説明

高分子組成物、コーティングワニス、樹脂膜および半導体装置

【課題】 機械的強度、耐湿性、電気特性及び他の諸特性を劣化させることなく、特に350℃以上においても優れた耐熱性を示す架橋高分子が得られる高分子組成物、前記高分子組成物より得られるコーティングワニス、前記高分子組成物またはコーティングワニスより得られる樹脂膜、及びそれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】 アミノ基を有する化合物と、カルボキシ基を有する化合物とを含む高分子組成物であって、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とは、少なくとも一方が高分子であることを特徴とする高分子組成物、前記高分子組成物と、該高分子組成物を溶解もしくは分散させることが可能な有機溶媒を含むことを特徴とする、コーティングワニス、前記高分子組成物または前記コーティングワニスを加熱処理して得られる樹脂膜、前記樹脂膜を有することを特徴とする半導体装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子組成物、コーティングワニス、樹脂膜および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂などに代表される熱硬化性樹脂は、耐熱性、機械的強度および耐湿性などに優れ、電子材料、自動車用部材および接着剤など様々な分野で広く用いられている。しかしながら、特に電子材料分野など、更に厳しい耐熱性を要求されている先端分野における要求全てを満足する材料は、未だ得られていないのが現状である。
【0003】
特に、350℃以上の高い熱安定性が要求される先端分野においては、樹脂の熱分解開始温度が350℃よりも低い場合、加熱時の寸法安定性に悪影響を与えたり、高温環境において樹脂より発生した熱分解ガスが、これらの樹脂を用いた製品の品質だけでなく、製造装置に悪影響を与える恐れがある。
【0004】
この改善策として、熱的に架橋可能な炭素−炭素3重結合に着目し、樹脂にアルキン類を導入することで加熱硬化後の樹脂構造を3次元網目状とし、耐熱性を向上させた熱硬化性樹脂に関する技術が開示されている。その例としては、フェノール樹脂にプロパルギルエーテル基を高密度に導入した熱硬化性樹脂に関する技術(例えば、特許文献1参照。)、ポリフェノールにエチニル基を導入した熱硬化性樹脂に関する技術(例えば、特許文献2参照。)などである。しかし、これらの熱硬化性樹脂においても、耐熱性は十分とは言えなかった。
【特許文献1】特表平1−503541号公報(第1−3頁及び第8頁)
【特許文献2】特開2000−63499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題は、上記諸問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機械的強度、耐湿性、電気特性及び他の諸特性を劣化させることなく、特に350℃以上においても優れた耐熱性を示す架橋高分子が得られる高分子組成物、前記高分子組成物より得られるコーティングワニス、前記高分子組成物またはコーティングワニスより得られる樹脂膜、及びそれを用いた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、耐熱性に優れる新規な熱硬化性樹脂として、アミノ基を有する化合物と、カルボキシ基を有する化合物とを含む高分子組成物より、高分子鎖を架橋させて得られることを特徴とする、架橋高分子を提供することを、最も主要な特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は、
1. アミノ基を有する化合物と、カルボキシ基を有する化合物とを含む高分子組成物であって、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とは、少なくとも一方が高分子であることを特徴とする高分子組成物、
2. 前記アミノ基を有する化合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものである、第1項に記載の高分子組成物、
【0008】
【化1】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基を示す。式中のmは、2以上、10000以下の整数を示す。式中のnは、1以上、3以下の整数を示す。)
【0009】
3. 前記アミノ基を有する化合物は、下記一般式(2)で表されるものである、第1項または第2項に記載の高分子組成物、
【0010】
【化2】

(式中のArは、芳香族基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【0011】
4. 前記アミノ基を有する化合物が、アダマンタン構造を含む置換基を有するものである、第1項〜第3項のいずれかに記載の高分子組成物、
5. 前記カルボキシ基を有する化合物は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するものである、第1項〜第4項のいずれかに記載の高分子組成物、
【0012】
【化3】

[式(3)中、−COOHは、同一のベンゼン環上に1〜5個を有していても良い。Arは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基を示す。式中のmは、2以上、10000以下の整数を示す。式中のnは、1以上、3以下の整数を示す。]
【0013】
6. 前記カルボキシ基を有する化合物は、下記一般式(4)または一般式(5)で表されるものである、第1項〜第5項のいずれかに記載の高分子組成物、
【0014】
【化4】

