説明

高分子組成物、並びにその製造方法、毛髪用化粧料用添加剤且つそれを含有する毛髪化粧料、皮膚洗浄剤用添加剤且つそれを含有する皮膚洗浄剤

【課題】
本発明の課題は、水性媒体中OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体を共存させ、ビニル基を有する1種以上の水溶性単量体を光重合する場合、作業環境上安全性の高い光源として、紫外領域の光量の極力少ない光源を用いた手法を完成させることである。
【解決手段】
上記課題を解決する方法として、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射することで、重合反応が進行し高分子組成物を得られることを見出し、本発明の課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合したことを特徴とする高分子組成物、並びにその製造方法、毛髪用化粧料用添加剤及びそれを含有する毛髪化粧料、皮膚洗浄剤用添加剤及びそれを含有する皮膚洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子を得るための手法として光重合法は既存技術であり、中でも光硬化樹脂を光重合し硬化させる技術は、電気・電子市場、自動車、光学、医療分野など様々な産業において重要な手法となっている。光重合の大きな特徴は、特定の波長域の光照射により反応が迅速に起こることである。反応時間の短縮や反応制御が容易である他、安価な光源で反応開始が可能な光重合開始剤を選択すれば、設備の投資額が抑えられるという利点も有している。
【0003】
光重合技術は主に非水溶性重合体の製造に用いられる技術であるが、水溶性単量体を原料として用いた水溶性重合体の製造に適用した例もある。水処理用凝集剤の製造技術として、可動式ベルトを使用した高分子量アクリル系重合体の製法(特許文献1参照)や、水溶性ビニル単量体の連続光重合の技術が公開されている(特許文献2参照)。これらの特許文献には、水溶性重合体の製造に光重合技術を用いた場合、高濃度重合、残存単量体の低減、連続製造による高効率反応、高分子量を有する重合体の製造などが可能になることが明記されている。
【特許文献1】特開昭61−155406号公報
【特許文献2】特開昭61−221202号公報
【0004】
上記のような水溶性単量体を原料として用いた水溶性重合体製造における光重合の利点を活かし、これまでに幾つかの光重合技術を用いた水溶性重合体の発明が成されている(特許文献3、4、5参照)。これらの中で用いられる光重合開始剤は、主にベンゾイン誘導体やアゾ化合物など紫外領域の光照射により光分解が進行し反応開始するものであった。
【特許文献3】特開平10−231309号公報
【特許文献4】特開2002−348303号公報
【特許文献5】特開2003−82596号公報
【0005】
紫外領域の光照射で反応開始する光重合開始剤を用いる場合、紫外線を発する光源を用いる必要がある。紫外線は皮膚における色素沈着、シワ、癌、眼球における白内障等のリスクファクターであり、紫外線を発する光源を工業的に使用することは作業環境上好ましくなく、極力紫外線の少ない光源の使用が望まれている。
【0006】
安全性の観点から、可視領域の光エネルギーも利用できる光重合法としてリボフラビン/蛍光光線活性連続重合系を使用する方法が検討されているが、得られる重合体の反応率は低く、満足いく製品は得られていない(特許文献6参照)。
【特許文献6】特開昭63−135403号公報
【0007】
本発明者らは、酸化剤と還元剤から成るレドックス重合開始剤と光増感剤を併用した光重合による電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの製造方法を提案している(特許文献7)。この発明における一つの特徴は、添加しているリボフラビン及びリボフラビン誘導体が光重合開始剤としてではなく、光増感剤として機能している点である。光増感剤と併用して酸化剤と還元剤を用いることで、短時間で高品位な電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの製造を可能としている。
【特許文献7】国際公開2009−025135号公報
【0008】
しかしながら、上記特許文献7に記載の技術は電気泳動用ポリアクリルアミドゲルのような水不溶性ゲルの製造に最適化された技術である。この技術を水溶性単量体を原料として用いた水溶性重合体の工業的な製造、もしくはグラフト共重合体及び/または架橋共重合体の製造に適用すると、酸化剤と還元剤の併用によるレドックス反応が爆発的に起こり、重合反応を制御することができず目的とする分子量の重合体を得ることができない。また、重合反応初期に酸化剤や還元剤の大部分が消費されてしまい、得られる重合体中の残存単量体を低減することができなかった。
【0009】
試みとして、本発明者らが開発した技術・毛髪化粧料用添加剤及びそれを含有する毛髪化粧料(特許文献8)、及び皮膚洗浄剤添加剤及びそれを含有する皮膚洗浄剤に光重合反応の利点を活かすため、特許文献7に示す光重合技術を適用しようとしたが、上記した理由により満足すべき重合体を得ることができなかった。
【特許文献8】国際公開2010−016543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、水性媒体中OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体を共存させ、ビニル基を有する1種以上の水溶性単量体を光重合する場合、作業環境上安全性の高い光源として、紫外領域の光量の極力少ない光源を用いた手法を完成させることである。
【0011】
上記手法を用いて、水性媒体中OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体と1種以上のビニル基を有する水溶性単量体を重合させることにより、ビニル基を有する水溶性単量体から構築された高分子組成物を得ること、並びにその製造方法を提案すること、毛髪用化粧料添加剤且つこれを含有する毛髪化粧料、皮膚洗浄剤用添加剤且つこれを含有する皮膚洗浄剤への応用を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射することで、重合反応が進行し高分子組成物を得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、可視領域に吸収帯を有する光増感剤を用いることで、紫外領域の光量の極力少ない光源が使用でき、作業環境上安全性が高い光重合が可能となった。さらに、短時間且つ高濃度で高分子組成物の重合反応を行うことができる。そのため製造効率よく高分子組成物を得ることができ、さらに高濃度における重合により反応液全体が反応途中に含水ゲルのような弾性体になっても、光を照射し続けることによって重合を完結させることができる。本発明においては、重合時OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体と水溶性単量体の質量比を変化させることによりグラフト共重合体あるいは架橋共重合体のいずれかを主体とする高分子組成物を製造することができる。
【0014】
特許文献8に示すグラフト共重合体を含有する高分子組成物は、毛髪用化粧料添加剤として用いた場合、ポリクオタニウム−7や10のような既存添加剤と比較し優れたコンディショニング効果を発現する。本発明の方法を用いて特許文献8に示す高分子組成物を作成した場合、重合時間の大幅な短縮が可能となり、製造効率を著しく向上させることができた。加えて、特許文献8の手法を用いた場合、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体がグラフト共重合体の主鎖としての利用のみに留まっていたが、本発明の手法では、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体はグラフト共重合体の主鎖のみに留まらず、架橋共重合体の架橋部位としても利用可能になり、より広範な立体構造を有する重合体を得ることができる。
【0015】
この結果、本発明により得られる高分子組成物を毛髪用化粧料添加剤、及び皮膚洗浄剤用添加剤として用いた場合、特許文献8に示す手法で得られる毛髪用化粧料添加剤、及び皮膚洗浄剤用添加剤と比較し、泡質改善効果や毛髪もしくは皮膚表面の感触を良好に保つ効果が高く、毛髪もしくは皮膚洗浄時にきしみ感がなく滑らかな状態を保持可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、説明する。なお、以下の本実施形態は本発明の例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0017】
ビニル基を有する水溶性単量体は、非イオン性単量体、カチオン性単量体、アニオン性単量体、複数のビニル基を有する多官能性単量体であり、これらの水溶性単量体は、1種あるいは2種以上を用いてもよい。この中でも特にカチオン性単量体は、一般式(1)あるいは一般式(2)で表されることを特徴とする。
【化1】

