説明

高分子化合物及びそれを用いた高分子発光素子

【課題】発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性などの素子特性に優れた高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される繰返し単位を主成分とすることを特徴とする高分子化合物。


(式中、X及びXはそれぞれ独立に、3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物、該高分子化合物の製造方法、該高分子化合物の合成原料に用いられる化合物、及び該高分子化合物を用いた高分子発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の発光材料や電荷輸送材料は、低分子量のそれらとは異なり溶媒に可溶で塗布法により発光素子における有機層を形成できることから、種々の材料が検討されている。その例として、繰り返し単位として、下記の構造を有する高分子化合物及びそれを用いた有機ELデバイスが知られている(US2004/0131880、US2004/0131881)。
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2004/0131880
【特許文献2】US2004/0131881
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の高分子化合物は、耐熱性などの特性が必ずしも十分でないという問題があった。
本発明の目的は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性等の特性に優れた高分子化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記(1)の繰返し単位を主成分として含む高分子化合物が、発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性等の特性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、
1. 下記式(1)で表される繰返し単位を主成分として含む高分子化合物。
【化2】


(式中、X及びXはそれぞれ独立に、3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基を含むアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。)
を提供するものである。
また、本発明は以下の通りである。
2. 上記式(1)で表される繰返し単位が下記式(2)で表される上記1.に記載の高分子化合物。
【化3】


(式中、A環、A環、B環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表し、ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基を含むアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、一方の結合手はA環又はB環に結合し、もう一方の結合手はA環又はB環に結合する。)
3. 上記式(2)で表される繰返し単位が下記式(3)で表される上記2.に記載の高分子化合物。
【化4】


(式中、A環、A環、B環、B環及びYは上記と同じである。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表し、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。)
4. 上記式(3)で表される繰返し単位が下記式(4)で表される上記3.に記載の高分子化合物。
【化5】


(式中、R、R、R、R及びYは上記と同じである。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。a及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a及びaはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a、a、a及びaのいずれかが2以上の場合で、対応する置換基が芳香環上の隣接する炭素原子上にある場合、互いに結合して環を形成してもよい。)
5. 下記式(5)で表される化合物を重合して得られる上記1.〜4.のいずれか一項に記載の高分子化合物。
−X−Y−X−W (5)
(式中、X、X及びYはそれぞれ上記と同じである。W及びWはそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を表す。)
6. 上記式(1)で表される繰返し単位が左右対称又はC2対称である上記1.〜5.のいずれか一項に記載の高分子化合物。
7. 上記式(1)で表される繰返し単位中、X及びXで表される繰返し単位が左右対称でもC2対称でもない上記6.に記載の高分子化合物。
8. 下記式(6)、式(7)、式(8)又は式(9)で示される繰り返し単位を含む上記1.〜7.のいずれか一項に記載の高分子化合物。
−Ar− (6)
−(Ar−X−Ar− (7)
−Ar−X− (8)
−X− (9)
(式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。X、X及びXはそれぞれ独立に、−CR=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、又は(SiR1213−を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を示す。kは1又は2を表す。mは1〜12の整数を表す。R、R10、R11、R12及びR13がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
9. 上記式(6)で表される繰り返し単位が、下記式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)で表される繰り返し単位である上記8.に記載の高分子化合物。
【化6】


(式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。nは0〜4の整数を表す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化7】


(式中、R15及びR16は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。o及びpはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。R15及びR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化8】


(式中、R17及びR20は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。q及びrはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R17及びR20がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化9】


(式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。sは0〜2の整数を表す。Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。t及びuはそれぞれ独立に0又は1を表す。Z11は、O、S、SO、SO、Se、又はTeを表す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化10】


(式中、R22及びR23は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。v及びwはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Z12は、O、S、SO、Se、Te、N−R24、又はSiR2526を表す。Z13及びZ14は、それぞれ独立に、N又はC−R27を表す。R24、R25、R26及びR27はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を表す。R22、R23及びR27がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化11】


(式中、R28及びR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。x及びyはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R29、R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。Arはアリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。R28及びR33がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
10. 上記式(7)で表される繰り返し単位が、下記式(16)で示される繰り返し単位である上記8.に記載の高分子化合物。
【化12】


(式中、Ar、Ar、Ar10及びAr11はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar12、Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、アリール基、又は1価の複素環基を表す。Ar、Ar、Ar10、Ar11、及びAr12は置換基を有していてもよい。z及びzzはそれぞれ独立に0又は正の整数を表す。)
11. 上記式(16)で表される繰り返し単位において、z+zz=1であり、かつAr12、Ar13及びAr14が、それぞれ独立に、下記式(16−1)で表される基から選ばれる上記10.に記載の高分子化合物。
【化13】


(式中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表す。Rh及びRiは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表す。Re、Rf及びRgに含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。ベンゼン環上の隣接する2つの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)
12. 上記式(5)で表される化合物を重合又は共重合することを特徴とする上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
13. 上記式(5)で表される化合物。
14. 上記式(5)で表される化合物が下記式(17)で表される上記13.に記載の化合物。
【化14】


(式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の縮合多環系複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、2つのA環に結合する。Wは重合に関与しうる置換基を表し、B環に結合する。)
15. 上記式(17)で表される化合物のうち、Wがハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基である上記14.に記載の化合物。
16. 上記15.に記載の化合物の製造方法であって、下記式(18)及び(19)で表される化合物を遷移金属錯体の存在下に反応させることを特徴とする上記製造方法。
【化15】


(式中、A環、B環、Z及びYは上記と同じである。W及びWはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。Wは−B(OH)、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。)
17. 上記式(18)で表される化合物。
18. 上記15.に記載の化合物の製造方法であって、下記式(20)及び(21)で表される化合物を遷移金属錯体の存在下に反応させることを特徴とする上記製造方法。
【化16】


(式中、A環、B環、W、Z及びYは上記と同じである。Wは−B(OH)、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。Wはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。)
19. 上記式(20)で表される化合物。
20. 上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする溶液。
21. 上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
22. 上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする導電性薄膜。
23. 上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする有機トランジスタ。
24. インクジェット法を用いることを特徴とする上記21.〜23.のいずれか一項に記載の薄膜の製膜方法。
25. 陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が上記1.〜11.のいずれか一項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
26. 上記25.に記載の高分子発光素子を用いることを特徴とする面状光源。
27. 上記25.に記載の高分子発光素子を用いることを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の高分子化合物は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性、素子駆動後の色変化、素子にした時の寿命等に優れる。したがって、本発明の高分子化合物を含む高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の高分子化合物は上記式(1)で示される繰り返し単位を主成分として含むことを特徴とする。
【0008】
式中、X及びXはそれぞれ独立に、3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。
【0009】
3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基としては、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセナフチリレン、アセアンチリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン及びペンタセンからなる群から選ばれる1つから2つの水素原子を除いた基が例示される。上記縮合多環系芳香族炭化水素化合物の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0010】
ここに、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、溶媒への溶解性の観点から好ましくは炭素数3〜20である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられる。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0011】
アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、溶媒への溶解性の観点から好ましくは炭素数3〜20である。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられる。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0012】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、溶媒への溶解性の観点から好ましくは炭素数3〜20である。その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられる。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0013】
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基(C〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基が好ましい。C〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェニル基として具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0014】
アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェノキシ基、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェノキシ基、C〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
〜C12アルキルフェノキシ基として具体的には、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0015】
アリールチオ基は、炭素数が通常3〜60程度である。その具体例としては、フェニルチオ基、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニルチオ基、C〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0016】
アリールアルキル基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基、1−ナフチル−C〜C12アルキル基、2−ナフチル−C〜C12アルキル基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル基が好ましい。
【0017】
アリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。その具体例としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルコキシ基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルコキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0018】
アリールアルキルチオ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48である。その具体的としては、フェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルチオ基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0019】
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度である。その具体的としては、フェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C〜C12アルケニル基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルケニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルケニル基が好ましい。
【0020】
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度である。その具体的としては、フェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C〜C12アルキニル基などが例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキニル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキニル基が好ましい。
【0021】
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基から選ばれる1又は2個の基で置換されたアミノ基が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は、該置換基の炭素数を含めずに、通常1〜60程度、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0022】
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。置換シリル基の炭素数は通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリル基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリル基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0023】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。
【0024】
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
【0025】
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0026】
イミン残基としては、イミン化合物(分子内に、−N=Cを持つ有機化合物のことを言う。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる)から水素原子1個を除いた残基が挙げられ、通常、炭素数は2〜20程度であり、好ましくは炭素数は2〜18である。具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。
【化17】

【0027】
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18である。その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基などが例示される。
【0028】
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数が4〜20程度であり、具体的には以下に示す基などが例示される。
【化18】

【0029】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を言い、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素などのヘテロ原子を環内に含むものを言う。具体的には、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0030】
置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、炭素数が通常2〜60程度、好ましくは炭素数2〜48である。その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0031】
3環以上の2価の縮合多環系複素環基としては、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセナフチリレン、アセアンチリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン及びペンタセンの少なくとも1つの炭素原子をホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子又はセレン原子で置換し、2つの水素原子を除いた基が例示される。上記縮合多環系複素環化合物の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0032】
3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基としては、下記の式1A−0〜1A−64、式1B−1〜1B−64、式1C−1〜1C−64、及び式1D−1〜1D−18、並びに、これらの式の基に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基等からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環における結合手は、任意の位置を取り得ることを表す。
【0033】
【化19】

【0034】
【化20】

【0035】
【化21】

【0036】
【化22】

【0037】
【化23】

【0038】
【化24】

【0039】
【化25】

【0040】
【化26】

【0041】
【化27】

【0042】
【化28】

【0043】
【化29】

【0044】
【化30】

【0045】
【化31】

【0046】
【化32】

【0047】
【化33】

【0048】
【化34】

【0049】
【化35】

【0050】
【化36】

【0051】
【化37】

【0052】
【化38】

【0053】
【化39】

【0054】
【化40】


(式中、Rw及びRxはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。RwとRxはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0055】
以下に3環以上の2価の縮合多環系複素環基の例を示す。
これらの基は、その複素環上に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基又はシアノ基が例示され、互いに結合して環を形成してもよい。
【0056】
【化41】