(式中のArは、芳香族基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【化5】

(式中のAは、アダマンタン構造を含む置換基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【0015】
7. 前記カルボキシ基を有する化合物が、ベンゾオキサゾール前駆体である、第1項〜第6項のいずれかに記載の高分子組成物、
8. 前記カルボキシ基を有する化合物が、アダマンタン構造を含む置換基を有するものである、第1項〜第7項のいずれかに記載の高分子組成物、
9. 前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とは、塩を形成して含むものである第1項〜第8項のいずれかに記載の高分子組成物、
10. 第1項〜第9項のいずれかに記載の高分子組成物と、該高分子組成物を溶解もしくは分散させることが可能な有機溶媒を含むことを特徴とする、コーティングワニス、
11. 前記コーティングワニスは、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物の塩を含んでなることを特徴とする、第10項に記載のコーティングワニス、
12. 第1項ないし第9項のいずれかに記載の高分子組成物または第10項ないし第11項に記載のコーティングワニスを加熱処理して得られる樹脂膜、
13. 前記樹脂膜は、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物が反応することにより架橋していることを特徴とする第12項に記載の樹脂膜、
14. 前記樹脂膜は、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜およびエッチング保護膜の中から選ばれるものの一つである第12項または第13項に記載の樹脂膜、
15. 第12項または第13項に記載の樹脂膜を有することを特徴とする半導体装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加熱時の熱安定性が飛躍的に向上し、350℃以上の高温域においても優れた耐熱性を示す架橋高分子を提供できる。
また、本発明によれば、耐熱性の高い高分子組成物、樹脂膜およびそれを用いた半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の高分子組成物、コーティングワニス、樹脂膜および半導体装置について説明する。
本発明の高分子組成物は、アミノ基を有する化合物とカルボキシ基を有する化合物とを含むものであり、少なくとも前記アミノ基を有する化合物とカルボキシ基を有する化合物の一方が高分子であることを特徴とするものである。
また、本発明の樹脂膜は、上記高分子組成物より構成される。
また、本発明の半導体装置は、上記樹脂膜を有するものである。
【0018】
まず、本発明の高分子組成物について説明する。
本発明の高分子組成物は、少なくとも一方が高分子である、アミノ基を有する化合物とカルボキシ基を有する化合物を含むものであり、例えば、高分子のアミノ基を有する化合物と高分子でないカルボキシ基を有する化合物との組み合わせ、高分子でないアミノ基を有する化合物と高分子のカルボキシ基を有する化合物との組み合わせ、高分子のアミノ基を有する化合物と高分子のカルボキシ基を有する化合物との組み合わせ、あるいは、これらの混合体などが挙げられる。これらの組み合わせの中でも、高分子のアミノ基を有する化合物と高分子でないカルボキシ基を有する化合物との組み合わせ、または、高分子でないアミノ基を有する化合物と高分子のカルボキシ基を有する化合物との組み合わせを主として含むものが、高い反応率でカルボキシ基とアミノ基を反応させる上で好ましい。高温でも安定な高分子化合物と分子運動性に優れた高分子でない化合物との組み合わせは、アミノ基とカルボキシ基が十分に反応し、耐熱性や誘電率などの特性に優れた架橋高分子を形成することができる高分子組成物を得ることができる。一方、アミノ基を有する化合物とカルボキシ基を有する化合物とがいずれも高分子でない組み合わせでは、加熱などにより反応前に両化合物が飛散するなど不安定な状態となることがあることから、好ましいモル比での反応が起こらず、未反応のアミノ基またはカルボキシ基が残ることとなり、架橋高分子において優れた耐熱性や誘電率などの特性が得られないため、好ましくない。ここで高分子化合物の分子量としては、1,000〜40,000が好ましく、特に3,000〜20,000が好ましい。
さらに、本発明の高分子組成物は、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とが塩を形成して含むことにより、アミノ基とカルボキシ基とが、ほぼ1:1の反応モル比で、350℃以下の穏やかな加熱により均一に架橋反応させることができ、耐熱性に優れた架橋高分子を得ることができるので好ましい。
【0019】
本発明に用いるアミノ基を有する化合物としては、アミノ基を有するものであれば特に限定されないが、芳香族基を含む化合物または芳香族基とアダマンタン構造を含む置換基とを有する化合物などが好ましい。アダマンタン構造を含む置換基は、誘電率や耐熱性などの特性を向上させることができるので、より好ましい。アダマンタン構造を含む置換基としては、アダマンタン構造を基本単位とするダイヤモンドイド構造を有する基および2つ以上のアダマンタンが結合しているポリアダマンタン構造を有する基等が挙げられる。上記ダイヤモンドイド構造を有する基としては、例えば、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基、ウンデカマンチル基、アダマンチルフェニル基、ジアマンチルフェニル基、トリアマンチルフェニル基、テトラマンチルフェニル基、ペンタマンチルフェニル基、ヘキサマンチルフェニル基、ヘプタマンチルフェニル基、オクタマンチルフェニル基、ノナマンチルフェニル基、デカマンチルフェニル基、ウンデカマンチルフェニル基、アダマンチルフェノキシフェニル基、ジアマンチルフェノキシフェニル基、トリアマンチルフェノキシフェニル基、テトラマンチルフェノキシフェニル基、ペンタマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタマンチルフェノキシフェニル基、オクタマンチルフェノキシフェニル基、ノナマンチルフェノキシフェニル基、デカマンチルフェノキシフェニル基およびウンデカマンチルフェニル基等が挙げられ、上記ポリアダマンタン構造を有する基としては、1,1’−ビアダマンチル基および2,2’−ビアダマンチル基などのビアダマンチル基、1,1’,1’’−トリアダマンチル基および2,2’,2’’−トリアダマンチル基などのトリアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’−テトラアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’−テトラアダマンチル基などのテトラアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’,2’’’’−ペンタアダマンチル基などのペンタアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’,1’’’’’−ヘプタアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’,2’’’’,2’’’’’−ヘプタアダマンチル基などのヘプタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基、ウンデカアダマンチル基、ビアダマンチルフェニル基、トリアダマンチルフェニル基、テトラアダマンチルフェニル基、ペンタアダマンチルフェニル基、ヘキサアダマンチルフェニル基、ヘプタアダマンチルフェニル基、オクタアダマンチルフェニル基、ノナアダマンチルフェニル基、デカアダマンチルフェニル基、ウンデカアダマンチルフェニル基、ビアダマンチルフェノキシフェニル基、トリアダマンチルフェノキシフェニル基、テトラアダマンチルフェノキシフェニル基、ペンタアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタアダマンチルフェノキシフェニル基、オクタアダマンチルフェノキシフェニル基、ノナアダマンチルフェノキシフェニル基、デカアダマンチルフェノキシフェニル基およびウンデカアダマンチルフェノキシフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記アミノ基を有する化合物において、芳香族基を含む化合物および芳香族基とアダマンタン構造を含む置換基とを有する化合物として、高分子であるアミノ基を有する化合物としては、例えば、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものが挙げられ、高分子でないアミノ基を有する化合物としては、例えば、前記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0020】
本発明において、一般式(1)中のArで表される芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビナフチルジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ビフェニルジイル基、ビフェニレンジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子が置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などの炭素数が1以上、20以下のアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子が置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子が置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0021】
本発明において、一般式(1)中のXで表される基としては、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基であり、前記脂肪族基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルキレン基、ビニレン基、プロペニレン基およびブテニレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニレン基、エチニレン基、プロピニレン基およびブチニレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニレン基、などが挙げられ、前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子が置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などの炭素数が1以上、20以下のアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子が置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子が置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0022】
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物としては、例えば、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイル−アダマンチルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイル−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルメチレン)、ポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル−フェニルメチレン)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル−アダマンチルメチレン)、などのポリ(アリーレンメチレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンビニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンビニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイルビニレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイルビニレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイルビニレン)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルビニレン)、などのポリ(アリーレンビニレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンエチニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンエチニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイルエチニレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイルエチニレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイルエチニレン)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルエチニレン)、などのポリ(アリーレンエチニレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンエーテル)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンエーテル)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイルエーテル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイルエーテル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイルエーテル)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルエーテル)、などのポリ(アリーレンエーテル)構造を有する化合物:、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンスルホニル)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンスルホニル)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイルスルホニル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイルスルホニル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイルスルホニル)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルスルホニル)、などのポリ(アリーレンスルホニル)構造を有する化合物:、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンフェニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレン)、ポリ(ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ビフェニルジイル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンジイル)、ポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フルオレンジイル)およびポリ(ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル)、などのポリ(アリーレン)構造を有する化合物:、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、一般式(2)中のArで表される芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビナフチルジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ビフェニルジイル基、ビフェニレンジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子が置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などの炭素数が1以上、20以下のアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子が置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子が置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0024】
