで、「共役系高分子化合物」とは、主鎖骨格上に共役系が広がった高分子化合物であり、ポリフルオレン、ポリフェニレン等のアリーレン基を構成単位とするポリアリーレン;ポリチオフェン、ポリジベンゾフラン等の2価の複素環基を構成単位とするポリへテロアリーレン;ポリフェニレンビニレン等のポリアリーレンビニレン、また、それらの構成単位が組み合わされた共重合体が例示される。また、主鎖内にヘテロ原子等を構成単位中に含んでいても実質的に共役がつながるものであればよく、例えば、構成単位としてトリアリールアミンから導かれる構成単位を含んでいてもよい。
【0074】
以下に第一構成単位、第二構成単位及び第三構成単位についてそれぞれ詳述する。
【0075】
(第一構成単位)
第一構成単位は、下記式(1)で表される構成単位である。
【0076】
【化10】

【0077】
式(1)中、n及びnはそれぞれ独立に、1〜5の整数を示す。R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。
【0078】
、R、R及びRとしては、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましく、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基がより好ましい。
【0079】
、R、R及びR10としては、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましく、少なくとも2個が水素原子であることがより好ましい。
【0080】
及びRとしては、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましく、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基がより好ましい。
【0081】
式(1)において、nが2〜5の整数であるとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。また、nが2〜5の整数であるとき、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0082】
また、R、R、R及びRのうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。また、R、R、R及びR10のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。
【0083】
第一構成単位の含有量は、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、全構成単位の0.5モル%以上であることが好ましく、0.5〜80モル%であることがより好ましく、5〜60モル%であることがさらに好ましい。
【0084】
第一構成単位においては、n及び/又はnが2以上の場合で置換基を有するとき、R及びRが互いに異なるとき、及び、R及びRが互いに異なるときに、立体異性を生じ得る。高分子化合物は、第一構成単位として、同一の立体異性を有する構成単位のみを有していてもよく、互いに異なる立体異性を有する複数の構成単位を有していてもよい。立体異性としては、ジアステレオマー、エナンチオマーが挙げられる。
【0085】
第一構成単位が式(1−A)で表される場合、その立体異性の例は、下記式(1−a)、式(1−b)、式(1−c)、式(1−d)で表される。なお、下記式中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基を示す。
【0086】
【化11】

【0087】
【化12】

【0088】
式(1−a)で表される構成単位、式(1−b)で表される構成単位、式(1−c)で表される構成単位及び式(1−d)で表される構成単位は、互いにジアステレオマーの関係にある。
【0089】
式(1)においてR、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10で表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0090】
式(1)中、R、R、R及びRは、例えば、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基又は非置換若しくは置換のアリール基とすることができる。ここで、R、R、R及びRにおける置換のアルキル基としては、例えば、アリールアルキル基又はアルキルアリールアルキル基を選択することができ、R、R、R及びRにおける置換のアリール基としては、例えば、アルキルアリール基を選択することができる。
【0091】
式(1)中、R、R、R、R、R及びR10は、例えば、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基又は非置換若しくは置換のアリール基とすることができる。ここで、R、R、R、R、R及びR10における置換のアルキル基としては、例えば、アリールアルキル基又はアルキルアリールアルキル基を選択することができ、R、R、R、R、R及びR10における置換のアリール基としては、例えば、アルキルアリール基を選択することができる。
【0092】
式(1)において「R、R、R及びRのうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい」とは、例えば、R、R、R及びRのうち同一の炭素原子に結合する基同士が互いに連結して環構造を形成してもよく、n及び/又はnが2以上のときに、隣接位の炭素原子に結合する基同士が互いに連結して環構造を形成してもよいことを意味する。
【0093】
式(1)において「R、R、R及びR10のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい」とは、隣接位の炭素原子に結合する基同士が互いに連結して環構造を形成してもよく、例えば、RとRとが連結して環構造を形成してもよいことを意味する。すなわち、第一構成単位が、例えば、下記式(1−d)、(1−e)、(1−f)、(1−g)、(1−h)又は(1−i)で表される構造をとり得ることを意味する。
【0094】
【化13】

【0095】
式(1−d)で表される構造及び式(1−e)で表される構造は、式(1)におけるR及びRが互いに連結して環構造を形成した例であり、式(1−f)で表される構造、(1−g)で表される構造及び式(1−h)で表される構造は、式(1)におけるR及びRが互いに連結して環構造を形成した例であり、式(1−i)で表される構造は、R、R、R及びR10が互いに連結して環構造を形成した例である。
【0096】
形成された環構造は置換基を有していてもよく、該置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0097】
式(1)中、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、n及びnは3〜5の整数であることが好ましく、3又は4であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。n及びnは互いに同一でも異なっていてもよいが、モノマーの製造が容易となるので、n及びnは同一であることが好ましい。
【0098】
式(1)で表される構成単位としては、例えば、下記式(1A)で表される構成単位が挙げられる。
【0099】
【化14】

【0100】
式(1A)中、m及びmはそれぞれ独立に1又は2を示す。また、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、それぞれ上記R〜R10と同義である。R21、R22、R23及びR24がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR21、R22、R23及びR24は互いに同一でも異なっていてもよい。R21、R22、R23及びR24のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。R27、R28、R29及びR30のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。また、X11、X12、X13及びX14はそれぞれ独立に、−C(R31−で表される基を示す。ここで、R31は上記R〜Rと同義であり、複数存在するR31は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0101】
及びmは、モノマーの製造が容易となるので、同一であることが好ましく、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、1であることがより好ましい。
【0102】
21、R22、R23及びR24としては、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましく、高分子化合物の溶媒への溶解性が向上して素子作製が一層容易となり、かつ、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、少なくとも1個が水素原子以外の基であることがより好ましい。
【0103】
31としては、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基が好ましい。また、複数存在するR31のうち、少なくとも1個は水素原子であることが好ましく、全てが水素原子であることがより好ましい。
【0104】
25、R26、R27、R28、R29及びR30としては、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基が好ましく、少なくとも2個が水素原子であることがより好ましい。
【0105】
式(1A)で表される構成単位のうち、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個が水素原子以外の基である構成単位は、後述する式(6)で表される化合物から容易に誘導することができる。
【0106】
第一構成単位としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−28)で表される構成単位が挙げられる。式(1−1)〜(1−28)で表される構成単位の中では、モノマー合成が容易であり、かつ、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、式(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)、(1−11)、(1−12)、(1−13)、(1−14)、(1−15)、(1−16)、(1−18)、(1−19)、(1−20)、(1−22)、(1−23)、(1−25)、(1−26)、(1−27)で表される構成単位が好ましく、式(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)、(1−11)、(1−12)、(1−13)、(1−14)、(1−15)、(1−18)、(1−19)、(1−20)、(1−23)、(1−25)、(1−26)、(1−27)で表される構成単位がより好ましく、式(1−4)、(1−8)、(1−9)、(1−10)、(1−12)、(1−14)、(1−15)、(1−25)、(1−26)で表される構成単位が更に好ましい。
【0107】
【化15】

【0108】
【化16】

【0109】
【化17】

【0110】
【化18】

【0111】
【化19】

【0112】
【化20】

【0113】
高分子化合物は、第一構成単位として、上述した構成単位を一種のみ有していてもよいし、上述した構成単位のうち異なる複数の構成単位を有していてもよい。
【0114】
(第二構成単位)
第二構成単位は、下記式(2)で表される構成単位である。
【0115】
【化21】

【0116】
式(2)中、a及びbはそれぞれ独立に0又は1を示す。また、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、“非置換若しくは置換のアリーレン基”、“非置換若しくは置換の2価の複素環基”、又は、“アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)”を示す。また、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と互いに連結して環構造を形成していてもよい。
【0117】
式(2)中、aは、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、1であることが好ましい。
【0118】
式(2)中、bは、モノマーの合成が容易であり、また、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、0であることが好ましい。
【0119】
式(2)中、R、R及びRは、本実施形態の高分子化合物の安定性が良好になり、且つ、当該高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基であることが好ましく、非置換若しくは置換のアリール基であることがより好ましい。
【0120】
式(2)においてAr、Ar、Ar及びArで表される基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0121】
式(2)においてAr、Ar、Ar及びArで表される基は、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基であること、特に、非置換若しくは置換のアリーレン基であることが、本実施形態の高分子化合物の安定性が良好になり、また当該高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので好ましい。
【0122】
式(2)中、Ar、Ar、Ar及びArにおけるアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル、3,6−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、3,8−ペリレンジイル基が挙げられ、1,4−フェニレン基、2,7−フルオレンジイル、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基及び1,6−ピレンジイル基が好ましく、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0123】
式(2)中、Ar、Ar、Ar及びArにおける2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピロールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。但し、Ar、Ar、Ar及びArにおける2価の複素環基には、後述の式(3)で表される基は含まれない。
【0124】
式(2)中、Ar、Ar、Ar及びArにおけるアリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基としては、例えば、下記式(2a−1)、(2a−2)、(2a−3)、(2a−4)、(2a−5)、(2a−6)又は(2a−7)で表される基を選択することができ、下記式(2a−1)で表される基が好ましく、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0125】
【化22】

