説明

高分子量ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールからのスパンデックス

本発明は、約1900〜約4000ダルトンの高い数平均分子量を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含むポリウレタンウレア組成物を提供する。本発明はさらに、スパンデックス組成物におけるソフトセグメント・ベース材料としての高い数平均分子量ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用に関する。本発明はまた、約1900〜約4000ダルトンを有する、かかる高い数平均分子量のポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含む新規ポリウレタン組成物に、およびスパンデックスにおけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、そして数平均分子量が約1900ダルトン(Dalton)〜約4000ダルトンであるグリコールを含む新規ポリウレタンウレア組成物に関する。本発明はさらに、スパンデックス組成物におけるソフトセグメント・ベース材料としての、かかる高い数平均分子量を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用に関する。本発明はまた、かかる高い数平均分子量を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含む新規ポリウレタン組成物およびスパンデックス中でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラヒドロフランまたはテトラヒドロフラン(THF、オキソラン)のホモポリマーとしてもまた知られる、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールは、ポリウレタンウレア中のソフトセグメントでのそれらの使用についてよく知られている。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールは、ポリウレタンウレアエラストマーおよび繊維に優れた動的特性を与える。それらは非常に低いガラス転移温度を有するが、室温より上の結晶溶融温度を有する。このように、それらは周囲温度でワックス様固体であり、固化を防ぐために高温に保たれる必要がある。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの分子量が増加するにつれて、それらの溶融温度は高くなる。グリコールの融点は、スパンデックスを製造するために使用することができるポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの分子量を限定する。ソフトセグメントの融点が周囲温度より上に上がるにつれて、永久歪みは急速に増加し、そして収縮力は、ソフトセグメントの増加した結晶性のために低下する。それ故、ソフトセグメント材料として使用することができるポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの最大分子量は、スパンデックスの使用温度またはそれより僅かに上の融点をもたらす当該分子量に限定される。実際に、スパンデックスに有用なポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール分子量の上限は、約26〜30℃のグリコール融点に相当する、1800〜2000ダルトンである。
【0003】
環状エーテルとの共重合がポリテトラメチレンエーテル鎖の結晶性を低下させるために用いられてきた。これは、コポリエーテルグリコールのポリマー溶融温度を下げ、同時にソフトセグメントとしてかかる共重合体を含有するポリウレタンウレアのある種の動的特性を改善する。この目的のために使用されるコモノマーの中に、コモノマー含有率に依存して、共重合体溶融温度を周囲温度より下に下げることができる、エチレンオキシドがある。約15モルパーセントより上のエチレンエーテル含有率で、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは室温で適度に粘稠な液体である。エチレンエーテル含有率が15モルパーセントより上に増加するにつれて、融点はさらに低下する。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用はまた、幾つかの最終用途にとって望ましい、ポリウレタンウレアのある種の動的特性、例えばテナシティ、破断点伸び、および低温性能を改善するかもしれない。
【0004】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは当該技術で公知である。それらの製造は特許文献1および特許文献2に記載されている。かかる共重合体は、例えば、非特許文献1に記載されているものなどの、環状エーテル重合の公知方法のいずれかによって製造することができる。かかる重合法には、強プロトンまたはルイス(Lewis)酸、ヘテロポリ酸、およびパーフルオロスルホン酸または酸樹脂による触媒作用が含まれる。幾つかの場合には、特許文献3に記載されているように、カルボン酸無水物などの、重合促進剤を使用することが有利であるかもしれない。これらのケースでは、一次ポリマー生成物はジエステルであり、それは次に、所望の高分子グリコールを得るために次工程で加水分解される必要がある。
【0005】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、ある種の具体的な物理的特性の観点からポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールより利点を提供する。20モルパーセントより上のエチレンエーテル含有率で、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは室温で適度に粘稠な液体であり、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの融点より上の温度で同じ分子量のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールより低い粘度を有する。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールから製造されたポリウレタンまたはポリウレタンウレアのある種の物理的特性は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールから製造されたそれらのポリウレタンまたはポリウレタンウレアの特性を上回る。
【0006】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールをベースとするスパンデックスもまた当該技術で公知である。しかしながら、これらのほとんどは、共延長剤またはエチレンジアミン以外の延長剤を含有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)をベースとしている。ペッチホールド(Pechhold)らに付与された特許文献4は、スパンデックスおよび他のポリウレタンウレアを製造するための低い環状エーテル含有率のポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用を開示している。ペッチホールドは、30パーセントより上のエチレンエーテルレベルが好ましいことを教示している。ペッチホールドは、アミンの混合物が使用されてもよいことを開示しているが、共延長剤の使用を教示していない。
【0007】
アオシマ(Aoshima)らに付与された特許文献5は、ヘテロポリ酸触媒を使用するTHFと多価アルコールとの反応による幾つかのTHFコポリエーテルの製造を開示している。アオシマはまた、エチレンオキシドなどの、共重合可能な環状エーテルが重合プロセスでTHFと共に含まれてもよいことを開示している。アオシマは、コポリエーテルグリコールがスパンデックスを製造するために使用されてもよいことを開示しているが、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールからのスパンデックスの実施例を全く含有していない。
【0008】