前記一般式(2)で表されるアミノ基を有する化合物としては、例えば、2,4−ジアミノ−レゾルシノールおよび2,5−ジアミノ−1,4−ジヒドロキシルベンゼン等のジヒドロキシルベンゼンを有する化合物:、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−ビフェニルおよび3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル等のジヒドロキシ−ビフェニルを有する化合物:、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテル等のジヒドロキシ−ジフェニルエーテルを有するビスアミノフェノール化合物:、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ−フェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有する化合物:、2,2’−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−1,1’−ビナフタレン等のビナフタレン骨格を有する化合物:、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ−フェノキシ)フェニル)アダマンタン、3,3’−ビス−(4−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス−(4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ−フェノキシ)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、1,3−ビス−(4−アミノ−4−ヒドロキシ−フェニル)ジアマンタン、1,3−ビス−(4−(3−ヒドロキシ−4−アミノ−フェノキシ)フェニル)ジアマンタン等のアダマンタン骨格を有する化合物:、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシ)−フェノキシ−フェニル)スルホンおよびビス(4−(4−ヒドロキシ−3−アミノ)フェノキシ−フェニル)スルホン等のスルホン基を有する化合物:、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のフッ素またはフッ素化アルキル基を有する化合物:等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明に用いるカルボキシ基を有する化合物としては、カルボキシ基を有するものであれば特に限定されないが、芳香族基を有する化合物、アダマンタン構造を含む置換基を有する化合物、芳香族基およびアダマンタン構造を含む置換基を有する化合物などが好ましい。アダマンタン構造を含む置換基は、誘電率や耐熱性などの特性を向上させることができるので、より好ましい。アダマンタン構造を含む置換基としては、アダマンタン構造を基本単位とするダイヤモンドイド構造を有する基および2つ以上のアダマンタンが結合しているポリアダマンタン構造を有する基等が挙げられる。上記ダイヤモンドイド構造を有する基としては、例えば、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基、ウンデカマンチル基、アダマンチルフェニル基、ジアマンチルフェニル基、トリアマンチルフェニル基、テトラマンチルフェニル基、ペンタマンチルフェニル基、ヘキサマンチルフェニル基、ヘプタマンチルフェニル基、オクタマンチルフェニル基、ノナマンチルフェニル基、デカマンチルフェニル基、ウンデカマンチルフェニル基、アダマンチルフェノキシフェニル基、ジアマンチルフェノキシフェニル基、トリアマンチルフェノキシフェニル基、テトラマンチルフェノキシフェニル基、ペンタマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタマンチルフェノキシフェニル基、オクタマンチルフェノキシフェニル基、ノナマンチルフェノキシフェニル基、デカマンチルフェノキシフェニル基およびウンデカマンチルフェニル基等が挙げられ、上記ポリアダマンタン構造を有する基としては、1,1’−ビアダマンチル基および2,2’−ビアダマンチル基などのビアダマンチル基、1,1’,1’’−トリアダマンチル基および2,2’,2’’−トリアダマンチル基などのトリアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’−テトラアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’−テトラアダマンチル基などのテトラアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’−ペンタアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’,2’’’’−ペンタアダマンチル基などのペンタアダマンチル基、1,1’,1’’,1’’’,1’’’’,1’’’’’−ヘプタアダマンチル基および2,2’,2’’,2’’’,2’’’’,2’’’’’−ヘプタアダマンチル基などのヘプタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基、ウンデカアダマンチル基、ビアダマンチルフェニル基、トリアダマンチルフェニル基、テトラアダマンチルフェニル基、ペンタアダマンチルフェニル基、ヘキサアダマンチルフェニル基、ヘプタアダマンチルフェニル基、オクタアダマンチルフェニル基、ノナアダマンチルフェニル基、デカアダマンチルフェニル基、ウンデカアダマンチルフェニル基、ビアダマンチルフェノキシフェニル基、トリアダマンチルフェノキシフェニル基、テトラアダマンチルフェノキシフェニル基、ペンタアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘキサアダマンチルフェノキシフェニル基、ヘプタアダマンチルフェノキシフェニル基、オクタアダマンチルフェノキシフェニル基、ノナアダマンチルフェノキシフェニル基、デカアダマンチルフェノキシフェニル基およびウンデカアダマンチルフェノキシフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記カルボキシ基を有する化合物において、芳香族基を含む化合物および芳香族基とアダマンタン構造を含む置換基とを有する化合物として、高分子のカルボキシ基を有する化合物としては、例えば、前記一般式(3)で表される構造単位を有する化合物およびベンゾオキサゾール前駆体が挙げられ、高分子でないカルボキシ基を有する化合物としては、前記一般式(4)で表される化合物およびベンゾオキサゾール前駆体が挙げられる。また、アダマンタン構造を含む置換基を有する化合物として、前記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
本発明において、前記一般式(3)中のArで表される芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビナフチルジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ビフェニルジイル基、ビフェニレンジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子が置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などの炭素数が1以上、20以下のアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子が置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子が置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0027】
本発明において、前記一般式(3)中のXで表される基としては、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基であり、前記脂肪族基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルキレン基、ビニレン基、プロペニレン基およびブテニレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニレン基、エチニレン基、プロピニレン基およびブチニレン基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニレン基、などが挙げられ、前記芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、フルオレンジイル基、ビフェニルフルオレンジイル基およびピリジンジイル基、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子が置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキル基:、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などの炭素数が1以上、20以下のアルコキシ基:、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルケニル基:、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などの炭素数が1以上、20以下のアルキニル基:、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基:、などが挙げられ、前記水素原子が置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基:、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子が置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。
【0028】
前記一般式(3)で表される構造を有する化合物としては、例えば、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンメチレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−フェニルメチレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレン−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイル−アダマンチルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイル−フェニルメチレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイル−アダマンチルメチレン)、ポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルメチレン)、ポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル−フェニルメチレン)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル−アダマンチルメチレン)、などのポリ(アリーレンメチレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンビニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンビニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイルビニレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイルビニレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイルビニレン)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルビニレン)、などのポリ(アリーレンビニレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンエチニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンエチニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイルエチニレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイルエチニレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイルエチニレン)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルエチニレン)、などのポリ(アリーレンエチニレン)構造を有する化合物:、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンエーテル)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンエーテル)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイルエーテル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイルエーテル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイルエーテル)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルエーテル)、などのポリ(アリーレンエーテル)構造を有する化合物:、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンスルホニル)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレンスルホニル)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイルスルホニル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイルスルホニル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイルスルホニル)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイルスルホニル)、などのポリ(アリーレンスルホニル)構造を有する化合物:、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレン)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フェニレンフェニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)フェニレン)、ポリ(ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルジイル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)ナフタレンジイル)、ポリ((4−カルボキシフェノキシ)フルオレンジイル)およびポリ(ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレンジイル)、などのポリ(アリーレン)構造を有する化合物:、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明において、一般式(4)中のArで表される芳香族基としては、前記一般式(3)中のArで表される芳香族基と同じものである。
【0030】
前記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2−フルオロイソフタル酸および2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸等のフタル酸:、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニルおよび4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル等のビフェニルジカルボン酸:、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸:、4,4’−スルホニルビス安息香酸、3,4’−スルホニルビス安息香酸、3,3’−スルホニルビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、3,4’−オキシビス安息香酸および3,3’−オキシビス安息香酸等のビス安息香酸:、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス−カルボキシフェニル−プロパン(ヘキサフルオロプロパン):、9,9−ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス−(2−カルボキシ−フェニル)フルオレンおよび9,9−ビス−(3−カルボキシ−フェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するジカルボン酸:、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニルおよび4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル等のビス−カルボキシフェニル−ターフェニル:、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−カルボキシ−フェニル)アダマンタン、1,3−ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン、2,2−ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン、3,3’−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、3,3’−ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)−1,1’−ビアダマンタン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)ジアマンタン、1,3−ビス((4−カルボキシフェノキシ)フェニル)ジアマンタン、等のアダマンタン骨格を有するジカルボン酸:、等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
前記一般式(5)で表される構造を有する化合物としては、例えば、1,3−ジカルボキシアダマンタン、3,3’−ジカルボキシ−1,1’−ビアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−ジアマンタン等の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
本発明において、カルボキシ基を有するベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、下記一般式(6)または一般式(8)で表される繰り返し単位を有するベンゾオキサゾール前駆体を挙げることができる。前記ベンゾオキサゾール前駆体は、脱水閉環後の耐熱性に優れるので好ましい。
【0033】
【化6】