【0126】
式(2)においてR、R及びRで表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0127】
式(2)中、R、R及びRにおけるアルキル基としては、例えば、C〜C20アルキル基が挙げられる。アルキル基は上記置換基を有していてもよい。
【0128】
式(2)中、R、R及びRにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0129】
式(2)中、R、R及びRにおける1価の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、キノリル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0130】
第二構成単位の含有量は、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、全構成単位の0.1モル%以上であることが好ましく、0.1〜50モル%であることがより好ましく、0.1〜40モル%であることがさらに好ましい。
【0131】
第二構成単位としては、例えば、下記式(2−a)、(2−b)、(2−c)及び(2−d)で表される構成単位が挙げられ、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、式(2−b)、(2−c)及び(2−d)で表される構成単位が好ましく、式(2−c)で表される構成単位がより好ましい。
【0132】
【化23】

【0133】
式(2−a)〜(2−d)中、R52は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。R52は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。複数存在するR52は、互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するR52のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。
【0134】
第二構成単位としては、下記式(2A)で表される構成単位も好ましい。
【0135】
【化24】

【0136】
式(2A)中、s及びtはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、uは1又は2であり、vは0〜5の整数である。R53、R54及びR55はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基又はシアノ基を示す。R53、R54又はR55が複数存在するとき、その複数存在する基は互いに同一でも異なっていてもよい。複数存在するR53のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。複数存在するR54のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。
【0137】
式(2A)中、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、s及びtは0〜2であることが好ましく、uは2であることが好ましく、vは1〜5であることが好ましい。vは、より好ましくは1〜3である。
【0138】
式(2A)中、R53、R54及びR55は、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることが好ましい。
【0139】
第二構成単位は、下記式(3)で表される構成単位であってもよい。
【化25】

【0140】
式(3)中、Rは水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は−C(R11−で表される基を示す。R11は、非置換若しくは置換のアルキル基又は非置換若しくは置換のアリール基を示し、複数存在するR11は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0141】
は、本実施形態の高分子化合物の安定性が良好になり、且つ、当該高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基であることが好ましく、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基であることがより好ましく、非置換若しくは置換のアリール基であることがさらに好ましい。
【0142】
は、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、単結合又は酸素原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
【0143】
式(3)におけるRで表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0144】
式(3)中、Rにおけるアルキル基としては、例えば、C〜C20アルキル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0145】
式(3)中、Rにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基及び2−フルオレニル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0146】
式(3)中、Rにおける複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基及びキノリル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0147】
式(3)におけるR11で表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0148】
式(3)中、R11におけるアルキル基としては、例えば、C〜C20アルキル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0149】
式(3)中、R11におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基及び2−フルオレニル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0150】
第二構成単位としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−12)で表される構成単位が挙げられる。式(2−1)〜(2−12)で表される構成単位の中では、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、(2−6)、(2−7)、(2−8)、(2−9)、(2−10)、(2−12)で表される構成単位が好ましく、式(2−1)、(2−2)、(2−4)、(2−5)、(2−6)、(2−7)、(2−8)、(2−9)、(2−10)で表される構成単位がより好ましく、式(2−2)、(2−4)、(2−8)、(2−9)で表される構成単位が更に好ましい。
【0151】
【化26】

【0152】
【化27】

【0153】
【化28】

【0154】
高分子化合物は、第二構成単位として、上述した構成単位を一種のみ有していてもよいし、上述した構成単位のうち異なる複数の構成単位を有していてもよい。
【0155】
(第三構成単位)
第三構成単位は、下記式(4)で表される構成単位である。
【0156】
【化29】

【0157】
式(4)中、Arは非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、又は、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)を示し、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基であることが好ましい。但し、式(4)で表される構成単位は、上記式(3)で表される構成単位とは異なる。
【0158】
式(4)においてArで表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0159】
式(4)中、Arにおけるアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、及び、3,8−ペリレンジイル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0160】
式(4)のArとしては、本実施形態の高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基が好ましい。
【0161】
式(4)中、Arにおける2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピロールジイル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基、ジベンゾフランジイル基、及び、ジベンゾチオフェンジイル基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0162】
式(4)中、Arにおけるアリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基としては、例えば、上記式(2a−1)、(2a−2)、(2a−3)、(2a−4)、(2a−5)、(2a−6)又は(2a−7)で表される基が挙げられ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0163】
第三構成単位としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−35)で表される構成単位が挙げられる。式(3−1)〜(3−36)で表される構成単位の中では、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−5)、(3−6)、(3−7)、(3−8)、(3−9)、(3−10)、(3−11)、(3−12)、(3−13)、(3−14)、(3−21)、(3−22)、(3−23)、(3−25)、(3−27)、(3−28)、(3−30)、(3−32)、(3−33)、(3−35)、(3−36)で表される構成単位が好ましく、式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−5)、(3−6)、(3−7)、(3−8)、(3−9)、(3−10)、(3−11)、(3−12)、(3−13)、(3−14)、(3−28)、(3−30)で表される構成単位がより好ましく、式(3−1)、(3−2)、(3−4)、(3−5)、(3−12)、(3−13)、(3−14)、(3−30)で表される構成単位が更に好ましい。
【0164】
【化30】

【0165】
【化31】

【0166】
【化32】

【0167】
【化33】

【0168】
また、第三構成単位としては、例えば、下記式(5)で表される構成単位(下記式(5’)で表される基からなる構成単位)を選択することもできる。
【0169】
【化34】

【0170】
【化35】

【0171】
式(5)及び式(5’)中、c及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、cは0〜5の整数を示す。R12、R13及びR14はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のアルコキシカルボニル基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はシアノ基を示す。R12、R13及びR14がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR12、R13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0172】
式(5)及び式(5’)中、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、c及びcは、0〜2の整数であることが好ましく、cは1〜3の整数であることが好ましい。
【0173】
式(5)及び式(5’)においてR12、R13及びR14で表される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0174】
式(5)及び式(5’)中、R12、R13及びR14は、例えば、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基とすることができる。ここで、R12、R13及びR14における置換のアルキル基としては、例えば、アリールアルキル基又はアルキルアリールアルキル基が挙げられ、R12、R13及びR14における置換のアルコキシ基としては、例えば、アリールアルコキシ基又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基が挙げられ、R12、R13及びR14における置換のアリール基としては、例えば、アルキルアリール基が挙げられる。
【0175】
12、R13及びR14は、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率がより優れるので、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基であることが好ましく、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基であることがより好ましい。
【0176】
高分子化合物は、第三構成単位として、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位を有することが好ましく、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基からなる構成単位を有することがより好ましい。
【0177】
高分子化合物は、第三構成単位として、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基、及び、上記式(5’)で表される基、からなる群より選ばれる少なくとも一種の基からなる構成単位を有することが好ましい。
【0178】
高分子化合物は、第三構成単位として、上述した構成単位を一種のみ有していてもよいし、上述した構成単位のうち異なる複数の構成単位を有していてもよい。高分子化合物は、例えば、第一構成単位と、第二構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のフェニレン基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0179】
高分子化合物は、第一構成単位と、第二構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0180】
高分子化合物は、第一構成単位と、第二構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基からなる構成単位と、を有するものであってもよい。
【0181】
高分子化合物は、第一構成単位と、第二構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、上記式(5)で表される構成単位と、を有するものであってもよい。
【0182】
第三構成単位の含有量(合計含有量)は、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率がより優れるので、全構成単位の0.1〜99.9モル%であることが好ましく、30〜99.9モル%であることがより好ましく、50〜99.9モル%であることがさらに好ましい。
【0183】
高分子化合物における構成単位の組み合わせの例を、以下に示す。
【0184】
【化36】

【0185】
【化37】

【0186】
【化38】

【0187】
【化39】

【0188】
【化40】

【0189】
【化41】

【0190】
【化42】

【0191】
【化43】

【0192】
【化44】

【0193】
【化45】

【0194】
【化46】

【0195】
本実施形態の高分子化合物は、末端基に重合性基がそのまま残っていると、高分子化合物を用いて作製した発光素子の発光特性や寿命が低下する可能性がある。そのため、末端基は安定な基(例えば、アリール基、1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基))であることが好ましい。
【0196】
本実施形態の高分子化合物は、如何なる共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0197】
本実施形態の高分子化合物は、発光材料、電荷輸送材料等として有用であり、その他の化合物と併用し、後述の組成物として用いてもよい。
【0198】
本実施形態の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10である。また、本実施形態の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは5×10〜1×10である。
【0199】
発光素子を作製するための様々なプロセスに対する耐久性が優れ、発光素子の耐熱性が良好となるので、本実施形態の高分子化合物のガラス転移温度は、70℃以上であることが好ましい。
【0200】
この高分子化合物を用いた発光素子は、優れた発光効率で駆動できる高性能の発光素子である。したがって、該発光素子は、液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置等に有用である。さらに、本実施形態の高分子化合物は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料としても用いることができる。
【0201】
(高分子化合物の製造方法)
高分子化合物は、例えば、下記式(1M)で表される化合物(以下、場合により「化合物1M」という。)と、下記式(2M)で表される化合物(以下、場合により「化合物2M」という。)と、を縮合重合させることにより製造することができる。本明細書において、化合物1Mと化合物2Mと後述する化合物4Mを総称して、「モノマー」ということがある。
【0202】
【化47】