アクセルルード(Axelrood)らに付与された特許文献6は、耐油性および良好な低温性能での使用のためのポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールからのポリエーテルウレタンウレアの製造を開示している。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、20〜60重量パーセント(29〜71モルパーセントに等しい)の範囲のエチレンエーテル含有率を有する。アクセルルードは、スパンデックスでのこれらのウレタンウレアの使用を開示していない。アクセルルードは、「この発明で最も有用な鎖延長剤は第一級および第二級ジアミンならびにそれらの混合物からなる群から選択されたジアミンである」ことを開示している。アクセルルードはさらに、「好ましいジアミンがジクロロベンジジンおよびメチレンビス(2−クロロアニリン)などの、ヒンダードジアミンである」ことを開示している。エチレンジアミンの使用は開示されていない。
【0009】
ニシカワ(Nishikawa)らに付与された特許文献7は、THF、エチレンオキシド、および/またはプロピレンオキシドのコポリエーテルを含有するポリオールと、ジイソシアネートと、ジアミンとから製造されたポリウレタンウレアおよび有機溶媒に溶媒和されたポリマーを含有する低温で良好な弾性を有する繊維を開示している。ニシカワは、これらの組成物が標準ホモポリマー・スパンデックスより改善された低温性能を有することを教示している。加えて、ニシカワは、実施例間に478ダルトン分子量差がある表IIIのデータを説明して、「コポリエーテルグリコール分子量のわずかな変動がポリウレタンウレア特性にほとんど影響を及ぼさないと考えられる」ことを教示している。
【0010】
本出願者らは、ソフトセグメント・ベース材料としての高い数平均分子量グリコール(すなわち、約1900ダルトン〜約4000ダルトン)のスパンデックスが、より低い数平均分子量エチレンエーテル含有ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールから製造されたスパンデックスより改善された物理的特性を与えることを観察した。本発明の高い数平均分子量グリコール含有スパンデックスは、より低い数平均分子量エチレンエーテルスパンデックスよりも低い永久歪み、ロードパワー、高いアンロードパワー、高い伸び、および高い丸編全延伸を実証する。それ故、幾つかの最終用途向けには、高分子量ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール含有スパンデックスが、より低い分子量ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール含有スパンデックスより好ましいであろう。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,139,567号明細書
【特許文献2】米国特許第4,153,786号明細書
【特許文献3】米国特許第4,163,115号明細書
【特許文献4】米国特許第4,224,432号明細書
【特許文献5】米国特許第4,658,065号明細書
【特許文献6】米国特許第3,425,999号明細書
【特許文献7】米国特許第6,639,041号明細書
【非特許文献1】P.ドレフュス(P.Dreyfuss)著、「ポリテトラヒドロフラン(Polytetrahydrofuran)」、ニューヨーク、Gordon & Breach社、1982年
【非特許文献2】S.シッギア(S.Siggia)著、「官能基による定量有機分析(Quantitative Organic Analysis via Functional Group)」、第3版、ニューヨーク、Wiley & Sons社、1963年、559−561ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、(b)少なくとも1種のジイソシアネートと、(c)約0〜約20モルパーセント共延長剤を有する少なくとも1種のジアミン鎖延長剤または少なくとも1種のジオール鎖延長剤と、(d)少なくとも1種の連鎖停止剤とのポリウレタンまたはポリウレタンウレア反応生成物を含むスパンデックスに関する。
【0013】
本発明はまた、(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを、少なくとも1種のジイソシアネートと接触させてキャップされたグリコールを形成する工程と、(b)任意選択的に(a)の生成物に溶媒を加える工程と、(c)(b)の生成物を少なくとも1種のジアミンまたはジオール鎖延長剤および少なくとも1種の連鎖停止剤と接触させる工程と、(d)(c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含む上記スパンデックスの製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、約37超〜約70モルパーセントのエチレンエーテル含有率の高分子量、すなわち、約1900ダルトン〜約4000ダルトンのポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、少なくとも1種のジイソシアネートと、0〜20モルパーセントの共延長剤を有するエチレンジアミン鎖延長剤と、ジエチルアミンなどの少なくとも1種の連鎖停止剤とから製造された新規スパンデックス組成物に関する。任意選択的に、他のジイソシアネート、他の鎖延長剤、および他の連鎖停止剤が使用されてもよい。本出願の目的のためには、高分子量ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)共重合体は、約1900ダルトン〜約4000ダルトンのものと定義される。
【0015】
本発明のセグメント化ポリウレタンまたはポリウレタンウレアは、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、任意選択的に、高分子グリコールと、少なくとも1種のジイソシアネートと、二官能性鎖延長剤とから製造される。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、スパンデックスを製造するのに使用されるポリウレタンまたはポリウレタンウレアの「ソフトセグメント」を形成するのに役に立つ。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールまたはグリコール混合物は先ず、少なくとも1種のジイソシアネートと反応させられてNCO−末端プレポリマー(「キャップされたグリコール」)を形成し、それは次に、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはN−メチルピロリドンなどの、好適な溶媒に溶解され、次に二官能性鎖延長剤と反応させられる。ポリウレタンは、鎖延長剤がジオールであるときに形成される。ポリウレタンウレア、ポリウレタンの亜類は、鎖延長剤がジアミンであるときに形成される。スパンデックスへ紡糸することができるポリウレタンウレアポリマーの製造で、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、ヒドロキシ末端基とジイソシアネートおよびジアミンとの順次反応によって延長される。各ケースで、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、粘度をはじめとする、必要な特性のポリマーを提供するために鎖延長を受けなければならない。必要ならば、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第1スズ、鉱酸、トリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジンなどの第三級アミンなど、および他の公知の触媒を、キャッピング工程を助けるために使用することができる。
【0016】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、パーフルオロスルホン酸樹脂触媒を使用してプルックマイヤー(Pruckmayr)に付与された特許文献1に開示されている方法によって製造することができる。あるいはまた、任意の他の酸性環状エーテル重合触媒、例えばヘテロポリ酸がこれらのポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを製造するために使用されてもよい。本発明の実施に有用なヘテロポリ酸およびそれらの塩は、例えば、アオシマらに付与された特許文献5に記載されているような環状エーテルの重合および共重合に使用されるそれらの触媒であることができる。これらの重合法は、無水酢酸などの、追加の促進剤の使用を含んでもよいし、または分子量を調整するための連鎖停止剤分子の使用を含んでもよい。