一般式(1)
[式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、Rは同一または異なって、水素原子または炭素1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基を示す。Yは−O−、−NH−、−CH−、または−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す]
【化2】

一般式(2)
[式中、Rは同一または異なって、水素原子またはメチル基を示し、R及びRは同一または異なって、水素原子または炭素1〜4のアルキル基を示し、Xは前記と同じ意味を示す。]
【0018】
非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド等が挙げられる。これらの非イオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能であり、重合反応の容易さからアクリルアミドを含むことが好ましい。
【0019】
カチオン性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの塩等が挙げられる。また四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、アリルアミン、ジアリルメチルアミンおよびこれらの塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらのカチオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0020】
アニオン性単量体の例としては(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの塩等が挙げられる。これらのアニオン性水溶性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0021】
複数のビニル基を有する多官能性単量体の例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、ジビニルベンゼン、N、N−ジアリルアミン、N、N−ジアリルアミンヒドロクロリド、N、N、N−トリアリルアミン、N、N、N−トリアリルアミンヒドロハライド、N−メチル−N、N、N−トリアンモニウムハライド、N−メチル−N、N、N−トリアリルアンモニウムハライド、N、N、N、N−テトラアリルアンモニウムハライド、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等が上げられる。これらの多官能性単量体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0022】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体は、ビニル基を有する水溶性単量体と高分子組成物を形成するに辺り、グラフト共重合体の主鎖部位及び/または架橋共重合体の架橋部位となる。本発明において、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の添加によりグラフト共重合体及び/または架橋共重合体を構築できることは、水溶性、あるいは水不溶性グラフト共重合体及び/または架橋共重合体の両方を製造できる技術に繋がっている。これら重合体の立体的特徴は、毛髪用化粧料添加剤や皮膚洗浄剤用添加剤として優れた機能を発現するために非常に重要である。
【0023】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の例として、多糖類、及び多糖類誘導体としては、セルロース、澱粉類、グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、キトサン、カラギーナン、ジュランガム、プルラン、マンナン、フェヌグリーク、セリシン等が挙げられるが、溶解度の点からグアガム、及びローカストビーンガムが好ましい。天然高分子誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シアノエチルセルロース、エチル−ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアガム、ヒドロキシプロピルグアガム等が挙げられるが、これも溶解度の点からヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルグアガムが好ましく、さらに好ましくはヒドロキシエチルセルロースである。これらの天然高分子または天然高分子誘導体を複数組み合わせて使用することも可能である。
【0024】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の分子量に関しては、水性媒体中に均一に溶解した状態で光重合反応を行うため、2%水溶液粘度が25℃において200,000mPa・s以下であることが好ましい。これより高い分子量を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体では溶解液の粘度が著しく高くなり、製造上溶解液の取り扱いが困難になる。
【0025】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の添加量は、ビニル基を有する水溶性単量体の総量に対して0.001質量%〜20質量%が望ましい。この値以上の添加量になると、未溶解の天然高分子及び/または天然高分子誘導体が残存し、この値を下回ると天然高分子及び/または天然高分子誘導体の機能が充分に発揮されない。さらに好ましい添加量は0.1質量%〜10質量%である。
【0026】
水性媒体中に含有する溶解液中のビニル基を有する水溶性単量体とOH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の総濃度は、生産性の面からは高いほど望ましく、5質量%〜90質量%の範囲であり、低いと重合が開始し難く、高いと重合熱がコントロールし難くなるので、特に好ましくは20質量%〜60質量%の範囲である。
【0027】
有機色素の例として、リボフラビン、葉酸、メチレンブルー、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB、フルオレシン、ウラニン、ローダミン123、フルオレセインアミンI、フルオレセインアミンII、ローズベンガル、モダントブルー29、エリオクロムシアニンR、ナフトクロムグリーン、アウリントリカルボン酸、クマリン343、プロフラビン、マーキュロクロム、メチルレッド、メチルオレンジ、メチルイエロー、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、フリーベースポルフィリン、フリーベースフタロシアニン、クロリン、バクテリオクロロフィル及びこれらの誘導体等が挙げられるが、pH3〜10の範囲で水に溶解する有機色素が特に好ましい。これらの中でもリボフラビン、もしくはリボフラビン誘導体が好ましく、水あるいは水性媒体への溶解性が高いリボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウムが最も好ましい。有機色素の添加量は、単量体濃度に対して1ppmから500ppmの範囲であり、より好ましくは5ppmから100ppmの範囲である。有機色素の添加量が少なすぎる場合は重合反応がほとんど進行せず、有機色素の添加量が多すぎる場合は光が表面付近ですべて吸収されてしまうことや励起種同士の不均化により重合反応が開始しない場合がある。
【0028】
本実施形態では、重合反応を促進する目的として、有機色素と一緒に過酸化物を含有させる必要がある。過酸化物の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等があげられ、溶解性の観点から過硫酸アンモニウムが望ましい。過酸化物の添加量は、単量体濃度に対して10〜50,000ppmの範囲であり、より好ましくは500〜20,000ppmの範囲である。
【0029】
上記の原料に加え、分子量の調整等の必要に応じて連鎖移動剤等の添加物を用いることもできる。連鎖移動剤の例として、イソプロピルアルコール、メルカプトエタノー ル、グルコン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等、一般的に使用される連鎖移動性を持った化合物から任意のものを選ぶことができる。
【0030】
本実施形態の光源としては、主に可視領域の光を発するものが好ましい。このような光源としては、蛍光ランプ、LED蛍光ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプが挙げられるが、安価で寿命も長く、発熱量が小さく消費エネルギーの低い蛍光ランプまたはLED蛍光ランプが好ましい。蛍光ランプ及びLED蛍光ランプの場合、青色、青白色、緑色、桃色ランプ等が存在するため、用いる有機色素の吸収領域に適合した蛍光ランプを選択して用いることが可能である。これらの光源を一種類、もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0031】
照射する可視光の照度は、100〜500,000lxが好ましい。これ以下の強度の場合反応が充分に進行しないことがあり、強すぎる場合は反応制御が困難になり危険である。より好ましい範囲は1,000〜150,000lxである。
【0032】
本実施形態は水性媒体中にて溶解状態で行うが、反応に必要ならば水性媒体としてアルコール等水溶性有機溶媒を混在させた媒体を用いることも可能である。OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、過酸化物、有機色素は、それぞれ水性媒体中に事前に溶解しておく。遮光下にてそれらの溶解液と前記水溶性単量体を混合し、反応液とする。
【0033】
本実施形態における反応液は、pH2〜10の範囲にあることが望ましい。pHの調整は、必要に応じて希塩酸、希硫酸、水酸化ナトリウム水溶液等、適当なpH調整液を用いて行うことができる。
【0034】
本実施形態は、空気のような酸素を含有する大気下でも重合を行なうことができるが、必要があれば前記反応液や重合反応場を窒素やアルゴンのような不活性ガスにより酸素を置換した状態で重合を行なうこともできる。
【0035】
重合容器の形状としては、反応溶液に可視光照射できる形状ならば特に制限はない。中でも得られる製品の品質管理が容易であることから、底部が平坦且つ表面積の大きな容器を用いることが好ましい。底部が平坦且つ表面積の大きな容器を用いると、反応液を薄く平らに保持できるため可視光照射を均一に行うことができる利点も有している。
【0036】
重合容器の素材は、上部から可視光照射する場合は上部開放系のものであれば特に制限されない。容器周囲から可視光照射する場合、ガラス等の可視光を透過する素材であれば特に制限されない。また、重合容器内部に光源を設置する場合は、重合容器の素材は特に制限されない。
【0037】
可視光照射開始時の温度は、5〜60℃の範囲が好ましい。これ以下の温度になると反応開始までに長時間かかり、高温になりすぎると重合時の発熱が加わり突沸する可能性があり、危険である。
【0038】
光重合を行う際の可視光照射時間は、10〜120分が好ましい。これ以下になると充分に反応が進行せず、これ以上になると副次反応が起こる可能性がある。
【0039】
本実施形態の毛髪用化粧料添加剤は、種々の毛髪化粧料に配合できる。毛髪化粧料の例として、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、セット用整髪料、パーマ液、染毛料等に好適に用いることができる。
【0040】
本実施形態の毛髪用化粧料添加剤において、ビニル基を有する水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は1〜100モル%の範囲である。しかしながら、シャンプーに用いる場合は、カチオン当量値が高すぎるとシャンプー組成の主成分であるアニオン性界面活性剤とコンプレックスを形成し不溶化し白濁してしまうため、1〜50モル%の範囲が好ましい。
【0041】
またリンス、コンディショナー、トリートメントに用いる場合、主成分がカチオン性界面活性剤であるため、ビニル基を有する水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は毛髪化粧料に求められる効果に応じて5〜100モル%の範囲で選ばれるが、5〜60モル%の範囲がより好ましい。
【0042】
またセット用整髪料、パーマ液、染毛料に用いる場合、イオン性界面活性剤を含まない場合が多いため、ビニル基を有する水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は、同様に求められる効果に応じて5〜100モル%の範囲で選ばれる。セット用整髪料には、液体、クリーム、エマルジョン、スプレー、泡状、ジェル等の形態があるが、どのような形態でも使用できる。
【0043】
本実施形態の毛髪用化粧料添加剤を毛髪化粧料に添加する場合、通常毛髪化粧料に対して0.05質量%〜5質量%添加されるが、それぞれの毛髪化粧料に求められる効果を示す範囲において添加量は特に限定されない。
【0044】
本実施形態の毛髪用化粧料添加剤を添加成分として含有する毛髪化粧料のその他の成分は、毛髪化粧料の用途に応じ、毛髪化粧料において公知の添加剤を加えることができる。
【0045】
アニオン性界面活性剤の例としては、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウリル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等のN−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等が挙げられる。