【0057】
【化42】

【0058】
【化43】

【0059】
【化44】

【0060】
【化45】

【0061】
【化46】

【0062】
【化47】

【0063】
【化48】


上記式中、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基又は1価の複素環基を表す。複数のR’を有する場合、互いに結合して環を形成してもよい。
【0064】
3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基としては、下記式(30)で表される化合物のA環及び/又はB環から2つの水素原子を除いた基が好ましい。
【化49】


式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。
【0065】
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独又は複数個のベンゼン環が縮合したものが好ましい。その例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられる。
【0066】
A環とB環との組合せとして、好ましくはベンゼン環とベンゼン環、ベンゼン環とナフタレン環、ベンゼン環とアントラセン環、ベンゼン環とフェナントレン環、ナフタレン環とアントラセン環、ナフタレン環とフェナントレン環、アントラセン環とフェナントレン環の組合せが挙げられ、ベンゼン環とナフタレン環の組合わせがより好ましい。
【0067】
A環とB環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基が例示される。
【0068】
Zで表される2価の基のうち、5員環を形成するものとしては、下記式グループA及びグループBで表される基が例示される。
【0069】
【化50】

【0070】
【化51】


式中、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基又は1価の複素環基を表す。1つの原子に2つのR’を有する場合、互いに結合して環を形成してもよい。
【0071】
Zで表される2価の基のうち、6員環を形成するものとしては、下記式グループC、グループD、グループE、グループFで表されるものが例示される。
【0072】
【化52】

【0073】
【化53】

【0074】
【化54】

【0075】
【化55】


式中、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基又は1価の複素環基を表す。R’を複数有する場合、互いに結合して環を形成してもよい。
【0076】
又はXが対称性を有しない場合、グループC、グループD、グループEの基が例示される。対称性を有する場合、グループFの基が例示される。
【0077】
Zで表される2価の基のうち、7員環を形成するものとしては、下記グループGで表されるものが例示される。
【0078】
【化56】

【0079】
中でも、化合物の安定性の観点から、グループA、グループD及びグループEの基が好ましく、より好ましくはグループA及びグループEの基であり、更に好ましくはこれらのZを有するX又はXが左右対称でもC2対称でもない場合である。
【0080】
素子寿命、素子駆動後の色変化抑制などの素子特性の観点から、3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基としては、下記式(31)で表される化合物から2つの水素原子を除いたものが好ましい。左右対称でもC2対称でもない場合が、更に好ましい。
【化57】


式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。2つのRは互いに結合して環を形成してもよい。
【0081】
A環及びB環における定義及び例示は上記式(30)と同様である。
【0082】
更に好ましくは、下記式(32)、(33)、(34)及び(35)のいずれかで表される場合である。
【化58】


式中、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4及びRq4はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。b1、b2、b3及びb4はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、c1、c2、c3及びc4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4及びRq4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rw1、Rx1、Rw2、Rx2、Rw3、Rx3、Rw4及びRx4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。Rw1とRx1、Rw2とRx2、Rw3とRx3、Rw4とRx4はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
【0083】
もっとも好ましくは、上記式(32)で表される場合である。
【0084】
単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン又はビフェニルから2つの水素原子を除いた基が例示される。中でも、ベンゼン又はビフェニルから2つの水素原子を除いた基が好ましい。上記芳香族炭化水素化合物の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0085】
単環若しくは2環性の2価の複素環基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロン、チオピラン、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、フラザン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インドリジン、クロメン、ベンゾピラン、キノリン、ベンズイミダゾール、インダゾール、キノキサリン又はフタラジンから2つの水素原子を除いた基が例示される。中でも、単環の2価の複素環基が好ましい。上記複素環化合物の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0086】
単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造とは、具体的には下記式(37)で表される。
【化59】


(式中、Ard1、Ard2、Ard3及びArd4はそれぞれ独立に、単環若しくは2環性のアリーレン基、又は単環若しくは2環性の2価の複素環基を表す。Ard5、Ard6及びArd7はそれぞれ独立に、単環若しくは2環性のアリール基、又は単環若しくは2環性の1価の複素環基を表す。Ard1、Ard2、Ard3、Ard4、Ard5、Ard6及びArd7は置換基を有していてもよい。d1及びd2はそれぞれ独立に0又は正の整数を表す。)
【0087】
Ard1、Ard2、Ard3及びArd4における単環若しくは2環性のアリーレン基、及び単環若しくは2環性の1価の複素環基の例示は、上記に記載のものと同様である。Ard1及びArd3は単環のアリーレン基又は単環の複素環基が好ましい。
【0088】
Ard5、Ard6及びArd7における単環若しくは2環性のアリール基としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン又はビフェニルから水素原子1個を除いた原子団が例示される。
【0089】
Ard1、Ard2、Ard3、Ard4、Ard5、Ard6及びArd7における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基が例示される。
【0090】
dは好ましくは0、1又は2である。
【0091】
金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの2価の基である。該有機配位子の炭素数は、通常4〜60程度である。その例としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体などが挙げられる。また、該錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムなどが挙げられる。
有機配位子を有する金属錯体としては、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体などが挙げられる。
【0092】
金属錯体構造を有する2価の基としては、具体的には、以下の式126〜132が例示される。
【化60】


【化61】


【化62】

【0093】
上記の式126〜132において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。また、式126〜132の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
ここに、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例、及び好ましい例は、前記芳香族炭化水素環が置換基を有する場合におけるそれらと同様である。
【0094】
単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基としては、好ましくは単環の2価の芳香族炭化水素基、単環の2価の複素環基、又は上記式(37)においてArd1及びArd3が単環の芳香族炭化水素基、又は単環の2価の複素環基の場合である。
【0095】
3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基をXとし、単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基をYとした場合、3つの連続する繰返し単位に着目すると、高分子中には下記の8種類のシーケンスが存在する。
−X−X−X− (S1)
−X−X−Y− (S2)
−X−Y−X− (S3)
−X−Y−Y− (S4)
−Y−X−X− (S5)
−Y−X−Y− (S6)
−Y−Y−X− (S7)
−Y−Y−Y− (S8)
上記式(1)で表される繰り返し単位を主成分として含むということは、下記の通りである。
(S3)>(S1)かつ(S3)≧(S2)かつ(S3)>(S4)かつ
(S3)≧(S5)かつ(S3)>(S6)かつ(S3)>(S7)かつ
(S3)>(S8)
【0096】
例えば、XとYの交互共重合体は含まれない。下記式(5)で表される化合物を重合することにより得られた高分子化合物が好ましい。
−X−Y−X−W (5)
(式中、X、X及びYはそれぞれ上記と同じである。W及びWはそれぞれ独立に、重合に関与しうる置換基を表す。)
また、上記式(1)で表される繰返しのみからなる高分子化合物、又は上記式(1)で表される繰返し単位とそれ以外の繰返し単位からなる高分子化合物であって、上記式(1)で表される繰返し単位を50%を超えるモル比で含む共重合体が好ましい。
この場合、上記式(1)で表される繰返し単位の割合をα、それ以外の繰返し単位の割合をβとすると、下記式の関係が成り立ち、上記式(1)で表される繰返し単位を主成分として含む。
α>β
−X−Y−X−(S3)で表されるシーケンスの数:α
−U−X−Y−で表されるシーケンス((S2)と(S6)の和)の数:α
(−U−X−Y−X−に由来する構造)
−Y−X−U−で表されるシーケンス((S5)と(S6)の和)の数:α
(−X−Y−X−U−に由来する構造)
その他のシーケンスの数:β−2
全体のシーケンスの和:3α+β−2
(式中、UはXでもYでもよい)
【0097】
また、本発明の高分子化合物は上記式(1)で表される繰返し単位が左右対称又はC2対称であることが好ましい。
【0098】
上記式(1)で表される繰返し単位が左右対称であるとは、下記式において紙面上の分子の中心軸(Ca軸)を含む紙面に垂直な面に対して該繰返し単位が対称である場合を指す。また、C2対称であるとは、下記式をCa軸(二回軸)を中心に180°回転した時に、回転前と回転後の構造が一致する場合を指す。
【化63】

【0099】
上記式(1)で表される繰返し単位が左右対称である場合の例示としては、下記式で表されるものが例示される。ただし、対称性を失わない範囲で置換基を有していても、炭素原子が他の原子で置換されていてもよい。
【0100】
【化64】

【0101】
【化65】

【0102】
【化66】

【0103】
上記式(1)で表される繰返し単位がC2対称である場合の例示としては、下記式で表されるものが例示される。ただし、対称性を失わない範囲で置換基を有していても、炭素原子が他の原子で置換されていてもよい。
【化67】

【0104】
上記式(1)で表される繰返し単位中、X及びXで表される繰返し単位が左右対称でもC2対称でもないとは、上記のいずれの対称性も有しない場合を指す。
【0105】
及びXで表される繰返し単位は左右非対称でもC2対称でもない場合が好ましい。
【0106】
本発明の高分子化合物は、素子にした時の電荷の注入・輸送性の制御、発光色の調整、発光効率を高める観点、耐熱性の向上の観点などから、下記式(6)、(7)、(8)及び/又は(9)で表される繰返し単位を含む場合が好ましい。該繰返し単位は、上記Y又はYとして含まれていてもよいし、又はY及びYとは別個の繰返し単位として含まれていてもよい。
【0107】
−Ar− (6)
−(Ar−X−Ar− (7)
−Ar−X− (8)
−X− (9)
【0108】
式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。X、X及びXはそれぞれ独立に、−CR=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、又は(SiR1213−を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を示す。kは1又は2を表す。mは1〜12の整数を表す。R、R10、R11、R12及びR13がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0109】
ここでアリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
アリーレン基における置換基を除いた部分の炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。また、アリーレン基の置換基を含めた全炭素数は、通常6〜100程度である。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下図の式1〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセン−ジイル基(下図の式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下図の式20〜25)、フルオレン−ジイル基(下図の式36〜38)、ターフェニル−ジイル基(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜35)、スチルベン−ジイル(下図の式A〜D),ジスチルベン−ジイル(下図の式E及びF)などが例示される。中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
【0110】
【化68】

