説明

高加圧下高吸収倍率吸水性樹脂の製造法

【課題】 衛生用品等の吸収体に用いた場合に、少量かつ高荷重下でも十分な吸収能力を発揮できるような吸水性樹脂の製造方法の提供。
【解決手段】
不飽和カルボン酸アンモニウム塩およびその他の単量体、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を重合、乾燥後、加熱処理する方法において、加熱処理を特定の条件下で行うことにより、重合体中のカルボン酸アンモニウム単位の一部を熱分解させてカルボン酸単位とし、上記カルボン酸反応性架橋剤の一部を架橋させることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンモニウムカチオンをカウンターカチオンとする酸基含有単量体を重合して得られる重合体を主成分とする吸水性樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、加圧下において非常に高い吸水倍率を有する吸水材を提供し、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料を始め、様々な用途において好適に用いられる吸水性樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、合成高分子の1種として、大量の水を吸収してゲル化する吸水性樹脂が開発され、紙おむつ、生理用ナプキン等の衛材分野、農林業分野、土木分野等に幅広く利用されている。この様な吸水性樹脂として例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体(例えば特許文献1参照)、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物(例えば特許文献2参照)、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(例えば特許文献3参照)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の鹸化物(例えば特許文献4参照)、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物(例えば特許文献5参照)など多くが知られている。
【0003】
上記の吸水性樹脂が備えるべき特性としては従来より、体液等の水性液体に接した際の高い吸水倍率や優れた吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引量等が求められている。しかしながら、これらの特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、吸水倍率の高いものほど通液性、ゲル強度、吸収速度等の物性は低下してしまう傾向にあった。
そこで、このような吸水性樹脂の吸水諸特性をバランス良く改良する方法として吸水性樹脂の表面近傍を架橋する技術が知られており、これまでに様々な方法が提案されている。
【0004】
例えば、架橋剤として、多価アルコールを用いる方法(例えば特許文献6、7参照)、多価グリシジル化合物、多価アジリジン化合物、多価アミン化合物、多価イソシアネート化合物を用いる方法(例えば特許文献8参照)、グリオキサールを用いる方法(例えば特許文献9参照)、多価金属を用いる方法(例えば特許文献10、11参照)、シランカップリング剤を用いる方法(例えば特許文献12、13、14参照)等が知られている。
【0005】
また架橋反応時に、架橋剤を吸水性樹脂表面により均一に分布させ、均一な表面架橋を行う試みとして架橋剤の添加時に、不活性無機粉末を存在させる方法(例えば特許文献15、16参照)、二価アルコールを存在させる方法(例えば特許文献17参照)、水とエーテル化合物とを存在させる方法(例えば特許文献18参照)、リン酸を存在させる方法(例えば特許文献19参照)等も知られている。
また、上記方法の応用例として残留モノマーを低減させる目的で特定組成の中和単量体を上記架橋剤と混合し加熱処理しながら表面架橋する方法(例えば特許文献20、21)も知られている。
【0006】
しかし、これらの方法によって吸水性樹脂の諸物性のバランスは改良がなされるものの未だに十分とは言い難く、更なる高品質化が求められている。特に近年の傾向である、吸水性樹脂を多量に使用し薄型化された衛生用品における吸収体に用いられる吸水性樹脂の必要特性を考えた場合、上記の従来方法では、まだまだ十分な物性レベルにまで到達していないのが現状である。
【0007】
また近年、平均寿命の上昇に伴い高齢者向けの紙おむつの需要が増している。高齢者向けの紙おむつにおいては乳幼児向けに比べ、紙おむつにかかる荷重が大きいこと、また、一回当たりの排泄量が多いことより、「装着時により重い荷重がかかっても十分な吸収能力を発揮できるような高荷重下での優れた吸水倍率」を有する吸水性樹脂がより強く求められている。
【0008】
【特許文献1】特開昭55−84304号公報
【特許文献2】特公昭49−43395号公報
【特許文献3】特開昭51−125468号公報
【特許文献4】特開昭52−14689号公報
【特許文献5】特公昭53−15959号公報
【特許文献6】特開昭58−180233号公報
【特許文献7】特開昭61−16903号公報
【特許文献8】特開昭59−189103号公報
【特許文献9】特開昭52−117393号公報
【特許文献10】特開昭51−136588号公報
【特許文献11】特開昭61−257235号公報
【特許文献12】特開昭61−211305号公報
【特許文献13】特開昭61−252212号公報
【特許文献14】特開昭61−264006号公報
【特許文献15】特開昭60−163956号公報
【特許文献16】特開昭60−255814号公報
【特許文献17】特開平1−292004号公報
【特許文献18】特開平2−153903号公報
【特許文献19】特表平8−508517号公報
【特許文献20】特開平6−122707号公報
【特許文献21】特開平6−122708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、衛生用品等の吸収体に用いた場合に、少量でも十分な吸水能力を発揮できるような高い吸水倍率を有する吸水性樹脂の製造方法、または装着時により重い荷重がかかっても十分吸収能力を発揮できるような高荷重下での優れた吸水倍率を有する吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸アンモニウム塩およびその他の単量体、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合し得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する製造方法において、該加熱処理工程の加熱処理温度と加熱処理時間を特定の条件下で実施することで、加圧下吸収倍率を向上させることを発見し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は次の[1]〜[4]である。
