説明

高分子化合物

【課題】高発光効率とともに、高輝度および長寿命を有する有機発光素子を作製し得る高分子化合物の提供。
【解決手段】有機発光素子は、陽極と陰極とに挟まれた少なくとも1層の有機層を含み、該有機層の少なくとも1層が、特定の高分子化合物を含む発光層である。高分子化合物は、特定の正孔輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、トリアリールボラン誘導体から導かれる構造単位とを有することを特徴とする。さらに燐光発光性のイリジウム含有化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子に関する。より詳しくは、本発明は、陽極と陰極とに挟まれた少なくとも1層の有機層を含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子としては、正孔輸送層および電子輸送層の間に、燐光発光性低分子化合物からなる発光層を設けた多層構造の素子が知られており、この正孔輸送層には、トリフェニルアミン誘導体などの低分子化合物が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、低分子化合物を用いて上記のような各層を形成する場合は一般的に真空蒸着法が用いられるが、これには、真空設備を必要とする、層の膜厚が不均一になりやすい、大面積化が困難であるなどの問題があった。また、このような燐光発光性低分子化合物から得られる発光層を用いた有機発光素子は耐久性に劣るという問題もあった。
【0004】
これに対して、燐光発光性の重合性化合物および電荷輸送性の重合性化合物を共重合して得られる燐光発光性高分子化合物も開発されている。上記燐光発光性高分子化合物を用いれば、スピンコートなどの塗布法によって発光層が形成できる利点がある。例えば、特許文献2には、トリフェニルアミン誘導体とイリジウム錯体との共重合体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−308978号公報
【特許文献2】特開2003−97589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された共重合体では、高い発光効率が得られるものの、最高到達輝度、寿命の点で改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、高発光効率とともに、高輝度および長寿命を有する有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、正孔輸送性を有する特定の重合性化合物から導かれる構造単位を含む高分子化合物により、高発光効率とともに、高輝度および長寿命を有する有機発光素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりに要約される。
[1] 陽極と陰極とに挟まれた少なくとも1層の有機層を含む有機発光素子において、
上記有機層の少なくとも1層が、下記一般式(1)で表される重合性化合物(A)から導かれる構造単位を有する高分子化合物を含む発光層であることを特徴とする有機発光素子。
【0009】
【化1】

(式(1)中、R1〜R33のうち少なくとも1つは重合性官能基を有する置換基を表し、
該重合性官能基を有する置換基ではないR1〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、R21〜R25、R26〜R30のそれぞれにおいて、ベンゼン環上に隣接する炭素原子に結合している2つの基は、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0010】
[2] R26〜R30のうち少なくとも1つは重合性官能基を有する置換基を表し、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、およびR21〜R25のそれぞれにおいて、少なくとも1つは、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表すことを特徴とする上記[1]に記載の有機発光素子。
【0011】
[3] 上記高分子化合物が、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の有機発光素子。
[4] 上記高分子化合物が、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位および電子輸送性の重合性化合物(C)から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の有機発光素子。
【0012】
[5] 上記燐光発光性の重合性化合物(B)が、下記一般式(2−1)で表される錯体であることを特徴とする上記[3]または[4]に記載の有機発光素子。
【0013】
【化2】

(式(2−1)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R41とR42とで、R42とR43とで、R43とR44とで、R44とR45とで、R45とR46とで、R46とR47とで、R47とR48とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよく、Lは、下記一般式(2−2)〜(2−4)からなる群より選ばれる2座配位子を表す。)
【0014】
【化3】

(式(2−2)中、R51〜R58のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R51とR52とで、R52とR53とで、R53とR54とで、R54とR55とで、R55とR56とで、R56とR57とで、R57とR58とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0015】
【化4】

(式(2−3)中、R61〜R63のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R61とR62とで、R62とR63とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0016】
【化5】

(式(2−4)中、R71〜R74のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR71〜R74は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R71とR72とで、R72とR73とで、R73とR74とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0017】
[6] 上記発光層が、燐光発光性の化合物をさらに含むことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の有機発光素子。
[7] 上記発光層が、燐光発光性の化合物をさらに含み、上記高分子化合物が、電子輸送性の重合性化合物(C)から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の有機発光素子。
【0018】
[8] 上記電子輸送性の重合性化合物(C)が、オキサジアゾール誘導体またはトリアリールボラン誘導体であることを特徴とする上記[4]または[7]に記載の有機発光素子。
【0019】
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする面発光光源。
[10] 上記[1]〜[8]のいずれかに記載の有機発光素子を用いたことを特徴とする画像表示装置。
【0020】
[11] 下記一般式(1)で表される重合性化合物(A)から導かれる構造単位を有することを特徴とする高分子化合物。
【0021】
【化6】

(式(1)中、R1〜R33のうち少なくとも1つは重合性官能基を有する置換基を表し、
該重合性官能基を有する置換基ではないR1〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、ハロ
ゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、R21〜R25、R26〜R30のそれぞれにおいて、ベンゼン環上に隣接する炭素原子に結合している2つの基は、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0022】
[12] R26〜R30のうち少なくとも1つは重合性官能基を有する置換基を表し、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、およびR21〜R25のそれぞれにおいて、
少なくとも1つは、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表すことを特徴とする上記[11]に記載の高分子化合物。
【0023】
[13] 上記高分子化合物が、下記一般式(2−1)で表される燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[11]または[12]に記載の高分子化合物。
【0024】
【化7】

