説明

高分子量ポリアゾール

【課題】ポリアゾール溶液の貯蔵能を改善し、優れた物理特性を発現するポリアゾールの製造方法を提供する。
【解決手段】下記工程A)〜D)からなる方法で得られる、固有粘度として測定された分子量が少なくとも1.3dl/gであるポリアゾールの製法。A)1以上の芳香族テトラアミノ化合物と1以上の芳香族カルボン酸又はそれらのエステル(これはカルボン酸モノマー当り少なくとも2つの酸基を含む)とを混合する、あるいは1以上の芳香族および/又はヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合する。B)A)で得られる混合物を不活性ガス下、350℃までの温度へ加熱する。C)B)で得られる組成物を粉砕および得られる粒子を分別する。D)300〜1000μmの粒子フラクションを不活性ガス下、450℃までの温度へ加熱し、そして冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の高分子量ポリアゾール、それらの製造方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアゾール、例えばポリベンゾイミダゾール(Celazole)は、長期間知られている。このようなポリベンゾイミダゾール(PBI)の製造は、通常、3,3’,4,4’−テトラ−アミノビフェニルとイソフタル酸またはジフェニルイソフタレートあるいはそれらのエステルを溶融状態で反応させることによって行われる。DPIPとの反応において、ガス状フェノールが二次生成物として形成され、これはフォームの激しい形成および体積膨張に至る。形成されるプレポリマーは、リアクター内で固化し、そして引き続いて機械的に粉砕される。粉末状プレポリマーは、次いで、400℃までの温度での固相重合において最終重合され(end-polymerized)、そして所望のポリベンゾイミダゾー
ルが得られる。
【0003】
ポリマーフィルムまたはポリマー繊維の製造のために、PBIは、別の工程において、極性・非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc))中に溶解され、そしてフィルムまたは繊維が古典的方法によって製造される。
【0004】
該溶液の製造において、それらは、使用されるポリアゾールの特性に大いに依存することが示されていた。特に、観察されるゲル形成および他の結晶化効果は、該溶液の低い貯蔵能に至る。これらの問題は、既に、ドイツ特許出願番号10052237.8に記載されている。しかし、そこに記載されている手順は、非常に高価であり、そして使用されるポリアゾールポリマーの乏しい収率に至る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前述の問題を克服し、そして他方で、優れた物理的特性を示す、ポリアゾールを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次いで、高分子量ポリアゾールは、一方で、貯蔵安定溶液の形成に至り、そして他方で、以前に知られていたポリアゾールの優れた物理的特性をなお超えることが発見された。該高分子量ポリアゾールは、その上、単純な様式で製造される。
【0007】
本発明の主題は、以下の工程からなる方法によって得られ得る、固有粘度として測定された分子量が少なくとも1.3dl/gであるポリアゾールに関する:
A)1以上の芳香族テトラ−アミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これは、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含む)とを混合する工程、あるいは1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合する工程;
B)工程B)に従って得られ得る混合物を、不活性ガス下、350℃まで、好ましくは300℃までの温度へ加熱する工程;
C)工程B)に従って得られる組成物の粉砕、および得られる粒子の分別工程;
D)300μm〜1000μmの粒子フラクションを、不活性ガス下、450℃まで、好ましくは400℃までの温度へ加熱し、そして冷却する工程。
【0008】
本発明に従って使用される芳香族およびヘテロ芳香族テトラ−アミノ化合物は、好ましくは、3,3’,4,4’−テトラ−アミノビフェニル、2,3,5,6−テトラ−アミノピリジン、1,2,4,5−テトラ−アミノベンゼン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルスルホン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラ−アミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルメタン、および3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルジメチルメタン、
ならびにそれらの塩、特に、それらのモノ−、ジ−、トリ−、およびテトラヒドロクロリド誘導体である。
【0009】
本発明に従って使用される芳香族カルボン酸は、ジカルボン酸またはそのエステル、あるいはその無水物またはその酸塩化物である。用語「芳香族カルボン酸」は、ヘテロ芳香族カルボン酸も同様に含む。好ましくは、該芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−N,N−ジメチルアミノイソフタル酸、5−N,N−ジエチルアミノイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4−カルボキシケイ皮酸、あるいはそれらのC1−20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物である。
【0010】