【0046】
カチオン性界面活性剤の例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
ベタイン型界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、ミリスチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
【0048】
ノニオン性界面活性剤の例としては、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0049】
さらに必要に応じて、本発明の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合しても良い。任意成分としては、炭化水素類、アルコール類、高級脂肪酸類及びその誘導体、水溶性高分子、各種紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0050】
炭化水素類の例として、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。
【0051】
アルコール類の例として、エタノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0052】
高級脂肪酸類及びその誘導体の例として、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルドデシル、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリコール、テトラオレイン酸ポリエチレングリコールソルビット、モノステアリン酸グリセリル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、水添ヒマシ油ポリエチレングリコール等のエステル油類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニル)酸、オレイン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
【0053】
水溶性高分子の例として、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子等の天然水溶性高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、カチオン化グアガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等の半合成水溶性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、600,000、4,000,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリエチレンイミンなどの合成水溶性高分子が挙げられる。
【0054】
紫外線吸収剤の例として、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機物質、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン、ポリエチレングリコール付加シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、3−(4′−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4′−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、安息香酸系、アントラニル酸系、サリチル酸系、桂皮酸系、ベンゾフェノン系等が挙げられる。
【0055】
その他の任意成分の例として、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、アスパラギン酸ナトリウム等の保湿剤、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等の抗菌剤、塩化カルプロニウム等の血管拡張剤、メントール類等の清涼感付与剤、ニコチン酸ベンジル等の刺激感付与剤、ビタミンA、B、C、D、E等のビタミン類、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌防腐剤、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等のキレート化剤、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤、エアゾール製品の場合は液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤、金属イオン捕獲剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等が挙げられる。
【0056】
また本実施形態と異なる公知のカチオン性、アニオン性、両イオン性、ノニオン性の合成系、半合成系、天然系の高分子を本発明と併用することも可能である。
【0057】
カチオン性高分子の例として、ルビカットFC370、FC550、FC905、HM552、MonoCP(以上、BASF社)等のビニルイミダゾリウムクロライド/ビニルピロリドンコポリマー、セルカットH−100(粘度1000mPa・s)、L−200(粘度100mPa・s)(以上、ナショナル・スターチ社)等のヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、マーコート100、550等の塩化ジアリルジメチルアンモニウムのホモポリマー及び塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、これらを含むターポリマー(マーコート3331)、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとを含むコポリマーまたはターポリマー(マーコート2001)等(以上、ナルコ社)、ガフカット734、755N、755(以上、ISP社)等のビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ルビフレックス(BASF社)、コポリマー845、937、958(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、コポリマーVC−713(ISP社)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ガフカットHS−100(ISP社)等のビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、成分表示名称がポリクオタニウム−52のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールのコポリマー、特開平2−180911号公報に記載の水溶性高分子化合物等のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、N−プロピオニルポリエチレンイミン/メチルポリシロキサンコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル/メトキシポリエチレングリコールコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アルキルエステルコポリマー等が挙げられる。
【0058】
アニオン性高分子としては、例えばガントレッツES−225、ES−425、SP−215(以上、ISP社)等のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステルコポリマー、レジン28−1310(ナショナル・スターチ社)、ルビセットCA(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、レジン28−2930(ナショナル・スターチ社)等の酢酸ビルニ/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ルビセットCAP(BASF社)等の酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、ADVANTAGECP(ISP社)等の酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソポロニルアクリレートコポリマー、プラスサイズL53P、L−75CB、L−9540B(互応化学社)、ダイヤホールド(三菱化学社)等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー、ウルトラホールド8、ウルトラホールド・ストロング(以上、BASF社)、アンフォーマーV−42(ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミドコポリマー、ルビフレックスVBM35(BASF社)等のポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー等、成分表示名称がポリウレタンー1のイソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸及びジイソシアン酸イソホロンのコポリマー等のウレタンポリマーが挙げられる。
【0059】
両イオン性高分子としては、例えばユカフォーマーSM、301、205S、201、W等(以上、三菱化学社)のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステルコポリマー、アンフォーマー28−4910、LV−71(以上、ナショナル・スターチ社)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミドコポリマー等が挙げられる。
【0060】
ノニオン性高分子としては、例えばルビスコールK12、17、30、60、80、90(以上、BASF社)、PVP K15、30、60、90(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン、ルビスコールVA28、37、55、64、73、VA37E(以上、BASF社)、PVP/VA E−735、E−635、E−535、E−335、S−630、W−735(以上、ISP社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ルビスコールVAP343(BASF社)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルコポリマー、Dowtex(ダウ・ケミカル社)等の酢酸ビニル/N−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンコポリマー等が挙げられる。
【0061】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤は、種々の皮膚洗浄剤に配合できる。皮膚洗浄剤の例として、ボディーシャンプー、洗顔フォーム、ハンドソープ等に好適に用いることができる。
【0062】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤において、ビニル基を有する水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は1〜100モル%の範囲である。ビニル基を有する水溶性単量体中のカチオン性水溶性単量体の割合は皮膚洗浄剤に求められる効果に応じて5〜100モル%の範囲で選ばれるが、5〜30モル%の範囲がより好ましい。
【0063】
本実施形態の皮膚洗浄剤用添加剤を皮膚洗浄剤に添加する場合、通常皮膚洗浄剤に対して0.05質量%〜5重量%添加されるが、それぞれの皮膚洗浄剤に求められる効果を示す範囲において添加量は特に限定されない。
【0064】
皮膚洗浄剤には、その他の成分として、皮膚洗浄剤の用途に応じ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の公知の添加剤を加えることができる。
【0065】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ベヘン(ベヘニル)酸塩、オレイン酸塩、1,2−ヒドロキシステアリン酸塩、ウンデシレン酸塩、トール酸塩、ラノリン脂肪酸塩、イソステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレイン酸塩、γ−リノレン酸塩、エイコサペンタエン酸塩等の高級脂肪酸塩類及びその誘導体、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウリル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等のN−脂肪酸−N−メチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等のN−脂肪酸サルコシン縮合物の塩、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、N−ココノイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等のN−脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニン塩等が挙げられる。
【0066】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
【0067】