(式(2−1)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R41とR42とで、R42とR43とで、R43とR44とで、R44とR45とで、R45とR46とで、R46とR47とで、R47とR48とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよく、Lは、下記一般式(2−2)〜(2−4)からなる群より選ばれる2座配位子を表す。)
【0025】
【化8】

(式(2−2)中、R51〜R58のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R51とR52とで、R52とR53とで、R53とR54とで、R54とR55とで、R55とR56とで、R56とR57とで、R57とR58とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0026】
【化9】

(式(2−3)中、R61〜R63のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R61とR62とで、R62とR63とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【0027】
【化10】

(式(2−4)中、R71〜R74のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR71〜R74は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R71とR72とで、R72とR73とで、R73とR74とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【発明の効果】
【0028】
本発明の有機発光素子は、高発光効率とともに、高輝度および長寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明に係る有機発光素子の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明について具体的に説明する。
1.発光層
本発明の有機発光素子は、陽極と陰極とに挟まれた少なくとも1層の有機層を含み、該有機層の少なくとも1層が、特定の高分子化合物を含む発光層である。上記高分子化合物は、上記式(1)で表される、正孔輸送性の重合性化合物(A)から導かれる構造単位を有し、新規の高分子化合物である。この高分子化合物は、さらに、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位および/または電子輸送性の重合性化合物(C)から導かれる構造単位を有していてもよい。これらの高分子化合物は、正孔輸送性の重合性化合物(A)と、必要に応じて燐光発光性の重合性化合物(B)および/または電子輸送性の重合性化合物(C)とを重合して得られる。
【0031】
具体的には、上記高分子化合物は、上記式(1)で表される重合性化合物(A)と燐光発光性の重合性化合物(B)とを重合して得られる、正孔輸送性の重合性化合物(A)から導かれる構造単位および燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位を有する高分子化合物(I)であっても、
上記式(1)で表される重合性化合物(A)と燐光発光性の重合性化合物(B)と電子輸送性の重合性化合物(C)とを重合して得られる、正孔輸送性の重合性化合物(A)から導かれる構造単位、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位および電子輸送性の重合性化合物(C)から導かれる構造単位を有する高分子化合物(II)であっても、
上記式(1)で表される重合性化合物(A)を重合して得られる、正孔輸送性の重合性化合物(A)から導かれる構造単位を有する高分子化合物(III)であっても、
上記式(1)で表される重合性化合物(A)と電子輸送性の重合性化合物(C)とを重合して得られる、正孔輸送性の重合性化合物(A)から導かれる構造単位および電子輸送性の重合性化合物(C)から導かれる構造単位を有する高分子化合物(IV)であってもよい。
【0032】
化合物(A)から導かれる構造単位を有する高分子化合物中に、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位も有している場合(例えば、高分子化合物(I)、(II)の場合)は、該高分子化合物単独で発光層を形成できる。
【0033】
一方、化合物(A)から導かれる構造単位を有する高分子化合物中に、燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位を有していない場合(例えば、高分子化合物(III)、(IV)の場合)は、該高分子化合物とともに燐光発光性の低分子化合物を用いて発光層が形成される。すなわち、これらの場合は、上記発光層は、高分子化合物(III)および燐光発光性の低分子化合物を含んでいるか、あるいは、高分子化合物(IV)および燐光発光性の低分子化合物を含んでいる。
【0034】
上記高分子化合物(I)〜(IV)のように、化合物(A)から導かれる構造単位を有する新規の高分子化合物は正孔輸送性に優れているため、高発光効率とともに高輝度を有する有機発光素子が得られる。また、上記高分子化合物はガラス転移点が高く、耐熱性に優れるため、該高分子化合物によれば長寿命を有する有機発光素子が得られる。
【0035】
なお、本明細書において、正孔輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物を併せて「キャリア輸送性の重合性化合物」ともいう。
上記式(1)で表される化合物(A)において、R1〜R33のうち少なくとも1つは重
合性官能基を有する置換基を表す。
【0036】
上記置換基としては、重合性官能基を有することのほか、特に制限されない。具体的には、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シリル基など後述するような置換基であり、重合性官能基を有する置換基が挙げられる。
【0037】
上記重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
【0038】
上記重合性官能基としては、例えば、アリル基、アルケニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらのうちで、アルケニル基が好ましい。
【0039】
上記重合性官能基がアルケニル基である場合を例に挙げると、化合物(A)は、具体的には、アルケニル基を、下記式(a1)〜(a12)で表される置換基として有することがより好ましい。これらのうちで、下記式(a1)、(a5)、(a8)、(a12)で表される置換基は、化合物に官能基が容易に導入できるためさらに好ましい。
【0040】
【化11】

