高周波発生装置
【課題】簡単でコンパクトな構成で高周波発生装置を構成する。
【解決手段】n台のノーカット5脚巻鉄心型三相変圧器によって、電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させる。
【解決手段】n台のノーカット5脚巻鉄心型三相変圧器によって、電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相交流電源に接続されて、商用電源周波数(50Hz又は60Hz)を3n倍周波数の単相電圧を出力する高周波発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単相3n倍周波数を発生させる手法としては、図9及び図10に示すように、3n台の単相変圧器の1次巻線に位相を順次360度/3nずつずらす位相変圧巻線を施してY結線するとともに、2次巻線を位相が360度/3nずれる順に直列結線してその両端から3n倍周波数電圧と取り出す方法がある。
【0003】
また、例えば3倍周波数発生装置には、非特許文献1、2に示すように、可飽和リアクトル型と、変圧器型とがある。可飽和リアクトル型は、3組の単相可飽和リアクトルをY結線し、その中性点と電源の中性点との間に発生する高調波出力を負荷に印加するものであり、コンデンサは進相コンデンサとして機能するとともに高調波電流の帰路として機能する。一方、変圧器型は、3組の単相変圧器の1次巻線をY結線するとともに、2次巻線をΔ結線して、そのΔ結線の一端を開放して、この開放部から高調波成分を取り出すように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記の両方式ともに、単相可飽和リアクトル又は単相変圧器(以下、単相機器とも言う。)を用いており、3脚鉄心から構成された三相機器を用いているものではない。このように3台の単相機器を組み合わせて構成すると、装置全体が大型化してしまう恐れがあり、また3台の単相機器の配置等も複雑になる可能性がある。特に3台の単相機器を用いて構成された単相3倍周波数発生装置を複数組用いて三相3倍周波数発生装置を構成する場合には、これらの問題が一層顕著となる。
【0005】
ここで、上記問題点を解消するために3脚鉄心を用いることが考えられるが、3脚鉄心を用いた場合には、3脚鉄心の各脚に巻回された1次巻線によって各脚に生じる第3調波磁束は、同一位相且つ同一方向に流れ、その第3調波磁束は、一方のヨーク鉄心から非磁性通路を通過して他方のヨーク鉄心に戻るように流れる。このとき、非磁性通路は高い磁気抵抗を有することから、第3調波磁束は弱められて、結果として3脚鉄心により生じる合成磁束は第3調波成分の小さいものとなってしまう。したがって、商用電源周波数の入力容量に対する3倍周波数の出力容量の割合(出/入比)が小さくなり効率的ではない。
【0006】
このことから従来の3倍周波数発生装置では、3台の単相機器を用いて構成することが出/入比を低下させないための当然の発想であり、3倍周波数発生装置に3脚鉄心を用いることは、出/入比を向上させるという目的に反する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本電熱工学委員会編、「工業電気加熱ハンドブック」、第1版、株式会社電気書院、昭和43年10月25日、p.293−296
【非特許文献2】新谷、外2名、「磁気式3倍周波数逓倍器の動作モードと定常特性の解析」、電気学会論文誌B 電力・エネルギー部門誌、社団法人電気学会、1981年9月、第101巻、第9号、p.519−526
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、単相リアクトル又は単相変圧器といった単相機器を3台用いることなくコンパクトに構成可能であり、また、配線も簡単にすることができるとともに、三相変圧器を高周波発生装置に用いた場合の問題点を解決することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る高周波発生装置は、n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器を用いて電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させるものであり、前記三相変圧器が、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、そのうちの3脚に1次巻線及び2次巻線が巻回され、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、三相変圧器が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚に巻線を施して、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となるように構成しているので、巻線が施された各脚で生じる同一位相及び同一方向に流れる単相高周波磁束を、残りの2脚により循環させることができ、三相変圧器において生じる単相高周波磁束の損失を防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量に対する3n倍周波数の出力容量の割合(出/入比)を大きくすることができる。また、5脚鉄心がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、単相高周波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、単相高周波磁束が各脚を通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比を大きくすることができる。さらに、三相変圧器を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0011】
3台の単相変圧器を用いた場合と同等の1台の三相変圧器とするためには、単相高周波磁束磁路となる2脚の合計断面積は、前記巻線が巻回される3脚の合計断面積と同じにする必要がある。すなわち、前記単相高周波磁束磁路となる1脚の断面積は、前記巻線が巻回される1脚の断面積の1.5倍とする必要がある。しかし、電磁鋼板からなる変圧器に生じる第3調波は、基本波と同じ割合ほどは発生しないことから、単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積は、巻線が巻回される3脚の各断面積の1/2であっても機能を果たすことができる。また、前記単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3脚の各断面積の1/1であれば、さらに高い出力電圧を得ることが可能となる。さらに、単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積が、巻線が巻回される3脚の各断面積の1.2/1であれば、さらに高い出力電圧を得ることが可能となる。
【0012】
誘導負荷である誘導加熱装置に進相負荷を介して接続されるものであることが望ましい。具体的には、電源周波数に対して3倍周波数、9倍周波数、15倍周波数又は21倍周波数の発生磁束の位相が同一で互いに打ち消し合うことがない単相電圧を発生させるものが望ましい。一般的な5kHz以上の高周波誘導加熱は、誘導コイルと対向する被加熱物との電気結合が良く電流浸透深さが浅いため、箔等の薄い被加熱物の加熱に適している。一方、中周波誘導加熱では、電流浸透深さが深いため、厚い被加熱物でも内部まで加熱が可能となる。このとき、前記誘導加熱装置による被加熱物が1mm以上の厚みを有する金属であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、単相リアクトル又は単相変圧器を3台用いることなくコンパクトに構成可能であり、三相変圧器を用いた場合の問題点を解決した3n倍周波数の単相電圧を発生する高周波発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の変圧器方式の実施形態に係る単相3倍周波数発生装置の回路結線図。
【図2】同実施形態に係る5脚巻鉄心の正面図。
【図3】同実施形態の特性データを示す図。
【図4】各種変圧器を用いた場合の磁束密度−出/入比特性を示す図。
【図5】変形実施形態に係る単相3倍周波数発生装置の回路図。
【図6】変形実施形態のコンデンサ容量/3倍周波数発生装置入力容量−出/入力比特性を示す図。
【図7】変形実施形態に係るリアクトル方式の単相3倍周波数発生装置の回路結線図。
【図8】変形実施形態に係る三相3倍周波数発生装置の回路図。
【図9】単相9倍周波数発生用の単相変圧器の1次巻線ベクトル図。
【図10】単相9倍周波数発生用の単相変圧器の結線図。
【図11】単相9倍周波数発生用の三相変圧器の結線図。
【図12】入出力電圧波形を示す図。
【図13】単相磁束磁路断面積1/2の場合、単相磁束磁路断面積1/1の場合の無負荷特性を示す図。
【図14】(無負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフ。
【図15】単相磁束磁路断面積1/1の5脚巻鉄心の正面図及び側面図。
【図16】単相磁束磁路断面積1.2/1の5脚巻鉄心の正面図及び側面図。
【図17】9倍周波数の高周波発生装置に誘導加熱装置を接続した試験回路を示す図。
【図18】単相磁束磁路断面積1/2の場合、単相磁束磁路断面積1/1の場合の誘導負荷特性を示す図。
【図19】単相磁束磁路断面積1/1の場合の抵抗負荷特性を示す図。
【図20】(負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフ。
【図21】実験に用いた誘導加熱装置の構成を示す図。
【図22】強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性を示すグラフ。
【図23】非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性を示すグラフ。
