高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置
【課題】整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備えた誘導結合プラズマ処理装置のパワー効率を向上させることが可能な高周波アンテナ回路を提供する。
【解決手段】誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナ16と、プラズマ生成アンテナ16に高周波電力を供給する高周波電源18と、高周波電源18とプラズマ生成アンテナ16との間に介在する整合回路19と、プラズマ生成アンテナ16を構成し、整合回路19を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナ16−1〜16−4と、複数の分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4とを有する。
【解決手段】誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナ16と、プラズマ生成アンテナ16に高周波電力を供給する高周波電源18と、高周波電源18とプラズマ生成アンテナ16との間に介在する整合回路19と、プラズマ生成アンテナ16を構成し、整合回路19を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナ16−1〜16−4と、複数の分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDに用いられるガラス基板の大型化に伴い、これを処理するプラズマ装置も大面積でのプラズマ制御が求められてきている。従来から、高密度プラズマを得ることができる誘導結合プラズマ処理装置がガラス基板の処理に用いられているが、上記要求に応えるため、アンテナを多分割し、分割されたアンテナ毎に制御できるような方法がとられてきている。
【0003】
分割アンテナの手法としては、一つには、複数のアンテナ片で構成されたスパイラルアンテナと該スパイラルアンテナと処理室との間に配された誘電体もしくはアルミにより構成され、複数に分割された窓との組み合わせによるもの(特許文献1)、また、他の手法としては分割されたアルミ窓ごとに直線アンテナを配したもの(同じく特許文献1)が用いられる。
【0004】
また、特許文献2には、アンテナに並列共振回路を設け、アンテナに流れる電流を大きくする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−029584号公報
【特許文献2】特開2010−135298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置においては、処理室の内部に大きな誘導電界を形成しようとすると、分割アンテナそれぞれに分配する電流を大きくしなければならない。このため、整合回路に大きな電流が流れ、整合回路が発熱し、パワー損失が大きくなる。
【0007】
整合回路の発熱を抑えるためには、高周波電源から整合回路を介して分割アンテナのそれぞれに分配される分配電流を小さくすれば良いが、分配電流を小さくすると、処理室の内部に十分な誘導電界を形成することが困難になる。
【0008】
この発明は、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置の処理室の内部に、十分な誘導電界を形成することが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の態様に係る高周波アンテナ回路は、誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、前記処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナと、前記プラズマ生成アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、前記高周波電源と前記プラズマ生成アンテナとの間に介在する整合回路と、前記プラズマ生成アンテナを構成し、前記整合回路を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナと、前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路とを有する。
【0010】
この発明の第2の態様に係る誘導結合プラズマ処理装置は、基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成する誘導結合プラズマ処理装置であって、前記処理チャンバー内上部に設けられた天板と、前記天板上に設けられ、複数の分割アンテナから構成されるプラズマ生成アンテナと、前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路とを有する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備えた誘導結合プラズマ処理装置のパワー効率を向上させることが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を概略的に示す断面図
【図2A】図1に示す誘導結合プラズマ処理装置の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図2B】9分割した場合の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図2C】25分割した場合の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図3】この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【図4】高周波アンテナ回路の第1の変形例を示す回路図
【図5】高周波アンテナ回路の第2の変形例を示す回路図
【図6】分割アンテナの第1の変形例を示す平面図
【図7】図6に示す分割アンテナを持つ誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【図8】高周波アンテナ回路の第3の変形例を示す回路図
【図9】高周波アンテナ回路の第4の変形例を示す回路図
【図10】高周波アンテナ回路の第5の変形例を示す回路図
【図11】高周波アンテナ回路の第6の変形例を示す回路図
【図12】分割アンテナの第2の変形例を示す平面図
【図13】図12に示す分割アンテナを持つ誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1はこの発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を概略的に示す断面図、図2Aは図1に示す誘導結合プラズマ処理装置の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図である。この装置は、例えば、FPD用ガラス基板上に薄膜トランジスタを形成する際のメタル膜、ITO膜、酸化膜等のエッチングや、レジスト膜のアッシング処理に用いられる。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0015】
図1に示すように、誘導結合プラズマ処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な処理チャンバー1を有する。処理チャンバー1は、接地線1aにより接地されている。
【0016】
処理チャンバー1の内部は、処理チャンバー1と絶縁されて形成された金属窓2により、アンテナ室3と処理室4とに上下に区画されている。金属窓2は、本例では処理チャンバー1の内部に設けられる天板を構成し、例えば、非磁性体で導電性の金属で構成される。非磁性体で導電性の金属の例は、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金である。
【0017】
アンテナ室3の側壁3aと処理室4の側壁4aとの間には、処理チャンバー1の内側に突出する支持棚5、及び処理ガス供給用のシャワー筐体を兼ねる十字形状の支持梁6が設けられている。支持梁6がシャワー筐体を兼ねる場合には、支持梁6の内部に、被処理基板Gの被処理面に対して平行に伸びる処理ガス流路7が形成される。処理ガス流路7には、処理室4内に処理ガスを吐出する複数の処理ガス吐出孔7aが連通される。
【0018】
支持梁6の上部には、ガス流路7に連通するように処理ガス供給管8が接続される。処理ガス供給管8は、処理チャンバー1の天井から処理チャンバー1の外側へ貫通し、処理ガス供給源およびバルブシステム等を含む処理ガス供給系9に接続される。プラズマ処理に際しては、処理ガスが、処理ガス供給系9から処理ガス供給管8を介して支持梁6の処理ガス流路7に供給され、そして、処理ガス吐出孔7aから処理室4の内部に吐出される。支持棚5、及び支持梁6は導電性材料、望ましくは金属で構成される。金属の例としてはアルミニウムである。