【0203】
【化48】

【0204】
式(1M)中、n、n、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は上記と同義であり、Z及びZは、それぞれ独立に、下記置換基群(下記置換基A群又は下記置換基B群)から選ばれる基を示す。
【0205】
式(2M)中、a、b、Ar、Ar、Ar、Ar、R及びRは上記と同義であり、Z及びZは、下記置換基A群又は下記置換基B群から選択される基を示す。
【0206】
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−O−S(=O)41(R41は、アルキル基、又は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を示す。)で表される基。
【0207】
<置換基B群>
−B(OR42(R42は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR42は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基、−BF(Qは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる1価の陽イオンを示す。)で表される基、−MgY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、−ZnY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、及び、−Sn(R43(R43は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR43は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基。
【0208】
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、該基と結合する炭素原子同士が結合することが知られている。そのため、置換基A群から選ばれる基を2個有する化合物Aと、置換基B群から選ばれる基を2個有する化合物Bと、を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、化合物A及び化合物Bの縮合重合体を得ることができる。
【0209】
また、置換基A群から選ばれる基を2個有する化合物も、例えば、Ni(0)触媒により重合する方法(Yamamoto重合)(プログレス イン ポリマー サイエンス(Progress in Polymer Science),第17巻,1153〜1205頁,1992年)により、縮合重合体を得ることができる。
【0210】
このような縮合重合においては、化合物1Mにより第一構成単位が誘導され、化合物2Mにより第二構成単位が誘導される。
【0211】
高分子化合物の製造方法においては、上記以外の化合物を縮合重合に供してもよく、例えば、下記式(4M)で表される化合物(以下、場合により「化合物4M」という。)をさらに縮合重合に供することができる。化合物4Mを縮合重合に供することにより、得られる高分子化合物には第三構成単位が導入される。
【0212】
【化49】

【0213】
式(4M)中、Arは上記と同義であり、Z及びZは、置換基A群又は置換基B群から選ばれる基を示す。Z及びZは、化合物1MにおけるZ及びZ並びに化合物2MにおけるZ及びZに応じて選択することができる。
【0214】
縮合重合の方法としては、例えば、Suzukiカップリング反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457−2483頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,第51巻,2091頁(1978年))、Ni(0)触媒により重合する方法(プログレス イン ポリマー サイエンス(Progress in Polymer Science),第17巻,1153〜1205頁,1992年)、Stilleカップリング反応を用いる方法(ヨーロピアン ポリマー ジャーナル(European Polymer Journal),第41巻,2923−2933頁(2005年))等が挙げられる。これらのうち、原料の合成のし易さ、及び、重合反応操作の簡便性の観点から、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が好ましく、高分子化合物の構造制御のし易さを考慮すると、Suzukiカップリング反応、Grignard反応、Stilleカップリング反応等のアリール−アリールクロスカップリング反応により重合する方法がより好ましく、Suzukiカップリング反応により重合する反応が特に好ましい。
【0215】
縮合重合の方法としては、上記の各化合物を、必要に応じて適切な触媒や塩基とともに反応させる方法が挙げられる。Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合、所望の分子量を有する高分子化合物を得るためには、各化合物が有する置換基A群から選ばれた基の合計モル数と、置換基B群から選ばれた基の合計モル数との比率を調整すればよい。通常、前者のモル数に対する後者のモル数の比率を、0.95〜1.05とすることが好ましく、0.98〜1.02とすることがより好ましく、0.99〜1.01とすることがさらに好ましい。
【0216】
縮合重合における化合物1Mの使用量は、化合物1M及び他のモノマーの総モル量に対して、0.5モル%以上であることが好ましく、0.5〜80モル%であることがより好ましく、5〜60モル%であることがさらに好ましい。縮合重合における化合物2Mの使用量は、化合物2M及び他のモノマーの総モル量に対して、0.1モル%以上であることが好ましく、0.1〜50モル%であることがより好ましく、0.1〜40モル%であることがさらに好ましい。このような縮合重合で得られる高分子化合物を用いることで、上述の発光素子を作製することができる。
【0217】
モノマーは、予め合成し単離したものを用いてもよく、反応系中で合成してそのまま用いてもよい。得られる高分子化合物を発光素子に用いる場合、その純度が発光素子の性能に影響を与えることがある。そのため、これらのモノマーは蒸留、クロマトグラフィー、昇華精製、再結晶等の方法、又はその組み合わせで精製されていることが好ましい。
【0218】
本実施形態の高分子化合物の製造方法においては、触媒の存在下、モノマーを重合することが好ましい。触媒としては、Suzukiカップリング反応により重合する場合、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム錯体等の遷移金属錯体、並びにこれらの遷移金属錯体にトリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の配位子が配位した錯体等が挙げられる。
【0219】
また、Ni(0)触媒により重合する場合、Ni(0)触媒としては、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体、並びにこれらの遷移金属錯体にトリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、置換若しくは非置換のビピリジル、置換若しくは非置換のフェナントロリン等の配位子が配位した錯体等が挙げられる。
【0220】
上述の触媒は、予め合成したものを用いてもよいし、反応系中で調製したものをそのまま用いてもよい。また、これらの触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0221】
触媒の使用量は、触媒としての有効量であればよく、例えば、重合反応における全モノマーの合計100モル%に対して、遷移金属のモル数換算で通常0.0001〜300モル%であり、好ましくは0.001〜50モル%であり、より好ましくは0.01〜20モル%である。
【0222】
Suzukiカップリング反応により重合する方法においては、塩基を用いることが好ましい。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
【0223】
塩基の使用量は、重合反応における全モノマーの合計100モル%に対して、通常50〜2000モル%であり、好ましくは100〜1000モル%である。
【0224】
重合反応は、溶媒の非存在下で行っても、溶媒の存在下で行ってもよいが、通常、有機溶媒の存在下で行う。ここで有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。一般的に、副反応を抑制するために、脱酸素処理を行った溶媒を用いることが望ましい。有機溶媒は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0225】
有機溶媒の使用量は、重合反応における全モノマーの合計濃度が、0.1〜90重量%になる量であることが好ましく、1〜50重量%になる量であることがより好ましく、2〜30重量%になる量であることがさらに好ましい。
【0226】
重合反応の反応温度は、好ましくは−100〜200℃であり、より好ましくは−80〜150℃であり、さらに好ましくは0〜120℃である。また、反応時間は、通常、1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
【0227】
重合反応において、本実施形態の高分子化合物の末端に重合性基(例えば、Z、Z)が残存するのを避けるために、連鎖停止剤として、下記式(1T)で示される化合物を用いてもよい。これにより、末端がアリール基又は1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)である高分子化合物を得ることができる。
−Ar (1T)
【0228】
式(1T)中、Arは置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)を示し、Zは上記置換基A群及び上記置換基B群からなる群から選ばれる基を示す。Arにおけるアリール基、1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)としては、それぞれ上述のRとして例示されたアリール基、1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)と同様の基が例示できる。
【0229】
重合反応の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法や、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過、乾燥させる方法などを単独又は組み合わせて行うことができる。
【0230】
本実施形態の高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製すればよいが、本実施形態の高分子化合物を発光素子に用いる場合、その純度が発光特性等の発光素子の性能に影響を与えることがあるため、縮合重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0231】
(化合物)
本実施形態に係る化合物は、下記式(6)で表される化合物である。
【化50】

【0232】
式(6)中、m及びmはそれぞれ独立に1又は2を示す。R21、R22、R23及びR24は、それぞれ上記R〜Rと同義である。X11、X12、X13及びX14はそれぞれ独立に、−C(R31−で表される基を示す。ここで、R31は上記R、R、R及びRと同義であり、複数存在するR31は互いに同一でも異なっていてもよい。また、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、それぞれ上記R、R、R、R、R及びR10と同義であり、R27、R28、R29及びR30のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。Z及びZはそれぞれ独立に、置換基群(置換基A群及び置換基B群)から選ばれる基を示す。但し、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個は、水素原子以外の基である。
【0233】
式(6)においてR21及びR22が互いに異なるとき、又は、R23及びR24が互いに異なるとき、式(6)で表される化合物には立体異性体(ジアステレオマー及び/又はエナンチオマー)が存在し得る。式(6)で表される化合物は、単一の立体異性体であってもよく、異なる立体異性体の混合物であってもよい。
【0234】
以下、式(6)で表される化合物の製造方法について、m及びmが1である場合を例にして説明する。式(6)で表される化合物は、例えば、下記スキーム1〜5に記載の方法で製造することができる。
【0235】
【化51】

【0236】
式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。
【0237】
スキーム1中、Z1a及びZ1bはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基群(置換基A群から選ばれる基)を示し、R1aは非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。複数存在するR1aは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0238】
スキーム1においては、まず、式(6−1−1)で表される化合物(以下、「化合物(6−1−1)」という。以下、式(6−1−2)で表される化合物についても、同様である。)をWittig反応やHorner−Wadsworth−Emmons反応等に供することにより、化合物(6−1−2)が得られる。次いで、化合物(6−1−2)を還元反応に供することにより、化合物(6−1−3)が得られる。
【0239】
化合物(6−1−3)におけるZ1a及びZ1bが水素原子である場合、化合物(6−1−3)をブロモ化反応等の反応に供することにより、該水素原子を置換基A群から選ばれる基に変換することができる。また、化合物(6−1−3)におけるZ1a及びZ1bが置換基A群から選ばれる基である場合、該基は公知の反応により置換基B群から選ばれる基に変換することができる。
【0240】
【化52】