【図24】強磁性体であるSS400を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図25】非磁性体であるSUS304を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図26】強磁性体であるSS400を350Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図27】非磁性体であるSUS304を800Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下に本発明に係る単相3倍周波数発生装置の変圧器方式の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る単相3倍周波数発生装置100は、商用電源(三相交流電源)に接続されて、当該商用電源から受電される三相交流電圧(50Hz又は60Hz)を、3倍周波数(150Hz又は180Hz)の単相交流電圧に変換して単相負荷200に出力するものである。
【0017】
具体的にこのものは、図1に示すように、三相変圧器2を用いて商用電源周波数を3倍に逓倍して出力するものであり、三相変圧器2の1次巻線21u、21v、21wがY結線され、2次巻線22u、22v、22wがΔ結線されるとともに、当該Δ結線された2次巻線22u、22v、22wの一端を開放して単相負荷200に接続されるように構成されている。
【0018】
そして、三相変圧器2は、図2に示すように、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心23を用いたものである。このノーカット形の5脚巻鉄心23は、脚鉄心と継鉄心(ヨーク鉄心)とが一体であり分離されていない鉄心であり、そのうちの3本の脚23a、23b、23cそれぞれに1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回され、残りの2本23d、23eが第3調波磁束の帰路となる。
【0019】
三相変圧器2の5脚巻鉄心23は、開口サイズの異なる環状の巻鉄心要素を組み合わせることにより構成される正面視において概略矩形状をなすものであり、開口サイズの最も大きい1つの外鉄心要素231と、外鉄心要素231の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの中鉄心要素232と、中鉄心要素232の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの小鉄心要素233a、233bとからなる。
【0020】
2つの中鉄心要素232は、互いに同一形状をなすものであり、その厚みは、前記外鉄心要素231の厚みと同一である。また、2つの小鉄心要素のうち左右外側に配置される小鉄心要素233aの厚みは、外鉄心要素231及び中鉄心要素232の厚みと同一である。一方、小鉄心要素のうち中央側に配置される小鉄心要素233bの厚みは、外側に配置される小鉄心要素233aの厚みの1/2の厚みである。このように構成された5脚巻鉄心23は、正面視において左右に5本の脚23a〜23eが配列され、その5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積の1/2となる。
【0021】
そして、このように構成された5脚巻鉄心23において、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cが、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となる帰路鉄心部となる。つまり、第3調波磁束の帰路となる帰路鉄心部の断面積が、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部の断面積の1/2となる。この5脚巻鉄心23により、第3調波磁束の帰路が、巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wが施された脚23a〜23cの間に配置される構成となり、各脚23a〜23cにより生じる第3調波磁束を循環させ易くすることができる。
【0022】
次に本実施形態の単相3倍周波数発生装置100の入力容量(VA)及び出力容量(VA)の出/入比について、ノーカット形3脚巻鉄心を用いたもの、ノーカット形単相鉄心を3台用いたもの、及びカット形の単相鉄心を3台用いたものと比較して、図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は、本実施形態の単相3倍周波数発生装置100の特性データであり、図4の横軸は磁束密度(G)を示し、縦軸は、入力容量(VA)に対する出力容量(VA)の比である。
【0023】
図3及び図4から分かるように、本実施形態の単相3倍周波数発生装置100は、従来のノーカット形単相鉄心を3台用いたものと同等の特性を示し、その出/入比もほぼ同じであることが分かる。一方で、ノーカット形3脚巻鉄心を用いたもの及びカット形の単相鉄心を3台用いたものは、出/入比が極めて低いことが分かる。ノーカット形3脚巻鉄心を用いたものでは、脚鉄心部で生じた同一位相で同一方向に流れる第3調波が一方のヨーク鉄心部から非磁性通路を通過して他方のヨーク鉄心部に流れることから第3調波成分が低下してしまうことにより出/入比が小さくなっている。また、カット形の単相鉄心を3台用いたものでは、カット部分での磁気抵抗が大きくなり、第3調波成分が低下して出/入比が小さくなっている。
【0024】
このように構成した第1実施形態に係る3倍周波数発生装置100によれば、三相変圧器2が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚23a〜23cに巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wを施して、残りの2脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となるように構成しているので、巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wが施された各脚23a〜23cで生じる同一位相及び同一方向に流れる第3調波磁束を、残りの2脚23d、23eにより循環させることができ、三相変圧器2に生じる合成磁束の第3調波成分が低減してしまうことを防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量(入力電圧)に対する3倍周波数の出力容量(出力電圧)の割合を大きくすることができる。また、5脚巻鉄心23がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、第3調波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、第3調波磁束が各脚23a〜23eを通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比を大きくすることができる。さらに、三相変圧器2を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0025】
なお、本発明は前記第1実施形態に限られるものではない。例えば、図5に示すように、三相変圧器2の1次側に進相コンデンサ3を設けることによって、図6に示すように、出/入比を約54%まで改善させることができる。
【0026】
また、前記実施形態では、変圧器型の単相3倍周波数発生装置について説明したが、リアクトル型のものであっても良い。このときの単相3倍周波数発生装置は、図7に示すように、三相可飽和リアクトル4を用いて商用電源周波数を3倍に逓倍して出力するものであり、三相可飽和リアクトル4の巻線4u、4v、4wをY結線で接続してなる中性点と、三相電源の中性点との間に単相負荷200が接続されるように構成されている。そして、三相可飽和リアクトル4が、前記実施形態で説明したシート状の電磁鋼板を連続巻回してなるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cにリアクトルの巻線4u、4v、4wが巻回され、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となる。なお、図7においては、Y結線で接続されたコンデンサ5u、5v、5wを三相電源側に接続して、人為的な中性点を形成し、当該中性点と前記中性点との間に単相負荷200を接続している。このコンデンサ5u、5v、5wは、高調波電流の帰路の役割を果たすとともに、進相コンデンサとしての役割も果たす。
【0027】
さらに、前記実施形態の単相3倍周波数発生装置100を3組用いて三相3倍周波数発生装置Zとすることもできる。この場合、三相3倍周波数発生装置Zは、図8に示すように、1組の三相変圧器の1次巻線をY結線とし、もう1組の三相変圧器の1次巻線の出力を入力周波数座標において40°位相遅れとなるように位相遅れ巻線を施したY結線とし、残りの1組の三相変圧器の1次巻線の出力を入力周波数座標において80°位相遅れとなるように位相遅れ巻線を施したY結線とする。このように構成すれば、3組の単相3倍周波数発生装置100からの出力は3倍周波数座標でそれぞれ120°位相差の三相3倍周波数となる。なお、位相遅れ巻線の他に、40°位相進み又は80°位相進みとなる位相進み巻線を施しても良い。図8においては、3組の出力側には、入力巻線がオープンデルタ結線、出力巻線が千鳥結線された出力変圧器を設置して、三相ベクトルを確定し安定させる機能を持たせている。
【0028】
その上、リアクトル方式の単相3倍周波数発生装置を3組用いて三相3倍周波数発生装置とすることもできる。この場合、三相3倍周波数発生装置は、1組の可飽和リアクトルの巻線をY結線とし、もう1組の可飽和リアクトルの巻線の出力を入力周波数座標において40°位相遅れ又は位相進みとなるように位相巻線を施したY結線とし、残りの1組の可飽和リアクトルの巻線の出力を入力周波数座標において80°位相遅れ又は位相進みとなるように位相巻線を施したY結線とする。
【0029】