上記重合性官能基がアルケニル基以外の官能基である場合は、上記式(a1)〜(a12)におけるアルケニル基を該官能基に置換したものが好ましい。
【0041】
化合物(A)において、R29が重合性官能基を有する置換基であることが好ましい。
上記重合性官能基を有する置換基ではないR1〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表す。
【0042】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
【0043】
上記炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基などが挙げられる。
【0044】
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
【0045】
上記シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメトキシシリル基などが挙げられる。
これらのうちで、有機発光素子の寿命や発光効率の観点から、R26〜R30のうち少なくとも1つは重合性官能基を有する置換基を表し、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、およびR21〜R25のそれぞれにおいて、少なくとも1つは、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基であることが好ましい。このような化合物(A)のR1〜R33としては、具体的には、R29が重合性官能基を有する置換基であり、R4、R9、R14、R19、およびR22が上述したような水素原子以外の原子または置換基であり、R29、R4、R9、R14、R19、およびR22以外が水素原子である化合物が好適に用いられる。
【0046】
また、R1〜R5、R6〜R10、R11〜R15、R16〜R20、R21〜R25、R26〜R30のそれぞれにおいて、ベンゼン環上に隣接する炭素原子に結合している2つの基は、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。
【0047】
化合物(A)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような化合物(A)は、例えば、1,3,5−トリアミノベンゼンおよびハロゲン化アリール、またはジアリールアミンおよび1,3,5−トリハロゲン化ベンゼンのパラジウム触媒置換反応によって製造できる。置換反応の具体的な方法については、例えばTetrahedron Letters、1998年、39巻、2367頁などに記載されている。
【0048】
本発明に用いられる化合物(B)としては、重合性官能基を有する置換基を有しており、室温で三重項励起状態からの発光が得られる低分子化合物であれば、特に制限されず、重合性官能基を有する置換基を有する、パラジウム錯体、オスミウム錯体、イリジウム錯体、プラチナ錯体および金錯体が好ましく、イリジウム錯体およびプラチナ錯体がより好ましく、イリジウム錯体が最も好ましい。上記重合性官能基を有する置換基は、化合物(A)における重合性官能基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。化合物(B)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
上記イリジウム錯体としては、上記式(2−1)で表される錯体が好適に用いられる。
上記式(2−1)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表す。これらの原子または置換基の具体例としては、上述した原子または置換基が挙げられる。
【0050】
41〜R48としては、水素原子、フッ素原子、シアノ基、メチル基、t−ブチル基、ジメチルアミノ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が好ましい。R42がt−ブチル基であり、R42を除くR41〜R48が水素原子であることがより好ましい。
【0051】
41とR42とで、R42とR43とで、R43とR44とで、R44とR45とで、R45とR46とで、R46とR47とで、R47とR48とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。
Lは、上記式(2−2)〜(2−4)からなる群より選ばれる2座配位子を表す。
【0052】
上記式(2−2)中、R51〜R58のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基は、化合物(A)における重合性官能基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。R52が重合性官能基を有する置換基であることが好ましい。
【0053】
上記重合性官能基を有する置換基ではないR51〜R58は、それぞれ独立に、R41と同様の原子または置換基を表す。このようなR51〜R58としては、水素原子、フッ素原子、シアノ基、メチル基、t−ブチル基、ジメチルアミノ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が好ましい。
【0054】
51とR52とで、R52とR53とで、R53とR54とで、R54とR55とで、R55とR56とで、R56とR57とで、R57とR58とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。
上記式(2−3)中、R61〜R63のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基は、化合物(A)における重合性官能基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。R63が重合性官能基を有する置換基であることが好ましい。
【0055】
上記重合性官能基を有する置換基ではないR61〜R63は、それぞれ独立に、R41と同様の原子または置換基(ただしハロゲン原子を除く。)である。このようなR61〜R63としては、メチル基、t−ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基が好ましい。
【0056】
61とR62とで、R62とR63とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。
上記式(2−4)中、R71〜R74のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基は、化合物(A)における重合性官能基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。R72が重合性官能基を有する置換基であることが好ましい。
【0057】
上記重合性官能基を有する置換基ではないR71〜R74は、それぞれ独立に、R41と同様の原子または置換基である。このようなR71〜R74としては、水素原子、フッ素原子、シアノ基、メチル基、t−ブチル基、ジメチルアミノ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が好ましい。
【0058】
