説明

高分子複合材料成形体およびその製造方法

【課題】機械特性、熱特性、光学特性、電気特性等の各種特性が直交する2つの方向で向上する高分子複合材料成形体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】高分子材料M中には、異方性磁化率が正の値である第1の繊維Fpと、異方性磁化率が負の値である第2の繊維Fnとが含有されている。第1の繊維Fpは、高分子複合材料成形体の厚み方向である第1の方向に配向されている。また、第2の繊維Fnは、第1の方向と直交する第2の方向、即ち、高分子複合材料成形体の面方向に配向されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料中に繊維が配合された高分子複合材料成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子材料にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維等の繊維が配合された高分子複合材料成形体が広く知られている。また、炭素繊維、ガラス繊維等の長繊維からなる織物や一方向に引き揃えた繊維を高分子材料に含浸したプリプレグ、又はプリプレグを積層して硬化した板状の成形体等も広く知られている。このような板状の成形体では、成形体の表面に沿って延びる繊維によって、面方向の弾性率や強度等の機械特性、熱膨張係数や熱伝導率等の熱特性が高められている。
【0003】
最近、電子回路等に用いられる各種の機構部品においては、面方向の機械特性、熱特性、光学特性及び電気特性に加え、厚み方向についても各種特性の向上が求められている。このため、面方向及び厚み方向の両方に繊維を配向させた高分子複合材料成形体の製造方法として、特許文献1、特許文献2に記載されるようなものが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の方法によれば、まず、三次元織物に樹脂を含浸し、その樹脂含浸物の表面を半硬化状態にする。次に、含浸物を上下一対のプレート間に配置し、各プレートを含浸物の表面に密着させる。そして、両プレート間の間隔を広げてから、両プレートを水平方向にずらせて中間繊維層を垂直に揃える。その後、樹脂を硬化することにより、繊維強化プラスチックパネルが製造される。また、特許文献2に記載の方法によれば、まず、炭素繊維を用いて三次元織物を作製する。そして、その三次元織物にフェノール樹脂を含浸して、所定の形状に成形する。成形後、窒素雰囲気下で、フェノール樹脂含浸物を焼成することにより、高含浸性三次元織物が製造される。
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法によれば、予め作製された三次元織物に液状の高分子材料を含浸させる工程で、織物を構成する繊維と高分子材料との間に空隙(ボイド)が生じ易いといった問題がある。このような問題を解決する方法として、例えば、特許文献3に記載されるような方法が提案されている。特許文献3に記載の方法によれば、まず、炭素繊維等の繊維クロスを金型内に配置する。次に、炭素繊維等の短繊維を高分子材料中に配合した高分子組成物を金型内に流し込み、金型内の繊維クロスに含浸させる。そして、外部から磁場を印加することにより、繊維クロスの面と垂直な方向に短繊維を配向させる。磁場配向後、液状の高分子材料を硬化することにより、高分子複合材料の成形体が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−339997号公報
【特許文献2】特開平9−207236号公報
【特許文献3】特開2004−276478号公報
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載の方法によっても、金型内に液状の高分子組成物を流し込み、繊維クロスに含浸させる工程で、高分子組成物中に気泡が巻き込まれることがある。こうして高分子組成物中に巻き込まれた気泡を取り除くことは非常に困難であり、結果として、内部に気泡を含む成形体が形成されてしまい、製品不良率の上昇を招く虞がある。また、金型内に液状の高分子組成物を流し込む工程で、繊維クロスの積層間隔が不均一になり易く、繊維同士の配置に偏りが生じることもある。このため、高分子複合材料成形体が所望の通りに製造されず、意図した等方的な熱膨張係数が得られない虞もある。さらに、繊維クロスを予め金型内に配置する工程と、短繊維を配合した液状の高分子材料を調製しこれを金型内に流し込む工程とが別々に行われるため、製品の生産性が低いといった問題もある。