ベタイン型界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココアシドプロピルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、シクロヘキシルラウリルアミンオキシド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンオキシド、オレイルベタイン、ステアリルベタイン、ミリスチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
【0068】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0069】
さらに必要に応じて、本発明の効果に影響のない範囲で、他の任意成分を配合しても良い。任意成分としては、炭化水素類、アルコール類、高級脂肪酸類及びその誘導体、水溶性高分子、各種紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0070】
炭化水素類の例として、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。
【0071】
アルコール類の例として、エタノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0072】
高級脂肪酸類及びその誘導体の例として、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルドデシル、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸グリコール、テトラオレイン酸ポリエチレングリコールソルビット、モノステアリン酸グリセリル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、水添ヒマシ油ポリエチレングリコール等のエステル油類等が挙げられる。
【0073】
水溶性高分子としては、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子などの天然水溶性高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化セルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、カチオン化グアガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子などの半合成水溶性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(商品名「カーボポール」)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、600,000、4,000,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0074】
各種紫外線吸収剤としては、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機物質、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン、ポリエチレングリコール付加シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、3−(4′−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4′−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0075】
その他の任意成分としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、アスパラギン酸ナトリウム等の保湿剤、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等の抗菌剤、塩化カルプロニウム等の血管拡張剤、メントール類等の清涼感付与剤、ニコチン酸ベンジル等の刺激感付与剤、ビタミンA、B、C、D、E等のビタミン類、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌防腐剤、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等のキレート化剤、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調製剤、増泡剤、発泡剤、泡安定剤、エアゾール製品の場合は液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤、金属イオン捕獲剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等が挙げられる。
【0076】
また、本実施形態と異なる公知のカチオン性、アニオン性、両イオン性又はノニオン性の合成系、半合成系又は天然系の高分子を併用することも可能である。
【0077】
カチオン性高分子としては、例えば、例えば、商品名「ルビカットFC370」、「ルビカットFC550」、「ルビカットFC905」、「ルビカットHM552」、「ルビカットMonoCP」(以上、BASF社製)等のビニルイミダゾリウムクロライド/ビニルピロリドンコポリマー、商品名「セルカットH−100(粘度1000mPa・s)」、商品名「セルカットL−200(粘度100mPa・s)」(以上、ナショナル・スターチ社製)等のヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、商品名「マーコート100」、「マーコート550」等の塩化ジアリルジメチルアンモニウムのホモポリマー及び塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、これらを含むターポリマー(例えば、商品名「マーコート3331」)、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとを含むコポリマー又はターポリマー(例えば、商品名「マーコート2001」)等(以上、ナルコ社製)、商品名「ガフカット734」、「ガフカット755N」、「ガフカット755」(以上、ISP社製)等のビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、商品名「ルビフレックス」(BASF社製)、商品名「コポリマー845」、「コポリマー937」、「コポリマー958」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレートコポリマー、商品名「コポリマーVC−713」(ISP社製)等のポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、商品名「ガフカットHS−100(ISP社)」等のビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、成分表示名称が「ポリクオタニウム−52」のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド及びジメタクリル酸ポリエチレングリコールのコポリマー、特開平2−180911号公報に記載の水溶性高分子化合物等のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、N−プロピオニルポリエチレンイミン/メチルポリシロキサンコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル/メトキシポリエチレングリコールコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アルキルエステルコポリマー等が挙げられる。
【0078】
アニオン性高分子としては、例えば、商品名「ガントレッツES−225」、商品名「ガントレッツES−425」、商品名「ガントレッツSP−215」(以上、ISP社製)等のメチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステルコポリマー、商品名「レジン28−1310」(ナショナル・スターチ社製)、商品名「ルビセットCA」(BASF社製)等の酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、商品名「レジン28−2930」(ナショナル・スターチ社製)等の酢酸ビルニ/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、商品名「ルビセットCAP」(BASF社製)等の酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー、商品名「ADVANTAGE CP」(ISP社製)等の酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソポロニルアクリレートコポリマー、商品名「プラスサイズL53P」、商品名「プラスサイズL−75CB」、商品名「プラスサイズL−9540B」(互応化学社製)、商品名「ダイヤホールド」(三菱化学社製)等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー、商品名「ウルトラホールド8」、「ウルトラホールド・ストロング」(以上、BASF社製)、商品名「アンフォーマーV−42」(ナショナル・スターチ社製)等のアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミドコポリマー、商品名「ルビフレックスVBM35」(BASF社製)等のポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー等、成分表示名称が「ポリウレタンー1」であるイソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸及びジイソシアン酸イソホロンのコポリマー等のウレタンポリマーが挙げられる。
【0079】
両イオン性高分子としては、例えば、商品名「ユカフォーマーSM」、「ユカフォーマー301」、「ユカフォーマー205S」、「ユカフォーマー201」、「ユカフォーマーW」等(以上、三菱化学社製)のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステルコポリマー、商品名「アンフォーマー28−4910」、「アンフォーマーLV−71」(以上、ナショナル・スターチ社製)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミドコポリマー等が挙げられる。
【0080】
ノニオン性高分子としては、例えば、商品名「ルビスコールK12」、「ルビスコールK17」、「ルビスコールK30」、「ルビスコールK60」、「ルビスコールK80」、「ルビスコールK90」(以上、BASF社製)、商品名「PVP K15」、「PVP K30」、「PVP K60」、「PVP K90」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン、商品名「ルビスコールVA28」、「ルビスコールVA37」、「ルビスコールVA55」、「ルビスコールVA64」、「ルビスコールVA73」、「ルビスコールVA37E」(以上、BASF社製)、商品名「PVP/VA E−735」、「PVP/VA E−635」、「PVP/VA E−535」、「PVP/VA E−335」、「PVP/VA S−630」、「PVP/VA W−735」(以上、ISP社製)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、商品名「ルビスコールVAP343」(BASF社製)等のポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルコポリマー、商品名「Dowtex」(ダウ・ケミカル社製)等の酢酸ビニル/N−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンコポリマー等が挙げられる。
【0081】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【実施例1】
【0082】
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水38.97gを混合し、希硫酸を用いてpH5.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液12.50g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液12.50gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、49.0mPa・sを示した。これを重合体1とする。
【実施例2】
【0083】
50質量%アクリルアミド水溶液509.82g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液223.22g、1.5質量%グアガム(MRCポリサッカライド株式会社製RG500、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が42,000mPa・s)水溶液66.67g、純水182.30gを混合し、希硫酸を用いてpH4.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液6.00g、10質量%過酸化水素水溶液12.00gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、18分後にはピーク温度に達した。70分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、49.2mPa・sを示した。これを重合体2とする。
