説明

高制振性塗料

【課題】 高分子材料を主体とした、簡便に製造可能で、軽量で、より優れた制振性を発揮する制振性塗料を提供する。
【解決手段】 ジカルボン酸成分構成単位とジオール成分構成単位からなるポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させてなる樹脂組成物10〜70重量%ならびに有機溶剤および/または水30〜90重量%を含む制振性塗料であって、該ポリエステル樹脂が特定の式を満足することを特徴とする制振性塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた制振性を有し、且つ使用する温度環境に合わせて調整可能な塗料に関し、車輌、鉄道、航空機、家電・OA機器、精密機器、建築機械、土木建築物、靴、スポーツ用品などに適用される溶剤系塗料や水系塗料に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記の車輌、鉄道、航空機、家電・OA機器、精密機器、建築機械、土木建築物、靴、スポーツ用品などの振動の発生する箇所には、その振動エネルギーを吸収する材料として制振材が一般に使用されてきた。
【0003】
制振材のような振動エネルギーを吸収する材料として、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂が知られている。この軟質塩化ビニル系樹脂は、振動エネルギーを樹脂内部において摩擦熱として消費することで、その減衰が計られるようになっていたが、十分な振動の吸収、減衰ができなかった。
【0004】
また制振材料としては、加工性、機械的強度、材料コストの面から優れるブチルゴムやNBRなどのゴム材料が多く用いられている。ところがこれらのゴム材料は、一般の高分子材料の中では最も減衰性(振動エネルギーの伝達絶縁性能、あるいは伝達緩和性能)に優れてはいるものの、ゴム材料単独で制振材料として使用するには制振性が低く、例えば建造物や機器類の防振構造には、ゴム材料と鋼板とを積層した積層体、あるいはこれに塑性変形して振動エネルギーを吸収する鉛コアやオイルダンパーを組み合わせた制振構造体という複合形態で使用されていた。
【0005】
従来の制振材料としてのゴム材料は、上記の如く単独では使用できず、複合化を余儀なくされていたので、必然的にその防振構造も複雑なものとなってしまうことから、制振材料自身、ゴム材料自身の高制振性化が求められていた。
【0006】
これらの制振材は一般的にシート状に成形して用いられるが、振動箇所に合わせて裁断する工程や貼り付け用接着剤を貼付する工程などが必要であり、人手と時間がかかり作業効率が悪いという問題があった。また、曲面部位や微少隙間部位などには適応できなかったり、貼り付けても容易に剥がれてしまったりという不具合があった。
【0007】
一方近年では、複雑な形状部位でも適応可能で、且つ施工が簡便である制振性を有する塗料が開発されている。この制振塗料は、一般に制振材料を含んだ塗膜成分を有機溶剤に溶解あるい水に分散させたもので、振動箇所に塗料を吹きつけて塗膜を形成させてやれば制振性能が発揮されるという特徴を持つ。既に制振性を有するポリエステル樹脂を用いた塗料あるいは組成物は公知であるが、ポリエステル樹脂主鎖中の炭素原子数の割合を特定したポリエステル樹脂について記載されたものはない(特許文献1〜10参照。)。しかし、塗膜厚が厚い割に制振性能が低く、あるいは室温付近での制振性能が低い材料であるため、汎用性に優れた材料とは言い難い。また塗膜厚を厚くすると塗膜にクラックが発生してしまうといった問題がでてくる。また、比重の大きなゴム材料を使用しているものは実用化の段階で塗膜の剥離が危惧され、実用的な材料とは言えない。以上のように、充分な制振性能と優れた温度特性、塗膜表面性、耐熱性、密着性とを備えた材料はない。
【特許文献1】特開2005−126645号公報
【特許文献2】特開平9−104842号公報
【特許文献3】特許平9−31371号公報
【特許文献4】特許平10−204370号公報
【特許文献5】特開2005−154556号公報
【特許文献6】特開平10−60311号公報
【特許文献7】特開平10−195339号公報
【特許文献8】特開2004−18670号公報
【特許文献9】特開平7−166101号公報
【特許文献10】特開平8−209032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高分子材料を主体とした、簡便に製造可能で、軽量で、より優れた制振性を発揮し且つ温度特性と塗膜表面性、耐熱性、密着性に優れた塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、ジカルボン酸成分構成単位とジオール成分構成単位からなるポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させてなる樹脂組成物ならびに有機溶剤および/または水を含む制振性塗料であって、該ポリエステル樹脂を特定することにより優れた制振性を有する塗料が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、ジカルボン酸成分構成単位とジオール成分構成単位からなるポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させてなる樹脂組成物10〜70重量%ならびに有機溶剤および/または水30〜90重量%を含む制振性塗料であって、該ポリエステル樹脂が下記式I:
0.5≦(A1+B1)/(A0+B0)≦1 (I)
(式中、A0は全ジカルボン酸成分構成単位数、B0は全ジオール成分構成単位数、A1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジカルボン酸成分構成単位数、およびB1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジオール成分構成単位数をあらわす)
を満足する制振性塗料に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の制振性塗料によれば、簡便に製造可能で、軽量で、より優れた制振性を有する制振性塗料を提供することが可能となり、本発明の工業的意義は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の制振性塗料は、高分子材料としてジカルボン酸成分構成単位とジオール成分構成単位からなるポリエステル樹脂を用いており、下記式I:
0.5≦(A1+B1)/(A0+B0)≦1 (I)
