説明

高周波機器

【課題】出力機能を切替えた場合に空き端子の出力端子を生じさせず、出力端子の有効利用を図ることができる高周波機器を提供する。
【解決手段】第1出力端子と、第2出力端子と、高周波信号に基づき第1出力端子及び第2出力端子から略同一レベルの信号が出力される分配出力状態を含み、かつ、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルの分岐出力が行われる分岐出力状態と、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルのモニタ出力が行われるモニタ出力状態との少なくともいずれかを含む複数の出力状態を切替える切替え手段と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号を処理する高周波機器、特には高周波信号を増幅するブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CATV(ケーブルテレビ)信号やBS/CS信号等の増幅にブースターが用いられる。ブースターの設置時には分岐器や分配器が共に設置されることがあった。従来のブースター等の設置例を図6に示す。
【0003】
図6に示す従来のブースター500は、増幅した高周波信号を出力端子500aから出力する。図6(a)では、出力端子500aに1分岐器501が接続され、1分岐器501は出力端子500aから出力される信号を高出力レベル(幹線出力)と一つの低出力レベル(分岐出力)に分けて各々出力する。高出力レベルの信号は、1分岐器501に接続された8分配器502により等分された8つの出力レベルに分配されて各々出力される。また、図5(b)では、出力端子500aに2分配器503が接続され、出力端子500aから出力される信号は2分配器503により等分された2つの出力レベルに分配されて各々出力される。
【0004】
このように従来、ブースターの設置時に分岐器や分配器を設置する場合、設置作業の負担が大きいという問題があった。そこで、例えば特許文献1の第5図には、分岐器により増幅された信号を一つの高出力レベル(幹線出力)の信号と4つの低出力レベル(分岐出力)の信号に各々出力する4分岐機能と、増幅された信号を等分された4つの出力レベルに分配して各々出力する4分配機能とを切替スイッチにより切替え可能なブースターが示されている。これにより、ブースターの設置時に分岐器または分配器を省くことが可能となり、設置作業は容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−285667号公報(第5図、第7図、第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の第5図に示されたブースターでは、4分配機能に切替えた場合に、一つの出力端子が使用されない空き端子となり、出力端子を有効に利用しているとは言えなかった。同様の問題は、特許文献1の第7図及び第10図に示されたブースターにも言えることである。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、出力機能を切替えた場合に空き端子の出力端子を生じさせず、出力端子の有効利用を図ることができる高周波機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の高周波機器は、
第1出力端子と、
第2出力端子と、
高周波信号に基づき第1出力端子及び第2出力端子から略同一レベルの信号が出力される分配出力状態を含み、かつ、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルの分岐出力が行われる分岐出力状態と、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルのモニタ出力が行われるモニタ出力状態との少なくともいずれかを含む複数の出力状態を切替える切替え手段と、を備える構成とする。
【0009】
このような構成によれば、切替え手段により出力状態を切替えた場合、第1出力端子及び第2出力端子のいずれも空き端子とならずに出力端子の有効利用を図ることができる。
【0010】
また、上記構成において、前記切替え手段は、前記分配出力状態を含み、かつ前記モニタ出力状態及び前記分岐出力状態のいずれをも含む三つの出力状態を切替える構成としてもよい。
【0011】
また、上記構成において、分配手段と、分岐手段と、直流重畳手段と、直流阻止手段と、減衰手段と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、をさらに備え、
前記切替え手段は、第1接点から第8接点までの接点を有し、第1接点は第2接点、第3接点及び第4接点のいずれかに接続を切替えられ、第5接点は第6接点、第7接点及び第8接点のいずれかに接続を切替えられる切替スイッチであり、
前記直流重畳手段により直流成分を重畳された高周波信号は第1接点に入力され、第5接点は第1出力端子に接続され、