[一般式(6)中、Yは有機基を示し、Xは一般式(7)で表される基の中から選ばれる少なくとも1種の基を示し、lは1〜1,000の間の整数である。]
【化7】

[一般式(7)中、Zは、カルボキシ基を示す。また、Zは、同一のベンゼン環上に1〜4個を有していても良い。一般式(7)で表される基における、ベンゼン環上の水素原子は、アルキル基、芳香族基、エーテル基、ヒドロキシ基、およびフッ素原子の中から選ばれる、少なくとも1個の基で置換されていても良い。]
【0034】
【化8】

[一般式(8)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または有機基を示し、Xは有機基を示し、Yは一般式(7)で表される基の中から選ばれる少なくとも1種の基を示し、mは1〜1,000の間の整数である。]
【0035】
前記一般式(6)で表される繰り返し単位におけるYで示される有機基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルエーテル基、フルオレニル基、フェニルフルオレニル基、ビフェニレン基およびアダマンチル基などが挙げられる。
【0036】
前記一般式(6)で表される繰り返し単位の繰り返し単位数(l)は、特に限定されないが、1〜1,000までの整数が好ましく、特に5〜600までの整数が好ましく、最も10〜80までの整数が好ましい。前記繰り返し単位数が前記範囲内であると、ベンゾオキサゾール前駆体を溶剤に溶解した際の作業性に優れる。
【0037】
前記一般式(8)で表される繰り返し単位におけるRおよびRで表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基およびsec−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。
【0038】
前記一般式(8)で表される繰り返し単位におけるXで示される有機基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、フルオレニル基、ビナフタレン基、スルフィドビフェニル基、ビナフタレン基およびナフトール基などが挙げられる。
【0039】
前記一般式(8)で表される繰り返し単位の繰り返し単位数(m)は、特に限定されないが、mが1〜1000の間の整数である整数が好ましく、特に5〜600までの整数が好ましく、最も10〜80までの整数が好ましい。前記繰り返し単位数が前記範囲内であると、ベンゾオキサゾール前駆体を溶剤に溶解した際の作業性に優れる。
【0040】
本発明の高分子組成物は、前記アミノ基を有する化合物と、前記カルボキシ基を有する化合物とを、混合することにより得ることができる。
【0041】
前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物の混合比は、等量あるいは高分子でない化合物をやや過剰量添加することが好ましい。高分子でないカルボキシ基を有する化合物/高分子のアミノ基を有する化合物、または高分子でないアミノ基を有する化合物/高分子のカルボキシ基を有する化合物のモル比は1.0〜1.5が好ましく、1.0〜1.2がより好ましく、高分子のアミノ基を有する化合物/高分子のカルボキシ基を有する化合物のモル比は1.0〜1.2が好ましく、1.0〜1.1がより好ましく、1.0〜1.05が最も好ましい。
【0042】
また、本発明の高分子組成物において、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とが塩を形成して含んでいてもよいが、塩を形成する方法としては、例えば、第一の方法として、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とを、予め、それぞれの塩を形成しておき、これらを混合することにより、塩を得る方法、第二の方法として、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とを、これらを溶解する溶液に予めそれぞれ溶解し、これらを混合して生成物を形成し、これを前記生成物が溶解しない溶媒中で固体を析出させて塩を得る方法、第三の方法として、前記アミノ基を有する化合物および前記カルボキシ基を有する化合物を、該アミノ基を有する化合物および該カルボキシ基を有する化合物は溶解するがこれらの反応生成物は溶解しない溶媒を用いて、それぞれの溶液を調整し、これらの溶液を混合し混合溶液から塩を析出させる方法などが挙げられるが、ワニスを調整し、これを用いた塗布による樹脂膜などの製造においては、高分子組成物の調整において塩を形成させずに、ワニス調整時または塗膜の形成工程において塩を形成してもよい。
【0043】
さらに上記塩を形成する方法について説明すると、前記第一の方法としては、例えば、まず、前記アミノ基を有する化合物を、アミノ基数と等モル量の塩酸水溶液に溶解させ、前記アミノ基を有する化合物の塩酸塩を形成する。一方、前記カルボキシ基を有する化合物を、カルボキシ基数と等モル量の水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、前記カルボキシ基を有する化合物のナトリウム塩を形成する。次に、前記アミノ基を有する化合物の塩酸塩水溶液と前記カルボキシ基を有するナトリウム塩水溶液を混合することにより、析出固体を得、これを濾取し、洗浄し、乾燥することにより、本発明の前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とが塩を形成して含む高分子組成物を得ることができる。
【0044】
また、前記第二の方法としては、例えば、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とを溶媒に溶解させ、攪拌し、この溶液を水に滴下することにより、析出固体を得、これを濾取し、洗浄し、乾燥することにより、本発明の塩を形成した高分子組成物を得ることができる。このとき攪拌時間は特に制限されないが、2時間以上が好ましい。また、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を溶解させる溶媒としては、両者が溶解するものであればよく、特に制限されない。
【0045】
本発明の高分子組成物には、さらに、これを溶解または分散させることが可能な有機溶媒を含むことができ、適当な有機溶媒に溶解させるか又は均一に分散させて、コーティングワニスとして使用することが可能である。また、本発明の高分子組成物には、前記カルボキシル基やアミノ基などと反応し得る置換基を有し、熱分解性を有する反応性オリゴマーを含むことができ、これにより、高分子組成物から樹脂膜を形成する際、容易にナノフォームを形成でき、誘電率を低下させることができる。
【0046】
前記有機溶媒としては、固形分を完全に溶解する溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランおよびアニソール等を挙げることができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
ワニスとして調製する場合の溶媒使用量としては、高分子組成物を完全に溶解し得る量であればよく、特に制限されず、その用途に応じて適宜調整することができるが、一般的にはワニス中の溶媒含有量は、70〜95重量%程度が好ましい。
【0047】
本発明のコーティングワニスは、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とが塩を形成して含んでいることが好ましい。
【0048】
前記反応性オリゴマーのベース樹脂としては、例えば、ポリオキシアルキレン、ポリメチルメタクリレート、ポリα−メチルスチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリウレタンおよびポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でもポリオキシアルキレンまたはポリカーボネートが好ましい。これにより、特に微細なナノフォームを形成できる。
【0049】
前記反応性オリゴマーの数平均分子量は、特に限定されないが、100〜40,000が好ましく、特に200〜20,000が好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、ナノフォームが凝集し難く、微細で均一なナノフォームを形成できる。
