説明

高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置

【課題】高周波域において、透磁率実部μ’と透磁率虚部μ”の比(μ”/μ’)が小さな、優れた高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】基板12と、この基板12上に形成され、長手方向が基板12の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相14と、これらの柱状体の間隙を充填する絶縁体相16とから成る複合磁性膜18を備え、磁性相14が非晶質であり、基板12の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mの面内一軸異方性を有することを特徴とする高周波用磁性材料10およびこれを用いたアンテナ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯機器で使用される電波の周波数帯域は、GHz帯にまで高周波化している。しかし、例えば、携帯機器のアンテナが電磁波を放射する際、金属がアンテナ近傍に存在すると、金属内に生じる誘導電流により電磁波の放射が妨げられてしまう。そこで、アンテナ近傍に高周波用磁性材料(高周波域において、高い透磁率を示す材料)を配置することで、不要な誘導電流の発生を抑制し、高周波域の電波通信を安定化できると考えられている。
【0003】
通常の高透磁率部材としては、Fe、Co、Niなどを主成分とする金属、合金、その酸化物が用いられる。金属もしくは合金の高透磁率部材は、電波の周波数が高くなると渦電流により電波の伝送損失が顕著になるため、高周波用磁性材料としては適さない。
【0004】
一方、フェライトに代表される酸化物の磁性体は、高抵抗であるため渦電流による伝送損失は抑えられるが、共鳴周波数が数百MHzであるため、それ以上の高周波域では共鳴による伝送損失が顕著になり、やはり高周波用磁性材料としては適さない。
【0005】
このため、GHz帯域までの高周波域で磁気特性の優れた高周波用磁性材料の開発が求められている。優れた高周波用磁性材料とは、高周波域において、高抵抗で、透磁率実部μ’が大きく、透磁率の損失成分を示す透磁率虚部μ”が小さい、すなわちμ”/μ’が小さい材料である。
【0006】
このような高周波用磁性材料を作製する試みとして、スパッタリング法などの薄膜技術を用いてグラニュラー構造を有する高透磁率ナノグラニュラー材料が作製されている。ここで、グラニュラー構造とは、絶縁体マトリクスの中に、磁性金属微粒子が分散している構造で、高周波域においても優れた特性を示すことが確認されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、グラニュラー構造では、磁性金属微粒子の高周波用磁性材料中の体積百分率を向上させ、さらなる高透磁率化を図ることが困難である。
【0007】
また、グラニュラー構造からさらに磁性金属の高周波用磁性材料中の体積百分率を向上させた材料として、柱状構造から成る高透磁率材料が作製されている。これは、絶縁体マトリクスの中に、柱状体の磁性金属が分散している構造で、高周波域においてグラニュラー構造よりも高い透磁率を示すことが確認されている(例えば、非特許文献2)。
【0008】
しかし柱状構造を有する材料では、結晶配向の乱れなどに起因する磁気的な異方性分散が大きいため、高周波域での損失成分μ”が大きく、μ”/μ’が大きいという問題点があった。
【非特許文献1】S.Ohnuma et al., “High−frequency magnetic properties in metal−nonmetal granular films”, Journal of Applied Physics 79(8) pp.5130−5135(1996)
【非特許文献2】N.Hayashi et al., “Soft Magnetic Properties and Microstructure of Ni81Fe19/(Fe70Co30)99(Al2O3)1) Films Deposited by Ion Beam Sputtering”, Transaction of the Materials Research Society of Japan 29[4] pp.1611−1614(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、高周波域において、透磁率実部μ’と透磁率虚部μ”の比(μ”/μ’)が小さな、優れた高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の高周波用磁性材料は、基板と、前記基板上に形成され、長手方向が前記基板の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相と、前記柱状体の間隙を充填する絶縁体相とから成る複合磁性膜を具備し、前記磁性相が非晶質であり、前記基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mの面内一軸異方性を有することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記柱状体の底面の直径の平均値をD、前記柱状体同士の間隔の平均値をSとする場合に、5nm≦D≦20nm、D/S≧4であり、前記基板の表面に平行な面内において、前記磁性相の占める面積の割合Pが、75%≦P≦95%であることが望ましい。
