高周波センサ装置
【課題】意図しない動作などが誤検知されずマン・マシン・インタフェースとして使いやすい高周波センサ装置を提供する。
【解決手段】送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【解決手段】送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波などが人体にあたると反射波あるいは透過波を生じる。この反射波または透過波を受信し人体の有無を検出するのが高周波センサ装置であり、自動ドア、機器のリモートコントロール、便器洗浄装置などに使用できる。さらに、移動物体を検出する高周波センサ装置もあり、例えば水洗便器の自動洗浄などに有用である。
【0003】
人体を含む移動物体を検知するには、ドップラー効果を利用することができる。すなわち、電波や音波が移動物体に当たり反射すると、反射波の周波数がドップラーシフトする。反射波及び送信波の差分周波数スペクトラムを求めることにより移動物体が検知される。さらにドップラー周波数は物体の移動速度に比例するので、移動速度を知ることもできる。
【0004】
無給電素子が基板内のスルーホール式の制御線を通じて基板の背面上に設けられた高周波スイッチに接続され、電波ビームの放射方向を切替えるマイクロストリップアンテナ及びこれを用いた高周波センサに関する技術開示例がある(特許文献1)。電波ビームの放射方向をスキャンさせると、例えば高周波センサ装置のアンテナに向かって人がどの方向から接近してきたかなどを検知することができる。
【特許文献1】国際公開番号WO2006/035881A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電波ビームを複数の方向に順次スキャンさせ、人体の手の動く方向を検知してこれに対応した情報を入力させる場合など、入力のための手の動作の後に、手を元に戻す動作まで検知すると、誤った情報が入力されることがあり得る。また、電波ビームをスキャンさせない場合にも、例えば、高周波センサ装置のアンテナに対して手を接近させる動作と、アンテナから遠ざける動作と、がそれぞれ検知されると、誤った情報を入力する場合があり得る。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、意図しない動作などが誤検知されずマン・マシン・インタフェースとして使いやすい高周波センサ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してからドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少するまでは、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、意図しない動作などが誤検知されずマン・マシン・インタフェースとして使いやすい高周波センサ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置のブロック図である。
高周波センサ装置は、高周波部10と制御部20とを有する。高周波部10は、給電素子102及び無給電素子104、106などからなるアンテナ100と、高周波回路12と、を有する。高周波回路12には、送信波を発生する発振回路14と、受信波からドップラー信号を取り出す検波回路16と、が設けられている。
【0011】
アンテナ100から放射された送信波は、人体などの物体に当たり反射波を生じ、給電素子102で受信される。アンテナ100は送受信共用でもよいし、送信用と受信用とを別にしてもよい。人体検知用の高周波センサ装置において使用可能な送信波の周波数は、10.525及び24.15GHzである。
【0012】
移動物体の場合、ドップラー信号が高周波部10の検波回路16から出力される。このドップラー信号は、制御部20の増幅器22を介して制御判断回路26へ入力される。また、増幅器22の他の出力は、比較器24を介して制御判断回路26へ入力される。その出力は、負荷制御回路30へ入力される。また、制御判断回路26は、無給電素子104、106の電波ビームの放射方向を変える制御信号を出力する。なお、本発明においては、電波ビームの放射方向を変える機能は、必ずしも必須ではない。
図2は、本実施形態の高周波センサ装置に設けられるマイクロストリップアンテナの一例を表す平面図である。
また、図3は、図2のA−A断面図である。なお、図2以降の図については、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
このアンテナは、セラミックスや樹脂などの絶縁性の材料からなる基板101の前面に矩形状の導電体薄膜からなる3つのアンテナ素子102、104、106が一直線上に併設された構造を有する。中央のアンテナ素子102は、マイクロ波信号源から直接的に(すなわち、電線を通じて)マイクロ波電力の供給を受ける給電素子である。給電素子102の両側に設けられた2つのアンテナ素子104、106は、直接的な給電は受けない無給電素子である。給電素子102の励振方向は、図2において上下の方向であり、3つのアンテナ素子104、102、106の配列方向は励振方向と直交する方向とされている。この実施例では一例として左右の無給電素子104、106は、中央の給電素子102を中心として線対象の位置、すなわち給電素子102から等距離の位置に配置されており、サイズも同一とされている。無給電素子104、106のサイズは、給電素子102のサイズとほぼ同一とすることができるが、異なるものとしてもよい。なお、励振方向にみた長さは、用いるマイクロ波の波長に応じて最適な範囲があるので変えることができる範囲は狭いが、励振方向に対して垂直な方向の長さはより広い範囲で変えることができる。
【0014】
給電素子102の背面の所定箇所(以下、「給電点」という)に給電線108の一端が接続されている。図3に表したように、給電線108は、基板101を貫通する導電線であり、給電線108の他端は、基板101の背面上に位置された高周波回路12のマイクロ波出力端子に接続されている。なお、高周波回路12は、例えばワンチップICとして形成することができる。給電素子102は、高周波回路12に設けられた発振回路14(図1参照)から出力される特定周波数(例えば、10.525GHz、24.15GHz、または76GHzなど)のマイクロ波電力を給電点に受けて励振される。
【0015】
図3に表したように、基板101は多層基板であり、その内部には1つの層として、薄膜状のアース電極116が、基板101の全面にわたって設けられている。アース電極116は、接地線115を介して高周波回路12のグランド端子に接続されている。
【0016】
図2及び図3に表したように、無給電素子104、106のそれぞれの背面の所定箇所(以下、「接地点」という)にも、制御線110、112の一端がそれぞれ接続されている。制御線110、112の他端は、基板101の背面上に配置されたスイッチ120、124の一側端子にそれぞれ接続されている。スイッチ120、124の他側端子は、接地線118、122をそれぞれ介して、アース電極116に接続されている。スイッチ120、124は個別にオン・オフ操作が可能とされている。左側のスイッチ120のオン・オフ操作により、左側の無給電素子104がアース電極116に接続されるか、フローティング状態になるかが切り替えられる。右側のスイッチ124のオン・オフ操作により、右側の無給電素子106がアース電極116に接続されるか、フローティング状態になるかが切り替えられる。
【0017】
スイッチ120、124には、高周波スイッチを用いることが望ましいが、使用するマイクロ波周波数に対するインピーダンスが所定の適正値に調整されている必要は特になく、高周波信号を遮断するスイッチのオフ特性(アイソレーション)が良好であればよい。 図2に表したように、給電素子102の給電点の位置は、一例として、給電素子102の励振方向(上下方向)において、使用するマイクロ波の基板101上での波長λgに応じた最適アンテナ長 (ほぼ、λgである)だけ給電素子102の下側エッジ(または上側エッジ)から上側(または下側)に離れた位置であって、励振方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)において、給電素子102の中央位置とされている。一方、無給電素子104、106のそれぞれの接地点の位置は、一例として、励振方向(上下方向)において、各無給電素子104、106の中央を中心とした幅L/2の範囲より外側の位置であって、直交する方向(左右方向)において、それぞれの無給電素子104、106の中央の位置とされている。ここで、Lは、無給電素子104、106の励振方向にみた長さである。
【0018】
このように構成されたマイクロストリップアンテナにおいて、スイッチ120、124を操作して無給電素子104、106をアース電極116に接続(接地)するかを切り替えることにより、このマイクロストリップアンテナから出力されてる電波ビームの放射方向を複数の方向のいずれかに切り替えることができる。給電素子102と無給電素子104、106との位置関係により放射方向が決定されるため、波長よりも極端に短い給電線108を介して給電素子102と高周波回路12とを接続することが可能であり、よって、伝送損失が少なく効率がよい。また、制御線に接続されるスイッチが1つで電波ビームの放射方向を変化させることができるため、このマイクロストリップアンテナは基板サイズ小型化や製造の低コスト化に適している。
【0019】
図4は、スイッチ120、124の操作による電波ビームの放射方向の変化を表す模式図である。
図4において、楕円は放射される電波ビームを模式的に表し、横軸の角度は基板101の主面に対して垂直な方向からみた電波ビームの放射方向の角度(放射角度)を表し、プラスの角度は放射方向が図2において右側に傾いていることを表し、マイナスの角度は左側に傾いていることを表す。
【0020】
図4に表したように、両方のスイッチ120、124がオンの場合(すなわち、両方の
