説明

高化学的R−5−(2−(2−エトキシフェノキシエチルアミノ)プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩の調製

本発明では、タムスロシン塩酸塩の調製方法、及び実質的に純粋なタムスロシン塩酸塩を提供するための、熱的結晶化による後続の精製方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学合成の分野に属し、タムスロシンの合成に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、タムスロシンの調製方法及び純粋なタムスロシン塩酸塩を取得するためのその精製に関する。
【背景技術】
【0003】
タムスロシンは、前立腺の機能的疾患の治療に使用されるα−アドレナリン作動性受容体アンタゴニストの群から得られる薬学的活性物質である。化学的には、タムスロシンは、ベンゼンスルホンアミド又はスルファモイルフェネチルアミン誘導体に属し、(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドである(式I)。
【0004】
【化1】

【0005】
R−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(タムスロシン)の、(R)及び(S)鏡像異性体のラセミ混合物としての調製が、EP34432に記載されている。
【0006】
タムスロシンは、純粋な(R)−鏡像異性体(1a)の塩酸塩の形態で市販されており、良性前立腺過形成の治療用に使用されている。
【0007】
タムスロシンの調製方法においては、最終産物に対して、又は以降の合成段階で極めて長く且つコストを要する精製を回避するために合成のできる限り初期段階の中間体に対して、99%を上回る鏡像体過剰率(e.e.(enantiomeric excess)とも称される。)の光学純度に到達することが望ましい。
【0008】
【化2】

【0009】
このような高い光学純度を達成するのは困難であり、通常、非常に長く、労力を要する複雑な鏡像異性体分離工程が必要であるため、光学的に活性な所望の生成物の収率が低下することが当業者に公知である。従って、高レベルの光学純度(例えば、90%超)を有する、(R)−5−(2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドなどの、キラル中心を有する市販の中間体化合物は、光学的に純粋でない類縁体に比べて一般的に高価である。
【0010】
光学的に活性な(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩の調製が、EP380,144号に開示されている。本文献では、光学的に活性なアミンである(R)−5−(2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(2)を、臭素化されたエーテルである、1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン(3)と反応することによって、タムスロシンが調製される。しかしながら、EP380,144の方法は、同じく塩基として使用される光学的に活性な(R)−5−(2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド中間体化合物のモル過剰の使用が必要である。さらに、EP380,144に開示されている反応プロセスは、副産物と不純物の形成が不可避的に生じるため、カラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製することが必要である。
【0011】
CA1,282,077では、化合物(2)と(3)の反応が開示されており、外部又は追加の塩基が存在する場合には、等モル量の試薬を使用することが好ましいと報告されている。何れの化合物の過剰量の可能性も展開されていない。
【0012】
WO 03/35608は、外部塩基の存在下で、光学的に活性な式(2)のアミンを式(3)の臭素化されたエーテルと反応させることによって、タムスロシンが産生されるプロセスを開示している。WO 03/35608によれば、必要とされる過剰の光学的に活性な試薬(2)は、1:1ないし1:1.1の試薬(2)及び(3)の比率まで減少される。しかしながら、WO 03/35608のプロセスでは、ジアルキルアミド、ジアルキルスルホキシド、N−メチルピロリドン及びスルホランなどの、より高価で、且つより環境負荷が大きな溶媒が使用される。
【0013】
【化3】

【発明の開示】
【0014】
第一の実施形態において、本発明は、4−メトキシ−3−スルホンアミドベンゼンプロパン−2−アミンの、ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル置換された誘導体である過剰アルキル化された生成物を0.1%未満含み、追加の2−(2−エトキシフェノキシ)エチル置換基がスルホンアミド窒素原子又はプロパンアミン窒素原子に結合されている、タムスロシン塩酸塩に関する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、有機溶媒中での、R−5−(2−アミノプロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドの、過剰の1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼンとの反応を含む、タムスロシン塩酸塩の調製方法に関する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、このような精製されたタムスロシン塩酸塩と薬学的に許容されるその他の賦形剤とを含む薬学的製剤に関する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、良性前立腺過形成の治療用医薬の調製のための、このような精製されたタムスロシン塩酸塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
驚くべきことに、(R)−5−(2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(2)及び1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン(3)からの(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドの調製は、非キラル試薬である1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンエン(3)のモル過剰の存在下で反応を実施することによって、塩基を一切添加する必要なしに、首尾よく達成され得ることが見出された。
【0019】
非キラル中間体化合物である1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン(3)のモル過剰の存在下では、追加の塩基が存在しなくても、反応の平衡は、タムスロシンの形成の方向に移動することが見出された。
【0020】
好ましい溶媒は、低級アルキルアルコールであり、より好ましくはメタノールである。
【0021】
試薬(2)に対する試薬(3)の過剰は、約1.2:1の比を有効に上回り、約5:1、好ましくは約3:1まで増加され得る。より好ましい比は、約1.5:1ないし約2:1であり、最も好ましくは約1.7:1ないし約1.9:1である。
【0022】
本発明のタムスロシンの製造方法は、優れた水準の純度で、粗生成物の優れた収率を提供することが可能である。反応変換から直接単離された該生成物は、約75%ないし約90%のタムスロシン塩酸塩を含み得る。予測される過剰アルキル化は限られた程度でしか起こらないことが驚くべきことに見出され、本発明の製造方法により、過剰アルキル化された産物(例えば、N−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(5)又は5−(2−ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(4)又は過剰な1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン(3))のうち何れの一つも含量が6%を超えないタムスロシン塩酸塩の粗生成物が提供される。
【0023】
【化4】