【0050】
本発明の樹脂膜の製造方法としては、例えば、まず、前記コーティングワニスを、適当な支持体、例えば、ガラス、繊維、金属、シリコンウエーハおよびセラミック基板等に、塗布して塗膜を形成する。その塗布方法としては、例えば、浸漬、スクリーン印刷、スプレー、回転塗布およびロールコーティングなどが挙げられる。次いで、前記塗膜を加熱乾燥して、前記コーティングワニス中の溶媒を揮発させて、タックフリーな塗膜とする。その後、さらに加熱処理して、アミノ基を有する化合物とカルボキシ基を有する化合物とを反応させて架橋高分子を形成させて、該架橋高分子で構成される樹脂膜を得ることができる。
【0051】
本発明の樹脂膜の、高分子鎖を架橋して架橋高分子を製造する際の加熱温度としては100℃以上400℃以下が好ましく、さらに好ましくは、100℃以上350℃以下である。
【0052】
本発明の樹脂膜の厚みとしては、その使用目的に応じて異なるが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.1〜20μmの範囲である。
【0053】
本発明の高分子組成物及び樹脂膜は、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜およびエッチング保護膜に好適であるが、さらに、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等に用いることができる。
【0054】
本発明の樹脂膜を、半導体装置の多層配線用層間絶縁膜に用いる場合の例としては、まず、接着性を向上させる場合、接着性コーティング剤を半導体基板上に、塗布して、塗膜を形成する。前記塗布の方法としては、例えば、スピンナーによる回転塗布、スプレーコーターによる噴霧塗布、浸漬、印刷およびロールコーティング等の方法が挙げられる。その後、前記塗膜を有機溶剤の沸点以上の温度でプリベークして、前記接着性コーティング剤中の有機溶剤を蒸発乾燥させることにより、接着性コーティング膜を形成する。
次に、前記接着性コーティング膜の上に、本発明のコーティングワニスを、前記同様の方法により、積層するように塗布して、塗膜を形成する。次いで、塗膜を、通常、80〜200℃の範囲の温度で加熱して、前記コーティングワニス中の有機溶剤を蒸発乾燥し、更に、上記温度条件で加熱処理することにより、アミノ基とカルボキシ基の反応により架橋し、層間絶縁膜を形成することができる。
さらに、ナノフォームを形成する場合、前記反応性オリゴマーを含んだ高分子組成物より得られた前記層間絶縁膜を、さらに加熱処理することにより、微細孔を有する層間絶縁膜とすることもできる。
【0055】
本発明の樹脂膜をエッチング保護膜として用いる場合の例としては、半導体基板の配線層上に、本発明のコーティングワニスを、前記同様の方法により、積層するように塗布して、樹脂膜を形成し、次いで、該樹脂膜の上に、絶縁膜となる第2の樹脂層を形成し、第2の樹脂膜をエッチングする際のエッチング保護膜として用いることができる。
同様にして、樹脂膜を形成して半導体用表面保護膜とすることもできる。
【0056】
次に、半導体装置について好適な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
半導体装置100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図1上側)に設けられた窒化珪素膜2と、窒化珪素膜2の上に設けられた層間絶縁膜3およびバリア層6で覆われた銅配線層4を有している。
層間絶縁膜3には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層4が設けられている。
層間絶縁膜3は、ナノフォーム(微細孔)31が形成されていても良い。
また、層間絶縁膜3と、銅配線層4との間には、改質処理層5が設けられている。
また、層間絶縁膜3の上側(窒化珪素膜2と反対側面)には、ハードマスク層7が形成されている。
【0057】
なお、本実施の形態では、層間絶縁膜3を用いた半導体装置100について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0058】
本発明の半導体装置は、上述したような層間絶縁膜を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、配線層との密着性に優れるので、半導体装置の接続信頼性をさらに向上できる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、半導体装置の信号損失を低下することができる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
【実施例】
【0059】
以下に本発明を説明するために実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
【0060】
[実施例1]
(アミノ基を有する化合物の合成)
ポリ(ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=3000、Mn=980)12.9g(122mmol/1単位ユニット)、3−フルオロ−6−ニトロフェニル ベンジル エーテル36.2g(146mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mLの溶液に、炭酸カリウム42.1g(304mmol)を添加した。135℃で12時間攪拌した後、反応液を濾過した。濾液をメタノール2000mLに滴下した。析出した固体をイオン交換水2000mLおよびメタノール2000mLでそれぞれ1回ずつ洗浄し、50℃で2日間減圧乾燥することにより、黄色固体のポリ((3−ベンジルオキシ−4−ニトロフェノキシ)フェニレンメチレン)29.9gを得た(収率73%)。
得られたポリ((3−ベンジルオキシ−4−ニトロフェノキシ)フェニレンメチレン)29.6g(88.8mmol/1単位ユニット)および、10%パラジウム活性炭4.96g(4.66mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mLを、水素雰囲気下、室温で36時間攪拌した後、反応液を濾過した。濾液をメタノール200mLおよびイオン交換水2000mLの混合液に滴下した。析出した固体をメタノール200mLおよびイオン交換水2000mLの混合液で3回洗浄し、50℃で2日間減圧乾燥することにより、褐色固体のポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)14.6gを得た(収率77.1%)。
この高分子化合物の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いて、ポリスチレン換算により求めたところ、重量平均分子量Mw=5230、数平均分子量Mn=1980であった。
【0061】
(高分子組成物の合成)
上記で得たポリ((4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)2.0gとイソフタル酸0.773gおよびジメチルホルムアミド11.2gを室温で2時間攪拌した後、溶液をイオン交換水100mLに滴下した。析出した固体をイオン交換水100mLで1回洗浄し、50℃で2日間乾燥させることにより、褐色固体の高分子組成物2.19gを得た。
【0062】
(樹脂膜の製造)
上記で得た高分子組成物を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用のワニスを得た。
シリコンウエハ上にスピンコーターを用いて上記コーティング用ワニスを塗布して、350℃で1時間加熱処理し、樹脂膜を得た。
【0063】
[実施例2]
(カルボキシ基を有する化合物の合成)
ポリ(ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=3000、Mn=980)12.9g(122mmol/1単位ユニット)、4−フルオロ安息香酸メチル37.6g(244mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mLの溶液に、炭酸カリウム42.1g(304mmol)を添加した。135℃で24時間攪拌した後、反応液を濾過した。濾液をメタノール2000mLに滴下した。析出した固体をイオン交換水2000mLおよびメタノール2000mLでそれぞれ1回ずつ洗浄し、50℃で2日間減圧乾燥することにより、緑色固体のポリ(1−(メトキシカルボニル)フェノキシフェニレンメチレン)15.83gを得た(収率54%)。