【0012】
ここで、前記磁性相をM、前記絶縁体相をI、前記複合磁性膜をM(1−x)とする場合に、0.80≦x≦0.95であることが望ましい。
【0013】
ここで、前記磁性相が少なくともFeとB(ホウ素)とを含有し、前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することが望ましい。
【0014】
ここで、前記磁性相に含まれるBの、前記磁性相全体に対する割合yが、10at%≦y≦25at%であることが望ましい。
【0015】
ここで、前記柱状体の高さと直径の比が、5以上であることが望ましい。
【0016】
ここで、前記磁性相が少なくともFeとCoとを含有し、前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することが望ましい。
【0017】
ここで、前記磁性相に含まれるCoの、前記磁性相全体に対する割合zが、20at%≦z≦40at%であることが望ましい。
【0018】
ここで、前記複合磁性膜中に、前記基板に平行な複数の絶縁体層が介在していることが望ましい。
【0019】
ここで、前記絶縁体層の膜厚が、5nm以上100nm以下であることが望ましい。
【0020】
本発明の一態様のアンテナ装置は、給電端子と、一端に前記給電端子が接続されるアンテナエレメントと、前記アンテナエレメントから放射される電磁波の伝送損失を抑制するための高周波用磁性材料を具備するアンテナ装置であって、前記高周波用磁性材料が、基板と、前記基板上に形成され、長手方向が前記基板の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相と、前記柱状体の間隙を充填する絶縁体相とから成る複合磁性膜を備え、前記磁性相が非晶質であり、前記基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mの面内一軸異方性を有することを特徴とする。
【0021】
ここで、前記柱状体の底面の直径の平均値をD、前記柱状体同士の間隔の平均値をSとする場合に、5nm≦D≦20nm、D/S≧4であり、前記基板の表面に平行な面内において、前記磁性相の占める面積の割合Pが、75%≦P≦95%であることが望ましい。
【0022】
ここで、前記磁性相をM、前記絶縁体相をI、前記複合磁性膜をM(1−x)とする場合に、0.80≦x≦0.95であることが望ましい。
【0023】
ここで、前記磁性相が少なくともFeとB(ホウ素)とを含有し、前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することが望ましい。
【0024】
ここで、前記磁性相に含まれるBの、前記磁性相全体に対する割合yが、10at%≦y≦25at%であることが望ましい。
【0025】
ここで、前記柱状体の高さと直径の比が、5以上であることが望ましい。
【0026】
ここで、前記磁性相が少なくともFeとCoとを含有し、前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することが望ましい。
【0027】
ここで、前記磁性相に含まれるCoの、前記磁性相全体に対する割合zが、20at%≦z≦40at%であることが望ましい。
【0028】
ここで、前記複合磁性膜中に、前記基板に平行な複数の絶縁体層が介在していることが望ましい。
【0029】
ここで、前記絶縁体層の膜厚が、5nm以上100nm以下であることが望ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、高周波域において、透磁率実部μ’と透磁率虚部μ”の比(μ”/μ’)が小さな、優れた高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0032】
発明者らは、磁性材料において、磁性相を非晶質にすることで、高周波域において、高い透磁率を保ちながら、磁気的な異方性分散を抑制し、結晶質の柱状構造を有する複合磁性膜よりも、透磁率の損失成分を低減できることを見出した。本発明は、発明者らによって見出された上記知見に基づき完成されたものである。
【0033】
なお、本明細書中、非晶質とは、X線回折におけるFeの最強ピークの半値幅が、3.0以上の状態をいう。
