説明

高周波運動発生器を用いた画像貫通装置

【課題】プリンタ技術におけるエネルギー効率を改善する。
【解決手段】相変化インク画像処理装置10は、印刷媒体へのインク画素の転写および/または固定を容易にするために、画像担持面50に堆積されたインク画素に超音波作用を加えるように構成された貫通装置100を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、相変化インクプリンタに関し、特に、相変化インクプリンタに用いられる貫通装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化インク画像処理装置は、記録媒体での画像の形成に相変化インクを用いる。上記装置は、通常、直接印刷プロセスまたはオフセット印刷プロセスを用いて溶解した相変化インクの滴を排出するように構成されたインクジェットを含んでいる。直接印刷プロセスでは、インクは、印刷媒体に直接堆積される。オフセット印刷プロセスでは、インクは、初めに画像処理ドラムに堆積し、次に、貫通ローラによって印刷媒体へと貫通される。既知の装置の多くでは、貫通ローラは、ニップを形成するために、画像処理ドラムの表面に取り付けられる。印刷媒体シートは、ドラムの表面に堆積されたインクと同期して、ニップを介して搬送される。ニップにおける印刷媒体と画像処理ドラムとの転がり接触によって生じた所定の圧力によって、融解されたインクが印刷媒体に転写され固定(つまり貫通)されるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
印刷媒体の温度は、通常、貫通プロセスを容易にして一貫した画質を推進するために、ニップに入るときにある温度に上昇させる必要がある。さらに、媒体の温度が上昇することにより、ニップの圧力要件が下がる。既知の相変化インク画像処理装置の多くは、ある種の媒体予熱器を用い、媒体がニップを介して搬送される前に上記媒体の温度を所望の度に上昇させる。効果的な一方で、加熱器はエネルギーを消費し、プリンタの動作費用に影響を及ぼす。プリンタ技術におけるエネルギー効率の改善は、価値のある目標であり、省エネ努力および規制基準の観点から非常に重要になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態に従って、相変化インク画像処理装置は、経路に沿って媒体を運搬するように構成された媒体運搬部と、経路の少なくとも一部分に近接して移動可能な移動部材とを含む。上記移動部材は、画像担持面を有している。画像処理装置は、画像担持面にインク画像を形成するように構成された少なくとも1つの印字ヘッドと、上記画像担持面にインク画像を形成した後で経路の方へ機械的エネルギーを方向づけるように構成された少なくとも1つの変換器を備えた画像貫通装置とを含む。
【0005】
もう1つの実施態様では、相変化インク画像処理装置は、経路に沿って媒体を運搬するように構成された媒体運搬部と、経路の一部分に近接して移動するように構成された画像担持面と、上記画像担持面にインク画像を形成するように構成された少なくとも1つの印字ヘッドとを含む。少なくとも1つの運動発生器は、経路の一部分に近接して配置される。上記少なくとも1つの運動発生器および上記画像担持面は、画像転写域を画定し、上記画像転写域を介して経路の一部分が伸びる。上記少なくとも1つの運動発生器は、1つまたは複数の所定の周波数で経路の一部分に沿って移動する印刷媒体に衝撃を与えるように構成された圧電変換器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本開示に従った高周波貫通装置を含む相変化インク画像処理装置の一実施態様の簡略化した正面図である。
【図2A】上記画像処理装置の画像担持面に近接した位置に示された1つの運動発生器ユニットを備えた、図1の画像処理装置の貫通装置の一実施形態の概略図である。
【図2B】図2Aの、運動発生器ユニットと画像担持面との隙間を示す詳細図である。
【図3】受像面の幅の全域で伸びていることを示す、図2Aの貫通装置の運動発生器ユニットの平面図である。
【図4】超音波素子を示す、図2Aの貫通装置の運動発生器の下端正面図である。
【図5】ドラムの形状で受像面に面して配置された2つの運動発生器ユニットを備えた、図1の画像処理装置の貫通装置のもう1つの実施態様の概略図である。