【0019】
金属窓2は、本例では、図2Aに示すように金属窓2−1〜2−4に四分割されている。本例では、処理室4の平面形状が矩形である。本例では、支持梁6が、矩形の中心から各辺の中点を結ぶようにして平面から見て十字形状に形成され、かつ、支持棚5が十字形状の支持梁6の周囲を囲む。これにより、支持棚5と支持梁6との間に、マス目状に四つの開口が形成される。四つの金属窓2−1〜2−4各々は、四つの開口をそれぞれ塞ぐようにして支持棚5及び支持梁6の上に絶縁物10を介して載置される。これにより、金属窓2−1〜2−4は、支持棚5、支持梁6、並びに処理チャンバー1から絶縁され、かつ、金属窓2−1〜2−4どうしも互いに絶縁される。絶縁物10の材料例は、例えば、セラミックやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。なお、図2A中に示すI−I線に沿った断面は、図1に示す断面に対応する。
【0020】
処理室4の底壁4b上には、載置台11が配置されている。載置台11は、導電性材料、例えば、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムで構成され、絶縁体12によって底壁4bから絶縁された状態で底壁4b上に配置される。また、載置台11は、本例では整合回路22を介してバイアス電源23に接続されている。載置台11の載置面上には、被処理基板G、例えば、LCDガラス基板が載置される。載置台11に載置された被処理基板Gは、載置台11の内部に設けられた図示せぬ静電チャックにより、載置台11の載置面上に吸着保持される。
【0021】
また、処理室4の側壁4aには、被処理基板Gを搬入出するための搬入出口4cが設けられている。搬入出口4cは、ゲートバルブ13によって開閉される。
【0022】
さらに、処理室4の底壁4bには、排気口4dが設けられている。排気口4dには、排気管14が接続されている。排気管14は、真空ポンプ等を含む排気装置15に接続される。排気装置15は、処理室4の内部を排気管14及び排気口4dを介して排気する。処理室4の内部は、例えば、被処理基板Gに対してプラズマ処理がされている間、所定の真空度、例えば、1.33Paなどの低い圧力に設定される。
【0023】
アンテナ室3の内部には、高周波(RF)アンテナ16が、金属窓2−1〜2−4それぞれに面するように配設されている。高周波アンテナ16は、絶縁部材からなるスペーサ21により金属窓2−1〜2−4から絶縁された状態で離間される。高周波アンテナ16は、処理チャンバー1の内部、本例では処理室4の内部にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナである。
【0024】
本例の高周波アンテナ16は、金属窓2−1〜2−4に対応して四つに分割され、金属窓2−1〜2−4ごとにそれぞれ独立した分割アンテナ16−1〜16−4の集合体として構成されている。本例の分割アンテナ16−1〜16−4は、図2に示すように、それぞれ複数の直線アンテナ、本例では四本の直線アンテナを含んでいる。本例の複数の直線アンテナは、金属窓2−1〜2−4の一端から他端まで金属窓2−1〜2−4を横断するように配置され、かつ、各々並列接続される。なお、高周波アンテナ回路の回路例については後述する。
【0025】
分割アンテナ16−1〜16−4それぞれの一端には、給電部材17−1〜17−4(17−1、17−2のみを図1に示す)が接続されている。分割アンテナ16−1〜16−4には、高周波電源18から整合回路19及び給電部材17−1〜17−4を介して高周波電力が分配供給される。高周波電力の周波数の一例は、例えば、13.56MHzである。高周波電源18と分割アンテナ16−1〜16−4との間に介在する整合回路19は、高周波電源18側とプラズマ負荷側との間でインピーダンス整合を行う回路であり、一般的にはマッチャーと呼ばれている。マッチャーは、その内部に可変コンデンサ若しくは可変インダクタ、又は可変コンデンサ及び可変インダクタを備えており、コンデンサの静電容量、及びインダクタのインダクタンスを制御することにより、高周波電源18側とプラズマ負荷側との間でインピーダンス整合を行う。
【0026】
分割アンテナ16−1〜16−4それぞれの他端は、例えば、アンテナ室3の側壁3a、若しくは別途に設けられた接地電位部材に接続されて接地される。その際、分割アンテナ16−1〜16−4とアンテナ室3の側壁3aなどの接地電位部材との間に終端コンデンサを設けるようにしてもよい。
【0027】
分割アンテナ16−1〜16−4に供給された高周波電力は、処理室4の内部に誘導電界を形成する。ガス吐出孔7aから処理室4の内部に吐出された処理ガスは、処理室4の内部に形成された誘導電界によってプラズマ化される。
【0028】
上記誘導結合プラズマ処理装置は、コンピュータからなる制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50には、ユーザーインターフェース51及び記憶部52が接続されている。ユーザーインターフェース51には、工程管理者が誘導結合プラズマ処理装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、誘導結合プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等が含まれている。記憶部52には、誘導結合プラズマ処理装置で実行される各種処理を制御部50の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて誘導結合プラズマ処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、すなわちレシピが格納される。なお、レシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよいし、CD−ROM、DVD等の可搬性の記憶媒体に収容された状態で記憶部52の所定位置にセットするようになっていてもよい。さらに、他方の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出して制御部50に実行させることで、制御部50の制御下で、誘導結合プラズマ処理装置での所望の処理が行われる。
【0029】
図3は、この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図である。
【0030】
図3に示すように、高周波アンテナ回路は、上述した高周波アンテナ(プラズマ生成アンテナ)16、高周波電源18、及び整合回路19を有している。高周波アンテナ16は、複数の分割アンテナ、本例では四つの分割アンテナ16−1〜16−4から構成される。分割アンテナ16−1〜16−4には、高周波電源18から整合回路19を通過した後の高周波電力が分配される。本例の分割アンテナ16−1〜16−4においては、複数の直線アンテナが並列接続されている。本例では四本の直線アンテナL1a〜L1d、…、L4a〜L4dが並列接続されている。なお、直線アンテナはコイルアンテナではないが、インダクタンス成分を持つため、図3においては直線アンテナL1a〜L1d、…、L4a〜L4dをインダクタとして表示している。そして、本例の高周波アンテナ回路は、分割アンテナ16−1〜16−4それぞれに並列接続された並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4を有している。並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4は、内部にコンデンサC1〜C4を含んでいる。これにより、分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれと並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のそれぞれとで、合計四つのLC回路が構成される。
【0031】
分割アンテナ16−1〜16−4のインダクタンスLの値、並びに並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4の静電容量Cの値は、上記LC回路が並列共振し、分割アンテナ16−1〜16−4に最大のループ電流が流れる値、もしくはLC回路が並列共振する状態に近く、分割アンテナ16−1〜16−4に十分に大きいループ電流が流れる値に設定される。
【0032】
並列共振の式は、下記(1)式の通りである。
1/LC = ω2 … (1)
(1)式において、Lはインダクタンス、Cは静電容量、ωは角周波数である。角周波数ω=2πfである(fは周波数)。
【0033】
従来、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置においては、処理室の内部に大きな誘導電界を形成するために、分割アンテナそれぞれに流す電流を大きくしようとすると、整合回路に大きな電流を流さなければならなくなる。整合回路に大きな電流を流すと、整合回路の内部に設けられているコイルやコンデンサが発熱し、パワー損失が大きくなる、という事情がある。