無給電素子104、106が接地されている場合)、電波ビームは点線で表したように、基板101の主面に対して垂直な方向に放射される。両方のスイッチ120、124がオフの場合(すなわち、両方の無給電素子104、106がフローティング状態の場合)も、電波ビームは一点鎖線で表したように、基板101の主面に対して垂直な方向に放射される。
【0021】
一方、左側のスイッチ120がオンで右側のスイッチ124がオフの場合(すなわち、左側の無給電素子104だけが接地されている場合)は、電波ビームは破線で表したように、左側(条件によっては右側)に傾いた方向に放射される。また、左側のスイッチ120がオフで右側のスイッチ124がオンの場合(すなわち、右側の無給電素子106だけが接地されている場合)は、電波ビームはもうひとつの破線で表したように、右側(条件によっては左側)に傾いた方向に放射される。
このように、接地される無給電素子104、106を選択することにより、電波ビームの放射方向を変えることができる。
【0022】
図5は、本発明の第1の実施の形態の高周波センサ装置において実行される動作を例示するフローチャートである。
また、図6は、高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【0023】
また、図7は、図6に表した具体例に対応したドップラー信号の波形や信号のタイミングなどを表すグラフ図である。
本実施形態においては、例えば、図5に表したように、高周波センサ装置は人体検知モードを実行する(ステップS102)。これは例えば、図6(a)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を電波ビームD2の固定し、移動体によるドップラー信号を監視するモードである。
【0024】
そして、例えば、図6(b)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、図6(c)に表したように電波ビームD2の検知範囲内において左手を前方に差し出す。すると、図7に表したようにドップラー信号Aが生ずる。すると、制御判断回路26は、使用者900の左手の動作を検知する。すなわち、図7に表した具体例の場合、ドップラー信号Aの振幅が閾値を越えると、閾値判定信号がハイレベル(H)となる。そして、制御判断回路26は、この閾値判定信号に基づいて、検知を確定し(ステップS104:yes)、判定信号を出力する。ここで、例えば、この判定信号に基づいて、部屋の照明が点灯・消灯されるものとする。つまり、被検知体900がアンテナ100の前で、手を動かす度に、照明が点灯と消灯とを交互に繰り返す。
【0025】
このような場合、図6(c)に表したように使用者900が例えば照明を点灯させるために左手をアンテナ100に向けて差し出した後に、図6(d)に表したように左手を元に戻すと、その動作に対応して、図7に表したように、ドップラー信号Bが生ずる。左手を元に戻す動作は、差し出す動作と類似しているので、それにより生ずるドップラー信号Bもドップラー信号Aと類似する。このため、ドップラー信号Bが閾値を越えたことにより閾値判定信号はハイレベル(H)となる。これに基づいて判定信号をもう一度出力すると、照明は消灯される。
【0026】
しかし、使用者900が左手を戻す動作は、使用者900が情報の入力を意図して行ったものではない。つまり、ドップラー信号Bに基づいて、判定信号をもう一度出力すると、使用者900の意思に反して照明を消灯することとなる。
【0027】
これに対して、本実施形態においては、最初に使用者900が左手を差し出した動作(図6(c))に基づいて検知を確定すると、判定信号を出力する(ステップS106)とともに、タイマT1を開始し(ステップS108)、所定の時間T1が経過するまで待機する(ステップS110)。所定の時間T1は、判定信号を更新しない判定信号未更新期間に対応する。つまり、検知を確定(ステップS104:yes)し、判定信号を出力した後に、再び判定信号を出力しない期間を設ける。判定信号未更新期間においては、ドップラー信号が閾値を越えてもこれを無効とする。このようにすれば、使用者900が意図しない動作を実行した場合でも、これが検知されて誤った情報が入力されることを防止できる。
【0028】
本実施形態における判定信号未更新期間の時間T1は、高周波センサ装置の用途や使い方などに応じて適宜決定することができるが、人間の動作を検知する場合には、概ね0.1〜3秒程度の範囲とするとよい。判定信号未更新期間の時間T1がこれよりも短いと、使用者の意図しない動作が誤検知される確率が高くなる。一方、判定信号未更新期間の時間T1がこれよりも長くなると、使用者が次の入力をするまでの待ち時間が無視できなくなる。
【0029】
図8及び図9は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
また、図10は、本具体例に対応する高周波センサ装置の動作のタイミングなどを表すグラフ図である。
【0030】
本具体例においては、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図8(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。図8に表した具体例の場合、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。なお、図8(c)及び図9においては、便宜的に電波ビームD1とD3を重ねて表した。
そして、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると第1の判定信号を出力し、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると第2の判定信号を出力する。例えば、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がり、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がるものとする。
【0031】
ここで、図8(c)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図9(a)及び(b)に表したように電波ビームD3による検知範囲内で左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、使用者900の動作に対応して、図6に表したようにドップラー信号Aが生ずる。これに伴い、閾値判定信号がハイレベルとなり、制御判断回路26は、検知を確定して(ステップS104:yes)、判定信号を出力する。この判定信号に対応して、部屋の照明の照度が一段階上げられる。
【0032】
ところが、ここで使用者900が図9(c)に表したように左手を矢印Bの方向に戻すと、これに対応したドップラー信号Bが電波ビームD3の方向(SW1)に表れる(図10)。これは例えば、電波ビームD3が放射されている間に使用者900が図9(a)〜(c)に表したように左手を素早く動かした場合に起こる。または、使用者900が左手を矢印Aの方向に動かした時と、元に戻す時に、電波ビームD3がそれぞれ放射されるようにスキャンのタイミングが整合した場合にも起こる。このドップラー信号Bに基づいて判定信号をもう一度出力すると、使用者の意図に反して照明の照度がもう一段階上げられしまう。つまり、使用者900は、一段階だけ照度を上げたかったにも拘わらず、照度が2段階上げられてしまう。
【0033】
これに対して、本具体例においては、最初の検知の確定の後に判定信号未更新期間を設け、ドップラー信号Bを無効とする。こうすることにより、使用者900が左手を元に戻す動作を誤検知することが防止される。
なおこの場合に、判定信号未更新期間は、電波ビームD1とD3の両方に設けてもよいが、電波ビームD3の方向のみに設けてもよい。つまり、電波ビームD3に関してのみドップラー信号を無効とし、電波ビームD1の方向のドップラー信号は検知し続けて確定すれば判定信号を出力するようにしてもよい。
【0034】
図11及び図12は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図11(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。つまり、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。そして、図8及び図9に関して前述したものと同様に、例えば、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がり、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がるものとする。
【0035】
ここで、図11(c)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図12(a)及び(b)に表したように左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、まず電波ビームD3の方向でドップラー信号が生じ、制御判断回路26は、これにより検知を確定して(ステップS104:yes)、照度を上げるための判定信号を出力する。
【0036】
ところがここで、使用者900の左手が図12(b)に表したように、電波ビームD1の検知範囲内に入ってしまうと、電波ビームD1の方向にドップラー信号が生ずる。これは、部屋の照度を一段階下げる動作に対応するが、これは使用者900の意図するものではない。
【0037】
これに対して、本具体例においては、図12(a)で表した動作に基づいて検知を確定した後に判定信号未更新期間を設け、その後のドップラー信号を無効とする。こうすることにより、使用者900の左手が電波ビームD1の検知範囲内に入ってしまった場合でも、使用者900の意図に反して照明の照度を下げることを防止できる。
【0038】
