説明

高分解能断面表示/コードを有する押し出しフィラメント、当該フィラメントによって形成された微視的なタグシステム及び当該タグシステムを偽造防止及び生産品認証のために使用する方法

フィラメントの横方向に切断された部分が高分解能のタグ材として機能するのを可能にする断面形状を有している押し出されたフィラメントが提供されている。当該押し出されたフィラメントは、当該フィラメントの長手軸線(押し出し軸線)の方向に沿って含まれている多数の押し出されたストランド部分を有しており、当該多数の押し出されたストランドは、組成、外観又はフォレンジック作用に関して同じか又は互いに異なっていても良く、当該ストランド部分は、当該フィラメントの断面部分内に多数の画素状部分を提供し、当該多数の画素状部分は、ひとまとめにされたときに、少なくとも1つの予め選択された程度の識別性を有しており、それによって、前記タグ材は、前記少なくとも1つの識別程度に基づいて区別し又は識別することができるようになされている。当該フィラメントによって形成された切断されたファイバ又は微粒子は、製品に関連して使用されるときに製品を認証するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、機密保護コード識別機構、生産品供給元識別装置及び/又は情報記憶のための微視的タグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な偽造によるコストは年々増加しつつあり且つ年間の世界的基準では1兆3千億ドルを超えると見込まれている。特に、偽造を受け易い消費者領域の例としては、服飾品、OEM部品(自動車又は航空宇宙関連分野)、電子機器、通信機器、おもちゃ、海洋製品、医療機器及び医薬品、包装技術、機密及び財務書類がある。例えば、医薬品の10%以下が偽造であると推定される。
【0003】
偽造の増加は、例えば、資本の世界的な広がり、侵入し易い流通ルートの存在、減退する又は効率の悪い知的財産の実施、違法な貿易の成長及び流通ルートに入ったときに生産品(本物か偽物)を識別する有効な手段の欠如の結果として起こる。このような偽物の増加は、税収入の損失、ブランド価値の喪失及び一般購入者及び/又はユーザーが偽物を掴まされる危険性の高い可能性をもたらす。このことはまた、種々の政府機関及び貿易機関に代わる大きな努力及び費用をも必要として来た。
【0004】
従って、このような製品が、他の技術的方法と互換性があり且つ犯罪要素に先を越す実証済みの技術移行経路を含み、認証の容易性を提供する技術を使用し、複製することが難しい技術を使用し、現存のプロセスに対して継ぎ目のない一体化を可能にする認証手段の使用によって認証することができる方法を提供することは望ましい。このような技術の使用は、製品管理、ブランド保護及び達成されるべきリスクの低減を提供する。
【0005】
流通ルートを通して製品の完全性を確保することができ、対象製品(製品上又は製品と一緒に使用される包装又は製品を保持する容器)の外部において使用することができ、又は(適当な場合には)対象製品内に一体化された認証タグ手段を設けることも望ましい。当該タグ手段は、対象製品の外観、性能又は用途に不利な印象を与えることなく使用できることが更に望ましい。
【0006】
例えばタグ手段が医薬品が本物であることを証明するために使用されるときには、タグ手段が医薬品のための“タグ”包装に使用できること及び/又は医薬製品自体にタグを付けるために使用できて、製品又は包装の証明が容易に検証できるようにすることが望ましい。従って、タグが製造データ、供給元の会社の識別子、ロット番号、製品名等のような埋め込まれた情報を含むことが望ましい。
【0007】
更に、農産品/食品の安全性が最近は問題となって来ており、付加的にこのような製品の供給元を判定する機能を付加している。例えば、動物消費者又は人間消費者に拘わらず、このような製品の消費者に害を及ぼす汚染された製品が販売された場合には、農産品又は食品の供給元(生産国、特定農場又は生育場所)を検証できることは重要である。このような生産品の生産者及び/又は流通業者が潜在する信頼性を確認し且つ/又は一般利用者が汚染された生産品を更に使用し又は接触するのを制限するために、汚染された生産品の販売又は生産の停止をさせるためのステップを設けることもまた重要である。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、種々の手段によって生産品の所有者又は供給元を証明するために微小サイズのタグを使用することに関する。このような使用者又は供給元を、フィルム、コーティング又は構成構造内又は(食品若しくは医薬品のような)その他のあらゆる生産品(このような製品においては、環境への曝露、使用期限、製品ロット番号、製造者名、地理的出所のようなその他の特性を証明することは重要である)上若しくは内部に設けられたタグによる識別によって判定することができる。
【0009】
米国特許公報2003/0236219、2004/0034214及び2005/0129454のみならず米国特許第6,951,687号に開示されているように、微視タグ材は公知である。これらの公報及び米国特許には、例えばタグ材に設けられた穴又は溝の使用によるようなタグ材の物理的な形体に関するタグ材の形状その他の物理的特性によってタグが判別されるタグ付け方法が開示されている。
【0010】
特別なコード材料を提供するために“海中の島(アイランドインザシー)”技術を採用することは、米国特許第4,640,035号によって教示されている。当該コードは、文字、枢動、各々“島”部分に多数の色を使用することを含むマーク等を含んでいる切り取られた材料の横断部分に含まれる情報に基づいて生産品の供給元を証明するために使用することができる(第1欄、第45〜57行)。“海中の島”型複合ポリマー複合繊維もまた米国特許第3,692,423号及び第3,725,192号に開示されている。
【0011】
複合繊維の製造において使用される“海中の島”技術における“島”の特別な形状が、顕微鏡によってのみ認識できる複雑な識別子を提供することによる偽造の防止において使用することができることも理論的に提案されている(1998年6月のBaker,IFJの第28〜42頁)。しかしながら、微小タグのようなこのような繊維の切り取り部分の使用は教示されていない。
【0012】
しかしながら、材料の誤用又は偽造を避けるためのタグ材のみならず別の方法として視覚的に変換され且つ拡大して物理的手段若しくは視認できる手段若しくは化学的手段によって又は名称によって又は地理的な供給元若しくは製造者の供給元によって生産品を特定できるように機能する高密度の埋め込み情報をタグ材内に組み込むことができるようにするためのタグ材料の高度な安全性を提供することが望ましいことが判明している。
【0013】
特に、例えば5〜200倍の拡大によって読み取ることができ且つ例えば製品の穴又は溝の使用によって生産品の形状に対する変形の使用のみによって提供されるよりも製品又は生産品の供給元に関するより多くの情報を提供し又はさもなければ既に記載した“海中の島”技術によって可能である変換(顕微鏡)手段によって、製品に関する広範囲の情報を付与する手段を提供する必要性がある。
【0014】