【0111】
【化69】

【0112】
【化70】

【0113】
【化71】

【0114】
【化72】

【0115】
【化73】

【0116】
また、Ar、Ar、Ar及びArにおける2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を言い、該基は置換基を有していてもよい。
ここに複素環化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものを言う。2価の複素環基の中では、芳香族複素環基が好ましい。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
2価の複素環基における置換基を除いた部分の炭素数は通常3〜60程度である。また、2価の複素環基の置換基を含めた全炭素数は、通常3〜100程度である。
【0117】
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として窒素を含む2価の複素環基である、ピリジンジイル基(下図の式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、アクリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78)など。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下図の式79〜93)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基(下図の式94〜98)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素基(下図の式99〜110)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基で、そのヘテロ原子のα位で結合して2量体やオリゴマーになっている基(下図の式111〜112)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基で、そのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下図の式113〜119)。
ヘテロ原子として酸素、ケイ素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下図の式120〜125)。
【0118】
【化74】

【0119】
【化75】

【0120】
【化76】

【0121】
【化77】

【0122】
【化78】

【0123】
【化79】

【0124】
【化80】

【0125】
【化81】

【0126】
【化82】

【0127】
【化83】

【0128】
また、Ar、Ar、Ar及びArにおける金属錯体構造を有する2価の基の定義及び例示はYにおける定義及び例示と同様である。
【0129】
上記の式1〜125において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。また、式1〜132の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0130】
上記式(6)で示される好ましい繰り返し単位であるアリーレン基としては、下記式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、又は式(15)で示される繰り返し単位が好ましい。
【化84】


(式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。nは0〜4の整数を示す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化85】


(式中、R15及びR16は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。o及びpはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。R15及びR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化86】


(式中、R17及びR20は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。q及びrはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。R17及びR20が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化87】


(式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。sは0〜2の整数を示す。Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。t及びuはそれぞれ独立に0又は1を示す。Xは、O、S、SO、SO、Se,又はTeを示す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化88】


(式中、R22及びR23は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。v及びwはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。Z12は、O、S、SO、Se,Te、N−R24、又はSiR2526を示す。Z13及びZ14は、それぞれ独立に、N又はC−R27を示す。R24、R25、26及びR27はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を示す。R22及びR23が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
式(14)で示される繰り返し単位の中央の5員環の例としては、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チオフェン、フラン、シロールなどが挙げられる。
【0131】
【化89】


(式中、R28及びR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。x及びyはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。R29、R30、R31及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。Arはアリーレン基、2価の複素環基、又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。R28及びR33が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【0132】
また、上記式(7)で示される繰り返し単位の中で、下記式(16)で示される繰り返し単位が、発光波長を変化させる観点、発光効率を高める観点、耐熱性を向上させる観点からも好ましい。
【化90】


(式中、Ar、Ar、Ar10及びAr11はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar12、Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、アリール基、又は1価の複素環基を示す。Ar、Ar、Ar10、Ar11、Ar12、Ar13及びAr14は置換基を有していてもよい。z及びzzはそれぞれ独立に0又は正の整数を示す。)
【0133】
発光素子の安定性の観点や合成の行いやすさから、式(16)で示される繰り返し単位を1種類以上含むことが好ましく、1種類又は2種類含むことがより好ましい。
【0134】
本発明において発光強度、素子寿命特性などの素子特性の観点から、前記式X及びXで示される繰返し単位の合計と、前記式(16)で示される繰返し単位の合計のモル比は、98:2〜60:40であることが好ましく、より好ましくは95:5〜70:30である。
【0135】
上記式(16)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下の式133〜140で示されるものが挙げられる。
【化91】

【0136】
【化92】

【0137】
【化93】

【0138】
上記式においてRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。
【0139】
上記式においてRがアルキル基を含む置換基である場合、高分子化合物の有機溶媒への溶解性を高めるために、1つ以上に環状又は分岐のあるアルキル基が含まれることが好ましい。さらに、上記式においてRがアリール基や複素環基をその一部に含む場合は、それらがさらに1つ以上の置換基を有していてもよい。
上記式133〜140で示される構造のうち、発光波長を調節する観点から、上記式134及び上記式137で示される構造が好ましい。
【0140】
上記式(16)で示される繰り返し単位において、発光波長の調節、素子寿命などの素子特性の観点から、Ar、Ar、Ar10及びAr11がそれぞれ独立にアリーレン基であり、Ar12、Ar13及びAr14がそれぞれ独立にアリール基であるものが好ましい。
【0141】
Ar、Ar及びAr10としては、それぞれ独立に、無置換のフェニレン基、無置換のビフェニル基、無置換のナフチレン基、無置換のアントラセンジイル基である場合が好ましい。
【0142】
Ar12、Ar13及びAr14としては有機溶媒への溶解性、素子特性等の観点から、それぞれ独立に、1つ以上の置換基を有するアリール基が好ましく、3つ以上の置換基を有するアリール基がより好ましい。Ar12、Ar13及びAr14が、置換基を3つ以上有するフェニル基、3つ以上の置換基を有するナフチル基又は3つ以上の置換基を有するアントラニル基であるものがより好ましい。Ar12、Ar13及びAr14が置換基を3つ以上有するフェニル基であるものがさらに好ましい。
【0143】
中でも、Ar12、Ar13及びAr14が、それぞれ独立に、下記式(16−1)で表され、かつz+zz≦3であるものが好ましく、z+zz=1であるものがより好ましく、さらに好ましくはz=1、zz=0の場合である。
【化94】


(式中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。Re、Rf及びRgに含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。Rh及びRiは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。Re、Rf及びRgに含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。ベンゼン環上の隣接する2つの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0144】
より好ましくは、上記式(16−1)において、Re及びRfがそれぞれ独立に、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、又は炭素数3以下のアルキルチオ基であり、かつRgが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は炭素数1〜20のアルキルチオ基であるものが挙げられる。
【0145】
前記式(16)で示される繰り返し単位において、Arが下記式(16−2)又は(16−3)であることが好ましい。
【化95】


(ここで、(16−2)又は(16−3)で示される構造に含まれるベンゼン環は、無置換のものが好ましいが、それぞれ独立に1個以上4個以下の置換基を有していてもよい。それら置換基は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。また、複数の置換基が連結して環を形成していてもよい。また、該ベンゼン環に他の芳香族炭化水素環又は複素環が縮合していてもよい。)
【0146】
前記式(16)で示される繰り返し単位として、特に好ましい具体例としては、以下の式141〜143で示されるものが挙げられる。
【化96】


式中、Re、Rf、Rg、Rh及びRiは上記と同じである。
上記式(16)の好ましい具体例としては、蛍光強度、発光波長の調整、耐熱性などの素子特性の観点から、下記式(22)、(23)、(24)で示される繰り返し単位が好ましい。中でも式(23)又は式(24)が好ましく、もっとも好ましくは式(24)で示される繰り返し単位である。
【化97】

【0147】
なお、本発明の高分子化合物としては、共役系高分子化合物が好ましい。ここに、共役系高分子化合物とは高分子化合物の主鎖骨格に沿って非局在π電子系が存在している高分子化合物を意味する。この非局在電子としては、2重結合の代わりに不対電子又は孤立電子対が共鳴に加わる場合もある。
【0148】
発光特性や電荷輸送特性を損なわない範囲で、上記式、X、X、Y及び式(6)〜式(16)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。また、これらの繰り返し単位や他の繰り返し単位が、非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。結合構造としては、以下に示すもの、及び以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせたものなどが例示される。ここで、Rは前記のものと同じ置換基から選ばれる基であり、Arはヘテロ原子(酸素、硫黄、窒素、ケイ素、セレン)を含んでいてもよい炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。
【化98】

【0149】
また、本発明の高分子化合物は、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光又はりん光の量子収率の高い高分子発光体を得る観点からは、完全なランダム共重合体よりも、ブロック性を帯びたランダム共重合体やブロック又はグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0150】
次に本発明の高分子化合物の製造方法について述べる。本発明の高分子化合物は、好ましくは下記式(5)で表される化合物を重合又は共重合することによって製造することができる。
−X−Y−X−W (5)
(式中、X、X及びYはそれぞれ上記と同じである。W、W及びはそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を表す。)
【0151】
−X−Y−X− で表される構造としては、上記式(1)に例示の構造が挙げられる。
【0152】
上記式(5)で表される化合物のうち、好ましくは、下記式(17)で表される化合物が好ましい。
【化99】


式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の縮合多環系複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、2つのA環に結合する。Wは重合に関与しうる置換基を表し、B環に結合する。
【0153】
及びWの重合に関与しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、シリル基又は置換シリル基、スタニル基又は置換スタニル基、−B(OH)、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等が挙げられる。
【0154】
ここに、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0155】
アルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基などが例示される。
アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基などが例示される。
アリールアルキルスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基などが例示される。
【0156】
ホウ酸エステル基としては、ジアルキルエステル、ジアリールエステル、ジアリールアルキルエステルが挙げられ、下記式で示される基が例示される。
【化100】