【0017】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、エチレンエーテル部分の百分率が約37超〜約70モルパーセント、例えば約48〜約58モルパーセントである、テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むことができる。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)中のエチレンエーテルの量が約37モルパーセントより上、例えば約40モルパーセント〜約70モルパーセントに維持される場合、スパンデックスの物理的特性、特にロードパワー、アンロードパワーおよび伸びは、同じまたは類似の分子量を有するより低いパーセントのエチレンエーテルスパンデックスより改善される。それ故、幾つかの最終用途向けには、高いエチレンエーテル含有率スパンデックスがより低いエチレンエーテル含有率スパンデックスより好ましいであろう。グリコール中に存在するエチレンオキシドに由来する単位の百分率は、グリコール中に存在するエチレンエーテル部分のパーセントに等しい。
【0018】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、約1900ダルトン〜約4000ダルトン、例えば約2150ダルトン〜約4000ダルトン、または例えば約2250ダルトン〜約4000ダルトン、または例えば約1900ダルトン〜約3000ダルトン、または例えば約2000ダルトン〜約3000ダルトンの平均分子量を有することができる。より高いポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール分子量は、伸びなどの、選択された物理的特性のために有利であり得る。
【0019】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、連鎖停止剤ジオール分子、特に非環化ジオールに由来する少量の単位を含むことができる。非環化ジオールは、反応条件下に容易に環化して環状エーテルを形成しないであろうジ−アルコールと定義される。これらの非環化ジオールには、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチンジオール、および水が含まれ得る。
【0020】
例えば3−メチルテトラヒドロフランなどの、少なくとも1つの追加成分、を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール、分子量調整剤として少量組み込まれた1,3−プロパンジオール、または他のジオールに由来するエーテルを任意選択的に含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールもまた、本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアを製造するのに使用することができ、用語「ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)またはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール」の意味に含められる。少なくとも1つの追加成分は高分子グリコールのコモノマーであってもよいし、またはそれはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールとブレンドされている別の材料であってもよい。少なくとも1つの追加成分は、それが本発明の有益な態様を損なわない程度まで存在してもよい。
【0021】
使用することができるジイソシアネートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−シアナトフェニル)メチル]ベンゼン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチル−ベンゼン、2,2’−トルエンジイソシアネート、2,4’−トルエンジイソシアネート、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。好ましいジイソシアネートは、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−シアナトフェニル)メチル]ベンゼン、およびそれらの混合物である。特に好ましいジイソシアネートは、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンである。
【0022】
ポリウレタンが望まれるとき、鎖延長剤はジオールである。使用されてもよいかかるジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ブタンジオール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。ジオール鎖延長剤は0〜約10モルパーセント共延長剤を有してもよい。
【0023】
ポリウレタンウレアが望まれるとき、鎖延長剤はジアミンである、使用されてもよいかかるジアミンの例には、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミン(1,2−ジアミノブタン)、1,3−ブタンジアミン(1,3−ジアミノブタン)、1,4−ブタンジアミン(1,4−ジアミノブタン)、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、4,4’−メチレン−ビス−シクロヘキシルアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、N−メチルアミノビス(3−プロピルアミン)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン−ジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン(1,3−ジアミノペンタン)、m−キシリレンジアミン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。延長剤としてのエチレンジアミンが好ましい。延長剤としてのエチレンジアミンは0〜10モルパーセント共延長剤を有してもよい。
【0024】
任意選択的に、連鎖停止剤、例えばジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン、またはブタノールなどの一官能性アルコール連鎖停止剤は、ポリマーの分子量を調整するために使用することができる。さらに、ペンタエリスリトールなどの高官能性アルコール「鎖分岐剤」、またはジエチレントリアミンなどの三官能性「鎖分岐剤」が溶液粘度を調整するために使用されてもよい。
【0025】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアは、この一般タイプのポリウレタンまたはポリウレタンウレアが用いられる任意の用途に使用されてもよいが、使用中に、高い伸び、低い弾性率、または良好な低温特性を必要とする物品を製造するのに特に有益である。それらは、スパンデックス、エラストマー、柔軟なおよび堅いフォーム、コーティング(溶剤および水をベースとするの両方)、分散系、フィルム、接着剤、および造形品を製造するのに特に有益である。
【0026】
本明細書で用いるところではそして特に明記しない限り、用語「スパンデックス」は、繊維形成物質が少なくとも85重量パーセントのセグメント化ポリウレタンまたはポリウレタンウレアからなる長鎖合成ポリマーである人造繊維を意味する。スパンデックスはまたエラスタンとも言われる。
【0027】
本発明のスパンデックスは、編および織ストレッチ布、ならびにかかる布を含む衣服または織物品を製造するために使用することができる。ストレッチ布例には、丸編、横編、および縦編布、ならびに平織、綾織、および繻子織布が挙げられる。用語「衣服」は、本明細書で用いるところでは、シャツ、パンツ、スカート、ジャケット、コート、作業シャツ、作業パンツ、制服、上着、スポーツウェア、水着、ブラ、ソックス、および下着などの衣料品を意味し、そしてまたベルト、手袋、ミトン、帽子、靴下、または履物などのアクセサリーも含む。用語「織物品」は、本明細書で用いるところでは、衣服などの、布を含む物品を意味し、そしてさらにシート、枕カバー、ベッドカバー、キルト、毛布、掛け布団、掛け布団カバー、寝袋、シャワーカーテン、カーテン、掛布、テーブルクロス、ナプキン、雑巾、ふきん、および室内装飾品または家具用の保護カバーのようなアイテムを含む。
【0028】