第1接点と第2接点が接続されると共に第5接点と第6接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第2接点を介して前記分配手段に入力されて等分された出力レベルに分配され、一方の分配端が第6接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、他方の分配端が直流成分の供給によりオンとなった第2ダイオードを介して第2出力端子から出力される前記分配出力状態となり、
第1接点と第3接点が接続されると共に第5接点と第7接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第3接点を介して前記直流阻止手段に入力され、前記直流阻止手段により直流成分をカットされた高周波信号が前記分岐手段に入力されて幹線出力と分岐出力に分けられ、幹線出力が第7接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、分岐出力が前記減衰手段に入力されて前記減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記モニタ出力状態となり、
第1接点と第4接点が接続されると共に第5接点と第8接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第4接点を介し前記直流阻止手段は介さずに前記分岐手段に入力されて幹線出力と分岐出力に分けられ、幹線出力が第8接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、分岐出力が直流成分の供給によりオンとなった第1ダイオードを介して第2出力端子から出力される前記分岐出力状態となる構成としてもよい。
【0012】
また、上記構成において、第1減衰手段と、第2減衰手段と、分配手段と、をさらに備え、
前記切替え手段は、第1接点から第8接点までの接点を有し、第1接点は第2接点、第3接点及び第4接点のいずれかに接続を切替えられ、第5接点は第6接点、第7接点及び第8接点のいずれかに接続を切替えられる切替スイッチであり、
高周波信号は第1接点に入力され、第5接点は第1出力端子に接続され、
第1接点と第2接点が接続されると共に第5接点と第6接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点、第2接点、第6接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力されると共に、第1減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記モニタ出力状態となり、
第1接点と第3接点が接続されると共に第5接点と第7接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点、第3接点、第7接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力されると共に、第1接点及び第3接点を介して第2減衰手段に出力されて第2減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記分岐出力状態となり、
第1接点と第4接点が接続されると共に第5接点と第8接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第4接点を介して前記分配手段に入力されて等分された出力レベルに分配され、一方が第8接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、他方が第2出力端子から出力される前記分配出力状態となる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高周波機器によれば、出力機能を切替えた場合に空き端子の出力端子を生じさせず、出力端子の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の第1実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係るブースターの概略構成を示す図である。
【図6】従来のブースター等の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るブースターの概略構成を図1A〜図1Cに示す。なお、図1A〜図1Cは、同一のブースターを示すが、後述する切替スイッチ20の切替状態が異なっている。図1A〜図1Cに示すブースター50は、入力端子T1と、第1出力端子T2と、第2出力端子T3と、アンプAPと、切替スイッチ20と、分岐器21と、分配器22と、モニタ用アッテネータ(Attenuator)23と、高周波阻止コイルL11と、コイルL12と、コンデンサC10〜C19と、抵抗R1及びR2と、ダイオードD10及びD11と、を備えている。
【0017】
高周波信号が入力される入力端子T1は、アンプAPの入力端に接続される。アンプAPの出力端は、直流阻止用のコンデンサC19の一端に接続される。コンデンサC19の他端は、高周波阻止コイルL11を介した直流電源Vccと、切替スイッチ20に含まれる接点20aに共通接続される。