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、機械特性、熱特性、光学特性、電気特性等の各種特性が直交する2つの方向で向上する高分子複合材料成形体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、高分子材料中に少なくとも2種類の繊維を含有する高分子複合材料成形体において、高分子材料中には、異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維とが含有され、第1の繊維は、第1の方向に配向され、第2の繊維は、第1の方向と直交する第2の方向に配向されていることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、第1の繊維の特性を利用することにより、高分子複合材料成形体の第1の方向における特性が向上する。また、第2の繊維の特性を利用することにより、高分子複合材料成形体の第2の方向における特性が向上する。これにより、高分子複合材料成形体において、直交する2つの方向の特性を向上させることができる。尚、第2の方向は、第1の方向と直交する平面に沿った任意の方向を含む。また、特性には、機械特性、熱特性、光学特性、電気特性等の各種特性が含まれる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1及び第2の繊維の繊維長は2mm以下であることを要旨とする。
この構成により、配向され易い異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維との衝突が回避されるため、第1及び第2の繊維を第1及び第2の方向にそれぞれ円滑に配向させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、第1の繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ハロゲン化ポリオレフィン繊維からなる群より選択されることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、例えば、第1の繊維として炭素繊維を選択することにより、高分子複合材料成形体の第1の方向における熱伝導率や電気抵抗値等を効果的に高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、第2の繊維は、ポリエチレン繊維、ポリ乳酸繊維、ポリオキシメチレン繊維からなる群より選択されることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、例えば、第2の繊維としてポリエチレン繊維を選択することにより、高分子複合材料成形体の第2の方向における強度や弾性率等を効果的に高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、高分子複合材料成形体の製造方法であって、高分子材料中に、異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維とを配合して液状の高分子組成物を調製する工程と、高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加することにより、第1の繊維を第1の方向に配向させ、第2の繊維を第1の方向と直交する第2の方向に配向させる工程と、磁場配向後、高分子組成物を固化して成形体を形成する工程とを備えることを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、まず、第1の方向と第2の方向とにそれぞれ配向される少なくとも2種類以上の繊維を配合した高分子組成物を調製する。そして、液状の高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加する。このため、金型に繊維クロスを配置し、更に繊維を含む高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加する従来の方法と異なり、高分子組成物中への気泡の巻き込みや、繊維クロスの偏りなどが無くなり、また、工程を少なくすることもできる。よって、品質特性のばらつきを抑え、かつ効率良く生産することのできる高分子複合材料成形体を提供することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、第1及び第2の繊維の繊維長は2mm以下であることを要旨とする。
この構成により、配向工程で、配向され易い異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維との衝突が回避されるため、第1及び第2の繊維を第1及び第2の方向にそれぞれ円滑に配向させることができる。よって、品質特性のばらつきをより一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、機械特性、熱特性、光学特性、電気特性等の各種特性が直交する2つの方向で向上する高分子複合材料成形体、及び品質特性のばらつきを抑え、かつ効率良く生産することのできる高分子複合材料成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】高分子複合材料成形体の繊維の配向状態を示す模式斜視図。