【0034】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の高周波用磁性材料は、基板と、この基板上に形成され、長手方向がこの基板の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相と、これらの柱状体の間隙を充填する絶縁体相とから成る複合磁性膜を備えている。そして、磁性相が非晶質であり、基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/m(=50Oe)の面内一軸異方性を有する。
【0035】
図1は、本実施の形態の高周波用磁性材料の構造を示す図である。図1(a)が斜視図、図1(b)が上面図である。
【0036】
図示する高周波用磁性材料10は、基板12上に、長手方向が基板12の表面に対して垂直方向に向いた複数の柱状体を形成する磁性相14を備える。この磁性相14は非晶質である。磁性相14としては、例えば、Feに、B、Co、P、Cのうち少なくとも一つの元素を含有する材料が適用可能である。
【0037】
上述のように磁性相14を非晶質とすることにより、高周波域において、高い透磁率を保ちながら、磁気的な異方性分散を抑制し、結晶質の柱状構造を有する複合磁性膜よりも、透磁率の損失成分を低減することが可能となる。
【0038】
また、高周波用磁性材料10は、図1(a)および図1(b)に示すように、基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/m(=50Oe)の面内一軸異方性を有する。
【0039】
本実施の形態の高周波用磁性材料は、上記範囲の面内一軸異方性を備えることにより、高周波域における透磁率の損失成分を低減することが可能となる。
【0040】
面内一軸異方性を有することにより、高周波域において、透磁率の損失成分の低減が可能となるのは、以下のように考えられる。すなわち、最大異方性磁界と、透磁率の共鳴周波数は比例関係にあり、Hk2≧3.98×10A/mとすることで、1GHz以上の共鳴周波数が達成できる。そして、Hk2≧3.98×10A/mを得るには、Hk2/Hk1≧3を満たす面内一軸異方性を付与することが有効である。このように、面内一軸異方性を有することにより、磁気特性が等方的な場合よりも、最大異方性磁界を大きくすることができ、結果的に、高周波域でのμ”/μ’を小さくすることが可能となるのである。
【0041】
このように、磁性相を非晶質とし、かつ、基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mとなる面内一軸異方性を備えることにより、従来の磁性材料と比較して、高周波域における透磁率の損失成分を大幅に低減することが可能となる。
【0042】
図1には、磁性相14の柱状体の長手方向に対して垂直な断面が、楕円形状を有する楕円柱体を例示するが、楕円柱体の他に、円柱体、四角柱体、六角柱体、八角柱体などの形態をとることができる。
【0043】
これらの柱状体の間には絶縁体相16が形成されている。磁性相14と絶縁体相16を合わせた部分を、複合磁性膜18とする。
【0044】
磁性相14の柱状体の底面の直径の平均値をD、柱状体同士の間隔の平均値をS(図1(b))とすると、5nm≦D≦20nm、D/S≧4であることが好ましい。ここで、高周波用磁性材料の、基板に平行な表面の任意の2ヶ所を、透過型電子顕微鏡を用いて(倍率40万倍で)観察する。そして、各観察写真の中心部100nm四方に相当する範囲に含まれる、すべての柱状体の底面について、各底面における最長径と最短径を測定し、それらすべての値の平均値をDとする。なお、明らかに複数の柱状体が合体したものが存在する場合は、この合体した柱状体は測定から除外するものとする。また、上述した2ヶ所の観察写真の中心部100nm四方から、それぞれ10個、計20個の柱状体をランダムに選出し、各柱状体と、それと隣接する柱状体との間隔を測定し、それらすべての値の平均値をSとする。
【0045】
Dが5nmより小さいと、柱状体を形成しにくくなり、磁性相14の高周波用磁性材料中の体積百分率が低下し、透磁率が低下するおそれがある。また、Dが20nmより大きいと、保磁力が大きくなり、透磁率の損失が増大するおそれがある。そして、D/Sが4より小さいと、磁性相14の体積百分率が下がって透磁率が低下するおそれがある。
【0046】
また、柱状体の高さと直径の比(アスペクト比)は、5以上であることが好ましい。なお、ここで直径とは、柱状体の底面の直径の平均値Sをいう。また、高周波用磁性材料の、基板に垂直な任意の2ヶ所を、透過型電子顕微鏡を用いて(倍率40万倍で)観察する。そして、各観察写真中、高さ(長さ)の長いほうからそれぞれ10個、計20個の柱状体を抽出し、その高さの平均値を柱状体の高さと定義するものとする。
【0047】