【0011】
[1]不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が下記数式(1)〜(5)のいずれかで示される条件下で行われることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
−7.5T+1245≦t≦−6T+1200(150≦T<160) (1)
−3.5T+605≦t≦−6T+1200(160≦T<170) (2)
−0.5T+95≦t≦−13T+2390(170≦T<180) (3)
−0.5T+95≦t≦−2T+410(180≦T<190) (4)
0<t≦−1.5T+315(190≦T≦200) (5)
【0012】
[2]不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が、下記数式(6)〜(10)のいずれかで示される条件下で行われることを特徴とする上記[1]の吸収性樹脂の製造方法。
−6T+1020≦t≦−15T+2550(150≦T<160) (6)
−3T+540≦t≦−3T+630(160≦T<170) (7)
−2.4T+438≦t≦−8.8T+1616(170≦T<180) (8)
−0.5T+96≦t≦−1.35T+273.5(180≦T<190) (9)
−0.1T+20≦t≦−1.35T+273.5(190≦T≦200) (10)
[3]不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が、下記数式(11)または(12)で示される条件下で行われることを特徴とする上記[1]の吸収性樹脂の製造方法。
−1.2T+232≦t≦−2.8T+538(185≦T<190) (11)
−0.6T+118≦t≦−0.8T+158(190≦T≦195) (12)
【0013】
[4]重合用原料溶液が、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、(メタ)アクリル酸塩0モル%以上45モル%未満、その他の単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液であることを特徴とする上記[1]〜[3]の吸水性樹脂の製造方法。
但し、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体の総和を100モル%とし、ラジカル重合性架橋剤およびカルボン酸反応性架橋剤のモル%は前記で定義した100モル%に対する外割である。
また、上記数式(1)〜(12)において、Tは加熱処理温度[℃]、tは加熱処理時間[min]である。)
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法によって得られる吸水性樹脂は、加熱処理条件の設定により、荷重下における吸水性能に優れ、かつ、無加重下での吸水性能にも優れるという特徴を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明では、重合用原料として、不飽和カルボン酸アンモニウム塩およびその他の単量体、架橋剤等を含む溶液を用い重合反応を行い、その後、乾燥工程、加熱処理工程を含む製造方法であって、該加熱処理工程において、特定の加熱処理条件で実施することが必須である。
【0016】
すなわち、不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む重合用原料溶液を重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する製造法であって、該加熱処理工程で、重合体中のカルボン酸アンモニウム単位の一部を熱分解させてカルボン酸単位とし、上記カルボン酸反応性架橋剤の一部を架橋させ、表面近傍だけ架橋硬化するのでは無く、樹脂全体として後架橋硬化し、樹脂全体のゲル強度を調整することで、加圧下で高い吸収倍率を示しつつ、無加圧下状態においても比較的高い吸収倍率を示す樹脂を製造することに成功した。
以下重合用原料である、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、およびその他の単量体、架橋剤等のそれぞれについて説明する。
【0017】
(不飽和カルボン酸アンモニウム塩の説明)
本発明の不飽和カルボン酸アンモニウム塩とは、不飽和結合とカルボン酸アンモニウム基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸アンモニウム基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。この様な、アンモニウム塩を生成する不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸のアンモニウム塩の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸アンモニウムおよびメタクリル酸アンモニウムが好ましい。
【0018】
不飽和カルボン酸アンモニウムの使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、55〜100モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アンモニウムの含有モル%が高い方が好ましく、80〜100モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、90〜100%である。
【0019】
この不飽和カルボン酸アンモニウムに、一部不飽和カルボン酸アミドが含有されていても構わない。不飽和アミドとは分子内に不飽和結合と一般式R-CONH(Rはアルキル基、アリール基など)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、Cinnamamide、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
【0020】
(不飽和カルボン酸アンモニウムの製法の説明)
本発明における不飽和カルボン酸アンモニウムは、如何なる製法で製造されたものでも構わない。例えば、(a)不飽和ニトリルおよび/または不飽和アミドを微生物による加水分解反応に供する方法、(b)不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法が上げられる。
以下、上記(a)、(b)の方法について説明する。
【0021】
(a)微生物による加水分解法
