説明

高分子色素

【課題】金属を含まずとも、多様な色調の金属調光沢を発現し得る高分子色素であって、簡便な方法により膜を形成することができる高分子色素、その製造方法及び該高分子色素を含む膜を提供すること。
【解決手段】式(I):


(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、Dは有機色素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が500〜500,000である高分子色素、その製造方法、及び該高分子色素を含む膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、通信機器(携帯電話、PDA、リモコン、携帯情報端末、電子辞書、電子手帳等)、家電機器、建築部材等の各種工業材料等に用いられ得る高分子色素、その製造方法、及び該高分子色素を含む膜に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車分野をはじめとする各種家電機器や建築部材等あらゆる部材に対して機能に加えてデザイン性や装飾性が求められており、様々な加飾が施されている。
【0003】
これらの中で高輝度な金属調光沢を有する材料は、高級感のある加飾材料として多くの用途で用いられている。
【0004】
金属調光沢材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀等の金属を含有する金属調光沢材料が開示されている(特許文献1参照)。また、金属を含有しない金属調光沢材料として、傾斜多層構造に基づく発色現象を使用した光沢フィルムが開示されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−178478号公報
【特許文献2】特開2009−164029号公報
【特許文献3】特開2010−050598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属を含有する材料の場合、電磁波を透過しないため、情報通信ネットワークや通信サービスが発達したユビキタス社会での種々の無線通信機器への利用が著しく制限される。また、傾斜多層構造に基づく材料の場合、光の波長もしくはそれ以下の微細な凹凸構造・配列を必要とするため、高度な積層技術を必要とするといった問題や色調が銀色のみに限られているといった問題がある。
【0007】
また、代表的な金属調光沢の加飾方法であるメッキ処理では、多量の重金属を含む廃液の処理が必要となること、一方、薬品を使用しない場合には、マグネトロンスパッタ等の高価な真空成膜装置が必要であるといった問題がある。
【0008】
本発明の課題は、金属を含まずとも、多様な色調の金属調光沢を発現し得る高分子色素であって、簡便な方法により膜を形成することができる高分子色素、その製造方法及び該高分子色素を含む膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機色素を特定の繰り返し単位を有するポリマー主鎖の構成成分とすることで、有機色素の種類によって多様な色調の金属調光沢を発現し得る高分子色素が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、
〔1〕 式(I):
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、Dは有機色素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が500〜500,000である高分子色素、
〔2〕 式(II):
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、nは0〜10の整数を示す。)
で表されるアミノ化合物と、式(III):
X−D−X (III)
(式中、Dは有機色素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるジハロゲノ化合物とを、パラジウム化合物及びホスフィン化合物を含む触媒と塩基の存在下、反応させることを特徴とする、式(I):
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R1、R2、R3、D及びnは前記と同じ)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が500〜500,000である高分子色素の製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載の高分子色素を含む膜
に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高分子色素は、金属を含まずとも、多様な色調の金属調光沢を発現し得る高分子色素であって、簡便な方法により膜を形成することができるという効果を奏するものである。本発明の高分子色素は、金属を含まないために、従来の、電磁波の透過性や製造過程における環境負荷等の課題を解決することができ、また、金属の錆が問題となる用途での金属調の加飾が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1で得られた高分子色素(1-1)の1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例2で得られた高分子色素(1-2)の1H NMRスペクトルである。
【図3】実施例3で得られた高分子色素(1-3)の1H NMRスペクトルである。
【図4】実施例4で得られた高分子色素(1-4)の1H NMRスペクトルである。
【図5】実施例5で得られた高分子色素(1-5)の1H NMRスペクトルである。
【図6】実施例6で得られた高分子色素(1-6)の1H NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の高分子色素は、式(I):
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、Dは有機色素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物である。
【0022】
本発明の高分子色素は、ポリマーに導入する有機色素の種類によって、多様な色調の金属調光沢を発現することができる。本発明で得られる高分子色素が金属調光沢を発現する理由の詳細は不明であるが、有機色素の高い吸光係数とポリマー主鎖中での分子内電荷移動錯体の形成が関与しているものと考えられる。
【0023】