【実施例3】
【0084】
50質量%アクリルアミド水溶液397.17g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液463.72g、1.5質量%ヒドロキシプロピルグアガム(三晶株式会社製ジャガーHP−08、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が35,000mPa・s)水溶液100.00g、純水2.86gを混合し、希硫酸を用いてpH4.5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液6.25g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液30.00gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、10分後にはピーク温度に達した。50分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、42.6mPa・sを示した。これを重合体3とする。
【実施例4】
【0085】
50質量%アクリルアミド水溶液478.86g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液93.18g、1.5質量%ローカストビーンガム(和光純薬製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が1,350mPa・s)水溶液60.00g、純水334.21gを混合し、希硫酸を用いてpH5.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液3.75g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液30.00gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20WLEDランプ(東芝LDL20T・N/13/12)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。25分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、35.8mPa・sを示した。これを重合体4とする。
【実施例5】
【0086】
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、80質量%メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液396.21g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水22.65gを混合し、希硫酸を用いてpH5.5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%ローズベンガル水溶液12.50g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液12.50gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、40分後にはピーク温度に達した。80分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、54.0mPa・sを示した。これを重合体5とする。
【実施例6】
【0087】
50質量%アクリルアミド水溶液455.52g、75質量%アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液378.53g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液45.00g、純水98.45gを混合し、希硫酸を用いてpH5.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液11.25g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液11.25gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。40分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、48.0mPa・sを示した。これを重合体6とする。
【実施例7】
【0088】
50質量%アクリルアミド水溶液253.07g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液189.95g、10質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液25.00g、純水19.48gを混合し、希硫酸を用いてpH6.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液6.25g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.25gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。硬質ガラス製シャーレ(φ120mm×60mm)に上記水溶液を全量供給し、硬質ガラス板(150mm×150mm)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1重量%濃度となるように溶解したところ、一部不溶解成分が残存した。1質量%の25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、10.0mPa・sを示した。これを重合体7とする。
【実施例8】
【0089】
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、10質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液100.00g、純水1.47gを混合し、希硫酸を用いてpH5.5に調整した。その混合液に遮光下で0.4質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液6.25g、20質量%過硫酸アンモニウム水溶液6.25gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、5分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1重量%濃度となるように溶解したところ、一部不溶解成分が残存した。1質量%の25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、1.0mPa・sを示した。これを重合体8とする。
【実施例9】
【0090】
80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液468.75g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液7.50g、純水12.50gを混合し、希硫酸を用いてpH5.0に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液9.38g、10質量%過硫酸カリウム水溶液1.88gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、15分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、45.5mPa・sを示した。これを重合体9とする。
【実施例10】
【0091】
50質量%アクリルアミド水溶液397.20g、80質量%アクリル酸水溶液251.75g、10質量%セリシン(カシロ産業製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が16mPa・s)水溶液20.00g、純水77.95gを混合し、48質量%水酸化ナトリウム水溶液233.10gを用いてpH8.5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液10.00g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液10.00gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、10分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1質量%濃度となるように溶解し、25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、65.0mPa・sを示した。これを重合体10とする。
【実施例11】
【0092】
50質量%アクリルアミド水溶液200.00g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液200.00g、純水595.00gを混合し、希硫酸を用いてpH5.5に調整した。その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液2.50g、10質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.50gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後すみやかに水溶液の温度が上昇し、20分後にはピーク温度に達した。60分間可視光照射して得られた重合体は透明で弾力のある含水ゲル状となっていた。得られた含水ゲルをはさみで小さく切断した後に純水で1重量%濃度となるように溶解したところ、一部不溶解成分が残存した。1質量%の25℃での粘度(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を測定したところ、2.0mPa・sを示した。これを重合体11とする。
【0093】
(比較例1)
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水51.47gを混合し、その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液12.50gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後重合熱による発熱は見られなかった。
【0094】
(比較例2)
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水51.47gを混合し、その混合液に遮光下で10質量%過硫酸アンモニウム水溶液12.50gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後重合熱による発熱は見られなかった。
【0095】
(比較例3)
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水22.30gを混合し、その混合液に遮光下で3質量%2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]水溶液41.67gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後重合熱による発熱は見られなかった。
【0096】
(比較例4)
50質量%アクリルアミド水溶液506.14g、65質量%ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液379.90g、5質量%ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、B型粘度計による25℃での2質量%水溶液粘度が450mPa・s)水溶液50.00g、純水9.80gを混合し、その混合液に遮光下で0.2質量%リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム水溶液12.50g、3質量%2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]水溶液41.67gを添加し、窒素ガスで溶存酸素を置換しつつ、液温を25℃に調整した。ポリ塩化ビニリデン樹脂コーティングしたステンレス製容器(408mm×290mm)に上記水溶液を全量供給し、ポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成ホームプロダクツ株式会社製)1枚で上部を覆った。この上方に20W蛍光ランプ(東芝FL20SS−EDC/18PDL)を設置し、照度が20,000lxになるよう調節した。可視光照射開始後重合熱による発熱は見られなかった。
【実施例12】
【0097】
表1に、実施例1〜11、表2に比較例1、2、表3に比較例3、4の単量体組成、単量体濃度、有機色素添加量、過酸化物添加量、光源種類、発熱による温度上昇ピークを迎えるまでの時間、1質量%の25℃での粘度測定値(B型粘度計、ロータ回転数30rpm)を示し、各実施例条件の光重合反応が進行したか否かの結果を記載した。各反応条件において、可視光照射開始後120分以内に急激な発熱が起こり、高粘度溶液状態もしくは含水ゲルのような固体状態になった場合反応進行した(○)と判断し、可視光照射開始後120分が経過しても発熱が起こらず、反応開始前と同様な粘度の液状態を保持していたものを反応進行しなかった(×)と判断した。
【0098】
(表1)