【0034】
このような事情に対し、一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置は、分割アンテナ16−1〜16−4各々に、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4をそれぞれ並列接続している。これらの並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4を用いて、プラズマ処理をする際、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4とを含むLC回路を並列共振させる、もしくは並列共振に近い状態とさせる。これにより、上記LC回路にはループ電流が流れる。LC回路にループ電流が流れる結果、整合回路19に流す電流を小さく抑えたとしても、分割アンテナ16−1〜16−4に大きな電流を流すことが可能になる。整合回路19に流す電流を小さくできることで、整合回路19の内部に設けられているコイルLmatch、コンデンサC1match、C2matchに流れる電流値が小さくなり、これらの発熱を抑制することができる。
【0035】
したがって、一実施形態に係る分割アンテナを備えた誘導結合プラズマ処理装置によれば、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置の処理室の内部に、十分な誘導電界を形成することが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を得ることができる。
【0036】
上記一実施形態においては、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4に含まれるコンデンサC1〜C4を容量固定型とした。しかし、コンデンサC1〜C4は、容量固定型に限らず、図4に示すように、容量可変型コンデンサVC1〜VC4としても良い。容量可変型コンデンサVC1〜VC4を用いた場合には、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに独立して、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4の静電容量を各々調節できる。このため、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに、それぞれ並列共振の状態を調節することが可能となる。
【0037】
なお、容量可変型コンデンサVC1〜VC4は、容量固定型コンデンサC1〜C4に比較して価格が高い。このため、誘導結合プラズマ処理装置の価格を低く抑えたい場合には、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のコンデンサとして容量固定型コンデンサC1〜C4が選択されると良い。
【0038】
対して、処理室4の内部に形成される誘導電界の強度を調節し、処理室4の内部のプラズマ分布を制御したい場合などには、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のコンデンサとして容量可変型コンデンサVC1〜VC4が選択されると良い。
【0039】
また、図5に示すように、給電経路中の電流分配点N1と、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4との分配点側接続点N2との間に、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdを設けるようにしても良い。分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdを設けた場合には、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに独立して、分割アンテナ16−1〜16−4に供給される分配電流を各々調節できる。分配電流を調節することによっても、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに、処理室4の内部に形成される誘導電界の強度を調節でき、例えば、処理室4の内部に生成されるプラズマ分布を制御することが可能となる。
【0040】
もちろん、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdは、図4に示した並列共振制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4と併用することが可能である。併用した場合には、分配電流および並列共振をそれぞれ独立して制御することが可能となるので、例えば、プラズマ分布の制御を、より高精度に行うことが可能となる、といった利点を得ることができる。
【0041】
また、処理室4の内部のプラズマ分布には、アプリケーションごとに最適な分布がある。例えば、記憶部52に、アプリケーションごとに最適なプラズマ分布となるような容量可変型コンデンサVC1〜VC4の容量値若しくは容量可変型コンデンサVCa〜VCdの容量値、又はその両方の容量値を記憶させておき、アプリケーションに応じて、容量可変型コンデンサVC1〜VC4若しくは容量可変型コンデンサVCa〜VCd、又はその両方の容量値を調節する。このようにすると、一台の誘導結合型プラズマ処理装置で、アプリケーションごとに最適なプラズマ分布を処理室4の内部に形成してのプラズマ処理が可能となる。
【0042】
また、図6に示すように、分割アンテナは、分割された金属窓2−1〜2−4ごとに分割されていなくても良い。図6に示す例では、金属窓2−1〜2−4に対して、5つの分割アンテナ16−1〜16−5が設けられている。本例では、分割アンテナ16−1〜16−4が処理室4の天板の周縁部に配置され、分割アンテナ16−5が処理室4の中央部に配置されている。また、図7の回路図に示すように、分割アンテナ16−1〜16−5のそれぞれには、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−5が並列接続されている。
【0043】
このように、分割アンテナ16−1〜16−5が、金属窓2−1〜2−4ごとに分割されていなくても、上述した利点を得ることができる。
【0044】
また、図2Aに示す分割アンテナにおいて、図8に示すように、例えば、分割アンテナ16−1〜16−4と、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4との接地点側接続点N3との間に、電流計40を設けるようにしても良い。電流計40を用いて、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流値をモニターし、このモニター結果を、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCeにフィードバックし、例えば、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように、容量可変型コンデンサVCa〜VCeの容量の容量を調節する。
【0045】
このように構成することで、分配電流を、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流の値に基づいて制御することができ、処理室4内部に生成されるプラズマ分布を、より高精度に制御することができる。
【0046】
また、図9に示すように、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4が、容量可変型コンデンサVC1〜VC4を備えている場合には、電流計40によるモニター結果を、共振状態制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4にフィードバックするようにしても良い。この場合には、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流の値に基づいて、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4及び分割アンテナ16−1〜16−4からなるLC回路の共振状態を、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように制御することができ、これによって各分割アンテナに流れる電流を制御することができる。
【0047】
また、特に図示しないが、電流計40によるモニター結果を、共振状態制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4と、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdとにフィードバックし、上記LC回路の共振状態および分配電流の双方を制御するようにすることも可能である。この場合には、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように制御する制御性を、さらに良好とすることができる。