また、本発明の高分子色素は、金属を含まないために、従来の、電磁波の透過性や製造過程における環境負荷等の課題を解決することができ、金属の錆が問題となる用途での金属調の加飾が可能となる等の特徴を有する。従って、本発明の高分子色素を用いて、各種工業材料、特に、自動車、通信機器(携帯電話、PDA、リモコン、携帯情報端末、電子辞書、電子手帳等)、家電機器、建築部材等に金属調光沢を付与することができ、高級感を高めることで、デザイン性や装飾性を著しく向上することができる。
【0024】
本発明の高分子色素の数平均分子量は、500〜500,000であり、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2000〜50,000、さらに好ましくは2000〜10,000である。高分子色素の数平均分子量が500未満であると、高分子色素を使用する際での、成膜性が不十分となるおそれがある。また、高分子色素の数平均分子量が500,000を超えると、高分子色素の溶液を調製する際に溶媒への溶解性が不十分となるために、膜原料としての使用が困難になるおそれがある。
【0025】
また、本発明の高分子色素の重量平均分子量は、高分子色素を使用する際での耐久性の観点から、500〜1,000,000が好ましく、1,000〜200,000がより好ましく、2,000〜50,000がさらに好ましい。
【0026】
式(I)において、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基である。
【0027】
単環式炭素環基は、炭素数が3〜10の単環式炭素環基が好ましい。かかる単環式炭素環基としては、1価の基である場合、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。また、2価の基である場合、シクロプロピレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等が挙げられる。
【0028】
縮合多環式炭素環基としては、2〜10個の炭素環が縮合した縮合多環式炭素環基が好ましい。かかる縮合多環式炭素環基としては、1価の基である場合、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペンタレニル基、インデニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、ピセニル基、ペンタセニル基、コロネリル基、オバレニル基等が挙げられる。また、2価の基である場合、ナフチレン基、アントリレン基、ピレニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントリレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ペリレニレン基、クリセニレン基、ピセニレン基、ペンタセニレン基、コロネリレン基、オバレニレン基等が挙げられる。
【0029】
単環式複素環基としては、1価の基である場合、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、チオフェニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。また、2価の基である場合、ピリジレン基、ピリミジニレン基、フリレン基、チオフェニレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基等が挙げられる。
【0030】
縮合多環式複素環基としては、1価の基である場合、キノリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、1-ベンゾチオフェニル基、2-ベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、キサンテニル基、イソキノリル基、アクリジニル基、キノキサリニル基、クマリニル基等が挙げられる。また、2価の基である場合、キノリレン基、ベンゾフラニレン基、イソベンゾフラニレン基、1-ベンゾチオフェニレン基、2-ベンゾチオフェニレン基、カルバゾリレン基、キサンテニレン基、イソキノリレン基、アクリジニレン基、キノキサリニレン基、クマリニレン基等が挙げられる。
【0031】
前記の単環式炭素環基、縮合多環式炭素環基、単環式複素環基、及び縮合多環式複素環基が有し得る置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルカノイル基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
【0032】
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0033】
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
【0034】
炭素数1〜10のアルカノイル基としては、メタノイル基、エタノイル基等が挙げられる。
【0035】
1、R2及びR3はそれぞれ、高分子色素の成膜性の観点から、置換基を有していてもよい単環式炭素環基であることが好ましい。
【0036】
式(I)において、Dは有機色素基である。
【0037】
本発明において、有機色素は、250〜1500nmの波長範囲において吸収極大波長を有し、紫外光〜近赤外光と相互作用(吸収や発光等)するπ電子共役系化合物を含む化合物である。このような特徴を有する化合物の基であれば、その化学構造にかかわらず、本発明において、前記式(I)においてDで表される有機色素基に該当する。
【0038】
有機色素基の具体例としては、ジケトピロロピロール、スクアリン、カロチン、キサントフィル、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、リコピン、ルテイン、アントシアン、カテキン、ナフトキノン、アントラキノン、ナフタセン、アントラセン、ペンタセン、アクリジン、アリザリン、インディゴ、イソインディゴ、クルクミン、クロセチン、ゲニステイン、コチニール、ヒペリシン、プルプリン、ベルベリン、リトマス、ポルフィリン、フタロシアニン、クマリン等の有機色素の2価の基が挙げられる。これらの有機色素基の中でも、ジハロゲノ化が容易である観点から、ジケトピロロピロール、スクアリン、アントラキノン、イソインディゴ、ナフタセン、アントラセン、及びペンタセンの2価の基が好ましく、入手が用意で、製造が容易である観点から、ジケトピロロピロール、スクアリン、アントラキノン及びイソインディゴからなる群より選ばれた少なくとも1種の2価の基がより好ましい。
【0039】
式(I)において、nは、0〜10であり、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2である。
【0040】
高分子色素の金属調光沢の観点から、式(I)で表される繰り返し単位は、nが0である式(Ia):
【0041】
【化5】