この点に関して、フィラメントの横方向部分を高分解能タグ材として機能させる断面形状を備えた押し出しフィラメントが提供されている。押し出しフィラメントは多数の押し出されたストランドからなり、当該ストランドは押し出しに続いて結合されて単一の複合フィラメントを形成する。多数のストランドは、断面に多数の画素状部分が形成されるのを可能にする。この画素状部分は、各画素の特性に応じて、フィラメントの形成中に、各ストランド(及び結果的に得られる画素)の例えば視覚的又は物理的又は化学的特性を変えることによって、フィラメント断面に無制限の種類の予め選択された情報又は識別表示が形成されるのを可能にする。個々のストランド、従って、結果的に得られる画素は、従来技術によって予め予期されるものを超過する極めて高い情報密度がフィラメントの断面内に提供されるのを可能にするように寸法が小さく且つ数が多い。
【0015】
重要なことは、結果的に得られる高い情報密度は、おそらく、フィラメント断面の顕微鏡的なサイズに拘わらず、形状又は設計が制限されず且つ単語、文字又は数字のような英数表示、種々の記号、会社のロゴ、抽象的なアートワーク等のような描写等を含むことができる予め選択された表示/コードが断面に提供されるのを可能にする。従って、本発明は、偽造防止、生産品の証明及び/又は認証等の目的のための製品表示に変換する技術における著しい進歩を提供することができる。
【好ましい実施形態の説明】
【0016】
本発明は、フィラメントが高分解能タグ材として機能することを可能にする断面形状を有している押し出しフィラメントのみならず当該押し出しフィラメントによって形成されているタグ材、当該タグ材の使用方法及び当該タグ材の製造方法に関する。
【0017】
本発明の押し出しフィラメントは、押し出された後に相互に結合されて単一の複合フィラメントに形成される多数のストランドを含んでいる。当該複合フィラメントは、断面で見たときに、フィラメントを形成するために押し出されたストランドの数に対応する数の多数の画素状部分を含んでいる。個々のストランドの少なくとも一部分(従って、画素状部分)は、構成、視覚効果、物理的効果又は法律的効果が、所望されている結果的に得られる予め選択された表示又はコードを提供するのに必要な程度まで相互に異なっている。
【0018】
当該多数の画素状部分は、ひとまとめにされたときに、フィラメントの横断部分によって形成されるタグ材が少なくとも1つの認証程度に基づいて区別され又は特定することができるように、少なくとも1つの認証度を備えている。
【0019】
本発明のタグ材は、(タグ材を形成するために使用される押し出し材の組成のような)化学組成、このような押し出し材の元素ドーピング、機能特性、物理的形状及びこれらの組み合わせによる付加的なレベルの機密保護コード識別機構を設けるのが有利であるかも知れない。
【0020】
例えば、複数(2以上、恐らくは3以上)の機密保護レベルが採用されるときには、(数字、文字又は画素状部分の集合効果によって形成される記号のような)形態又はその他の特定の特性は1つの機密保護レベルとすることができ、一方、“ポリマーの特性評価”は、タグ材内の機密保護の第二のレベルとしても良い。任意的な第三の機密保護レベルは、例えば、ポリマー材料の“元素の特性評価”としても良い。
【0021】
別の方法として、“元素の特性評価”は、ポリマー複合物が任意の第三のレベルの機密保護である状態で、第二のレベルの機密保護とすることができる。タグ材は、例えば、タグが付けられる材料の予期される物理特性を損なうことなく、コーティング又は接着剤構成物の製造における流動学特性を有している材料と混ぜることができる。以下に説明するように、機能分析のような付加的なレベルの安全性もまた提供され得る。
【0022】
上記したように、生産品が輸送されつつあるときの取引経路及び/又はエンドユーザーによる使用の時点で、生産品又は材料の供給元及び/又は認証を判定することができることが望ましい場合が多い。このような生産品の例は、炭化水素流体、食料、医薬組成物、印刷インク、接着組成物、機密保護文書、高級品、金融商品を包含する消費者商品等である。例えば、受け取ったときに付加的な認証を行うエンドユーザー(薬局)が、輸送中(医薬品の包装を二重にするのが容易な場合)の医薬品の認証を確認できることが望ましい。このような状況においては、このような材料が認証のためにタグ付けされている手段を、肉眼では明らかではないこと、及び(50〜200倍のような)拡大下で及び/又は通常は拡大してさえ見ることができない関連表示/コードを視覚的に読み取り可能にする特別な条件下でのみ見ることができ/読み取ることができることは更に重要である。
【0023】
上記の特許公報には、タグ材料の形状分析を使用する拡大率の小さい検証は、このようなタグ付けをもたらすかも知れない一つの方法が提案されている。しかしながら、顕微鏡サイズのタグ粒子は肉眼で良く見ることができないという事実にも拘わらず、形状分析はフールプルーフではない。潜在的な偽造者は、このようなタグ材の形状を容易に複製することができ且つ等しいか又はほぼ等しいタグ材を偽造複合物内に組み込むことができる。
【0024】
従って、本物の特性を主として微小タグの形状に依存することを避けること及びタグ材の特定及び/又は供給元の判別についての偽造防止機密保護の所望レベルの信頼度を維持するために、付加的な機密保護の“レベル”又は情報の表示を使用することは有利であることが判明した。
【0025】
記号に機能的なタグ手段を設けることもまた有利であるかも知れない。すなわち、存在する場合には酸素のような有害な物質への露呈の程度を示すこと又は薬剤又は薬剤複合物の使用に関して重要であるかも知れないタグ材の“保存期限”を設置することもまたタグ材にとって有利であるかも知れない。生産品又は材料を、熱、UV光、放射線等に晒すことを確保することも有利であるかも知れない。
【0026】
上記したように、タグ材の組成分析に基づいてタグ材についての非形状安全信頼性レベルを設けることができる。このような組成分析は、例えば、タグ材を形成するポリマー材のみならず行われるポリマー材料の元素添加の基本的な組成によって起こり得る。
【0027】
例えば、特定のポリマー混合物及び/又はホモポリマー、コポリマー又はターポリマー組成物が押し出し可能な材料として使用される場合には、混合物又はホモポリマー、コポリマー又はターポリマーが、赤外線サイン又はその他の一般的なポリマー分析技術を使用するFTIR(赤外線分析)によって確認することができる。本発明の元素添加態様については、付加的なレベルの識別が、例えば、元素イオンの存在を判定する電子分散分析又はその他の適当な分析技術によって行われ得る。
【0028】
タグ材を形成する押し出し可能な組成物を添加するために、例示的な金属元素を使用することができる。このような材料としては、限定的ではないが、鉄元素、スズ元素、鉛元素、白金、金等及びこれらの酸化物がある。元素材料は、タグ材内に埋め込まれた細かい粒子形態で使用しても良い。このような材料はまた、添加しても良いし又はポリマー若しくは別の材料と一緒に押し出しても良いし又は単独で使用しても良い。種々のセラミック材料を押し出し部材と同じ形態で使用しても良い。
【0029】