【0024】
タムスロシン塩酸塩は、エタノールHCLでタムスロシン塩基を処理することによって得られる。
【0025】
本発明の未精製タムスロシン塩酸塩は、5%w/w以下、好ましくは3%w/w以下のN−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(5)、6%w/w以下、好ましくは5%w/w以下の5−(2−ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(4)、2%w/w以下、好ましくは1%w/w以下の(R)−5−(2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(2)、及び2%w/w以下、好ましくは1%w/w以下の1,2−ビス(2−エトキシフェノキシ)エタン(6)を含み得る。
【0026】
試薬(3)の過剰の程度を調整することによって、所望のタムスロシン塩酸塩に対して同時に高い収率を維持しながら、粗生成物中の過剰アルキル化された生成物の含量を最小限に抑えることができる。好ましくは、約1:1.5ないし約1:2、より好ましくは約1:1.75の試薬(2):(3)の比を使用することができる。この比率では、タムスロシンの収率は、なお、実質的に減少しないが、過剰アルキル化された生成物(4)及び(5)の含量は2%未満に減少され得る。
【0027】
この反応プロセスから直接得られた粗生成物は、生成物の溶液をさらに高温に加熱した後、生成物を再結晶するために混合物を冷却する熱的再結晶(thermal recrystallisation)などの慣用の精製方法を使用することによって、薬学的に許容される純度を有するタムスロシンを与えるために、さらに精製することができる。タムスロシン塩酸塩は、アルコールからの熱的再結晶によって再結晶することが可能であり、これによって不純物の一部が生成物から除去される。
【0028】
驚くべきことに、エタノールとメタノールの混合物が再結晶溶媒として使用される未精製塩酸塩の精製の場合、不純物の高レベルな除去が達成されることが見出された。
【0029】
より高い割合のエタノールとの混合物は非極性不純物をよりよく除去するのに対して、より低い割合のエタノールとの混合物はより低い極性の過剰アルキル化された生成物の除去に対してより有効であることが見出された。タムスロシン塩酸塩の再結晶の場合には、約1:1のメタノール:エタノール比が好ましい。全ての不純物を十分に低いレベルまで概ね均一に除去することが示されており、エタノールがより豊富な混合物を用いると生成物の回収が幾分向上するので、収率の向上も考慮に入れると、約1:1の比は好ましいものとして同定されている。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、メタノール若しくはエタノール又はエタノールとメタノールの混合物中の溶液から、熱的再結晶によって、タムスロシンを再結晶することを含む、タムスロシン塩酸塩の精製方法が提供される。好ましくは、メタノールとエタノールの混合物は、約7:3ないし約3:7、より好ましくは約1:1のメタノール:エタノール比で使用される。
【0031】
本発明の方法は、不純物が低含量になるまで精製されていない出発物質からでさえ、高い純度と優れた収率でタムスロシン塩酸塩の精製を可能とする。例えば、出発化合物、1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン(3)が最大約8%の1,2−ビス(2−エトキシフェノキシ)エタン(6)を含有することが可能であるが、本発明の方法によれば、最終生成物中に存在する前記不純物は0.2%以下であることが見出された。
【0032】
【化5】