(式中、A0はジカルボン酸成分構成単位数、B0はジオール成分構成単位数、A1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジカルボン酸成分構成単位数、およびB1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジオール成分構成単位数をあらわす)
を満足するポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させた時に、より高い制振性能が得られる。ここで、“ジカルボン酸成分構成単位(ジオール成分構成単位)の主鎖中の炭素原子数”とは、一つのエステル結合(−C(=O)−O−)と次のエステル結合に挟まれたモノマー単位において、ポリエステル樹脂の主鎖に沿った最短経路上に存在する炭素原子の数である。
比、(A1+B1)/(A0+B0)は0.7〜1が好ましく、ジカルボン酸成分構成単位の主鎖中の炭素原子数およびジオール成分構成単位の主鎖中の炭素原子数は1、3、5、7、9が好ましい。
【0012】
ポリエステル樹脂の主鎖中の炭素原子数が奇数となるジカルボン酸成分構成単位の例としては、イソフタル酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ブラシル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などに由来する構成単位が挙げられる。中でも、イソフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸に由来する構成単位が好ましく、イソフタル酸に由来する構成単位がさらに好ましい。ポリエステル樹脂は、上記ジカルボン酸に由来する1種または2種以上の構成単位を含んでいてもよい。2種以上の構成単位を含む際には、イソフタル酸およびアゼライン酸に由来する構成単位を含むことが好ましい。
【0013】
ポリエステル樹脂の主鎖中の炭素原子数が奇数であるジオール成分構成単位の例としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、1−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−プロピル−1,5−ペンタンジオール、メタキシレングリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノールなどに由来する構成単位が挙げられる。中でも、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、メタキシレングリコール、1,3−シクロヘキサンジオールに由来する構成単位が好ましく、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールに由来する構成単位がさらに好ましい。ポリエステル樹脂は、上記ジオールに由来する1種または2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
【0014】
さらに、ポリエステル樹脂が下記式II:
0.5≦A1/A0≦1 (II)
(式中、A0およびA1は上記と同じ)、および
下記式III:
0.5≦B2/B0≦1 (III)
(式中、B0は上記と同じであり、B2は式(1):
【0015】
【化2】


(式中、nは3または5であり、複数個のRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素数1〜3のアルキル基をあらわす)で表されるジオールに由来する構成単位の合計数である)
を満足することが好ましい。
さらに下記条件AおよびB:
(A)トリクロロエタン/フェノール=40/60(重量比)混合溶媒中、25℃で測定した固有粘度が0.2〜2.0dL/gであり、
(B)示差走査熱量計で測定した降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である
を満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0016】
(1)式で表されるジオールの例としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、1−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−プロピル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。中でも1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0017】
またさらには、ポリエステル樹脂が、式II、下記式IV:
0.7≦B2/B0≦1 (IV)
(式中、B0およびB2は上記と同じ)、
条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0018】
またさらには、ポリエステル樹脂が下記式V:
0.5≦A2/A0≦1 (V)
(式中、A0は上記と同じであり、A2はイソフタル酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ブラシル酸、および1,3−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれたジカルボン酸に由来する構成単位の合計数である)、
条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0019】
またさらには、ポリエステル樹脂が、下記式VI、
0.7≦A2/A0≦1 (VI)
(式中、A0およびA2は上記と同じである)、
条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0020】
またさらには、ポリエステル樹脂が下記式VII:
0.5≦A3/A0≦1 (VII)
(式中、A0は上記と同じであり、A3はイソフタル酸に由来する構成単位数である)、条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0021】
さらに、ポリエステル樹脂が、式V、下記式VIII:
0.5≦B3/B0≦1 (VIII)
(式中、B0は上記と同じであり、B3は1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種類のジオールに由来する構成単位の合計数である)、