【0241】
スキーム2中、aaは0又は1を示し、Z2a及びZ2bはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基A群から選ばれる基を示し、Zは置換基A群から選ばれる基を示し、R2aは非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。複数存在するaaは互いに同一でも異なっていてもよい。R2aは複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0242】
スキーム2においては、まず、塩基存在下、化合物(6−2−1)とR2a−Zとの付加反応により、化合物(6−2−2)が得られる。次いで、化合物(6−2−2)を還元反応に供することにより、化合物(6−2−3)が得られる。
【0243】
化合物(6−2−3)におけるZ2a及びZ2bが水素原子である場合、化合物(6−2−3)をブロモ化反応等の反応に供することにより、該水素原子を置換基A群から選ばれる基に変換することができる。また、化合物(6−2−3)におけるZ2a及びZ2bが置換基A群から選ばれる基である場合、該基は公知の反応により置換基B群から選ばれる基に変換することができる。
【0244】
【化53】

【0245】
スキーム3中、Z3a及びZ3bはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基A群から選ばれる基を示し、R3aは非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。Mは、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、又は、−MIIで表される基を示し、MIIはMg又はZnを示し、Zはハロゲン原子を示す。複数存在するR3aは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0246】
スキーム3においては、まず、化合物(6−3−1)とR3a−Mとの反応により、化合物(6−3−2)が得られる。次いで、化合物(6−3−2)において公知の反応により水酸基を水素原子に変換することにより、化合物(6−3−3)が得られる。
【0247】
化合物(6−3−3)におけるZ3a及びZ3bが水素原子である場合、化合物(6−3−3)をブロモ化反応等の反応に供することにより、該水素原子を置換基A群から選ばれる基に変換することができる。化合物(6−3−3)におけるZ3a及びZ3bが置換基A群から選ばれる基である場合、該基は公知の反応により置換基B群から選ばれる基に変換することができる。
【0248】
【化54】

【0249】
スキーム4中、Z4a及びZ4bはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基A群から選ばれる基を示し、R4aは非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示す。Mは、リチウム、カリウム等のアルカリ金属、又は、−MIIで表される基を示し、MIIはMg又はZnを示し、Zはハロゲン原子を示す。
【0250】
スキーム4においては、まず、化合物(6−4−1)とR4a−Mとの反応により、化合物(6−4−2)が得られる。次いで、化合物(6−4−2)を還元反応に供することにより、化合物(6−4−3)が得られる。
【0251】
化合物(6−4−3)におけるZ4a及びZ4bが水素原子である場合、化合物(6−4−3)をブロモ化反応等の反応に供することにより、該水素原子を置換基A群から選ばれる基に変換することができる。また、化合物(6−4−3)におけるZ4a及びZ4bが置換基A群から選ばれる基である場合、該基は公知の反応により置換基B群から選ばれる基に変換することができる。
【0252】
【化55】