本発明のスパンデックスは、織布、横編布(フラットおよび丸編布をはじめとする)、縦編布、およびおむつなどの個人衛生アパレルに単独でまたは様々な他の繊維と組み合わせて使用することができる。本スパンデックスは、裸である、カバーされる、またはナイロン、ポリエステル、アセテート、綿などのようなコンパニオン繊維と絡ませられることができる。
【0029】
本発明のスパンデックスを含む布はまた、タンパク質繊維、セルロース系繊維、および合成ポリマー繊維、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの繊維を含んでもよい。本明細書で用いるところでは、「タンパク質繊維」は、羊毛、絹、モヘア、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、ビクーナ、ラクダ、および他の毛髪および毛皮繊維のような天然起源動物繊維をはじめとする、タンパク質からなる繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「セルロース系繊維」は、例えば綿、レーヨン、アセテート、リオセル、リンネル、ラミー、および他の植物性繊維をはじめとする、木または植物材料から製造される繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「合成ポリマー繊維」は、例えばポリエステル、ポリアミド、アクリル、スパンデックス、ポリオレフィン、およびアラミドをはじめとする、化学元素または化合物から構築されたポリマーから製造された人造繊維を意味する。
【0030】
有効量の様々な添加剤をまた、それらが本発明の有益な態様を損なわないという条件で、本発明のスパンデックスに使用することもできる。例には、二酸化チタンなどの艶消剤およびハイドロタルサイト、フンタイドとハイドロマグネサイトとの混合物、硫酸バリウム、ヒンダードフェノール、ならびに酸化亜鉛、染料および染色エンハンサー、抗菌剤、粘着防止剤、シリコーンオイル、ヒンダードアミン光安定剤、UV遮断剤などが挙げられる。
【0031】
本発明のスパンデックスまたはそれを含む布は、20℃〜130℃の温度で吸尽法によって水性染液からなど、慣習的な染色および印刷手順によって、スパンデックスを含む材料を染液でパッディングすることによって、またはスパンデックスを含む材料に染液をスプレーすることによって染色および印刷されてもよい。
【0032】
酸性染料を使用するときは従来法に従ってもよい。例えば、吸尽染色法で、布は、3〜9のpHを有する水性染浴へ導入することができ、それは次に、約10〜80分にわたっておおよそ20℃の温度から40〜130℃の範囲の温度まで着実に加熱される。染浴および布は次に、冷却する前に40〜130℃の範囲の温度に10〜60分間保持される。固定されていない染料は次に布からリンスされる。本スパンデックスのストレッチおよび回復特性は、110℃より上の温度での最小暴露時間によって最良に維持される。分散染料を使用するときは従来法にまた従ってもよい。
【0033】
本明細書で用いるところでは、用語「洗濯堅牢度」は、家庭または業務洗濯中の色の損失に対する染色布の耐性を意味する。洗濯堅牢度の欠如は、洗濯堅牢性ではない物品によって、色ブリードと時々言われる、色損失をもたらし得る。これは、洗濯堅牢性ではない物品と一緒に洗濯される物品に色変化をもたらし得る。消費者は一般に、布および糸が洗濯堅牢度を示すことを望む。洗濯堅牢度は、繊維組成物、布染色および仕上げ法、ならびに洗濯条件に関係する。改善された洗濯堅牢度を有するスパンデックスが今日のアパレルにとって望ましい。
【0034】
本スパンデックスの洗濯堅牢度特性は、慣習的な補助化学添加剤の使用によって支援され、さらに高められてもよい。陰イオン性シンタン(syntan)は、洗濯堅牢度特性を向上させるために使用されてもよく、そしてまた染料の最小限分配がスパンデックスとパートナー糸との間に必要とされるとき、緩染剤および遮断剤として使用することもできる。陰イオン性スルホン化オイルは、一様なレベルの染色が必要とされる場合に、アニオン染料に対してより強い親和力を有するスパンデックスまたはパートナー繊維から該染料を阻害するために使用される補助添加剤である。陽イオン性固定剤は、改善された洗濯堅牢度をサポートするために単独でまたは陰イオン性固定剤と組み合わせて使用することができる。
【0035】
スパンデックス繊維は、乾式紡糸または溶融紡糸などの繊維紡糸法によって、本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアポリマー溶液から形成することができる。ポリウレタンウレアは、スパンデックスが望まれるときに典型的には乾式紡糸または湿式紡糸される。乾式紡糸では、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液が紡糸口金オリフィスを通して紡糸チャンバー中へ計量供給されてフィラメントを形成する。典型的には、ポリウレタンウレアポリマーは、重合反応のために使用されたものと同じ溶媒からフィラメントへ乾式紡糸される。ガスがチャンバーを通過して溶媒を蒸発させてフィラメントを固化させる。フィラメントは、少なくとも毎分550メートルの巻取速度で乾式紡糸される。本発明のスパンデックスは好ましくは、毎分800メートルを上回る速度で紡糸される。本明細書で用いるところでは、用語「紡糸速度」は、伝動ロール速度によって測定され、そしてそれと同じものである巻取速度を意味する。スパンデックスフィラメントの良好な紡糸性は、紡糸セルでのおよび巻取でのめったに起こらないフィラメント切れによって特徴づけられる。スパンデックスは、単一フィラメントとして紡糸することができるし、または従来技法によってマルチフィラメント糸へ合体させることができる。各フィラメントは、フィラメント当たり6〜25デシテックスの範囲の、織物デシテックス(dtex)のものである。
【0036】
スパンデックス組成物の紡糸速度を上げると、より低い速度で紡糸された同じスパンデックスと比べてその伸びを減少させ、そしてそのロードパワーを上げることは当業者に周知である。それ故、丸編および他のスパンデックス加工操作でその延伸性を高めるためにスパンデックスの伸びを増加させ、そしてそのロードパワーを下げるために紡糸速度を遅くすることは一般的な方法である。しかしながら、紡糸速度を下げると、製造生産性を低下させる。
【0037】
以下の実施例は、本発明およびその使用可能性を実証する。本発明は、他のおよび異なる実施形態であることができるし、その幾つかの詳細は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な明らかな点で修正することができる。従って、実施例は、事実上例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0038】
本明細書で用いるところではそして特に明記しない限り、用語「DMAc」はジメチルアセトアミド溶媒を意味し、用語「%NCO」は、キャップされたグリコール中のイソシアネート末端基の重量パーセントを意味し、用語「MPMD」は2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを意味し、用語「EDA」は1,2−エチレンジアミンを意味し、用語「PTMEG」はポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを意味する。
【0039】
本明細書で用いるところでは、用語「キャッピング比」は、基準がグリコールの1.0モルと定義される状態で、グリコールに対するジイソシアネートのモル比と定義される。それ故、キャッピング比は典型的には、一つの数字、グリコールの1モル当たりのジイソシアネートのモルとして報告される。本発明のポリウレタンウレアについては、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールに対するジイソシアネートの好ましいモル比は約1.2〜約2.3である。本発明のポリウレタンについては、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールに対するジイソシアネートの好ましいモル比は約2.3〜約17、好ましくは約2.9〜約5.6である。
【0040】
(原材料)
THFおよびPTMEG(テラセイン(TERATHANE)(登録商標)1800)は、米国デラウェア州ウィルミントンのインビスタ有限責任会社(Invista S.a r.l.,Wilmington,Delaware,USA)から入手可能である。ナフィオン(NAFION)(登録商標)パーフッ素化スルホン酸樹脂は、米国デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware,USA)から入手可能である。