条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0022】
またさらには、ポリエステル樹脂が、式V、下記式IX:
0.7≦B3/B0≦1 (IX)
(式中、B0およびB3は上記と同じである)、
条件AおよびBを満足すると、より高い制振性を得ることができるため好ましい。
【0023】
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、前記したジカルボン酸成分構成単位およびジオール成分構成単位に加えて、本発明の効果を損なわない程度に他の構成単位が含まれていても良い。その種類に特に制限はなく、ポリエステル樹脂を形成し得るすべてのジカルボン酸およびそのエステル(他のジカルボン酸)、ジオール(他のジオール)あるいはヒドロキシカルボン酸およびそのエステル(他のヒドロキシカルボン酸)に由来する構成単位を含むことができる。他のジカルボン酸の例としてはテレフタル酸、オルトフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、イソホロンジカルボン酸、3,9−ビス(2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステル;トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸などの三価以上の多価カルボン酸あるいはその誘導体が挙げられる。また、他のジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテル化合物類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどの脂環族ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)などのビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。また、他のヒドロキシカルボン酸としては、例えばヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシ酢酸、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、4,4’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸などが挙げられる。
【0024】
本発明に用いるポリエステルを製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。一般的には原料であるモノマーを重縮合することにより製造できる。例えばエステル交換法、直接エステル化法などの溶融重合法または溶液重合法を挙げることができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、また重合に用いる重合触媒、熱安定剤、光安定剤などの各種安定剤、重合調整剤なども従来既知のものを用いることができる。エステル交換触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの金属を含む化合物、またエステル化触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの金属を含む化合物、またエーテル化防止剤としてアミン化合物などが例示される。重縮合触媒としてはゲルマニウム、アンチモン、スズ、チタンなどの金属を含む化合物、例えば酸化ゲルマニウム(IV);酸化アンチモン(III)、トリフェニルスチビン、酢酸アンチモン(III);酸化スズ(II);チタン(IV)テトラブトキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、チタン(IV)ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシドなどのチタン酸エステル類が例示される。また熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸などの各種リン化合物を加えることも有効である。その他光安定剤、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤などを加えても良い。また、原料となるジカルボン酸成分は、前記のジカルボン酸成分構成単位が由来するジカルボン酸の他にそれらのジカルボン酸エステル、ジカルボン酸塩化物、活性アシル誘導体、ジニトリルなどのジカルボン酸誘導体を用いることもできる。
【0025】
本発明で使用する樹脂組成物にはポリエステル樹脂の他に導電性材料および/またはフィラーを分散させる。
導電性材料は既知のものを用いることができる。例えば、無機系では銀、鉄、鉛、銅、銅合金、ニッケル、低融点合金などの金属粉末や金属繊維;貴金属を被覆した銅や銀の微粒子;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物の微粒子やウイスカー;各種カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性カーボン粉末;PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長黒鉛などのカーボン繊維、有機系では低分子界面活性剤型帯電防止剤;高分子系帯電防止剤;ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー;金属を被覆したポリマー微粒子などが例示できる。これらは単独であるいは2種以上を併せて使用することができる。
【0026】
中でも、導電性材料として各種カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性カーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長黒鉛などのカーボン繊維から選ばれる少なくとも1種類以上の炭素材料を使用した方が好ましい。
【0027】
さらに、導電性材料として導電性カーボン粉末を少なくとも使用した場合に、より高い制振性が得られるため特に好ましい。
【0028】
導電性材料の含有量に特に制限はないが、樹脂組成物の0.01〜25重量%である場合に高い制振性が得られる。0.01重量%未満では導電性材料による制振性の向上効果が現れず、25重量%を超えると導電性材料の含有量が多いわりに制振性があまり向上せず且つ成形性に乏しくなってしまう。さらに高い制振性が得られるのは、樹脂組成物に導電性材料を1〜20重量%含んでいる場合であり、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0029】