アスペクト比が5より小さいと、柱と柱の底面間にも絶縁体相16が存在することとなり、磁性相14の体積百分率が下がって透磁率が低下するおそれがある。図1(a)では、基板12表面と垂直方向には、ひとつの柱状体しか図示していない。しかし、実際には、基板12表面と垂直方向に複数の柱状体が、柱状体の長手方向に絶縁体相16を挟んで配列している場合もある。
【0048】
複合磁性膜18において、基板12の表面に平行な面内で、磁性相14の占める面積の割合Pが、75%≦P≦95%であることが好ましい。Pが75%より少ないと、磁性相14の体積百分率が下がって透磁率が低下するおそれがある。また、Pが95%より多いと、柱状体同士が凝集してDが20nmより大きくなり、前記のように透磁率の損失が増大するおそれがある。
【0049】
磁性相14をM、絶縁体相16をI、複合磁性膜18をM(1−x)とすると、0.80≦x≦0.95であること、すなわち、複合磁性膜に占める磁性相の割合が、80mol%以上95mol%以下が好ましい。磁性相14が80mol%より少ないと、磁性相14の体積百分率が下がってグラニュラー構造となり、透磁率が低下するおそれがある。磁性相14が95mol%より大きいと、柱状体同士が凝集してDが20nmより大きくなり、上述のように透磁率の損失が増大するおそれがある。
【0050】
本実施の形態の高周波用磁性材料は、例えば基板上に、複合磁性膜をスパッタリング法、電子ビーム蒸着法等で成膜することにより製造することができる。成膜時に基板を回転させ、成膜条件を制御することにより、基板上に形成された複合磁性膜に、基板の表面と平行な面内における磁気的な面内一軸異方性を効果的に付与することが可能となる。
【0051】
本実施の形態の基板は、例えばポリイミドのようなプラスチック、SiO、Al、MgO、Si、ガラスのような無機材料を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。
【0052】
本実施の形態の磁性相は、図1に示すように、長手方向が前記基板の表面に対して垂直方向を向いた柱状体の構造を成す。ただし、柱状体の一部においてその垂直方向の垂線に対する角度が±30°、好ましくは±10°に傾斜することを許容する。
【0053】
柱状体から成る磁性相14は、少なくともFeとB(ホウ素)とを含むことが望ましい。FeにBを添加することで、Feの柱状体を、非晶質化することが容易になる。
【0054】
磁性相14に含まれるBの割合yは、10at%≦y≦25at%であることが好ましい。Bが10at%より少ないと、Feの柱状体の非晶質化が困難になり、25at%より多いと、Feの割合が減り、透磁率が低くなってしまう。
【0055】
磁性相14の柱状体が非晶質であることは、X線回折パターンや、電子線回折パターンから判断できる。X線回折パターンでは、結晶の場合のようなシャープな強いピークではなく、ブロードな弱いピークが現れる。電子線回折パターンでは、明瞭なスポットではなく、ハローリングが現れる。本明細中における非晶質とは、X線回折におけるFeの最強ピークの半値幅が、3.0以上の状態とすることは上述したとおりである。
【0056】
結晶質の柱状体の場合、結晶配向の乱れがある(すなわち多結晶である)と、磁気的な異方性分散が大きく、透磁率の損失成分(透磁率虚部μ”)が増大してしまうが、非晶質の柱状体の場合、結晶配向の乱れが無いため、磁気的な異方性分散が極めて小さく、μ”も小さくすることができる。
【0057】
また、金属を非晶質化すると、結晶の金属よりも電気抵抗を大きくすることができる。つまり、磁性相を非晶質の柱状体とすることで、高周波域で高透磁率、低損失、高抵抗を示す、優れた高周波用磁性材料を作製することができる。
【0058】
透磁率をより高くするには、FeとCoを混合することが好ましく、FeCo中のCoの割合が20at%以上40at%以下であることが好ましい。
【0059】
本実施の形態の絶縁体相は、図1に示すように、磁性相14の柱状体の間隙を充填している。この絶縁体相16の材料は、渦電流による伝送損失は抑える観点から、室温で1×10Ω・cm以上の電気抵抗を有することが望ましい。
【0060】
このような絶縁体相16として、例えばMg,Al,Si,Ca,Cr,Ti,Zr,Ba,Sr,Zn,Mn,Hf、および希土類元素(Yを含む)から選ばれる金属の酸化物、窒化物、炭化物およびフッ化物などが挙げられる。成膜の容易さ、コストの面などから、特に酸化物、中でもシリコン酸化物またはアルミニウム酸化物であることが好ましい。
【0061】
絶縁体相16は、磁性金属元素を30mol%以下含むことを許容する。磁性金属元素の量が30mol%を超えると、絶縁体相16の電気抵抗率が低下し、複合磁性膜全体の磁気特性が低下するおそれがある。
【0062】
次に、本実施の形態の複合磁性膜の、磁気的な面内一軸異方性について説明する。図1に示す複合磁性膜18は、基板12の表面と平行な面内に、最小異方性磁界Hk1と、Hk1に対して直角方向に最大異方性磁界Hk2を有し、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧50Oeを満たす、磁気的な面内一軸異方性をもつ。