【0041】
(分析方法)
テナシティは、第6ストレッチングサイクルにおける破断点応力、言い換えると、究極伸びでの破壊に対する繊維の抵抗性である。ロードパワーは、第1ストレッチングサイクルにおける規定伸びにおける応力、または言い換えると、より高い伸びにストレッチされることに対する繊維の抵抗性である。アンロードパワーは、第5収縮サイクルにおける規定伸びにおける応力、または言い換えると、300パーセント伸びに5回サイクルされた後で所与の伸びにおける繊維の収縮力である。
【0042】
パーセント・イソシアネート−キャップされたグリコールのパーセント・イソシアネート(%NCO)は、電位差滴定法を用いる非特許文献2の方法に従って測定した。本発明のポリウレタンについて。
【0043】
エチレンエーテル含有率−ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中のエチレンエーテル含有率のレベルは、1H NMR測定から求めた。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのサンプルを、CDCl3などの好適なNMR溶媒に溶解させ、1H NMRスペクトルを得た。3.7〜3.2ppmの組み合わせた−OCH2ピークの積分を、1.8〜1.35ppmからの組み合わせた−C−CH2CH2−C−ピークの積分と比較した。−OCH2−ピークは、EO−ベース結合(−O−CH2CH2−O−)およびTHF−ベース結合(−O−CH2CH2CH2CH2−O−)の両方に由来するが、−C−CH2CH2−C−結合はTHFのみに由来する。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中のエチレンエーテル結合のモル分率を見いだすために、−C−CH2CH2−C−ピークの積分を、組み合わせた−OCH2−ピークの積分から差し引き、次に当該結果を−OCH2−ピークの積で割った。
【0044】
数平均分子量−ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの数平均分子量は、ヒドロキシル価法によって測定した。
【0045】
ヒートセット効率−ヒートセット効率を測定するために、糸サンプルを10cm型枠に取り付け、1.5倍ストレッチした。型枠(サンプル付き)を、190℃に予熱したオーブン中に120秒間水平に置いた。サンプルを緩和させ、そして型枠を室温に放冷した。サンプル(依然として型枠上のそして緩和した)を次に沸騰する脱塩水中に30分間浸漬した。型枠およびサンプルを浴から取り出し、乾燥させた。糸サンプルの長さを測定し、ヒートセット効率(HSE、百分率として)を次式に従って計算した:
%HSE=(ヒートセット長さ−元の長さ)/(ストレッチした長さ−元の長さ)×100
【0046】
175℃で少なくとも約85%のスパンデックス・ヒートセット効率がスパンデックスおよび綿または羊毛を含有する布での使用のために必要とされる。類似のヒートセット効率は、ナイロンなどの硬い繊維との使用のために190℃で達成することができる。
【0047】
テナシティおよび弾性特性−スパンデックスのテナシティおよび弾性特性は、ASTM(米国材料試験協会)D2731−72の一般方法に従って測定した。インストロン(Instron)引張試験機を用いて引張特性を測定した。3つのフィラメント、2インチ(5cm)ゲージ長さおよびゼロ−300%伸びサイクルを、コントロールされた環境中おおよそ70°Fおよび65%相対湿度(±2%)での24時間のエージング後に、巻取からの「そのままで」、すなわち、スカーリングまたは他の処理なしに、測定のそれぞれについて使用した。サンプルを、毎分50cmの一定の伸び速度で5回サイクルさせ、次に第5伸長の後に300%伸長で30秒間保持した。第5ストレッチの後直ちに、300%伸びでの応力を「G1」として記録した。繊維を300%伸長で30秒間保持した後、生じた応力を「G2」として記録した。応力緩和は、次式を用いて求めた:
応力緩和(%)=100×(G1−G2)/G1
応力緩和はまた、応力減衰(表VでDec%と略記される)とも言われる。
【0048】
ロードパワー、最初の伸長中のスパンデックスへの応力は、第1サイクルで、100%、200%、または300%伸長で測定し、デニール当たりのグラム単位で表に報告し、「LP」と示し、例えば、LP200は、200%伸長でのロードパワーを示す。アンロードパワー、第5のアンロードサイクルでの100%または200%の伸長での応力もまた、デニール当たりのグラム単位で報告し、それは「UP」と示す。パーセント破断点伸び(「Elo」)およびテナシティ(「ten」)は、滑りの減少のためにゴムテープを取り付けた改良インストロン・グリップを用いて第6伸長サイクルで測定した。
【0049】
パーセント永久歪み−特に明記しない限り、パーセン永久歪みはまた、5回の0〜300%伸び/緩和サイクルにかけたサンプルに関して測定した。パーセント永久歪み(「%SET」)は、
%SET=100(Lf−Lo)/Lo
(式中、LoおよびLfは、それぞれ、5回の伸び/緩和サイクル前後の、張力なしで真っ直ぐに保持されたときの、フィラメント(糸)長さである)
の通り計算した。
【0050】
丸編(CK)延伸−ニッティングで、スパンデックスは、それが供給パッケージから親板へ、そして順繰りに編目に配送されるときに、編目使用速度とスパンデックス供給パッケージからのフィード速度との間の差のためにストレッチする(延伸する)。スパンデックス供給速度に対する硬い糸供給速度(メートル/分)の比は普通2.5〜4倍(2.5〜4倍)より大きく、機械延伸「MD」として知られる。これは、150%〜300%、またはそれ以上のスパンデックス伸びに相当する。本明細書で用いるところでは、用語「硬い糸」は、ポリエステル、綿、ナイロン、レーヨン、アセテート、または羊毛などの、比較的非弾性の糸を意味する。
【0051】
スパンデックス糸の全延伸は、機械延伸(MD)と、スパンデックス糸が供給パッケージで既にストレッチしている量であるパッケージ延伸(PD)との積である。所与のデニール(またはデシテックス)について、布中のスパンデックス含有率は全延伸に反比例し、全延伸が高ければ高いほど、スパンデックス含有率は低い。PRは、「パーセント・パッケージ緩和(Percent Package Relaxation)」と呼ばれる測定特性であり、100×(パッケージでの糸の長さ−緩和糸の長さ)/(パッケージでの糸の長さ)と定義される。PRは典型的には、丸編、弾性、シングルジャージ布に使用されるスパンデックスについては5〜15と測定される。測定されたPRを用いると、パッケージ延伸(PD)は1/(1−PR/100)と定義される。それ故、全延伸(TD)はまた、MD/(1−PR/100)として計算されてもよい。4×機械延伸および5%PRの糸は4.21×の全延伸を有するであろうが、4×機械延伸および15%PRの糸は4.71×の全延伸を有するであろう。
【0052】
経済的な理由で、丸編機はしばしば、適正な布特性および一様性と合致する最小スパンデックス含有率を使用しようと試みるであろう。上で説明されたように、スパンデックス延伸を上げることは含有率を下げるための一方法である。延伸を制限する主要因はパーセント破断伸びであり、だから高いパーセント破断伸びの糸が最も重要な要因である。破断点テナシティ、摩擦、糸粘着性、デニール一様性、および糸中の欠陥などの、他の要因が実際の達成可能な延伸を減らし得る。編機は、延伸を究極延伸(測定されるパーセント破断点伸び)から減らすことによってこれらの制限要因に安全率を提供するであろう。それらは典型的には、ニッティング切断が編機の1,000回転当たり5切断などの、受け入れられないレベルに達するまで延伸を増やし、次に受け入れられる性能が回復するまで後退することによってこの「持続可能な延伸」を決定する。
【0053】
編針での張力もまた延伸についての制限要因であり得る。スパンデックス糸でのフィード張力は、スパンデックス糸の全延伸に直接関係する。それもまた、スパンデックス糸の固有弾性率(ロードパワー)の関数である。高延伸でのニッティングで受け入れられるほどに低い張力を維持するために、スパンデックスが低い弾性率(ロードパワー)を有することは有利である。
【0054】
高い延伸性のための理想的な糸は、それ故、高いパーセント破断伸び、低い弾性率(ロードパワー)、および十分に高いテナシティ、低い摩擦および粘着、一様なデニール、ならびに低レベルの欠陥を有する。
【0055】
