説明

高分子成型体の製造方法

【課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、工業的に有利かつ安価で、機械特性および寸法安定性に優れた高分子成型体の製造方法、ならびに高出力、高エネルギー容量および長期耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質部品、膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の高分子成型体の製造方法は、保護基を含む構成単位として、一般式(P1)および/または(P2)で表される構成単位を含有する高分子材料を成型する工程の後、脱保護処理溶液に接触させる工程を有する該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめる高分子成型体の製造方法であって、脱保護処理溶液がアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種の脱保護促進剤を含むことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的に有利かつ安価で、機械特性および寸法安定性に優れた高分子成型体の製造方法、ならびに高出力、高エネルギー容量および長期耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質部品、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリエーテルケトンや芳香族ポリエーテルエーテルケトンなどの芳香族ポリケトンは、熱可塑性樹脂中最高レベルの耐熱性(連続使用温度)、耐熱変形性を有し、難燃性が優れると同時に燃焼時の発煙や腐食性ガスの発生が極めて少ないという従来にない特性を備えた結晶性樹脂である。また、機械特性、耐熱水性、耐放射線性、耐薬品性も非常に優れている。これらの性質は主として、融点が高いことと結晶性が高いことに起因する。
【0003】
しかしながら、芳香族ポリケトンの高い結晶化度は、ポリマーの重合や加工の妨げとなり、芳香族ポリケトンを製造するのに好ましい温度、例えば250℃以下の温度において典型的な有機溶媒に不溶性であり、芳香族ポリケトンの分子量を高くすることが困難であった。また、高分子量の芳香族ポリケトンが得られたとしても、高い融点と溶剤不溶性から加工方法が限定され、幅広い用途に展開することができなかった。
【0004】
このような欠点を解決するために、まず高分子量の非晶性重合体としてポリケタールケトンを合成し、その後、ケタール基の脱保護により高分子量の結晶性の芳香族ポリエーテルケトンを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
【0005】
特許文献2及び非特許文献1には、ケタール基脱保護の製造方法として、塩酸または硫酸のような酸触媒の存在下に、160℃以上の加圧条件でポリマー粉末を反応させる方法が提案されている。しかし、この方法では転化率を高め、定量的に脱保護させるためには高温かつ加圧が必要であり、工業的に有利とは言えない。さらに、当該文献においては、ポリマー粉末の処理についてのみの記載しかなく、成型後に脱保護させるといった高分子成型体の製造方法としての着想はなかった。
【0006】
さらに、特許文献3にはイオン性基を含有する高分子電解質成型体の製造方法が提案され、脱保護条件としては95℃、6Nの塩酸水溶液での24h処理が記載されている。しかしながら、高温高濃度の酸性水溶液での処理は工業的に有利な方法ではなかった。
【特許文献1】特公平02−14334号公報
【特許文献2】特公平02−1844号公報
【特許文献3】特開2006−261103号公報
【非特許文献1】「マクロモレキュールズ」(Macromolecules), 1987, vol. 20, p.1204.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、工業的に有利かつ安価で、機械特性および寸法安定性に優れた高分子成型体の製造方法、ならびに高出力、高エネルギー容量および長期耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質部品、膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の高分子成型体の製造方法は、保護基を含む構成単位として、下記一般式(P1)および/または(P2)で表される構成単位を含有する高分子材料を成型する工程の後、脱保護処理溶液に接触させる工程を有する該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめる高分子成型体の製造方法であって、脱保護処理溶液がアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種の脱保護促進剤を含むことを特徴とするものである。
【0009】
【化1】

【0010】
(一般式(P1)および(P2)において、A〜Aは任意の2価の有機基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。一般式(P1)および(P2)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
本発明の高分子電解質部品、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる高分子成型体の製造方法を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工業的に有利かつ安価で、機械特性および寸法安定性に優れた高分子成型体の製造方法、ならびに高出力、高エネルギー容量および長期耐久性を達成することができる実用性に優れた高分子電解質部品、膜電極複合体、高分子電解質型燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明は、前記課題、つまり、工業的に有利かつ安価で、機械特性および寸法安定性に優れた高分子成型体の製造方法について鋭意検討し、保護基を含む構成単位として、下記一般式(P1)および/または(P2)で表される構成単位を含有する高分子材料を成型する工程の後、脱保護処理溶液に接触させる工程を有する該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめる高分子成型体の製造方法であって、脱保護処理溶液がアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種の脱保護促進剤を含むことで、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0014】
【化2】