特定のポリマー組成物が特別な最終用途のために必要とされない場合には、ポリマー材料の特定は本発明にとって重要ではないので、当該押し出し可能な材料のストランド部分として種々のポリマーを使用することができる。しかしながら、材料の物理特性がタグを付される材料と互換性であることは重要である。例えば、タグ付け目的のために(ポリマー組成物のような)組成物にタグ材料を付すべき場合には、タグ材は組成物内で不活性でなければならない。このことは薬剤及び医療品のみならず食品及び農産物のような最終用途にとって特に重要である。
【0030】
タグ材が予想される処理に先立って組成物に付加される場合には、タグ材は、処理条件下で物理的及び寸法的安定性を維持することができなければならない。すなわち、使用されるかも知れない如何なる予想処理温度よりも高い融点を有するタグ材を使用することが必要かも知れない。
【0031】
高い温度で物理的安定性を有するタグ材を形成するために使用することができるポリマー材料としては、限定的ではないが、フルオロポリマー、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリベンザイミダゾール、ポリエーテルイミドのようなポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリシクロヘキサン・ジメチル・テレフタレート及びポリシクロヘキシレン・ジメチレン・テレフタレートがある。上記のポリマーの溶融特性は変化するので、使用するポリマーの選択は、タグを付される材料の処理中に受ける予測される温度のみならず材料の意図される最終用途によって決定される。このような決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0032】
高い温度特性が必要とされない限り、種々の付加的なポリマーを使用しても良い。このようなポリマーとしては、限定的ではないが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ラバー、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド等がある。同様に、上記に列挙したものは単なる例示であり且つ本来全てを含むことは意図されていない。
【0033】
上記のポリマーは単に本発明における使用に適しているものとして上記した複合単一フィラメントの形成における使用に適している必要があるだけである。
同様に、上記の認証方法は有利に使用することができるけれども、本発明は、関連技術においてこれまでに知られていない顕微鏡サイズのタグ材内に高分解能の情報及び/又は認証表示/コードを提供する際に著しい進歩を成す手段を提供する。
【0034】
上記したように、本発明に従って画素化された断面形状を有するポリマーフィラメントの横方向切断部の形体のタグ材を形成することが最も望ましいことが判明した。すなわち、フィラメントが、結果的に得られるフィラメントの断面内の画素状部分が同様の大きさとされて(そうでない場合には、押し出されたときにフィラメントの引き抜きによってより小さくされて)フィラメント(及び当該フィラメントから切り取られたタグ材)の断面領域に亘って極めて高密度の画素状部分が提供されるように所定の断面の大きさの個々に押し出されたストランドによって形成された複合又は単一のフィラメントからなる。
【0035】
このようにして、本発明は、各々が、内部に存在する高密度の画素化されたフィラメント製品であって、各々が、内部に存在する高密度の画素化された部分により高密度の識別又は認証のための表示を支持することができる断面部分を有する多数の顕微鏡的なタグ材を形成するために多数回横方向に切断することができるフィラメント製品の提供を可能にする。多数の画素部分はまた、単一のフィラメントを形成するために結合できるように、(外側被覆部分を提供するためのような)マトリクス部分内で別個に押し出すこともできる。フィラメントは、必要なタグ材を形成するために切断することができる。
【0036】
押し出されたフィラメントの個々の画素部分は、0.0001〜50ミクロン、好ましくは0.001〜50ミクロンの範囲内の大きさを有しているのが有利である。10ミクロン以下、例えば1ミクロン以下のサイズの画素を有利に使用することができる。多数の画素部分が押し出しフィラメントの断面内に設けられる。画素部分の数は意図されている最終用途(例えば、フィラメントの断面内に必要とされている表示の複雑さ)に依存して変えることができるけれども、画素部分の数はフィラメントの断面積当たり200〜150,000個の範囲、好ましくは5000〜20,000個であるのが好ましい。例えば、フィラメントの断面積内に事実上無限の種類の極めて高分解能の表示の形成を可能にするためには、画素の数は20,000〜60,000個の範囲内であることが判明した。複合的な均一フィラメントを形成するために採用される上限は、押し出しストランドの断面の大きさ及び押し出し機において使用される分配プレートの大きさのような本発明の実際的な機構によって決定される。従って、本発明の複合フィラメントは、少なくとも2000画素、好ましくは少なくとも5000画素を含んでおり、各々が50ミクロン好ましくは10ミクロン以下の最大幅を有する。
【0037】
フィラメント内に多数の画素を使用することによって、結果的に得られるフィラメントの断面内に高分解能の表示を提供することができ、このようにして、本発明の機密安全性及び/又は情報的外観を高めることができる。このことにより、無限の種類の表示(アルファ表示、数字表示、象形表示、幾何学的記号又はその他の記号)を、例えば、着色剤、染料、色素等の使用によってストランドの各々の色のような押し出しストランドの特性を単に改造することによって、認証又は情報の読み出しのために使用することができる。高分解能表示を設ける機能は、はっきりと識別できる認証及び/又はコード手段が、微小タブの微小サイズにも拘わらず、これまでに従来技術によって教示されていないか又は認識されていない利点が提供されるのを可能にする。
【0038】
押し出しフィラメントの切断区分として本発明により形成されている微小タブに形成されている例示的な認証デザインが図1に示されている。図1の断面は、薬剤の配合及び製造ロット番号の両方を特定している。図1の微小タブは、約120ミクロンの横方向寸法及び約30ミクロンの厚みを有している。図2は、幅が100ミクロン(人間の髪の幅)の本発明に従って作られた微小タグを示している。図2は、本発明に従って、微小タグの断面内に極めて精密なアートワーク(この場合には魚の絵)を形成することができることが確実にされる。
【0039】
このような押し出しフィラメントを製造するのに必要とされる押し出し技術は当業者に知られている。例えば、このようなフィラメントを製造するために採用することができる押し出し技術としては、限定的ではないが、米国特許第5,162,074号、第5,344,297号、第5,466,410号、第5,533,883号、第5,562,930号、第5,551,588号、第5,575,063号、第5,620,644号及び第6,861,142号があり、これらはその全体が本明細書に参考として組み入れられている。
【0040】