単量体組成:モル%
AAm:アクリルアミド
DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド
MMCQ:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
DMAPAAQ:アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド
AMCQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド
AA:アクリル酸
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
GUR:グアガム
HPG:ヒドロキシプロピルグアガム
LBG:ローカストビーンガム
Rf:リボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウム
Rb:ローズベンガル
APS:過硫酸アンモニウム
KPS:過硫酸カリウム
:過酸化水素
【0099】
(表2)

単量体組成:モル%
【0100】
(表3)

単量体組成:モル%
VA086:2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]
【0101】
表1の結果から明らかなように、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体を重合させる工程において、有機色素と過酸化物が共存する場合、可視光照射で充分に反応進行し目的とする重合体が得られた。しかしながら表2に示すように、有機色素単独(比較例1)もしくは過酸化物単独(比較例2)添加の場合、可視光照射後の昇温が見られず反応進行しなかった。表3には、紫外線照射下で使用される一般的な光重合開始剤であるVA086を用いた結果を示した。VA086単独(比較例3)、VA086とリボフラビン−5’−リン酸エステルナトリウムの同時添加(比較例4)の条件を試みたが、いずれの条件でも可視光の照射では昇温が見られず、反応進行しなかった。これらの結果から、OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体を可視光照射にて重合させる場合、有機色素と過酸化物の同時添加により満足すべき重合体が得られることが分かった。
【実施例13】
【0102】
重合体1〜8、市販カチオンポリマー 東邦化学社製HC−100(ポリクオタニウム−10)及びNalco社製MERQUAT550(ポリクオタニウム−7)を表4に示す組成で溶解し、シャンプー液を調整した。但し重合体7、8の溶解液には不溶解成分が存在し、調整したシャンプー液に不溶解成分が残存したため、本シャンプー試験からは除外した。各サンプルについて、毛髪シャンプーとしての使用感を下記方法により官能評価し、表5に示されている基準により評価した。
(1)成分Aの調整
精製水を60℃まで加温し、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、モノエタノールアミドを加え攪拌した。加温を止め、1、3−ブタンジオール、フェノキシエタノール、EDTA・2Na・2HOを添加後攪拌し、室温まで冷却した。
(2)成分Bの調整
各重合体、及び市販カチオンポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)シャンプー液の調整
成分Aを60℃まで加熱し、成分Bを添加し十分に攪拌した後、室温にまで冷却した。
(4)評価方法
各シャンプー液について、パネラー5名により実用試験を行い、洗髪時の泡立ち、洗髪時の滑らかさ、洗髪時の指どおり、洗髪時のぬめり感、すすぎ速さ、洗浄後のきしみ感、洗浄後の櫛どおりについて官能評価し、ポリクオタニウム−10の0.6質量%シャンプー液の使い心地を標準値3として、表5に示される基準により評価した。結果を表6、対照品である市販カチオンポリマーの使用感を表7に示す。
【0103】
(表4) シャンプー液組成