【0015】
(一般式(P1)および(P2)において、A〜Aは任意の2価の有機基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。一般式(P1)および(P2)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
本発明の高分子成型体としては、膜類(フィルムおよびフィルム状のものを含む)の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状、微多孔状、コーティング類、発泡体類など、使用用途によって様々な形態をとりうる。ポリマ−の設計自由度の向上および機械特性や耐溶剤性等の各種特性の向上が図れることから、幅広い用途に適応可能である。特に、高分子成型体がイオン性基を含有する高分子電解質成型体であるとき、さらには高分子成型体が膜類であるときに好適である。以下、高分子膜の場合において説明する。
【0016】
芳香族ポリエーテルケトン(PEK)系ポリマーはそのパッキングの良さおよび極めて強い分子間凝集力から結晶性を示し、一般的な溶剤に全く溶解しない性質がある。これに対し、本発明によって得られる高分子成型体は、ポリマー中に保護基を含有させることにより、特にこれまで製膜が困難なものが多かったPEKポリマー等の結晶性ポリマーの結晶性を低減させることで溶解性を付与し、製膜に使用できるようにしたものである。さらに、膜等に成形された後には、該ポリマーの分子鎖のパッキングを良くし、分子間凝集力や再び結晶性を付与させるために保護基の少なくとも一部を脱保護せしめ、耐熱水性や耐熱メタノール性などの耐溶剤性と寸法安定性、引張強伸度、引裂強度や耐疲労性等の機械特性、メタノールや水素などの燃料遮断性を大幅に向上させた高分子膜を得るものであるが、本発明の製造工程を経た場合に、特に本発明によって得られる高分子膜は製膜性(加工性)に加え、製造コストならびに寸法安定性、機械特性、耐溶剤性を両立できるという特徴を有する。また、高分子電解質膜として使用した場合には、前記特徴に加えて、プロトン伝導性、燃料遮断性、膨潤収縮に対する長期耐久性を両立することができる。
【0017】
本発明において、保護基とは後の段階で除去することを前提に、一時的に導入される置換基であり、反応性の高い官能基を保護し、その後の反応に対して不活性とするものであり、反応後に脱保護して元の官能基に戻すことのできるものである。すなわち、保護される官能基と対となるものであり、例えばt−ブチル基を水酸基の保護基として用いる場合があるが、同じt−ブチル基がアルキレン鎖に導入されている場合は、これを保護基とは呼ばない。保護基を導入する反応を保護(反応)、除去する反応を脱保護(反応)と呼称される。本発明において、保護基を導入する段階としてはモノマー段階からでもオリゴマー段階からでもポリマー段階でもよく、適宜選択することが可能である。
【0018】
本発明に使用する保護反応としては、反応性や安定性の点で、ケトン部位をアセタールまたはケタール部位で保護/脱保護する方法、ケトン部位をアセタールまたはケタール部位のヘテロ原子類似体、例えばチオアセタールやチオケタール、で保護/脱保護する方法であり、保護基を含む構成単位としては、前記一般式(P1)および(P2)から選ばれる少なくとも1種を含有するものである。
【0019】
なかでも、化合物の臭いや反応性、安定性等の点で、前記一般式(P1)および(P2)において、EがOである、すなわち、ケトン部位をアセタールまたはケタール部位で保護/脱保護する方法がより好ましい。さらに、本発明において、一般式(P1)中のRおよびRとしては、安定性の点でアルキル基であることがより好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、最も好ましく炭素数1〜3のアルキル基である。また、一般式(P2)中のRとしては、安定性の点で炭素数1〜7のアルキレン基であることがより好ましく、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。Rの具体例としては、−CHCH−、−CH(CH )CH −、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CH3 )CH −、−C(CH CH(CH)−、−C(CHO(CH−、−CHCHCH −、−CHC(CHCH−等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明に使用する少なくとも保護基を含有する高分子成型体としては、前記一般式(P1)または(P2)構成単位のなかでも、耐加水分解性などの安定性の点から少なくとも前記一般式(P2)を有するものがより好ましく用いられる。さらに、前記一般式(P2)のRとしては炭素数1〜7のアルキレン基、すなわち、Cn12n1(n1は1〜7の整数)で表される基であることが好ましく、安定性、合成の容易さの点から−CHCH−、−CH(CH )CH −、または−CHCHCH−から選ばれた少なくとも1種であることが最も好ましい。
【0021】
前記一般式(P1)および(P2)中のA〜Aとして好ましい有機基は、フェニレン基、ナフチレン基、またはビフェニレン基である。これらは任意に置換されていてもよい。本発明の芳香族ポリエーテル系重合体としては、溶解性および原料入手の容易さから、前記一般式(P2)中のAおよびAが共にフェニレン基である、すなわち下記一般式(P3)で表される構成単位を含有することがより好ましく、最も好ましくはAおよびAが共にp−フェニレン基である。
【0022】
【化3】

【0023】
(一般式(P3)において、n1は1〜7の整数である。一般式(P3)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
本発明の高分子成型体の製造方法は、下記一般式(P1)および/または(P2)で表される構成単位を含有する高分子成型体を、脱保護促進剤を含む脱保護処理溶液と反応させることにより、マイルドな条件下でも反応が均一に進行し、反応時間が短く高い転化率が得られる。本発明の製造方法であれば、高分子成型体といった固体状態のポリマーであってもマイルドな条件下で高転化率を達成することが可能である。
【0024】
また、本発明の高分子成型体の製造方法は、転化に要する反応時間が短く、低温で反応できることから製造コスト低減が可能である。また、酸処理の低温低濃度化により、95℃以上での高温処理が必要であった従来技術では困難であったロール to ロールの連続生産による大幅な製造コスト低減が可能となる。さらに、高温高濃度の塩酸使用による生産設備の腐食を防ぎ、開放系での処理が可能となることから、設備の簡素化による製造コスト低減も可能となる。
【0025】
本発明において使用する脱保護促進剤としては、反応性の点からアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種であることが必要である。
【0026】
本発明で使用する高分子材料が下記一般式(P2)で表される構成単位を有する場合には、アルコール類やアルキルオルトエステル類と反応させることで環状ケタールから非環状ケタールに変換できるので、転化率を高めたり、条件を緩和することが可能である。また、アルキルケトン類やアルキルアルデヒド類と反応させることで、アルキルケトン類やアルキルアルデヒド類側への保護基交換を起こすことができるので、転化率を高めたり、条件を緩和することが可能である。
【0027】
また、本発明で使用する高分子材料が下記一般式(P1)で表される構成単位を有する場合においても同様にアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種を使用することで転化率を高めたり、条件を緩和することが可能である。なかでも、転化率の点でアルキルオルトエステル類がより好ましい。
【0028】
アルキルオルトエステル類の具体例としては、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトけい酸テトラメチル、オルトけい酸テトラエチル、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソランなどが挙げられる。転化率とコストの点で、より好ましくはオルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチルであり、最も好ましくはオルトギ酸トリメチルである。
【0029】
また、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、2−メチルー1−ブタノール、3−ペンタノール、n-ヘキシルアルコールなどの炭素数1〜6のアルコールが挙げられ、転化率とコストと親水性の点で、より好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールである。
【0030】
アルキルケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどの炭素数1〜6のアルキルケトン類が挙げられ、転化率とコストと親水性の点で低級であるアセトンがより好ましい。
【0031】
アルキルアルデヒド類の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの炭素数1〜6のアルキルアルデヒドが挙げられる。また、これら脱保護促進剤としては上記から選ばれる2種類以上を共に使用してもよい。
【0032】
本発明において使用する脱保護処理溶液に含まれる脱保護促進剤の含有量としては、転化率およびコストの点で、脱保護処理溶液全体に対して、0.1wt%以上、50wt%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1wt%以上、40wt%以下、最も好ましくは3wt%以上、35wt%以下である。含有量が0.1wt%未満の場合には、反応時間が長くなり、高い転化率が得られない場合がある。また、50wt%を越える場合にも、コストが上がったり、副反応が生じたり、反応時間が長くなったり、高い転化率が得られない場合がある。
【0033】
本発明において使用する脱保護処理溶液としては、反応時間短縮や転化率の点で、さらに酸触媒として強酸を含有することがより好ましい。使用する強酸の具体例としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。なかでも転化率とコストの点で、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸がさらに好ましい。なかでも工業的な観点から硫酸が最も好ましい。また、強酸は上記から選ばれる2種類以上を共に使用してもよい。
【0034】
なお、本発明において使用する脱保護処理溶液としては、アルキルオルトエステル類を含む溶液と強酸を含有する水溶液を使用する場合、これらを混合して使用してもよいが、アルキルオルトエステル類の加水分解を考慮し、まずアルキルオルトエステル類で処理した後、強酸を含有する水溶液で処理することも好適である。
【0035】
本発明において使用する脱保護処理溶液の処理温度としては、製造コストや転化率の点で0℃以上、80℃以下がより好ましく、さらに好ましくは20℃以上、40℃以下である。処理温度が0℃未満あるいは80℃を越える場合には、製造コストが高くなり好ましくない。
【0036】
次に、本発明に使用する高分子材料について説明する。本発明に使用する少なくとも保護基を含有する高分子材料は、機械強度や化学的安定性などの点から、炭化水素系ポリマーの中でも主鎖に芳香環を有するポリマーがさらに好ましい。主鎖構造は、芳香環を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばエンジニアリングプラスチックとして使用されるような十分な機械強度を有するものが好ましい。また、本発明は結晶性を示す高分子膜を作製する場合に特に好適である。
【0037】
本発明に使用する主鎖に芳香環を有するポリマーの具体例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンホキシド、ポリエーテルホスフィンホキシド、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドスルホン等の構成成分の少なくとも1種を含むポリマーが挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有しているポリマーの総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含むとともに、特定のポリマー構造を限定するものではない。
【0038】
前記主鎖に芳香環を有するポリマーのなかでも、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアリーレンエーテル系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレンホスフィンホキシド、ポリエーテルホスフィンホキシド等のポリマーが、機械強度、加工性および耐加水分解性の面からより好ましい。
【0039】
具体的には下記一般式(T1)で示される繰返し単位を有する主鎖に芳香族を含有するポリマーが挙げられる。
【0040】
【化4】