【0042】
(式中、R2及びDは前記と同じ)
で表される繰り返し単位であることが好ましく、また、同様に、高分子色素の金属調の観点からは、nが1である式(Ib):
【0043】
【化6】

【0044】
(式中、R1、R2、R3及びDは前記と同じ)
で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
【0045】
本発明の高分子色素は、式(II):
【0046】
【化7】

【0047】
(式中、R1、R2、R3及びnは、前記と同じ。)
で表されるアミノ化合物と、式(III):
X−D−X (III)
(式中、Xはハロゲン原子を示す。Dは前記と同じ。)
で表されるジハロゲノ化合物とを、触媒と塩基の存在下で、反応させることにより製造することができる。
【0048】
前記式(II)で表されるアミノ化合物の具体例としては、アニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、2-エチルアニリン、3-エチルアニリン、4-エチルアニリン、2-n-ブチルアニリン、3-n-ブチルアニリン、4-n-ブチルアニリン、2-n-オクチルアニリン、3-n-オクチルアニリン、4-n-オクチルアニリン、2-n-デシルアニリン、3-n-デシルアニリン、4-n-デシルアニリン、N,N’-ビスフェニル-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-メチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-エチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(4-エチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-n-ブチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(4-n-ブチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-n-デシルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(4-n-デシルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中では、入手が容易で、高分子色素を使用する際の成膜性が優れる観点から、4-n-オクチルアニリン、4-n-デシルアニリン、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン、及びN,N’-ビス(4-n-デシルフェニル)-1,4-フェニレンジアミンが好ましい。
【0049】
前記式(III)において、Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、ジハロゲノ化合物の反応性が高くなる観点から、臭素原子が好ましい。
【0050】
式(III)で表されるジハロゲノ化合物は、例えば、二酸化イオウの存在下でのジハロゲノ化、アンチモン、チタン、スズまたは亜鉛の元素単体又はその化合物を触媒としたジハロゲノ化等により、得られる。
【0051】
式(II)で表されるアミノ化合物の使用量は、特に制限はないが、反応を円滑に進行させる観点から、式(III)で表されるジハロゲノ化合物1モルに対して、0.5モル以上が好ましく、使用量に応じた効果を得る観点から、1.5モル以下が好ましい。これらの観点から、式(II)で表されるアミノ化合物の使用量は、式(III)で表されるジハロゲノ化合物1モルに対して、0.5〜1.5モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルであることがより好ましい。
【0052】
反応は、官能基に対する許容性が高く、立体障害に強い触媒システムの下で行うことにより、より効率的に反応を促進することができる。かかる観点から、本発明では、触媒として、パラジウム化合物とホスフィン化合物を含む触媒を用いることが好ましい。
【0053】
パラジウム化合物は、特に限定されるものではないが、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価パラジウム化合物;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ-1,5-ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物;トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物等が挙げられる。これらの中では、高い反応活性を有する観点から、0価パラジウム化合物が好ましく、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が最も反応活性が高く好適に用いられる。これらパラジウム化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0054】