加えて、前記実施形態の単相3倍周波数発生装置を多段にカスケード接続することによって単相の3N倍周波数(Nは自然数)を得ることができる。また、三相3倍周波数発生装置を多段にカスケード接続することによって三相の3N倍周波数(Nは自然数)を得ることができる。
【0030】
<第2実施形態>
以下に本発明に係る高周波発生装置について図面を参照して説明する。
【0031】
本実施形態に係る高周波発生装置は、商用電源(三相交流電源)に接続されて、当該商用電源から受電される三相交流電圧(電源周波数50[Hz]又は60[Hz])を、3n倍周波数(50×3n[Hz]又は60×3n[Hz])の単相交流電圧に変換して単相負荷に出力するものである。
【0032】
具体的にこのものは、n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器2を用いて構成されるものである。このn台の三相変圧器は、基準となる1次巻線R相/S相/T相を巻回した第1の三相変圧器に対し、対応する各相の位相差が360度/3nとなる1次巻線を施した第2の三相変圧器、さらに第2の三相変圧器に対して対応する各相の位相差が360度/3nとなる1次巻き線を施した第3の三相変圧器といったように、各三相変圧器に巻回される1次巻線(R相/S相/T相)に360度/3nの位相差を順次つけるとともに、n台の三相変圧器の1次巻線を直列接続して全体としてY結線(スター結線)する。また、n台の三相変圧器の各相2次巻線を位相が360度/3nずつずれる順に直列結線する。このように結線することで、直列結線された2次巻線の両端から電源周波数の単相3n倍周波数電圧を出力することができる。なお、3台の三相変圧器2を用いた場合については図11を参照して後述する。
【0033】
各三相変圧器は、図2に示すように、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心23を用いたものである。このノーカット形の5脚巻鉄心23は、脚鉄心と継鉄心(ヨーク鉄心)とが一体であり分離されていない鉄心であり、そのうちの3本の脚23a、23b、23cそれぞれに1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回され、残りの2本23d、23eが単相高周波磁束の帰路(以下、単相高周波磁束磁路という。)となる。
【0034】
三相変圧器2の5脚巻鉄心23は、開口サイズの異なる環状の巻鉄心要素を組み合わせることにより構成される正面視において概略矩形状をなすものであり、開口サイズの最も大きい1つの外鉄心要素231と、外鉄心要素231の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの中鉄心要素232と、中鉄心要素232の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの小鉄心要素233a、233bとからなる。
【0035】
2つの中鉄心要素232は、互いに同一形状をなすものであり、その厚みは、前記外鉄心要素231の厚みと同一である。また、2つの小鉄心要素のうち左右外側に配置される小鉄心要素233aの厚みは、外鉄心要素231及び中鉄心要素232の厚みと同一である。一方、小鉄心要素のうち中央側に配置される小鉄心要素233bの厚みは、外側に配置される小鉄心要素233aの厚みの1/2の厚みである。このように構成された5脚鉄心23は、正面視において左右に5本の脚23a〜23eが配列され、その5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積の1/2となる。
【0036】
そして、このように構成された5脚鉄心23において、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cが、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが単相高周波磁束磁路となる帰路鉄心部となる。つまり、単相高周波磁束磁路となる帰路鉄心部の断面積が、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部の断面積の1/2となる。この5脚鉄心23により、単相高周波磁束磁路が、巻線21、22が施された脚23a〜23cの間に配置される構成となり、各脚23a〜23cにより生じる単相高周波磁束を循環させ易くすることができる。
【0037】
ここで、従来の単相9倍周波数発生用の単相変圧器の1次巻線ベクトル図を図9に示し、従来の単相9倍周波数発生用の単相変圧器の結線図を図10に示す。このように従来は、単相9倍周波数(nが3の場合)を発生させる装置として、9台の単相変圧器の1次巻線に位相を順次40度ずつずらす位相変換巻線を施してY結線するとともに、2次巻線を位相が40度ずつずれる順に直列結線して、その両端から9倍周波数の単相電圧を取り出している。なお、本実施形態の高周波発生装置においても図9に示す1次巻線ベクトル図は同様である。
【0038】
一方で、本実施形態に係る高周波発生装置を用いて単相9倍周波数を発生させる場合の結線図を図11に示す。この高周波発生装置は、基準となる1次巻線R相/S相/T相を巻回した第1の三相変圧器2Aと、この第1の三相変圧器2Aに対して位相差40度の1次巻線を施した第2の三相変圧器2Bと、この第2の三相変圧器2Bに対して位相差40度の1次巻線を施した第3の三相変圧器2Cとを有する。そして、第1〜第3の三相変圧器2A〜2Cの1次巻線は直列接続されて全体としてY結線する。また、第1〜第3の三相変圧器2A〜2Cの各相の2次巻線は、位相が40度ずつずれる順に直列接続される。このようにして直列接続された2次巻線の両端から単相9倍周波数の単相電圧が出力される(図12参照)。
【0039】
図13に無負荷(三相入力電圧/単相9倍周波数出力電圧)特性を示し、図14に無負荷((出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G))特性グラフを示す。ここで出力電圧計算値は巻線巻数比から算出した電圧である。なお、図13及び図14において、単相磁束磁路断面積(断面)1/2とは、図2にように単相高周波磁束磁路の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/2である場合を示し、単相磁束磁路断面積(断面)1/1とは、図15のように単相高周波磁束磁路の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1である場合を示している。なお、図15に示す5脚巻鉄心は、5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積と等しくなるように構成されている。
【0040】
磁束密度が1.65T程度の変圧器において、励磁電流に対する第3調波磁束成分の割合は50%程度であるが、本実施形態の変圧器の実用範囲である2.8T程度になれば第3調波磁束成分の割合はおよそ65%になると予想される。第3調波が単相成分であることから3相合計量は3倍となるので、単相高周波磁束磁路の断面積の合計は、巻線が巻回される脚の断面積の3倍の65%が必要である。つまり、5脚巻鉄心において、1脚の単相高周波磁束磁路の断面積は、300%×0.65/2=97.5%となる。したがって、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は巻線を巻回される脚の100%が妥当である。
【0041】
さらに、本実施形態の変圧器の実用範囲を図14及び図20に示す測定値3.5Tまで広げると第3調波磁束成分の割合は75%程度が予想され、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は、巻線を巻回する脚の断面積の300%×0.75/2=112.5%となる。ここで、112.5%以上の断面積を確保でき、且つ、外鉄心要素231、中鉄心要素232及び小鉄心要素233の比率を簡単な比として製作を容易にするためには、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は、120%とすることが望ましい(図16参照)。また、図14及び図20に示すように、単相高周波磁束磁路の断面積が50%の場合に、(出力電圧/出力電圧計算値)比が2.3T及び2.5Tから低下するのは、3n倍周波数磁束磁路鉄心が飽和してくることが原因である。しかし2.3T〜2.5Tまでは十分に実用になる出力が得られており有効であることは明らかである。
【0042】
このように構成した本実施形態に係る高周波発生装置によれば、三相変圧器2が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚23a〜23cに巻線21、22を施して、残りの2脚23d、23eが単相高周波磁束磁路となるように構成しているので、巻線21、22が施された各脚23a〜23cで生じる同一位相及び同一方向に流れる高周波磁束を、残りの2脚23d、23eにより循環させることができ、三相変圧器2に生じる高周波磁束が低減してしまうことを防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量(入力電圧)に対する3n倍周波数の出力容量(出力電圧)の割合を大きくすることができる。また、5脚鉄心23がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、高周波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、高周波磁束が各脚23a〜23eを通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比(出力容量/入力容量)を大きくすることができる。さらに、三相変圧器2を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0043】