【図2】高分子複合材料成形体の繊維の配向状態を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の高分子複合材料成形体およびその製造方法を具体化した一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の高分子複合材料成形体は、高分子材料M中に、異方性磁化率の正負の符号が異なる少なくとも2種類の繊維Fp,Fnを含有する。異方性磁化率が正の値である第1の繊維Fpは、高分子材料M中で第1の方向、即ち、図2に示す高分子複合材料成形体の厚み方向に配向されている。また、異方性磁化率が負の値である第2の繊維Fnは、第1の方向と直交する第2の方向、即ち、図2に示す高分子複合材料成形体の面方向に配向されている。
【0022】
本発明によれば、機械特性、熱特性、光学特性、電気特性等の各種特性が直交する2つの方向で向上する高分子複合材料成形体を提供することができる。また、品質特性のばらつきを抑え、かつ効率良く生産することのできる高分子複合材料成形体の製造方法を提供することもできる。
【0023】
高分子材料Mは、高分子複合材料成形体に要求される特性に応じて選択されることが好ましい。高分子複合材料成形体に要求される性質として、例えば、機械特性、熱特性、光学特性、電気特性、耐久性、信頼性等が挙げられる。また、高分子材料Mは、上記の要求特性に加え、製造の効率性や経済性等を考慮して選択することが好ましい。高分子材料Mの具体例として、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、硬化性樹脂、架橋性ゴム等が挙げられる。これらのうち、両繊維Fp,Fnを容易に配向できるとの観点から、繊維Fp,Fnの混合時に低粘度の液体であるか、或いは加熱溶融時に低粘度化できる高分子材料を用いることが好ましい。このような理由から、高分子材料Mとして、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂及び液状ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種の高分子材料を用いることが好ましい。高分子材料Mとして、より具体的には、液状のエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、液状ゴム等の高分子前駆体や溶融した状態粘度の低い高分子材料を用いることが好ましい。また、これらの高分子材料Mは、一種類の樹脂材料を単独で用いてもよく、また、二種以上の樹脂材料を組み合わせて用いてもよい。さらには、複数の高分子材料Mを選択し、これらを混合して生成されたポリマーアロイを用いてもよい。なお、硬化性樹脂の硬化方法又は架橋性ゴムの架橋方法として、具体的には、熱硬化法、光硬化法、湿気硬化法、放射線又は電子線照射法等が挙げられる。
【0024】
高分子材料Mには、正負の符号が異なる第1及び第2の繊維Fp,Fnが均一に分散した状態で含有されている。異方性磁化率が正の値を持つ第1の繊維Fpとして、炭素繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ハロゲン化ポリオレフィン繊維等が挙げられる。これらの繊維のうち、繊維の配向方向における熱伝導率や電気抵抗値などを効果的に高くできるとの観点から、炭素繊維が好ましい。一方、異方性磁化率が負の値を持つ第2の繊維Fnとして、高強度、高弾性率の成形体が得られるとの観点から、ポリエチレン繊維、ポリ乳酸繊維、ポリオキシメチレン繊維等が好ましい。
【0025】
第1及び第2の繊維Fp,Fnは、高分子材料M中で、外部より印加される磁場によって特定の方向にそれぞれ配向させられる。磁場による繊維の配向し易さは、印加される磁場の強さの他に、第1及び第2の繊維Fp,Fnの異方性磁化率の大きさにも依存する。異方性磁化率χの絶対値が1×10−9よりも小さいと、第1及び第2の繊維Fp,Fnを磁場によって特定の方向にそれぞれ配向させることが困難となる。つまり、第1及び第2の繊維Fp,Fnの異方性磁化率χの絶対値が大きいほど、両繊維Fp,Fnを磁場により高度に、かつ容易に配向させることができる。このような理由から、第1及び第2の繊維Fp,Fnの異方性磁化率χの絶対値は、1×10−9以上が好ましく、5×10−9以上がより好ましく、1×10−8以上が更に好ましい。
【0026】
ここで、異方性磁化率χとは、外部より磁場を印加することにより生じる繊維軸方向の磁化率χ//から、繊維軸に対して垂直方向の磁化率χを差し引いた磁化率の異方性を示す値(CGS単位系)である。異方性磁化率χが正の値を示す繊維、例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維等は、磁場雰囲気下で磁力線と平行に配向される。異方性磁化率χが負の値を示す繊維、例えば、ポリエチレン繊維、ポリオキシメチレン繊維等は、磁力線に対して垂直方向に磁場が作用することから、磁力線に対して垂直方向、即ち、磁力線と直交する平面に沿って任意の方向に配向される。なお、異方性磁化率χは、磁気異方性トルク計、振動式磁力計、SQUID(超伝導量子干渉素子)、サスペンジョン法等の公知の方法で測定することができる。