本発明に従って使用されるヘテロ芳香族カルボン酸は、ヘテロ芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステルまたはそれらの酸無水物である。「ヘテロ芳香族ジカルボン酸」は、該環内に、少なくとも1つの窒素、酸素、硫黄、またはリン原子を含む芳香族系を包含する。好ましくは、それは、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、およびベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸、ならびにそれらのC1−C20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物である。
【0011】
本発明に従って使用される芳香族およびヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸は、好ましくは、好ましくは、ジアミノ安息香酸ならびにそのモノ−およびジヒドロクロリド誘導体である。
【0012】
好ましくは、少なくとも2つの異なる芳香族カルボン酸の混合物が、工程A)において使用される。特に好ましくは、芳香族カルボン酸に加えてヘテロ芳香族カルボン酸も含む混合物が使用される。芳香族カルボン酸とヘテロ芳香族カルボン酸との混合比は、1:99から99:1、好ましくは1:50から50:1である。
【0013】
これらの混合物は、特に、N−ヘテロ芳香族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステルの混合物である。非限定的な例は、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、および2,5−ピラジンジカルボン酸である。好ましくは、それはジフェニルイソフタレート(DPIP)およびそのエステルである。
【0014】
ポリアゾールに基づく、本発明に従って形成されるポリマーは、一般式(I)および/または(II)および/または(III)および/または(IV)および/または(V)および/または(VI)および/または(VII)および/または(VIII)および/または(IX)および/または(X)の繰り返しアゾール単位を含む:
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

【0017】
ここで、
Arは、同一または異なり、そして四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価または三価または四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Ar10は、同一または異なり、そして二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Ar11は、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Xは、同一または異なり、そして酸素、硫黄またはアミノ基{これは、水素原子、追加の基として、1〜20の炭素原子を有する基(好ましくは、分枝または非分枝のアルキルまたはアルコキシ基、あるいはアリール基)を保有する}を意味し;
nは、10以上、好ましくは100以上の整数である。
【0018】
好ましい芳香族またはヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピロール、ピラゾール、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン(benzopyrazidine)、ベンゾピリミジン、ベンゾ
ピラジン(benzopyrazine)、ベンゾトリアジン、インドリジン、キノリジン、ピリドピ
リジン(pyridopyridine)、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリン、およびフェナントレン(これらは、必要に応じて、置換され得る)から誘導される。
【0019】
従って、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10およびAr11の置換パターンは任意であり;フェニレンの場合、例えば、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10およびAr11は、オルト−、メタ−、およびパラ−フェニレンであり得る。特に好ましい基は、ベンゼンおよびビフェニレン(これらはまた、特定の状況下で、置換され得る)から誘導される。
【0020】
好ましいアルキル基は、1〜4の炭素原子を有する短鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、およびt−ブチル基である。
【0021】
好ましい芳香族基は、フェニルまたはナフチル基である。該アルキル基および芳香族基は置換され得る。
【0022】
好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素)、アミノ基、ヒドロキシ基、または短鎖アルキル基(例えば、メチルまたはエチル基)である。
【0023】
好ましいのは、基Xが繰り返し単位内で同一である、式(I)の繰り返し単位を有するポリアゾールである。
【0024】
ポリアゾールはまた、例えばそれらの基Xが異なる、異なる繰り返し単位を基本的には有し得る。しかし、好ましくは、それらは、繰り返し単位内で同一の基Xのみを有する。
【0025】
他の好ましいポリアゾールポリマーは、ポリイミダソール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、およびポリ(テトラアザピレン)(poly(tetrazapyrenes))である。
【0026】
本発明の別の実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは、互いに異なる、式(I)〜(X)の少なくとも2つの単位を含む、コポリマーまたはブレンドである。該ポリマーは、ブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック)、ランダムコポリマー、ペリオディック(periodic)コポリマー、および/または交互(alternating)ポリ