【0041】
(ここで、Z、Zは芳香環を含む有機基を表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。ZおよびZの少なくとも1種のうち、少なくとも一部はイオン性基を含有する。Yは電子吸引性基を表す。YはOまたはSを表す。aおよびbはそれぞれ独立に0または正の整数を表し、ただしaとbは同時に0ではない。)
かかる一般式(T1)で示される繰返し単位を有する主鎖に芳香族を含有するポリマーの中でも、一般式(T1−1)〜一般式(T1−6)で示される繰返し単位を有するポリマーは耐加水分解性、機械強度および製造コストの点でより好ましい。なかでも、機械強度や製造コストの面から、YがOである芳香族ポリエーテル系重合体がさらに好ましく、最も好ましくは一般式(T1−3)で示される繰返し単位を有するもの、すなわち、芳香族ポリエーテルケトン系重合体が最も好ましい。
【0042】
【化5】

【0043】
(ここで、Z、Zは芳香環を含む有機基を表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。ZおよびZの少なくとも1種のうち、少なくとも一部はイオン性基を含有する。aおよびbはそれぞれ独立に0または正の整数を表し、ただしaとbは同時に0ではない。)
として好ましい有機基は、フェニレン基およびナフチレン基である。これらは置換されていてもよい。
【0044】
一般式(T1−4)におけるRで示される有機基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビニル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、フェニルフェニル基などである。工業的な入手の容易さの点ではRとして最も好ましいのはフェニル基である。
【0045】
本発明において、芳香族ポリエーテル系重合体とは、主として芳香環から構成される重合体において、芳香環ユニットが連結する様式としてエーテル結合が含まれているものをいう。エーテル結合以外に、直接結合、ケトン、スルホン、スルフィド、各種アルキレン、イミド、アミド、エステル、ウレタン等、芳香族系ポリマーの形成に一般的に使用される結合様式が存在していても良い。エーテル結合は主構成成分の繰り返し単位あたり1個以上あることが好ましい。芳香環は炭化水素系芳香環だけでなく、ヘテロ環などを含んでいても良い。また、芳香環ユニットと共に一部脂肪族系ユニットがポリマーを構成していてもかまわない。芳香族ユニットは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族基、アリロキシ基等の炭化水素系基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、カルボキシル基、ホスホン酸基、水酸基等、任意の置換基を有していても良い。
【0046】
芳香族ポリエーテル系重合体が直接結合等のエーテル結合以外の結合様式を含む場合においても、加工性向上の点から、導入される保護基の位置としては芳香族エーテル系重合体部分であることがより好ましい。
【0047】
本発明の高分子成型体の製造方法は、高分子材料が保護基とともにイオン性基を含有する場合、すなわち高分子電解質材料の場合に特に好適である。すなたち、イオン性基を含有する高分子電解質材料は、通常、熱可塑性がないか、あるいは、耐熱性が低いため、保護基を脱保護した後に、成型することは困難である。本発明の高分子成型体の製造方法であれば、保護基を含有する状態で成型を行い、成型後に保護基を脱保護し、不溶不融な高分子成型体とすることができる。
【0048】
ポリマー中のイオン性基はブロック共重合で導入しても、ランダム共重合で導入しても構わない。用いるポリマーの化学構造や結晶性の高さによって適宜選択することができる。燃料遮断性や低含水率が必要である場合にはランダム共重合がより好ましく、プロトン伝導性や高含水率が必要である場合にはブロック共重合がより好ましく用いられる。
【0049】
本発明に使用されるイオン性基は、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基が好ましく用いられる。ここで、スルホン酸基は下記一般式(f1)で表される基、スルホンイミド基は下記一般式(f2)で表される基[一般式中Rは任意の原子団を表す。]、硫酸基は下記一般式(f3)で表される基、ホスホン酸基は下記一般式(f4)で表される基、リン酸基は下記一般式(f5)または(f6)で表される基、カルボン酸基は下記一般式(f7)で表される基を意味する。
【0050】
【化6】