ポリエステル樹脂と導電性材料との配合比率は、樹脂組成物の体積抵抗率が10E+12Ω・cm以下になるように調整することが好ましい。体積抵抗率が10E+12Ω・cm以下である場合により高い制振性能を得ることができるためである。本発明における体積抵抗率の測定はJIS K6911の方法に従って行う。
【0030】
また、本発明で使用する樹脂組成物には、上記ポリエステル樹脂に振動エネルギー吸収を向上させる目的でフィラーを充填させることが好ましい。本発明で使用されるフィラーとしては鱗片状の無機充填材を用いることが好ましく、例えばマイカ鱗片、ガラス片、セリサイト、グラファイト、タルク、アルミニウムフレーク、窒化硼素、二硫化モリブデン、黒鉛、などの鱗片状充填材が例示できる。これらの中でも、フィラーとしてマイカ鱗片を使用した場合に、より高い制振性能が得られるため好ましい。また、その他形状の異なるフィラーも、本発明の効果を損なわない程度に充填することができる。鱗片状以外の形状を有するフィラーとしては、例えばガラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、バライト、沈降硫酸バリウム、マグネシウムスリケート、アルミニウムシリケート、フェライト、クレー、ヒル石、モンモリロナイト、ステンレスフレーク、ニッケルフレーク、シリカ、硼砂、キルン灰、セメント、ドロマイト、鉄粉、鉛粉、銅粉などが挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
フィラーの含有量は、樹脂組成物全体に対して10〜80重量%であることが好ましい。10重量%未満ではフィラーを充填させた場合の制振性の向上効果が現れず、80重量%を超えると制振材料中におけるフィラーの含有量が多いわりに制振性があまり向上せず且つ成形性に乏しくなってしまう。
【0032】
本発明の制振性塗料に使用される樹脂組成物の混合方法は既知の方法を用いることができる。例えば、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの装置を用いて溶融混合する方法が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解あるいは膨潤させ、導電性材料および/またはフィラーを混入させた後に乾燥する方法、各成分を微粉末状で混合する方法なども採用することができる。
【0033】
本発明の制振性塗料は、ポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させてなる樹脂組成物からなる塗膜成分と有機溶剤および/または水からなる揮発成分とで形成される。有機溶剤としては、例えばエーテル系ではエチレングリコールモノエチルエーテルやセロソルブ、ブチルセロソルブ、、イソプロピルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチルカルビトール;アルコール系ではメタノールやエタノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール;エステル系では酢酸エチルや酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エトキシエチルプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、セロソルブアセテート、酢酸アミン;ケトン系ではアセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン;芳香族炭化水素としてはキシレンやトルエン、ベンゼン、ソルベントナフサ;脂肪族炭化水素としてはミネラルスピリットなどが挙げられるが、これに限定されない。また、2種以上の有機溶剤を用いた混合溶媒も適宜使用できる。
【0034】
本発明の制振性塗料は、上記樹脂組成物10〜70重量%と有機溶剤および/または水30〜90重量%を含むことが好ましい。樹脂組成物が10重量%未満では、塗膜に充分な塗料の粘度が得られず、塗工が困難となったり塗膜厚が薄くなったり、あるいは充分な制振性が得られないため好ましくない。一方で、樹脂組成物が70重量%を超えると塗料の粘度が高いために塗膜にひび割れが発生したり、塗膜乾燥に時間がかかったりという問題が出てくるため好ましくない。さらに好ましくは溶剤系塗料である場合は樹脂組成物30〜40重量%と有機溶剤60〜70重量%であり、水系塗料である場合は樹脂組成物40〜70重量%と水30〜60重量%である。
【0035】
本発明の制振性塗料は、ポリエステル樹脂と導電性材料および/またはフィラーとを塗膜成分とするものであるが、塗装性と密着性とを向上させる目的で、合成樹脂エマルジョンを用いることができる。溶媒または水に溶解あるいは分散された合成樹脂エマルジョンの例としては、例えばアクリル樹脂エマルジョン、アクリル−スチレン樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタンアルキッド樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、アクリル−塩化ビニル樹脂エマルジョン、ブタジエン樹脂エマルジョン、ブタジエン−アクリル樹脂エマルジョン、ブタジエン−スチレン樹脂エマルジョン、塩化ビニリデン樹脂エマルジョンなどが例示できる。
【0036】
本発明の制振性塗料は、ポリエステル樹脂と導電性材料および/またはフィラー、必要に応じて合成樹脂エマルジョンを塗膜成分とするものであるが、ポリエステル樹脂と導電性材料および/またはフィラー、必要に応じて合成樹脂エマルジョンとの組合せからなるものには限定されない。必要に応じて、1種以上の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、防錆剤、酸化防止剤、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、分散剤、乳化剤、中和剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、密着性向上剤、凍結防止剤、安定剤、皮張り防止剤、着色剤(顔料、染料)、相溶化剤、界面活性剤、帯電防止剤、滑剤、架橋剤、耐候剤、耐熱剤、加工助剤、光沢剤などを本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。なお、導電性材料、フィラー、合成樹脂エマルジョン、添加剤などの添加方法、添加順序などは特に限定されない。