【0253】
スキーム5中、Z5a及びZ5bはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基A群から選ばれる基を示し、R5a及びR5bはそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、R’は非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、M及びMはそれぞれ独立にリチウム、カリウム等のアルカリ金属、又は、−MgZで表される基を示し、Zはハロゲン原子を示す。複数存在するR5a及びR5bは、各々、同一でも異なっていてもよい。
【0254】
スキーム5においては、まず、化合物(6−5−1)とR5a−Mとの反応により、化合物(6−5−2)が得られる。次いで、化合物(6−5−2)を、例えば、メタンスルホニル化等の反応に供することにより、脱離基を有する化合物(6−5−3)が得られる。化合物(6−5−3)は、さらにR5b−Mと反応させてもよく、該反応により、化合物(6−5−4)が得られる。
【0255】
化合物(6−5−3)及び化合物(6−5−4)におけるZ5a及びZ5bが水素原子である場合、化合物(6−5−3)をブロモ化反応等の反応に供することにより、該水素原子を置換基A群から選ばれる基に変換することができる。また、化合物(6−5−3)におけるZ5a及びZ5bが置換基A群から選ばれる基である場合、該基は公知の反応により置換基B群から選ばれる基に変換することができる。
【0256】
立体異性体を有する化合物に関して、特定の立体異性体を得る方法としては、例えば、上記スキーム1において、水添反応(水素添加反応)を立体選択的に実施することで合成することができる。また、優先晶析により、特定の立体異性体を濃縮、精製することもできる。その他にも、立体異性体混合物を合成した後、クロマトグラフィーで特定の立体異性体を分離精製することもできる。
【0257】
なお、上記の化合物(6−1−1)、化合物(6−2−1)、化合物(6−3−1)、化合物(6−4−1)及び化合物(6−5−1)は、例えば、J.Org.Chem.2003,68,8715−8718.に記載の方法や、Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Organic Chemistry (1997), (22),3471−3478.に記載の方法により得ることができる。
【0258】
(組成物)
本実施形態の組成物は、上記高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含有する。この組成物は、発光素子の製造に好適に使用でき、得られる発光素子は発光効率に優れたものとなる。
【0259】
正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載された正孔輸送材料も挙げられる。
【0260】
正孔輸送材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは5〜200重量部である。
【0261】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、アントラセンとフルオレンの共重合体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載された電子輸送材料も挙げられる。また、電子輸送材料は、式(1)で表される構成単位を有し、かつ、式(2)で表される構成単位を有しない高分子化合物であってもよい。
【0262】
電子輸送材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは5〜200重量部である。
【0263】
発光材料としては、低分子蛍光発光材料、燐光発光材料等が挙げられる。発光材料の例としては、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、アントラセンとフルオレンとの共重合体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素等の色素類、8−ヒドロキシキノリンを配位子として有する金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体を配位子として有する金属錯体、その他の蛍光性金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、スチルベン系、含ケイ素芳香族系、オキサゾール系、フロキサン系、チアゾール系、テトラアリールメタン系、チアジアゾール系、ピラゾール系、メタシクロファン系、アセチレン系等の低分子化合物の蛍光性材料、イリジウム錯体、白金錯体等の金属錯体、三重項発光錯体等が挙げられる。その他にも、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報等に記載された発光材料も挙げられる。
【0264】
発光材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは5〜200重量部である。
【0265】
(液状組成物)
本実施形態の高分子化合物は、溶媒、好ましくは有機溶媒に溶解又は分散させて、液状組成物(溶液又は分散液)としてもよい。このような液状組成物は、インク、ワニスとも呼ばれる。発光素子に使用する有機薄膜を形成するためにこの液状組成物を用いる場合、液状組成物は、溶液であることが好ましい。
【0266】
液状組成物は、本実施形態の高分子化合物に加えて、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有していてもよい(すなわち、上述の組成物の一実施形態である。)。また、液状組成物には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、その他の物質が添加されていてもよい。その他の物質としては、酸化防止剤、粘度調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0267】
ここで、有機溶媒としては、本実施形態の高分子化合物が溶解又は分散する限り、特に限定されないが、以下の有機溶媒(以下、「溶媒群」ということがある。)が挙げられる。
【0268】
芳香族炭化水素系溶媒:トルエン、キシレン(各異性体又はそれらの混合物)、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、2−フェニルブタン、tert−ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ネオペンチルベンゼン、イソアミルベンゼン、ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、3−プロピルトルエン、4−プロピルトルエン、1−メチル−4−プロピルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジプロピルベンゼン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、インダン、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)等。
【0269】
脂肪族炭化水素系溶媒:n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、デカリン等。
【0270】
芳香族系エーテル系溶媒:アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブチロキシベンゼン、ペンチルオキシベンゼン、シクロペンチルオキシベンゼン、ヘキシルオキシベンゼン、シクロヘキシルオキシベンゼン、ヘプチルオキシベンゼン、オクチルオキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、4−エチルアニソール、4−プロピルアニソール、4−ブチルアニソール、4−ペンチルアニソール、4−ヘキシルアニソール、ジフェニルエーテル、4−メチルフェノキシベンゼン、4−エチルフェノキシベンゼン、4−プロピルフェノキシベンゼン、4−ブチルフェノキシベンゼン、4−ペンチルフェノキシベンゼン、4−ヘキシルフェノキシベンゼン、4−フェノキシトルエン、3−フェノキシトルエン、1,3−ジメトキシベンゼン、2,6−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール等。
【0271】
脂肪族エーテル系溶媒:テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等。
【0272】
ケトン系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等。
【0273】
エステル系溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エチルセルソルブアセテート等。
【0274】
塩素化溶媒:塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等。
【0275】
アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール等。
【0276】
多価アルコール及びその誘導体:エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等。
【0277】
非プロトン性極性溶媒:ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等。
【0278】
これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を混合溶媒として使用してもよい。混合溶媒を用いる場合、上記の溶媒群における溶媒の二種又は三種以上を組み合わせることが好ましいが、上記例示の同じ系の溶媒群から複数を組み合わせても、異なる系の溶媒群から1種以上ずつを組み合わせてもよい。その組成比は、各溶媒の物性、及び、高分子化合物等の溶解性を考慮して決めることができる。
【0279】
同じ系の溶媒群から複数種を選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、芳香族炭化水素系溶媒から複数種、芳香族エーテル系溶媒から複数種等が挙げられる。
【0280】
異なる系の溶媒群から1種以上ずつを選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、以下の組み合わせが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒と脂肪族炭化水素系溶媒;
芳香族炭化水素系溶媒と芳香族エーテル系溶媒;
芳香族炭化水素系溶媒と脂肪族エーテル系溶媒;
芳香族炭化水素系溶媒と非プロトン性極性溶媒;
芳香族エーテル系溶媒と非プロトン性極性溶媒等。
また、単独溶媒又は混合溶媒に水を添加することもできる。
【0281】
これらの有機溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、融点が0℃以下であり、且つ沸点が100℃以上である有機溶媒を一種以上含む単独溶媒又は混合溶媒が、粘度及び成膜性の観点から好ましく、なかでも芳香族炭化水素系溶媒、芳香族エーテル系溶媒を一種以上含む単独溶媒又は混合溶媒が特に好ましい。
【0282】
有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を混合溶媒として使用してもよいが、成膜性の観点から混合溶媒を用いることが好ましい。また、有機溶媒は、必要に応じ、洗浄、蒸留、吸着剤への接触等の方法により精製を行ってから使用してもよい。
【0283】
上記液状組成物によれば、本実施形態の高分子化合物を含有する有機薄膜を容易に製造することができる。具体的には、上記液状組成物を基板上に塗布して、加熱、送風、減圧等により有機溶媒を留去することにより、本実施形態の高分子化合物を含有する有機薄膜が得られる。有機溶媒の留去は、使用される有機溶媒に応じて条件を変更することができ、例えば、50〜150℃の雰囲気温度(加熱)、又は10−3Pa程度の減圧雰囲気等が条件として挙げられる。
【0284】
塗布には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0285】
上記液状組成物の好適な粘度は印刷法によっても異なるが、25℃において、好ましくは0.5〜1000mPa・sであり、より好ましくは0.5〜500mPa・sである。また、インクジェットプリント法のように上記液状組成物が吐出装置を経由する場合、吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止するために25℃における粘度は、好ましくは0.5〜50mPa・sであり、より好ましくは0.5〜20mPa・sである。液状組成物中の本実施形態の高分子化合物の濃度は、特に限定されないが、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。
【0286】
(有機薄膜)
本実施形態の有機薄膜は、上記高分子化合物を含有する。本実施形態の有機薄膜は、上述のように上記液状組成物から容易に製造することができる。
【0287】
本実施形態の有機薄膜は、後述する発光素子における発光層として好適に使用することができる。また、有機半導体素子にも好適に使用できる。本実施形態の有機薄膜は、上記高分子化合物を含有するため、発光素子の発光層として使用した場合に当該発光素子の発光効率が優れたものとなる。
【0288】
(発光素子)
本実施形態の発光素子は、上記有機薄膜を有する。
【0289】
具体的には、本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、該陽極及び該陰極の間に存在する上記高分子化合物を含有する層と、を有する。ここで、上記高分子化合物を含有する層は上記有機薄膜からなる層であることが好ましく、当該層は発光層として機能することが好ましい。以下、上記高分子化合物を含有する層が、発光層として機能する場合を、好ましい一実施形態として例示する。
【0290】
本実施形態の発光素子としては、以下の(a)〜(d)の構造を有する発光素子が挙げられる。なお、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを示す(例えば、「陽極/発光層」とは、陽極と発光層とが隣接して積層していることを示す。)。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
【0291】
発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層と電子輸送層とを総称して電荷輸送層と呼ぶ場合がある。発光層に隣接した正孔輸送層をインターレイヤー層と呼ぶ場合がある。
【0292】
各層の積層・成膜は、それぞれ各層の構成成分を含有する溶液を用いて行うことができる。溶液からの積層・成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0293】
発光層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0294】
正孔輸送層は、上述する正孔輸送材料を含有することが好ましい。正孔輸送層の成膜は、いかなる方法で行ってもよいが、正孔輸送材料が高分子化合物である場合には、正孔輸送材料を含有する溶液から成膜することが好ましく、正孔輸送材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含有する混合液から成膜することが好ましい。成膜方法としては、上述の塗布法と同様の方法を用いることができる。
【0295】
上記正孔輸送材料と混合し得る高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しない化合物であって、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0296】
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0297】
電子輸送層は、上述する電子輸送材料を含有することが好ましい。電子輸送層の成膜は、いかなる方法で行ってもよいが、電子輸送材料が高分子化合物である場合には、電子輸送材料を含有する溶液から成膜する方法、電子輸送材料を溶融して成膜する方法が好ましい。電子輸送材料が低分子化合物である場合には、電子輸送材料の粉末を用いて真空蒸着法により成膜する方法、電子輸送材料を含有する溶液から成膜する方法、電子輸送材料を溶融して成膜する方法が好ましい。電子輸送材料を含有する溶液から成膜する方法としては、上述の塗布法と同様の方法が例示できる。溶液中に高分子バインダーを含有していてもよい。
【0298】
上記電子輸送材料と混合し得る高分子バインダーは、電荷輸送を極度に阻害しない化合物ものであって、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。高分子バインダーとしては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0299】
電子輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0300】
電極に隣接して設けられた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ぶことがある。電極との密着性向上及び電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して上記の電荷注入層又は絶縁層を設けてもよく、界面の密着性向上及び混合の防止のために電荷輸送層及び発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。なお、積層する層の順番及び数、並びに、各層の厚さは、発光効率及び輝度寿命を勘案して選択すればよい。
【0301】
電荷注入層を設けた発光素子としては、以下の(e)〜(p)の構造を有する発光素子が挙げられる。
(e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
(f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
(g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
(h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
(j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
(k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
(l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
(o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0302】
電荷注入層としては、(I)導電性高分子を含む層、(II)陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極中の陽極材料と正孔輸送層中の正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含有する層、(III)陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極中の陰極材料と電子輸送層中の電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含有する層等が挙げられる。
【0303】
電荷注入層が(I)導電性高分子を含む層である場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm〜10S/cmが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm〜10S/cmがより好ましく、10−5S/cm〜10S/cmが特に好ましい。かかる範囲を満たすために、導電性高分子に適量のイオンをドープしてもよい。
【0304】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げらる。カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0305】
電荷注入層の厚さは、1〜100nmが好ましく、2〜50nmがより好ましい。
【0306】
導電性高分子としては、電極及び隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。電荷注入層としては、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等を含有する層も挙げられる。
【0307】
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有する層である。絶縁層の厚さは、通常、0.1〜20nmであり、好ましくは0.5〜10nmであり、より好ましくは1〜5nmである。絶縁層に用いる材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。
【0308】
絶縁層を設けた発光素子としては、以下の(q)〜(ab)の構造を有する発光素子が挙げられる。
(q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
(r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
(s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
(u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
(x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
(ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
【0309】
本実施形態の発光素子は、陽極又は陰極に隣接して基板を有することが好ましい。基板としては、電極及び各層を形成する際に形状や性状が変化しない基板が好ましく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、該基板が接する電極とは反対側の電極が、透明又は半透明であることが好ましい。
【0310】
本実施形態の発光素子において、通常、陽極及び陰極からなる電極の少なくとも一方が透明又は半透明であり、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0311】
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)からなる複合酸化物、インジウム・亜鉛・オキサイドからなる複合酸化物等の導電性無機化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられる。陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機透明導電膜を用いてもよい。陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。
【0312】
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。
【0313】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは30nm〜500nmである。
【0314】
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、該金属のうち2種以上を含む合金、該金属のうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上とを含む合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。
【0315】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。
【0316】
陰極の厚さは、電気伝導度及び耐久性を考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0317】
陰極と発光層又は陰極と電子輸送層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよく、陰極作製後、発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0318】
保護層としては、樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを容易に防ぐことができる。該空間に窒素やアルゴン等の不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。
【0319】
図1は、本発明の発光素子の一実施形態(上記(p)の構成を有する発光素子)を示す模式断面図である。図1に示す発光素子100は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16及び陰極17と、を有している。陽極11は、基板10と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10とは反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16及び陰極17が、この順で積層されている。
【0320】
図2は、本発明の発光素子の他の実施形態(上記(h)の構成を有する発光素子)を示す模式断面図である。図2に示す発光素子110は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14及び陰極17と、を有している。陽極11は、基板と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10と反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14及び陰極17が、この順で積層されている。
【0321】
本実施形態の高分子化合物を含有する発光素子は、曲面状光源、平面状光源等の面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスのフラットディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置、液晶ディスプレイのバックライト)等の表示装置等に有用である。また、本実施形態の高分子化合物は、これらの作製に用いられる材料として好適である以外にも、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料、高分子電界効果トランジスタの材料等としても有用である。
【0322】
本実施形態の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、上記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極若しくは陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメント表示装置が得られる。
【0323】
ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【0324】
図3は、本発明の面状光源の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示す面状光源200は、基板20と、陽極21と、正孔注入層22と、発光層23と、陰極24と、保護層25と、から構成されている。陽極21は、基板20と接するように基板20上に設けられており、陽極21の基板20と反対側には、正孔注入層22、発光層23及び陰極24がこの順で積層されている。保護層25は、基板20上に形成された陽極21、電荷注入層22、発光層23及び陰極24を全て覆うように、かつ、端部で基板20と接するように、形成されている。発光層23には、上記高分子化合物が含まれる。
【0325】
図3に示した面状光源200は、発光層23以外の発光層をさらに複数有する構成とし、それぞれの発光層に赤色発光材料、青色発光材料及び緑色発光材料を用い、それぞれの発光層の駆動を制御することで、カラー表示装置とすることができる。
【実施例】
【0326】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0327】
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)を用いて以下の測定条件により求めた。
【0328】
<測定条件>
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。GPCの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流速で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0329】
NMRの測定は、測定試料5〜20mgを約0.5mLの有機溶媒に溶解させて、NMR(バリアン(Varian,Inc.)製、商品名:INOVA300)を用いて行った。
【0330】
LC−MSの測定は、以下の方法で行った。測定試料を1〜10mg/mLの濃度になるように適切な有機溶媒(クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン等)に溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)にて測定し、解析した。LC−MSの移動相には、イオン交換水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はそれらの混合液を用い、必要に応じて酢酸を添加した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒子径3μm)を用いた。
【0331】
<実施例1:化合物4及び化合物5の合成>
(化合物2の合成)
まず、化合物1を用いて、下記のとおり化合物2を合成した。
【0332】
【化56】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。)
【0333】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコにヘプチルトリフェニルホスホニウムブロマイド(115.0g)入れ、フラスコ内の気体をアルゴンで置換した。このフラスコ内に、トルエン(375g)を入れ、5℃以下に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(29.2g)を入れ、室温まで昇温した後、室温で3時間保温しながら撹拌した。反応液中に生じた赤色スラリーに、化合物1(15.0g)を入れ、室温で12時間保温しながら撹拌した。反応液に酢酸(10.0g)を入れて15分撹拌した後、濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣をトルエンで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ここで、ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮し、そこにヘキサンを入れたところスラリーが生じた。このスラリーを50℃で、1時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣をヘキサンで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ここで、ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮することで粗生成物が得られた。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明の液体として化合物2を21.7g得た。
【0334】
LC−MS(ESI、positive、KCl添加):[M+K]491.
H−NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):0.87(6H、t)、1.20〜1.36(16H、m)、1.82〜1.97(4H、m)、2.57〜2.81(8H、m)、5.20(2H、br)、7.23〜7.32(4H、m)、7.41〜7.48(2H、m)、7.87〜7.90(2H、m).
【0335】
(化合物3の合成)
次いで、化合物2を用いて、下記のとおり化合物3を合成した。
【0336】
【化57】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0337】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコに化合物2(21.7g)を入れた後、酢酸エチル(152.4g)とエタノール(151.6g)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、5重量%Pd/C(約50重量%含水品)(4.3g)を入れた後、フラスコ内の気体を水素で置換し、水素雰囲気下、40℃で27時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣を酢酸エチルで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ここで、ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明の液体として化合物3を21.7g得た。
【0338】
LC−MS(APPI、positive):[M]456.
H−NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):0.66〜0.98(6H、m)、1.00〜2.22(34H、m)、7.13〜7.50(6H、m)、7.80〜7.98(2H、m).
【0339】
(化合物4の合成)
次いで、化合物3を用いて、下記のとおり化合物4を合成した。
【0340】
【化58】