71とR72とで、R72とR73とで、R73とR74とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。
上記式(2−1)で表されるイリジウム錯体は、例えば、以下のように製造される。まず、特定の2座配位子と、塩化イリジウムなどのイリジウム化合物(0.5当量)とを、2−エトキシエタノールなどの溶媒中で反応させる。次いで、得られた金属錯体および重合性官能基を有する2座配位子を、炭酸ナトリウムと共に、2−エトキシエタノールなどの溶媒中で加熱した後、精製して、上記式(2−1)で表されるイリジウム錯体を得る。なお、重合性官能基を有する2座配位子は、公知の方法によって得られる。
【0059】
本発明に用いられる化合物(C)としては、重合性官能基を有する置換基を有することのほか、特に制限されず、公知の電子輸送性の化合物が用いられる。上記重合性官能基を有する置換基は、化合物(A)における重合性官能基を有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。これらのうちで、オキサジアゾール誘導体、トリアリールボラン誘導体が好適に用いられる。化合物(C)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
このような化合物(C)は、公知の方法によって製造できる。
なお、上記高分子化合物を製造する際には、さらに、他の重合性化合物を用いてもよい。上記他の重合性化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレンおよびその誘導体などのキャリア輸送性を有さない化合物が挙げられるが、何らこれらに制限されるものではない。上記高分子化合物中、他の重合性化合物から導かれる構造単位の含有量は、0〜50mol%であることが好ましい。
【0061】
上記高分子化合物の製造方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
上記高分子化合物のガラス転移点は、好ましくは100〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは175〜200℃であることが望ましい。ガラス転移点がこの範囲にあると、有機発光素子作製時、または駆動時における材料劣化が起こりにくくなるため、長寿命化が期待できるため好ましい。
【0062】
低分子化合物では、100〜150℃程度のガラス転移点が、例えばt−ブチル基などの嵩高い置換基や、ナフチル基などの剛直な置換基を導入することで達成されている。本発明の上記高分子化合物では、スターバースト型の分子骨格を有することに加えて、トリフェニルアミンの多量化、すなわち高分子量化することにより、高いガラス転移点が得られる。
【0063】
上記高分子化合物の重量平均分子量は、通常1,000〜2,000,000であり、好ましくは5,000〜1,000,000であることが望ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、上記高分子化合物が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定される値である。
【0064】
また、高分子化合物(I)および(II)において、化合物(B)から導かれる構造単位数をmとし、キャリア輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位数(高分子化合物(I)においては化合物(A)から導かれる構造単位の総数であり、高分子化合物(II)においては化合物(A)および化合物(C)から導かれる構造単位の総数)をnとしたとき(m、nは1以上の整数を示す)、全構造単位数に対する化合物(B)から導かれる構造単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は、0.001〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.001〜0.2の範囲にあることがより好ましい。m/(m+n)の値がこの範囲にあると、キャリア移動度が高く、濃度消光の影響が小さい、高い発光効率の有機発光素子が得られる。
【0065】
また、高分子化合物(II)および(IV)において、化合物(A)から導かれる構造単位数をx、化合物(C)から導かれる構造単位数をyとすると(x、yは1以上の整数を示す)、上記nとの間に、n=x+yの関係が成り立つ。キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数に対する、化合物(A)から導かれる構造単位数の割合x/n、および化合物(C)から導かれる構造単位数の割合y/nの最適値は、各構造単位の電荷輸送能、濃度などによって決まる。この高分子化合物(II)のみで有機発光素子の発光層を形成する場合、x/nおよびy/nの値は、それぞれ、0.05〜0.95の範囲にあることが好ましく、0.20〜0.80の範囲にあることがより好ましい。また、高分子化合物(IV)および燐光発光性の低分子化合物を用いて発光層を形成する場合は、x/nおよびy/nの値は、それぞれ、0.05〜0.95の範囲にあることが好ましく、0.20〜0.80の範囲にあることがより好ましい。ここで、x/n+y/n=1が成り立つ。また、上記のような高分子化合物における各構造単位の割合は、ICP元素分析および13C−NMR測定によって見積もられる。
【0066】
化合物(A)、必要に応じて用いられる化合物(B)および化合物(C)の比率を上記範囲内で適宜調整して重合すれば、所望の高分子化合物が得られる。
なお、上記高分子化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
【0067】
化合物(A)および化合物(B)を重合して得られる高分子化合物(I)を用いて発光層を形成する場合は、電子輸送層を別に設けてもよいが、高分子化合物(I)とともに電子輸送性の化合物を用いて発光層を形成することが好ましい。上記電子輸送性の化合物は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。上記電子輸送性の化合物としては、後述するような公知の化合物が用いられるが、オキサジアゾール誘導体、トリアリールボラン誘導体が好適に用いられる。この場合、発光層は、高分子化合物(I)100重量部に対して、上記電子輸送性の化合物を、好ましくは5〜95重量部、より好ましくは20〜80重量部の量で含むことが望ましい。
【0068】
また、化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)を重合して得られる高分子化合物(II)を用いて発光層を形成する場合は、該高分子化合物単独で発光層を形成できる。
【0069】
一方、高分子化合物(III)を用いて発光層を形成する場合は、高分子化合物(III)とともに燐光発光性の低分子化合物を用いて発光層を形成する。上記燐光発光性の低分子化合物は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、電子輸送層を別に設けてもよく、高分子化合物(III)および上記燐光発光性の低分子化合物とともに上記電子輸送性の化合物を用いて発光層を形成してもよい。上記燐光発光性の低分子化合物としては、公知の化合物が用いられるが、イリジウム錯体が好適に用いられる。具体的には、以下のような錯体(E−1)〜(E−39)が挙げられる。
【0070】
【化12】