パラジウム化合物の使用量は、反応を円滑に進行させる観点から、ジハロゲノ化合物1モルに対してパラジウム換算で0.0001モル以上が好ましく、使用量に応じた効果を得る観点から、0.2モル以下が好ましい。これらの観点から、パラジウム化合物の使用量は、ジハロゲノ化合物1モルに対してパラジウム換算で0.0001〜0.2モルであることが好ましく、0.0002〜0.05モルであることがより好ましい。
【0055】
ホスフィン化合物は、特に限定されるものではないが、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート、トリエチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、N,N’-ジメチル-1-[1’,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン等の配位子としてのキレート能を有するホスフィン化合物が挙げられる。これらの中では、高い反応活性を有する観点から、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、及び9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンが好ましい。これらホスフィン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0056】
ホスフィン化合物の使用量は、反応を円滑に進行させる観点から、パラジウム化合物1モルに対して0.1モル以上が好ましく、使用量に応じた効果を得る観点から、20モル以下が好ましい。これらの観点から、ホスフィン化合物の使用量は、パラジウム化合物1モルに対して0.1〜20モルであることが好ましく、0.5〜10モルであることがさらに好ましい。
【0057】
本発明において、前記のパラジウム化合物及びホスフィン化合物は、反応系にそれぞれ単独に加えても、あるいは、予め錯体の形に調製したものを添加してもよい。
【0058】
本発明において、前記反応に用いられる塩基としては、特に限定されるものではないが、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。なお、これら塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用してもよい。また、反応系にそれぞれをそのまま加えても、あるいは、アルカリ金属、水素化アルカリ金属及び水酸化アルカリ金属と、相当するアルコールとから調製したものを添加してもよい。
【0059】
塩基の使用量は、収率の低下を防止する観点から、ジハロゲノ化合物1モルに対して、2モル以上が好ましく、使用量に応じた効果を得る観点から、30モル以下が好ましい。これらの観点から、塩基の使用量は、ジハロゲノ化合物1モルに対して、2〜30モルであることが好ましく、2〜10モルであることがより好ましい。
【0060】
本発明において、必要に応じて前記反応に用いられる溶媒は、当該反応に対して不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等が挙げられる。これらの中では、溶媒のリサイクルが容易であることから、トルエン及びキシレンが好ましい。
【0061】
溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応を円滑にさせる観点及び使用量に応じた効果を得る観点から、アミノ化合物100質量部に対して、200〜5,000質量部であることが好ましい。
【0062】
反応の際の雰囲気には特に限定がない。該雰囲気は、大気であってもよく、例えば、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
【0063】
反応温度は、特に限定されないが、反応時間を制御する観点から、20℃以上が好ましく、副反応による収率の低下を防止する観点から、250℃以下が好ましい。これらの観点から、反応温度は、20〜250℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましい。反応時間は、反応温度により異なるために一概には言えないが、通常1〜72時間程度が好ましい。
【0064】
かくして得られる本発明の高分子色素は、常法により、ろ過、洗浄して触媒等を除去した後、乾燥することにより単離することができる。
【0065】
本発明の高分子色素を含む膜は、高度な積層技術を用いずとも得られる。例えば、クロロホルムのような溶媒に溶解させた後、キャストやコーティング等の簡便な方法により、金属調の光沢を有する薄膜フィルムを作製することができる。膜の厚みは、高分子色素を使用する際での耐久性及び高分子色素を使用して作成したフィルムの柔軟性の観点から、10〜200μmが好ましく、20〜120μmがより好ましい。
【実施例】
【0066】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0067】
実施例1
【0068】
【化8】