より特別には、図4に示されているように、少なくとも2つの押し出し機供給装置(図示せず)が、個々の流動可能なポリマーの流れを一連の厚い分配プレートへと給送し、当該分配プレートは、ポリマー原料を次第に細かくなる原料の流れに分ける機能を果たす。当該押し出し機は、(何らかの区別を最終的なフィラメント内に生じさせるのを可能にするために、ここに記載されている色特性又は物理的特性によって異なる特性を有している)流動可能なポリマーの流れを、第一の厚い分配プレートの後方へ給送する。このポリマーの流れは、当該一連の厚い分配プレート内を通過し且つ薄い分配プレートの組立体へと流れる。当該ポリマーは、次いで、高分解能の分配(画像)プレート(同じく図3に示されている)内へ流れ込み、そのときに、各々のポリマーの流れは、混合され又は遮断され又は障害物を除かれ、プレートの各々のデザイン/表示に対応し且つ(及び最終的なフィラメントにおいて所望されている)所望のデザイン又は区別可能な表示を得ることができる。高分解能(画像)プレートを通過するポリマーの流れは、次いで、非歪みプレート(当該プレートの目的は、最終的なフィラメント内のデザイン又は表示の歪みを最少にするか又は避けることである)をも通過する。この非歪み支持プレートは、押し出し中にポリマー圧力の逆流によって生じる歪みに耐えるように寸法的に十分安定させることによってこの目的を達成する。非歪みプレートを通過するポリマーの流れは、高分解能のプレートを出て行くときと同じ向きを維持する。(当該高分解能のプレート内の穴の数に対応する)ポリマーの多数のストランドは、非歪みプレートを出て行った後に集められ且つ複合フィラメントを形成するためにスピナレット内で結合される。スピナレットを出て行くフィラメントは、典型的には、直径が200〜750ミクロンであり且つ(典型的には、100〜120ミクロン程度の)フィラメント製品のための所望の直径を達成するために、押し出されつつあるポリマーの種類に依存して、例えば5:1から10:1までの比率によって下方へ引き抜くことができる(より細くされる)。プレートの大きさは本発明の実施にとって重要ではないけれども、図4に示されているプレートは、直径が典型的には約17.8センチメートル(7インチ)である。
【0041】
例えば、分配プレートの大きさに対して適切な寸法の60,000個の穴を有する円形の高分解能の分配プレートを使用することによって、60,000画素からなるフィラメントを提供することができる。このような穴は、プレート上に(280個程度の最大数の穴を有する)平行な列で整列させることができる。例えば、280個の穴の平行な列を有する正方形の分配プレートは78,000個の穴をもたらす。機械的手段によって、このような多数の穴を有する分配プレートを提供することは一般的に困難である。従って、押し出し過程中に、所望の認証表示が提供されるようにするために、光化学エッチング加工によって形成される必要とされる数の穴を有する分配プレートを採用することが有利かも知れない。このような分配プレートは、各々の画素を構成している複数のストランドを押し出すことによってフィラメントを形成するために使用することができる。当該複数のストランドは、一般的な押し出し技術による押し出しの後に結合されて単一の複合フィラメントにされる。
【0042】
図3は、21,000個の穴(各々が最終的に結果的に得られるフィラメント内の画素に対応する)を有する図1の微小タグの断面形状を有するフィラメントを形成するために使用される円形の高分解能の分配プレートを示している。図3のプレートは、図4のアセンブリに採用することができる高分解能のプレートの典型である。
【0043】
別個に又はマトリックス部分内に所望の数の画素部分を形成するために高分解能の分配プレート内に適当な穴を遮蔽し/開放することによって押し出し過程中に所望の表示を形成することができる。当該遮蔽/開放によって、フィラメントの形成の際に所望の予め選択された表示/コードをもたらす別個の給送ポンプ手段を備えている多数の押し出し機からの予め選択された押し出し給送を使用することによって予め選択された表示/コードを形成することができる。図3において陰影が付けられた部分は、押し出されたフィラメント内に所望の画素パターンを形成するために、分配プレートの他のより明るい領域とは異なるカラーポリマーの給送を受け取る。
【0044】
独特のカラーパターンをもたらす種々の色又は更に有利に色の混合を有する認証表示を形成することができる。このようなカラーパターンは、例えば、3つの基本的なカラーと白色とのポリマー組成物の使用によって提供され、当該色が付けられたポリマー組成物は、別個のポンプ手段を介して4つの別個の押し出し機によって分配プレートへ給送される。高分解能の分配プレート内の適当な穴を遮蔽することによって、各々の色を混ぜ合わせ又は適合させて、例えば画素によって形成される(文字、数字又はデザインのような)所望の表示/コードのための種々の色の濃度をもたらすことができる。押し出されたフィラメント内の高い画素濃度によって提供される高い分解能により、このような色(又は望ましいと考えられる他の色)の種々の組み合わせの使用により、押し出されたフィラメントの断面内、従って、結果的に得られる切断されたファイバ及びそれによって作られる微粒子の断面内に、高い品質の“アートワーク”を形成することが可能になる。原色の使用を上記したけれども、各々のポリマー原料内にあらゆる色を使用することができる。
【0045】
例えば、以下に説明するように、例えば多数の周波数/放射線応答性要素のような種々の認証要素の混合物を押し出して押出しフィラメントにするために、別個の押し出し機を使用することもできる。
【0046】
典型的には、形成されるフィラメントが1〜5000ミクロンの断面寸法を有していても良く、一般的には1000ミクロン程度の小ささ及び好ましくは30〜1000ミクロン例えば200〜500ミクロンの範囲とすることができる。フィラメントは、押し出された後に、フィラメントを横方向に切断することによって形成されるタグ材が例えば直径が100〜120ミクロンのような所望の大きさの最大幅寸法を有するように、所望通りに断面寸法を小さくさせるように十分なドローダウンを受けるようにしても良い。
【0047】
フィラメントの断面領域内の画素状部分の数(密度)がこのように高いという事実により且つフィラメントを形成するために使用される各ストランドの視覚的及び/又は物理的作用が別個の視覚的、化学的又は物理的作用を提供するように特別に改造されている場合には、識別、認証及び/又は情報の表示/コードの種類に関する可能性の数が実質的に無限であることが判明した。実際のところ、高分解能の文字、番号、単語、配合、アートワーク、デザイン等をフィラメントの断面内に組み込んでも良い。本発明の実施によって、タグ材の断面の顕微鏡的大きさは、認証又は情報表示を、材料、有無、単語、数字、文字、アートワーク等内に設けることができる程度を制限しない。
【0048】
もちろん、本発明のコードによる態様は、このような種類の情報表示に限定される必要はない。実際のところ、例示的なコードは、特別化された放射手段のような付与される刺激手段と反応し又は当該刺激手段によって刺激される画素部分内に埋め込まれた化学組成物の使用のような機能的なコード態様をも含んでおり、それによって、(刺激されたときに)文字、数字又は設計コードの形成をもたらさないが、その代わりに付与された刺激によって生じる作用を提供する。例えば、付与された放射線によって生じる蛍光作用は、コードが必要とする刺激が無い状態では肉眼で見ることが出来ないという事実及び視覚化作用によって文字、数字又は記号のような特別な表示が形成されないという事実に拘わらず、受け入れ可能なコードを構成する。