微生物による加水分解反応に供される不飽和ニトリルとは、分子内に不飽和結合とシアン基を両方含む化合物のことをいう。不飽和結合とシアン基をそれぞれ多数含んでいてもかまわない。不飽和結合とは炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)あるいは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。このような化合物の例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリルなどがあげられる。なかでもアクリロニトリル及びメタクリロニトリルが好ましく、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0022】
また、微生物による加水分解反応に供される不飽和アミドとは、分子内に不飽和結合と一般式R-CONH(Rはアルキル基、アリール基など)で表される官能基を両方含む化合物のことをいう。このような化合物としては、Cinnamamide、アクリルアミド、メタクリルアミドなどがあげられるが、アクリルアミド及びメタクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミドが好ましい。
【0023】
不飽和ニトリル及び/又は不飽和アミドの微生物による加水分解条件には特に制限はないが、該微生物としては、20重量%以上の濃度の不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液を生産できる微生物が好ましい。このような微生物としては、アシネトバクター属、アルカリゲネス属、コリネバクテリウム属、ロドコッカス属、ゴルドナ属からなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。上記微生物の中ではアシネトバクター属の微生物が好ましく、その中でも該微生物がアシネトバクターsp.AK226菌株(微工研菌寄第8271号)またはアシネトバクターsp.AK227菌株(微工研菌寄第8272号)であることが最も好ましい。なお、アシネトバクターsp.AK226菌株(微工研菌寄第8271号)およびアシネトバクターsp.AK227菌株(微工研菌寄第8272号)の微生物学的性質は、特公昭63−2596号公報に示す通りである。
【0024】
この微生物による加水分解法で生成される不飽和カルボン酸アンモニウム水溶液は、不飽和カルボン酸の二量体および/または水和物などの不純物量が極めて微量であるので、該製法は好ましい方法である。
該不純物の具体的例としては、アクリル酸の場合では、アクリル酸の二量体であるβ−アクリロイルオキシプロピオン酸およびアクリル酸の水和物であるβ−ヒドロキシプロピオン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
【0025】
(b)不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法
不飽和カルボン酸をアンモニアで中和する方法に供される不飽和カルボン酸は、前述の不飽和カルボン酸と同様のものが使用される。
この不飽和カルボン酸はどのような製法で作られたものでもよい。このような不飽和カルボン酸に、不純物が多量に含まれている場合は、生成して不純物を低減させることが好ましい。
【0026】
ここでいう不純物とは、分解して単量体成分となりうる化合物のことをいう。例えば、不飽和結合が水和したものやオリゴマーなど、アクリル酸においてはβ−ヒドロキシプロピオン酸やβ−アクリロイルオキシプロピオン酸などがあげられる。
精製の方法は、不純物の量を規定量以下に低減することができれば、どのような方法でもよく、手段は特に制限されるものではない。方法としては例えば、特開平6−56931号公報記載のように蒸留で行ってもよい。不純物の量は1000ppm以下まで低減させることが好ましく、さらに好ましくは500ppm以下、更に好ましくは300ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。不純物が多いと、得られた吸水性樹脂の残存モノマーが多く、さらにその後の製造工程によって残存モノマーが増加するという現象を示し、さらにはポリマーの諸物性が不十分となる場合もあり好ましくない。
【0027】
中和方法としては、特に制限されるものではない。アンモニア水を用いてもよいし、アンモニアのガスを用いてもよい。特開平6−56931号公報及び特公平7−49449号公報記載のように少なくとも中和工程中の一時期はアクリル酸の中和率が100モル%を超える状態を経過する条件下に中和してもよい。中和工程においては、冷却によって温度を0〜50℃に保つことが好ましい。温度が上がりすぎると、β―ヒドロキシプロピオン酸やオリゴマーが生成してしまうため好ましくない。
【0028】
(不飽和カルボン酸アルカリ金属塩)
本発明における不飽和カルボン酸アルカリ金属塩とは、不飽和結合とカルボン酸アルカリ金属基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸アルカリ金属基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。この様な、アルカリ金属塩を生成する不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸アルカリ金属塩およびメタクリル酸アルカリ金属塩が好ましい。また、アルカリ金属としては、生成した樹脂の吸収倍率を向上させるには、リチウムが好ましく、衛生材料として使用する際の安全性からは、ナトリウムが好ましい。
【0029】
不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、0〜45モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有モル%が低い方が好ましく、0〜20モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、0〜10%である。
【0030】
(不飽和カルボン酸)
本発明における不飽和カルボン酸とは、不飽和結合とカルボン酸基の両方を有する化合物のことをいう。これは、不飽和結合とカルボン酸基をそれぞれ多数含んでも構わない。不飽和結合とは、炭素原子間の結合に二重結合(エチレン結合)或いは三重結合(アセチレン結合)を含むものをいう。この様な、不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが代表的な例として挙げられる。これらの不飽和カルボン酸の中で、重合性と重合体の吸収性の点からアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0031】