得られたポリ((1−メトキシカルボニル)フェノキシフェニレンメチレン)15.83g(66mmol/1単位ユニット)、2mol/L水酸化カリウム水溶液99mL、THF200mLの溶液を2時間還流した後、反応液を氷浴で冷却しながら、5mol/L塩酸63mLを滴下した。室温で1時間攪拌した後、分液漏斗を用いて上層のTHF溶液を回収し、イオン交換水1500mLに滴下した。イオン交換水1500mLで2回洗浄し、50℃で2日間減圧乾燥することにより、ポリ(1−カルボキシフェノキシフェニレンメチレン)11.35gを得た(収率76%)。この分子量は、Mw=6330、Mn=2110であった。
【0064】
(高分子組成物の合成)
上記で得たポリ((4−カルボニルフェノキシ)フェニレンメチレン)2.0gと2,4−ジアミノレゾルシノール0.620gを実施例1と同様の方法で混合し、高分子組成物を得た。
【0065】
(樹脂膜の製造)
上記で得た高分子組成物を実施例1と同様にして樹脂膜を製造した。
【0066】
[実施例3]
(アミノ基を有する化合物の合成)
実施例1において、ポリ(ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=3000、Mn=980)12.9g(122mmol/1単位ユニット)をポリ(4−アダマンチル−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=4940、Mn=2740)29.3g(122mmol/1単位ユニット)とした以外は、実施例1と同様にして、ポリ(4−アダマンチル−1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)を23.7g得た。この分子量は、Mw=7100、Mn=3960であった。
【0067】
(高分子組成物の合成)
上記で得たポリ(4−アダマンチル−1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニレンメチレン)2.0gとイソフタル酸0.478gを実施例1と同様の方法で混合し、高分子組成物を得た。
【0068】
(樹脂膜の製造)
上記で得た高分子組成物を実施例1と同様にして樹脂膜を製造した。
【0069】
[実施例4]
(カルボキシル基を有する化合物の合成)
実施例2において、ポリ(ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=3000、Mn=980)12.9g(122mmol/1単位ユニット)をポリ(4−アダマンチル−1−ヒドロキシフェニレンメチレン)(Mw=4940、Mn=2740)29.3g(122mmol/1単位ユニット)とした以外は、実施例2と同様にして、ポリ(4−アダマアンチル−1−カルボキシフェノキシフェニレンメチレン)21.1gを得た。この分子量は、Mw=7470、Mn=4160であった。
【0070】
(樹脂膜の製造)
上記で得たポリ(4−アダマアンチル−1−カルボキシフェノキシフェニレンメチレン)2.0gと2,4−ジアミノレゾルシノール0.389gをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用のワニスを得た。
シリコンウエハ上にスピンコーターを用いて上記コーティング用ワニスを塗布して、350℃で1時間加熱処理し、樹脂膜を得た。
【0071】
[比較例1]
[ポリ(メチレン−2,6−(1−ヒドロキシ)フェニレン)から、ポリ(メチレン−2,6−(1−(2−プロピノキシ))フェニレン)の合成]
ポリ(メチレン−2,6−(1−ヒドロキシ)フェニレン)22.3g(210mmol/1単位ユニット)、臭化プロパルギル50.5g(425mmol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.45g(6.37mmol)、テトラヒドロフラン120mLを、乾燥窒素雰囲気下、50℃で撹拌しながら、水酸化カリウム60.7g(1.08mol)をイオン交換水60.0mLに溶解させたものを加えた。反応液を60℃で6時間した。反応液を減圧下で加熱し、臭化プロパルギルとテトラヒドロフランを除去した。析出固体を酢酸エチル200mLで抽出し、有機層をイオン交換水500mLで2回洗浄後、メタノール2000mLに投入し、ポリマーを再沈殿させて回収した。析出固体を60℃で減圧乾燥させることで、ポリ(メチレン−2,6−(1−(2−プロピノキシ))フェニレン)を14.7g得た。
【0072】
(樹脂膜の製造)
上記で得たポリ(メチレン−2,6−(1−(2−プロピノキシ))フェニレン)2.0gをN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、テフロン(登録商標)フィルターで濾過して、コーティング用のワニスを得た。
シリコンウエハ上にスピンコーターを用いて上記コーティング用ワニスを塗布して、350℃で1時間加熱処理し、樹脂膜を得た。
【0073】
[比較例2]
[ポリ((2−プロピノキシ)フェニレンメチレン)から、ポリ((3−フェニル−2−プロピノキシ)フェニレンメチレン)の合成]
比較例1で得たポリ(メチレン−2,6−(1−(2−プロピノキシ))フェニレン)3.43g(23.8mmol/1単位ユニット)、ヨウ化ベンゼン6.38g(31.3mmol)、ピリジン20.0mLを、乾燥窒素雰囲気下で撹拌し、溶解させた。続けて、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.0837g(0.119mmol)、トリフェニルホスフィン0.0956g(0.364mmol)、ヨウ化銅0.0452g(0.237mmol)、トリエチルアミン20mLを加えた後、70℃で3時間加熱した。反応液を濾過後、メタノール1.00Lに投入し、ポリマーを再沈殿させて回収した。析出固体を60℃で減圧乾燥させることで、ポリ(メチレン−2,6−(1−(3−フェニル−2−プロピノキシ))フェニレン)を4.10g得た。
【0074】
(樹脂膜の製造)
上記で得たポリ(メチレン−2,6−(1−(3−フェニル−2−プロピノキシ))フェニレン)を比較例1と同様にして樹脂膜を製造した。
【0075】
[比較例3]
[3−エチニルフェノールから、ポリ((3−エチニル−1−ヒドロキシ)フェニレン)の合成]
3−エチニルフェノール5.00g(42.3mmol)とメタノール10.0mLを室温で撹拌しながら、西洋ワサビペルオキシダーゼ2.00gをpH=7のリン酸緩衝液10.0mLを加えた。続けて、5重量%過酸化水素を28.8mL(42.3mmol)を3時間かけて滴下し、更に室温で3時間撹拌した。析出物を反応液より遠心分離し、メタノール50mL及びイオン交換水50mL中で撹拌し、洗浄した。得られた固体を減圧乾燥させることで、ポリ((3−エチニル−1−ヒドロキシ)フェニレン)が3.25g得られた。
(樹脂膜の製造)
上記で得たポリ((3−エチニル−1−ヒドロキシ)フェニレン)を比較例1と同様にして、樹脂膜を製造した。
【0076】
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた樹脂膜について以下の評価を行った。評価項目を方法と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1. 熱重量分析
製造した樹脂膜をセイコ−インスツルメンツ(株)製TG/DTA6200型を用いて、200mL/分の乾燥窒素気流下、昇温速度+10℃/分の条件により、室温から400℃まで昇温後、400℃で30分間保持した際の重量減少量を測定した。
【0077】
2. 比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて半導体用接着フィルムの容量測定を行い下記計算式により比誘電率を算出した。
比誘電率=(容量測定値×フィルムの厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
【0078】
【表1】