【0049】
同様に、本発明のタグ材の最終用途の種類は無限である。例えば、食品又は薬剤組成物によって使用されるときには、タグ材は、無害であり且つ人間による消費に適していなければならない。従って、あらゆる典型的な食品又は薬剤グレードのポリマー材料を採用することができる。食品又は薬剤グレードのポリマーは当業者に公知である。
【0050】
例えば、例示的な金属グレードの材料としては、限定的ではないが、アクリル酸/アクリルアミドコポリマー、アジピン酸、カルボキシメチルセルロース、カルナバ蝋、カゼイン、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、チタン、チトサン、コーンシロップ固形分、ダマール、エチルセルロース、ゼラチン、パラフィンワックス、ペクチン、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレンワックス、(酸化された)ポリエチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、米蝋、大豆タンパク、小麦グルテン、乳清タンパク質及びゼインがある。
【0051】
例示的な医薬グレードの材料としては、限定的ではないが、ポリエチレン、ポリアクリルレート、セルロースポリマー、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ビドロキシエチルセルロース、ビドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル(メチル)セルロース、セルロースアセテート、ポリグリコライド、ポリDLラクチド、ポリラクチック酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、アルギネート、ポリデキストリン、デキストレート、ドキュセートナトリウム、キサンタンガム、ガム、ポリエチレングリコール、ポリヒドロカーボンワックス、パラフィン、ポリグリコール、プロビドン、プロテイン、ブチルヒドロキシトルエン、カルボマー934又は974等がある。
【0052】
動物飼料グレード材料としては、限定的ではないが、アルギニン酸、アクアロン(Aqualon)7LF,N−7,N−10,N−14,N−22,N−50及びN−100、エディコル(Edicol)、エソセルスタンダード4,7,10,20,45又は100プレミアム、トウモロコシタンパク質、カゼイン、ゼラチン副生成物、大豆タンパク質、リグニンスルホネート、セルロース、チトサン、チタン、アクリルアミド−アクリル酸樹脂、蜜蝋、カルナウバワックス等がある。
【0053】
既に説明した米国特許第4,640,035号は、合成繊維又は天然繊維のような細長い要素アセンブリの横方向部分によって構成された粒状コード材料を開示している。当該アセンブリは、例えば、捻るか又はスピナレットを介して同時に押し出し、次いで引き下ろしステップによって所望サイズのフィラメントを提供し、次いで横方向に細かく分けるか又は切断することによって既存のフィラメントを結合させることによって形成することができる。この特許は、このような特別なコード材料を、過剰摂取による緊急治療における迅速な識別を可能にするために、薬剤又は医薬内に組み込んでも良い。
【0054】
しかしながら、識別目的のために薬剤又は医薬組成物に粒状物質を付加する代わりに、薬剤又は医薬を粒状コード材料内に組み込んで、薬剤又は医薬が自己認証性であるようにすることが可能であることがわかった。例えば、薬剤又は医薬は、食用の又は生体適合性のポリマー内に調合しても良く、これは、次いで、本発明によるフィラメントとされる。当該フィラメントは、次いで、あらゆる所望の賦形剤、添加剤等と共に医薬組成物内で使用するための所望の大きさに細かく分けるか又は切断することができる。この細分又は切断された部片は、固体タブレット内に混合し、カプセル内に組み込み、又は液体形体(例えば、シロップ、懸濁液、分散液等)で投与しても良い。
【0055】
本発明のタグ材は、供給元及び/又は特定検証のための、低コストで、簡単で、有効な手段を提供する。必要とされるポリマー及び元素の分析は、一般的な実験装置によって行うことができる。
【0056】
本発明のタグ材は、多くの形態で使用することができる。例えば、(特定のホモポリマー、コポリマー又はターポリマーのような)タグ原料の所望の組成物に特定の天然材料を添加することができる。このような添加は、一般的に、溶融形態のポリマー材料との添加材料の混合剤によって生じる。次いで、上記したように添加されたポリマーによって形成されたファイバの押し出し又は溶融スピニングのような適切な手段によって所望の形状の添加された組成物によってタグを形成することができる。次いで、各々のタグを、押し出された又は紡糸された材料から所望の大きさ又は厚みに切ることができる。
【0057】
付加的な実施形態によって、内部に少なくとも1つの活性の薬剤成分を組み入れているタグを、患者の体内の抗原に特有の1以上の抗体を含んでいるクラッド又は表面層を一緒に押し出すことによってその表面に形成することができた。このようにして、タグ材が患者にとって許容可能なものであるときに、所望される治療の特別な態様に向かって目標を定めることができる薬剤効果を達成することができる。タグ材の大きさは、投与を最適化するように選択することができる。対応する抗原に関連させてそのような抗体を選択することは当業者の能力の範囲内である。
【0058】
本発明のタグの大きさは、最終用途に応じて変化するかも知れない。当該タグは、粒子、板、ファイバ、フィラメント等の形態とすることができる。従って、タグの特別な大きさ、形状及び/又は構造は特に重要ではなく又は重大でもなく、所望の最終用途に対して容易に製造することができる。種々のアスペクト比のタグ材の混合物(例えば、ファイバと板形状の微小タグ)もまた、特に、各タイプのタグ材が異なる情報を担持し又は異なるレベルの認証(例えば、物理的応答又は化学的応答)を提供する場合に有利に使用することができる。
【0059】
本発明のタグ材は、その使用が秘密であるように、その存在がタグが付されるべき材料内で容易に視覚的に明らかとならないような大きさとされるであろう。実際には、微小タグの存在を視覚的に識別し且つその上に形成されたあらゆる視覚的に識別できる表示を判読するためには、約50〜500倍の拡大が必要とされる。
【0060】
タグ材の大きさは、幅が1〜5000ミクロンの範囲内、例えば10〜3000ミクロンの範囲内であるのが望ましい。このような粒子は、粒子が通常は粒子の幅に対する厚み(長さ)の比に基づいて、1:30〜10,000:1、好ましくは1:20〜5000:1のアスペクト比を有するように、より小さな大きさ又は厚みを有する。板状のみならずファイバ又はフィラメント形状のタグ材が本発明に従って想定されるので、タグ材のアスペクト比は広く変化し得る。タグ材の形状が第一のレベルの機密性を有する限度において、当該材料は、特別な形状が実際的に判定できる大きさであるのが望ましい。ファイバ又はフィラメントとして使用される場合には、ファイバ又はフィラメントは、ウェブ、シート又は繊維のような不織布材料又は織布材料を形成するために使用されるときに“タグ”として使用しても良い。このような微小タグは、板状であるときには、厚みがほぼ10〜20ミクロンの範囲内であり且つ最大横方向寸法が90〜150ミクロンの範囲内であろう。