【0037】
本発明の制振性塗料に用いる上記塗料組成物の分散、混合する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。例えば、ペイントシェーカー、ディゾルバー、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインドミル、ニーダー、アトライターなどの装置を用いて分散、混合する方法が挙げられる。
【0038】
本発明の制振性塗料を用いて塗装できる被塗物としては、鋼板や冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、銅板、真鍮板、FRP、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリウレタン、各種ゴムなどが例示できるが、これに限定されない。
【0039】
本発明の制振性塗料は、ポリエステル樹脂、導電性材料および/またはフィラー、必要に応じて合成樹脂エマルジョン、その他の添加剤を塗膜成分とし、これと溶媒とを混合することで得られるが、その塗装方法は既知の方法を用いることができる。例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、ヘラ塗り、エアスプレー塗り、ホットスプレー塗り、エアレススプレー塗り、カーテンフロー塗り、流し塗り、浸漬塗り、転がし塗り、遠心力塗り、静電塗装などが挙げられる。塗付後は常温にて適当な時間の乾燥工程を経るか、必要であれば加熱乾燥させることもできる。
【0040】
本発明の制振性塗料は、優れた制振性を有し、且つ使用する温度環境に合わせて調整可能であり、車輌、鉄道、航空機、家電・OA機器、精密機器、建築機械、土木建築物、靴、スポーツ用品などに適用される溶剤系塗料や水系塗料に好適に使用できる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ポリエステル樹脂および制振性塗料の評価は以下の方法によった。
(1)(A1+B1)/(A0+B0)、A1/A0、B2/B0、A2/A0、A3/A0、B3/B0
400MHz−H−NMRスペクトル測定結果の積分値の比から算出した。
(2)ポリエステルの構成単位のモル比
400MHz−H−NMRスペクトル測定結果の積分値の比から算出した。
(3)体積抵抗率
JIS K6911の方法によって測定した。
(4)固有粘度
ポリエステル樹脂の固有粘度([η])は、トリクロロエタン/フェノール=40/60(重量比)混合溶媒にポリエステル樹脂を溶解させ25℃に保持して、キャノンフェンスケ型粘度計を使用して測定した。
(5)降温時結晶化発熱ピークの熱量
ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱ピークの熱量(以下「ΔHc」という)は、島津製作所製DSC/TA−50WS型示差走査熱量計を使用して測定した。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(30ml/分)、昇温速度20℃/分で280℃まで昇温、280℃で1分間保持した後、10℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から求めた。
(6)損失係数
ポリエステル樹脂と導電性材料、フィラー、合成樹脂エマルジョン、溶媒などとを混合して塗料を作製した。厚さ1mmの基板(アルミニウム合金 5052材)上に所望の塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、溶剤系塗料の場合は50℃下で24時間乾燥、水系塗料の場合は120℃下で40分乾燥させて非拘束型制振材を作製した。得られた非拘束型制振材を損失係数測定装置(株式会社小野測器製)を用いて、測定温度範囲が0〜80℃の条件で中央加振法により500Hz反共振点での損失係数を測定した。上記の測定温度範囲において得られた損失係数の最大値を比較することで制振性を評価した。なお、損失係数が大きいほど制振性が高い。
(7)温度特性
上記(6)で得られた損失係数の値が0.07以上となる温度幅(低温側と高温側との幅、単位:℃)を測定し、温度特性を評価した。なお、この温度幅が大きいほど温度特性に優れた汎用性のある材料と言える。
(8)塗膜表面性
厚さ1mmの基板(アルミニウム合金 5052材)上に塗膜を形成し、溶剤系塗料の場合は50℃下で24時間乾燥後、水系塗料の場合は120℃下で40分乾燥後の塗膜の状態(クラックや膨れ、剥離の有無)を調べた。クラックや膨れ、剥離の有ったものを×、なかったものを○とした。
(9)耐熱性
厚さ1mmの基板(アルミニウム合金 5052材)上に塗膜形成後、溶剤系塗料の場合は50℃下で24時間乾燥、水系塗料の場合は120℃下で40分乾燥したものを試験片とし、垂直にして80℃で24時間静置後の塗膜の状態(クラックや膨れ、剥離、塗料の流れ落ちの有無)を調べた。クラックや膨れ、剥離、塗料の流れ落ちの有ったものを×、なかったものを○とした。
(10)密着性
厚さ1mmの基板(アルミニウム合金 5052材)上に塗膜形成後、溶剤系塗料の場合は50℃下で24時間乾燥、水系塗料の場合は120℃下で40分乾燥した試験片にセロハンテープを押し付け、テープを一気に剥した場合に塗膜が少しでも剥がれたものを×、全く剥がれなかったものを○とした。
【0042】
<実施例1>
充填塔式精留塔、攪拌翼、分縮器、全縮器、コールドトラップ、温度計、加熱装置および窒素ガス導入管を備えた内容積30リットル(L)のポリエステル製造装置に、イソフタル酸(エイ・ジイ・インターナショナル・ケミカル株式会社製)8292.1g(50.25モル)、アゼライン酸(コグニス社製EMEROX1144:ジカルボン酸99.97%、アゼライン酸93.3モル%)4480.7g(24.75モル)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(大連化学工業株式会社製)13520g(150.0モル)を加え、常圧、窒素雰囲気下で225℃迄昇温して3.0時間エステル化反応を行った。イソフタル酸の反応転化率を85モル%以上とした後、チタン(IV)テトラブトキシド,モノマー(和光純薬株式会社製)12.2g(初期縮合反応生成物の全重量に対するチタンの濃度が72ppm)を加え、昇温と減圧を徐々に行い、2−メチル−1,3−プロパンジオールを系外に抜き出しつつ、最終的に240〜250℃、0.4kPa以下で重縮合反応を行った。徐々に反応混合物の粘度と攪拌トルク値が上昇し、適度な粘度に到達した時点あるいは2−メチル−1,3−プロパンジオールの留出が停止した時点で反応を終了した。得られたポリエステル樹脂(1)の性状は[η]=0.70(dL/g)、ΔHc=0(J/g)であった。このポリエステル樹脂(1)((A1+B1)/(A0+B0)=1.0;(A1/A0)=1.0;(A2/A0)=0.67;(B2/B0)=1.0;(B3/B0)=1.0)14.4重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は6.8E+6Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0043】