【0157】
スルホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHMe、−CHPh
(Xはハロゲン原子を示し、Phはフェニル基を示す。)
【0158】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPh(Xはハロゲン原子を示す。)
【0159】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CHPO(OR’)(Xはハロゲン原子を示し、R’はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基を示す。)
【0160】
モノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
【0161】
−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0162】
置換シリル基としては、シリル基(−SiH)の水素原子の1つ以上が、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基からなる群から選ばれる基で置換された基が挙げられ、その具体例としては、トリクロロシリル基、トリブロモシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が例示される。
【0163】
置換スタニル基としては、スタニル基(−SnH)の水素原子の1つ以上が、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基からなる群から選ばれる基で置換された基が挙げられ、その具体例としては、トリクロロスタニル基、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリ−n−ブチルスタニル基、トリフェニルスタニル基、トリベンジルスタニル基が例示される。
【0164】
縮合重合に関与する置換基として好ましい置換基は重合反応の種類によって異なるが、例えばYamamotoカップリング反応など0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基が挙げられる。またSuzukiカップリング反応などニッケル触媒あるいはパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル基、−B(OH)などが挙げられる。
【0165】
本発明の製造方法は、具体的には、モノマーとなる、重合に関与する置換基を複数有する化合物を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で重合させることを含む。例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)などに記載の公知の方法を用いることができる。
【0166】
本発明の高分子化合物の製造方法において、縮合重合させる方法としては、上記式(5)で表される化合物の重合に関与しうる置換基に応じて、既知の縮合反応を用いる。
【0167】
また、重合に関与しうる置換基を2つ以上有する上記式(5)以外で表される化合物の共存下に重合を実施することにより、共重合体を製造することができる。重合に関与しうる置換基を3つ以上有する化合物を共重合することにより分岐構造を有する高分子化合物を製造することができる。
【0168】
共重合相手として、好ましくは下記式(6−0)、(7−0)、(8−0)及び(9−0)の構造の化合物が例示される。
W−Ar−W (6−0)
W−(Ar−X−Ar−W (7−0)
W−Ar−X−W (8−0)
W−X−W (9−0)
(式中、Ar、Ar、Ar、Ar、X、X、X、及びkは上記と同じである。Wはそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を表す。)
【0169】
本発明の高分子化合物の重合による製造において、二重結合が生成する場合は、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、ホルミル基を2つ以上有する化合物とホスホニウムメチル基を2つ以上有する化合物との、又はホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を2つ以上有する化合物とハロゲン原子を2つ以上有する化合物との、又はビニル基とハロゲン原子とを有する化合物のHeck反応による重合、モノハロゲン化メチル基を2つ以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を2つ以上有する化合物とシアノ基を2つ以上有する化合物との、又はホルミル基とシアノ基とを有する化合物のKnoevenagel反応による重合などの方法、ホルミル基を2つ以上有する化合物のMcMurry反応による重合などの方法が例示される。
本発明の高分子化合物の縮合重合による製造において、主鎖に三重結合が生成する場合には、例えば、Sonogashira反応が利用できる。
【0170】
また、二重結合や三重結合が生成しない場合には、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、又は適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
【0171】
これらのうち、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、及びSuzukiカップリング反応による重合、Grignard反応による重合、ニッケルゼロ価錯体による重合が、構造制御がしやすいので好ましい。中でも、分子量制御のしやすさの観点、共重合の場合の組成比制御のしやすさの観点からニッケルゼロ化錯体により重合する方法が好ましい。
【0172】
本発明の製造方法の中で、縮合重合に関与する置換基がそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基から選ばれ、0価ニッケル錯体の存在下で縮合重合を行う製造方法が好ましい。
原料化合物としては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
【0173】
例えば、原料化合物としてハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物を用いることにより、繰り返し単位の向きやシーケンスを制御した高分子化合物を製造する方法が挙げられる。
【0174】
また、本発明の製造方法の中で、縮合重合に関与する置換基がそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、又はホウ酸エステル基から選ばれ、全原料化合物が有する、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、ホウ酸基(−B(OH))及びホウ酸エステル基のモル数の合計(K)の比が、実質的に1(通常 K/J は0.7〜1.2の範囲)であり、ニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いて縮合重合を行う製造方法が好ましい。
具体的な原料化合物の組み合わせとしては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物又はビス(アリールアルキルスルホネート)化合物とジホウ酸化合物又はジホウ酸エステル化合物との組み合わせが挙げられる。
また、ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物が挙げられる。
【0175】
例えば、原料化合物としてハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物を用いることにより、繰り返し単位の向きやシーケンスを制御した高分子化合物を製造する方法が挙げられる。
【0176】
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0177】
溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどのエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシドなどのアミド類などが例示される。溶媒は単一で、又はこれらの混合溶媒として用いてもよい。これらの中で、エーテル類が好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルがさらに好ましい。
【0178】
反応を進行させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。これらは用いる反応に応じて選択すればよい。アルカリ又は触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリ又は触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
【0179】
本発明の高分子化合物を高分子LED等に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に重合することが好ましい。また重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理を行うことが好ましい。本発明の高分子化合物の中では、0価ニッケル錯体により重合する方法により製造されたものが、分子量の制御、共重合時の組成比の制御のしやすさ等の観点から好ましい。
【0180】
上記式(5)で表される化合物は、例えば、
H−X−Y−X−H
(式中、Hは水素原子を表す。)
で表される化合物をハロゲン化剤によりハロゲン化する方法、
p1−X−Y−X−Wp2
(式中、Wp1及びWp2はそれぞれW及びWに変換可能な水素以外の置換基を表す。)
で表される化合物を変換する方法、
下記の3つの化合物の共存下、縮合反応により製造する方法
−X−W11
12−Y−W13
14−X−W
(式中、W11、W12、W13及びW14はそれぞれ独立に縮合反応に関与しうる置換基を表す。)
などにより製造することができる。
【0181】
左右対称又はC2対称の構造を有する下記式(17−1)で表される化合物は、下記式(18)及び(19)で表される化合物を、遷移金属錯体の存在下に反応させることによって製造することができる。
【化101】


式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の縮合多環系複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、2つのA環に結合する。Wはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表し、B環に結合する。
【0182】
【化102】


式中、A環、B環、Z及びYは上記と同じ。W及びWはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。Wはホウ酸基、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。
【0183】
環及びB環における置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環の定義及び例示は、上記式(2)のA環及びB環と同様である。
におけるA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基の定義及び例示は上記式(2)のZ及びZと同様である。
における単環若しくは2環の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の縮合多環系複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基の定義及び例示は上記式(2)のYと同様である。
及びWにおけるハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基及びWにおけるホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基又は置換スタニル基、及びシリル基又は置換シリル基の定義及び例示は上記式(5)のW及びWと同様である。
【0184】
上記式(18)で表される化合物としては、下記のものが例示される。
【化103】


式中、Tsはp−トルエンスルホニル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0185】
とWの組み合わせとしては、臭素原子とヨウ素原子、臭素原子とトリフルオロメタンスルホネート基の組み合わせが好ましい。
【0186】
式中、下記式(18−0)で表される構造の例示及び好ましい範囲としては、上記式(1)におけるX及びXに例示の基が挙げられる。
【化104】

【0187】
中でも好ましくは、上記式(31)で表される化合物から2つの水素原子を除いた基であり、更に好ましくは(32)、(33)、(34)又は(35)で表される基であり、最も好ましくは(32)で表される基である。
【0188】
上記式(18)で表される化合物のうち、下記式(18−1)で表される化合物は下記の工程で合成することができる。
【化105】

【0189】
また、上記式(17−1)で表される化合物は、下記式(20)及び(21)で表される化合物を遷移金属錯体の存在下に反応させることによっても製造することができる。
【0190】
【化106】


式中、A環、B環、W、Z及びYは上記と同じである。Wは−B(OH)、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。Wはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。
【0191】
におけるホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基又は置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基、及びWにおけるハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基及びアリールアルキルスルホネート基の定義及び例示は上記式(5)のW及びWと同様である。
【0192】
上記式(20)で表される化合物としては、下記のものが例示される。
【化107】


【化108】


式中、Tsはp−トルエンスルホニル基を表し、Phはフェニル基を表す。Rr1は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、Rr2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を表し、Rr3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基を表す。Xr1は、ハロゲン原子を表す。
【0193】
とWの組み合わせとしては、臭素原子と−B(OH)基、臭素原子とホウ酸エステル基、臭素原子と−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、臭素原子とスタニル基又は置換スタニル基の組合せが好ましい。
【0194】
式中、下記式(20−0)で表される構造の例示及び好ましい範囲としては、上記式(1)におけるX及びXに例示の基が挙げられる。
【化109】

【0195】
中でも好ましくは、上記式(31)で表される化合物から2つの水素原子を除いた基であり、更に好ましくは(32)、(33)、(34)又は(35)で表される基であり、最も好ましくは(32)で表される基である。
【0196】
上記式(20)で表される化合物は例えば下記の工程で合成することができる。
【化110】