【0071】
【化13】

【0072】
【化14】

【0073】
【化15】

【0074】
この場合、発光層は、高分子化合物(III)100重量部に対して、上記燐光発光性の低分子化合物を、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部の量で含むことが望ましい。また、この発光層がさらに電子輸送性の化合物を含むときは、高分子化合物(III)100重量部に対して、上記電子輸送性の化合物を、好ましくは5〜95重量部、より好ましくは20〜80重量部の量で含むことが望ましい。
【0075】
また、化合物(A)および化合物(C)を重合して得られる高分子化合物(IV)を用いて発光層を形成する場合も、高分子化合物(III)の場合と同様に、高分子化合物(IV)とともに上記のような燐光発光性の低分子化合物を用いて発光層を形成する。この場合、発光層は、高分子化合物(IV)100重量部に対して、上記燐光発光性の低分子化合物を、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部の量で含むことが望ましい。
【0076】
高分子化合物(I)を用いて発光層を形成する場合、発光層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のように製造できる。まず、高分子化合物(I)および必要に応じて上記電子輸送性の化合物を溶解した溶液を調製する。上記溶液の調製に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒などが用いられる。次いで、このように調製した溶液を、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の湿式成膜法などにより基板上に成膜する。用いる化合物および成膜条件などに依存するが、例えば、スピンコート法やディップコート法の場合には、上記溶液は、高分子化合物(I)100重量部に対して、溶媒を1000〜20000重量部の量で含むことが好ましい。上記電子輸送性の化合物も用いる場合は、上記溶液は、高分子化合物(I)100重量部に対して、該化合物を10〜900重量部の量でさらに含むことが好ましい。
【0077】
また、高分子化合物(II)を用いて発光層を形成する場合も、高分子化合物(I)の場合と同様に発光層を形成できる。例えば、スピンコート法やディップコート法の場合には、上記溶液は、高分子化合物(II)100重量部に対して、溶媒を1000〜20000重量部の量で含むことが好ましい。
【0078】
一方、高分子化合物(III)を用いて発光層を形成する場合も、まず、高分子化合物(III)、燐光発光性の低分子化合物、および必要に応じて上記電子輸送性の化合物を溶解した溶液を調製する。上記溶液の調製に用いる溶媒としては、上記と同様である。次いで、このように調製した溶液を、上記と同様に基板上に成膜する。用いる化合物および成膜条件などに依存するが、例えば、スピンコート法やディップコート法の場合には、上記溶液は、高分子化合物(III)100重量部に対して、燐光発光性の低分子化合物を1〜50重量部の量で、溶媒を1000〜20000重量部の量で含むことが好ましい。上記電子輸送性の化合物も用いる場合は、上記溶液は、高分子化合物(III)100重量部に対して、該化合物を10〜900重量部の量でさらに含むことが好ましい。
【0079】
また、高分子化合物(IV)を用いて発光層を形成する場合も、高分子化合物(III)の場合と同様に発光層を形成できる。例えば、スピンコート法やディップコート法の場合には、上記溶液は、高分子化合物(IV)100重量部に対して、燐光発光性の低分子化合物を1〜50重量部の量で、溶媒を1000〜20000重量部の量で含むことが好ましい。
【0080】
2.有機発光素子
本発明に係る有機発光素子は、陽極と陰極とに挟まれた少なくとも1層の有機層を含み、該有機層の少なくとも1層に、上述したような特定の発光層が含まれる。本発明においては、上述のように簡便な塗布法で発光層を成膜でき、素子の大面積化が図れる。
【0081】
本発明に係る有機発光素子の構成の一例を図1に示すが、本発明に係る有機発光素子の構成は、これに限られない。 図1では、透明基板(1)上に設けた陽極(2)および陰極(6)の間に、正孔輸送層(3)、上記発光層(4)および電子輸送層(5)を、この順で設けている。上記有機発光素子では、例えば、陽極(2)と陰極(6)の間に、1)正孔輸送層/上記発光層、2)上記発光層/電子輸送層のいずれかを設けてもよく、3)上記発光層を1層のみ設けてもよい。さらに、上記発光層を2層以上積層してもよい。
【0082】
上記のような素子において、上記発光層が正孔輸送性、電子輸送性および燐光発光性を併せ持つときは、他の有機材料の層を設けない場合でも、高い発光効率および耐久性を有する有機発光素子を作製できる。また、製造工程がさらに簡略化できる。
【0083】
上記の各層は、バインダとして高分子材料などを混合して、形成してもよい。上記高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
【0084】
また、上記正孔輸送層および電子輸送層に用いられる正孔輸送性の化合物および電子輸送性の化合物は、それぞれ単独で各層を形成しても、機能の異なる材料を混合して、各層を形成していてもよい。上記発光層においても、本発明に係る高分子化合物の他に、キャリア輸送性を補う目的で、上述したような電子輸送性の化合物の他、さらに他の正孔輸送性の化合物が含まれていてもよい。このような化合物としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
【0085】
上記正孔輸送層を形成する正孔輸送性の化合物、または上記発光層に混合させる正孔輸送性の化合物としては、例えば、TPD(N,N'−ジメチル−N,N'−(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'ジアミン);α−NPD(4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル);m−MTDATA(4、4',4''−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等の低分子トリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール;上記トリフェニルアミン誘導体に重合性官能基を導入して重合した高分子化合物;ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン等の蛍光発光性高分子化合物などが挙げられる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物などが挙げられる。上記正孔輸送性の化合物は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なる正孔輸送性の化合物を積層して用いてもよい。正孔輸送層の厚さは、正孔輸送層の導電率などに依存するが、通常、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
【0086】