【図6】移動帯状部またはベルトの形状で画像処理部材の受像面の反対側に互いに面して配置された2つの運動発生器ユニットを備えた、図1の画像処理装置の貫通装置のもう1つの実施態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本複数の実施形態の全体的な理解のために、図面を参照されたい。図面では、同じ参照符号は、全体にわたって、同じ要素を示すために用いられている。この文書で用いる「プリンタ」という語は、媒体に画像を生成する任意の装置を指し、インクジェットプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、多機能機械、などを含むが、それらに限定されるものではない。
【0008】
本開示は、画像処理装置内で移動する画像担持面を有する相変化インクジェットプリンタに用いられる画像貫通装置に関する。上記画像貫通装置は、移動面の最も近くに配置され、隙間を画定するために移動する画像担持面から間隔を空けた少なくとも1つの運動発生器を含んでいる。以下に説明するように、運動発生器は、少なくとも1つの超音波変換器を備えていてもよく、上記超音波変換器は、画像担持面にインクを塗布し、隙間を通過する印刷媒体にインクを転写し付着させるために、画像担持面の画像が変換器を通過するときに画像担持面と接触するか、あるいは、上記面に衝撃を与えるように速やかに、隙間に伸びて、次に引き出されるよう構成されている。
【0009】
運動発生器の超音波変換器は、超音波周波数帯域での、または、上記帯域付近の、1つまたは複数の所定の周波数で、伸びたり縮んだりするように構成されている。超音波運動によって、隙間を介して画像担持面がほぼ摩擦なく通過しやくなり、従来知られている貫通装置において用いられるような転がり接触は必要なくなる。さらに、超音波運動によって生じたエネルギーにより、インクと画像担持面の両方の温度が上昇する。この温度上昇は、ほぼ即座に生じ、画像担持面および/または印刷媒体を予熱する必要性を低減または除去することができる。予熱の必要性を低減または除去することにより、媒体の暖機運転時間を短縮し、プリンタの電源をより頻繁に切ることができる。プリンタの電源を切ることにより、プリンタのエネルギー消費を低減し、プリンタの運転費が下がる。さらに、温度上昇により、所定の量のインク塗布を実現するために必要な力が低減され、エネルギー消費のさらなる低減につながる。
【0010】
本明細書に記載される貫通装置は、オフセット印刷システムと直接印刷システムとの両方に用いられてもよい。オフセット印刷システムでは、画像担持面は、図1に示したように、ドラム、圧盤、帯状部、または、ベルトといった回転部材の表面であってもよい。この場合、溶解した相変化インクの滴が、回転部材の表面に堆積される。表面のインクの滴が隙間を進むと、印刷媒体のシートは、経路に沿って隙間を介して滴と同期して移動される。媒体経路は、運動発生器と回転部材の表面のインク画像との間に挿入されており、超音波変換器が、インクの滴を覆っている印刷媒体に衝撃を与えるようになっている。この急速な影響により、回転部材の表面にインクの滴を塗布し、印刷媒体にインクを押圧して、媒体にインクを簡単に転写および付着できるようにする。
【0011】
帯状部またはベルトの形状をした画像処理部材を用いるシステムでは、付加的な運動発生器が、第1運動発生器ユニットとは反対側に、ベルトまたは帯状部の内面に超音波作用を方向づけるために、配置されていてもよい。この場合、付加的な運動発生器の超音波作用は、第1運動発生器の作用と共に、印刷媒体にインクを簡単に塗布および貫通できるような支持表面を備えるために、ベルトまたは帯状部を強化するように機能する。
【0012】
画像担持面は、印刷媒体を含んでいてもよい。例えば、直接印刷システムでは、インクを印刷媒体に直接堆積する。この場合、貫通装置を用いて、超音波作用を加え、インクを塗布し、媒体にインクを定着させることができる。印刷媒体の片側または両側に機械的エネルギーを加えるように印刷媒体の片側または両側に運動発生器が配置されてもよい。初めに画像処理部材にインクを堆積し、次に、転写プロセスの間にインクが媒体に定着しない画像処理部材から印刷媒体にインクを転送するオフセットシステムにおいても、同様の設定が用いられてもよい。
【0013】
画像処理の用途は、多孔度、滑らかさ、他の特性が様々な媒体への印刷を含む。例えば、新聞印刷用紙、紙、透明シート、カード用紙、包装資材などは、本明細書に記載の印刷システムを用いて印刷されてもよい。様々なインク材料、受像媒体、および、画質、費用、速度、または、エネルギー効率といった1つまたは複数の目的に重点を置いた画像処理用途は、画像を簡単に転写/貫通できるように運動発生器貫通装置の1つまたは複数の特定の実装を可能にするか、あるいは、上記実装に有利になる。
【0014】