【0069】
冷却管、温度計及び攪拌機を備え付けた5mL容のシュレンク管に、ジケトピロロピロール(DPP)誘導体(1)92.2mg(0.15ミリモル)、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン(2)72.7mg(0.15ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)3.4mg(3.75マイクロモル)、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(P(t-Bu)3・HBF4)6.5mg(22.5マイクロモル)、ナトリウム-tert-ブトキシド(t-BuONa)43.2mg(0.45ミリモル)及びトルエン3.0mLを仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、同温度で3日間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール10mLに注ぎ、ポリマーを析出させた。その後、析出物をろ別し、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、純水、メタノール、及びヘキサンで順次洗浄した後、減圧乾燥して紫色の高分子色素(1-1)を得た(固体、140.2mg)。得られた高分子色素の収率は、使用したジケトピロロピロール誘導体に対して100%であった。また、得られた高分子色素の数平均分子量は5,900、重量平均分子量は8,900であった。なお、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社、商品名HLC-8020)を用いて、LiBr(0.01mol/L)を含むクロロホルム中30℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
【0070】
得られた高分子色素(1-1)の構造は、1H NMRにより同定した。高分子色素(1-1)の1H NMRスペクトルを図1に示す。なお、1H NMRスペクトルは、日本電子社製 JNM-ECS-400型(400MHz)を用いて、重クロロホルム中室温にて測定することにより得た。
【0071】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.78-7.70(m, 4H, DPP), 7.19-6.98(br, 18H, DPP, フェニレンジアミン), 3.77-3.76 (br, 4H, N-CH2), 2.61-2.53(m, 4H, Ar-CH2), 1.65-1.61(m,8H, N-CH2-CH2,Ar-CH2-CH2), 1.38-1.17(br, 32H, CH2), 0.89-0.84(m, 12H, CH3)
【0072】
実施例2
【0073】
【化9】

【0074】
実施例1において、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン(2)72.7mg(0.15ミリモル)の代わりに、4-n-オクチルアニリン(3)30.8mg(0.15ミリモル)を用い、トルエン3.0mLを0.75mLに、反応時間3日間を24時間にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして紫色の高分子色素(1-2)を得た(固体、86.8mg、収率88%)。また、得られた高分子色素の数平均分子量は5,300、重量平均分子量は18,100であった。
【0075】
実施例1と同様にして、1H NMRにより得られた高分子色素(1-2)の構造を同定した。高分子色素(1-2)の1H NMRスペクトルを図2に示す。
【0076】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.79 (d, J=8.2, 4H, DPP), 7.22(d, 2H, Ar), 7.21 (d, 4H, DPP), 7.12(d, 2H, Ar), 3.78 (br, 4H, N-CH2), 2.62 (t, J=8.2 Hz, 4H, Ar-CH2), 1.65 (br, 8H, N-CH2-CH2, Ar-CH2-CH2), 1.28-1.20 (br, 22H, CH2), 0.89-0.83(m, 9H, CH3)
【0077】
実施例3
【0078】
【化10】

【0079】
実施例1において、ジケトピロロピロール誘導体(1)92.2mg(0.15ミリモル)に代わりに、スクアリン誘導体(4)87.4mg(0.15ミリモル)を用い、トルエン3.0mLを0.75mLに、反応時間3日間を24時間にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして青緑色の高分子色素(1-3)を得た(固体、94.0mg)。得られた高分子色素の収率は、使用したスクアリン誘導体に対して69%であった。また、得られた高分子色素の数平均分子量は6,300、重量平均分子量は18,500であった。
【0080】
実施例1と同様にして、1H NMRにより得られた高分子色素(1-3)の構造を同定した。高分子色素(1-3)の1H NMRスペクトルを図3に示す。
【0081】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.08-6.90(m, 18H, 芳香族基), 5.93-5.79(br, 2H, アルケン),3.65-3.38(br, 6H, N-CH3), 2.62-2.44(m, 4H, Ar-CH2), 1.74-1.65(br, 12H,スクアリン-CH3), 1.65-1.54(br, 4H, Ar-CH2-CH2), 1.39-1.16(br, 20H, CH2), 0.91-0.80(m, 6H, CH3)
【0082】
実施例4
【0083】
【化11】