【0048】
なお、図8及び図9においては分割アンテナが4つに分割されている場合について説明したが、分割アンテナが図6に示すように5つに分割される場合にも同様に電流計を設けて電流値を測定し、各容量可変型コンデンサを制御してプラズマ密度の分布を制御できることは言うまでもない。
【0049】
また、図6に示したように、分割アンテナが、天板の中央部の分割アンテナ16−5と天板の周縁部の分割アンテナ16−1〜16−4とに分割されている場合には、図10に示すように、例えば、電流供給部に近い中央部の分割アンテナ16−5には、容量可変型コンデンサVCeは設けないようにすることもできる。
【0050】
同様に、図11に示すように、中央部の分割アンテナ16−5に並列接続される並列共振キャパシタ回路30−5のみを容量固定型コンデンサC5とすることも可能である。
【0051】
このようにすると、中央部の分割アンテナ16−5に実際に流れている電流値を他の分割アンテナ16−1〜16−4に流れる電流値との比から決定することができ、周縁部の分割アンテナ16−1〜16−4への分配電流若しくは各LC回路における共振状態又はその両方を制御することができる。このため、容量可変型コンデンサの数を減らすことができ、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流値に基づいた分配電流若しくは各LC回路における共振状態又はその両方の制御を、より簡易な構成にて行える、という利点を得ることができる。
【0052】
なお、図2Bに示すように周縁部を分割アンテナ16−1〜16−8の8分割とし、中央の分割アンテナ16−9と合わせて全体として3×3のマス目状の9分割にした場合や、図2Cに示すように分割アンテナ16−1〜16−25の5×5のマス目状で25分割した場合も同様に、中央の分割アンテナ16−9又は16−25に並列接続されるコンデンサを容量固定型コンデンサとし、他の分割アンテナに並列接続されるコンデンサを容量可変型コンデンサとすることができる。さらに、25を超える多数に分割し中央に分割アンテナを有する場合も同様にして上記変形例を適用することができる。また、基準となる容量固定型コンデンサが並列接続される分割アンテナが中央にあることにこだわる必要がない場合には、2×2の4分割や4×4の16分割など偶数に分割され中央に分割アンテナが無い場合においても上記変形例を適用することができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、処理室4の天板として金属窓2を用いたが、処理室4の天板としては、誘電体窓、例えば、石英製の窓を用いることも可能である。
【0054】
処理室4の天板に、誘電体窓2a−1〜2a−4を用いた場合には、図12に示すように、分割アンテナ16−1〜16−4は、直線アンテナではなく、スパイラルアンテナにすることができる。スパイラルアンテナの場合には、図13の回路図に示すように、分割アンテナ16−1〜16−4は、それぞれ一本のコイルL1〜L4から構成される。このため、複数の直線アンテナが並列接続されている場合に比較して、アンテナ数が少なくなり、整合回路19に流れる電流は小さくなる。しかし、分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれには、高周波電源18から整合回路19を介して電流が分配されることには変わりはない。このため、分割アンテナ16−1〜16−4がそれぞれ一本のスパイラルアンテナから構成されていた、としても、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4をスパイラルアンテナに並列接続することで、整合回路19に流れる電流をさらに小さくでき、上述した利点を得ることができる。この利点は、分割アンテナの分割数が、本実施形態のように“2×2=4”から、例えば、“3×3=9”、“4×4=16”、“5×5=25”、…、と増えるにつれてより良く得られるようになる。
【0055】
なお、誘電体窓2a−1〜2a−4は、図12に示すように、支持棚5及び支持梁6の上に絶縁物10を介さずに載置される。
【0056】
また、特に、図示はしないが、天板に誘電体窓を用いた場合には、誘電体窓自体が、分割されていなくてもよい。
【0057】
このような図12、図13に示した例は、図4〜図11に示した例と併用することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては4つ以上に分割された分割アンテナについて詳述したが、これらに限られず、2つ若しくは3つに分割された分割アンテナの場合であっても、複数に分割したものであれば、同様にして適用することができる。
【0059】
また、誘導結合プラズマ処理装置が行うプラズマ処理としては、アッシング、エッチング、CVD成膜等を挙げることができる。
【0060】
また、被処理基板としてFPD基板を用いたが、被処理基板としては、半導体ウエハ等他方の基板を処理する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1;処理チャンバー、16;高周波アンテナ(プラズマ生成アンテナ)、16−1〜16−5;分割アンテナ、18;高周波電源、19;整合回路、30−1〜30−5;並列共振キャパシタ回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDに用いられるガラス基板の大型化に伴い、これを処理するプラズマ装置も大面積でのプラズマ制御が求められてきている。従来から、高密度プラズマを得ることができる誘導結合プラズマ処理装置がガラス基板の処理に用いられているが、上記要求に応えるため、アンテナを多分割し、分割されたアンテナ毎に制御できるような方法がとられてきている。
【0003】
分割アンテナの手法としては、一つには、複数のアンテナ片で構成されたスパイラルアンテナと該スパイラルアンテナと処理室との間に配された誘電体もしくはアルミにより構成され、複数に分割された窓との組み合わせによるもの(特許文献1)、また、他の手法としては分割されたアルミ窓ごとに直線アンテナを配したもの(同じく特許文献1)が用いられる。
【0004】
また、特許文献2には、アンテナに並列共振回路を設け、アンテナに流れる電流を大きくする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−029584号公報
【特許文献2】特開2010−135298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置においては、処理室の内部に大きな誘導電界を形成しようとすると、分割アンテナそれぞれに分配する電流を大きくしなければならない。このため、整合回路に大きな電流が流れ、整合回路が発熱し、パワー損失が大きくなる。
【0007】
整合回路の発熱を抑えるためには、高周波電源から整合回路を介して分割アンテナのそれぞれに分配される分配電流を小さくすれば良いが、分配電流を小さくすると、処理室の内部に十分な誘導電界を形成することが困難になる。
【0008】
この発明は、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置の処理室の内部に、十分な誘導電界を形成することが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の態様に係る高周波アンテナ回路は、誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、前記処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナと、前記プラズマ生成アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、前記高周波電源と前記プラズマ生成アンテナとの間に介在する整合回路と、前記プラズマ生成アンテナを構成し、前記整合回路を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナと、前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路とを有する。
【0010】
この発明の第2の態様に係る誘導結合プラズマ処理装置は、基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成する誘導結合プラズマ処理装置であって、前記処理チャンバー内上部に設けられた天板と、前記天板上に設けられ、複数の分割アンテナから構成されるプラズマ生成アンテナと、前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路とを有する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備えた誘導結合プラズマ処理装置のパワー効率を向上させることが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を概略的に示す断面図