【0104】
(表5)

【0105】
(表6)

【0106】
(表7)

【0107】
表6と表7の結果比較から明らかなように、ポリクオタニウム−10では0.4質量%以下の添加量の場合コンディショニング効果が低減してしまうのに対し、本発明品の重合体1〜6は、0.1質量%程度の添加量で高いコンディショニング効果を得られることが判明した。また、ポリクオタニウム−7の場合、0.2質量%以上の添加で曳糸性が生じ、泡立ちに支障をきたした。本発明品の重合体1〜6は、高添加にも関わらず不快な曳糸性が生じず、泡立ち開始から短時間できめ細かいクリーミーな泡が生じることが分かった。特に、カチオン性単量体含有量の多い重合体1、3は泡質改善効果に著しく優れており、カチオン性単量体含有量の低い重合体2、4は、比較的すすぎ時間が早くさっぱりした感触を示すことが特徴であると分かった。重合体5、6の結果を重合体1〜4と比較することで、カチオン性単量体の種類を変化させることにより、使用感に変化を与えられることも分かった。
【実施例14】
【0108】
重合体1、3、6と市販カチオンポリマー Nalco社製MERQUAT100(ポリクオタニウム−6)を表8に示す組成で溶解し、コンディショナー液を調整した。表8中のバランスとは成分合計100質量%から成分Aと成分Bの記載量を差し引いた残余量を意味する。各サンプルについて、毛髪コンディショナーとしての使用感を下記方法により官能評価し、表9に示されている基準により評価した。
(1)成分Aの調整
カチオン系界面活性剤、ステアリルアルコール、グルタミン酸を75℃下で攪拌し、融解した。次いで75℃に温めた精製水を加えさらに溶解した。
(2)成分Bの調整
各重合体、及び市販カチオンポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)コンディショナー液の調整
成分Aを75℃まで加熱し、成分Bを添加し十分に攪拌した後、室温にまで冷却した。
(4)評価方法
各コンディショナー液について、パネラー5名により実用試験を行った。コンディショナーを使用する前には、表4で示した組成でポリマーを添加しないシャンプーを調整し、それを使用して毛髪の洗浄を行った。洗髪後、使用した各コンディショニンナーの塗布時のしなやかさ、塗布時のなめらかさ、毛髪のすすぎ時のなめらかさ、タオルドライ後の指通りの良さ、乾燥直後の毛髪の指通りの良さ、乾燥直後のサラサラ感、乾燥翌日の毛髪のうるおい感について官能評価し、表9に示される基準により評価した。評価に際しては、カチオンポリマー無添加にて調整したコンディショナーの使い心地を標準値3とした。ポリマー無添加品、実施例1、3、6の各重合体の使用感、及び対照品である市販カチオンポリマーの使用感を表10に示す。
【0109】
(表8)

【0110】
(表9)

【0111】
(表10)

【0112】
表10の結果比較から、重合体1、3、6は、コンディショナーに添加することで、高いコンディショニング効果を発現することが分かった。この効果は、既存品ポリクオタニウム−6よりも高かった。また本発明品は、乾燥直後及び乾燥翌日の髪の状態を良好に保つ効果が高く、乾燥後の髪の感触を柔らかくする効果があることも確認された。
【実施例15】
【0113】
重合体1、3、6と市販カチオンポリマー Nalco社製MERQUAT100(ポリクオタニウム−6)、Nalco社製MERQUAT550(ポリクオタニウム−7)及び東邦化学社製HC−100(ポリクオタニウム−10)をそれぞれ0.5質量%濃度にて溶解した。この溶液を、カール保持力を有するセット用整髪料として使用し、使用感を下記方法により官能評価した。
(1)評価方法
溶解した0.5質量%ポリマー溶液に、長さ35cmの束状の髪の毛を15秒間浸漬させた。取り出した後水分を軽く切り、直径2cmのヘアカーラーに髪全体を巻きつけ、高温ドライヤーにて15分乾燥させた。髪をカーラーに巻いた状態のまま、温度26℃、湿度60%の恒温室にて30分間静置した。その後、ヘアカーラーから髪をはずし、毛束根元から毛先までの長さを測定した。このときの長さをL0とした。測定後の髪をつるし、さらに30分静置した。その後の髪全体の長さを測定し、この値をL1とした。測定後の髪に5回櫛を通し、再度測定した値をL2として記録した。また、使用後の髪の感触も同時に評価した。カール保持力評価は、L0、L1、L2値の比較により行った。その際、水のみに浸漬させた毛束のL0、L1、L2値を測定してブランクとした。ブランク値、実施例1、3、6の各重合体、及び対照品である市販カチオンポリマーのL0、L1、L2の値と使用後の感触を表11に示す。
【0114】
(表11)