不飽和カルボン酸の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、0〜45モル%の範囲で重合用原料液中に含まれる。本重合用原料液より製造される吸収性樹脂の吸収倍率を向上させるためには、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有モル%が低い方が好ましく、0〜20モル%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、0〜10%である。
【0032】
(その他単量体)
本発明におけるその他単量体とは、主として単官能性不飽和単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等に代表される酸基含有の親水性単官能性不飽和単量体およびその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等に代表されるアミド基含有の親水性単官能性不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等に代表されるエステル化された親水性不飽和単量体、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩等に代表されるN原子含有親水性単官能性不飽和単量体、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、アルキル(メタ)アクリレート、などの疎水性単官能性不飽和単量体を挙げることができる。
【0033】
これらの中でも(メタ)アクリル酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0034】
これらの単量体の重合用原料溶液中の含有量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、0〜45モル%の範囲である。これらは種々の目的応じた吸収性樹脂の改質のために使用されるので、目的毎に最適使用量は異なるが、吸収性樹脂の吸収倍率の低下を低く抑えるためには、少量であることが好ましく、0〜20モル%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、0〜5モル%の範囲である。
【0035】
(ラジカル重合性架橋剤)
本発明では、重合に際して単官能性不飽和単量体以外にラジカル重合性架橋剤を用いて内部に架橋構造を導入することが望ましい。ラジカル重合性架橋剤は、重合性不飽和基及び/又は反応性基を一分子中に複数有する化合物であればよい。親水性の高い化合物を内部架橋剤として用いると樹脂の吸水性能を向上させるので、好ましい。なお、単官能性不飽和単量体が自己架橋型の化合物の場合は、ラジカル重合性架橋剤を用いなくても内部架橋構造を形成することが可能である。
【0036】
ラジカル重合性架橋剤としては、例えば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等に代表される一分子内に複数の不飽和結合を有する化合物、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等に代表される一分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらラジカル重合性架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい
【0037】
ラジカル重合性架橋剤の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、外割で0〜5モル%であり、好ましくは0.005〜3モル%、さらに好ましくは0.01〜1.5モル%、最も好ましくは0.01〜0.09モル%である。
ラジカル重合性架橋剤の使用は、カルボン酸反応性架橋剤の使用量に応じて変化させることができる。即ち、カルボン酸反応性架橋剤を比較的多く使用する場合は、ラジカル重合性架橋剤は少なくても(0モル%を含む)架橋体が維持できるし、カルボン酸反応性架橋剤を少量(0モル%を含む)しか使用しない場合は、比較的多めのラジカル重合性架橋剤を使用する必要が生じる。ラジカル重合性架橋剤の量が少ないと重合体の可溶分が著しく多くなり、ラジカル重合性架橋剤の量が多いとゲルが硬くなり吸水性能が著しく低下する。
【0038】
(カルボン酸反応性架橋剤)
本発明におけるカルボキシル基と反応しうる官能基を2個以上含有する化合物(以下、「カルボン酸反応性架橋剤」ともいう)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等に代表される各種多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート)等に代表される多価アジリジン化合物、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等に代表される各種アルキレンカーボネート化合物、グリオキサールに代表される各種多価アルデヒド化合物、2,4−トリレンジイソシアネートに代表される多価オキサゾリン化合物、エピクロルヒドリンに代表されるのハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等に代表される多価イオンなどがあげられる。
【0039】
このようなカルボン酸反応性架橋剤の中から、多価アルコール類、多価グリシジル化合物類、多価アミン類、アルキレンカーボネートからなる群より選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
カルボン酸反応性架橋剤の重合用原料溶液中の含有量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、外割で0モル%以上5モル%未満である。
【0040】
カルボン酸反応性架橋剤の使用量は、ラジカル重合性架橋剤の使用量に応じて変化させることができる。即ち、ラジカル重合性架橋剤を比較的多く使用する場合は、カルボン酸反応性架橋剤は少なくても(0モル%を含む)架橋体が維持できるし、ラジカル重合性架橋剤を少量(0モル%を含む)使用する場合は、比較的多めのカルボン酸反応性架橋剤を使用する必要が生じる。
カルボン酸反応性架橋剤の使用量の好ましい量としては0.1〜3モル%、更に好ましくは0.5〜2モル%の範囲である。カルボン酸反応性架橋剤の量が少なすぎる場合は重合体の可溶分が著しく多くなり、カルボン酸反応性架橋剤の量が多すぎる場合はゲルが硬くなり過ぎ吸収性能が低下する。
また、上記単官能性不飽和単量体と内部架橋剤の他、必要に応じて、発泡剤、連鎖移動剤、界面活性剤、キレート剤等を添加して重合してもよい。
【0041】
(ラジカル開始剤と還元剤の説明)