次に本実施形態の高周波発生装置に誘導負荷である誘導加熱装置に用いた場合について説明する。この高周波発生装置には、図17に示すように、進相負荷であるコンデンサを介して誘導加熱装置が接続される。なお、図17において変圧器として示した部分が高周波発生装置である。また、進相負荷は、誘導加熱装置に並列に接続しても良いし、直列に接続しても良い。なお、図17においては、並列に接続した場合を示している。
【0044】
そして、この図17における高周波発生装置は、3相60Hzの入力電圧Eに対して9倍周波数の単相電圧を出力するものであり、その変圧比は1.705倍である。この高周波発生装置において、周波数540Hz、出力電圧1.705Eが、高周波発生装置の内部インピーダンスZと出力側インピーダンスZ(U−V)の比で分担されて、出力電圧E(U−V)は、1.705E×Z(U−V)/{Z+Z(U−V)}となる。但し、これらの記号は全てベクトルである。
【0045】
ここで出力側のU−V間インピーダンスが最大となるようなコンデンサCを接続すれば、出力電圧E(U−V)は最大となる。
【0046】
図17の回路では、C=L/{R2+(2πfL)2}のとき最大インピーダンスとなり、その値はZ(U−V)={R2+(2πfL)2}/Rとなる。ここでCはコンデンサ(F)、Rは負荷抵抗(Ω)、Lは負荷リアクタンス(H)、fは周波数(Hz)を示す。
【0047】
図18の(1)に、65.5μFのコンデンサと誘導負荷(R=2.7Ω、2πfL=4.0Ω)を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/2である場合、図18の(2)に前記コンデンサと前記誘導負荷を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1の場合、及び図19の(3)に前記コンデンサと4Ωの抵抗負荷を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1の場合の実測値を示す。また、図20に上記(1)〜(3)における、(負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフを示す。
【0048】
(3)の抵抗負荷の場合には入力電圧216.3Vのときの出力電圧はE(U−V)=109.5Vであるが、同装置の(2)の誘導負荷の場合には入力電圧216.0Vのときの出力電圧はE(U−V)=198.0Vとなっている。なお、前記誘導負荷における場合にZ(U−V)が最大となるCの計算値は50.6μFであるが、設備の都合上、実験は65.5μFで実施した。
【0049】
(1)、(2)における負荷側合成インピーダンスZを算出すると7.8Ωである。一方で、(3)における負荷側合成インピーダンスZは3.0Ωである。抵抗負荷においては、合成インピーダンスZが最大となるCはゼロのときであり合成インピーダンスはZ=Rとなる。
【0050】
そして、(1)、(2)の負荷インピーダンスが(3)の負荷インピーダンスと同じ場合、Z=R=4.8Ωとなり、電流が同じときに同一発熱量となる負荷インピーダンスはZ=R=2.7Ωとなる。このようにいずれの場合も、誘導負荷に比べて抵抗負荷の合成インピーダンスは低く、すなわち出力電圧E(U−V)は低くなる。
【0051】
また、(1)、(2)と同じ出力電圧となる負荷抵抗は7.8Ωであるが、この場合は負荷量の選択ができない。所望の負荷を接続して且つ装置の最高出力電圧が得られるようにコンデンサ量によって調整が可能であるのは、誘導負荷の場合である。
【0052】
したがって、本発明の高周波発生装置は、誘導負荷となる誘導加熱装置に用いた場合に、高い出力電圧E(U−V)が得られ、高周波発生装置の装置効率が高くなる。
【0053】
次に、図21に示す誘導加熱装置を用いた実験結果に基づいて3倍周波数の単相電圧を供給する場合が、1ミリ以上の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示す。
【0054】
この実験に用いた誘導加熱装置は、磁気回路保持枠内に鉄心及び当該鉄心に巻回される誘導コイルを収容して構成されるものであり、この磁気回路保持枠の開口部に被加熱物を配置して、当該被加熱物を誘導加熱するものである。鉄心に渦巻状に巻回された誘導コイルの両端には図示しないリード線が接続される。なお、図21では、磁気回路保持枠に被加熱物が接触して設けられた場合を示しているが、その他、磁気回路保持枠と被加熱部とが離間して配置され、非接触により被加熱物を誘導加熱するものであっても良いし、磁気回路保持枠に対して被加熱物が搬送されて移動するものであっても良い。
【0055】
図22に示すグラフは、強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。図23に示すグラフは、非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。これらの図22及び図23から分かるように、明らかに60Hzよりも100Hz〜200Hzは力率が高く、3倍周波数は磁性体、非磁性体ともに金属誘導加熱に効果がある。
【0056】
図24に示すグラフは、強磁性体であるSS400を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。図25に示すグラフは、非磁性体であるSUS304を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。これらの図24及び図25から分かるように、強磁性体における板厚と力率との関係は見られないものの、非磁性体においては、板厚が厚くなるにしたがって力率は高くなっている。このことは、3倍周波数は薄い箔には向かず、ミリ単位の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示している。
【0057】
次に、図21に示す誘導加熱装置を用いた実験結果に基づいて3倍、9倍、15倍及び21倍周波数の単相電圧を供給する場合が、1ミリ以上の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示す。
【0058】
図22に示すグラフは、強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。この図22から分かるように、力率は350Hzで最も高くなり、強磁性体であるSS400の誘導加熱には、3倍周波数から9倍周波数が適している。
【0059】
図23に示すグラフは、非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。この図23から分かるように、力率は400Hz程度までは高周波になるにつれて高くなる傾向にあるが、それ以上の周波数ではその形状が小さくなる。したがって、非磁性体であるSUS304の誘導加熱には、装置の簡易性から考えて9倍周波数から21倍周波数が適している。
【0060】
図26に示すグラフは、強磁性体であるSS400を350Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。図27に示すグラフは、非磁性体であるSUS304を800Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。これらの図26及び図27から分かるように、強磁性体における板厚と力率の関係は見られないものの、非磁性体においては板厚が厚くなるにしたがって力率が高くなる傾向となる。特に1mm以下ではその傾向が大きく力率が低くなるが、1mm以上ではその傾向が小さくなり比較的高い力率が得られる。このことは、3倍、9倍、15倍及び21倍周波数は薄い箔には向かず、ミリ単位の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示している。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。例えば前記実施形態では、具体例として、3台の三相変圧器を用いて9倍周波数の単相電圧を出力するものを説明したが、その他、5台の三相変圧器を用いて15倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良いし、7台の三相変圧器を用いて21倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良いし、それ以上の奇数台の三相変圧器を用いて3n倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
100・・・高周波発生装置
2 ・・・三相変圧器
21 ・・・1次巻線
22 ・・・2次巻線
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相交流電源に接続されて、商用電源周波数(50Hz又は60Hz)を3n倍周波数の単相電圧を出力する高周波発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、単相3n倍周波数を発生させる手法としては、図9及び図10に示すように、3n台の単相変圧器の1次巻線に位相を順次360度/3nずつずらす位相変圧巻線を施してY結線するとともに、2次巻線を位相が360度/3nずれる順に直列結線してその両端から3n倍周波数電圧と取り出す方法がある。
【0003】
また、例えば3倍周波数発生装置には、非特許文献1、2に示すように、可飽和リアクトル型と、変圧器型とがある。可飽和リアクトル型は、3組の単相可飽和リアクトルをY結線し、その中性点と電源の中性点との間に発生する高調波出力を負荷に印加するものであり、コンデンサは進相コンデンサとして機能するとともに高調波電流の帰路として機能する。一方、変圧器型は、3組の単相変圧器の1次巻線をY結線するとともに、2次巻線をΔ結線して、そのΔ結線の一端を開放して、この開放部から高調波成分を取り出すように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記の両方式ともに、単相可飽和リアクトル又は単相変圧器(以下、単相機器とも言う。)を用いており、3脚鉄心から構成された三相機器を用いているものではない。このように3台の単相機器を組み合わせて構成すると、装置全体が大型化してしまう恐れがあり、また3台の単相機器の配置等も複雑になる可能性がある。特に3台の単相機器を用いて構成された単相3倍周波数発生装置を複数組用いて三相3倍周波数発生装置を構成する場合には、これらの問題が一層顕著となる。