図1を参照すると、高周波画像貫通装置100の一実施形態を組み込んだ相変化インクジェットプリンタの簡略化した正面図を示されている。示したように、プリンタ10は、ハウジング14を備えており、上記ハウジングは、インク装填器18、少なくとも1つの印字ヘッド48、媒体供給運搬装置24、および、画像貫通装置100を含む、プリンタ10の様々な装置および構成要素を支持および少なくとも部分的に含有している。装置10の構成、特に、プリンタにおける装置および構成要素の配置、寸法、および、操作上の必要条件に応じ、任意の適切なハウジング14が用いられてもよい。
【0015】
インク装填器18は、固体インクスティックと呼ばれるインクブロック28として固形の相変化インクを受け取り、固体インクスティック28を印刷媒体への画像の形成に適した液体インクに融解する融解アセンブリ30に、インクスティック28を引き渡すように構成されている。インク装填器18は、インクスティック28が差し込まれる給紙通信路34を含む。図1では単一の給紙通信路34が見て取れるが、インク装填器18は、装置10において用いられるインクスティック28の各色または濃淡のために、別々の給紙通信路34を含む。インクスティック28は、差込開口部38を介して給紙通信路34に差し込まれる。給紙通信路34に差し込まれると、インクスティック28は、インクスティック給紙機構によって融解アセンブリ30の方へ促される。いかなる適切な給紙機構を用いてもよい。図1の実施態様では、給紙機構は、ばね仕掛けのプッシュブロック40を含み、上記プッシュブロックは、融解アセンブリ30の方へインクスティック28を移動するための付勢力を加えるように構成されている。融解アセンブリ30に達したインクスティック28は、相変化インク融解温度まで加熱して、インクスティックを融解し、融解された液体インクにする。相変化インクの形成といったいくつかの因子に応じて、いかなる適切な融解温度を用いてもよい。インク装填器は、異なる構成からなっていてもよく、例えば、粉末インク、または、小球状になったインクなど他の固形状のインクを用いてもよい。
【0016】
溶解したインクは、融解容器44に受け取られ、次に、少なくとも1つの印字ヘッド48に供給される。印字ヘッド48は、溶解したインクの滴を排出するように構成されたインクジェットを含む。プリンタ10はオフセットプリンタである。従って、印字ヘッド48は、回転画像処理部材54の画像担持面50にインクを方向づけるために、配置される。画像処理部材54は、回転ドラム、無端ベルト、帯状部、または、同様のタイプの構造を含む。離型剤の層または薄膜は、表面50から印刷媒体60にインク画像を転写しやすくするように、離型剤用途アセンブリ58によって画像担持面50に加えてもよい。他の複数の実施形態では、印刷媒体に直接インクを方向づけるように、印字ヘッド48を配置してもよい。
【0017】
媒体供給運搬装置24は、プリンタ10に画定された媒体経路64に沿って印刷媒体を運搬し、上記媒体経路は、インクジェット印刷機構48によって表面50に堆積されたインクと同期して画像担持面50の方へ印刷媒体60を誘導する。媒体供給運搬装置24は、紙、透明シート、または同様のものといった印刷媒体を保持および供給するための供給トレイといった、少なくとも1つの媒体供給部68を有している。媒体供給運搬装置は、媒体経路64に沿って媒体を運搬するための、ローラ、邪魔板、そらせ板、などを含む。
【0018】
画像担持面50からインクを受け取るために媒体が適切な温度で貫通装置100に達することができるように、媒体調整装置を媒体経路64に沿って配置して印刷媒体の温度を制御および統制してもよい。例えば、図3の実施態様では、媒体経路64に沿って予熱アセンブリ70を備えて貫通装置100に達する前に印刷媒体を初めの所定の温度に加熱してもよい。予熱アセンブリ70は、媒体を目標予熱温度にするために、接触熱、放射熱、伝導熱、または、対流熱、または、あらゆる組み合わせに依存してもよい。上記したように、高周波貫通装置100の使用は、媒体予熱条件を低減または除去することができる。従って、いくつかの複数の実施形態では、予熱アセンブリ70といった媒体調整装置を画像処理プリンタ10から省略してもよい。
【0019】
プリンタ10の様々な装置、構成要素、および、機能の動作および制御は、制御装置74を用いて実行される。制御装置74は、コントローラ78、電子記憶装置またはメモリ80、および、ユーザーインターフェース(UI)84を含む。コントローラ78は、メモリ80に記憶された命令を実行するように構成された、中央処理装置(CPU)、特定用途向けIC(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)装置、または、マイクロコントローラ、といった処理装置を含んでいてもよい。複数のプロセッサを用いてもよい。いかなる適切なタイプのメモリまたは電子記憶装置を用いてもよい。例えば、メモリ80は、読み取り専用メモリ(ROM)といった不揮発性メモリ、または、EEPROMまたはフラッシュメモリといったプログラマブル不揮発性メモリであってもよい。動作中に、コントローラ78は、インクジェット印刷機器48を作動させて、画像担持面50にインクの滴を排出して画像を形成する。次に、媒体供給運搬装置24はが活性化されて、画像担持面50の方へ媒体経路64に沿って印刷媒体60のシートを運搬する。