<実施例2>
ジカルボン酸成分構成単位の原料としてイソフタル酸(エイ・ジイ・インターナショナル・ケミカル株式会社製)/コグニス社製EMEROX1144(ジカルボン酸99.97%、アゼライン酸93.3モル%)=73/27(モル比)混合物を使用し,ジオール成分構成単位の原料として1,3−プロパンジオール(シェル・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂(2)を得た。得られたポリエステル樹脂(2)の性状は[η]=0.75(dL/g)、ΔHc=0(J/g)であった。このポリエステル樹脂(2)((A1+B1)/(A0+B0)=1.0;(A1/A0)=1.0;(A2/A0)=1.0;(B2/B0)=1.0;(B3/B0)=1.0)14.4重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は6.7E+6Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0044】
<実施例3>
ジオール成分構成単位の原料として1,5−ペンタンジオール(和光純薬株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリエステル樹脂(3)を得た。得られたポリエステル樹脂(3)の性状は[η]=0.69(dL/g)、ΔHc=0(J/g)であった。このポリエステル樹脂(((A1+B1)/(A0+B0)=1.0;(A1/A0)=1.0;(A2/A0)=1.0;(B2/B0)=1.0;(B3/B0)=1.0)14.4重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は6.7E+6Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0045】
<実施例4>
ポリエステル樹脂(1)13.7重量部と、二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.8重量部、増粘剤1重量部、水61重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0046】
<実施例5>
ポリエステル樹脂(1)9重量部と、二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)9重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)19重量部、増粘剤1重量部、水62重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0047】
<実施例6>
ポリエステル樹脂(1)14重量部と、硫化亜鉛粉末(堺化学工業株式会社製)4.7重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)18.3重量部、増粘剤1重量部、水62重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0048】
<実施例7>
ポリエステル樹脂(1)9.3重量部と、硫化亜鉛粉末(堺化学工業株式会社製)9.3重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)19.4重量部、増粘剤1重量部、水61重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0049】
<実施例8>
ポリエステル樹脂(1)13.4重量部とマイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)24.6重量部、増粘剤1重量部、水61重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0050】
<比較例1>
ジカルボン酸成分構成単位の原料としてテレフタル酸(水島アロマ株式会社製)、ジオール成分構成単位の原料としてエチレングリコール(日曹丸善ケミカル社製、ファイバーグレード)を使用した以外は実施例1と同様な方法で得たポリエステル樹脂(4)([η]=0.85(dL/g)、ΔHc=38(J/g)、(A1+B1)/(A0+B0)=0;(A1/A0)=0;(A2/A0)=0;(B2/B0)=0;(B3/B0)=0)14.4重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は6.8E+6Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0051】
<比較例2>
ジカルボン酸成分構成単位の原料としてテレフタル酸、ジオール成分構成単位の原料としてエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール混合物からなるポリエステル樹脂であるPETG(イーストマンケミカル社製、商品名:EASTER6763)([η]=0.75(dL/g)、ΔHc=0(J/g)、(A1+B1)/(A0+B0)=0;(A1/A0)=0;(A2/A0)=0;(B2/B0)=0;(B3/B0)=0)14.4重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は6.3E+6Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0052】
<比較例3>