【0063】
上述のように、一軸異方性を付与することにより、磁気特性が等方的な場合よりも、最大異方性磁界を大きくすることができ、3.98×10A/m以上の異方性磁界を得やすくなる。最大異方性磁界と、透磁率の共鳴周波数は比例関係にあり、Hk2≧3.98×10A/mとすることで、1GHz以上の共鳴周波数を得ることが容易になる。Hk2≧3.98×10A/mを得るには、Hk2/Hk1≧3を満たす一軸異方性を付与することが有効である。このように、一軸異方性を付与し、最大異方性磁界を大きくすることで、高周波域でのμ”/μ’を小さくすることが可能となる。
【0064】
本明細書中では、Hk(Hk1およびHk2)は、図2に示すように、印加磁場に対する磁化の変化量が最も大きい磁場(≧0)下での接線と、最も変化量が小さい磁場下での接線との、磁化曲線の第一象限(磁化>0、印加磁場>0)における交点の磁場と定義する。
【0065】
このような磁気的な異方性は、例えば複合磁性膜18表面において、柱状体の異方性磁界Hk1に対応する方向の径を長く、異方性磁界Hk2に対応する方向の径を短くすることにより実現することが可能である。
【0066】
また、磁気的な異方性は、絶縁体相16中の磁性元素量の変化により付与することもできる。例えば、複合磁性膜18の表面での異方性磁界Hk2に対応する方向と異方性磁界Hk1に対応する方向の柱状体間で、絶縁体相16中の磁性元素量を、前者に比べて後者を多くすることにより実現可能である。
【0067】
また、複合磁性膜18の表面での異方性磁界Hk1に対応する方向でのFeの原子間距離を、異方性磁界Hk2に対応する方向でのFeの原子間距離より長くすることで、磁気的な異方性を付与することも可能である。
【0068】
本実施の形態の高周波用磁性材料10において、複合磁性膜18とは異なる材料を含有する薄膜層を、基板12と複合磁性膜18の間に形成することを許容する。このような薄膜層上に複合磁性膜18を成膜する場合、例えば、複合磁性膜18中の磁性相14の柱状体の直径を制御できたり、基板12と複合磁性膜18との界面における磁気構造の乱れを低減したりすることで、磁気特性がより向上した高周波用磁性材料10を得ることが可能になる。
【0069】
薄膜層は、Ni,Fe,Cu,Ta,Cr,Co,Zr,Nb,Ru,Ti,Hf,W,Auもしくはその合金、またはSiO、Alのような酸化物から選ばれることが好ましい。
【0070】
そして、薄膜層は、50nm以下とすることが望ましい。この薄膜層が50nmを超えると、磁性相14の高周波用磁性材料中の体積百分率が減少し、透磁率が低下するおそれがある。
【0071】
高周波用磁性材料は、高周波域において、渦電流による伝送損失を抑制するために、高抵抗であることが望ましい。高周波用磁性材料を高抵抗化するには、材料にスリットを入れることが有効である。100μm〜1000μmおきにスリットを入れ、高周波用磁性材料を微細化することで、渦電流の発生を抑制することができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の高周波用磁性材料は、複合磁性膜中に、基板に平行な複数の絶縁体層が介在していること以外は、第1の実施の形態と同様である。したがって、以後、第1の実施の形態と重複する点については記載を省略する。
【0073】
図3は、本実施の形態の高周波用磁性材料の断面図である。図3に示すように、基板12上に複合磁性膜18が2層以上積層され、これらの複合磁性膜18の間に絶縁体層20が形成された構造を有する。
【0074】
このように2層以上の複合磁性膜18の間に絶縁体層20を介在させる、つまり厚さ方向の複合磁性膜18を絶縁体層20で分離して厚膜化することによって、複合磁性膜18に絶縁体層20を介在せずに一層で厚膜にした場合に生じる反磁界の影響を低減し、高周波用磁性材料10全体の磁気特性の向上を図ることが可能になる。また、複合磁性膜18を厚膜化する際に懸念される膜厚方向への構造の乱れを回避することも可能になる。
【0075】
絶縁体層20は、例えばMg,Al,Si,Ca,Cr,Ti,Zr,Ba,Sr,Zn,Mn,Hf、および希土類元素(Yを含む)から選ばれる金属の酸化物、窒化物、炭化物およびフッ化物の群から選ばれる少なくとも1つから作られることが好ましい。特に、絶縁体層20は複合磁性膜18を構成する絶縁体相16と同種の材料を選択することが好ましい。
【0076】
絶縁体層20は、5nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下であることが好ましい。絶縁体層20が100nm以上であると、高周波用磁性材料10中の磁性相の体積百分率が小さくなり透磁率が低下し、5nm以下だと複合磁性膜18間の磁気的カップリングが切れず、反磁界の影響が顕著になるおそれがある。