図13および図14は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図13(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。つまり、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。そして、これら電波ビームD1の検知範囲と電波ビームD3の検知範囲との間を移動する検知体を検知するものとする。なお、この際のスキャンの速度は、人の動きを検知するために適した速度であることが望ましく、例えば、それぞれの方向の電波ビームの放射時間を10〜50ミリ秒程度とすることができる。
【0039】
そして、制御判断回路26は、電波ビームD3の検知範囲で検知した後に電波ビームD1の検知範囲で検知すると第1の制御信号を出力し、電波ビームD1の検知範囲で検知した後に電波ビームD3の検知範囲で検知すると第2の制御信号を出力する。例えば、電波ビームD3の検知範囲から電波ビームD1の検知範囲に移動する動作、すなわち、アンテナ100の前を矢印A(図13(b))の方向に移動する動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がり、反対に、電波ビームD1の検知範囲から電波ビームD3の検知範囲に移動する動作、すなわち、矢印B(図13(b))の方向に移動する動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がるものとする。
【0040】
ここで、図13(c)に表したように、アンテナ100から向かって使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図14(a)及び(b)に表したように電波ビームD3の検知範囲から電波ビームD1の検知範囲内にかけて左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、使用者900の動作に対応して、電波ビームD3の方向と電波ビームD1の方向にドップラー信号が順次生ずる。制御判断回路26は、これにより検知を確定して(ステップS104:yes)、照度を上げるための判定信号を出力する。この判定信号に対応して、部屋の照明の照度が一段階上げられる。
【0041】
ところが、ここで使用者900が図14(c)に表したように左手を矢印Bの方向に戻すと、これに対応して、電波ビームD1の方向と電波ビームD3の方向にドップラー信号が順次生ずる。これは、部屋の照度を一段階下げる動作に対応するが、これは使用者900の意図するものではない。
【0042】
これに対して、本具体例においては、図14(a)及び(b)で表した動作に基づいて検知を確定した後に判定信号未更新期間を設け、その後のドップラー信号を無効とする。こうすることにより、使用者900が左手を元に戻す動作を誤検知することが防止される。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図15は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
また、図16は、図15に表した具体例に対応して得られるドップラー信号の波形などを表したグラフ図である。
【0044】
また、図17は、本実施形態において実行される処理を例示するフローチャートである。
【0045】
図15は、使用者900が電波ビームD2の検知範囲において左手を矢印Aの方向に振った場合を表す。この場合、図16に表したように、アンテナ100に対する左手の接近に対応したドップラー信号Aと、アンテナ100から左手が遠ざかることに対応したドップラー信号Bと、が得られる。これは例えば、図6に関して前述したように、使用者900が電波ビームD2の検知範囲において左手を差し出してから戻す動作をした場合にも同様である。
第1実施形態においては、この後、所定の時間T1を判定信号未更新期間とすることにより、ドップラー信号Bを無効としている。ただし、このようにすると、所定の時間T1が経過するまでの間は、高周波センサ装置に対する入力ができない。
【0046】
これに対して、本実施形態においては、ドップラー信号Bの波形に基づいて判定信号未更新期間を終了する。
すなわち、使用者が図15に表したようにアンテナ100の前で手を振った場合などには、図16に表したように、接近動作に対応するドップラー信号Aと、離遠動作に対応するドップラー信号Bとが表れる。アンテナ100に対する使用者900の左手の相対的な速度は、アンテナ100に近いほど遅い傾向がある。すなわち、接近動作の場合には相対速度は低下する傾向があり、離遠動作の場合には相対速度は上昇する傾向がある。つまり、離遠動作の場合には、ドップラー信号Bの周波数は時間とともに上昇し、一方、その振幅は時間とともに小さくなる傾向がある。
【0047】
そこで、本実施形態においては、接近動作に対応するドップラー信号Aに基づいて判定信号を出力(ステップS106)した後に、判定信号未更新期間を開始する(ステップS108)。そして、判定信号未更新期間の間にドップラー信号Bが表れた時(ステップS112:yes)に、その周波数の変化(ステップS114)と、振幅の変化(ステップS116)と、を調べる。そして、周波数が上昇し(ステップS114:yes)、振幅が減少する(ステップS116:yes)場合には、離遠動作であると判定して、判定信号未更新期間を終了する(ステップS102)。こうすると、判定信号未更新期間をより早く終了することが可能となり、例えば、使用者900が高周波センサ装置に対して所定の情報を入力した後に、もう一度入力したい場合など、直ちに入力を実行することが可能となる。
【0048】
なお、離遠動作の誤検知を防止するために、ステップS116においては、ドップラー信号の振幅が閾値判定(図16参照)における閾値を下回った時に、振幅が減少したと判定することが望ましい。またさらに、ステップS116において、ドップラー信号の振幅が減少したと判定した(ステップS116:yes)後に、所定の時間が経過してから人体検知モードに戻ってもよい(ステップS102)。
【0049】
図18〜図20は、第1実施形態または第2実施形態の高周波センサ装置のもうひとつの具体例を説明するための模式図である。
【0050】
すなわち、図18は、本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
また、図19は、このアンテナ100においてスイッチ操作により放射ビームの方向が変化することを表した模式図である。
また、図20は、この高周波センサ装置により制御されるパラメータを例示した模式図である。
【0051】
このアンテナ100は、給電素子102の上下左右に無給電素子130、132、104、106が配置された形態を有する。これら無給電素子は、制御線110、112、134、136を介して接続されたスイッチSW1〜SW4により、それぞれ接地状態とフローティング状態のいずれかにすることができる。無給電素子104、106、130、132のいずれか1つのみを選択的に接地状態とすることにより、メインビームの放射方向を上下左右に傾斜させることができる。また、無給電素子104、106、130、132は給電素子102により励起され、同一方向に励振されるため、左右の無給電素子104、106のうちのいずれかと上下の無給電素子130、132のいずれかをそれぞれ接地することにより、メインビームの方向を平面視で45度程度の方向に傾斜させることもできる。このように接地される無給電素子104、106、130、132を選択することにより、メインビームの方向を45度間隔で変えることもできる。
【0052】
このようなアンテナ100を用いて、テレビを制御することができる。例えば、図20に表したように、向かって右側において動作を検知する音量を大きくし、向かって左側において動作を検知すると音量を小さくする。一方、向かって上側において動作を検知するとチャンネルを上げ、向かって下側において動作を検知するとチャンネルを下げる。
これら音量やチャンネルの制御は、例えば一段階ずつデジタル的に実行してもよく、または、使用者の手の動作の速度や動作距離などに応じてアナログ的に実行してもよい。
【0053】
そして、例えば、使用者の動作に対応してまず向かって右側で検知した場合、これに対応して音量を大きくする。そして、第1または第2実施形態に関して前述したように、判定信号未更新期間を開始する。ただしここで、アンテナ100の全ての方向について判定信号未更新期間を開始する必要はない。何故なら、使用者は、音量を制御し、その後すぐにチャンネルを変えたい場合も多い。そこで、使用者の動作に対応して音量を制御した場合、音量に関する検知部分については判定信号未更新期間を開始し、所定の時間の間、ドップラー信号を無効とするが、チャンネルに関する検知は継続し、使用者の動作を検知した時には、これに応じて判定信号を出力するとともに、チャンネルに関する検知について判定信号未更新期間を開始するようにしてもよい。
このように、目的の異なる複数の機能を有し、その各々の機能に対し増加減または進退の調整が可能なシステムにおいて、複数の機能のうちいずれかひとつの機能が使用者の動作に対応して増加減または進退が調整された時、所定時間が経過するまでは、その機能については調整できない。しかし、所定時間内であっても他のいずれかの機能については使用者の動作に対応して増加減や進退を調整できるようにすることで、使用勝手に優れたスイッチを提供することができる。
【0054】
ここで、目的の異なる複数の機能を有し、各々の機能に対し増加減や進退を調整できるスイッチに本発明の高周波センサ装置を用いる場合、図18に例示したように給電素子を中心として給電素子の各辺に対向する位置に無給電素子を配置し、無給電素子に接続されたスイッチを所定の順序にてON/OFFを切り替え、電波ビームを(図中アンテナ面を上面視した場合)右方向・左方向・上方向・下方向にスキャンし、使用者の動作(接近方向)を検知して予め各電波ビームの方向に対し割り当てられた機能の増加減や進退(図20参照)を操作することができる。
【0055】
ここでいう電波ビームとは、最大放射強度が得られる方向に放射されるメインビームを本来指している。しかし、各電波ビームの放射方向に対して機能やその増加減を割り当てる際には、メインビームとは略反対方向に放射される不要ビーム(以下、「サイドローブ」という)を考慮する必要がある。何故なら、電波ビームの放射方向を切り替える前後において、例えば前の放射のサイドローブの放射方向と後の放射のメインビームの放射方向とが略同じだと、使用者の手がセンサに接近する角度によっては誤検知する可能性があるからである。