マーとして存在し得る。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは、式(I)および/または(II)の単位のみを含むポリアゾールである。
【0028】
該ポリマーにおける繰り返しアゾール単位の数は、好ましくは、10以上の整数である。特に好ましいポリマーは、少なくとも100の繰り返しアゾール単位を含む。
【0029】
本発明の枠組み内において、繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むポリマーが好ましい。繰り返しベンゾイミダゾール単位を含む特に好適なポリマーのいくつかの例は、以下の式によって示される:
【0030】
【化3】

【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
ここで、nおよびmは、10以上、好ましくは100以上の整数である。
【0036】
本発明に従うポリアゾール、特にポリベンゾイミダゾールは、高分子量を特徴とする。固有粘度として測定した場合、それは、少なくとも1.3dl/g、特に少なくとも1.4dl/gであり、そして従って、市販のポリベンゾイミダゾールのそれ(IV<1.1dl/g)を明らかに超える。
【0037】
工程B)に従う加熱は、不活性ガス下、好ましくは湿気の排除を伴って、行われる。加熱は、30分〜24時間、好ましくは1時間〜15時間、そして特には2時間〜10時間の期間行われる。導入される熱のより十分な分布のために、加熱されるマス(mass)の徹底的な混合を提供することが有利である。好ましくは、該マスは、工程B)において撹拌される。これは更なる利点を有し、何故ならば、170〜270℃の温度範囲で観察されるフォーム形成(foam formation)が、制御または減少され得るからである。工程B)に従って得られるフォーム状マス(foam-like mass)の粉砕を工程C)においてもたらすに好適なスターラーを選択することが有利である。得られる粒子は、入手可能なスターラーでの粉砕が依然として不十分である場合、更に粉砕され得る。
【0038】
粒度および粒度分布を測定するために、多数の測定方法が存在する。本発明の枠組み内において、篩い分析(screen analysis)は粒度分布測定のために十分であり、その結果
、篩いによる分別(fractionation by screening)が工程C)において行われる。
【0039】
しかし、基本的に、対応する分割[分離]に至る全ての他の分別方法もまた好適である。
【0040】
本発明に従う分別(fractionation)のために、異なるメッシュ幅を有する1セットの
篩いが、篩い分け器において一方が他方の上に配置される。篩い分析において、粒度は、該粒子を辛うじて通過させるメッシュ幅の篩い(篩い通過、アンダーサイズ材料(screen
passage, undersize material))によって測定される。篩いは、内部メッシュ幅に従ってマイクロメートルの単位で表される。
【0041】
この様式において、300μm〜1000μmの粒子フラクションが、残りの粒子から分離され、そして引き続いて工程D)において使用される。工程D)において使用される材料は、300μm〜1000μmの粒子フラクションを少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、そして特に少なくとも98重量%含有する。
【0042】
工程C)における粒子の分別は、好ましくは、不活性ガス下でそして湿気を排除して行われる。これが可能でない場合、処理される粒子フラクションの乾燥が更に必要とされるかもしれない。工程D)において使用される粒子の残存する水分含有量は、5重量%、好ましくは3重量%、そして特に1重量%を超えない。該乾燥は、公知の方法によって行われ得る。
【0043】
引き続いて、工程D)において、300μm〜1000μmの粒子フラクションが、不活性ガス下で、好ましくは湿気の排除を伴って、450℃まで、好ましくは400℃までの温度へ加熱される。工程D)における最小温度は、300℃、好ましくは350℃以上である。選択される温度の関数として、処理時間は、15分から24時間まで、好ましくは30分〜15時間、そして特に1時間〜10時間である。もたらされる熱をより十分に分散させるために、加熱されるマス(mass)の徹底的な混合を提供することが有利である。好ましくは、工程D)において撹拌が行われる。
【0044】
本発明の別の実施形態において、工程D)は、別個のリアクター内で行われ得、そして所望の部分フラクションが、デポー物質(depot substance)として中間保存に配置され
得る。好ましくは、工程D)は、別個のリアクター内で行われる。
【0045】
工程D)において、ポリアゾールポリマーの縮合および高分子量の構築が行われる。
【0046】
冷却後、分子量が測定され得る。
【0047】
本発明に従うポリアゾール(特に、ポリベンゾイミダゾール)は、高分子量により特徴付けられる。固有粘度として測定した場合、それは、少なくとも1.3dl/g、特に少なくとも1.4dl/gであり、そして従って、市販のポリベンゾイミダゾールそれ(IV<1.1dl/g)の明らかに上である。
【0048】
高分子量の結果として、本発明に従うポリアゾールは、成形品(molded articles)、
繊維(特に、高強度繊維)、および機械的特性について高い要求がされるフィルムの製造のために特に良好である。本発明に従う高分子量ポリアゾールの別の利点は、それが、改善された貯蔵能(storage capacity)を有するより安定な溶液を形成するという事実において見られる。
【0049】
従って、本発明の主題はまた、極性・非プロトン性溶媒(特に、ジメチルアセトアミド)中の本発明に従う高分子量ポリアゾールの溶液に関する。このような溶液の一般的な製造は、例えば、ドイツ特許出願第10,052,237.8号に記載されている。このような溶液は、表面(特に、金属表面)のコーティングに好適である。