【0027】
第1及び第2の繊維Fp,Fnの長さや径は、製造の効率性や信頼性等を考慮して選択することが好ましい。高分子複合材料成形体の機能性を向上させるため、第1及び第2の繊維Fp,Fnの配向度を一層高めるには、(繊維の長さ)/(繊維の直径)を示す繊維のアスペクト比をより大きくすることが好ましい。しかしながら、繊維長が10mmよりも長くなるほど、第1及び第2の繊維Fp,Fnは高分子材料M中で均一に分散し難くなり、好ましくない。また、高分子組成物の粘度が上昇し、成形性が悪化するため、好ましくない。さらに、繊維長が長くなるほど、繊維同士が絡み合い易くなり、繊維を一定方向に配向させ難くなり、好ましくない。高分子材料Mの流動性や、繊維Fp,Fnの配向し易さ等を考慮すれば、第1及び第2の繊維Fp,Fnとして、繊維長の短い短繊維を用いることが好ましい。具体的には、第1及び第2の繊維Fp,Fnの繊維長として、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。
【0028】
繊維の繊維長の下限は、製造の効率性や信頼性等を考慮して選択することが好ましい。繊維長が10μm未満の場合、第1及び第2の繊維Fp,Fnの直径が0.1μmであっても、アスペクト比が100未満となるため、高分子複合材料成形体において所望の機械的特性や熱的特性等が得られない虞がある。このため、第1及び第2の繊維Fp,Fnの直径により異なるが、各繊維Fp,Fnの繊維長は、少なくとも10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。また、第1及び第2の繊維Fp,Fnの直径は、繊維Fp,Fnの配向し易さを考慮すれば、0.1〜30μmが好ましい。また、第1及び第2の繊維Fp,Fnの断面形状は、円形や楕円形、多角形等のほか、任意の形状であってもよい。
【0029】
高分子複合材料成形体では、第1の繊維Fpと第2の繊維Fnとが均一に分散した状態で、互いに直交するようにそれぞれ配置されている。このため、高分子複合材料成形体では、第1の方向である厚み方向、及び第2の方向である面方向の両方で、弾性率や強度等の機械特性や、熱膨張係数や熱伝導率等の熱特性や、電気抵抗値等の電気特性等が所望の値にまで高められている。例えば、高分子複合材料成形体のすべての方向で線膨張係数が均等になるように、第1及び第2の繊維Fp,Fnの濃度をそれぞれ調製してもよい。この場合、第1の繊維Fpの第2の繊維Fnに対する割合は、第1及び第2の繊維Fp,Fnの熱特性や比重によっても異なるが、10/1〜1/10であることが好ましく、8/1〜1/8であることがより好ましく、6/1〜1/6であることが更に好ましい。また、高分子複合材料成形体の用途に合わせて、各方向の特性がそれぞれ異なるように、第1及び第2の繊維Fp,Fnの種類や濃度をそれぞれ調製してもよい。例えば、高分子複合材料成形体を電子回路基板に適用する場合、成形体の厚み方向の熱伝導率を高め、かつ成形体の面方向の熱膨張係数を低下させるように、第1及び第2の繊維Fp,Fnの種類や濃度をそれぞれ選択することができる。
【0030】
高分子複合材料成形体の形状として、用途に応じて任意の形状を選択でき、例えば、立方体、球、円柱、板、フィルム、棒、チュ−ブ等の形状が挙げられる。また、高分子複合材料成形体として、第1の繊維Fp及び第2の繊維Fnが成形体の全体に亘り均一に分散したものであってもよく、或いは、1又は複数の部分に局所的に点在したものであってもよい。例えば、後者の場合であって、高分子複合材料成形体を電子回路基板に適用する場合、発熱量の多いICチップが実装される部分に第1の繊維Fp及び第2の繊維Fnを局所的に分散させることで、その部分の熱機械特性を等方的としたまま、厚み方向の熱伝導性を部分的に高めることが可能である。
【0031】
高分子複合材料成形体の用途として、例えば、機械部品、機構部品、自動車部品、電気製品等が挙げられ、より詳しくは、電子回路等に用いられる各種の機構部品、電気製品や自動車製品のハウジング、基板、伝導ベルト等が挙げられる。
【0032】
次に、上記の高分子複合材料成形体の製造方法について説明する。
高分子複合材料成形体は、高分子材料Mの中に、第1の繊維Fpと第2の繊維Fnとを配合して液状の高分子組成物を調製する調製工程と、高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加することにより、第1の繊維Fpを第1の方向に配向させ、第2の繊維Fnを第1の方向と直交する第2の方向に配向させる配向工程と、磁場配向後、高分子組成物を固化して成形体を形成する成形工程とを経て製造される。
【0033】