その応力−歪み特性のために、スパンデックス糸は、スパンデックスに加えられる張力が増加するにつれてより延伸し(ドローし)、逆に、スパンデックスが延伸されることが多ければ多いほど、糸の張力は高くなる。丸編機での典型的なスパンデックス糸バスは次の通りである。スパンデックス糸は、供給パッケージから、切断端検出器を越えてまたは通って、1つまたは複数の方向変更ロールを越えて、そして次にスパンデックスを編針におよび編目へと導く親板へ計量供給される。スパンデックス糸が供給パッケージから、そして各デバイスまたはローラーを越えて通るにつれて、スパンデックスに触れる各デバイスまたはローラーによって与えられる摩擦力のために、スパンデックス糸に張力の蓄積がある。編目でのスパンデックスの全延伸はそれ故、スパンデックス・パスの全体にわたる張力の合計に関係する。
【0056】
スパンデックス中の残留DMAc−スパンデックス・サンプル中に残るパーセントDMAcは、デュラテック(Duratech)DMAc分析器を用いることによって測定した。既知量のパークレンを使用してDMAcを既知重量のスパンデックスから抽出した。パークレン中のDMAcの量を次に、DMAcのUV吸収を測定し、当該値を検量線と比較することによって定量した。
【0057】
熱湿クリープ−熱湿クリープ(HWC)は、糸の元の長さ、L0を測定し、それをその元の長さの1.5倍(1.5L0)にストレッチし、それをそのストレッチ状態で、97〜100℃の範囲の温度に維持された水浴に30分間浸漬し、それを浴から取り出し、張力を解除し、そして最終長さLfを測定する前にサンプルを室温で60分間緩和させることによって求めた。パーセント熱湿クリープは、次式から計算する:
%HWC=100×[(Lf−L0)/L0
【0058】
低い%HWCの繊維は、染色などの、熱湿仕上げ操作で優れた性能を与える。
【0059】
固有粘度(IV)−ポリウレタンおよびポリウレタンウレアの固有粘度は、ASTM D2515に従って標準カノン−フェンスケ(Cannon−Fenske)粘度計管で、25℃でのDMAcのそれとDMAc中ポリマーの希薄溶液の粘度を比較すること(「相対粘度」法)によって求め、dl/gとして報告する。
【0060】
洗濯堅牢度−洗濯堅牢度を測定するために、低−中温での5回の典型的な家庭または業務用洗濯をシミュレートすることを意図される、標準洗濯汚れ試験(米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)試験方法61−1996、「家庭および業務用洗濯に対する色堅牢度:促進、2Aバージョン(“Colorfastness to Laundering,Home and Commercial:Accelerated”;2A version)」を染色した100%スパンデックス布片に与えた。試験を、アセテート、綿、ナイロン6,6、ポリエステル、アクリル、および羊毛布のバンドを含有する多繊維試験布の存在下に行い、汚れの程度を目視により格付けした。格付けで、1および2は不満足であり、3はかなりであり、4は良好であり、5は優れている。この尺度で、1の値は最悪の汚れを示し、5の値は汚れなしを示す。色合い変化結果もまた、同じ尺度を用いて測定した。5は変化なしを意味し、1は最大の変化を意味する。
【0061】
スパンデックス布での色保持の程度はまた、オプチビュー品質管理バージョン(Optiview Quality Control Version)4.0.3ソフトウェアを用いるカラー−アイ7000グレターグマクベスTM(Color−Eye 7000 GretagMacbethTM)色彩計スペクトル分析計を用いることによって定量的に測定した。結果をCIELAB単位で報告する。主光源はD65であった。色合い変化結果は、洗濯前の布実施例の色を4回洗濯後の同じ布実施例の色と比較することによって測定した。
【実施例】
【0062】
(実施例)
ランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールサンプルは、THF、エチレンオキシド、および水の溶液を57〜72℃に保持された連続撹拌タンク反応器中でナフィオン(登録商標)樹脂触媒と接触させ、引き続き未反応のTHFおよびエチレンオキシドを留去し、存在するいかなる触媒細粒も除去するために濾過し、次に環状エーテル副生成物を留去することによって製造した。37モルパーセントのエチレンエーテル単位の、1885の数平均分子量を有するランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、三洋化成工業株式会社から購入した。
【0063】
各サンプルについて、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンと接触させてキャップされた(イソシアネート−末端)グリコールを形成し、それを次にDMAcに溶解させ、エチレンジアミンで鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止してポリウレタンウレア紡糸液を形成した。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が、総溶液重量を基準として、その中に30〜38重量パーセントのポリウレタンウレアを有するようにであった。酸化防止剤、顔料、およびシリコーン紡糸助剤を組成物の全てに添加した。紡糸液を、乾燥窒素が提供される塔へ乾式紡糸し、フィラメントを合体させ、ゴデットロールの周りを通し、そして840〜1280m/分で巻き取った。フィラメントは良好な紡糸性を与えた。全ての実施例糸は、特に明記しない限り40デニール(44デシテックス)であり、4つのフィラメントを含有した。全てのスパンデックス繊維サンプルは、糸のすべてをほぼ同じ残留溶媒レベルまで乾燥させる条件下に紡糸した。
【0064】
(実施例1〜15(高分子量エチレンエーテル含有スパンデックス))
表1〜4に示すエチレンエーテル単位のモル百分率および数平均分子量のランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンで100ppmの鉱酸を触媒として使用して90℃で120分間キャップして表に示すグリコールに対するジイソシアネートのモル比(キャッピング比)のプレポリマーを与えた。キャップされたグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、EDAで鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止してスパンデックスポリマー溶液を与えた。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が、特に記載しない限り総溶液重量を基準として、その中に30〜38重量パーセントのポリウレタンウレアを有するようにであった。紡糸液を、乾燥窒素が提供される塔へ乾式紡糸し、合体させ、ゴデットロールの周りを通し、そしてリストする速度で巻き取った。紡糸セル温度および吸引ガス流量を、0.1〜0.7パーセントの残留溶媒レベルをもたらすように調節した。フィラメントは良好な紡糸性を実証した。繊維特性を表に提示する。
【0065】
(比較例「1〜5」(より低い分子量エチレンエーテル含有スパンデックス))
37モルパーセントのエチレンエーテル単位および1885の数平均分子量のランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンで100ppmの均一鉱酸を触媒として使用して90℃で120分間キャップして2.2%NCOプレポリマーを与えた。グリコールに対するジイソシアネートのモル比は1.61であった。このキャップされたグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、EDAで鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止してスパンデックスポリマー溶液を与えた。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が、総溶液重量を基準として、その中に36重量%ポリウレタンウレアを有するようにであった。紡糸液を、乾燥窒素が提供される塔へ乾式紡糸し、合体させ、ゴデットロールの周りを通し、そしてリストする速度で巻き取った。フィラメントは良好な紡糸性を実証した。繊維特性を表1および2に提示する。
【0066】
【表1】

【0067】
表1のデータの検討は、分子量が1885から2500ダルトンに増加するとき本発明のスパンデックスが全延伸値に反映されるようにより高い丸編全延伸性を有することを明らかにする。本発明の実施例の丸編全延伸は、同じ巻取速度でまたはさらにより高い速度で紡糸されたときに比較例のそれらより高い。
【0068】
【表2】

【0069】