【0051】
かかるイオン性基は前記官能基(f1)〜(f7)が塩となっている場合を含むものとする。前記塩を形成するカチオンとしては、任意の金属カチオン、NR(Rは任意の有機基)等を例として挙げることができる。金属カチオンの場合、その価数等特に限定されるものではなく、使用することができる。好ましい金属イオンの具体例を挙げるとすれば、Li、Na、K、Rh、Mg、Ca、Sr、Ti、Al、Fe、Pt、Rh、Ru、Ir、Pd等が挙げられる。中でも、高分子電解質膜としては、安価で、溶解性に悪影響を与えず、容易にプロトン置換可能なNa、Kがより好ましく使用される。
【0052】
これらのイオン性基は前記高分子電解質膜中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基を有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
【0053】
高分子電解質膜中のスルホン酸基の量は、スルホン酸基密度(mmol/g)の値として示すことができる。本発明における高分子電解質膜のスルホン酸基密度は、プロトン伝導性、燃料クロスオーバーおよび機械強度の点から0.1〜5.0mmol/gであることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2.5mmol/g、燃料クロスオーバーの点から最も好ましくは0.8〜2.0mmol/gである。スルホン酸基密度が、0.1mmol/gより低いと、プロトン伝導性が低いため十分な発電特性が得られないことがあり、5.0mmol/gより高いと燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な耐水性および含水時の機械的強度が得られないことがある。
【0054】
ここで、スルホン酸基密度とは、乾燥した高分子電解質膜1グラムあたりに導入されたスルホン酸基のモル数であり、値が大きいほどスルホン酸基の量が多いことを示す。スルホン酸基密度は、元素分析、中和滴定により求めることが可能である。これらの中でも測定の容易さから、元素分析法を用い、S/C比から算出することが好ましいが、スルホン酸基以外の硫黄源を含む場合などは、中和滴定法によりイオン交換容量を求めることもできる。本発明の高分子電解質材料は、後述するようにイオン性基を有するポリマーとそれ以外の成分からなる複合体である態様を含むが、その場合もスルホン酸基密度は複合体の全体量を基準として求めるものとする。
【0055】
中和滴定の手順は下記のとおりである。測定は3回以上行ってその平均をとるものとする。
(1) 試料をミルにより粉砕し、粒径を揃えるため、目50メッシュの網ふるいにかけ、ふるいを通過したものを測定試料とする。
(2) サンプル管(蓋付き)を精密天秤で秤量する。
(3) 前記(1)の試料 約0.1gをサンプル管に入れ、40℃で16時間、真空乾燥する。
(4) 試料入りのサンプル管を秤量し、試料の乾燥重量を求める。
(5) 塩化ナトリウムを30重量%メタノール水溶液に溶かし、飽和食塩溶液を調製する。
(6) 試料に前記(5)の飽和食塩溶液を25mL加え、24時間撹拌してイオン交換する。
(7) 生じた塩酸を0.02mol/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液(0.1体積%)を2滴加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(8) スルホン酸基密度は下記の式により求める。
【0056】
スルホン酸基密度(mmol/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明に使用されるイオン性基を有するポリマーには本発明の目的を阻害しない範囲において、他の成分、例えば導電性若しくはイオン伝導性を有さない不活性なポリマーや有機あるいは無機の化合物、が含有されていても構わない。
【0057】
芳香族ポリエーテル系重合体に対してイオン性基を導入する方法は、イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法と、高分子反応でイオン性基を導入する方法が挙げられる。
【0058】
イオン性基を有するモノマーを用いて重合する方法としては、繰り返し単位中にイオン性基を有したモノマーを用いれば良く、必要により適当な保護基を導入して重合後脱保護基を行えばよい。かかる方法は例えば ジャーナル オブ メンブレン サイエンス(Journal of Membrane Science), 197, 2002, p.231-242 に記載がある。
【0059】
高分子反応でイオン性基を導入する方法について例を挙げて説明すると、芳香族系高分子へのホスホン酸基の導入は、例えばポリマー プレプリンツ(Polymer Preprints), 51, 2002, p.750等に記載の方法によって可能である。芳香族系高分子へのリン酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子のリン酸エステル化によって可能である。芳香族系高分子へのカルボン酸基の導入は、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基を有する芳香族系高分子を酸化することによって可能である。芳香族系高分子への硫酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有する芳香族系高分子の硫酸エステル化によって可能である。
【0060】
芳香族系高分子をスルホン化する方法、すなわちスルホン酸基を導入する方法としては、たとえば特開平2−16126号公報あるいは特開平2−208322号公報等に記載の方法が公知である。具体的には、例えば、芳香族系高分子をクロロホルム等の溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応することによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族系高分子をスルホン化するものであれば特に制限はなく、上記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族系高分子をスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、容易に制御できる。芳香族系高分子へのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。
【0061】
本発明に使用する芳香族ポリエーテル系重合体の合成方法については、実質的に十分な高分子量化が可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応、またはハロゲン化芳香族フェノール化合物の芳香族求核置換反応を利用して合成することができる。
【0062】
具体的には、例えば前記一般式(P1)および(P2)で表される構成単位を含有する芳香族ポリエーテル系重合体は、2価フェノール化合物としてそれぞれ下記一般式(P1−1)および(P2−1)で表される化合物を使用し、芳香族活性ジハライド化合物との芳香族求核置換反応により合成することが可能である。前記一般式(P1)および(P2)で表される構成単位が2価フェノール化合物、芳香族活性ジハライド化合物のどちら側由来でも構わないが、モノマーの反応性の反応性を考慮して2価フェノール化合物由来とする方がより好ましい。
【0063】
【化7】

【0064】
(一般式(P1−1)および(P2−1)において、Ar〜Arは任意の2価のアリーレン基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表す。一般式(P1−1)および一般式(P2−1)で表される化合物は任意に置換されていてもよい。)
本発明に使用する、特に好ましい2価フェノール化合物の具体例としては、下記一般式(r1)〜(r10)で表される化合物、並びにこれらの2価フェノール化合物由来の誘導体が挙げることができる。
【0065】
【化8】