【0033】
エタノール/メタノール混合物からの再結晶によるタムスロシン塩酸塩の精製後、例えば、90%の低純度、さらには86%の低純度を有するタムスロシン塩酸塩から、僅か2回の結晶化の後に、99.5%超の純度、さらには99.8%超の純度を有するタムスロシン塩酸塩を取得し得る。
【0034】
本発明の熱的再結晶によるタムスロシン塩酸塩の精製によって、僅か0.08% w/w、さらには僅か0.06% w/wのN,SON−ジアルキル化された生成物、すなわちN−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(4)及び0.1% w/w未満の全ての過剰アルキル化生成物を含む精製された生成物の産生を可能とする。
【0035】
本発明の精製の効果によって、僅か2つの段階で、高品質の薬学的活性物質を得ることができるので、より安価な試薬(3)を過剰に用いたプロセスが、産業的製造のための経済的手順となり得る。
【0036】
未精製タムスロシン塩酸塩を高品質まで精製するために、2以上、好ましくは2つの結晶化を実施することが好ましい。2以上の結晶化を行う場合、異なる溶媒中で各結晶化を実施することができる。このように、例えば、若干品質が劣る未精製試料の場合、約1:1の比のメタノール対エタノールの混合物中で第一の結晶化を実施するのに対して、より高い割合のメタノールとの混合物中又はメタノール単独中で第二の結晶化を実施するのに特に有効であり得る。
【0037】
これらの化合物の標準では、不純物の存在と含量が明らかとなったが、調製用クロマトグラフィーを使用することによって、単純に得られない反応の副産物が母液から単離される。
【0038】
本発明の方法の方法によって得られるタムスロシン塩酸塩は、任意の薬学的製剤における薬学的用途に適しており、この場合、d(0.9)が120μm未満及びd(0.5)が50μm未満のサイズの粒子を得るために、結晶をさらに破砕することができる。
【0039】
次いで、任意の薬学的製剤中の本発明のタムスロシン塩酸塩を、両性前立腺過形成の治療のために使用することが可能である。
【実施例】
【0040】
以下の実施例によって本発明を説明するが、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【0041】
(実施例1)
10g(41mmol)の5−((R)−2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド、19g(77mmol)の2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミド及び170mLのメタノールを、還流下で、43時間加熱する。回転式蒸発器により、60℃、真空下で、メタノールを蒸発させる。この残留物に、170mLの水と130mLの酢酸エチルを添加し、冷却及び撹拌を行いながら、16gの50%水酸化ナトリウム水溶液も添加する。両相の分離後、100mLの酢酸エチルで水相を2回抽出する。130mLの水で、合わせた抽出物を2回洗浄し、回転式蒸発器により、60℃、真空中で蒸発させる。この残留物を100mLのエタノール中に溶かし、冷却及び撹拌しながら、7mLのエタノール性塩化水素溶液(300mg HCl/mL)を添加する。冷却しながら(0℃)、この混合物を4時間撹拌し、形成された未精製(−)−(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(TH)をろ過し、(約0℃の)20mLの冷却されたエタノールで洗浄し、40℃、真空下で乾燥する。7.0gの粗生成物が得られる。
【0042】
HPLC分析:
【0043】
【表1】

【0044】
(実施例2)
200g(0.82mol)の5−((R)−2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド、350g(1.43mol)の2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミド及び3.4Lのメタノールを、還流下で、45時間加熱する。回転式蒸発器により、60℃、真空下で、メタノールを蒸発させる。この残留物に、3.4Lの水と2.6Lの酢酸エチルを添加し、冷却及び撹拌を行いながら、650gの50%水酸化ナトリウム水溶液も添加する。両相の分離後、2Lの酢酸エチルで水相を2回抽出する。2.6Lの水で、合わせた抽出物を2回洗浄し、回転式蒸発器により、60℃、真空中で蒸発させる。この残留物を2Lのエタノール中に溶かし、冷却及び撹拌しながら、140mLのエタノール性塩化水素溶液(300mg HCl/mL)を添加する。冷却しながら(0℃)、この混合物を4時間撹拌し、形成された未精製(−)−(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(TH)をろ過し、400mLの冷エタノールで洗浄し、40℃、真空下で乾燥する。158.0gの粗生成物が得られる。
【0045】
HPLC分析:
【0046】
【表2】


【0047】
(実施例3)
実施例2から得られた10gの(−)−(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(TH)を、メタノールとエタノールの混合物から再結晶する。
【0048】
分析:
【0049】
【表3】


不純物(2)=5−((R)−2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(3)=2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミド
不純物(4)=N−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(5)=5−(2−(ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(6)=1,2−ビス(2−エトキシフェノキシ)エタン(6)
【0050】
(実施例4)
実施例3から得られた7.0gの再結晶された(−)−(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(TH)を、メタノールとエタノールの混合物から再結晶する。
【0051】
分析:
【0052】
【表4】


不純物(2)=5−((R)−2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(3)=2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミド
不純物(4)=N−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(5)=5−(2−(ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(6)=1,2−ビス(2−エトキシフェノキシ)エタン(6)
【0053】
(実施例5)
実施例1から得られた、7.0gの再結晶された(−)−(R)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩(TH)を、1:1のメタノール/エタノール混合物から再結晶し、真空中、生成物を40℃で乾燥し、メタノールから再度再結晶する。4.61gの生成物が得られる。ハンマータイプのミルを用いて、4800rpmで、生成物を破砕する。
【0054】
分析:
【0055】
【表5】