【0197】
次に本発明の高分子化合物の用途について説明する。
本発明の高分子化合物は、通常は、固体状態で蛍光又は燐光を発し、高分子発光体(高分子量の発光材料)として用いることができる。
また、本発明の高分子化合物は優れた電荷輸送能を有しており、高分子LED用材料や電荷輸送材料として好適に用いることができる。本発明の高分子発光体を用いた高分子LEDは、低電圧、高効率で駆動できる高性能の高分子LEDである。従って、該高分子LEDは液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。
また、本発明の高分子化合物は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜などの伝導性薄膜用材料としても用いることができる。
さらに、蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料としても用いることができる。
【0198】
次に、本発明の高分子LEDについて説明する。
本発明の高分子LEDは、陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が本発明の高分子化合物を含むことを特徴とする。
有機層(有機物を含む層)は、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等のいずれであってもよいが、有機層が発光層であることが好ましい。
【0199】
ここに、発光層とは、発光する機能を有する層をいい、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層をいい、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0200】
有機層が発光層である場合、有機層である発光層がさらに正孔輸送性材料、電子輸送性材料又は発光性材料を含んでいてもよい。ここで、発光性材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料のことをさす。
また、上記式(1)で表される繰返し単位を有する2種以上の高分子化合物の混合物であってもよい。
【0201】
本発明の高分子化合物と正孔輸送性材料と混合する場合には、その混合物全体に対して、正孔輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の高分子材料と電子輸送性材料を混合する場合には、その混合物全体に対して電子輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。さらに、本発明の高分子化合物と発光性材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の高分子化合物と発光性材料、正孔輸送性材料及び/又は電子輸送性材料を混合する場合には、その混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、正孔輸送性材料と電子輸送性材料は、それらの合計で1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、本発明の高分子化合物の含有量は99wt%〜20wt%である。
【0202】
上記式(1)で表される繰返し単位を有する2種以上の高分子化合物の混合物で該高分子組成物において、好ましい例としては、上記式(1)で表される繰返し単位を含み上記式(16)で表される繰返し単位を含まない高分子化合物と、前記式(1)及び(16)で表される繰返し単位を含む高分子化合物との混合物である。
また、別の好ましい例としては、前記式(1)及び(16)で表される繰返し単位を含む2種類の高分子化合物の混合物である。
【0203】
混合する正孔輸送性材料、電子輸送性材料、及び発光性材料は、公知の低分子化合物、三重項発光錯体、又は高分子化合物が使用できるが、高分子化合物を用いることが好ましい。高分子化合物の正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び発光性材料としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618、特開平2001−123156、特開平2001−3045、特開平2000−351967、特開平2000−303066、特開平2000−299189、特開平2000−252065、特開平2000−136379、特開平2000−104057、特開平2000−80167、特開平10−324870、特開平10−114891、特開平9−111233、特開平9−45478等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
低分子化合物の蛍光性材料としでは、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン若しくはその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0204】
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)、BtpIr(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)phen等が挙げられる。
【0205】
【化111】

【0206】
【化112】

【0207】
【化113】

【0208】
【化114】


三重項発光錯体は、具体的には、例えばNature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and Devices IV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Syn.Met.,(1998),94(1),103、Syn.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Jpn.J.Appl.Phys.,34,1883(1995)などに記載されている。
【0209】
本発明の組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料、及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の高分子化合物とを含有し、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。
その正孔輸送材料、電子輸送材料、及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の高分子化合物との含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、上記の発光層におけると同じ含有比率が好ましい。
【0210】
本発明の高分子LEDが有する発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0211】
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0212】
印刷法等で用いる溶液(インク組成物)としては、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物が含有されていればよく、また本発明の高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して、通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して、1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、さらに好ましく80wt%〜99.0wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由する場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましく、5〜20mPa・sの範囲であることがより好ましく、7〜20mPa・sの範囲であることがさらに好ましい。
【0213】
本発明の溶液は、発明の高分子化合物の他に、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の高分子化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤などを適宜組み合わせて使用すればよい。
【0214】
前記の高分子量の高分子化合物としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよい。例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、又は本発明の高分子化合物のうち分子量が大きいものなどを用いることができる。重量平均分子量が50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。
貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。すなわち、溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すればよい。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体に対して50wt%以下であることが好ましく、30wt%以下であることが更に好ましい。
【0215】
また、本発明の溶液は、保存安定性を改善するために、本発明の高分子化合物の他に、酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。
【0216】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
【0217】
溶媒の種類としては、有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0218】
溶液中の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
【0219】
溶液中に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0220】
溶液中に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0221】
溶液中に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、溶液中の全溶媒の重量の40〜90wt%であることが好ましく、50〜90wt%であることがより好ましく、65〜85wt%であることがさらに好ましい。
【0222】
本発明の溶液としては、粘度及び成膜性の観点から、アニソール及びビシクロヘキシルからなる溶液、アニソール及びシクロヘキシルベンゼンからなる溶液、キシレン及びビシクロヘキシルからなる溶液、キシレン及びシクロヘキシルベンゼンからなる溶液が好ましい。
【0223】
高分子化合物の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることをが好ましく、7以下であることがより好ましい。
【0224】
溶媒の溶解度パラメーターと高分子化合物の溶解度パラメーターは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
【0225】
溶液中に含まれる本発明の高分子化合物は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の高分子化合物以外の高分子化合物を含んでいてもよい。
【0226】
溶液中に含まれる本発明の高分子化合物が1種類の場合は、素子特性等の観点から、上記式(1)で示される繰り返し単位を1種類と上記式(13)で示される繰り返し単位を1種類又は2種類含む高分子化合物であることが好ましく、上記式(16)で示される繰り返し単位を1種類と上記式(13)で示される繰り返し単位を1種類又は2種類含む高分子化合物であることがより好ましい。上記式(13)で示される繰り返し単位の少なくとも1種類は、上記式(17)又は上記式(20)で示される繰り返し単位であることが好ましく、上記式(17)で示される繰り返し単位であることがより好ましい。
【0227】
本発明の溶液には、水、金属及びその塩を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。また、ケイ素、リン、フッ素、塩素、臭素を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。
【0228】
本発明の溶液を用いて、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等により薄膜を作製することができる。中でも、本発明の溶液をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法により成膜する用途に用いることが好ましく、インクジェット法で成膜する用途に用いることがより好ましい。
【0229】
本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、溶液に含まれる高分子化合物のガラス転移温度が高いため、100℃以上の温度でベークすることが可能であり、130℃の温度でベークしても素子特性の低下が非常に小さい。また、高分子化合物の種類によっては、160℃以上の温度でベークすることも可能である。
【0230】
本発明の溶液を用いて作製できる薄膜としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜が例示される。
【0231】
本発明の発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0232】
本発明の導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物などをドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□であることがさらに好ましい。
【0233】
本発明の有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きい方が、10−5cm/V/秒以上であることが好ましい。より好ましくは、10−3cm/V/秒以上であり、さらに好ましくは、10−1cm/V/秒以上である。
SiOなどの絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Auなどでソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0234】
本発明の高分子発光素子は、素子の輝度等の観点から陽極と陰極との間に3.5V以上の電圧を印加したときの最大外部量子収率が1%以上であることが好ましく、1.5%以上がより好ましい。
【0235】
また、本発明の高分子発光素子(以下、高分子LED)としては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
【0236】
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0237】
本発明の高分子LEDとしては、本発明の高分子化合物が正孔輸送層及び/又は電子輸送層に含まれているものも含む。
本発明の高分子化合物が正孔輸送層に用いられる場合には、本発明の高分子化合物が正孔輸送性基を含む高分子化合物であることが好ましく、その具体例としては、芳香族アミンとの共重合体、スチルベンとの共重合体などが例示される。
また、本発明の高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合には、本発明の高分子化合物が電子輸送性基を含む高分子化合物であることが好ましい。その具体例としては、オキサジアゾールとの共重合体、トリアゾールとの共重合体、キノリンとの共重合体、キノキサリンとの共重合体、ベンゾチアジアゾールとの共重合体などが例示される。
【0238】
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送性材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
【0239】
具体的には、該正孔輸送性材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0240】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送性材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。
【0241】
また、低分子化合物の正孔輸送性材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。低分子の正孔輸送性材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0242】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0243】
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
【0244】
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0245】
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送性材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
【0246】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送性材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送性材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0247】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
【0248】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0249】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0250】
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送性材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
【0251】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0252】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、又はポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0253】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送性材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法が、それぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、上記の高分子バインダーを併用してもよい。
【0254】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
【0255】
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0256】
本発明の高分子電界効果トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極及びドレイン電極が高分子からなる活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
【0257】
高分子電界効果トランジスタは、通常は支持基板上に形成される。支持基板の材質としては電界効果トランジスタとしての特性を阻害しなければ特に制限されないが、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
【0258】
電界効果トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載の方法により製造することができる。
【0259】
活性層を形成する際に、有機溶媒可溶性の高分子を用いることが製造上非常に有利であり好ましい。高分子を有機溶剤に溶解した溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0260】
高分子電界効果トランジスタを作成後、封止してなる封止高分子電界効果トランジスタが好ましい。これにより、高分子電界効果トランジスタが、大気から遮断され、高分子電界トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
封止する方法としては、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜などでカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂などで張り合わせる方法などが挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため高分子電界効果トランジスタを作成後封止するまでの工程を大気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中などで)行うことが好ましい。
【0261】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0262】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0263】
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して、前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して適宜決めることができる。
【0264】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
k)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
m)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
p)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0265】
本発明の高分子LEDとしては、前述のとおり、本発明の高分子化合物が正孔輸送層及び/又は電子輸送層に含まれているものも含む。
また、本発明の高分子LEDとしては、本発明の高分子化合物が正孔注入層及び/又は電子注入層に含まれているものも含む。本発明の高分子化合物が正孔注入層に用いられる場合には、電子受容性化合物と共に用いられることが好ましい。また、本発明の高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合には、電子供与性化合物と共に用いられることが好ましい。ここで、共に用いるためには、混合、共重合、側鎖としての導入などの方法がある。
【0266】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0267】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10以下がより好ましく、10−5S/cm以上10以下がさらに好ましい。
【0268】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5S/cm以上10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上10S/cm以下がより好ましく、10−5S/cm以上10S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上10以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0269】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0270】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0271】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0272】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
本発明の高分子LEDは、上記a)〜ab)に例示した素子構造において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層のうちのいずれかに、本発明の高分子化合物を含むものが挙げられる。
【0273】
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0274】
通常本発明の高分子LEDが有する陽極及び陰極の少なくとも一方が透明又は半透明である。陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0275】
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、それらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0276】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0277】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0278】
本発明の高分子LEDは面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0279】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0280】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量及び重量平均分子量)
ここで、数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(島津製作所製:LC−10Avp)により、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量として求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。
【0281】
(蛍光スペクトル)
蛍光スペクトルの測定は以下の方法で行った。重合体の0.8wt%トルエン又はクロロホルム溶液を石英上にスピンコートして重合体の薄膜を作製した。この薄膜を350nmの波長で励起し、蛍光分光光度計(堀場製作所製Fluorolog(商標))を用いて蛍光スペクトルを測定した。薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準に、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分して、分光光度計(Varian社製 Cary5E)を用いて測定した、励起波長での吸光度で割り付けた値を求めた。
【0282】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度はDSC(DSC2920、TA Instruments製)により求めた。
【0283】
合成例1 <化合物Eの合成>
(化合物Aの合成)
【化115】