【0050】
本発明の主題はまた、本発明に従う高分子量ポリアゾールを焼結または焼戻し(tempering)することによって(好ましくは、鋳型中での焼結または焼戻しによって)得られる
成形品に関する。
【0051】
本発明に従う高分子量ポリアゾールが架橋を示す場合、それは有利であることがここに証明される。もし、本発明に従う材料がこの様式で使用されるならば、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸がまた、工程A)において添加される。この様式において、本発明に従うポリマーの所望の枝分かれ(branching)/架橋が達成される。
【0052】
工程A)において添加されるトリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはそれらのエステル、あるいはそれらの無水物またはそれらの酸塩化物は、好ましくは、それらのC1−C20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステルである。特に好ましいのは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸)、(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸酸、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸、3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、あるいは1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸である。
【0053】
トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の含有量は(使用されるジカルボン酸に対して)、 0〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、そして特には0.5〜10モル%である。
【0054】
また、このような高分子量ポリアゾールは、本発明の主題である。
【0055】
本発明に従う高分子量ポリアゾール溶液から製造されるフィルムは、以前から知られているポリマーフィルムと比較して改善された材料特性を示し、そして分離膜(separation
membranes)として好適である。
【0056】
このような分離膜は、高密度ポリマーフィルム(dense polymer films)、多孔性中空
繊維膜(porous hollow fiber membranes)として、または多孔性オープンセルポリマー
フィルム(porous, open-cell polymer films)(必要に応じてコンパクトカバー層(compact cover layer)を備える)として製造され得る。
【0057】
多孔性膜の製造のために、本発明に従うポリマー溶液はまた、いわゆる孔形成剤(pore-forming agent)(例えば、グリセロール)を含有し得、これは、沈殿剤(precipitating agent)の組成の選択に依存して、該分離膜の異なるモルフォロジーをもたらす。
【0058】
分離目的のために、以下の構造が好ましい:i)対称的な多孔性構造;ii)膜表面付近のポリマー圧縮を伴う非対称な多孔性構造。
【0059】
このような特に好適な構造のポリベンゾイミダゾール膜の走査電子顕微鏡写真が、Journal of Membrane Science, Volume 20, 1984, pages 147-66に開示されている。
【0060】
このようなフェーズインバージョン膜(phase inversion membranes)および構造は、
当業者に公知である。対照的な多孔性構造を有する膜は、空気およびガス濾過のため、あるいは液体についての精密−または限外濾過のための分離および濾過膜として使用される。非対称の多孔性構造を有する膜は、逆浸透、特に、水脱塩(water desalination)、透析、またはガスの調製のために、多くの広範な様式で使用され得る。
【0061】
特に好適な用途は、多孔性金属キャリア(porous metal carrier)と組み合わせての、ガス混合物からの水素および二酸化炭素の分離である。CO分離についての代替技術は、ポリマー膜の低い熱的安定性のために150℃までガスを冷却することを必要とし、ここで効率が低下する。本発明に従うポリアゾールに基づく分離膜は、400℃の温度まで連続して操作され得、そして従って、収率の増加およびコストの削減に至り得る。
【0062】
ポリアゾールに基づく分離膜についての更なる情報については、技術文献、特に以下の特許を参照のこと:国際特許第98/14505;米国特許第4,693,815;米国特許4,693,824;米国特許第375,262;米国特許第3,737,042;米国特許第4,512,894;米国特許第448,687;米国特許第A−3,841,492。上述の文献参照に含まれる、分離膜の構造および製造に関する開示は、本願発明によって包含され、そして本願明細書の構成要素である。特に、このような分離膜は、フラットフィルムの形態で、または中空糸膜(hollow fiber membranes)として製造され得る。
【0063】
適用技術特性を更に改善するために、充填剤、特にナノスケール充填剤が、該ポリマーフィルムへ添加され得る。
【0064】
このような充填剤の非限定的例は、以下である:
酸化物: 例えば、Al,Sb、ThO、SnO、ZrO、MoO
シリケート: 例えば、ゼオライト、ゼオライト(NH)、層状シリケート(layered silicates)、スケルタルシリケート(skeletal silicates)、N−ソーダ沸石、H−
モルデン沸石、NH−方沸石(NH4-analcines)、NH−方ソーダ石、NH−ガレ
ート(NH4-gallates)、H−モンモリロナイト
充填剤: 例えば、炭化物(特に、SiC、Si)、繊維(特に、ガラス繊維、ガラス粉末、および/またはポリマー繊維、特にポリアゾールに基づく)。