【0061】
例えば、板状タイプのタグ材を有利に使用することができ、三角形、三葉、円形、矩形、正方形等のようなあらゆる所望の形状とすることができ、最終的な形状は使用される押し出しダイの形状によって決まる。このような板状タグ材は、例えば、上記したフィラメントを横方向に切断することによって形成することができる。機密性の判定を補助するために、板は、上記した付加的な機密安全性構造を如何なる数だけ組み込んでも良い。特に、ポリマー組成物及び要素分析のような付加的な機密安全性が使用される場合には、無限の“コード”の組み合わせをタグ材に付加することができることは明らかである。例えば、タグ材は、数字又は文字のような識別子として機能する種々の予め選択された押し出された記号又は識別可能なカラーパターンを含んでいても良い。もちろん、タグ内の“コード”として機能する独特の色の混合もまたその内部に配合しても良い。
【0062】
このようにして形成されたタグ材は、供給元及び/又は識別子についてのタグを付すために、圧力感知性の接着装置のような組成物内に配合することができる。別の方法として、タグ材は、エアゾール、被覆用押し出し装置及び噴霧適用等によって、(食品、薬剤、液体組成物等のような)タグを付される材料に付加し又は適用しても良い。このような例においては、タグ材は、水のような不活性液体と共に分散形態で運ぶことができる。顕微鏡サイズのタグ材は、それ自体、エアゾールの形態の適用に対して特に良好に役立ち、この微小サイズは、タグが付される材料に接着される材料の特性を高めることもできる。
【0063】
更に別の例によれば、本発明のタグ材を含むバーコードの印刷にインクを使用することによって、偽造製品の製造を減じ又は偽造製品を減じることも望ましいかも知れない。このようなインクにおいて使用されるタグ材の大きさは、印刷中に十分に機能するように改造される。このような大きさは、当業者の範囲内である。このようなインクにおいては、タグ材は約5重量%以下の量で使用することができる。印刷中にインクの機能に悪影響を及ぼすことなく、必要程度のタグ付けを提供するために、十分なタグ材が使用される。
【0064】
タグ材は、当該製品の認証を確認するために、薬剤タブレットのコーティング内又は薬剤の包装上に使用しても良い。
化学的又は機能的に“活性”であるタグ材(すなわち、当該タグ材は、所定の状態にさらされたときに物理的変化又は化学的変化を受けるかも知れない)を提供することも本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
例えば、写真複写機によって提供されるような光に晒されたときに視認可能作用を呈する光応答化学特性を備えたタグ材を提供することが望ましいかも知れない。従って、このような写真複写機によってなされる複写は、複写の分解能の崩壊を受けるであろう。このことは、写真複写が原本とは逆に写真複写として識別されるのを可能にする。従って、表示/コードが拡大状態においてさえ肉眼で視認できることは必要ではなく、表示/コードは、ある種の放射線等に晒されたときのような特別な状態でのみ視認できるようになされても良い。
【0066】
例えば、光発色剤、屈光剤、蛍光剤のみならず、近赤外剤、中赤外剤、遠赤外剤を、このような状況における印刷インクにおいて使用することができる。このような材料が印刷インク内に存在することによって、複写中の通常の像の形式を破壊するフォトニック反応が複写中に発光光源に対してもたらされる。すなわち、結果的に得られる写真複写が、形成形態では使用不可能であるようにされるので、像の取得の厳密性が犠牲になる。
【0067】
このような薬剤は、フォトニック反応を生じさせるために、写真複写機内で使用される特別な光源に容易に適合させることができる。このようなフォトニック反応材料は当業者に公知である。例えば、多数の適切な光互変性物質がJames,RobinsonのReversacol製造ラインにおいて入手可能である。James Robinsonはまた、蛍光イエローGN、蛍光イエローR、蛍光イエローAA216、蛍光イエローAA223、蛍光イエローFGPN、蛍光イエローイエロー4及びメラタイム(Meratime)ブリリアントイエロー8Gを含む一連の蛍光剤を市販している。
【0068】
タグ材内に多変量の及び/又は固有周波数の蛍光特性を提供することも可能である。本発明のタグ材は、切断されたフィラメントの断面内に広範囲のアルファ/数字表示を含み、(それによって、標識の露出された各面上にこのような表示を有しているタグ標識を提供する)ことができる。しかしながら、このようなタグ表示の変換特性を最大にするために、画素部分に、上記した蛍光又は活性の光化学材料であって読み取り者による各々の照射周波数に基づく選択的で且つ独立した視覚的応答を提供する材料を設けても良い。同様に、このような構成要素の選択も当業者の能力の範囲内である。
【0069】
従って、(人間の眼によって識別可能であるものの上方及び上における)タグ材内の暗号化が可能である。従って、光の1つの波長によって見たときに、タグ材の一部分は、これに対する応答によって照射されても良い。異なる波長で見たときに、タグ材の第二の部分が照射されるようになる。実際には、多数の重ね合わせ可能な像が種々の光のシナリオによる照射によって生じるかも知れない。従って、多数の表示/コードを同じタグ材内に組み込んでも良い。
【0070】
蛍光材料及び結果として起こる励起周波数を、蛍光材料励起特性の機能又はタグ材の設計のみならずタグ材の応答性のほとんど無限の組み合わせを提供するために、同じ周波数の一連の組み合わせを使用する蛍光材料励起特性又は設計パターンの機能として改造することができる。認証のために使用される照明装置の周波数に基づいて独立して視認化することができる同時の重ね合わせ可能なアルファ/数字表示を設けることができるので、このような実施形態は従来技術の方法とは異なる。
【0071】
例えば、多数のアルファベット記号を、フィラメント内及び対応して図1に示されているタグ材によって形成された切断されたタグ材の断面内に、付加的な検証手段を提供することができるデザインと共に設けることができる。
【0072】
各アルファベット記号もまた、例えば波長特異性蛍光剤、例えば、250mmの波長で励起する蛍光剤と混ぜ合わせられたポリマーによって構成された各々の画素によって形成されても良い。このような記号は、280mmで励起する蛍光剤によって作られたアルファベット記号ばかりでなく、310mmで励起する蛍光剤と混ぜ合わせられたポリマーによって形成された記号のみならず365mmにおいて励起する記号と共存することができる。基本的には、4つの別個の表示を設けることができ、各表示は、適切な対応光源の元で見たときにのみ見ることができるようになる。この方法では、4つの別個の機密保護レベルが提供される。
【0073】