【0018】
切替スイッチ20は、双極3投(2回路3接点)スイッチであり、接点20a〜20hを有している。接点20aは、接点20b、20c及び20dのいずれかに接続を切替えられる。接点20eは、接点20f、20g及び20hのいずれかに接続を切替えられる。接点20a側の切り替えと接点20e側の切り替えは連動している。
【0019】
接点20bは、コイルL12、コンデンサC10及びコンデンサC11から構成されるインピーダンス調整回路の入力端に接続される。そのインピーダンス調整回路の出力端には、入力信号を等分された出力レベルに分配して各々出力する分配器22が接続される。分配器22の一方の出力端は接点20fが接続され、他方の出力端はダイオードD11のアノードに接続される。
【0020】
接点20eは、コンデンサC17の一端に接続される。コンデンサC17の他端は、第1出力端子T2に接続される。
【0021】
接点20cは、直流阻止用のコンデンサC12の一端に接続される。コンデンサC12の他端は、接点20dと分岐器21の入力端に共通接続される。
【0022】
分岐器21は、入力信号を高出力レベルの幹線出力と、低出力レベルの分岐出力(例えば−12dB)とに各々出力する。分岐器21には、分岐器21を機能させるためのコンデンサC13が接続されると共に、アイソレーションを取るためのコンデンサC14及び抵抗R1が接続される。
【0023】
分岐器21の幹線出力側の出力端には、接点20hと接点20gが共通接続される。一方、分岐器21の分岐出力側の出力端には、コンデンサC15の一端とダイオードD10のアノードが共通接続される。
【0024】
コンデンサC15の他端には、モニタ用アッテネータ23の入力端に接続される。モニタ用アッテネータ23は、入力信号をモニタ出力用の減衰率で減衰させる減衰器である(例えば、−8dB減衰させる)。モニタ用アッテネータ23の出力端はコンデンサC16の一端に接続される。
【0025】
ダイオードD10のカソードとダイオードD11のカソードは共通接続され、その共通接続点はコンデンサC16の他端に接続される。さらに、その接続点は、抵抗R2の一端とコンデンサC18の一端に接続される。抵抗R2の他端は接地されている。コンデンサC18の他端は、第2出力端子T3に接続される。
【0026】
接点20aが20cに接続されると共に接点20eが20gに接続されるように切替スイッチ20が切替えられた場合(図1A)、アンプAPにより増幅されて直流電源Vccにより直流成分が重畳された高周波信号は、接点20a及び20cを介して直流阻止用のコンデンサC12に入力され、コンデンサC12により直流成分をカットされる。直流成分をカットされた高周波信号は、分岐器21に入力され、幹線出力と分岐出力に各々出力される。幹線出力は、接点20g及び20e、及びコンデンサC17を介して第1出力端子T2から出力される。一方、分岐出力の直流成分がカットされているのでダイオードD10はオフとなり(ダイオードD11もオフ)、コンデンサC15を介して分岐出力はモニタ用アッテネータ23に入力され、減衰されてコンデンサC16及びC18を介して第2出力端子T3から出力される。例えば分岐器21での分岐出力が−12dBで、モニタ用アッテネータ23での減衰が−8dBである場合は、第2出力端子T3からのモニタ出力は、第1出力端子T2からの幹線出力に比して−20dB低いレベルとなる。
【0027】
接点20aが20bに接続されると共に接点20eが20fに接続されるように切替スイッチ20が切替えられた場合(図1B)、アンプAPにより増幅されて直流電源Vccにより直流成分が重畳された高周波信号は、接点20a及び20bを介してインピーダンス調整回路に入力される。インピーダンス調整回路を通過した高周波信号は、分配器22に入力され、分配器22によって等分された出力レベルに2分配されて接点20f側とダイオードD11側に出力される。接点20f側に出力された信号は、接点20f及び20eを介してコンデンサC17に入力され、コンデンサC17により直流成分をカットされた後、第1出力端子T2から出力される。一方、ダイオードD11側に出力された信号には直流成分が重畳されているのでダイオードD11はオンとなり(ダイオードD10はオフ)、ダイオードD11側に出力された信号は、コンデンサC18により直流成分をカットされた後、第2出力端子T3から出力される。第1出力端子T2と第2出力端子T3の出力レベルは同一となり、即ち第1出力端子T2と第2出力端子T3は2分配出力となる。
【0028】