【0079】
表1から明らかなように実施例1〜4は、400℃で30分間保持したときの熱重量減少が少なく、耐熱性に優れていた。また、実施例1〜4は、誘電率が低く、誘電特性に優れていることが示された。
【0080】
次に、層間絶縁膜および半導体装置について説明する。
【0081】
[実施例5]
半導体基板の上に窒化珪素層を形成し、該窒化珪素層上に実施例1で得られたコーティング用ワニスを塗布して、250℃で1時間および420℃で1時間加熱処理して、厚さ0.3μmの層間絶縁膜を形成した。
次に、前記層間絶縁膜に所定のパターンを形成するように金属配線を形成して、半導体装置を得た。
【0082】
[実施例6]
実施例2で得られたコーティング用ワニスを用いて、実施例5と同様にして、層間絶縁膜および半導体装置を製造した。
【0083】
[実施例7]
実施例3で得られたコーティング用ワニスを用いて、実施例5と同様にして、層間絶縁膜および半導体装置を製造した。
【0084】
[実施例8]
実施例4で得られたコーティング用ワニスを用いて、実施例5と同様にして、層間絶縁膜および半導体装置を製造した。
【0085】
次に、得られた半導体装置について配線遅延速度を評価した。
実施例5〜8の層間絶縁膜を用いて得られた半導体装置と、この半導体装置と同様な構成でSiO絶縁膜を有する半導体装置との配線遅延の程度を比較した。評価の基準には、リングオシュレータの発信周波数から換算して求めた信号遅延時間を採用した。両者を比較した結果、本発明で得られた半導体装置では、配線遅延が少なく、約10%の速度の向上があることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明により得られる高分子組成物および樹脂膜は350℃以上の高温域においても優れた耐熱性を示すため、高温での材料プロセスを必要とする分野などにおいても好適である。用途として、電子材料、自動車用部材、エンジニアリング材料、構造部材、接着剤、塗膜形成材料、絶縁材料、酸化防止剤、記録材料などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 半導体基板
2 窒化珪素膜
3 層間絶縁膜
31 ナノフォーム(微細孔)
4 銅配線層
5 改質処理層
6 バリア層
7 ハードマスク層
100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基を有する化合物と、カルボキシ基を有する化合物とを含む高分子組成物であって、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とは、少なくとも一方が高分子であることを特徴とする高分子組成物。
【請求項2】
前記アミノ基を有する化合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものである、請求項1に記載の高分子組成物。
【化1】