表2のデータの検討は、分子量が1885から2500ダルトンに増加するとき本発明のスパンデックスが各巻取速度で、100%、200%、および300%伸びで望ましいより低いロードパワーを有することを明らかにする。本発明のスパンデックスはまた、各紡糸速度で望ましいより高い伸びおよびより低い永久歪みを有する。
【0070】
【表3】

【0071】
実施例8および9、ならびに10および11、同じエチレンエーテル含有率を有するスパンデックス繊維のペアについての表3のデータの検討は、分子量が増加するとき、100%、200%、および300%伸びでのロードパワーが望ましくも低下することを示す。破断点伸びもまた増加し、永久歪みは、永久歪みが僅かにより高い実施例11を除いては低下する。これはおそらくより高いキャッピング比のためであり、サンプルについての永久歪み測定誤差がおおよそ±2.0であるので、同じかまたはより低いものかである可能性がある。
【0072】
【表4】

【0073】
各ペアが同じエチレンエーテル含有率を有するが、表3の実施例より高い巻取速度で紡糸された実施例12および13、ならびに14および15についての表4におけるデータの試験は、分子量が増加するとき、100%、200%、および300%伸びでのロードパワーが望ましくも低下することを示す。破断点伸びもまた増加し、永久歪みは、永久歪みが僅かにより高い実施例15を除いては低下する。これはおそらくより高いキャッピング比のためであり、サンプルについての永久歪み測定誤差がおおよそ±2.0であるので、同じかまたはより低いものかである可能性がある。
【0074】
洗濯堅牢度試験のために、布サンプルを、ローソン編み装置(Lawson Knitting Unit)(ローソン−ヘンフィル・カンパニー(Lawson−Hemphill Company))、モデル「FAK」で丸編チューブの形態で製造した。1フィードの40デニール・スパンデックスを編んで100%スパンデックス布を形成した。ローソンチューブサンプルを、従来手順に従って1つの酸性染料(ナイランスレン・ブルー(Nylanthrene blue)GLF)ならびに2つの分散染料(イントラシル・レッド(Intrasil Red)FTSおよびテラシル・ブルー(Terasil Blue)GLF)で染色した。
【0075】
スパンデックス布についての洗濯堅牢度結果を表5、6、および7に与える。スパンデックス布についての色合い変化結果を表8に与える。スパンデックス布についての色読みを表9に与える。
【0076】
(実施例16)
49モルパーセントのエチレンエーテル単位および2045数平均分子量のランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンで100ppmの鉱酸を触媒として使用して90℃で120分間キャップした。グリコールに対するジイソシアネートのモル比は1.64であった。このキャップされたグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、EDAで鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止してスパンデックスポリマー溶液を与えた。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が、総溶液重量を基準として、その中に38重量%ポリウレタンウレアを有するようにであった。紡糸液を、440℃乾燥窒素が提供される塔へ乾式紡糸し、合体させ、ゴデットロールの周りを通し、そして869m/分で巻き取った。フィラメントは良好な紡糸性を与えた。スパンデックスは0.62g/デニール(g/den)のテナシティおよび580%の伸びを有した。
【0077】
(比較例6)
ポリウレタンウレアポリマーをテラセイン(登録商標)1800を使用して製造した。該グリコールを1:1.69のキャッピング比で1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)−メチル]ベンゼンでキャップした。キャップされたグリコールを、生じたポリマー溶液が35%固形分であるような割合で、DMAcで希釈し、次に、EDAと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとの鎖延長混合物(90/10モル比)および連鎖停止剤としてのジエチルアミンを含有するDMAc溶液と接触させた。40デニール、3フィラメント・スパンデックス糸を、毎分844メートルでポリマー溶液から紡糸した。スパンデックスは1.11g/デニールのテナシティおよび470%の伸びを有した。
【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
結果は、酸性染料(ナイランスレン・ブルーGLF)で染色したスパンデックス布について、1回洗濯後に実施例1のスパンデックスを含む布が比較例6のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックス布と比較したときに入り交じった結果を与え、幾つかの洗濯堅牢度結果は比較例6より悪く、幾つかはより良好であり、そして幾つかは同じ結果であったことを示す。しかしながら、1回洗濯後に実施例16のスパンデックス[49モルパーセントのエチレンエーテル単位を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含むスパンデックス]を含む布は、アセテート試験ストリップのケースを除いて、比較例6に等しいまたはそれより良好な洗濯堅牢度結果を示した。4回洗濯後に、実施例1のスパンデックス[38モルパーセントのエチレンエーテル単位を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含むスパンデックス]を含む布は、アセテートおよびナイロン試験ストリップを除いて比較例6と同じ結果を与えた。実施例16のスパンデックスを含む布は、アセテート試験ストリップを除いて、比較例6スパンデックス布と同じ性能を与えた。
【0084】
結果は、分散染料イントラシル・レッドで染色したスパンデックス布について、1回洗濯後に両ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール−ベースの布がポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースの比較例6と比較したときに全てのケースでより良好な性能を示したことを示す。4回洗濯後に、実施例16の布は、比較例6が僅かにより少ない汚れを示したポリエステル試験ストリップのケースを除いて、比較例6と同じ結果を与えた。4回洗濯後に、実施例1の布は、アクリル試験ストリップのケースでは比較例6(および実施例16)と同じ結果を示したが、他のケースでは比較例6(および実施例16)より不満足な性能を与えた。
【0085】
結果は、分散染料テラシル・ブルーで染色したスパンデックス布について、1回洗濯後に実施例16の布は比較例6と同じまたはそれより良好な結果を与えたことを示す。1回洗濯後に、実施例1の布はまた、綿試験ストリップのケースを除き、比較例6と同じまたはそれより良好な結果を与えた。4回洗濯後に、アセテート試験ストリップを除いて、実施例16の布は、比較例6が与えたのと同じ(綿、ポリエステル、およびアクリルのケースで)またはそれより良好な(ナイロンおよび羊毛のケースで)結果を与えた。4回洗濯後に、実施例1の布はまた、比較例6が与えたのと同じ(アセテート、綿、ポリエステル、アクリル、および羊毛のケースで)またはそれより良好な(ナイロンのケースで)結果を与えた。
【0086】
4回洗濯後の色合い変化結果は、分散染料で、実施例が比較例6と同じまたはそれより少ない色合い変化(すなわち、より高い値)を示すことを示す。
【0087】
(実施例17〜21)
49モルパーセントのエチレンエーテル単位および2443数平均分子量のランダム・ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンで100ppmの均一鉱酸を触媒として使用して90℃で120分間キャップして3.5%NCOプレポリマーを与えた。グリコールに対するジイソシアネートのモル比は2.26であった。このキャップされたグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、BDO(1,4−ブタンジオール)で鎖延長してスパンデックスポリマー溶液を与えた。分子量および他の特性を調整するために調合物中に連鎖停止剤を加えることはまた可能であり、スパンデックス技術では一般的である。連鎖停止剤は、ポリウレタンがより可溶性である、かつ、ハードセグメントがポリマーの見かけの分子量を増加させることに結びつくより少ない性向を有する傾向があるから、ポリウレタン調合物にとってそれほど必要性がない。この上記一般手順を修正し、そして用いて実施例18、19、20および21を作り出した。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が、総溶液重量を基準として、その中に35重量%ポリウレタンを有するようにであった。紡糸液を、乾燥窒素が提供される塔へ乾式紡糸し、フィラメントを合体させ、ゴデットロールの周りを通し、そしてリストする速度で巻き取った。フィラメントは良好な紡糸性を与えた。紡糸速度は毎分870メートルであった。実施例17の繊維特性を表10に提示する。実施例17〜21の追加の特性を表11に提示する。