上記電子輸送層を形成する電子輸送性の化合物、または上記発光層に混合させる電子輸送性の化合物としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)等のキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体等の低分子化合物;上記の低分子化合物に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物を挙げることができる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどが挙げられる。上記電子輸送性の化合物は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なる電子輸送性の化合物を積層して用いてもよい。電子輸送層の厚さは、電子輸送層の導電率などに依存するが、通常、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
【0087】
また、上記発光層の陰極側に隣接して、正孔が発光層を通過することを抑え、発光層内で正孔と電子とを効率よく再結合させる目的で、正孔ブロック層が設けられていてもよい。上記正孔ブロック層の形成には、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などの公知の材料が用いられる。
【0088】
陽極と正孔輸送層との間、または陽極と陽極に隣接して積層される有機層との間に、正孔注入において注入障壁を緩和するために、バッファ層が設けられていてもよい。上記バッファ層を形成するためには、銅フタロシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物(PEDOT:PSS)などの公知の材料が用いられる。
【0089】
陰極と電子輸送層との間、または陰極と陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上するために、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が設けられていてもよい。上記絶縁層を形成するためには、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの公知の材料が用いられる。
【0090】
本発明に係る有機発光素子に用いる陽極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子など、公知の透明導電材料が好適に用いられる。この透明導電材料によって形成された電極の表面抵抗は、1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。陽極の厚さは50〜300nmであることが好ましい。
【0091】
本発明に係る有機発光素子に用いる陰極材料としては、例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属;Al;MgAg合金;AlLi、AlCa等のAlとアルカリ金属またはアルカリ土類金属との合金など、公知の陰極材料が好適に用いられる。陰極の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属などの活性の高い金属を使用する場合には、陰極の厚さは、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜50nmであることが望ましい。また、この場合には、上記陰極金属を保護する目的で、この陰極上に、大気に対して安定な金属層が積層される。上記金属層を形成する金属として、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu、Ni、Crなどが挙げられる。上記金属層の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。
【0092】
本発明に係る有機発光素子の基板としては、上記発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が好適に用いられ、具体的には、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の透明プラスチックなどが用いられる。
【0093】
上記の正孔輸送層および電子輸送層の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の乾式成膜法のほか、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の湿式成膜法などを用いることができる。低分子化合物の場合は、乾式成膜法が好適に用いられ、高分子化合物の場合は、湿式成膜法が好適に用いられる。
【0094】
また、上記陽極材料の成膜方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などが用いられ、上記陰極材料の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが用いられる。
【0095】
3.用途
本発明に係る有機発光素子は、公知の方法で、マトリックス方式またはセグメント方式による画素として画像表示装置に好適に用いられる。また、上記有機発光素子は、画素を形成せずに、面発光光源としても好適に用いられる。
【0096】
本発明に係る有機発光素子は、具体的には、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
【0097】
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0098】
なお、高分子化合物の分析は以下の方法で行った。
(1)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置によって、以下の条件で行った。
カラム:Shodex KF-G+KF804L+KF802+KF801
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
温度:40℃
検出器:RI(Shodex RI-71)
【0099】
(2)組成解析
13C−NMR測定は、以下の条件で行った。
装置:日本電子(JEOL)製 JNM EX270
67.5MHz
溶媒:重クロロホルム
ICP元素分析は、以下の条件で行った。
装置:島津製作所製 ICPS 8000
【0100】
(3)ガラス転移点(Tg)
試料約7mgを秤量して、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル社製、SSC-5200)により測定した。測定は、アルミニウムパンを参照として、昇温速度10℃/分で行った。
また、得られた素子の発光外部量子効率、最高輝度および輝度半減寿命は、以下の方法で測定した。
【0101】
(4)発光外部量子効率
作製した有機発光素子を暗所に設置し、発光面に対して垂直な方向に100cm離れた場所に分光放射輝度計(CS−1000T、コニカミノルタ社製)を設置した。有機発光素子に所定の電圧を1秒間印加して発光させ、素子に通電した電流値、素子の陽極側から観察される正面輝度および発光スペクトルを0.2度視野で測定した。印加する電圧は0Vから0.1V刻みで段階的に上げ、電圧を上げた直後の電流値、輝度、発光スペクトルを測定した。これらの測定値から発光外部量子効率を計算し、その最高値を素子の発光外部量子効率とした。
【0102】
(5)最高輝度
印加する電圧の上昇幅を0.5Vとしたほかは上記の発光外部量子効率の測定と同様にして作製した有機発光素子の正面輝度を測定し、測定値の最高値を素子の最高輝度とした。
【0103】
(6)輝度半減寿命
上記の発光外部量子効率の測定と同様にして、作製した有機発光素子の正面輝度を測定しながら、輝度が100cd/m2となるように素子に通電した。この素子の陽極側にシリコンのフォトダイオードを密着させ、素子に一定の電流を流しながらフォトダイオードの光電流を測定し、この光電流の値が半分になる時間を輝度半減寿命とした。
【0104】
[合成例1]化合物(A1)の合成
【0105】
【化16】