【0005】
ここで、上記問題点を解消するために3脚鉄心を用いることが考えられるが、3脚鉄心を用いた場合には、3脚鉄心の各脚に巻回された1次巻線によって各脚に生じる第3調波磁束は、同一位相且つ同一方向に流れ、その第3調波磁束は、一方のヨーク鉄心から非磁性通路を通過して他方のヨーク鉄心に戻るように流れる。このとき、非磁性通路は高い磁気抵抗を有することから、第3調波磁束は弱められて、結果として3脚鉄心により生じる合成磁束は第3調波成分の小さいものとなってしまう。したがって、商用電源周波数の入力容量に対する3倍周波数の出力容量の割合(出/入比)が小さくなり効率的ではない。
【0006】
このことから従来の3倍周波数発生装置では、3台の単相機器を用いて構成することが出/入比を低下させないための当然の発想であり、3倍周波数発生装置に3脚鉄心を用いることは、出/入比を向上させるという目的に反する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本電熱工学委員会編、「工業電気加熱ハンドブック」、第1版、株式会社電気書院、昭和43年10月25日、p.293−296
【非特許文献2】新谷、外2名、「磁気式3倍周波数逓倍器の動作モードと定常特性の解析」、電気学会論文誌B 電力・エネルギー部門誌、社団法人電気学会、1981年9月、第101巻、第9号、p.519−526
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、単相リアクトル又は単相変圧器といった単相機器を3台用いることなくコンパクトに構成可能であり、また、配線も簡単にすることができるとともに、三相変圧器を高周波発生装置に用いた場合の問題点を解決することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る高周波発生装置は、n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器を用いて電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させるものであり、前記三相変圧器が、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、そのうちの3脚に1次巻線及び2次巻線が巻回され、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、三相変圧器が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚に巻線を施して、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となるように構成しているので、巻線が施された各脚で生じる同一位相及び同一方向に流れる単相高周波磁束を、残りの2脚により循環させることができ、三相変圧器において生じる単相高周波磁束の損失を防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量に対する3n倍周波数の出力容量の割合(出/入比)を大きくすることができる。また、5脚鉄心がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、単相高周波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、単相高周波磁束が各脚を通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比を大きくすることができる。さらに、三相変圧器を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0011】
3台の単相変圧器を用いた場合と同等の1台の三相変圧器とするためには、単相高周波磁束磁路となる2脚の合計断面積は、前記巻線が巻回される3脚の合計断面積と同じにする必要がある。すなわち、前記単相高周波磁束磁路となる1脚の断面積は、前記巻線が巻回される1脚の断面積の1.5倍とする必要がある。しかし、電磁鋼板からなる変圧器に生じる第3調波は、基本波と同じ割合ほどは発生しないことから、単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積は、巻線が巻回される3脚の各断面積の1/2であっても機能を果たすことができる。また、前記単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3脚の各断面積の1/1であれば、さらに高い出力電圧を得ることが可能となる。さらに、単相高周波磁束磁路となる2脚の各断面積が、巻線が巻回される3脚の各断面積の1.2/1であれば、さらに高い出力電圧を得ることが可能となる。
【0012】
誘導負荷である誘導加熱装置に進相負荷を介して接続されるものであることが望ましい。具体的には、電源周波数に対して3倍周波数、9倍周波数、15倍周波数又は21倍周波数の発生磁束の位相が同一で互いに打ち消し合うことがない単相電圧を発生させるものが望ましい。一般的な5kHz以上の高周波誘導加熱は、誘導コイルと対向する被加熱物との電気結合が良く電流浸透深さが浅いため、箔等の薄い被加熱物の加熱に適している。一方、中周波誘導加熱では、電流浸透深さが深いため、厚い被加熱物でも内部まで加熱が可能となる。このとき、前記誘導加熱装置による被加熱物が1mm以上の厚みを有する金属であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、単相リアクトル又は単相変圧器を3台用いることなくコンパクトに構成可能であり、三相変圧器を用いた場合の問題点を解決した3n倍周波数の単相電圧を発生する高周波発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の変圧器方式の実施形態に係る単相3倍周波数発生装置の回路結線図。
【図2】同実施形態に係る5脚巻鉄心の正面図。
【図3】同実施形態の特性データを示す図。
【図4】各種変圧器を用いた場合の磁束密度−出/入比特性を示す図。
【図5】変形実施形態に係る単相3倍周波数発生装置の回路図。
【図6】変形実施形態のコンデンサ容量/3倍周波数発生装置入力容量−出/入力比特性を示す図。
【図7】変形実施形態に係るリアクトル方式の単相3倍周波数発生装置の回路結線図。
【図8】変形実施形態に係る三相3倍周波数発生装置の回路図。
【図9】単相9倍周波数発生用の単相変圧器の1次巻線ベクトル図。
【図10】単相9倍周波数発生用の単相変圧器の結線図。
【図11】単相9倍周波数発生用の三相変圧器の結線図。
【図12】入出力電圧波形を示す図。
【図13】単相磁束磁路断面積1/2の場合、単相磁束磁路断面積1/1の場合の無負荷特性を示す図。
【図14】(無負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフ。
【図15】単相磁束磁路断面積1/1の5脚巻鉄心の正面図及び側面図。
【図16】単相磁束磁路断面積1.2/1の5脚巻鉄心の正面図及び側面図。
【図17】9倍周波数の高周波発生装置に誘導加熱装置を接続した試験回路を示す図。
【図18】単相磁束磁路断面積1/2の場合、単相磁束磁路断面積1/1の場合の誘導負荷特性を示す図。
【図19】単相磁束磁路断面積1/1の場合の抵抗負荷特性を示す図。
【図20】(負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフ。
【図21】実験に用いた誘導加熱装置の構成を示す図。
【図22】強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性を示すグラフ。
【図23】非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性を示すグラフ。
【図24】強磁性体であるSS400を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図25】非磁性体であるSUS304を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図26】強磁性体であるSS400を350Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【図27】非磁性体であるSUS304を800Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下に本発明に係る単相3倍周波数発生装置の変圧器方式の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る単相3倍周波数発生装置100は、商用電源(三相交流電源)に接続されて、当該商用電源から受電される三相交流電圧(50Hz又は60Hz)を、3倍周波数(150Hz又は180Hz)の単相交流電圧に変換して単相負荷200に出力するものである。
【0017】
具体的にこのものは、図1に示すように、三相変圧器2を用いて商用電源周波数を3倍に逓倍して出力するものであり、三相変圧器2の1次巻線21u、21v、21wがY結線され、2次巻線22u、22v、22wがΔ結線されるとともに、当該Δ結線された2次巻線22u、22v、22wの一端を開放して単相負荷200に接続されるように構成されている。
【0018】
そして、三相変圧器2は、図2に示すように、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心23を用いたものである。このノーカット形の5脚巻鉄心23は、脚鉄心と継鉄心(ヨーク鉄心)とが一体であり分離されていない鉄心であり、そのうちの3本の脚23a、23b、23cそれぞれに1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回され、残りの2本23d、23eが第3調波磁束の帰路となる。
【0019】