接点20aが20dに接続されると共に接点20eが20hに接続されるように切替スイッチ20が切替えられた場合(図1C)、アンプAPにより増幅されて直流電源Vccにより直流成分が重畳された高周波信号は、接点20a及び20dを介して(直流阻止用のコンデンサC12は介さずに)分岐器21に入力され、幹線出力と分岐出力に各々出力される。幹線出力は、接点20h及び20eを介してコンデンサC17に入力され、コンデンサC17により直流成分がカットされた後、第1出力端子T2から出力される。一方、分岐出力には直流成分が重畳されているのでダイオードD10がオンとなり(ダイオードD11はオフ)、分岐出力は、ダイオードD10を介してコンデンサC18に入力され、コンデンサC18により直流成分をカットされた後、第2出力端子T3から出力される。例えば分岐器21での分岐出力が−12dBである場合は、第2出力端子T3からの分岐出力は、第1出力端子T2からの幹線出力に比して−12dB低いレベルとなる。なお、ダイオードD10を介した信号とモニタ用アッテネータ23を介した信号とが合成されるが、第2出力端子T3から見たときにモニタ用アッテネータ23側がインピーダンスが高いため、ほぼダイオードD10側からしか信号は出力されない。
【0029】
このように本発明の第1実施形態に係るブースター50によれば、切替スイッチ20を切替えた場合に、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3がモニタ出力となる出力状態か、第1出力端子T2と第2出力端子T3が2分配出力となる出力状態か、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3が分岐出力となる出力状態かが切替えられる。従って、第1出力端子T2及び第2出力端子T3のいずれの端子も空き端子とならずに出力端子を有効利用できる。また、ブースター50の設置時に外部の分配器または分岐器を省くことが可能となり、設置作業を容易にすることもできる。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るブースターの概略構成を図2に示す。図2に示すブースター100は、入力端子T1と、第1出力端子T2と、第2出力端子T3と、切替スイッチ1と、アッテネータ2と、分配器3と、コンデンサC1、C2及びC20と、アンプAPとを備えている。
【0031】
高周波信号が入力される入力端子T1は、アンプAPの入力端に接続される。アンプAPの出力端は、コンデンサC20の一端に接続される。コンデンサC20の他端は、アッテネータ2の入力端と切替スイッチ1に含まれる接点1aに共通接続される。アッテネータ2は、入力信号を所定の減衰率で減衰させる減衰器である。なお、所定の減衰率は、分岐出力用の減衰率とするか、モニタ出力用の減衰率とする。モニタ出力は分岐出力よりも信号レベルが低い(例えばモニタ出力=−20dB、分岐出力=−12dB)。
【0032】
切替スイッチ1は、双極双投(2回路2接点)スイッチであり、接点1a〜1fを有している。接点1aは、接点1bまたは1cに接続を切替えられる。接点1dは、接点1eまたは1fに接続を切替えられる。接点1a側の切り替えと接点1d側の切り替えは連動している。接点1bと1eは短絡されている。接点1cは、入力信号を等分された出力レベルに分配して各々出力する分配器3の入力端に接続される。分配器3の一方の出力端は接点1fに接続される。分配器3の他方の出力端は、アッテネータ2の出力端とコンデンサC2の一端に共通接続される。コンデンサC2の他端は、第2出力端子T3に接続される。
【0033】
接点1dはコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、第1出力端子T2に接続される。
【0034】
接点1aが1bに接続されると共に接点1dが1eに接続されるように切替スイッチ1が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、接点1a、1b、1e及び1d、及びコンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。また、アンプAPにより増幅された高周波信号は、アッテネータ2により減衰された後、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第2出力端子T3は、第1出力端子T2より出力レベルが低い分岐出力またはモニタ出力となる。
【0035】
一方、接点1aが1cに接続されると共に接点1dが1fに接続されるように切替スイッチ1が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、接点1a及び1cを介して分配器3に入力され、分配器3により等分された出力レベルに分配されて接点1f側と第2出力端子T3側に出力される。接点1f側に出力された信号は、接点1dよりコンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。また、第2出力端子T3から見るとアッテネータ2側がインピーダンスが高いため、ほぼ分配器3からの出力信号のみがコンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第1出力端子T2と第2出力端子T3の出力レベルはほぼ同一となる。即ち、第1出力端子T2と第2出力端子T3は2分配出力となる。
【0036】