(式中のArは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基を示す。式中のmは、2以上、10000以下の整数を示す。式中のnは、1以上、3以下の整数を示す。)
【請求項3】
前記アミノ基を有する化合物は、下記一般式(2)で表されるものである、請求項1または2に記載の高分子組成物。
【化2】

(式中のArは、芳香族基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【請求項4】
前記アミノ基を有する化合物が、アダマンタン構造を含む置換基を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項5】
前記カルボキシ基を有する化合物は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子組成物。
【化3】

[式(3)中、−COOHは、同一のベンゼン環上に1〜5個を有していても良い。Arは、芳香族基を示す。Xは、脂肪族基、芳香族基、スルホニル基および酸素原子の中から選ばれる少なくとも1種の基で構成される基を示す。式中のmは、2以上、10000以下の整数を示す。式中のnは、1以上、3以下の整数を示す。]
【請求項6】
前記カルボキシ基を有する化合物は、下記一般式(4)または一般式(5)で表されるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子組成物。
【化4】

(式中のArは、芳香族基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【化5】

(式中のAは、アダマンタン構造を含む置換基を示す。式中のaは、1以上、6以下の整数を示す。)
【請求項7】
前記カルボキシ基を有する化合物が、ベンゾオキサゾール前駆体である、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項8】
前記カルボキシ基を有する化合物が、アダマンタン構造を含む置換基を有するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項9】
前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物とは、塩を形成して含むものである請求項1〜8のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の高分子組成物と、該高分子組成物を溶解もしくは分散させることが可能な有機溶媒を含むことを特徴とする、コーティングワニス。
【請求項11】
前記コーティングワニスは、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物の塩を含んでなることを特徴とする、請求項10に記載のコーティングワニス。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかに記載の高分子組成物または請求項10ないし請求項11のいずれかに記載のコーティングワニスを加熱処理して得られる樹脂膜。
【請求項13】
前記樹脂膜は、前記アミノ基を有する化合物と前記カルボキシ基を有する化合物が反応することにより架橋していることを特徴とする請求項12に記載の樹脂膜。
【請求項14】
前記樹脂膜は、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜およびエッチング保護膜の中から選ばれるものの一つである請求項12または13に記載の樹脂膜。
【請求項15】
請求項12または13に記載の樹脂膜を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−63116(P2006−63116A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244401(P2004−244401)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】