【0056】
従って、各電波ビームの放射方向に対する機能やその増加減を割り当てる際には、図21に表したように、目的は異なっていても各機能の増加させる方向と減少させる方向を揃え、機能別で並列に配置されるよう設定することが好ましい。例えば、「音量大」と「チャンネル上げ」については、電波ビームの放射方向を上方向(図中アンテナ面を上面視した場合をという。以下、方向に関する記述についても同様である。)側に揃え、「音量小」と「チャンネル下げ」については電波ビームの放射方向を下方向側に揃え、さらにチャンネル調整は電波ビームの放射方向が右方向側で操作、音量調整は電波ビームの放射方向が左方向側で操作となるよう設定する。
【0057】
つまり、電波ビームが右上方向に放射されている時に使用者の動作(接近)を検知したら「チャンネル上げ」、電波ビームが右下方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「チャンネル下げ」、電波ビームが左上方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「音量大」、電波ビームが左下方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「音量小」、となるよう割り当てている。その結果、同一機能の調整に対し、前のサイドローブの放射方向と後のメインビームの放射方向が異なることになり、サイドローブによる誤検知を抑制できる。
【0058】
このような各電波ビームの放射方向に対する割り当てを実現するためには、電波ビームの放射方向を、右上方向・右下方向・左上方向・左下方向に切り替える必要がある。
電波ビームの放射方向を右上方向・右下方向・左上方向・左下方向に切り替える手段として、図21に表した具体例では、給電素子を中心として給電素子の各辺の一部が無給電素子の各辺の一部と対向するよう無給電素子を配置したマイクロストリップアンテナを使用している。図18に表したアンテナと比較すると、給電素子と無給電素子との間の干渉が少ないため放射効率に優れ、右上方向・右下方向・左上方向・左下方向についてはより広角に検知できる点で有利である。
【0059】
以上、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。
しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、図8〜図14などには電波ビームの方向をスキャンする人体検知モードを実行する具体例を表したが、本発明においては、電波ビームのスキャンは必ずしも必須ではない。また、高周波センサ装置を構成するアンテナ、高周波スイッチ、発振回路、検波回路、制御部などの形状、サイズ、配置などに関して当業者が設計変更を行ったものであっても本発明の主旨を逸脱しない限り本発明の範囲に包含される。また、前述した各具体例のふたつまたはそれ以上を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の高周波センサ装置に設けられるマイクロストリップアンテナの一例を表す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】スイッチ120、124の操作による電波ビームの放射方向の変化を表す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の高周波センサ装置において実行される動作を例示するフローチャートである。
【図6】高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【図7】図6に表した具体例に対応したドップラー信号の波形や信号のタイミングなどを表すグラフ図である。
【図8】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
【図9】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
【図10】本具体例に対応する高周波センサ装置の動作のタイミングなどを表すグラフ図である。
【図11】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
【図12】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
【図13】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
【図14】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
【図15】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【図16】図15に表した具体例に対応して得られるドップラー信号の波形などを表したグラフ図である。
【図17】本実施形態において実行される処理を例示するフローチャートである。
【図18】本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
【図19】アンテナ100においてスイッチ操作により放射ビームの方向が変化することを表した模式図である。
【図20】高周波センサ装置により制御されるパラメータを例示した模式図である。
【図21】本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 高周波部、 12 高周波回路、 14 発振回路、 16 検波回路、 20 制御部、 22 増幅器、 24 比較器、 26 制御判断回路、 30 負荷制御回路、100 アンテナ、101 基板、102 アンテナ素子(給電素子)、104、106 アンテナ素子(無給電素子)、108 給電線、110 制御線、115 接地線、116 アース電極、118 接地線、120、124 スイッチ、130、132 無給電素子、900 被検知体、SW1〜SW4 スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波などが人体にあたると反射波あるいは透過波を生じる。この反射波または透過波を受信し人体の有無を検出するのが高周波センサ装置であり、自動ドア、機器のリモートコントロール、便器洗浄装置などに使用できる。さらに、移動物体を検出する高周波センサ装置もあり、例えば水洗便器の自動洗浄などに有用である。
【0003】
人体を含む移動物体を検知するには、ドップラー効果を利用することができる。すなわち、電波や音波が移動物体に当たり反射すると、反射波の周波数がドップラーシフトする。反射波及び送信波の差分周波数スペクトラムを求めることにより移動物体が検知される。さらにドップラー周波数は物体の移動速度に比例するので、移動速度を知ることもできる。
【0004】
無給電素子が基板内のスルーホール式の制御線を通じて基板の背面上に設けられた高周波スイッチに接続され、電波ビームの放射方向を切替えるマイクロストリップアンテナ及びこれを用いた高周波センサに関する技術開示例がある(特許文献1)。電波ビームの放射方向をスキャンさせると、例えば高周波センサ装置のアンテナに向かって人がどの方向から接近してきたかなどを検知することができる。
【特許文献1】国際公開番号WO2006/035881A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電波ビームを複数の方向に順次スキャンさせ、人体の手の動く方向を検知してこれに対応した情報を入力させる場合など、入力のための手の動作の後に、手を元に戻す動作まで検知すると、誤った情報が入力されることがあり得る。また、電波ビームをスキャンさせない場合にも、例えば、高周波センサ装置のアンテナに対して手を接近させる動作と、アンテナから遠ざける動作と、がそれぞれ検知されると、誤った情報を入力する場合があり得る。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、意図しない動作などが誤検知されずマン・マシン・インタフェースとして使いやすい高周波センサ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、前記受信波を検知する検波回路と、前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、を備え、前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し判定信号を出力してからドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少するまでは、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、意図しない動作などが誤検知されずマン・マシン・インタフェースとして使いやすい高周波センサ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置のブロック図である。
高周波センサ装置は、高周波部10と制御部20とを有する。高周波部10は、給電素子102及び無給電素子104、106などからなるアンテナ100と、高周波回路12と、を有する。高周波回路12には、送信波を発生する発振回路14と、受信波からドップラー信号を取り出す検波回路16と、が設けられている。
【0011】
アンテナ100から放射された送信波は、人体などの物体に当たり反射波を生じ、給電素子102で受信される。アンテナ100は送受信共用でもよいし、送信用と受信用とを別にしてもよい。人体検知用の高周波センサ装置において使用可能な送信波の周波数は、10.525及び24.15GHzである。
【0012】