このように本発明の第2実施形態に係るブースター100によれば、切替スイッチ1を切替えた場合に、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3が低出力である分岐出力またはモニタ出力となる出力状態か、第1出力端子T2と第2出力端子T3が2分配出力となる出力状態かが切替えられる。従って、第1出力端子T2及び第2出力端子T3のいずれの端子も空き端子とならずに出力端子を有効利用できる。また、ブースター100の設置時に外部の分配器または分岐器を省くことが可能となり、設置作業を容易にすることもできる。
【0037】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るブースターの概略構成を図3に示す。図3に示すブースター200は、入力端子T1と、第1出力端子T2と、第2出力端子T3と、切替スイッチ4と、分配器5と、アッテネータ6と、コンデンサC1、C2及びC21と、アンプAPと、を備えている。
【0038】
高周波信号が入力される入力端子T1は、アンプAPの入力端に接続される。アンプAPの出力端は、コンデンサC21の一端に接続される。コンデンサC21の他端は、分配器5の入力端に接続される。切替スイッチ4は、双極双投スイッチであり、接点4a〜4fを有している。接点4aは、接点4bまたは4cに接続を切替えられる。接点4dは、接点4eまたは4fに接続を切替えられる。接点4a側の切り替えと接点4d側の切り替えは連動している。分配器5の一方の出力端は接点4aに接続され、分配器5の他方の出力端は接点4dに接続される。接点4bと4eは短絡されている。
【0039】
接点4eは、アッテネータ6の入力端に接続される。アッテネータ6の減衰率は、分岐出力用の減衰率またはモニタ出力用の減衰率とする。接点4cとアッテネータ6の出力端はコンデンサC2の一端に共通接続される。コンデンサC2の他端は、第2出力端子T3に接続される。
【0040】
接点4dはコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、第1出力端子T2に接続される。
【0041】
接点4aが4bに接続されると共に接点4dが4eに接続されるように切替スイッチ4が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、分配器5により等分された出力レベルに分配されて接点4a側及び4d側に出力される。そして、接点4bと接点4eを介して分割された信号が合成され、接点4d及びコンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力されると共に接点4eを介してアッテネータ6に出力される。アッテネータ6により減衰された信号は、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第2出力端子T3は、第1出力端子T2よりも出力レベルが低い分岐出力またはモニタ出力となる。
【0042】
一方、接点4aが4cに接続されると共に接点4dが4fに接続されるように切替スイッチ4が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、分配器5により等分された出力レベルに分配されて接点4a側及び4d側に出力され、接点4a及び4c、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力されると共に接点4dよりコンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。これにより、第1出力端子T2と第2出力端子T3は2分配出力となる。
【0043】
このように本発明の第3実施形態に係るブースター200によれば、切替スイッチ4を切替えた場合に、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3が低出力である分岐出力またはモニタ出力となる出力状態か、第1出力端子T2と第2出力端子T3が2分配出力となる出力状態かが切替えられる。従って、第1出力端子T2及び第2出力端子T3のいずれの端子も空き端子とならずに出力端子を有効利用できる。また、ブースター200の設置時に外部の分配器または分岐器を省くことが可能となり、設置作業を容易にすることもできる。
【0044】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係るブースターの概略構成を図4に示す。図4に示すブースター300は、入力端子T1と、第1出力端子T2と、第2出力端子T3と、分配器7と、切替スイッチ8と、アッテネータ9と、コンデンサC3〜C9と、高周波阻止コイルL3と、ダイオードD1と、アンプAPと、抵抗R3とを備えている。
【0045】
高周波信号が入力される入力端子T1は、アンプAPの入力端に接続される。アンプAPの出力端は、分配器7の入力端に接続される。切替スイッチ8は、双極双投スイッチであり、接点8a〜8fを有している。接点8aは、接点8bまたは8cに接続を切替えられる。接点8dは、接点8eまたは8fに接続を切替えられる。接点8a側の切り替えと接点8d側の切り替えは連動している。分配器7の一方の出力端は、直列接続された直流カット用のコンデンサC3と直流カット用のコンデンサC4とを介して接点8bに接続される。分配器7の他方の出力端は、直列接続された直流カット用のコンデンサC5と直流カット用のコンデンサC6とを介して接点8eに接続される。