調製工程では、高分子複合材料成形体の材料となる高分子組成物を得るため、高分子材料Mと、第1及び第2の繊維Fp,Fnとを配合する。そして、高分子材料M中に両繊維Fp,Fnが均一に分散されるまで混合することにより、高分子組成物を調製する。混合装置として、例えば、ブレンダー、ミキサー、ロール、押出機等の公知の混合混練装置が用いられる。また、混合時には、高分子材料M中に混入した気泡を除去するため、減圧或いは加圧しながら混合することが好ましい。
【0034】
第1及び第2の繊維Fp,Fnの配合量は、目的とする最終製品の要求性能等により適宜決定される。しかしながら、第1及び第2の繊維Fp,Fnの配合量が多すぎると、高分子組成物の粘度が増大し流動性が損なわれるため、両繊維Fp,Fnの配向制御が困難となる。第1及び第2の繊維Fp,Fnの配合量は、第1及び第2の繊維Fp,Fnの比重や長さ等に応じて適切に設定する必要がある。例えば、第1の繊維Fpとして平均長さ50μmの炭素繊維を、第2の繊維Fnとして長さ0.5〜1mmのポリエチレン繊維をそれぞれ用いる場合、高分子材料100重量部に対して炭素繊維50重量部以下であり、ポリエチレン繊維10重量部以下であることが好ましい。
【0035】
また、高分子組成物には、必要に応じて他の充填剤や可塑剤、架橋剤、着色剤、安定剤、溶剤等の少量の添加剤を併用してもよい。なお、高分子材料Mに対する第1及び第2の繊維Fp,Fnの濡れ性や接着性を向上させるために、両繊維Fp,Fnの表面にあらかじめ脱脂や洗浄処理を施したり、紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理或いはイオン注入等の活性化処理や、シラン系やチタン系、アルミニウム系等のカップリング剤やレゾルシンホルマリンラテックス等で表面処理をしたりすることが好ましい。その結果、第1及び第2の繊維Fp,Fnが高分子材料M中において分散及び混合し易くなり、第1及び第2の繊維Fp,Fnの配合量を増大させることができる。また、磁場による第1及び第2の繊維Fp,Fnの配向も容易に行えるようになり、生産効率が向上する。
【0036】
また、高分子組成物中での第1及び第2の繊維Fp,Fnの沈降を防ぎ、かつ両繊維Fp,Fnの配向を促進させるため、高分子組成物を低粘度化することで繊維Fp,Fnの配合量を増大させたり、両繊維Fp,Fnと高分子材料Mとの比重差を小さくしたりすることが好ましい。このような観点から、高分子組成物中に、揮発性の有機溶剤や反応性可塑剤を添加することが好ましい。高分子組成物に添加される有機溶剤として、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。また、反応性可塑剤として、例えば、スチレンなどのビニルモノマー、メチルメタクリレートやトリエチレングリコールジアクリレートなどのアクリルモノマー、フェニルグリシジルエーテルやジエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシモノマー等が挙げられる。
【0037】
次に、配向工程が行われる。配向工程に先立ち、まず、高分子複合材料成形体を成形するための金型を準備し、金型内に液状の高分子組成物を流し込む。この際、高分子組成物が室温で液状であれば、高分子組成物の金型への注入による流動方向への両繊維Fp,Fnの配向を緩和させる必要がある。このため、高分子組成物を金型内に注入した後、金型に振動を加えることが好ましい。続いて、高分子組成物中の第1及び第2の繊維Fp,Fnをそれぞれ配向させるため、高分子組成物に対し外部より磁場を印加する。具体的には、金型の対向する一対の面に永久磁石や電磁石のN極及びS極をそれぞれ配置し、金型内の高分子組成物に磁場を印加する。これにより、高分子組成物中の両繊維Fp,Fnが磁化されるため、第1及び第2の繊維Fp,Fnは、磁力線に対してその繊維軸を磁気的に安定させる方向にそれぞれ配向される。具体的には、異方性磁化率が正の値を持つ第1の繊維Fpは、磁力線と平行な第1の方向に配向される、また、異方性磁化率が負の値を持つ第2の繊維Fnは、磁力線と垂直な第2の方向に配向される。
【0038】
磁場発生手段は、製造の効率性や経済性等を考慮して選択することが好ましく、例えば、永久磁石、電磁石、コイル、超電導磁石等が好ましい。また、磁場は、実用的で、かつ効果的な両繊維Fp,Fnの配向を達成できるように形成されることが好ましい。即ち、磁場の強さを表す磁束密度は、0.1〜30テスラであることが好ましい。また、両繊維Fp,Fnが有する非常に弱い磁気異方性を利用して一定方向に配向させるには、磁束密度をより高めて、より強い磁場を形成することが好ましい。具体的には、磁束密度は、0.5テスラ以上が好ましく、2テスラ以上がより好ましい。なお、機械特性等の各種特性の向上が高分子複合材料成形体の一部に限定される場合は、高分子組成物の一部のみを磁場雰囲気に配置するようにしてもよい。また、高分子組成物中において第1及び第2の繊維Fp,Fnの配向を促進させるため、振動を加えながら磁場を印加するようにしてもよい。