【0115】
表11の結果から明らかなように、重合体1、3、6においてはL0、L1、L2いずれの値も小さかった。これらの結果は、本発明品には優れたカール生成力、保持力があること、生成されたカールは櫛通しに対しても耐久性があることが分かった。使用後の感触については、ブランクの場合、髪が乾燥してまとまり感がなくぱさぱさになり、ポリクオタニウム−6、7ではポリマー由来のべとつきが髪の残り、ポリクオタニウム−10では髪が束状に固まり堅くばさばさな感触になったが、本発明品では、使用後の感触が柔らかく、髪に潤いとさらさら感を与える特徴があった。
【実施例16】
【0116】
重合体1〜6、又は市販カチオンポリマーを成分Bとし、表12に示す組成となるように成分Aと溶解させ、ボディーシャンプー液を調製した。各サンプルについて、ボディーシャンプーとしての使用感を下記方法により官能評価し、カチオンポリマー無添加にて調整したコンディショナーの使い心地を標準値3としたときの使用感を表13に示されている基準により評価した。
(1)成分Aの調製
精製水を70℃まで加温し、ラウリル酸、ミリスチル酸を加え溶解するまで攪拌した。規定の水酸化カリウムを精製水の一部を用いて溶解し、その液を水酸化カリウム水溶液として加えた後、ラウレス3−硫酸ナトリウム、ベタイン系界面活性剤を添加し攪拌した。その後、EDTA・2Na・2HOを添加後攪拌し、室温まで冷却した。
(2)成分Bの調製
各重合体及び市販カチオンポリマーを、室温にて精製水に溶解した。
(3)ボディーシャンプー液の調製
成分Aを70℃まで加熱して成分Bを添加し、表12に示す組成とした。その後、十分に攪拌した後、室温まで冷却した。
(4)評価方法
各ボディーシャンプー液について、パネラー5名により実用試験を行い、洗浄時の泡立ち、洗浄時の泡のきめ細かさ、すすぎ速さ、すすぎ後の感触、タオルドライ後の感触について官能評価した。カチオンポリマー無添加のボディーシャンプー液の使い心地を「標準値:3」として評価を行い、その結果を表14に示した。対照品である市販カチオンポリマーの使用感も同時に評価を行い、結果を表14に示した。
【0117】
(表12)

【0118】
(表13)

【0119】
(表14)

【0120】
表14から明らかなように、重合体1〜6はボディーシャンプーの泡立ちを良好にすることが分かった。生成する泡は、ポリクオタニウム−7や10と比較しきめ細かくクリーミーであり、泡量も多い。すすぎも早く、すすぎ後の感触も良好であることが確かめられた。タオルドライ後の感触が非常に良好であり、保湿剤を使用していないにも関わらず肌をしっとりさらさらな状態に仕上げることが分かった。ポリクオタニウム7や10を添加したボディーシャンプーを使用した場合、タオルドライ後に不快なきしみを感じるのに対し、重合体1〜6添加ボディーシャンプー使用時の感触は、非常に良好であった。特に、カチオン性単量体含有量の多い重合体1、3は泡質改善効果に著しく優れており、カチオン性単量体含有量の低い重合体2、4は、比較的すすぎ時間が早くさっぱりした感触が特徴であることが分かった。重合体5、6の結果を重合体1〜4と比較することで、カチオン性単量体の種類を変化させることにより、使用感に変化を与えられることも分かった。

【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明を利用することで、作業環境上安全性の高い紫外領域の光量の極力少ない光源と可視領域に吸収帯を有する光増感剤を用いた光重合が可能となった。さらに、短時間且つ高濃度で高分子組成物の重合反応を行うことができ、製造効率よく高分子組成物を得ることができるため、産業への適応は極めて有効であると考えられる。加えて、本発明により得られる毛髪用化粧料添加剤及びそれを含有する毛髪用化粧料は、シャンプー、及びコンディショナー添加時に高いコンディショニング効果を発現し、スタイリング剤に添加した時のパフォーマンスにも優れており、様々な毛髪用化粧料に対し利用することが可能である。さらに、本発明により得られる皮膚洗浄剤用添加剤及びそれを含有する皮膚洗浄剤は、皮膚をしっとりさらさらな感触に仕上げることができ、ボディーシャンプー、洗顔フォーム、ハンドソープ等をはじめとする幅広い用途に利用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合したことを特徴とする高分子組成物。
【請求項2】
前記水性媒体中に含有する溶解液の前記水溶性単量体とOH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体の総量濃度が、5質量%〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の高分子組成物。
【請求項3】
前記有機色素が、pH3〜10の範囲で水性媒体に可溶性であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の高分子組成物。
【請求項4】
前記可視光照射の光源が、蛍光ランプ、LED蛍光ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀ランプから選択された一種以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載の高分子組成物。
【請求項5】
前記水溶性単量体のうち、少なくとも一つが、一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるカチオン性単量体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の高分子組成物。
【化1】

一般式(1)
[式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、Rは同一または異なって、水素原子または炭素1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基を示す。Yは−O−、−NH−、−CH−、または−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す]
【化2】

一般式(2)
[式中、Rは同一または異なって、水素原子またはメチル基を示し、R及びRは同一または異なって、水素原子または炭素1〜4のアルキル基を示し、Xは前記と同じ意味を示す。]
【請求項6】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合することを特徴とする高分子組成物の製造方法。
【請求項7】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合したことを特徴とする毛髪用化粧料添加剤。
【請求項8】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合した毛髪用化粧料添加剤を含有する毛髪用化粧料。
【請求項9】
前記毛髪用化粧料がリンス、コンディショナー、トリートメント、セット用整髪料、パーマ液、染毛料であり、前記水溶性単量体のうちカチオン性水溶性単量体が、5〜100モル%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の毛髪化粧料。
【請求項10】
前記毛髪化粧料がシャンプーであり、前記水溶性単量体のうちカチオン性水溶性単量体が、1〜50モル%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の毛髪化粧料。
【請求項11】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合したことを特徴とする皮膚洗浄剤用添加剤。
【請求項12】
OH基を持つ天然高分子及び/または天然高分子誘導体、1種以上のビニル基を有する水溶性単量体、有機色素および過酸化物を必須として水性媒体中に含有する溶解液に可視光照射し重合した皮膚洗浄剤用添加剤を含有する皮膚洗浄剤。
【請求項13】
前記皮膚洗浄剤がボディーシャンプー、洗顔フォーム、ハンドソープ等であり、前記水溶性単量体のうちカチオン性水溶性単量体が、5〜100モル%の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の皮膚洗浄剤。
【請求項14】
前記皮膚洗浄剤がボディーシャンプー、洗顔フォーム、ハンドソープ等であり、前記水溶性単量体のうちカチオン性水溶性単量体が、5〜50モル%の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の皮膚洗浄剤。


【公開番号】特開2013−107975(P2013−107975A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253783(P2011−253783)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】