(式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0341】
撹拌器を備えた500mLの四つ口フラスコに化合物3(21.7g)、クロロホルム(261.1g)及びトリフルオロ酢酸(44g)を入れ、フラスコ内の気体をアルゴンで置換した。四つ口フラスコ全体を遮光し、臭素(19.0g)とクロロホルム(65.3g)の混合物を室温で、15分かけてフラスコ内に滴下し、その後35℃まで昇温した。35℃で7時間、保温しながら撹拌した後、15℃以下に冷却した。反応液に10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(109g)入れ、室温まで昇温した。反応液から水層を分離し、有機層を水、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ろ液を濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールとヘキサンの混合液で、2回再結晶を行った。得られた固体をヘキサンに溶解させ、シリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製し、得られたヘキサン溶液に活性炭(2.1g)を加え、45℃で1時間、保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、残渣をヘキサンで複数回洗浄し、複数回分のろ液を合わせて一部濃縮しヘキサン溶液を得た。このヘキサン溶液にエタノールを加えて、再結晶することにより、化合物4を白色固体として18.8g得た。
【0342】
LC−MS(ESI、negative、KCl添加):[M+Cl]648.
H−NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):0.66〜0.98(6H、m)、1.00〜2.20(34H、m)、7.22〜7.78(6H、m).
【0343】
H−NMRの測定結果から、化合物4が立体化学の異なる異性体(4a:4b:4c=51:39:10)(モル比)の混合物であることを確認した。
【0344】
【化59】

【0345】
(化合物5の合成)
次いで、化合物4を用いて下記のとおり化合物5を合成した。
【0346】
【化60】


(式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0347】
200mLの4つ口フラスコに、化合物4(9.70g)、ビスピナコレートジボロン(8.82g)及び酢酸カリウム(9.25g)を入れた後、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、1,4−ジオキサン(95mL)、塩化パラジウム(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロメタン付加体(PdCl(dppf)(CHCl)(0.195g)及びジフェニルホスフィノフェロセン(dppf)(0.131g)を加え、105℃で7時間攪拌した。得られた溶液を、室温まで冷却した後、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた濃縮物をヘキサンに溶解させた後、活性炭を加えて40℃で1時間加熱しながら攪拌した。得られた混合物を、室温まで冷却した後、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた固体を、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒で再結晶することで白色固体として化合物5を9.0g得た。
【0348】
LC−MS(ESI、positive、KCl添加):[M+K]747.
【0349】
<実施例2:化合物9の合成>
(1−ブロモ−3,5,5−トリメチルヘキサンの合成)
次いで、3,5,5−トリメチルヘキサノールを用いて、下記のとおり1−ブロモ−3,5,5−トリメチルヘキサンを合成した。
【0350】
【化61】

【0351】
撹拌器を備えた500mLフラスコに3,5,5−トリメチルヘキサノール(72.1g)及びトリフェニルホスフィン(157.4g)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、クロロホルム121mLを入れ、氷浴で冷却し、N−ブロモスクシンイミド(106.8g)を分割して滴下した。氷浴を外し、反応液を室温で1時間撹拌した。10重量%炭酸ナトリウム水溶液(200mL)入れ、水層を分液し、有機層をヘキサンで希釈した。析出した固体を濾過し、濃縮後、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラム精製(展開溶媒:ヘキサン)し、1−ブロモ−3,5,5−トリメチルヘキサンを95.3g得た。
【0352】
(化合物6の合成)
次いで、1−ブロモ−3,5,5−トリメチルヘキサンを用いて下記のとおり化合物6を合成した。
【0353】
【化62】

【0354】
撹拌器を備えた500mLフラスコに1−ブロモ−3,5,5−トリメチルヘキサン(104.8g)、トリフェニルホスフィン120.6g及びトルエン(139mL)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。得られた混合物を還流温度まで昇温し、20時間還流した。反応液を室温まで冷却し、析出した固体を濾過した。得られた固体をヘキサンで3回撹拌しながら洗浄し、減圧乾燥することで化合物6を171.7g得た。
【0355】
(化合物7の合成)
次いで、化合物6を用いて下記のとおり化合物7を合成した。
【0356】
【化63】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0357】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコに化合物6(169g)入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。このフラスコ内に、トルエン(594mL)を入れ、5℃以下に冷却した。カリウムtert−ブトキシド(39.2g)を入れ、室温まで昇温した後、室温で3時間保温しながら撹拌した。反応液中に生じた赤色スラリーに、化合物1(20.1g)を入れ、室温で20時間保温しながら撹拌した。反応液に酢酸(13mL)を入れて15分撹拌した後、濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣をトルエンで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮し、ヘキサンを入れたところスラリーが生じた。このスラリーを50℃で、1時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣をヘキサンで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮することで粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明の液体として化合物7を34.5g得た。
【0358】
(化合物8の合成)
次いで、化合物7を用いて、下記のとおり化合物8を合成した。
【0359】
【化64】


(式中、波線は、当該波線を有する化合物が幾何異性体混合物であることを示す。*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0360】
撹拌器を備えた1Lの四つ口フラスコに化合物7(35.8g)を入れた後、酢酸エチル(278mL)とエタノール(318mL)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。そこに、5重量%Pd/C(約50重量%含水品)(7.2g)を入れた後、フラスコ内の気体を水素で置換し、水素雰囲気下、40℃で30時間保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣を酢酸エチルで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製することで、無色透明の液体として化合物8を34.0g得た。
【0361】
LC−MS(ESI、negative、KCl添加):[M+Cl]547.
【0362】
(化合物9の合成)
次いで、化合物8を用いて、下記のとおり化合物9を合成した。
【0363】
【化65】