【0020】
図1の実施態様では、貫通プロセスの少なくとも一部分が行われる媒体経路64および画像担持面50に対する転写域または貫通域104を画定するように媒体経路64と画像担持面50とが合流する位置付近に配置された貫通装置100を示されている。他の複数の実施形態では、プリンタの構成もよるが、印刷媒体へのインクの転写および/または固定を容易にするように、貫通装置100を、媒体経路64に対して他の位置に配置してもよい。
【0021】
図2Aおよび図3を参照すると、画像貫通装置100の一実施形態を今まで以上に詳しく示されている。図示したように、画像貫通装置100は、ハウジング110および超音波機構114を含んだ運動発生器ユニット108を含む。図3に示したように、ハウジング110および超音波機構114は、貫通装置100に対する受像面50の移動方向Pに対して概ね垂直な方向Cに、画像担持面50の幅の全域で伸びる大きさになっている。前面112は、画像担持面50と運動発生器ユニット108との隙間116を画定し、上記隙間を介して、媒体経路64が伸びている。ハウジング110は、画像担持面50に近接した超音波機構114を支持しており、超音波機構114の前面112が表面50(図2B)から距離Dだけ離れて配置されている。距離Dは、画像貫通処理中に変化してもよい。例えば、距離Dは、画像担持面でのインクの液滴の高さに等しいまたは上記高さよりも高い範囲において選択され、第二色および第三色の場合、色ディザリング技術に応じて、インク画像、および、媒体の先端部の貫通域104への進入が可能になるように、画素の重複が積み重なることを配慮してもよい。受像面のインク画像および印刷媒体が貫通域104に進むにつれ、画像を転写するための接触が可能になるように距離Dを適切な距離に低減してもよい。距離Dはまた、例えば、運動発生器の構成、運動発生器の数、および、第二色によって印刷されたテキストまたは図形といった画像のタイプといった変数に基づいて、変化してもよい。転写接触状態に移動するとき、運動発生器は、様々な媒体タイプおよび画像内容のためのほぼ一貫した画像転写接触が可能になるように、サーボ機構によって制御されてもよいし、重みを加えられてもよいし、あるいは、ばね仕掛けになっていてもよい。
【0022】
複数の超音波変換器118は、図3に示したように、超音波機構114の前面112に組み込まれている。各超音波変換器の要素118は、少なくとも、転写に影響を及ぼすことができる十分なパルス力で画像軸受け面50と接触し、次に、画像軸受け面、インク画像、および/または、印刷媒体が貫通域104を介して継続的に移動するのに十分な距離だけ画像軸受け面から引っ込めるように、前面112から突き出るように構成されている。一実施形態では、超音波変換器118は圧電変換器であってもよい。技術的に知られているように、圧電変換器は、電気信号の用途に応じて形状を変えるように構成されている。電極(図示せず)が各変換器に取り付けられ、上記変換器には、コントローラ78からの制御信号に基づいて、適切な作動エネルギーが加えられる。コントローラ78は、インク画像122および印刷媒体60が貫通域104を進むとき、超音波変換器118を作動させるように構成されている。
【0023】
複数のパルス力の衝撃は、画像貫通プロセスを容易にするために、各画素の全域で必要とされてもよいが、いくつかの用途では単一の衝撃で十分な場合もある。画像担持面に対する超音波変換器118の移動の速度および周波数は、画像担持面および印刷媒体が製品処理速度で貫通域104を進むときにインク画像の各画素の全域で所望の数の衝撃が得られるよう制御される。一実施形態では、超音波変換器は、ほぼ15kHzから200kHzの超音波領域において動作周波数で作動する。超音波領域での動作周波数により、各画素に対する複数の衝撃を得ることが可能になる。超音波運動はまた、貫通プロセスを促進する貫通域104において熱を発生させるという付加的な利点を提供する。しかし、運動発生器ユニットによって生じた動作周波数は、貫通プロセスまたは画像処理装置の処理速度をあまり妨げることなく、超音波変換器118を、移動する印刷媒体および/または受像面に接触させ、上記媒体および/または受像面から引き出すことができ、受け取る媒体への十分な画像転写または貫通を成し遂げることができる任意の周波数であってもよい。
【0024】