【0046】
接点8aはコンデンサC8の一端に接続される。接点8aとコンデンサC8の共通接続点に直流電源Vccが高周波阻止コイルL3を介して接続される。コンデンサC8の他端は、第1出力端子T2に接続される。
【0047】
コンデンサC5とコンデンサC6の共通接続点にダイオードD1のカソードが接続されると共に、一端が接地された抵抗R3が接続される。ダイオードD1のアノードは、コンデンサC3とコンデンサC4の共通接続点に接続され、その接続点は接点8c及び直流カット用のコンデンサC7の一端に共通接続される。コンデンサC7の他端はアッテネータ9の入力端に接続される。アッテネータ9の出力端は接点8fに接続される。なお、アッテネータ9の減衰率は、分岐出力用の減衰率またはモニタ出力用の減衰率とする。
【0048】
接点8dはコンデンサC9の一端に接続される。コンデンサC9の他端は、第2出力端子T3に接続される。
【0049】
接点8aが8bに接続されると共に接点8dが8eに接続されるように切替スイッチ8が切替えられた場合、ダイオードD1は順方向電圧が印加されないのでオフとなる。アンプAPにより増幅された高周波信号は、分配器7により等分された出力レベルに分配されてコンデンサC3側及びコンデンサC5側に各々出力される。コンデンサC3側に出力された信号は、コンデンサC4、接点8b及び8a、コンデンサC8を介して第1出力端子T2から出力される。一方、コンデンサC5側に出力された信号は、コンデンサC6、接点8e及び8d、コンデンサC9を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第1出力端子T2と第2出力端子T3は2分配出力となる。
【0050】
接点8aが8cに接続されると共に接点8dが8fに接続されるように切替スイッチ8が切替えられた場合、直流電源VccによりダイオードD1に順方向電圧が印加されるので、ダイオードD1はオンとなる。これにより、分配器7からコンデンサC5側に出力された信号は、分配器7からコンデンサC3側に出力された信号と合成され、コンデンサC7を介してアッテネータ9に入力される。アッテネータ9により減衰された信号は、接点8f及び8d、コンデンサC9を介して第2出力端子T3から出力される。一方、上記合成された信号は、接点8c及び8a、コンデンサC8を介して第1出力端子T2に出力もされる。これにより、第2出力端子T3は、第1出力端子T2よりも出力レベルが低い分岐出力またはモニタ出力となる。
【0051】
このように本発明の第4実施形態に係るブースター300によれば、切替スイッチ8を切替えた場合に、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3が低出力である分岐出力またはモニタ出力となる出力状態か、第1出力端子T2と第2出力端子T3が2分配出力となる出力状態かが切替えられる。従って、第1出力端子T2及び第2出力端子T3のいずれの端子も空き端子とならずに出力端子を有効利用できる。また、ブースター300の設置時に外部の分配器または分岐器を省くことが可能となり、設置作業を容易にすることもできる。
【0052】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係るブースターの概略構成を図5に示す。図5に示すブースター400は、入力端子T1と、第1出力端子T2と、第2出力端子T3と、モニタ用アッテネータ10と、分岐用アッテネータ11と、切替スイッチ12と、分配器13と、コンデンサC1、C2及びC22と、アンプAPと、を備えている。
【0053】
高周波信号が入力される入力端子T1は、アンプAPの入力端に接続される。アンプAPの出力端は、コンデンサC22の一端に接続される。コンデンサC22の他端は、モニタ用アッテネータ10の入力端と切替スイッチ12に含まれる接点12aに共通接続される。モニタ用アッテネータ10は、モニタ出力用の減衰率で入力信号を減衰させる減衰器である。切替スイッチ12は、双極3投(2回路3接点)スイッチであり、接点12a〜12hを有している。接点12aは、接点12b、12c及び12dのいずれかに接続を切替えられる。接点12eは、接点12f、12g及び12hのいずれかに接続を切替えられる。接点12a側の切り替えと接点12e側の切り替えは連動している。
【0054】
接点12bと接点12fは短絡されている。接点12cと接点12gも短絡されており、それらの共通接続点は分岐用アッテネータ11の入力端に接続される。分岐用アッテネータ11は、分岐出力用の減衰率で入力信号を減衰させる減衰器である。
【0055】
接点12dは分配器13の入力端に接続される。分配器13の一方の出力端は接点12hに接続される。モニタ用アッテネータ10の出力端と分岐用アッテネータ11の出力端と分配器13の他方の出力端は、コンデンサC2の一端に共通接続される。コンデンサC2の他端は、第2出力端子T3に接続される。