【0066】
これら2価フェノール化合物のなかでも、安定性の点から一般式(r4)〜(r10)で表される化合物がより好ましく、さらに好ましくは一般式(r4)、(r5)および(r9)で表される化合物、最も好ましくは一般式(r4)で表される化合物である。
【0067】
本発明によって得られる高分子成型体中に含有する保護基の量が多い場合には、溶剤溶解性があるため核磁気共鳴スペクトル(NMR)が保護基の定量に好適である。しかしながら、保護基の量がごく少量で溶剤不溶性である場合には、NMRで正確に定量することは困難な場合がある。そうした場合には、昇温熱脱離−質量分析法(TPD−MS)による発生ガス分析、あるいは熱分解ガスクロマトグラフ、熱分解GC−MSが好適な定量方法となる。
【0068】
例えば、本発明によって得られる高分子成型体が、前記一般式(P2)を構成単位として含有し、Rが−CHCH−である場合においては、昇温熱脱離−質量分析法(TPD−MS)による発生ガス分析によって少なくともCOガスおよび/またはCガスが検出される。
【0069】
本発明によって得られる高分子成型体の発生気体量において、CO発生気体量とC発生気体量の合計が、高分子成型体の乾燥重量に対して20重量%以下であることがより好ましい。成型用高分子材料としては、溶剤可溶性の点から1重量%以上、20重量%以下であることがより好ましい。一方、本発明で得られた高分子成型体として、機械特性を必要とする場合には、1重量%以下であることがさらに好ましく、さらに好ましくは0.3重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。
【0070】
かかる本発明の高分子電解質材料のTPD−MS法によるケタール基の含有量定量は、次の方法で行う。すなわち、検体となる高分子電解質材料を実施例に記載の条件にて加熱時発生気体分析を行う。
【0071】
前記芳香族活性ジハライド化合物としては、2価フェノール化合物との芳香族求核置換反応により高分子量化が可能なものであれば、特に限定される物ではない。芳香族活性ジハライド化合物のより好適な具体例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。中でも4,4’−ジクロロジフェニルケトン、4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが結晶性付与、機械強度、耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点からより好ましく、重合活性の点から4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。これら芳香族活性ジハライド化合物は、単独で使用することができるが、複数の芳香族活性ジハライド化合物を併用することも可能である。
【0072】
本発明に使用される芳香族ポリエーテル系重合体としては、下記一般式(P5)で表される構成単位を有するもので例示されるイオン性基を有するモノマーも好ましく併用される。芳香族活性ジハライド化合物にイオン酸基を導入した化合物をモノマーとして用いることは、イオン性基の量を精密制御が可能な点から好ましい。イオン性基としてスルホン酸基を有するモノマーの例としては、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルフェニルホスフィンオキシド、等を挙げることができる。
【0073】
プロトン伝導度および耐加水分解性の点からイオン性基としてはスルホン酸基が最も好ましいが、本発明に使用されるイオン性基を有するモノマーは他のイオン性基を有していても構わない。なかでも耐熱メタノール性、燃料クロスオーバー抑制効果の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンがより好ましく、重合活性の点から3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンが最も好ましい。
【0074】
【化9】

【0075】
(一般式(P5)中、MおよびMは水素、金属カチオン、アンモニウムカチオン、a1およびa2は1〜4の整数を表す。一般式(P5)で表される構成単位はさらに任意に置換されていてもよい。)
芳香族活性ジハライド化合物と2価フェノール化合物の芳香族求核置換反応により、芳香族ポリエーテル系重合体を得る場合には、前記2価フェノール化合物として少なくとも前記一般式(P1−1)および/または(P2−1)で表されるものを使用することが必要であるが、他の2価フェノール化合物を併用することも可能である。共重合させる2価フェノール化合物のとしては、芳香族求核置換反応による芳香族ポリエーテル系重合体の重合に用いることができる各種2価フェノール化合物を使用することができ、特に限定されるものではない。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸基が導入されたものをモノマーとして用いることもできる。
【0076】
本発明において、前記一般式(P1−1)および/または(P2−1)で表される2価フェノール化合物とともに併用される2価フェノール化合物は、特に限定されるものではなく、加工性、結晶性、燃料遮断性、機械強度等を考慮して適宜選択することが可能である。
【0077】
併用される2価フェノールの好適な具体例としては、結晶性を向上できる基という観点から、下記一般式(X−1)〜(X−6)で表される2価フェノール化合物が挙げられる。結晶性の向上により、得られる高分子成型体は、機械特性、耐溶剤性、燃料遮断性、長期耐久性等に優れた性能を発揮できるので好ましく使用できる。
【0078】
【化10】