【図2A】図1に示す誘導結合プラズマ処理装置の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図2B】9分割した場合の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図2C】25分割した場合の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図
【図3】この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【図4】高周波アンテナ回路の第1の変形例を示す回路図
【図5】高周波アンテナ回路の第2の変形例を示す回路図
【図6】分割アンテナの第1の変形例を示す平面図
【図7】図6に示す分割アンテナを持つ誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【図8】高周波アンテナ回路の第3の変形例を示す回路図
【図9】高周波アンテナ回路の第4の変形例を示す回路図
【図10】高周波アンテナ回路の第5の変形例を示す回路図
【図11】高周波アンテナ回路の第6の変形例を示す回路図
【図12】分割アンテナの第2の変形例を示す平面図
【図13】図12に示す分割アンテナを持つ誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1はこの発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置を概略的に示す断面図、図2Aは図1に示す誘導結合プラズマ処理装置の金属窓および高周波アンテナの一例を示す平面図である。この装置は、例えば、FPD用ガラス基板上に薄膜トランジスタを形成する際のメタル膜、ITO膜、酸化膜等のエッチングや、レジスト膜のアッシング処理に用いられる。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0015】
図1に示すように、誘導結合プラズマ処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な処理チャンバー1を有する。処理チャンバー1は、接地線1aにより接地されている。
【0016】
処理チャンバー1の内部は、処理チャンバー1と絶縁されて形成された金属窓2により、アンテナ室3と処理室4とに上下に区画されている。金属窓2は、本例では処理チャンバー1の内部に設けられる天板を構成し、例えば、非磁性体で導電性の金属で構成される。非磁性体で導電性の金属の例は、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金である。
【0017】
アンテナ室3の側壁3aと処理室4の側壁4aとの間には、処理チャンバー1の内側に突出する支持棚5、及び処理ガス供給用のシャワー筐体を兼ねる十字形状の支持梁6が設けられている。支持梁6がシャワー筐体を兼ねる場合には、支持梁6の内部に、被処理基板Gの被処理面に対して平行に伸びる処理ガス流路7が形成される。処理ガス流路7には、処理室4内に処理ガスを吐出する複数の処理ガス吐出孔7aが連通される。
【0018】
支持梁6の上部には、ガス流路7に連通するように処理ガス供給管8が接続される。処理ガス供給管8は、処理チャンバー1の天井から処理チャンバー1の外側へ貫通し、処理ガス供給源およびバルブシステム等を含む処理ガス供給系9に接続される。プラズマ処理に際しては、処理ガスが、処理ガス供給系9から処理ガス供給管8を介して支持梁6の処理ガス流路7に供給され、そして、処理ガス吐出孔7aから処理室4の内部に吐出される。支持棚5、及び支持梁6は導電性材料、望ましくは金属で構成される。金属の例としてはアルミニウムである。
【0019】
金属窓2は、本例では、図2Aに示すように金属窓2−1〜2−4に四分割されている。本例では、処理室4の平面形状が矩形である。本例では、支持梁6が、矩形の中心から各辺の中点を結ぶようにして平面から見て十字形状に形成され、かつ、支持棚5が十字形状の支持梁6の周囲を囲む。これにより、支持棚5と支持梁6との間に、マス目状に四つの開口が形成される。四つの金属窓2−1〜2−4各々は、四つの開口をそれぞれ塞ぐようにして支持棚5及び支持梁6の上に絶縁物10を介して載置される。これにより、金属窓2−1〜2−4は、支持棚5、支持梁6、並びに処理チャンバー1から絶縁され、かつ、金属窓2−1〜2−4どうしも互いに絶縁される。絶縁物10の材料例は、例えば、セラミックやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。なお、図2A中に示すI−I線に沿った断面は、図1に示す断面に対応する。
【0020】
処理室4の底壁4b上には、載置台11が配置されている。載置台11は、導電性材料、例えば、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムで構成され、絶縁体12によって底壁4bから絶縁された状態で底壁4b上に配置される。また、載置台11は、本例では整合回路22を介してバイアス電源23に接続されている。載置台11の載置面上には、被処理基板G、例えば、LCDガラス基板が載置される。載置台11に載置された被処理基板Gは、載置台11の内部に設けられた図示せぬ静電チャックにより、載置台11の載置面上に吸着保持される。
【0021】
また、処理室4の側壁4aには、被処理基板Gを搬入出するための搬入出口4cが設けられている。搬入出口4cは、ゲートバルブ13によって開閉される。
【0022】
さらに、処理室4の底壁4bには、排気口4dが設けられている。排気口4dには、排気管14が接続されている。排気管14は、真空ポンプ等を含む排気装置15に接続される。排気装置15は、処理室4の内部を排気管14及び排気口4dを介して排気する。処理室4の内部は、例えば、被処理基板Gに対してプラズマ処理がされている間、所定の真空度、例えば、1.33Paなどの低い圧力に設定される。
【0023】
アンテナ室3の内部には、高周波(RF)アンテナ16が、金属窓2−1〜2−4それぞれに面するように配設されている。高周波アンテナ16は、絶縁部材からなるスペーサ21により金属窓2−1〜2−4から絶縁された状態で離間される。高周波アンテナ16は、処理チャンバー1の内部、本例では処理室4の内部にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナである。
【0024】
本例の高周波アンテナ16は、金属窓2−1〜2−4に対応して四つに分割され、金属窓2−1〜2−4ごとにそれぞれ独立した分割アンテナ16−1〜16−4の集合体として構成されている。本例の分割アンテナ16−1〜16−4は、図2に示すように、それぞれ複数の直線アンテナ、本例では四本の直線アンテナを含んでいる。本例の複数の直線アンテナは、金属窓2−1〜2−4の一端から他端まで金属窓2−1〜2−4を横断するように配置され、かつ、各々並列接続される。なお、高周波アンテナ回路の回路例については後述する。
【0025】
分割アンテナ16−1〜16−4それぞれの一端には、給電部材17−1〜17−4(17−1、17−2のみを図1に示す)が接続されている。分割アンテナ16−1〜16−4には、高周波電源18から整合回路19及び給電部材17−1〜17−4を介して高周波電力が分配供給される。高周波電力の周波数の一例は、例えば、13.56MHzである。高周波電源18と分割アンテナ16−1〜16−4との間に介在する整合回路19は、高周波電源18側とプラズマ負荷側との間でインピーダンス整合を行う回路であり、一般的にはマッチャーと呼ばれている。マッチャーは、その内部に可変コンデンサ若しくは可変インダクタ、又は可変コンデンサ及び可変インダクタを備えており、コンデンサの静電容量、及びインダクタのインダクタンスを制御することにより、高周波電源18側とプラズマ負荷側との間でインピーダンス整合を行う。
【0026】
分割アンテナ16−1〜16−4それぞれの他端は、例えば、アンテナ室3の側壁3a、若しくは別途に設けられた接地電位部材に接続されて接地される。その際、分割アンテナ16−1〜16−4とアンテナ室3の側壁3aなどの接地電位部材との間に終端コンデンサを設けるようにしてもよい。
【0027】
分割アンテナ16−1〜16−4に供給された高周波電力は、処理室4の内部に誘導電界を形成する。ガス吐出孔7aから処理室4の内部に吐出された処理ガスは、処理室4の内部に形成された誘導電界によってプラズマ化される。
【0028】