【0039】
次に、成形工程が行われる。成形工程では、第1及び第2の繊維Fp,Fnを第1及び第2の方向にそれぞれ配向させた状態で、液状の高分子組成物を固化する。高分子組成物の固化は、高分子材料Mの種類に応じて架橋反応や冷却固化等により行われる。例えば、熱可塑性樹脂を用いた場合、高分子組成物を固化するため、液状の樹脂を融点以下に冷却する。また、熱硬化性樹脂を用いた場合、高分子組成物を固化するため、液状の樹脂を反応硬化させたり、架橋反応させたりする。なお、高分子複合材料成形体の成形方法として、例えば、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、真空成形法、回転成形法等が挙げられる。こうした一連の工程を経ることにより、高分子複合材料成形体が製造される。
【0040】
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)高分子材料M中には、異方性磁化率の正負の符号が異なる少なくとも2種類の繊維Fp,Fnが含有されている。異方性磁化率が正の値である第1の繊維Fpは、高分子材料M中で第1の方向に配向されている。また、異方性磁化率が負の値である第2の繊維Fnは、第1の方向と直交する第2の方向に配向されている。この構成によれば、第1の繊維Fpの特性を利用することにより、高分子複合材料成形体の第1の方向における特性が向上する。また、第2の繊維Fnの特性を利用することにより、高分子複合材料成形体の第2の方向における特性が向上する。これにより、高分子複合材料成形体において、直交する2つの方向の特性を向上させることができる。
【0041】
(2)第1及び第2の繊維Fp,Fnの繊維長として、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。この構成により、配向され易い異方性磁化率が正の値である第1の繊維Fpと、異方性磁化率が負の値である第2の繊維Fbとの衝突が回避されるため、第1及び第2の繊維Fp,Fnを第1及び第2の方向にそれぞれ円滑に配向させることができる。
【0042】
(3)第1の繊維Fpとして、炭素繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ハロゲン化ポリオレフィン繊維等が挙げられる。この構成によれば、例えば、第1の繊維Fpとして炭素繊維を選択することにより、高分子複合材料成形体の第1の方向における熱伝導率や導電率等を効果的に高めることができる。
【0043】
(4)第2の繊維Fnとして、ポリエチレン繊維、ポリ乳酸繊維、ポリオキシメチレン繊維等が挙げられる。この構成によれば、例えば、第2の繊維Fnとしてポリエチレン繊維を選択することにより、高分子複合材料成形体の第2の方向における強度や弾性率等を効果的に高めることができる。
【0044】
(5)高分子複合材料成形体は、高分子材料Mの中に、第1の繊維Fpと第2の繊維Fnとを配合して液状の高分子組成物を調製する調製工程と、高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加することにより、第1の繊維Fpを第1の方向に配向させ、第2の繊維Fnを第1の方向と直交する第2の方向に配向させる配向工程と、磁場配向後、高分子組成物を固化して成形体を形成する成形工程とを経て製造される。この構成によれば、まず、第1の方向と第2の方向とにそれぞれ配向される少なくとも2種類以上の繊維Fp,Fnを配合した高分子組成物を調製する。そして、液状の高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加する。このため、金型に繊維クロスを配置し、更に繊維を含む高分子組成物を金型に注入した後、金型内の高分子組成物に磁場を印加する従来の方法と異なり、高分子組成物中への気泡の巻き込みや、繊維クロスの偏りなどが無くなり、また、工程を少なくすることもできる。よって、品質特性のばらつきを抑え、かつ効率良く生産することができる。
【実施例】
【0045】
次に、実施例、比較例を挙げて本発明の高分子複合材料成形体について更に具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、以下の工程に従って、高分子複合材料成形体を作製した。具体的には、まず、高分子材料として不飽和ポリエステル樹脂(株式会社日本触媒製「エポラックG157」)100重量部に対して、炭素繊維(日本グラファイトファイバー株式会社製「GRANOCミルドファイバーXN−100」平均長さ50μm)50重量部と、ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社製「ダイニーマ(登録商標)」直径20μm、長さ0.5〜1mm)10重量部とを混合した。そして、攪拌装置を用いて、減圧状態で脱泡しながら混合することにより、液状の高分子組成物を調製した。
【0046】