【0079】
(一般式(X−1)〜(X−6)で表される基は、任意に置換されていてもよいが、イオン性基は含まない。)
芳香族求核置換反応による重合は、上記モノマー混合物を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合反応は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。
【0080】
かかる重合反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを使用することができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用することができるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
【0081】
芳香族求核置換反応による重合に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。かかる塩基性化合物の存在下で反応させる芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際はトルエンなどを反応系に共存させて、共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水剤を使用することもできる。
【0082】
かかる芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるように、モノマーを仕込むことが好ましい。ポリマー濃度が、5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向があり、一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
【0083】
芳香族ポリケタール系重合体のGPC法による重量平均分子量は、好ましくは1万から100万、さらに好ましくは10万から60万である。かかる重量平均分子量が、1万未満では機械特性が不十分な場合があり、一方、100万を越えると加工性に劣る場合がある。
【0084】
本発明で得られる高分子成型体は、燃料電池用の高分子電解質部品として特に好ましく使用することができる。本発明における高分子電解質部品とは、高分子電解質成型体および高分子電解質材料を含有する部品を意味する。本発明において、高分子電解質部品の形状としては、前述の高分子成型体と同様である。
【0085】
本発明によって得られる高分子成型体を燃料電池用として使用する際には、膜の状態および触媒層のバインダーに好適である。また、本発明によって得られる高分子成型体には、通常の高分子化合物に使用される可塑剤、安定剤あるいは離型剤等の添加剤を、本発明の目的に反しない範囲内で添加することができる。また、諸特性に悪影響をおよぼさない範囲内で、機械的強度、熱安定性、加工性などの向上を目的に、各種ポリマー、エラストマー、フィラー、微粒子、各種添加剤などを含有させてもよい。
【0086】
本発明で使用する高分子電解質材料を膜に転化する方法に特に制限はないが、ケタール等の保護基を有する段階で、溶液状態より製膜する方法あるいは溶融状態より製膜する方法等が可能である。前者では、たとえば、該高分子電解質材料をN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、その溶液をガラス板等の上に流延塗布し、溶媒を除去することにより製膜する方法が例示できる。
【0087】
製膜に用いる溶媒としては、高分子電解質材料を溶解し、その後に除去し得るものであればよく、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホントリアミド等の非プロトン性極性溶媒、γ−ブチロラクトン、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、あるいはイソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水およびこれらの混合物が好適に用いられるが、非プロトン性極性溶媒が最も溶解性が高く好ましい。
【0088】
本発明で使用する高分子電解質材料を膜へ転化する方法の具体例としては、該芳香族ポリエーテル系重合体から構成される膜を前記手法により作製後、ケタールで保護したケトン部位の少なくとも一部を脱保護せしめ、ケトン部位とするものである。この方法によれば、溶解性に乏しい低スルホン酸基量ポリマーの溶液製膜が可能となり、プロトン伝導性と燃料クロスオーバー抑制効果の両立、優れた耐溶剤性、機械特性、寸法安定性を達成可能となる。
【0089】
本発明の高分子電解質膜の膜厚としては、好ましくは1〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには1μmより厚い方がより好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μmより薄い方が好ましい。かかる膜厚のさらに好ましい範囲は3〜500μm、特に好ましい範囲は5〜250μmである。かかる膜厚は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができる。
【0090】
本発明で得られる高分子電解質成型体とは、本発明の高分子電解質材料を含有する成型体を意味する。本発明において、具体的な成型体の形状としては、膜類(フィルムおよびフィルム状のものを含む)の他、板状、繊維状、中空糸状、粒子状、塊状、微多孔状、コーティング類、発砲体類など、使用用途によって様々な形態をとりうる。ポリマ−の設計自由度の向上および機械特性や耐溶剤性等の各種特性の向上が図れることから、幅広い用途に適応可能である。特に高分子電解質成型体が膜類であるときに好適である。本発明の高分子電解質材料を燃料電池用として使用する際には、特に膜の状態および触媒層のバインダーに好適である。
【0091】
本発明で使用する高分子電解質材料は、種々の用途に適用可能である。例えば、体外循環カラム、人工皮膚などの医療用途、ろ過用用途、イオン交換樹脂用途、各種構造材用途、電気化学用途に適用可能である。また、人工筋肉としても好適である。中でも種々の電気化学用途により好ましく利用できる。電気化学用途としては、例えば、燃料電池、レドックスフロー電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等が挙げられるが、中でも燃料電池が最も好ましい。さらに燃料電池のなかでも固体高分子型燃料電池に好適であり、これには水素を燃料とするものとメタノールなどの有機化合物を燃料とするものがあり、炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池に特に好ましく用いられる。炭素数1〜6の有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルが好ましく、メタノールが最も好ましく使用される。
【0092】
また、本発明の膜電極複合体とは、本発明の高分子電解質材料を高分子電解質膜や触媒層に含有する膜電極複合体を意味する。さらに、膜電極複合体とは、高分子電解質膜と電極が複合化された部品である。
【0093】
かかる高分子電解質膜を燃料電池として用いる際の高分子電解質膜と電極の接合法については特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, p.269.記載の化学メッキ法、電気化学協会編(J. Electrochem. Soc.)、エレクトロケミカル サイエンス アンド テクノロジー (Electrochemical Science and Technology),1988, 135, 9, p.2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
【0094】
燃料電池のなかでも固体高分子型燃料電池に好適であり、これには水素を燃料とするものとメタノールなどの有機化合物を燃料とするものがあり、炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池に特に好ましく用いられる。炭素数1〜6の有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルが好ましく、メタノールが最も好ましく使用される。
【0095】
本発明の膜電極複合体を使用した燃料電池の燃料としては、酸素、水素およびメタン、エタン、プロパン、ブタン、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、ギ酸、酢酸、ジメチルエーテル、ハイドロキノン、シクロヘキサンなどの炭素数1〜6の有機化合物およびこれらと水との混合物等が挙げられ、1種または2種以上の混合物でもよい。特に発電効率や電池全体のシステム簡素化の観点から水素、炭素数1〜6の有機化合物を含む燃料が好適に使用され、発電効率の点でとりわけ好ましいのは水素およびメタノール水溶液である。
【0096】
メタノール水溶液を用いる場合、メタノールの濃度としては、使用する燃料電池のシステムによって適宜選択されるが、できる限り高濃度のほうが長時間駆動の観点から好ましい。例えば、送液ポンプや送風ファンなど発電に必要な媒体を膜電極複合体に送るシステムや、冷却ファン、燃料希釈システム、生成物回収システムなどの補機を有するアクティブ型燃料電池はメタノールの濃度30〜100%以上の燃料を燃料タンクや燃料カセットにより注入し、0.5〜20%程度に希釈して膜電極複合体に送ることが好ましく、補機が無いパッシブ型の燃料電池はメタノールの濃度が10〜100%の範囲の燃料が好ましい。
【0097】
さらに、本発明の固体高分子型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、テレビ、ラジオ、ミュージックプレーヤー、ゲーム機、ヘッドセット、DVDプレーヤーなどの携帯機器、産業用などの人型、動物型の各種ロボット、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替、もしくはこれらとのハイブリット電源として好ましく用いられる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。また、本実施例中には化学構造式を挿入するが、該化学構造式は読み手の理解を助ける目的で挿入するものであり、ポリマーの重合成分の化学構造、正確な組成、並び方、スルホン酸基の位置、数、分子量などを必ずしも正確に表すわけではなく、これらに限定されるものでない。
【0099】
(1)重量平均分子量
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
【0100】
(2)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
下記の測定条件で、H−NMRの測定を行い、構造確認および4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランの混合比の定量を行った。該混合比(mol%)は7.6ppm(4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン由来)と7.2ppm(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン由来)に認められるピークの積分値から算出した。
【0101】
装置 :日本電子社製EX−270
共鳴周波数 :270MHz(H−NMR)
測定温度 :室温
溶解溶媒 :DMSO−d6
内部基準物質:TMS(0ppm)
積算回数 :16回
また、下記の測定条件で、固体13C−CP/MASスペクトルの測定を行い、ケタール基の残存有無確認を行った。
【0102】
装置 :Chemagnetics社製CMX−300Infinity
測定温度 :室温
内部基準物質:Siゴム(1.56ppm)
測定核 :75.188829MHz
パルス幅 :90°パルス、4.5μsec
パルス繰り返し時間:ACQTM=0.03413sec、PD=9sec
スペクトル幅:30.003kHz
試料回転 :7kHz
コンタクトタイム:4msec
(3)ケタール基の残存量の分析(TPD−MS測定)
検体となる高分子電解質材料を以下の条件にて加熱時発生気体分析を行い、C2H4Oなど(m/z=29)および2-メチル-1,3-ジオキソラン(m/z=73)の和からケタール基の残存量(wt%)を定量した。
A.使用装置
TPD-MS装置
<主な仕様>
加熱部 : TRC製加熱装置(電気ヒーター式加熱炉,石英ガラス製反応管)
MS部 : 島津製作所製 GC/MS QP5050A
B.試験条件
加熱温度条件 : 室温〜550℃(昇温速度10℃/min)
雰囲気 : He流(50mL/min)(岩谷産業(株)製,純度99.995%)
C.試料
使用試料量 : 約1.5mg
前処理 : 80℃,180分間真空乾燥
D.標準品
タングステン酸ナトリウム2水和物(H2O標準試料):シグマアルドリッチ,特級 99%
1-ブテン(有機成分標準試料 ): GLサイエンス,7.92%/N2バランス
二酸化炭素 :GLサイエンス,99.9%
二酸化硫黄 : 住友精化,1.000%/N2バランス
フェノール : 和光純薬,特級 99.0%
2-メチル-1,3-ジオキソラン(C2H4Oなどおよび2-メチル-1,3-ジオキソラン標準試料): 東京化成工業,特級 98%
E.測定室温度(室温の範囲)
23±2℃
(4)ケタール基の残存量の分析(固体13C−DD/MASスペクトル)
装置 :Chemagnetics社製CMX−300Infinity
測定 :DD/MAS法、緩和時間モード
観測核:13
内部基準物質:Siゴム(1.56ppm)
観測周波数 :75.497791MHz、100.6248425MHz
パルス幅 :4.2μsec、3.3μsec
パルス繰り返し時間:PD:150s、10s
スペクトル幅:30.003kHz
試料回転 :9kHz、14kHz
測定温度:室温
(5)メタノール透過量
膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬した後、20℃において1モル%メタノール水溶液を用いて測定した。
【0103】
H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには1モル%メタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部面積は1.77cmであった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間あたりのメタノール透過量を求めた。
【0104】
合成例1
下記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランを合成した。
【0105】
【化11】