上記誘導結合プラズマ処理装置は、コンピュータからなる制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50には、ユーザーインターフェース51及び記憶部52が接続されている。ユーザーインターフェース51には、工程管理者が誘導結合プラズマ処理装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、誘導結合プラズマ処理装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等が含まれている。記憶部52には、誘導結合プラズマ処理装置で実行される各種処理を制御部50の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて誘導結合プラズマ処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、すなわちレシピが格納される。なお、レシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよいし、CD−ROM、DVD等の可搬性の記憶媒体に収容された状態で記憶部52の所定位置にセットするようになっていてもよい。さらに、他方の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出して制御部50に実行させることで、制御部50の制御下で、誘導結合プラズマ処理装置での所望の処理が行われる。
【0029】
図3は、この発明の一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置が備えている高周波アンテナ回路の一回路例を示す回路図である。
【0030】
図3に示すように、高周波アンテナ回路は、上述した高周波アンテナ(プラズマ生成アンテナ)16、高周波電源18、及び整合回路19を有している。高周波アンテナ16は、複数の分割アンテナ、本例では四つの分割アンテナ16−1〜16−4から構成される。分割アンテナ16−1〜16−4には、高周波電源18から整合回路19を通過した後の高周波電力が分配される。本例の分割アンテナ16−1〜16−4においては、複数の直線アンテナが並列接続されている。本例では四本の直線アンテナL1a〜L1d、…、L4a〜L4dが並列接続されている。なお、直線アンテナはコイルアンテナではないが、インダクタンス成分を持つため、図3においては直線アンテナL1a〜L1d、…、L4a〜L4dをインダクタとして表示している。そして、本例の高周波アンテナ回路は、分割アンテナ16−1〜16−4それぞれに並列接続された並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4を有している。並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4は、内部にコンデンサC1〜C4を含んでいる。これにより、分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれと並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のそれぞれとで、合計四つのLC回路が構成される。
【0031】
分割アンテナ16−1〜16−4のインダクタンスLの値、並びに並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4の静電容量Cの値は、上記LC回路が並列共振し、分割アンテナ16−1〜16−4に最大のループ電流が流れる値、もしくはLC回路が並列共振する状態に近く、分割アンテナ16−1〜16−4に十分に大きいループ電流が流れる値に設定される。
【0032】
並列共振の式は、下記(1)式の通りである。
1/LC = ω2 … (1)
(1)式において、Lはインダクタンス、Cは静電容量、ωは角周波数である。角周波数ω=2πfである(fは周波数)。
【0033】
従来、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置においては、処理室の内部に大きな誘導電界を形成するために、分割アンテナそれぞれに流す電流を大きくしようとすると、整合回路に大きな電流を流さなければならなくなる。整合回路に大きな電流を流すと、整合回路の内部に設けられているコイルやコンデンサが発熱し、パワー損失が大きくなる、という事情がある。
【0034】
このような事情に対し、一実施形態に係る誘導結合プラズマ処理装置は、分割アンテナ16−1〜16−4各々に、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4をそれぞれ並列接続している。これらの並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4を用いて、プラズマ処理をする際、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4とを含むLC回路を並列共振させる、もしくは並列共振に近い状態とさせる。これにより、上記LC回路にはループ電流が流れる。LC回路にループ電流が流れる結果、整合回路19に流す電流を小さく抑えたとしても、分割アンテナ16−1〜16−4に大きな電流を流すことが可能になる。整合回路19に流す電流を小さくできることで、整合回路19の内部に設けられているコイルLmatch、コンデンサC1match、C2matchに流れる電流値が小さくなり、これらの発熱を抑制することができる。
【0035】
したがって、一実施形態に係る分割アンテナを備えた誘導結合プラズマ処理装置によれば、整合回路の発熱を抑制しつつ、分割アンテナを備え、高周波電源から整合回路を介して電流を分配供給する誘導結合プラズマ処理装置の処理室の内部に、十分な誘導電界を形成することが可能な高周波アンテナ回路及び誘導結合プラズマ処理装置を得ることができる。
【0036】
上記一実施形態においては、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4に含まれるコンデンサC1〜C4を容量固定型とした。しかし、コンデンサC1〜C4は、容量固定型に限らず、図4に示すように、容量可変型コンデンサVC1〜VC4としても良い。容量可変型コンデンサVC1〜VC4を用いた場合には、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに独立して、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4の静電容量を各々調節できる。このため、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに、それぞれ並列共振の状態を調節することが可能となる。
【0037】
なお、容量可変型コンデンサVC1〜VC4は、容量固定型コンデンサC1〜C4に比較して価格が高い。このため、誘導結合プラズマ処理装置の価格を低く抑えたい場合には、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のコンデンサとして容量固定型コンデンサC1〜C4が選択されると良い。
【0038】
対して、処理室4の内部に形成される誘導電界の強度を調節し、処理室4の内部のプラズマ分布を制御したい場合などには、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4のコンデンサとして容量可変型コンデンサVC1〜VC4が選択されると良い。
【0039】
また、図5に示すように、給電経路中の電流分配点N1と、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4との分配点側接続点N2との間に、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdを設けるようにしても良い。分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdを設けた場合には、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに独立して、分割アンテナ16−1〜16−4に供給される分配電流を各々調節できる。分配電流を調節することによっても、分割アンテナ16−1〜16−4ごとに、処理室4の内部に形成される誘導電界の強度を調節でき、例えば、処理室4の内部に生成されるプラズマ分布を制御することが可能となる。
【0040】
もちろん、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdは、図4に示した並列共振制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4と併用することが可能である。併用した場合には、分配電流および並列共振をそれぞれ独立して制御することが可能となるので、例えば、プラズマ分布の制御を、より高精度に行うことが可能となる、といった利点を得ることができる。
【0041】
また、処理室4の内部のプラズマ分布には、アプリケーションごとに最適な分布がある。例えば、記憶部52に、アプリケーションごとに最適なプラズマ分布となるような容量可変型コンデンサVC1〜VC4の容量値若しくは容量可変型コンデンサVCa〜VCdの容量値、又はその両方の容量値を記憶させておき、アプリケーションに応じて、容量可変型コンデンサVC1〜VC4若しくは容量可変型コンデンサVCa〜VCd、又はその両方の容量値を調節する。このようにすると、一台の誘導結合型プラズマ処理装置で、アプリケーションごとに最適なプラズマ分布を処理室4の内部に形成してのプラズマ処理が可能となる。
【0042】