【0056】
接点12eはコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、第1出力端子T2に接続される。
【0057】
接点12aが12bに接続されると共に接点12eが12fに接続されるように切替スイッチ12が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、接点12a、12b、12f及び12e、コンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。また、アンプAPにより増幅された高周波信号は、モニタ用アッテネータ10により減衰された後、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第2出力端子T3は、第1出力端子T2より出力レベルが低いモニタ出力となる。
【0058】
接点12aが12cに接続されると共に接点12eが12gに接続されるように切替スイッチ12が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、接点12a、12c、12g及び12e、コンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。また、接点12cから分岐用アッテネータ11へ出力された信号は、分岐用アッテネータ11により減衰された後、モニタ用アッテネータ10により減衰された信号と合成され、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。これにより、第2出力端子T3は、第1出力端子T2より出力レベルが低い分岐出力となる。
【0059】
接点12aが12dに接続されると共に接点12eが12hに接続されるように切替スイッチ12が切替えられた場合、アンプAPにより増幅された高周波信号は、分配器13により等分された出力レベルに分配されて接点12h側とコンデンサC2側に各々出力される。コンデンサC2側に出力された信号は、途中、モニタ用アッテネータ10により減衰された信号と合成され、コンデンサC2を介して第2出力端子T3から出力される。一方、接点12h側に出力された信号は、接点12h及び12e、コンデンサC1を介して第1出力端子T2から出力される。モニタ用アッテネータ10により減衰された信号は微小なレベルであるので、第1出力端子T2と第2出力端子T3は、ほぼ同一レベルの2分配出力となる。
【0060】
このように本発明の第5実施形態に係るブースター400によれば、切替スイッチ12を切替えた場合に、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3がモニタ出力となる出力状態か、第1出力端子T2が高出力で第2出力端子T3が分岐出力となる出力状態か、第1出力端子T2と第2出力端子T3が2分配出力となる出力状態かが切替えられる。従って、第1出力端子T2及び第2出力端子T3のいずれの端子も空き端子とならずに出力端子を有効利用できる。また、ブースター400の設置時に外部の分配器または分岐器を省くことが可能となり、設置作業を容易にすることもできる。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0062】
例えば、上記各実施形態におけるアンプAPは省略することも可能である。また、上記実施形態において、分岐出力レベルは例として−12dBとしたが、これに限ったものではなく、例えば−10dBや−15dBにすることもできる。
【0063】
また、例えば、本発明の高周波機器としては、アクティブ型のブースターに限らず、増幅機能を有さないパッシブ型の高周波機器に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 切替スイッチ
2 アッテネータ
3 分配器
4 切替スイッチ
5 分配器
6 アッテネータ
7 分配器
8 切替スイッチ
9 アッテネータ
10 モニタ用アッテネータ
11 分岐用アッテネータ
12 切替スイッチ
13 分配器
20 切替スイッチ
21 分岐器
22 分配器
23 モニタ用アッテネータ
AP アンプ
C1〜C22 コンデンサ
L3、L11 高周波阻止コイル
L12 コイル
D1、D10、D11 ダイオード
R1〜R3 抵抗
T1 入力端子
T2 第1出力端子
T3 第2出力端子
Vcc 直流電源
50、100、200、300、400、500 ブースター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力端子と、
第2出力端子と、
高周波信号に基づき第1出力端子及び第2出力端子から略同一レベルの信号が出力される分配出力状態を含み、かつ、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルの分岐出力が行われる分岐出力状態と、高周波信号に基づき第2出力端子から第1出力端子よりも低いレベルのモニタ出力が行われるモニタ出力状態との少なくともいずれかを含む複数の出力状態を切替える切替え手段と、を備えることを特徴とする高周波機器。