ジカルボン酸成分構成単位の原料としてテレフタル酸(水島アロマ株式会社製)/セバシン酸(豊国製油株式会社製)混合物、ジオール成分構成単位の原料としてエチレングリコール(日曹丸善ケミカル社製、ファイバーグレード)を使用した以外は実施例1と同様な方法で得たポリエステル樹脂(5)([η]=0.35(dL/g)、ΔHc=0(J/g)、(A1+B1)/(A0+B0)=0;(A1/A0)=0;(A2/A0)=0;(B2/B0)=0;(B3/B0)=0)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は5.5E+7Ω・cmであった。さらに、増粘剤1重量部、水60重量部を加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、120℃下で40分乾燥させて塗膜を作製した。表1に塗膜性能試験の結果を示す。
【0053】
【表1】

【0054】
<実施例9>
ポリエステル樹脂(1)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.8E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0055】
<実施例10>
ポリエステル樹脂(2)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.6E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0056】
<実施例11>
ポリエステル樹脂(3)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.7E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0057】
<実施例12>
ポリエステル樹脂(1)13.7重量部と、二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)1.6重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)23重量部、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.7重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0058】
<実施例13>
ポリエステル樹脂(1)9.5重量部と、二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)9.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)19重量部、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)62重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0059】
<実施例14>
ポリエステル樹脂(1)14.3重量部と、硫化亜鉛粉末(堺化学工業株式会社製)4.8重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)19重量部、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0060】
<実施例15>
ポリエステル樹脂(1)9.8重量部と、硫化亜鉛粉末(堺化学工業株式会社製)9.8重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)19.8重量部、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)60.6重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0061】
<実施例16>
ポリエステル樹脂(1)13.4重量部とマイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)24.8重量部、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.8重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0062】
<比較例4>
塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0063】
<比較例5>
導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部と塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)88.5重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0064】
<比較例6>
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)10重量部と塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)90重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0065】
<比較例7>
硫化亜鉛粉末(堺化学工業株式会社製)10重量部と塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)90重量部を混合して塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約2.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0066】
<比較例8>
ポリエステル樹脂(4)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.6E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0067】
<比較例9>
PETG(イーストマンケミカル社製、商品名:EASTER6763)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.7E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0068】
<比較例10>
ポリエステル樹脂(5)13.7重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)1.5重量部、マイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:B−82)22.9重量部を二軸混練機を用いて200℃で混練した。この樹脂組成物の体積抵抗率は7.6E+6Ω・cmであった。さらに、塗料用アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、商品名:ユピカコートAC3101、不揮発分45wt%)61.9重量部をを加えてディゾルバーにて混合し塗料組成物を得た。この塗料組成物を、基板上に厚み約1.6mmの塗膜厚になるようにスペーサーとコーターとを用いて塗布した後、50℃下で24時間乾燥させて塗膜を作製した。表2に塗膜性能試験の結果を示す。