【0106】
モンモリロナイトクレイK10(750g)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン495gをエチレングリコール1200mL/オルトギ酸トリメチル500mL中、生成する副生成物を蒸留させながらバス温110℃で反応させた。8h後、オルトギ酸トリメチルを500mL追加し、合計16h反応させた。反応溶液に酢酸エチル1Lを追加し、濾過後、2%炭酸水素ナトリウム水溶液で4回抽出を行った。さらに、濃縮後、得られたスラリー状の化合物をジクロロエタンで洗浄することにより、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン/4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン混合物(=85.5/14.5mol%)を得た。
【0107】
合成例2
前記一般式(G1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソランを合成した。
攪拌器、温度計及び留出管を備えた 500mlフラスコに、4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン49.5g、エチレングリコール134g、オルトギ酸トリメチル96.9g及びp−トルエンスルホン酸1水和物0.50gを仕込み溶解する。その後78〜82℃で2時間保温攪拌した。更に、内温を120℃まで徐々に昇温、ギ酸メチル、メタノール、オルトギ酸トリメチルの留出が完全に止まるまで加熱した。この反応液を室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を5%炭酸カリウム水溶液100mlで洗浄し分液後、溶媒を留去した。残留物にジクロロメタン80mlを加え結晶を析出させ、濾過し、乾燥して2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−1,3−ジオキソラン52.0gを得た。この結晶をGC分析したところ99.8%の2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−1,3−ジオキソランと0.2%の4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンであった。
【0108】
合成例3
下記一般式(G2)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを合成した。
【0109】
【化12】

【0110】
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1g(アルドリッチ試薬)を発煙硫酸(50重量%SO)150mL(和光純薬試薬)中、100℃で10h反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、上記一般式(G2)で示されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを得た。純度は99.3%であった。構造はH−NMRで確認した。不純物はキャピラリー電気泳動(有機物)およびイオンクロマトグラフィー(無機物)で定量分析を行った。
【0111】
合成例4
下記一般式(G3)で表されるポリマーを合成した。
(一般式中、*はその位置で上一般式の右端と下一般式の左端とが結合していることを表す。)
【0112】
【化13】

【0113】
炭酸カリウム6.91g、前記合成例1で得た2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン混合物10.23g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6.11g、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5.24gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、230℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記一般式(G3)で示される高分子電解質材料を得た。重量平均分子量は33万であった。得られた高分子電解質材料のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが4.65wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが2.91wt%と合計7.56wt%のケタール基由来物質が検出された。
【0114】
得られた一般式(G3)の少なくとも保護基およびイオン性基を含有する高分子電解質材料を溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下300℃で10分間熱処理し、膜を得た。
【0115】
合成例5
前記一般式(G3)で表されるポリマーを合成した。
【0116】
炭酸カリウム6.91g、前記合成例2で得た2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン10.23g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6.11g、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5.17gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、230℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記一般式(G3)で示される高分子電解質材料を得た。重量平均分子量は40万であった。得られた高分子電解質材料のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが5.71wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが3.13wt%と合計8.84wt%のケタール基由来物質が検出された。
【0117】
得られた一般式(G3)の少なくとも保護基およびイオン性基を含有する高分子電解質材料を溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下300℃で10分間熱処理し、膜を得た。
【0118】
合成例6
前記一般式(G4)で表されるポリマーを合成した。
(一般式中、*はその位置で上一般式の右端と下一般式の左端とが結合していることを表す。)
【0119】
【化14】

【0120】
炭酸カリウム6.91g、前記合成例2で得た2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン10.23g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5.24g、および前記合成例2で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6.89gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、230℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記一般式(G3)で示される高分子電解質材料を得た。重量平均分子量は40万であった。得られた高分子電解質材料のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが4.64wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが3.85wt%と合計8.49wt%のケタール基由来物質が検出された。
【0121】
得られた一般式(G4)の少なくとも保護基およびイオン性基を含有する高分子電解質材料を溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下300℃で10分間熱処理し、膜を得た。
【0122】
合成例7
下記一般式(G5)で表されるポリマーを合成した。
【0123】
【化15】