図2Aから図4の実施態様では、超音波変換器118は、超音波機構の全域で方向Cに伸びる1つまたは複数の配列で前面112に配置されている。各配列は、画像担持面50の幅の全域でほぼ完全に覆うように構成されており、各変換器118は、貫通域104において少なくとも1つのインクの液滴位置または画素の全域で、受像面に接触するように構成されている。図4は、超音波機構114の超音波変換器118の配列の一実施形態を示す。図示したように、配列の超音波変換器118は、交互のパターンで2行に配置されている。重複するようにまたは重複しないように配列されてもよい上記交互のパターンは、画像担持面50の全幅を被覆している。
【0025】
画像担持面において(印刷媒体を介して)適切な数の衝撃を各インクの液滴に与えるために、任意の数の超音波変換器118および変換器118の配列を用いてもよい。例えば、複数の配列は、単一の運動発生器ユニット108に組み込まれていてもよい。あるいは、複数の運動発生器ユニット108は、各ユニットが、超音波変換器の1つまたは複数の配列を有するように用いられてもよい。ユニット108の超音波機構114の前面112は、音波変換器118の複数の配列が、それぞれ、表面50からほぼ同じ距離Dに配置できるよう、貫通域104における画像担持面50の輪郭に合わせるように形成されてもよい。適した構成は、ドラムの湾曲に近づけるために、いくぶん適合した湾曲、または、増分角度に設定された平面、または、平面に近い一続きの構成であってもよい。要素および配列の数は、画像領域の幅にわたる完全な接触被覆の獲得に基づいている。
【0026】
図2Aおよび図3の実施態様では、貫通装置100は、ほぼ同じ周波数で画像担持面50と接するよう循環する複数の超音波変換器118を備えた単一の運動発生器ユニット108を含む。図5および図6は、2つ(またはそれ以上)の運動発生器ユニット108aおよび108bが用いられる画像貫通装置100の他の複数の実施形態を示す。図2Aおよび図3の実施態様と同様に、各運動発生器ユニット108a、108bは、超音波領域または超音波に近い領域における所定の周波数で、貫通域104の各インクの液滴の全域での1つまたは複数の衝撃を与えるための(図5および図6では見られない)複数の超音波変換器を含む。しかし、図5および図6の複数の実施形態では、各運動発生器ユニット108a、108bは、画像転写に影響を及ぼすために、異なる周波数で動作するように構成されていてもよい。
【0027】
図5の実施態様では、各運動発生器ユニット108a、108bは、画像処理部材54の画像担持面50に面して配置されており、第1運動発生器ユニット108aは、第2運動発生器から空間を空けている。運動発生器ユニット108aは、第1の所定の周波数で貫通域104の媒体に衝撃を与えるように構成されており、運動発生器ユニット108bは、第1の所定の周波数とは異なる第2の所定の周波数で貫通域104の媒体に衝撃を与えるように構成されている。異なる周波数で複数の運動発生器ユニットを動作することにより、それぞれを、貫通プロセスの特定部分または一部分を実行するために最適化された周波数で操作できる。例えば、図5の実施態様では、第1運動発生器ユニット108aを、画像の媒体への転写を促進または画像の媒体への部分的な転写ができるように媒体およびインクの温度上昇につながる1つまたは複数の周波数で操作してもよい。次に、第2運動発生器ユニット108bは、第1ユニット108aとは異なる周波数または範囲で操作されてもよく、画像の媒体への転写が保証されるように、より大きな運動範囲および衝撃の影響を有していてもよい。任意の周波数または周波数帯域で動作する、ユニット108aおよび108bに加えた付加的な運動発生器転写ユニットが、完全な画像転写を容易にするために用いられてもよい。
【0028】
図6の実施態様では、運動発生器ユニット108a、108bが、画像担持面50の反対側に配置されている。本実施形態では、画像処理部材54は、画像担持面50および内面134として機能する外面130を有する、薄いベルトまたは帯状部を含む。図2Aおよび図3の運動発生器と同様に、第1運動発生器ユニット108aは、外面50に面して配置されている。第2運動発生器ユニット108bは、第1運動発生器ユニット108aとは反対側の位置に、内面134に面して配置されており、支持面として機能し、第1運動発生器ユニット108aによって生じた衝撃に対して補足的な衝撃を与えてもよい。
【0029】