三相変圧器2の5脚巻鉄心23は、開口サイズの異なる環状の巻鉄心要素を組み合わせることにより構成される正面視において概略矩形状をなすものであり、開口サイズの最も大きい1つの外鉄心要素231と、外鉄心要素231の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの中鉄心要素232と、中鉄心要素232の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの小鉄心要素233a、233bとからなる。
【0020】
2つの中鉄心要素232は、互いに同一形状をなすものであり、その厚みは、前記外鉄心要素231の厚みと同一である。また、2つの小鉄心要素のうち左右外側に配置される小鉄心要素233aの厚みは、外鉄心要素231及び中鉄心要素232の厚みと同一である。一方、小鉄心要素のうち中央側に配置される小鉄心要素233bの厚みは、外側に配置される小鉄心要素233aの厚みの1/2の厚みである。このように構成された5脚巻鉄心23は、正面視において左右に5本の脚23a〜23eが配列され、その5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積の1/2となる。
【0021】
そして、このように構成された5脚巻鉄心23において、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cが、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となる帰路鉄心部となる。つまり、第3調波磁束の帰路となる帰路鉄心部の断面積が、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部の断面積の1/2となる。この5脚巻鉄心23により、第3調波磁束の帰路が、巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wが施された脚23a〜23cの間に配置される構成となり、各脚23a〜23cにより生じる第3調波磁束を循環させ易くすることができる。
【0022】
次に本実施形態の単相3倍周波数発生装置100の入力容量(VA)及び出力容量(VA)の出/入比について、ノーカット形3脚巻鉄心を用いたもの、ノーカット形単相鉄心を3台用いたもの、及びカット形の単相鉄心を3台用いたものと比較して、図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は、本実施形態の単相3倍周波数発生装置100の特性データであり、図4の横軸は磁束密度(G)を示し、縦軸は、入力容量(VA)に対する出力容量(VA)の比である。
【0023】
図3及び図4から分かるように、本実施形態の単相3倍周波数発生装置100は、従来のノーカット形単相鉄心を3台用いたものと同等の特性を示し、その出/入比もほぼ同じであることが分かる。一方で、ノーカット形3脚巻鉄心を用いたもの及びカット形の単相鉄心を3台用いたものは、出/入比が極めて低いことが分かる。ノーカット形3脚巻鉄心を用いたものでは、脚鉄心部で生じた同一位相で同一方向に流れる第3調波が一方のヨーク鉄心部から非磁性通路を通過して他方のヨーク鉄心部に流れることから第3調波成分が低下してしまうことにより出/入比が小さくなっている。また、カット形の単相鉄心を3台用いたものでは、カット部分での磁気抵抗が大きくなり、第3調波成分が低下して出/入比が小さくなっている。
【0024】
このように構成した第1実施形態に係る3倍周波数発生装置100によれば、三相変圧器2が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚23a〜23cに巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wを施して、残りの2脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となるように構成しているので、巻線21u、21v、21w、22u、22v、22wが施された各脚23a〜23cで生じる同一位相及び同一方向に流れる第3調波磁束を、残りの2脚23d、23eにより循環させることができ、三相変圧器2に生じる合成磁束の第3調波成分が低減してしまうことを防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量(入力電圧)に対する3倍周波数の出力容量(出力電圧)の割合を大きくすることができる。また、5脚巻鉄心23がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、第3調波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、第3調波磁束が各脚23a〜23eを通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比を大きくすることができる。さらに、三相変圧器2を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0025】
なお、本発明は前記第1実施形態に限られるものではない。例えば、図5に示すように、三相変圧器2の1次側に進相コンデンサ3を設けることによって、図6に示すように、出/入比を約54%まで改善させることができる。
【0026】
また、前記実施形態では、変圧器型の単相3倍周波数発生装置について説明したが、リアクトル型のものであっても良い。このときの単相3倍周波数発生装置は、図7に示すように、三相可飽和リアクトル4を用いて商用電源周波数を3倍に逓倍して出力するものであり、三相可飽和リアクトル4の巻線4u、4v、4wをY結線で接続してなる中性点と、三相電源の中性点との間に単相負荷200が接続されるように構成されている。そして、三相可飽和リアクトル4が、前記実施形態で説明したシート状の電磁鋼板を連続巻回してなるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cにリアクトルの巻線4u、4v、4wが巻回され、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが第3調波磁束の帰路となる。なお、図7においては、Y結線で接続されたコンデンサ5u、5v、5wを三相電源側に接続して、人為的な中性点を形成し、当該中性点と前記中性点との間に単相負荷200を接続している。このコンデンサ5u、5v、5wは、高調波電流の帰路の役割を果たすとともに、進相コンデンサとしての役割も果たす。
【0027】
さらに、前記実施形態の単相3倍周波数発生装置100を3組用いて三相3倍周波数発生装置Zとすることもできる。この場合、三相3倍周波数発生装置Zは、図8に示すように、1組の三相変圧器の1次巻線をY結線とし、もう1組の三相変圧器の1次巻線の出力を入力周波数座標において40°位相遅れとなるように位相遅れ巻線を施したY結線とし、残りの1組の三相変圧器の1次巻線の出力を入力周波数座標において80°位相遅れとなるように位相遅れ巻線を施したY結線とする。このように構成すれば、3組の単相3倍周波数発生装置100からの出力は3倍周波数座標でそれぞれ120°位相差の三相3倍周波数となる。なお、位相遅れ巻線の他に、40°位相進み又は80°位相進みとなる位相進み巻線を施しても良い。図8においては、3組の出力側には、入力巻線がオープンデルタ結線、出力巻線が千鳥結線された出力変圧器を設置して、三相ベクトルを確定し安定させる機能を持たせている。
【0028】
その上、リアクトル方式の単相3倍周波数発生装置を3組用いて三相3倍周波数発生装置とすることもできる。この場合、三相3倍周波数発生装置は、1組の可飽和リアクトルの巻線をY結線とし、もう1組の可飽和リアクトルの巻線の出力を入力周波数座標において40°位相遅れ又は位相進みとなるように位相巻線を施したY結線とし、残りの1組の可飽和リアクトルの巻線の出力を入力周波数座標において80°位相遅れ又は位相進みとなるように位相巻線を施したY結線とする。
【0029】
加えて、前記実施形態の単相3倍周波数発生装置を多段にカスケード接続することによって単相の3N倍周波数(Nは自然数)を得ることができる。また、三相3倍周波数発生装置を多段にカスケード接続することによって三相の3N倍周波数(Nは自然数)を得ることができる。
【0030】
<第2実施形態>
以下に本発明に係る高周波発生装置について図面を参照して説明する。
【0031】
本実施形態に係る高周波発生装置は、商用電源(三相交流電源)に接続されて、当該商用電源から受電される三相交流電圧(電源周波数50[Hz]又は60[Hz])を、3n倍周波数(50×3n[Hz]又は60×3n[Hz])の単相交流電圧に変換して単相負荷に出力するものである。
【0032】
具体的にこのものは、n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器2を用いて構成されるものである。このn台の三相変圧器は、基準となる1次巻線R相/S相/T相を巻回した第1の三相変圧器に対し、対応する各相の位相差が360度/3nとなる1次巻線を施した第2の三相変圧器、さらに第2の三相変圧器に対して対応する各相の位相差が360度/3nとなる1次巻き線を施した第3の三相変圧器といったように、各三相変圧器に巻回される1次巻線(R相/S相/T相)に360度/3nの位相差を順次つけるとともに、n台の三相変圧器の1次巻線を直列接続して全体としてY結線(スター結線)する。また、n台の三相変圧器の各相2次巻線を位相が360度/3nずつずれる順に直列結線する。このように結線することで、直列結線された2次巻線の両端から電源周波数の単相3n倍周波数電圧を出力することができる。なお、3台の三相変圧器2を用いた場合については図11を参照して後述する。
【0033】
各三相変圧器は、図2に示すように、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心23を用いたものである。このノーカット形の5脚巻鉄心23は、脚鉄心と継鉄心(ヨーク鉄心)とが一体であり分離されていない鉄心であり、そのうちの3本の脚23a、23b、23cそれぞれに1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回され、残りの2本23d、23eが単相高周波磁束の帰路(以下、単相高周波磁束磁路という。)となる。