移動物体の場合、ドップラー信号が高周波部10の検波回路16から出力される。このドップラー信号は、制御部20の増幅器22を介して制御判断回路26へ入力される。また、増幅器22の他の出力は、比較器24を介して制御判断回路26へ入力される。その出力は、負荷制御回路30へ入力される。また、制御判断回路26は、無給電素子104、106の電波ビームの放射方向を変える制御信号を出力する。なお、本発明においては、電波ビームの放射方向を変える機能は、必ずしも必須ではない。
図2は、本実施形態の高周波センサ装置に設けられるマイクロストリップアンテナの一例を表す平面図である。
また、図3は、図2のA−A断面図である。なお、図2以降の図については、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
このアンテナは、セラミックスや樹脂などの絶縁性の材料からなる基板101の前面に矩形状の導電体薄膜からなる3つのアンテナ素子102、104、106が一直線上に併設された構造を有する。中央のアンテナ素子102は、マイクロ波信号源から直接的に(すなわち、電線を通じて)マイクロ波電力の供給を受ける給電素子である。給電素子102の両側に設けられた2つのアンテナ素子104、106は、直接的な給電は受けない無給電素子である。給電素子102の励振方向は、図2において上下の方向であり、3つのアンテナ素子104、102、106の配列方向は励振方向と直交する方向とされている。この実施例では一例として左右の無給電素子104、106は、中央の給電素子102を中心として線対象の位置、すなわち給電素子102から等距離の位置に配置されており、サイズも同一とされている。無給電素子104、106のサイズは、給電素子102のサイズとほぼ同一とすることができるが、異なるものとしてもよい。なお、励振方向にみた長さは、用いるマイクロ波の波長に応じて最適な範囲があるので変えることができる範囲は狭いが、励振方向に対して垂直な方向の長さはより広い範囲で変えることができる。
【0014】
給電素子102の背面の所定箇所(以下、「給電点」という)に給電線108の一端が接続されている。図3に表したように、給電線108は、基板101を貫通する導電線であり、給電線108の他端は、基板101の背面上に位置された高周波回路12のマイクロ波出力端子に接続されている。なお、高周波回路12は、例えばワンチップICとして形成することができる。給電素子102は、高周波回路12に設けられた発振回路14(図1参照)から出力される特定周波数(例えば、10.525GHz、24.15GHz、または76GHzなど)のマイクロ波電力を給電点に受けて励振される。
【0015】
図3に表したように、基板101は多層基板であり、その内部には1つの層として、薄膜状のアース電極116が、基板101の全面にわたって設けられている。アース電極116は、接地線115を介して高周波回路12のグランド端子に接続されている。
【0016】
図2及び図3に表したように、無給電素子104、106のそれぞれの背面の所定箇所(以下、「接地点」という)にも、制御線110、112の一端がそれぞれ接続されている。制御線110、112の他端は、基板101の背面上に配置されたスイッチ120、124の一側端子にそれぞれ接続されている。スイッチ120、124の他側端子は、接地線118、122をそれぞれ介して、アース電極116に接続されている。スイッチ120、124は個別にオン・オフ操作が可能とされている。左側のスイッチ120のオン・オフ操作により、左側の無給電素子104がアース電極116に接続されるか、フローティング状態になるかが切り替えられる。右側のスイッチ124のオン・オフ操作により、右側の無給電素子106がアース電極116に接続されるか、フローティング状態になるかが切り替えられる。
【0017】
スイッチ120、124には、高周波スイッチを用いることが望ましいが、使用するマイクロ波周波数に対するインピーダンスが所定の適正値に調整されている必要は特になく、高周波信号を遮断するスイッチのオフ特性(アイソレーション)が良好であればよい。 図2に表したように、給電素子102の給電点の位置は、一例として、給電素子102の励振方向(上下方向)において、使用するマイクロ波の基板101上での波長λgに応じた最適アンテナ長 (ほぼ、λgである)だけ給電素子102の下側エッジ(または上側エッジ)から上側(または下側)に離れた位置であって、励振方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)において、給電素子102の中央位置とされている。一方、無給電素子104、106のそれぞれの接地点の位置は、一例として、励振方向(上下方向)において、各無給電素子104、106の中央を中心とした幅L/2の範囲より外側の位置であって、直交する方向(左右方向)において、それぞれの無給電素子104、106の中央の位置とされている。ここで、Lは、無給電素子104、106の励振方向にみた長さである。
【0018】
このように構成されたマイクロストリップアンテナにおいて、スイッチ120、124を操作して無給電素子104、106をアース電極116に接続(接地)するかを切り替えることにより、このマイクロストリップアンテナから出力されてる電波ビームの放射方向を複数の方向のいずれかに切り替えることができる。給電素子102と無給電素子104、106との位置関係により放射方向が決定されるため、波長よりも極端に短い給電線108を介して給電素子102と高周波回路12とを接続することが可能であり、よって、伝送損失が少なく効率がよい。また、制御線に接続されるスイッチが1つで電波ビームの放射方向を変化させることができるため、このマイクロストリップアンテナは基板サイズ小型化や製造の低コスト化に適している。
【0019】
図4は、スイッチ120、124の操作による電波ビームの放射方向の変化を表す模式図である。
図4において、楕円は放射される電波ビームを模式的に表し、横軸の角度は基板101の主面に対して垂直な方向からみた電波ビームの放射方向の角度(放射角度)を表し、プラスの角度は放射方向が図2において右側に傾いていることを表し、マイナスの角度は左側に傾いていることを表す。
【0020】
図4に表したように、両方のスイッチ120、124がオンの場合(すなわち、両方の
無給電素子104、106が接地されている場合)、電波ビームは点線で表したように、基板101の主面に対して垂直な方向に放射される。両方のスイッチ120、124がオフの場合(すなわち、両方の無給電素子104、106がフローティング状態の場合)も、電波ビームは一点鎖線で表したように、基板101の主面に対して垂直な方向に放射される。
【0021】
一方、左側のスイッチ120がオンで右側のスイッチ124がオフの場合(すなわち、左側の無給電素子104だけが接地されている場合)は、電波ビームは破線で表したように、左側(条件によっては右側)に傾いた方向に放射される。また、左側のスイッチ120がオフで右側のスイッチ124がオンの場合(すなわち、右側の無給電素子106だけが接地されている場合)は、電波ビームはもうひとつの破線で表したように、右側(条件によっては左側)に傾いた方向に放射される。
このように、接地される無給電素子104、106を選択することにより、電波ビームの放射方向を変えることができる。
【0022】
図5は、本発明の第1の実施の形態の高周波センサ装置において実行される動作を例示するフローチャートである。
また、図6は、高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【0023】
また、図7は、図6に表した具体例に対応したドップラー信号の波形や信号のタイミングなどを表すグラフ図である。
本実施形態においては、例えば、図5に表したように、高周波センサ装置は人体検知モードを実行する(ステップS102)。これは例えば、図6(a)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を電波ビームD2の固定し、移動体によるドップラー信号を監視するモードである。
【0024】
そして、例えば、図6(b)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、図6(c)に表したように電波ビームD2の検知範囲内において左手を前方に差し出す。すると、図7に表したようにドップラー信号Aが生ずる。すると、制御判断回路26は、使用者900の左手の動作を検知する。すなわち、図7に表した具体例の場合、ドップラー信号Aの振幅が閾値を越えると、閾値判定信号がハイレベル(H)となる。そして、制御判断回路26は、この閾値判定信号に基づいて、検知を確定し(ステップS104:yes)、判定信号を出力する。ここで、例えば、この判定信号に基づいて、部屋の照明が点灯・消灯されるものとする。つまり、被検知体900がアンテナ100の前で、手を動かす度に、照明が点灯と消灯とを交互に繰り返す。
【0025】
このような場合、図6(c)に表したように使用者900が例えば照明を点灯させるために左手をアンテナ100に向けて差し出した後に、図6(d)に表したように左手を元に戻すと、その動作に対応して、図7に表したように、ドップラー信号Bが生ずる。左手を元に戻す動作は、差し出す動作と類似しているので、それにより生ずるドップラー信号Bもドップラー信号Aと類似する。このため、ドップラー信号Bが閾値を越えたことにより閾値判定信号はハイレベル(H)となる。これに基づいて判定信号をもう一度出力すると、照明は消灯される。
【0026】
しかし、使用者900が左手を戻す動作は、使用者900が情報の入力を意図して行ったものではない。つまり、ドップラー信号Bに基づいて、判定信号をもう一度出力すると、使用者900の意思に反して照明を消灯することとなる。
【0027】
これに対して、本実施形態においては、最初に使用者900が左手を差し出した動作(図6(c))に基づいて検知を確定すると、判定信号を出力する(ステップS106)とともに、タイマT1を開始し(ステップS108)、所定の時間T1が経過するまで待機する(ステップS110)。所定の時間T1は、判定信号を更新しない判定信号未更新期間に対応する。つまり、検知を確定(ステップS104:yes)し、判定信号を出力した後に、再び判定信号を出力しない期間を設ける。判定信号未更新期間においては、ドップラー信号が閾値を越えてもこれを無効とする。このようにすれば、使用者900が意図しない動作を実行した場合でも、これが検知されて誤った情報が入力されることを防止できる。