【0124】
炭酸カリウム6.91g、前記合成例1で得た2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン混合物10.23g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン8.73gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、230℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記一般式(G4)で示される高分子電解質材料を得た。重量平均分子量は20万であった。得られた高分子電解質材料のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが5.23wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが4.85wt%と合計10.08wt%のケタール基由来物質が検出された。
【0125】
得られた一般式(G5)の少なくとも保護基およびイオン性基を含有する高分子電解質材料を溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4h乾燥後、窒素下300℃で10分間熱処理し、膜を得た。
【0126】
実施例1
合成例4で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0127】
得られた高分子成型体はのTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.67wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.03wt%と合計0.70wt%のケタール基由来物質が検出され、転化率90.7mol%であった。
得られた膜は膜厚30μm、面積当たりのプロトン伝導度Aは5.0S/cm、MCOは0.77μmol/min・cmであった。伝導度が高く、燃料遮断性に優れていた。100℃のNMPに浸漬しても溶解することはなく、耐溶剤性に優れていた。また、折り曲げても割れることはなく、非常に強靱な膜であった。
【0128】
実施例2
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0129】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.83wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.04wt%と合計0.87wt%のケタール基由来物質が検出され転化率90.2mol%であった。
【0130】
実施例3
合成例5で得た高分子成型体(G3)を60℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0131】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.63wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.07wt%と合計0.70wt%のケタール基由来物質が検出され転化率92.1mol%であった。
【0132】
実施例4
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを30wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0133】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.34wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.04wt%と合計0.38wt%のケタール基由来物質が検出され転化率95.7mol%であった。
【0134】
実施例5
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で3N塩酸にオルトギ酸トリメチルを30wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0135】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、ケタール基由来物質が検出されなかった。
【0136】
実施例6
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にアセトンを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0137】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.88wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.05wt%と合計0.93wt%のケタール基由来物質が検出され転化率89.5mol%であった。
【0138】
実施例7
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にアセトアルデヒドを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0139】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.95wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.07wt%と合計1.02wt%のケタール基由来物質が検出され転化率88.5mol%であった。
【0140】
実施例8
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸にメタノールを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0141】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.92wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.07wt%と合計0.99wt%のケタール基由来物質が検出され転化率88.8mol%であった。
【0142】
実施例9
合成例6で得た高分子成型体(G4)を40℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0143】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.77wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.04wt%と合計0.81wt%のケタール基由来物質が検出され転化率90.5mol%であった。
【0144】
実施例10
合成例7で得た高分子成型体(G5)を40℃で1N塩酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0145】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.90wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.07wt%と合計0.97wt%のケタール基由来物質が検出され転化率90.4mol%であった。
【0146】
実施例11
合成例6で得た高分子成型体(G4)を40℃で1M硫酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に1時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0147】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが7mol%検出され転化率93.0mol%であった。
【0148】
実施例12
合成例6で得た高分子成型体(G4)を60℃で1M硫酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に1時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0149】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが5mol%検出され転化率95.0mol%であった。
【0150】
実施例13
合成例6で得た高分子成型体(G4)を80℃で1M硫酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に1時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0151】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが3mol%検出され転化率97.0mol%であった。
【0152】
実施例14
合成例6で得た高分子成型体(G4)を60℃で3M硫酸にオルトギ酸トリメチルを10wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に1時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0153】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが3mol%検出され転化率97.0mol%であった。
【0154】
実施例15
合成例6で得た高分子成型体(G4)を60℃で3M硫酸にオルトギ酸トリメチルを30wt%含有させた水溶液(高分子成型体に対して重量比1000倍以上)に1時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0155】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが2mol%検出され転化率98.0mol%であった。
【0156】
比較例1
合成例5で得た高分子成型体(G3)を40℃で1N塩酸に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0157】
得られた高分子成型体は、固体13C−CP/MASスペクトルにおいて、脱保護前の膜で認められたケミカルシフト約65ppmと約110ppm(ケタール基由来)のピークが、脱保護後の高分子電解質膜のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが1.11wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.03wt%と合計1.14wt%のケタール基由来物質が検出され転化率87.1mol%であった。オルトギ酸トリメチルを添加した実施例4と比較して転化率が低く、残存するケタール基量が12.9%と約3倍多かった。
【0158】
比較例2
合成例5で得た高分子成型体(G3)を95℃で6N塩酸に24時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0159】
得られた高分子成型体のTPD−MS測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、250℃あたりにCOなどが0.24wt%、2-メチル-1,3-ジオキソランが0.05wt%と合計0.29wt%のケタール基由来物質が検出され転化率96.7mol%であった。転化率は高いが、完全密閉系で行わないと反応容器等が腐食するため製造コスト低減は困難であった。
【0160】
比較例3
合成例6で得た高分子成型体(G4)を60℃で1M硫酸に1時間浸漬してプロトン置換、脱保護反応した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄し、高分子成型体を得た。
【0161】
得られた高分子成型体の固体13C−DD/MASスペクトル測定によるケタール基由来物質の定量分析を行ったところ、65ppmあたりにケタール基のCのピークが7mol%検出され転化率93.0mol%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護基を含む構成単位として、下記一般式(P1)および/または(P2)で表される構成単位を含有する高分子材料を成型する工程の後、脱保護処理溶液に接触させる工程を有する該保護基の少なくとも一部を脱保護せしめる高分子成型体の製造方法であって、脱保護処理溶液がアルコール類、アルキルケトン類、アルキルアルデヒド類、アルキルオルトエステル類から選ばれた少なくとも1種の脱保護促進剤を含むことを特徴とする高分子成型体の製造方法。
【化1】

(一般式(P1)および(P2)において、A〜Aは任意の2価の有機基、RおよびRはHおよびアルキル基から選ばれた少なくとも1種の基、Rは任意のアルキレン基、EはOまたはSを表し、それぞれが2種類以上の基を表しても良い。一般式(P1)および(P2)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
【請求項2】
該保護基を含む構成単位として、下記一般式(P3)で表される構成単位を含有する請求項1に記載の高分子成型体の製造方法。
【化2】

(一般式(P3)中のn1は1〜7の整数である。一般式(P3)で表される構成単位は任意に置換されていてもよい。)
【請求項3】
脱保護処理溶液に含まれる脱保護促進剤の含有量が0.1wt%以上、50wt%以下である請求項1〜2のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。
【請求項4】
脱保護処理溶液がさらに強酸を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。
【請求項5】
脱保護処理溶液を0℃以上、80℃以下で接触せしめる請求項1〜4のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。
【請求項6】
該高分子材料が芳香族ポリエーテルケトン系重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。
【請求項7】
該高分子材料がイオン性基を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。
【請求項8】
高分子成型体が燃料電池用の高分子電解質部品である請求項1〜7のいずれかに記載の高分子成型体の製造方法。

【公開番号】特開2008−239963(P2008−239963A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38407(P2008−38407)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 燃料電池・水素技術開発部 委託研究「固体高分子形燃料電池実用化戦略技術開発 要素技術開発 高性能炭化水素系電解質膜の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】