3-トリル-3-スチリルアミン 1.06 g (5.0 mmol), 1,3,5-トリブロモベンゼン 1.65 g (5.3 mmol)、酢酸パラジウム(II)22.5 mg (0.1 mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ‐2',4',6'−トリイソプロピルビフェニル 143 mg (0.3 mmol)、t-ブトキシナトリウム 1.06 g (11 mmol)およびトルエン30 mLの混合物を2時間加熱還流した。反応溶液に、ジトリルアミン1.89 g (10.1 mmol)、t-ブトキシナトリウム 2.114 g (22 mmol)およびトルエン15 mlを加え、さらに2時間加熱還流した。得られた反応液を室温にまで戻し、酢酸エチルで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、ビニルモノマー2.5g(3.7 mmol)を得た。
【0106】
化合物(A1)の同定データは以下の通りである。
元素分析: 計算値(C49H45N3) C,87.07;H,6.71;N,6.22. 測定値 C,87.15;H,6.81;N,6.04.
質量分析(EI): 676(M+).
【0107】
[合成例2]化合物(A2)の合成
【0108】
【化17】

スキーム2
m−フェニレンジアミン20g(0.18mol)、3−ヨードトルエン81g(0.37mol)、酢酸パラジウム0.50g(2.2mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン1.4g(6.9mmol)、カリウム−t−ブトキシド45g(0.40mol)およびキシレン300mLの混合物を3時間加熱還流した。得られた反応液を室温にまで冷却し、3−ヨードトルエン40g(0.18mol)および3−ブロモヨードベンゼン52g(0.18mol)を加えてさらに3時間加熱還流した。得られた反応液を濾過した後、減圧で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって化合物(F)2.7g(5.1mmol)を得た。
【0109】
次に化合物(F)2.0g(3.7mmol)、トリ−n−ブチル(ビニル)スズ1.3g(4.1mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.10g(0.14mmol)、塩化リチウム0.17g(4.0mmol)およびトルエン30mLの混合物を4時間加熱還流した。得られた反応混合物を濾過して不溶物を除き、減圧で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって化合物(A2)1.5g(3.1mmol)を得た。
【0110】
化合物(A2)の同定データは以下の通りである。
元素分析: 計算値(C35322) C,87.46;H,6.71;N,5.83.
測定値 C,87.59;H,6.91;N,5.50.
質量分析(EI): 480(M+).
【0111】
[実施例1]高分子化合物(1−1)の合成
密閉容器に、化合物(A1)200 mgを入れ、脱水トルエン2.4 mLを加えた。次いで、V-601(和光純薬工業(株)製)のトルエン溶液(0.1M、47μL)を加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間攪拌した。反応後、反応液をアセトン100mL中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン‐アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、高分子化合物(1−1)を得た。高分子化合物(1−1)の重量平均分子量(Mw)は、30500、分子量分布指数(Mw/Mn)は1.71であった。高分子化合物(1−1)のTgは180.2℃であった。
【0112】
[実施例2]高分子化合物(2−1)の合成
密閉容器に、化合物(A1)100 mg、およびトリアリールボラン誘導体(化合物(G))100 mgを入れ、脱水トルエン2.4 mLを加えた。次いで、V-601(和光純薬工業(株)製)のトルエン溶液(0.1M、47μL)を加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間攪拌した。反応後、反応液をアセトン100mL中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン‐アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、高分子化合物(2−1)を得た。高分子化合物(2−1)の重量平均分子量(Mw)は、64500、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.01であった。ICP元素分析および13C―NMR測定の結果から見積もった高分子化合物におけるx/nの値は0.46でありy/nの値は0.54であった。高分子化合物(2−1)のTgは183.2℃であった。
【0113】
【化18】

【0114】
[参考例1]高分子化合物(1−2)の合成
化合物(A1)の代わりに化合物(A2)を用いたほかは、実施例1と同様にして高分子化合物(1−2)を得た。高分子化合物(1−2)の重量平均分子量(Mw)は、41700、分子量分布指数(Mw/Mn)は1.74であった。高分子化合物(1−2)のTgは159.7℃であった。
【0115】
[参考例2]高分子化合物(2−2)の合成
化合物(A1)の代わりに化合物(A2)を用いたほかは、実施例2と同様にして高分子化合物(2−2)を得た。高分子化合物(2−2)の重量平均分子量(Mw)は、92000、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.40であった。ICP元素分析および13C―NMR測定の結果から見積もった高分子化合物におけるx/nの値は0.44でありy/nの値は0.56であった。高分子化合物(2−2)のTgは170.0℃であった。
【0116】
[実施例3]有機発光素子の作製と評価
ITO付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いた。これは、25mm角のガラス基板の一方の面に、幅4mmのITO(酸化インジウム錫)電極(陽極)が、ストライプ状に2本形成された基板であった。
【0117】
まず、上記ITO付き基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(バイエル(株)製、商品名「バイトロンP」)を、回転数3500rpm、塗布時間40秒の条件で、スピンコート法により塗布した。その後、真空乾燥器で減圧下、60℃で2時間乾燥し、陽極バッファ層を形成した。得られた陽極バッファ層の膜厚は、約50nmであった。次に、高分子化合物(1−1)40.5mg、化合物(H)9mgおよび化合物(J)40.5mgをトルエン(和光純薬工業(株)製、特級)2910mgに溶解し、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、塗布溶液を調製した。次いで、上記陽極バッファ層上に、上記塗布溶液を、回転数3000rpm、塗布時間30秒の条件で、スピンコート法により塗布した。塗布後、室温(25℃)で30分間乾燥し、発光層を形成した。得られた発光層の膜厚は、約100nmであった。
【0118】
次に、発光層を形成した基板を蒸着装置内に載置した。次いで、バリウムおよびアルミニウムを重量比1:10で共蒸着し、陽極の延在方向に対して直交するように、幅3mmの陰極をストライプ状に2本形成した。得られた陰極の膜厚は、約50nmであった。
【0119】
最後に、アルゴン雰囲気中で、陽極と陰極とにリード線(配線)を取り付けて、縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。上記有機EL素子に、プログラマブル直流電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させた。
【0120】
作製した有機発光素子の最大外部量子効率、最高到達輝度、初期輝度100cd/m2で点灯させて定電流駆動した時の輝度半減寿命を表1に示した。
【0121】
【化19】