【0028】
本実施形態における判定信号未更新期間の時間T1は、高周波センサ装置の用途や使い方などに応じて適宜決定することができるが、人間の動作を検知する場合には、概ね0.1〜3秒程度の範囲とするとよい。判定信号未更新期間の時間T1がこれよりも短いと、使用者の意図しない動作が誤検知される確率が高くなる。一方、判定信号未更新期間の時間T1がこれよりも長くなると、使用者が次の入力をするまでの待ち時間が無視できなくなる。
【0029】
図8及び図9は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
また、図10は、本具体例に対応する高周波センサ装置の動作のタイミングなどを表すグラフ図である。
【0030】
本具体例においては、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図8(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。図8に表した具体例の場合、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。なお、図8(c)及び図9においては、便宜的に電波ビームD1とD3を重ねて表した。
そして、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると第1の判定信号を出力し、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると第2の判定信号を出力する。例えば、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がり、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がるものとする。
【0031】
ここで、図8(c)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図9(a)及び(b)に表したように電波ビームD3による検知範囲内で左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、使用者900の動作に対応して、図6に表したようにドップラー信号Aが生ずる。これに伴い、閾値判定信号がハイレベルとなり、制御判断回路26は、検知を確定して(ステップS104:yes)、判定信号を出力する。この判定信号に対応して、部屋の照明の照度が一段階上げられる。
【0032】
ところが、ここで使用者900が図9(c)に表したように左手を矢印Bの方向に戻すと、これに対応したドップラー信号Bが電波ビームD3の方向(SW1)に表れる(図10)。これは例えば、電波ビームD3が放射されている間に使用者900が図9(a)〜(c)に表したように左手を素早く動かした場合に起こる。または、使用者900が左手を矢印Aの方向に動かした時と、元に戻す時に、電波ビームD3がそれぞれ放射されるようにスキャンのタイミングが整合した場合にも起こる。このドップラー信号Bに基づいて判定信号をもう一度出力すると、使用者の意図に反して照明の照度がもう一段階上げられしまう。つまり、使用者900は、一段階だけ照度を上げたかったにも拘わらず、照度が2段階上げられてしまう。
【0033】
これに対して、本具体例においては、最初の検知の確定の後に判定信号未更新期間を設け、ドップラー信号Bを無効とする。こうすることにより、使用者900が左手を元に戻す動作を誤検知することが防止される。
なおこの場合に、判定信号未更新期間は、電波ビームD1とD3の両方に設けてもよいが、電波ビームD3の方向のみに設けてもよい。つまり、電波ビームD3に関してのみドップラー信号を無効とし、電波ビームD1の方向のドップラー信号は検知し続けて確定すれば判定信号を出力するようにしてもよい。
【0034】
図11及び図12は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図11(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。つまり、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。そして、図8及び図9に関して前述したものと同様に、例えば、電波ビームD1の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がり、電波ビームD3の検知範囲において動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がるものとする。
【0035】
ここで、図11(c)に表したように、アンテナ100に使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図12(a)及び(b)に表したように左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、まず電波ビームD3の方向でドップラー信号が生じ、制御判断回路26は、これにより検知を確定して(ステップS104:yes)、照度を上げるための判定信号を出力する。
【0036】
ところがここで、使用者900の左手が図12(b)に表したように、電波ビームD1の検知範囲内に入ってしまうと、電波ビームD1の方向にドップラー信号が生ずる。これは、部屋の照度を一段階下げる動作に対応するが、これは使用者900の意図するものではない。
【0037】
これに対して、本具体例においては、図12(a)で表した動作に基づいて検知を確定した後に判定信号未更新期間を設け、その後のドップラー信号を無効とする。こうすることにより、使用者900の左手が電波ビームD1の検知範囲内に入ってしまった場合でも、使用者900の意図に反して照明の照度を下げることを防止できる。
【0038】
図13および図14は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、人体検知モード(ステップS102)において、スイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)とを交互に切り替えることにより、図13(a)及び(b)に表したように、アンテナ100から放射する電波ビームの方向を順次切り替えて走査(スキャン)する。つまり、電波ビームD1→D3→D1→D3・・の順に交互に切り替えてスキャンしている。そして、これら電波ビームD1の検知範囲と電波ビームD3の検知範囲との間を移動する検知体を検知するものとする。なお、この際のスキャンの速度は、人の動きを検知するために適した速度であることが望ましく、例えば、それぞれの方向の電波ビームの放射時間を10〜50ミリ秒程度とすることができる。
【0039】
そして、制御判断回路26は、電波ビームD3の検知範囲で検知した後に電波ビームD1の検知範囲で検知すると第1の制御信号を出力し、電波ビームD1の検知範囲で検知した後に電波ビームD3の検知範囲で検知すると第2の制御信号を出力する。例えば、電波ビームD3の検知範囲から電波ビームD1の検知範囲に移動する動作、すなわち、アンテナ100の前を矢印A(図13(b))の方向に移動する動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階上がり、反対に、電波ビームD1の検知範囲から電波ビームD3の検知範囲に移動する動作、すなわち、矢印B(図13(b))の方向に移動する動作を検知すると、部屋の照明の照度が一段階下がるものとする。
【0040】
ここで、図13(c)に表したように、アンテナ100から向かって使用者900が接近し、照明の照度を一段階上げるために、図14(a)及び(b)に表したように電波ビームD3の検知範囲から電波ビームD1の検知範囲内にかけて左手を矢印Aの方向に振ったとする。すると、使用者900の動作に対応して、電波ビームD3の方向と電波ビームD1の方向にドップラー信号が順次生ずる。制御判断回路26は、これにより検知を確定して(ステップS104:yes)、照度を上げるための判定信号を出力する。この判定信号に対応して、部屋の照明の照度が一段階上げられる。
【0041】
ところが、ここで使用者900が図14(c)に表したように左手を矢印Bの方向に戻すと、これに対応して、電波ビームD1の方向と電波ビームD3の方向にドップラー信号が順次生ずる。これは、部屋の照度を一段階下げる動作に対応するが、これは使用者900の意図するものではない。
【0042】
これに対して、本具体例においては、図14(a)及び(b)で表した動作に基づいて検知を確定した後に判定信号未更新期間を設け、その後のドップラー信号を無効とする。こうすることにより、使用者900が左手を元に戻す動作を誤検知することが防止される。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図15は、本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
また、図16は、図15に表した具体例に対応して得られるドップラー信号の波形などを表したグラフ図である。
【0044】
また、図17は、本実施形態において実行される処理を例示するフローチャートである。
【0045】
図15は、使用者900が電波ビームD2の検知範囲において左手を矢印Aの方向に振った場合を表す。この場合、図16に表したように、アンテナ100に対する左手の接近に対応したドップラー信号Aと、アンテナ100から左手が遠ざかることに対応したドップラー信号Bと、が得られる。これは例えば、図6に関して前述したように、使用者900が電波ビームD2の検知範囲において左手を差し出してから戻す動作をした場合にも同様である。
第1実施形態においては、この後、所定の時間T1を判定信号未更新期間とすることにより、ドップラー信号Bを無効としている。ただし、このようにすると、所定の時間T1が経過するまでの間は、高周波センサ装置に対する入力ができない。
【0046】