(式中、*は、それを付した炭素原子が不斉炭素原子であることを示す。)
【0364】
撹拌器を備えた500mLの四つ口フラスコに化合物8(31.5g)、クロロホルム(298mL)及びトリフルオロ酢酸(63g)を入れ、フラスコ内の気体を窒素で置換した。四つ口フラスコ全体を遮光し、臭素(24.5g)とクロロホルム(21mL)の混合物を室温で、15分かけてフラスコ内に滴下し、その後30℃まで昇温した。得られた混合物を、30℃で7時間、保温しながら撹拌した後、15℃以下に冷却した。反応液に10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(46mL)入れ、室温まで昇温した。反応液から水層を分離し、有機層を水、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ろ液を濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールとヘキサンの混合液で、2回再結晶を行った。得られた固体をヘキサンに溶解させ、シリカゲルカラム(展開溶媒 ヘキサン)を用いて精製し、得られたヘキサン溶液に活性炭(2.1g)を加え、45℃で1時間、保温しながら撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却し、セライトをプレコートした濾過器により濾過し、ろ液と残渣を得た。次いで、残渣をヘキサンで複数回洗浄し、洗浄液を得た。ろ液と複数回分の洗浄液を合わせて一部濃縮しヘキサン溶液を得た。このヘキサン溶液にエタノールを加えて、再結晶することにより、化合物9を白色固体として24.7g得た。
【0365】
LC−MS(ESI、negative、KCl添加):[M+Cl]705.
H−NMR(CDCl、300MHz)δ(ppm):0.75〜1.36(38H、m)、1.56〜1.82(5H、m)2.17〜2.24(5H、m)、7.33〜7.68(6H、m).
【0366】
<合成例1:化合物12の合成>
(化合物10の合成)
次いで、1,5−ナフチル ビス(トリフルオロメタンスルホネート)を用いて下記のとおり化合物10を合成した。
【0367】
【化66】

【0368】
窒素雰囲気下、1,5−ナフチル ビス(トリフルオロメタンスルホネート)(25.0g)と[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメチレン付加体(0.24g)とtert−ブチルメチルエーテル(410mL)を仕込み、10℃以下で2−エチルヘキシルマグネシウムブロマイド(1mol/L ジエチルエーテル溶液173mL)を滴下し室温にて4時間攪拌した。反応終了後、水(500ml)と2N塩酸(100ml)の混合液に反応液を注加し酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、洗浄した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)により精製を行い、化合物10を淡黄色の油状物として21.3g得た。
【0369】
LC−MS(ESI、positive):[M]353.
H−NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm)0:.75〜1.00(12H,m),1.10〜1.50(16H,m),1.69〜1.85(2H,m),2.90〜3.05(4H,m),7.24〜7.38(3H,m),7.35〜7.44(3H,m),7.90〜7.95(3H,m).
【0370】
(化合物11の合成)
次いで、化合物10を用いて、下記のとおり化合物11を合成した。
【0371】
【化67】

【0372】
窒素雰囲気下、化合物10(21.3g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン)(46.0g)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)(0.24g)(アルドリッチ社製)、4,4’−ジtert−ブチル−2,2’−ジピリジル(0.19g)及びジオキサン(140mL)の混合物を100℃で3時間攪拌した。得られた混合物を冷却後、ジオキサンを減圧下で留去した。残留物にメタノール(200mL)を加え析出した固体をろ取し、乾燥させた。得られた固体をトルエン(250mL)に溶解させ、活性白土(20g)を加え、60℃で30分撹拌後、シリカゲルをプレコートした濾過器にて熱時ろ過し、得られたろ液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物にメタノール(250mL)を加え析出した固体をろ取し、乾燥させて化合物11を白色粉末として28.0g得た。
【0373】
LC−MS(ESI、positive):[M]605.
H−NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):0.85〜0.95(12H,m),1.24〜1.50(16H,m),1.66〜1.85(2H,m),2.90〜3.18(4H,m),7.60(2H,s),8.47(2H,s).
【0374】
(化合物12の合成)
次いで、化合物11を用いて、下記のとおり化合物12を合成した。
【0375】
【化68】

【0376】
窒素雰囲気下、化合物11(28.0g)、ジオキサン(420mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(420mL)及び水(210mL)の混合液に臭化銅(II)(62.7g)を加え、95℃で2時間攪拌した。さらに同温度で臭化銅(II)(31.4g)を追加して1.5時間撹拌した。その後、さらに同温度で臭化銅(II)(31.4g)を追加して1.5時間撹拌した。反応液を冷却後、ヘキサン(300mL)を加え攪拌した。その後、有機層を分液し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)により精製を行い、濃縮後、固体(21.0g)を得た。得られた固体をトルエン(150mL)に溶解させ、活性炭(5g)加え、60℃で30分撹拌した。その後、得られた混合物を、セライトをプレコートした濾過器にて熱時ろ過し、得られたろ液を減圧下濃縮した。得られた濃縮物をトルエンとメタノールの混合液より再結晶を行い、化合物12を白色固体として13.2g得た。
【0377】
LC−MS(ESI、positive)[M]511.
H−NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):0.80〜0.98(12H,m),1.20〜1.44(16H,m),1.64〜1.80(2H,m),2.77〜2.95(4H,m),7.37(2H,s),8.00(2H,s).
【0378】
<実施例3:高分子化合物A1の合成>
下記式(K−1)で表される構成単位と、下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位を、20:50:25:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A1)の合成を、下記のとおり行った。
【化69】


【化70】


【化71】


【化72】

【0379】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成した化合物4(0.492g、0.80mmol)と、下記式(M−2−E):
【化73】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、下記式(M−3−BR):
【化74】


で表される化合物(0.548g、1.00mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化75】


で表される化合物(0.148g、0.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0380】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、2時間40分還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物A1を1.25g得た。高分子化合物A1のポリスチレン換算の数平均分子量は1.30×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.26×10であった。
【0381】
<実施例4:高分子化合物A2の合成>
下記式(K−5)で表される構成単位と、下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−6)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位を、20:50:25:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A2)の合成を、下記のとおり行った。
【化76】


【化77】


【化78】


【化79】

【0382】
アルゴン雰囲気下、実施例2で合成した化合物9(0.537g、0.80mmol)と、下記式(M−2−E):
【化80】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、合成例1で合成した化合物12(0.510g、1.00mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化81】


で表される化合物(0.148g、0.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0383】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物A2を1.25g得た。高分子化合物A2のポリスチレン換算の数平均分子量は1.06×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.53×10であった。
【0384】
<実施例5:高分子化合物A3の合成>
下記式(K−1)で表される構成単位と、下記式(K−7)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位と、下記式(K−8)で表される構成単位を、50:45:3:2のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A3)の合成を、下記のとおり行った。
【化82】


【化83】


【化84】


【化85】

【0385】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成した化合物5(1.387g、2.00mmol)と、下記式(M−7−B):
【化86】


で表される化合物(1.463g、1.80mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化87】


で表される化合物(0.089g、0.12mmol)と、下記式(M−8−BR):
【化88】


で表される化合物(0.088g、0.08mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0386】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物A3を1.19g得た。高分子化合物A3のポリスチレン換算の数平均分子量は2.04×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は5.39×10であった。
【0387】
<実施例6:高分子化合物A4の合成>
下記式(K−1)で表される構成単位と、下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位と、下記式(K−9)で表される構成単位を、50:25:20:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A4)の合成を、下記のとおり行った。
【化89】


【化90】


【化91】


【化92】

【0388】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成した化合物4(0.492g、0.80mmol)と、下記式(M−2−E):
【化93】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、下記式(M−3−BR):
【化94】


で表される化合物(0.548g、1.00mmol)と、下記式(M−9−BR):
【化95】


で表される化合物(0.092g、0.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0389】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物A4を1.20g得た。高分子化合物A4のポリスチレン換算の数平均分子量は1.10×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.89×10であった。
【0390】
<実施例7:高分子化合物A5の合成>
下記式(K−1)で表される構成単位と、下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−10)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位を、20:60:15:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A5)の合成を、下記のとおり行った。
【化96】


【化97】


【化98】


【化99】

【0391】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成した化合物4(0.492g、0.80mmol)と、下記式(M−2−E):
【化100】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、下記式(M−2−BR):
【化101】


で表される化合物(0.258g、0.40mmol)と、下記式(M−10−BR):
【化102】


で表される化合物(0.381g、0.60mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化103】


で表される化合物(0.148g、0.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0392】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物A5を1.39g得た。高分子化合物A5のポリスチレン換算の数平均分子量は0.90×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.29×10であった。
【0393】
<合成例2:高分子化合物AAの合成>
下記式(K−9)で表される構成単位と、下記式(K−10)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位を、42:8:50のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物AA)の合成を、下記のとおり行った。
【化104】