特別な蛍光剤の選択のみならず適切な蛍光光源の選択は、当業者の技能の範囲内に含まれる。例えば、当業者は、どのタイプの混合剤が所望の波長で所望の蛍光特性を提供するかのみならず所望の蛍光を達成するために適切な光源を選択することができる。
【0074】
タグ材は、所定の期間の後に最早タグ材内で検知することができず又は検知された特性が時間の経過に基づいて変化するように、固定の寿命を有することが更に望ましいかも知れない。このような実施形態は、例えば食品又は薬剤の貯蔵寿命を確認する際に有用となり得る。例えば、時間が超過し且つUV又は酸素に晒されたときに劣化し且つ脆化した状態になるUV又は酸素によって劣化し得るポリマーを使用しても良い。このような特性を示す例示的なポリマーとしては、限定的ではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ビニルポリマー等がある。
【0075】
タグが付された材料が、UV、放射線、酸素の熱等への露呈のような隔離されることを意図されている環境の一部分と接触せしめられたか否かを確認することも重要であるかも知れない。タグが付された製品が空気中の酸素から隔離されるべきである程度まで、タグ材内の化学変化(酸素による色の変化、化学変化等)によって酸素との接触が確認することができるように、酸素と反応可能である構成要素を含むタグ材を使用しても良い。当該タグ材は、タグ材の水分との接触(このような結果が望ましくないと考えられる場合)が確認できるように、水分との反応し得る構成要素を含むこともできる。このような例においては、本発明の機密保護態様は、材料の(特に、食品及び薬剤又は医薬組成物についての)安全性に関するようにタグ材の発生源又は起源に関連付けられてはいない。このようなタイプの反応性材料の特定は、当業者に知られている。このような目的(すなわち、水との反応性)のために使用することができる例示的なポリマーとしては、限定的ではないが、ポリ乳酸及び加水分解可能なエステルがある。
【0076】
当該タグ材はまた、放射能、ルミネッセンス、電気インピーダンス、蛍光等のような一般的な分析によって判定することができる特性を示すかも知れない。このような特性は、もちろん、本質的な特性でない場合には、適切な構成要素を組み込むことによってタグ材に付加するすることができる。例えば、タグ材(金属又はそうでないもの)は、多層レベルの機密安全性を提供するためにポリマータグ材と混ぜることができる。
【0077】
上記したように、本発明の顕微鏡的タグ材は種々の方法で使用することができる。例えば、農産物の安全性を高め且つ食品の安全性の問題を最少にするために、本発明の顕微鏡的タグ材を、限定されることなく、観葉植物、野菜、フルーツ、種、ナッツ等のような農産物に、(例えばエアゾール形態で)噴霧するかコーティングすることができる。例えば、このようなタグ材が、輸送前に農場で有機野菜又はフルーツに“タグ付けされる”場合には、非有機野菜又はフルーツに対する有機野菜又はフルーツの認証を確認するために有利に使用することができる。米国特許出願2002/0173042には、食品安全タグ材の使用が教示されており、米国特許公報6,406,725号には、農産物内に色付きの植物タンパク質由来の標識ペレットを使用することが開示されている。しかしながら、これらの開示のいずれもが、本発明におけるような農産物において使用するための情報タグ材の使用を教示していない。
【0078】
このようなタグ材の断面内に情報を組み込む機能の結果として、このようなタグ材は、このような製品の地理的場所を特定する形態でコード化しても良い。例えば、当該タグ材は、産品を製造する農場又は製造工場の特定の地理的場所を識別する識別子としてコード化しても良い。このようなコードは、(経度/緯度のような)数字又は(工場又はロット番号を示す)アルファ数字とすることができる。製品にこのような情報が付されると、製造者並びに地形的な場所の両方によって、製品の供給元を判定することは簡単である。
【0079】
このような情報は、農産物の特定の製造者が、問題となっている製品を製造する幾つかの設備又は農場を有している場合に特に有利である。実際には、タグ材内に極めて精密な情報を提供する本発明の機能が付与されると、収穫の日付、処理又は製造のような特別な情報(製品のロット番号もまた含まれる)のタグを製品に付すことさえ可能である。本発明がタグ材上に詳細な情報を提供することができる自由度、材料上に提供された情報の識別形式は本質的に無限である。本発明のこの特徴は、特に、それがなければ製造プラントにおいて処理されない農産物及び食品との“接触”に関して特に有用である。
【0080】
このような利点はまた、図1(化学的配合のみならず製造ロット番号によって薬剤製品を特定する微小タグを示している)に示されている非農産物にも適する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、製品特定コードが内部に形成されている多数の画素からなる200倍に拡大した本発明の顕微鏡的タグ材の図である。
【図2】図2は、内部に200倍に拡大したデザインが形成されている本発明の顕微鏡的タグ材の図である。
【図3】図3は、断面が図1のものであるフィラメントを形成するために使用されている高分解能分配(画像)プレートの頂面図である。
【図4】図4は、本発明において使用するためのスピナレットアセンブリの分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントの横方向に切断された部分が高分解能のタグ材として機能するのを可能にする断面形状を有している押し出されたフィラメントであり、
当該押し出されたフィラメントは、当該フィラメントの長手軸線(押し出し軸線)の方向に沿って含まれている多数の押し出されたストランド部分を有しており、当該多数の押し出されたストランドは、組成、外観又はフォレンジック作用に関して同じか又は互いに異なっていても良く、当該ストランド部分は、当該フィラメントの断面部分内に多数の画素状部分を提供し、当該多数の画素状部分は、ひとまとめにされたときに少なくとも1つの予め選択された程度の識別性を有しており、それによって、前記タグ材は、前記少なくとも1つの識別程度に基づいて区別し又は識別することができるようになされた押し出されたフィラメント。
【請求項2】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記画素状部分の各々が、約0.0001〜50ミクロンの最大寸法を有しているフィラメント。
【請求項3】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記画素状部分の各々が、約0.001〜50ミクロンの最大寸法を有しているフィラメント。
【請求項4】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記ストランドのうちの少なくとも幾つかが別個に異なるタイプのポリマーを含んでいるフィラメント。
【請求項5】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記ストランドのうちの少なくとも幾つかが別個に異なる色のポリマーを含んでいるフィラメント。