【0088】
【表10】

【0089】
ポリウレタンフィルムを、次の手順に従ってキャストした:
溶液キャストフィルム−ポリマー溶液を、平面に固定したマイラー(Mylar)(登録商標)フィルム上に置き、0.005〜0.015インチ・フィルムを、フィルムナイフを使ってキャストした。ポリウレタンフィルムでコートしたマイラー(登録商標)フィルムを次に平面から取り外し、フィルム乾燥ボックスに入れ、そこでそれを窒素流れ下に20〜25℃で最低16〜18時間乾燥させた。
【0090】
溶融圧縮フィルム−ポリウレタンポリマーを、熱および窒素流れ下にポリマーからDMAc溶媒を蒸発させることによってポリウレタン溶液から得た。固体ポリウレタンポリマーを次に2つのマイラー(登録商標)シートの間に入れた。間にポリウレタン入りのマイラー(登録商標)シートを、カーバー(Carver)(登録商標)液圧プレス(Hydraulic Press)の2つの加熱された圧盤の間に置いた。圧盤を1実験では350℃±25℃に加熱し、別実験では250℃±25℃に加熱した。圧盤が相互に平方インチ当たり5000ポンドの力を発揮するまで、液圧プレスを用いて圧盤をくっつけた。力/圧力は、ポリウレタンが溶融するにつれて平方インチ当たり2000ポンドに急落した。約30秒後に、圧力を解除し、マイラー(登録商標)シートを圧盤の間から取り出し、室温に放冷した。マイラー(登録商標)シートを取り外して厚さ0.64mmの薄い無色透明ポリウレタンフィルムを残した。
【0091】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分が前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセント、好ましくは約37超〜約58モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトン、好ましくは約1900ダルトン〜約3000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1種のジイソシアネートと、
(c)エチレンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチルアミノビス(3−プロピルアミン)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン−ジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジアミノペンタン、m−キシリレンジアミン、ヒドラジン、およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種のジアミン鎖延長剤と
の反応生成物を含むことを特徴とするポリウレタンウレア。
【請求項2】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分が前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1種のジイソシアネートと、
(c)約0〜約20モルパーセントの共延長剤を有する鎖延長剤としてのエチレンジアミンと
の反応生成物を含むことを特徴とするポリウレタンウレア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポリウレタンウレア反応生成物を含むことを特徴とするスパンデックス。
【請求項4】
前記ポリウレタンウレアが、約1.2〜約2.3のポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールに対するジイソシアネートのモル比を有することを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項5】
ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項6】
第1伸びサイクルでデニール当たり約0.11〜約0.24グラムの300%伸びにおけるロードパワーを有することを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項7】
第5伸びサイクルでデニール当たり約0.027〜約0.043グラムの200%伸びにおけるアンロードパワーを有することを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項8】
第1伸びサイクルでデニール当たり約0.075〜約0.165グラムの200%伸びにおけるロードパワーを有することを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項9】
スパンデックスが、毎分約800メートルを上回る速度で紡糸されることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のスパンデックス。
【請求項10】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分が前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1種のジイソシアネートと、
(c)約0〜約20モルパーセントの共延長剤を有する少なくとも1種のジオール鎖延長剤と
の反応生成物を含むことを特徴とするポリウレタン。
【請求項11】
請求項10に記載のポリウレタン反応生成物を含むことを特徴とするスパンデックス。
【請求項12】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導された構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドに由来する単位の部分が前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37超〜約70モルパーセントで存在し、前記グリコールの数平均分子量が約1900ダルトン〜約4000ダルトンであるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを、少なくとも1種のジイソシアネートと接触させてキャップされたグリコールを形成する工程と、
(b)任意選択的に(a)の生成物に溶媒を加える工程と、
(c)(b)の生成物を少なくとも1種のジアミンまたはジオール鎖延長剤と接触させる工程と、
(d)(c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含むことを特徴とするスパンデックスの製造方法。
【請求項13】
スパンデックスを形成するための紡糸が乾式紡糸であり、前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが約1900ダルトン〜約3000ダルトンの分子量を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項3または請求項11に記載のスパンデックスを含むことを特徴とする布。
【請求項15】
請求項14に記載の布を含むことを特徴とする衣服または織物品。
【請求項16】
請求項1または請求項2に記載のポリウレタンウレアを含むことを特徴とする分散系、コーティング、フィルム、接着剤、エラストマー、または造形品。
【請求項17】
請求項10に記載のポリウレタンを含むことを特徴とする分散系、コーティング、フィルム、接着剤、エラストマー、または造形品。

【公表番号】特表2009−516770(P2009−516770A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542295(P2008−542295)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017724
【国際公開番号】WO2007/061446
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】