これに対して、本実施形態においては、ドップラー信号Bの波形に基づいて判定信号未更新期間を終了する。
すなわち、使用者が図15に表したようにアンテナ100の前で手を振った場合などには、図16に表したように、接近動作に対応するドップラー信号Aと、離遠動作に対応するドップラー信号Bとが表れる。アンテナ100に対する使用者900の左手の相対的な速度は、アンテナ100に近いほど遅い傾向がある。すなわち、接近動作の場合には相対速度は低下する傾向があり、離遠動作の場合には相対速度は上昇する傾向がある。つまり、離遠動作の場合には、ドップラー信号Bの周波数は時間とともに上昇し、一方、その振幅は時間とともに小さくなる傾向がある。
【0047】
そこで、本実施形態においては、接近動作に対応するドップラー信号Aに基づいて判定信号を出力(ステップS106)した後に、判定信号未更新期間を開始する(ステップS108)。そして、判定信号未更新期間の間にドップラー信号Bが表れた時(ステップS112:yes)に、その周波数の変化(ステップS114)と、振幅の変化(ステップS116)と、を調べる。そして、周波数が上昇し(ステップS114:yes)、振幅が減少する(ステップS116:yes)場合には、離遠動作であると判定して、判定信号未更新期間を終了する(ステップS102)。こうすると、判定信号未更新期間をより早く終了することが可能となり、例えば、使用者900が高周波センサ装置に対して所定の情報を入力した後に、もう一度入力したい場合など、直ちに入力を実行することが可能となる。
【0048】
なお、離遠動作の誤検知を防止するために、ステップS116においては、ドップラー信号の振幅が閾値判定(図16参照)における閾値を下回った時に、振幅が減少したと判定することが望ましい。またさらに、ステップS116において、ドップラー信号の振幅が減少したと判定した(ステップS116:yes)後に、所定の時間が経過してから人体検知モードに戻ってもよい(ステップS102)。
【0049】
図18〜図20は、第1実施形態または第2実施形態の高周波センサ装置のもうひとつの具体例を説明するための模式図である。
【0050】
すなわち、図18は、本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
また、図19は、このアンテナ100においてスイッチ操作により放射ビームの方向が変化することを表した模式図である。
また、図20は、この高周波センサ装置により制御されるパラメータを例示した模式図である。
【0051】
このアンテナ100は、給電素子102の上下左右に無給電素子130、132、104、106が配置された形態を有する。これら無給電素子は、制御線110、112、134、136を介して接続されたスイッチSW1〜SW4により、それぞれ接地状態とフローティング状態のいずれかにすることができる。無給電素子104、106、130、132のいずれか1つのみを選択的に接地状態とすることにより、メインビームの放射方向を上下左右に傾斜させることができる。また、無給電素子104、106、130、132は給電素子102により励起され、同一方向に励振されるため、左右の無給電素子104、106のうちのいずれかと上下の無給電素子130、132のいずれかをそれぞれ接地することにより、メインビームの方向を平面視で45度程度の方向に傾斜させることもできる。このように接地される無給電素子104、106、130、132を選択することにより、メインビームの方向を45度間隔で変えることもできる。
【0052】
このようなアンテナ100を用いて、テレビを制御することができる。例えば、図20に表したように、向かって右側において動作を検知する音量を大きくし、向かって左側において動作を検知すると音量を小さくする。一方、向かって上側において動作を検知するとチャンネルを上げ、向かって下側において動作を検知するとチャンネルを下げる。
これら音量やチャンネルの制御は、例えば一段階ずつデジタル的に実行してもよく、または、使用者の手の動作の速度や動作距離などに応じてアナログ的に実行してもよい。
【0053】
そして、例えば、使用者の動作に対応してまず向かって右側で検知した場合、これに対応して音量を大きくする。そして、第1または第2実施形態に関して前述したように、判定信号未更新期間を開始する。ただしここで、アンテナ100の全ての方向について判定信号未更新期間を開始する必要はない。何故なら、使用者は、音量を制御し、その後すぐにチャンネルを変えたい場合も多い。そこで、使用者の動作に対応して音量を制御した場合、音量に関する検知部分については判定信号未更新期間を開始し、所定の時間の間、ドップラー信号を無効とするが、チャンネルに関する検知は継続し、使用者の動作を検知した時には、これに応じて判定信号を出力するとともに、チャンネルに関する検知について判定信号未更新期間を開始するようにしてもよい。
このように、目的の異なる複数の機能を有し、その各々の機能に対し増加減または進退の調整が可能なシステムにおいて、複数の機能のうちいずれかひとつの機能が使用者の動作に対応して増加減または進退が調整された時、所定時間が経過するまでは、その機能については調整できない。しかし、所定時間内であっても他のいずれかの機能については使用者の動作に対応して増加減や進退を調整できるようにすることで、使用勝手に優れたスイッチを提供することができる。
【0054】
ここで、目的の異なる複数の機能を有し、各々の機能に対し増加減や進退を調整できるスイッチに本発明の高周波センサ装置を用いる場合、図18に例示したように給電素子を中心として給電素子の各辺に対向する位置に無給電素子を配置し、無給電素子に接続されたスイッチを所定の順序にてON/OFFを切り替え、電波ビームを(図中アンテナ面を上面視した場合)右方向・左方向・上方向・下方向にスキャンし、使用者の動作(接近方向)を検知して予め各電波ビームの方向に対し割り当てられた機能の増加減や進退(図20参照)を操作することができる。
【0055】
ここでいう電波ビームとは、最大放射強度が得られる方向に放射されるメインビームを本来指している。しかし、各電波ビームの放射方向に対して機能やその増加減を割り当てる際には、メインビームとは略反対方向に放射される不要ビーム(以下、「サイドローブ」という)を考慮する必要がある。何故なら、電波ビームの放射方向を切り替える前後において、例えば前の放射のサイドローブの放射方向と後の放射のメインビームの放射方向とが略同じだと、使用者の手がセンサに接近する角度によっては誤検知する可能性があるからである。
【0056】
従って、各電波ビームの放射方向に対する機能やその増加減を割り当てる際には、図21に表したように、目的は異なっていても各機能の増加させる方向と減少させる方向を揃え、機能別で並列に配置されるよう設定することが好ましい。例えば、「音量大」と「チャンネル上げ」については、電波ビームの放射方向を上方向(図中アンテナ面を上面視した場合をという。以下、方向に関する記述についても同様である。)側に揃え、「音量小」と「チャンネル下げ」については電波ビームの放射方向を下方向側に揃え、さらにチャンネル調整は電波ビームの放射方向が右方向側で操作、音量調整は電波ビームの放射方向が左方向側で操作となるよう設定する。
【0057】
つまり、電波ビームが右上方向に放射されている時に使用者の動作(接近)を検知したら「チャンネル上げ」、電波ビームが右下方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「チャンネル下げ」、電波ビームが左上方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「音量大」、電波ビームが左下方向に放射されている時に使用者の動作を検知したら「音量小」、となるよう割り当てている。その結果、同一機能の調整に対し、前のサイドローブの放射方向と後のメインビームの放射方向が異なることになり、サイドローブによる誤検知を抑制できる。
【0058】
このような各電波ビームの放射方向に対する割り当てを実現するためには、電波ビームの放射方向を、右上方向・右下方向・左上方向・左下方向に切り替える必要がある。
電波ビームの放射方向を右上方向・右下方向・左上方向・左下方向に切り替える手段として、図21に表した具体例では、給電素子を中心として給電素子の各辺の一部が無給電素子の各辺の一部と対向するよう無給電素子を配置したマイクロストリップアンテナを使用している。図18に表したアンテナと比較すると、給電素子と無給電素子との間の干渉が少ないため放射効率に優れ、右上方向・右下方向・左上方向・左下方向についてはより広角に検知できる点で有利である。
【0059】
以上、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。
しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、図8〜図14などには電波ビームの方向をスキャンする人体検知モードを実行する具体例を表したが、本発明においては、電波ビームのスキャンは必ずしも必須ではない。また、高周波センサ装置を構成するアンテナ、高周波スイッチ、発振回路、検波回路、制御部などの形状、サイズ、配置などに関して当業者が設計変更を行ったものであっても本発明の主旨を逸脱しない限り本発明の範囲に包含される。また、前述した各具体例のふたつまたはそれ以上を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置のブロック図である。
【図2】本実施形態の高周波センサ装置に設けられるマイクロストリップアンテナの一例を表す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】スイッチ120、124の操作による電波ビームの放射方向の変化を表す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の高周波センサ装置において実行される動作を例示するフローチャートである。
【図6】高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【図7】図6に表した具体例に対応したドップラー信号の波形や信号のタイミングなどを表すグラフ図である。