【0077】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態のアンテナ装置は、給電端子と、一端に給電端子が接続されるアンテナエレメントと、このアンテナエレメントから放射される電磁波の伝送損失を抑制するための高周波用磁性材料を備えている。そして、この高周波用磁性材料が第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載した高周波用磁性材料であることを特徴とする。したがって、以下、第1または第2の実施の形態で記述した高周波用電極材料に関する記載については重複するため省略する。
【0078】
図4は本実施の形態のアンテナ装置の斜視図、図5は断面図である。高周波用磁性材料10が、給電端子22が一端に接続されるアンテナエレメント24と、配線基板26との間に設けられている。この配線基板26は、例えば、携帯機器の配線基板であり、例えば、金属の筐体で囲まれている。
【0079】
例えば、携帯機器のアンテナが電磁波を放射する際、アンテナと、携帯機器の筐体などの金属とが、一定以上に近接すると、金属内に生じる誘導電流により電磁波の放射が妨げられてしまう。しかしアンテナ近傍に高周波用磁性材料を配置することで、アンテナと、筐体などの金属とを近接させても、誘導電流が発生せず、電波通信を安定化でき、携帯機器を小型化しうる。
【0080】
本実施の形態のように、高周波用磁性材料10を、給電端子22を挟む2本のアンテナエレメント24と、配線基板9との間に挿入することで、アンテナエレメント24が電磁波を放射する際、配線基板26に生じる誘導電流を抑制し、アンテナ装置の放射効率を上げることができる。
【0081】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0082】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての高周波用磁性材料およびこれを用いたアンテナ装置、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0084】
(実施例1)
対向型のマグネトロンスパッタ成膜装置を用いた。ターゲットには、Fe54.6Co23.422−SiO(内、磁性相となるFeCoBが93mol%すなわちx=0.93)を用いた(すなわち磁性相中のBの割合がy=22at%)。チャンバ内に公転型のホルダを配置し、ホルダ上にSiO基板を固定し、基板を10rpmの速度で公転させながら、チャンバ内をAr雰囲気中、0.67Pa(5×10−3torr)の圧力下でターゲットからのスパッタ粒子を基板表面に堆積して、厚さ0.31μmの複合磁性膜を成膜した。
【0085】
この複合磁性膜表面について、CuKα線X線回折測定(XRD)をおこなった。測定結果を図6に示す。2θ=45°付近の、Feの(110)ピークの半値幅Fは、6.04であり、非晶質であることがわかる。
【0086】
この複合磁性膜について、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した、基板の表面に平行な面内の画像を図7に、基板の表面に垂直な面内の画像を図8に示す。倍率はともに40万倍である。図7と図8から、柱状体間に絶縁体相が形成されていることがわかる。
【0087】
図7と同様にして観察した透過型電子顕微鏡写真2視野について、各観察写真の中心部100nm四方に相当する範囲に含まれる、すべての柱状体の底面の、最長径と最短径を測定し、それらすべての値の平均値を計算したところ、Dは10nmであった。また、各観察写真の中心部100nm四方から、それぞれ10個、計20個の柱状体をランダムに選出し、各柱状体と、それと隣接する柱状体との間隔を測定し、それらすべての値の平均値を計算したところ、Sは1.2nmであった。また、図7から、磁性相が占める面積の割合Pは90%であった。
【0088】
この複合磁性膜について、振動試料型磁力計(VSM)を用いて、成膜時の基板回転と平行方向、および、基板回転と垂直方向について磁気特性(印加磁場に対する磁化の大きさ)を測定した。その結果を図9に示す。基板回転と平行方向において最小異方性磁界Hk1が2.20×10A/m、基板回転と垂直方向において最大異方性磁界Hk2が7.94×10A/mであった。
【0089】
この複合磁性膜について、凌和電子製超高周波透磁率測定装置PMM−9G1を用い、1MHzから9GHzの範囲で、最大異方性磁界の方向に励磁して測定を行った。その結果を図10に示す。1GHzにおける透磁率実部μ’は202.2であり、1GHzにおける透磁率の損失成分を示す透磁率虚部μ”は13.7であり、磁気特性を示すμ”/μ’は、1GHzにおいて0.068であった。以上の測定結果をまとめて表1に示す。
【0090】
(実施例2)
x=0.80にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0091】