【0122】
【化20】

【0123】
[実施例4]有機発光素子の作製と評価
高分子化合物(1−1)40.5mg、化合物(H)9mg、化合物(J)40.5mgおよびトルエン2910mgの代わりに、高分子化合物(2−1)81.0mg、化合物(H)9.0mgおよびトルエン2910mgを用いて発光層の形成に用いる塗布溶液を調製した他は、実施例3と同様にして有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子の最大外部量子効率、最高到達輝度、初期輝度100cd/m2で点灯させて定電流駆動した時の輝度半減寿命を表1に示した。
【0124】
[参考例3]有機発光素子の作製と評価
高分子化合物(1−1)40.5mg、化合物(H)9mg、化合物(J)40.5mgおよびトルエン2910mgの代わりに、高分子化合物(1−2)40.5mg、化合物(H)9.0mg、化合物(J)40.5mgおよびトルエン2910mgを用いて発光層の形成に用いる塗布溶液を調製した他は、実施例3と同様にして有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子の最大外部量子効率、最高到達輝度、初期輝度100cd/m2で点灯させて定電流駆動した時の輝度半減寿命を表1に示した。
【0125】
[参考例4]有機発光素子の作製と評価
高分子化合物(1−1)40.5mg、化合物(H)9mg、化合物(J)40.5mgおよびトルエン2910mgの代わりに、高分子化合物(2−2)81.0mg、化合物(H)9.0mgおよびトルエン2910mgを用いて発光層の形成に用いる塗布溶液を調製した他は、実施例3と同様にして有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子の最大外部量子効率、最高到達輝度、初期輝度100cd/m2で点灯させて定電流駆動した時の輝度半減寿命を表1に示した。
【0126】
【表1】

【符号の説明】
【0127】
1: ガラス基板
2: 陽極
3: 正孔輸送層
4: 発光層
5: 電子輸送層
6: 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される重合性化合物(A)から導かれる構造単位と、トリアリールボラン誘導体(C)から導かれる構造単位とを有することを特徴とする高分子化合物。
【化1】

(式(1)中、R29は重合性官能基を有する置換基を表し、R4、R9、R14、R19、およびR22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R1〜R33のうちR29、R4、R9、R14、R19、およびR22以外は水素原子を表す。)
【請求項2】
前記高分子化合物が、下記一般式(2−1)で表される燐光発光性の重合性化合物(B)から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物。
【化2】

(式(2−1)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R41とR42とで、R42とR43とで、R43とR44とで、R44とR45とで、R45とR46とで、R46とR47とで、R47とR48とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよく、Lは、下記一般式(2−2)〜(2−4)からなる群より選ばれる2座配位子を表す。)
【化3】

(式(2−2)中、R51〜R58のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR51〜R58は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R51とR52とで、R52とR53とで、R53とR54とで、R54とR55とで、R55とR56とで、R56とR57とで、R57とR58とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【化4】

(式(2−3)中、R61〜R63のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R61とR62とで、R62とR63とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【化5】

(式(2−4)中、R71〜R74のうち少なくとも1つは、重合性官能基を有する置換基を表し、該重合性官能基を有する置換基ではないR71〜R74は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、R71とR72とで、R72とR73とで、R73とR74とで、互いに結合して縮合環を形成していてもよい。)
【請求項3】
前記重合性化合物(A)から導かれる構造単位数をxとし、前記トリアリールボラン誘導体(C)から導かれる構造単位数をyとして、x/(x+y)およびy/(x+y)がともに0.05〜0.95である、請求項1および2のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【請求項4】
前記重合性官能基を有する置換基が、下記式(a1)〜(a12)で表されるいずれかである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化6】

【請求項5】
前記トリアリールボラン誘導体が下記式(G)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子化合物。
【化7】


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−57068(P2013−57068A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229767(P2012−229767)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2006−281557(P2006−281557)の分割
【原出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】