【図8】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
【図9】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第2の具体例を表す模式図である。
【図10】本具体例に対応する高周波センサ装置の動作のタイミングなどを表すグラフ図である。
【図11】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
【図12】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第3の具体例を表す模式図である。
【図13】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
【図14】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための第4の具体例を表す模式図である。
【図15】本実施形態の高周波センサ装置の動作を説明するための模式図である。
【図16】図15に表した具体例に対応して得られるドップラー信号の波形などを表したグラフ図である。
【図17】本実施形態において実行される処理を例示するフローチャートである。
【図18】本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
【図19】アンテナ100においてスイッチ操作により放射ビームの方向が変化することを表した模式図である。
【図20】高周波センサ装置により制御されるパラメータを例示した模式図である。
【図21】本実施形態の高周波センサ装置において用いることができるアンテナ100の模式平面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 高周波部、 12 高周波回路、 14 発振回路、 16 検波回路、 20 制御部、 22 増幅器、 24 比較器、 26 制御判断回路、 30 負荷制御回路、100 アンテナ、101 基板、102 アンテナ素子(給電素子)、104、106 アンテナ素子(無給電素子)、108 給電線、110 制御線、115 接地線、116 アース電極、118 接地線、120、124 スイッチ、130、132 無給電素子、900 被検知体、SW1〜SW4 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を発生する発振回路と、
前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記受信波を検知する検波回路と、
前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、
を備え、
前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置。
【請求項2】
前記制御判断回路は、前記所定の時間が経過する前であっても、ドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少した後は、ドップラー信号に基づいて判定信号を出力することを特徴とする請求項1記載の高周波センサ装置。
【請求項3】
送信波を発生する発振回路と、
前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記受信波を検知する検波回路と、
前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、
を備え、
前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してからドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少するまでは、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置。
【請求項4】
前記制御判断回路は、前記アンテナから放射される電波の方向を複数の方向に順次変化させつつ被検知体を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項5】
前記制御判断回路は、前記複数の方向のいずれかにおいて前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、前記複数の方向の他においても前記ドップラー信号に基づいて前記判定信号を前記出力しないことを特徴とする請求項4記載の高周波センサ装置。
【請求項6】
前記制御判断回路は、
前記複数の方向のうちの第1の方向において前記被検知体を検知しその後前記複数の方向のうちの前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記被検知体を検知した時には、検知を確定して第1の判定信号を出力し、
前記複数の方向のうちの前記第2の方向において前記被検知体を検知しその後前記複数の方向のうちの前記第1の方向において前記被検知体を検知した時には、検知を確定して前記第1の判定信号とは異なる第2の判定信号を出力するものであって、
前記第1及び第2の判定信号のいずれか一方の判定信号を出力すると、所定の時間は、他方の判定信号を出力しないことを特徴とする請求項4記載の高周波センサ装置。
【請求項7】
前記制御判断回路は、前記複数の方向のいずれかにおいて検知を確定し前記判定信号を出力しない間も、前記複数の方向の他のいずれかにおいて検知を確定すると前記判定信号を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項8】
前記他のいずれかにおいて検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、前記他のいずれかにおいてもドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする請求項7記載の高周波センサ装置。
【請求項1】
送信波を発生する発振回路と、
前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記受信波を検知する検波回路と、
前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、
を備え、
前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置。
【請求項2】
前記制御判断回路は、前記所定の時間が経過する前であっても、ドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少した後は、ドップラー信号に基づいて判定信号を出力することを特徴とする請求項1記載の高周波センサ装置。
【請求項3】
送信波を発生する発振回路と、
前記送信波を放射し、前記送信波の物体による反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記受信波を検知する検波回路と、
前記検波回路に含まれるドップラー信号に基づいて被検知体の検知の有無を判定し、前記被検知体の検知を確定すると判定信号を出力する制御判断回路と、
を備え、
前記制御判断回路は、前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してからドップラー信号の周波数が上昇し振幅が所定の値まで減少するまでは、その時間に得られたドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする高周波センサ装置。
【請求項4】
前記制御判断回路は、前記アンテナから放射される電波の方向を複数の方向に順次変化させつつ被検知体を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項5】
前記制御判断回路は、前記複数の方向のいずれかにおいて前記被検知体の検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、前記複数の方向の他においても前記ドップラー信号に基づいて前記判定信号を前記出力しないことを特徴とする請求項4記載の高周波センサ装置。
【請求項6】
前記制御判断回路は、
前記複数の方向のうちの第1の方向において前記被検知体を検知しその後前記複数の方向のうちの前記第1の方向とは異なる第2の方向において前記被検知体を検知した時には、検知を確定して第1の判定信号を出力し、
前記複数の方向のうちの前記第2の方向において前記被検知体を検知しその後前記複数の方向のうちの前記第1の方向において前記被検知体を検知した時には、検知を確定して前記第1の判定信号とは異なる第2の判定信号を出力するものであって、
前記第1及び第2の判定信号のいずれか一方の判定信号を出力すると、所定の時間は、他方の判定信号を出力しないことを特徴とする請求項4記載の高周波センサ装置。
【請求項7】
前記制御判断回路は、前記複数の方向のいずれかにおいて検知を確定し前記判定信号を出力しない間も、前記複数の方向の他のいずれかにおいて検知を確定すると前記判定信号を出力することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項8】
前記他のいずれかにおいて検知を確定し前記判定信号を出力してから所定の時間は、前記他のいずれかにおいてもドップラー信号に基づいて判定信号を出力しないことを特徴とする請求項7記載の高周波センサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−215968(P2008−215968A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52162(P2007−52162)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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