【0065】
更なる成分として、該ポリマーフィルムはまた、ガス濾過の間、操作において、生成され得る、ラジカルを捕獲または破壊する添加剤を含有し得る。
【0066】
このような添加剤の非限定的な例は、以下である:
ビス(トリフルオロメチル)ニトロキサイド、2,2−ジフェニル−1−ピクリニルヒドラジル、フェノール、アルキルフェノール、立体的に込み合ったアルキルフェノール(例えば、Irganox)、芳香族アミン、立体的に込み合ったアミン(例えば、Chimassorb);立体的に込み合ったヒドロキシルアミン、立体的に込み合ったアルキルアミン、立体的に込み合ったヒドロキシルアミン、立体的に込み合ったヒドロキシルアミンエーテル、ホスファイト(例えば、Irgafos)、ニトロソベンゼン、メチル−2−ニトロソプロパン、ベンゾフェノン、ベンズアルデヒド−tert−ブチルニトロン、システアミン、メラニン、酸化鉛、酸化マンガン、酸化ニッケル、および酸化コバルト。
【0067】
本発明に従うポリマーフィルムの適用の可能な分野の中でも、特に、ガス濾過および分離あるいはガス精製におけるフィルターメディウムとして、および逆浸透において、フレキシブル電気配線用のサブストレートとして、バッテリーセパレータとして、電気ケーブル用の保護膜として、電気コンポーネントおよび装置(例えば、コンデンサー)における絶縁体として、ならびに金属および他の表面のための保護膜としての使用である。
【0068】
本発明に従う高分子量ポリアゾール溶液から製造される繊維は、以前から公知のポリマー繊維と比較して改善された機械的特性(例えば、強度および弾性率)を示し、そして、特に、高靭性繊維(high-tenacity fibers)の製造に好適である。該繊維が織物のために使用される場合、それらはまた、400℃以上、好ましくは450℃以上の温度で、希硫酸を用いて処理される。高靭性繊維は、いわゆる複合材料、コンパウンド材料、および繊維強化成形品(fiber-reinforced molded articles)(これもまた該ポリマーに基づく)における強化繊維として使用される。
【0069】
本願発明の別の主題は、従って、固有粘度として表現した場合のその分子量が少なくとも1.3dl/g、好ましくは少なくとも1.4dl/gであるポリアゾールに基づくポリマー繊維に関する。
【0070】
これらの繊維の製造は、公知の方法によって行われる。本発明の枠組み内で、極性・非プロトン性溶媒(特に、ジメチルアセトアミド)中の本発明に従う高分子量ポリアゾールの溶液は、PBIについて公知の方法によって押出し成形され;引き続いて、該溶媒が公知の方法で除去される。
【0071】
形成される繊維は、連続フィラメントであり得、または−−該繊維形成が“メルトブロー法”と類似して行われる場合−−ステイプル繊維特徴(staple fiber character)を有し得る。形成される繊維のタイター(titer)は制限を有さず、従って、モノフィラメン
ト、即ち、ワイヤータイプ繊維が製造され得る。更に、中空繊維がまた製造され得る。所望のタイターは、該繊維の意図される用途によって決定される。形成される繊維の全体的処理は、公知の繊維技術によって行われ得る(Complete Textile Glossary, Celanese Acetate LLC, 2000を参照のこと)。
【0072】
1つの変形において、新たに形成され、依然として溶媒を含有している繊維が、沈殿浴(precipitation bath)へ導入され得る。この導入は、室温(20℃)〜該沈殿液体の沸点温度(標準圧力下)の温度範囲で行われる。
【0073】
本発明の意味における沈殿液体(precipitation liquid)として、アルコール、ケトン、アルカン(脂肪族および脂環式)、エーテル(脂肪族および脂環式)、エステル、カルボン酸(ここで、前記群メンバーはハロゲン化され得る)、水、無機酸(例えば、HPO、HSO)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される――室温(即ち、20℃)で液体として存在する溶媒が使用される。
【0074】
好ましくは、C1−C10アルコール、C2−C5ケトン、C1−C10−アルカン(脂肪族および脂環式)、C2−C6−エーテル(脂肪族および脂環式)、C2−C5エステル、C1−C3カルボン酸、ジクロロメタン、水、およびこれらの混合物が使用される。
【0075】
引き続いて、該繊維は、該沈殿液体から開放される。これは、好ましくは乾燥によって行われ、ここで、温度および周囲圧力は、沈殿液体の部分蒸気圧の関数として選択される。通常、乾燥は、標準圧力下および20℃〜200℃の温度で行われる。また、より穏やかな乾燥が、真空下で行われ得る。乾燥方法は、制限されない。
【0076】
沈殿浴(precipitation bath)における処理は、(特に、中空繊維を用いての)多孔性構造の形成へ至り得る。用途に依存して、これらは引き続いての使用のために望まれる。
【0077】
既に前述されたように、本発明に従う高分子量ポリアゾール溶液から製造されるフィルムは、既に公知のポリマーフィルムと比較して改善された材料特性を有し、そしてプロトン伝導膜(proton-conducting membrane)の製造のための出発材料として優れている。
【0078】
プロトン伝導膜の製造のために、フィルムは、先ず、本発明に従うポリマー溶液からキャストされ、そして溶媒が除去される。この目的のために、ドイツ特許出願第10109829.4に記載の方法が好ましく行われる。引き続いて、該高分子量ポリマーフィルムは、ドープ剤(doping agent)で湿潤化され、そしてその中に配置される。本発明に従うポリマー膜のためのドープ剤として、酸、好ましくは全ての公知のルイスおよびブレンステッド酸、特に無機ルイスおよびブレンステッド酸、またはアルカリ水酸化物が使用される。この前述の酸に加えて、ポリ酸の使用もまた可能である(特に、イソポリ酸およびヘテロポリ酸、ならびに種々の酸の混合物)。本発明の意味において、ヘテロポリ酸は、少なくとも2つの異なる中心原子を有する無機ポリ酸を意味し、これは、部分的な混合無水物として、金属(好ましくは、Cr、Mo、V、W)および非金属(好ましくは、As、I、P、Se、Si、Te)の弱い多塩基性(multibasic)酸素酸から形成される。この群に属するものは、中でも、12−モリブダトホスホリックアシッド(12-molybdatophosphoric acid)および12−タングストホスホリックアシッド(12-tungstophosphoric acid)である。