本発明のラジカル重合反応に用いられる開始剤としては、通常、過酸化物と還元剤を混合することで、ラジカル反応を開始させることができる。
過酸化物としては、どのような過酸化物でも使用可能であるが、親水性の高い過酸化物を使用することが好ましく、例えばヒドロパーオキサイド類、過酸塩類、等が好適な過酸化物として使用される。ヒドロパーオキサイド類とは、一般式ROOH(Rは水素、アルキル基、そのほかの有機および/または無機原子団)で表される化合物のことをいう。このような化合物の例としては、過酸化水素、メチルヒドロパーオキサイド、アリルヒドロパーオキサイド、ベンジルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキシドなどがあげられる。過酸塩類として、代表的なものは、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩等が挙げられる。
これら過酸化物は1種のみを使用してもよいし、2種またはそれ以上のものを複数組み合わせて使用してもよい。
【0042】
これら過酸化物の中で、ヒドロパーオキサイドを使用することが好ましい。開始剤としてヒドロパーオキサイドを使用することで、主鎖の開始剤末端がOH基となり、他の主鎖中のカルボキシル基と反応できるため、見かけとして高分子量化されるため吸水倍率が高くなると考えられる。勿論、ヒドロパーオキサイド以外のラジカル重合開始剤を併用してもかまわない。
ヒドロパーオキシドの中では、過酸化水素を用いることが好ましい。
【0043】
過酸化物の使用量は、ラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、外割で、好ましくは0.001〜2モル%、さらに好ましくは0.01〜0.5モル%である。開始剤の量が少なすぎると、発生するラジカルが少なすぎて未反応単量体が大量に残ってしまう。また開始剤の量が多すぎると、重合後の不純物が増えるため好ましくない。
【0044】
本発明の重合開始に利用される還元剤はもともと重合用単量体原料に含まれていてもよいし、重合時に添加してもよい。還元剤とは還元をおこさせることのできる物質をいう。このような還元性成分として、たとえば水素を始め硫化水素など比較的不安定な水素化合物、一酸化炭素、亜硫酸塩、重亜硫酸塩などの低級酸化物、または低級酸化物の塩、硫化ナトリウムなどの硫黄化合物、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの電気的陽性の大きい金属、またはそれらのアマルガム、鉄(II)、スズ(II)、チタン(III)、クロム(II)などの低原子価状態にある金属の塩類、アルデヒド類、糖類、蟻酸などの自らが酸化反応を受け易い有機化合物などがある。他にはチオ硫酸ナトリウム、ヒドラジン水和物、アスコルビン酸、エリトルビン酸、ロンガリットなどもあげられる。これら還元剤は、1種のみ使用しても構わないし、2種以上使用しても構わない。
【0045】
これらの中で、電気的陽性の大きい金属や低原子価状態にある金属の塩類、アルカリ金属の亜硫酸塩、アルカリ金属の重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸、エリトルビン酸、ロンガリット等が好ましい還元剤として挙げられる。 最も好ましい還元剤はロンガリットであり、ロンガリットと電気的陽性の大きい金属を併用するとさらに重合物中の残存モノマー量が少なくなるという特徴がある。
【0046】
これらの還元剤の使用量はラジカル重合性単量体総モル量(これは、不飽和カルボン酸アンモニウム、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体のそれぞれのモル量の総和である。)を100モル%とした場合に、外割で0.000001〜12重量%が好ましく、更に好ましくは0.00001〜6重量%、より好ましくは0.0001〜1.2重量%である。
【0047】
(重合反応)
ラジカル重合性不飽和単量体の重合方法には特に制限はないが、溶液重合、逆相懸濁重合などの公知の方法が好ましく使用される。反応器の形式は特に限定するものではなく回分式もしくは連続式のいずれでもかまわない。重合開始方法は特に限定しないが、ラジカル重合開始剤による重合、放射線、電子線などの照射による重合、光増感剤による紫外線重合を行うこともできる。
重合開始温度は0〜70℃で行うことができる。ラジカル重合性単量体溶液中のラジカル重合性単量体濃度は10〜70%が好ましく、経済的、反応制御のしやすさなどの観点からは30〜50%が最も好ましい。
【0048】
重合開始前に予めラジカル重合性単量体溶液中の脱酸素操作を行うことは好ましい。具体的な方法として、十分な時間の不活性ガスによるバブリング等により溶存酸素を取り除く方法があげられる。また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることは好ましい。反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。重合開始温度は通常0〜70℃の範囲で行うことが好ましい。さらに好ましくは、10〜40℃の範囲である。開始温度が高すぎると、開始剤を加える前から熱による重合がおこってしまい好ましくない。また、開始温度が低すぎると、反応開始に時間がかかりすぎるため好ましくない。反応中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。重合中の昇温速度や最高温度は特に問題とならず、最高温度が100℃を超えても問題はない。重合時の最高温度は、通常20〜140℃で、好ましくは、40℃〜120℃の範囲である。
【0049】
単量体溶液の濃度は10〜70%が好ましく、30〜50%が最も好ましい。濃度が濃すぎると、反応が暴走しやすいため好ましくない。濃度が薄すぎると、反応に時間がかかりすぎるし、その後の後処理工程にも負荷がかかるため好ましくない。重合時間は、反応溶液からの発熱が止まる時間付近に設定することが好ましい。重合後の後工程として、乾燥工程、加熱処理工程等などの後処理工程が存在するので、反応溶液からの発熱が止まる前に重合を終了しても構わない。また、発熱終了後、数時間加温しても構わない。
【0050】
(乾燥工程)
上記重合後に得られる重合体が含水ゲルである場合、乾燥を行ってもよい。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば共沸脱水、流動乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などが好ましく用いられ、特に熱風乾燥、真空乾燥が好ましい。含水率としては30重量%以下、好ましくは10重量%以下まで乾燥する。乾燥はどのような形態の含水ゲルで行ってもよいが、粗解砕して表面積を増やしてから乾燥するのが好ましい。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは100〜140℃である。