また、図6に示すように、分割アンテナは、分割された金属窓2−1〜2−4ごとに分割されていなくても良い。図6に示す例では、金属窓2−1〜2−4に対して、5つの分割アンテナ16−1〜16−5が設けられている。本例では、分割アンテナ16−1〜16−4が処理室4の天板の周縁部に配置され、分割アンテナ16−5が処理室4の中央部に配置されている。また、図7の回路図に示すように、分割アンテナ16−1〜16−5のそれぞれには、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−5が並列接続されている。
【0043】
このように、分割アンテナ16−1〜16−5が、金属窓2−1〜2−4ごとに分割されていなくても、上述した利点を得ることができる。
【0044】
また、図2Aに示す分割アンテナにおいて、図8に示すように、例えば、分割アンテナ16−1〜16−4と、分割アンテナ16−1〜16−4と並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4との接地点側接続点N3との間に、電流計40を設けるようにしても良い。電流計40を用いて、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流値をモニターし、このモニター結果を、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCeにフィードバックし、例えば、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように、容量可変型コンデンサVCa〜VCeの容量の容量を調節する。
【0045】
このように構成することで、分配電流を、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流の値に基づいて制御することができ、処理室4内部に生成されるプラズマ分布を、より高精度に制御することができる。
【0046】
また、図9に示すように、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4が、容量可変型コンデンサVC1〜VC4を備えている場合には、電流計40によるモニター結果を、共振状態制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4にフィードバックするようにしても良い。この場合には、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流の値に基づいて、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4及び分割アンテナ16−1〜16−4からなるLC回路の共振状態を、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように制御することができ、これによって各分割アンテナに流れる電流を制御することができる。
【0047】
また、特に図示しないが、電流計40によるモニター結果を、共振状態制御用の容量可変型コンデンサVC1〜VC4と、分配電流制御用の容量可変型コンデンサVCa〜VCdとにフィードバックし、上記LC回路の共振状態および分配電流の双方を制御するようにすることも可能である。この場合には、処理室4の内部のプラズマ分布が均一になるように、あるいは処理室4の内部のプラズマ分布がアプリケーションに最適な分布となるように制御する制御性を、さらに良好とすることができる。
【0048】
なお、図8及び図9においては分割アンテナが4つに分割されている場合について説明したが、分割アンテナが図6に示すように5つに分割される場合にも同様に電流計を設けて電流値を測定し、各容量可変型コンデンサを制御してプラズマ密度の分布を制御できることは言うまでもない。
【0049】
また、図6に示したように、分割アンテナが、天板の中央部の分割アンテナ16−5と天板の周縁部の分割アンテナ16−1〜16−4とに分割されている場合には、図10に示すように、例えば、電流供給部に近い中央部の分割アンテナ16−5には、容量可変型コンデンサVCeは設けないようにすることもできる。
【0050】
同様に、図11に示すように、中央部の分割アンテナ16−5に並列接続される並列共振キャパシタ回路30−5のみを容量固定型コンデンサC5とすることも可能である。
【0051】
このようにすると、中央部の分割アンテナ16−5に実際に流れている電流値を他の分割アンテナ16−1〜16−4に流れる電流値との比から決定することができ、周縁部の分割アンテナ16−1〜16−4への分配電流若しくは各LC回路における共振状態又はその両方を制御することができる。このため、容量可変型コンデンサの数を減らすことができ、分割アンテナ16−1〜16−4に実際に流れている電流値に基づいた分配電流若しくは各LC回路における共振状態又はその両方の制御を、より簡易な構成にて行える、という利点を得ることができる。
【0052】
なお、図2Bに示すように周縁部を分割アンテナ16−1〜16−8の8分割とし、中央の分割アンテナ16−9と合わせて全体として3×3のマス目状の9分割にした場合や、図2Cに示すように分割アンテナ16−1〜16−25の5×5のマス目状で25分割した場合も同様に、中央の分割アンテナ16−9又は16−25に並列接続されるコンデンサを容量固定型コンデンサとし、他の分割アンテナに並列接続されるコンデンサを容量可変型コンデンサとすることができる。さらに、25を超える多数に分割し中央に分割アンテナを有する場合も同様にして上記変形例を適用することができる。また、基準となる容量固定型コンデンサが並列接続される分割アンテナが中央にあることにこだわる必要がない場合には、2×2の4分割や4×4の16分割など偶数に分割され中央に分割アンテナが無い場合においても上記変形例を適用することができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、処理室4の天板として金属窓2を用いたが、処理室4の天板としては、誘電体窓、例えば、石英製の窓を用いることも可能である。
【0054】
処理室4の天板に、誘電体窓2a−1〜2a−4を用いた場合には、図12に示すように、分割アンテナ16−1〜16−4は、直線アンテナではなく、スパイラルアンテナにすることができる。スパイラルアンテナの場合には、図13の回路図に示すように、分割アンテナ16−1〜16−4は、それぞれ一本のコイルL1〜L4から構成される。このため、複数の直線アンテナが並列接続されている場合に比較して、アンテナ数が少なくなり、整合回路19に流れる電流は小さくなる。しかし、分割アンテナ16−1〜16−4のそれぞれには、高周波電源18から整合回路19を介して電流が分配されることには変わりはない。このため、分割アンテナ16−1〜16−4がそれぞれ一本のスパイラルアンテナから構成されていた、としても、並列共振キャパシタ回路30−1〜30−4をスパイラルアンテナに並列接続することで、整合回路19に流れる電流をさらに小さくでき、上述した利点を得ることができる。この利点は、分割アンテナの分割数が、本実施形態のように“2×2=4”から、例えば、“3×3=9”、“4×4=16”、“5×5=25”、…、と増えるにつれてより良く得られるようになる。
【0055】
なお、誘電体窓2a−1〜2a−4は、図12に示すように、支持棚5及び支持梁6の上に絶縁物10を介さずに載置される。
【0056】
また、特に、図示はしないが、天板に誘電体窓を用いた場合には、誘電体窓自体が、分割されていなくてもよい。
【0057】
このような図12、図13に示した例は、図4〜図11に示した例と併用することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては4つ以上に分割された分割アンテナについて詳述したが、これらに限られず、2つ若しくは3つに分割された分割アンテナの場合であっても、複数に分割したものであれば、同様にして適用することができる。
【0059】
また、誘導結合プラズマ処理装置が行うプラズマ処理としては、アッシング、エッチング、CVD成膜等を挙げることができる。
【0060】
また、被処理基板としてFPD基板を用いたが、被処理基板としては、半導体ウエハ等他方の基板を処理する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1;処理チャンバー、16;高周波アンテナ(プラズマ生成アンテナ)、16−1〜16−5;分割アンテナ、18;高周波電源、19;整合回路、30−1〜30−5;並列共振キャパシタ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、
前記処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナと、
前記プラズマ生成アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記高周波電源と前記プラズマ生成アンテナとの間に介在する整合回路と、