【0034】
三相変圧器2の5脚巻鉄心23は、開口サイズの異なる環状の巻鉄心要素を組み合わせることにより構成される正面視において概略矩形状をなすものであり、開口サイズの最も大きい1つの外鉄心要素231と、外鉄心要素231の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの中鉄心要素232と、中鉄心要素232の内側周面に接触するとともに、互いに接触して配置される2つの小鉄心要素233a、233bとからなる。
【0035】
2つの中鉄心要素232は、互いに同一形状をなすものであり、その厚みは、前記外鉄心要素231の厚みと同一である。また、2つの小鉄心要素のうち左右外側に配置される小鉄心要素233aの厚みは、外鉄心要素231及び中鉄心要素232の厚みと同一である。一方、小鉄心要素のうち中央側に配置される小鉄心要素233bの厚みは、外側に配置される小鉄心要素233aの厚みの1/2の厚みである。このように構成された5脚鉄心23は、正面視において左右に5本の脚23a〜23eが配列され、その5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積の1/2となる。
【0036】
そして、このように構成された5脚鉄心23において、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cが、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eが単相高周波磁束磁路となる帰路鉄心部となる。つまり、単相高周波磁束磁路となる帰路鉄心部の断面積が、1次巻線21u、21v、21w及び2次巻線22u、22v、22wが巻回される巻回鉄心部の断面積の1/2となる。この5脚鉄心23により、単相高周波磁束磁路が、巻線21、22が施された脚23a〜23cの間に配置される構成となり、各脚23a〜23cにより生じる単相高周波磁束を循環させ易くすることができる。
【0037】
ここで、従来の単相9倍周波数発生用の単相変圧器の1次巻線ベクトル図を図9に示し、従来の単相9倍周波数発生用の単相変圧器の結線図を図10に示す。このように従来は、単相9倍周波数(nが3の場合)を発生させる装置として、9台の単相変圧器の1次巻線に位相を順次40度ずつずらす位相変換巻線を施してY結線するとともに、2次巻線を位相が40度ずつずれる順に直列結線して、その両端から9倍周波数の単相電圧を取り出している。なお、本実施形態の高周波発生装置においても図9に示す1次巻線ベクトル図は同様である。
【0038】
一方で、本実施形態に係る高周波発生装置を用いて単相9倍周波数を発生させる場合の結線図を図11に示す。この高周波発生装置は、基準となる1次巻線R相/S相/T相を巻回した第1の三相変圧器2Aと、この第1の三相変圧器2Aに対して位相差40度の1次巻線を施した第2の三相変圧器2Bと、この第2の三相変圧器2Bに対して位相差40度の1次巻線を施した第3の三相変圧器2Cとを有する。そして、第1〜第3の三相変圧器2A〜2Cの1次巻線は直列接続されて全体としてY結線する。また、第1〜第3の三相変圧器2A〜2Cの各相の2次巻線は、位相が40度ずつずれる順に直列接続される。このようにして直列接続された2次巻線の両端から単相9倍周波数の単相電圧が出力される(図12参照)。
【0039】
図13に無負荷(三相入力電圧/単相9倍周波数出力電圧)特性を示し、図14に無負荷((出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G))特性グラフを示す。ここで出力電圧計算値は巻線巻数比から算出した電圧である。なお、図13及び図14において、単相磁束磁路断面積(断面)1/2とは、図2にように単相高周波磁束磁路の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/2である場合を示し、単相磁束磁路断面積(断面)1/1とは、図15のように単相高周波磁束磁路の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1である場合を示している。なお、図15に示す5脚巻鉄心は、5本の脚23a〜23eのうち、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積が同一となり、中央の脚23aの両側に隣接する脚23d、23eの断面積は、中央の脚23a及び左右両端の脚23b、23cの断面積と等しくなるように構成されている。
【0040】
磁束密度が1.65T程度の変圧器において、励磁電流に対する第3調波磁束成分の割合は50%程度であるが、本実施形態の変圧器の実用範囲である2.8T程度になれば第3調波磁束成分の割合はおよそ65%になると予想される。第3調波が単相成分であることから3相合計量は3倍となるので、単相高周波磁束磁路の断面積の合計は、巻線が巻回される脚の断面積の3倍の65%が必要である。つまり、5脚巻鉄心において、1脚の単相高周波磁束磁路の断面積は、300%×0.65/2=97.5%となる。したがって、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は巻線を巻回される脚の100%が妥当である。
【0041】
さらに、本実施形態の変圧器の実用範囲を図14及び図20に示す測定値3.5Tまで広げると第3調波磁束成分の割合は75%程度が予想され、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は、巻線を巻回する脚の断面積の300%×0.75/2=112.5%となる。ここで、112.5%以上の断面積を確保でき、且つ、外鉄心要素231、中鉄心要素232及び小鉄心要素233の比率を簡単な比として製作を容易にするためには、3n倍周波数磁束磁路の1脚あたりの断面積は、120%とすることが望ましい(図16参照)。また、図14及び図20に示すように、単相高周波磁束磁路の断面積が50%の場合に、(出力電圧/出力電圧計算値)比が2.3T及び2.5Tから低下するのは、3n倍周波数磁束磁路鉄心が飽和してくることが原因である。しかし2.3T〜2.5Tまでは十分に実用になる出力が得られており有効であることは明らかである。
【0042】
このように構成した本実施形態に係る高周波発生装置によれば、三相変圧器2が5脚巻鉄心であり、そのうちの3脚23a〜23cに巻線21、22を施して、残りの2脚23d、23eが単相高周波磁束磁路となるように構成しているので、巻線21、22が施された各脚23a〜23cで生じる同一位相及び同一方向に流れる高周波磁束を、残りの2脚23d、23eにより循環させることができ、三相変圧器2に生じる高周波磁束が低減してしまうことを防止できる。これによって、商用電源周波数の入力容量(入力電圧)に対する3n倍周波数の出力容量(出力電圧)の割合を大きくすることができる。また、5脚鉄心23がシート状の電磁鋼板を連続巻回して形成したノーカット形としていることから、高周波磁束の磁路において磁気抵抗を可及的に小さくすることができ、高周波磁束が各脚23a〜23eを通過する際の磁束低下を防止して、可及的に出/入比(出力容量/入力容量)を大きくすることができる。さらに、三相変圧器2を用いることができるので、従来のように3台の単相変圧器を用いた場合に比べてコンパクトに構成可能であり、また配線も簡単にすることができる。
【0043】
次に本実施形態の高周波発生装置に誘導負荷である誘導加熱装置に用いた場合について説明する。この高周波発生装置には、図17に示すように、進相負荷であるコンデンサを介して誘導加熱装置が接続される。なお、図17において変圧器として示した部分が高周波発生装置である。また、進相負荷は、誘導加熱装置に並列に接続しても良いし、直列に接続しても良い。なお、図17においては、並列に接続した場合を示している。
【0044】
そして、この図17における高周波発生装置は、3相60Hzの入力電圧Eに対して9倍周波数の単相電圧を出力するものであり、その変圧比は1.705倍である。この高周波発生装置において、周波数540Hz、出力電圧1.705Eが、高周波発生装置の内部インピーダンスZと出力側インピーダンスZ(U−V)の比で分担されて、出力電圧E(U−V)は、1.705E×Z(U−V)/{Z+Z(U−V)}となる。但し、これらの記号は全てベクトルである。
【0045】
ここで出力側のU−V間インピーダンスが最大となるようなコンデンサCを接続すれば、出力電圧E(U−V)は最大となる。
【0046】
図17の回路では、C=L/{R2+(2πfL)2}のとき最大インピーダンスとなり、その値はZ(U−V)={R2+(2πfL)2}/Rとなる。ここでCはコンデンサ(F)、Rは負荷抵抗(Ω)、Lは負荷リアクタンス(H)、fは周波数(Hz)を示す。
【0047】
図18の(1)に、65.5μFのコンデンサと誘導負荷(R=2.7Ω、2πfL=4.0Ω)を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/2である場合、図18の(2)に前記コンデンサと前記誘導負荷を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1の場合、及び図19の(3)に前記コンデンサと4Ωの抵抗負荷を接続した単相磁束磁路(単相高周波磁束磁路)の断面積が、巻線が巻回される脚の断面積の1/1の場合の実測値を示す。また、図20に上記(1)〜(3)における、(負荷出力電圧/出力電圧計算値)比−磁束密度(G)特性グラフを示す。
【0048】
(3)の抵抗負荷の場合には入力電圧216.3Vのときの出力電圧はE(U−V)=109.5Vであるが、同装置の(2)の誘導負荷の場合には入力電圧216.0Vのときの出力電圧はE(U−V)=198.0Vとなっている。なお、前記誘導負荷における場合にZ(U−V)が最大となるCの計算値は50.6μFであるが、設備の都合上、実験は65.5μFで実施した。
【0049】