不純物(2)=5−((R)−2−アミノ−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(3)=2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミド
不純物(4)=N−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(5)=5−(2−(ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド
不純物(6)=1,2−ビス(2−エトキシフェノキシ)エタン(6)
粒径分析(Malvern):d(90)=113.7μm;d(50)=31.3μm。
【0056】
(実施例6)
実施例2から得られた生成物をメタノール:エタノールの比50:50からろ過した後に得られたろ液を蒸発させ、2g分割量中の残留物を、固定相がLuna 1μMのprep C18(2)カラム200×50mm上にかけ、150ml/分の流速で、移動相(5mL/Lのトリエチルアミン、オルトリン酸によりpH最大2.8、20%メタノール)によって溶出する。各バッチの2つの画分を集め、異なるバッチから得られた対応する画分を合わせて、メタノールを蒸発させ、脱塩し、濃縮し、凍結乾燥する。量比1:1.5の固体画分A及びBが得られる。
【0057】
画分A:
5−(2−(ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(5)
外観:吸湿性白色結晶。
【0058】
MS:573(M+H)
NMR(300MHz,TMS,CDOD);δ(ppm):6.8−7.8(11H,m,芳香族プロトン);3.80−4.10(8H,m,OCH)3.87(8H,S,OCH);2.40−3.20(7H,m,CHN,CHCHN);1.30(6H,t,OCHCH);1.05(3H,d,CHCH)。
【0059】
画分B:
N−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)−1−プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(6)
外観:白色結晶。
【0060】
MS:573(M+H)
NMR(300MHz,TMS,CDOD);δ(ppm):6.7−7.8(11H,m,芳香族プロトン);3.80−4.30(8H,m,OCH);3.86(8H,S,OCH);2.60−3.30(7H,m,CHN,CHCHN);1.35及び1.38(6H,t,t,OCHCH);1.15(3H,d,CHCH)。
【0061】
(実施例7)
シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(エーテル:石油エーテル=1:2 v/v)によって、市販の原材料、2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロミドからビス−(2−エトキシフェノキシ)エタンを単離する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1%未満の過剰アルキル化された生成物を含むことを特徴とするタムスロシン塩酸塩。
【請求項2】
前記過剰アルキル化された生成物が、4−メトキシ−3−スルホンアミドベンゼンプロパン−2−アミンのビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル置換された誘導体であり、追加の(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル置換基がスルホンアミド窒素原子又はプロパンアミン窒素原子に結合されている、請求項1に記載のタムスロシン塩酸塩。
【請求項3】
0.02%未満の5−(2−(ビス−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)アミノ)プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタムスロシン塩酸塩。
【請求項4】
0.06%未満のN−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチル)−5−(2−(2−(2−エトキシフェノキシ)エチルアミノ)プロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアミドを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタムスロシン塩酸塩。
【請求項5】
有機溶媒中での、R−5−(2−アミノプロピル)−2−メトキシベンゼンスルホンアの、過剰の1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼンとの反応を含むことを特徴とする、タムスロシン塩酸塩の調製方法。
【請求項6】
1−(2−ブロモエトキシ)−2−エトキシベンゼン過剰が約1.2ないし約3である、請求項5に記載のタムスロシン塩酸塩の調製方法。
【請求項7】
前記有機溶媒がメタノールである、請求項5ないし6の何れか一項に記載のタムスロシン塩酸塩の調製方法。
【請求項8】
メタノール若しくはエタノール又はエタノールとメタノールの混合物中の溶液から、熱的再結晶によって、タムスロシン塩酸塩を再結晶することを含む、タムスロシン塩酸塩の精製方法。
【請求項9】
メタノール及びエタノールの混合物からの最大2回の熱的結晶化を用いて、99.8%超の活性物質の含量が達成される、約90%未満の活性物質を有するタムスロシン塩酸塩の精製方法。
【請求項10】
約3:7ないし約7:3の比のメタノールとエタノールの混合物から再結晶が実施される、請求項8又は9に記載のタムスロシン塩酸塩の精製方法。
【請求項11】
タムスロシン塩酸塩を含む薬学的製剤。
【請求項12】
請求項5ないし10の何れかに記載の方法によって得られたタムスロシン塩酸塩を含む薬学的製剤。
【請求項13】
良性前立腺過形成の治療用医薬の調製のための、請求項1ないし4の何れか1項に記載のタムスロシン塩酸塩の使用。
【請求項14】
良性前立腺過形成の治療用医薬の調整のための、請求項5ないし10の何れかに記載の方法によって得られたタムスロシン塩酸塩の使用。

【公表番号】特表2007−517797(P2007−517797A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546937(P2006−546937)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/SI2004/000047
【国際公開番号】WO2005/063702
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】