不活性雰囲気下、300ml三つ口フラスコに1‐ナフタレンボロン酸5.00g(29mmol)、2−ブロモベンズアルデヒド6.46g(35mmol)、炭酸カリウム10.0g(73mmol)、トルエン36ml、イオン交換水36mlを入れ、室温で撹拌しつつ20分間アルゴンでバブリングした。続いてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム16.8mg(0.15mmol)を入れ、さらに室温で撹拌しつつ10分間アルゴンでバブリングした。100℃に昇温し、25時間反応させた。室温まで冷却後、トルエンで有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。トルエン:シクロヘキサン=1:2混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムで精製することにより、化合物A5.18g(収率86%)を白色結晶として得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ7.39〜7.62(m、5H)、7.70(m、2H)、7.94(d、2H)、8.12(dd、2H)、9.63(s、1H)
MS(APCI(+)):(M+H) 233
【0284】
(化合物Bの合成)
【化116】


不活性雰囲気下で300mlの三つ口フラスコに化合物A 8.00g(34.4mmol)と脱水THF46mlを入れ、−78℃まで冷却した。続いてn−オクチルマグネシウムブロミド(1.0mol/lTHF溶液)52mlを30分かけて滴下した。滴下終了後0℃まで昇温し、1時間撹拌後、室温まで昇温して45分間撹拌した。氷浴して1N塩酸20mlを加えて反応を終了させ、酢酸エチルで有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後トルエン:ヘキサン=10:1混合溶媒を展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物B7.64g(収率64%)を淡黄色のオイルとして得た。HPLC測定では2本のピークが見られたが、LC−MS測定では同一の質量数であることから、異性体の混合物であると判断した。
【0285】
(化合物Cの合成)
【化117】


不活性雰囲気下、500ml三つ口フラスコに化合物B(異性体の混合物)5.00g(14.4mmol)と脱水ジクロロメタン74mlを入れ、室温で撹拌、溶解させた。続いて、三フッ化ホウ素のエーテラート錯体を室温で1時間かけて滴下し、滴下終了後室温で4時間撹拌した。撹拌しながらエタノール125mlをゆっくりと加え、発熱がおさまったらクロロホルムで有機層を抽出し、2回水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物C3.22g(収率68%)を無色のオイルとして得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.90(t、3H)、1.03〜1.26(m、14H)、2.13(m、2H)、4.05(t、1H)、7.35(dd、1H)、7.46〜7.50(m、2H)、7.59〜7.65(m、3H)、7.82(d、1H)、7.94(d、1H)、8.35(d、1H)、8.75(d、1H)
MS(APCI(+)):(M+H) 329
【0286】
(化合物Dの合成)
【化118】


不活性雰囲気下200ml三つ口フラスコにイオン交換水20mlをいれ、撹拌しながら水酸化ナトリウム18.9g(0.47mol)を少量ずつ加え、溶解させた。水溶液が室温まで冷却した後、トルエン20ml、化合物C5.17g(15.7mmol)、臭化トリブチルアンモニウム1.52g(4.72mmol)を加え、50℃に昇温した。臭化n−オクチルを滴下し、滴下終了後50℃で9時間反応させた。反応終了後トルエンで有機層を抽出し、2回水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムで精製することにより、化合物D5.13g(収率74%)を黄色のオイルとして得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.52(m、2H)、0.79(t、6H)、1.00〜1.20(m、22H)、2.05(t、4H)、7.34(d、1H)、7.40〜7.53(m、2H)、7.63(m、3H)、7.83(d、1H)、7.94(d、1H)、8.31(d、1H)、8.75(d、1H)
MS(APCI(+)):(M+H) 441
【0287】
(化合物Eの合成)
【化119】


空気雰囲気下、50mlの三つ口フラスコに化合物D4.00g(9.08mmol)と酢酸:ジクロロメタン=1:1混合溶媒57mlを入れ、室温で撹拌、溶解させた。続いて三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム7.79g(20.0mmol)を加えて撹拌しつつ、塩化亜鉛を三臭化ベンジルトリメチルアンモニウムが完溶するまで加えた。室温で20時間撹拌後、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10mlを加えて反応を停止し、クロロホルムで有機層を抽出し、炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。ヘキサンを展開溶媒とするフラッシュカラムで2回精製した後、エタノール:ヘキサン=1:1、続いて10:1混合溶媒で再結晶することにより、化合物E4.13g(収率76%)を白色結晶として得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.60(m、2H)、0.91(t、6H)、1.01〜1.38(m、22H)、2.09(t、4H)、7.62〜7.75(m、3H)、7.89(s、1H)、8.20(d、1H)、8.47(d、1H)、8.72(d、1H)
MS(APPI(+)):(M+H) 598
実施例1 <化合物Fの合成>
【化120】


窒素雰囲気下、500mlの三つ口フラスコに化合物E5.00gを200mlのテトラヒドロフランに溶解し、−100℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)5.2mlを15分で滴下した。3時間保温後、マグネシウムと1,2−ジブロモエタンから調製した臭化マグネシウム2.30gを10mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を滴下し、0℃まで昇温し、1時間保温した。再度−78℃まで冷却し、トリメトキシボラン1.32gを7mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を滴下した。1時間保温後、冷浴を外し、3時間攪拌した。アルミナを通して無機塩を除き、溶媒を留去したところ、5.67gの化合物Fの粗生成物を得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.52(brs、4H)、0.82(t、6H)、1.00〜1.19(m、20H)、1.97〜2.04(m、4H)7.48〜7.56(m、4H)、7.64(t、1H)、7.96(d、1H)、8.16(d、1H)、8.68(d、1H)
実施例2 <化合物Gの合成>
【化121】


窒素雰囲気下、50ml2口フラスコに炭酸カリウム0.62g、水3.5ml、トルエン3.5ml、1,4−ジヨードベンゼン0.50g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.03g、化合物F1.70gを取り、70℃で8時間攪拌した。室温まで冷却後、水5ml加えて分液し、水相をさらに5mlのトルエンで2回抽出した。有機相を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去したところ、1.34gの粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサンのみ)で精製後、0.44gの化合物Gを得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.63(brs、8H)、0.80(t、12H)、0.88〜1.20(m、40H)、2.07(brs、8H)、7.53〜7.61(m、8H)、7.68〜7.73(m、6H)、8.20〜8.25(m、4H)、8.77(d、2H)
MS(APPI(+)):[M] 1111
実施例3 <化合物Hの合成>
【化122】


窒素雰囲気下、500ml3口フラスコに化合物E10.00g、テトラヒドロフラン100mlを取り、−40〜−50℃に保温し、10.9mlのn−ブチルリチウム(1.54Mヘキサン溶液)を20分で滴下した。15分保温後、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン3.61gを18mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を滴下した。1時間保温後、0℃まで昇温し30分保温した。1規定塩酸50mlを滴下し、トルエン100mlを加え分液した。水相をさらに100mlのトルエンで抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過で硫酸ナトリウムを除き、溶媒を留去したところ、11.22gの化合物Hを黄色粘性オイルとして得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.50(brs、4H)、0.80(t、6H)、1.00〜1.27(m、20H)、1.46(s、12H)、1.97〜2.14(m、4H)7.54〜7.65(m、4H)、8.03(s、1H)、8.19(d、1H)、8.66(d、1H)、8.92(d、1H)
MS(APPI(+)):[M] 644
実施例4 <化合物Gの合成(別法)>
窒素雰囲気下、100ml3口フラスコに化合物H1.12g、トルエン6ml、水3ml、1,4−ジヨードベンゼン0.20g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)14mg、水酸化カリウム0.59g、臭化テトラブチルアンモニウム48mgを取り、60℃で5時間保温した。室温まで冷却後、分液し、水相をトルエンで抽出した。有機相を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄し、シリカゲルを敷いたグラスフィルターを通した後、溶媒を留去したところ、1.02gの化合物Gを得た。
実施例5 <化合物Iの合成>
【化123】


窒素雰囲気下、200ml3口フラスコに化合物E3.00gをとり、30mlのテトラヒドロフランに溶解させた。−40〜−50℃に保温し、n−ブチルリチウム3.3ml(1.54Mヘキサン溶液)を15分で滴下した。滴下後15分保温し、ヨウ素1.50gを加えた。室温まで昇温し、4時間攪拌後、5%塩酸20mlを滴下し、30mlのトルエンで2回抽出した。有機相を合わせ、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、シリカゲルを敷いたグラスフィルターを通した後、溶媒を留去したところ、3.36gの化合物Iを得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ0.51(brs、4H)、0.79(t、6H)、1.01〜1.24(m、20H)、1.99(t、4H)7.48〜7.68(m、4H)、8.09(s、1H)、8.12(d、1H)、8.24(d、1H)、8.58(d、1H)
MS(APPI(+)):[M] 644
【0288】
合成例2 <化合物Lの合成>
(化合物Jの合成)
【化124】


不活性雰囲気下で、500mlの3つ口フラスコに酢酸225gを入れ、5−t−ブチル−m−キシレン24.3gを加えた。続いて臭素31.2gを加えた後、15〜20℃で3時間反応させた。
反応液を水500mlに加え析出した沈殿をろ過した。水250mlで2回洗浄し、白色固体の化合物Jを34.2gを得た。
H−NMR(300MHz/CDCl):
δ(ppm)=1.3〔s,9H〕、2.4〔s,6H〕、7.1〔s,2H〕
MS(FD+)M+ 241
【0289】
(化合物Kの合成)
【化125】