【0079】
本発明に従う特に好ましいドープ剤は、硫酸、燐酸、および水酸化カリウムである。非常に特に好ましいドープ剤は燐酸(HPO)である。
【0080】
本発明に従うポリマー膜はドープされる。本発明の枠組み内において、ドープされたポリマー膜(doped polymer membranes)は、ドープ剤の存在の結果として、ドープされて
いないポリマー膜と比較して増加されたプロトン伝導能(proton conducting capacity)を示すポリマー膜を意味する。
【0081】
ドープされたポリマー膜の製造方法は公知である。本発明の好ましい実施形態において、それらは、好適な時間(好ましくは5分〜96時間、特に好ましくは1〜72時間)、室温〜100℃の温度で、そして必要に応じて増加された圧力下、濃縮された酸(好ましくは、高度に濃縮された燐酸)で適切なポリマーのフィルムを湿潤化することによって得られる。
【0082】
本発明に従うポリマー膜の伝導能(conducting capacity)は、ドーピングの程度によ
って影響を受ける。該伝導能は、最大値が達成されるまで、ドープ剤の濃度の増加に伴って増加する。本発明によれば、ドーピングの程度は、該ポリマーの繰り返し単位の1モル当たりの酸のモルとして示される。本発明の枠組み内において、ドーピングの程度は、3〜15、特には6〜12が、好ましい。
【0083】
本発明に従うポリマー膜は、以前から公知のドープされたポリマー膜と比較して改善された材料特性を有する。特に、それらは、非常に良好な機械的特性を有し、そして、従来の膜と比較して、それらは改善された耐用年数を示す。
【0084】
本発明に従うドープされたポリマー膜の可能な適用分野は、中でも、燃料電池、電気分解、コンデンサー、およびバッテリーシステムにおける使用である。それらの特徴的プロフィールの結果として、該ドープされたポリマー膜は、好ましくは、燃料電池において使用される。
【0085】
本願発明はまた、本発明に従うポリマー膜を少なくとも有する、膜−電極ユニット(membrane-electrode unit)に関する。膜−電極ユニットに関する更なる情報については、
技術文献、特に以下の特許を参照のこと:米国特許第4,191,618;米国特許第4,212,714;および米国特許第4,333,805。膜−電極ユニットの構造および製造に関する、前記で示す参考文献(米国特許第4,191,618;米国特許第4,212,714;および米国特許第4,333,805)に含まれる開示はまた、本発明の明細書の構成要素である。
【0086】
固有粘度(IV)の測定のために、該ポリマーは、先ず、160℃で2時間乾燥される。このように乾燥された100mgのポリマーを、次いで、4時間、80℃の濃硫酸(少なくとも96重量%)100mL中に溶解させる。固有粘度は、この溶液から、ISO
3105に従い、Ubbelhode粘度計を用いて、25℃の温度で測定される。
【実施例】
【0087】
実施例1
214.27gのTAB(テトラ−アミノビフェニル)および166.14gのイソフタル酸を、N雰囲気下で、スターラーを備えるクオーツリアクターへ添加した。引き続いて、該混合物を、150℃へ、撹拌しながら、1時間;190℃へ、1時間;250℃へ、1時間;そして次いで290℃へ、1.5時間加熱した。
【0088】
激しいフォーム形成(foam formation)が、190℃〜250℃で観察された。引き続いて、形成されたフォームを、スターラーによって小さな粒子へと粉砕した。290℃で、更に1.5時間後、リアクターを冷却し、次いで、ポリマーを、篩い分け器で5フラクションに篩い分けした(<212、212−300、300−500、500−1000、および>1000μm)。
【0089】
表Iは、個々のフラクションの固有粘度(IV)およびポーション(portions)を示す。引き続いて、個々のフラクションを、クオーツリアクターへ注ぎ、そしてN雰囲気下、380℃で、3時間撹拌しながら、重合し、次いで冷却し、そしてポリマーのIVを測定した。
【0090】
個々の重合について見られたIV結果を表Iに提供する。
【0091】
【表1】

【0092】
なお、本発明は以下項1〜22にも関する。
【0093】
項1.固有粘度として測定した分子量が少なくとも1.3dl/gであるポリアゾールに基づくポリマーであって、以下の工程:
A)1以上の芳香族テトラ−アミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これは、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含む)とを混合する工程、あるいは1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合する工程;
B)該混合物(これは、工程B)に従って得られ得る)を、不活性ガス下、350℃まで、好ましくは300℃までの温度へ加熱する工程;
C)工程B)に従って得られるマス(mass)の粉砕、および得られる粒子の分別工程;
D)300μm〜1000μmの粒子フラクションを、不活性ガス下、450℃まで、好ましくは400℃までの温度へ加熱し;そして冷却する工程、
からなる方法によって得ることができる、ポリマー。
【0094】
項2.芳香族テトラ−アミノ化合物として、以下:
3,3’,4,4’−テトラ−アミノビフェニル、2,3,5,6−テトラ−アミノピリジン、1,2,4,5−テトラ−アミノベンゼン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルスルホン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラ−アミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルメタン、および3,3’,4,4’−テトラ−アミノジフェニルジメチルメタン、
が使用されることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0095】
項3.芳香族ジカルボン酸として、以下:
イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−N,N−ジメチルアミノイソフタル酸、5−N,N−ジエチルアミノイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,5−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4−カルボキシケイ皮酸、あるいはそれらのC1−20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、
が使用されることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0096】
項4.芳香族カルボン酸として、以下:
トリカルボン酸、テトラカルボン酸、あるいはそれらのC1−C20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、好ましくは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸);1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸);(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸;3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸、および/または2,4,6−ピリジントリカルボン酸、
が使用されることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0097】
項5.芳香族カルボン酸として、以下:
テトラカルボン酸、それらのC1−20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、好ましくは、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸;ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、または1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、
が使用されることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0098】
項6.トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の含有量が(使用されるジカルボン酸に対して)、0〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、特には0.5〜10モル%であることを特徴とする、項4に記載のポリマー。
【0099】
項7.ヘテロ芳香族カルボン酸として、以下:
ヘテロ芳香族ジカルボン酸およびトリカルボン酸およびテトラカルボン酸(これらは、該環内に、少なくとも1つの窒素、酸素、硫黄、またはリン原子を含む)、好ましくは、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、ベンゾイミダゾール5,6−ジカルボン酸、ならびにそれらのC1−C20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、
が使用されることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0100】
項8.一般式(I)および/または(II)および/または(III)および/または(IV)および/または(V)および/または(VI)および/または(VII)および/または(VIII)および/または(IX)および/または(X)の繰り返しアゾール単位:
【0101】
【化8】

【0102】
【化9】

【0103】
[ここで、
Arは、同一または異なり、そして四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Arは、同一または異なり、そして二価または三価または四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Ar10は、同一または異なり、そして二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Ar11は、同一または異なり、そして二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単核または多核であり得る)を意味し;
Xは、同一または異なり、そして酸素、硫黄またはアミノ基{これは、水素原子、追加の基として、1〜20の炭素原子を有する基(好ましくは、分枝または非分枝のアルキルまたはアルコキシ基、あるいはアリール基)を保有する}を意味し;そして
nは、10以上、好ましくは100以上の整数である]
を含むことを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0104】
項9.ポリベンゾイミダゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリイミダソール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、およびポリ(テトラアザピレン)(poly(tetrazapyrenes))からなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、項8に記載のポリマー。