(実施例3)
x=0.95にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0092】
(実施例4)
x=0.97にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
(比較例1)
x=0.75にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。磁性相は柱状構造ではなく、グラニュラー構造となった。測定結果を表1に示す。
【0094】
(比較例2)
成膜時、基板を5rpmの速度で公転させたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定をおこなった。その結果を表1に示す。
【0095】
(比較例3)
成膜時、チャンバ内をAr雰囲気中、0.27Pa(2×10−3torr)の圧力下にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定をおこなった。その結果を表1に示す。
【0096】
(実施例5)
y=10at%にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0097】
(実施例6)
y=25at%にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0098】
(実施例7)
y=30at%にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。その結果を表1に示す。
【0099】
(比較例4)
y=8at%にしたこと以外は、実施例1と同様にして成膜、測定を行った。XRDのFeのピークの半値幅は0.54であり、磁性相が結晶質の柱状構造となった。測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例1の複合磁性膜は、非晶質の柱状構造であり、表1から明らかなように、グラニュラー構造である比較例1や、Hk2/Hk1<3、Hk2<3.98×10A/mである比較例2および3、結晶質の柱状構造である比較例4に比べ、1GHzにおける透磁率虚部μ”(透磁率の損失成分)および1GHzにおける透磁率実部と透磁率虚部の比(μ”/μ’)が小さく、高周波域において優れた磁気特性を有することがわかる。
【0102】
また、磁性相の割合が80mol%以上95mol%以下であり、5nm≦D≦20nmであり、D/S≧4であり、75%≦P≦95%である実施例1、2および3は、これらの範囲のいずれかからはずれる実施例4および比較例1よりもμ”/μ’が低く、高周波域において優れた磁気特性を有している。
【0103】
また、磁性相中へのB添加量が10at%≦y≦25at%の範囲である実施例5および6は、この範囲からはずれる実施例7および比較例4よりもμ”/μ’が低く、高周波域において優れた磁気特性を有している。
【0104】
このように、本実施例により本発明の効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施の形態の高周波用磁性材料の斜視図および上面図。
【図2】印加磁場に対する磁化曲線。
【図3】第2の実施形態の高周波用磁性材料の断面図。
【図4】第3の実施形態のアンテナ装置の斜視図。
【図5】第3の実施形態のアンテナ装置の断面図。
【図6】実施例1における、複合磁性材料表面のX線回折パターン。
【図7】実施例1における、複合磁性材料表面のTEM観察画像。
【図8】実施例1における、複合磁性材料断面のTEM観察画像。
【図9】実施例1における、VSM測定結果。
【図10】実施例1における、高周波特性測定結果。
【符号の説明】
【0106】
10 高周波用磁性材料
12 基板
14 磁性相
16 絶縁体相
18 複合磁性膜
20 絶縁体層
22 給電端子
24 アンテナエレメント
26 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、長手方向が前記基板の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相と、前記柱状体の間隙を充填する絶縁体相とから成る複合磁性膜を具備し、
前記磁性相が非晶質であり、
前記基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mの面内一軸異方性を有することを特徴とする高周波用磁性材料。
【請求項2】
前記柱状体の底面の直径の平均値をD、前記柱状体同士の間隔の平均値をSとする場合に、
5nm≦D≦20nm、D/S≧4であり、
前記基板の表面に平行な面内において、前記磁性相の占める面積の割合Pが、75%≦P≦95%であることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項3】