次に、上記の高分子組成物を成型凹部に流し込み、金型を閉じてから振動発生装置で振動を与え、高分子組成物の繊維の向きをランダムにした。そして、金型を移動し、磁束密度10テスラの磁場を印加した。金型として、フッ素樹脂コーティングされた成形凹部を有するアルミニウム製の金型を用いた。成形凹部の各寸法は、板状の高分子複合材料成形体を得るため、長さを50mm、幅を50mm、深さを5mmとした。また、10テスラの磁場を得るために超電導磁石を用い、成形凹部の深さ方向に磁力線が通るように金型を設置した。そして、磁場を印加することにより、高分子組成物中の炭素繊維を磁力線と平行に、ポリエチレン繊維を磁力線に対して垂直方向にそれぞれ配向させた。その後、加熱して高分子材料を固化することにより、板状の高分子複合材料成形体を作製した。
(実施例2)
実施例2では、炭素繊維(日本グラファイトファイバー株式会社製「GRANOCミルドファイバーXN−100」)の平均長さを100μmとし、ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社製「ダイニーマ(登録商標)」直径20μm)の長さを0.8〜1.4mmとしたものを使用した以外は、実施例1と同じ工程を経て板状の高分子複合材料成形体を作製した。
(実施例3)
実施例3では、炭素繊維(日本グラファイトファイバー株式会社製「GRANOCミルドファイバーXN−100」)の平均長さを250μmとし、ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社製「ダイニーマ(登録商標)」直径20μm)の長さを1.5〜2.0mmとしたものを使用した以外は、実施例1と同じ工程を経て板状の高分子複合材料成形体を作製した。
(比較例1)
比較例1の高分子複合材料成形体は、磁場を印加しなかったことを除き、実施例1の高分子複合材料成形体と同じ工程を経て作製した。比較例1の高分子複合材料成形体では、振動発生装置により振動を付与したあと、磁場を印加しなかったため、高分子組成物中の炭素繊維及びポリエチレン繊維がランダムに分散したままであった。
(比較例2)
比較例2では、高分子材料として不飽和ポリエステル樹脂(株式会社日本触媒製「エポラックG157」)100重量部に対して、炭素繊維(日本グラファイトファイバー株式会社製「GRANOCミルドファイバーXN−100」平均長さ50μm)50重量部を混合した。そして、攪拌装置を用いて、減圧状態で脱泡しながら混合することにより、液状の高分子組成物を調製した。
【0047】
次に、実施例1で用いた金型の成形凹部に、ポリエチレン繊維クロス(東洋紡績株式会社製「サイバーメッシュ(登録商標)」目付94g/m、厚み0.5mm)を1枚配置した。ポリエチレン繊維クロスは、板状の高分子複合材料成形体の表面と平行にするため、成形凹部の底面に配置した。続いて、上記の高分子組成物を成形凹部に流し込み、ポリエチレン繊維クロスの隙間に高分子組成物を含浸させた。更にもう1枚、別のポリエチレン繊維クロスを成形凹部内の高分子組成物に上から重ねて、高分子組成物を別のポリエチレン繊維クロスにも含浸させた。そして、10テスラの磁束密度で磁場を印加することにより、炭素繊維を磁力線と平行に配向させた。その後、加熱して高分子材料を固化することにより、板状の高分子複合材料成形体を作製した。比較例2の高分子複合材料成形体では、炭素繊維が、ポリエチレン繊維クロスの面に対して垂直方向に配向されていた。
【0048】
表1に、磁場の磁束密度と併せて、高分子複合材料成形体における厚み方向及び面方向の線膨張係数と、厚み方向及び面方向の熱伝導率とをそれぞれ示す。
<線熱膨張係数>
実施例及び各比較例において、線膨張係数を、JIS K7197に準じて測定した。具体的には、得られた高分子複合材料成形体から、厚み5mm、縦5mm、横5mmの評価用試験片を20個作製し、各試験片の線膨張係数をそれぞれ測定した。表1に示す線熱膨張係数は、20個のデータから求めた平均値であり、標準偏差は、データのばらつきの指標を示している。
<熱伝導率>
実施例及び各比較例において、熱伝導率を、京都電子工業株式会社製レーザーフラッシュ法熱物性測定装置「LFA−502」を用いて測定した。具体的には、得られた高分子複合材料成形体から、厚み2mm、直径10mmの評価用試験片を作製し、評価用試験片の熱伝導率を測定した。
【0049】
【表1】

表1の結果から、実施例1の高分子複合材料成形体では、炭素繊維が厚み方向に配向され、ポリエチレン繊維が面方向に配向されたため、厚み方向、面方向ともに熱膨張が抑えられていた。また、実施例1では、炭素繊維が厚み方向に配向されたため、厚み方向の熱伝導率は2.4W/m・K以上であり、面方向の熱伝導率の3倍以上であった。すなわち、実施例1の成形体では、熱膨張性の等方性及び熱伝導性の異方性の両方を同時に実現できた。
【0050】