【0105】
項10.以下の式を有する繰り返しベンゾイミダゾール単位:
【0106】
【化10】

【0107】
【化11】

【0108】
【化12】

【0109】
【化13】

【0110】
[ここで、nおよびmは、10以上、好ましくは100以上の整数である]
を含むポリマーであることを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0111】
項11.工程D)において使用される粒子フラクションが、300μm〜1000μmの粒子フラクションを少なくとも90重量%含むことを特徴とする、項1に記載のポリマー。
【0112】
項12.極性・非プロトン性溶媒中の前記ポリマーの溶液、ならびに成形品、フィルム、繊維、および/またはコーティングの調製のための、項1に記載のポリマーの使用。
【0113】
項13.極性・非プロトン性溶媒中に溶解された項1に記載のポリマーを含有するポリマー溶液。
【0114】
項14.成形品、繊維、フィルム、および/またはコーティングの製造のための、項13に記載のポリマー溶液の使用。
【0115】
項15.項1に記載の少なくとも1つのポリマーを含有する、成形品。
【0116】
項16.項1に記載の少なくとも1つのポリマーを含有する、繊維。
【0117】
項17.項1に記載の少なくとも1つのポリマーを含有する、フィルム。
【0118】
項18.項1に記載の少なくとも1つのポリマーを含有する、コーティング。
【0119】
項19.ガスおよび/または液体の濾過および/または分離における、逆浸透における、あるいはプロトン伝導膜(proton-conducting membrane)の製造のための、項17に記載のフィルムの使用。
【0120】
項20.項1に記載の少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのドープ剤を含む、プロトン伝導膜。
【0121】
項21.コンデンサー、バッテリーシステムにおける、電気分解における、あるいは燃料電池用の膜−電極ユニット(membrane-electrode unit)の製造のための、項20に記載の膜
の使用。
【0122】
項22.少なくとも1つの電極および項20に記載の少なくとも1つのプロトン伝導膜を含む、膜−電極ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスおよび/または液体の濾過および/または分離における、逆浸透における、あるいはプロトン伝導膜(proton-conducting membrane)の製造のための、
固有粘度として測定した分子量が少なくとも1.3dl/gであるポリアゾールに基づくポリマーであって、以下の工程:
A)1以上の芳香族テトラ−アミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これは、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含む)とを混合する工程、あるいは1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合する工程;
B)該混合物(これは、工程B)に従って得られ得る)を、不活性ガス下、350℃まで、好ましくは300℃までの温度へ加熱する工程;
C)工程B)に従って得られるマス(mass)の粉砕、および得られる粒子の分別工程;
D)300μm〜1000μmの粒子フラクションを、不活性ガス下、450℃まで、好ましくは400℃までの温度へ加熱し;そして冷却する工程、
からなる方法によって得ることができる、少なくとも1つのポリマーを含有するフィルムの使用。
【請求項2】
固有粘度として測定した分子量が少なくとも1.3dl/gであるポリアゾールに基づくポリマーであって、以下の工程:
A)1以上の芳香族テトラ−アミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これは、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含む)とを混合する工程、あるいは1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合する工程;
B)該混合物(これは、工程B)に従って得られ得る)を、不活性ガス下、350℃まで、好ましくは300℃までの温度へ加熱する工程;
C)工程B)に従って得られるマス(mass)の粉砕、および得られる粒子の分別工程;
D)300μm〜1000μmの粒子フラクションを、不活性ガス下、450℃まで、好ましくは400℃までの温度へ加熱し;そして冷却する工程、
からなる方法によって得ることができる、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのドープ剤を含む、プロトン伝導膜。
【請求項3】
コンデンサー、バッテリーシステムにおける、電気分解における、あるいは燃料電池用の膜−電極ユニット(membrane-electrode unit)の製造のための、請求項2に記載の膜の使用。
【請求項4】
少なくとも1つの電極および請求項2に記載の少なくとも1つのプロトン伝導膜を含む、膜−電極ユニット。

【公開番号】特開2007−146165(P2007−146165A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326048(P2006−326048)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【分割の表示】特願2004−559737(P2004−559737)の分割
【原出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(505118475)ペミアス ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】