前記プラズマ生成アンテナを構成し、前記整合回路を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナと、
前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路と
を有することを特徴とする高周波アンテナ回路。
【請求項2】
基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成する誘導結合プラズマ処理装置であって、
前記処理チャンバー内上部に設けられた天板と、
前記天板上に設けられ、複数の分割アンテナから構成されるプラズマ生成アンテナと、
前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路と
を有することを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記天板は、前記複数の分割アンテナと同数に、分割された金属板で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記複数の分割アンテナは、それぞれ前記分割された金属板に対応して、直線状に複数本並列接続されて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項5】
前記天板は、少なくとも1以上の誘電体板で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記複数の分割アンテナは、それぞれスパイラル状に形成されることを特徴とする請求項5に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記並列共振キャパシタ回路の少なくとも一つは、前記分割アンテナに並列に接続された容量固定型コンデンサを含むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記並列共振キャパシタ回路の少なくとも一つは、前記分割アンテナに並列に接続された共振状態制御用の容量可変型コンデンサを含むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記分割アンテナへ電流を分配する電流分配点と、前記分割アンテナと前記並列共振キャパシタ回路との分配点側の接続点との間に設けられた分配電流制御用の容量可変型コンデンサをさらに具備することを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記共振状態制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項8に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記分配電流制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記共振状態制御用の容量可変型コンデンサ及び前記分配電流制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記分割アンテナと接地点との間に設けられた電流計をさらに具備し、
前記電流計によるモニター結果を、前記共振状態制御用の容量可変型キャパシタにフィードバックし、前記分割アンテナと前記並列共振キャパシタ回路とを含むLC回路の共振状態を制御するように構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項10又は請求項12に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記分割アンテナと接地点との間に設けられた電流計をさらに具備し、
前記電流計によるモニター結果を、前記分配電流制御用の容量可変型キャパシタにフィードバックし、前記分割アンテナへの分配電流を制御するように構成されていることを特徴とする請求項9又は請求項11又は請求項12に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項1】
誘導結合プラズマ処理装置において基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成するための高周波アンテナ回路であって、
前記処理チャンバー内にプラズマを生成するプラズマ生成アンテナと、
前記プラズマ生成アンテナに高周波電力を供給する高周波電源と、
前記高周波電源と前記プラズマ生成アンテナとの間に介在する整合回路と、
前記プラズマ生成アンテナを構成し、前記整合回路を通過後の高周波電力が分配される複数の分割アンテナと、
前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路と
を有することを特徴とする高周波アンテナ回路。
【請求項2】
基板を処理する処理チャンバー内に誘導結合プラズマを生成する誘導結合プラズマ処理装置であって、
前記処理チャンバー内上部に設けられた天板と、
前記天板上に設けられ、複数の分割アンテナから構成されるプラズマ生成アンテナと、
前記複数の分割アンテナのそれぞれに並列に設けられた並列共振キャパシタ回路と
を有することを特徴とする誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記天板は、前記複数の分割アンテナと同数に、分割された金属板で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記複数の分割アンテナは、それぞれ前記分割された金属板に対応して、直線状に複数本並列接続されて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項5】
前記天板は、少なくとも1以上の誘電体板で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記複数の分割アンテナは、それぞれスパイラル状に形成されることを特徴とする請求項5に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記並列共振キャパシタ回路の少なくとも一つは、前記分割アンテナに並列に接続された容量固定型コンデンサを含むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記並列共振キャパシタ回路の少なくとも一つは、前記分割アンテナに並列に接続された共振状態制御用の容量可変型コンデンサを含むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記分割アンテナへ電流を分配する電流分配点と、前記分割アンテナと前記並列共振キャパシタ回路との分配点側の接続点との間に設けられた分配電流制御用の容量可変型コンデンサをさらに具備することを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記共振状態制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項8に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記分配電流制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記分割アンテナは、天板の中央部に配置された分割アンテナと、天板の周縁部に配置された分割アンテナとを含み、
前記共振状態制御用の容量可変型コンデンサ及び前記分配電流制御用の容量可変型コンデンサが、前記天板の周縁部に配置された分割アンテナに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記分割アンテナと接地点との間に設けられた電流計をさらに具備し、
前記電流計によるモニター結果を、前記共振状態制御用の容量可変型キャパシタにフィードバックし、前記分割アンテナと前記並列共振キャパシタ回路とを含むLC回路の共振状態を制御するように構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項10又は請求項12に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記分割アンテナと接地点との間に設けられた電流計をさらに具備し、
前記電流計によるモニター結果を、前記分配電流制御用の容量可変型キャパシタにフィードバックし、前記分割アンテナへの分配電流を制御するように構成されていることを特徴とする請求項9又は請求項11又は請求項12に記載の誘導結合プラズマ処理装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−105664(P2013−105664A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249826(P2011−249826)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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