前記磁性相をM、前記絶縁体相をI、前記複合磁性膜をM(1−x)とする場合に、
0.80≦x≦0.95であることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項4】
前記磁性相が少なくともFeとB(ホウ素)とを含有し、
前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項5】
前記磁性相に含まれるBの、前記磁性相全体に対する割合yが、10at%≦y≦25at%であることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項6】
前記柱状体の高さと直径の比が、5以上であることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項7】
前記磁性相が少なくともFeとCoとを含有し、
前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項8】
前記磁性相に含まれるCoの、前記磁性相全体に対する割合zが、20at%≦z≦40at%であることを特徴とする請求項7記載の高周波用磁性材料。
【請求項9】
前記複合磁性膜中に、前記基板に平行な複数の絶縁体層が介在していることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁性材料。
【請求項10】
前記絶縁体層の膜厚が、5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項9記載の高周波用磁性材料。
【請求項11】
給電端子と、
一端に前記給電端子が接続されるアンテナエレメントと、
前記アンテナエレメントから放射される電磁波の伝送損失を抑制するための高周波用磁性材料を具備するアンテナ装置であって、
前記高周波用磁性材料が、基板と、前記基板上に形成され、長手方向が前記基板の表面に対して垂直方向を向いた複数の柱状体を形成する磁性相と、前記柱状体の間隙を充填する絶縁体相とから成る複合磁性膜を備え、
前記磁性相が非晶質であり、前記基板の表面に平行な面内の最小異方性磁界をHk1、最大異方性磁界をHk2とする場合に、Hk2/Hk1≧3、Hk2≧3.98×10A/mの面内一軸異方性を有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
前記柱状体の底面の直径の平均値をD、前記柱状体同士の間隔の平均値をSとする場合に、
5nm≦D≦20nm、D/S≧4であり、
前記基板の表面に平行な面内において、前記磁性相の占める面積の割合Pが、75%≦P≦95%であることを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記磁性相をM、前記絶縁体相をI、前記複合磁性膜をM(1−x)とする場合に、
0.80≦x≦0.95であることを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記磁性相が少なくともFeとB(ホウ素)とを含有し、
前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記磁性相に含まれるBの、前記磁性相全体に対する割合yが、10at%≦y≦25at%であることを特徴とする請求項14記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記柱状体の高さと直径の比が、5以上であることを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記磁性相が少なくともFeとCoとを含有し、
前記絶縁体相が少なくとも酸化物を含有することを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記磁性相に含まれるCoの、前記磁性相全体に対する割合zが、20at%≦z≦40at%であることを特徴とする請求項17記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記複合磁性膜中に、前記基板に平行な複数の絶縁体層が介在していることを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記絶縁体層の膜厚が、5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項19記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−59932(P2009−59932A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226401(P2007−226401)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】