(1)、(2)における負荷側合成インピーダンスZを算出すると7.8Ωである。一方で、(3)における負荷側合成インピーダンスZは3.0Ωである。抵抗負荷においては、合成インピーダンスZが最大となるCはゼロのときであり合成インピーダンスはZ=Rとなる。
【0050】
そして、(1)、(2)の負荷インピーダンスが(3)の負荷インピーダンスと同じ場合、Z=R=4.8Ωとなり、電流が同じときに同一発熱量となる負荷インピーダンスはZ=R=2.7Ωとなる。このようにいずれの場合も、誘導負荷に比べて抵抗負荷の合成インピーダンスは低く、すなわち出力電圧E(U−V)は低くなる。
【0051】
また、(1)、(2)と同じ出力電圧となる負荷抵抗は7.8Ωであるが、この場合は負荷量の選択ができない。所望の負荷を接続して且つ装置の最高出力電圧が得られるようにコンデンサ量によって調整が可能であるのは、誘導負荷の場合である。
【0052】
したがって、本発明の高周波発生装置は、誘導負荷となる誘導加熱装置に用いた場合に、高い出力電圧E(U−V)が得られ、高周波発生装置の装置効率が高くなる。
【0053】
次に、図21に示す誘導加熱装置を用いた実験結果に基づいて3倍周波数の単相電圧を供給する場合が、1ミリ以上の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示す。
【0054】
この実験に用いた誘導加熱装置は、磁気回路保持枠内に鉄心及び当該鉄心に巻回される誘導コイルを収容して構成されるものであり、この磁気回路保持枠の開口部に被加熱物を配置して、当該被加熱物を誘導加熱するものである。鉄心に渦巻状に巻回された誘導コイルの両端には図示しないリード線が接続される。なお、図21では、磁気回路保持枠に被加熱物が接触して設けられた場合を示しているが、その他、磁気回路保持枠と被加熱部とが離間して配置され、非接触により被加熱物を誘導加熱するものであっても良いし、磁気回路保持枠に対して被加熱物が搬送されて移動するものであっても良い。
【0055】
図22に示すグラフは、強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。図23に示すグラフは、非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。これらの図22及び図23から分かるように、明らかに60Hzよりも100Hz〜200Hzは力率が高く、3倍周波数は磁性体、非磁性体ともに金属誘導加熱に効果がある。
【0056】
図24に示すグラフは、強磁性体であるSS400を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。図25に示すグラフは、非磁性体であるSUS304を60Hz、100Hz、200Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。これらの図24及び図25から分かるように、強磁性体における板厚と力率との関係は見られないものの、非磁性体においては、板厚が厚くなるにしたがって力率は高くなっている。このことは、3倍周波数は薄い箔には向かず、ミリ単位の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示している。
【0057】
次に、図21に示す誘導加熱装置を用いた実験結果に基づいて3倍、9倍、15倍及び21倍周波数の単相電圧を供給する場合が、1ミリ以上の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示す。
【0058】
図22に示すグラフは、強磁性体である板厚9mmの平板(SS400)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。この図22から分かるように、力率は350Hzで最も高くなり、強磁性体であるSS400の誘導加熱には、3倍周波数から9倍周波数が適している。
【0059】
図23に示すグラフは、非磁性体である板厚9mmの平板(SUS304)を誘導加熱した場合の周波数−力率特性である。この図23から分かるように、力率は400Hz程度までは高周波になるにつれて高くなる傾向にあるが、それ以上の周波数ではその形状が小さくなる。したがって、非磁性体であるSUS304の誘導加熱には、装置の簡易性から考えて9倍周波数から21倍周波数が適している。
【0060】
図26に示すグラフは、強磁性体であるSS400を350Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。図27に示すグラフは、非磁性体であるSUS304を800Hzで誘導加熱した場合の板厚−力率特性である。これらの図26及び図27から分かるように、強磁性体における板厚と力率の関係は見られないものの、非磁性体においては板厚が厚くなるにしたがって力率が高くなる傾向となる。特に1mm以下ではその傾向が大きく力率が低くなるが、1mm以上ではその傾向が小さくなり比較的高い力率が得られる。このことは、3倍、9倍、15倍及び21倍周波数は薄い箔には向かず、ミリ単位の板厚を有する金属の誘導加熱に適していることを示している。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。例えば前記実施形態では、具体例として、3台の三相変圧器を用いて9倍周波数の単相電圧を出力するものを説明したが、その他、5台の三相変圧器を用いて15倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良いし、7台の三相変圧器を用いて21倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良いし、それ以上の奇数台の三相変圧器を用いて3n倍周波数の単相電圧を出力するものであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
100・・・高周波発生装置
2 ・・・三相変圧器
21 ・・・1次巻線
22 ・・・2次巻線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器を用いて電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させるものであり、
前記三相変圧器が、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、そのうちの3脚に1次巻線及び2次巻線が巻回され、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となることを特徴とする高周波発生装置。
【請求項2】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1/2である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項3】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1/1である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項4】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1.2/1である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項5】
誘導負荷である誘導加熱装置に進相負荷を介して接続されるものである請求項1乃至4の何れかに記載の高周波発生装置。
【請求項6】
電源周波数に対して3倍周波数、9倍周波数、15倍周波数又は21倍周波数の単相電圧を発生させることを特徴とする請求項5記載の高周波発生装置。
【請求項7】
前記誘導加熱装置による被加熱物が1mm以上の厚みを有する金属である請求項6記載の高周波発生装置。
【請求項1】
n台(nは1以上の奇数とする。)の三相変圧器を用いて電源周波数に対して3n倍周波数の単相電圧を発生させるものであり、
前記三相変圧器が、シート状の電磁鋼板を連続巻回して形成されるノーカット形の5脚巻鉄心を用いたものであり、そのうちの3脚に1次巻線及び2次巻線が巻回され、残りの2脚が単相高周波磁束磁路となることを特徴とする高周波発生装置。
【請求項2】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1/2である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項3】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1/1である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項4】
前記単相高周波磁束磁路となる2本の脚の各断面積が、前記巻線が巻回される3本の脚の各断面積の1.2/1である請求項1記載の高周波発生装置。
【請求項5】
誘導負荷である誘導加熱装置に進相負荷を介して接続されるものである請求項1乃至4の何れかに記載の高周波発生装置。
【請求項6】
電源周波数に対して3倍周波数、9倍周波数、15倍周波数又は21倍周波数の単相電圧を発生させることを特徴とする請求項5記載の高周波発生装置。
【請求項7】
前記誘導加熱装置による被加熱物が1mm以上の厚みを有する金属である請求項6記載の高周波発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−63006(P2013−63006A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256369(P2011−256369)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000110158)トクデン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000110158)トクデン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】
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