【0084】
冷却管、温度計及び攪拌機を備え付けた5mL容の四つ口フラスコに、アントラキノン誘導体(5)109.8mg(0.30ミリモル)、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン(2)145.2mg(0.30ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)6.9mg(7.5マイクロモル)、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(P(t-Bu)3・HBF4)13.1mg(45.0マイクロモル)、ナトリウム-tert-ブトキシド(t-BuONa)86.4mg(0.90ミリモル)及びトルエン1.50mLを仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、同温度で24時間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却し、メタノール20mLに注ぎ、ポリマーを析出させた。その後、析出物をろ別し、EDTA、純水、メタノール、及びヘキサンで順次洗浄した後、減圧乾燥して茶色の高分子色素(1-4)を得た(固体、129.2mg)。得られた高分子色素の収率は、使用したアントラキノン誘導体に対して63%であった。また、得られた高分子色素の数平均分子量は2,600、重量平均分子量は4,000であった。
【0085】
実施例1と同様にして、1H NMRにより得られた高分子色素(1-4)の構造を同定した。高分子色素(1-4)の1H NMRスペクトルを図4に示す。
【0086】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 8.10-7.93(m, 2H, アントラキノン), 7.82-7.65(m, 2H, アントラキノン), 7.21-6.98(m, 14H, アントラキノン, フェニレンジアミン), 2.61-2.53(m, 4H, Ar-CH2), 1.67-1.57(br, 4H, Ar-CH2-CH2), 1.34-1.26(br, 20H, CH2), 0.92-0.85(m, 6H, CH3)
【0087】
実施例5
【0088】
【化12】

【0089】
実施例4において、アントラキノン誘導体(5)109.8mg(0.30ミリモル)の代わりに、イソインディゴ誘導体(6)176.5mg(0.30ミリモル)、トルエン1.50mLの代わりにトルエン4.0mLを用いた以外は、実施例4と同様にして濃青色の高分子色素(1-5)を得た(固体、196.5mg)。得られた高分子色素の収率は、使用したイソインディゴ誘導体に対して72%であった。また、得られた高分子色素の数平均分子量は6,300、重量平均分子量は47,700であった。
【0090】
実施例1と同様にして、1H NMRにより得られた高分子色素(1-5)の構造を同定した。高分子色素(1-5)の1H NMRスペクトルを図5に示す。
【0091】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 9.32-8.75(br, 2H, イソインディゴ), 7.20-6.92(br, 12H, フェニレンジアミン), 6.59-6.39(br, 2H, イソインディゴ), 6.38-6.21(br, 2H, イソインディゴ), 4.10-3.43(br, 4H, N-CH2), 2.68-2.40(br, 4H, Ar-CH2), 1.68-1.46(br, 8H, N-CH2-CH2, Ar-CH2-CH2), 1.45-1.18(br, 32H, CH2), 0.94-0.77(m, 12H, CH3)
【0092】
実施例6
【0093】
【化13】

【0094】
実施例4において、アントラキノン誘導体(5)109.8mg(0.30ミリモル)の代わりに、イソインディゴ誘導体(7)194.3mg(0.30ミリモル)、N,N’-ビス(4-n-オクチルフェニル)-1,4-フェニレンジアミン(2)145.2mg(0.30ミリモル)の代わりに、4-n-オクチルアニリン(3)61.6mg(0.3ミリモル)を用い、反応時間24時間を3日間に変更した以外は、実施例4と同様にして濃青色の高分子色素(1-6)を得た(固体、137.2mg)。得られた高分子色素の収率は、使用したイソインディゴ誘導体に対して64%であった。また、得られた高分子色素の数平均分子量は8,000、重量平均分子量は14,900であった。
【0095】
実施例1と同様にして、1H NMRにより得られた高分子色素(1-6)の構造を同定した。高分子色素(1-6)の1H NMRスペクトルを図6に示す。
【0096】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.94(br, 2H, イソインディゴ),7.13(br, 8H, イソインディゴ,Ar),3.49(br, 4H, N-CH2),2.60(br,2H, Ar-CH2), 1.57(br, 4H, CH, Ar-CH2-CH2), 1.29(br, 26H, CH2), 0.87-0.79(br, 15H, CH3)
【0097】
実施例7
5mL容のナス型フラスコに、実施例1で得られた高分子色素(1-1)200mg及びクロロホルム800mgを仕込み、溶解させ、均一な溶液1.00gを得た。
次に、シャーレ上に、高分子色素のクロロホルム溶液を流し込み、25℃で、240分間乾燥させて銅色金属調のフィルムを得た。フィルムの厚みを表1に示す。
なお、得られたフィルムの厚みは、膜厚測定装置(株式会社小坂研究所製、商品名:微細形状測定機 surfcorder ET3000i)を用いて測定した。
【0098】
実施例8
実施例7において、実施例1で得られた高分子色素(1-1)の代わりに、実施例2で得られた高分子色素(1-2)を用いた以外は、実施例7と同様にして銅色金属調のフィルムを得た。
【0099】
実施例9
実施例7において、実施例1で得られた高分子色素(1-1)の代わりに、実施例3で得られた高分子色素(1-3)を用いた以外は、実施例7と同様にして青色金属調のフィルムを得た。
【0100】
実施例10
実施例7において、実施例1で得られた高分子色素(1-1)の代わりに、実施例4で得られた高分子色素(1-4)、クロロホルム800mgの代わりに、テトラヒドロフラン800mgを用いた以外は、実施例7と同様にして緑色金属調のフィルムを得た。
【0101】
実施例11
実施例7において、実施例1で得られた高分子色素(1-1)の代わりに、実施例5で得られた高分子色素(1-5)を用いた以外は、実施例7と同様にして紫色金属調のフィルムを得た。
【0102】
実施例12
実施例7において、実施例1で得られた高分子色素(1-1)の代わりに、実施例6で得られた高分子色素(1-6)を用いた以外は、実施例7と同様にして紫色金属調のフィルムを得た。
【0103】
【表1】