【0051】
乾燥後の重合体は、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって粒子径が調整される。その形状は、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状など種種の形状であってもよいが、その重量平均粒子径は10〜3000μm、好ましくは40〜2000μm、さらに好ましくは50〜1500μm、さらにさらに好ましくは100〜850μm、最も好ましい300〜700μmである。粒子径が小さすぎると微紛となり、飛散しやすくなるなど使用の際に問題になる。また、加熱時に揮発するアンモニア量が多くなり、結果として吸水性能の低下を引き起こすので好ましくない。粒径が大きすぎる場合は吸水速度の低下、吸収体物品中の吸水性樹脂の偏りなど問題となる。
【0052】
(加熱処理条件)
本発明の加熱処理は、下記数式(1)〜(5)を満たす条件下で行われるものであり、
−7.5T+1245≦t≦−6T+1200(150≦T<160) (1)
−3.5T+605≦t≦−6T+1200(160≦T<170) (2)
−0.5T+95≦t≦−13T+2390(170≦T<180) (3)
−0.5T+95≦t≦−2T+410(180≦T<190) (4)
0<t≦−1.5T+315(190≦T≦200) (5)
【0053】
好ましくは、下記数式(6)〜(10)を満たす条件下で行われるものであり、
−6T+1020≦t≦−15T+2550(150≦T<160) (6)
−3T+540≦t≦−3T+630(160≦T<170) (7)
−2.4T+438≦t≦−8.8T+1616(170≦T<18 (8)
−0.5T+96≦t≦−1.35T+273.5(180≦T<190 (9)
−0.1T+20≦t≦−1.35T+273.5(190≦T≦200) (10)
【0054】
さらに好ましくは、下記数式(11)、(12)を満たす条件下で行われる。
−1.2T+232≦t≦−2.8T+538(185≦T<190) (11)
−0.6T+118≦t≦−0.8T+158(190≦T≦195) (12)
(ただし、上記数式(1)〜(12)においてT[℃]は加熱処理温度、t[min]は加熱処理時間である。)
【0055】
加熱処理装置内ガス置換時間T(min)は、加熱処理装置内体積V(L)をガス流速v(L/min)で割った値であり、これは短い方が望ましい。具体的には、60分以下であることが好ましい。容器内に滞留する粒子の量が増えるとさらに短くすることが好ましく、10分以下である。さらに好ましくは5以下である。3分以下まで、短くすることが最も好ましく、これ以上短くする効果はほとんどない。
【0056】
粒子重量あたりのガス流速(L/min・g)は、ガス流速v(L/min)を加熱処理装置内の粒子量W(g)で割った値であり、これは大きいほうが好ましい。具体的には、0.001L/min・g以上である。比較的小さな加熱処理内に比較的大量の粒子を滞留させる場合は、0.01L/min・g以上であることが好ましい。さらに好ましくは、0.1L/min・g以上であり、最も好ましくは1L/min・g以上である。
【0057】
上記加熱処理工程を経て、重合体中の一部のカルボン酸アンモニウム単位からアンモニアが脱離し、カルボン酸単位を含有する吸水性樹脂が得られる。この様にして得られる吸水性樹脂としては、カルボン酸アンモニウム単位が9〜100モル%、カルボン酸金属塩単位が0〜90モル%、カルボン酸単位が1〜50モル%、及びそれら以外の単官能性不飽和単量体単位が0〜50モル%であることが好ましい。更に好ましくは、カルボン酸アンモニウム単位が15〜90モル%、カルボン酸金属塩単位が0〜80モル%、カルボン酸単位が5〜45モル%、及びそれら以外の単官能性不飽和単量体単位が0〜40モル%であり、さらに好ましくは、カルボン酸アンモニウム単位が20〜80モル%、カルボン酸金属塩単位が0〜70モル%、カルボン酸単位が10〜40モル%、及びそれら以外の単官能性不飽和単量体単位が0〜30モル%である。
【0058】
上記加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉を使用することができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
【0059】
(表面架橋剤の利用)
前記加熱処理工程の前に重合体に表面架橋剤を添加しても構わない。これは公知の方法が用いられ、重合体の乾燥物に直接表面架橋剤を添加する方法や重合体の乾燥物を溶媒に分散させ表面架橋剤を添加する方法などが挙げられる。なお、前者の方法を用いる場合、均一な表面架橋剤の添加のために、酸化珪素微粉末などの無機化合物や界面活性剤を共存させてもよい。
勿論、特に好ましい架橋方法としては予め所定量のカルボン酸反応性架橋剤、およびラジカル重合性架橋剤を本発明の単量体に添加して重合を行ない、重合と同時に重合製架橋剤による架橋反応を行った後に加熱処理を行い、カルボン酸反応性架橋剤の架橋反応をさせることが好ましい。
【0060】
上記の表面架橋剤として用いられる化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどがあげられる。
【0061】
該表面架橋剤の使用量は、重合体の重量に対して0.01重量%以上20重量%以下で1種類、もしくは2種類以上を使用することができる。表面架橋剤の添加量が20重量%を越える場合は適切な架橋硬化が得られず、吸水倍率の低下が起こるため好ましくない。
【0062】
(その他添加剤)
この様にして得られる吸水性樹脂に、必要に応じて消臭剤、香料、各種無機粉末、発泡剤、顔料、染料、抗菌剤、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、キレート剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、水、塩類等を添加してもかまわない。
【0063】
上記無機粉末としては、例えば、水及び親水性有機溶媒に対して不活性な各種無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。特に無機粉末としては、水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶或いは難溶のものが好ましく、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。
上記無機粉末の使用量は、通常は吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。吸水性樹脂と無機粉末の混合方法に特に制限はなく、ドライブレンド法、湿式混合法等で行われる。
【0064】
(分級)