【請求項2】
前記切替え手段は、前記分配出力状態を含み、かつ前記モニタ出力状態及び前記分岐出力状態のいずれをも含む三つの出力状態を切替えることを特徴とする請求項1に記載の高周波機器。
【請求項3】
分配手段と、分岐手段と、直流重畳手段と、直流阻止手段と、減衰手段と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、をさらに備え、
前記切替え手段は、第1接点から第8接点までの接点を有し、第1接点は第2接点、第3接点及び第4接点のいずれかに接続を切替えられ、第5接点は第6接点、第7接点及び第8接点のいずれかに接続を切替えられる切替スイッチであり、
前記直流重畳手段により直流成分を重畳された高周波信号は第1接点に入力され、第5接点は第1出力端子に接続され、
第1接点と第2接点が接続されると共に第5接点と第6接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第2接点を介して前記分配手段に入力されて等分された出力レベルに分配され、一方の分配端が第6接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、他方の分配端が直流成分の供給によりオンとなった第2ダイオードを介して第2出力端子から出力される前記分配出力状態となり、
第1接点と第3接点が接続されると共に第5接点と第7接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第3接点を介して前記直流阻止手段に入力され、前記直流阻止手段により直流成分をカットされた高周波信号が前記分岐手段に入力されて幹線出力と分岐出力に分けられ、幹線出力が第7接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、分岐出力が前記減衰手段に入力されて前記減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記モニタ出力状態となり、
第1接点と第4接点が接続されると共に第5接点と第8接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第4接点を介し前記直流阻止手段は介さずに前記分岐手段に入力されて幹線出力と分岐出力に分けられ、幹線出力が第8接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、分岐出力が直流成分の供給によりオンとなった第1ダイオードを介して第2出力端子から出力される前記分岐出力状態となる、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波機器。
【請求項4】
第1減衰手段と、第2減衰手段と、分配手段と、をさらに備え、
前記切替え手段は、第1接点から第8接点までの接点を有し、第1接点は第2接点、第3接点及び第4接点のいずれかに接続を切替えられ、第5接点は第6接点、第7接点及び第8接点のいずれかに接続を切替えられる切替スイッチであり、
高周波信号は第1接点に入力され、第5接点は第1出力端子に接続され、
第1接点と第2接点が接続されると共に第5接点と第6接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点、第2接点、第6接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力されると共に、第1減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記モニタ出力状態となり、
第1接点と第3接点が接続されると共に第5接点と第7接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点、第3接点、第7接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力されると共に、第1接点及び第3接点を介して第2減衰手段に出力されて第2減衰手段により減衰されて第2出力端子から出力される前記分岐出力状態となり、
第1接点と第4接点が接続されると共に第5接点と第8接点が接続されるよう前記切替スイッチが切替えられた場合、高周波信号が、第1接点及び第4接点を介して前記分配手段に入力されて等分された出力レベルに分配され、一方が第8接点及び第5接点を介して第1出力端子から出力され、他方が第2出力端子から出力される前記分配出力状態となる、ことを特徴とする請求項2に記載の高周波機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−26845(P2013−26845A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160095(P2011−160095)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】