【化105】


【化106】

【0394】
アルゴン雰囲気下、下記式(M−3−Z):
【化107】


で表される化合物(17.57g、33.13mmol)と、下記式(M−9−BR):
【化108】


で表される化合物(12.88g、28.05mmol)と、下記式(M−10−BR):
【化109】


で表される化合物(2.15mg、5.01mmol)と、酢酸パラジウム(II)(7.4mg)と、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(70mg)、第四級アンモニウムクロライドの0.74Mトルエン溶液(アリクアト(Aliquat)(登録商標)336、シグマアルドリッチ社製、3g)と、トルエン(200g)を混合した。
【0395】
混合液に18重量%炭酸ナトリウム水溶液(64g)を滴下し、3時間以上加熱して還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(0.4g)を加え、さらに5時間以上還流させた。次いで、トルエンで反応液を希釈し、3重量%酢酸水溶液、イオン交換水の順で洗浄した後、取り出した有機層へジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(1.5g)を加え、4時間撹拌した。得られた溶液をアルミナとシリカゲルの等量混合物を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール中へ滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させ、高分子化合物AAを得た。高分子化合物AAのポリスチレン換算の数平均分子量は8.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.2×10であった。
【0396】
<実施例8:発光素子1の作製と評価>
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテル/水=3/2(体積比)の混合液(シグマアルドリッチ社、商品名:Plexcore OC 1200)を用いてスピンコートにより35nmの厚さで成膜し、ホットプレート上で170℃で15分間乾燥させた。
【0397】
次に、高分子化合物AAをキシレンに溶解させ0.7重量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートすることにより、厚さ20nmの薄膜を形成した。これを窒素ガス雰囲気中において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱した。
【0398】
次に、高分子化合物A1をキシレンに溶解させ、1.3重量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートすることにより厚さ65nmの薄膜を形成し、窒素雰囲気中において130℃で10分加熱して乾燥させた後、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、発光素子1を作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
【0399】
得られた発光素子1に電圧を印加したところ、この素子から455nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は8.8cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0400】
<実施例9:発光素子2の作製と評価>
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物A2を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子2を作製した。得られた発光素子2に電圧を印加したところ、この素子から460nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は9.0cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0401】
<実施例10:発光素子3の作製と評価>
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物A3を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子3を作製した。得られた発光素子3に電圧を印加したところ、この素子から460nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は8.8cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0402】
<実施例11:発光素子4の作製と評価>
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物A4を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子4を作製した。得られた発光素子4に電圧を印加したところ、この素子から445nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は5.1cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0403】
<比較例1:高分子化合物Bの合成、及び、発光素子C1の作製と評価>
下記式(K−1)で表される構成単位と、下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位を、20:50:30のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物B)の合成を、下記のとおり行った。
【化110】


【化111】


【化112】

【0404】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成した化合物4(0.492g、0.80mmol)と、下記式(M−2−E):
【化113】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、下記式(M−3−BR):
【化114】


で表される化合物(0.658g、1.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0405】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、2時間40分還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物Bを1.31g得た。高分子化合物Bのポリスチレン換算の数平均分子量は9.6×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.44×10であった。
【0406】
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物Bを用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子C1を作製した。得られた発光素子C1に電圧を印加したところ、この素子から435nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は4.1cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0407】
<比較例2:高分子化合物Cの合成、及び、発光素子C2の作製と評価>
下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位を、50:45:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物C)の合成を、下記のとおり行った。
【化115】


【化116】


【化117】

【0408】
アルゴン雰囲気下、下記式(M−2−E):
【化118】


で表される化合物(4.3884g、5.94mmol)と、下記式(M−3−BR):
【化119】


で表される化合物(2.9621g、5.40mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化120】


で表される化合物(0.4430g、0.60mmol)と、パラジウムアセテート(3.24mg)、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(19.3mg)及びトルエン(67mL)を混合し、105℃に加熱した。
【0409】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(20mL)を滴下し、2時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(370mg)を加え、更に2時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Cを3.49g得た。高分子化合物Cのポリスチレン換算の数平均分子量は1.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.8×10であった。
【0410】
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物Cを用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子C2を作製した。得られた発光素子C2に電圧を印加したところ、この素子から455nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は7.6cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0411】
<比較例3:高分子化合物Dの合成、及び、発光素子C3の作製と評価>
下記式(K−2)で表される構成単位と、下記式(K−3)で表される構成単位と、下記式(K−11)で表される構成単位と、下記式(K−4)で表される構成単位とを、50:25:20:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物D)の合成を、下記のとおり行った。
【化121】


【化122】


【化123】


【化124】

【0412】
アルゴン雰囲気下、下記式(M−2−E):
【化125】


で表される化合物(1.477g、2.00mmol)と、下記式(M−3−BR):
【化126】


で表される化合物(0.548g、1.00mmol)と、下記式(M−11−BR):
【化127】


で表される化合物(0.472g、0.80mmol)と、下記式(M−4−BR):
【化128】


で表される化合物(0.148g、0.20mmol)と、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)と、トルエン(50mL)とを混合し、105℃で加熱した。
【0413】
反応液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)及びトルエン(5mL)を加え、さらに18時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、有機層を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が生じたので、それを濾取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物を濾取し、乾燥させることにより、高分子化合物Dを1.31g得た。高分子化合物Dのポリスチレン換算の数平均分子量は0.91×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.47×10であった。
【0414】
実施例8における高分子化合物A1に代えて高分子化合物Dを用いたこと以外は、実施例8と同様にして、発光素子C3を作製した。得られた発光素子C3に電圧を印加したところ、この素子から460nmにピークを有するEL発光が得られ、最大発光効率は7.5cd/Aであった。結果を表1に示す。
【0415】
【表1】

【符号の説明】
【0416】
10…基板、11…陽極、12…正孔注入層、13…正孔輸送層、14…発光層、15…電子輸送層、16…電子注入層、17…陰極、20…基板、21…陽極、22…正孔注入層、23…発光層、24…陰極、25…保護層、100…発光素子、110…発光素子、200…面状光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位を有する高分子化合物。
【化1】


[式中、n及びnはそれぞれ独立に、1〜5の整数を示し、
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、
水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、
、R、R及びRがそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR、R、R及びRは互いに同一でも異なっていてもよく、R、R、R及びRのうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよく、R、R、R及びR10のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよい。]
【化2】


[式中、a及びbはそれぞれ独立に0又は1を示し、
Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、又は、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)を示し、
、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、
Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と互いに連結して環構造を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記式(2)で表される構成単位の少なくとも1個が、下記式(3)で表される構成単位である、請求項1に記載の高分子化合物。
【化3】


[式中、Rは水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、
は、単結合、酸素原子、硫黄原子又は−C(R11−で表される基(R11は、非置換若しくは置換のアルキル基又は非置換若しくは置換のアリール基を示し、複数存在するR11は互いに同一でも異なっていてもよい。)を示す。]
【請求項3】
下記式(4)で表される構成単位をさらに有する、請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【化4】


[式中、Arは非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、又は、アリーレン基及び2価の複素環基から選ばれる同一若しくは異なる2以上の基が連結した2価の基(該基は、置換基を有していてもよい。)を示す。但し、式(4)で表される構成単位は、前記式(1)で表される構成単位とは異なる。]
【請求項4】
前記式(4)で表される構成単位の少なくとも1個が、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位である、請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
前記式(4)で表される構成単位の少なくとも1個が、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基からなる構成単位である、請求項4に記載の高分子化合物。
【請求項6】
前記式(4)で表される構成単位の少なくとも1個が、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基、及び、下記式(5’)で表される基、からなる群より選ばれる少なくとも一種の基からなる構成単位である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化5】


[式中、c及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、cは0〜5の整数を示し、
12、R13及びR14はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のアルコキシカルボニル基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はシアノ基を示し、
12、R13及びR14がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR12、R13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項7】
前記式(1)で表される構成単位と、前記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のフェニレン基からなる構成単位と、を有する、請求項6に記載の高分子化合物。
【請求項8】
前記式(1)で表される構成単位と、前記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基からなる構成単位と、を有する、請求項6に記載の高分子化合物。
【請求項9】
前記式(1)で表される構成単位と、前記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、非置換若しくは置換のアントラセンジイル基からなる構成単位と、を有する、請求項6に記載の高分子化合物。
【請求項10】
前記式(1)で表される構成単位と、前記式(2)で表される構成単位と、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基からなる構成単位と、下記式(5)で表される構成単位と、を有する、請求項6に記載の高分子化合物。
【化6】


[式中、c及びcはそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、cは0〜5の整数を示し、
12、R13及びR14はそれぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のアルコキシカルボニル基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、カルボキシル基又はシアノ基を示し、
12、R13及びR14がそれぞれ複数存在するとき、複数存在するR12、R13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項11】
前記式(1)におけるn及びnが、それぞれ独立に3又は4である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項12】
下記式(6)で表される化合物。
【化7】


[式中、m及びmはそれぞれ独立に1又は2を示し、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29及びR30はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、
11、X12、X13及びX14はそれぞれ独立に、−C(R31−で表される基(R31は、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基又は非置換若しくは置換の1価の複素環基を示し、複数存在するR31は互いに同一でも異なっていてもよい。)を示し、
27、R28、R29及びR30のうち隣接する基同士は互いに連結して環構造を形成していてもよく、
及びZはそれぞれ独立に、下記置換基群から選ばれる基を示す。
但し、R21、R22、R23及びR24のうち少なくとも1個は、水素原子以外の基である。<置換基群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
−O−S(=O)41(R41は、アルキル基、又は、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を示す。)で表される基、
−B(OR42(R42は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR42は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基、
−BF(Qは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる1価の陽イオンを示す。)で表される基、
−MgY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、
−ZnY(Yは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)で表される基、及び、
−Sn(R43(R43は水素原子又はアルキル基を示し、複数存在するR43は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して環構造を形成していてもよい。)で表される基。]
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物と、
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含有する組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有する液状組成物。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する有機薄膜。
【請求項16】
請求項13に記載の組成物を用いてなる有機薄膜。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の有機薄膜を有する発光素子。
【請求項18】
請求項17に記載の発光素子を有する面状光源。
【請求項19】
請求項17に記載の発光素子を有する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−236970(P2012−236970A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279929(P2011−279929)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】