本発明では、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって最終的に吸水性樹脂の粒子径が調整される。その形状は、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状など種種の形状であってもよいが、その重量平均粒子径は10〜3000μmである。粒子1g当たりの吸収速度を向上させるためには、40〜2000μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、50〜1500μm、さらにさらに好ましくは100〜850μm、最も好ましくは300〜700μmである。
【0065】
粒子1g当たり飽和膨潤量を高めるためには、粒子の重量平均粒子径は100〜3000μmの範囲であり、さらに好ましくは、400〜2000μmの範囲である。
アンモニウム塩を含む吸収性樹脂は、加熱処理によりアンモニアガスを放出するため、比較的小粒子径の粒子では、加熱処理温度が高く、加熱処理時間が長い場合は、粒子1g当たりのアンモニウム塩含量が著しく低下し、吸収倍率の低下を招くことがあるので、比較的大粒子径の粒子が好ましいことがある。
【0066】
(吸水樹脂の使用法)
本発明の製造方法に基づいて得られる吸水性樹脂と親水性繊維を主成分とする吸収体を含む吸収層を、トップシートとバックシートの間に挟んだ吸収性物品を得ることができる。このような吸収性物品の具体的な例としては、紙おむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の各種衛生材料が挙げられる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例に記載の諸物性は下記の試験方法によって測定した値を示す。
【0068】
(1)無加圧下吸水倍率
内径25mm、外径35mm、高さ30mmのアクリル樹脂製の円筒であって、該円筒の底部分をナイロン400メッシュによってふさがれた専用容器に、吸水性樹脂0.16gを底のメッシュ上に均一に仕込み、該専用容器を内径120mm高さ28mmのSUS製シャーレの中に入った0.9重量%塩化ナトリウム水溶液60gに静かに浸漬した。1時間後に専用容器を引き上げ、専用容器側面の水分をふき取り、専用容器底面の水分を所定の濾紙上に3秒間静置することで水切りを行った後、専用容器重量を測定し、以下の式(13)で加圧下吸水倍率を算出した。
【0069】
【数1】

【0070】
(2)加圧下吸水倍率
内径25mm、外径35mm、高さ30mmのアクリル樹脂製の円筒であって、該円筒の底部分をナイロン400メッシュによってふさがれた専用容器に、吸水性樹脂0.16gを底のメッシュ上に均一に仕込み、外径24.5mmの所定重量(278.33)を持った、円柱状分銅型重りを上からゆっくりとはめ込むことで、0.8psiの垂直下方向への加圧下条件を設定し、該専用容器を内径120mm高さ28mmのSUS製シャーレの中に入った0.9重量%塩化ナトリウム水溶液60gに静かに浸漬した。1時間後に専用容器を引き上げ、専用容器側面の水分をふき取り、専用容器底面の水分を所定の濾紙上に3秒間静置することで水切りを行った後、専用容器重量を重りごと測定し、以下の式(14)で加圧下吸水倍率を算出した。
【0071】
【数2】

【0072】
[実施例1]
特級試薬のアクリル酸と、同じく特級試薬の28重量%のアンモニア水と蒸留水を用いて、氷冷下、40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液(pH=7.0)を調製した。該40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液中に存在する重合禁止剤を除去するため、該40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を活性炭で処理し、重合禁止剤フリーの40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を得た。
【0073】
該40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液100gと、N,N'−メチレンビスアクリルアミド0.06モル%、グリセリン1重量部を500mlセパラブルフラスコに仕込み、窒素ガスのバブリングで30分間脱気後、スターラー撹拌しながら35℃の温度でL−アスコルビン酸0.001モル%、過硫酸アンモニウム0.07モル%を添加した。約1〜2分後から内温の上昇が観測され、重合が開始された。重合進行と同時に液の粘性が上がり、スターラー撹拌が不能となる直前に、撹拌を停止し、バブリングしていた窒素ガスを気相部置換に切り替え、重合を継続した。やがて、重合ピーク温度95℃を迎え、内温が下がり始めた時点で、セパラブルフラスコをウオーターバスに漬けて、70℃でのエージングを2時間実施した。
【0074】
こうして得られた含水ゲル重合体を取り出し、約5mm程度に細分化した後、窒素流通下100℃での乾燥を2時間実施し、得られた乾燥物を市販の解砕機で解砕し、更に窒素流通下100℃での乾燥を2時間実施した後、得られた乾燥物を粉砕しふるいを用いて106〜850μmの範囲に分級することで表面架橋前吸水性樹脂を得た。
【0075】
上記表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下150℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0076】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下160℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0077】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下170℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0078】
[実施例4]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下180℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0079】
[実施例5]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下190℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0080】