第1運動発生器ユニット108aは、第1の所定の周波数で貫通域104の媒体に衝撃を与えるように構成され、運動発生器ユニット108bは、適合した位相で、または、衝撃に位相を合わせてもよいし、合わせなくてもよい、第1の所定の周波数と同じまたは上記周波数とは異なる第2の所定の周波数で、画像処理部材54の内面134に衝撃を与えるように構成されている。図6の実施態様では、向かい合う運動発生器ユニット108a、108bの超音波作用は、画像が貫通域104の印刷媒体に貫通しているとき、画像処理部材54、画像担持面50、および、運動発生器ユニット間の媒体、をほぼ摩擦なく通過しやすくする。実験が示したのは、画像が媒体に転送されるとすぐに、さらに、運動発生器の影響にさらにさらすことが、画質に対する負の効果を有しないで済むということである。画像側に配置された運動発生器によって媒体に画像を貫通させることにより実現された画質は、用途およびプロセスに依存している。
【0030】
上記の貫通装置は、トナー印刷システムに用いられる振動装置と区別される必要がある。これらのシステムでは、共振周波数での振動は、画像の反対側である画像担持面の側でのみ届けられる。上記振動は、トナー粒子を媒体に簡単に放出できるようにするために、画像担持面にトナー粒子の静電気引力に対して対処する。上記の貫通装置は、画像担持面のインクに媒体を押圧するために、媒体上で動作する。この作用は両方、媒体の局部的な加熱を提供し、インクの塗布に役立ち、他方、インクの媒体への転写を容易にする。画像の反対側の画像担持面の側に取り付けられた場合の貫通装置の運動発生器は、印字ヘッドからの排出に続いて冷却された画像担持面のインクの加熱を促進する。従って、上記の貫通装置は、トナー画像処理システムの振動装置とは異なる画像処理プロセスの構成要素において、異なるように動作する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路に沿って媒体を運搬するように構成された媒体運搬部と、
画像担持面を有する、前記経路の少なくとも一部分に近接して移動可能な移動部材と、
前記画像担持面にインク画像を形成するように構成された少なくとも1つの印字ヘッドと、
前記画像担持面に前記インク画像を形成した後で、前記経路の方へ機械的エネルギーを方向づけるように構成された少なくとも1つの変換器とを含む、相変化インク画像処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの変換器は複数の変換器を含み、各変換器は、前記画像担持面の方へ機械的エネルギーを方向づけるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変換器は、前記経路の方へ機械的エネルギーを方向づけるために、第1周波数で動作するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記移動部材は回転ドラムを含み、前記画像担持面はドラムの表面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記画像担持面は、前記経路に沿って移動する印刷媒体の第1面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の変換器は、前記印刷媒体の前記第1面の方へ機械的エネルギーを方向づけるために配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の変換器は、前記印刷媒体の第2面の方へ機械的エネルギーを方向づけるために配置されており、前記第2面は、前記インク画像が形成される前記第1面の反対側である、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の変換器は、第1周波数で動作するように構成された複数の第1変換器と、前記第1周波数とは異なる第2周波数で動作するように構成された複数の第2変換器とを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の第1変換器および前記複数の第2変換器は、それぞれ、前記経路の第1側面の方へ機械的エネルギーを方向づけるために配置されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の第1変換器は、前記経路の第1側面の方へ機械的エネルギーを方向づけるために配置され、前記複数の第2変換器は、前記経路の第2側面の方へ機械的エネルギーを方向づけるために配置され、前記第2側面は前記第1側面の反対側である、請求項8に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−101535(P2012−101535A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238050(P2011−238050)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】