また、実施例1の高分子複合材料成形体では、厚み方向及び面方向の線膨張係数の標準偏差はいずれも0.2以下であった。実施例1で用いられる炭素繊維の磁場配向性は高く、ポリエチレン繊維の磁場配向性は比較的弱いことから、繊維長の長い炭素繊維を用いると、磁場配向中に、炭素繊維がポリエチレン繊維に衝突するおそれがある。その点、実施例1では、炭素繊維及びポリエチレン繊維の繊維長がいずれも2mm以下であるため、両繊維の厚み方向、面方向への配向が円滑に行われたことによるものと推測される。よって、実施例1の結果より、本実施形態の製造方法によれば、品質のばらつきを小さく抑え、かつ生産性を高めることができる、との結果が裏付けられた。
【0051】
実施例2、3の高分子複合材料成形体でも、炭素繊維が厚み方向に配向され、ポリエチレン繊維が面方向に配向されたため、厚み方向、面方向ともに熱膨張が抑えられていた。また、実施例2,3でも、炭素繊維が厚み方向に配向されたため、厚み方向の熱伝導率は2.6W/m・K以上であり、面方向の熱伝導率の3倍以上であった。すなわち、実施例2,3の成形体では、炭素繊維及びポリエチレン繊維の繊維長が実施例1と比べて長くなっているが、いずれも2mm以下であるため、実施例1と同様の結果が得られた。つまり、実施例2,3の成形体でも、熱膨張性の等方性及び熱伝導性の異方性の両方を同時に実現できた。
【0052】
比較例1の高分子複合材料成形体では、炭素繊維及びポリエチレン繊維がともにランダムに分散されているため、等方的な熱膨張になっていた。また、比較例1では、炭素繊維が厚み方向に配向されていないため、厚み方向の熱伝導率は0.9W/m・K未満であった。
【0053】
比較例2の高分子複合材料成形体では、厚み方向の線膨張係数及び面方向の線膨張係数の標準偏差が大きく、線膨張係数にばらつきが生じていた。比較例2の高分子複合材料成形体の断面を観察した結果、高分子複合材料成形体内部で積層されたポリエチレン繊維クロスの位置に偏りが見られた。このことから、比較例2では、線膨張係数が小さく等方的に制御された高分子複合材料成形体を安定して生産することはできなかった。さらに、繊維クロスを予め金型内に配置する工程と、液状の高分子材料を金型内に注型する工程とが必要となるため、実施例1の方法と比較して成形サイクルが長かった。
【符号の説明】
【0054】
M…高分子材料、Fp…第1の繊維、Fn…第2の繊維。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料中に少なくとも2種類の繊維を含有する高分子複合材料成形体において、
前記高分子材料中には、異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維とが含有され、前記第1の繊維は、第1の方向に配向され、前記第2の繊維は、前記第1の方向と直交する第2の方向に配向されていることを特徴とする高分子複合材料成形体。
【請求項2】
請求項1記載の高分子複合材料成形体において、
前記第1及び第2の繊維の繊維長は2mm以下であることを特徴とする高分子複合材料成形体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の高分子材料成形体において、
前記第1の繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾ−ル繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ハロゲン化ポリオレフィン繊維からなる群より選択されることを特徴とする高分子複合材料成形体。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の高分子材料成形体において、
前記第2の繊維は、ポリエチレン繊維、ポリ乳酸繊維、ポリオキシメチレン繊維からなる群より選択されることを特徴とする高分子複合材料成形体。
【請求項5】
高分子複合材料成形体の製造方法であって、
高分子材料中に、異方性磁化率が正の値である第1の繊維と、異方性磁化率が負の値である第2の繊維とを配合して液状の高分子組成物を調製する工程と、
前記高分子組成物を金型に注入した後、前記金型内の高分子組成物に磁場を印加することにより、前記第1の繊維を第1の方向に配向させ、前記第2の繊維を前記第1の方向と直交する第2の方向に配向させる工程と、
磁場配向後、前記高分子組成物を固化して成形体を形成する工程と
を備えることを特徴とする高分子複合材料成形体の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の高分子複合材料成形体の製造方法において、
前記第1及び第2の繊維の繊維長は2mm以下であることを特徴とする高分子複合材料成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−148954(P2011−148954A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13429(P2010−13429)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】