不活性雰囲気下で、100mlの3つ口フラスコに脱気した脱水トルエン36mlを入れ、トリ(t−ブチル)ホスフィン0.63gを加えた。続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 0.41g、化合物J9.6g、t−ブトキシナトリウム5.2g、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン4.7gを加えた後、100℃で3時間反応させた。
反応液を飽和食塩水300mlに加え、約50℃に温めたクロロホルム300mlで抽出した。溶媒を留去した後、トルエン100mlを加えて、固体が溶解するまで加熱し、放冷した後、沈殿をろ過し、白色固体の化合物K9.9gを得た。
【0290】
(化合物Lの合成)
【化126】


不活性雰囲気下で、1000mlの3つ口フラスコに脱水N,N−ジメチルホルムアミド350mlを入れ、化合物K5.2gを溶解した後、氷浴下でN−ブロモスクシンイミド3.5g/N,N−ジメチルホルムアミド溶液を滴下し、一昼夜反応させた。
反応液に水150mlを加え、析出した沈殿をろ過し、メタノール50mlで2回洗浄し白色固体の化合物L4.4gを得た。
H−NMR(300MHz/THF−d8):
δ(ppm)=1.3〔s,18H〕、2.0〔s,12H〕、6.6〜6.7〔d,4H〕、6.8〜6.9〔br,4H〕、7.1〔s,4H〕、7.2〜7.3〔d,4H〕
MS(FD)M 738
【0291】
合成例3 <化合物Nの合成>
(化合物Mの合成)
【化127】


不活性雰囲気下で、300mlの3つ口フラスコに脱気した脱水トルエン1660mlを入れ、N,N’−ジフェニルベンジジン275.0g、化合物J449.0gを加えた。続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 7.48g、t−ブトキシナトリウム196.4g、を加えた後、トリ(t−ブチル)ホスフィン5.0gを加えた。その後、105℃で7時間反応させた。
反応液にトルエン2000mlを加え、セライト濾過し、濾液を水1000mlで3回洗浄した後、700mlまで濃縮した。これにトルエン/メタノール(1:1)溶液1600mlを加え、析出した結晶を濾過し、メタノールで洗浄した。白色固体の化合物M479.4gを得た。
MS(APCI(+)):(M+H) 657.4
(化合物Nの合成)
【化128】


不活性雰囲気下で、クロロホルム4730gに、化合物M472.8gを溶解した後、遮光及び氷浴下でN−ブロモスクシンイミド281.8gを12分割で1時間かけて仕込み、3時間反応させた。
クロロホルム1439mlを反応液に加え、濾過し、濾液のクロロホルム溶液を5%チオ硫酸ナトリウム2159mlで洗浄し、トルエンを溶媒留去して白色結晶を得た。得られた白色結晶をトルエン/エタノールで再結晶し、白色結晶の化合物N678.7gを得た。
MS(APCI(+)):(M+H) 815.2
【0292】
実施例6 <高分子化合物1の合成>
化合物G 9.0gと2,2’−ビピリジル3.36gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)1500gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を6.0g加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、この溶液に、25%アンモニア水100ml/メタノール500ml/イオン交換水500ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、約3%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈生成した。
次に、生成した沈殿を回収し、メタノールで洗浄した後、この沈殿を減圧乾燥して、重合体6.0gを得た。この重合体を高分子化合物1と呼ぶ。得られた高分子化合物1のポリスチレン換算数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれMn=8.1x10、Mw=6.4x10であった。Tgは161℃であった。
【0293】
実施例7 <高分子化合物2の合成>
化合物G(3.10g、2.78mmol)、化合物N(1.93g、2.37mmol)及び2,2’−ビピリジル(2.17g、13.9mmol)を脱水したテトラヒドロフラン220mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。次に、攪拌を開始し55℃まで昇温した後、窒素雰囲気下において、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(3.83g、13.9mmol)を加え、60℃まで昇温し、攪拌しながら3時間反応させた。反応後、この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水19mL/メタノール220mL/イオン交換水220mL混合溶液中に滴下して攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン155mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をアルミナカラムに通して精製し、トルエン層を、5.2%塩酸水約300mLで3時間、4%アンモニア水約300mLで2時間、さらにイオン交換水約300mLで洗浄した。有機層をメタノール約460mLに滴下して1時間攪拌し、ろ過して2時間減圧乾燥した。収量は3.65gであった。この重合体を高分子化合物2と呼ぶ。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=5.6x10、Mw=3.3x10であった。Tgは234℃であった。
【0294】
実施例8 <高分子化合物3の合成>
化合物E(0.721g)、化合物L(0.408g)、2,2’−ビピリジル(0.506g)を脱水したテトラヒドロフラン43mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。60℃まで昇温後、窒素雰囲気下において、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(0.891g)を加え、攪拌し、3時間反応させた。この反応液を室温まで冷却し、25%アンモニア水4mL/メタノール43mL/イオン交換水43mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥し、トルエン36mlに溶解させた。溶解後、ラヂオライトを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。そして、得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。次に5.2%塩酸水71mLを加え3時間攪拌した後に水層を除去した。つづいて4%アンモニア水71mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約71mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール113mlに注加して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物3と呼ぶ)の収量は0.649gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=3.3x10、Mw=5.2x10であった。Tgは154℃であった。
【0295】
合成例4 <高分子化合物4の合成>
化合物E9.875g、2,2’−ビピリジル 6.958gを脱水したテトラヒドロフラン1188mLに溶解した後、窒素雰囲気下において60℃まで昇温し、この溶液に、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}12.253gを加え、3時間反応させた。反応後、この反応液を室温まで冷却し、25%アンモニア水59ml/メタノール1188ml/イオン交換水1188ml混合溶液中に滴下して30分攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した、続いて同様に合成したもの(但し、スケールは1.09倍)2バッチと混合し、トルエン1575mlに溶解させた。溶解後、ラヂオライト6.30gを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。次に5.2%塩酸水3098mLを加え3時間攪拌した後に水層を除去した。続いて4%アンモニア水3098mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約3098mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール4935mlに注加して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物4と呼ぶ)の収量は15.460gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=7.8x10、Mw=4.1x10であった。Tgは121℃であった。
【0296】
合成例5 <高分子化合物5の合成>
化合物E 1.88gと化合物N 1.1gと2,2’−ビピリジル1.68gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングして脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)150gを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を3.0gを加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応した。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
反応後、この反応溶液を冷却した後、この溶液に、25%アンモニア水20ml/メタノール150ml/イオン交換水150ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムを通すことにより精製した。次に、このトルエン溶液を、約3%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を、メタノール中にそそぎ込み、再沈生成した。
次に、生成した沈殿を回収し、この沈殿を減圧乾燥して、重合体1.1gを得た。この重合体を高分子化合物5と呼ぶ。得られた高分子化合物のポリスチレン換算数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=2.3x10、Mw=1.1x10であった。Tgは220℃であった。
【0297】
実施例9<素子1の作成>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより、80nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、重量比で高分子化合物1:高分子化合物2=3:2の混合物のトルエン溶液を用いてスピンコートにより約80nmの厚みで成膜を行った。さらにこれを減圧下110℃にて乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmの厚みに蒸着し、陰極として、カルシウムを約5nmの厚みに蒸着し、アルミニウムを約150nmの厚みに蒸着してEL素子を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10−6Torrであった。得られた素子に電圧を引加することにより、455nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、1000cd/mにおけるCIE1931で規格された色度座標は、CIE(x,y)=(0.131,0.140)であり、初期輝度の40%まで劣化させた後はCIE(x,y)=(0.146,0.149)であった。
比較例1<素子2の作成>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより、80nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、重量比で高分子化合物4:高分子化合物5=3:1の混合物のトルエン溶液を用いてスピンコートにより約70nmの厚みで成膜を行った。さらにこれを減圧下110℃にて乾燥した後、フッ化リチウムを約4nmの厚みに蒸着し、陰極として、カルシウムを約5nmの厚みに蒸着し、アルミニウムを約150nmの厚みに蒸着してEL素子を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10−6Torrであった。得られた素子に電圧を引加することにより、455nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、1000cd/mにおけるCIE1931で規格された色度座標は、CIE(x,y)=(0.147,0.146)であり、初期輝度の40%まで劣化させた後はCIE(x,y)=(0.190,0.215)であった。
【0298】
実施例10 <高分子化合物6の合成>
化合物G(5.103g)、2,2’−ビピリジル(1.933g)を脱水したテトラヒドロフラン1320mLに溶解した後、窒素雰囲気下において60℃まで昇温後、この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(3.404g)を加え、攪拌し、3時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、この反応液を25%アンモニア水17mL/メタノール1320mL/イオン交換水1320mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。同様に合成した2バッチとあわせ、トルエン1700mlに溶解させた。溶解後、ラヂオライト150gを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。得られた精製液を800mlまで濃縮後、5.2%塩酸水800mLを加え3時間攪拌した後に水層を除去した。次に4%アンモニア水800mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。続いてイオン交換水約800mLを加え、1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール2400mlに注加して0.5時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物6と呼ぶ)の収量は7.60gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=9.7x10、Mw=4.3x10であった。Tgは157℃であった。
【0299】
実施例11 <高分子化合物7の合成>
化合物G(5.511g)、化合物L(3.115g)、2,2’−ビピリジル(3.865g)を脱水したテトラヒドロフラン1320mLに溶解した後、窒素雰囲気下において60℃まで昇温後、この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(6.807g)を加え、攪拌し、3時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、この反応液を25%アンモニア水33mL/メタノール1320mL/イオン交換水1320mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥し、トルエン275mlに溶解させた。溶解後、ラヂオライト11gを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。得られた精製液を4%アンモニア水541mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。続いてイオン交換水約541mLを加え、1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール862mlに注加して0.5時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物7と呼ぶ)の収量は5.48gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=2.0x10、Mw=1.7x10であった。Tgは214℃であった。
【0300】
合成例6
<高分子化合物8の合成>
化合物E(11.730g)、化合物L(0.295g)、2,2’−ビピリジル(8.434g)を脱水したテトラヒドロフラン1152mLに溶解した後、窒素雰囲気下において60℃まで昇温後、この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(14.853g)を加え、攪拌し、3時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、この反応液を25%アンモニア水72mL/メタノール1152mL/イオン交換水1152mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。同様に合成したもの数バッチ(F018トータル37.125gスケール)とあわせ、トルエン1900mlに溶解後、ラヂオライト152gを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。得られた精製液に5.2%塩酸水2350mLを加え、3時間攪拌した後に水層を除去した。次に4%アンモニア水2350mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。続いてイオン交換水約2350mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール4000mlに注加して0.5時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物8と呼ぶ)の収量は22.890gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=6.7x10、Mw=4.2x10であった。Tgは130℃であった。
【0301】
合成例7
<高分子化合物9の合成>
化合物E(20.947g)、化合物L(11.080g)、2,2’−ビピリジル(21.084g)を脱水したテトラヒドロフラン1170mLに溶解した後、窒素雰囲気下において60℃まで昇温後、この溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(37.132g)を加え、攪拌し、3時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、この反応液を25%アンモニア水180mL/メタノール1170mL/イオン交換水1170mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥し、トルエン1500mlに溶解させた。溶解後、ラヂオライト6gを加えて30分攪拌し、不溶解物を濾過した。得られた濾液をアルミナカラムを通して精製を行った。得られた精製液を4%アンモニア水2950mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。続いてイオン交換水約2950mLを加え、1時間攪拌した後、水層を除去した。その後、有機層をメタノール4700mlに注加して0.5時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた重合体(以後、高分子化合物9と呼ぶ)の収量は22.730gであった。また、ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=2.7x10、Mw=2.6x10であった。Tgは207℃であった。
【0302】
実施例12<素子3の作成>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより、80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、重量比で高分子化合物6:高分子化合物7=1:1の混合物のトルエン溶液を用いてスピンコートにより約80nmの厚みで成膜した。さらにこれを減圧下110℃にて乾燥した後、フッ化リチウムを約4nm蒸着し、陰極として、カルシウムを約5nm蒸着し、アルミニウムを約150nm蒸着してEL素子を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10−6Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、475nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、1000cd/mにおけるCIE1931で規格された駆動前のEL素子の色度座標はCIE(x,y)=(0.157、0.270)であり、75mA/cmの電流密度で197.4時間駆動し、初期輝度の40%まで劣化させた後はCIE(x,y)=(0.166、0.279)であった。また、EL素子の輝度半減寿命は、初期輝度1521cd/mで120.7時間であった。
【0303】
比較例2<素子4の作成>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより、84nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、重量比で高分子化合物8:高分子化合物9=71:29の混合物のトルエン溶液を用いてスピンコートにより約80nmの厚みで成膜した。さらにこれを減圧下110℃にて乾燥した後、フッ化リチウムを約4nm蒸着し、陰極として、カルシウムを約5nm蒸着し、アルミニウムを約150nm蒸着してEL素子を作製した。蒸着のときの真空度は、すべて1〜8×10−6Torrであった。得られた素子に電圧を印加することにより、480nmにピークを有するEL発光が得られた。該素子は、1000cd/mにおけるCIE1931で規格された色度座標はCIE(x,y)=(0.155、0.278)であり、75mA/cmの電流密度で79.5時間駆動し、初期輝度の40%まで劣化させた後はCIE(x,y)=(0.183、0.289)であった。また、EL素子の輝度半減寿命は、初期輝度2400cd/mで45.91時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0304】
本発明の高分子化合物は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、これを用いた高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰返し単位を主成分として含むことを特徴とする高分子化合物。
【化1】