[実施例6]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下200℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0081】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下140℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0082】
[比較例2]
実施例1と同様の方法で得られた表面架橋前吸水性樹脂2gを、10×14cmのアルミ製シャーレ上に乗せ、窒素流通下210℃、0.5〜700minの条件下で加熱処理(表面架橋処理)を実施した。得られた加熱処理後吸水性樹脂に対して、無加圧下吸水倍率と加圧下吸水倍率を測定した。無加圧下吸水倍率の結果を表1に、加圧下吸水倍率の結果を表2に示す。
【0083】
表1の結果から、無加圧下吸水性能40[g/g]以上となる領域、45[g/g]以上となる領域、50[g/g]以上となる領域、55[g/g]以上となる領域をそれぞれ図1に示した。
【0084】
表2の結果から、加圧下吸水性能20[g/g]以上となる領域を図2に、25[g/g]以上となる領域を図3に、27[g/g]以上となる領域を図4にそれぞれ示した。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、衛生用品等の吸収体に用いた場合に、少量でも十分な吸水能力を発揮できるような高い吸水倍率を有する吸水性樹脂の製造方法、または装着時により重い荷重がかかっても十分吸収能力を発揮できるような高荷重下での優れた吸水倍率を有する吸水性樹脂の製造分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の吸水性樹脂に対する加熱処理条件に関して、特定の無加圧下吸水性能を発揮する加熱処理温度と加熱処理時間との関係を示す図である。
【図2】本発明の吸水性樹脂に対する加熱処理条件に関して、加圧下吸水性能20[g/g]以上を発揮する加熱処理温度と加熱処理時間との関係を示す図である。
【図3】本発明の吸水性樹脂に対する加熱処理条件に関して、加圧下吸水性能25[g/g]以上を発揮する加熱処理温度と加熱処理時間との関係を示す図である。
【図4】本発明の吸水性樹脂に対する加熱処理条件に関して、加圧下吸水性能27[g/g]以上を発揮する加熱処理温度と加熱処理時間との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が下記数式(1)〜(5)のいずれかで示される条件下で行われることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
−7.5T+1245≦t≦−6T+1200(150≦T<160) (1)
−3.5T+605≦t≦−6T+1200(160≦T<170) (2)
−0.5T+95≦t≦−13T+2390(170≦T<180) (3)
−0.5T+95≦t≦−2T+410(180≦T<190) (4)
0<t≦−1.5T+315(190≦T≦200) (5)
(但し、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体の総和を100モル%とし、ラジカル重合性架橋剤およびカルボン酸反応性架橋剤のモル%は前記で定義した100モル%に対する外割である。また、上記数式(1)〜(5)において、Tは加熱処理温度[℃]、tは加熱処理時間[min]である。)
【請求項2】
不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が、下記数式(6)〜(10)のいずれかで示される条件下で行われることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
−6T+1020≦t≦−15T+2550(150≦T<160) (6)
−3T+540≦t≦−3T+630(160≦T<170) (7)
−2.4T+438≦t≦−8.8T+1616(170≦T<180) (8)
−0.5T+96≦t≦−1.35T+273.5(180≦T<190) (9)
−0.1T+20≦t≦−1.35T+273.5(190≦T≦200) (10)
(但し、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体の総和を100モル%とし、ラジカル重合性架橋剤およびカルボン酸反応性架橋剤のモル%は前記で定義した100モル%に対する外割である。また、上記数式(6)〜(10)において、Tは加熱処理温度[℃]、tは加熱処理時間[min]である。)
【請求項3】
不飽和カルボン酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、不飽和カルボン酸0モル%以上45モル%未満、その他単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液を重合用原料溶液として用い重合し、得られた重合物を、乾燥工程および加熱処理工程を含む後処理工程に供する吸水性樹脂の製造方法であって、該加熱処理が、下記数式(11)または(12)で示される条件下で行われることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
−1.2T+232≦t≦−2.8T+538(185≦T<190) (11)
−0.6T+118≦t≦−0.8T+158(190≦T≦195) (12)
(但し、不飽和カルボン酸アンモニウム塩、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、不飽和カルボン酸及びその他単量体の総和を100モル%とし、ラジカル重合性架橋剤およびカルボン酸反応性架橋剤のモル%は前記で定義した100モル%に対する外割である。また、上記数式(11),(12)において、Tは加熱処理温度[℃]、tは加熱処理時間[min]である。)
【請求項4】
重合用原料溶液が、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩55モル%以上100モル%以下、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩0モル%以上45モル%未満、(メタ)アクリル酸塩0モル%以上45モル%未満、その他の単量体0モル%以上45モル%未満、ラジカル重合性架橋剤0モル%以上5モル%未満、およびカルボン酸反応性架橋剤0モル%以上5モル%未満を含む溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−225455(P2006−225455A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38697(P2005−38697)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】