【請求項6】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記少なくとも1つの識別程度が、製造者、供給元、地理的供給元又は前記製品に関連する製造情報のうちの1以上を識別する予め選択された表示を備えているフィラメント。
【請求項7】
請求項6に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記表示がアルファ数字であるフィラメント。
【請求項8】
請求項6に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記表示が文字又は記号又はアートワークを含んでいるフィラメント。
【請求項9】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記ストランドが、着色剤、色素、染料、フォレンジック剤、充填剤、又は前記ストランドのうちの1以上が相互に識別されるのを可能にする他の表示剤のうちの少なくとも1つを含んでいるフィラメント。
【請求項10】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
物理的形状、元素の特性評価、機能分析及びポリマーの特性評価からなる群から選択された少なくとも2以上の識別程度を有しているフィラメント。
【請求項11】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記物理的形状識別手段が前記タグ材の平らな形状に基づいているフィラメント。
【請求項12】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記元素の特性評価が前記タグ材内の元素物質の存在に基づいているフィラメント。
【請求項13】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記元素物質が1以上の金属を含んでいるフィラメント。
【請求項14】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記ポリマーの特性評価が前記タグ材内に存在するかも知れないポリマー剤の組成物に基づいているフィラメント。
【請求項15】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記識別程度のうちの1つがFTIR赤外分析が可能であるフィラメント。
【請求項16】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記識別程度のうちの1つが電子分散解析をすることができるフィラメント。
【請求項17】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記識別程度が蛍光によるものであるフィラメント。
【請求項18】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記識別程度のうちの1つが電気インピーダンスによるものであるフィラメント。
【請求項19】
請求項10に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記識別程度のうちの1つがルミネッセンスによるものであるフィラメント。
【請求項20】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
所定の状態又は状態の組に晒されたときに、機能的に活性であり且つ物理的又は化学的変化を受ける構成要素を備えているフィラメント。
【請求項21】
請求項20に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記機能的に活性な構成要素が光応答性であり且つ適切な光源に晒されたときに視認効果を提供するフィラメント。
【請求項22】
請求項20に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記機能的に活性な構成要素が、適切な放射線又は光源に晒されたときに、ルミネッセンス又は蛍光を示すフィラメント。
【請求項23】
請求項1に記載の押し出されたフィラメントであり、
断面内に約2,000〜150,000個の画素状部分を含んでいるフィラメント。
【請求項24】
請求項23に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記画素状部分が約50ミクロンの最大横方向寸法を有しているフィラメント。
【請求項25】
請求項24に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記画素状部分が10ミクロン以下の最大横方向寸法を有しているフィラメント。
【請求項26】
請求項23に記載の押し出されたフィラメントであり、
前記断面内に少なくとも約5,000個の画素状部分が存在しているフィラメント。
【請求項27】
請求項1〜26のうちのいずれか一の項に記載のフィラメントによって形成されたマイクロファイバ。
【請求項28】
請求項1〜26のうちのいずれか一の項に記載のフィラメントによって作られた微粒子。
【請求項29】
製品の認証のために製品又は包装又は前記製品を含んでいる容器に標識する方法であり、請求項27によるマイクロファイバ及び/又は請求項28による微粒子を組み込み、前記製品、前記製品を含んでいる包装又は当該製品に関連する容器上で、前記マイクロファイバと前記微粒子とが、各々、その断面領域に、前記製品を認証することができ又は当該製品に関する情報を提供する識別、認証又は情報表示を含むようにすることからなる方法。
【請求項30】
請求項29に記載の認証方法であり、
前記製品が、薬剤又は医療製品、農産物又は食品である認証方法。
【請求項31】
請求項29に記載の認証方法であり、
表示が、製造者、地理的供給元又は前記製品に関する製造情報のうちの1以上を識別する方法。
【請求項32】
請求項29に記載の認証方法であり、
前記表示がアルファ数字である方法。
【請求項33】
請求項29に記載の認証方法であり、
前記表示が、文字、記号又はアートワークを含んでいる方法。
【請求項34】
請求項29に記載の認証方法であり、
前記表示がデザインを含んでいる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−536698(P2009−536698A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510179(P2009−510179)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/068706
【国際公開番号】WO2007/134192
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508333701)アーマーク・オーセンティケーション・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (1)
【出願人】(508333712)ヒルズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】