(式中、X及びXはそれぞれ独立に、3環以上の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基又は3環以上の2価の縮合多環系複素環基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基を含むアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。)
【請求項2】
上記式(1)で表される繰返し単位が下記式(2)で表される請求項1に記載の高分子化合物。
【化2】


(式中、A環、A環、B環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表し、ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環性の2価の芳香族炭化水素基、単環若しくは2環性の2価の複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基を含むアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、一方の結合手はA環又はB環に結合し、もう一方の結合手はA環又はB環に結合する。)
【請求項3】
上記式(2)で表される繰返し単位が下記式(3)で表される請求項2に記載の高分子化合物。
【化3】


(式中、A環、A環、B環、B環及びYは上記と同じである。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表し、RとR、RとRはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。)
【請求項4】
上記式(3)で表される繰返し単位が下記式(4)で表される請求項3に記載の高分子化合物。
【化4】


(式中、R、R、R、R及びYは上記と同じである。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。a及びaはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、a及びaはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a、a、a及びaのいずれかが2以上の場合で、対応する置換基が芳香環上の隣接する炭素原子上にある場合、互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項5】
下記式(5)で表される化合物を重合して得られる請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
−X−Y−X−W (5)
(式中、X、X及びYはそれぞれ上記と同じである。W及びWはそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を表す。)
【請求項6】
上記式(1)で表される繰返し単位が左右対称又はC2対称である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項7】
上記式(1)で表される繰返し単位中、X及びXで表される繰返し単位が左右対称でもC2対称でもない請求項6に記載の高分子化合物。
【請求項8】
下記式(6)、式(7)、式(8)又は式(9)で示される繰り返し単位を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
−Ar− (6)
−(Ar−X−Ar− (7)
−Ar−X− (8)
−X− (9)
(式中、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。X、X及びXはそれぞれ独立に、−CR=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、又は(SiR1213−を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を示す。kは1又は2を表す。mは1〜12の整数を表す。R、R10、R11、R12及びR13がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項9】
上記式(6)で表される繰り返し単位が、下記式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)又は(15)で表される繰り返し単位である請求項8に記載の高分子化合物。
【化5】


(式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。nは0〜4の整数を表す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化6】


(式中、R15及びR16は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。o及びpはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。R15及びR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化7】


(式中、R17及びR20は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。q及びrはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R17及びR20がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化8】


(式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。sは0〜2の整数を表す。Ar及びArはそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。t及びuはそれぞれ独立に0又は1を表す。Z11は、O、S、SO、SO、Se、又はTeを表す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化9】


(式中、R22及びR23は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。v及びwはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Z12は、O、S、SO、Se、Te、N−R24、又はSiR2526を表す。Z13及びZ14は、それぞれ独立に、N又はC−R27を表す。R24、R25、R26及びR27はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基を表す。R22、R23及びR27がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【化10】


(式中、R28及びR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる1つを表す。x及びyはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R29、R30、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。Arはアリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。R28及びR33がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項10】
上記式(7)で表される繰り返し単位が、下記式(16)で示される繰り返し単位である請求項8に記載の高分子化合物。
【化11】


(式中、Ar、Ar、Ar10及びAr11はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar12、Ar13及びAr14はそれぞれ独立に、アリール基、又は1価の複素環基を表す。Ar、Ar、Ar10、Ar11、及びAr12は置換基を有していてもよい。z及びzzはそれぞれ独立に0又は正の整数を表す。)
【請求項11】
上記式(16)で表される繰り返し単位において、z+zz=1であり、かつAr12、Ar13及びAr14が、それぞれ独立に、下記式(16−1)で表される基から選ばれる請求項10に記載の高分子化合物。
【化12】


(式中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表す。Rh及びRiは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表す。Re、Rf及びRgに含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。ベンゼン環上の隣接する2つの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【請求項12】
上記式(5)で表される化合物を重合又は共重合することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項13】
上記式(5)で表される化合物。
【請求項14】
上記式(5)で表される化合物が下記式(17)で表される請求項13に記載の化合物。
【化13】


(式中、A環及びB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。ZはA環とB環と結合し、5員環、6員環又は7員環を形成する2価の基を表す。Yは単環若しくは2環の2価の縮合多環系芳香族炭化水素基、単環若しくは2環の2価の縮合多環系複素環基、単環若しくは2環性の芳香族炭化水素、又は単環若しくは2環性の複素環基からなるアミン構造、又は金属錯体構造を有する2価の基を表し、2つのA環に結合する。Wは重合に関与しうる置換基を表し、B環に結合する。)
【請求項15】
上記式(17)で表される化合物のうち、Wがハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基である請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物の製造方法であって、下記式(18)及び(19)で表される化合物を遷移金属錯体の存在下に反応させることを特徴とする上記製造方法。
【化14】


(式中、A環、B環、Z及びYは上記と同じである。W及びWはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。Wは−B(OH)、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。)
【請求項17】
上記式(18)で表される化合物。
【請求項18】
請求項15に記載の化合物の製造方法であって、下記式(20)及び(21)で表される化合物を遷移金属錯体の存在下に反応させることを特徴とする上記製造方法。
【化15】


(式中、A環、B環、W、Z及びYは上記と同じである。Wは−B(OH)、ホウ酸エステル基、−MgXで示される基(ここにXはハロゲン原子を表す)、スタニル基、置換スタニル基、シリル基又は置換シリル基を表す。Wはハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、WはWと同じではない。)
【請求項19】
上記式(20)で表される化合物。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする溶液。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする発光性薄膜。
【請求項22】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする導電性薄膜。
【請求項23】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有することを特徴とする有機トランジスタ。
【請求項24】
インクジェット法を用いることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の薄膜の製膜方法。
【請求項25】
陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項26】
請求項25に記載の高分子発光素子を用いることを特徴とする面状光源。
【請求項27】
請求項25に記載の高分子発光素子を用いることを特徴とする表示装置。

【公開番号】特開2011−38103(P2011−38103A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189552(P2010−189552)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【分割の表示】特願2005−42464(P2005−42464)の分割
【原出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】