【0104】
表1の結果より、実施例で得られた高分子色素を用いて作成したフィルムは、全て金属調光沢を有することがわかる。また、導入する色素によって、色調の異なる金属調光沢が実現することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の高分子色素は、自動車、通信機器(携帯電話、PDA、リモコン、携帯情報端末、電子辞書、電子手帳等)、家電機器、建築部材等の各種工業材料等に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、Dは有機色素基を示し、nは0〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が500〜500,000である高分子色素。
【請求項2】
式(I)において、nが0である式(Ia):
【化2】

(式中、R2及びDは前記と同じ)
で表される繰り返し単位を有する請求項1記載の高分子色素。
【請求項3】
式(I)において、nが1である式(Ib):
【化3】

(式中、R1、R2、R3及びDは前記と同じ)
で表される繰り返し単位を有する請求項1記載の高分子色素。
【請求項4】
式(I)において、有機色素基が、ジケトピロロピロール、スクアリン、アントラキノン及びイソインディゴからなる群より選ばれた少なくとも1種の2価の基である請求項1〜3いずれか記載の高分子色素。
【請求項5】
式(I)において、R1が、置換基を有してもよい単環式炭素環基である請求項1〜4いずれか記載の高分子色素。
【請求項6】
式(I)において、R2が、置換基を有してもよい単環式炭素環基である請求項1〜5いずれか記載の高分子色素。
【請求項7】
式(I)において、R3が、置換基を有してもよい単環式炭素環基である請求項1〜6いずれか記載の高分子色素。
【請求項8】
式(II):
【化4】

(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい縮合多環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、又は置換基を有してもよい縮合多環式複素環基を示し、同一でも異なっていてもよく、R1は2価の基、R2及びR3は1価の基であり、nは0〜10の整数を示す。)
で表されるアミノ化合物と、式(III):
X−D−X (III)
(式中、Dは有機色素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるジハロゲノ化合物とを、パラジウム化合物及びホスフィン化合物を含む触媒と塩基の存在下、反応させることを特徴とする、式(I):
【化5】

(式中、R1、R2、R3、D及びnは前記と同じ)
で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量が500〜500,000である高分子色素の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7いずれか記載の高分子色素を含む膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28791(P2013−28791A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129948(P2012−129948)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔研究集会名〕 平成22年度応用理工学類物質・分子工学主専攻卒業研究発表会 〔主催者名〕 国立大学法人 筑波大学 〔開催日〕 平成23年2月10日 〔発行者〕 社団法人 高分子学会 〔刊行物名〕 第60回高分子学会年次大会 高分子学会予稿集60巻1号[2011] 〔発行日〕 平成23年5月10日
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】