【0069】
【表2】

表1および表2に示すように、実施例の本発明による塗料は制振性が高いのみに限らず、温度特性と塗膜表面性、耐熱性、密着性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸成分構成単位とジオール成分構成単位からなるポリエステル樹脂に導電性材料および/またはフィラーを分散させてなる樹脂組成物10〜70重量%ならびに有機溶剤および/または水30〜90重量%を含む制振性塗料であって、該ポリエステル樹脂が下記式I:
0.5≦(A1+B1)/(A0+B0)≦1 (I)
(式中、A0は全ジカルボン酸成分構成単位数、B0は全ジオール成分構成単位数、A1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジカルボン酸成分構成単位数、およびB1は主鎖中の炭素原子数が奇数であるジオール成分構成単位数をあらわす)
を満足することを特徴とする制振性塗料。
【請求項2】
ポリエステル樹脂が下記式II:
0.5≦A1/A0≦1 (II)
(式中、A0およびA1は上記と同じ)、
および下記式III:
0.5≦B2/B0≦1 (III)
(式中、B0は上記と同じであり、B2は式(1):
【化1】


(式中、nは3または5であり、複数個のRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素数1〜3のアルキル基をあらわす)で表されるジオールに由来する構成単位の合計数である)
を満足する請求項1記載の制振性塗料。
【請求項3】
ポリエステル樹脂が下記条件AおよびB:
(A)トリクロロエタン/フェノール=40/60(重量比)混合溶媒中、25℃で測定した固有粘度が0.2〜2.0dL/gであり、
(B)示差走査熱量計で測定した降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である
を満足する請求項1記載の制振性塗料。
【請求項4】
ポリエステル樹脂が、下記式IV:
0.7≦B2/B0≦1 (IV)
(式中、B0およびB2は上記と同じ)
を満足する請求項2記載の制振性塗料。
【請求項5】
ポリエステル樹脂が、下記式V:
0.5≦A2/A0≦1 (V)
(式中、A0は上記と同じであり、A2はイソフタル酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ブラシル酸、および1,3−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群より選ばれたジカルボン酸に由来する構成単位の合計数である)
を満足する請求項2記載の制振性塗料。
【請求項6】
ポリエステル樹脂が、下記式VI、
0.7≦A2/A0≦1 (VI)
(式中、A0およびA2は上記と同じである)
を満足する請求項5記載の制振性塗料。
【請求項7】
ポリエステル樹脂が、下記式VII:
0.5≦A3/A0≦1 (VII)
(式中、A0は上記と同じであり、A3はイソフタル酸に由来する構成単位数である)、
を満足する請求項5記載の制振性塗料。
【請求項8】
ポリエステル樹脂が、下記式VIII:
0.5≦B3/B0≦1 (VIII)
(式中、B0は上記と同じであり、B3は1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種類のジオールに由来する構成単位の合計数である)
を満足する請求項2記載の制振性塗料。
【請求項9】
ポリエステル樹脂が、下記式IX:
0.7≦B3/B0≦1 (IX)
(式中、B0およびB3は上記と同じである)
を満足する請求項8記載の制振性塗料。
【請求項10】
前記主鎖中の炭素原子数が奇数であるジオール成分構成単位が1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、およびネオペンチルグリコールから群より選ばれた少なくとも1種のジオールに由来する構成単位である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項11】
前記主鎖中の炭素原子数が奇数であるジカルボン酸成分構成単位が、イソフタル酸に由来する構成単位である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項12】
前記主鎖中の炭素原子数が奇数であるジカルボン酸成分構成単位が、イソフタル酸およびアゼライン酸に由来する構成単位である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項13】
前記樹脂組成物が導電性材料を含み、導電性材料が炭素材料である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項14】
前記樹脂組成物が導電性材料を含み、導電性材料が導電性カーボン粉末である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項15】
前記樹脂組成物が導電性材料を含み、該組成物中の導電性材料の含有量が、0.01〜25重量%である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項16】
前記樹脂組成物が導電性材料を含み、該組成物の体積抵抗率が10E+12Ω・cm以下である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項17】
前記樹脂組成物がフィラーを含み、フィラーが鱗片状の無機充填材である請求項1記載の制振性塗料。
【請求項18】
フィラーがマイカ鱗片である請求項17記載の制振性塗料。
【請求項19】
前記樹脂組成物がフィラーを含み、フィラーの含有量が、10〜80重量%である請求項1記載の制振性塗料。

【公開番号】特開2007−56165(P2007−56165A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244505(P2005−244505)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】